(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168561
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】製袋充填機のシール装置
(51)【国際特許分類】
B65B 51/10 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
B65B51/10 200
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023173174
(22)【出願日】2023-10-04
(62)【分割の表示】P 2019113517の分割
【原出願日】2019-06-19
(71)【出願人】
【識別番号】000151461
【氏名又は名称】株式会社東京自働機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】竹内 一生
(72)【発明者】
【氏名】眞榮城 翼
(57)【要約】
【課題】高いシール性を有し、異物の噛み込みの有無を高精度に検出できる。
【解決手段】製袋充填機の横シール装置15は、開閉作動することでフィルムfを挟んでシール可能な一対のヒータブロック16a、16bと、ヒータブロック16a、16bを開閉作動させる第一モータM1、第二モータM2と、第一モータM1、第二モータM2の駆動に連動して一対のヒータブロック16a、16bをそれぞれ開閉作動させる第一連係部材22及び第二連係部材23とを備えた。制御部32には、フィルムfの製袋時にフィルムfを加熱シールするヒータブロック16a、16bを作動させるタイミング指令手段34と、ヒータブロック16a、16bを閉鎖作動させてフィルムfをシールする際に第一モータM1、第二モータM2のトルクの大きさを互いに交差するように変化させるトルク値指令手段35を備えた。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉作動することで包材を挟んでシール可能な一対のシールブロックと、
前記シールブロックを開閉作動させる駆動源と、
前記駆動源の駆動に連動して前記一対のシールブロックを開閉作動させる一対の連係部材と、
前記シールブロックの閉じ位置での前記シールブロック長手方向に離間した2つの隙間を検出する位置検出手段と、
前記隙間が噛み込み判断区間内の予め設定されたタイミングにおける閾値の範囲を超えた場合に異物の噛み込みを検出する噛み込み判断手段と、
を備えたことを特徴とする製袋充填機のシール装置。
【請求項2】
前記噛み込み判断手段は、2つの前記位置検出手段で検出した前記閉じ位置のシールブロック間の隙間の大きさ、前記隙間の和、前記隙間の差の少なくともいずれかを選択して、いずれかで前記閾値の範囲を超えた場合に異物の噛み込みを検出する請求項1に記載された製袋充填機のシール装置。
【請求項3】
前記閾値の上限と下限は、前記噛み込み判断区間内のタイミングに応じて可変とした請求項1または2に記載された製袋充填機のシール装置。
【請求項4】
前記一対のシールブロックを閉鎖作動させて前記包材をシールする際に前記駆動源のトルクの大きさを互いに異なるように変化させるトルク値指令手段を備えている請求項1から3のいずれか1項に記載された製袋充填機のシール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば製袋充填機に設けた横シール装置等のシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内容物を充填した袋を連続して形成する製袋充填機として例えば特許文献1に記載された縦型製袋充填機が提案されている。
特許文献1に記載された縦型製袋充填機は、底部が横シールされて縦部が縦シールされた筒状の包材内に粉体等の内容物を充填した後、包材の上部開口を加熱シールする。包材を加熱シールする一対のヒータブロックを開閉作動するための駆動源として、小型で使用電力の小さいマスターモータとスレイブモータからなる2台のモータを設けている。製袋された袋はフィルム上下部の横シール部とフィルム両端を接続する縦シール部(背張り)とをヒータブロックで加熱シールして形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に記載された製袋充填機では、2つのモータが同一の作動を行うので包材の横シール部に粉体等の内容物を噛み込むと噛み込みの検出精度が十分でないことがあった。
また、2つのモータが同一の作動を行うので、横シール部の縦シール部のある部分とない部分との境目部分に厚みの差によってリークが発生し易いという問題があった。また、縦シール部の影響による厚みの差によって噛み込みの有無の検出精度に限界があった。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、高いシール性を有していて、異物の噛み込みの有無を高精度に検出できるようにした製袋充填機のシール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による製袋充填機のシール装置は、開閉作動することで包材を挟んでシール可能な一対のシールブロックと、シールブロックを開閉作動させる2つの駆動源と、駆動源の駆動に連動して一対のシールブロックを開閉作動させる一対の連係部材と、一対のシールブロックを閉鎖作動させて包材をシールする際に駆動源のトルクの大きさを互いに異なるように変化させるトルク値指令手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、トルク値指令手段により駆動源を駆動させることで一対の連係部材を介してシールブロックを開閉作動させ、一対のシールブロックを閉鎖作動させて包材をシールする際、一対の連係部材を介してシールブロックに伝達される各駆動源のトルクの大きさを異なるように変化させることで、包材を挟む一対のシールブロックの強シール点が一端側から他端側に移動するため、縦シール部等の他のシール部との境目を含めて高精度なシールを行うことができる。
【0007】
本発明による製袋充填機のシール装置は、開閉作動することで包材を挟んでシール可能な一対のシールブロックと、シールブロックを開閉作動させる駆動源と、駆動源の駆動に連動して一対のシールブロックを開閉作動させる一対の連係部材と、シールタイミングでシールブロック長手方向に離間した2つの隙間を検出する位置検出手段と、隙間が予め設定された閾値の範囲を超えた場合に異物の噛み込みを検出する噛み込み判断手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、駆動源の駆動によって包材を挟んでシールブロックを閉作動する際、シールブロックを押圧するトルクの変動に基づいて位置検出手段によって閉じ位置のシールブロック間の隙間の大きさを検出し、隙間の大きさが予め設定された閾値の範囲を超えた場合に噛み込み判断手段によって異物の噛み込みを検出することができる。
【0008】
また、噛み込み判断手段は、2つの位置検出手段で検出した閉じ位置でのシールブロック間の隙間の大きさ、隙間の和、隙間の差の少なくともいずれかを選択して、いずれかで閾値の範囲を超えた場合に異物の噛み込みを検出するようにしてもよい。
閉じ位置の一対のシールブロックにおける2つの駆動源にそれぞれ対応する閉じ位置の隙間の大きさ、隙間の和、隙間の差の少なくともいずれかを選択して、選択したいずれかで閾値の範囲を超えた場合に異物の噛み込みを検出することができる。
【0009】
また、閾値の上限と下限は、シールブロックの一端側から他端側まで包材をシールする閉鎖タイミングに応じて可変とすることができる。
閉じ位置のシールブロック間の隙間の大きさを検出して閾値と比較する際、閾値を一対のシールブロックの閉鎖タイミングに応じて可変とすることで精度よく異物の噛み込みの有無を判断できる。
【0010】
また、一対のシールブロックを閉鎖作動させて包材をシールする際に駆動源のトルクの大きさを互いに異なるように変化させるトルク値指令手段を備えていてもよい。
トルク値指令手段によって駆動源を駆動させることで一対の連係部材を介してシールブロックを開閉作動させて包材をシールする際、一対の連係部材を介してシールブロックに伝達される各駆動源のトルクの大きさを異なるように変化させることで、包材を挟む一対のシールブロックの強シール点が一端側から他端側に移動するため、縦シール部等の他のシール部との境目を含めて高精度なシールを行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によるシール装置によれば、一対のシールブロックによる包材のシール時に包材を挟む一対のシールブロックが最大トルクでシールする点が一端側から他端側に移動するため、高いシール性を有することができる。
【0012】
また、本発明によるシール装置によれば、駆動源の駆動によって包材を挟んで一対のシールブロックを閉作動する際、シールタイミングでシールブロックの長手方向に離間した2つの位置のシールブロック間の隙間の大きさを2つの検出器で検出でき、噛み込み判断手段によって2つの検出器で検出した隙間のそれぞれの大きさや隙間の和や隙間の差が予め設定された閾値の範囲を超えたか否かを判断するため、異物の噛み込みの有無を高精度に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態による縦型製袋充填機の概略構成を示す要部説明図である。
【
図3】
図1に示す縦型製袋充填機の横シール装置の要部説明図である。
【
図4】噛み込み判断区間における2つのモータのトルクの変化を示す図である。
【
図5】ヒータブロックで袋を加熱シールする状態を示すもので、(a)は加熱シールの開始点、(b)は終了点を示す説明図である。
【
図6】ヒータブロックの噛み込みの有無を判断するグラフであり、(a)は第一モータ側の閉じ位置の隙間の図、(b)は第二モータ側の閉じ位置の隙間の図である。
【
図7】第一モータ側及び第二モータ側の隙間の和と閾値との関係を示す図である。
【
図8】第一モータ側及び第二モータ側の隙間の差と閾値との関係を示す図である。
【
図9】(a)~(d)は閉じた状態のヒータブロック間の隙間を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態による製袋充填機の横シール装置について添付図面により説明する。
図1に示す実施形態による製袋充填機1は、包材としてのフィルムfを繰り出すフィルム供給装置2と繰り出されたフィルムfから袋Fを製造する縦型製袋充填機3とを備えている。フィルム供給装置2は、シート状のフィルムfを繰り出すフィルムロール4と、繰り出されたフィルムfを縦型製袋充填機3に搬送する複数のローラを配設させたローラ機構5とを備えている。
【0015】
縦型製袋充填機3は、内容物を投入するホッパ7の下部に製袋チューブ8が上下方向に設置されている。フィルムロール4のローラ機構5から搬送されるフィルムfはフォーマ9でガイドされて製袋チューブ8に供給されて筒状に成形される。製袋チューブ8の下端部は袋Fの水平断面形状に応じた筒状に形成されている。製袋チューブ8で筒状に成形されたフィルムfは合掌された周方向両端部が縦シーラ10で上下方向にシールされて縦シール部S3を形成する(
図2参照)。
【0016】
筒状のフィルムfは製袋チューブ8に沿って繰り出しベルト12で間欠的に下方に搬送される。製袋チューブ8の下方に搬送される略筒状のフィルムfは、横シール装置15によって先行する袋Fの上端開口を封止すると共に次の袋Fの底部を封止する。底部を封止された袋Fはホッパ7から落下する内容物を充填され、その上端開口と次の袋Fの底部が横シール装置15で同時に封止されて図示しないカッタでカットされる。このようにして、
図2に示す角筒状の袋Fが順次製造される。
【0017】
図2に示す袋Fは、底部と上部の横シール部がそれぞれ頂部横シール部S1と底部横シール部S2としてシールされ、縦方向の縦シール部S3が頂部横シール部S1及び底部横シール部S2に直交してシールされている。
【0018】
次に、縦型製袋充填機3の横シール装置15について
図3により説明する。
図3において、横シール装置15は製袋チューブ8の下方で、製袋チューブ8から繰り出される筒状のフィルムfに直交する水平面内に配設されている。横シール装置15には、筒状のフィルムfを挟んで両側に一対のヒータブロック16a、16bが開閉可能に配設されている。ヒータブロック16a、16bは図示しないカッタを挟んで上側部分に袋Fの底部をシールする部分、下側部分に袋Fの上部をシールする部分を有している。各ヒータブロック16a、16bの両側には一対の軸部17、17がヒータブロック16a、16bに直交する方向に配設されている。これら軸部17、17の両端には横シーラブラケット18と連結ブラケット19とが連結されている。横シーラブラケット20は軸部17にスライド自在に支持されている。軸部17、17と横シーラブラケット18及び連結ブラケット19はヒータブロック16a、16b、横シーラブラケット20を挟んで略四角形枠状に形成され、図示しない継手に支持されて軸部17の長手方向に往復移動可能とされている。
【0019】
横シーラブラケット18は支持部18a、18bを介して一方のヒータブロック16aに連結されている。一対の支持部18a、18bはヒータブロック16aの長手方向両端側に離間した位置に連結されている。横シーラブラケット20は支持部20a、20bを介して他方のヒータブロック16bに連結されている。一対の支持部20a、20bはヒータブロック16bの長手方向両端側に離間した位置に連結されている。
横シーラブラケット20と連結ブラケット19との間にはクランク軸状の第一連係部材22と第二連係部材23とが離間して配設されている。第一連係部材22は第一モータM1と、その出力軸に長手方向中央で連結されたクランクレバー24aと、クランクレバー24aの両端にそれぞれ回動可能に支持されたクランクアーム25aとを有している。一方のクランクアーム25aの一端は横シーラブラケット20に固定されたジョイント26aに支承され、他方のクランクアーム25aの端部は連結ブラケット19に固定されたジョイント27aに支承されている。第二連係部材23も第一連係部材22と同様な構成を有しており、第二モータM2と、クランクレバー24bと、その両側のクランクアーム25bと、ジョイント26b、27bとをそれぞれ有している。一対のジョイント26a、26bは横シーラブラケット20の長手方向両端側に離間した位置に連結されている。
【0020】
図3において、第一モータM1を時計回りに、第二モータM2を反時計回りに回転させると第一連係部材22と第二連係部材23が収縮して横シーラブラケット20及びヒータブロック16bが他方のヒータブロック16aから離間する方向に移動する。これに連動して連結ブラケット19がヒータブロック16b側に近づくため、軸部17と横シーラブラケット18及びヒータブロック16aもヒータブロック16bから離間する方向に移動する。
【0021】
これとは逆に、第一モータM1を反時計回り、第二モータM2を時計回りに回転させると第一連係部材22及び第二連係部材23が伸張して横シーラブラケット20及びヒータブロック16bが他方のヒータブロック16aに近づく方向に移動する。これに連動して連結ブラケット19がヒータブロック16bから離間する方向に移動するため、軸部17と横シーラブラケット18及びヒータブロック16aもヒータブロック16bに接近する方向に移動する。そして、ヒータブロック16a、16bで筒状のフィルムfを挟んで押圧して加熱シールする。
【0022】
また、第一モータM1には第一モータM1の位置検出手段として例えばエンコーダ28aが設置され、第一モータM1の回転角度(回転量)を検出する。エンコーダ28aで検出された第一モータM1の回転角度を第一モータ駆動制御手段30に出力する。同様に、第二モータM2には第二モータM2の位置検出手段としてエンコーダ28bが設置され、エンコーダ28bで検出された第二モータM2の回転角度(回転量)を第二モータ駆動制御手段31に出力する。
第一モータ駆動制御手段30及び第二モータ駆動制御手段31は制御部32内に含まれている。第一モータ駆動制御手段30及び第二モータ駆動制御手段31では、後述するトルク値指令手段35の第一トルク指令手段35a及び第二トルク指令手段35bからそれぞれ出力された指示トルク値に基づいて第一モータM1と第二モータM2を出力制御する。
【0023】
ところで、ヒータブロック16a及び16bの閉じタイミングでホッパ7から製袋チューブ8を通して袋F(筒状のフィルムf)内に落下する内容物は全ての内容物が同時に落下するわけではなく、落下タイミングにはばらつきがある。ばらつきの範囲が想定を超えた場合、加熱シールするヒータブロック16a、16b間で袋Fの頂部横シール部S1または底部横シール部S2に内容物等を噛み込むことがある。制御部32は、ヒータブロック16a及び16bで筒状のフィルムfを加熱シールする際、内容物がヒータブロック16a及び16bの間に噛み込まれたか否かを判断することができる。
制御部32には、袋Fの製袋時にフィルムfを加熱シールするためにヒータブロック16a、16bを作動させるタイミング指令手段34と、タイミング指令手段34からの指示により第一モータM1のトルク値を出力する第一トルク指令手段35aと第二モータM2のトルク値を出力する第二トルク指令手段35bとを有するトルク値指令手段35を有している。第一トルク指令手段35aと第二トルク指令手段35bから出力された指示信号は第一モータ駆動制御手段30と第二モータ駆動制御手段31とに出力され、第一モータM1と第二モータM2をそれぞれ駆動制御する。
【0024】
図4は、第一モータM1と第二モータM2の定格トルク100%として、発生トルク(負荷トルク)の割合の変化をトルクモニタとして示す図である。
図4において、ヒータブロック16a、16bによる袋Fの全体のシール時間をTとして、その前半のシール時間を内容物の噛み込みの有無を判断する噛み込み判断区間t1とし、後半の時間を袋Fのシールを完了させるシール完了区間t2とする。
【0025】
噛み込み判断区間t1において、第一モータM1のトルクをスタート時から次第に増大する昇り傾斜線状とし、第二モータM2のトルクをスタート時では第一モータM1のトルクより大とし、次第に低下する降り傾斜線状とする。しかも、第一モータM1のトルク変化と第二モータM2のトルク変化とは途中で交差する略X字状に形成されている。
これにより、
図5(a)、(b)に示すように、ヒータブロック16a、16bは、噛み込み判断区間t1での当初は第二モータM2側が第一モータM1側より強く押される強シール点pで袋Fの一端側を最も強いトルクで加熱シールする。なお、
図5は第一モータM1と第二モータM2がヒータブロック16a、16bに作用するトルクの大きさを模式的に示す図であり、ヒータブロック16a、16b間の隙間の大きさを示すものではない。
【0026】
そして、次第に第二モータM2のトルクが減少し且つ第一モータM1のトルクが増大するため、ヒータブロック16a、16bの強シール点pがその長手方向の一端側から他端側に移動するように加熱シールされる。シール完了区間t2では、同一トルクでヒータブロック16a、16bの全面に亘って袋Fを全体に安定して加熱シールする。
制御部32では、噛み込み判断区間t1で袋Fの上端開口と底部をヒータブロック16a、16bで加熱シールする際、袋F内に充填される内容物が噛み込まれたか否かを判断する。噛み込み判断は、第一~第三の判定手段のいずれかを選択して行うことができる。
【0027】
第一の判定手段では、ヒータブロック16a、16bを加熱シールした際に各エンコーダ28a、28bで測定した回転量をそれぞれ第一モータ駆動制御手段30、第二モータ駆動制御手段31に出力する。第一モータ駆動制御手段30、第二モータ駆動制御手段31から出力された各エンコーダ28a、28bの測定値を変換手段39a、39bによってヒータブロック16a、16b間の閉じ位置の隙間の寸法に変換して噛み込み判断手段37に入力する。なお、ヒータブロック16a、16b間の閉じ位置の隙間の大きさは第一モータM1側と第二モータM2側、即ち、ヒータブロック16a、16b間の長手方向両端で検出される。
噛み込み判断手段37では、閉じ位置の隙間が予め設定された上下限の閾値から外れるか否かによって内容物等の異物を噛み込んでいるか否かを判断する。上下限の閾値はメモリ36に予め記憶されており、各閾値はシール時間の経過に応じて可変のものとする。
【0028】
第二の判定手段では、変換手段39a、39bの出力を閉位置の和演算手段40によって加算したものを噛み込み判断手段37に入力して閉じ位置の隙間が上下限の閾値から外れるか否かによって内容物を噛み込んでいるか否かを判断する。
第三の判定手段では、変換手段39a、39bの出力を閉位置の差演算手段41によって減算したものを噛み込み判断手段37に入力して閉じ位置の隙間が上下限の閾値から外れるか否かによって内容物を噛み込んでいるか否かを判断する。
なお、第一~第三の判定手段において、上下限の閾値は横シール装置15のヒータブロック16a、16bの閉鎖作動の進行に合わせて試験データを採取して予め決定した。上下限の閾値はヒータブロック16a、16bの閉鎖タイミング(閉鎖作動の進行)に合わせて変動している。そのため、実態に即して高精度に噛み込みの有無を検出できる。
【0029】
図6~
図8は、第一~第三の判定手段において、噛み込み判断区間t1におけるヒータブロック16a、16bの閉じ位置の隙間の変化を示すものである。ヒータブロック16a、16bが互いに当接した位置を閉じ位置0μmとして、この位置を基準とする。そして、ヒータブロック16a、16bの間に袋Fのフィルムfを挟んだ場合、更に内容物等の異物を噛み込んだ場合の第一モータM1、第二モータM2の回転角度を、エンコーダ28a、28bで測定し変換手段39a、39bでヒータブロック16a、16b間の隙間の測定値を「閉じ位置の隙間」(μm)として演算する。
【0030】
第一の判定手段では、加熱シール時における第一モータM1、第二モータM2の各回転角度をエンコーダ28a、28bによって測定し、フィルムfの閉じ位置の隙間を演算する。制御部32内に設けられたメモリ36には、噛み込みを生じることなくフィルムfを加熱シールしたヒータブロック16a、16b間の「閉じ位置の隙間」のデータに基づいて設定した上限の閾値と下限の閾値を予め記憶している。
図6(a)は加熱シール時におけるヒータブロック16a、16b間の第一モータM1側の隙間の実測値と上下限の閾値との関係を示すものである。
図6(b)はヒータブロック16a、16b間の第二モータM2側の隙間の実測値と上下限の閾値との関係を示すものである。
【0031】
図3において、エンコーダ28a、28bで計測した第一モータM1、第二モータM2の各実測回転量は、制御部32の第一モータ駆動制御手段30、第二モータ駆動制御手段31にそれぞれ入力される。制御部32の噛み込み判断手段37では、第一モータ駆動制御手段30から入力されるヒータブロック16a、16b間の第一モータM1側の閉じ位置の隙間が上下限の閾値の範囲内にあると判断した場合には、噛み込みを生じないと判定する(
図6(a)参照)。同様に、ヒータブロック16a、16b間の第二モータM2側の閉じ位置の隙間寸法が上下限の閾値の範囲内にあると判断した場合には、噛み込みを生じないと判定する(
図6(b)参照)。
また、噛み込み判断手段37で、第一モータM1側または第二モータM2側の各閉じ位置の隙間が上限または下限の閾値を外れた場合には噛み込みを生じたと判断し、トルク値指令手段35に停止指令を出す。
【0032】
第二の判定手段は、ヒータブロック16a、16b間の第一モータM1側と第二モータM2側の各閉じ位置の隙間の和が上下限の閾値の範囲内にあるか否かで噛み込みの有無を判定する。なお、閾値も、袋Fに内容物を噛み込まない状態で各エンコーダ28a、28bで測定した第一モータM1と第二モータM2の各回転量から閉じ位置の隙間の和を演算したものである。
【0033】
図7に示すように、閉位置の差演算手段41では、エンコーダ28a、28bで測定したヒータブロック16a、16b間の第一モータM1と第二モータM2の各回転角度の測定値からそれぞれの閉じ位置(隙間)を演算し、その和を算出する。噛み込み判断手段37で、閉じ位置の和が上下限の閾値の範囲内にあると判断した場合には、噛み込みを生じないと判定する。また、閉じ位置の和が上下限の閾値の範囲を外れると判断した場合には、噛み込みを生じていると判定する。第二の判定手段では、ヒータブロック16a、16b間の全体的な隙間の大きさ(重心)を示すことができる。
【0034】
第三の判定手段は、ヒータブロック16a、16b間の第一モータM1側と第二モータM2側の各閉じ位置の隙間の差が上下限の閾値の範囲内にあるか否かで噛み込みの有無を判定する。なお、第三の判定手段でも、閾値として、フィルムfに内容物を噛み込まない状態で各エンコーダ28a、28bで測定した第一モータM1と第二モータM2の各回転角度から閉じ位置の隙間の差を演算する。そして、これらのデータに基づいて上限の閾値と下限の閾値を記憶している。
【0035】
図8に示すように、閉位置の差演算手段41では、エンコーダ28a、28bで測定したヒータブロック16a、16b間の第一モータM1と第二モータM2の各回転角度の測定値からそれぞれの閉じ位置の隙間を演算し、その差を算出する。噛み込み判断手段37で、閉じ位置の差が上下限の閾値の範囲内にあると判断した場合には、噛み込みを生じないと判定する。また、閉じ位置の差が上下限の閾値の範囲を外れると判断した場合には、噛み込みを生じていると判定する。第三の判定手段では、ヒータブロック16a、16b間の全体的な隙間のひねり具合を示すことができる。
【0036】
本実施の形態による製袋充填機1の横シール装置15は上述の構成を有しており、次にその横シール方法を説明する。
内容物を充填して袋Fをシールする場合、第一~第三の判定手段のいずれかまたは組み合わせを選択して横シール部の頂部シール部S1または底部シール部S2を加熱シールする際に内容物等の噛み込みの有無を判断する。最初に第一の判定手段を選択した場合について説明する。
縦型製袋充填機3において、製袋チューブ8を降下する筒状フィルムfの縦シール部S3を縦シールした後、横シール装置15で横シールする。例えば、袋Fの上部開口と次の袋Fの底部を加熱シールする場合、制御部32のタイミング指令手段34の指示によりトルク値指令手段35から指定トルクを第一モータ駆動制御手段30と第二モータ駆動制御手段31へ出力する。そして、第一モータM1及び第二モータM2を回転させる。
【0037】
第一モータM1及び第二モータM2を駆動させることで、第一連係部材22及び第二連係部材23を介してヒータブロック16a、16bを作動させて袋Fを挟み込む。その際、
図4に示すようにシール時間の噛み込み判断区間t1では、第一モータM1のトルクはトルクモニタ100%に近い位置から次第に上昇するよう傾斜し、第二モータM2のトルクは約100%超の位置から次第に降下するよう傾斜し、中間部で互いに交差する。これにより、
図5に示すように、ヒータブロック16a、16bは袋Fを挟んで最初は第二モータM2側の強シール点pで最も強く押され、強シール点pが第一モータM1側に移行することで高精度に袋Fを全体に横シールできる。
【0038】
また、第一モータM1と第二モータM2に取り付けたエンコーダ28a、28bで各モータM1、M2の回転角度(回転量)を測定する。各回転角度の測定値は制御部32の第一モータ駆動制御手段30と第二モータ駆動制御手段31を介して変換手段39a、39bでヒータブロック16a、16bの閉じ位置の隙間の寸法に変換される。これら閉じ位置の隙間は噛み込み判断手段37に入力される。
【0039】
噛み込み判断手段37では、ヒータブロック16a、16b間で、
図6(a)に示すように第一モータM1側でエンコーダ28aに基づく閉じ位置の隙間の大きさが上下限の閾値内にある場合には噛み込みがないと判断する。同様に
図6(b)に示すように第二モータM2側でエンコーダ28bに基づく閉じ位置の隙間の大きさが上下限の閾値内にある場合には噛み込みがないと判断する。
また、ヒータブロック16a、16b間における第一モータM1側と第二モータM2側のいずれか一方で閉じ位置の隙間の大きさが上下限の閾値を外れた場合には噛み込みがあると判断する。この場合には、噛み込み判断手段37からトルク値指令手段35に停止指令を出力して、第一モータM1及び第二モータM2の駆動を停止させる。
【0040】
次に第二の判定手段を選択した場合について
図7に沿って説明する。
この場合、第一及び第二モータM1、M2を駆動させて上部開口が開口している袋Fを挟んで横シール装置15のヒータブロック16a、16bを閉鎖作動させる。そして、エンコーダ28a、28bで計測した第一及び第二モータM1、M2の回転角度を、制御部32の第一モータ駆動制御手段30及び第二モータ駆動制御手段31を介して変換手段39a、39bで閉じ位置の隙間の寸法に変換する。この閉じ位置の隙間のデータを閉位置の和演算手段40に入力する。
【0041】
閉位置の和演算手段40では、第一及び第二モータM1、M2側の閉じ位置の隙間の和を演算して噛み込み判断手段37に入力する。噛み込み判断手段37では、
図7に示すように、閉じ位置の隙間の和が上下限の閾値内にある場合には噛み込みがないと判断し、閉じ位置の隙間の和が上下限の閾値を外れた場合には噛み込みがあると判断する。閉じ位置の隙間の和が閾値を外れている場合には、噛み込み判断手段37からトルク値指令手段35に停止指令を出力して、第一モータM1及び第二モータM2の駆動を停止させる。
【0042】
次に第三の判定手段を選択した場合について
図8に沿って説明する。
この場合も、第一及び第二モータM1、M2を駆動させて上部開口が開口している袋Fを挟んで横シール装置15のヒータブロック16a、16bを閉鎖作動させる。そして、エンコーダ28a、28bで計測した第一及び第二モータM1、M2の回転角度を、制御部32の第一モータ駆動制御手段30及び第二モータ駆動制御手段31を介して変換手段39a、39bで閉じ位置の隙間の寸法に変換する。この閉じ位置の隙間を閉位置の差演算手段41に入力する。
閉位置の差演算手段41では、第一及び第二モータM1、M2側の閉じ位置の隙間の差を演算して噛み込み判断手段37に入力する。噛み込み判断手段37では、
図8に示すように、第一及び第二モータM1、M2の閉じ位置の隙間の差と閾値とを比較する。閉じ位置の隙間の差が上下限の閾値内にある場合には噛み込みがないと判断し、閉じ位置の隙間の差が上下限の閾値を外れた場合には噛み込みがあると判断する。閉じ位置の隙間の差が閾値を外れている場合には、噛み込み判断手段37からトルク値指令手段35に停止指令を出力して、第一モータM1及び第二モータM2の駆動を停止させる。
【0043】
次に、
図9(a)~(d)は閉鎖作動させたヒータブロック16a、16b間の隙間を示すものである。
図9(a)において、第一モータM1側の隙間はa1、第二モータM2側の隙間はb2とされている。閉鎖されたヒータブロック16a、16b間の隙間の和は(a1+b2)、差は(a1-b2)である。
図9(b)~(d)における他の例も同様である。
これら
図9(a)~(d)におけるヒータブロック16a、16b間の隙間内には袋Fの表裏面のフィルムfが挟まれ、内容物等の異物を挟む場合には異物も含まれている。
図9(a)~(d)に示す各隙間内において、ヒータブロック16a、16b間の両側の隙間の和は全体的に閉じ位置の大きさを表しており、差はヒータブロック16a、16b間のひねり具合を表している。
【0044】
上述したように、本実施形態による製袋充填機1の横シール装置15によれば、底部横シール部S1、頂部横シール部S2の噛み込み判断区間t1において、トルク値指令手段35の第一トルク指令手段35aと第二トルク指令手段35bからそれぞれ出力するトルク値の最大値の強シール点pがヒータブロック16a、16bの一方から他方に移動する。そのため、他の部分と厚みの異なる縦シール部S3との境目部分も確実にシールできて信頼性の高いシールを実現できる。
【0045】
また、横シール装置15は、ヒータブロック16a、16bによる横シール時におけるトルクの大きさが互いに異なるように変化させるタイミングに噛み込み判断区間t1を設けたので、底部横シール部S1、頂部横シール部S2での噛み込みの有無を高精度に検出できる。
制御部32では、第一モータM1及び第二モータM2の各エンコーダ28a、28bの測定値に基づくヒータブロック16a、16b間の閉じ位置の隙間の寸法、その和、その差のいずれかが上下限の閾値を超えた場合に、噛み込み判断手段37で底部横シール部S1または頂部横シール部S2に噛み込み発生と判断するので噛み込みの有無を高精度に検出できる。しかも、閾値を可変としたので一層高精度に噛み込みの有無を検出できる。
【0046】
以上、本発明の実施形態による横シール装置15について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能であり、これらはいずれも本発明に含まれる。以下に、本発明の変形例等について説明するが、上述した実施形態と同一または同様な部分、部材には同一の符号を用いて説明を省略する。
【0047】
上述した実施形態による横シール装置15では、第一モータM1と第二モータM2の2つのモータを設けて、横シール装置15のヒータブロック16a、16bの長手方向両端を押圧するトルク値をエンコーダ28a、28bで回転角度として検出して、閉じ位置の隙間の大きさに変換した。
しかし、ヒータブロック16a、16bを開閉作動するための駆動源としてのモータは1つでもよい。この場合、モータの両側に出力軸を設けて第一連係部材22、第二連係部材23を介してヒータブロック16a、16bの長手方向両端に連結してもよい。この場合でも、
図3に示す制御部32を用いてエンコーダ28a、28bの測定値を第一モータ駆動制御手段30、第二モータ駆動制御手段31で受信でき、第一実施形態と同様に制御することができる。
【0048】
上述した実施形態による横シール装置15において、エンコーダ28a、28bで測定した第一モータM1と第二モータM2の回転角度を変換手段39a、39bでヒータブロック16a、16b間の隙間の大きさに変換した各値、閉位置の和演算手段40で算出した各値の和、閉位置の差演算手段41で算出した各値の差のいずれかを選択して、噛み込み判断手段37で噛み込みの有無を判断した。
しかしながら、この構成に代えて、上記変換手段39a、39bで変換した各値、閉位置の和演算手段40で算出した各値の和、閉位置の差演算手段41で算出した各値の差のいずれか2種または3種を組み合わせてもよい。この場合、いずれか一部で閾値を超えた場合に異物を噛み込んだと判定してもよい。
【0049】
また、上述の実施形態では、制御部32において、噛み込み判断手段37で閉じ位置の隙間の大きさが閾値を超えた場合、噛み込み判断手段37からトルク値指令手段35に停止指令を出力して第一モータM1及び第二モータM2の駆動を停止させた。しかし、製袋充填機1を停止させることなく袋Fの製袋を連続して継続させ、製造された多数の袋Fのうちの横シール時に閾値を超えた袋Fを不良品として選別してもよい。
なお、本発明において、ヒータブロック16a、16bはシールブロックに含まれる。エンコーダ28a、28bと変換手段39a、39bは位置検出手段に含まれる。
また、上述した実施形態や変形例では、縦型製袋充填機3の横シール装置15について説明したが、本発明は製袋充填機1として横型製袋充填機に横シール装置15を取り付ける場合にも適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 製袋充填機
3 縦型製袋充填機
15 横シール装置
16a、16b ヒータブロック
28a、28b エンコーダ
30 第一モータ駆動制御手段
31 第二モータ駆動制御手段
32 制御部
34 タイミング指令手段
35 トルク値指令手段
37 噛み込み判断手段
39a、39b 変換手段
40 閉位置の和演算手段
41 閉位置の差演算手段
M1 第一モータ
M2 第二モータ
f フィルム
F 袋