(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168479
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1339 20060101AFI20231116BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20231116BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20231116BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
G02F1/1339 500
G02F1/1333
G02F1/1335 505
G02F1/1368
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023171872
(22)【出願日】2023-10-03
(62)【分割の表示】P 2022184100の分割
【原出願日】2016-08-22
(31)【優先権主張番号】P 2015169163
(32)【優先日】2015-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016119610
(32)【優先日】2016-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】青山 智哉
(72)【発明者】
【氏名】小松 立
(72)【発明者】
【氏名】中村 太紀
(57)【要約】
【課題】視野角特性が向上した表示装置を提供する。隣接画素間の混色が抑制された表示
装置を提供する。
【解決手段】表示装置は、離間して設けられた第1の着色層及び第2の着色層と、これら
の間に位置する構造体を有する構成とする。さらに、構造体は、第1の着色層の下面、ま
たは第2の着色層の下面の高さよりも表示面側に位置する部分を有する構成とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素と、第1の方向に延びた形状を有する第1の着色層と、前記第1の方向に延びた形状を有する第2の着色層と、前記第1の方向に延びた形状を有する複数の第1の構造体と、前記第1の方向と交差する第2の方向に延びた形状を有する複数の第2の構造体と、を有し、
前記複数の画素のそれぞれは、トランジスタと、前記トランジスタと電気的に接続された液晶素子と、を有し、
前記液晶素子の第1の電極としての機能を有する第1の導電層は、前記液晶素子の第2の電極としての機能を有する第2の導電層と、絶縁層を介して重なりを有し、
前記複数の第1の構造体のうちの一の第1の構造体は、前記複数の画素のうちの一の画素が有する前記トランジスタのゲートとしての機能を有する第3の導電層と、平面視において重なりを有し、
前記複数の第1の構造体と前記複数の第2の構造体とは、平面視において互いに間隔を空けて配置されており、
前記一の第1の構造体は、前記第1の着色層と前記第2の着色層との間の領域と平面視において重なりを有し、
前記複数の画素のうちの第1の画素及び第2の画素は、前記第1の着色層と重なりを有し、かつ、隣接して配置されており、
前記複数の第2の構造体のうちの一の第2の構造体は、前記第1の画素が有する前記第1の導電層と、前記第2の画素が有する前記第1の導電層と、の間に配置される領域を有する、
液晶表示装置。
【請求項2】
複数の画素と、第1の方向に延びた形状を有する第1の着色層と、前記第1の方向に延びた形状を有する第2の着色層と、前記第1の方向に延びた形状を有する複数の第1の構造体と、前記第1の方向と交差する第2の方向に延びた形状を有する複数の第2の構造体と、を有し、
前記複数の画素のそれぞれは、トランジスタと、前記トランジスタと電気的に接続された液晶素子と、を有し、
前記液晶素子の画素電極としての機能を有する第1の導電層は、前記液晶素子の共通電極としての機能を有する第2の導電層と、絶縁層を介して重なりを有し、
前記複数の第1の構造体のうちの一の第1の構造体は、前記複数の画素のうちの一の画素が有する前記トランジスタのゲートとしての機能を有する第3の導電層と、平面視において重なりを有し、
前記複数の第1の構造体と前記複数の第2の構造体とは、平面視において互いに間隔を空けて配置されており、
前記一の第1の構造体は、前記第1の着色層と前記第2の着色層との間の領域と平面視において重なりを有し、
前記複数の画素のうちの第1の画素及び第2の画素は、前記第1の着色層と重なりを有し、かつ、隣接して配置されており、
前記複数の第2の構造体のうちの一の第2の構造体は、前記第1の画素が有する前記第1の導電層と、前記第2の画素が有する前記第1の導電層と、の間に配置される領域を有する、
液晶表示装置。
【請求項3】
複数の画素と、第1の方向に延びた形状を有する第1の着色層と、前記第1の方向に延びた形状を有する第2の着色層と、前記第1の方向に延びた形状を有する複数の第1の構造体と、前記第1の方向と交差する第2の方向に延びた形状を有する複数の第2の構造体と、を有し、
前記複数の画素のそれぞれは、トランジスタと、前記トランジスタと電気的に接続された液晶素子と、を有し、
前記液晶素子の第1の電極としての機能を有する第1の導電層は、前記液晶素子の第2の電極としての機能を有する第2の導電層と、絶縁層を介して重なりを有し、
前記複数の第1の構造体及び前記複数の第2の構造体は、前記第2の導電層の上方に配置され、
前記複数の第1の構造体のうちの一の第1の構造体は、前記複数の画素のうちの一の画素が有する前記トランジスタのゲートとしての機能を有する第3の導電層と、平面視において重なりを有し、
前記複数の第1の構造体と前記複数の第2の構造体とは、平面視において互いに間隔を空けて配置されており、
前記一の第1の構造体は、前記第1の着色層と前記第2の着色層との間の領域と平面視において重なりを有し、
前記複数の画素のうちの第1の画素及び第2の画素は、前記第1の着色層と重なりを有し、かつ、隣接して配置されており、
前記複数の第2の構造体のうちの一の第2の構造体は、前記第1の画素が有する前記第1の導電層と、前記第2の画素が有する前記第1の導電層と、の間に配置される領域を有する、
液晶表示装置。
【請求項4】
複数の画素と、第1の方向に延びた形状を有する第1の着色層と、前記第1の方向に延びた形状を有する第2の着色層と、前記第1の方向に延びた形状を有する複数の第1の構造体と、前記第1の方向と交差する第2の方向に延びた形状を有する複数の第2の構造体と、を有し、
前記複数の画素のそれぞれは、トランジスタと、前記トランジスタと電気的に接続された液晶素子と、を有し、
前記液晶素子の画素電極としての機能を有する第1の導電層は、前記液晶素子の共通電極としての機能を有する第2の導電層と、絶縁層を介して重なりを有し、
前記複数の第1の構造体及び前記複数の第2の構造体は、前記第2の導電層の上方に配置され、
前記複数の第1の構造体のうちの一の第1の構造体は、前記複数の画素のうちの一の画素が有する前記トランジスタのゲートとしての機能を有する第3の導電層と、平面視において重なりを有し、
前記複数の第1の構造体と前記複数の第2の構造体とは、平面視において互いに間隔を空けて配置されており、
前記一の第1の構造体は、前記第1の着色層と前記第2の着色層との間の領域と平面視において重なりを有し、
前記複数の画素のうちの第1の画素及び第2の画素は、前記第1の着色層と重なりを有し、かつ、隣接して配置されており、
前記複数の第2の構造体のうちの一の第2の構造体は、前記第1の画素が有する前記第1の導電層と、前記第2の画素が有する前記第1の導電層と、の間に配置される領域を有する、
液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、表示装置に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する本発
明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置
、電子機器、照明装置、入力装置、入出力装置、それらの駆動方法、又はそれらの製造方
法、を一例として挙げることができる。
【0003】
なお、本明細書等において、半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる
装置全般を指す。トランジスタ、半導体回路、演算装置、記憶装置等は半導体装置の一態
様である。また、撮像装置、電気光学装置、発電装置(薄膜太陽電池、有機薄膜太陽電池
等を含む)、及び電子機器は半導体装置を有している場合がある。
【背景技術】
【0004】
有機EL(Electro Luminescence)素子や、液晶素子が適用され
た表示装置が知られている。また、そのほかにも、発光ダイオード(LED:Light
Emitting Diode)等の発光素子を備える発光装置、電気泳動方式などに
より表示を行う電子ペーパなども、表示装置の一例として挙げることができる。
【0005】
有機EL素子の基本的な構成は、一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層を挟持し
たものである。この素子に電圧を印加することにより、発光性の有機化合物から発光を得
ることができる。このような有機EL素子が適用された表示装置は、薄型、軽量、高コン
トラストで且つ低消費電力な表示装置を実現できる。
【0006】
特許文献1には、有機EL素子が適用されたフレキシブルな発光装置が開示されている
。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
表示装置の性能を示す指標の一つに、視野角特性がある。視野角特性が悪い場合には、
表示装置の表示面を斜めから見たときに、輝度の低下や色度の変化が視認されてしまう。
したがって、広い視野角が求められる用途では、表示装置の視野角特性の向上が求められ
る。
【0009】
また、表示装置の高解像度化が求められており、そのため表示装置をより高精細にする
ことが求められている。家庭用のテレビジョン装置等の大型の機器に比べて、例えば携帯
電話、スマートフォン、タブレット端末等の比較的小型の携帯型情報端末機器では、解像
度を高めるために、より精細度を高める必要がある。
【0010】
本発明の一態様は、視野角特性が向上した表示装置を提供することを課題の一とする。
または、隣接画素間の混色が抑制された表示装置を提供することを課題の一とする。また
は、精細度の高い表示装置を提供することを課題の一とする。または、厚さの薄い表示装
置を提供することを課題の一とする。または、製造しやすい表示装置を提供することを課
題の一とする。または、消費電力が低減した表示装置を提供することを課題の一とする。
または、信頼性の高い表示装置を提供することを課題の一とする。
【0011】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。本発明の一態様
は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。また、上記以外の課題は、明
細書等の記載から抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、第1の着色層と、第2の着色層と、構造体と、を有する表示装置で
ある。第1の着色層と第2の着色層とは、離間して設けられる。構造体は、第1の着色層
と第2の着色層との間に位置し、且つ、第1の着色層の下面、または第2の着色層の下面
の高さよりも表示面側に位置する部分を有する。
【0013】
また、上記において、第1の着色層の厚さと、第2の着色層の厚さが異なることが好ま
しい。
【0014】
また、上記第1の着色層と重なる第1の電極を有し、第1の電極と第1の着色層の間に
、第2の電極を有することが好ましい。このとき、第1の電極と第2の電極の間に、発光
性の物質を含む層を有し、第2の電極と第1の着色層との間の距離が、0μm以上20μ
m以下の領域を有することが好ましい。
【0015】
また、上記第1の電極の端部を覆う絶縁層を有し、構造体は、絶縁層上に形成されてい
ることが好ましい。このとき、第2の電極は、構造体の上面を覆う部分を有することが好
ましい。
【0016】
また、上記発光性の物質を含む層は、構造体と第2の電極の間に位置する部分を有する
ことが好ましい。また、構造体は、その断面において、その側面と底面が成す角が25度
以上155度以下である部分を有することが好ましい。
【0017】
また、上記発光性の物質を含む層は、構造体と第2の電極の間に位置し、且つ、第1の
電極と重なる部分の厚さよりも薄い部分を有することが好ましい。
【0018】
また上記本発明の一態様の表示装置は、第1の着色層と重なる第3の電極を有し、第3
の電極と第1の着色層の間に、液晶を有する構成とすることもできる。
【0019】
また、上記第3の電極と液晶の間にスリットを有する第4の電極を有することが好まし
い。このとき、第4の電極と第1の着色層との間の距離が、1μm以上20μm以下の領
域を有することが好ましい。
【0020】
または、上記第3の電極と第1の着色層の間に第5の電極を有し、液晶は、第3の電極
と第5の電極の間に位置することが好ましい。このとき、第3の電極と第1の着色層との
間の距離が、1μm以上20μm以下の領域を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様によれば、視野角特性が向上した表示装置を提供できる。または、隣接
画素間の混色が抑制された表示装置を提供できる。または、精細度の高い表示装置を提供
できる。または、厚さの薄い表示装置を提供できる。または、製造しやすい表示装置を提
供できる。または、消費電力が低減した表示装置を提供できる。または、信頼性の高い表
示装置を提供できる。
【0022】
なお、本発明の一態様は、必ずしもこれらの効果の全てを有する必要はない。なお、こ
れら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図19】実施の形態に係る、入力装置の駆動方法例を説明する図。
【
図20】実施の形態に係る、トランジスタの構成例。
【
図21】実施の形態に係る、トランジスタの構成例。
【
図22】実施の形態に係る、トランジスタの構成例。
【
図23】実施の形態に係る、表示モジュールを説明する図。
【
図24】実施の形態に係る、電子機器を説明する図。
【
図25】実施の形態に係る、電子機器を説明する図。
【
図26】実施の形態に係る、電子機器を説明する図。
【
図27】実施の形態に係る、電子機器を説明する図。
【
図28】実施の形態に係る、電子機器を説明する図。
【
図30】試料のXRDスペクトルの測定結果を説明する図。
【
図31】試料のTEM像、および電子線回折パターンを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定
されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更
し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態
の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0025】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には
同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様
の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0026】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、
明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されな
い。
【0027】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避ける
ために付すものであり、数的に限定するものではない。
【0028】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置の構成例について説明する。
【0029】
本発明の一態様の表示装置は、複数の画素を有するものである。各画素は表示素子と、
表示素子からの光を着色する着色層を有する。表示素子が有する電極の一つ(例えば画素
電極)と、着色層は、互いに対向して設けることができる。また、隣接する画素間におい
て、着色層は離間して配置されている。
【0030】
また、隣接する画素間において、2つの着色層の間に位置する構造体を有する。構造体
は、例えばそれぞれ異なる色に対応する2つの画素間に配置することができる。
【0031】
表示装置は、例えば一対の基板の間に表示素子、着色層、及び構造体が挟持された構成
とすることができる。例えば一方の基板には表示素子の電極等が設けられ、他方の基板に
は、着色層等が設けられ、これらが接着層等により貼り合わされた構成とすることができ
る。ここで、構造体はどちらの基板側に形成されていてもよい。
【0032】
構造体は、一対の基板が必要以上に接近することを抑制するスペーサとしての機能を有
していてもよい。また構造体は、隣接画素の混色を抑制する機能を有していてもよい。例
えば表示素子にEL素子を適用した場合において、隣接するEL素子間のリーク電流を抑
制することで、隣接画素間の混色を抑制する機能を、構造体が有していてもよい。
【0033】
また、構造体の一部が、着色層の表示素子側の面(下面)よりも上側、すなわち表示面
側に位置するような構成とすることが好ましい。言い換えると、離間した2つの着色層の
間に、構造体が嵌合するように配置された構成とすることが好ましい。ただし、着色層と
構造体とは接している必要はなく、これらの間に空間や、接着層などが介在していてもよ
い。
【0034】
このような構成とすることで、一対の基板の距離を極めて小さくすることができる。ま
た表示素子と着色層との距離、より具体的には、表示素子が有する一対の電極の少なくと
も一方と着色層との距離を、限りなく近づけることが可能となる。これにより、視野角特
性を向上させることができる。また表示素子からの光のうち、斜め方向に射出される光も
効率的に取り出すことができるため、消費電力も低減することができる。また厚さの薄い
表示装置を実現できる。
【0035】
表示素子としては、LEDやOLED(Organic Light Emittin
g Diode)、またはQLED(Quantum-dot Light Emitt
ing Diode)等の発光素子や、液晶素子等の光学素子など、電流又は電圧によっ
て素子が発する光、または素子を介して射出される光の輝度が制御される素子を用いるこ
とができる。
【0036】
そのほかにも、表示素子としてMEMS(Micro Electro Mechan
ical Systems)素子や、電子放出素子、そのほかの光学素子などを用いるこ
とができる。MEMSを用いた表示素子としては、シャッター方式のMEMS表示素子、
光干渉方式のMEMS表示素子などが挙げられる。電子放出素子としては、カーボンナノ
チューブを用いてもよい。また、そのほかの光学素子として、マイクロカプセル方式、電
気泳動方式、エレクトロウェッティング方式、電子粉流体(登録商標)方式等を適用した
素子を用いることができる。
【0037】
以下では、より具体的な構成例について、図面を参照して説明する。
【0038】
[構成例1]
図1(A)は、本発明の一態様の表示装置10の斜視概略図である。表示装置10は、
基板21と基板31とが貼り合わされた構成を有する。
図1(A)では、基板31を破線
で明示している。
【0039】
表示装置10は、表示部32、回路34、配線35等を有する。基板21には、例えば
回路34、配線35、及び表示部32に含まれ、画素電極として機能する導電層23等が
設けられる。また
図1(A)では基板21上にIC43とFPC42が実装されている例
を示している。
【0040】
回路34は、例えば走査線駆動回路として機能する回路を用いることができる。
【0041】
配線35は、表示部32や回路34に信号や電力を供給する機能を有する。当該信号や
電力は、FPC42を介して外部から、またはIC43から、配線35に入力される。
【0042】
また、
図1(A)では、COG(Chip On Glass)方式等により、基板2
1にIC43が設けられている例を示している。IC43は、例えば走査線駆動回路、ま
たは信号線駆動回路などとしての機能を有するICを適用できる。なお表示装置10が走
査線駆動回路及び信号線駆動回路として機能する回路を備える場合や、走査線駆動回路や
信号線駆動回路として機能する回路を外部に設け、FPC42を介して表示装置10を駆
動するための信号を入力する場合などでは、IC43を設けない構成としてもよい。また
、IC43を、COF(Chip On Film)方式等により、FPC42に実装し
てもよい。
【0043】
図1(A)には、表示部32の一部の拡大図を示している。表示部32には、複数の表
示素子が有する導電層23がマトリクス状に配置されている。導電層23は、例えば画素
電極として機能する。また、隣接する2つの導電層23の間に、構造体11が配置されて
いる。ここで構造体11は、異なる色に対応する2つの画素が有する2つの導電層23の
間に配置されていることが好ましい。また、構造体11は同じ色に対応する2つの画素が
有する導電層23の間に配置されていてもよい。
【0044】
[断面構成例1]
〔断面構成例1-1〕
図1(B)に、
図1(A)中の切断線A1-A2に対応する断面の一例を示す。
図1(
B)には、隣接する2つの画素(副画素)を含む領域の断面を示している。またここでは
、表示素子として、トップエミッション構造の発光素子40を適用した場合の例を示して
いる。したがって、基板31側が表示面側となる。
【0045】
表示装置10は、基板21と基板31とが接着層39で貼り合わされた構成を有してい
る。発光素子40は、接着層39によって封止されているともいえる。
【0046】
基板21上には、トランジスタ70、発光素子40、構造体11等が設けられている。
また基板21上には、絶縁層73、絶縁層81、絶縁層82等が設けられている。一方、
基板31の基板21と対向する面側には、着色層51a、着色層51b、及び遮光層52
等が設けられている。
【0047】
着色層51aと着色層51bは、それぞれ離間して設けられている。遮光層52は、着
色層51aと着色層51bの間に設けられている。ここで、
図1(B)に示すように、遮
光層52と着色層51aは、これらの一部が重畳するように配置されていることが好まし
い。また遮光層52と着色層51bも同様である。
【0048】
トランジスタ70は、ゲートとして機能する導電層71、半導体層72、ゲート絶縁層
として機能する絶縁層73、ソース又はドレインの一方として機能する導電層74a、ソ
ース又はドレインの他方として機能する導電層74b等を有する。
【0049】
トランジスタ70を覆って絶縁層81が設けられている。また絶縁層81上に導電層2
3が設けられている。導電層23と導電層74bとは、絶縁層81に設けられた開口を介
して電気的に接続している。導電層23の一部は画素電極として機能する。
【0050】
導電層23の端部を覆って絶縁層82が設けられている。絶縁層82はテーパ形状を有
していることが好ましい。
【0051】
構造体11は、絶縁層82上に設けられている。構造体11は、平面視において隣接す
る2つの発光素子40の間に位置する。また構造体11は、平面視において隣接する2つ
の着色層(着色層51a及び着色層51b)の間に位置する部分を有する。また構造体1
1は、平面視において遮光層52の一部と重なるように配置されていることが好ましい。
【0052】
導電層23上には、EL層24、及び導電層25が設けられ、発光素子40を構成して
いる。導電層25の一部は、発光素子40の共通電極として機能する。発光素子40は、
導電層23と導電層25に電位差を生じさせ、EL層24に電流を流すことにより発光す
る。
【0053】
図1(B)では、EL層24と導電層25を、複数の画素に亘って形成した場合の例を
示している。EL層24は、導電層23の露出した部分以外に、絶縁層82、及び構造体
11を覆って設けられている。また、導電層25は、EL層24を覆って設けられている
。
【0054】
図1(B)において、構造体11は、着色層51a及び着色層51bの発光素子40側
の面(下面)よりも上側に位置する部分を有する。これにより、着色層51aと着色層5
1bの間に構造体11が嵌合するように配置された構成とすることができる。このとき、
着色層51a、着色層51b、または遮光層52と、構造体11(または構造体11を覆
って設けられる導電層25の表面)とは必ずしも接して設けられる必要はなく、
図1(B
)に示すように、これらの間に接着層39が設けられていてもよい。
【0055】
このような構成とすることで、基板21と基板31の距離を極めて小さいものとするこ
とができる。発光素子40からの光が遮光層52の開口を介して射出される際に、遮光層
52と発光素子40の距離が近いほど、より広い角度で光を射出することが可能となる。
したがって、視野角特性が向上した表示装置を実現できる。
【0056】
また、発光素子40と着色層51aとの距離を極めて近いものとすることが可能となる
。したがって発光素子40が表示面側に発する光のほとんどが着色層51aに入射するこ
ととなる。このとき、発光素子40から隣接する画素の着色層(例えば着色層51b)に
向かって斜め方向に射出される光があった場合、当該光はまず着色層51aによって特定
の色以外の光が吸収されるため、着色層51bを介して外に射出されることが無くなる。
そのため隣接画素間での混色が極めて低減され、表示面を斜め方向から見たときの色度の
変化を抑制することができる。
【0057】
比較として、
図2(A)には、隣接する2つの画素間で、着色層を重ねて配置すること
で隣接画素間の混色を抑制した場合の例を示している。
図2(A)では、着色層51a、
着色層51bに加えて着色層51cの一部を明示している。また
図2(B)には、
図2(
A)において構造体11を設けずに、基板31と基板21の距離を小さくした場合の例を
示している。
【0058】
図2(A)、(B)に示す構成では、2つの着色層が重なった部分を隣接画素間に設け
ることで、隣接画素間の混色を抑制することができる。しかしながら、基板21と基板3
1の距離は、2つの着色層が重なった部分の厚さによって制限され、着色層を重ねない構
成に比べて基板間の距離を十分に小さくすることが困難となる。一方、
図1(B)で例示
した構成では、着色層を離間して設け、構造体11をその間に嵌合するように配置するこ
とで混色を抑制するため、基板間の距離を極めて小さいものとすることができる。したが
って、
図2(A)、(B)で例示した構成に比べて、
図1(B)で例示した構成では、斜
め方向から見たときの輝度の変化を効果的に低減することができる。
【0059】
構造体11は、基板21と基板31が必要以上に接近することを抑制するためのスペー
サとしての機能を有していてもよい。そのため、構造体11の表面、または構造体11を
覆う層(導電層25など)の表面が、遮光層52などの基板31に設けられた構造物と接
していてもよい。
【0060】
また、構造体11が可視光の少なくとも一部を吸収する機能を有していてもよい。これ
により、構造体11を介して隣接する画素の着色層に向かって斜め方向に射出される光の
一部を吸収し、隣接画素間における混色をより効果的に抑制することができる。構造体1
1に、着色層51aまたは着色層51bや、遮光層52と同様の材料を用いてもよい。
【0061】
なお、ここでは、表示装置10が能動素子としてトランジスタ70等を有するアクティ
ブマトリクス型の表示装置の場合について説明するが、能動素子を有さないパッシブマト
リクス型の表示装置とすることもできる。その場合、トランジスタ70を設けずに、例え
ば導電層23と基板21の間に位置する要素を省略した構成とすることができる。
【0062】
図3(A)は、
図1(B)中の一点鎖線で囲った領域の拡大図を示す。
【0063】
図3(A)に示すように、構造体11の最も高い(厚い)部分の高さを高さh1とする
。また着色層51aの下面の最も低い部分の高さを高さh2とする。また構造体11上の
導電層25の最も高い部分の高さを高さh3とする。また着色層51aの上面の最も高い
部分の高さを高さh4とする。高さh4は、着色層51aの被形成面の高さと言い換える
こともできる。また導電層23の上面の高さを高さh5とする。また導電層23と重なる
部分における、導電層25の上面の高さを高さh6とする。ここで、ある部分の高さは、
例えば基板21表面からの距離などと言い換えることもできる。
【0064】
ここで、
図3(A)に示すように、構造体11の高さh1が、着色層51aの下面の高
さh2よりも高くなるように、構造体11を形成する。またこの時、構造体11上の導電
層25の上面の高さh3も同様に、高さh2よりも高くなるように、導電層25を形成す
る。ここで、導電層25の上面の一部と遮光層52の下面の一部が接していてもよい。
【0065】
基板21の表面に垂直な方向における、導電層25の上面と着色層51aの下面の間の
距離を距離d1とする。すなわち距離d1は、高さh2から高さh6を引いた値に等しい
。距離d1が小さければ小さいほど、隣接画素間での混色を低減することができる。距離
d1は、例えば0μm以上20μm以下、好ましくは0μm以上10μm以下、より好ま
しくは0μm以上5μm以下とすることができる。距離d1が0μmのとき、導電層25
と着色層51aが接していることを意味する。
【0066】
また基板21の表面に垂直な方向における、導電層25の上面と着色層51aの被形成
面の間の距離を距離d2とする。すなわち距離d2は、高さh4から高さh6を引いた値
に等しく、また距離d1に着色層51aの厚さを足した値に等しい。距離d2が小さいほ
ど、表示面を斜め方向から見たときの輝度の低下を抑制することができる。着色層51a
の厚さは、例えば100nm以上5μm以下、好ましくは200nm以上4μm以下、よ
り好ましくは500nm以上3μm以下とすればよい。
【0067】
ここで、AとBの距離がx以上y以下であると言う場合、観察した範囲内において、A
とBの間隔がx以上y以下の範囲に収まる部分を有していればよい。
【0068】
基板21の表面に垂直な方向における、導電層23の上面と着色層51aの下面の間の
距離を距離d3とする。すなわち距離d3は、高さh2から高さh5を引いた値に等しく
、また距離d1にEL層24と導電層25の各々の厚さを足した値に等しい。なおマイク
ロキャビティ構造を実現するための光学調整層を設ける場合には、当該光学調整層の厚さ
はEL層24の厚さに含まれるものとする。距離d3が小さいほど、隣接画素間での混色
を低減することができる。EL層24の厚さは、発光素子40の構成や形成方法に応じて
最適なものとすればよいが、例えば20nm以上1μm以下の厚さとすることができる。
また、導電層25の厚さは、その材料や必要な抵抗値の値に応じて最適なものとすればよ
いが、例えば0.3nm以上1μm以下の厚さとすることができる。
【0069】
導電層23の上面と着色層51aの下面の間の距離d3は、例えば20nm以上22μ
m以下、好ましくは20nm以上20μm以下、より好ましくは20nm以上10μm以
下、さらに好ましくは20nm以上5μm以下とすることができる。
【0070】
また基板21の表面に垂直な方向における、導電層23の上面と着色層51aの被形成
面の間の距離を距離d4とする。すなわち距離d4は、高さh4から高さh5を引いた値
に等しく、また距離d3に着色層51aの厚さを足した値に等しい。距離d4が小さいほ
ど、表示面を斜め方向から見たときの輝度の低下を抑制することができる。
【0071】
続いて、構造体11の形状について説明する。
図3(A)中に示すように、構造体11
のテーパ角をテーパ角θとする。ここで、構造体11のテーパ角とは、構造体11の端部
における、その底面(被形成面と接する面)と、その側面の角度を言う。テーパ角は、0
度より大きく、180度未満である。ここで、テーパ角が90度以下の場合を順テーパ、
90度よりも大きい場合を逆テーパと呼ぶことがある。
【0072】
構造体11のテーパ角θは、25度以上155度以下、好ましくは30度以上150度
以下、より好ましくは、35度以上145度以下とすることが好ましい。
【0073】
ここで、
図1(B)や
図3(A)に示すように、EL層24を複数の画素に亘って形成
した場合、EL層24が導電性の高い層を有すると、当該導電性の高い層を介して隣接画
素の発光素子40に電流が流れてしまう場合がある。または、EL層24がドナー性の物
質とアクセプタ性の物質の両方を含む層を有する場合も同様である。その結果、本来発光
しない隣接の画素の発光素子40が発光することにより、色再現性が低下してしまうとい
った問題がある。このような現象をクロストークとも呼ぶことができる。
【0074】
構造体11のテーパ角θを上述の範囲とすることで、構造体11を覆って形成されるE
L層24に、部分的に薄い箇所を形成することができる。特にEL層24の構造体11の
側面を覆う部分を、構造体11の上面を覆う部分や、導電層23上の部分よりも薄く形成
することができる。特に構造体11が逆テーパ形状である場合には、EL層24を分断す
ることもできる。このような構造体11を設けることにより、EL層24が導電性の高い
層や、ドナー性の物質とアクセプタ性の物質の両方を含む層を有していた場合であっても
、当該層を介して隣接画素に流れてしまう電流を低減できるため、クロストークを抑制す
ることができる。
【0075】
図3(B)、(C)、(D)には、構造体11と、構造体11を覆って設けられたEL
層24及び導電層25の断面の例を示している。
【0076】
図3(B)に示す構造体11は順テーパ構造を有し、EL層24の構造体11の端部を
覆う部分が薄くなっている様子を示している。
【0077】
図3(C)に示す構造体11は逆テーパ形状を有し、EL層24の構造体11の端部を
覆う部分が薄くなっている様子を示している。
【0078】
図3(D)では、構造体11の端部が連続した曲率を有し、EL層24の構造体11の
端部を覆う部分が薄くなっている様子を示している。
図3(D)に示すように構造体11
の端部が連続した曲率を有している場合、構造体11の側面において、最も構造体11の
底面との角度が大きい角度を、構造体11のテーパ角θとみなすことができる。
【0079】
なお、絶縁層82と構造体11に適用する材料によっては、断面観察においてこれらの
境界を判別することが難しい場合がある。また、絶縁層82と構造体11に同一の材料を
用いた場合や、ハーフトーンマスクやグレートーンマスク等を用いた露光技術、または多
重露光技術などを用い、同一の膜から絶縁層82と構造体11を形成した場合などでは、
これらの境界が実質的に存在しない場合がある。その場合には、上方に突出した部分を構
造体11とし、それ以外の部分を絶縁層82とみなすことができる。
図3(D)では一例
として、絶縁層82と構造体11の界面が存在しない場合の例を示しており、これらの境
界とみなすことのできる線の例を破線で示している。
【0080】
また、構造体11が逆テーパ形状の場合、
図3(E)に示すように、構造体11を覆う
EL層24が構造体11の側面近傍で分断される場合がある。この時、構造体11を覆う
導電層25は、構造体11の側面近傍で薄膜化してもよいが、分断されることなく形成さ
れていることが好ましい。これにより、構造体11の側面近傍においてもEL層24が露
出することなく、導電層25で覆うことができるため、信頼性を向上させることができる
。
【0081】
以上が断面構成例1-1についての説明である。
【0082】
以下では、上記断面構成例1-1とは構成の一部が異なる例について説明する。
【0083】
〔断面構成例1-2〕
図4(A)には、
図1(B)と比較し、着色層51bの厚さが着色層51aよりも薄い
場合の例を示している。
【0084】
着色層51aの下面は、構造体11の上面よりも低く位置し、着色層51bの下面は、
構造体11の上面よりも高く位置している。このように、画素によって着色層の厚さが異
なる場合では、構造体11は少なくとも一つの着色層の下面よりも上側に位置する部分を
有していればよい。
【0085】
〔断面構成例1-3〕
図4(B)には、
図1(B)と比較し、EL層24を画素毎に作り分けた場合の例を示
している。
図4(B)に示す構成では、着色層51aと重なる部分にEL層24aが設け
られ、着色層51bと重なる部分にEL層24bが設けられている。EL層24aとEL
層24bは、互いに異なる色の発光を呈する発光性の物質を含む層を有している。また導
電層25は、隣接画素間に亘って設けられ、その一部が構造体11を覆って設けられてい
る。なお、EL層24a及びEL層24bは、隣接する同色の画素間では分断されずに形
成されていてもよい。
【0086】
このように、EL層を作り分けた場合であっても、さらに着色層を有することで極めて
色再現性が高められた表示装置とすることができる。
【0087】
またこのとき、構造体11は、EL層24a及びEL層24bを成膜する際に用いるマ
スク(メタルマスク)が、EL層24aまたはEL層24bの被形成面に接することを防
ぐスペーサとしての機能を有していていもよい。
【0088】
〔断面構成例1-4〕
図4(C)には、EL層24及び導電層25を画素毎に作り分けた場合の例を示してい
る。
【0089】
ここで
図4(C)では、構造体11の表面に撥液性を有する部分11aを有する場合の
例を示している。これにより、EL層24や導電層25をインクジェット法、ディスペン
ス法、またはスクリーン印刷などの液状の材料を用いて形成する方法を用いた場合に、構
造体11を越えて隣接画素にEL層24や導電層25の材料が広がってしまうことを抑制
できる。その結果、
図4(C)に示すように、EL層24及び導電層25は、2つの構造
体11の内側に位置するように設けられる。
【0090】
なお、ここではEL層24と導電層25の両方を画素毎に作り分けた例を示したが、導
電層25を蒸着法やスパッタリング法などにより、隣接する画素に亘って形成してもよい
。
【0091】
またEL層24は、隣接する同色の画素間では分断されずに形成されていてもよい。ま
た導電層25は、
図4(C)の奥行き方向において、隣接画素間で分断されずに形成され
ていることが好ましい。
【0092】
〔断面構成例1-5〕
図5(A)には、構造体11上の導電層25と遮光層52が接している例を示している
。表示部32内に、部分的に導電層25の一部と遮光層52が接していてもよいし、表示
部32の全域において、これらが接していてもよい。表示部32の全域でこれらが接して
いると、基板31と基板21の距離にばらつきが生じにくくなるため表示ムラが低減でき
る。
【0093】
〔断面構成例1-6〕
図5(B)は、遮光層52が着色層51aの端部を覆って設けられている例を示してい
る。このような構成とすることで、着色層51aを通って隣接画素に向かって進行する光
を効果的に抑制できる。
【0094】
〔断面構成例1-7〕
図5(C)は、トランジスタ70に代えて、単結晶基板91の一部を半導体層に用いた
トランジスタ90を適用した場合の例を示している。
【0095】
図5(C)に示すトランジスタ90は、チャネル領域92、ソース又はドレインの一方
として機能する低抵抗領域94a、ソース又はドレインの他方として機能する低抵抗領域
94b、ゲート絶縁層として機能する絶縁層73、ゲートとして機能する導電層71等を
有している。チャネル領域92、低抵抗領域94a及び低抵抗領域94bは、単結晶基板
91に形成されている。また単結晶基板91には、素子を分離するための分離層97が設
けられている。
【0096】
またトランジスタ90を覆って絶縁層81a、絶縁層81b、及び絶縁層81cが設け
られている。また絶縁層81a上に導電層96を有し、導電層96と低抵抗領域94aま
たは低抵抗領域94bとは、絶縁層81aに埋め込まれた接続層95aを介して接続して
いる。また絶縁層81c上に導電層23を有し、導電層23と導電層96とは、絶縁層8
1cに埋め込まれた接続層95bを介して接続している。また導電層96は絶縁層81b
に埋め込まれるように形成され、これらの表面が平坦化されている。
【0097】
このような構成とすることで、単結晶基板91上に微細な画素を形成できるため、極め
て高精細な表示装置を実現できる。
【0098】
〔断面構成例1-8〕
図6(A)には、構造体11が基板31側に設けられた場合の例を示している。
【0099】
図6(A)に示す構造体11は、その下面の高さが、着色層51a及び着色層51bの
下面の高さよりも基板31側に位置するように設けられている。
【0100】
また、着色層51a及び着色層51bは、絶縁層82の開口よりも内側に位置するよう
に設けられていることが好ましい。これにより、着色層51a及び着色層51bと、発光
素子40との距離をより小さくすることができる。
【0101】
また、構造体11は、絶縁層82と重なる位置に設けられている。構造体11と導電層
25とは接していてもよいし、これらの間に接着層39が位置していていもよい。
【0102】
〔断面構成例1-9〕
図6(B)には、
図6(A)と比較し、EL層24を画素毎に作り分けた場合の例を示
している。EL層24aは着色層51aと重ねて設けられ、EL層24bは着色層51b
と重ねて設けられている。また導電層25は、隣接する画素に亘って設けられている。
【0103】
また
図6(B)では、絶縁層82と重なる領域において、構造体11の一部と導電層2
5の一部が接している場合の例を示している。
【0104】
〔断面構成例1-10〕
図6(C)には、EL層24及び導電層25を画素毎に作り分けた場合の例を示してい
る。
【0105】
またここでは、絶縁層82の表面に撥液性を有する部分82aを有し、EL層24a、
EL層24b及び導電層25が絶縁層82の開口の内側に位置している場合の例を示して
いる。
【0106】
また、
図6(C)では構造体11の一部と絶縁層82の一部が接して設けられている例
を示している。
【0107】
〔断面構成例1-11〕
図7(A)は、表示素子に液晶素子60を適用した場合の例を示している。液晶素子6
0は、導電層61と、液晶62と、導電層63を有する。
図7(A)に示す液晶素子60
は、VA(Vertical Alignment)モードが適用された透過型の液晶素
子である。
【0108】
絶縁層81上に、導電層61が設けられている。導電層61は絶縁層81の開口を介し
てトランジスタ70の導電層74aと電気的に接続している。
【0109】
基板31側において、着色層51a、着色層51b、及び遮光層52を覆って絶縁層6
4が設けられている。絶縁層64は、着色層51a、着色層51bまたは遮光層52に含
まれる不純物が液晶62に拡散することを抑制する機能を有していてもよい。
【0110】
導電層63は、絶縁層64を覆って設けられている。液晶素子60は、導電層61と導
電層63の間に液晶62が挟持された構造を有している。
【0111】
ここで、絶縁層64は着色層51aと着色層51bの間において、その上面が着色層5
1aの下面よりも上側(基板31側)に位置する部分を有することが好ましい。すなわち
、絶縁層64の表面は、着色層51aと着色層51bの間の領域で凹んだ部分を有するこ
とが好ましい。また、基板21側に配置された構造体11は、絶縁層64の凹部に嵌合す
るように配置されている。このような構成により、基板21側に配置された構造体11を
、隣接する2つの着色層の間に嵌合するように配置することができる。したがって、絶縁
層64の表面が平坦な場合に比べて、基板21と基板31との距離を小さくすることが可
能であり、視野角特性を向上させることができる。
【0112】
構造体11は、基板21と基板31の距離を所定の距離に保つためのスペーサとして機
能する。構造体11により、液晶素子60における導電層61と導電層63の距離を最適
な距離に制御することができる。
【0113】
なお、ここでは図示しないが、導電層61と液晶62の間、及び導電層63と液晶62
の間には、液晶62の配向を制御する配向膜が設けられていてもよい。
【0114】
ここで、導電層61の上面と、着色層51a等の下面の間の距離が、
図3(A)で例示
した距離d3に対応する。当該距離は、液晶素子60の構成によって最適なものとすれば
よいが、例えば1μm以上20μm以下、好ましくは1.5μm以上10μm以下、より
好ましくは2μm以上5μm以下とすることができる。
【0115】
〔断面構成例1-12〕
図7(B)には、表示素子にFFS(Fringe Field Switching
)モードが適用された液晶素子60を用いた場合の例を示している。液晶素子60を構成
する導電層61及び導電層63は、いずれも基板21側に設けられている。
【0116】
絶縁層81上に導電層61が設けられ、導電層61を覆って絶縁層65が設けられてい
る。また絶縁層65上に、導電層63が設けられている。導電層63は、櫛状の上面形状
、または1以上の開口部(スリット)が設けられた上面形状を有する。
【0117】
導電層61はトランジスタ70と電気的に接続され、画素電極として機能する。また絶
縁層65を介して導電層61上に設けられる導電層63は、共通電極として機能する。な
お、導電層63を絶縁層65及び絶縁層81に設けられた開口を介してトランジスタ70
の導電層74aと電気的に接続させ、画素電極として機能させてもよい。このとき導電層
61を隣接画素間に亘って設け、共通電極として用いることができる。
【0118】
図7(A)、(B)において、導電層61に可視光を透過する材料を用いることで透過
型の液晶素子とすることができる。また導電層61及び導電層63の両方に、可視光を透
過する導電性材料を用いると、開口率をより高めることができるため好ましい。
【0119】
なお、反射型の液晶素子とする場合には、導電層61及び導電層63のいずれか、また
は両方に、可視光を反射する材料を用いればよい。これらの両方に可視光を反射する材料
を用いると開口率を高めることができる。また、導電層61及び導電層63の一方に可視
光を反射する材料を用い、他方に可視光を透過する材料を用いてもよい。
【0120】
または、導電層61に可視光を反射する材料を用い、導電層63に可視光を透過する材
料を用いることで、半透過型の液晶素子を実現してもよい。このとき、導電層61で反射
した光を用いる反射モードと、導電層61に設けられたスリットを介して透過するバック
ライトからの光を用いる透過モードと、を切り替えることができる。
【0121】
また、
図7(A)、(B)には示さないが、基板21の外側または基板31の外側にバ
ックライトを配置することができる。また基板21の外側と基板31の外側に、それぞれ
偏光板を配置することができる。
【0122】
ここで、導電層63の上面と、着色層51a等の下面の間の距離が、
図3(A)で例示
した距離d3に対応する。当該距離は、液晶素子60の構成によって最適なものとすれば
よいが、例えば1μm以上20μm以下、好ましくは1.5μm以上10μm以下、より
好ましくは2μm以上5μm以下とすることができる。
【0123】
[構造体の配置方法例]
図8(A)~(F)に、表示部32の一部を表示面側から見たときの拡大図を示す。こ
こでは、最も表示面側に遮光層52を有し、その下部に着色層51a、着色層51b、及
び着色層51cが設けられ、それよりも下部に導電層23及び構造体11が設けられてい
る例を示している。構造体11及び導電層23等は破線で示している。
【0124】
図8(A)乃至(D)では、着色層51a、着色層51b、及び着色層51c並びに遮
光層52がそれぞれストライプ状に配置されている例を示している。遮光層52と各着色
層とは、互いに重なる部分を有する。
【0125】
図8(A)は島状の構造体11が、2つの導電層23の間に配置されている例を示して
いる。構造体11は遮光層52と重ねて配置されている。
【0126】
図8(A)は、構造体11が、導電層23の長手方向の長さよりも長い例である。
図8
(B)は、構造体11が、導電層23の長手方向の長さよりも短い例である。
図8(C)
は、構造体11が、ドット状の形状を有している場合の例である。
図8(D)は、構造体
11が、遮光層52等と同様にストライプ状に配置されている場合の例である。
【0127】
図8(E)、(F)には、遮光層52が格子状の形状を有する場合の例を示している。
またここでは着色層51a、着色層51b、及び着色層51cがそれぞれ導電層23と重
なる島状の形状を有している。
【0128】
図8(E)では、島状の構造体11が、導電層23の四辺に沿ってそれぞれ設けられて
いる例を示している。また、
図8(F)では、構造体11が格子状の形状を有している例
を示している。
【0129】
なお、構造体11の形状、及び配置位置は上記に限られず、隣接する2つの着色層の間
に位置するように配置することができる。
【0130】
[断面構成例2]
以下では、本発明の一態様の表示装置10のより詳細な断面構成の例について説明する
。ここでは特に、表示素子にトップエミッション型の発光素子を適用した場合について説
明する。
【0131】
〔断面構成例2-1〕
図9は、表示装置10の断面概略図である。
図9では、
図1(A)におけるFPC42
を含む領域、回路34を含む領域、表示部32を含む領域などの断面の一例を示している
。また
図9には表示部32として、トランジスタ等を含む領域の断面と、隣接画素間の領
域の断面を並べて示している。
【0132】
基板21と基板31とは、接着層141によって貼り合わされている。また接着層14
1の一部は、発光素子40を封止する機能を有する。また基板31の外側の面には偏光板
130を有することが好ましい。
【0133】
基板21には、発光素子40、トランジスタ201、トランジスタ202、トランジス
タ205、容量素子203、端子部204、配線35、構造体11等が設けられている。
また基板31側には、着色層131a、着色層131b、遮光層132等が設けられてい
る。発光素子40は、導電層111、EL層112及び導電層113が積層された構造を
有している。導電層111の一部は画素電極として機能し、導電層113の一部は共通電
極として機能する。発光素子40は、基板31側に光を発するトップエミッション型の発
光素子である。
【0134】
図9では、表示部32の例として、1つの副画素を含む断面を示している。例えば副画
素は、トランジスタ202と、容量素子203と、トランジスタ205と、発光素子40
と、着色層131aを有する。例えば、トランジスタ202はスイッチング用のトランジ
スタ(選択トランジスタ)であり、トランジスタ205は発光素子40に流れる電流を制
御するためのトランジスタ(駆動トランジスタ)である。
【0135】
また
図9では、回路34の例として、トランジスタ201を含む断面を示している。
【0136】
着色層131aや着色層131b等には異なる色を透過する材料を用いることができる
。赤色を呈する副画素、緑色を呈する副画素、青色を呈する副画素を配列することで、フ
ルカラーの表示を行うことができる。
【0137】
基板21上には、絶縁層211、絶縁層212、絶縁層213、絶縁層214、絶縁層
215、絶縁層216等の絶縁層が設けられている。絶縁層211は、その一部がトラン
ジスタのゲート絶縁層として機能し、他の一部が容量素子203の誘電体として機能する
。絶縁層212、絶縁層213、及び絶縁層214は、各トランジスタや容量素子203
等を覆って設けられている。絶縁層214は、平坦化層としての機能を有する。なお、こ
こではトランジスタ等を覆う絶縁層として、絶縁層212、絶縁層213、絶縁層214
の3層を有する場合を示しているが、これに限られず4層以上であってもよいし、単層、
または2層であってもよい。また平坦化層として機能する絶縁層214は、不要であれば
設けなくてもよい。絶縁層215は、導電層224を覆って設けられている。絶縁層21
5は平坦化層としての機能を有していてもよい。絶縁層216は、導電層111の端部や
、導電層111と導電層224とを電気的に接続するコンタクト部等を覆って設けられて
いる。絶縁層216は、平坦化層としての機能を有する。
【0138】
また、絶縁層216上に、構造体11が設けられている。
図9に示すように、着色層1
31aの下面よりも高い位置に、構造体11の一部が設けられている。
【0139】
また、トランジスタ201、トランジスタ202、及びトランジスタ205は、一部が
ゲート電極として機能する導電層221、一部がソース電極またはドレイン電極として機
能する導電層222、半導体層231を有する。ここでは、同一の導電膜を加工して得ら
れる複数の層に同じハッチングパターンを付している。
【0140】
図9では、容量素子203が、トランジスタ205のゲート電極として機能する導電層
221の一部と、絶縁層211の一部と、トランジスタ205のソース電極またはドレイ
ン電極として機能する導電層222の一部により構成されている例を示している。
【0141】
トランジスタ202の一対の導電層222のうち、容量素子203と電気的に接続され
ていない方の導電層222は、信号線の一部として機能する。またトランジスタ202の
ゲート電極として機能する導電層221は、走査線の一部として機能する。
【0142】
図9では、トランジスタ202の例として、1つのゲート電極を有するトランジスタを
示している。またトランジスタ201及びトランジスタ205には、チャネルが形成され
る半導体層231を2つのゲート電極(導電層221及び導電層223)で挟持したトラ
ンジスタを示している。このように2つのゲート電極を有するトランジスタは、そのしき
い値電圧を制御することができる。また2つのゲート電極を接続するなどし、これらに同
一の信号を供給することにより、トランジスタを駆動してもよい。このようなトランジス
タは、他のトランジスタと比較して電界効果移動度を高めることができ、オン電流を増大
させることができる。その結果、高速動作が可能な回路を作製することができる。さらに
は回路の占有面積を縮小することができる。オン電流の大きなトランジスタを適用するこ
とで、表示装置を大型化、または高精細化したときに、配線数が増大したとしても、各配
線における信号遅延を低減することが可能である。これにより、例えば表示ムラを改善す
ることができる。
【0143】
なお、回路34が有するトランジスタと、表示部32が有するトランジスタは、同じ構
造であってもよい。また回路34が有する複数のトランジスタは、全て同じ構造であって
もよいし、異なる構造のトランジスタを組み合わせて用いてもよい。また、表示部32が
有する複数のトランジスタは、全て同じ構造であってもよいし、異なる構造のトランジス
タを組み合わせて用いてもよい。
【0144】
各トランジスタを覆う絶縁層212及び絶縁層213のうち、少なくとも一方は、水や
水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。このような絶縁層は、バ
リア膜として機能させることができる。これによりトランジスタに対して外部から不純物
が拡散することを効果的に抑制することができ、信頼性の高い表示装置を実現できる。
【0145】
絶縁層214上に設けられた導電層224は配線としての機能を有する。導電層224
は、絶縁層214、絶縁層213、及び絶縁層212に設けられた開口を介してトランジ
スタのソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。また、絶縁層215上に画
素電極として機能する導電層111が設けられている。導電層111は絶縁層215に設
けられた開口を介して、導電層224の一つと電気的に接続されている。
図9では、導電
層111が導電層224を介してトランジスタ205のソース又はドレインの一方と電気
的に接続されている。
【0146】
導電層111の端部を覆って絶縁層216が設けられている。EL層112は、導電層
111、絶縁層216、及び構造体11の上面を覆って設けられている。また導電層11
3はEL層112を覆って設けられている。
【0147】
発光素子40において、導電層111には可視光を反射する材料を用い、導電層113
には可視光を透過する材料を用いる。このような構成により、基板31側に光を発するト
ップエミッション型の発光素子とすることができる。トップエミッション型の発光素子は
、その下側にトランジスタや容量素子などの素子を配置することが可能であるため、開口
率を高めることができる。なお、導電層111及び導電層113の両方に可視光を透過す
る材料を用いることで、基板31側と基板21側の両方に光を発するデュアルエミッショ
ン型の発光素子としてもよい。
【0148】
また、発光素子40として白色を呈する発光素子を好適に用いることができる。こうす
ることで、異なる色に対応する副画素間で発光素子40を作り分ける必要がないため、極
めて高精細な表示装置を実現できる。このとき、発光素子40からの光は着色層131a
等を透過する際に、特定の波長領域以外の光が吸収される。これにより、取り出される光
は例えば赤色を呈する光となる。
【0149】
また、導電層111に可視光を反射する材料を用い、導電層113に可視光に対して半
透過、半反射性を有する材料を用い、さらに導電層111と導電層113の間に、可視光
を透過する光学調整層を設けることで、マイクロキャビティ構造を有する発光素子40と
してもよい。このとき、異なる色に対応する副画素に応じて、光学調整層の厚さを調整す
ればよい。また、光学調整層を有する副画素と、光学調整層を有さない副画素を混在させ
てもよい。
【0150】
基板31の基板21側の面には遮光層132が設けられ、遮光層132の端部及び遮光
層132の開口を覆って着色層131a及び着色層131bが設けられている。着色層1
31a等は、それぞれ発光素子40と重ねて配置されている。また遮光層132は、その
一部が構造体11と重ねて配置されている。
【0151】
構造体11としては、絶縁性または導電性の材料を用いることができる。例えば、構造
体11として、絶縁層216と同様の絶縁性の材料を用いてもよい。また、構造体11に
導電性の材料を用いてもよいが、その場合は構造体11を電気的にフローティングとする
か、構造体11に導電層113と同じ電位を与えることで、構造体11上のEL層112
が発光してしまうことを防ぐことができる。
【0152】
図9では、基板31の基板21側とは反対側の面に、偏光板130を設ける例を示して
いる。偏光板130としては、円偏光板を用いることが好ましい。円偏光板としては、例
えば直線偏光板と1/4波長位相差板を積層したものを用いることができる。これにより
、表示部32に設けられる反射性の部材(例えば導電層111等)の外光の反射を抑制す
ることができる。
【0153】
図9では、発光素子40を接着層141で封止する例を示している。接着層141に空
気よりも屈折率の高い材料を用いることにより、発光素子40と基板31の間に空間を有
する場合に比べて、発光素子40からの光の取り出し効率を高めることができる。
【0154】
なお、接着層141を表示部32の周囲に配置する、いわゆる中空封止構造としてもお
い。このとき、基板21、基板31、及び接着層141により形成される空間は、空気が
充填されていてもよいが、希ガスや窒素ガスなどの不活性ガスが充填されていることが好
ましい。また、定常状態において空間が大気圧に対して減圧であると、使用環境(例えば
気圧や温度)により空間が膨張し、基板31または基板21が膨らんでしまうことを抑制
できる。一方、空間が大気圧に対して陽圧であると、水分などの不純物が基板31、基板
21、接着層141、またはこれらの隙間から当該空間に拡散することを抑制できる。
【0155】
基板21の端部に近い領域には、端子部204が設けられている。端子部204は、接
続層242を介してFPC42と電気的に接続されている。
図9に示す構成では、配線3
5の一部と、導電層111を積層することで端子部204を構成する例を示している。
【0156】
以上が断面構成例2-1についての説明である。
【0157】
〔断面構成例2-2〕
図10は、一対の基板に可撓性を有する基板171、基板181を用いた表示装置10
の断面構成例を示す。
図10に示す表示装置10は、表示面の一部を曲げることができる
。
【0158】
図10で示す表示装置10は、
図9における基板21に代えて基板171、接着層17
2、及び絶縁層173を有する。また基板31に代えて基板181、接着層182、及び
絶縁層183を有する。
【0159】
絶縁層173及び絶縁層183は、水などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが
好ましい。
【0160】
図10に示す表示装置10は、絶縁層173及び絶縁層183によって、各トランジス
タや発光素子40が挟まれた構成を有している。これにより、基板171、基板181、
接着層172、接着層182等に水や水素などの不純物を拡散しやすい材料を用いた場合
であっても、これらより内側(各トランジスタや発光素子40側)に位置する絶縁層17
3や絶縁層183により、これらの不純物が拡散することが抑制されるため、信頼性を高
めることができる。また、基板171、基板181、接着層172、接着層182等の材
料を選択する際に、不純物の拡散性を考慮する必要がないため、様々な材料を用いること
ができる。
【0161】
〔作製方法例〕
ここで、可撓性を有する表示装置を作製する方法について説明する。
【0162】
ここでは便宜上、画素や回路を含む積層構造、着色層(カラーフィルタ)等の光学部材
を含む積層構造、及びタッチセンサを構成する電極や配線を含む積層構造等を、まとめて
素子層と呼ぶこととする。素子層は例えば表示素子を含み、表示素子の他に表示素子と電
気的に接続する配線、画素や回路に用いるトランジスタなどの素子を備えていてもよい。
【0163】
またここでは、最終的に素子層を支持し、可撓性を有する部材(例えば
図10における
基板171、基板181等)のことを、基板と呼ぶこととする。例えば基板には、厚さが
10nm以上200μm以下の、極めて薄いフィルムも含まれる。
【0164】
可撓性を有する絶縁表面を備える基板上に素子層を形成する方法としては、代表的には
以下に挙げる2つの方法がある。一つは、基板上に直接、素子層を形成する方法である。
もう一つは、基板とは異なる支持基板上に素子層を形成した後、素子層と支持基材を剥離
した後、素子層を基板に転置する方法である。
【0165】
基板を構成する材料が、素子層の形成工程にかかる熱に対して耐熱性を有する場合には
、基板上に直接、素子層を形成すると、工程が簡略化されるため好ましい。このとき、基
板を支持基材に固定した状態で素子層を形成すると、装置内、及び装置間における搬送が
容易になるため好ましい。
【0166】
また、素子層を支持基材上に形成した後に、基板に転置する方法を用いる場合、まず支
持基材上に剥離層と絶縁層を積層し、当該絶縁層上に素子層を形成する。続いて、支持基
材と素子層を剥離し、基板に転置する。このとき、支持基材と剥離層の界面、剥離層と絶
縁層の界面、または剥離層中で剥離が生じるような材料を選択すればよい。この方法では
、支持基材や剥離層に耐熱性の高い材料を用いることで、素子層を形成する際にかかる温
度の上限を高めることができ、より信頼性の高い素子を有する素子層を形成できるため好
ましい。
【0167】
例えば剥離層として、タングステンなどの高融点金属材料を含む層と、当該金属材料の
酸化物を含む層を積層して用い、剥離層上の絶縁層として、窒化シリコン、酸化窒化シリ
コン、窒化酸化シリコンなどを複数積層した層を用いることが好ましい。なお、本明細書
中において、酸化窒化物は、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し
、窒化酸化物は、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を指す。
【0168】
素子層と支持基材とを剥離する方法としては、機械的な力を加えることや、剥離層をエ
ッチングすること、または剥離界面に液体を浸透させることなどが、一例として挙げられ
る。または、剥離界面を形成する2層の熱膨張の違いを利用し、加熱または冷却すること
により剥離を行ってもよい。
【0169】
また、支持基材と絶縁層の界面で剥離が可能な場合には、剥離層を設けなくてもよい。
【0170】
例えば、支持基材としてガラスを用い、絶縁層としてポリイミドなどの有機樹脂を用い
ることができる。このとき、レーザ光等を用いて有機樹脂の一部を局所的に加熱する、ま
たは鋭利な部材により物理的に有機樹脂の一部を切断、または貫通すること等により剥離
の起点を形成し、ガラスと有機樹脂の界面で剥離を行ってもよい。
【0171】
または、支持基材と有機樹脂からなる絶縁層の間に発熱層を設け、当該発熱層を加熱す
ることにより、当該発熱層と絶縁層の界面で剥離を行ってもよい。発熱層としては、電流
を流すことにより発熱する材料、光を吸収することにより発熱する材料、磁場を印加する
ことにより発熱する材料など、様々な材料を用いることができる。例えば発熱層としては
、半導体、金属、絶縁体から選択して用いることができる。
【0172】
なお、上述した方法において、有機樹脂からなる絶縁層は、剥離後に基板として用いる
ことができる。
【0173】
例えば、
図10に示す構成の場合、第1の支持基板上に第1の剥離層、絶縁層173を
順に形成した後に、それよりも上層の構造物を形成する。またこれとは別に、第2の支持
基材上に第2の剥離層、絶縁層183を順に形成した後に、それよりも上層の構造物を形
成する。続いて、第1の支持基材と第2の支持基材を接着層141により貼り合せる。そ
の後、第2の剥離層と絶縁層183の界面で剥離することで第2の支持基材及び第2の剥
離層を除去し、絶縁層183と基板181を接着層182により貼り合せる。また、第1
の剥離層と絶縁層173の界面で剥離することで第1の支持基材及び第1の剥離層を除去
し、絶縁層173と基板171を接着層172により貼り合せる。なお、剥離及び貼り合
せはどちら側を先に行ってもよい。
【0174】
以上が可撓性を有する表示装置を作製する方法についての説明である。
【0175】
[各構成要素について]
以下では、上記に示す各構成要素について説明する。
【0176】
表示装置が有する基板には、平坦面を有する材料を用いることができる。表示素子から
の光を取り出す側の基板には、該光を透過する材料を用いる。例えば、ガラス、石英、セ
ラミック、サファイヤ、有機樹脂などの材料を用いることができる。
【0177】
厚さの薄い基板を用いることで、表示装置の軽量化、薄型化を図ることができる。さら
に、可撓性を有する程度の厚さの基板を用いることで、可撓性を有する表示装置を実現で
きる。
【0178】
また、発光を取り出さない側の基板は、透光性を有していなくてもよいため、上記に挙
げた基板の他に、金属基板等を用いることもできる。金属基板は熱伝導性が高く、基板全
体に熱を容易に伝導できるため、表示装置の局所的な温度上昇を抑制することができ、好
ましい。可撓性や曲げ性を得るためには、金属基板の厚さは、10μm以上200μm以
下が好ましく、20μm以上50μm以下であることがより好ましい。
【0179】
金属基板を構成する材料としては、特に限定はないが、例えば、アルミニウム、銅、ニ
ッケル等の金属、もしくはアルミニウム合金またはステンレス等の合金などを好適に用い
ることができる。
【0180】
また、金属基板の表面を酸化する、又は表面に絶縁膜を形成するなどにより、絶縁処理
が施された基板を用いてもよい。例えば、スピンコート法やディップ法などの塗布法、電
着法、蒸着法、又はスパッタリング法などを用いて絶縁膜を形成してもよいし、酸素雰囲
気で放置する又は加熱するほか、陽極酸化法などによって、基板の表面に酸化膜を形成し
てもよい。
【0181】
可撓性及び可視光に対する透過性を有する材料としては、例えば、可撓性を有する程度
の厚さのガラスや、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート
(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメ
チルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PE
S)樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミ
ド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂等が挙げら
れる。特に、熱膨張係数の低い材料を用いることが好ましく、例えば、熱膨張係数が30
×10-6/K以下であるポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、PET等を好適に用
いることができる。また、ガラス繊維に有機樹脂を含浸した基板や、無機フィラーを有機
樹脂に混ぜて熱膨張係数を下げた基板を使用することもできる。このような材料を用いた
基板は、重量が軽いため、該基板を用いた表示装置も軽量にすることができる。
【0182】
上記材料中に繊維体が含まれている場合、繊維体は有機化合物または無機化合物の高強
度繊維を用いる。高強度繊維とは、具体的には引張弾性率またはヤング率の高い繊維のこ
とを言い、代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリア
ミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキ
サゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維が挙げられる。ガラス繊維としては、Eガラ
ス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維が挙げられる。これらは、織布
または不織布の状態で用い、この繊維体に樹脂を含浸させ樹脂を硬化させた構造物を、可
撓性を有する基板として用いてもよい。可撓性を有する基板として、繊維体と樹脂からな
る構造物を用いると、曲げや局所的押圧による破損に対する信頼性が向上するため、好ま
しい。
【0183】
または、可撓性を有する程度に薄いガラス、金属などを基板に用いることもできる。ま
たは、ガラスと樹脂材料とが接着層により貼り合わされた複合材料を用いてもよい。
【0184】
可撓性を有する基板に、タッチパネルの表面を傷などから保護するハードコート層(例
えば、窒化シリコン、酸化アルミニウムなど)や、押圧を分散可能な材質の層(例えば、
アラミド樹脂など)等が積層されていてもよい。また、水分等による表示素子の寿命の低
下等を抑制するために、可撓性を有する基板に透水性の低い絶縁膜が積層されていてもよ
い。例えば、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、
窒化アルミニウム等の無機絶縁材料を用いることができる。
【0185】
基板は、複数の層を積層して用いることもできる。特に、ガラス層を有する構成とする
と、水や酸素に対するバリア性を向上させ、信頼性の高い表示装置とすることができる。
【0186】
〔トランジスタ〕
トランジスタは、ゲート電極として機能する導電層と、半導体層と、ソース電極として
機能する導電層と、ドレイン電極として機能する導電層と、ゲート絶縁層として機能する
絶縁層と、を有する。上記では、ボトムゲート構造のトランジスタを適用した場合を示し
ている。
【0187】
なお、本発明の一態様のタッチパネルが有するトランジスタの構造は特に限定されない
。例えば、プレーナ型のトランジスタとしてもよいし、スタガ型のトランジスタとしても
よいし、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート型又はボトムゲー
ト型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルの上下にゲート電極が
設けられていてもよい。
【0188】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、
結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、又は一部に結晶領
域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トラン
ジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0189】
また、トランジスタに用いる半導体材料としては、例えば、第14族の元素(シリコン
、ゲルマニウム等)、化合物半導体又は酸化物半導体を半導体層に用いることができる。
代表的には、シリコンを含む半導体、ガリウムヒ素を含む半導体又はインジウムを含む酸
化物半導体などを適用できる。
【0190】
特にシリコンよりもバンドギャップの大きな酸化物半導体を適用することが好ましい。
シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい半導体材料を用いると
、トランジスタのオフ状態における電流を低減できるため好ましい。
【0191】
特に、半導体層として、複数の結晶部を有し、当該結晶部はc軸が半導体層の被形成面
、または半導体層の上面に対し概略垂直に配向し、且つ隣接する結晶部間には粒界が確認
できない酸化物半導体を用いることが好ましい。
【0192】
このような酸化物半導体は、結晶粒界を有さないために表示パネルを湾曲させたときの
応力によって酸化物半導体膜にクラックが生じてしまうことが抑制される。したがって、
可撓性を有し、湾曲させて用いるタッチパネルなどに、このような酸化物半導体を好適に
用いることができる。
【0193】
また半導体層としてこのような結晶性を有する酸化物半導体を用いることで、電気特性
の変動が抑制され、信頼性の高いトランジスタを実現できる。
【0194】
また、シリコンよりもバンドギャップの大きな酸化物半導体を用いたトランジスタは、
その低いオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量に蓄積した電荷を長期間
に亘って保持することが可能である。このようなトランジスタを画素に適用することで、
各画素の階調を維持しつつ、駆動回路を停止することも可能となる。その結果、極めて消
費電力の低減された表示装置を実現できる。
【0195】
半導体層は、例えば少なくともインジウム、亜鉛及びM(アルミニウム、チタン、ガリ
ウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、スズ、ネオジ
ムまたはハフニウム等の金属)を含むIn-M-Zn系酸化物で表記される膜を含むこと
が好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らす
ため、それらと共に、スタビライザーを含むことが好ましい。
【0196】
スタビライザーとしては、上記Mで記載の金属を含め、例えば、ガリウム、スズ、ハフ
ニウム、アルミニウム、またはジルコニウム等がある。また、他のスタビライザーとして
は、ランタノイドである、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、
ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、
ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム等がある。
【0197】
半導体層を構成する酸化物半導体として、例えば、In-Ga-Zn系酸化物、In-
Al-Zn系酸化物、In-Sn-Zn系酸化物、In-Hf-Zn系酸化物、In-L
a-Zn系酸化物、In-Ce-Zn系酸化物、In-Pr-Zn系酸化物、In-Nd
-Zn系酸化物、In-Sm-Zn系酸化物、In-Eu-Zn系酸化物、In-Gd-
Zn系酸化物、In-Tb-Zn系酸化物、In-Dy-Zn系酸化物、In-Ho-Z
n系酸化物、In-Er-Zn系酸化物、In-Tm-Zn系酸化物、In-Yb-Zn
系酸化物、In-Lu-Zn系酸化物、In-Sn-Ga-Zn系酸化物、In-Hf-
Ga-Zn系酸化物、In-Al-Ga-Zn系酸化物、In-Sn-Al-Zn系酸化
物、In-Sn-Hf-Zn系酸化物、In-Hf-Al-Zn系酸化物を用いることが
できる。
【0198】
なお、ここで、In-Ga-Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有す
る酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZ
n以外の金属元素が入っていてもよい。
【0199】
また、半導体層と導電層は、上記酸化物のうち同一の金属元素を有していてもよい。半
導体層と導電層を同一の金属元素とすることで、製造コストを低減させることができる。
例えば、同一の金属組成の金属酸化物ターゲットを用いることで、製造コストを低減させ
ることができる。また半導体層と導電層を加工する際のエッチングガスまたはエッチング
液を共通して用いることができる。ただし、半導体層と導電層は、同一の金属元素を有し
ていても、組成が異なる場合がある。例えば、トランジスタ及び容量素子の作製工程中に
、膜中の金属元素が脱離し、異なる金属組成となる場合がある。
【0200】
半導体層を構成する酸化物半導体は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2
.5eV以上、より好ましくは3eV以上であることが好ましい。このように、エネルギ
ーギャップの広い酸化物半導体を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減すること
ができる。
【0201】
半導体層を構成する酸化物半導体がIn-M-Zn酸化物の場合、In-M-Zn酸化
物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M
、Zn≧Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の
原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In
:M:Zn=3:1:2、4:2:4.1等が好ましい。なお、成膜される半導体層の原
子数比はそれぞれ、誤差として上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原
子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
【0202】
半導体層としては、キャリア密度の低い酸化物半導体膜を用いる。例えば、半導体層は
、キャリア密度が1×1017/cm3以下、好ましくは1×1015/cm3以下、さ
らに好ましくは1×1013/cm3以下、より好ましくは1×1011/cm3以下、
さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10-9/cm3以上のキャリ
ア密度の酸化物半導体を用いることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性ま
たは実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。これにより不純物濃度が低く、欠陥準位
密度が低いため、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
【0203】
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性及び電気特性(電界効
果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とす
るトランジスタの半導体特性を得るために、半導体層のキャリア密度や不純物濃度、欠陥
密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好まし
い。
【0204】
半導体層を構成する酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素
が含まれると、半導体層において酸素欠損が増加し、n型化してしまう。このため、半導
体層におけるシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)を、2
×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下と
する。
【0205】
また、アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアを生
成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため半導
体層における二次イオン質量分析法により得られるアルカリ金属またはアルカリ土類金属
の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/
cm3以下にする。
【0206】
また、半導体層を構成する酸化物半導体に窒素が含まれていると、キャリアである電子
が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物
半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため半導体層にお
ける二次イオン質量分析法により得られる窒素濃度は、5×1018atoms/cm3
以下にすることが好ましい。
【0207】
また、半導体層は、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば、CAAC
-OS(C-Axis Aligned Crystalline Oxide Sem
iconductor、または、C-Axis Aligned and A-B-pl
ane Anchored Crystalline Oxide Semicondu
ctor)、多結晶構造、微結晶構造、または非晶質構造を含む。非単結晶構造において
、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAAC-OSは最も欠陥準位密度が低い。
【0208】
非晶質構造の酸化物半導体膜は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さな
い。または、非晶質構造の酸化物膜は、例えば、完全な非晶質構造であり、結晶部を有さ
ない。
【0209】
なお、半導体層が、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAA
C-OSの領域、単結晶構造の領域のうち、二種以上を有する混合膜であってもよい。混
合膜は、例えば上述した領域のうち、いずれか二種以上の領域を含む単層構造、または積
層構造を有する場合がある。
【0210】
<CAC-OSの構成>
以下では、本発明の一態様で開示されるトランジスタに用いることができるCAC(C
loud Aligned Complementary)-OSの構成について説明す
る。
【0211】
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い表現での金属
の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む
)、酸化物半導体(Oxide Semiconductorまたは単にOSともいう)
などに分類される。例えば、トランジスタの活性層に金属酸化物を用いた場合、当該金属
酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、OS FETと記載する場合にお
いては、金属酸化物または酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
【0212】
本明細書において、金属酸化物が、導電体の機能を有する領域と、誘電体の機能を有す
る領域とが混合し、金属酸化物全体では半導体としての機能する場合、CAC(Clou
d Aligned Complementary)-OS(Oxide Semico
nductor)、またはCAC-metal oxideと定義する。
【0213】
つまり、CAC-OSとは、例えば、酸化物半導体を構成する元素が、0.5nm以上
10nm以下、好ましくは、0.5nm以上3nm以下、またはその近傍のサイズで偏在
した材料の一構成である。なお、以下では、酸化物半導体において、一つあるいはそれ以
上の元素が偏在し、該元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、
0.5nm以上3nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、また
はパッチ状ともいう。
【0214】
特定の元素が偏在した領域は、該元素が有する性質により、物理特性が決定する。例え
ば、金属酸化物を構成する元素の中でも比較的、絶縁体となる傾向がある元素が偏在した
領域は、誘電体領域となる。一方、金属酸化物を構成する元素の中でも比較的、導体とな
る傾向がある元素が偏在した領域は、導電体領域となる。また、導電体領域、および誘電
体領域がモザイク状に混合することで、材料としては、半導体として機能する。
【0215】
つまり、本発明の一態様における金属酸化物は、物理特性が異なる材料が混合した、マ
トリックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合
材(metal matrix composite)の一種である。
【0216】
なお、酸化物半導体は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウム
および亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、元素M(Mは、ガリウム、ア
ルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、
鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジ
ム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、
または複数種)が含まれていてもよい。
【0217】
例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OS(CAC-OSの中でもIn-
Ga-Zn酸化物を、特にCAC-IGZOと呼称してもよい。)とは、インジウム酸化
物(以下、InOX1(X1は0よりも大きい実数)とする。)、またはインジウム亜鉛
酸化物(以下、InX2ZnY2OZ2(X2、Y2、およびZ2は0よりも大きい実数
)とする。)と、ガリウム酸化物(以下、GaOX3(X3は0よりも大きい実数)とす
る。)、またはガリウム亜鉛酸化物(以下、GaX4ZnY4OZ4(X4、Y4、およ
びZ4は0よりも大きい実数)とする。)などと、に材料が分離することでモザイク状と
なり、モザイク状のInOX1、またはInX2ZnY2OZ2が、膜中に均一に分布し
た構成(以下、クラウド状ともいう。)である。
【0218】
つまり、CAC-OSは、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2
、またはInOX1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合酸化物半導
体である。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数
比が、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、
第2の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
【0219】
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、およびOによる1つの化合物をいう
場合がある。代表例として、InGaO3(ZnO)m1(m1は自然数)、またはIn
(1+x0)Ga(1-x0)O3(ZnO)m0(-1≦x0≦1、m0は任意数)で
表される結晶性の化合物が挙げられる。
【0220】
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、またはCAAC構造を有する。なお
、CAAC構造とは、複数のIGZOのナノ結晶がc軸配向を有し、かつa-b面におい
ては配向せずに連結した結晶構造である。
【0221】
一方、CAC-OSは、酸化物半導体の材料構成に関する。CAC-OSとは、In、
Ga、Zn、およびOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状に
観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞ
れモザイク状にランダムに分散している構成をいう。従って、CAC-OSにおいて、結
晶構造は副次的な要素である。
【0222】
なお、CAC-OSは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする
。例えば、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含
まない。
【0223】
なお、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1
が主成分である領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
【0224】
なお、ガリウムの代わりに、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、銅、バ
ナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデ
ン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグ
ネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれている場合、CAC-OSは、一
部に該元素を主成分とするナノ粒子状領域が観察され、一部にInを主成分とするナノ粒
子状領域が観察され、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。
【0225】
<CAC-OSの解析>
続いて、各種測定方法を用い、基板上に成膜した酸化物半導体について測定を行った結
果について説明する。
【0226】
≪試料の構成と作製方法≫
以下では、本発明の一態様に係る9個の試料について説明する。各試料は、それぞれ、酸
化物半導体を成膜する際の基板温度、および酸素ガス流量比を異なる条件で作製する。な
お、試料は、基板と、基板上の酸化物半導体と、を有する構造である。
【0227】
各試料の作製方法について、説明する。
【0228】
まず、基板として、ガラス基板を用いる。続いて、スパッタリング装置を用いて、ガラ
ス基板上に酸化物半導体として、厚さ100nmのIn-Ga-Zn酸化物を形成する。
成膜条件は、チャンバー内の圧力を0.6Paとし、ターゲットには、酸化物ターゲット
(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])を用いる。また、スパッタリング装
置内に設置された酸化物ターゲットに2500WのAC電力を供給する。
【0229】
なお、酸化物を成膜する際の条件として、基板温度を、意図的に加熱しない温度(以下
、室温またはR.T.ともいう。)、130℃、または170℃とした。また、Arと酸
素の混合ガスに対する酸素ガスの流量比(以下、酸素ガス流量比ともいう。)を、10%
、30%、または100%とすることで、9個の試料を作製する。
【0230】
≪X線回折による解析≫
本項目では、9個の試料に対し、X線回折(XRD:X-ray diffracti
on)測定を行った結果について説明する。なお、XRD装置として、Bruker社製
D8 ADVANCEを用いた。また、条件は、Out-of-plane法によるθ/
2θスキャンにて、走査範囲を15deg.乃至50deg.、ステップ幅を0.02d
eg.、走査速度を3.0deg./分とした。
【0231】
図30にOut-of-plane法を用いてXRDスペクトルを測定した結果を示す
。なお、
図30において、上段には成膜時の基板温度条件が170℃の試料における測定
結果、中段には成膜時の基板温度条件が130℃の試料における測定結果、下段には成膜
時の基板温度条件がR.T.の試料における測定結果を示す。また、左側の列には酸素ガ
ス流量比の条件が10%の試料における測定結果、中央の列には酸素ガス流量比の条件が
30%の試料における測定結果、右側の列には酸素ガス流量比の条件が100%の試料に
おける測定結果、を示す。
【0232】
図30に示すXRDスペクトルは、成膜時の基板温度を高くする、または、成膜時の酸
素ガス流量比の割合を大きくすることで、2θ=31°付近のピーク強度が高くなる。な
お、2θ=31°付近のピークは、被形成面または上面に略垂直方向に対してc軸に配向
した結晶性IGZO化合物(CAAC(c-axis aligned crystal
line)-IGZOともいう。)であることに由来することが分かっている。
【0233】
また、
図30に示すXRDスペクトルは、成膜時の基板温度が低い、または、酸素ガス
流量比が小さいほど、明確なピークが現れなかった。従って、成膜時の基板温度が低い、
または、酸素ガス流量比が小さい試料は、測定領域のa-b面方向、およびc軸方向の配
向は見られないことが分かる。
【0234】
≪電子顕微鏡による解析≫
本項目では、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製した試料
を、HAADF(High-Angle Annular Dark Field)-S
TEM(Scanning Transmission Electron Micro
scope)によって観察、および解析した結果について説明する(以下、HAADF-
STEMによって取得した像は、TEM像ともいう。)。
【0235】
HAADF-STEMによって取得した平面像(以下、平面TEM像ともいう。)、お
よび断面像(以下、断面TEM像ともいう。)の画像解析を行った結果について説明する
。なお、TEM像は、球面収差補正機能を用いて観察した。なお、HAADF-STEM
像の撮影には、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM-ARM200Fを
用いて、加速電圧200kV、ビーム径約0.1nmφの電子線を照射して行った。
【0236】
図31(A)は、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製した
試料の平面TEM像である。
図31(B)は、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガ
ス流量比10%で作製した試料の断面TEM像である。
【0237】
≪電子線回折パターンの解析≫
本項目では、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製した試料
に、プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう。)を照射することで、電
子線回折パターンを取得した結果について説明する。
【0238】
図31(A)に示す、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製
した試料の平面TEM像において、黒点a1、黒点a2、黒点a3、黒点a4、および黒
点a5で示す電子線回折パターンを観察する。なお、電子線回折パターンの観察は、電子
線を照射しながら0秒の位置から35秒の位置まで一定の速度で移動させながら行う。黒
点a1の結果を
図31(C)、黒点a2の結果を
図31(D)、黒点a3の結果を
図31
(E)、黒点a4の結果を
図31(F)、および黒点a5の結果を
図31(G)に示す。
【0239】
図31(C)、
図31(D)、
図31(E)、
図31(F)、および
図31(G)より
、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測できる。また、リング状の領域に
複数のスポットが観測できる。
【0240】
また、
図31(B)に示す、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%
で作製した試料の断面TEM像において、黒点b1、黒点b2、黒点b3、黒点b4、お
よび黒点b5で示す電子線回折パターンを観察する。黒点b1の結果を
図31(H)、黒
点b2の結果を
図31(I)、黒点b3の結果を
図31(J)、黒点b4の結果を
図31
(K)、および黒点b5の結果を
図31(L)に示す。
【0241】
図31(H)、
図31(I)、
図31(J)、
図31(K)、および
図31(L)より
、リング状に輝度の高い領域が観測できる。また、リング状の領域に複数のスポットが観
測できる。
【0242】
ここで、例えば、InGaZnO4の結晶を有するCAAC-OSに対し、試料面に平
行にプローブ径が300nmの電子線を入射させると、InGaZnO4の結晶の(00
9)面に起因するスポットが含まれる回折パターンが見られる。つまり、CAAC-OS
は、c軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることがわ
かる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射さ
せると、リング状の回折パターンが確認される。つまり、CAAC-OSは、a軸および
b軸は配向性を有さないことがわかる。
【0243】
また、微結晶を有する酸化物半導体(nano crystalline oxide
semiconductor。以下、nc-OSという。)に対し、大きいプローブ径
(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折を行うと、ハローパターンのような
回折パターンが観測される。また、nc-OSに対し、小さいプローブ径の電子線(例え
ば50nm未満)を用いるナノビーム電子線回折を行うと、輝点(スポット)が観測され
る。また、nc-OSに対しナノビーム電子線回折を行うと、円を描くように(リング状
に)輝度の高い領域が観測される場合がある。さらに、リング状の領域に複数の輝点が観
測される場合がある。
【0244】
成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製した試料の電子線回折
パターンは、リング状に輝度の高い領域と、該リング領域に複数の輝点を有する。従って
、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製した試料は、電子線回
折パターンが、nc-OSになり、平面方向、および断面方向において、配向性は有さな
い。
【0245】
以上より、成膜時の基板温度が低い、または、酸素ガス流量比が小さい酸化物半導体は
、アモルファス構造の酸化物半導体膜とも、単結晶構造の酸化物半導体膜とも明確に異な
る性質を有すると推定できる。
【0246】
≪元素分析≫
本項目では、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersi
ve X-ray spectroscopy)を用い、EDXマッピングを取得し、評
価することによって、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製し
た試料の元素分析を行った結果について説明する。なお、EDX測定には、元素分析装置
として日本電子株式会社製エネルギー分散型X線分析装置JED-2300Tを用いる。
なお、試料から放出されたX線の検出にはSiドリフト検出器を用いる。
【0247】
EDX測定では、試料の分析対象領域の各点に電子線照射を行い、これにより発生する
試料の特性X線のエネルギーと発生回数を測定し、各点に対応するEDXスペクトルを得
る。本実施の形態では、各点のEDXスペクトルのピークを、In原子のL殻への電子遷
移、Ga原子のK殻への電子遷移、Zn原子のK殻への電子遷移及びO原子のK殻への電
子遷移に帰属させ、各点におけるそれぞれの原子の比率を算出する。これを試料の分析対
象領域について行うことにより、各原子の比率の分布が示されたEDXマッピングを得る
ことができる。
【0248】
図32には、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製した試料
の断面におけるEDXマッピングを示す。
図32(A)は、Ga原子のEDXマッピング
(全原子に対するGa原子の比率は1.18乃至18.64[atomic%]の範囲と
する。)である。
図32(B)は、In原子のEDXマッピング(全原子に対するIn原
子の比率は9.28乃至33.74[atomic%]の範囲とする。)である。
図32
(C)は、Zn原子のEDXマッピング(全原子に対するZn原子の比率は6.69乃至
24.99[atomic%]の範囲とする。)である。また、
図32(A)、
図32(
B)、および
図32(C)は、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%
で作製した試料の断面において、同範囲の領域を示している。なお、EDXマッピングは
、範囲における、測定元素が多いほど明るくなり、測定元素が少ないほど暗くなるように
、明暗で元素の割合を示している。また、
図32に示すEDXマッピングの倍率は720
万倍である。
【0249】
図32(A)、
図32(B)、および
図32(C)に示すEDXマッピングでは、画像
に相対的な明暗の分布が見られ、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10
%で作製した試料において、各原子が分布を持って存在している様子が確認できる。ここ
で、
図32(A)、
図32(B)、および
図32(C)に示す実線で囲む範囲と破線で囲
む範囲に注目する。
【0250】
図32(A)では、実線で囲む範囲は、相対的に暗い領域を多く含み、破線で囲む範囲
は、相対的に明るい領域を多く含む。また、
図32(B)では実線で囲む範囲は、相対的
に明るい領域を多く含み、破線で囲む範囲は、相対的に暗い領域を多く含む。
【0251】
つまり、実線で囲む範囲はIn原子が相対的に多い領域であり、破線で囲む範囲はIn
原子が相対的に少ない領域である。ここで、
図32(C)では、実線で囲む範囲において
、右側は相対的に明るい領域であり、左側は相対的に暗い領域である。従って、実線で囲
む範囲は、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1などが主成分である領域である。
【0252】
また、実線で囲む範囲はGa原子が相対的に少ない領域であり、破線で囲む範囲はGa
原子が相対的に多い領域である。
図32(C)では、破線で囲む範囲において、左上の領
域は、相対的に明るい領域であり、右下側の領域は、相対的に暗い領域である。従って、
破線で囲む範囲は、GaO
X3、またはGa
X4Zn
Y4O
Z4などが主成分である領域
である。
【0253】
また、
図32(A)、
図32(B)、および
図32(C)より、In原子の分布は、G
a原子よりも、比較的、均一に分布しており、InO
X1が主成分である領域は、In
X
2Zn
Y2O
Z2が主成分となる領域を介して、互いに繋がって形成されているように見
える。このように、In
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域は、
クラウド状に広がって形成されている。
【0254】
このように、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはIn
OX1が主成分である領域とが、偏在し、混合している構造を有するIn-Ga-Zn酸
化物を、CAC-OSと呼称することができる。
【0255】
また、CAC-OSにおける結晶構造は、nc構造を有する。CAC-OSが有するn
c構造は、電子線回折像において、単結晶、多結晶、またはCAAC構造を含むIGZO
に起因する輝点(スポット)以外にも、数か所以上の輝点(スポット)を有する。または
、数か所以上の輝点(スポット)に加え、リング状に輝度の高い領域が現れるとして結晶
構造が定義される。
【0256】
また、
図32(A)、
図32(B)、および
図32(C)より、GaO
X3が主成分で
ある領域、及びIn
X2Zn
Y2O
Z2、またはInO
X1が主成分である領域のサイズ
は、0.5nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下で観察される。なお、好
ましくは、EDXマッピングにおいて、各元素が主成分である領域の径は、1nm以上2
nm以下とする。
【0257】
以上より、CAC-OSは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構造
であり、IGZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC-OSは、GaOX3な
どが主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領
域と、に互いに相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有する。
【0258】
ここで、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域は、GaOX
3などが主成分である領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、InX2Zn
Y2OZ2、またはInOX1が主成分である領域を、キャリアが流れることにより、酸
化物半導体としての導電性が発現する。従って、InX2ZnY2OZ2、またはInO
X1が主成分である領域が、酸化物半導体中にクラウド状に分布することで、高い電界効
果移動度(μ)が実現できる。
【0259】
一方、GaOX3などが主成分である領域は、InX2ZnY2OZ2、またはInO
X1が主成分である領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、GaOX3など
が主成分である領域が、酸化物半導体中に分布することで、リーク電流を抑制し、良好な
スイッチング動作を実現できる。
【0260】
従って、CAC-OSを半導体素子に用いた場合、GaOX3などに起因する絶縁性と
、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1に起因する導電性とが、相補的に作用する
ことにより、高いオン電流(Ion)、および高い電界効果移動度(μ)を実現すること
ができる。
【0261】
また、CAC-OSを用いた半導体素子は、信頼性が高い。従って、CAC-OSは、
ディスプレイをはじめとするさまざまな半導体装置に最適である。
【0262】
または、トランジスタのチャネルが形成される半導体に、シリコンを用いることが好ま
しい。シリコンとしてアモルファスシリコンを用いてもよいが、特に結晶性を有するシリ
コンを用いることが好ましい。例えば、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコ
ンなどを用いることが好ましい。特に、多結晶シリコンは、単結晶シリコンに比べて低温
で形成でき、且つアモルファスシリコンに比べて高い電界効果移動度と高い信頼性を備え
る。このような多結晶半導体を画素に適用することで画素の開口率を向上させることがで
きる。また極めて高精細に画素を有する場合であっても、ゲート駆動回路とソース駆動回
路を画素と同一基板上に形成することが可能となり、電子機器を構成する部品数を低減す
ることができる。
【0263】
本実施の形態で例示したボトムゲート構造のトランジスタは、作製工程を削減できるた
め好ましい。またこのときアモルファスシリコンを用いることで、多結晶シリコンよりも
低温で形成できるため、半導体層よりも下層の配線や電極の材料、基板の材料として、耐
熱性の低い材料を用いることが可能なため、材料の選択の幅を広げることができる。例え
ば、極めて大面積のガラス基板などを好適に用いることができる。一方、トップゲート型
のトランジスタは、自己整合的に不純物領域を形成しやすいため、特性のばらつきなどを
低減することできるため好ましい。このとき特に、多結晶シリコンや単結晶シリコンなど
を用いる場合に適している。
【0264】
〔導電層〕
トランジスタのゲート、ソースおよびドレインのほか、表示装置を構成する各種配線お
よび電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロ
ム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタ
ングステンなどの金属、またはこれを主成分とする合金などが挙げられる。またこれらの
材料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。例えば、シリコンを
含むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、タン
グステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウム合
金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン
膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、その上に重ねてアルミ
ニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三
層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、その上に重ねてアルミニウム膜または
銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造
等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛等の酸化物を用いてもよい。ま
た、マンガンを含む銅を用いると、エッチングによる形状の制御性が高まるため好ましい
。
【0265】
また、透光性を有する導電性材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、イ
ンジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物または
グラフェンを用いることができる。または、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タ
ングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、またはチタンなどの
金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。または、該金属材料の窒
化物(例えば、窒化チタン)などを用いてもよい。なお、金属材料、合金材料(またはそ
れらの窒化物)を用いる場合には、透光性を有する程度に薄くすればよい。また、上記材
料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とイン
ジウムスズ酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。
これらは、表示装置を構成する各種配線および電極などの導電層や、表示素子が有する導
電層(画素電極や共通電極として機能する導電層)にも用いることができる。
【0266】
〔絶縁層〕
各絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、例えば、アクリル、エポキシなどの
樹脂、シロキサン結合を有する樹脂の他、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シ
リコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることもできる。
【0267】
また発光素子は、一対の透水性の低い絶縁膜の間に設けられていることが好ましい。こ
れにより、発光素子に水等の不純物が侵入することを抑制でき、装置の信頼性の低下を抑
制できる。
【0268】
透水性の低い絶縁膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜等の窒素と珪素を
含む膜や、窒化アルミニウム膜等の窒素とアルミニウムを含む膜等が挙げられる。また、
酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等を用いてもよい。
【0269】
例えば、透水性の低い絶縁膜の水蒸気透過量は、1×10-5[g/(m2・day)
]以下、好ましくは1×10-6[g/(m2・day)]以下、より好ましくは1×1
0-7[g/(m2・day)]以下、さらに好ましくは1×10-8[g/(m2・d
ay)]以下とする。
【0270】
〔発光素子〕
発光素子としては、自発光が可能な素子を用いることができ、電流又は電圧によって輝
度が制御される素子をその範疇に含んでいる。例えば、発光ダイオード(LED)、有機
EL素子、無機EL素子等を用いることができる。
【0271】
発光素子は、トップエミッション型、ボトムエミッション型、デュアルエミッション型
のいずれであってもよい。光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる
。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好まし
い。
【0272】
EL層は少なくとも発光層を有する。EL層は、発光層以外の層として、正孔注入性の
高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入
性の高い物質、又はバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含
む層をさらに有していてもよい。
【0273】
EL層には低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合
物を含んでいてもよい。EL層を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)
、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0274】
陰極と陽極の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、EL層に陽極側か
ら正孔が注入され、陰極側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層におい
て再結合し、EL層に含まれる発光物質が発光する。
【0275】
発光素子として、白色発光の発光素子を適用する場合には、EL層に2種類以上の発光
物質を含む構成とすることが好ましい。例えば2以上の発光物質の各々の発光が補色の関
係となるように、発光物質を選択することにより白色発光を得ることができる。例えば、
それぞれR(赤)、G(緑)、B(青)、Y(黄)、O(橙)等の発光を示す発光物質、
またはR、G、Bのうち2以上の色のスペクトル成分を含む発光を示す発光物質のうち、
2以上を含むことが好ましい。また、発光素子からの発光のスペクトルが、可視光領域の
波長(例えば350nm~750nm)の範囲内に2以上のピークを有する発光素子を適
用することが好ましい。また、黄色の波長領域にピークを有する材料の発光スペクトルは
、緑色及び赤色の波長領域にもスペクトル成分を有する材料であることが好ましい。
【0276】
EL層は、一の色を発光する発光材料を含む発光層と、他の色を発光する発光材料を含
む発光層とが積層された構成とすることが好ましい。例えば、EL層における複数の発光
層は、互いに接して積層されていてもよいし、いずれの発光材料も含まない領域を介して
積層されていてもよい。例えば、蛍光発光層と燐光発光層との間に、当該蛍光発光層また
は燐光発光層と同一の材料(例えばホスト材料、アシスト材料)を含み、且ついずれの発
光材料も含まない領域を設ける構成としてもよい。これにより、発光素子の作製が容易に
なり、また、駆動電圧が低減される。
【0277】
また、発光素子は、EL層を1つ有するシングル素子であってもよいし、複数のEL層
が電荷発生層を介して積層されたタンデム素子であってもよい。
【0278】
可視光を透過する導電膜は、例えば、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウ
ム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などを用いて形成することができ
る。また、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン
、鉄、コバルト、銅、パラジウム、もしくはチタン等の金属材料、これら金属材料を含む
合金、又はこれら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等も、透光性を有する程度に
薄く形成することで用いることができる。また、上記材料の積層膜を導電層として用いる
ことができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウム錫酸化物の積層膜などを用
いると、導電性を高めることができるため好ましい。また、グラフェン等を用いてもよい
。
【0279】
可視光を反射する導電膜は、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タング
ステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、もしくはパラジウム等の金属材料、又
はこれら金属材料を含む合金を用いることができる。また、上記金属材料や合金に、ラン
タン、ネオジム、又はゲルマニウム等が添加されていてもよい。また、チタン、ニッケル
、またはネオジムと、アルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)を用いてもよい。ま
た銅、パラジウム、マグネシウムと、銀を含む合金を用いてもよい。銀と銅を含む合金は
、耐熱性が高いため好ましい。さらに、アルミニウム膜またはアルミニウム合金膜に接し
て金属膜又は金属酸化物膜を積層することで、酸化を抑制することができる。このような
金属膜、金属酸化物膜の材料としては、チタンや酸化チタンなどが挙げられる。また、上
記可視光を透過する導電膜と金属材料からなる膜とを積層してもよい。例えば、銀とイン
ジウム錫酸化物の積層膜、銀とマグネシウムの合金とインジウム錫酸化物の積層膜などを
用いることができる。
【0280】
電極は、それぞれ、蒸着法やスパッタリング法を用いて形成すればよい。そのほか、イ
ンクジェット法などの吐出法、スクリーン印刷法などの印刷法、又はメッキ法を用いて形
成することができる。
【0281】
なお、上述した、発光層、ならびに正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、電
子輸送性の高い物質、及び電子注入性の高い物質、バイポーラ性の物質等を含む層は、そ
れぞれ量子ドットなどの無機化合物や、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリ
マー等)を有していてもよい。例えば、量子ドットを発光層に用いることで、発光材料と
して機能させることもできる。
【0282】
なお、量子ドット材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、
コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料などを用いることができる。また
、12族と16族、13族と15族、または14族と16族の元素グループを含む材料を
用いてもよい。または、カドミウム、セレン、亜鉛、硫黄、リン、インジウム、テルル、
鉛、ガリウム、ヒ素、アルミニウム等の元素を含む量子ドット材料を用いてもよい。
【0283】
〔液晶素子〕
液晶素子としては、例えば垂直配向(VA:Vertical Alignment)
モードが適用された液晶素子を用いることができる。垂直配向モードとしては、MVA(
Multi-Domain Vertical Alignment)モード、PVA(
Patterned Vertical Alignment)モード、ASV(Adv
anced Super View)モードなどを用いることができる。
【0284】
また、液晶素子には、様々なモードが適用された液晶素子を用いることができる。例え
ばVAモードのほかに、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In
-Plane-Switching)モード、FFS(Fringe Field Sw
itching)モード、ASM(Axially Symmetric aligne
d Micro-cell)モード、OCB(Optically Compensat
ed Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric L
iquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric
Liquid Crystal)モード等が適用された液晶素子を用いることができる
。
【0285】
なお、液晶素子は、液晶の光学的変調作用によって光の透過または非透過を制御する素
子である。なお、液晶の光学的変調作用は、液晶にかかる電界(横方向の電界、縦方向の
電界又は斜め方向の電界を含む)によって制御される。なお、液晶素子に用いる液晶とし
ては、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶(PDLC:
Polymer Dispersed Liquid Crystal)、強誘電性液晶
、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステ
リック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
【0286】
また、液晶材料としては、ポジ型の液晶、またはネガ型の液晶のいずれを用いてもよく
、適用するモードや設計に応じて最適な液晶材料を用いればよい。
【0287】
また、液晶の配向を制御するため、配向膜を設けることができる。なお、横電界方式を
採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相
の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転
移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範
囲を改善するために数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を液晶層に用いる
。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が短く、光学的等方
性である。また、ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、配向処理が不
要であり、視野角依存性が小さい。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不
要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作
製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。
【0288】
また、液晶素子として、透過型の液晶素子、反射型の液晶素子、または半透過型の液晶
素子などを用いることができる。
【0289】
透過型または半透過型の液晶素子を用いる場合、一対の基板を挟むように、2つの偏光
板を設ける。また偏光板よりも外側に、バックライトを設ける。バックライトとしては、
直下型のバックライトであってもよいし、エッジライト型のバックライトであってもよい
。LED(Light Emitting Diode)を備える直下型のバックライト
を用いると、ローカルディミングが容易となり、コントラストを高めることができるため
好ましい。また、エッジライト型のバックライトを用いると、バックライトを含めたタッ
チパネルモジュールの厚さを低減できるため好ましい。
【0290】
反射型の液晶素子を用いる場合には、表示面側に偏光板を設ける。またこれとは別に、
表示面側に光拡散板を配置すると、視認性を向上させられるため好ましい。
【0291】
〔接着層〕
接着層としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着
剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としては
エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミ
ド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、E
VA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性
が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を
用いてもよい。
【0292】
また、上記樹脂に乾燥剤を含んでいてもよい。例えば、アルカリ土類金属の酸化物(酸
化カルシウムや酸化バリウム等)のように、化学吸着によって水分を吸着する物質を用い
ることができる。または、ゼオライトやシリカゲル等のように、物理吸着によって水分を
吸着する物質を用いてもよい。乾燥剤が含まれていると、水分などの不純物が素子に侵入
することを抑制でき、表示パネルの信頼性が向上するため好ましい。
【0293】
また、上記樹脂に屈折率の高いフィラーや光散乱部材を混合することにより、光取り出
し効率を向上させることができる。例えば、酸化チタン、酸化バリウム、ゼオライト、ジ
ルコニウム等を用いることができる。
【0294】
〔接続層〕
接続層としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Condu
ctive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic C
onductive Paste)などを用いることができる。
【0295】
〔着色層〕
着色層に用いることのできる材料としては、金属材料、樹脂材料、顔料または染料が含
まれた樹脂材料などが挙げられる。
【0296】
〔遮光層〕
遮光層として用いることのできる材料としては、カーボンブラック、金属、金属酸化物
、複数の金属酸化物の固溶体を含む複合酸化物等が挙げられる。また、遮光層に、着色層
の材料を含む膜の積層膜を用いることもできる。例えば、ある色の光を透過する着色層に
用いる材料を含む膜と、他の色の光を透過する着色層に用いる材料を含む膜との積層構造
を用いることができる。着色層と遮光層の材料を共通化することで、装置を共通化できる
ほか工程を簡略化できるため好ましい。
【0297】
以上が各構成要素についての説明である。
【0298】
[構成例2]
以下では、本発明の一態様の表示装置の例として、入出力装置(タッチパネル)、入力
装置(タッチセンサ)等の構成例について説明する。
【0299】
ここで、本明細書等において、表示装置の一態様である表示パネルは表示面に画像等を
表示(出力)する機能を有するものである。したがって表示パネルは出力装置の一態様で
ある。
【0300】
また、本明細書等では、表示パネルの基板に、例えばFPC(Flexible Pr
inted Circuit)もしくはTCP(Tape Carrier Packa
ge)などのコネクターが取り付けられたもの、または基板にCOG(Chip On
Glass)方式等によりIC(集積回路)が実装されたものを、表示パネルモジュール
、表示モジュール、または単に表示パネルなどと呼ぶ場合がある。
【0301】
また、本明細書等において、タッチセンサは指やスタイラスなどの被検知体が触れる、
または近接することを検知する機能を有するものである。したがってタッチセンサは入力
装置の一態様である。
【0302】
また、本明細書等では、タッチセンサを有する基板を、タッチセンサパネル、または単
にタッチセンサなどと呼ぶ場合がある。また、本明細書等では、タッチセンサパネルの基
板に、例えばFPCもしくはTCPなどのコネクターが取り付けられたもの、または基板
にCOG方式等によりICが実装されたものを、タッチセンサパネルモジュール、タッチ
センサモジュール、センサモジュール、または単にタッチセンサなどと呼ぶ場合がある。
【0303】
なお、本明細書等において、表示装置の一態様であるタッチパネルは表示面に画像等を
表示(出力)する機能と、表示面に指やスタイラスなどの被検知体が触れる、または近接
することを検知するタッチセンサとしての機能と、を有する。したがってタッチパネルは
入出力装置の一態様である。
【0304】
タッチパネルは、例えばタッチセンサ付き表示パネル(または表示装置)、タッチセン
サ機能つき表示パネル(または表示装置)とも呼ぶことができる。
【0305】
タッチパネルは、表示パネルとタッチセンサパネルとを有する構成とすることもできる
。または、表示パネルの内部にタッチセンサとしての機能を有する構成とすることもでき
る。
【0306】
また、本明細書等では、タッチパネルの基板に、例えばFPCもしくはTCPなどのコ
ネクターが取り付けられたもの、または基板にCOG方式等によりICが実装されたもの
を、タッチパネルモジュール、表示モジュール、または単にタッチパネルなどと呼ぶ場合
がある。
【0307】
〔タッチセンサの構成例〕
以下では、入力装置(タッチセンサ)の構成例について、図面を参照して説明する。
【0308】
図11(A)に、入力装置150の上面概略図を示す。入力装置150は、基板160
上に複数の電極151、複数の電極152、複数の配線155、複数の配線156を有す
る。また基板160には、複数の電極151及び複数の電極152の各々と電気的に接続
するFPC(Flexible Printed Circuit)157が設けられて
いる。また、
図11(A)では、FPC157にIC158が設けられている例を示して
いる。
【0309】
図11(B)に、
図11(A)中の一点鎖線で囲った領域の拡大図を示す。電極151
は、複数の菱形の電極パターンが、紙面横方向に連なった形状を有している。一列に並ん
だ菱形の電極パターンは、それぞれ電気的に接続されている。また電極152も同様に、
複数の菱形の電極パターンが、紙面縦方向に連なった形状を有し、一列に並んだ菱形の電
極パターンはそれぞれ電気的に接続されている。また、電極151と、電極152とはこ
れらの一部が重畳し、互いに交差している。この交差部分では電極151と電極152と
が電気的に短絡(ショート)しないように、絶縁体が挟持されている。
【0310】
また
図11(C)に示すように、菱形の形状を有する複数の電極152が、ブリッジ電
極153によって接続された構成としてもよい。島状の電極152は、縦方向に並べて配
置され、ブリッジ電極153により隣接する2つの電極152が電気的に接続されている
。このような構成とすることで、電極151と、電極152を同一の導電膜を加工するこ
とで同時に形成することができる。そのためこれらの膜厚のばらつきを抑制することがで
き、それぞれの電極の抵抗値や光透過率が場所によってばらつくことを抑制できる。なお
、ここでは電極152がブリッジ電極153を有する構成としたが、電極151がこのよ
うな構成であってもよい。
【0311】
また、
図11(D)に示すように、
図11(B)で示した電極151及び電極152の
菱形の電極パターンの内側をくりぬいて、輪郭部のみを残したような形状としてもよい。
このとき、電極151及び電極152の幅が、使用者から視認されない程度に細い場合に
は、後述するように電極151及び電極152に金属や合金などの遮光性の材料を用いて
もよい。また、
図11(D)に示す電極151または電極152が、上記ブリッジ電極1
53を有する構成としてもよい。
【0312】
1つの電極151は、1つの配線155と電気的に接続している。また1つの電極15
2は、1つの配線156と電気的に接続している。ここで、電極151と電極152のい
ずれか一方が、行配線に相当し、いずれか他方が列配線に相当する。
【0313】
IC158は、タッチセンサを駆動する機能を有する。IC158から出力された信号
は配線155または配線156を介して、電極151または電極152のいずれかに供給
される。また電極151または電極152のいずれかに流れる電流(または電位)が、配
線155または配線156を介してIC158に入力される。
【0314】
ここで、入力装置150を表示パネルの表示面に重ねて、タッチパネルを構成する場合
には、電極151及び電極152に透光性を有する導電性材料を用いることが好ましい。
また、電極151及び電極152に透光性の導電性材料を用い、表示パネルからの光を電
極151または電極152を介して取り出す場合には、電極151と電極152との間に
、同一の導電性材料を含む導電膜をダミーパターンとして配置することが好ましい。この
ように、電極151と電極152との間の隙間の一部をダミーパターンにより埋めること
により、光透過率のばらつきを低減できる。その結果、入力装置150を透過する光の輝
度ムラを低減することができる。
【0315】
透光性を有する導電性材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウ
ム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物を用いること
ができる。なお、グラフェンを含む膜を用いることもできる。グラフェンを含む膜は、例
えば膜状に形成された酸化グラフェンを含む膜を還元して形成することができる。還元す
る方法としては、熱を加える方法等を挙げることができる。
【0316】
または、透光性を有する程度に薄い金属または合金を用いることができる。例えば、金
、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバル
ト、銅、パラジウム、またはチタンなどの金属や、該金属を含む合金を用いることができ
る。または、該金属または合金の窒化物(例えば、窒化チタン)などを用いてもよい。ま
た、上述した材料を含む導電膜のうち、2以上を積層した積層膜を用いてもよい。
【0317】
また、電極151及び電極152には、使用者から視認されない程度に細く加工された
導電膜を用いてもよい。例えば、このような導電膜を格子状(メッシュ状)に加工するこ
とで、高い導電性と表示装置の高い視認性を得ることができる。このとき、導電膜は30
nm以上100μm以下、好ましくは50nm以上50μm以下、より好ましくは50n
m以上20μm以下の幅である部分を有することが好ましい。特に、10μm以下のパタ
ーン幅を有する導電膜は、使用者が視認することが極めて困難となるため好ましい。
【0318】
一例として、
図12(A)乃至(D)に、電極151または電極152の一部を拡大し
た概略図を示している。
図12(A)は、格子状の導電膜146を用いた場合の例を示し
ている。このとき、導電膜146を、表示装置が有する表示素子と重ならないように配置
することで、表示装置からの光を遮光することがないため好ましい。その場合、格子の向
きを表示素子の配列と同じ向きとし、また格子の周期を表示素子の配列の周期の整数倍と
することが好ましい。
【0319】
また、
図12(B)には、三角形の開口が形成されるように加工された格子状の導電膜
147の例を示している。このような構成とすることで、
図12(A)に示した場合に比
べて抵抗をより低くすることが可能となる。
【0320】
また、
図12(C)に示すように、周期性を有さないパターン形状を有する導電膜14
8としてもよい。このような構成とすることで、表示装置の表示部と重ねたときにモアレ
が生じることを抑制できる。
【0321】
また、電極151及び電極152に、導電性のナノワイヤを用いてもよい。
図12(D
)には、ナノワイヤ149を用いた場合の例を示している。隣接するナノワイヤ149同
士が接触するように、適当な密度で分散することにより、2次元的なネットワークが形成
され、極めて透光性の高い導電膜として機能させることができる。例えば直径の平均値が
1nm以上100nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下、より好ましくは5nm
以上25nm以下のナノワイヤを用いることができる。ナノワイヤ149としては、Ag
ナノワイヤや、Cuナノワイヤ、Alナノワイヤ等の金属ナノワイヤ、または、カーボン
ナノチューブなどを用いることができる。例えばAgナノワイヤの場合、光透過率は89
%以上、シート抵抗値は40Ω/□以上100Ω/□以下を実現することができる。
【0322】
以上がタッチセンサの構成例についての説明である。
【0323】
〔タッチパネルの構成例〕
以下では、本発明の一態様の表示装置の例として、タッチパネルの構成例について、図
面を参照して説明する。
【0324】
図13(A)は、タッチパネル100の斜視概略図である。また
図13(B)は、一対
の基板を分離した斜視概略図である。なお明瞭化のため、代表的な構成要素のみを示して
いる。また
図13(B)では、基板31を破線で輪郭のみ明示している。
【0325】
タッチパネル100は、入力装置150が設けられた基板31と基板21を有し、これ
らが重ねて設けられている。基板21側の構成については、上記構成例1等を援用するこ
とができる。
【0326】
入力装置150の構成は、上記タッチセンサの構成例を援用できる。
図13(A)(B
)では、入力装置150が複数の電極151、複数の電極152、複数の配線155、複
数の配線156を有する場合を示している。
【0327】
入力装置150としては、例えば静電容量方式のタッチセンサを適用できる。静電容量
方式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等がある。また投影型静電容量
方式としては、自己容量方式、相互容量方式等がある。相互容量方式を用いると、同時多
点検出が可能となるため好ましい。以下では、投影型静電容量方式のタッチセンサを適用
する場合について説明する。
【0328】
なお、これに限られず、指やスタイラスなどの被検知体の近接、または接触を検知する
ことのできる様々なセンサを入力装置150に適用することもできる。
【0329】
図13(A)(B)に示すタッチパネル100は、基板31に入力装置150が設けら
れている。また入力装置150の配線155及び配線156等は、接続部169を介して
基板21側に接続されたFPC42と電気的に接続する。
【0330】
このような構成とすることで、タッチパネル100に接続するFPCを1つの基板側(
ここでは基板21側)にのみ配置することができる。また、タッチパネル100に2以上
のFPCを取り付ける構成としてもよいが、
図13(A)(B)に示すように、タッチパ
ネル100には1つのFPC42を設け、当該FPC42が、基板21側と基板31側の
両方に信号を供給する構成とすると、より部品点数を削減でき、構成を簡略化できるため
好ましい。
【0331】
接続部169には、例えば異方性の導電性を有する接続体が設けられている構成とする
ことができる。接続体としては、例えば導電性の粒子を用いることができる。導電性の粒
子としては、有機樹脂またはシリカなどの粒子の表面を金属材料で被覆したものを用いる
ことができる。金属材料としてニッケルや金を用いると接触抵抗を低減できるため好まし
い。またニッケルをさらに金で被覆するなど、2種類以上の金属材料を層状に被覆させた
粒子を用いることが好ましい。また接続体として弾性変形、または塑性変形する材料を用
いることが好ましい。このとき導電性の粒子は上下方向に潰れた形状となる場合がある。
こうすることで接続体と、これと電気的に接続する導電層との接触面積が増大し、接触抵
抗が低減できるほか、接続不良などの不具合の発生を抑制できる。
【0332】
また接続体は基板21と基板31を接着する接着層141(図示しない)に覆われるよ
うに配置することが好ましい。例えば接着層141となるペースト等を塗布した後に、接
続部169に接続体を散布すれよい。接着層141が設けられる部分に接続部169を配
置することで、接着層141を表示部32上にも配置する構成(固体封止構造ともいう)
だけでなく、例えば中空封止構造の発光装置や、液晶表示装置等、接着層141を周辺に
用いる構成であれば同様に適用することができる。
【0333】
また、
図13(A)(B)では、
図1(A)と異なり、IC168をFPC42に実装
した場合の例を示している。このとき、IC168は入力装置150を駆動する機能を有
していてもよいし、入力装置150を駆動するICを基板21、基板31、またはFPC
42等に、別途設けてもよい。
【0334】
〔断面構成例〕
続いて、タッチパネル100の断面構成の例について説明する。
図14は、タッチパネ
ル100の断面概略図である。
図14は、
図9と比較して、接着層141よりも基板31
側の構成が主に相違している。
【0335】
基板31の基板21側の面上に、絶縁層161、絶縁層162、絶縁層163、絶縁層
164等が積層して設けられている。絶縁層161と絶縁層162の間には遮光層133
が設けられている。絶縁層162と絶縁層163の間に、電極151、電極152等が設
けられている。絶縁層163と絶縁層164の間に、ブリッジ電極153が設けられてい
る。絶縁層164の接着層141側の面には、着色層131a、着色層131b、遮光層
132等が設けられている。
【0336】
図14では、電極151と電極152の交差部を明示している。ブリッジ電極153は
、絶縁層163に設けられた開口を介して、電極152を挟む2つの電極151と電気的
に接続されている。
【0337】
電極151や電極152は、遮光層132と重なる位置に設けられている。また、
図1
4では、電極151が発光素子40と重ならないように配置されている例を示している。
言い換えると、電極151は、発光素子40と重なる開口を有するメッシュ形状を有する
。このような構成とすることで、発光素子40が発する光の経路上に電極151が配置さ
れないため、電極151を配置することによる輝度の低下は実質的に生じず、視認性が高
く、且つ消費電力が低減されたタッチパネルを実現できる。なお、電極152も同様の構
成とすることができる。
【0338】
また、電極151や電極152が発光素子40と重ならないため、これらに比較的低抵
抗な金属材料を用いることができる。そのため、電極151や電極152に透光性の導電
性材料を用いた場合に比べて、タッチセンサの感度を向上させることができる。
【0339】
また、
図14では、電極151と電極152(及びブリッジ電極153)よりも基板3
1側に、これらと重ねて遮光層133が設けられている例を示している。遮光層133に
より、電極151等に金属材料を用いた場合であっても、これらの外光反射を抑制できる
ため、より視認性の高いタッチパネルを実現できる。なお、ここでは遮光層132と遮光
層133の2つの遮光層を設ける例を示したが、いずれか一方のみを配置する構成として
もよい。
【0340】
また、基板31上の偏光板130を設けず、基板31を指またはスタイラスなどの被検
知体が直接触れる基板として用いてもよい。このとき、基板31上に保護層(セラミック
コート等)を設けることが好ましい。保護層は、例えば酸化シリコン、酸化アルミニウム
、酸化イットリウム、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)などの無機絶縁材料を用い
ることができる。また、基板31に強化ガラスを用いてもよい。強化ガラスは、イオン交
換法や風冷強化法等により物理的、または化学的な処理が施され、その表面に圧縮応力を
加えたものを用いることができる。タッチセンサを強化ガラスの一面に設け、その反対側
の面を例えば電子機器の最表面に設けてタッチ面として用いることにより、機器全体の厚
さを低減することができる。
【0341】
図14に示すように、発光素子40、複数のトランジスタ、及びタッチセンサを構成す
る電極等を、基板21と基板31の間に配置することで、部品点数が削減されたタッチパ
ネルを実現することができる。
【0342】
なお、タッチパネル100の構成はこれに限られず、例えば入力装置150が設けられ
た基板を、例えば
図1(A)等に示す表示装置10と重ねてタッチパネルを構成してもよ
い。
【0343】
図15に、タッチセンサを構成する電極151及び電極152等を、基板31の基板2
1側とは反対側に形成した例を示している。このような構成を、オンセル型のタッチパネ
ルと呼ぶことができる。
【0344】
基板31上には、電極151、電極152が形成され、これらを覆って絶縁層163が
設けられている。また絶縁層163上にブリッジ電極153が設けられている。
【0345】
基板170は、タッチ面として機能する基板であり、例えばタッチパネルを電子機器に
組み込んだ際の筐体の一部、または保護ガラスなどとして機能する。基板170と基板3
1とは、接着層165によって貼り合わされている。
【0346】
ここで、
図15では、電極151が遮光層132と重なる領域だけでなく、発光素子4
0、着色層131a等と重なる領域にも配置されている例を示している。このとき、電極
151には、可視光を透過する材料を用いることができる。例えば金属酸化物を含む膜や
、グラフェンを含む膜、または金属や合金を含み、可視光を透過する程度に薄い膜などを
、電極151に用いることができる。なお、電極152についても同様である。また、ブ
リッジ電極153も同様の可視光を透過する材料を用いてもよいが、ブリッジ電極153
が遮光層132と重ねて配置される場合や、ブリッジ電極153の面積が極めて小さい場
合には、金属や合金など、可視光を遮光する材料を用いてもよい。
【0347】
以上がタッチパネルの断面構成例についての説明である。
【0348】
[構成例3]
以下では、本発明の一態様の表示装置の例として、反射型の液晶素子と、発光素子の両
方を有し、透過モードと反射モードの両方の表示を行うことのできる、表示装置(表示パ
ネル)の例を説明する。このような表示パネルを、TR-hybrid display
(Transmissive OLED and Reflective LC Hyb
rid display)とも呼ぶことができる。
【0349】
このような表示パネルの一例としては、可視光を反射する電極を備える液晶素子と、発
光素子とを積層して配置した構成が挙げられる。このとき、可視光を反射する電極が開口
を有し、当該開口と発光素子とが重ねて配置されていることが好ましい。これにより、透
過モードでは当該開口を介して発光素子からの光が射出されるように駆動することができ
る。また、液晶素子を駆動するトランジスタと、発光素子を構成するトランジスタとが、
同一平面上に配置されていることが好ましい。また、発光素子と液晶素子とは、絶縁層を
介して積層されていることが好ましい。
【0350】
このような表示パネルは、屋外など外光の明るい場所では反射モードで表示することに
より、極めて電力消費が低い駆動を行うことができる。また夜間や室内など外光が暗い場
所では、透過モードで表示することにより、最適な輝度で画像を表示することができる。
さらに、透過モードと反射モードの両方のモードで表示することにより、極めて外光が明
るい場所であっても従来の表示パネルに比べて、低い消費電力で、且つコントラストの高
い表示を行うことができる。
【0351】
〔構成例〕
図16(A)は、表示装置200の構成の一例を示すブロック図である。表示装置20
0は、表示部32にマトリクス状に配列した複数の画素210を有する。また表示装置2
00は、回路GDと、回路SDを有する。また方向Rに配列した複数の画素210、及び
回路GDと電気的に接続する複数の配線G1、複数の配線G2、複数の配線ANO、及び
複数の配線CSCOMを有する。また方向Cに配列した複数の画素210、及び回路SD
と電気的に接続する複数の配線S1及び複数の配線S2を有する。
【0352】
画素210は、反射型の液晶素子と、発光素子を有する。画素210において、液晶素
子と発光素子とは、互いに重なる部分を有する。
【0353】
図16(B1)は、画素210が有する導電層191の構成例を示す。導電層191は
、画素210における液晶素子の反射電極として機能する。また導電層191には、開口
251が設けられている。
【0354】
図16(B1)には、導電層191と重なる領域に位置する発光素子40を破線で示し
ている。発光素子40は、導電層191が有する開口251と重ねて配置されている。こ
れにより、発光素子40が発する光は、開口251を介して表示面側に射出される。
【0355】
図16(B1)では、方向Rに隣接する画素210が異なる色に対応する画素である。
このとき、
図16(B1)に示すように、方向Rに隣接する2つの画素において、開口2
51が一列に配列されないように、導電層191の異なる位置に設けられていることが好
ましい。これにより、2つの発光素子40を離すことが可能で、発光素子40が発する光
が隣接する画素210が有する着色層に入射してしまう現象(クロストークともいう)を
抑制することができる。また、隣接する2つの発光素子40を離して配置することができ
るため、発光素子40のEL層をシャドウマスク等により作り分ける場合であっても、高
い精細度の表示装置を実現できる。
【0356】
また、
図16(B2)に示すような配列としてもよい。
【0357】
非開口部の総面積に対する開口251の総面積の比の値が大きすぎると、液晶素子を用
いた表示が暗くなってしまう。また、非開口部の総面積に対する開口251の総面積の比
の値が小さすぎると、発光素子40を用いた表示が暗くなってしまう。
【0358】
また、反射電極として機能する導電層191に設ける開口251の面積が小さすぎると
、発光素子40が射出する光から取り出せる光の効率が低下してしまう。
【0359】
開口251の形状は、例えば多角形、四角形、楕円形、円形または十字等の形状とする
ことができる。また、細長い筋状、スリット状、市松模様状の形状としてもよい。また、
開口251を隣接する画素に寄せて配置してもよい。好ましくは、開口251を同じ色を
表示する他の画素に寄せて配置する。これにより、クロストークを抑制できる。
【0360】
〔回路構成例〕
図17は、画素210の構成例を示す回路図である。
図17では、隣接する2つの画素
210を示している。
【0361】
画素210は、スイッチSW1、容量素子C1、液晶素子60、スイッチSW2、トラ
ンジスタM、容量素子C2、及び発光素子40等を有する。また、画素210には、配線
G1、配線G2、配線ANO、配線CSCOM、配線S1、及び配線S2が電気的に接続
されている。また、
図17では、液晶素子60と電気的に接続する配線VCOM1、及び
発光素子40と電気的に接続する配線VCOM2を示している。
【0362】
図17では、スイッチSW1及びスイッチSW2に、トランジスタを用いた場合の例を
示している。
【0363】
スイッチSW1は、ゲートが配線G1と接続され、ソース又はドレインの一方が配線S
1と接続され、ソース又はドレインの他方が容量素子C1の一方の電極、及び液晶素子6
0の一方の電極と接続されている。容量素子C1は、他方の電極が配線CSCOMと接続
されている。液晶素子60は、他方の電極が配線VCOM1と接続されている。
【0364】
またスイッチSW2は、ゲートが配線G2と接続され、ソース又はドレインの一方が配
線S2と接続され、ソース又はドレインの他方が、容量素子C2の一方の電極、トランジ
スタMのゲートと接続されている。容量素子C2は、他方の電極がトランジスタMのソー
ス又はドレインの一方、及び配線ANOと接続されている。トランジスタMは、ソース又
はドレインの他方が発光素子40の一方の電極と接続されている。発光素子40は、他方
の電極が配線VCOM2と接続されている。
【0365】
図17では、トランジスタMが半導体を挟む2つのゲートを有し、これらが接続されて
いる例を示している。これにより、トランジスタMが流すことのできる電流を増大させる
ことができる。
【0366】
配線G1には、スイッチSW1を導通状態または非導通状態に制御する信号を与えるこ
とができる。配線VCOM1には、所定の電位を与えることができる。配線S1には、液
晶素子60が有する液晶の配向状態を制御する信号を与えることができる。配線CSCO
Mには、所定の電位を与えることができる。
【0367】
配線G2には、スイッチSW2を導通状態または非導通状態に制御する信号を与えるこ
とができる。配線VCOM2及び配線ANOには、発光素子40が発光する電位差が生じ
る電位をそれぞれ与えることができる。配線S2には、トランジスタMの導通状態を制御
する信号を与えることができる。
【0368】
図17に示す画素210は、例えば反射モードの表示を行う場合には、配線G1及び配
線S1に与える信号により駆動し、液晶素子60による光学変調を利用して表示すること
ができる。また、透過モードで表示を行う場合には、配線G2及び配線S2に与える信号
により駆動し、発光素子40を発光させて表示することができる。また両方のモードで駆
動する場合には、配線G1、配線G2、配線S1及び配線S2のそれぞれに与える信号に
より駆動することができる。
【0369】
〔表示装置の断面構成例〕
図18に、表示装置200の断面概略図を示す。
【0370】
表示装置200は、基板21と基板31の間に、絶縁層220を有する。また基板21
と絶縁層220の間に、発光素子40、トランジスタ205、トランジスタ206、着色
層134等を有する。また、絶縁層220と基板31の間に、液晶素子60、着色層13
1、構造体11等を有する。
【0371】
基板21と絶縁層220とは、接着層141で貼り合わされている。また基板31と絶
縁層220は液晶を封止する接着層142で貼り合わされている。
【0372】
液晶素子60は反射型の液晶素子である。液晶素子60は、導電層192、液晶193
、及び導電層194の積層構造を有する。また導電層192の基板21側に接して、導電
層191が設けられている。導電層191は液晶素子60の反射電極として機能する。ま
た導電層191は開口251を有する。また導電層192は可視光を透過する材料を含む
。
【0373】
発光素子40は、ボトムエミッション型の発光素子である。発光素子40は、絶縁層2
20側から導電層111、EL層112、及び導電層113の順に積層された積層構造を
有する。導電層113は可視光を反射する材料を含み、導電層111は可視光を透過する
材料を含む。発光素子40が発する光は、着色層134、絶縁層220、開口251、導
電層192等を介して、基板31側に射出される。
【0374】
また、導電層111の端部を覆う絶縁層216上には、構造体12が設けられている。
構造体12は、絶縁層220と基板21が必要以上に接近することを抑制するスペーサと
しての機能を有する。なお、構造体12は不要であれば設けなくてもよい。
【0375】
トランジスタ205のソース又はドレインの一方は、発光素子40の導電層111と電
気的に接続されている。例えばトランジスタ205は、
図17におけるトランジスタMに
対応する。
【0376】
トランジスタ206のソース又はドレインの一方は、端子部207を介して導電層19
1及び導電層192と電気的に接続されている。端子部207は、表示部32内において
絶縁層220に設けられた開口を介して、絶縁層220の両面に設けられる導電層同士を
電気的に接続する機能を有する。例えばトランジスタ206は、
図17におけるスイッチ
SW1に対応する。
【0377】
基板21の基板31と重ならない領域には、端子部204が設けられている。端子部2
04は端子部207と同様に、絶縁層220の両面に設けられる導電層同士を電気的に接
続する。端子部204の上面は、導電層192と同一の導電膜を加工して得られた導電層
が露出している。これにより、端子部204とFPC42とが接続層242を介して電気
的に接続することができる。
【0378】
基板31の基板21側には、着色層131、遮光層132が設けられている。また着色
層131及び遮光層132を覆う絶縁層195が設けられている。絶縁層195は、オー
バーコートとしての機能を有する。また、絶縁層195の基板21側に導電層194が設
けられている。
【0379】
また、接着層142が設けられる一部の領域には、接続部252が設けられている。接
続部252において、導電層192と同一の導電膜を加工して得られた導電層と、導電層
194の一部が、接続体243によって電気的に接続されている。したがって、基板31
側に形成された導電層194に、基板21側に接続されたFPC42から入力される信号
または電位を、接続部252を介して供給することができる。
【0380】
導電層192と導電層194の間に、構造体11が設けられている。構造体11は、液
晶素子60のセルギャップを保持する機能を有する。ここでは
図7(A)とは逆に、構造
体11が基板31側に形成されている例を示している。また絶縁層195の表面には凹部
が設けられ、構造体11は当該凹部と重なる位置に形成されている。また構造体11の上
面(表示面側に位置する表面の一部)が、着色層131の下面よりも上側に位置している
。したがって、基板21と基板31の距離を小さくすることが可能であり、視野角特性を
向上させることができる。
【0381】
なお、ここでは図示しないが、導電層194と液晶193の間、及び導電層192と液
晶193の間には、液晶193の配向を制御する配向膜が設けられていてもよい。この時
、配向膜の一部は、構造体11の表面を覆って設けられていてもよい。
【0382】
表示装置200を作製する方法の一例について説明する。例えば剥離層を有する支持基
板上に、導電層192、導電層191、絶縁層220を順に形成し、その後トランジスタ
205や発光素子40等を形成した後、接着層141を用いて基板21と支持基板を貼り
合せる。その後、剥離層と絶縁層220、及び剥離層と導電層192のそれぞれの界面で
剥離することにより、支持基板及び剥離層を除去する。またこれとは別に、着色層131
、遮光層132、構造体11等をあらかじめ形成した基板31を準備する。そして基板2
1または基板31に液晶193を滴下し、接着層142により基板21と基板31を貼り
合せることで、表示装置200を作製することができる。
【0383】
剥離層としては、絶縁層220及び導電層192との界面で剥離が生じる材料を適宜選
択することができる。特に、剥離層としてタングステンなどの高融点金属材料を含む層と
当該金属材料の酸化物を含む層を積層して用い、剥離層上の絶縁層220として、窒化シ
リコンや酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン等を複数積層した層を用いることが好まし
い。剥離層に高融点金属材料を用いると、これよりも後に形成する層の形成温度を高める
ことが可能で、不純物の濃度が低減され、信頼性の高い表示装置を実現できる。
【0384】
導電層192としては、金属酸化物、金属窒化物、または低抵抗化された酸化物半導体
等の酸化物を用いることが好ましい。酸化物半導体を用いる場合には、水素、ボロン、リ
ン、窒素、及びその他の不純物の濃度、並びに酸素欠損量の少なくとも一が、トランジス
タに用いる半導体層に比べて高められた材料を、導電層192に用いればよい。
【0385】
以上が構成例3についての説明である。
【0386】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0387】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置に適用可能な入力装置(タッチセンサ)
の駆動方法の例について説明する。
【0388】
図19(A)は、相互容量方式のタッチセンサの構成を示すブロック図である。
図19
(A)では、パルス電圧出力回路601、電流検出回路602を示している。なお
図19
(A)では、パルスが与えられる電極621、電流の変化を検知する電極622をそれぞ
れ配線X1-X6、配線Y1-Y6の6本の配線として示している。なお、電極の数は、
これに限られない。また
図19(A)は、電極621および電極622が重畳すること、
または電極621および電極622が近接して配置されることで形成される容量603を
図示している。なお、電極621と電極622とはその機能を互いに置き換えてもよい。
【0389】
例えば、実施の形態1で例示した電極151は電極621及び電極622の一方に対応
し、電極152が電極621及び電極622の他方に対応する。
【0390】
パルス電圧出力回路601は、例えば配線X1-X6に順にパルス電圧を入力するため
の回路である。電流検出回路602は、例えば配線Y1-Y6のそれぞれに流れる電流を
検出するための回路である。
【0391】
配線X1-X6のうち1つにパルス電圧が印加されることで、容量603を形成する電
極621および電極622の間には電界が生じ、電極622に電流が流れる。この電極間
に生じる電界の一部は、指やペンなど被検知体が近接または接触することにより遮蔽され
、電極間に生じる電界の強さが変化する。その結果、電極622に流れる電流の大きさが
変化する。
【0392】
例えば、被検知体の近接、または接触がない場合、配線Y1-Y6に流れる電流の大き
さは容量603の大きさに応じた値となる。一方、被検知体の近接、または接触により電
界の一部が遮蔽された場合には、配線Y1-Y6に流れる電流の大きさが減少する変化を
検出する。このことを利用して、被検知体の近接、または接触を検出することができる。
【0393】
なお電流検出回路602は、1本の配線に流れる電流の(時間的な)積分値を検出して
もよい。その場合には、例えば積分回路等を用いて検出を行えばよい。または、電流のピ
ーク値を検出してもよい。その場合には、例えば電流を電圧に変換して、電圧値のピーク
値を検出してもよい。
【0394】
図19(B)には、
図19(A)に示す相互容量方式のタッチセンサにおける入出力波
形のタイミングチャートの例を示す。
図19(B)では、1センシング期間で各行列の検
出を行うものとする。また
図19(B)では、被検知体の接触または近接を検出しない場
合(非タッチ時)と、被検知体の接触または近接を検出した場合(タッチ時)の2つの場
合を並べて示している。ここで、配線Y1-Y6については、検出される電流の大きさに
対応する電圧の波形を示している。
【0395】
図19(B)に示すように、配線X1-X6には順次パルス電圧が与えられる。これに
応じて、配線Y1-Y6の配線に電流が流れる。非タッチ時では、配線X1-X6の配線
の電圧の変化に応じて、配線Y1-Y6には同様の電流が流れるため、配線Y1-Y6の
それぞれの出力波形は同様な波形となる。一方、タッチ時では、配線Y1-Y6のうち、
被検知体が接触、または近接する箇所に位置する配線に流れる電流が減少するため、
図1
9(B)に示すように、出力波形が変化する。
【0396】
図19(B)では、配線X3と配線Y3とが交差する箇所またはその近傍に、被検知体
が接触または近接した場合の例を示している。
【0397】
このように、相互容量方式では一対の電極間に生じる電界が遮蔽されることに起因する
電流の変化を検出することにより、被検知体の位置情報を取得することができる。なお、
検出感度が高い場合には、被検知体が検知面(例えばタッチパネルの表面)から離れてい
ても、その座標を検出することもできる。
【0398】
また、タッチパネルにおいては、表示部の表示期間と、タッチセンサのセンシング期間
とをずらした駆動方法を用いることにより、タッチセンサの検出感度を高めることができ
る。例えば、表示の1フレーム期間の間に、表示期間と、センシング期間を分けて行えば
よい。またこのとき、1フレーム期間中に2以上のセンシング期間を設けることが好まし
い。センシングの頻度を増やすことで、検出感度をより高めることができる。
【0399】
またパルス電圧出力回路601及び電流検出回路602は、例えば1個のICチップの
中に形成されていることが好ましい。当該ICは、例えばタッチパネルに実装されること
、若しくは電子機器の筐体内の基板に実装されることが好ましい。また可撓性を有するタ
ッチパネルとする場合には、曲げた部分では寄生容量が増大し、ノイズの影響が大きくな
ってしまう恐れがあるため、ノイズの影響を受けにくい駆動方法が適用されたICを用い
ることが好ましい。例えばシグナル-ノイズ比(S/N比)を高める駆動方法が適用され
たICを用いることが好ましい。
【0400】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0401】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態に示した各トランジスタに置き換えて用いることの
できるトランジスタの一例について、図面を用いて説明する。
【0402】
本発明の一態様の表示装置は、ボトムゲート型のトランジスタや、トップゲート型トラ
ンジスタなどの様々な形態のトランジスタを用いて作製することができる。よって、既存
の製造ラインに合わせて、使用する半導体層の材料やトランジスタ構造を容易に置き換え
ることができる。
【0403】
〔ボトムゲート型トランジスタ〕
図20(A1)は、ボトムゲート型のトランジスタの一種であるチャネル保護型のトラ
ンジスタ810の断面図である。
図20(A1)において、トランジスタ810は基板7
71上に形成されている。また、トランジスタ810は、基板771上に絶縁層772を
介して電極746を有する。また、電極746上に絶縁層726を介して半導体層742
を有する。電極746はゲート電極として機能できる。絶縁層726はゲート絶縁層とし
て機能できる。
【0404】
また、半導体層742のチャネル形成領域上に絶縁層741を有する。また、半導体層
742の一部と接して、絶縁層726上に電極744aおよび電極744bを有する。電
極744aは、ソース電極またはドレイン電極の一方として機能できる。電極744bは
、ソース電極またはドレイン電極の他方として機能できる。電極744aの一部、および
電極744bの一部は、絶縁層741上に形成される。
【0405】
絶縁層741は、チャネル保護層として機能できる。チャネル形成領域上に絶縁層74
1を設けることで、電極744aおよび電極744bの形成時に生じる半導体層742の
露出を防ぐことができる。よって、電極744aおよび電極744bの形成時に、半導体
層742のチャネル形成領域がエッチングされることを防ぐことができる。本発明の一態
様によれば、電気特性の良好なトランジスタを実現することができる。
【0406】
また、トランジスタ810は、電極744a、電極744bおよび絶縁層741上に絶
縁層728を有し、絶縁層728の上に絶縁層729を有する。
【0407】
例えば、絶縁層772は、絶縁層722や絶縁層705と同様の材料および方法を用い
て形成することができる。なお、絶縁層772は複数の絶縁層の積層であってもよい。ま
た、例えば、半導体層742は、半導体層708と同様の材料および方法を用いて形成す
ることができる。なお、半導体層742は複数の半導体層の積層であってもよい。また、
例えば、電極746は、電極706と同様の材料および方法を用いて形成することができ
る。なお、電極746は複数の導電層の積層であってもよい。また、例えば、絶縁層72
6は、絶縁層707と同様の材料および方法を用いて形成することができる。なお、絶縁
層726は複数の絶縁層の積層であってもよい。また、例えば、電極744aおよび電極
744bは、電極714または電極715と同様の材料および方法を用いて形成すること
ができる。なお、電極744aおよび電極744bは複数の導電層の積層であってもよい
。また、例えば、絶縁層741は、絶縁層726と同様の材料および方法を用いて形成す
ることができる。なお、絶縁層741は複数の絶縁層の積層であってもよい。また、例え
ば、絶縁層728は、絶縁層710と同様の材料および方法を用いて形成することができ
る。なお、絶縁層728は複数の絶縁層の積層であってもよい。また、例えば、絶縁層7
29は、絶縁層711と同様の材料および方法を用いて形成することができる。なお、絶
縁層729は複数の絶縁層の積層であってもよい。
【0408】
本実施の形態で開示するトランジスタを構成する電極、半導体層、絶縁層などは、他の
実施の形態に開示した材料および方法を用いて形成することができる。
【0409】
半導体層742に酸化物半導体を用いる場合、電極744aおよび電極744bの、少
なくとも半導体層742と接する部分に、半導体層742の一部から酸素を奪い、酸素欠
損を生じさせることが可能な材料を用いることが好ましい。半導体層742中の酸素欠損
が生じた領域はキャリア濃度が増加し、当該領域はn型化し、n型領域(n+層)となる
。したがって、当該領域はソース領域またはドレイン領域として機能することができる。
半導体層742に酸化物半導体を用いる場合、半導体層742から酸素を奪い、酸素欠損
を生じさせることが可能な材料の一例として、タングステン、チタン等を挙げることがで
きる。
【0410】
半導体層742にソース領域およびドレイン領域が形成されることにより、電極744
aおよび電極744bと半導体層742の接触抵抗を低減することができる。よって、電
界効果移動度や、しきい値電圧などの、トランジスタの電気特性を良好なものとすること
ができる。
【0411】
半導体層742にシリコンなどの半導体を用いる場合は、半導体層742と電極744
aの間、および半導体層742と電極744bの間に、n型半導体またはp型半導体とし
て機能する層を設けることが好ましい。n型半導体またはp型半導体として機能する層は
、トランジスタのソース領域またはドレイン領域として機能することができる。
【0412】
絶縁層729は、外部からのトランジスタへの不純物の拡散を防ぐ、または低減する機
能を有する材料を用いて形成することが好ましい。なお、必要に応じて絶縁層729を省
略することもできる。
【0413】
なお、半導体層742に酸化物半導体を用いる場合、絶縁層729の形成前または形成
後、もしくは絶縁層729の形成前後に加熱処理を行ってもよい。加熱処理を行うことで
、絶縁層729や他の絶縁層中に含まれる酸素を半導体層742中に拡散させ、半導体層
742中の酸素欠損を補填することができる。または、絶縁層729を加熱しながら成膜
することで、半導体層742中の酸素欠損を補填することができる。
【0414】
なお、一般に、CVD法は、プラズマを利用するプラズマCVD(PECVD:Pla
sma Enhanced CVD)法、熱を利用する熱CVD(TCVD:Therm
al CVD)法などに分類できる。さらに用いる原料ガスによって金属CVD(MCV
D:Metal CVD)法、有機金属CVD(MOCVD:Metal Organi
c CVD)法などに分類できる。
【0415】
また、一般に、蒸着法は、抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法、MBE(Molecula
r Beam Epitaxy)法、PLD(Pulsed Laser Deposi
tion)法、IBAD(Ion Beam Assisted Deposition
)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法などに分類できる
。
【0416】
プラズマCVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。また、MOCVD法や蒸着
法などの、成膜時にプラズマを用いない成膜方法を用いると、被形成面にダメージが生じ
にくく、また、欠陥の少ない膜が得られる。
【0417】
また、一般に、スパッタリング法は、DCスパッタリング法、マグネトロンスパッタリ
ング法、RFスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、ECR(Electr
on Cyclotron Resonance)スパッタリング法、対向ターゲットス
パッタリング法などに分類できる。
【0418】
対向ターゲットスパッタリング法では、プラズマがターゲット間に閉じこめられるため
、基板へのプラズマダメージを低減することができる。また、ターゲットの傾きによって
は、スパッタリング粒子の基板への入射角度を浅くすることができるため、段差被覆性を
高めることができる。
【0419】
図20(A2)に示すトランジスタ811は、絶縁層729上にバックゲート電極とし
て機能できる電極723を有する点が、トランジスタ810と異なる。電極723は、電
極746と同様の材料および方法で形成することができる。
【0420】
一般に、バックゲート電極は導電層で形成され、ゲート電極とバックゲート電極で半導
体層のチャネル形成領域を挟むように配置される。よって、バックゲート電極は、ゲート
電極と同様に機能させることができる。バックゲート電極の電位は、ゲート電極と同電位
としてもよいし、接地電位(GND電位)や、任意の電位としてもよい。また、バックゲ
ート電極の電位をゲート電極と連動させず独立して変化させることで、トランジスタのし
きい値電圧を変化させることができる。
【0421】
電極746および電極723は、どちらもゲート電極として機能することができる。よ
って、絶縁層726、絶縁層728、および絶縁層729は、それぞれがゲート絶縁層と
して機能することができる。なお、電極723は、絶縁層728と絶縁層729の間に設
けてもよい。
【0422】
なお、電極746または電極723の一方を、「ゲート電極」という場合、他方を「バ
ックゲート電極」という。例えば、トランジスタ811において、電極723を「ゲート
電極」と言う場合、電極746を「バックゲート電極」と言う。また、電極723を「ゲ
ート電極」として用いる場合は、トランジスタ811をトップゲート型のトランジスタの
一種と考えることができる。また、電極746および電極723のどちらか一方を、「第
1のゲート電極」といい、他方を「第2のゲート電極」という場合がある。
【0423】
半導体層742を挟んで電極746および電極723を設けることで、更には、電極7
46および電極723を同電位とすることで、半導体層742においてキャリアの流れる
領域が膜厚方向においてより大きくなるため、キャリアの移動量が増加する。この結果、
トランジスタ811のオン電流が大きくなる共に、電界効果移動度が高くなる。
【0424】
したがって、トランジスタ811は、占有面積に対して大きいオン電流を有するトラン
ジスタである。すなわち、求められるオン電流に対して、トランジスタ811の占有面積
を小さくすることができる。本発明の一態様によれば、トランジスタの占有面積を小さく
することができる。よって、本発明の一態様によれば、集積度の高い半導体装置を実現す
ることができる。
【0425】
また、ゲート電極とバックゲート電極は導電層で形成されるため、トランジスタの外部
で生じる電界が、チャネルが形成される半導体層に作用しないようにする機能(特に静電
気などに対する電界遮蔽機能)を有する。なお、バックゲート電極を半導体層よりも大き
く形成し、バックゲート電極で半導体層を覆うことで、電界遮蔽機能を高めることができ
る。
【0426】
また、電極746および電極723は、それぞれが外部からの電界を遮蔽する機能を有
するため、絶縁層772側もしくは電極723上方に生じる荷電粒子等の電荷が半導体層
742のチャネル形成領域に影響しない。この結果、ストレス試験(例えば、ゲートに負
の電荷を印加する-GBT(Gate Bias-Temperature)ストレス試
験)による劣化が抑制される。また、ドレイン電圧の大きさにより、オン電流が流れ始め
るゲート電圧(立ち上がり電圧)が変化する現象を軽減することができる。なお、この効
果は、電極746および電極723が、同電位、または異なる電位の場合において生じる
。
【0427】
なお、BTストレス試験は加速試験の一種であり、長期間の使用によって起こるトラン
ジスタの特性変化(経年変化)を短時間で評価することができる。特に、BTストレス試
験前後におけるトランジスタのしきい値電圧の変動量は、信頼性を調べるための重要な指
標となる。しきい値電圧の変動量が少ないほど、信頼性が高いトランジスタであるといえ
る。
【0428】
また、電極746および電極723を有し、且つ電極746および電極723を同電位
とすることで、しきい値電圧の変動量が低減される。このため、複数のトランジスタにお
ける電気特性のばらつきも同時に低減される。
【0429】
また、バックゲート電極を有するトランジスタは、ゲートに正の電荷を印加する+GB
Tストレス試験前後におけるしきい値電圧の変動も、バックゲート電極を有さないトラン
ジスタより小さい。
【0430】
また、バックゲート電極を、遮光性を有する導電膜で形成することで、バックゲート電
極側から半導体層に光が入射することを防ぐことができる。よって、半導体層の光劣化を
防ぎ、トランジスタのしきい値電圧がシフトするなどの電気特性の劣化を防ぐことができ
る。
【0431】
本発明の一態様によれば、信頼性の良好なトランジスタを実現することができる。また
、信頼性の良好な半導体装置を実現することができる。
【0432】
図20(B1)に、ボトムゲート型のトランジスタの1つであるチャネル保護型のトラ
ンジスタ820の断面図を示す。トランジスタ820は、トランジスタ810とほぼ同様
の構造を有しているが、絶縁層741が半導体層742の端部を覆っている点が異なる。
また、半導体層742と重なる絶縁層741の一部を選択的に除去して形成した開口部に
おいて、半導体層742と電極744aが電気的に接続している。また、半導体層742
と重なる絶縁層741の一部を選択的に除去して形成した他の開口部において、半導体層
742と電極744bが電気的に接続している。絶縁層741の、チャネル形成領域と重
なる領域は、チャネル保護層として機能できる。
【0433】
図20(B2)に示すトランジスタ821は、絶縁層729上にバックゲート電極とし
て機能できる電極723を有する点が、トランジスタ820と異なる。
【0434】
絶縁層741を設けることで、電極744aおよび電極744bの形成時に生じる半導
体層742の露出を防ぐことができる。よって、電極744aおよび電極744bの形成
時に半導体層742の薄膜化を防ぐことができる。
【0435】
また、トランジスタ820およびトランジスタ821は、トランジスタ810およびト
ランジスタ811よりも、電極744aと電極746の間の距離と、電極744bと電極
746の間の距離が長くなる。よって、電極744aと電極746の間に生じる寄生容量
を小さくすることができる。また、電極744bと電極746の間に生じる寄生容量を小
さくすることができる。本発明の一態様によれば、電気特性の良好なトランジスタを実現
できる。
【0436】
図20(C1)に示すトランジスタ825は、ボトムゲート型のトランジスタの1つで
あるチャネルエッチング型のトランジスタである。トランジスタ825は、絶縁層741
を用いずに電極744aおよび電極744bを形成する。このため、電極744aおよび
電極744bの形成時に露出する半導体層742の一部がエッチングされる場合がある。
一方、絶縁層741を設けないため、トランジスタの生産性を高めることができる。
【0437】
図20(C2)に示すトランジスタ826は、絶縁層729上にバックゲート電極とし
て機能できる電極723を有する点が、トランジスタ825と異なる。
【0438】
〔トップゲート型トランジスタ〕
図21(A1)に、トップゲート型のトランジスタの一種であるトランジスタ830の
断面図を示す。トランジスタ830は、絶縁層772の上に半導体層742を有し、半導
体層742および絶縁層772上に、半導体層742の一部に接する電極744a、およ
び半導体層742の一部に接する電極744bを有し、半導体層742、電極744a、
および電極744b上に絶縁層726を有し、絶縁層726上に電極746を有する。
【0439】
トランジスタ830は、電極746および電極744a、並びに、電極746および電
極744bが重ならないため、電極746および電極744aの間に生じる寄生容量、並
びに、電極746および電極744bの間に生じる寄生容量を小さくすることができる。
また、電極746を形成した後に、電極746をマスクとして用いて不純物755を半導
体層742に導入することで、半導体層742中に自己整合(セルフアライメント)的に
不純物領域を形成することができる(
図21(A3)参照)。本発明の一態様によれば、
電気特性の良好なトランジスタを実現することができる。
【0440】
なお、不純物755の導入は、イオン注入装置、イオンドーピング装置またはプラズマ
処理装置を用いて行うことができる。
【0441】
不純物755としては、例えば、第13族元素または第15族元素のうち、少なくとも
一種類の元素を用いることができる。また、半導体層742に酸化物半導体を用いる場合
は、不純物755として、希ガス、水素、および窒素のうち、少なくとも一種類の元素を
用いることも可能である。
【0442】
図21(A2)に示すトランジスタ831は、電極723および絶縁層727を有する
点がトランジスタ830と異なる。トランジスタ831は、絶縁層772の上に形成され
た電極723を有し、電極723上に形成された絶縁層727を有する。電極723は、
バックゲート電極として機能することができる。よって、絶縁層727は、ゲート絶縁層
として機能することができる。絶縁層727は、絶縁層726と同様の材料および方法に
より形成することができる。
【0443】
トランジスタ811と同様に、トランジスタ831は、占有面積に対して大きいオン電
流を有するトランジスタである。すなわち、求められるオン電流に対して、トランジスタ
831の占有面積を小さくすることができる。本発明の一態様によれば、トランジスタの
占有面積を小さくすることができる。よって、本発明の一態様によれば、集積度の高い半
導体装置を実現することができる。
【0444】
図21(B1)に例示するトランジスタ840は、トップゲート型のトランジスタの1
つである。トランジスタ840は、電極744aおよび電極744bを形成した後に半導
体層742を形成する点が、トランジスタ830と異なる。また、
図21(B2)に例示
するトランジスタ841は、電極723および絶縁層727を有する点が、トランジスタ
840と異なる。トランジスタ840およびトランジスタ841において、半導体層74
2の一部は電極744a上に形成され、半導体層742の他の一部は電極744b上に形
成される。
【0445】
トランジスタ811と同様に、トランジスタ841は、占有面積に対して大きいオン電
流を有するトランジスタである。すなわち、求められるオン電流に対して、トランジスタ
841の占有面積を小さくすることができる。本発明の一態様によれば、トランジスタの
占有面積を小さくすることができる。よって、本発明の一態様によれば、集積度の高い半
導体装置を実現することができる。
【0446】
図22(A1)に例示するトランジスタ842は、トップゲート型のトランジスタの1
つである。トランジスタ842は、絶縁層729を形成した後に電極744aおよび電極
744bを形成する点がトランジスタ830やトランジスタ840と異なる。電極744
aおよび電極744bは、絶縁層728および絶縁層729に形成した開口部において半
導体層742と電気的に接続する。
【0447】
また、電極746と重ならない絶縁層726の一部を除去し、電極746と残りの絶縁
層726をマスクとして用いて不純物755を半導体層742に導入することで、半導体
層742中に自己整合(セルフアライメント)的に不純物領域を形成することができる(
図22(A3)参照)。トランジスタ842は、絶縁層726が電極746の端部を越え
て延伸する領域を有する。不純物755を半導体層742に導入する際に、半導体層74
2の絶縁層726を介して不純物755が導入された領域の不純物濃度は、絶縁層726
を介さずに不純物755が導入された領域よりも小さくなる。よって、電極746に隣接
する半導体層742の領域にLDD(Lightly Doped Drain)領域が
形成される。
【0448】
図22(A2)に示すトランジスタ843は、電極723を有する点がトランジスタ8
42と異なる。トランジスタ843は、基板771の上に形成された電極723を有し、
絶縁層772を介して半導体層742と重なる。電極723は、バックゲート電極として
機能することができる。
【0449】
また、
図22(B1)に示すトランジスタ844および
図22(B2)に示すトランジ
スタ845のように、電極746と重ならない領域の絶縁層726を全て除去してもよい
。また、
図22(C1)に示すトランジスタ846および
図22(C2)に示すトランジ
スタ847のように、絶縁層726を残してもよい。
【0450】
トランジスタ842乃至トランジスタ847も、電極746を形成した後に、電極74
6をマスクとして用いて不純物755を半導体層742に導入することで、半導体層74
2中に自己整合的に不純物領域を形成することができる。本発明の一態様によれば、電気
特性の良好なトランジスタを実現することができる。また、本発明の一態様によれば、集
積度の高い半導体装置を実現することができる。
【0451】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【0452】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置を有する表示モジュール及び電子機器に
ついて、図面を用いて説明する。
【0453】
図23に示す表示モジュール8000は、上部カバー8001と下部カバー8002と
の間に、FPC8003に接続されたタッチパネル8004、フレーム8009、プリン
ト基板8010、バッテリ8011を有する。
【0454】
本発明の一態様の表示パネル、タッチパネル、またはタッチパネルモジュールは、例え
ば、タッチパネル8004に用いることができる。
【0455】
上部カバー8001及び下部カバー8002は、タッチパネル8004のサイズに合わ
せて、形状や寸法を適宜変更することができる。
【0456】
タッチパネル8004は、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチパネルを表示パネル
に重畳して用いることができる。また、タッチパネル8004の対向基板(封止基板)に
、タッチパネル機能を持たせるようにすることも可能である。また、タッチパネル800
4の各画素内に光センサを設け、光学式のタッチパネルとすることも可能である。
【0457】
また、透過型、または半透過型の液晶素子を用いた場合には、タッチパネル8004と
フレーム8009の間にバックライトを設けてもよい。バックライトは、光源を有する。
なお、バックライト上に光源を配置する構成としてもよいし、バックライトの端部に光源
を配置し、さらに光拡散板を用いる構成としてもよい。なお、有機EL素子等の自発光型
の発光素子を用いる場合、または反射型パネル等の場合においては、バックライトを設け
ない構成としてもよい。
【0458】
フレーム8009は、タッチパネル8004の保護機能の他、プリント基板8010の
動作により発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフ
レーム8009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
【0459】
プリント基板8010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信
号処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であって
も良いし、別途設けたバッテリ8011による電源であってもよい。バッテリ8011は
、商用電源を用いる場合には、省略可能である。
【0460】
また、タッチパネル8004は、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追加
して設けてもよい。
【0461】
本発明の一態様の表示パネル、発光パネル、センサパネル、タッチパネル、タッチパネ
ルモジュール、入力装置、表示装置、または入出力装置を用いて、電子機器や照明装置を
作製できる。本発明の一態様の入力装置、表示装置、または入出力装置を用いて、曲面を
有し、信頼性の高い電子機器や照明装置を作製できる。また、本発明の一態様の入力装置
、表示装置、または入出力装置を用いて、可撓性を有し、信頼性の高い電子機器や照明装
置を作製できる。また本発明の一態様の入力装置、または入出力装置を用いて、タッチセ
ンサの検出感度が向上した電子機器や照明装置を作製できる。
【0462】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機とも
いう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタ
ルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、
携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0463】
また、本発明の一態様の電子機器又は照明装置は可撓性を有する場合、家屋やビルの内
壁もしくは外壁、又は、自動車の内装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことも可能で
ある。
【0464】
また、本発明の一態様の電子機器は、二次電池を有していてもよく、非接触電力伝送を
用いて、二次電池を充電することができると好ましい。
【0465】
二次電池としては、例えば、ゲル状電解質を用いるリチウムポリマー電池(リチウムイ
オンポリマー電池)等のリチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニカド電池、有機ラジ
カル電池、鉛蓄電池、空気電池、ニッケル亜鉛電池、銀亜鉛電池などが挙げられる。
【0466】
本発明の一態様の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信す
ることで、表示部で映像や情報等の表示を行うことができる。また、電子機器が二次電池
を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
【0467】
図24(A)乃至
図24(H)、及び
図25(A)、(B)は、電子機器を示す図であ
る。これらの電子機器は、筐体5000、表示部5001、スピーカ5003、LEDラ
ンプ5004、操作キー5005(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子
5006、センサ5007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光
、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流
量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン
5008、等を有することができる。
【0468】
図24(A)はモバイルコンピュータであり、上述したものの他に、スイッチ5009
、赤外線ポート5010、等を有することができる。
【0469】
図24(B)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(たとえば、DVD再生装置)
であり、上述したものの他に、第2表示部5002、記録媒体読込部5011、等を有す
ることができる。
【0470】
図24(C)はテレビジョン装置であり、上述したものの他に、スタンド5012等を
有することができる。また、テレビジョン装置の操作は、筐体5000が備える操作スイ
ッチや、別体のリモコン操作機5013により行うことができる。リモコン操作機501
3が備える操作キーにより、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部5001
に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機5013に、当該リモ
コン操作機5013から出力する情報を表示する表示部を設ける構成としてもよい。
【0471】
図24(D)は携帯型遊技機であり、上述したものの他に、記録媒体読込部5011、
等を有することができる。
【0472】
図24(E)はテレビ受像機能付きデジタルカメラであり、上述したものの他に、アン
テナ5014、シャッターボタン5015、受像部5016、等を有することができる。
【0473】
図24(F)は携帯型遊技機であり、上述したものの他に、第2表示部5002、記録
媒体読込部5011、等を有することができる。
【0474】
図24(G)は持ち運び型テレビ受像器であり、上述したものの他に、信号の送受信が
可能な充電器5017、等を有することができる。
【0475】
図24(H)は腕時計型情報端末であり、上述したもののほかに、バンド5018、留
め金5019、等を有することができる。ベゼル部分を兼ねる筐体5000に搭載された
表示部5001は、非矩形状の表示領域を有している。表示部5001は、時刻を表すア
イコン5020、その他のアイコン5021等を表示することができる。
【0476】
図25(A)はデジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)で
ある。
図25(B)は円柱状の柱に取り付けられたデジタルサイネージである。
【0477】
図24(A)乃至
図24(H)、及び
図25(A)、(B)に示す電子機器は、様々な
機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を
表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示する機
能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無
線通信機能を用いて様々なコンピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用
いて様々なデータの送信又は受信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラム又は
データを読み出して表示部に表示する機能、等を有することができる。さらに、複数の表
示部を有する電子機器においては、一つの表示部を主として画像情報を表示し、別の一つ
の表示部を主として文字情報を表示する機能、または、複数の表示部に視差を考慮した画
像を表示することで立体的な画像を表示する機能、等を有することができる。さらに、受
像部を有する電子機器においては、静止画を撮影する機能、動画を撮影する機能、撮影し
た画像を自動または手動で補正する機能、撮影した画像を記録媒体(外部又はカメラに内
蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有することができる。
なお、
図24(A)乃至
図24(H)、及び
図25(A)、(B)に示す電子機器が有す
ることのできる機能はこれらに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0478】
図26(A)、(B)、(C1)、(C2)、(D)、(E)に、湾曲した表示部70
00を有する電子機器の一例を示す。表示部7000はその表示面が湾曲して設けられ、
湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。なお、表示部7000は可撓性を有し
ていてもよい。
【0479】
表示部7000は、本発明の一態様の機能パネル、表示パネル、発光パネル、センサパ
ネル、タッチパネル、表示装置、または入出力装置等を用いて作製される。本発明の一態
様により、湾曲した表示部を備え、且つ信頼性の高い電子機器を提供できる。
【0480】
図26(A)に携帯電話機の一例を示す。携帯電話機7100は、筐体7101、表示
部7000、操作ボタン7103、外部接続ポート7104、スピーカ7105、マイク
7106等を有する。
【0481】
図26(A)に示す携帯電話機7100は、表示部7000にタッチセンサを備える。
電話を掛ける、或いは文字を入力するなどのあらゆる操作は、指やスタイラスなどで表示
部7000に触れることで行うことができる。
【0482】
また、操作ボタン7103の操作により、電源のON、OFF動作や、表示部7000
に表示される画像の種類を切り替えることができる。例えば、メール作成画面から、メイ
ンメニュー画面に切り替えることができる。
【0483】
図26(B)にテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7200は、筐体7
201に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7203により筐体7
201を支持した構成を示している。
【0484】
図26(B)に示すテレビジョン装置7200の操作は、筐体7201が備える操作ス
イッチや、別体のリモコン操作機7211により行うことができる。または、表示部70
00にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7000に触れることで操作して
もよい。リモコン操作機7211は、当該リモコン操作機7211から出力する情報を表
示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7211が備える操作キー又はタッチ
パネルにより、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7000に表示される
映像を操作することができる。
【0485】
なお、テレビジョン装置7200は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機
により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線又は無線
による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向
(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0486】
図26(C1)、(C2)、(D)、(E)に携帯情報端末の一例を示す。各携帯情報
端末は、筐体7301及び表示部7000を有する。さらに、操作ボタン、外部接続ポー
ト、スピーカ、マイク、アンテナ、又はバッテリ等を有していてもよい。表示部7000
にはタッチセンサを備える。携帯情報端末の操作は、指やスタイラスなどで表示部700
0に触れることで行うことができる。
【0487】
図26(C1)は、携帯情報端末7300の斜視図であり、
図26(C2)は携帯情報
端末7300の上面図である。
図26(D)は、携帯情報端末7310の斜視図である。
図26(E)は、携帯情報端末7320の斜視図である。
【0488】
本実施の形態で例示する携帯情報端末は、例えば、電話機、手帳又は情報閲覧装置等か
ら選ばれた一つ又は複数の機能を有する。具体的には、スマートフォンとしてそれぞれ用
いることができる。本実施の形態で例示する携帯情報端末は、例えば、移動電話、電子メ
ール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種
々のアプリケーションを実行することができる。
【0489】
携帯情報端末7300、携帯情報端末7310及び携帯情報端末7320は、文字や画
像情報をその複数の面に表示することができる。例えば、
図26(C1)、(D)に示す
ように、3つの操作ボタン7302を一の面に表示し、矩形で示す情報7303を他の面
に表示することができる。
図26(C1)、(C2)では、携帯情報端末の上側に情報が
表示される例を示し、
図26(D)では、携帯情報端末の横側に情報が表示される例を示
す。また、携帯情報端末の3面以上に情報を表示してもよく、
図26(E)では、情報7
304、情報7305、情報7306がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。
【0490】
なお、情報の例としては、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の通知
、電子メールや電話などの着信を知らせる表示、電子メールなどの題名もしくは送信者名
、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強度などがある。または、情報が表示さ
れている位置に、情報の代わりに、操作ボタン、アイコンなどを表示してもよい。
【0491】
例えば、携帯情報端末7300の使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末7300
を収納した状態で、その表示(ここでは情報7303)を確認することができる。
【0492】
具体的には、着信した電話の発信者の電話番号又は氏名等を、携帯情報端末7300の
上方から観察できる位置に表示する。使用者は、携帯情報端末7300をポケットから取
り出すことなく、表示を確認し、電話を受けるか否かを判断できる。
【0493】
図26(F)~(H)に、湾曲した発光部を有する照明装置の一例を示している。
【0494】
図26(F)~(H)に示す各照明装置が有する発光部は、本発明の一態様の機能パネ
ル、表示パネル、発光パネル、センサパネル、タッチパネル、表示装置、または入出力装
置等を用いて作製される。本発明の一態様により、湾曲した発光部を備え、且つ信頼性の
高い照明装置を提供できる。
【0495】
図26(F)に示す照明装置7400は、波状の発光面を有する発光部7402を備え
る。したがってデザイン性の高い照明装置となっている。
【0496】
図26(G)に示す照明装置7410の備える発光部7412は、凸状に湾曲した2つ
の発光部が対称的に配置された構成となっている。したがって照明装置7410を中心に
全方位を照らすことができる。
【0497】
図26(H)に示す照明装置7420は、凹状に湾曲した発光部7422を備える。し
たがって、発光部7422からの発光を、照明装置7420の前面に集光するため、特定
の範囲を明るく照らす場合に適している。また、このような形態とすることで、影ができ
にくいという効果を奏する。
【0498】
また、照明装置7400、照明装置7410及び照明装置7420の備える各々の発光
部は可撓性を有していてもよい。発光部を可塑性の部材や可動なフレームなどの部材で固
定し、用途に合わせて発光部の発光面を自在に湾曲可能な構成としてもよい。
【0499】
照明装置7400、照明装置7410及び照明装置7420は、それぞれ、操作スイッ
チ7403を備える台部7401と、台部7401に支持される発光部を有する。
【0500】
なおここでは、台部によって発光部が支持された照明装置について例示したが、発光部
を備える筐体を天井に固定する、又は天井からつり下げるように用いることもできる。発
光面を湾曲させて用いることができるため、発光面を凹状に湾曲させて特定の領域を明る
く照らす、又は発光面を凸状に湾曲させて部屋全体を明るく照らすこともできる。
【0501】
図27(A1)、(A2)、(B)~(I)に、可撓性を有する表示部7001を有す
る携帯情報端末の一例を示す。
【0502】
表示部7001は、本発明の一態様の機能パネル、表示パネル、発光パネル、センサパ
ネル、タッチパネル、表示装置、または入出力装置等を用いて作製される。例えば、曲率
半径0.01mm以上150mm以下で曲げることができる表示装置、または入出力装置
等を適用できる。また、表示部7001はタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示
部7001に触れることで携帯情報端末を操作することができる。本発明の一態様により
、可撓性を有する表示部を備え、且つ信頼性の高い電子機器を提供できる。
【0503】
図27(A1)は、携帯情報端末の一例を示す斜視図であり、
図27(A2)は、携帯
情報端末の一例を示す側面図である。携帯情報端末7500は、筐体7501、表示部7
001、引き出し部材7502、操作ボタン7503等を有する。
【0504】
携帯情報端末7500は、筐体7501内にロール状に巻かれた可撓性を有する表示部
7001を有する。
【0505】
また、携帯情報端末7500は内蔵された制御部によって映像信号を受信可能で、受信
した映像を表示部7001に表示することができる。また、携帯情報端末7500にはバ
ッテリが内蔵されている。また、筐体7501にコネクターを接続する端子部を備え、映
像信号や電力を有線により外部から直接供給する構成としてもよい。
【0506】
また、操作ボタン7503によって、電源のON、OFF動作や表示する映像の切り替
え等を行うことができる。なお、
図27(A1)、(A2)、(B)では、携帯情報端末
7500の側面に操作ボタン7503を配置する例を示すが、これに限られず、携帯情報
端末7500の表示面と同じ面(おもて面)や、裏面に配置してもよい。
【0507】
図27(B)には、表示部7001を引き出し部材7502により引き出した状態の携
帯情報端末7500を示す。この状態で表示部7001に映像を表示することができる。
また、表示部7001の一部がロール状に巻かれた
図27(A1)の状態と表示部700
1を引き出し部材7502により引き出した
図27(B)の状態とで、携帯情報端末75
00が異なる表示を行う構成としてもよい。例えば、
図27(A1)の状態のときに、表
示部7001のロール状に巻かれた部分を非表示とすることで、携帯情報端末7500の
消費電力を下げることができる。
【0508】
なお、表示部7001を引き出した際に表示部7001の表示面が平面状となるように
固定するため、表示部7001の側部に補強のためのフレームを設けていてもよい。
【0509】
なお、この構成以外に、筐体にスピーカを設け、映像信号と共に受信した音声信号によ
って音声を出力する構成としてもよい。
【0510】
図27(C)~(E)に、折りたたみ可能な携帯情報端末の一例を示す。
図27(C)
では、展開した状態、
図27(D)では、展開した状態又は折りたたんだ状態の一方から
他方に変化する途中の状態、
図27(E)では、折りたたんだ状態の携帯情報端末760
0を示す。携帯情報端末7600は、折りたたんだ状態では可搬性に優れ、展開した状態
では、継ぎ目のない広い表示領域により一覧性に優れる。
【0511】
表示部7001はヒンジ7602によって連結された3つの筐体7601に支持されて
いる。ヒンジ7602を介して2つの筐体7601間を屈曲させることにより、携帯情報
端末7600を展開した状態から折りたたんだ状態に可逆的に変形させることができる。
【0512】
図27(F)、(G)に、折りたたみ可能な携帯情報端末の一例を示す。
図27(F)
では、表示部7001が内側になるように折りたたんだ状態、
図27(G)では、表示部
7001が外側になるように折りたたんだ状態の携帯情報端末7650を示す。携帯情報
端末7650は表示部7001及び非表示部7651を有する。携帯情報端末7650を
使用しない際に、表示部7001が内側になるように折りたたむことで、表示部7001
の汚れや傷つきを抑制できる。
【0513】
図27(H)に、可撓性を有する携帯情報端末の一例を示す。携帯情報端末7700は
、筐体7701及び表示部7001を有する。さらに、入力手段であるボタン7703a
、7703b、音声出力手段であるスピーカ7704a、7704b、外部接続ポート7
705、マイク7706等を有していてもよい。また、携帯情報端末7700は、可撓性
を有するバッテリ7709を搭載することができる。バッテリ7709は例えば表示部7
001と重ねて配置してもよい。
【0514】
筐体7701、表示部7001、及びバッテリ7709は可撓性を有する。そのため、
携帯情報端末7700を所望の形状に湾曲させることや、携帯情報端末7700に捻りを
加えることが容易である。例えば、携帯情報端末7700は、表示部7001が内側又は
外側になるように折り曲げて使用することができる。または、携帯情報端末7700をロ
ール状に巻いた状態で使用することもできる。このように筐体7701及び表示部700
1を自由に変形することが可能であるため、携帯情報端末7700は、落下した場合、又
は意図しない外力が加わった場合であっても、破損しにくいという利点がある。
【0515】
また、携帯情報端末7700は軽量であるため、筐体7701の上部をクリップ等で把
持してぶら下げて使用する、又は、筐体7701を磁石等で壁面に固定して使用するなど
、様々な状況において利便性良く使用することができる。
【0516】
図27(I)に腕時計型の携帯情報端末の一例を示す。携帯情報端末7800は、バン
ド7801、表示部7001、入出力端子7802、操作ボタン7803等を有する。バ
ンド7801は、筐体としての機能を有する。また、携帯情報端末7800は、可撓性を
有するバッテリ7805を搭載することができる。バッテリ7805は例えば表示部70
01やバンド7801と重ねて配置してもよい。
【0517】
バンド7801、表示部7001、及びバッテリ7805は可撓性を有する。そのため
、携帯情報端末7800を所望の形状に湾曲させることが容易である。
【0518】
操作ボタン7803は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オ
フ動作、マナーモードの実行及び解除、省電力モードの実行及び解除など、様々な機能を
持たせることができる。例えば、携帯情報端末7800に組み込まれたオペレーティング
システムにより、操作ボタン7803の機能を自由に設定することもできる。
【0519】
また、表示部7001に表示されたアイコン7804に指等で触れることで、アプリケ
ーションを起動することができる。
【0520】
また、携帯情報端末7800は、通信規格に準拠した近距離無線通信を実行することが
可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフ
リーで通話することもできる。
【0521】
また、携帯情報端末7800は入出力端子7802を有していてもよい。入出力端子7
802を有する場合、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うこ
とができる。また入出力端子7802を介して充電を行うこともできる。なお、本実施の
形態で例示する携帯情報端末の充電動作は、入出力端子を介さずに非接触電力伝送により
行ってもよい。
【0522】
図28(A)、(B)、(C)に折り畳み可能な腕時計型の携帯情報端末の一例を示す
。携帯情報端末7900は、表示部7901、筐体7902、筐体7903、バンド79
04、操作ボタン7905等を有する。
【0523】
携帯情報端末7900は、
図28(A)に示すように筐体7902が筐体7903上に
重ねられた状態から、
図28(B)に示すように筐体7902を持ち上げることにより、
図28(C)に示すように、表示部7901が展開された状態に可逆的に変形させること
ができる。そのため携帯情報端末7900は、例えば通常は表示部7901を折り畳んだ
状態で使用することが可能で、また表示部7901を展開することにより表示領域を広げ
て使用することができる。
【0524】
また、表示部7901がタッチパネルとしての機能を有することで、表示部7901を
触れることで携帯情報端末7900を操作することができる。また操作ボタン7905を
押す、回す、若しくは上下方向、手前方向、または奥行方向にずらすなどの操作により、
携帯情報端末7900を操作することができる。
【0525】
図28(A)に示すように、筐体7902と筐体7903とが重なった状態のとき、筐
体7902と筐体7903とが意図せずに離れないようにロック機構を有することが好ま
しい。このとき、例えば操作ボタン7905を押すなどの操作により、ロック状態を解除
できる構成とすることが好ましい。また、バネなどの復元力を利用して、ロック状態を解
除したときに、
図28(A)に示す状態から
図28(C)に示す状態に自動的に変形する
機構を有していてもよい。または、ロック機構に代えて磁石を用い、筐体7902と筐体
7903の相対的な位置を固定してもよい。磁石を用いることで容易に筐体7902と筐
体7903とを脱着させることができる。
【0526】
図28(A)、(B)、(C)では、バンド7904の曲がる向きに対して概略垂直な
方向に表示部7901が展開できる構成を示したが、
図28(D)、(E)に示すように
、バンド7904の曲がる向きに概略平行な方向に表示部7901を展開できる構成とし
てもよい。またこのとき、バンド7904に巻きつけるように、表示部7901を湾曲さ
せて用いてもよい。
【0527】
本実施の形態において述べた電子機器は、何らかの情報を表示するための表示部を有す
ることを特徴とする。該表示部に、本発明の一態様の表示パネル、タッチパネル、または
タッチパネルモジュール等の表示装置を適用することができる。
【0528】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組
み合わせて実施することができる。
【実施例0529】
以下では、本発明の一態様の表示装置を作製し、その断面観察を行った結果について説
明する。本実施例で作製した表示装置の断面構造は
図9を援用することができる。
【0530】
[表示装置の作製]
まず、ガラス基板上にトランジスタ、及びトランジスタと接続する配線等を形成した。
トランジスタ(トランジスタ201、トランジスタ202、トランジスタ205等)とし
ては、チャネルが形成される半導体に酸化物半導体を用いたボトムゲート構造のトランジ
スタを適用した。ここで、本実施例では、酸化物半導体として膜面に垂直方向にc軸が配
向した結晶性の酸化物半導体(CAAC-OS:C-Axis Aligned Cry
stalline-Oxide Semiconductor)を用いた。
【0531】
CAAC-OSは、膜面に対して、結晶のc軸が概略垂直配向した結晶性酸化物半導体
のことである。酸化物半導体の結晶構造としては他にナノスケールの微結晶集合体である
nano-crystal(nc)など、単結晶とは異なる多彩な構造が存在することが
確認されている。CAAC-OSは、単結晶よりも結晶性が低く、ncに比べて結晶性が
高い。CAAC-OSは結晶粒界が確認されないという特徴を有するため、大面積に安定
で均一な膜を形成することが可能で、また可撓性を有する発光装置を湾曲させたときの応
力によってCAAC-OS膜にクラックが生じにくい。
【0532】
本実施例では、酸化物半導体材料としてIn-Ga-Zn系酸化物を用いた。
【0533】
続いて、トランジスタ及び配線等を覆う絶縁層上に、画素電極として機能する第1の電
極を形成した。第1の電極としては、チタン膜、アルミニウム膜及びチタン膜の積層構造
とした。続いて、第1の電極の端部を覆う絶縁層を形成した。当該絶縁層には厚さ約2μ
mの感光性のポリイミドを用いた。その後、当該絶縁層上に構造体を形成した。構造体に
は厚さ約1.25μmの感光性のポリイミドを用いた。
【0534】
続いて、EL層及び第2の電極をそれぞれ蒸着法により成膜し、発光素子を形成した。
ここでEL層及び第2の電極はメタルマスクを用いずに、表示領域全域に亘って形成した
。
【0535】
また、上記とは異なるガラス基板上に、遮光層を形成した。遮光層としては、厚さ約0
.6μmのブラックマトリクスを用いた。続いて、赤色の着色層(R)、緑色の着色層(
G)、及び青色の着色層(B)をそれぞれ形成した。各々の厚さは、着色層(R)を約2
.0μm、着色層(G)を約1.5μm、着色層(B)を約1.5μmとした。
【0536】
続いて、2枚のガラス基板を接着剤により貼り合せ、接着剤を硬化させた。接着剤は着
色層が形成された基板側に、スクリーン印刷法により形成した。接着剤は熱硬化性のエポ
キシを用いた。また基板の貼り合せは減圧雰囲気下で行った。
【0537】
本実施例で作製した表示装置に対して、表示領域全域に白色表示させ、表示面に対して
垂直方向と斜め方向から目視で観察した。その結果、斜め方向から見た場合であっても、
色度及び輝度の変化が極めて小さいことが確認できた。
【0538】
[断面観察結果]
作製した表示装置をイオンミリング法により加工し、その断面を走査型電子顕微鏡(S
EM:Scanning Electron Microscope)により観察した。
【0539】
観察した断面像を
図29(A)、(B)に示す。
図29(A)、(B)は同じ断面像で
あり、
図29(B)は明瞭化のため、
図29(A)における各層の輪郭を破線で示した図
である。
【0540】
なお、
図29(A)、(B)において、EL層の一部に空洞がみられるが、これは断面
観察のための加工の際に形成されたものである。
【0541】
図29(A)、(B)には2つの構造体が示されている。左の構造体は着色層(R)と
着色層(B)の間に位置し、右の構造体は着色層(R)と着色層(G)の間に位置する。
また、いずれの構造体も、着色層(R)の下面よりも高い位置に設けられている部分を有
することが確認できた。
【0542】
作製した表示装置は、絶縁層の開口部において、第1の電極と着色層(R)の距離(高
さの差)が約1.0μmである領域を有することが確認できた。また絶縁層の開口部にお
いて、第2の電極と着色層(R)の距離が約0.7μmである領域を有することが確認で
きた。また絶縁層の開口部において、第1の電極と遮光層の距離が約2.8μmである領
域を有することが確認できた。また絶縁層の開口部において、第2の電極と遮光層の距離
が約2.5μmである領域を有することが確認できた。
【0543】
また、表示装置は、構造体と遮光層の距離が約1.5μmである領域を有することが確
認できた。また構造体上において、第2の電極と遮光層の距離が約1.2μmであること
が確認できた。
【0544】
また、構造体はテーパ角(構造体の底面と側面の成す角)が約45度乃至70度の範囲
の順テーパ形状であった。また構造体を覆うEL層の一部が、第1の電極上のEL層の厚
さよりも薄く形成されていることが確認できた。
【0545】
以上より、本実施例で作製した表示装置は、一対の基板間の距離が極めて小さいことが
確認できた。また目視による観察により、視野角特性が高められていることが確認できた
。
【0546】
以上が本実施例についての説明である。