(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168586
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】一体化され、かつ独立に給電されるディスプレイを有する外科用器具
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
A61B17/072
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023173517
(22)【出願日】2023-10-05
(62)【分割の表示】P 2019571533の分割
【原出願日】2018-05-23
(31)【優先権主張番号】15/634,418
(32)【優先日】2017-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】ベンデリー・マイケル・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
(72)【発明者】
【氏名】スウェンスガード・ブレット・イー
(72)【発明者】
【氏名】オールド・マイケル・ディー
(57)【要約】
【課題】ハンドルアセンブリと、グラフィカルユーザインターフェースと、一次回路と、第1の電源と、寿命ディスプレイと、二次回路と、を含む、外科用器具を提供する。
【解決手段】グラフィカルユーザインターフェースは、ハンドルアセンブリ上に配置される。一次回路は、グラフィカルユーザインターフェースを駆動するように動作可能である。第1の電源は、電力をグラフィカルユーザインターフェースに提供するように構成される。寿命ディスプレイは、ハンドルアセンブリ上に配置され、かつ一次電源の電力レベルを表示するように動作可能である。二次回路は、寿命ディスプレイを駆動するように動作可能である。二次回路は、一次回路とは別体である。二次回路は、寿命ディスプレイを駆動するために、グラフィカルユーザインターフェースを駆動するために第1の電源によって必要とされる電力量よりも少ない電力を取り出すように構成される。
【選択図】
図16B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
(a)遠位端部から近位端部まで延在するハンドルアセンブリと、
(b)前記ハンドルアセンブリ上に配置されたグラフィカルユーザインターフェースと、
(c)前記グラフィカルユーザインターフェースを駆動するように動作可能である一次回路と、
(d)第1の電源であって、前記一次回路が、前記グラフィカルユーザインターフェースを駆動するために前記第1の電源から直接、第1の電力量を取り出すように構成されている、第1の電源と、
(e)前記ハンドルアセンブリ上に配置され、前記第1の電源の電力レベルを表示するように動作可能である、寿命ディスプレイと、
(f)前記寿命ディスプレイを駆動するように動作可能な二次回路であって、前記二次回路は、前記一次回路とはシーケンス的に別体である、二次回路と、
(g)第2の電源であって、前記二次回路は、前記寿命ディスプレイを駆動するために、前記第2の電源から直接、第2の電力量を取り出すように構成されており、前記第2の電力量は前記第1の電力量よりも少ない、第2の電源と、を備える、外科用器具。
【請求項2】
前記ハンドルアセンブリは、ハンドル筐体を含み、前記グラフィカルユーザインターフェースは、前記ハンドル筐体上に配置されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記寿命ディスプレイは、前記ハンドル筐体上に配置されている、請求項2に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記ハンドルアセンブリは、電源筐体を更に備え、前記ハンドル筐体は、前記電源筐体をその中で選択的に受容するように構成されており、前記第1の電源は、前記電源筐体内に配置されており、前記寿命ディスプレイは、前記電源筐体に一体化されている、請求項2に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記第2の電源は、前記電源筐体内に配置されている、請求項4に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記寿命ディスプレイは、前記グラフィカルユーザインターフェースと一体化されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項7】
前記グラフィカルユーザインターフェースは、前記寿命ディスプレイを、前記グラフィカルユーザインターフェース内のある位置にグラフィカルに示すように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項8】
前記位置は、前記グラフィカルユーザインターフェースを通してユーザによって構成可能である、請求項7に記載の外科用器具。
【請求項9】
制御回路を更に備え、前記制御回路は、前記第1の電源の残存寿命を維持するように構成されており、前記寿命ディスプレイは、前記第1の電源の残存寿命をグラフィカルに示すように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項10】
前記ハンドルアセンブリは、前記第1の電源の残存寿命が閾値に到達した時点で、アクティブモードから廃棄モードに移行するように構成されている、請求項9に記載の外科用器具。
【請求項11】
前記第2の電源は、充電式電池であり、前記第2の電源は、前記第1の電源によって再充電されるように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項12】
可動ディスプレイを更に備え、前記グラフィカルユーザインターフェース及び前記寿命ディスプレイの一方又は両方は、前記可動ディスプレイ上に配置されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項13】
前記可動ディスプレイは、ジョイントを含み、前記可動ディスプレイは、前記ジョイントの第1の軸を中心に角度的に移動するように構成されている、請求項12に記載の外科用器具。
【請求項14】
前記可動ディスプレイは、前記ジョイントの第2の軸を中心に角度的に移動するように構成されている、請求項13に記載の外科用器具。
【請求項15】
前記第1の電源及び前記第2の電源の一方又は両方は、電池である、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項16】
外科用器具であって、
(a)遠位端部から近位端部まで延在するハンドルアセンブリと、
(b)前記ハンドルアセンブリ上に配置された第1のディスプレイと、
(c)電力を前記第1のディスプレイに提供するように構成された第1の電池と、
(d)前記ハンドルアセンブリ上に配置された第2のディスプレイであって、前記第2のディスプレイは、電池残存寿命を示すように構成されており、前記電池残存寿命は、前記第1の電池の電力レベルに基づく、第2のディスプレイと、
(e)電力を前記第2のディスプレイに提供し、かつ前記第1のディスプレイには提供しないように構成された、第2のディスプレイ電源と、を備える、外科用器具。
【請求項17】
前記第2のディスプレイ及び前記第2のディスプレイ電源と接続された制御回路を更に備える、請求項16に記載の外科用器具。
【請求項18】
前記電池残存寿命は、前記制御回路によって維持される、請求項17に記載の外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
切開創をより小さくすることで、術後の回復時間及び合併症を低減させ得ることから、一部の状況では、従来の開腹外科用デバイスよりも内視鏡外科用器具が好ましい場合がある。このため、内視鏡外科用器具の中には、トロカールのカニューレを通して所望の手術部位に遠位エンドエフェクタを配置するのに適したものがある。これらの遠位エンドエフェクタは、様々な形で組織と係合して診断又は治療効果を得ることができる(例えば、エンドカッター、把持具、カッター、ステープラ、クリップアプライヤ、アクセスデバイス、薬物/遺伝子治療送達デバイス、及び、超音波振動、RF、レーザなどを使用するエネルギー送達デバイスなど)。内視鏡外科用器具は、エンドエフェクタとハンドル部分との間に、臨床医によって操作されるシャフトを含み得る。このようなシャフトは、所望の深さへの挿入及びシャフトの長手方向軸を中心とした回転を可能にし、それにより患者の体内でエンドエフェクタの位置付けを行うことを容易にする。エンドエフェクタの位置付けは、エンドエフェクタをシャフトの長手方向軸に対して選択的に関節動作させるか又は別様に偏向させることを可能にする、1つ又は2つ以上の関節ジョイント又は機構を含めることによって更に容易にすることができる。
【0002】
内視鏡外科用器具の例として、外科用ステープラが挙げられる。このようなステープラのいくつかは、組織層をクランプし、クランプされた組織層を切断し、組織層を通してステープルを打ち込むことによって、組織層の切断された端部の近くで、切断された組織層同士を互いに実質的にシールするように動作可能である。単なる例示的な外科用ステープラは、2006年2月21日に発行された、米国特許第7,000,818号、名称「Surgical Stapling Instrument Having Separate Distinct Closing and Firing Systems」、2008年6月3日に発行された、米国特許第7,380,696号、名称「Articulating Surgical Stapling Instrument Incorporating a Two-Piece E-Beam Firing Mechanism」、2008年7月29日に発行された、米国特許第7,404,508号、名称「Surgical Stapling and Cutting Device」、2008年10月14日に発行された、米国特許第7,434,715号、名称「Surgical Stapling Instrument Having Multistroke Firing with Opening Lockout」、2010年5月25日に発行された、米国特許第7,721,930号、名称「Disposable Cartridge with Adhesive for Use with a Stapling Device」、2013年4月2日に発行された、米国特許第8,408,439号、名称「Surgical Stapling Instrument with An Articulatable End Effector」、及び2013年6月4日に発行された、米国特許第8,453,914号、名称「Motor-Driven Surgical Cutting Instrument with Electric Actuator Directional Control Assembly」、に開示されている。上に引用した米国特許の各々の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
上述した外科用ステープラは、内視鏡手術において使用されるものとして記載されているが、このような外科用ステープラは、開口手術及び/又は他の非内視鏡手術でも使用することができることを理解されたい。単なる例として、トロカールをステープラの導管として使用しない胸部外科手術では、外科用ステープラを開胸術によって患者の肋骨の間に挿入し、1つ又は2つ以上の臓器に到達させることができる。このような手術では、肺につながる血管を切断及び閉鎖するためにステープラが使用される場合もある。例えば、臓器につながる血管を、胸腔から臓器を切除する前にステープラによって切断して閉鎖することができる。当然のことながら、外科用ステープラは、様々な他の状況及び手術において使用され得る。
【0004】
開胸術に特に好適であり得る又は使用され得る外科用ステープラの例は、2014年8月28日に公開された米国特許出願公開第2014/0243801号、名称「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」、2014年8月28日に公開された米国特許出願公開第2014/0239041号、名称「Lockout Feature for Movable Cutting Member of Surgical Instrument」、2014年8月28日に公開された米国特許出願公開第2014/0239038号、名称「Surgical Instrument with Multi-Diameter Shaft」、及び2014年8月28日に公開された米国特許出願公開第2014/0239044号、名称「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」に開示されている。上に引用した米国特許出願公開の各々の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
いくつかの外科用器具及びシステムが作製され使用されてきたが、本発明者らよりも以前に、添付の特許請求の範囲に記載する本発明を作製又は使用した者は存在しない、と考えられている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書は、本技術を具体的に指摘し、かつ明確にこの技術を特許請求する、特許請求の範囲により完結するが、本技術は、以下のある特定の実施例の説明を添付図面と併せ読むことでよりよく理解されるものと考えられ、図面において同様の参照符号は同じ要素を特定する。
【
図1】交換式シャフトアセンブリ及びハンドルアセンブリを含む例示的な外科用器具の斜視図である。
【
図2】器具のハンドルアセンブリから分解されたシャフトアセンブリを示す、
図1の器具の斜視図である。
【
図3】器具のハンドルアセンブリから分解されたシャフトアセンブリを示す、
図1の器具の部分斜視図である。
【
図4A】閉鎖トリガが第1の枢動位置にあり、かつ発射トリガが第1の枢動位置にある、
図1の器具の近位部分の側面図である。
【
図4B】閉鎖トリガが第2の枢動位置にあり、かつ発射トリガが第2の枢動位置にある、
図1の器具の近位部分の側面図である。
【
図4C】閉鎖トリガが第2の枢動位置にあり、かつ発射トリガが第3の枢動位置にある、
図1の器具の近位部分の側面図である。
【
図5】ハンドルアセンブリから電池を取り外した、
図1の器具の近位部分の斜視図である。
【
図6】
図1の器具と共に使用することができる代替的な数々のシャフトアセンブリの側面図である。
【
図7】例示的な電池寿命ディスプレイがハンドルアセンブリの筐体内に配置された、
図1の器具のハンドルアセンブリの変形形態の部分斜視図である。
【
図8】例示的な代替の電池をハンドルアセンブリから取り外し、電池寿命ディスプレイを電池に配置した、
図1の器具の近位部分の斜視図である。
【
図9】例示的な電池寿命ディスプレイを例示的な代替のグラフィカルユーザインターフェースと一体化した、
図1の器具のハンドルアセンブリの別の変形形態の部分斜視図である。
【
図10】
図9の電池寿命ディスプレイ及びグラフィカルユーザインターフェースの拡大立面図である。
【
図11】
図1の器具と共に使用することができる例示的な電池寿命ディスプレイ、グラフィカルユーザインターフェース、例示的な電源、及び例示的な制御回路の概略図である。
【
図12】
図1の器具のデバイス寿命情報を提供するための例示的な方法のフローチャートである。
【
図13A】
図1の器具のデバイス寿命情報を表す際に使用するための例示的な寿命メータースタイルのディスプレイの概略図である。
【
図13B】
図1の器具のデバイス寿命情報を表す際に使用するための例示的なスライダスタイルのディスプレイの概略図である。
【
図13C】
図1の器具のデバイス寿命情報を表す際に使用するための例示的なゲージスタイルのディスプレイの概略図である。
【
図14】
図1の器具の例示的なモード間を移行するための例示的な方法のフローチャートである。
【
図15A】例示的な可動ディスプレイが第1の位置にある、
図1の器具の変形形態の近位部分の側面図である。
【
図15B】可動ディスプレイが第1の位置にある、
図15Aの器具の近位部分の斜視図である。
【
図15C】可動ディスプレイが第2の位置にある、
図15Aの器具の近位部分の側面図である。
【
図15D】可動ディスプレイが第3の位置にある、
図15Aの器具の近位部分の側面図である。
【
図15E】可動ディスプレイが第4の位置にある、
図15Aの器具の近位部分の側面図である。
【
図15F】可動ディスプレイが第5の位置にある、
図15Aの器具の近位部分の側面図である。
【
図15G】可動ディスプレイが第6の位置にある、
図15Aの器具の近位部分の側面図である。
【
図16A】別の例示的な可動ディスプレイが第1の位置にある、
図1の器具の別の変形形態の近位部分の斜視図である。
【
図17A】別の例示的な可動ディスプレイが第1の位置から第2の位置へ移動する、
図1の器具の別の変形形態の近位部分の斜視図である。
【
図17B】可動ディスプレイが第1の位置から第2の位置へ移動する、
図17Aの器具の側面図である。
【
図18】別の例示的な可動ディスプレイが第1の位置と、第2の位置と、第3の位置との間で移動する、
図1の器具の別の変形形態の近位部分の側面図である。
【
図19A】可動ディスプレイが第1の位置にある、
図18の器具の近位部分の斜視図である。
【
図19B】可動ディスプレイが第2の位置にある、
図18の器具の近位部分の斜視図である。
【
図19C】可動ディスプレイが第3の位置にある、
図18の器具の近位部分の斜視図である。
【
図20A】別の例示的な可動ディスプレイが第1の位置と、第2の位置と、第3の位置との間で移動し、例示的なボタンロックが第1の位置、第2の位置、及び第3の位置と整列した、
図1の器具の別の変形形態の近位部分の側面図である。
【
図20B】可動ディスプレイをボタンロックの1つによって第3の位置にロックした、
図20Aの器具の背面図である。
【
図21】別の例示的な可動ディスプレイが第1の位置と、第2の位置と、第3の位置との間で移動し、例示的な磁気ロックが第1の位置、第2の位置、及び第3の位置と整列した、
図1の器具の別の変形形態の近位部分の側面図である。
【0007】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本技術の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、その他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなす添付図面は、本技術のいくつかの態様を例示しており、その説明と共に本技術の原理を説明するものであるが、本技術は、示される厳密な構成に限定されないことが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本技術の特定の実施例の以下の説明文は、その範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本技術の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、実例として、本技術を実施する上で想到される最良の態様の1つである以下の説明により、当業者には明らかとなるであろう。理解されるように、本明細書に記載される技術は、いずれもその技術から逸脱することなく、その他の異なる、かつ明らかな態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0009】
本明細書に記載される教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ又は2つ以上のものを、本明細書に記載される他の教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ又は2つ以上のものと組み合わせることができる点も、更に理解されよう。したがって、以下に記載される教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して切り離して考慮されるべきではない。本明細書の教示を考慮することで、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。このような改変及び変形形態は、「特許請求の範囲」の範囲内に含まれるものとする。
【0010】
本開示の明瞭さのために、「近位」及び「遠位」という用語は、遠位外科用エンドエフェクタを有する外科用器具を把持する操作者又は他の操作者に対して本明細書で定義される。用語「近位」とは、操作者又はその他の操作者により近い要素の位置を意味し、用語「遠位」とは、外科用器具の外科用エンドエフェクタにより近く、かつ操作者又はその他の操作者からより離れた要素の位置を意味する。本明細書に記載される外科用器具は、切断及びステープル留めのためのモータ付き用具を含むが、本明細書に記載される構成は、例えば、カッター、把持具、ステープラ、RFカッター/凝固器、超音波カッター/凝固器、及びレーザーカッター/凝固器などの、任意の好適な種類の電気外科用器具と共に使用され得ることが理解される。
【0011】
I.例示的な外科用器具の概要
図1は、ハンドルアセンブリ(11)及び取り外し可能なシャフトアセンブリ(16)を含む、モータ駆動外科用切断及び締結器具(10)を示す。いくつかの変形例では、ハンドルアセンブリ(11)及びシャフトアセンブリ(16)は、それぞれ、単回使用の使い捨て構成要素が提供される。いくつかの他の変形例では、ハンドルアセンブリ(11)及びシャフトアセンブリ(16)は、それぞれ、再使用可能な構成要素として提供される。別の単なる例示的な実施例として、シャフトアセンブリ(16)は、1回使用の使い捨て構成要素として提供することができ、一方で、ハンドルアセンブリは、再使用可能な構成要素として提供される。本明細書の教示を考慮することで、再使用のために好適に再処理することができるハンドルアセンブリ(11)及びシャフトアセンブリ(16)の再使用可能な変形例が当業者に明らかになるであろう。
【0012】
本実施例のハンドルアセンブリ(11)は、筐体(12)と、閉鎖トリガ(32)と、発射トリガ(33)と、を含む。筐体(12)の少なくとも一部分は、臨床医が把持し、操作し、作動させるように構成されたハンドル(14)を形成する。筐体(12)は、シャフトアセンブリ(16)に動作可能に取り付けるように構成され、このシャフトアセンブリには、外科用エンドエフェクタ(18)が動作可能に連結される。下で説明するように、エンドエフェクタ(18)は、1つ又は2つ以上の外科用タスク又は手術を実行するように構成される。具体的には、
図1に示される例のエンドエフェクタ(18)は、従来のエンドカッターのエンドエフェクタに類似する様態で、外科用切断及びステープル留め手術を行うように動作可能であるが、これは、単なる1つの例示的な実施例にすぎないことを理解されたい。
【0013】
図1は、交換式シャフトアセンブリ(16)がハンドルアセンブリ(11)に動作可能に連結された、外科用器具(10)を示す。
図2、
図3は、ハンドル(14)の筐体(12)への交換式シャフトアセンブリ(16)の取り付けを示す。ハンドル(14)は、ねじ、スナップ機構、接着剤などで相互接続することができる一対の相互接続可能なハンドルハウジングセグメント(22、24)を含む。例示される構成では、ハンドルハウジングセグメント(22、24)は、臨床医が把持及び操作することができるピストルグリップ部分(26)を形成するように協働する。以下で更に詳細に考察されるように、ハンドル(14)は、その中に複数の駆動システムを動作可能に支持し、それら駆動システムは、それに動作可能に取り付けられた交換式シャフトアセンブリ(16)の対応する部分に対して、様々な制御運動を生成及び適用するように構成されている。下で更に詳細に論じるように、トリガ(32、33)は、ハンドル(14)の駆動システムの少なくともいくつかを起動させるように、ピストルグリップ部分(26)に向かって枢動可能である。
【0014】
ハンドルアセンブリ(11)内の駆動システムの少なくともいくつかは、最終的に、概略的に
図5に示されるモータ(118)によって駆動される。本実施例では、モータ(118)は、ピストルグリップ部分(26)において位置付けられるが、モータ(118)は、任意の他の好適な位置に位置付けられ得ることを理解されたい。モータ(118)は、ハンドル(14)に固定された電池パック(110)から電力を受信する。本実施例では、
図5に示されるように、電池パック(110)は、ハンドル(14)から取り外し可能である。いくつかの他の変形例において、電池パック(110)は、ハンドル(14)から取り外し可能でない。いくつかのこのような変形例において、電池パック(110)(又はその変形形態)は、ハンドルハウジングセグメント(22、24)内に完全に収容さる。モータ(118)及び電池パック(110)が取り得る様々な好適な形態は、本明細書の教示を考慮することで当業者に明らかになるであろう。
【0015】
図5にも概略的に示されるように、制御回路(117)は、ハンドル(14)内に収容される。単なる例として、制御回路(117)は、本明細書の教示を考慮することで当業者に明らかになるであろうように、マイクロコントローラ及び/又は様々な他の構成要素を備えることができる。制御回路(117)は、制御アルゴリズムを駆動モータ(118)に記憶し、実行するように構成される。制御回路(117)はまた、ハンドルアセンブリ(11)の近位端部に位置付けられたグラフィカルユーザインターフェース(116)を駆動するようにも構成される。いくつかの変形例において、制御回路(117)は、シャフトアセンブリ(16)から1つ又は2つ以上の信号を受信し、処理するように構成される。単なる例として、制御回路(117)は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2015年10月1日に公開された、米国特許出願公開第2015/0272575号、名称「Surgical Instrument Comprising a Sensor System」の教示の少なくとも一部に従って、構成され、動作可能であり得る。制御回路(117)が構成され、動作可能であり得る他の好適な方法は、本明細書の教示を考慮することで当業者に明らかになるであろう。
【0016】
図3で最もよく分かるように、ハンドル(14)のフレーム(28)は、複数の駆動システムを動作可能に支持する。この特定の例では、フレーム(28)は、全体として、(30)に指定される「第1の」又は閉鎖駆動システムを動作可能に支持し、この閉鎖駆動システムは、そこに動作可能に取り付けられた、又は連結された交換式シャフトアセンブリ(16)に閉鎖運動及び開放運動を適用するために用いることができる。また、この特定の例では、閉鎖駆動システム(30)は、フレーム(28)によって枢動可能に支持された閉鎖トリガ(32)の形態のアクチュエータを含む。より具体的には、閉鎖トリガ(32)は、ピン(図示せず)によって筐体(14)に枢動可能に連結される。このような構成は、閉鎖トリガ(32)が臨床医によって操作されることを可能にし、よって、臨床医がハンドル(14)のピストルグリップ部分(26)を把持したとき、閉鎖トリガ(32)を、開始位置又は「非作動」位置(
図4A)からピストルグリップ部分(26)に向かって「作動」位置へと、より具体的には完全圧縮位置又は完全作動位置(
図4B)へと容易に枢動させることができる。閉鎖トリガ(32)は、ばね又は他の付勢構成(図示せず)によって非作動位置へと付勢されてもよい。
【0017】
本実施例では、閉鎖駆動システム(30)は、閉鎖トリガ(32)に枢動可能に連結された閉鎖リンク機構アセンブリ(36)を更に含む。閉鎖リンク機構アセンブリ(36)の一部分を
図3に示す。閉鎖リンク機構アセンブリ(36)は、ピン(図示せず)によって閉鎖トリガ(32)に枢動可能に連結された第1の閉鎖リンク(図示せず)と、第2の閉鎖リンク(38)と、を含むことができる。第2の閉鎖リンク(38)はまた、本明細書において、「取り付け部材」とも称され得、横方向取り付けピン(42)を含む。
図3に示されるように、取り付けピン(42)は、シャフトアセンブリ(16)がハンドルアセンブリ(11)から取り外されたときに露出する。したがって、下で更に詳細に説明するように、取り付けピン(42)は、シャフトアセンブリ(16)がハンドルアセンブリ(11)に連結されたときに、シャフトアセンブリ(16)の相補的な機構と連結することができる。
【0018】
更に
図1~
図3を参照すると、第1の閉鎖リンク(図示せず)は、フレーム(28)に枢動可能に連結された閉鎖解放アセンブリ(44)と協働するように構成されている。少なくとも1つの例において、閉鎖解放アセンブリ(44)は、解放ボタンアセンブリ(46)を有し、遠位に突出するロッキングポール(図示せず)がその上に形成される。解放ボタンアセンブリ(46)は、解放ばね(図示せず)によって反時計回りの方向に枢動し得る。臨床医が閉鎖トリガ(32)をその非作動位置からハンドル(14)のピストルグリップ部分(26)に向かって押下すると、第1の閉鎖リンク(図示せず)は、ロッキングポール(図示せず)が第1の閉鎖リンク(図示せず)と保持係合する点に向かって上向きに枢動し、それにより、閉鎖トリガ(32)が非作動位置に戻ることを防ぐ。したがって、閉鎖解放アセンブリ(44)は、閉鎖トリガ(32)を完全作動位置でロックする働きをする。
【0019】
臨床医が閉鎖トリガ(32)を作動位置からロック解除して非作動位置に戻したいとき、臨床医は、単純に、閉鎖解放ボタンアセンブリ(46)を遠位に付勢することによって、閉鎖解放ボタンアセンブリ(46)を枢動させ、よって、ロッキングポール(図示せず)が第1の閉鎖リンク(図示せず)との係合から外れるように移動する。ロッキングポール(図示せず)が第1の閉鎖リンク(図示せず)との係合から外れるように移動するときに、弾性付勢が閉鎖トリガ(32)を非作動位置に戻すように付勢することに応答して、閉鎖トリガ(32)を非作動位置に戻すことができる。他の閉鎖トリガロック及び解放構成が用いられてもよい。
【0020】
交換式シャフトアセンブリ(16)は、シャフトアセンブリ(16)の長手方向軸に対して所望の位置にエンドエフェクタ(18)を解放可能に保持するように構成され得る、関節ジョイント(52)と関節ロック(図示せず)とを更に含む。本実施例では、関節ジョイント(52)は、当該技術分野で既知であるように、エンドエフェクタ(18)をシャフトアセンブリ(16)の長手方向軸から離れて横方向に偏向させることを可能にするように構成される。単なる例として、エンドエフェクタ(18)、関節ジョイント(52)、及び関節ロック(図示せず)は、2014年9月18日に公開された、米国特許出願公開第2014/0263541号、名称「Articulatable Surgical Instrument Comprising an Articulation Lock」の教示の少なくとも一部に従って、構成され、動作可能であり得る。
【0021】
本実施例では、関節ジョイント(52)の関節は、ハンドルアセンブリ(11)上の関節コントロールロッカー(112)を介した操作者からの制御入力に基づいて、モータ(118)を介してモータ駆動される。単なる例として、操作者が関節制御ロッカー(112)の上部分を押下したとき、エンドエフェクタ(18)は、関節ジョイント(52)において(器具(10)を上から見て)右へと横方向に枢動することができ、操作者が関節制御ロッカー(112)の下部分を押下したとき、エンドエフェクタ(18)は、関節ジョイント(52)において(器具(10)を上から見て)左へと横方向に枢動することができる。いくつかの変形例において、ハンドルアセンブリ(11)の他方の側部は、別の関節制御ロッカー(112)を含む。このような変形例において、ハンドルアセンブリ(11)の他方の側部上の関節制御ロッカー(112)は、関節制御ロッカー(112)の上への作動及び関節制御ロッカー(112)の下への作動に応答して、エンドエフェクタ(18)の上記の方向とは反対方向への枢動を提供するように構成することができる。単なる例として、関節ジョイント(52)においてエンドエフェクタ(18)の関節のモータ駆動を提供する関節制御ロッカー(112)及び残りの機構は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2015年10月1日に公開された、米国特許出願公開第2015/0280384号、名称「Surgical Instrument Comprising a Rotatable Shaft」の教示の少なくとも一部に従って、構成され、動作可能であり得る。関節ジョイント(52)においてエンドエフェクタ(18)の関節のモータ駆動を提供する関節制御ロッカー(112)及び残りの機構が構成され、動作可能であり得る他の適切な方法は、本明細書の教示を考慮することで当業者に明らかになるであろう。
【0022】
本実施例のエンドエフェクタ(18)は、ステープルカートリッジ(20)をその中で動作可能に支持するように構成された、細長いチャネル(48)の形態の下側ジョーを備える。本実施例のエンドエフェクタ(18)は、細長いチャネル(48)に対して枢動可能に支持された、安アンビル(50)の形態の上側ジョーを更に含む。交換式シャフトアセンブリ(16)は、ノズル部分(56、58)から成る近位筐体又はノズル(54)と、エンドエフェクタ(18)の閉鎖及び/又は開放アンビル(50)に利用することができる閉鎖管(60)と、を更に含む。シャフトアセンブリ(16)はまた、閉鎖シャトル(62)をシャーシ(64)に対して軸方向に移動させることができるように、シャフトアセンブリ(16)のシャーシ(64)内で摺動可能に支持された閉鎖シャトル(62)も含む。閉鎖シャトル(62)は、第2の閉鎖リンク(38)に取り付けられた取り付けピン(42)への取り付けのために構成されている、近位に突出する一対のフック(66)を含む。閉鎖管(60)の近位端部(図示せず)は、それに対する相対的回転のために閉鎖シャトル(62)に連結されるが、閉鎖管(60)と閉鎖シャトル(62)との組み合わせは、閉鎖管(60)及び閉鎖シャトル(62)の互いの長手方向への移動を提供する。閉鎖ばね(図示せず)が閉鎖管(60)上に軸支され、閉鎖管(60)を近位方向(PD)に付勢する働きをし、それによって、シャフトアセンブリ(16)がハンドル(14)に動作可能に連結されたとき、閉鎖トリガ(32)を非作動位置へと枢動させる働きをし得る。
【0023】
本実施例では、関節ジョイント(52)は、二重枢軸閉鎖スリーブアセンブリ(70)を含む。二重枢軸閉鎖スリーブアセンブリ(70)は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる。米国特許出願公開第2014/0263541に開示される様々な様態で開口タブをアンビル(50)に係合するための、エンドエフェクタ閉鎖スリーブアセンブリ(72)を含む。関節ジョイント(52)が関節動作状態であるとき(すなわち、エンドエフェクタ(18)が、関節ジョイント(52)においてシャフトアセンブリ(16)の長手方向軸から横方向に離れて枢動可能に偏向するとき)であっても、閉鎖トリガ(32)の枢動に応答して、二重枢軸閉鎖スリーブアセンブリ(70)が閉鎖管(60)と共に移動するように、二重枢軸閉鎖スリーブアセンブリ(70)が、閉鎖管(60)と連結されることを理解されたい。更に、エンドエフェクタ閉鎖スリーブアセンブリ(72)とアンビル(50)との係合は、二重枢軸閉鎖スリーブアセンブリ(70)及び閉鎖管(60)の遠位移動に応答した、アンビル(50)のステープルカートリッジ(20)に向かう枢動、及び二重枢軸閉鎖スリーブアセンブリ(70)及び閉鎖管(60)の近位移動に応答した、ステープルカートリッジ(20)から離れるアンビル(50)の枢動を提供する。本例のシャフトアセンブリ(16)は関節ジョイント(52)を含むが、他の交換式シャフトアセンブリは、関節動作能力を欠いていてもよい。
【0024】
図3に示されるように、シャーシ(64)は、フレーム(28)の遠位取り付けフランジ部分(78)内に形成された、対応するダブテールスロット(76)内に受容されるように適合された、シャーシ上に形成された一対の先細取り付け部分(74)を含む。各ダブテールスロット(76)は、取り付け部分(74)を中に着座的に受容するように、先細であってもよく、又は略V字形であってもよい。シャフト取り付けラグ(80)が、中間発射シャフト(82)の近位端上に形成される。したがって、交換式シャフトアセンブリ(16)がハンドル(14)に連結されたとき、シャフト取り付けラグ(80)は、長手方向駆動部材(86)の遠位端部に形成された発射シャフト取り付けクレードル(84)内に受容される。シャフト取り付けラグ(80)が発射シャフト取り付けクレードル(84)内に受容されたとき、中間発射シャフト(82)は、長手方向駆動部材(86)と共に長手方向に移動する。当該技術分野で知られているように、中間発射シャフト(82)が遠位に移動するとき、中間発射シャフト(82)がエンドエフェクタ(18)を作動させて、ステープルを組織に打ち込み、組織を切断する。単なる例として、エンドエフェクタ(18)のこの作動は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2015/0280384号に従って、及び/又は本明細書に引用される様々な他の参考文献の教示に従って実行することができる。
【0025】
図4A~
図4Cは、エンドエフェクタ(18)の異なる作動状態の間のハンドルアセンブリ(11)の異なる状態を示す。
図4Aでは、ハンドルアセンブリ(11)は、閉鎖トリガ(32)が非作動枢動位置にあり、かつ発射トリガ(33)が非作動枢動位置にある状態である。この段階で、エンドエフェクタ(18)は、アンビル(50)がステープルカートリッジ(20)から離れて枢動される、開放状態にある。
【0026】
図4Bでは、ハンドルアセンブリ(11)は、閉鎖トリガ(32)が作動枢動位置にある状態である。上で述べたように、閉鎖トリガ(32)は、操作者が解放ボタンアセンブリ(46)を作動させるまでこの位置にロックされる。この段階で、エンドエフェクタは、アンビル(50)がステープルカートリッジ(20)に向かって枢動される、閉鎖状態にあるが未発射状態であり、よって、組織は、アンビル(50)とカートリッジ(20)との間で圧縮されている。しかしながら、発射シャフト(82)は、まだステープルカートリッジ(20)からステープルを作動させるために遠位に駆動されておらず、発射シャフト(82)の遠位端部のナイフは、アンビル(20)とステープルカートリッジ(20)との間で組織をまだ切断していない。発射トリガ(33)は、非作動枢動位置から作動枢動位置への閉鎖トリガ(32)の移動のため、
図4Bの部分的に作動した枢動位置にあることに留意されたい。しかしながら、発射トリガ(33)のこの移動は、操作者の発射トリガ(33)へのアクセスを向上させるためにのみ提供される。換言すれば、
図4Aに示される位置から
図4Bに示される位置への発射トリガ(33)のこの移動は、発射シーケンスをまだ起動させない。
【0027】
図4Cでは、ハンドルアセンブリは、閉鎖トリガ(32)が作動枢動位置のままであり、かつ発射トリガ(33)が作動枢動位置に枢動された状態にある。発射トリガ(33)のこの作動は、モータ(118)を起動させて、長手方向駆動部材(86)を長手方向に駆動し、次に、発射シャフト(82)を長手方向に駆動する。発射シャフト(82)の長手方向の移動は、アンビル(50)とステープルカートリッジ(20)との間で圧縮された組織の中への、ステープルカートリッジ(20)からのステープルの作動をもたらし、更に、アンビル(50)とステープルカートリッジ(20)の間で圧縮された組織の切断をもたらす。いくつかの変形例では、追加の安全トリガが提供される。例えば、追加の安全トリガは、安全トリガが作動するまで、発射トリガ(33)の作動を防ぐことができる。換言すれば、
図4Bに示される状態に到達した後に、操作者が発射トリガ(33)を作動させる準備をしたとき、操作者は、最初に安全トリガを作動させ、次いで、発射トリガ(33)を作動させなければならない。安全トリガの存在が、発射トリガ(33)の不用意な作動を防ぎ得ることを理解されたい。
【0028】
また、本実施例では、ステープルカートリッジ(20)に向かうアンビル(50)の作動は、単に機械的連結を通して閉鎖トリガ(32)とアンビル(50)との間に提供され、よって、アンビル(50)を作動させるためにモータ(118)を使用しないことも理解されたい。また、本実施例では、発射シャフト(82)の作動(したがって、ステープルカートリッジ(20)の作動)が、モータ(118)の起動を通して提供されることも理解されたい。加えて、関節ジョイント(52)の作動は、本実施例のモータ(118)の起動を通して提供される。関節ジョイント(52)のこのモータ駆動の作動は、駆動部材(86)の長手方向の移動を介して提供される。シャフトアセンブリ(16)内のクラッチアセンブリ(図示せず)は、駆動部材(86)の長手方向の移動と、関節ジョイント(52)を駆動するか又はステープルカートリッジ(20)を作動させるための機構とを選択的に連結するように動作可能である。このようなクラッチアセンブリを介した選択的な連結は、閉鎖トリガ(32)の枢動位置に基づく。具体的には、閉鎖トリガ(32)が
図4Aに示される非作動位置にあるとき、(関節制御ロッカー(112)の起動に応答した)モータ(118)の起動が関節ジョイント(52)を駆動する。閉鎖トリガ(32)が
図4Bに示される作動位置にあるとき、(発射トリガ(33)の作動に応答した)モータ(118)の起動がステープルカートリッジ(20)を作動させる。単なる例として、クラッチアセンブリは、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2015/0280384号の教示の少なくともいくつかに従って、構成され、動作可能であり得る。
【0029】
本実施例では、ハンドルアセンブリ(11)はまた、「ホーム」ボタン(114)も含む。単なる例として、アンビル(50)が閉鎖位置にあるとき、「ホーム」ボタン(114)は、モータ(118)を起動させて、駆動部材(86)を最近位の「ホーム」位置へと近位に後退させるように動作可能であり得る。加えて、又は代替的に、アンビル(50)が開放位置にあるときに、「ホーム」ボタン(114)は、モータ(118)を起動させて、関節ジョイント(52)を駆動して、非関節動作状態を達成し、よって、エンドエフェクタ(18)がシャフトアセンブリ(16)と同軸状に整列するように動作可能であり得る。加えて又は代替的に、「ホーム」ボタン(114)は、「ホーム」画面に戻るために、グラフィカルユーザインターフェース(116)を起動させ得る。本明細書の教示を考慮することで、「ホーム」ボタン(114)の起動に応答して提供され得る他の好適な動作が当業者に明らかになるであろう。
【0030】
本実施例のシャフトアセンブリ(16)は、連結シャフトアセンブリ(16)をハンドルアセンブリ(11)に、より具体的にはフレーム(28)に、取り外し可能に連結するためのラッチシステムを更に含む。単なる例として、このラッチシステムは、シャーシ(64)に移動可能に連結されたロックヨーク又は他の種類のロック部材を含むことができる。
図3に示されるように、このようなロックヨークは、フレーム(28)内の対応するロックデテント又は溝(98)と解放可能に係合するように構成された2つの近位突出ロックラグ(96)を含むことができる。いくつかの変形例では、ロックヨークは、弾性部材(例えば、ばねなど)によって近位方向に付勢される。ロックヨークの作動は、シャーシ(64)に装着されたラッチアクチュエータアセンブリ(102)上に摺動可能に装着されたラッチボタン(100)によって達成することができる。ラッチボタン(100)は、ロックヨークに対して近位方向に付勢することができる。ロックヨークは、ラッチボタン(100)を遠位方向に付勢することによってアンロック位置へと移動させることができ、これはまた、ロックヨークを枢動させて、フレーム(28)との係合保持を解除する。ロックヨークがフレーム(28)との「係合保持」状態であるとき、ロックラグ(96)は、対応するロックデテント又は溝(98)内に係合して着座される。更なる単なる例として、シャフトアセンブリ(16)は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2017年3月30日に公開された、米国特許出願公開第2017/0086823号、名称「Surgical Stapling Instrument with Shaft Release,Powered Firing,and Powered Articulation」の教示の少なくとも一部に従って、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2015/0280384号の教示の少なくともいくつかに従って、及び/又は任意の他の好適な適切な様式で、ハンドルアセンブリ(11)と取り外し可能に連結され得る。
【0031】
シャフトアセンブリ(16)とハンドルアセンブリ(11)との間の連結プロセスを開始するために、臨床医は、シャーシ(64)上に形成された先細取り付け部分(74)がフレーム(28)内のダブテールスロット(76)と整合されるように、フレーム(28)の上方に、又はそれに隣接して、交換式シャフトアセンブリ(16)のシャーシ(64)を位置付けることができる。次いで、臨床医は、シャフトアセンブリ(16)を、シャフトアセンブリ(16)の長手方向軸に垂直な取り付け軸(IA)に沿って移動させて、取り付け部分(74)を対応するダブテール受容スロット(76)と「動作可能な係合」で着座させることができる。その際、中間発射シャフト(82)上のシャフト取り付けラグ(80)も、長手方向に移動可能な駆動部材(86)のクレードル(84)内に着座され、第2の閉鎖リンク(38)上にあるピン(42)の部分が、閉鎖シャトル(62)内の対応するフック(66)内に着座される。本明細書で使用するとき、2つの構成要素の文脈における「動作可能な係合」という用語は、それら2つの構成要素が互いに十分に係合され、そのため、作動運動をそれらに適用すると、構成要素が、意図される行為、機能、及び/又は手順を実行し得ることを意味する。
【0032】
上で論じたように、交換式シャフトアセンブリ(16)の少なくとも5つのシステムが、ハンドル(14)の少なくとも5つの対応するシステムと動作可能に連結され得る。第1のシステムは、シャフトアセンブリ(16)のフレーム又はスパインをハンドル(14)のフレーム(28)と連結する、及び/又は整列させる、フレームシステムを備える。第2のシステムは、シャフトアセンブリ(16)をハンドル(14)に解放可能にロックする、ラッチシステムである。
【0033】
第3のシステムは、ハンドル(14)の閉鎖トリガ(32)、及び閉鎖管(60)、及びシャフトアセンブリ(16)のアンビル(50)を動作可能に接続することができる、閉鎖駆動システム(30)である。上で概説したように、シャフトアセンブリ(16)の閉鎖シャトル(62)は、第2の閉鎖リンク(38)上にあるピン(42)と係合する。閉鎖駆動システム(30)を通して、アンビル(50)は、閉鎖トリガ(32)のピストルグリップ(26)に向かう、及びそこから離れる枢動に基づいて、ステープルカートリッジ(20)に向かって、及びそこから離れて枢動する。
【0034】
第4のシステムは、ハンドル(14)の発射トリガ(33)とシャフトアセンブリ(16)の中間発射シャフト(82)とを動作可能に接続する、関節及び発射駆動システムである。上で概説したように、シャフト取り付けラグ(80)は、長手方向駆動部材(86)のクレードル(84)と動作可能に接続する。この第4のシステムは、閉鎖トリガ(32)の枢動位置に応じて、関節ジョイント(52)又はステープルカートリッジ(20)のモータ駆動の作動を提供する。閉鎖トリガ(32)が非作動枢動位置にあるとき、第4のシステムは、関節制御ロッカー(112)を関節ジョイント(52)と動作可能に接続し、それにより、関節ジョイント(52)におけるシャフトアセンブリ(16)の長手方向軸に向かう、及びそこから離れるエンドエフェクタ(18)のモータ駆動の枢動偏向を与える。閉鎖トリガ(32)が作動枢動位置にあるとき、第4のシステムは、発射トリガ(33)をステープルカートリッジ(20)と動作可能に接続し、発射トリガ(33)の作動に応答して、アンビル(50)とステープルカートリッジ(20)との間に捕捉された組織のステープル留め及び切断をもたらす。
【0035】
第5のシステムは、シャフトアセンブリ(16)がハンドル(14)と動作可能に係合されたことをハンドル(14)の制御回路(117)に信号で伝えて、シャフトアセンブリ(16)とハンドル(14)との間で通電する、及び/又は信号を通信する、電気システムである。本実施例では、
図3に示されるように、シャフトアセンブリ(16)は、シャフト回路基板(図示せず)に動作可能に装着された電気コネクタ(106)を含む。電気コネクタ(106)は、ハンドル制御基板(図示せず)上の対応する電気コネクタ(108)と噛合係合するように構成される。回路及び制御システムに関する更なる詳細は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、国特許出願公開第2014/0263541号、及び/又はその開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2015/0272575号に見出すことができる。
【0036】
ハンドル(14)の対応するシステムと動作可能に連結することができる交換式シャフトアセンブリ(16)の他の種類のシステムは、本明細書の教示を考慮することで当業者に明らかになるであろう。
【0037】
上で述べたように、本実施例のハンドルアセンブリ(11)は、グラフィカルユーザインターフェース(116)を含む。単なる例として、グラフィカルユーザインターフェース(116)を使用して、電池パック(110)の動作状態、エンドエフェクタ(18)の動作状態、関節ジョイント(52)の動作状態、トリガ(32、33)の動作状態に関する様々な情報、及び/又は任意の他の種類の情報を表示することができる。グラフィカルユーザインターフェースを介して表示することができる他の適切な種類の情報は、本明細書の教示を考慮することで当業者に明らかになるであろう。
【0038】
ハンドルアセンブリ(11)は、異なるサイズ及び種類のステープルカートリッジを支持するように、異なるシャフト長、サイズ、及び種類を有するように、などのように適合されたエンドエフェクタを含む交換式シャフトアセンブリと接続して使用するように構成することができる。単なる例として、
図6は、ハンドルアセンブリ(11)と共に使用することができる様々な異なる種類のシャフトアセンブリ(16、120、130、140)を示す。具体的には、
図6は、円形ステープル留め動作(例えば、端々吻合)を実行するように動作可能であるエンドエフェクタ(122)を有する円形ステープラシャフトアセンブリ(120)、線形ステープル留め動作を実行するように動作可能であるエンドエフェクタ(132)を有するライナステープラシャフトアセンブリ(130)、及びエンドエフェクタ(18)と同じ種類のステープル留め及び切断動作を行うように動作可能であるエンドエフェクタ(142)を有する第2のエンドカッターシャフトアセンブリ(140)を示す。しかしながら、この実施例では、シャフトアセンブリ(140)は、シャフトアセンブリ(16)よりも短く、シャフトアセンブリ(140)は、シャフトアセンブリ(16)よりも直径が小さく、エンドエフェクタ(142)は、エンドエフェクタ(18)よりも小さい。これらの様々な外科用ステープル留めシャフトアセンブリ(16、120、130、140)は、単なる例示的な実施例にすぎないことを理解されたい。
【0039】
また、制御回路(117)は、ハンドルアセンブリ(11)と連結されているシャフトアセンブリ(16、120、130、140)の種類を検出し、その特定の種類のシャフトアセンブリ(16、120、130、140)に好適な制御アルゴリズムを選択するように構成され得ることも理解されたい。別の単なる例示的な実施例として、各シャフトアセンブリ(16、120、130、140)は、その特定の種類のシャフトアセンブリ(16、120、130、140)に好適な制御アルゴリズムを記憶するチップ又は他のメモリデバイスを有することができ、制御回路(117)は、シャフトアセンブリ(16、120、130、140)がハンドルアセンブリ(11)と連結された後に、その制御アルゴリズムを受信及び実行することができる。
【0040】
加えて、ハンドルアセンブリ(11)はまた、例えば、高周波(radio frequency、RF)エネルギー、超音波エネルギー及び/又は運動などの他の運動及び種類のエネルギーを、様々な外科用途及び手術に関連して使用するように適合されたエンドエフェクタ構成に印加するように構成されたアセンブリを含む、様々な他の交換式シャフトアセンブリと共に効果的に用いることもできる。更に、エンドエフェクタ、シャフトアセンブリ、ハンドル、外科用器具及び/又は外科用器具システムは、任意の好適な締結具(複数可)を利用して組織を締結することができる。例えば、中に着脱可能に格納された複数の締結具を備える締結具カートリッジが、シャフトアセンブリのエンドエフェクタに着脱可能に挿入及び/又は装着され得る。そのようなカートリッジの様々な例は、本明細書に列挙される様々な参考文献に開示されている。
【0041】
本明細書に開示される様々なシャフトアセンブリ(16)は、ハンドル付きのアセンブリ(11)内の制御回路(117)との電気通信を必要とするセンサ及び他の様々な構成要素を用いることができる。電気通信は、電気コネクタ(106、108)を噛合させることを介して提供することができる。単なる例として、このようなセンサ及び他の構成要素は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2015/0272575号の教示の少なくともいくつかに従って構築され、動作可能であり得る。加えて又は代替的に、器具(10)は、本明細書に列挙される他の様々な参考文献のうちのいずれかの教示の少なくとも一部に従って構築され、かつ動作可能であってもよい。
【0042】
本明細書に開示される様々な教示が、ロボット制御式外科用システムと接続して、効果的に利用することができることを理解するであろう。したがって、「筐体」又は「本体」という用語はまた、本明細書に開示される交換式シャフトアセンブリ及びそれらのそれぞれの同等物を作動させるために使用することができる、少なくとも1つの制御運動を生成及び適用するように構成された少なくとも1つの駆動システムを収容するか又は別様に動作可能に支持する、ロボットシステムの筐体又は同様の部分も包含することができる。「フレーム」という用語は、手持ち式外科用器具の一部分を指してもよい。「フレーム」という用語はまた、ロボット制御式の外科用器具の一部分、及び/又は外科用器具を動作可能に制御するために使用され得るロボットシステムの一部分も表すことができる。単なる例として、本明細書に開示される交換式シャフトアセンブリは、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2015年7月7日に発行された、米国特許第9,072,535号、名称「Surgical Stapling Instruments with Rotatable Staple Deployment Arrangements」に開示される、様々なロボットシステム、器具、構成要素、及び方法のいずれかと共に用いることができる。
【0043】
II.独立した電源を有する例示的な電池寿命ディスプレイ
上で述べたように、本実施例のハンドルアセンブリ(11)は、グラフィカルユーザインターフェース(116)を含み、これを使用して、電池パック(110)の動作状態、エンドエフェクタ(18)の動作状態、関節ジョイント(52)の動作状態、トリガ(32、33)の動作状態に関する情報、及び/又は任意の他の種類の情報を表示することができる。いくつかの場合では、単にどのくらいの寿命が電池パック(110)に残存しているのかを示す二次ディスプレイを提供することが望ましくなり得る。そのような二次ディスプレイは、グラフィカルユーザインターフェース(116)内に、又は電池パック(110)内に一体化することができる。また、二次ディスプレイは、残りのグラフィカルユーザインターフェース(116)、モータ(118)、及び制御回路(117)とは独立に、残りのグラフィカルユーザインターフェース(116)及びモータを駆動する制御回路(117)から独立した制御回路と共に、などによって給電することも望ましくなり得る。
図7~
図14、
図16A、及び
図16Bは、電池パック(110)の一次駆動電池の有用な残存寿命又は動作状態に関する情報を提供するための、以下電池寿命ディスプレイ(216)と称される二次ディスプレイを含む、ハンドルアセンブリ(11)のいくつかの例示的な変形形態を示す。
【0044】
A.電池寿命ディスプレイの例示的な位置付け
図7~
図10に示されるように、ハンドルアセンブリ(11)のいくつかの変形例は、静的に配置された、又は固定的にハンドルアセンブリ(11)と関連付けられた電池寿命ディスプレイ(216)を含むことができる。この電池寿命ディスプレイ(216)の静的変形例は、ハンドルアセンブリ(11)と一体化されるように、又は別様にハンドルアセンブリ(11)から通常は別々に移動しないように構成される。ハンドルアセンブリ(11)のいくつかの変形例では、電池寿命ディスプレイ(216)は、
図7に示されるような相互接続可能なハンドル筐体セグメント(22、24)又は
図8に示されるような電池パック(110)のいずれかに提供することができる。
図9及び
図10に示されるように、電池寿命ディスプレイ(216)は、グラフィカルユーザインターフェース(116)と一体であるが、セグメント化された部分として提供することができる。
【0045】
電池寿命ディスプレイ(216)がグラフィカルユーザインターフェース(116)と一体化された変形例では、電池寿命ディスプレイ(216)は、グラフィカルユーザインターフェース(116)の任意の領域内に提供することができ、相対的な位置は、所望に応じてカスタマイズ可能であり得る。例えば、ユーザは、
図10に示されるように、ユーザ入力を操作して、グラフィカルユーザインターフェース(116)の右下四半部に位置付けられた電池寿命ディスプレイ(216)を構成することができる。代替的に、別のユーザは、ユーザ入力を操作して、グラフィカルユーザインターフェース(116)の左上四半部に位置付けられた電池寿命ディスプレイ(216)を構成することができる。
【0046】
B.電池寿命ディスプレイの例示的な別体の電源
図11に概略的に示されるように、グラフィカルユーザインターフェース(116)は、電池パック(110)を介して第1の又は一次電源によって給電され、一方で、電池寿命ディスプレイ(216)は、本明細書で電源(210)と称される、別体の二次電源によって給電される。いくつかの変形例では、電源(210)は、電池パック(110)内の一次電源とは異なる専用の電源である。この構成では、電源(210)は、ハンドルアセンブリ(11)又は電池パック(110)内に適合するようにサイズ決定された(例えば、器具(10)の動作を駆動するために使用される電池パック(110)内の一次セルに隣接する)、コインセル電池又は別のスタイルの電池などの電池を備えることができる。他の変形例では、電源(210)は、電池寿命ディスプレイ(216)と電池パック(110)内に提供された一次電源との間の中間電源である。この構成では、電源(210)は、小電力リザーバ(例えば、コンデンサ、スーパーキャパシタなど)とすることができ、電力レベルが特定の閾値未満に消耗することに応答して、電池パック(110)内の一次電源から再充電することができる。単なる例として、電池寿命ディスプレイ(216)は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2017年4月6日に出願された米国特許出願第15/480,546号、名称「Lifecycle Monitoring Features for Surgical Instrument」の教示の少なくともいくつかに従って、独立して給電することができる。更に別の単に例示的な変形形態では、主ディスプレイ(116)を駆動するのと同じ電池が寿命ディスプレイ(216)を駆動することができ、よって、別体の専用の寿命ディスプレイ電源(210)を必要としない。両方の種類のディスプレイ(116、216)を駆動するために同じ電源が使用される場合であっても、関連付けられた回路(117、218)の構成の違いは、寿命ディスプレイ(216)が、主ディスプレイ(116)によって取り出される電力量よりも少ない電力を電源から取り出す結果になり得る。
【0047】
図11に示されるように、充電回路(217)は、電源(210)が、グラフィカルユーザインターフェース(116)に電力を提供する電池パック(110)内に提供された一次電源へのアクセスを可能にするように提供される。電源(210)のいくつかの変形例は、必要に応じて電池寿命ディスプレイ(216)に電力を供給するように構成された充電式電池として具現化することができる。これらの変形例では、電源(210)は、必要に応じて電力を電池パック(110)内の一次電源から充電回路(217)に取り出して、電源(210)を再充電する。
【0048】
C.例示的な電池寿命の追跡
上で論じたように、ハンドルアセンブリ(11)は、器具(10)の再使用可能な構成要素とすることができる。しかしながら、ハンドルアセンブリ(11)は、ある程度再使用可能であるが、ハンドルアセンブリ(11)は、経時的に機械的及び/又は電気的な劣化を経験し得る。例えば、電池パック(110)内の一次電源は、最終的に特定の閾値未満に消耗する場合があり、ハンドルアセンブリ(11)に接続されたエンドエフェクタ(18)が発射するために、もはやモータ(118)に十分に給電することができない場合がある。段階的な劣化は、ハンドルアセンブリ(11)及び/又は電池パック(110)内の一次電源のデバイス寿命と相関し得る。デバイス寿命は、ハンドルアセンブリ(11)の特定の使用状況に応じて、静的考察(例えばハンドルアセンブリ(11)の5回の発射)又は動的考察であり得る。
【0049】
制御回路(218)は、ハンドルアセンブリ(11)又は電池パック(110)内に含むことができる。単なる例として、制御回路(218)は、本明細書の教示を考慮することで当業者に明らかになるであろうように、マイクロコントローラ及び/又は様々な他の構成要素を備えることができる。制御回路(218)は、器具(10)の様々な要素のメトリック及び特性を収集するための、及びその後の、ハンドルアセンブリ(11)又は電池パック(110)内の一次電源のいずれかの残存寿命量を計算するためのアルゴリズムを記憶及び実行するように構成される。制御回路(218)はまた、電池寿命ディスプレイ(216)を駆動して、計算された残存寿命をユーザに表示するようにも構成される。いくつかの変形例では、制御回路(218)は、シャフトアセンブリ(16)及び/又はハンドルアセンブリ(11)、又は器具(10)内の任意の他の要素から1つ又は2つ以上の信号を受信し、処理するように構成される。制御回路(218)が構成され、動作可能であり得る他の好適な方法は、本明細書の教示を考慮することで当業者に明らかになるであろう。ハンドルアセンブリ(11)のいくつかの変形例では、制御回路(218)が省略され、本明細書に記載される任意の機構又は機能は、制御回路(117)を通して提供される。本実施例では、制御回路(218)は、寿命ディスプレイ(216)を駆動するために、主ディスプレイ(116)を駆動するために制御回路(117)によって必要とされる電力よりも少ない電力を取り出すように構成される。
【0050】
電池寿命ディスプレイ(216)は、ハンドルアセンブリ(11)及び/又は電池パック(110)の一次電源の推定された残存寿命をユーザに示すように構成される。ユーザへの残存寿命フィードバックを提供するために、制御回路(218)は、ハンドルアセンブリ(11)の様々なメトリック又は他の使用特徴を追跡し、デバイス寿命変数を計算又は更新するように構成される。デバイス寿命変数は、その後に、グラフィカルフィードバックに変換され、電池寿命ディスプレイ(216)を通してユーザに提供されて、ハンドルアセンブリ(11)及び/又は電池パック(110)の一次電源の関連する残存寿命をユーザに示す。
【0051】
デバイス寿命情報を連続的に提供するための一般的な方法(219)を
図12に示す。方法(219)は、工程(221)から始まり、それによって、デバイス寿命変数が電池寿命ディスプレイ(216)上でユーザに表示される。ハンドルアセンブリ(11)の第1の使用又は第1の初期化に応じて、デバイス寿命変数は、ハンドルアセンブリ(11)の全残存寿命を示す。
【0052】
方法(219)のいくつかの変形例では、工程(221)は、要求イベントによって作動させる、又はトリガすることができ、それによって、ユーザは、アクティブ又はパッシブのいずれかに、電池寿命ディスプレイ(216)を介してハンドルアセンブリ(11)及び/又は電池パック(110)内の一次電源の残存寿命を視認することを要求する。方法(219)のこれらの変形例では、電池寿命ディスプレイ(216)は、要求イベント間の時間中の電力使用を最小にするために、スリープ又は減光するように構成される。電池寿命ディスプレイ(216)は、アクティブ又はパッシブ要求イベントの作動時に、スリープからウェイクして、又は別様に通電して、フィードバックをユーザに提供する。アクティブ要求イベントの例としては、ボタンを押下すること、グラフィカルユーザインターフェース(116)を起動させること、又は器具(10)の別の要素を作動させることを挙げることができる。パッシブ要求イベントの例としては、下に記載されるような寿命喪失イベント、システムイベントの発生、内蔵加速度計に関する閾値に到達すること、又は特定の内部カウンタが次の間隔に到達したとき、を挙げることができる。デバイス寿命変数又はそのグラフィカル表現がユーザに表示されると、工程(221)は、工程(223)へ進む。
【0053】
工程(223)で、寿命喪失イベントが検出されたかどうかに関する判定を行う。ハンドルアセンブリ(11)のいくつかの変形例では、制御回路(117)がこの判定を調整又は提供する。他の変形例では、制御回路(218)がこの判定を調整又は提供する。更に他の変形例では、制御回路(117)及び制御回路(218)がこの判定を調整又は提供する。寿命喪失イベントが検出された場合、工程(223)は、工程(225)へ進む。寿命喪失イベントが検出されなかった場合、工程(223)は、工程(221)へ戻る。
【0054】
寿命喪失イベントは、ハンドルアセンブリ(11)及び/又は電池パック(110)内の一次電源の残存寿命に影響を及ぼすイベントとして、制御回路(117、218)の一方又は両方が認識可能なイベントである。例えば、ハンドルアセンブリ(11)の発射は、電池パック(110)内の一次電源を消耗させ得、ある量だけハンドルアセンブリ(11)の有効寿命を低減させ得る。寿命喪失イベントの他の例としては、器具(10)のスイッチ(図示せず)を機械的にトグルすること、制御回路(117)が寿命喪失を示した又は認識したときのグラフィカルユーザインターフェース(116)又はハンドルアセンブリ(11)からの通信、又はハンドルアセンブリ(11)が寿命量を使用したときにハンドルアセンブリ(11)が、次のインクリメンタル寿命喪失を機械的、電気的、又は光学的のいずれかで通信すること、が挙げられる。
【0055】
いくつかの変形例では、下でより詳細に論じるように、電池寿命ディスプレイ(216)及び/又は制御回路(218)は、電池パック(110)内の一次電源がスリープモードである間、電池パック(110)と関連付けられた低域電流監視回路にアクセスすることができる。いくつかの変形例では、電池パック(110)内の一次電源がスリープモードである間のみ、低域監視回路へのアクセスが制限される。これらの変形例では、電池寿命ディスプレイ(216)及び/又は制御回路(218)は、一次電源がスリープモードでないときに、電池パック(110)内の一次電源と関連付けられた一次回路にアクセスすることができる。電池寿命ディスプレイ(216)は、一次電源と関連付けられた残存寿命を要求に応じて表示するように構成することができ、かつ専用のコインセル電源又は他の種類の専用の電源によって駆動することができる。単なる例として、本明細書に開示される低範囲電流監視回路及び/又は一次回路は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日出願の米国特許出願第[代理人整理番号END8157USNP.0645308]号、名称「Battery Powered Surgical Instrument with Dual Power Utilization Circuits for Dual Modes」に開示される様々なシステム、器具、構成要素、及び方法のうちのいずれかと共に用いることができる。
【0056】
寿命イベントの喪失を検出した後に、工程(223)は、工程(225)へ進む。工程(225)で、デバイス寿命変数を更新して、ハンドルアセンブリ(11)及び/又は電池パック(110)内の一次電源の残存寿命の変化を反映する。その後に、工程(225)は、工程(221)へ戻り、電池寿命ディスプレイ(216)を介して、更新された寿命情報をユーザに表示する。
【0057】
D.例示的な低消費電力のグラフィカルフィードバック
電池寿命ディスプレイ(216)は、電源(210)の要件を最小にするために、ハンドルアセンブリ(11)及び/又は電池パック(110)内の一次電源に通電するために必要とされる電力を最小にし、かつそれらの残存寿命を示すように構成することができる。この目的のために、電池寿命ディスプレイ(216)は、ハンドルアセンブリ(11)及び/又は電池パック(110)内の一次電源の単純な数字又は相対残存寿命の図的表現などの、残存寿命を例示するためのグラフィカルに単純なスキームを含むことができる。
図13Aに示されるように、電池寿命ディスプレイ(216)は、寿命メーター(227)を示して、残存寿命に関するフィードバック情報をユーザに提供することができる。寿命メーター(227)は、ハンドルアセンブリ(11)及び/又は電池パック(110)内の一次電源に残存する寿命の総数を示すために、その上に数字(231)を有する、左右に延在する複数のバー(229)を含む。数字(231)を参照して見たときに、残存する寿命の総量を表すために、1本の特定のバー(229A)を残存バー(229)と異なる色で発光させる。この実施例では、バー(229A)は、他のバー(229)と異なる色で発光させ、かつ一般に、「40」の寿命が残存していることを示すための数字(231A)と整列される。ハンドルアセンブリ(11)及び/又は電池パック(110)内の一次電源において寿命が使用されるにつれて、バー(229A)が矢印Aの方向に移動して、ハンドルアセンブリ(11)及び/又は電池パック(110)内の一次電源の残存寿命の減少量を示す。
【0058】
図13Bに示されるように、電池寿命ディスプレイ(216)は、残存寿命に関するフィードバック情報をユーザに提供するために、スライダ(233)を示すことができる。スライダ(233)は、残存寿命を示すために、ハッシュマーク(239)を有するトラック(237)と並置されたインジケータ(235)を含む。ハンドルアセンブリ(11)及び/又は電池パック(110)内の一次電源から寿命が費やされる/デビットされるにつれて、インジケータが矢印Bの方向に移動して、寿命の減少を示す。
【0059】
図13Cに示されるように、電池寿命ディスプレイ(216)は、自動車スタイルの燃料計又はタコメーターを連想させるゲージ(241)を示すことができる。ゲージ(241)は、ドーム形状(243)を含み、ドームの一方の側部のグラフィック「E」は、電池寿命が「空」であることを表し、他方の側部のグラフィック「F」は、電池寿命が「満杯」であること表す。針(245)は、回転して「F」と「E」との間の領域内を指して、「空」から「満杯」の範囲に対してどのくらいの寿命がハンドルアセンブリ(11)及び/又は電池パック(110)内の一次電源に残存しているのかを示す。ハンドルアセンブリ(11)及び/又は電池パック(110)内の一次電源から寿命が費やされる/デビットされるにつれて、針(245)が矢印Cの方向に反時計回りに回転して、寿命の減少を示す。
【0060】
上に記載し、
図13A~
図13Cに示されるように、寿命メーター(227)、スライダ(233)、及びゲージ(241)は、単に電源(210)から最小量の電力を必要とするグラフィカルフィードバックの例にすぎない。寿命メーター(227)、スライダ(233)、及びゲージ(241)は、電子インク、LED、LCD、又は任意の他のグラフィカル技術を使用して形成することができる。更に、任意の他のスタイルのグラフィカルに単純なフィードバックを、電池寿命ディスプレイ(216)によって提供することができる。
【0061】
E.例示的な電池モード
ハンドルアセンブリ(11)のいくつかの変形例では、電池パック(110)内の一次電源は、アクティブモードと、スリープモードと、廃棄モードとの間を移行することができる。電池パック(110)内の一次電源は、ユーザがハンドルアセンブリ(11)を取り扱っているか又は別様に現在器具(10)と相互作用しているときに、アクティブモードに移行する。ハンドルアセンブリ(11)が不使用期間を感知したときに、電池パック(110)内の一次電源は、スリープモードに入る。スリープモードでは、ハンドルアセンブリ(11)は、ユーザがハンドルアセンブリ(11)を持ち上げて、内蔵加速度計を作動させるなどのウェイクイベントを待機している間、電池パック(110)内の一次電源から最小量の電力を取り出す。ハンドルアセンブリ(11)及び/又は電池パック(110)内の一次電源の有用な寿命が特定の閾値未満に減少したときに、電池パック(110)が廃棄モードへ移動する。廃棄モードでは、電池パック(110)は、電力を器具(10)に提供しない。これは、器具(10)が医療処置の最中に故障又は別様に作業を停止しないことを確実にする。
【0062】
図14は、ハンドルアセンブリ(11)及び電池パック(110)のいくつかの変形例で使用するための方法(301)を例示する。方法(301)は、工程(303)から始まり、それによって、ハンドルアセンブリ(11)がアクティブモードになる。アクティブモードでは、ユーザは、いくつかの様態でハンドルアセンブリ(11)を現在使用している、最近使用した、又は使用する準備をしている、のいずれかである。工程(303)の後に、方法(301)は、工程(305)へ進む。工程(305)で、ハンドルアセンブリ(11)に対してスリープモードを開始するべきかどうかに関する判定を行う。この判定は、制御回路(117)又は制御回路(218)が利用できるシステムメトリック又は他の情報に対して行うことができる。例えば、ハンドルアセンブリ(11)は、加速度計を含むことができ、加速度計ハンドルアセンブリ(11)の移動を検出してから経過した時間量に基づいて、スリープモードに入るかどうかに関する判定を行うことができる。スリープモードを開始するべきでないと判定した場合、工程(305)は、工程(303)へ戻る。スリープモードを開始するべきであると判定した場合、工程(305)は、工程(307)へ進む。
【0063】
工程(307)で、ハンドルアセンブリ(11)、電池パック(11)の一次電源にどのくらいの寿命が残存しているか、及び/又は残存寿命に基づいてハンドルアセンブリ(11)が更にどのくらい発射を行うことができるか、に関する判定を行う。その後に、残存する発射及び/又は寿命を特定の閾値と比較する。例えば、方法(301)のいくつかの変形例では、残存する発射の閾値数は、4である。この実施例では、工程(307)は、ハンドルアセンブリ(11)に残存する発射が4回以下であるかどうかを判定する。工程(307)で、ハンドルアセンブリ(11)に残存する発射が4回よりも多いと判定した場合、工程(307)は、工程(309)へ進み、ハンドルアセンブリ(11)に対してスリープモードを開始する。スリープモードを開始した後に、工程(309)は、工程(313)へ進む。工程(313)で、ハンドルアセンブリ(11)が上に記載したようなウェイクイベントに遭遇したかどうかに関する判定を行う。ハンドルアセンブリ(11)がウェイクイベントに遭遇していないと判定した場合、工程(313)は、工程(309)へ戻る。ハンドルアセンブリ(11)がウェイクイベントに遭遇したと判定した場合、工程(313)は、工程(303)へ戻り、アクティブモードを開始する。
【0064】
工程(307)で、残存寿命に基づいてハンドルアセンブリ(11)及び/又は電池パック(110)内の一次電源に残存する発射が4回以下であると判定した場合、工程(307)は、工程(311)へ進む。工程(311)で、電池パック(110)が廃棄モードに移行する。廃棄モードでは、電池パック(110)内の一次電源の電池の動作を中止し、電池パック(110)内の一次電源に依存するハンドルアセンブリ(11)の要素は、もはや機能しなくなる。残存する発射及び寿命が少ない場合は、電池パック(110)内の一次電源は、あたかも完全に使い切ったかのように扱われて、ハンドルアセンブリ(11)がもはや使用されないことを確実にし、したがって、医療処置中にハンドルアセンブリ(11)が動かなくなることを防止する。その後に、工程(311)は、工程(315)へ進む。工程(315)で、ハンドルアセンブリ(11)/電池パック(110)の廃棄モードに関するフィードバックが、グラフィカルユーザインターフェース(116)又は電池寿命ディスプレイ(216)を通してユーザに提供される。上で述べたように、電池寿命ディスプレイ(216)は、電源(210)及び制御回路(218)によって駆動されて、廃棄モードへの移行を示す。
【0065】
III.例示的な可動ディスプレイ
ハンドルアセンブリ(11)の頂部上にグラフィカルユーザインターフェース(116)を位置付けることで、様々な外科的状況において、器具(10)の多数のユーザに対して十分な視認性を提供することができる。しかしながら、ユーザが、様々な他の角度からグラフィカルユーザインターフェース(116)を視認することを可能にすることが望ましい場合がある。例えば、シャフトアセンブリ(16)が患者に挿入される角度に応じて、ハンドルアセンブリ(11)の側部又は後方からのグラフィカルユーザインターフェース(116)の視認を容易にすることが望ましい場合がある。更に、ユーザが状況に基づいて手元で臨機応変に調整を行うことができるように、ユーザが、グラフィカルユーザインターフェース(116)の位置付け及び/又は角度を選択することを可能にすることが望ましい場合がある。
図15A~
図21は、ユーザが所望に応じて、又は人間工学的な目的で、及び/又は他の目的でディスプレイを位置付けることを可能にするための可動ディスプレイを含む、ハンドルアセンブリ(11)のいくつかの例示的な変形形態を示す。
【0066】
A.例示的なディスプレイの角度的な移動
図15A~
図15Gに示されるように、ハンドルアセンブリ(11)は、可動ディスプレイ(401)を含むことができる。可動ディスプレイ(401)は、一般に、ハンドルアセンブリ(11)の近位端部に位置付けられ、かつジョイント(405)によりハンドルアセンブリ(11)の筐体(12)と連結されたディスプレイ部分(402)を含む。ディスプレイ部分(402)は、筐体(403)内に、グラフィカルユーザインターフェース(116)などのディスプレイを含む。ジョイント(405)は、ディスプレイ部分(402)を2つの運動軸を中心にハンドルアセンブリ(11)に対して移動させて、ディスプレイ部分(402)をユーザが所望する任意の位置に位置付けることを可能にする。ジョイント(405)は、
図15Bに示されるように、ディスプレイ部分(402)が第1の軸(406)を中心に角度的に移動することを可能にする。第1の軸(406)は、一般に、
図15Bにおいて軸(408)として示されるハンドルアセンブリ(11)の長手方向軸に対して直角である。ジョイント(405)はまた、ディスプレイ部分(402)が第2の軸(407)を中心に角度的に移動することも可能にする。第2の軸(407)は、軸(408)と略同一平面上にあり、かつハンドルアセンブリ(11)の長手方向軸と平行である。
【0067】
図15A及び
図15Bに示されるように、ディスプレイ部分(402)は、筐体(12)の上部分に対して選択的に平らに倒すように構成される。所望に応じて、ユーザは、ディスプレイ部分(402)をジョイント(405)の第1の軸(406)を中心に矢印Dの方向に移動させて、グラフィカルユーザインターフェース(116)をハンドルアセンブリ(11)に対して近位に突出させることによって、ディスプレイ部分(402)を
図15Cに例示される配向に手で持ち上げることができる。その後に、ユーザは、ジョイント(405)の第2の軸(407)を中心に矢印Eの方向にディスプレイ部分(402)を移動させることによって、ディスプレイ部分(402)を
図15Dに例示される配向に移動させることができる。
図15Eに示されるように、グラフィカルユーザインターフェース(116)をハンドルアセンブリ(11)に対して遠位に突出させるために、ユーザは、ディスプレイ部分(402)を矢印Eの方向に回転させ続ける。
図15Eに例示される配向から、ユーザは、
図15F及び
図15Gに示されるように、ディスプレイ部分(402)をジョイント(405)を中心に矢印Fの方向に移動させて、ディスプレイ部分(402)をハンドルアセンブリ(11)の近位部分に対して折り畳むことができる。したがって、可動ディスプレイ(401)は、ユーザが、グラフィカルユーザインターフェース(116)の配向を決定し、グラフィカルユーザインターフェース(116)をユーザ個人の好みへ移動させることを可能にする。
【0068】
いくつかの変形例では、デテント又は他の機構を使用して、可動ディスプレイ(401)を所望の位置で選択的に保持することができる。デテントは、可動ディスプレイ(401)が不注意に移動するのを防止するのに十分な抵抗力を提供するように構成することができるが、更に、ユーザが位置付けを容易に調節することも可能にする。更に、内蔵加速度計又は他のセンサ(複数可)を提供して、可動ディスプレイ(401)及び/又はハンドルアセンブリ(11)の位置及び/又は配向を感知し、かつそれに応じて示された情報の配向を変化させることができる。例えば、ユーザが、可能なディスプレイ(401)を十分に移動させて、可動ディスプレイ(401)を逆さまに回転させたときに、可動ディスプレイ(401)内の情報を回転させ、又は調節して、可動ディスプレイ(401)の配向に対して正しい配向で情報を提供するようにすることができる。
【0069】
ジョイント(405)のいくつかの変形例では、
図15Cから
図15A及び
図15Bに示される配向への可動ディスプレイ(401)の移動が阻止される。したがって、可動ディスプレイ(401)は、
図15Eに示される配向と
図15Gに示される配向との間でのみ移行することができる。ジョイント(405)のいくつかの変形例は、単軸ジョイントとすることができ、第1の軸(406)を中心とする枢動移動のみを可能にし、一方で、可動ディスプレイ(401)の第2の軸(407)を中心とする移動を阻止する。これらのジョイント(405)の変形例では、可動ディスプレイ(401)は、一般に、
図15Eから
図15F、
図15Gへと枢動して戻る。
【0070】
図16A及び
図16Bに示されるように、ハンドルアセンブリ(11)は、可動ディスプレイ(501)を含むことができる。可動ディスプレイ(401)と同様に、可動ディスプレイ(501)は、一般に、ハンドルアセンブリ(11)の近位端部に位置付けられており、また、筐体(503)内にあり、かつジョイント(505)によりハンドルアセンブリ(11)の筐体(12)と連結されたディスプレイ部分(502)を含む。ジョイント(505)の配向及び移動範囲は、ディスプレイ部分(502)がハンドルアセンブリ(11)の近位部分を越えて移動してその後方に当接するように折り畳むことをジョイント(505)が阻止するという点で、ジョイント(405)と異なる。これらの制限内で、ジョイント(505)は、可動ディスプレイ(501)が、ハンドルアセンブリ(11)の長手方向軸(513)に対して略直交して配向された第1の軸(509)を中心に移動することを可能にする。ジョイント(505)はまた、可動ディスプレイ(501)が、長手方向軸(513)と略同一平面上に、かつハンドルアセンブリ(11)の長手方向軸に対して直角に配向された第2の軸(511)を中心に移動することも可能にする。
【0071】
図16Bに示されるように、ディスプレイ部分(502)は、第1の軸(509)を中心に矢印Gの方向に移動可能であり、かつ第2の軸(511)を中心に矢印Hの方向に移動可能である。しかしながら、ジョイント(505)の配置及び構成のため、ディスプレイ部分(502)は、ハンドルアセンブリ(11)の主平面と略水平を越えて移動することが阻止される。ハンドルアセンブリ(11)のいくつかの変形例では、電池パック(110)は、電池区画(507)内に取り外し可能に配置され、したがって、ユーザが電池区画(507)をディスプレイ部分(502)で覆うことを阻止することが望ましい場合がある。したがって、ユーザが、ディスプレイ部分(502)を、電池区画(507)と重なった関係に移動させることを阻止する。
【0072】
B.例示的な枢動ディスプレイ
図17A~
図21に示されるように、ハンドルアセンブリ(11)は、可動ディスプレイ(401、501)を用いて例示されるような二軸の角度的な移動ではなく、単軸の角度的な移動を有するディスプレイを含むことができる。
【0073】
可動ディスプレイ(601)を
図17A及び
図17Bに示す。可動ディスプレイ(601)は、一般に、ハンドルアセンブリ(11)の近位端部に位置付けられており、また、枢動ジョイント(605)によりハンドルアセンブリ(11)の筐体(12)と連結されたディスプレイ部分(602)を含む。ディスプレイ部分(602)は、筐体(603)内に、グラフィカルユーザインターフェース(116)などのディスプレイを含む。枢動ジョイント(605)は、ディスプレイ部分(602)を軸(611)を中心にハンドルアセンブリ(11)に対して枢動させて、ディスプレイ部分(602)を
図17Bの矢印Iに沿ってユーザが所望する任意の位置に位置付けることを可能にする。枢動ジョイント(605)は、ディスプレイ部分(602)によって画定されたチャネル(図示せず)内に配置されたピン(607)と、並びに一対のブラケット(609)によって画定され、かつチャネルと略整列されて、ディスプレイ部分(602)をピン(607)を中心に回転することを可能にする一対の凹部(図示せず)と、を含む。
【0074】
図18~
図19Cは、以下、可動ディスプレイ(701)と称される、ハンドルアセンブリ(11)に対して枢動可能な別の可動ディスプレイを例示する。可動ディスプレイ(701)は、2つのブラケット(609)の間に配置されたピン(607)を有する枢動ジョイント(605)ではなく、ガイド付きスライド機構(705)を含む。ガイド付きスライド機構(705)は、第1の位置(P1)(
図19Aに示される)と、第2の位置(P2)(
図19Bに示される)と、第3の位置(P3)(
図19Cに示される)との間の、及びこれらの間の任意の中間位置の間の、ディスプレイ部分(702)のスライド枢動を容易にする。
【0075】
ガイド付きスライド機構は、第1のピボット接続部(709)によりディスプレイ部分(702)の各側部に接続された一対のディスプレイアーム(707)を含む。第1のピボット接続部(709)は、ディスプレイアーム(707)及びディスプレイ部分(702)を必要に応じて移動させて、ディスプレイ部分(702)を第1の位置(P1)と第3の位置(P3)との間で移動させることを可能にする、任意の要素とすることができる。各回転アーム(707)は、第2のピボット接続部(711)によりハンドルアセンブリ(11)に接続される。第2のピボット接続部(711)は、ディスプレイアーム(707)及びディスプレイ部分(702)を必要に応じて移動させて、ディスプレイ部分(702)を第1の位置(P1)と第3の位置(P3)との間で移動させることを可能にする、任意の要素とすることができる。
図19A~
図19Cに示されるように、ガイド付きスライド機構(705)は、ディスプレイ部分(702)が第1の位置(P1)と、第2の位置(P2)と、第3の位置(P3)との間で移動させることを可能にして、ユーザが、ディスプレイ部分(702)を
図19Aに示されるようなハンドルアセンブリ(11)の頂部と、
図19Cに示されるようなハンドルアセンブリの最近位端部との間の任意の場所に位置付けることを可能にする。
【0076】
可動ディスプレイ(701)のいくつかの変形例は、ユーザがディスプレイアーム(707)を予め選択された配向にロックすることを可能にするために、ロック機構(713)を含むことができる。
図20A及び
図20Bに示されるように、ロック機構(713)は、ボタンロックに類似し得、それによって、ばね装填ボタン(715)が、ハンドルアセンブリ(11)に面するディスプレイアーム(707)の一方又は両方に配置される。一連の相補的なボタン凹部(717)は、特定の凹部(717)がボタン(715)で整列されたときに、ボタン(715)の弓形経路に沿って整列され、ボタン(715)を弓形経路内で受容するように構成される。整列に応じて、ボタン(715)を凹部(717)に押し込み、ガイド付き機構(705)を特定の凹部(717)と関連付けられた特定の傾斜位置に固定する。例えば、ユーザがディスプレイ部分(702)を第1の位置(P1)に固定することを望む場合、ユーザは、ボタン(715)が凹部(717A)に押し込まれるまでディスプレイ部分(702)を回転させる。ユーザがディスプレイ部分(702)を第2の位置(P2)に固定することを望む場合、ユーザは、ボタン(715)が凹部(717B)に押し込まれるまでディスプレイ部分(702)を回転させる。ユーザがディスプレイ部分(702)を第3の位置(P3)に固定することを望む場合、ユーザは、ボタン(715)が凹部(717C)に押し込まれるまでディスプレイ部分(702)を回転させる。
【0077】
図21に示されるように、ロック機構(713)は、磁気ロックに類似し得、それによって、一連の磁石(719)が、ディスプレイアーム(707)の弓形経路に沿ってハンドルアセンブリ(11)に配置される。この構成では、ディスプレイアーム(707)は、強磁性材料で構成され、したがって、ディスプレイアーム(707)が強磁性材料の上を通過するときに磁石(719)に引き付けられる。
【0078】
例えば、ユーザがディスプレイ部分(702)を第1の位置(P1)に固定することを望む場合、ユーザは、ディスプレイアーム(707)が磁石(719A)によって磁気的に引き付けられて、略静止状態を保持するまでディスプレイ部分(702)を回転させる。ユーザがディスプレイ部分(702)を第2の位置(P2)に固定することを望む場合、ユーザは、ディスプレイアーム(707)が磁石(719B)によって磁気的に引き付けられて、略静止状態を保持するまでディスプレイ部分(702)を回転させる。ユーザがディスプレイ部分(702)を第3の位置(P3)に固定することを望む場合、ユーザは、ディスプレイアーム(707)が磁石(719C)によって磁気的に引き付けられて、略静止状態を保持するまでディスプレイ部分(702)を回転させる。
【0079】
IV.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の出願におけるどの時点でも提示され得る、いずれの特許請求の範囲の適用範囲をも限定することを目的としたものではないと理解されよう。一切の棄権を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものにすぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で配置及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形形態では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者ら又は本発明者らの利益の継承者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとして見なされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む特許請求の範囲が本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、それらの更なる特徴は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例0080】
外科用器具であって、(a)遠位端部から近位端部まで延在するハンドルアセンブリと、(b)ハンドルアセンブリに配置されたグラフィカルユーザインターフェースと、(c)一次回路であって、グラフィカルユーザインターフェースを駆動するように動作可能である、一次回路と、(d)第1の電源であって、電力をグラフィカルユーザインターフェースに提供するように構成される、第1の電源と、(e)ハンドルアセンブリに配置され、かつ一次電源の電力レベルを表示するように動作可能な寿命ディスプレイと、(f)二次回路であって、二次回路が、寿命ディスプレイを駆動するように動作可能であり、二次回路が、一次回路とは別体であり、二次回路が、寿命ディスプレイを駆動するために、グラフィカルユーザインターフェースを駆動するために第1の電源によって必要とされる電力量よりも少ない電力を取り出すように構成される、二次回路と、を備える、外科用器具。