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特開2023-168522補助ブレーキアセンブリ、ホイスト、およびケーブルドラムの制動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168522
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】補助ブレーキアセンブリ、ホイスト、およびケーブルドラムの制動方法
(51)【国際特許分類】
   B66D 5/14 20060101AFI20231116BHJP
   B66D 3/20 20060101ALI20231116BHJP
   B66D 5/30 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B66D5/14
B66D3/20 C
B66D5/30 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023172433
(22)【出願日】2023-10-04
(62)【分割の表示】P 2019224120の分割
【原出願日】2019-12-12
(31)【優先権主張番号】16/532,358
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501348092
【氏名又は名称】グッドリッチ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100140361
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 幸二
(72)【発明者】
【氏名】ベイジャン マグスーディ
(57)【要約】
【課題】 改善された補助ブレーキアセンブリ、ホイスト、およびケーブルドラムの制動方法を提供する。
【解決手段】 ホイストで使用するための補助ブレーキアセンブリが開示される。補助ブレーキアセンブリは、ピニオン、ファスナ、及びクラッチアセンブリを備える。ピニオンは、ローターギアのそれぞれのメッシュギアに近接して配置されたメッシュギアを備えてもよい。クラッチアセンブリは、ファスナとメッシュギアの間に配置されてもよい。ファスナは、ホイストのケーブルドラムが空回りする場合にクラッチアセンブリを圧縮するように構成されてもよい。クラッチの圧縮により、ピニオンとローターギアがロックされ、ケーブルドラムの空回りが止められる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピニオンであって、第1の端部と、第2の端部と、メッシュギアとを有し、前記第1の端部は前記第2の端部とは反対側にあり、前記メッシュギアが前記第1の端部に軸方向に隣接する、ピニオンと、
ファスナであって、前記ファスナの径方向外側表面から径方向外向きに延びるフランジを含む、ファスナと、
前記ピニオン及び固定されたハブに結合され、前記ファスナと前記メッシュギアの間に配置されているクラッチアセンブリと、
を備える、補助ブレーキアセンブリ。
【請求項2】
前記フランジと前記クラッチアセンブリとの間に配置されたバネをさらに備える、請求項1に記載の補助ブレーキアセンブリ。
【請求項3】
前記バネと前記クラッチアセンブリとの間に配置された圧力プレートをさらに備える、請求項2に記載の補助ブレーキアセンブリ。
【請求項4】
前記クラッチアセンブリは、
第2のピニオンの径方向外側表面に結合された第1の複数の摩擦ディスクと、
前記固定されたハブに結合された第2の複数の摩擦ディスクと、
前記第2の複数の摩擦ディスクの間に交互配置された複数のリアクションプレートと、
をさらに含む、請求項1に記載の補助ブレーキアセンブリ。
【請求項5】
前記ピニオンは長手方向軸を画定し、前記ピニオンは、前記ピニオンの前記メッシュギアによる係合を介して前記長手方向軸を中心として回転するように構成された、請求項1に記載の補助ブレーキアセンブリ。
【請求項6】
前記フランジは、前記クラッチアセンブリを圧縮し、前記ピニオンをロックするように構成された、請求項5に記載の補助ブレーキアセンブリ。
【請求項7】
前記ファスナは、雄ファスナと雌ファスナを含み、前記雌ファスナは、前記フランジを含み、前記雄ファスナは、前記雌ファスナに結合され、前記雌ファスナは、前記雄ファスナと前記バネとの間に配置されており、
スラストベアリングをさらに備え、前記雄ファスナは、前記雄ファスナの端部に配置された溝を有し、前記溝は前記スラストベアリングと係合する、請求項3に記載の補助ブレーキアセンブリ。
【請求項8】
ホイストであって、
トルクチューブと、
前記トルクチューブに結合されたケーブルドラムと、
前記トルクチューブの第1の端部に結合され、第1のメッシュギアを含むローターギアと、
第2のメッシュギアを前記ローターギアの第1のメッシュギアと係合させるピニオンを含む補助ブレーキアセンブリと、
前記ピニオンに結合され、前記ケーブルドラムが空回りするときに前記ピニオンをロックするように構成されたクラッチアセンブリと、
を備えた、ホイスト。
【請求項9】
主ブレーキをさらに備える、請求項8に記載のホイスト。
【請求項10】
前記ケーブルドラムが空回りしているときに検出し、前記補助ブレーキアセンブリを作動させるように構成された電動機と、
前記電動機に結合された第1段ギアと、
前記第1段ギアに結合された第2段ギアと、をさらに備え、
前記補助ブレーキアセンブリは、前記クラッチアセンブリに軸方向に隣接して配置されたファスナをさらに含み、前記ファスナは、前記ファスナの径方向外側表面から径方向外向きに延びるフランジを含み、前記フランジは、前記第2段ギアと係合する、請求項8に記載のホイスト。
【請求項11】
前記クラッチアセンブリは、前記ピニオンの径方向外側表面に結合された第1の複数の摩擦ディスクを備え、前記第1の複数の摩擦ディスクは、前記ピニオンをロックするように構成される、請求項8に記載のホイスト。
【請求項12】
前記ファスナは、雄ファスナと雌ファスナとを備え、前記雌ファスナは、前記雄ファスナと前記クラッチアセンブリとの間に配置され、前記雌ファスナは、前記フランジを備える、請求項10に記載のホイスト。
【請求項13】
前記ファスナの前記フランジは、前記ケーブルドラムが空回りしているときに、前記クラッチアセンブリを圧縮し、前記第1のメッシュギア及び前記第2のメッシュギアをロックするように構成される、請求項10に記載のホイスト。
【請求項14】
ホイストの空回りしているケーブルドラムの制動方法であって、
ケーブルドラムが空回りしていることを検出することと、
補助ブレーキアセンブリに結合された電動機を作動させることであって、前記補助ブレーキアセンブリは、ローターギアに係合するピニオンを含み、クラッチアセンブリが空回りする前記ピニオンに結合された、電動機を作動させることと、
前記クラッチアセンブリを締め付けることと、
前記ピニオンをロックすることと、
を備えた、方法。
【請求項15】
前記ローターギアをロックすることと、
前記ケーブルドラムをロックすることと、
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的にホイストに関し、より詳細には、ホイスト用の補助ブレーキアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
ホイストは、荷(例えば、貨物、人など)を機械的に持ち上げ及び/または降ろすために使用される装置である。ホイストには、ケーブルを巻いたり巻き戻したりするモーター駆動のケーブルドラムが含まれてよい。ホイストは、荷を制御及び/またはある物理的位置から別の物理的位置に移動するために、ケーブルを介して荷に引く力を加える。ホイストは、航空機、自動車、トラックでの用途、及びアンカーシステム、ケーブルカー、クレーン、エレベーター、エスカレーター、採掘業、動く歩道、けん引ロープ、スキーリフト、テザーなどを含む多くの環境で使用される。ホイストの空回りは、航空機、クルー、ホイスト、及び/または荷を危険にさらす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明は、改善された補助ブレーキアセンブリ、ホイスト、およびケーブルドラムの制動方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書では、様々な実施形態による補助ブレーキアセンブリが開示される。補助ブレーキアセンブリは、第1の端部と、第2の端部と、メッシュギアとを有し、第1の端部は第2の端部とは反対側にあり、メッシュギアは第1の端部に軸方向に隣接するピニオンと、ファスナであって、ファスナの径方向外側表面から径方向外向きに延びるフランジを含むファスナと、ピニオン及び固定されたハブに結合され、ファスナとメッシュギアの間に配置されているクラッチアセンブリとを備える。
【0005】
様々な実施形態において、補助ブレーキアセンブリは、フランジとクラッチアセンブリとの間に配置されたバネをさらに備えてもよい。補助ブレーキアセンブリは、バネとクラッチアセンブリとの間に配置された圧力プレートをさらに備えてもよい。クラッチアセンブリは、第2のピニオンの径方向外側表面に結合された第1の複数の摩擦ディスクと、固定されたハブに結合された第2の複数の摩擦ディスクと、第2の複数の摩擦ディスクの間に交互配置された複数のリアクションプレートをさらに備えてもよい。ピニオンは、長手方向軸を画定し、ピニオンは、ピニオンのメッシュギアによる係合を介して長手方向軸を中心として回転するように構成される。フランジは、クラッチアセンブリを圧縮してピニオンをロックするように構成できる。ファスナは、雄ファスナと雌ファスナを含み、雌ファスナはフランジを含み、雄ファスナは雌ファスナに結合され、雌ファスナは雄ファスナとバネの間に配置される。補助ブレーキアセンブリは、スラストベアリングをさらに備えてもよく、雄ファスナは、雄ファスナの端部に配置された溝を有し、溝はスラストベアリングと係合する。
【0006】
本明細書では、様々な実施形態によるホイストが開示されている。ホイストは、トルクチューブと、トルクチューブに結合されたケーブルドラムと、トルクチューブの第1の端部に結合され、第1のメッシュギアを含むローターギアと、第2のメッシュギアをローターギアの第1のメッシュギアと係合させるピニオンを含む補助ブレーキアセンブリと、ピニオンに結合され、ケーブルドラムが空回りするときにピニオンをロックするように構成されたクラッチアセンブリとを含む。
【0007】
ホイストは、主ブレーキをさらに備えてもよい。ホイストは、ケーブルドラムが空回りしていることを検出すると、補助ブレーキアセンブリを作動させるように構成された電動機をさらに備えてもよい。ホイストは、電動機に結合された第1段ギアをさらに備えてもよい。ホイストは、第1段ギアに結合された第2段ギアをさらに備えてもよい。補助ブレーキアセンブリは、クラッチアセンブリに軸方向に隣接して配置されたファスナをさらに含み、ファスナは、ファスナの径方向外側表面から径方向外向きに延びるフランジを含み、フランジは第2段ギアと係合する。クラッチアセンブリは、ピニオンの径方向外側表面に結合された第1の複数の摩擦ディスクをさらに含むことができ、第1の複数の摩擦ディスクはピニオンをロックするように構成される。ファスナは、雄ファスナ及び雌ファスナを備えてもよく、雌ファスナは、雄ファスナとクラッチアセンブリとの間に配置され、雌ファスナはフランジを含む。ファスナのフランジは、ケーブルドラムが空回りしているときに、クラッチアセンブリを圧縮し、第1のメッシュギアと第2のメッシュギアをロックするように構成することができる。
【0008】
様々な実施形態による、ホイストのケーブルドラムの空回り制動方法が本明細書に開示されている。方法は、ケーブルドラムが空回りしていることを検出し、補助ブレーキアセンブリに結合された電動機を作動させ、補助ブレーキアセンブリは、ローターギアに係合するピニオンと、ピニオンに結合されたクラッチアセンブリを備えており、ピニオンが空回りするとクラッチアセンブリを締め付け、ピニオンをロックする。
【0009】
様々な実施形態によれば、方法は、ローターギアをロックすることをさらに含むことができる。方法には、ケーブルドラムをロックすることをさらに含むことができる。
【0010】
本開示の主題は、本明細書の結論部分で特に指摘され、明確にクレームされている。しかしながら、本開示のより完全な理解は、以下の例示的な図に関連して考慮される場合、詳細な説明及び特許請求の範囲を参照することにより最もよく得られ得る。以下の図では、同様の参照番号は、図全体を通して同様の要素及び工程を指す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】様々な実施形態による、ホイストを有する航空機を示す。
図2】様々な実施形態による、ホイストの概略ブロック図を示す。
図3】様々な実施形態によるホイストの斜視図を示す。
図4】様々な実施形態によるホイストの断面図を示す。
図5】様々な実施形態による図4のホイストの補助ブレーキアセンブリの詳細な断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
例示的な実施形態のこの詳細な説明は、例示として例示的な実施形態を示す添付の図面を参照する。これらの例示的な実施形態は、当業者が本開示を実施できるように十分に詳細に説明されているが、他の実施形態を実現することもでき、設計及び構造における論理的変更及び適合を、本明細書の範囲及び精神から逸脱することなく、本開示及び本明細書で説明した教示に従って行うこともできることを理解されたい。したがって、この詳細な説明は、限定ではなく、例示のみを目的として提示されている。
【0013】
本開示の範囲は、単に説明された例によってではなく、添付の特許請求の範囲及びそれらの法的同等物によって定義される。例えば、方法またはプロセスの説明のいずれかに記載されている工程は、任意の順序で実行でき、必ずしも提示された順序に限定されない。さらに、単数形への言及には複数の実施形態が含まれ、複数のコンポーネントまたは工程への言及には単一の実施形態または工程が含まれる場合がある。また、仮留め、取り付け、固定、結合、接続などへの言及には、永続的、取り外し可能、一時的、部分的、完全、及び/または他の可能な取り付けオプションが含まれる。さらに、非接触(または同様のフレーズ)への言及には、接触の減少または最小限の接触も含まれる場合がある。クロスハッチングと表面線は、異なる部品を示すために図全体を通して使用されてもよいが、必ずしも同じまたは異なる材料を示すためではない。
【0014】
本明細書では、ホイスト用の補助ブレーキアセンブリが開示されている。補助ブレーキアセンブリは、ホイストのケーブルドラムが空回りするのを防ぐように構成されてもよい。様々な実施形態によれば、補助ブレーキアセンブリは、ピニオン、摩擦ディスクパック、圧力プレート、ギアナット、ネジ、及びベアリングを含むことができる。補助ブレーキアセンブリは、補助ブレーキアセンブリを追加せずに主ブレーキアセンブリを適用する傾向がある従来のホイスト設計と比較して、より安全なホイストを可能にする。
【0015】
ここで図1を参照すると、様々な実施形態による、ヘリコプターなどの航空機10が示されている。航空機10は、捜索及び救助任務に使用されることができる。ホイスト12は、航空機10の支持体に取り付けられている。ホイスト12は、荷16にフック18などを介して接続されたケーブル14(例えば、ワイヤーロープ)を繰り出し及び/または巻き取る(例えば、それぞれ下降及び/または上昇させる)ために使用できる。様々な実施形態において、ホイスト12に取り付けられた荷16は、ホイスト12の定格荷重を超えることがあり、それにより、航空機10、ホイスト12、及び/または荷16などを危険にさらす可能性がある。
【0016】
ここで図2も参照すると、様々な実施形態によるホイスト12用のブレーキシステム1の概略ブロック図が示されている。モーター2は、ギア3を介してブレーキ4に動作可能に接続されており、ブレーキ4はクラッチ5に動作可能に接続され、クラッチ5はドラム7に動作可能に接続されている。モーター2は、ギア3、ブレーキ4、クラッチ5を介してドラム7の駆動をもたらすために作動され、ウインチケーブル7aを巻き上げ(または解放)して有効荷重8を持ち上げる(または降ろす)。ドラム7とケーブル7aは合わせてウインチ9を形成する。主ブレーキ4は、モーター2を解放せずにケーブル7aが巻き取りを行うことを止めるために構造に固定され、他方、クラッチ5はドラム7に過負荷がかかった場合に、駆動を加減してドラム7をモーター2から切り離すことを可能とする役割を果たす。補助ブレーキ6は、主ブレーキ4がケーブル7aの巻き戻しを停止できない場合にケーブル7aの巻き取りを止めるため、構造に固定されている。
【0017】
ここで図3を参照すると、様々な実施形態による救助ホイストの斜視図が示されている。救助ホイスト210は、第1の放射状フランジ228、第2の放射状フランジ230、及び第1の放射状フランジ228と第2の放射状フランジ230との間に軸方向に延びるバレル232を有するケーブルドラム212を含む。様々な実施形態において、ケーブルドラム212はトルクチューブ240の径方向外側に配置され、その中にモーター及び駆動機構が少なくとも部分的に収容されることができる。様々な実施形態において、トルクチューブ240及びケーブルドラム212の両方は、長手方向軸Aを中心として回転するように構成される。ケーブルドラム212は、長手方向軸Aに対して前後の移動も行うように構成される。
【0018】
救助ホイスト210は、減速機構242を含み、減速機構242は、様々な実施形態において、トルクチューブ240の径方向外側に配置され、モーター及び動力伝達装置により駆動されるリングギアによって駆動されるように構成された遊星ギア250を含み、または遊星ギア250に結合される。減速機構242はまた、レベルワインド機構220に結合されてもよい。様々な実施形態において、レベルワインド機構220は、第1のネジ260及び第2のネジ262を含み、両方のネジはトルクチューブ240の径方向外側表面241に沿って軸方向に延びる。
【0019】
ここで図4を参照すると、様々な実施形態による、長手方向軸Aに沿った救助ホイストの断面図が示されている。ホイスト300は、トルクチューブ310及びケーブルドラム320を含む。様々な実施形態において、ギアボックスは、トルクチューブ310にトルクを出力し、ケーブルドラム320を駆動し、ケーブルドラム320をその長手方向軸を中心として回転させる。トルクチューブ310は、当技術分野で知られている任意の方法によってケーブルドラム320に結合される。例えば、トルクチューブ310は、ボールベアリングアセンブリ350によってトルクチューブ310の第1の端部312でケーブルドラム320に結合されることができる。ボールベアリングアセンブリ350は、トルクチューブ310とケーブルドラム320との間の回転摩擦を低減することができる。
【0020】
様々な実施形態において、ホイスト300は、補助ブレーキアセンブリ330をさらに備える。補助ブレーキアセンブリ330は、ケーブルドラム320が空回りする場合にケーブルドラム320を止めるように構成される。様々な実施形態において、補助ブレーキアセンブリ330は、ローターギア340に結合される。様々な実施形態において、ローターギア340は、ローターギア340の軸に平行に突出する歯を有する平歯車である。補助ブレーキアセンブリ330は、トルクチューブ310をロックするローターギア340をロックするように構成されており、そして次にトルクチューブ310はケーブルドラム320が空回りし始めた場合にケーブルドラム320をロックする。
【0021】
様々な実施形態において、ホイスト300は、電動機360をさらに備える。電動機360は、ブレーキコントローラと電気的に通信することができる。ブレーキコントローラは、ケーブルドラムが空回りする場合を検出し、電動機に電気信号を送信する。ブレーキコントローラから信号を受信すると、電動機360は、電動機360の後方に配置された第1段ギア362を駆動する。第1段ギア362は、第2段ギア364に結合されることができる。第2段ギア364は、補助ブレーキアセンブリ330に結合されることができる。第1段ギア362は、第2段ギア364と係合し、補助ブレーキアセンブリ330を前方に平行移動させ、ローターギア340をロックし、ケーブルドラム320の回転を止めることができる。様々な実施形態において、第1段ギア362及び第2段ギア364は段付きギアである。
【0022】
ここで図5を参照すると、様々な実施形態によるホイスト300の補助ブレーキアセンブリ330の断面の詳細な斜視図が示されている。様々な実施形態において、補助ブレーキアセンブリ330は、ピニオン410、ファスナ420、バネ430、圧力プレート440、クラッチアセンブリ450、及びハブ460を含む。ピニオン410は、ローターギア340から径方向に隣接して配置される。様々な実施形態では、ピニオン410は、ローターギア340から径方向外側に、またはローターギア340から径方向内側に配置されることができる。ピニオンは、第1の端部411及び第2の端部419を含む。第1の端部411は肩部を有することができ、ベアリング405を受容するように構成されることができる。ベアリング405は、ピニオン410の回転摩擦を低減し、ラジアル荷重を支持し、及び/または軸方向荷重を支持するように構成されることができる。ベアリング405は、ボールベアリングなどを含むことができる。
【0023】
ピニオン410は、ホイスト300の通常動作中にローターギア340のそれぞれのメッシュギア342と係合するように構成されたメッシュギア412をさらに備える。ピニオン410の第1の径方向外側表面413は、メッシュギア412に軸方向に隣接して配置されてもよい。ピニオン410は、第1の径方向外側表面413に軸方向に隣接して配置された第2の径方向外側表面415と、第2の径方向外側表面415に軸方向に隣接して配置された第3の径方向外側表面416とをさらに含んでもよい。ローターギア340がメッシュギア412とそれぞれのメッシュギア342との間の係合を介してホイスト300の長手方向軸A(図3から)を中心として回転すれにつれ、ピニオン410は、通常動作中にピニオン軸Bを中心として回転してもよい。
【0024】
様々な実施形態において、ファスナ420は、雄ファスナ470及び雌ファスナ480を含むことができる。雄ファスナ470は、雌ファスナ480に軸方向に隣接して配置され、係合することができる。雄ファスナ470は、第1の端部471及び第1の端部471とは反対側に配置された第2の端部479を含む。雄ファスナ470は、雄ファスナ470の第2の端部479に配置されたネジ部475を含むことができる。雄ファスナ470は、第1の端部471から第2の端部479まで軸方向に延びる開口部をさらに含むことができる。雄ファスナ470は、ネジ部475とは反対側にあり開口部によって画定される径方向内側表面477を含むことができる。径方向内側表面477は、ベアリング478と係合するように構成されてもよい。様々な実施形態において、ベアリング478は、ニードルベアリング、または当技術分野で一般的に知られている他のベアリングであってもよい。様々な実施形態において、雄ファスナ470は、第1の端部471に配置された溝472を含むことができる。溝472は、ベアリング473を受容するように構成されることができる。ベアリング473は、溝472内に配置され、ピニオン410の第2の端部419に近接してピニオン410に結合されることができる。ベアリング473は、スラストベアリング、または当技術分野で知られている他のベアリングを含むことができる。ベアリング473は、高い軸方向荷重などを支持するように構成されてもよい。
【0025】
様々な実施形態において、雌ファスナ480はギアナットを含む。雌ファスナは、第1の端部481と、第1の端部481とは反対側の第2の端部489とを含む。第1の端部481は、第1の端部481の径方向内側表面に配置されたネジ部482を含む。ネジ部482は、雄ファスナ470のネジ部475を受容するように構成されることができる。第2の端部489は、第2の端部489の径方向内側表面に配置された溝488と、径方向内側表面とは反対側に配置された径方向外側表面とを含むことができる。雌ファスナ480は、第2の端部489の径方向外側表面から径方向外側に延びるフランジ485をさらに含むことができる。溝488は、ベアリング487を受容するように構成することができる。ベアリング487は、溝488とピニオン410の第2の径方向外側表面415との間に配置することができる。様々な実施形態において、ベアリング487は、ローラーベアリングなどであってもよい。様々な実施形態において、ベアリング487は、補助ブレーキアセンブリ330にラジアル荷重支持を提供するように構成されてもよい。
【0026】
様々な実施形態において、バネ430は、雌ファスナ480のフランジ485と圧力プレート440との間に配置される。様々な実施形態において、バネ430は、カップ状バネワッシャ、コイルバネ、入れ子波形バネ、または当技術分野で公知の他のバネを含む。様々な実施形態において、圧力プレート440は、バネ430とクラッチアセンブリ450との間に配置される。ホイストが空回りする場合、その間、雌ファスナ480のフランジ485は圧力プレート440に向かって平行移動し、バネ430を圧縮する。そして、バネ430はクラッチアセンブリ450に力を加えクラッチアセンブリ450を圧縮する。本明細書で説明する「ホイストが空回りする場合」とは、ケーブルに加えられる機械的な力にシステムが対抗できずケーブルが繰り出され始めるときなど、ホイスト300のケーブルドラムが空回りしている場合を指す。これは、部品の1つが動作しなくなった場合に発生する可能性がある。
【0027】
様々な実施形態において、クラッチアセンブリ450は、第1の複数の摩擦ディスク452、第2の複数の摩擦ディスク454、及び複数のリアクションプレート456を含む。様々な実施形態において、クラッチアセンブリ450は油で潤滑される(例えば、ウェットアセンブリ)。クラッチアセンブリ450は、ピニオン410のメッシュギア412と圧力プレート440との間に軸方向に配置される。クラッチアセンブリ450は、ピニオン410の第1の径方向外側表面413とハブ460との間に径方向に配置される。第1の複数の摩擦ディスク452は、ピニオン410の第1の径方向外側表面413に結合されることができる。第1の複数の摩擦ディスク452は、ピニオン410の第1の径方向外側表面413から径方向外側に延びる。様々な実施形態において、第2の複数の摩擦ディスク452の各摩擦ディスクは、ピニオン410の第1の径方向外側表面413に向かうハブ460と結合され、かつハブ460から径方向内側に延びる。様々な実施形態において、ハブ460は、構造490に固定されている。複数のリアクションプレート456は、第1の複数の摩擦ディスク452及び/または第2の複数の摩擦ディスク454の間に交互配置されてもよい。様々な実施形態において、同数の第1の複数の摩擦ディスク452と第2の複数の摩擦ディスク454があってもよい。様々な実施形態において、異なる数の第1の複数の摩擦ディスク452と第2の複数の摩擦ディスク454があってもよい。使用時に、第1の複数の摩擦ディスク452と第2の複数の摩擦ディスク454は締め付けられ、ピニオン410とハブ460の間にトルクを発生させ、ピニオン410をロックし、次にローターギア340をロックする。
【0028】
様々な実施形態では、補助ブレーキアセンブリ330は、ピニオン410の第2の端部419に配置されたナット495をさらに備える。ナット495は、補助ブレーキアセンブリ330を一緒に機械的に結合する。様々な実施形態において、ナット495は、通常の動作中にピニオン410とともに回転するように構成される。様々な実施形態において、ここで図4及び図5を参照し、雌ファスナ480のフランジ485は、当技術分野で知られている任意の方法によって第2段ギア364に結合されてもよい。
【0029】
本明細書では、特定の実施形態に関して、便益、他の利点、及び問題の解決策を説明した。さらに、本明細書に含まれる様々な図に示される接続線は、様々な要素間の例示的な機能的関係及び/または物理的結合を表すことを意図している。なお、実際のシステムには、多くの代替または追加の機能的関係または物理的接続が存在する可能性があることに留意されたい。ただし、利益、利点、問題の解決策、及び何らかの利益、利点、解決策を生じさせ、またはより顕著とする可能性のあるすべての要素は、本発明の重要な、必要な、または本質的な特徴または要素として解釈されるべきではない。本発明の範囲は、したがって、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものであり、単数形の要素への言及は、明示的に述べられる場合を除き、「唯一」を意味するものではなく、「1つ以上」を意味するものである。さらに、「A、B、またはCの少なくとも1つ」と同様の表現が特許請求の範囲において使用される場合、表現は次のように解釈されることが意図されている。すなわち、一実施形態ではAのみが存在してもよく、一実施形態ではBのみが存在してもよく、一実施形態ではCのみが存在してもよい。または要素A、B、及びCの任意の組み合わせ、例えば、AとB、AとC、B及びC、またはAとBとCが単一の実施形態に存在してもよい。
【0030】
本明細書では、システム、方法、及び装置が提供される。本明細書の詳細な説明において、「一実施形態」、「実施形態」、「様々な実施形態」などへの言及は、説明された実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含むことができることを示しているが、すべての実施形態が特定の特徴、構造、または特性を必ずしも含まなくてよい。さらに、そのような表現が必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が実施形態に関連して説明されている場合、そのような特徴、構造、または特性が明示的に記述されているかどうかにかかわらず他の実施形態において好んで用いることは当業者の知識の範囲内であり得ると言える。説明を読んだ後、当業者には、本開示を代替実施形態でどのように実施するかが明らかであろう。
【0031】
さらに、本開示の要素、構成要素、または方法の工程は、要素、構成要素、または方法の工程が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公衆に献じられることは意図されない。特許請求の範囲のいずれの要素も、要素が“means for”の表現を明示的に用いて記載されていない限り、米国特許法第112条(f)が適用されることを意図しない。本明細書で使用される場合、用語「含む(comprises)」「含んで(comprising)」またはその他の変形された用語は、非排他的な包含を対象とすることを意図しており、それ故、要素の列挙を含む、プロセス、方法、物品、または装置は、それらの要素のみを含むのではなく、明示的に列挙されていない、またはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に内在する他の要素を含む場合がある。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-10-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイストであって、
トルクチューブと、
前記トルクチューブに結合されたケーブルドラムと、
前記トルクチューブの第1の端部に結合され、第1のメッシュギアを含むローターギアと、
第2のメッシュギアを前記ローターギアの第1のメッシュギアと係合させるピニオンを含む補助ブレーキアセンブリと、
前記ピニオンに結合され、前記ケーブルドラムが空回りするときに前記ピニオンをロックするように構成されたクラッチアセンブリと、
を備えた、ホイスト。
【請求項2】
主ブレーキをさらに備える、請求項に記載のホイスト。
【請求項3】
前記ケーブルドラムが空回りしているときに検出し、前記補助ブレーキアセンブリを作動させるように構成された電動機と、
前記電動機に結合された第1段ギアと、
前記第1段ギアに結合された第2段ギアと、をさらに備え、
前記補助ブレーキアセンブリは、前記クラッチアセンブリに軸方向に隣接して配置されたファスナをさらに含み、前記ファスナは、前記ファスナの径方向外側表面から径方向外向きに延びるフランジを含み、前記フランジは、前記第2段ギアと係合する、請求項に記載のホイスト。
【請求項4】
前記クラッチアセンブリは、前記ピニオンの径方向外側表面に結合された第1の複数の摩擦ディスクを備え、前記第1の複数の摩擦ディスクは、前記ピニオンをロックするように構成される、請求項に記載のホイスト。
【請求項5】
前記ファスナは、雄ファスナと雌ファスナとを備え、前記雌ファスナは、前記雄ファスナと前記クラッチアセンブリとの間に配置され、前記雌ファスナは、前記フランジを備える、請求項に記載のホイスト。
【請求項6】
前記ファスナの前記フランジは、前記ケーブルドラムが空回りしているときに、前記クラッチアセンブリを圧縮し、前記第1のメッシュギア及び前記第2のメッシュギアをロックするように構成される、請求項に記載のホイスト。
【請求項7】
ホイストの空回りしているケーブルドラムの制動方法であって、
ケーブルドラムが空回りしていることを検出することと、
補助ブレーキアセンブリに結合された電動機を作動させることであって、前記補助ブレーキアセンブリは、ローターギアに係合するピニオンを含み、クラッチアセンブリが空回りする前記ピニオンに結合された、電動機を作動させることと、
前記クラッチアセンブリを締め付けることと、
前記ピニオンをロックすることと、
を備えた、方法。
【請求項8】
前記ローターギアをロックすることと、
前記ケーブルドラムをロックすることと、
をさらに含む、請求項に記載の方法。