(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168477
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】自律走行制御装置、自律走行制御方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20231116BHJP
G08G 1/0968 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0968
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023171847
(22)【出願日】2023-10-03
(62)【分割の表示】P 2018160242の分割
【原出願日】2018-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】津脇 美帆
(72)【発明者】
【氏名】中根 昌夫
(57)【要約】
【課題】次のスケジュールを踏まえて、利用者が降車した後の自動運転車の走行計画を自動的に決定可能とする。
【解決手段】自律走行制御装置は、自律走行可能な車両に搭載され、該車両の自律走行を制御する。自律走行制御装置は、車両が到着すべき目的地および当該目的地に到着すべき予定時刻を示すスケジュールを取得する。次に、自律走行制御装置は、取得された複数のスケジュールに基づいて、第1スケジュールが示す第1目的地を出発し、第2スケジュールが示す第2目的地に到着するための複数の走行計画を取得する。そして、自律走行制御装置は、取得された複数の走行計画のうちから所定の基準に基づいて選択した1の走行計画に応じて、前記車両の自律走行を制御する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行可能な車両に搭載され、該車両の自律走行を制御する自律走行制御装置であって、
複数の駐車場の各々に関する情報であって、自律走行車両の入庫可否に関する情報、及び空き情報を含む駐車場情報を取得する駐車場情報取得手段と、
前記車両が到着すべき目的地および当該目的地に到着すべき予定時刻を示すスケジュールを取得するスケジュール取得手段と、
前記スケジュール取得手段により取得された複数のスケジュールに基づいて、第1スケジュールが示す第1目的地を出発し、第2スケジュールが示す第2目的地に到着するための複数の走行計画を取得する走行計画取得手段と、
前記走行計画取得手段により取得された走行計画のうちから所定の基準に基づいて選択した1の走行計画に応じて、前記車両の自律走行を制御する制御手段と、
を備え、
前記走行計画取得手段は、前記駐車場情報に基づいて前記車両が利用可能と判定された利用可能駐車場のうちの前記第1目的地から前記第2目的地までの経路から所定範囲内に存在する利用可能駐車場に駐車した後、前記第2目的地に到着する走行計画を含む前記複数の走行計画を取得することを特徴とする自律走行制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転車の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
利用者が降車した後の自動運転車の振る舞いを設定する手法が特許文献1に記載されている。具体的に特許文献1では、利用者は、自動運転車を降車した後の振る舞いとして、予め設定された既定の駐車場へ移動する、近隣の駐車場で呼ぶまで待機する、所定時間後に降車位置へ戻る、所定時間後に指定地点で待つ、などを設定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の手法では、利用者は自動運転車を降車する度に、その後の振る舞いを設定する必要があり、煩雑である。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、次のスケジュールを踏まえて、利用者が降車した後の自動運転車の走行計画を自動的に決定可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項に記載の発明は、自律走行可能な車両に搭載され、該車両の自律走行を制御する自律走行制御装置であって、前記車両が到着すべき目的地および当該目的地に到着すべき予定時刻を示すスケジュールを取得するスケジュール取得手段と、前記スケジュール取得手段により取得された複数のスケジュールに基づいて、第1スケジュールが示す第1目的地を出発し、第2スケジュールが示す第2目的地に到着するための複数の走行計画を取得する走行計画取得手段と、前記走行計画取得手段により取得された走行計画のうちから所定の基準に基づいて選択した1の走行計画に応じて、前記車両の自律走行を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項に記載の発明は、自律走行可能な車両に搭載され、該車両の自律走行を制御する自律走行制御装置によって実行される自律走行制御方法であって、前記車両が到着すべき目的地および当該目的地に到着すべき予定時刻を示すスケジュールを取得するスケジュール取得工程と、前記スケジュール取得工程により取得された複数のスケジュールに基づいて、第1スケジュールが示す第1目的地を出発し、第2スケジュールが示す第2目的地に到着するための複数の走行計画を取得する走行計画取得工程と、前記走行計画取得工程により取得された走行計画のうちから所定の基準に基づいて選択した1の走行計画に応じて、前記車両の自律走行を制御する制御工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項に記載の発明は、自律走行可能な車両に搭載され、コンピュータを備え、該車両の自律走行を制御する自律走行制御装置によって実行されるプログラムであって、前記車両が到着すべき目的地および当該目的地に到着すべき予定時刻を示すスケジュールを取得するスケジュール取得手段、前記スケジュール取得手段により取得された複数のスケジュールに基づいて、第1スケジュールが示す第1目的地を出発し、第2スケジュールが示す第2目的地に到着するための複数の走行計画を取得する走行計画取得手段、前記走行計画取得手段により取得された走行計画のうちから所定の基準に基づいて選択した1の走行計画に応じて、前記車両の自律走行を制御する制御手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例に係る自動運転車制御システムの概略構成を示す。
【
図2】端末装置の機能的構成を表すブロック図である。
【
図3】サーバ装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図9】複数の走行計画についてのコスト算出結果の例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の1つの好適な実施形態は、自律走行可能な車両に搭載され、該車両の自律走行を制御する自律走行制御装置であって、前記車両が到着すべき目的地および当該目的地に到着すべき予定時刻を示すスケジュールを取得するスケジュール取得手段と、前記スケジュール取得手段により取得された複数のスケジュールに基づいて、第1スケジュールが示す第1目的地を出発し、第2スケジュールが示す第2目的地に到着するための複数の走行計画を取得する走行計画取得手段と、前記走行計画取得手段により取得された走行計画のうちから所定の基準に基づいて選択した1の走行計画に応じて、前記車両の自律走行を制御する制御手段と、を備える。
【0011】
上記の自律走行制御装置は、自律走行可能な車両に搭載され、該車両の自律走行を制御する。自律走行制御装置は、車両が到着すべき目的地および当該目的地に到着すべき予定時刻を示すスケジュールを取得する。次に、自律走行制御装置は、取得された複数のスケジュールに基づいて、第1スケジュールが示す第1目的地を出発し、第2スケジュールが示す第2目的地に到着するための複数の走行計画を取得する。そして、自律走行制御装置は、取得された複数の走行計画のうちから所定の基準に基づいて選択した1の走行計画に応じて、前記車両の自律走行を制御する。これにより、所定の基準に基づいて、第1目的地を出発して第2目的地へ到着する適切な走行計画が得られる。
【0012】
上記の自律走行制御装置の一態様では、前記走行計画取得手段は、前記第1目的地を出発し、所定の駐車場所に駐車した後、前記第2目的地に到着する走行計画と、前記第1目的地を出発し、前記第1目的地から前記第2目的地までの経路から所定範囲内に存在する近傍駐車場所に駐車した後、前記第2目的地に到着する走行計画と、を含む走行計画を取得する。この態様では、第1目的地を出発し、駐車場所に駐車して待機してから、第2目的地へ向かう走行計画が生成される。
【0013】
上記の自律走行制御装置の他の一態様では、前記所定の駐車場所は、自宅または前記車両が常時駐車可能な常用駐車場所である。この態様では、常用駐車場所で待機する走行計画を生成される。
【0014】
上記の自律走行制御装置の他の一態様は、前記所定の基準を利用者により設定させる設定手段を備える。この態様では、走行計画を決定する所定の基準を利用者が任意に設定することができる。
【0015】
好適な例では、前記所定の基準は、前記複数の走行計画のそれぞれについて、前記車両の走行による消費エネルギー代、有料道路代、及び、駐車場代のうちの少なくとも1つに基づいて算出された料金コストに関する基準である。
【0016】
他の好適な例では、前記所定の基準は、前記複数の走行計画のそれぞれについて、前記第1目的地を出発して、前記第2目的地に到着するまでの前記車両の走行時間、走行距離、事故多発地点の通過数、交差点の通過数、および制限速度が所定速度以上の道路の走行時間の少なくとも1つに基づいて算出されたリスクコストに関する基準である。
【0017】
さらに他の好適な例では、前記所定の基準は、前記複数の走行計画のそれぞれについて、前記車両の所定時間毎の予定位置から前記第2目的地までの距離の平均値に基づいて算出された予定前倒しコストに関する基準である。
【0018】
さらに他の好適な例では、前記所定の基準は、上記の料金コスト、リスクコスト、予定前倒しコストのうちの少なくとも2つに基づいて算出された総合コストに関する基準である。
【0019】
本発明の他の好適な実施形態では、自律走行可能な車両に搭載され、該車両の自律走行を制御する自律走行制御装置によって実行される自律走行制御方法は、前記車両が到着すべき目的地および当該目的地に到着すべき予定時刻を示すスケジュールを取得するスケジュール取得工程と、前記スケジュール取得工程により取得された複数のスケジュールに基づいて、第1スケジュールが示す第1目的地を出発し、第2スケジュールが示す第2目的地に到着するための複数の走行計画を取得する走行計画取得工程と、前記走行計画取得工程により取得された走行計画のうちから所定の基準に基づいて選択した1の走行計画に応じて、前記車両の自律走行を制御する制御工程と、を備える。この方法によっても、所定の基準に基づいて、第1目的地を出発して第2目的地へ到着する適切な走行計画が得られる。
【0020】
本発明の他の好適な実施形態では、自律走行可能な車両に搭載され、コンピュータを備え、該車両の自律走行を制御する自律走行制御装置によって実行されるプログラムは、前記車両が到着すべき目的地および当該目的地に到着すべき予定時刻を示すスケジュールを取得するスケジュール取得手段、前記スケジュール取得手段により取得された複数のスケジュールに基づいて、第1スケジュールが示す第1目的地を出発し、第2スケジュールが示す第2目的地に到着するための複数の走行計画を取得する走行計画取得手段、前記走行計画取得手段により取得された走行計画のうちから所定の基準に基づいて選択した1の走行計画に応じて、前記車両の自律走行を制御する制御手段、として前記コンピュータを機能させる。このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記の自律走行制御装置を実現することができる。このプログラムは、記憶媒体に記憶して取り扱うことができる。
【実施例0021】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
[自動運転システム]
(全体構成)
図1は、実施例に係る自動運転車制御システムの概略構成を示す。自動運転車制御システムは、自律走行可能な車両(以下、「自動運転車V」と呼ぶ。)に搭載された端末装置1と、端末装置1とネットワークを介して通信を行うサーバ装置2とを備える。
【0022】
サーバ装置2は、自動運転車Vの端末装置1と通信し、自動運転車Vが自律走行を行うために必要な各種のデータを供給する。端末装置1は、所定時間毎に自動運転車Vの現在位置を取得し、サーバ装置2へ送信する。端末装置1は、サーバ装置2から自動運転車Vの現在位置周辺の地図データや地物データなどを受信し、自動運転車Vの自律走行を制御する。
【0023】
また、本実施例では、サーバ装置2は、予め決められた利用者のスケジュールに従って、利用者が降車した後の自動運転車Vの走行計画を決定して端末装置1へ送信する。端末装置1は、サーバ装置2から受信した走行計画に従って、自動運転車Vを走行させる。
(端末装置の構成)
図2は、端末装置1の機能的構成を表すブロック図を示す。
図2に示すように、端末装置1は、主に通信部11と、記憶部12と、入力部13と、制御部14と、インターフェース15と、出力部16とを有する。端末装置1内の各要素は、バスライン98を介して相互に接続されている。
【0024】
通信部11は、制御部14の制御に基づき、自動運転車Vの現在位置をサーバ装置2へ送信したり、自動運転車Vの自律走行に必要な各種のデータをサーバ装置2から受信したりする。また、通信部11は、車両を制御するための信号を車両に送信する処理、車両の状態に関する信号を車両から受信する処理を行ってもよい。
【0025】
記憶部12は、制御部14が実行するプログラムや、制御部14が所定の処理を実行する為に必要な情報を記憶する。本実施例では、記憶部12は、複数の地
図DB4と、センサデータキャッシュ6と、車両属性情報IVとを記憶する。
【0026】
地
図DB4は、例えば、道路データ、施設データ、及び、道路周辺の地物データなどを含むデータベースである。センサデータキャッシュ6は、センサ部7の出力データ(いわゆる生データ)を一時的に保持するキャッシュメモリである。車両属性情報IVは、車両の種別、車両ID、車両長さ、車幅、車高などの車両サイズ、車両の燃料タイプなど、端末装置1を搭載した車両の属性に関する情報を示す。
【0027】
入力部13は、利用者が操作するためのボタン、タッチパネル、リモートコントローラ、音声入力装置等であり、例えば、経路探索のための目的地を指定する入力、自動運転のオン及びオフを指定する入力などを受け付け、生成した入力信号を制御部14へ供給する。または、利用者が所有する携帯端末と通信接続し、利用者が携帯端末を介して行った操作を受け付けてもよい。出力部16は、例えば、制御部14の制御に基づき出力を行うディスプレイやスピーカ等である。
【0028】
インターフェース15は、センサ部7の出力データを制御部14やセンサデータキャッシュ6に供給するためのインターフェース動作を行う。センサ部7は、ライダ31やカメラ32などの車両の周辺環境を認識するための複数の外界センサと、GPS受信機33、ジャイロセンサ34、ポジションセンサ35、3軸センサ36などの内界センサを含む。ライダ31は、外界に存在する物体までの距離を離散的に測定し、当該物体の表面を3次元の点群として認識し、点群データを生成する。カメラ32は、車両から撮影した画像データを生成する。ポジションセンサ35は、各外界センサの位置を検出するために設けられ、3軸センサ36は、各外界センサの姿勢を検出するために設けられている。なお、センサ部7は、
図2に示した外界センサ及び内界センサ以外の任意の外界センサ及び内界センサを有してもよい。例えば、センサ部7は、外界センサとして、超音波センサ、赤外線センサ、マイクなどを含んでもよい。
【0029】
制御部14は、1または複数のプラットフォーム上で所定のプログラムを実行するCPUなどを含み、端末装置1の全体を制御する。具体的に、制御部14は、自動運転車Vの現在位置を測定し、通信部11を介してサーバ装置2へ送信する。また、制御部14は、利用者が自動運転車Vを降車し、発車指示を行ったときに、そのことを示す信号(以下、「発車指示信号」と呼ぶ。)をサーバ装置2へ送信する。なお、発車指示信号は、例えば利用者が自動運転車から降車した後、ドアのボタンを操作したり、リモコンを操作したりしたときに生成され、サーバ装置2へ送信される。
【0030】
また、制御部14は、後述するように、利用者が自動運転車Vを降車した後の走行計画をサーバ装置2から受信し、通信部11等を介して不図示の自動運転車Vの自律走行制御部に供給する。自律走行制御部は、走行計画に従って、自動運転車Vの自律走行を実行する。
【0031】
(サーバ装置)
図3は、サーバ装置2の機能的構成を示すブロック図である。
図3に示すように、サーバ装置2は、主に通信部21と、記憶部22と、制御部23とを有する。サーバ装置2内の各要素は、バスライン99を介して相互に接続されている。
【0032】
通信部21は、制御部23の制御に基づき、端末装置1から送信される自動運転車Vの現在位置や発車指示信号を受信したり、サーバ装置2が決定した走行計画を端末装置2へ送信したりする。
【0033】
記憶部22は、制御部23が実行するプログラムや、制御部23が所定の処理を実行する為に必要な情報を記憶する。さらに、本実施例では、記憶部22は、地図データベース(以下、「データベース」を「DB」と記す。)24と、通行料金DB25と、駐車場DB26と、利用者DB27とを記憶する。
【0034】
地
図DB24は、端末装置1に配信するための地図データを記憶している。地
図DB24は、道路データ、施設データ、道路周辺の地物データなど、自動運転車の自律走行で使用される種々のデータを記憶している。
【0035】
通行料金DB25は、主として高速道路、有料道路の通行料金を記憶している。制御部23は、通行料金DB25を参照することにより、特定のインターチェンジ間の通行料金を取得することができる。
【0036】
駐車場DB26は、駐車場に関する情報を記憶している。
図4は、駐車場DB26の一例を示す。駐車場DB26は、「駐車場ID」毎に、各駐車場の「名称」、「位置」、「料金」、「空き状態」、「自動運転車入庫可否」を記憶している。「駐車場ID」は、各駐車場を一意に特定する識別情報であり、「名称」はその駐車場を示す呼び名である。「位置」はその駐車場の地理上の位置であり、緯度、経度で示される。「料金」は、その駐車場における駐車料金であり、例えば、時間単位で示される。「空き状態」は、その駐車場の現在の空き状態を示す。
【0037】
「自動運転車入庫可否」は、その駐車場が自動運転車の入庫を認めているか否かを示す。一般的に、自動運転車の入庫を受け付けるためには、駐車場内に自動運転車を安全に走行させ、駐車させるための様々な設備が必要となる。そのような設備が完備され、自動運転車の入庫を許可している駐車場は自動運転車入庫可否が「可」に設定されており、自動運転車の入庫を許可していない駐車場は自動運転車入庫可否が「不可」に設定されている。
【0038】
利用者DB27は、自動運転車Vの利用者に関する情報を記憶している。
図5は、利用者DB27の一例を示す。利用者DB27は、「利用者ID」毎に、「車両ID」、「スケジュール」、「常用駐車場ID」、「車両の燃費」、「優先コスト」を記憶している。「利用者ID」は、各利用者を一意に識別する情報であり、利用者毎に付与される。「車両ID」は、その利用者が使用する自動運転車Vの識別情報であり、例えば車両番号などを利用することができる。
【0039】
「スケジュール」は、その利用者の今後のスケジュールを示す。具体的に、1つのスケジュールは、「予定時刻」と「目的地」とを含む。
図5の例において、利用者IDがU00001である利用者の次のスケジュールは、予定時刻が「2018年6月22日の10:00」であり、目的地が「A駅」である。今後のスケジュールが複数ある場合には、それらが全て記憶されている。
【0040】
「常用駐車場ID」は、その利用者が通常使用している駐車場を示す識別情報である。なお、駐車場IDとしては、駐車場DB26で使用しているIDを利用することができる。一般的には利用者の自宅の駐車場、会社の駐車場、利用者が利用契約済みの駐車場など、新たに利用者が利用料金を支払う必要がない駐車場が常用駐車場として登録される。なお、一人の利用者について複数の常用駐車場が登録される場合もある。例えば、利用者は、自宅と会社の駐車場の両方を常用駐車場として登録する場合がある。
【0041】
「車両の燃費」は、車両IDが示す車両の燃費である。なお、燃費の値は、その形式の車両の一般的な数値であってもよく、その利用者の実際の走行履歴に基づいて算出された利用者に固有の数値であってもよい。
【0042】
「優先コスト」は、利用者が降車した後の自動運転車Vの走行計画を決定する際に、その利用者が優先するコストを示し、後述するように、「料金コスト」、「リスクコスト」、「予定前倒しコスト」、「総合コスト」のうちから、その利用者が選択したものが記憶される。
【0043】
上記の構成において、端末装置1は本発明の自律走行制御装置の一例であり、制御部14は本発明のスケジュール取得手段、走行計画取得手段及び制御手段の一例であり、入力部13は本発明の設定手段の一例である。
【0044】
[走行計画の生成方法]
次に、走行計画の生成方法について説明する。本実施例では、利用者が自動運転車Vを降車した際、サーバ装置2は、その利用者の次のスケジュールを考慮して、自動運転車Vのその後のアクションを規定する走行計画を決定する。
【0045】
(基本方針)
まず、走行計画を決定するための基本方針について説明する。本実施例では、利用者が降車した後の自動運転車Vのアクションについて、利用者がどのコストを重視するかを入力部13を介して予め設定しておく。具体的には、利用者は、自らが優先する優先コストとして、「料金コスト」、「リスクコスト」、「予定前倒しコスト」、「総合コスト」の4つのコストから1つを選択する。選択されたコストは、
図5に示すように、優先コストとして利用者DB27に登録される。
【0046】
ここで、「料金コスト」とは、自動運転車Vが走行する際に発生する料金を示すコストであり、走行時に使用する消費エネルギー代(燃料代)、駐車場代、有料道路代などに基づいて算出される。「リスクコスト」とは、自動運転車Vが走行する際の危険度、事故発生可能性などを示すコストであり、自動運転車Vが走行する経路に応じて算出される。「予定前倒しコスト」とは、スケジュールに規定される予定時刻が前倒しになった(予定より早くなった)場合における対応可能性を示すコストであり、自動運転車Vの次の目的地と現在位置との間の距離に基づいて算出される。「総合コスト」とは、上記の「料金コスト」、「リスクコスト」、「予定前倒しコスト」を全て考慮した場合のコストであり、料金コスト、リスクコスト、予定前倒しコストのそれぞれの値に基づいて算出される。
【0047】
利用者が優先コストを設定した状態で、利用者が自動運転車Vを降車すると、サーバ装置2は、その利用者の次のスケジュールに基づいて走行計画を決定する。その際、まずサーバ装置2は、以下の3種類の走行計画を候補として生成する。
(A)常用駐車場利用計画
この走行計画では、自動運転車Vは、利用者が自動運転車Vを降車した地点(以下、「降車地点」と呼ぶ。)から、その利用者の常用駐車場に移動して待機し、その後、常用駐車場から目的地へ向かう。
(B)外部駐車場利用計画
この走行計画では、自動運転車Vは、降車地点から、目的地周辺の外部駐車場に移動して待機し、その後、その外部駐車場から目的地へ向かう。「外部駐車場」とは、利用者の常用駐車場以外の駐車場を指すものとする。なお、外部駐車場は目的地周辺の駐車場であることが好ましいが、目的地周辺に適当な駐車場が無い場合には、現在位置から目的地までの経路から所定範囲内に存在する駐車場としてもよい。
(C)周回計画
この走行計画では、自動運転車Vは、駐車場で待機することなく降車地点から目的地へ向かい、目的地周辺に到着したら、目的地近くの道路を予定時刻まで周回する。
【0048】
こうして走行計画の3つの候補が得られると、サーバ装置2は、3つの候補(A)~(C)のそれぞれについて、上記の4つのコスト、即ち、料金コスト、リスクコスト、予定前倒しコスト、及び、総合コストを算出する。そして、サーバ装置2は、3つの候補のうち、利用者が優先コストに設定しているコストの値が最も小さくなるものを、走行計画として決定する。例えば、ある利用者が料金コストを優先コストとして設定している場合、サーバ装置2は、3つの候補のうち、料金コストが最小となる候補を走行計画として決定する。これにより、利用者が優先するコストに適合した走行計画が得られる。
【0049】
(走行計画生成処理)
次に、上記の基本方針に沿って行われる走行計画生成処理について詳しく説明する。
図6は、走行計画生成処理のフローチャートである。この処理は、サーバ装置2により実行される。詳しくは、サーバ装置2の制御部23が予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。
【0050】
まず、サーバ装置2は、自動運転車Vから発車指示信号を受信したか否かを判定する(ステップS10)。前述のように、発車指示信号は、利用者が自動運転車Vを降車したときに端末装置1により生成され、サーバ装置2へ送信される。
【0051】
発車指示信号を受信すると(ステップS10:Yes)、サーバ装置2は、発車指示信号の送信元の自動運転車Vの車両ID及び現在位置を取得し、利用者DB27を参照して、車両IDに基づいて利用者を特定し、その利用者の次のスケジュールを取得する(ステップS11)。次に、サーバ装置2は、所定期間内に次のスケジュールがあるか否かを判定する(ステップS12)。ここで、「所定期間」とは、予め決められた期間であり、例えば24時間(1日)に設定される。
【0052】
所定期間内に次のスケジュールが無い場合(ステップS12:No)、即ち、次のスケジュールが無いか、又は、次のスケジュールが24時間以降である場合、サーバ装置2は、単純に常用駐車場へ戻る走行計画を生成し、端末装置1へ送信する(ステップS13)。これにより、所定期間内にスケジュールが無い場合には、自動運転車は常用駐車場へ戻って待機することになる。なお、利用者が複数の常用駐車場を登録している場合、サーバ装置2は、自動運転車の現在位置から近い方の常用駐車場に戻る走行計画を生成するのが望ましい。
【0053】
一方、所定期間内に次のスケジュールがある場合(ステップS12:Yes)、サーバ装置2は、自動運転車Vの現在位置から、次のスケジュールが示す目的地までの経路を探索し、目的地に到着するまでの所要時間を算出する(ステップS14)。
【0054】
次に、サーバ装置2は、余剰時間が、予め決められた第1の所定時間より長いか否かを判定する(ステップS15)。ここで、「余剰時間」とは、自動運転車Vが現在位置から目的地まで移動した場合に、次のスケジュールの予定時刻までに余る時間であり、以下の式により得られる。
余剰時間=(予定時刻-現在時刻)-所要時間
また、「第1の所定時間」は、例えば10分程度に設定される。
【0055】
余剰時間が第1の所定時間より長くない場合(ステップS15:No)、次のスケジュールまでにそれほど時間的余裕は無いため、サーバ装置2は、次の目的地へ向かう走行計画を生成し、端末装置1へ送信する(ステップS16)。これにより、自動運転車Vは、直ちに次の目的地へ向けて走行を開始することになる。
【0056】
なお、この場合に、余剰時間が第1の所定時間(10分)よりは短いものの、多少はある場合、例えば、余剰時間が第2の所定時間(ここでは「5分」とする。)よりも長い場合、サーバ装置2は、自動運転車がその分だけ遠回りする経路を走行するように走行計画を生成しても良い。一方、余剰時間が第2の所定時間(5分)よりも短い場合には、自動運転車は通常の経路(遠回りしない経路)を走行し、目的地に数分(5分以下)早く到着して待機すればよい。
【0057】
一方、余剰時間が第1の所定時間より長い場合、次のスケジュールまでにある程度の時間的余裕があるため、サーバ装置2は、コスト算出処理を行う(ステップS17)。
図7は、コスト算出処理のフローチャートである。コスト算出処理は、前述した走行計画の3つの候補、即ち、常用駐車場利用計画、外部駐車場利用計画、及び、周回計画の各々について、料金コスト、リスクコスト、予定前倒しコスト、及び、総合コストを算出する。
【0058】
まず、常用駐車場利用計画に関して、サーバ装置2は、自動運転車Vの現在位置から、常用駐車場を経由地として目的地までの経路を探索する(ステップS31)。次に、サーバ装置2は、得られた経路により、自動運転車Vが予定時刻までに目的地に到着可能であるか否かを判定する(ステップS32)。常用駐車場は、利用者の自宅や会社の駐車場などであり、目的地に近いとは限らないので、常用駐車場を経由すると、予定時刻までに目的地に到着できない場合もある。予定時刻までに目的地に到着可能でない場合(ステップS32:No)、サーバ装置2は、常用駐車場利用計画を、走行計画の候補から除外する(ステップS33)。一方、予定時刻までに目的地に到着可能である場合(ステップS32:Yes)、サーバ装置2は、ステップS31で得られた経路に基づいて、料金コスト、リスクコスト、予定前倒しコスト及び総合コストを算出する(ステップS34)。そして、処理は
図5のメインルーチンへ戻る。
【0059】
次に、外部駐車場利用計画に関して、サーバ装置2は、まず目的地の周辺の外部駐車場を検索する(ステップS35)。この際、サーバ装置2は、駐車場DB26を参照し、空き状態が「空車」である外部駐車場を選択する。また、
図4に示すように、自動運転車入庫可否を規定している駐車場については、自動運転車入庫可否を考慮して外部駐車場を選択する。そして、サーバ装置2は、得られた外部駐車場を経由地として目的地までの経路を探索する(ステップS36)。
【0060】
次に、サーバ装置2は、駐車場DB26を参照し、必要な駐車時間に基づいて駐車料金を算出する(ステップS37)。次に、サーバ装置2は、ステップS36で得られた経路に基づいて、料金コスト、リスクコスト、予定前倒しコスト及び総合コストを算出する(ステップS38)。なお、料金コストには、ステップS37で得られた駐車料金が含められる。そして、処理は
図5のメインルーチンへ戻る。
【0061】
次に、周回計画に関して、サーバ装置2は、目的地周辺における周回経路を探索する(ステップS39)。周回経路とは、例えば、目的地と、周回経由地(その近隣の駅や施設など)との間を周回する経路である。周回経由地は、所定の基準により設定された目的地の周辺の地点とする。所定の基準としては、例えば、目的地から所定距離内の地点、幹線道路などの自動運転車が安全に走行可能な道路に隣接する地点、などが挙げられる。渋滞情報などを参照し、目的地との間の道路が混雑していない地点を周回経由地に設定するようにしてもよい。一例として、周回経由地を目的地周辺の施設Xとすると、周回経路は、目的地から施設Xを経由して目的地に戻る経路となる。自動運転車Vは、周回経路を1回又は複数回走行して、目的地への到着時間を調整することになる。なお、周回計画において、目的地が駐車可能な地点である場合には、周回経路を周回する代わりに、駐車して時間を調整してもよい。
【0062】
次に、サーバ装置2は、得られた周回経路の周回数を算出する(ステップS40)。具体的には、サーバ装置2は、余剰時間と、周回経路を1回走行した場合の所要時間とに基づいて、周回経路を何回走行する必要があるかを算出する。次に、サーバ装置2は、ステップS39で得られた経路に基づいて、料金コスト、リスクコスト、予定前倒しコスト及び総合コストを算出する(ステップS41)。そして、処理は
図5のメインルーチンへ戻る。
【0063】
図6に戻り、サーバ装置2は、利用者DB27から、利用者が選択した優先コストを取得し、その優先コストに基づいて1つの走行計画を決定する(ステップS18)。即ち、サーバ装置2は、コスト算出処理で得られた複数の走行計画の候補のうち、その利用者の優先コストが最小となる1つの候補を走行計画として決定する。そして、サーバ装置2は、決定した走行計画を、端末装置1へ送信する(ステップS19)。こうして、自動運転車Vは、利用者が選択した優先コストが最小となるような走行計画に従って目的地まで走行することになる。
【0064】
(走行計画の例)
次に、走行計画生成処理により生成される走行計画の例について説明する。
図8(A)~(C)は、走行計画の例を示す。なお、これらの走行計画は、
図5に示す利用者ID「U00001」の利用者が、スケジュールに示すように2018年6月22日の10:00にA駅で自動運転車Vを降車し、次のスケジュールとして同日の15:00までにB駅に向かう場合に生成されたものである。
【0065】
図8(A)は、常用駐車場利用計画の例を示す。常用駐車場利用計画では、自動運転車Vは、利用者の常用駐車場で待機した後、目的地へ向かう。
図8(A)の例では、自動運転車Vは、10:00にA駅を出発し、10:10に常用駐車場に到着し、常用駐車場で待機する。その後、自動運転車Vは13:00に常用駐車場を出発し、15:00にB駅に到着する。
【0066】
図8(B)は、外部駐車場利用計画の例を示す。外部駐車場利用計画では、自動運転車Vは、外部駐車場で待機した後、目的地へ向かう。
図8(B)の例では、自動運転車Vは、10:00にA駅を出発し、11:50に目的地の近くの外部駐車場に到着し、外部駐車場で待機する。その後、自動運転車Vは14:55に常用駐車場を出発し、15:00にB駅に到着する。
【0067】
図8(C)は、周回計画の例を示す。周回計画では、自動運転車Vは現在位置から直ちに目的地へ向かい、目的地に到着した後は、目的地付近の周回経路を周回する。
図8(C)の例では、自動運転車Vは、10:00にA駅を出発し、13:40に目的地であるB駅に到着する。その後、自動運転車Vは、目的地付近の周回経路を周回し、15:00にB駅に到着する。
【0068】
なお、
図8では、常用駐車場利用計画、外部駐車場利用計画及び周回計画をそれぞれ1つずつ例示しているが、自動運転車Vが移動する経路が複数存在する場合には、複数の走行計画を生成するようにしてもよい。例えば、現在位置から常用駐車場へ移動する経路や、常用駐車場から目的地へ移動する経路が複数ある場合には複数の常用駐車場利用計画が生成される。現在位置から外部駐車場へ移動する経路や、外部駐車場から目的地へ移動する経路が複数ある場合には、複数の外部駐車場利用計画が生成される。また、現在位置から目的地へ移動する経路が複数ある場合や、目的地付近における周回経路が複数ある場合には、複数の周回計画が生成される。
【0069】
(コスト算出例)
次に、各走行計画についてのコストの算出例を説明する。
図9は、複数の走行計画についてのコスト算出結果の例である。この例では、走行計画生成処理により、2つの常用駐車場利用計画、3つの外部駐車場利用計画、及び、2つの周回計画が生成されたものとする。
【0070】
料金コストは、自動運転車Vが走行計画に従って移動した場合に要する金額で示され、自動運転車Vの走行に必要な燃料費、有料道路代、駐車場代などを含む。具体的に、常用駐車場利用計画では、常用駐車場の利用は無料であるので、料金コストは、燃料費と、有料道路を利用する場合の有料道路代の合計となる。外部駐車場利用計画では、料金コストは、燃料費と、有料道路を利用する場合の有料道路代と、外部駐車場の駐車場代の合計となる。周回計画では、駐車場代はかからないので、料金コストは燃料費と、有料道路を利用する場合の有料道路代の合計となる。必要な料金が小さいほど、料金コストの値は小さくなる。
【0071】
具体的な計算方法としては、サーバ装置2は、走行計画に従って自動運転車Vが走行する距離と、利用者DB27に記憶されている車両の燃費と、燃料の価格とに基づいて燃料費を算出する。燃料の価格は、全国平均又は地域ごとの平均価格などをサーバ装置2内に記憶しておけばよい。また、サーバ装置2は、通行料金DB25を参照して有料道路代を取得し、駐車場DB26を参照して駐車場代を取得すればよい。
【0072】
リスクコストは、自動運転車Vが走行する際の事故などのリスクを示す指標であり、自動運転車Vの全走行時間、全走行距離、事故多発地点の通過数、制限速度が高い道路(以下、「高制限速度道路」と呼ぶ。)の走行時間、交差点通過数のうちのいくつか又は全てに基づいて算出される。具体的には、走行時間1時間当たり、走行距離1km当たり、事故多発地点1つ当たり、高制限速度道路1km当たり、交差点1つ当たりのリスクポイント数を予め決めておき、各走行計画についてリスクポイントを算出すればよい。事故などのリスクが少ないほど、リスクコストの値は小さくなる。なお、高制限速度道路は、例えば制限速度が80km以上の道路とされる。高速道路や有料道路などの制限速度は地
図DB24に記憶されているので、サーバ装置2は、それらの道路を制限速度で走行した場合の走行時間を算出すればよい。
【0073】
予定前倒しコストは、次のスケジュールにおける予定時刻が早まり、利用者が自動運転車Vを急遽呼び寄せた場合に、自動運転車Vが迅速に到着できるかどうかを示す指標であり、次の目的地と自動運転車Vの現在位置との間の平均距離により示される。具体的には、サーバ装置2は、走行計画に従って自動運転車Vの所定時間(例えば20分)ごとの予定位置を推定し、その予定位置と目的地との間の距離を算出する。そして、それらの距離を平均して平均距離を算出する。平均距離が短いほど、自動運転車Vが次の目的地の近くにいることになり、予定の前倒しに対して迅速に対応可能となるので、予定前倒しコストの値は小さくなる。
【0074】
総合コストは、料金コスト、リスクコスト、予定前倒しコストを総合したコストである。総合コストは、利用者がこれら3のコストのいずれか1つを特に優先するのではなく、これら3つのコストを総合的に判断して走行計画を決めたい場合に選択される。総合コストを算出するためには、料金コスト、リスクコスト及び予定前倒しコストの値を総合ポイントに変換するための変換式又は変換ルールを予め決定しておく。そして、サーバ装置2は、その変換式又は変換ルールに従って料金コスト、リスクコスト及び予定前倒しコストをそれぞれ総合ポイントに変換し、それらを合計して総合コストを算出する。
【0075】
なお、総合ポイントを使用する代わりに、料金コスト、リスクコスト及び予定前倒しコストのうちのいずれか1つに、残りの2つを変換して総合コストを算出しても良い。例えば、リスクコストの値(リスクポイント)と、予定前倒しコストの値(平均距離)をそれぞれ料金コストの値(即ち、金額)に変換する変換式を予め用意し、リスクポイントと平均距離を金額に変換し、総合コストを金額で示すようにしてもよい。
【0076】
また、上記の例では、総合コストを料金コスト、リスクコスト及び予定前倒しコストに基づいて算出しているが、これら3つのうちの2つのみに基づいて総合コストを算出するようにしてもよい。例えば、料金コストとリスクコストに基づいて総合コストを算出するようにしてもよい。
【0077】
図9に例示するように、各走行計画についてコストが算出されると、サーバ装置2は、利用者の選択した優先コストに従って、1つの走行計画を選択する。例えば、利用者が優先コストとして料金コストを選択している場合、サーバ装置2は、料金コストが最小である常用駐車場利用計画1を選択することになる。また、利用者が優先コストとしてリスクコストを選択している場合、サーバ装置2は、リスクコストが最小である外部駐車場利用計画3を選択することになる。なお、優先コストの値が最小である走行計画が複数ある場合、サーバ装置2は、他のコスト又は総合コストが小さい走行計画を選択すればよい。
【0078】
[変形例]
以下、上記の実施例の変形例について説明する。なお、以下の変形例は、適宜組み合わせて上記の実施例に適用することができる。
(変形例1)
上記の実施例では、利用者が自動運転車Vを降車した際に、その地点から次のスケジュールにおける目的地までの走行計画を生成しているが、利用者や自動運転車Vの現在位置に拘わらず、任意の2つのスケジュール間の走行計画を生成するようにしてもよい。例えば、翌日のスケジュールとして、第1のスケジュールと、それに続く第2のスケジュールが決まっている場合に、第1のスケジュールにおける目的地及び予定時刻と、第2のスケジュールにおける目的地及び予定時刻との間の走行計画を生成しても良い。これにより、利用者は、将来のスケジュールに基づいて、事前に走行計画を確認することが可能となる。
【0079】
(変形例2)
上記の実施例では、サーバ装置2が走行計画を生成しているが、その代わりに、自動運転車Vに搭載された端末装置1が走行計画を生成してもよい。この場合には、端末装置1の記憶部12に通行料金DBや駐車場DBを記憶しておき、端末装置1の制御部14が上記の走行計画生成処理を実行して走行計画を決定すればよい。なおこの場合、駐車場DBについては、リアルタイム性が要求されるため、駐車場の空き状態に関する情報を収集する外部サーバ装置から、自動運転車Vの現在位置の周辺や目的地までの経路周辺の駐車場の空き状態に関する情報を定期的にダウンロードして端末装置1に記憶される駐車場DBの内容を更新することが望ましい。
【0080】
(変形例3)
上記のように利用者の選択した優先コストに従って1つの走行計画が決定され、自動運転車Vが走行計画に従ってアクションを開始した後で、走行予定の道路の交通状況、駐車予定の駐車場の空き状態などが変化した場合、サーバ装置2は、その時点の自動運転車Vの現在位置と次のスケジュールに基づいて走行計画生成処理を再実行することが望ましい。これにより、周辺環境などが変化した場合でも、最適な走行計画で自動運転車Vを走行させることが可能となる。例えば、自動運転車Vが外部駐車場利用計画に従って走行を開始した後、予定していた外部駐車場が満車になって利用できなくなった場合には、走行計画生成処理を再実行することにより、別の外部駐車場を利用する外部駐車場利用計画が選択されたり、外部駐車場利用計画に代わって周回計画が選択されたりすることがある。
【0081】
(変形例4)
上記の実施例では、外部駐車場利用計画において外部駐車場を利用する例を示しているが、外部駐車場は有料駐車場には限られず、例えば公園や公共機関などに併設された無料駐車場であってもよい。また、いわゆる駐車場以外でも、交通法規に違反することなく車両を駐車することができるエリア、スペースなどがあれば、それを利用してもよい。この観点から、これら車両を駐車可能な場所をまとめて「駐車場所」と呼ぶこととする。
【0082】
(変形例5)
上記の実施例では、自動運転車Vの走行計画を生成しているが、本発明を通常の車両に適用することもできる。その場合には、サーバ装置2が決定した走行計画に対応する走行経路をカーナビゲーション装置などに設定すればよい。