(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016851
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20230126BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20230126BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20230126BHJP
【FI】
G08G1/00 A
G16Y10/40
G16Y40/20
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185590
(22)【出願日】2022-11-21
(62)【分割の表示】P 2018070803の分割
【原出願日】2018-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊地 泰己
(57)【要約】
【課題】
収集したプローブ情報に対して、移動体の運転状態が自動運転状態か手動運転状態かを
容易に切り分けができ、当該運転状態に応じて適切な情報解析を行う情報処理装置を提供
する。
【解決手段】
情報処理装置は、移動体の移動方向に対して左右方向の加速度を含む挙動情報を取得する挙動情報取得手段と、前記挙動情報取得手段にて取得した前記加速度に基づいて、前記加速度が所定の閾値以下の場合に前記移動体の操舵の運転操作の少なくとも一部が自動で行われていると判定し、前記加速度が所定の閾値より大きい場合に前記移動体の前記運転操作が手動で行われていると判定する判定手段と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の移動方向に対して左右方向の加速度を含む挙動情報を取得する挙動情報取得手段と、
前記挙動情報取得手段にて取得した前記加速度に基づいて、前記加速度が所定の閾値以下の場合に前記移動体の操舵の運転操作の少なくとも一部が自動で行われていると判定し、前記加速度が所定の閾値より大きい場合に前記移動体の前記運転操作が手動で行われていると判定する判定手段と、を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記挙動情報は、所定期間当たりの前記移動体の前記加速度を含む情報であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記挙動情報は、前記移動体の前後方向の前記移動体の前記加速度を含み、
前記判定手段は、前記移動体の前後方向の前記移動体の前記加速度に基づいて前記移動体の加速に関する前記運転操作の少なくとも一部が自動で行われているかを判定することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記挙動情報は、前記移動体の前後方向の前記移動体の前記加速度を含み、
前記判定手段は、前記移動体の前後方向の前記移動体の前記加速度に基づいて前記移動体の制動に関する前記運転操作の少なくとも一部が自動で行われているかを判定することを特徴とするに請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記移動体の前方を走行する移動体との移動体間距離を取得する移動体間距離取得手段を有し、
前記判定手段は、前記移動体間距離及び前記加速度に基づいて前記移動体の前記運転操作が自動で行われているかを判定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
道路の形態情報を取得する道路形態取得手段を有し、
前記判定手段は、前記道路の形態に基づいて前記移動体の前記運転操作が自動で行われているかを判定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記道路の形態情報は、地図情報に基づいて取得されることを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記道路の形態情報は、前記移動体の周囲の画像情報に基づいて取得されることを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項9】
移動体の移動方向に対して左右方向の加速度を含む計測を行う計測端末と、
前記計測端末にて取得した前記移動体の前記加速度を取得する挙動情報取得手段、及び前記加速度に基づいて、前記加速度が閾値以下の場合に前記移動体の操舵の運転操作の少なくとも一部が自動で行われていると判定し、前記加速度が所定の閾値より大きい場合に前記移動体の前記運転操作が手動で行われていると判定する判定手段を有する情報処理装置と、を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項10】
移動体の移動方向に対して左右方向の加速度を含む挙動情報を取得するステップと、
前記挙動情報の前記加速度に基づいて、前記加速度が閾値以下の場合に前記移動体の操舵の運転操作の少なくとも一部が自動で行われていると判定し、前記加速度が所定の閾値より大きい場合に前記移動体の前記運転操作が手動で行われていると判定するステップと、を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
コンピュータに、
移動体の移動方向に対して左右方向の加速度を含む挙動情報を取得するステップと、
前記挙動情報の前記加速度に基づいて、前記加速度が閾値以下の場合に前記移動体の操舵の運転操作の少なくとも一部が自動で行われていると判定し、前記加速度が所定の閾値より大きい場合に前記移動体の前記運転操作が手動で行われていると判定するステップと、を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に情報を提供する情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両等の移動体の走行履歴(走行位置、走行速度など)を示すプローブ情報を用いて解析することが行われている。
【0003】
このようなプローブ情報を用いて解析する装置としては、例えば、車両のプローブ情報、VICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System)情報、及び路側に設置された道路管理者の車両感知器からの出力に基づいて、対象車両に注意すべき事象が発生する可能性が高いか否かを予測して、予測結果に応じて、対象車両の車載機に情報を提示させる支援装置を備えている運転支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の運転支援システムは、車両からのプローブ情報の収集において、車両が自動運転状態であるか手動運転状態であるかの切り分けがないままにプローブ情報の収集を行っている。そのため、収集したプローブ情報を適切に解析することができなかったことが課題の一例として挙げられる。
【0006】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、収集したプローブ情報に対して、移動体の運転状態が自動運転状態か手動運転状態かを容易に切り分けができ、当該運転状態に応じて適切な情報解析を行う情報処理装置を提供することを課題の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の情報処理装置は、移動体の移動方向に対して左右方向の加速度を含む挙動情報を取得する挙動情報取得手段と、前記挙動情報取得手段にて取得した前記加速度に基づいて、前記加速度が所定の閾値以下の場合に前記移動体の操舵の運転操作の少なくとも一部が自動で行われていると判定し、前記加速度が所定の閾値より大きい場合に前記移動体の前記運転操作が手動で行われていると判定する判定手段と、を有することを特徴する。
【0008】
請求項9に記載の情報処理システムは、移動体の移動方向に対して左右方向の加速度を含む計測を行う計測端末と、前記計測端末にて取得した前記移動体の前記加速度を取得する挙動情報取得手段、及び前記加速度に基づいて、前記加速度が閾値以下の場合に前記移動体の操舵の運転操作の少なくとも一部が自動で行われていると判定し、前記加速度が所定の閾値より大きい場合に前記移動体の前記運転操作が手動で行われていると判定する判定手段を有する情報処理装置と、を有することを特徴とする。
【0009】
請求項10に記載の情報処理方法は、移動体の移動方向に対して左右方向の加速度を含む挙動情報を取得するステップと、前記挙動情報の前記加速度に基づいて、前記加速度が閾値以下の場合に前記移動体の操舵の運転操作の少なくとも一部が自動で行われていると判定し、前記加速度が所定の閾値より大きい場合に前記移動体の前記運転操作が手動で行われていると判定するステップと、を有することを特徴とする。
【0010】
本願請求項11に記載のプログラムは、コンピュータに、移動体の移動方向に対して左右方向の加速度を含む挙動情報を取得するステップと、前記挙動情報の前記加速度に基づいて、前記加速度が閾値以下の場合に前記移動体の操舵の運転操作の少なくとも一部が自動で行われていると判定し、前記加速度が所定の閾値より大きい場合に前記移動体の前記運転操作が手動で行われていると判定するステップと、を実行させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1の情報処理システムの全体図である。
【
図2】実施例1の計測端末及びサーバの構成を示すブロック図である。
【
図3】実施例1のサーバの情報処理を示すフロー図である。
【
図4】実施例1のサーバの他の情報処理を示すフロー図である。
【
図5】実施例2の計測端末及びサーバの構成を示すブロック図である。
【
図6】実施例2のサーバの情報処理を示すフロー図である。
【
図7】実施例3の計測端末及びサーバの構成を示すブロック図である。
【
図8】実施例3のサーバの情報処理を示すフロー図である。
【
図9】実施例4の計測端末及びサーバの構成を示すブロック図である。
【
図10】実施例4のサーバの情報処理を示すフロー図である。
【
図11】実施例5の計測端末及びサーバの構成を示すブロック図である。
【
図12】実施例5のサーバの情報処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0012】
図1は、実施例1の情報処理システムの全体構成を示している。
図1に示すように、情報処理システム100は、移動体としての自動車Mに搭載された計測端末10と、情報処理装置としてのサーバ20とが、ネットワークNWを介して接続されて構成されている。尚、移動体は、自動車、バイク、飛行機、船舶、移動する人等、自動車以外の移動体であってもよい。
【0013】
図2は、情報処理システム100の計測端末10及びサーバ20の機能ブロックを示している。
図2に示すように、情報処理システム100においては、複数の自動車Mの各々に搭載されている計測端末10とサーバ20とが通信可能に接続されている。
【0014】
計測端末10は、自動車Mに搭載されている。計測端末10は、自動車Mのナビゲーションシステムの一部であってもよい。
【0015】
加速度センサ11は、静電容量型又はピエゾ抵抗型等の加速度センサである。加速度センサ11は、例えば、2軸加速度センサであり、自動車Mが前方に進行する際の前後方向の加速度と、前後方向に直交する左右方向、すなわち自動車Mの移動方向に対して左右方向の加速度を検出する。
【0016】
GPS(Global Positioning System)装置12は、GPS衛星から信号(GPS信号)を受信するようになされた装置であり、自動車Mの位置情報を取得する。
【0017】
通信部13は、サーバ20及び他の自動車Mに搭載されている計測端末10とネットワークNWを介して通信可能に接続されているインターフェースである。
【0018】
制御部14は、例えば、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)を含んでいる。制御部14は、加速度センサ11、GPS装置12及び通信部13を含む計測端末10の各部の動作を制御することが可能である。
【0019】
挙動情報算出部15は、制御部14の機能ブロックの1つである。挙動情報算出部15は、加速度センサ11及びGPS装置12の信号から、自動車Mの速度、加速度、アクセル開度、ブレーキングの強さ、アクセルオフでの空走距離、自動車Mの前方を走行する自動車との車間距離及び自動車Mの位置を含む挙動情報を算出可能である。すなわち、挙動情報算出部15は、プローブ情報を取得可能である。挙動情報は、例えば、所定期間当たりの自動車Mの挙動に関する情報である。加速度であれば、例えば15秒間あたりの自動車Mの加速度である。尚、所定期間は任意に定めることが可能である。
【0020】
自動車Mの加速度及び速度は、例えば、加速度センサ11からの加速度信号またはGPS装置12からのGPS信号に基づいて算出されて取得されてもよい。また、自動車Mの速度は、例えば、自動車Mから車速パルスの供給を受けて、当該車速パルスに基づいて算出して取得可能であってもよい。
【0021】
また、自動車Mの位置は、例えば、GPS装置12からのGPS信号に基づいて取得されてもよい。また自動車Mの位置は、基準位置からの移動量、ジャイロ装置からの自動車Mの姿勢情報または自動車Mの車速パルスにから得られた車速情報に基づいて算出されてもよい。また、挙動情報算出部15は、地図情報を取得可能であってもよい。すなわち、GPS受信機からのGPS情報、ジャイロ装置からの自動車Mの姿勢情報及び自動車Mの車速情報のうちの少なくとも1つと当該地図情報を組み合わせて、自動車Mの位置を算出して取得可能であってもよい。
【0022】
また、以下の説明において、自動車Mが自動車Mの進行方向に向けて加速する場合の加速度を正の加速度とし、減速する場合の加速度を負の加速度とする。なお、進行方向における負の加速度を減速度とも称する。また、横方向の加速度については、自動車Mの進行方向に対して左に向かった加速度を正の加速度とし、進行方向に対して右の方向に向かった加速度を負の加速度として説明する。
【0023】
サーバ20の通信部21は、複数の自動車Mの各々に搭載されている計測端末10の通信部13とネットワークNWを介して通信可能に接続されている。通信部21は、例えば、通信部13から上記自動車Mの加速度、速度及び位置を含む挙動情報またはプローブ情報を受信可能である。
【0024】
制御部23は、例えば、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)等を含んでおり、コンピュータによって実現される。制御部23は、通信部21を含むサーバ20の各部の動作を制御することが可能である。また制御部23は、通信部21を介して外部からの様々な情報を取得して、当該取得した情報について解析等の処理を行うことが可能である。CPUは、記憶部22から処理内容に応じたプログラムを読み出して、読み出したプログラムを実行して、各種機能を実現する。
【0025】
挙動情報取得手段23aは、制御部23の機能ブロックの1つである。挙動情報取得手段23aは、自動車Mに搭載されている各々の計測端末10から当該自動車Mの挙動情報を取得することが可能である。
【0026】
判定手段23bは、制御部23の機能ブロックの1つである。判定手段23bは、通信部21によって受信された挙動情報に含まれる加速度に基づいて各計測端末10が搭載された自動車Mが自動運転モードであるか否かを判定する。
【0027】
判定手段23bは、例えば、自動車Mの進行方向における加速度(減速度)が所定の閾値以下であると自動運転モードであると判定する。また、例えば、判定手段23bは、自動車Mの横方向における加速度の絶対値が、所定の閾値以下であると自動運転モードであると判定する。
【0028】
具体的には、自動運転モードで走行する自動車Mは、前方を走行する自動車がいない場合は、直線道路で一定速度を維持し、加減速は最小限でばらつきが少なく、なめらかである。
【0029】
また、自動運転モードで走行する自動車Mは、前方を走行する自動車に追従する走行を行っている場合は、直線道路で速度が前方を走行する自動車に合わせて変動し、加減速は最小限でばらつきが少なく、なめらかである。
【0030】
また、自動運転モードで走行する自動車Mは、前方を走行する自動車に追従する走行を行っている場合、自動車Mの前方を走行する自動車との車間距離が一定である。すなわち、自動運転モードで走行する自動車Mは、天候や時間帯(日中や、夜間)に左右されずに一定の車間距離を維持しつつ走行する。
【0031】
尚、自動車Mの速度域が速くなるにつれて、自動車Mの停止距離は伸びる。このため、当該車間距離は、自動車Mの速度域が速くなるにつれて長くなる。すなわち、自動運転モードで走行する自動車Mは、走行速度に応じた一定の車間距離で走行する。
【0032】
これに対して、手動運転モードで走行する自動車Mは、厳密な一定速度が維持されていることは困難である。また、手動運転モードで走行する自動車Mは、急減速を示す加速度が散見される。さらに、手動運転モードで走行する自動車Mは、前方を走行する自動車との車間距離が走行時及び停車時においてバラツキが生じる。
【0033】
判定手段23bは、これらの要素を考慮して自動運転モードであるか否かを判定する。ここで、自動運転モードとは、自動車の操縦モードである。操縦モードは、自動車Mの走行に関する操作の自動化の程度によって異なる複数の操縦モードを含んでいる。
【0034】
例えば、手動運転モードは、自動運転レベル0に相当する。自動運転モードは、自動運転レベル1乃至5に相当するモードであるとする。ここで、自動運転レベルは、日本政府や米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)で定義される自動運転レベルであるとする。
【0035】
また、自動運転モードは、アクセル操作、ブレーキ操作、操舵操作(ステアリング操作)のうち、少なくとも1つの操作の支援を行うモードが含まれているものとする。操作の支援を行うモードとは、例えば、エマージェンシーブレーキのように、運転者の操作が予め定めた所定条件を満たさない場合に、運転操作に介入するモードである。
【0036】
判定手段23bは、自動車Mの操舵の運転操作、加速の運転操作及び制動の運転操作の各々について少なくとも1つの運転操作が自動で行われているかを判定する。すなわち、判定手段23bは、自動車Mの操舵の運転操作、加速の運転操作及び制動の運転操作のうち、少なくとも1つが、自動で制御がなされていれば自動運転モードであるとして判定する。
【0037】
尚、判定手段23bによる判定は、これには限られず、例えば、判定手段23bは、自動車Mの操舵の運転操作、加速の運転操作及び制動の運転操作の各々が自動で行われているかを判定するようにしてもよい。すなわち、自動車Mの操舵の運転操作、加速の運転操作及び制動の運転操作の各々が自動で操作されている場合を自動運転モードであると判定してもよい。また、自動運転レベルは必ずしも判定されなくてもよく、例えば、アクセル操作、ブレーキ操作、操舵操作の運転操作ごとに自動運転モードであるか否かを判断してもよい。
【0038】
記憶部22は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、RAM(Random Access Memory)等を含み、通信部21によって受信された移動体情報等の情報を記憶することが可能である。また、記憶部22は、判定手段23bが自動車Mの操縦モードの判定をする際に用いる閾値情報を記憶可能である。また、記憶部22は、各機能ブロックの手段が判定する際の基準となる情報を記憶可能である。また、記憶部22は、地図情報等を記憶可能である。尚、記憶部22は、BIOS(Basic Input Output System)、ソフトウェア等の各種プログラムを記憶する。また、記憶部22は、挙動情報取得手段23a、判定手段23b等の制御部23の各機能ブロックの手段による判定の結果を記憶することが可能である。
【0039】
図3は、サーバ20によって実行される操縦モードの判定処理を示している。
図3に示すように、挙動情報取得手段23aは、自動車Mに搭載されている各々の計測端末10から当該自動車Mの挙動情報を取得する(ステップS101)。
【0040】
判定手段23bは、ステップS101で取得した挙動情報に基づいて、当該自動車Mの運転操作が自動で行われているか、すなわち、自動車Mの操縦モードを判定する。
【0041】
具体的には、判定手段23bは、挙動情報の前後加速度が予め定めた閾値以下であるかを判定する(ステップS102)。すなわち、当該自動車Mが自動運転モードである場合、自動車Mの加速又は減速は予め定められた一定の基準に基づいて操作が行われる。このため、自動運転モードの自動車Mは、一定の基準に沿って安定した加速又は減速で走行している。判定手段23bは、このような自動運転モードの性質を利用して、加速に関する運転操作の少なくとも一部及び制動に関する運転操作の少なくとも一部が自動で行われているか、すなわち、自動車Mの操縦モードを判定する。一定の基準とは、例えば、一定期間(例えば、10秒間)における前後加速度の変位である。当該変位が一定の基準より低い場合には、安定した加速又は減速で自動車Mが走行しており、判定手段23bは、自動車Mが自動運転モードで走行していると判定することができる。つまり、自動運転モードである場合、急な加速操作及び制動操作が行われることがなく比較的一定の前後加速度であることが想定される。
【0042】
ステップS102の判定において、前後加速度が閾値以下である場合(ステップS102:Y)、判定手段23bは、当該自動車Mが自動運転モードとして判定する(ステップS103)。
【0043】
ステップS102の判定において、前後加速度が閾値を超える場合(ステップS102:N)、判定手段23bは、挙動情報の左右加速度が予め定めた閾値以下であるか判定する(ステップS104)。すなわち、当該自動車Mが自動運転モードである場合、自動車Mの操舵は予め定められた一定の基準に基づいて操作が行われる。このため、自動運転モードの自動車Mは、一定の基準に沿って安定した左右加速度で走行している。つまり、自動運転モードである場合、急な操舵操作(ステアリング操作)が行われることがなく比較的一定の左右加速度であることが想定される。
【0044】
判定手段23bは、このような自動運転モードの性質を利用して操舵に関する運転操作の少なくとも一部が自動で行われているか、すなわち、自動車Mの操縦モードを判定する。自動車Mの操縦モードを判定する。一定の基準とは、例えば、一定期間(例えば、10秒間)における左右加速度の変位である。当該変位が一定の基準より低い場合には、安定した左右加速度で自動車Mが走行しており、判定手段23bは、自動車Mは自動運転モードであると判定することができる。
【0045】
ステップS104の判定において、左右加速度が閾値以下である場合(ステップS104:Y)、判定手段23bは、当該自動車Mが自動運転モードであると判定する(ステップS103)。
【0046】
ステップS104の判定において、左右加速度が閾値を超える場合(ステップS104:N)、判定手段23bは、当該自動車Mが手動運転モードであると判定する(ステップS105)。
【0047】
以上のように、本実施例の情報処理システムによれば、自動車Mの前後加速度及び左右加速度に基づいて、当該自動車Mが自動運転モードであるか否かを判定する。したがって、収集したプローブ情報に対して、移動体の運転状態が自動運転状態か手動運転状態かを容易に切り分けることができ、当該運転状態に応じて適切な情報解析を行うことが可能となる。
【0048】
尚、本実施例においては、前後加速度又は左右加速度のいずれかが閾値以下である場合に、自動運転モードであると判定した。しかし、操縦モードの判定処理は、これには限られず、たとえば、前後加速度及び左右加速度のいずれかが閾値以下である場合に、自動運転モードであると判定してもよい。
【0049】
図4は、サーバ20によって実行される他の自動運転モード判定処理を示している。ステップS201は、
図3に示すステップS101と同一の処理であるので説明を省略する。
図4に示すように、判定手段23bは、挙動情報の前後加速度が予め定めた閾値以下であるかを判定する(ステップS202)。ステップS202の判定において、前後加速度が閾値以下である場合(ステップS202:Y)、判定手段23bは、挙動情報の左右加速度が予め定めた閾値以下であるかを判定する(ステップS203)。
【0050】
ステップS203の判定において、左右加速度が閾値以下である場合(ステップS203Y)、判定手段23bは、当該自動車Mが自動運転モードであると判定する(ステップS204)。
【0051】
ステップS202の判定において、前後加速度が閾値を超える場合(ステップS202:N)、判定手段23bは、当該自動車Mが手動運転モードであると判定する(ステップS205)。
【0052】
ステップS203の判断において、左右加速度が閾値を超える場合(ステップS203:N)、判定手段23bは、当該自動車Mが手動運転モードとして判定する(ステップS205)。
【0053】
このように判定手段23bが自動運転モードであるか否かを判定することにより、より精度の高い判定を行うことが可能となる。
実施例2に係る情報処理システム100について説明する。実施例2に係る情報処理システム100は、実施例1に係る情報処理システム100とは、計測端末10がカメラを備え、サーバ20が車間距離取得手段を備える点で異なる。その他の点は、実施例1に係る情報処理システム100と構成と同一である。
サーバ20は、移動体間距離取得手段としての車間距離取得手段23cを備えている。車間距離取得手段23cは、制御部23の機能ブロックの1つである。車間距離取得手段23cは、計測端末10から取得した撮像情報から自動車Mと前方を走行する自動車との車間距離を算出する。
判定手段23bは、ステップS301で取得した複数の車間距離に基づいて、当該自動車Mの運転操作が自動で行われているか、すなわち、自動車Mの操縦モードを判定する。
具体的には、判定手段23bは、複数の車間距離のいずれもが予め定めた所定の範囲内であるか判定する(ステップS302)。例えば、自動車Mが時速40kmで5分間定速走行している場合、判定手段23bは、所定時間ごとに取得した各々の車間距離が30~40mの所定の範囲内になっているかを判定する。尚、所定時間及び車間距離の所定の範囲は任意に変更して実施してもよい。
すなわち、当該自動車Mが自動運転モードである場合、自動車Mは予め定められた一定の基準に基づいて加速操作及び制動操作が行われる。判定手段23bは、このような自動運転モードの性質を利用して自動車Mの操縦モードを判定する。
ステップS302の判定において、複数の車間距離のいずれもが予め定めた所定の範囲内である場合(ステップS302:Y)、判定手段23bは、当該自動車Mが自動運転モードとして判定する(ステップS303)。
ステップS302の判断において、複数の車間距離のうち少なくとも1つが予め定めた所定の範囲外である場合(ステップS302:N)、判定手段23bは、当該自動車Mが手動運転モードとして判定する(ステップS304)。
尚、本実施例においては、車間距離取得手段23cは、計測端末10のカメラ17が撮像した撮像データに基づいて車間距離を取得した。しかし、車間距離の取得は、カメラ17が撮像した撮像データに基づいて行われるものに限られず、前方を走行する自動車との距離を取得することができるデータであればよい。このようなデータとしては、例えば、ミリ波レーダー、LiDAR(Light Detection and Ranging)等の測定データが挙げられる。
以上のように、本実施例の情報処理システムによれば、自動車Mの前方を走行する自動車との車間距離に基づいて、当該自動車Mが自動運転モードであるか否かを判定する。したがって、収集したプローブ情報に対して、移動体の運転状態が自動運転状態か手動運転状態かを容易に切り分けることができ、当該運転状態に応じて適切な情報解析を行うことが可能となる。