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特開2023-16863メタン細菌に起因または関連する疾患および状態を診断、選択、および処置する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016863
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】メタン細菌に起因または関連する疾患および状態を診断、選択、および処置する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20230126BHJP
   A61K 35/74 20150101ALI20230126BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20230126BHJP
   A61P 1/10 20060101ALI20230126BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230126BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230126BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20230126BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230126BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 31/4188 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 31/7036 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 31/4164 20060101ALI20230126BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 31/505 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 31/366 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 31/404 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 31/40 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 31/47 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 31/22 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 31/7034 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 31/445 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 31/195 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 31/155 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 31/4453 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 31/64 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20230126BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20230126BHJP
   A23L 33/20 20160101ALI20230126BHJP
   C12N 9/99 20060101ALI20230126BHJP
   C12Q 1/06 20060101ALI20230126BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20230126BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALI20230126BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20230126BHJP
【FI】
A61K45/00
A61K35/74 A
A61P3/04
A61P1/10
A61P1/16
A61P3/10
A61P3/06
A61P1/04
A61P3/02
A61K31/4188
A61K31/7036
A61K38/02
A61K31/4164
A61P43/00 111
A61K31/505
A61K31/366
A61K31/404
A61K31/40
A61K31/47
A61K31/22
A61K31/137
A61K31/7048
A61K31/454
A61K31/7034
A61K31/445
A61K31/195
A61K31/155
A61K31/522
A61K31/4985
A61K31/198
A61K31/4453
A61K31/64
A61K31/517
A61K31/4439
A61K31/352
A23L33/20 ZNA
C12N9/99
C12Q1/06
C12Q1/686 Z
C12Q1/6851 Z
A23L33/135
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186170
(22)【出願日】2022-11-22
(62)【分割の表示】P 2018176869の分割
【原出願日】2014-03-14
(31)【優先権主張番号】61/792,687
(32)【優先日】2013-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/831,498
(32)【優先日】2013-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/912,297
(32)【優先日】2013-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/931,498
(32)【優先日】2014-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514135801
【氏名又は名称】シーダーズ-サイナイ メディカル センター
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ピメンテル マーク
(72)【発明者】
【氏名】マトゥル ルチ
(72)【発明者】
【氏名】チャン クリストファー
(57)【要約】
【課題】高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有するか、または有することが疑われる対象を処置する方法の提供。
【解決手段】第1の療法が参照値よりも高いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、前記参照値よりも高いメタン細菌量を有するか、もしくは有すると決定された対象に前記第1の療法を施すか、または第2の療法が前記参照値よりも低いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、前記参照値よりも低いメタン細菌量を有するか、もしくは有すると決定された対象に前記第2の療法を施すことを含む、前記方法。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有するか、または有することが疑われる対象を処置する方法であって、
第1の療法が参照値よりも高いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、前記参照値よりも高いメタン細菌量を有するか、もしくは有すると決定された対象に前記第1の療法を施すか、または
第2の療法が前記参照値よりも低いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、前記参照値よりも低いメタン細菌量を有するか、もしくは有すると決定された対象に前記第2の療法を施すことを含む、前記方法。
【請求項2】
高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有するか、または有することが疑われる対象を識別することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象が高いメタン細菌量を有すると決定されている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記対象が低いメタン細菌量を有すると決定されている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記対象が高いメタン細菌栄養共生微生物量を有するか、または有すると決定されている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記メタン細菌栄養共生微生物が水素生成微生物である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記メタン細菌栄養共生微生物の増殖を阻害する第3の療法を選択または指示することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第3の療法を施すことをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記高いメタン細菌量を有することに起因または関連する疾患または状態が、肥満、便秘、脂肪肝(NASH)、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記高いメタン細菌量を有することに起因または関連する疾患または状態が、高脂血症または高コレステロールである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
低いメタン細菌量を有することに起因または関連する前記疾患または状態が、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、栄養不良、吸収不良、または再栄養症候群である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記メタン細菌がメタノブレビバクター属からのものである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記メタノブレビバクターが、M.acididurans、M.arboriphilus、M.curvatus、M.cuticularis、M.filiformis、M.gottschalkii、M.millerae、M.olleyae、M.oralis、M.ruminantium、M.smithii、M.thaueri、M.woesei、M.wolinii、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記メタノブレビバクターがMethanobrevibacter smithii(M.Smithii)である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の療法が、1種の抗生物質または2種以上の抗生物質の組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記抗生物質または前記2種以上の抗生物質の組み合わせが、リファキシミン、ネオマイシン、バンコマイシン、およびメトロニダゾールからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記抗生物質がリファキシミンである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記抗生物質がネオマイシンである、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記抗生物質がバンコマイシンである、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記抗生物質がメトロニダゾールである、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記2種以上の抗生物質の組み合わせが、リファキシミンおよびネオマイシン、またはリファキシミンおよびメトロニダゾールである、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の療法が、前記メタン細菌の増殖を阻害することができるプロバイオティクスである、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の療法が低カロリー食である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の療法が低脂肪食である、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の療法が成分栄養剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の療法がスタチンである、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記スタチンが、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記疾患または状態が肥満であり、前記第1の療法が抗肥満薬である、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記抗肥満薬が、フェンテルミン、フェンテルミン/トピラマート、ゼニカル、ロルカセリン、またはリモナバンである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記疾患または状態が、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症からなる群から選択され、前記第1の療法が、アルファ-グルコシダーゼ阻害薬、アミリン類似体、ジペプチジルぺプチダーゼ-4阻害薬、GLP1アゴニスト、メグリチニド、スルホニル尿素、ビグアニド、チアゾリジンジオン(TZD)、インスリン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記アルファ-グルコシダーゼ阻害薬が、アカルボース、ミグリトール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記アミリン類似体がプラムリンチドである、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
ジペプチジルぺプチダーゼ-4阻害薬が、サクサグリプチン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、リナグリプチン、アログリプチン、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記GLP1アゴニストが、リラグルチド、エクセナチド、除放性エクセナチド、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記メグリチニドが、ナテグリニド、レパグリニド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記スルホニル尿素が、クロルプロパミド、グリメピリド、グリピジド、グリブリド、トラザミド、トルブタミド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記ビグアニドが、メトホルミン、リオメット、グルコファージ、徐放性グルコファージ、グルメッツア、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
前記チアゾリジンジオンが、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項39】
前記インスリンが、アスパルト、デテミル、グラルギン、グルリジン、リスプロ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項40】
前記疾患または状態が、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症からなる群から選択され、前記第1の療法が、グリピジド/メトホルミン、グリブリド/メトホルミン、ピオグリタゾン/グリメピリド、ピオグリタゾン/メトホルミン、レパグリニド/メトホルミン、ロシグリタゾン/グリメピリド、ロシグリタゾン/メトホルミン、サクサグリプチン/メトホルミン、シタグリプチン/シンバスタチン、シタグリプチン/メトホルミン、リナグリプチン/メトホルミン、アログリプチン/メトホルミン、アログリプチン/ピオグリタゾン、ブロモクリプチン、ウェルコール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
前記疾患または状態が便秘であり、前記第1の療法が、緩下薬、食事、グアニル酸シクラーゼCアゴニスト、セロトニンアゴニスト、塩素イオンチャネルアゴニスト、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
前記グアニル酸シクラーゼCアゴニストがリナクロチドである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記セロトニンアゴニストが、プルカロプリド、テガセロッド、またはそれらの組み合わせである、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記塩素イオンチャネルアゴニストがルビプロストンである、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記疾患または状態が脂肪肝であり、前記第1の療法がメトホルミンである、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
前記疾患または状態が、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、栄養不良、吸収不良、または再栄養症候群であり、前記第2の療法が、メタン細菌の投与である、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
前記メタン細菌がメタノブレビバクター属からのものである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記メタノブレビバクターが、M.acididurans、M.arboriphilus、M.curvatus、M.cuticularis、M.filiformis、M.gottschalkii、M.millerae、M.olleyae、M.oralis、M.ruminantium、M.smithii、M.thaueri、M.woesei、M.wolinii、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記メタノブレビバクターがMethanobrevibacter smithii(M.Smithii)である、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
対象からの生体試料をメタン細菌量の分析に掛ける工程;
そのメタン細菌量を参照値と比較する工程;および
第1の療法が前記参照値よりも高いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、そのメタン細菌量が前記参照値よりも高ければ、その対象のために前記第1の療法を選択もしくは指示するか、または
第2の療法が前記参照値よりも低いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、そのメタン細菌量が前記参照値よりも低ければ、その対象のために前記第2の療法を選択もしくは指示する工程
を含む方法であって、
前記対象が、高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有するか、または有することが疑われる、前記方法。
【請求項51】
前記生体試料を用意する工程をさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記選択または指示された療法を施す工程をさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記生体試料をメタン細菌栄養共生微生物の量についての分析に掛ける工程をさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記メタン細菌栄養共生微生物が水素生成微生物である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記メタン細菌栄養共生微生物の増殖を阻害する第3の療法を選択または指示する工程をさらに含む、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記第3の療法を施す工程をさらに含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記生体試料が、糞便、胃腸管内の一部位からの粘膜生検、胃腸管内の一部位からの吸引液、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項58】
胃腸管内の前記部位が、口腔、胃、小腸、大腸、肛門、またはそれらの組み合わせである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
胃腸管内の前記部位が、十二指腸、空腸、回腸、またはそれらの組み合わせである、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
胃腸管内の前記部位が、盲腸、結腸、直腸、肛門、またはそれらの組み合わせである、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
胃腸管内の前記部位が、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S字曲、またはそれらの組み合わせである、請求項57に記載の方法。
【請求項62】
メタン細菌量の前記分析が、定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)を使用することによるものである、請求項50に記載の方法。
【請求項63】
高いメタン細菌量を有することに起因または関連する前記疾患または状態が、肥満、便秘、脂肪肝(NASH)、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項64】
高いメタン細菌量を有することに起因または関連する前記疾患または状態が、高脂血症または高コレステロールである、請求項50に記載の方法。
【請求項65】
低いメタン細菌量を有することに起因または関連する前記疾患または状態が、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、栄養不良、吸収不良、または再栄養症候群である、請求項50に記載の方法。
【請求項66】
前記メタン細菌がメタノブレビバクター属からのものである、請求項50に記載の方法。
【請求項67】
前記メタノブレビバクターが、M.acididurans、M.arboriphilus、M.curvatus、M.cuticularis、M.filiformis、M.gottschalkii、M.millerae、M.olleyae、M.oralis、M.ruminantium、M.smithii、M.thaueri、M.woesei、M.wolinii、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記メタノブレビバクターがMethanobrevibacter smithii(M.Smithii)である、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記参照値が、前記生体試料1ml当たり約1,000である、請求項50に記載の方法。
【請求項70】
前記第1の療法が、1種の抗生物質または2種以上の抗生物質の組み合わせである、請求項50に記載の方法。
【請求項71】
前記抗生物質または前記2種以上の抗生物質の組み合わせが、リファキシミン、ネオマイシン、バンコマイシン、およびメトロニダゾールからなる群から選択される、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記抗生物質がリファキシミンである、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記抗生物質がネオマイシンである、請求項70に記載の方法。
【請求項74】
前記抗生物質がバンコマイシンである、請求項70に記載の方法。
【請求項75】
前記抗生物質がメトロニダゾールである、請求項70に記載の方法。
【請求項76】
前記2種以上の抗生物質の組み合わせが、リファキシミンおよびネオマイシン、またはリファキシミンおよびメトロニダゾールである、請求項70に記載の方法。
【請求項77】
前記第1の療法が、前記メタン細菌の増殖を阻害することができるプロバイオティクスである、請求項50に記載の方法。
【請求項78】
前記第1の療法が低カロリー食である、請求項50に記載の方法。
【請求項79】
前記第1の療法が低脂肪食である、請求項50に記載の方法。
【請求項80】
前記第1の療法が成分栄養剤である、請求項50に記載の方法。
【請求項81】
前記第1の療法がスタチンである、請求項50に記載の方法。
【請求項82】
前記スタチンが、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記疾患または状態が肥満であり、前記第1の療法が抗肥満薬である、請求項50に記載の方法。
【請求項84】
前記抗肥満薬が、フェンテルミン、フェンテルミン/トピラマート、ゼニカル、ロルカセリン、またはリモナバンである、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記疾患または状態が、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症からなる群から選択され、前記第1の療法が、アルファ-グルコシダーゼ阻害薬、アミリン類似体、ジペプチジルぺプチダーゼ-4阻害薬、GLP1アゴニスト、メグリチニド、スルホニル尿素、ビグアニド、チアゾリジンジオン(TZD)、インスリン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項86】
前記アルファ-グルコシダーゼ阻害薬が、アカルボース、ミグリトール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記アミリン類似体がプラムリンチドである、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
ジペプチジルぺプチダーゼ-4阻害薬が、サクサグリプチン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、リナグリプチン、アログリプチン、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項85に記載の方法。
【請求項89】
前記GLP1アゴニストが、リラグルチド、エクセナチド、除放性エクセナチド、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項85に記載の方法。
【請求項90】
前記メグリチニドが、ナテグリニド、レパグリニド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項85に記載の方法。
【請求項91】
前記スルホニル尿素が、クロルプロパミド、グリメピリド、グリピジド、グリブリド、トラザミド、トルブタミド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項85に記載の方法。
【請求項92】
前記ビグアニドが、メトホルミン、リオメット、グルコファージ、徐放性グルコファージ、グルメッツア、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項85に記載の方法。
【請求項93】
前記チアゾリジンジオンが、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項85に記載の方法。
【請求項94】
前記インスリンが、アスパルト、デテミル、グラルギン、グルリジン、リスプロ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項85に記載の方法。
【請求項95】
前記疾患または状態が、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症からなる群から選択され、前記第1の療法が、グリピジド/メトホルミン、グリブリド/メトホルミン、ピオグリタゾン/グリメピリド、ピオグリタゾン/メトホルミン、レパグリニド/メトホルミン、ロシグリタゾン/グリメピリド、ロシグリタゾン/メトホルミン、サクサグリプチン/メトホルミン、シタグリプチン/シンバスタチン、シタグリプチン/メトホルミン、リナグリプチン/メトホルミン、アログリプチン/メトホルミン、アログリプチン/ピオグリタゾン、ブロモクリプチン、ウェルコール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項96】
前記疾患または状態が便秘であり、前記第1の療法が、緩下薬、食事、グアニル酸シクラーゼCアゴニスト、セロトニンアゴニスト、塩素イオンチャネルアゴニスト、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項97】
前記グアニル酸シクラーゼCアゴニストがリナクロチドである、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記セロトニンアゴニストが、プルカロプリド、テガセロッド、またはそれらの組み合わせである、請求項96に記載の方法。
【請求項99】
前記塩素イオンチャネルアゴニストがルビプロストンである、請求項96に記載の方法。
【請求項100】
前記疾患または状態が脂肪肝であり、前記第1の療法がメトホルミンである、請求項50に記載の方法。
【請求項101】
前記疾患または状態が、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、栄養不良、吸収不良、または再栄養症候群であり、前記第2の療法がメタン細菌の投与である、請求項50に記載の方法。
【請求項102】
前記メタン細菌がメタノブレビバクター属からのものである、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記メタノブレビバクターが、M.acididurans、M.arboriphilus、M.curvatus、M.cuticularis、M.filiformis、M.gottschalkii、M.millerae、M.olleyae、M.oralis、M.ruminantium、M.smithii、M.thaueri、M.woesei、M.wolinii、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記メタノブレビバクターがMethanobrevibacter smithii(M.Smithii)である、請求項102に記載の方法。
【請求項105】
対象からの生体試料をメタン細菌量の分析に掛ける工程;
そのメタン細菌量を参照値と比較する工程;および
第1の療法が前記参照値よりも高いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、そのメタン細菌量が前記参照値よりも高ければ、その対象のために前記第1の療法を選択もしくは指示するか、または
第2の療法が前記参照値よりも低いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、そのメタン細菌量が前記参照値よりも低ければ、その対象のために前記第2の療法を選択もしくは指示する工程
を含む方法であって、
前記対象が、高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有することに対する罹病性の決定を要望している、
前記方法。
【請求項106】
前記生体試料を用意する工程をさらに含む、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記選択または指示された療法を施す工程をさらに含む、請求項105に記載の方法。
【請求項108】
前記生体試料を、メタン細菌栄養共生微生物の量についての分析に掛ける工程をさらに含む、請求項105に記載の方法。
【請求項109】
前記メタン細菌栄養共生微生物が水素生成微生物である、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記メタン細菌栄養共生微生物の増殖を阻害する第3の療法を選択または指示する工程をさらに含む、請求項108に記載の方法。
【請求項111】
前記第3の療法を施す工程をさらに含む、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記生体試料が、糞便、胃腸管内の一部位からの粘膜生検、胃腸管内の一部位からの吸引液、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項105に記載の方法。
【請求項113】
胃腸管内の前記部位が、口腔、胃、小腸、大腸、肛門、またはそれらの組み合わせである、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
胃腸管内の前記部位が、十二指腸、空腸、回腸、またはそれらの組み合わせである、請求項112に記載の方法。
【請求項115】
胃腸管内の前記部位が、盲腸、結腸、直腸、肛門、またはそれらの組み合わせである、請求項112に記載の方法。
【請求項116】
胃腸管内の前記部位が、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S字曲、またはそれらの組み合わせである、請求項112に記載の方法。
【請求項117】
メタン細菌量の前記分析が、定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)を使用することによるものである、請求項105に記載の方法。
【請求項118】
高いメタン細菌量を有することに起因または関連する前記疾患または状態が、肥満、便秘、脂肪肝(NASH)、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症、高脂血症、高コレステロール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項105に記載の方法。
【請求項119】
低いメタン細菌量を有することに起因または関連する前記疾患または状態が、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、栄養不良、吸収不良、または再栄養症候群である、請求項105に記載の方法。
【請求項120】
前記メタン細菌がメタノブレビバクター属からのものである、請求項105に記載の方法。
【請求項121】
前記メタノブレビバクターが、M.acididurans、M.arboriphilus、M.curvatus、M.cuticularis、M.filiformis、M.gottschalkii、M.millerae、M.olleyae、M.oralis、M.ruminantium、M.smithii、M.thaueri、M.woesei、M.wolinii、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記メタノブレビバクターがMethanobrevibacter smithii(M.Smithii)である、請求項120に記載の方法。
【請求項123】
前記参照値が、前記生体試料1ml当たり約1,000である、請求項105に記載の方法。
【請求項124】
前記第1の療法が、1種の抗生物質または2種以上の抗生物質の組み合わせである、請求項105に記載の方法。
【請求項125】
前記抗生物質または前記2種以上の抗生物質の組み合わせが、リファキシミン、ネオマイシン、バンコマイシン、およびメトロニダゾールからなる群から選択される、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記抗生物質がリファキシミンである、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記抗生物質がネオマイシンである、請求項125に記載の方法。
【請求項128】
前記抗生物質がバンコマイシンである、請求項125に記載の方法。
【請求項129】
前記抗生物質がメトロニダゾールである、請求項125に記載の方法。
【請求項130】
前記2種以上の抗生物質の組み合わせが、リファキシミンおよびネオマイシン、またはリファキシミンおよびメトロニダゾールである、請求項125に記載の方法。
【請求項131】
前記第1の療法が、前記メタン細菌の増殖を阻害することができるプロバイオティクスである、請求項105に記載の方法。
【請求項132】
前記第1の療法が低カロリー食である、請求項105に記載の方法。
【請求項133】
前記第1の療法が低脂肪食である、請求項105に記載の方法。
【請求項134】
前記第1の療法が成分栄養剤である、請求項105に記載の方法。
【請求項135】
前記第1の療法がスタチンである、請求項105に記載の方法。
【請求項136】
前記スタチンが、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項135に記載の方法。
【請求項137】
前記疾患または状態が肥満であり、前記第1の療法が抗肥満薬である、請求項105に記載の方法。
【請求項138】
前記抗肥満薬が、フェンテルミン、フェンテルミン/トピラマート、ゼニカル、ロルカセリン、またはリモナバンである、請求項137に記載の方法。
【請求項139】
前記疾患または状態が、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症からなる群から選択され、前記第1の療法が、アルファ-グルコシダーゼ阻害薬、アミリン類似体、ジペプチジルぺプチダーゼ-4阻害薬、GLP1アゴニスト、メグリチニド、スルホニル尿素、ビグアニド、チアゾリジンジオン(TZD)、インスリン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項105に記載の方法。
【請求項140】
前記アルファ-グルコシダーゼ阻害薬が、アカルボース、ミグリトール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
前記アミリン類似体がプラムリンチドである、請求項139に記載の方法。
【請求項142】
ジペプチジルぺプチダーゼ-4阻害薬が、サクサグリプチン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、リナグリプチン、アログリプチン、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項139に記載の方法。
【請求項143】
前記GLP1アゴニストが、リラグルチド、エクセナチド、除放性エクセナチド、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項139に記載の方法。
【請求項144】
前記メグリチニドが、ナテグリニド、レパグリニド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項139に記載の方法。
【請求項145】
前記スルホニル尿素が、クロルプロパミド、グリメピリド、グリピジド、グリブリド、トラザミド、トルブタミド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項139に記載の方法。
【請求項146】
前記ビグアニドが、メトホルミン、リオメット、グルコファージ、徐放性グルコファージ、グルメッツア、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項139に記載の方法。
【請求項147】
前記チアゾリジンジオンが、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項139に記載の方法。
【請求項148】
前記インスリンが、アスパルト、デテミル、グラルギン、グルリジン、リスプロ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項139に記載の方法。
【請求項149】
前記疾患または状態が、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症からなる群から選択され、前記第1の療法が、グリピジド/メトホルミン、グリブリド/メトホルミン、ピオグリタゾン/グリメピリド、ピオグリタゾン/メトホルミン、レパグリニド/メトホルミン、ロシグリタゾン/グリメピリド、ロシグリタゾン/メトホルミン、サクサグリプチン/メトホルミン、シタグリプチン/シンバスタチン、シタグリプチン/メトホルミン、リナグリプチン/メトホルミン、アログリプチン/メトホルミン、アログリプチン/ピオグリタゾン、ブロモクリプチン、ウェルコール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項105に記載の方法。
【請求項150】
前記疾患または状態が便秘であり、前記第1の療法が、緩下薬、食事、グアニル酸シクラーゼCアゴニスト、セロトニンアゴニスト、塩素イオンチャネルアゴニスト、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項105に記載の方法。
【請求項151】
前記グアニル酸シクラーゼCアゴニストがリナクロチドである、請求項150に記載の方法。
【請求項152】
前記セロトニンアゴニストが、プルカロプリド、テガセロッド、またはそれらの組み合わせである、請求項150に記載の方法。
【請求項153】
前記塩素イオンチャネルアゴニストがルビプロストンである、請求項150に記載の方法。
【請求項154】
前記疾患または状態が脂肪肝であり、前記第1の療法がメトホルミンである、請求項105に記載の方法。
【請求項155】
前記疾患または状態が、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、栄養不良、吸収不良、または再栄養症候群であり、前記第2の療法がメタン細菌の投与である、請求項105に記載の方法。
【請求項156】
前記メタン細菌がメタノブレビバクター属からのものである、請求項155に記載の方法。
【請求項157】
前記メタノブレビバクターが、M.acididurans、M.arboriphilus、M.curvatus、M.cuticularis、M.filiformis、M.gottschalkii、M.millerae、M.olleyae、M.oralis、M.ruminantium、M.smithii、M.thaueri、M.woesei、M.wolinii、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項156に記載の方法。
【請求項158】
前記メタノブレビバクターがMethanobrevibacter smithii(M.Smithii)である、請求項156に記載の方法。
【請求項159】
対象からの呼気試料をメタン量および水素量についての分析に掛ける工程;
前記メタン量および水素量を、メタン参照値および水素参照値と比較する工程;ならびに
第1の療法が、前記メタン参照値および前記水素参照値よりも高いメタン量および水素量を有する対象に適しているという認識に基づき、そのメタン量が前記メタン参照値よりも高く、呼気検査中の90分目もしくは90分目以前の水素量が前記水素参照値よりも高ければ、その対象のために前記第1の療法を選択もしくは指示するか、または
第2の療法が、前記メタン参照値および前記水素参照値よりも低いメタン量および水素量を有する対象に適しているという認識に基づき、そのメタン量および水素量が前記メタン参照値および前記水素参照値よりも低ければ、その対象のために前記第2の療法を選択もしくは指示する工程
を含む方法であって、
前記対象が、高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有するか、または有することが疑われる、
前記方法。
【請求項160】
前記呼気試料を用意する工程をさらに含む、請求項159に記載の方法。
【請求項161】
前記選択または指示された療法を施す工程をさらに含む、請求項159に記載の方法。
【請求項162】
前記メタン細菌栄養共生微生物の増殖を阻害する第3の療法を選択または指示する工程をさらに含む、請求項159に記載の方法。
【請求項163】
前記第3の療法を施す工程をさらに含む、請求項162に記載の方法。
【請求項164】
高いメタン細菌量を有することに起因または関連する前記疾患または状態が、肥満、便秘、脂肪肝(NASH)、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症、高脂血症、高コレステロール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項159に記載の方法。
【請求項165】
高いメタン細菌量を有することに起因または関連する前記疾患または状態が肥満である、請求項159に記載の方法。
【請求項166】
低いメタン細菌量を有することに起因または関連する前記疾患または状態が、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、栄養不良、吸収不良、または再栄養症候群である、請求項159に記載の方法。
【請求項167】
前記メタン細菌がメタノブレビバクター属からのものである、請求項159に記載の方法。
【請求項168】
前記メタノブレビバクターが、M.acididurans、M.arboriphilus、M.curvatus、M.cuticularis、M.filiformis、M.gottschalkii、M.millerae、M.olleyae、M.oralis、M.ruminantium、M.smithii、M.thaueri、M.woesei、M.wolinii、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項167に記載の方法。
【請求項169】
前記メタノブレビバクターがMethanobrevibacter smithii(M.Smithii)である、請求項167に記載の方法。
【請求項170】
前記メタン参照値が約3ppmであり、前記水素参照値が約20ppmである、請求項159に記載の方法。
【請求項171】
前記第1の療法が、1種の抗生物質または2種以上の抗生物質の組み合わせである、請求項159に記載の方法。
【請求項172】
前記抗生物質または前記2種以上の抗生物質の組み合わせが、リファキシミン、ネオマイシン、バンコマイシン、およびメトロニダゾールからなる群から選択される、請求項171に記載の方法。
【請求項173】
前記抗生物質がリファキシミンである、請求項171に記載の方法。
【請求項174】
前記抗生物質がネオマイシンである、請求項171に記載の方法。
【請求項175】
前記抗生物質がバンコマイシンである、請求項171に記載の方法。
【請求項176】
前記抗生物質がメトロニダゾールである、請求項171に記載の方法。
【請求項177】
前記2種以上の抗生物質の組み合わせが、リファキシミンおよびネオマイシン、またはリファキシミンおよびメトロニダゾールである、請求項171に記載の方法。
【請求項178】
前記第1の療法が、前記メタン細菌の増殖を阻害することができるプロバイオティクスである、請求項159に記載の方法。
【請求項179】
前記第1の療法が低カロリー食である、請求項159に記載の方法。
【請求項180】
前記第1の療法が低脂肪食である、請求項159に記載の方法。
【請求項181】
前記第1の療法が成分栄養剤である、請求項159に記載の方法。
【請求項182】
前記第1の療法がスタチンである、請求項159に記載の方法。
【請求項183】
前記スタチンが、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項182に記載の方法。
【請求項184】
前記疾患または状態が肥満であり、前記第1の療法が抗肥満薬である、請求項159に記載の方法。
【請求項185】
前記抗肥満薬が、フェンテルミン、フェンテルミン/トピラマート、ゼニカル、ロルカセリン、またはリモナバンである、請求項184に記載の方法。
【請求項186】
前記疾患または状態が、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症、高脂血症および高コレステロールからなる群から選択され、前記第1の療法が、アルファ-グルコシダーゼ阻害薬、アミリン類似体、ジペプチジルぺプチダーゼ-4阻害薬、GLP1アゴニスト、メグリチニド、スルホニル尿素、ビグアニド、チアゾリジンジオン(TZD)、インスリン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項159に記載の方法。
【請求項187】
前記アルファ-グルコシダーゼ阻害薬が、アカルボース、ミグリトール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項186に記載の方法。
【請求項188】
前記アミリン類似体がプラムリンチドである、請求項186に記載の方法。
【請求項189】
ジペプチジルぺプチダーゼ-4阻害薬が、サクサグリプチン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、リナグリプチン、アログリプチン、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項186に記載の方法。
【請求項190】
前記GLP1アゴニストが、リラグルチド、エクセナチド、除放性エクセナチド、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項186に記載の方法。
【請求項191】
前記メグリチニドが、ナテグリニド、レパグリニド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項186に記載の方法。
【請求項192】
前記スルホニル尿素が、クロルプロパミド、グリメピリド、グリピジド、グリブリド、トラザミド、トルブタミド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項186に記載の方法。
【請求項193】
前記ビグアニドが、メトホルミン、リオメット、グルコファージ、徐放性グルコファージ、グルメッツア、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項186に記載の方法。
【請求項194】
前記チアゾリジンジオンが、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項186に記載の方法。
【請求項195】
前記インスリンが、アスパルト、デテミル、グラルギン、グルリジン、リスプロ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項186に記載の方法。
【請求項196】
前記疾患または状態が、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症からなる群から選択され、前記第1の療法が、グリピジド/メトホルミン、グリブリド/メトホルミン、ピオグリタゾン/グリメピリド、ピオグリタゾン/メトホルミン、レパグリニド/メトホルミン、ロシグリタゾン/グリメピリド、ロシグリタゾン/メトホルミン、サクサグリプチン/メトホルミン、シタグリプチン/シンバスタチン、シタグリプチン/メトホルミン、リナグリプチン/メトホルミン、アログリプチン/メトホルミン、アログリプチン/ピオグリタゾン、ブロモクリプチン、ウェルコール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項159に記載の方法。
【請求項197】
前記疾患または状態が便秘であり、前記第1の療法が、緩下薬、食事、グアニル酸シクラーゼCアゴニスト、セロトニンアゴニスト、塩素イオンチャネルアゴニスト、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項159に記載の方法。
【請求項198】
前記グアニル酸シクラーゼCアゴニストがリナクロチドである、請求項197に記載の方法。
【請求項199】
前記セロトニンアゴニストが、プルカロプリド、テガセロッド、またはそれらの組み合わせである、請求項96に記載の方法。
【請求項200】
前記塩素イオンチャネルアゴニストがルビプロストンである、請求項197に記載の方法。
【請求項201】
前記疾患または状態が脂肪肝であり、前記第1の療法がメトホルミンである、請求項159に記載の方法。
【請求項202】
前記疾患または状態が、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、栄養不良、吸収不良、または再栄養症候群であり、前記第2の療法がメタン細菌の投与である、請求項159に記載の方法。
【請求項203】
前記メタン細菌がメタノブレビバクター属からのものである、請求項202に記載の方法。
【請求項204】
前記メタノブレビバクターが、M.acididurans、M.arboriphilus、M.curvatus、M.cuticularis、M.filiformis、M.gottschalkii、M.millerae、M.olleyae、M.oralis、M.ruminantium、M.smithii、M.thaueri、M.woesei、M.wolinii、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項203に記載の方法。
【請求項205】
前記メタノブレビバクターがMethanobrevibacter smithii(M.Smithii)である、請求項203に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
それぞれ個別の公報または特許出願が具体的、かつ個別に、参照により本明細書に組み込まれると示されている場合と同様に、本明細書に記載のすべての公報は、参照により本明細書に組み込まれる。次の説明は、本発明を理解する際に有用であり得る情報を含む。本明細書において提示する情報のいずれも、本明細書において請求する発明の先行技術である、もしくはそれに関連するとは認められず、または具体的に、もしくは暗に参照される公報のいずれも、先行技術であるとは認められない。
【0002】
ヒト胃腸(GI)管は、非常に多数の微生物のための宿主であり、これらには、古細菌、細菌、および真核生物が含まれる。今日までに、少なくとも70門の細菌および13門の古細菌が同定されており、それらの集合ゲノム(ミクロビオーム)は、ヒトゲノムよりも100倍多い遺伝子を含むと考えられている(A1、A2)。消化管内の微生物の組成および数は、多くの因子に依存しているが(A3、A4)、たいていのヒトは、成人期までに、所与の個体に特有の微生物の種類および数の確立された相対的に安定なバランスを達成する(A5)。この微生物コミュニティーは、吸収のために食物を分解し、排泄する際に宿主を支援するなど(A7)、共存に好ましい共生関係を樹立することによって、宿主と共に発達すると考えられる(A3、A6)。ヒト宿主に対するこれらの腸管内微生物の甚大な影響を解明するには数年かかるであろうが、腸管内微生物とヒト宿主との間の複雑で、多くの場合に相互依存的な関係は、この十年で科学的重要性を高めており、その重要性は大きくなり続けている。特に、エネルギーホメオスターシス、炎症、およびインスリン抵抗性における腸管内微生物の潜在的な役割を示唆する証拠は、十分で、かつ増え続けており(A8~A10)、結果として、腸管内微生物は、代謝状態および肥満の予想原因因子、さらには、潜在的な治療ターゲットとして考えられている(A11~A15)。
【0003】
メタン細菌は、ヒト腸管でコロニー形成する腸管内微生物相の重要な構成要素である。これらの生物は細菌ではなく、古細菌であり、水素および二酸化炭素(栄養共生水素生成菌からの)を利用することによってメタンを生成する[10]。数十年前に、MillerおよびWolinが、9名の成人の糞便試料から、Methanobrevibacter smithiiと形態学的および生理学的に類似したメタン細菌を単離し、増菌培養によって、メタン生成を実証した。免疫学的方法によって検査すると、これらの分離株は、M.smithiiに非常に密接に関連し、メタノバクテリウム科の他のメンバーとは関連がないか、または関連が不十分であった[11]。同じ形態学的および免疫学的技術を利用して、Weaverらは、S状結腸鏡検査前の対象の70%の水道水浣腸剤試料において、M.smithiiを検出した。呼気分析を受けたこれらの患者の少人数のサブセットは、>6百万分率(ppm)の検出可能な呼気メタンを得るためには、少なくとも2×10メタン細菌/糞便乾燥重量gmを必要とした[12]。しかしながら、これらの研究は、IBSを有する対象を検査しておらず、PCRなどの分子技術を使用して複製していない。
【0004】
この異質な群は主に、嫌気性条件下で増殖し、発酵の副産物としてメタン(CH)を生成する。メタン細菌は、メタンを生成するための基質として水素およびアンモニアを捕捉するので(A17、A18)、その代謝が他の腸管内微生物からの産物の存在下で増大することにおいて独得である(A16)。全身循環に吸収されると、メタンは、肺を介して排出される。ヒト腸管内で見出されるメタン細菌の大部分は、メタノブレビバクター属からのものであり;主に、Methanobrevibacter smithii(A7)である。M.smithiiは、ヒト対象の70%において見出され、ラクツロース呼気検査による呼気中メタンの分析は、メタン生成の間接的な測定として役立ち得る(A7、A19)。対象のうちの少数(15%)は、呼気検査において早期に大量のメタンを生成し、これは、より大量のメタンの可能性(A20)を示唆しており、呼気検査におけるメタン生成の増大は、定量PCR(qPCR)によって決定されるとおり、糞便中のM.smithiiのレベルの増大に相関する(A20、A21)。
【0005】
バクテロイド種(Bacteroides thetaiotaomicron)およびM.smithiiの両方を無菌マウスに導入すると、B.thetaiotaomicronのみよりも、体重が多くなり(A22)、かつメタン細菌は、無菌マウスの結腸管内でポリフルクトース含有グリカンを消化する多糖代謝性細菌(polysaccharide-metabolizing bacteria)の能力を増大させることが示されており(A22)、これらは、メタン細菌がカロリー回収において役割を有し得ることを示唆している。本発明者らは最近、ヒトにおいて、呼気検査でのメタンの増大は、正常な個体群および肥満対象の両方において、より高い平均BMIと関連していることを見出した。肥満個体群では、メタンは、非メタン対照(P<0.05)と比較して、顕著な6.7kg/m2超のBMIと関連した(A23)。これらのデータは、ヒトにおけるカロリー回収および体重増加におけるメタン細菌の役割を示唆している一方で、これは、メタン細菌でのコロニー形成が、今のところ大腸において実証されているだけであるという事実によって脆弱化される。(A24~A26)。
【0006】
したがって、本明細書に記載のとおり、本発明者らは、種々の食事条件下でのラットの体重増加、ならびにGI管におけるM.smithiiコロニー形成の位置および規模を検査および比較した。また、本明細書では、本発明者らが、呼気検査で検出可能なメタンを伴う、および伴わないIBS患者の糞便から、定量ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、ヒト呼気中のメタン生成の決定因子としてのMethanobrevibacter smithiiの重要性を検査することも記載する。
【0007】
肥満は、急速に増大している重大な公衆衛生上の難題であり、冠状動脈疾患、高血圧、卒中、2型糖尿病、ある種の癌、および若年死の危険性の増大に関連する(B1、B2)。肥満の発生の一因となる機構を解明することは、予防手法の規定にとって中心的である。腸管内細菌叢と代謝との間の関係を規定する研究が始まっている(B3~B5)。相対的に豊富なバクテロイデス門およびファーミキューテス門の改変が、マウス(B6)およびヒト(B4)の両方における代謝の変化および体重増加に結び付けられている。メタン細菌系古細菌であるMethanobrevibacter smithiiのコロニー形成は、無菌動物において、B thetaiotaomicronのみの感染よりも、体重増加を大きくする(B7)。
【0008】
したがって、メタン細菌の存在、ならびに様々な疾患および状態についてのその原因および/または関連を決定し、いくつかの例を挙げると、肥満、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症、便秘、脂肪肝、脂質異常症(例えば、高脂血症)、高コレステロール、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、栄養不良、吸収不良、および/または再栄養症候群などのそれらの疾患および状態のための適切な処置を選択および/または施す方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
次の実施形態およびその態様を、組成物および方法と併せて説明および例示するが、これらの組成物および方法は、例示かつ実例であって、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【0010】
本発明の様々な実施形態は、高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有するか、または有すると疑われる対象を処置する方法であって、第1の療法が参照値よりも高いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、上記参照値よりも高いメタン細菌量を有するか、もしくは有すると決定された対象に上記第1の療法を施すか、または第2の療法が上記参照値よりも低いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、上記参照値よりも低いメタン細菌量を有するか、もしくは有すると決定された対象に上記第2の療法を施すことを含む方法を提供する。様々な実施形態において、処置される対象は、高いメタン細菌量を有すると決定されている。様々な実施形態において、処置される対象は、低いメタン細菌量を有すると決定されている。
【0011】
様々な実施形態において、上記方法は、高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有するか、または有すると疑われる対象を識別することをさらに含み得る。
【0012】
様々な実施形態において、上記対象は、高いメタン細菌栄養共生微生物量を有するか、または有すると決定されている。様々な実施形態において、上記メタン細菌栄養共生微生物は、水素生成微生物であってよい。様々な実施形態において、上記方法は、メタン細菌栄養共生微生物の増殖を阻害する第3の療法を選択または指示することをさらに含み得る。様々な実施形態において、上記方法は、第3の療法を施すことをさらに含み得る。
【0013】
様々な実施形態において、高いメタン細菌量を有することに起因または関連する疾患または状態は、肥満、便秘、脂肪肝(NASH)、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0014】
様々な実施形態において、高いメタン細菌量を有することに起因または関連する疾患または状態は、高脂血症または高コレステロールであってよい。
【0015】
様々な実施形態において、低いメタン細菌量を有することに起因または関連する疾患または状態は、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、栄養不良、吸収不良、または再栄養症候群であってよい。
【0016】
様々な実施形態において、上記メタン細菌は、メタノブレビバクター属からのものであり得る。様々な実施形態において、上記メタノブレビバクターは、M.acididurans、M.arboriphilus、M.curvatus、M.cuticularis、M.filiformis、M.gottschalkii、M.millerae、M.olleyae、M.oralis、M.ruminanium、M.smithii、M.thaueri、M.woesei、M.wolinii、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。様々な実施形態において、上記メタノブレビバクターは、Methanobrevibacter smithii(M.Smithii)であってよい。
【0017】
様々な実施形態において、上記第1の療法は、1種の抗生物質または2種以上の抗生物質の組み合わせであってよい。様々な実施形態において、上記1種の抗生物質または2種以上の抗生物質の組み合わせは、リファキシミン、ネオマイシン、バンコマイシン、およびメトロニダゾールからなる群から選択され得る。様々な実施形態において、上記抗生物質はリファキシミンであってよい。ある種の実施形態では、上記抗生物質はネオマイシンであってよい。他の実施形態では、上記抗生物質はバンコマイシンであってよい。なお他の実施形態では、上記抗生物質はメトロニダゾールであってよい。様々な実施形態において、2種以上の抗生物質の組み合わせは、リファキシミンおよびネオマイシン、またはリファキシミンおよびメトロニダゾールであってよい。
【0018】
様々な実施形態において、上記第1の療法は、メタン細菌の増殖を阻害することができるプロバイオティクスであってよい。
【0019】
様々な実施形態において、上記第1の療法は、低カロリー食であってよい。
【0020】
様々な実施形態において、上記第1の療法は、低脂肪食であってよい。
【0021】
様々な実施形態において、上記第1の療法は、成分栄養剤であってよい。
【0022】
様々な実施形態において、上記第1の療法は、スタチンであってよい。様々な実施形態において、上記スタチンは、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0023】
様々な実施形態において、上記疾患または状態は肥満であってよく、上記第1の療法は抗肥満薬である。様々な実施形態において、上記抗肥満薬は、フェンテルミン、フェンテルミン/トピラマート、ゼニカル、ロルカセリン、またはリモナバンであってよい。
【0024】
様々な実施形態において、上記疾患または状態は、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症からなる群から選択され得、上記第1の療法は、アルファ-グルコシダーゼ阻害薬、アミリン類似体、ジペプチジルぺプチダーゼ-4阻害薬、GLP1アゴニスト、メグリチニド、スルホニル尿素、ビグアニド、チアゾリジンジオン(TZD)、インスリン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0025】
様々な実施形態において、上記アルファ-グルコシダーゼ阻害薬は、アカルボース、ミグリトール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0026】
様々な実施形態において、アミリン類似体はプラムリンチドであってよい。
【0027】
様々な実施形態において、上記ジペプチジルぺプチダーゼ-4阻害薬は、サクサグリプチン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、リナグリプチン、アログリプチン、またはそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0028】
様々な実施形態において、上記GLP1アゴニストは、リラグルチド、エクセナチド、除放性エクセナチド、またはそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0029】
様々な実施形態において、上記メグリチニドは、ナテグリニド、レパグリニド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0030】
様々な実施形態において、上記スルホニル尿素は、クロルプロパミド、グリメピリド、グリピジド、グリブリド、トラザミド、トルブタミド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0031】
様々な実施形態において、上記ビグアニドは、メトホルミン、リオメット、グルコファージ、徐放性グルコファージ、グルメッツァ(Glumetza)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0032】
様々な実施形態において、上記チアゾリジンジオンは、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0033】
様々な実施形態において、上記インスリンは、アスパルト、デテミル、グラルギン、グルリジン、リスプロ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0034】
様々な実施形態において、上記疾患または状態は、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症からなる群から選択され得、上記第1の療法は、グリピジド/メトホルミン、グリブリド/メトホルミン、ピオグリタゾン/グリメピリド、ピオグリタゾン/メトホルミン、レパグリニド/メトホルミン、ロシグリタゾン/グリメピリド、ロシグリタゾン/メトホルミン、サクサグリプチン/メトホルミン、シタグリプチン/シンバスタチン、シタグリプチン/メトホルミン、リナグリプチン/メトホルミン、アログリプチン/メトホルミン、アログリプチン/ピオグリタゾン、ブロモクリプチン、ウェルコール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0035】
様々な実施形態において、上記疾患または状態は便秘であってよく、上記第1の療法は、緩下薬、食事、グアニル酸シクラーゼCアゴニスト、セロトニンアゴニスト、塩素イオンチャネルアゴニスト、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0036】
様々な実施形態において、上記グアニル酸シクラーゼCアゴニストはリナクロチドであってよい。
【0037】
様々な実施形態において、上記セロトニンアゴニストは、プルカロプリド、テガセロッド、またはそれらの組み合わせであってよい。
【0038】
様々な実施形態において、上記塩素イオンチャネルアゴニストはルビプロストンであってよい。
【0039】
様々な実施形態において、上記疾患または状態は脂肪肝であってよく、上記第1の療法はメトホルミンである。
【0040】
様々な実施形態において、上記疾患または状態は、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、栄養不良、吸収不良、または再栄養症候群であってよく、第2の療法は、メタン細菌の投与である。
【0041】
様々な実施形態において、上記メタン細菌は、メタノブレビバクター属からのものであってよい。様々な実施形態において、上記メタノブレビバクターは、M.acididurans、M.arboriphilus、M.curvatus、M.cuticularis、M.filiformis、M.gottschalkii、M.millerae、M.olleyae、M.oralis、M.ruminantium、M.smithii、M.thaueri、M.woesei、M.wolinii、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。様々な実施形態において、上記メタノブレビバクターは、Methanobrevibacter smithii(M.Smithii)であってよい。
【0042】
本発明の様々な実施形態は、対象からの生体試料をメタン細菌量の分析に掛け;そのメタン細菌量を参照値と比較し;第1の療法が上記参照値よりも高いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、そのメタン細菌量が上記参照値よりも高ければ、その対象のために上記第1の療法を選択もしくは指示するか、または第2の療法が上記参照値よりも低いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、そのメタン細菌量が上記参照値よりも低ければ、その対象のために上記第2の療法を選択もしくは指示することを含む方法であって、上記対象が、高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有するか、または有すると疑われる方法を提供する。
【0043】
本発明の様々な実施形態は、対象からの生体試料をメタン細菌量の分析に掛け;そのメタン細菌量を参照値と比較し;第1の療法が上記参照値よりも高いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、そのメタン細菌量が上記参照値よりも高ければ、その対象のために上記第1の療法を選択もしくは指示するか、または第2の療法が上記参照値よりも低いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、そのメタン細菌量が上記参照値よりも低ければ、その対象のために上記第2の療法を選択もしくは指示する方法であって、上記対象が、高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有することに対する罹病性の決定を要望している方法を提供する。
【0044】
本発明の様々な実施形態は、対象からの呼気試料をメタン量および水素量についての分析に掛け;そのメタン量および水素量をメタン参照値および水素参照値と比較し;第1の療法が、上記メタン参照値および上記水素参照値よりも高いメタン量および水素量を有する対象に適しているという認識に基づき、そのメタン量が上記メタン参照値よりも高く、呼気検査中の90分目もしくは90分目以前の水素量が上記水素参照値よりも高ければ、その対象のために上記第1の療法を選択もしくは指示するか、または第2の療法が、上記メタン参照値および上記水素参照値よりも低いメタン量および水素量を有する対象に適しているという認識に基づき、そのメタン量および水素量が上記メタン参照値および上記水素参照値よりも低ければ、その対象のために上記第2の療法を選択もしくは指示する方法であって、上記対象が、高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有するか、または有すると疑われる方法を提供する。
【0045】
様々な実施形態において、上記方法は、生体試料を用意することをさらに含み得る。様々な実施形態において、上記方法は、呼気試料を用意することをさらに含む。様々な実施形態において、上記方法は、選択された療法を施すことをさらに含み得る。
【0046】
様々な実施形態において、上記方法は、上記生体試料を、メタン細菌栄養共生微生物の量の分析に掛けることをさらに含み得る。様々な実施形態において、上記メタン細菌栄養共生微生物は水素生成微生物であってよい。様々な実施形態において、上記方法は、メタン細菌栄養共生微生物の増殖を阻害する第3の療法を選択または指示することをさらに含み得る。様々な実施形態において、上記方法は、第3の療法を施すことをさらに含み得る。
【0047】
上記方法の様々な実施形態において、上記生体試料は、糞便、胃腸管内の一部位からの粘膜生検、胃腸管内の一部位からの吸引液、またはそれらの組み合わせから選択され得る。上記方法の様々な実施形態において、胃腸管内の上記部位は、口腔、胃、小腸、大腸、肛門、またはそれらの組み合わせであってよい。上記方法の様々な実施形態において、胃腸管内の上記部位は、十二指腸、空腸、回腸、またはそれらの組み合わせであってよい。上記方法の様々な実施形態において、胃腸管内の上記部位は、盲腸、結腸、直腸、肛門、またはそれらの組み合わせであってよい。上記方法の様々な実施形態において、胃腸管内の上記部位は、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S字曲、またはそれらの組み合わせであってよい。
【0048】
上記方法の様々な実施形態において、メタン細菌量の分析は、定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)を使用することによるものであってよい。
【0049】
上記方法の様々な実施形態において、高いメタン細菌量を有することに起因または関連する上記疾患または状態は、肥満、便秘、脂肪肝(NASH)、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症、高脂血症、高コレステロール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0050】
上記方法の様々な実施形態において、低いメタン細菌量を有することに起因または関連する上記疾患または状態は、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、栄養不良、吸収不良、または再栄養症候群であってよい。
【0051】
上記方法の様々な実施形態において、上記メタン細菌は、メタノブレビバクター属からのものであってよい。様々な実施形態において、上記メタノブレビバクターは、M.acididurans、M.arboriphilus、M.curvatus、M.cuticularis、M.filiformis、M.gottschalkii、M.millerae、M.olleyae、M.oralis、M.ruminantium、M.smithii、M.thaueri、M.woesei、M.wolinii、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。様々な実施形態において、上記メタノブレビバクターは、Methanobrevibacter smithii(M.Smithii)であってよい。
【0052】
上記方法の様々な実施形態において、上記参照値は、生体試料1ml当たり約1,000であってよい。ある種の実施形態では、呼気試料を採用する場合、上記メタン参照値は、約3ppmであり、上記水素参照値は、約20ppmである。
【0053】
上記方法の様々な実施形態において、上記第1の療法は、1種の抗生物質または2種以上の抗生物質の組み合わせであってよい。様々な実施形態において、上記抗生物質または上記2種以上の抗生物質の組み合わせは、リファキシミン、ネオマイシン、バンコマイシン、およびメトロニダゾールからなる群から選択され得る。様々な実施形態において、上記抗生物質は、リファキシミンであってよい。様々な実施形態において、上記抗生物質は、ネオマイシンであってよい。様々な実施形態において、上記抗生物質はバンコマイシンであってよい。様々な実施形態において、上記抗生物質はメトロニダゾールであってよい。様々な実施形態において、上記2種以上の抗生物質の組み合わせは、リファキシミンおよびネオマイシン、またはリファキシミンおよびメトロニダゾールであってよい。
【0054】
上記方法の様々な実施形態において、上記第1の療法は、メタン細菌の増殖を阻害することができるプロバイオティクスであってよい。
【0055】
上記方法の様々な実施形態において、上記第1の療法は、低カロリー食であってよい。
【0056】
上記方法の様々な実施形態において、上記第1の療法は、低脂肪食であってよい。
【0057】
上記方法の様々な実施形態において、上記第1の療法は、成分栄養剤であってよい。
【0058】
上記方法の様々な実施形態において、上記第1の療法は、スタチンであってよい。様々な実施形態において、上記スタチンは、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0059】
上記方法の様々な実施形態において、上記疾患または状態は、肥満であり、上記第1の療法は、抗肥満薬であってよい。様々な実施形態において、上記抗肥満薬は、フェンテルミン、フェンテルミン/トピラマート、ゼニカル、ロルカセリン、またはリモナバンであってよい。
【0060】
上記方法の様々な実施形態において、上記疾患または状態は、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症、高脂血症、および高コレステロールからなる群から選択され得、上記第1の療法は、アルファ-グルコシダーゼ阻害薬、アミリン類似体、ジペプチジルぺプチダーゼ-4阻害薬、GLP1アゴニスト、メグリチニド、スルホニル尿素、ビグアニド、チアゾリジンジオン(TZD)、インスリン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。様々な実施形態において、上記アルファ-グルコシダーゼ阻害薬は、アカルボース、ミグリトール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。様々な実施形態において、上記アミリン類似体はプラムリンチドであってよい。様々な実施形態において、上記ジペプチジルぺプチダーゼ-4阻害薬は、サクサグリプチン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、リナグリプチン、アログリプチン、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。様々な実施形態において、上記GLP1アゴニストは、リラグルチド、エクセナチド、除放性エクセナチド、またはそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。様々な実施形態において、上記メグリチニドは、ナテグリニド、レパグリニド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。様々な実施形態において、上記スルホニル尿素は、クロルプロパミド、グリメピリド、グリピジド、グリブリド、トラザミド、トルブタミド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。様々な実施形態において、上記ビグアニドは、メトホルミン、リオメット、グルコファージ、徐放性グルコファージ、グルメッツア、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。様々な実施形態において、上記チアゾリジンジオンは、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。様々な実施形態において、上記インスリンは、アスパルト、デテミル、グラルギン、グルリジン、リスプロ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0061】
上記方法の様々な実施形態において、上記疾患または状態は、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症、高脂血症、および高コレステロールからなる群から選択され得、上記第1の療法は、グリピジド/メトホルミン、グリブリド/メトホルミン、ピオグリタゾン/グリメピリド、ピオグリタゾン/メトホルミン、レパグリニド/メトホルミン、ロシグリタゾン/グリメピリド、ロシグリタゾン/メトホルミン、サクサグリプチン/メトホルミン、シタグリプチン/シンバスタチン、シタグリプチン/メトホルミン、リナグリプチン/メトホルミン、アログリプチン/メトホルミン、アログリプチン/ピオグリタゾン、ブロモクリプチン、ウェルコール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0062】
上記方法の様々な実施形態において、上記疾患または状態は便秘であってよく、上記第1の療法は、緩下薬、食事、グアニル酸シクラーゼCアゴニスト、セロトニンアゴニスト、塩素イオンチャネルアゴニスト、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。様々な実施形態において、上記グアニル酸シクラーゼCアゴニストはリナクロチドであってよい。様々な実施形態において、上記セロトニンアゴニストは、プルカロプリド、テガセロッド、またはそれらの組み合わせであってよい。様々な実施形態において、上記塩素イオンチャネルアゴニストはルビプロストンであってよい。
【0063】
上記方法の様々な実施形態において、上記疾患または状態は脂肪肝であってよく、上記第1の療法はメトホルミンであってよい。
【0064】
上記方法の様々な実施形態において、上記疾患または状態は、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、栄養不良、吸収不良、または再栄養症候群であってよく、上記第2の療法は、メタン細菌の投与であってよい。
【0065】
様々な実施形態において、上記メタン細菌は、メタノブレビバクター属からのものであってよい。様々な実施形態において、上記メタノブレビバクターは、M.acididurans、M.arboriphilus、M.curvatus、M.cuticularis、M.filiformis、M.gottschalkii、M.millerae、M.olleyae、M.oralis、M.ruminantium、M.smithii、M.thaueri、M.woesei、M.wolinii、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0066】
様々な実施形態において、上記メタノブレビバクターは、Methanobrevibacter smithii(M.Smithii)であってよい。
【0067】
[本発明1001]
高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有するか、または有することが疑われる対象を処置する方法であって、
第1の療法が参照値よりも高いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、前記参照値よりも高いメタン細菌量を有するか、もしくは有すると決定された対象に前記第1の療法を施すか、または
第2の療法が前記参照値よりも低いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、前記参照値よりも低いメタン細菌量を有するか、もしくは有すると決定された対象に前記第2の療法を施すことを含む、前記方法。
[本発明1002]
高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有するか、または有することが疑われる対象を識別することをさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1003]
前記対象が高いメタン細菌量を有すると決定されている、本発明1001の方法。
[本発明1004]
前記対象が低いメタン細菌量を有すると決定されている、本発明1001の方法。
[本発明1005]
前記対象が高いメタン細菌栄養共生微生物量を有するか、または有すると決定されている、本発明1001の方法。
[本発明1006]
前記メタン細菌栄養共生微生物が水素生成微生物である、本発明1005の方法。
[本発明1007]
前記メタン細菌栄養共生微生物の増殖を阻害する第3の療法を選択または指示することをさらに含む、本発明1005の方法。
[本発明1008]
前記第3の療法を施すことをさらに含む、本発明1007の方法。
[本発明1009]
前記高いメタン細菌量を有することに起因または関連する疾患または状態が、肥満、便秘、脂肪肝(NASH)、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1001の方法。
[本発明1010]
前記高いメタン細菌量を有することに起因または関連する疾患または状態が、高脂血症または高コレステロールである、本発明1001の方法。
[本発明1011]
低いメタン細菌量を有することに起因または関連する前記疾患または状態が、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、栄養不良、吸収不良、または再栄養症候群である、本発明1001の方法。
[本発明1012]
前記メタン細菌がメタノブレビバクター属からのものである、本発明1001の方法。
[本発明1013]
前記メタノブレビバクターが、M.acididurans、M.arboriphilus、M.curvatus、M.cuticularis、M.filiformis、M.gottschalkii、M.millerae、M.olleyae、M.oralis、M.ruminantium、M.smithii、M.thaueri、M.woesei、M.wolinii、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1012の方法。
[本発明1014]
前記メタノブレビバクターがMethanobrevibacter smithii(M.Smithii)である、本発明1012の方法。
[本発明1015]
前記第1の療法が、1種の抗生物質または2種以上の抗生物質の組み合わせである、本発明1001の方法。
[本発明1016]
前記抗生物質または前記2種以上の抗生物質の組み合わせが、リファキシミン、ネオマイシン、バンコマイシン、およびメトロニダゾールからなる群から選択される、本発明1015の方法。
[本発明1017]
前記抗生物質がリファキシミンである、本発明1015の方法。
[本発明1018]
前記抗生物質がネオマイシンである、本発明1015の方法。
[本発明1019]
前記抗生物質がバンコマイシンである、本発明1015の方法。
[本発明1020]
前記抗生物質がメトロニダゾールである、本発明1015の方法。
[本発明1021]
前記2種以上の抗生物質の組み合わせが、リファキシミンおよびネオマイシン、またはリファキシミンおよびメトロニダゾールである、本発明1015の方法。
[本発明1022]
前記第1の療法が、前記メタン細菌の増殖を阻害することができるプロバイオティクスである、本発明1001の方法。
[本発明1023]
前記第1の療法が低カロリー食である、本発明1001の方法。
[本発明1024]
前記第1の療法が低脂肪食である、本発明1001の方法。
[本発明1025]
前記第1の療法が成分栄養剤である、本発明1001の方法。
[本発明1026]
前記第1の療法がスタチンである、本発明1001の方法。
[本発明1027]
前記スタチンが、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1026の方法。
[本発明1028]
前記疾患または状態が肥満であり、前記第1の療法が抗肥満薬である、本発明1001の方法。
[本発明1029]
前記抗肥満薬が、フェンテルミン、フェンテルミン/トピラマート、ゼニカル、ロルカセリン、またはリモナバンである、本発明1028の方法。
[本発明1030]
前記疾患または状態が、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症からなる群から選択され、前記第1の療法が、アルファ-グルコシダーゼ阻害薬、アミリン類似体、ジペプチジルぺプチダーゼ-4阻害薬、GLP1アゴニスト、メグリチニド、スルホニル尿素、ビグアニド、チアゾリジンジオン(TZD)、インスリン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1001の方法。
[本発明1031]
前記アルファ-グルコシダーゼ阻害薬が、アカルボース、ミグリトール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1030の方法。
[本発明1032]
前記アミリン類似体がプラムリンチドである、本発明1030の方法。
[本発明1033]
ジペプチジルぺプチダーゼ-4阻害薬が、サクサグリプチン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、リナグリプチン、アログリプチン、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1030の方法。
[本発明1034]
前記GLP1アゴニストが、リラグルチド、エクセナチド、除放性エクセナチド、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1030の方法。
[本発明1035]
前記メグリチニドが、ナテグリニド、レパグリニド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1030の方法。
[本発明1036]
前記スルホニル尿素が、クロルプロパミド、グリメピリド、グリピジド、グリブリド、トラザミド、トルブタミド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1030の方法。
[本発明1037]
前記ビグアニドが、メトホルミン、リオメット、グルコファージ、徐放性グルコファージ、グルメッツア、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1030の方法。
[本発明1038]
前記チアゾリジンジオンが、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1030の方法。
[本発明1039]
前記インスリンが、アスパルト、デテミル、グラルギン、グルリジン、リスプロ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1030の方法。
[本発明1040]
前記疾患または状態が、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症からなる群から選択され、前記第1の療法が、グリピジド/メトホルミン、グリブリド/メトホルミン、ピオグリタゾン/グリメピリド、ピオグリタゾン/メトホルミン、レパグリニド/メトホルミン、ロシグリタゾン/グリメピリド、ロシグリタゾン/メトホルミン、サクサグリプチン/メトホルミン、シタグリプチン/シンバスタチン、シタグリプチン/メトホルミン、リナグリプチン/メトホルミン、アログリプチン/メトホルミン、アログリプチン/ピオグリタゾン、ブロモクリプチン、ウェルコール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1001の方法。
[本発明1041]
前記疾患または状態が便秘であり、前記第1の療法が、緩下薬、食事、グアニル酸シクラーゼCアゴニスト、セロトニンアゴニスト、塩素イオンチャネルアゴニスト、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1001の方法。
[本発明1042]
前記グアニル酸シクラーゼCアゴニストがリナクロチドである、本発明1041の方法。
[本発明1043]
前記セロトニンアゴニストが、プルカロプリド、テガセロッド、またはそれらの組み合わせである、本発明1041の方法。
[本発明1044]
前記塩素イオンチャネルアゴニストがルビプロストンである、本発明1041の方法。
[本発明1045]
前記疾患または状態が脂肪肝であり、前記第1の療法がメトホルミンである、本発明1001の方法。
[本発明1046]
前記疾患または状態が、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、栄養不良、吸収不良、または再栄養症候群であり、前記第2の療法が、メタン細菌の投与である、本発明1001の方法。
[本発明1047]
前記メタン細菌がメタノブレビバクター属からのものである、本発明1046の方法。
[本発明1048]
前記メタノブレビバクターが、M.acididurans、M.arboriphilus、M.curvatus、M.cuticularis、M.filiformis、M.gottschalkii、M.millerae、M.olleyae、M.oralis、M.ruminantium、M.smithii、M.thaueri、M.woesei、M.wolinii、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1047の方法。
[本発明1049]
前記メタノブレビバクターがMethanobrevibacter smithii(M.Smithii)である、本発明1047の方法。
[本発明1050]
対象からの生体試料をメタン細菌量の分析に掛ける工程;
そのメタン細菌量を参照値と比較する工程;および
第1の療法が前記参照値よりも高いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、そのメタン細菌量が前記参照値よりも高ければ、その対象のために前記第1の療法を選択もしくは指示するか、または
第2の療法が前記参照値よりも低いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、そのメタン細菌量が前記参照値よりも低ければ、その対象のために前記第2の療法を選択もしくは指示する工程
を含む方法であって、
前記対象が、高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有するか、または有することが疑われる、前記方法。
[本発明1051]
前記生体試料を用意する工程をさらに含む、本発明1050の方法。
[本発明1052]
前記選択または指示された療法を施す工程をさらに含む、本発明1050の方法。
[本発明1053]
前記生体試料をメタン細菌栄養共生微生物の量についての分析に掛ける工程をさらに含む、本発明1050の方法。
[本発明1054]
前記メタン細菌栄養共生微生物が水素生成微生物である、本発明1053の方法。
[本発明1055]
前記メタン細菌栄養共生微生物の増殖を阻害する第3の療法を選択または指示する工程をさらに含む、本発明1053の方法。
[本発明1056]
前記第3の療法を施す工程をさらに含む、本発明1055の方法。
[本発明1057]
前記生体試料が、糞便、胃腸管内の一部位からの粘膜生検、胃腸管内の一部位からの吸引液、またはそれらの組み合わせから選択される、本発明1050の方法。
[本発明1058]
胃腸管内の前記部位が、口腔、胃、小腸、大腸、肛門、またはそれらの組み合わせである、本発明1057の方法。
[本発明1059]
胃腸管内の前記部位が、十二指腸、空腸、回腸、またはそれらの組み合わせである、本発明1057の方法。
[本発明1060]
胃腸管内の前記部位が、盲腸、結腸、直腸、肛門、またはそれらの組み合わせである、本発明1057の方法。
[本発明1061]
胃腸管内の前記部位が、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S字曲、またはそれらの組み合わせである、本発明1057の方法。
[本発明1062]
メタン細菌量の前記分析が、定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)を使用することによるものである、本発明1050の方法。
[本発明1063]
高いメタン細菌量を有することに起因または関連する前記疾患または状態が、肥満、便秘、脂肪肝(NASH)、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1050の方法。
[本発明1064]
高いメタン細菌量を有することに起因または関連する前記疾患または状態が、高脂血症または高コレステロールである、本発明1050の方法。
[本発明1065]
低いメタン細菌量を有することに起因または関連する前記疾患または状態が、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、栄養不良、吸収不良、または再栄養症候群である、本発明1050の方法。
[本発明1066]
前記メタン細菌がメタノブレビバクター属からのものである、本発明1050の方法。
[本発明1067]
前記メタノブレビバクターが、M.acididurans、M.arboriphilus、M.curvatus、M.cuticularis、M.filiformis、M.gottschalkii、M.millerae、M.olleyae、M.oralis、M.ruminantium、M.smithii、M.thaueri、M.woesei、M.wolinii、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1066の方法。
[本発明1068]
前記メタノブレビバクターがMethanobrevibacter smithii(M.Smithii)である、本発明1066の方法。
[本発明1069]
前記参照値が、前記生体試料1ml当たり約1,000である、本発明1050の方法。
[本発明1070]
前記第1の療法が、1種の抗生物質または2種以上の抗生物質の組み合わせである、本発明1050の方法。
[本発明1071]
前記抗生物質または前記2種以上の抗生物質の組み合わせが、リファキシミン、ネオマイシン、バンコマイシン、およびメトロニダゾールからなる群から選択される、本発明1070の方法。
[本発明1072]
前記抗生物質がリファキシミンである、本発明1070の方法。
[本発明1073]
前記抗生物質がネオマイシンである、本発明1070の方法。
[本発明1074]
前記抗生物質がバンコマイシンである、本発明1070の方法。
[本発明1075]
前記抗生物質がメトロニダゾールである、本発明1070の方法。
[本発明1076]
前記2種以上の抗生物質の組み合わせが、リファキシミンおよびネオマイシン、またはリファキシミンおよびメトロニダゾールである、本発明1070の方法。
[本発明1077]
前記第1の療法が、前記メタン細菌の増殖を阻害することができるプロバイオティクスである、本発明1050の方法。
[本発明1078]
前記第1の療法が低カロリー食である、本発明1050の方法。
[本発明1079]
前記第1の療法が低脂肪食である、本発明1050の方法。
[本発明1080]
前記第1の療法が成分栄養剤である、本発明1050の方法。
[本発明1081]
前記第1の療法がスタチンである、本発明1050の方法。
[本発明1082]
前記スタチンが、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1081の方法。
[本発明1083]
前記疾患または状態が肥満であり、前記第1の療法が抗肥満薬である、本発明1050の方法。
[本発明1084]
前記抗肥満薬が、フェンテルミン、フェンテルミン/トピラマート、ゼニカル、ロルカセリン、またはリモナバンである、本発明1083の方法。
[本発明1085]
前記疾患または状態が、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症からなる群から選択され、前記第1の療法が、アルファ-グルコシダーゼ阻害薬、アミリン類似体、ジペプチジルぺプチダーゼ-4阻害薬、GLP1アゴニスト、メグリチニド、スルホニル尿素、ビグアニド、チアゾリジンジオン(TZD)、インスリン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1050の方法。
[本発明1086]
前記アルファ-グルコシダーゼ阻害薬が、アカルボース、ミグリトール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1085の方法。
[本発明1087]
前記アミリン類似体がプラムリンチドである、本発明1085の方法。
[本発明1088]
ジペプチジルぺプチダーゼ-4阻害薬が、サクサグリプチン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、リナグリプチン、アログリプチン、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1085の方法。
[本発明1089]
前記GLP1アゴニストが、リラグルチド、エクセナチド、除放性エクセナチド、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1085の方法。
[本発明1090]
前記メグリチニドが、ナテグリニド、レパグリニド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1085の方法。
[本発明1091]
前記スルホニル尿素が、クロルプロパミド、グリメピリド、グリピジド、グリブリド、トラザミド、トルブタミド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1085の方法。
[本発明1092]
前記ビグアニドが、メトホルミン、リオメット、グルコファージ、徐放性グルコファージ、グルメッツア、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1085の方法。
[本発明1093]
前記チアゾリジンジオンが、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1085の方法。
[本発明1094]
前記インスリンが、アスパルト、デテミル、グラルギン、グルリジン、リスプロ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1085の方法。
[本発明1095]
前記疾患または状態が、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症からなる群から選択され、前記第1の療法が、グリピジド/メトホルミン、グリブリド/メトホルミン、ピオグリタゾン/グリメピリド、ピオグリタゾン/メトホルミン、レパグリニド/メトホルミン、ロシグリタゾン/グリメピリド、ロシグリタゾン/メトホルミン、サクサグリプチン/メトホルミン、シタグリプチン/シンバスタチン、シタグリプチン/メトホルミン、リナグリプチン/メトホルミン、アログリプチン/メトホルミン、アログリプチン/ピオグリタゾン、ブロモクリプチン、ウェルコール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1050の方法。
[本発明1096]
前記疾患または状態が便秘であり、前記第1の療法が、緩下薬、食事、グアニル酸シクラーゼCアゴニスト、セロトニンアゴニスト、塩素イオンチャネルアゴニスト、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1050の方法。
[本発明1097]
前記グアニル酸シクラーゼCアゴニストがリナクロチドである、本発明1096の方法。
[本発明1098]
前記セロトニンアゴニストが、プルカロプリド、テガセロッド、またはそれらの組み合わせである、本発明1096の方法。
[本発明1099]
前記塩素イオンチャネルアゴニストがルビプロストンである、本発明1096の方法。
[本発明1100]
前記疾患または状態が脂肪肝であり、前記第1の療法がメトホルミンである、本発明1050の方法。
[本発明1101]
前記疾患または状態が、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、栄養不良、吸収不良、または再栄養症候群であり、前記第2の療法がメタン細菌の投与である、本発明1050の方法。
[本発明1102]
前記メタン細菌がメタノブレビバクター属からのものである、本発明1101の方法。
[本発明1103]
前記メタノブレビバクターが、M.acididurans、M.arboriphilus、M.curvatus、M.cuticularis、M.filiformis、M.gottschalkii、M.millerae、M.olleyae、M.oralis、M.ruminantium、M.smithii、M.thaueri、M.woesei、M.wolinii、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1102の方法。
[本発明1104]
前記メタノブレビバクターがMethanobrevibacter smithii(M.Smithii)である、本発明1102の方法。
[本発明1105]
対象からの生体試料をメタン細菌量の分析に掛ける工程;
そのメタン細菌量を参照値と比較する工程;および
第1の療法が前記参照値よりも高いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、そのメタン細菌量が前記参照値よりも高ければ、その対象のために前記第1の療法を選択もしくは指示するか、または
第2の療法が前記参照値よりも低いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、そのメタン細菌量が前記参照値よりも低ければ、その対象のために前記第2の療法を選択もしくは指示する工程
を含む方法であって、
前記対象が、高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有することに対する罹病性の決定を要望している、
前記方法。
[本発明1106]
前記生体試料を用意する工程をさらに含む、本発明1105の方法。
[本発明1107]
前記選択または指示された療法を施す工程をさらに含む、本発明1105の方法。
[本発明1108]
前記生体試料を、メタン細菌栄養共生微生物の量についての分析に掛ける工程をさらに含む、本発明1105の方法。
[本発明1109]
前記メタン細菌栄養共生微生物が水素生成微生物である、本発明1108の方法。
[本発明1110]
前記メタン細菌栄養共生微生物の増殖を阻害する第3の療法を選択または指示する工程をさらに含む、本発明1108の方法。
[本発明1111]
前記第3の療法を施す工程をさらに含む、本発明1110の方法。
[本発明1112]
前記生体試料が、糞便、胃腸管内の一部位からの粘膜生検、胃腸管内の一部位からの吸引液、またはそれらの組み合わせから選択される、本発明1105の方法。
[本発明1113]
胃腸管内の前記部位が、口腔、胃、小腸、大腸、肛門、またはそれらの組み合わせである、本発明1112の方法。
[本発明1114]
胃腸管内の前記部位が、十二指腸、空腸、回腸、またはそれらの組み合わせである、本発明1112の方法。
[本発明1115]
胃腸管内の前記部位が、盲腸、結腸、直腸、肛門、またはそれらの組み合わせである、本発明1112の方法。
[本発明1116]
胃腸管内の前記部位が、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S字曲、またはそれらの組み合わせである、本発明1112の方法。
[本発明1117]
メタン細菌量の前記分析が、定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)を使用することによるものである、本発明1105の方法。
[本発明1118]
高いメタン細菌量を有することに起因または関連する前記疾患または状態が、肥満、便秘、脂肪肝(NASH)、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症、高脂血症、高コレステロール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1105の方法。
[本発明1119]
低いメタン細菌量を有することに起因または関連する前記疾患または状態が、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、栄養不良、吸収不良、または再栄養症候群である、本発明1105の方法。
[本発明1120]
前記メタン細菌がメタノブレビバクター属からのものである、本発明1105の方法。
[本発明1121]
前記メタノブレビバクターが、M.acididurans、M.arboriphilus、M.curvatus、M.cuticularis、M.filiformis、M.gottschalkii、M.millerae、M.olleyae、M.oralis、M.ruminantium、M.smithii、M.thaueri、M.woesei、M.wolinii、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1120の方法。
[本発明1122]
前記メタノブレビバクターがMethanobrevibacter smithii(M.Smithii)である、本発明1120の方法。
[本発明1123]
前記参照値が、前記生体試料1ml当たり約1,000である、本発明1105の方法。
[本発明1124]
前記第1の療法が、1種の抗生物質または2種以上の抗生物質の組み合わせである、本発明1105の方法。
[本発明1125]
前記抗生物質または前記2種以上の抗生物質の組み合わせが、リファキシミン、ネオマイシン、バンコマイシン、およびメトロニダゾールからなる群から選択される、本発明1124の方法。
[本発明1126]
前記抗生物質がリファキシミンである、本発明1125の方法。
[本発明1127]
前記抗生物質がネオマイシンである、本発明1125の方法。
[本発明1128]
前記抗生物質がバンコマイシンである、本発明1125の方法。
[本発明1129]
前記抗生物質がメトロニダゾールである、本発明1125の方法。
[本発明1130]
前記2種以上の抗生物質の組み合わせが、リファキシミンおよびネオマイシン、またはリファキシミンおよびメトロニダゾールである、本発明1125の方法。
[本発明1131]
前記第1の療法が、前記メタン細菌の増殖を阻害することができるプロバイオティクスである、本発明1105の方法。
[本発明1132]
前記第1の療法が低カロリー食である、本発明1105の方法。
[本発明1133]
前記第1の療法が低脂肪食である、本発明1105の方法。
[本発明1134]
前記第1の療法が成分栄養剤である、本発明1105の方法。
[本発明1135]
前記第1の療法がスタチンである、本発明1105の方法。
[本発明1136]
前記スタチンが、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1135の方法。
[本発明1137]
前記疾患または状態が肥満であり、前記第1の療法が抗肥満薬である、本発明1105の方法。
[本発明1138]
前記抗肥満薬が、フェンテルミン、フェンテルミン/トピラマート、ゼニカル、ロルカセリン、またはリモナバンである、本発明1137の方法。
[本発明1139]
前記疾患または状態が、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症からなる群から選択され、前記第1の療法が、アルファ-グルコシダーゼ阻害薬、アミリン類似体、ジペプチジルぺプチダーゼ-4阻害薬、GLP1アゴニスト、メグリチニド、スルホニル尿素、ビグアニド、チアゾリジンジオン(TZD)、インスリン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1105の方法。
[本発明1140]
前記アルファ-グルコシダーゼ阻害薬が、アカルボース、ミグリトール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1139の方法。
[本発明1141]
前記アミリン類似体がプラムリンチドである、本発明1139の方法。
[本発明1142]
ジペプチジルぺプチダーゼ-4阻害薬が、サクサグリプチン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、リナグリプチン、アログリプチン、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1139の方法。
[本発明1143]
前記GLP1アゴニストが、リラグルチド、エクセナチド、除放性エクセナチド、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1139の方法。
[本発明1144]
前記メグリチニドが、ナテグリニド、レパグリニド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1139の方法。
[本発明1145]
前記スルホニル尿素が、クロルプロパミド、グリメピリド、グリピジド、グリブリド、トラザミド、トルブタミド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1139の方法。
[本発明1146]
前記ビグアニドが、メトホルミン、リオメット、グルコファージ、徐放性グルコファージ、グルメッツア、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1139の方法。
[本発明1147]
前記チアゾリジンジオンが、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1139の方法。
[本発明1148]
前記インスリンが、アスパルト、デテミル、グラルギン、グルリジン、リスプロ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1139の方法。
[本発明1149]
前記疾患または状態が、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症からなる群から選択され、前記第1の療法が、グリピジド/メトホルミン、グリブリド/メトホルミン、ピオグリタゾン/グリメピリド、ピオグリタゾン/メトホルミン、レパグリニド/メトホルミン、ロシグリタゾン/グリメピリド、ロシグリタゾン/メトホルミン、サクサグリプチン/メトホルミン、シタグリプチン/シンバスタチン、シタグリプチン/メトホルミン、リナグリプチン/メトホルミン、アログリプチン/メトホルミン、アログリプチン/ピオグリタゾン、ブロモクリプチン、ウェルコール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1105の方法。
[本発明1150]
前記疾患または状態が便秘であり、前記第1の療法が、緩下薬、食事、グアニル酸シクラーゼCアゴニスト、セロトニンアゴニスト、塩素イオンチャネルアゴニスト、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1105の方法。
[本発明1151]
前記グアニル酸シクラーゼCアゴニストがリナクロチドである、本発明1150の方法。
[本発明1152]
前記セロトニンアゴニストが、プルカロプリド、テガセロッド、またはそれらの組み合わせである、本発明1150の方法。
[本発明1153]
前記塩素イオンチャネルアゴニストがルビプロストンである、本発明1150の方法。
[本発明1154]
前記疾患または状態が脂肪肝であり、前記第1の療法がメトホルミンである、本発明1105の方法。
[本発明1155]
前記疾患または状態が、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、栄養不良、吸収不良、または再栄養症候群であり、前記第2の療法がメタン細菌の投与である、本発明1105の方法。
[本発明1156]
前記メタン細菌がメタノブレビバクター属からのものである、本発明1155の方法。
[本発明1157]
前記メタノブレビバクターが、M.acididurans、M.arboriphilus、M.curvatus、M.cuticularis、M.filiformis、M.gottschalkii、M.millerae、M.olleyae、M.oralis、M.ruminantium、M.smithii、M.thaueri、M.woesei、M.wolinii、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1156の方法。
[本発明1158]
前記メタノブレビバクターがMethanobrevibacter smithii(M.Smithii)である、本発明1156の方法。
[本発明1159]
対象からの呼気試料をメタン量および水素量についての分析に掛ける工程;
前記メタン量および水素量を、メタン参照値および水素参照値と比較する工程;ならびに
第1の療法が、前記メタン参照値および前記水素参照値よりも高いメタン量および水素量を有する対象に適しているという認識に基づき、そのメタン量が前記メタン参照値よりも高く、呼気検査中の90分目もしくは90分目以前の水素量が前記水素参照値よりも高ければ、その対象のために前記第1の療法を選択もしくは指示するか、または
第2の療法が、前記メタン参照値および前記水素参照値よりも低いメタン量および水素量を有する対象に適しているという認識に基づき、そのメタン量および水素量が前記メタン参照値および前記水素参照値よりも低ければ、その対象のために前記第2の療法を選択もしくは指示する工程
を含む方法であって、
前記対象が、高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有するか、または有することが疑われる、
前記方法。
[本発明1160]
前記呼気試料を用意する工程をさらに含む、本発明1159の方法。
[本発明1161]
前記選択または指示された療法を施す工程をさらに含む、本発明1159の方法。
[本発明1162]
前記メタン細菌栄養共生微生物の増殖を阻害する第3の療法を選択または指示する工程をさらに含む、本発明1159の方法。
[本発明1163]
前記第3の療法を施す工程をさらに含む、本発明1162の方法。
[本発明1164]
高いメタン細菌量を有することに起因または関連する前記疾患または状態が、肥満、便秘、脂肪肝(NASH)、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症、高脂血症、高コレステロール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1159の方法。
[本発明1165]
高いメタン細菌量を有することに起因または関連する前記疾患または状態が肥満である、本発明1159の方法。
[本発明1166]
低いメタン細菌量を有することに起因または関連する前記疾患または状態が、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、栄養不良、吸収不良、または再栄養症候群である、本発明1159の方法。
[本発明1167]
前記メタン細菌がメタノブレビバクター属からのものである、本発明1159の方法。
[本発明1168]
前記メタノブレビバクターが、M.acididurans、M.arboriphilus、M.curvatus、M.cuticularis、M.filiformis、M.gottschalkii、M.millerae、M.olleyae、M.oralis、M.ruminantium、M.smithii、M.thaueri、M.woesei、M.wolinii、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1167の方法。
[本発明1169]
前記メタノブレビバクターがMethanobrevibacter smithii(M.Smithii)である、本発明1167の方法。
[本発明1170]
前記メタン参照値が約3ppmであり、前記水素参照値が約20ppmである、本発明1159の方法。
[本発明1171]
前記第1の療法が、1種の抗生物質または2種以上の抗生物質の組み合わせである、本発明1159の方法。
[本発明1172]
前記抗生物質または前記2種以上の抗生物質の組み合わせが、リファキシミン、ネオマイシン、バンコマイシン、およびメトロニダゾールからなる群から選択される、本発明1171の方法。
[本発明1173]
前記抗生物質がリファキシミンである、本発明1171の方法。
[本発明1174]
前記抗生物質がネオマイシンである、本発明1171の方法。
[本発明1175]
前記抗生物質がバンコマイシンである、本発明1171の方法。
[本発明1176]
前記抗生物質がメトロニダゾールである、本発明1171の方法。
[本発明1177]
前記2種以上の抗生物質の組み合わせが、リファキシミンおよびネオマイシン、またはリファキシミンおよびメトロニダゾールである、本発明1171の方法。
[本発明1178]
前記第1の療法が、前記メタン細菌の増殖を阻害することができるプロバイオティクスである、本発明1159の方法。
[本発明1179]
前記第1の療法が低カロリー食である、本発明1159の方法。
[本発明1180]
前記第1の療法が低脂肪食である、本発明1159の方法。
[本発明1181]
前記第1の療法が成分栄養剤である、本発明1159の方法。
[本発明1182]
前記第1の療法がスタチンである、本発明1159の方法。
[本発明1183]
前記スタチンが、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1182の方法。
[本発明1184]
前記疾患または状態が肥満であり、前記第1の療法が抗肥満薬である、本発明1159の方法。
[本発明1185]
前記抗肥満薬が、フェンテルミン、フェンテルミン/トピラマート、ゼニカル、ロルカセリン、またはリモナバンである、本発明1184の方法。
[本発明1186]
前記疾患または状態が、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症、高脂血症および高コレステロールからなる群から選択され、前記第1の療法が、アルファ-グルコシダーゼ阻害薬、アミリン類似体、ジペプチジルぺプチダーゼ-4阻害薬、GLP1アゴニスト、メグリチニド、スルホニル尿素、ビグアニド、チアゾリジンジオン(TZD)、インスリン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1159の方法。
[本発明1187]
前記アルファ-グルコシダーゼ阻害薬が、アカルボース、ミグリトール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1186の方法。
[本発明1188]
前記アミリン類似体がプラムリンチドである、本発明1186の方法。
[本発明1189]
ジペプチジルぺプチダーゼ-4阻害薬が、サクサグリプチン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、リナグリプチン、アログリプチン、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1186の方法。
[本発明1190]
前記GLP1アゴニストが、リラグルチド、エクセナチド、除放性エクセナチド、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1186の方法。
[本発明1191]
前記メグリチニドが、ナテグリニド、レパグリニド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1186の方法。
[本発明1192]
前記スルホニル尿素が、クロルプロパミド、グリメピリド、グリピジド、グリブリド、トラザミド、トルブタミド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1186の方法。
[本発明1193]
前記ビグアニドが、メトホルミン、リオメット、グルコファージ、徐放性グルコファージ、グルメッツア、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1186の方法。
[本発明1194]
前記チアゾリジンジオンが、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1186の方法。
[本発明1195]
前記インスリンが、アスパルト、デテミル、グラルギン、グルリジン、リスプロ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1186の方法。
[本発明1196]
前記疾患または状態が、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖症からなる群から選択され、前記第1の療法が、グリピジド/メトホルミン、グリブリド/メトホルミン、ピオグリタゾン/グリメピリド、ピオグリタゾン/メトホルミン、レパグリニド/メトホルミン、ロシグリタゾン/グリメピリド、ロシグリタゾン/メトホルミン、サクサグリプチン/メトホルミン、シタグリプチン/シンバスタチン、シタグリプチン/メトホルミン、リナグリプチン/メトホルミン、アログリプチン/メトホルミン、アログリプチン/ピオグリタゾン、ブロモクリプチン、ウェルコール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1159の方法。
[本発明1197]
前記疾患または状態が便秘であり、前記第1の療法が、緩下薬、食事、グアニル酸シクラーゼCアゴニスト、セロトニンアゴニスト、塩素イオンチャネルアゴニスト、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1159の方法。
[本発明1198]
前記グアニル酸シクラーゼCアゴニストがリナクロチドである、本発明1197の方法。
[本発明1199]
前記セロトニンアゴニストが、プルカロプリド、テガセロッド、またはそれらの組み合わせである、本発明1096の方法。
[本発明1200]
前記塩素イオンチャネルアゴニストがルビプロストンである、本発明1197の方法。
[本発明1201]
前記疾患または状態が脂肪肝であり、前記第1の療法がメトホルミンである、本発明1159の方法。
[本発明1202]
前記疾患または状態が、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、栄養不良、吸収不良、または再栄養症候群であり、前記第2の療法がメタン細菌の投与である、本発明1159の方法。
[本発明1203]
前記メタン細菌がメタノブレビバクター属からのものである、本発明1202の方法。
[本発明1204]
前記メタノブレビバクターが、M.acididurans、M.arboriphilus、M.curvatus、M.cuticularis、M.filiformis、M.gottschalkii、M.millerae、M.olleyae、M.oralis、M.ruminantium、M.smithii、M.thaueri、M.woesei、M.wolinii、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、本発明1203の方法。
[本発明1205]
前記メタノブレビバクターがMethanobrevibacter smithii(M.Smithii)である、本発明1203の方法。
本発明の他の特徴および優位性は、例として、本発明の実施形態の様々な特徴を図示する添付の図面と併せて、次の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0068】
実施形態の例を、参照される図において例示する。本明細書において開示する実施形態および図は、限定ではなく、例示として判断されるべきことが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1】本発明の様々な実施形態による、メタンおよび非メタン生成者における糞便中のM.Smithii数を示すグラフである。
図2】本発明の様々な実施形態による、呼気でのメタン検出の決定因子としての原核細菌に対するM.smithiiパーセントを示すグラフである。
図3】本発明の様々な実施形態による、M.smithiiと呼気メタンAUCとの間の相関作用を示すグラフである。
図4】本発明の様々な実施形態による、全原核生物に対するM.smithiiパーセントと呼気メタンAUCとの間の相関作用を示すグラフである。
図5】本発明の様々な実施形態による、呼気AUC中の水素とメタンとの間の相関作用を示すグラフである。
図6】本発明の様々な実施形態による、M.smithiiレベルと、便秘から下痢までの相対程度との間の関係を示すグラフである。C-Dは、便秘から下痢までの相対程度の検証測度である。数が大きいほど、下痢よりも便秘が多い。
図7】本発明の様々な実施形態による、糞便中の全細菌に対するM.smithiiパーセントおよび便秘の相対程度を比較するグラフである。C-Dは、便秘から下痢までの相対程度の検証測度である。数が大きいほど、下痢よりも便秘が多い。M.smithii%は、全原核細菌に対するM.smithiiの量によって決定される。
図8】本発明の様々な実施形態による、糞便中の全原核生物細菌数と腹痛スコアとの間の相関作用を示すグラフである。
図9】本発明の様々な実施形態による、この種の糞便量に対するMethanobrevibacter smithii強制経口投与の作用を経時的に示すグラフである(食事を操作する前)(P<0.01)。
図10図10a~10bは、本発明の様々な実施形態による、ラット体重および糞便Methanobrevibacter smithiiレベルに対する食事脂肪含分の作用を示すグラフである。(a)成体体重プラトーから開始しての経時的なラット体重。P<0.00001、高脂肪食での1週間後の体重変化。‡P<0.001、高脂肪食に戻した後の体重変化。(b)経時的なMethanobrevibacter smithiiレベル。P<0.01、高脂肪固形飼料を開始した後の糞便M.smithiiの増大。◇P<0.001、標準固形飼料に戻した後の糞便M.smithiiの減少。†P=0.039、高脂肪固形飼料に戻した後の糞便M.smithiiの増大。
図11A図11a~11cは、本発明の様々な実施形態による、糞便Methanobrevibacter smithiiレベルに対する高脂肪食の作用を示すグラフである。(a)高脂肪食の前、その1週間後、およびその5週間後のMethanobrevibacter smithiiレベル。
図11B図11a~11cは、本発明の様々な実施形態による、糞便Methanobrevibacter smithiiレベルに対する高脂肪食の作用を示すグラフである。(b)糞便M.smithiiレベルおよび体重増加の程度。98日目から154日目までの体重増加を比較。
図11C図11a~11cは、本発明の様々な実施形態による、糞便Methanobrevibacter smithiiレベルに対する高脂肪食の作用を示すグラフである。(c)糞便M.smithiiレベルに対する、高脂肪固形飼料へと戻したことの作用。
図12図12a~12bは、本発明の様々な実施形態による、腸の区域ごとのMethanobrevibacter smithiiおよび全細菌レベルを示すグラフである。(a)死後の腸の区域ごとのMethanobrevibacter smithii。P<0.001、回腸および盲腸および左結腸の間;P=0.03、回腸と空腸との比較、およびP=0.07、回腸と十二指腸との比較。(b)死後の腸の区域ごとの全細菌。
図13図13a~13bは、本発明の様々な実施形態による、腸内のMethanobrevibacter smithiiおよび全細菌レベルに対する、食事脂肪含分の作用を示すグラフである。(a)食事による腸全体でのMethanobrevibacter smithii。◆P<0.05。(b)食事による腸全体での全細菌。比較はいずれも有意ではなかった。
図14】本発明の様々な実施形態による、Methanobrevibacter smithiiコロニー形成を伴わない区域の数および体重のグラフである。傾向は、統計的に有意ではない。
図15図15A~15Bは、身体組成、ならびに呼気検査でのメタンおよび水素の生成を示すグラフである。(A)群ごとのBMI。メタンおよび水素群と、他の各群との間でP<0.02の有意水準が示されている。エラーバーはSEMを示している。(B)群ごとの体脂肪率。メタンおよび水素群と、他の各群との間でP≦0.001の有意水準が示されている。
図16A図16A~16Bは、メタン生成者は、非メタン生成者よりも有意に高い180分血清グルコースAUCを有したことを示すグラフである。(A)本発明の様々な実施形態による、メタン生成者および非メタン生成者を比較するグルコース曲線下面積チャート。グルコース負荷後の180分の間に、メタン生成者は、非メタン対象(585.5±128.3mg/dL)と比較すると、より大きな血清グルコースAUC(774.2±140.3mg/dL)を有した(P=0.03)。
図16B図16A~16Bは、メタン生成者は、非メタン生成者よりも有意に高い180分血清グルコースAUCを有したことを示すグラフである。グルコース負荷後の180分の間に、メタン生成者は、非メタン対象(585.5±128.3mg/dL)と比較すると、より大きな血清グルコースAUC(774.2±140.3mg/dL)を有した(P=0.03)。
図17】抗生物質の前後でのコレステロールを示すグラフである。P=0.082。
図18】抗生物質の前後での糖負荷試験のグルコースAUCを示すグラフである。P=0.11。
図19】抗生物質の前後でのインスリンAUCを示すグラフである。P=0.048。
図20】抗生物質の前後でのマツダスコアを示すグラフである。P=0.062。
図21図21A~21Bは、非メタン生成ヒト対象とメタン生成ヒト対象との間には、OGTT後の180分インスリンAUCにおいて有意な差が存在しないことを示すグラフである。
図22】OGTT後のグルコース対インスリン比を示すグラフである。
図23】本発明の例示的なデバイス/システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
本発明の説明
本明細書において引用されているすべての参照文献は、すべて記載されているかのように、その全体が参照により組み込まれる。別段に規定しない限り、本明細書において使用する専門用語および科学用語は、本発明が属する当業者が一般に理解する意味と同じ意味を有する。Singletonら、Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 3rd ed.、Revised, J. Wiley & Sons (New York、NY 2006);March、Advanced Organic Chemistry Reactions, Mechanisms and Structure 7th ed.、J. Wiley & Sons (New York、NY 2013);およびSambrook and Russel、Molecular Cloning: A Laboratory Manual 4th ed.、Cold Spring Harbor Laboratory Press (Cold Spring Harbor, NY 2012)は、当業者に、本出願において使用した用語の多くについての一般的なガイドを提供する。
【0071】
当業者であれば、本発明を実施する際に使用することができる、本明細書に記載のものと同様また同等の多くの方法および材料が分かるであろう。実際に、本発明は、記載の方法および材料に決して限定されない。本発明のために、次の用語を以下で定義する。
【0072】
「有益な結果」には、これらに決して限定されないが、疾患または状態の重症度の軽減または緩和、疾患状態の悪化の防止または阻害、疾患状態の治癒、および患者の生命または平均余命の延長が含まれ得る。
【0073】
「哺乳動物」は、本明細書で使用する場合、限定ではないが、ヒトならびにチンパンジーおよび他の類人猿およびサル種などの非ヒト霊長類;ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、およびウマなどの牧場動物;イヌおよびネコなどの家庭用哺乳動物;マウス、ラット、およびモルモットなどのげっ歯類を含めた実験室動物を含めた、哺乳綱の任意のメンバーを指す。この用語は、特定の年齢または性別を示すものではない。したがって、雌雄に関わらず、成体および新生児対象、さらには、胎児が、この用語の範囲内に含まれることが意図されている。
【0074】
「治療有効量」は、本明細書で使用する場合、高いメタン細菌量を有する患者、または低いメタン細菌量を有するか、もしくはメタン細菌が存在しない患者において、有益な結果を達成することができる量を指す。治療有効量は、個体に基づき決定することができ、少なくとも一部では、哺乳動物の生理学的特徴、使用する送達系の種類または治療技術、および疾患または状態の進行に対する投与時間の検討に基づく。
【0075】
「処置」および「処置する」は、本明細書で使用する場合、その処置が最終的には不成功であるとしても、目的が疾患を予防、減速、および/または軽減することである治療的処置および予防的または防止的処置の両方を指す。
【0076】
「療法の選択」は、本明細書で使用する場合、対象に対する療法を、例えば、選抜する、取捨する、処方することを指す。
【0077】
本明細書に記載のとおり、本発明者らは、Methanobrevibacter smithiiが、おそらく、IBSの対象における呼気メタンの原因である重要なメタン細菌であることを実証した。さらに、糞便中のM.smithiiレベルおよび相対的割合は、メタンの生成程度と相関しており、これは、M.smithiiが、ヒトにおける呼気検査の間のメタンの原因である主なメタン細菌であり得ることを示唆している。最後に、これは、qPCRによって、M.smithiiが、LBTでメタンを示すC-IBS対象において重要であることを実証する最初の研究である。
【0078】
最近の文献によって、IBSなどの機能性胃腸障害の病態生理におけるメタン細菌の胃腸内微生物相の役割が示唆されている。特に、LBTでのメタンガスは、便秘表現型と関連している[5、6、7]。本発明者らのグループは、メタンが、以前に考えられていたような不活性なガスではなく、腸管通過を減速させることを示している[14]。5匹のイヌでのin-vivo研究において、中小腸瘻管を介してのメタンの注入は、近位小腸運動性を平均59%低減した[14]。呼気メタンの存在は、ヒト研究において、腸管通過のかなりの減速にも関連していた[8、15、16]。多数の刊行物において、IBSの患者では、ラクツロース呼気検査でのメタンは、ほぼ例外なく、便秘型疾患に関連していることが確認されている[5、6、7、8]。しかしながら、メタン供給源を決定するために、そのような患者における糞便の評価が、IBSにおいて試みられたことは今までなかった。
【0079】
本明細書に記載のとおり、本発明者らは、Methanobrevibacter smithiiが、IBS患者の糞便中に遍在して存在することを立証した。しかしながら、呼気検査でメタン陽性の患者は、メタン陰性の患者と比較すると、有意に多いM.smithii量を有する。これらの患者は、その糞便中に、他の細菌と比較して高い割合のM.smithiiも有する。糞便中のM.smithiiの数または相対的割合が高いほど、呼気メタン程度が高くなる。これは、腸管内メタン細菌を検出するためには、糞便定量PCRが、呼気分析よりも、かなり感度の高いツールであることを示している。
【0080】
興味深いことに、メタン細菌のみが、問題ではない可能性がある。この研究では、多くの対象が、その糞便中に検出可能なM.smithiiを有した。しかし、M.smithiiのレベルが、問題である可能性はある。この研究に基づくと、M.smithiiのレベルが、湿潤糞便1gm当たり4.2×10コピーまたは全糞便細菌に対して1.2%を超えると、呼気でメタンが検出可能となるようである。呼気メタンおよび便秘IBSの当初の説明では、便秘型IBS対象のすべてがメタンを示すとは限らないので、これは重要である。しかしながら、ほぼすべてのメタン対象が便秘であった。まとめると、これらの所見は、qPCRによる糞便検査によって、検出するには呼気検査の感度が十分ではない便秘をもたらす閾値を同定することができることを示唆している。
【0081】
また、本明細書に記載のとおり、呼気分析で検出可能なメタンの原因となるM.smithiiの閾値は、Weaverらによって以前に報告された閾値よりもかなり低かった[12]。この相違はおそらく、異なる技術の使用によるものである。Weaverらによる研究では、メタン細菌を糞便試料から培養し、M.smithiiとしての同定は、形態学的および免疫学的方法に基づいた。メタン細菌についての糞便の取り扱いおよび培養は、困難であり得る。それというのも、この生物が嫌気性であるためである。糞便試料が空気に暴露されると、この生物に害が及び、その増殖が限定され得る。q-PCRの場合には、取扱いに問題はない。それというのも、PCRは、生きている生物および生きていない生物の両方を検出するためである。
【0082】
非吸収性抗生物質によるメタン細菌の除去が、腸管症状を大いに改善し得るので、これらのデータは、治療上および臨床的重要性を有し得る[17、18]。便秘型IBSを有するメタン生成者では、ネオマイシンは、プラセボと比較すると、44.0±12.3% vs 5.0±5.1%の便秘の改善をもたらし、これは、追跡呼気検査でのメタンの消失と十分に相関した[19]。遡及的研究では、ネオマイシン(それぞれ33%および63%)またはリファキシミン(それぞれ28%および56%)単独と比較すると、10日間にわたるリファキシミンおよびネオマイシンの組み合わせは、メタン(87%)および便秘症状(85%)のかなり大きな低減をもたらした[20]。
【0083】
本発明者らは、M.smithiiと便秘との間の関連について、陽性傾向を観察した。本発明者らの結果は、M.smithiiが、呼気検査でのメタンの原因である、C-IBS患者の腸管内の主なメタン細菌古細菌であることを示唆している。これは、糞便中のM.smithiiレベルと、呼気検査でのメタンAUCとの間の相関によって裏付けられる。
【0084】
さらに本明細書に記載するとおり、本発明者らは、メタン細菌M.smithiiでのラット腸管コロニー形成は、大腸に限られず、むしろ、回腸、空腸、および十二指腸を含めた小腸まで広がることを初めて実証している。事実、本発明者らは、M.smithiiのレベルは、大腸においてよりも小腸において高く、最も高いレベルは、回腸において見られることを見出した。さらに、本発明者らは、ラットを高脂肪食に切り替えると、糞便中のM.smithiiのレベルの増大、および検査したすべての腸区域におけるM.smithiiのレベルの増大の両方が生じることを見出した。最も重大なことに、本発明者らは、体重があまり増えなかったラットよりも、体重が多く増えたラットほど、M.smithiiの糞便レベルが高いこと、およびM.smithiiでの腸のコロニー形成の規模も、食事とはかかわりなく、これらのラットにおける体重増加と対応したことを見出した。まとめると、これらの所見は、M.smithiiでの腸管のコロニー形成のレベルおよび規模によって、この動物モデルにおける体重増加の程度が予測されることを裏付けている。
【0085】
腸管内微生物が、宿主の代謝およびエネルギーホメオスターシスにおいて役割を果たし、かつそれらに影響を及ぼすことは、ますます理解されつつあり、本発明者らは、腸管内微生物が、代謝障害および肥満の発生の一因となっていると考えている。酵素の産生によって、腸管内微生物は、非消化性炭水化物および宿主由来のグリココンジュゲートを利用し、短鎖脂肪酸(SCFA)産生の増大をもたらすこと;食事性脂質の可溶化および吸収を改変する胆汁酸の脱コンジュゲーションおよび脱ヒドロキシル化;ならびにコレステロール低減、およびKおよびB群からのビタミン、イソプレノイド、およびリシンおよびトレオニンなどのアミノ酸の生合成(A1、A11、A28、A29)において宿主を支援している。腸管内微生物は、また、腸管通過時間に影響を及ぼし、内毒素toll様受容体-4および腸管バリア機能(A14、A30)に対する作用によって、肥満に関連する慢性低度炎症およびインスリン抵抗性の一因となることが示唆されている。これらのデータは、宿主の体重増加に寄与する際の腸管内微生物の役割を裏付けており、これは、本発明者らの動物モデルにおける体重増加が、食事性脂肪含分よりも、腸管のM.smithiiコロニー形成の程度および規模に依存しているという本発明者らの所見を実証している。
【0086】
いくつかの系統の証拠によって、メタン細菌は、宿主の代謝およびエネルギーホメオスターシスにおいて特異的な役割を果たし得ることが裏付けられている。ヒトの腸管において最も一般的なメタン細菌であるM.smithiiなどのメタン細菌は、嫌気性発酵によって、メタンを生成し(A17、A18)、水素原子を除去し、多糖および炭水化物の発酵を促進する(A22)。これは、SCFAの産生を増大させ、次いで、SCFAは、小腸で吸収されて、宿主のための追加のエネルギー供給源として役立つ(A11)。このより効率的なエネルギー抽出は、体重増加に結び付き得、最終的には、肥満の一因となる(A32)。このための潜在的な機構の1つは、Gタンパク質共役受容体に対するSCFAの作用によるものであり、SCFAは、Gタンパク質共役受容体のためのリガンドとして機能する。Gタンパク質共役受容体Gpr41は、小腸、結腸、および脂肪細胞で発現され、アディポカインレプチンおよびペプチドチロシン-チロシン(ペプチド-YY)の発現を刺激し、これらは両方とも、エネルギー代謝に影響を及ぼし、食欲レベル/満腹にも影響を及ぼす。加えて、血漿中SCFAの調節は、インスリン抵抗性のヒト対象における炎症性マーカーの低下につながっており(A33、A34)、これは、肥満に関連する慢性低度炎症に対する潜在的な作用を示唆している。興味深いことに、ヒト研究で、本発明者らは、75g経口ブドウ糖負荷試験の間、メタン生成対象(すなわち、呼気検査でメタンの増大を示す対象)は、匹敵するBMIおよびベースラインインスリン抵抗性(恒常性モデル評価-インスリン抵抗性)を有するにも関わらず、非メタン対象よりも大きな血清グルコース曲線下面積を有し、これは、腸管メタン生成対象は、高い炭水化物負荷で攻撃した場合、耐糖能障害を有し、したがって、非メタン対象よりも高血糖症に対して高い罹病性を有する可能性があることを示唆していることを見出した(本明細書の実施例5を参照されたい)。メタン細菌が宿主によるエネルギー抽出に影響を及ぼし得る最後の潜在的な機構は、腸管運動性の減速によるものである。ヒト過敏性腸症候群患者において、本発明者らは、呼気検査でメタンを示す患者は、主な症状サブタイプとして便秘を有する可能性が高いこと(A19、A35)、生成されるメタンの量は、Bristol Stool Scoreによって測定すると、便秘の程度、および便通の頻度と関連していることを見出した(A35)。メタンは、他の便秘障害とも関連する(A36、A37)。in vivo動物研究において、本発明者らのグループは、小腸へのメタンの注入が、小腸通過を59%減速させることを実証した(A38)。腸管通過の減速が比較的高いBMIと関連し得ることは、非常に遅い運動性(胃不全麻痺)を示す対象が比較的高いBMIを有することを示す胃不全麻痺の集合体による研究によって(A39)、かつ、本発明者らのグループが、エクセナチドで腸を減速させると、下痢、栄養不足、および慢性非経口栄養の必要性が解消され、体重増加を随伴することを見出した非常に短い腸の患者の研究によって(A40)実証されている。まとめると、これらは、M.smithiiコロニー形成の増大が、本発明者らがこれらのラットにおいて観察した随伴性体重増加に寄与し得るいくつかの潜在的な機構を表している。
【0087】
今日までに、メタン細菌は、左結腸において主に同定されており(A24~A26)、大腸外で生じるとは知られていない腸管内微生物集団の改変は、体重増加の重要な直接的原因ではないようであると論じられている。本発明者らの結果は、ラットにおいて、M.smithiiでのコロニー形成が小腸で生じるだけでなく、十二指腸、空腸、および回腸におけるM.smithiiレベルが、実際に、盲腸または左結腸においてよりも高く、回腸において最高レベルであることを初めて実証している。さらに、これらの動物における体重増加の程度は、コロニー形成した腸区域の数と対応し、本発明者らは、M.smithiiでの小腸のコロニー形成の規模は、体重増加を予期させ、それに寄与すると考えている。
【0088】
結論として、本発明者らの結果は、メタン細菌M.smithiiでのコロニー形成は、大腸に限られず、小腸でも生じることを初めて実証している。さらに、このラットモデルで、本発明者らは、M.smithiiでの小腸コロニー形成のレベルおよび規模は、食事の脂肪含分に関わらず、体重増加の程度と相関し、それを予期させることを見出した。
【0089】
また本明細書に記載のとおり、本発明者らは、約800名の対象の分析において、呼気検査でのメタンおよび水素の両方の存在と、BMIの上昇、さらには体脂肪率の上昇との間の明白な関連を実証する。この研究は、ヒト対象における比較的高いBMIおよび脂肪含有率の指標として、メタンおよび水素の生成を同定するこの種の研究の最初の研究である。
【0090】
肥満は、公衆衛生上の問題であり、疑いなく多因子である。エネルギーの摂取、消費、および貯蔵の複数の領域において、調節不全が見られる。肥満の病因における腸管内細菌叢の潜在的な役割に対する関心は増しつつある。Gordon、Backhedなどによる研究(B3~B7)は、腸管内のファーミキューテス門とバクテロイデス門との相対的発生量の変化と、栄養回収の増強の可能性との間の関連を含めた、マウスモデルにおける微生物叢と体重増加との間の興味深い関連を示している(B3)。腸内細菌叢は、インスリン抵抗性に結びつくリポ多糖産生の増強(B5)、絶食誘導脂肪因子(fasting-induced adipose factor)の抑制(B14)、肝臓におけるAMP活性化プロテインキナーゼ駆動脂肪酸酸化の抑制(B15)、インクレチン調節(B16)、ならびにSCFA産生および吸収の増大、それによる、宿主への増大した脂質生成基質の提供(B17)を含めた、体重増加に寄与し得る多くの機構に関係している。メタン細菌の増大は、Ob/Obマウスの盲腸細菌叢においても観察されている(B3)。本発明者らは、本明細書に記載のこの大規模ヒト研究が、ヒトの肥満におけるメタン細菌、具体的にはM smithiiの役割を示すと考えている。
【0091】
ヒトGI管では、細菌および古細菌を含めて1012種に至る微生物種がコロニー形成し、そのうち、M smithiiが、最も多いメタン生成生物である(B9)。本発明者らは、本明細書において、メタン陽性個体は、GI管にM smithiiを有することを示す。本発明者らは、呼気検査でのメタンの増大は、糞便中の比較的高レベルのM smithiiと関連しており、かつメタン陽性の肥満対象は、メタン陰性の肥満対照よりも平均6.7kg/m高いBMIを有することを示している(B11)。M smithiiは元々、大腸のみに生息していて、カロリー回収および体重増加において重大な役割を果たし得る可能性は弱かったと考えられたが、本発明者らは、本明細書において、ラットモデルを使用して、実際には、M smithiiのコロニー形成が小腸全体で生じることを示す。重要なことに、M smithiiがコロニー形成している腸区域の数は直接、このラットモデルにおける体重増加の程度と関連していて、高脂肪食の存在下でさらに増強した。
【0092】
本発明者らは、動物における体重増加でのM smithiiの役割は促進性であり、かつ他の微生物との栄養共生関係に関係していて、その栄養共生関係によって、M smithiiは、水素を必要とする嫌気性代謝のために、栄養共生生物が産生する水素を捕捉して、副産物としてメタンを生成すると考えている。水素のこの捕捉によって、栄養共生生物は、より生産的になり、SCFAの産生および宿主のためのカロリーの利用率を上昇させる(B8)。本発明者らの結果は、おそらく、これらの対象が、メタン生成に燃料を供給する豊富な水素を有するので、この呼気検査で水素およびメタンの両方が存在すること(メタンまたは水素のいずれかのみが存在するのではなく)が、より高いBMIおよび体脂肪率と関連していることを裏付けている。
【0093】
加えて、メタン自体(腸管内メタン細菌が産生したままの気体形態)も、エネルギー回収の増大に寄与し得る。本発明者らは以前に、呼気メタンと、ヒト対象における便秘(便秘型過敏性腸症候群)との間の関連を特記し(B13)、in vivo動物モデルを使用して、メタンガスが、腸管内での通過を59%ほど減速させることを実証した(B19)。本発明者らは、通過の減速は、より長時間の栄養素の回収およびカロリーの吸収をもたらし、体重増加のための別の潜在的な機構であり得ると考えている。
【0094】
メタン生成者の平均年齢は、対照の年齢よりも高かったが、交絡変数として年齢を調整しても、結果は、有意性を維持した。さらに、メタン生成が年齢と共に増大することを示唆する証拠は存在せず、むしろ成人期においてはプラトーが存在し(B20)、これにより、年齢が、研究所見に影響を及ぼし得る可能性は低くなっている。本発明者らは、本明細書において、食事が、動物モデルにおける腸内細菌叢全体およびM smithiiレベルに影響を及ぼし得ることを示す。本発明者らの研究は、対象間での食事の相違については考慮していない。しかしながら、より大きな試料規模では、これらの個体変化は、グループ間で軽減され得る。
【0095】
まとめると、本発明者らの研究は、呼気検査でメタンおよび水素の両方を示す個体は、比較的高いBMIおよび体脂肪率を有することを初めて実証する。本発明者らは、これは、他の微生物との栄養共生関係によって、エネルギー回収および宿主生物への栄養素の送達を増強する水素要求性メタン細菌M.smithiiの過剰なコロニー形成によるものであると考えている。
【0096】
本発明の様々な実施形態は、少なくとも部分的に、これらの所見に基づく。
【0097】
本発明の様々な実施形態は、高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有するか、または有することが疑われる対象のための療法を選択、指示、および/または施すための方法を提供する。上記方法は、対象からの生体試料をメタン細菌量の分析に掛け;そのメタン細菌量を参照値と比較し;第1の療法が上記参照値よりも高いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、そのメタン細菌量が上記参照値よりも高ければ、その対象のために上記第1の療法を選択もしくは指示するか、または第2の療法が上記参照値よりも低いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、そのメタン細菌量が上記参照値よりも低ければ、その対象のために上記第2の療法を選択もしくは指示することを含み、その際、上記対象は、高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有するか、または有することが疑われる。この文脈で使用されるとおりの第1の療法および第2の療法は、2種の療法を施すことを指しているのではなく、2種類の療法の区別を単に示すものである。第1の療法は、高いメタン細菌量を有する対象を処置するために適している療法である。第2の療法は、低いか、または検出不可能なメタン細菌量を有する対象を処置するために適した療法である。
【0098】
様々な実施形態において、上記方法は、高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有するか、または有することが疑われる対象を識別することをさらに含む。
【0099】
様々な実施形態において、上記方法は、生体試料を得ること、または用意することをさらに含む。様々な実施形態において、上記方法は、選択された療法を施すことをさらに含む。
【0100】
様々な実施形態において、上記方法は、生体試料を、メタン細菌栄養共生微生物の量についての分析に掛けることをさらに含む。様々な実施形態において、上記メタン細菌栄養共生微生物は、水素生成微生物である。様々な実施形態において、上記方法は、メタン細菌栄養共生微生物の増殖を阻害する第3の療法を選択または指示することをさらに含む。様々な実施形態において、上記方法は、第3の療法を施すことをさらに含む。様々な実施形態において、上記第3の療法および上記第1の療法は、同じか、または同じ種類の療法であってよい。
【0101】
様々な実施形態は、高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有することに対する罹病性の決定を要望する対象のために、療法を選択または指示するための方法を提供する。上記方法は、対象からの生体試料をメタン細菌量の分析に掛け;そのメタン細菌量を参照値と比較し;第1の療法が上記参照値よりも高いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、そのメタン細菌量が上記参照値よりも高ければ、その対象のために上記第1の療法を選択もしくは指示するか、または第2の療法が上記参照値よりも低いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、そのメタン細菌量が上記参照値よりも低ければ、その対象のために上記第2の療法を選択もしくは指示することを含み、この際、上記対象は、高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有することに対する罹病性の決定を要望している。
【0102】
様々な実施形態において、上記方法は、高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有することに対する罹病性の決定を要望する対象を識別することをさらに含む。
【0103】
様々な実施形態において、上記方法は、生体試料を用意することをさらに含む。
【0104】
様々な実施形態において、上記方法は、選択された療法を施すことをさらに含む。
【0105】
様々な実施形態において、上記方法は、生体試料を、メタン細菌栄養共生微生物の量についての分析に掛けることをさらに含む。様々な実施形態において、上記メタン細菌栄養共生微生物は水素生成微生物である。様々な実施形態において、上記方法は、メタン細菌栄養共生微生物の増殖を阻害する第3の療法を選択または指示することをさらに含む。様々な実施形態において、上記方法は、第3の療法を施すことをさらに含む。
【0106】
本発明の様々な実施形態は、高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有するか、または有することが疑われる対象を処置するための方法を提供する。上記方法は、対象からの生体試料をメタン細菌量の分析に掛け;そのメタン細菌量を参照値と比較し;第1の療法が上記参照値よりも高いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、そのメタン細菌量が上記参照値よりも高ければ、その対象のために上記第1の療法を選択もしくは指示するか、または第2の療法が上記参照値よりも低いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、そのメタン細菌量が上記参照値よりも低ければ、その対象のために上記第2の療法を選択もしくは指示し;上記疾患または状態を処置するために、選択された療法を患者に施すことを含み、この際、上記対象は、高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有するか、または有することが疑われる。
【0107】
この文脈で使用されるとおりの第1の療法および第2の療法は、2種の療法を施すことを指しているのではなく、2種類の療法の区別を単に示すものである。上記第1の療法は、高いメタン細菌量を有する対象を処置するために適している療法である。上記第2の療法は、低いか、または検出不可能なメタン細菌量を有する対象を処置するために適した療法である。
【0108】
様々な実施形態において、上記方法は、高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有するか、または有することが疑われる対象を識別することをさらに含む。
【0109】
様々な実施形態において、上記方法は、生体試料を得ること、または用意することをさらに含む。
【0110】
様々な実施形態において、上記方法は、生体試料を、メタン細菌栄養共生微生物の量についての分析に掛けることをさらに含む。様々な実施形態において、上記メタン細菌栄養共生微生物は水素生成微生物である。様々な実施形態において、上記方法は、メタン細菌栄養共生微生物の増殖を阻害する第3の療法を選択または指示することをさらに含む。様々な実施形態において、上記方法は、第3の療法を施すことをさらに含む。様々な実施形態において、上記第3の療法および上記第1の療法は、同じか、または同じ種類の療法であってよい。
【0111】
本発明の様々な実施形態は、高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有するか、または有することが疑われる対象を処置するための方法を提供する。上記方法は、第1の療法が上記参照値よりも高いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、上記参照値よりも高いメタン細菌量を有するか、または有すると決定されている対象に上記第1の療法を施すか、または第2の療法が上記参照値よりも低いメタン細菌量を有する対象に適しているという認識に基づき、上記参照値よりも低いメタン細菌量を有するか、または有すると決定されている対象に上記第2の療法を施すことを含む。
【0112】
この文脈で使用されるとおりの第1の療法および第2の療法は、2種の療法を施すことを指しているのではなく、2種類の療法の区別を単に示すものである。上記第1の療法は、高いメタン細菌量を有する対象を処置するために適している療法である。上記第2の療法は、低いか、または検出不可能なメタン細菌量を有する対象を処置するために適した療法である。
【0113】
様々な実施形態において、上記方法は、高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有するか、または有することが疑われる対象を識別することをさらに含む。
【0114】
様々な実施形態において、上記対象は、高いメタン細菌栄養共生微生物を有するか、または有すると決定されている。様々な実施形態において、上記メタン細菌栄養共生微生物は水素生成微生物である。様々な実施形態において、上記方法は、メタン細菌栄養共生微生物の増殖を阻害する第3の療法を選択または指示することをさらに含む。様々な実施形態において、上記方法は、第3の療法を施すことをさらに含む。様々な実施形態において、上記第3の療法および上記第1の療法は、同じか、または同じ種類の療法であってよい。
【0115】
本発明の様々な実施形態は、高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を診断する方法を提供する。上記方法は、対象からの生体試料をメタン細菌量の分析に掛け;そのメタン細菌量を参照値と比較し;そのメタン細菌量が上記参照値よりも高ければ、上記対象が疾患または状態を有すると決定するか、またはそのメタン細菌量が上記参照値よりも低ければ、上記対象が疾患または状態を有さないと決定することを含む。
【0116】
様々な実施形態において、上記方法は、診断のために対象を識別することをさらに含む。様々な実施形態において、上記方法は、生体試料を得るか、または用意することをさらに含む。
【0117】
様々な実施形態において、上記方法は、生体試料を、メタン細菌栄養共生微生物の量についての分析に掛けることをさらに含む。様々な実施形態において、上記メタン細菌栄養共生微生物は、水素生成微生物である。
【0118】
本発明の様々な実施形態は、高いメタン細菌量を有することに起因または関連する疾患または状態に対する罹病性を診断する方法を提供する。上記方法は、対象からの生体試料をメタン細菌量の分析に掛け;そのメタン細菌量を参照値と比較し;そのメタン細菌量が上記参照値よりも高ければ、上記対象が、高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態に対して罹病性があると決定するか、またはそのメタン細菌量が上記参照値よりも低ければ、上記対象が、高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態に対して罹病性がないと決定することを含む。
【0119】
本発明の様々な実施形態は、低いメタン細菌量を有することに起因または関連する疾患または状態に対して罹病性を診断する方法を提供する。上記方法は、対象からの生体試料をメタン細菌量の分析に掛け;そのメタン細菌量を参照値と比較し;そのメタン細菌量が上記参照値よりも低ければ、上記対象が、低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態に対して罹病性があると決定するか、またはそのメタン細菌量が上記参照値よりも高ければ、上記対象が、低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態に対して罹病性がないと決定することを含む。
【0120】
様々な実施形態において、上記方法は、診断のために対象を識別することをさらに含む。様々な実施形態において、上記方法は、生体試料を得るか、または用意することをさらに含む。
【0121】
様々な実施形態において、上記方法は、生体試料を、メタン細菌栄養共生微生物の量についての分析に掛けることをさらに含む。様々な実施形態において、上記メタン細菌栄養共生微生物は水素生成微生物である。
【0122】
本発明の様々な実施形態は、対象からの呼気試料をメタン量および水素量についての分析に掛け;そのメタン量および水素量をメタン参照値および水素参照値と比較し;第1の療法が、上記メタン参照値および上記水素参照値よりも高いメタン量および水素量を有する対象に適しているという認識に基づき、そのメタン量が上記メタン参照値よりも高く、呼気検査中の90分目または90分目以前の水素量が上記水素参照値よりも高ければ、その対象のために上記第1の療法を選択もしくは指示するか、または第2の療法が、上記メタン参照値および上記水素参照値よりも低いメタン量および水素量を有する対象に適しているという認識に基づき、そのメタン量および水素量が上記メタン参照値および上記水素参照値よりも低ければ、その対象のために上記第2の療法を選択もしくは指示することを含む方法であって、上記対象が、高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有するか、または有することが疑われる方法を提供する。
【0123】
様々な実施形態において、上記方法は、呼気試料を用意することをさらに含む。
【0124】
様々な実施形態において、上記方法は、選択または指示された療法を施すことをさらに含む。
【0125】
様々な実施形態において、上記方法は、メタン細菌栄養共生微生物の増殖を阻害する第3の療法を選択または指示することをさらに含む。
【0126】
様々な実施形態において、上記方法は、第3の療法を施すことをさらに含む。
【0127】
様々な実施形態において、本発明は、本明細書に記載の本発明の方法を行うために適合させた構成要素を含むシステムを提供する。
【0128】
参照値
様々な実施形態において、上記参照値は、生体試料1ml当たり約10,000である。例えば、糞便試料では、参照値は、糞便試料1ml当たり10,000メタン細菌であってよい。したがって、高いメタン細菌量は、生体試料1ml当たり10,000超の量であり、低いメタン細菌量は、生体試料1ml当たり10,000未満の量である。一部の実施形態では、参照値は、1ml当たり約1,000である。したがって、高いメタン細菌量は、生体試料1ml当たり1,000超の量であり、低いメタン細菌量は、生体試料1ml当たり1,000未満の量であり;例えば、糞便ml当たり1,000メタン細菌である。一部の実施形態では、参照値は、生体試料1ml当たり約5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、または20,000である。したがって、一部の実施形態では、高いメタン細菌量は、生体試料1ml当たり約5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、または20,000超の量であり、低いメタン細菌量は、生体試料1ml当たり5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、または20,000未満の量である。一部の実施形態では、これらの量は、生体試料1mg当たりであってよい。
【0129】
様々な実施形態において、上記参照値は、特に、低メタン細菌量を決定するために使用される場合、生体試料1ml当たり約4,000である。したがって、低メタン細菌量は、生体試料1ml当たり4,000未満の量である。一部の実施形態では、上記参照値は、生体試料1ml当たり約3,000、2,000、1,000、または500である。したがって、一部の実施形態では、低メタン細菌量は、生体試料1ml当たり3,000、2,000、1,000、または500未満の量である。一部の実施形態では、これらの量は、生体試料1mg当たりであってよい。
【0130】
参照値は、決定する疾患または状態の種類に依存し得る。疾患および状態の種類が異なれば、参照値が異なり得る。
【0131】
一部の実施形態では、上記参照値は、健康な対象からの生体試料から確立され得る。
【0132】
例えば、生体試料が糞便である場合、参照値は、健康な対象の糞便から得ることができる。他の実施形態では、上記参照値は、健康な対象の個体群からの同じ種類の生体試料での平均メタン細菌数である。他の実施形態では、上記参照値は、健康な対象の個体群からの同じ種類の生体試料での平均メタン細菌数の平均+1または2標準偏差である。一部の実施形態では、上記健康な対象の個体群は、少なくとも3名の健康な個体から25名の健康な個体、さらには50名超の健康な個体までの範囲であってよい。
【0133】
ある種の実施形態では、呼気試料を採用する場合、上記メタン参照値は約3ppmであり、上記水素参照値は約20ppmである。
【0134】
対象
生体試料を得る対象は、少なくとも部分的に、高いメタン細菌量を有することに起因するか、または高いメタン細菌量を有することに関連する疾患または状態を有するか、または有することが疑われる対象であってよい。これらの対象の例には、これらだけに限定されないが、過体重、肥満、便秘、C-IBS、IBS、前糖尿病性、糖尿病性、II型糖尿病性、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖であるか、またはそれらであるか、もしくはそれらを有すると疑われるもの、あるいは脂肪肝(NASH)、高脂血症、または高コレステロールを有すると疑われるものが含まれる。
【0135】
生体試料を得る対象は、少なくとも部分的に、低いメタン細菌量を有することに起因するか、または低いメタン細菌量を有することに関連する疾患または状態を有するか、または有することが疑われる対象であってよい。これらの対象の例には、これらだけに限定されないが、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、栄養不良、吸収不良、および/または再栄養症候群を有するか、または有することが疑われる対象が含まれる。
【0136】
ある種の実施形態では、生体試料を得る対象は、少なくとも部分的に、高いメタン細菌量を有することに起因するか、または高いメタン細菌量を有することに関連する疾患または状態に対して罹病性があるかどうかを知ることを要望する対象であってよい。これらの対象の例には、これらだけに限定されないが、過体重、肥満、便秘、前糖尿病性、糖尿病性、II型糖尿病性、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖であるか、または脂肪肝(NASH)、高脂血症、もしくは高コレステロールを有することに対して罹病性があるかどうかを知ることを要望する対象が含まれる。
【0137】
生体試料を得る対象は、少なくとも部分的に、低いメタン細菌量を有することに起因するか、または低いメタン細菌量を有することに関連する疾患または状態に対して罹病性があるかどうかを知ることを要望する対象であり得る。これらの対象の例には、これらだけに限定されないが、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、栄養不良、吸収不良、および/または再栄養症候群を有することに対して罹病性があるかどうかを知ることを要望する対象が含まれる。
【0138】
高脂血症は、特異的な遺伝的異常に起因する家族性(原発性とも呼ばれる)でも、血漿脂質およびリポタンパク質代謝の変化をもたらす別の根底にある障害から生じている場合の後天性(続発性とも呼ばれる)でもよい。また、高脂血症は、特発性であってよい、すなわち、原因が分からなくてもよい。
【0139】
高脂血症は、脂質のどの種類が上昇しているかによっても分類され、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、または両方の組み合わせの高脂血症である。リポタンパク質(a)レベルの上昇は、高脂血症の1形態としても分類され得る。
【0140】
家族性高脂血症は、I型(a、bまたはc)、II型(aまたはb)、III型、IV型、またはV型であってよい。
【0141】
生体試料
本発明の方法によって分析される生体試料は、糞便、胃腸管内の一部位からの粘膜生検、または胃腸管内の一部位からの吸引液であってよい。様々な実施形態において、胃腸管内の上記部位は、口腔、胃、小腸、大腸、または肛門である。様々な実施形態において、胃腸管内の上記部位は、十二指腸、空腸、または回腸である。様々な実施形態において、胃腸管内の上記部位は、盲腸、結腸、直腸、または肛門である。様々な実施形態において、胃腸管内の上記部位は、上行結腸、横行結腸、下行結腸、またはS字曲である。
【0142】
ある種の実施形態では、上記生体試料は、対象の呼気である。
【0143】
疾患または状態
様々な実施形態において、少なくとも部分的に、高いメタン細菌量を有することに起因するか、または高いメタン細菌量を有することに関連する疾患または状態には、これらに限定されないが、肥満、便秘、便秘型過敏性腸症候群(C-IBS)、IBS、脂肪肝(NASH)、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、高脂血症、高コレステロール、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、および高血糖症が含まれる。
【0144】
高脂血症は、特異的な遺伝的異常に起因する家族性(原発性とも呼ばれる)でも、または血漿脂質およびリポタンパク質代謝の変化をもたらす別の根底にある障害から生じている場合の後天性(続発性とも呼ばれる)でもよい。また、高脂血症は、特発性であり得、すなわち、原因が分からなくてもよい。
【0145】
高脂血症は、脂質のどの種類が上昇しているかによっても分類され、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、または両方の組み合わせの高脂血症である。リポタンパク質(a)レベルの上昇は、高脂血症の1形態としても分類され得る。
【0146】
家族性高脂血症は、I型(a、bまたはc)、II型(aまたはb)、III型、IV型、またはV型であってよい。
【0147】
様々な実施形態において、少なくとも部分的に、低いメタン細菌量を有することに起因するか、または低いメタン細菌量を有することに関連する疾患または状態には、これらに限定されないが、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、栄養不良、吸収不良、および/または再栄養症候群が含まれる。
【0148】
メタン細菌量が高い場合の疾患または状態を選択、指示(例えば、療法の指示)、または処置するための療法
メタン細菌の増殖を直接阻害し、それによって、高いメタン細菌量に起因または関連する疾患もしくは状態を治療するか、または高いメタン細菌量に起因もしくは関連する疾患または状態を有する可能性を低減する療法。
【0149】
様々な実施形態において、高いメタン細菌量が検出されたら、これらの療法を、単独で、または本明細書に記載されているとおりの疾患または状態を処置する既知の療法と同時に施すことができる。
【0150】
様々な実施形態において、1種の抗生物質または2種以上の抗生物質の組み合わせを、参照値よりも高いメタン細菌量を有する対象に選択および/または投与することができる。抗生物質の例には、これらだけに限定されないが、アミノグリコシド(例えば、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、パロモマイシン)、アンサマイシン(例えば、ゲルダナマイシン、ヘルビマイシン)、カルバセフェム(例えば、ロラカルベフ)、カルバペネム(例えば、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム、シラスタチン、メロペネム)、セファロスポリン(例えば、第1世代:セファドロキシル、セファゾリン、セファロチン(cefalotin)またはセファロチン(cefalothin)、セファレキシン;第2世代:セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、セフロキシム;第三世代:セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン;第4世代:セフェピム;第5世代:セフトビプロール)、グリコペプチド(例えば、テイコプラニン、バンコマイシン)、マクロライド(例えば、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシン、スペクチノマイシン)、モノバクタム(例えば、アズトレオナム)、ペニシリン(例えば、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリン、ピペラシリン、チカルシリン)、抗生物質ポリペプチド(例えば、バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンb)、キノロン(例えば、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン)、リファマイシン(例えば、リファンピシンまたはリファンピン、リファブチン、リファペンチン、リファキシミン)、スルホンアミド(例えば、マフェニド、プロントジル、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファニルアミド、スルファサラジン、スルフィソキサゾール、トリメトプリム、トリメトプリム-スルファメトキサゾール(コトリモキサゾール、「tmp-smx」)、およびテトラサイクリン(例えば、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノシクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン)、さらに、アルスフェナミン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リンコマイシン、エタンブトール、ホスホマイシン、フシジン酸、フラゾリドン、イソニアジド、リネゾリド、メトロニダゾール、ムピロシン、ニトロフラントイン、プラテンシマイシン、ピラジンアミド、キヌプリスチン/ダルホプリスチンの組み合わせ、およびチニダゾールが含まれる。
【0151】
様々な実施形態において、選択、または指示および/または投与される抗生物質は、リファキシミンである。選択、指示、および/または投与されるリファキシミン療法は、1日当たり2回または3回投与される200~2400mg/用量であってよい。様々な実施形態において、上記投薬量は、約50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、または700mg/用量であってよく、様々な実施形態において、上記リファキシミン療法を、1日1回、2回、3回、4回、または5回施すことができる。様々な実施形態において、上記療法を、5、7、10、14、15、20、21、または28日間にわたって施すことができる。様々な実施形態において、上記療法を、無治療期間後に、再び施すことができる。
【0152】
様々な実施形態において、選択および/または投与される抗生物質は、ネオマイシンである。選択、指示、および/または投与されるネオマイシン療法は、1日2回投与される500~1000mg/用量であってよい。様々な実施形態において、上記投薬量は、約100、200、300、400、500、600、700、750、1000、1100、1200、1300、1400、または1500mg/用量であってよい。様々な実施形態において、上記ネオマイシン療法を、1日1回、2回、3回、4回、または5回施すことができる。様々な実施形態において、上記療法を、5、7、10、14、15、20、21、または28日間にわたって施すことができる。様々な実施形態において、上記療法を、無治療期間後に、再び施すことができる。
【0153】
様々な実施形態において、選択および/または投与される抗生物質は、バンコマイシンである。選択、指示、および/または投与されるバンコマイシン療法は、1日当たり4回投与される約125mg/用量であってよい。様々な実施形態において、上記投薬量は、約50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、または500mg/用量であってよく、様々な実施形態において、上記バンコマイシンを、1日1回、2回、3回、4回、または5回投与することができる。様々な実施形態において、上記療法を、5、7、10、14、15、20、21、または28日間にわたって施すことができる。様々な実施形態において、上記療法を、無治療期間後に、再び施すことができる。
【0154】
様々な実施形態において、選択および/または投与される抗生物質は、メトロニダゾールである。選択、指示、および/または投与されるメトロニダゾール療法は、1日当たり3回投与される250~500mg/用量であってよい。様々な実施形態において、上記投薬量は、約50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、800、900、または1000mg/用量であってよい。様々な実施形態において、上記メトロニダゾール療法を、1日1回、2回、3回、4回、または5回施すことができる。様々な実施形態において、上記療法を、5、7、10、14、15、20、21、または28日間にわたって施すことができる。様々な実施形態において、上記療法を、無治療期間後に、再び施すことができる。
【0155】
様々な実施形態において、選択、指示、および/または投与される2種以上の抗生物質は、リファキシミンおよびネオマイシンである。様々な実施形態において、選択、指示、および/または投与される2種以上の抗生物質は、リファキシミンおよびメトロニダゾールである。
【0156】
特に有効な抗生物質は、非吸収性抗生物質であり得る。非吸収性抗生物質の例には、これらだけに限定されないが、リファキシミン、ネオマイシン、バシトラシン、バンコマイシン、テイコプラニン、ラモプラニン、およびパラモマイシン(paramomycin)が含まれる。
【0157】
一部の実施形態では、メタン細菌の増殖を阻害するプロバイオティクス薬剤、例えば、ビフィドバクテリウム属またはラクトバシラス属、例えば、L.acidophilus、L.rhamnosus、L.plantarum、L.reuteri、L.paracasei subsp.paracasei、もしくはL.casei Shirota、またはプロバイオティクスサッカロミセス属、例えば、S.cerevisiaeを選択および/または投与する。典型的には、カプセル剤などの薬学的に許容される摂取可能な製剤で投与されるか、または一部の対象では、接種源を補充された食品を消費することによって、メタン細菌の増殖を阻害するプロバイオティクス薬剤が有効であり、例えば、牛乳、ヨーグルト、チーズ、食肉、または他の発酵食品調製物である。これらのプロバイオティクス薬剤は、例えば、増殖についてメタン細菌と競合し、したがって、メタン細菌の増殖を低減または阻害することによって、メタン細菌の増殖を阻害することができる。
【0158】
様々な実施形態において、選択、指示、および/または施される療法は、低カロリー食であってよい。これは、特に、肥満、過体重である対象、あるいは前糖尿病性、糖尿病性、II型糖尿病性、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、高血糖であるか、もしくはそれが疑われるか、または高脂血症もしくは高コレステロールを有する対象に有益であり得る。
【0159】
様々な実施形態において、選択、指示、および/または施される療法は、低脂肪食であってよい。本発明者らの研究は、メタン細菌の増殖が、脂肪の存在下で増大することを示唆している。したがって、低脂肪食は、メタン細菌の増殖を阻害して、高いメタン細菌レベルに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を処置するか、またはこれらの疾患もしくは状態を有する可能性を低減することができる。
【0160】
様々な実施形態において、選択、指示、および/または施される療法は、成分栄養剤であってよい。「成分栄養剤」とも呼ばれる摂食可能な完全経腸栄養(TEN)製剤は市販されており、例えば、Vivonex(登録商標)T.E.N.(Sandoz Nutrition、Minneapolis、MN)およびそのバリアントなどである。有用な完全経腸栄養製剤は、対象の栄養要求をすべて満たし、遊離アミノ酸、炭水化物、脂質、およびすべての必須ビタミンおよびミネラルを含有するが、上部胃腸管において容易に吸収可能な形態であるので、メタン細菌から、メタン細菌が増殖のために以前は使用した栄養素の少なくとも一部の栄養素を奪うか、またはメタン細菌を「餓死させる」。したがって、メタン細菌の増殖が阻害される。
【0161】
様々な実施形態において、選択、指示、および/または施される療法は、モネンシンまたはスタチン(HMG-CoAレダクターゼ阻害薬)などのメタン生成の選択的阻害薬であってよい。スタチンは、非メタン細菌の増殖を有意に阻害することなく、メタン細菌の増殖を選択的に阻害することができる。スタチンの例には、これらだけに限定されないが、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン 、ロスバスタチン、およびシンバスタチンが含まれる。スタチンは、市販のロバスタチン(MEVACOR)、徐放性ロバスタチン(ALTOPREV)、プラバスタチン (PRAVACHOL)、シンバスタチン(ZOCOR)、フルバスタチン(LESCOL)、フルバスタチン24時間型(LESCOL XL)、アトルバスタチン(LIPITOR)、ロスバスタチン(CRESTOR)、ピタバスタチン(LIVALO))などであってよい。
【0162】
高いメタン細菌レベルに起因または関連する疾患または状態を処置するために選択および/または施すことができる療法
様々な実施形態において、高いメタン細菌量が検出されたら、上記疾患または状態を治療するこれらの療法を、単独で、または本明細書に記載されているとおりのメタン細菌の増殖を直接的に阻害する療法と共に施すことができる。
【0163】
投薬量および処置レジメンは、示されている疾患または状態について、製造者が示しているとおりであってよい。
【0164】
様々な実施形態において、選択、指示、および/または施される療法は、抗肥満薬であってよい。抗肥満薬の例には、これらだけに限定されないが、フェンテルミン、フェンテルミン/トピラマート、ゼニカル、ロルカセリン、およびリモナバンが含まれる。
【0165】
様々な実施形態において、選択、指示、および/または施される療法は、糖尿病前症、糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース不耐性、または高血糖症を処置する薬物またはそれらの組み合わせ薬物であってよい。薬物の例には、これらだけに限定されないが、アルファ-グルコシダーゼ阻害薬、アミリン類似体、ジペプチジルぺプチダーゼ-4阻害薬、GLP1アゴニスト、メグリチニド、スルホニル尿素、ビグアニド、チアゾリジンジオン(TZD)、およびインスリンが含まれる。薬物の追加の例には、ブロモクリプチンおよびウェルコールが含まれる。アルファ-グルコシダーゼ阻害薬の例には、これらだけに限定されないが、アカルボースおよびミグリトールが含まれる。アミリン類似体の例はプラムリンチドである。ジペプチジルぺプチダーゼ-4阻害薬の例には、これらだけに限定されないが、サクサグリプチン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、リナグリプチン、およびアログリプチンが含まれる。GLP1アゴニストの例には、これらだけに限定されないが、リラグルチド、エクセナチド、除放性エクセナチドが含まれる。メグリチニドの例には、これらだけに限定されないが、ナテグリニドおよびレパグリニドが含まれる。スルホニル尿素の例には、これらだけに限定されないが、クロルプロパミド、グリメピリド、グリピジド、グリブリド、トラザミド、およびトルブタミドが含まれる。ビグアニドの例には、これらだけに限定されないが、メトホルミン、リオメット、グルコファージ、グルコファージXR、グルメッツアが含まれる。チアゾリジンジオンの例には、これらだけに限定されないが、ロシグリタゾンおよびピオグリタゾンが含まれる。インスリンの例には、これらだけに限定されないが、アスパルト、デテミル、グラルギン、グルリジン、およびリスプロが含まれる。組み合わせ薬の例には、これらだけに限定されないが、グリピジド/メトホルミン、グリブリド/メトホルミン、ピオグリタゾン/グリメピリド、ピオグリタゾン/メトホルミン、レパグリニド/メトホルミン、ロシグリタゾン/グリメピリド、ロシグリタゾン/メトホルミン、サクサグリプチン/メトホルミン、シタグリプチン/シンバスタチン、シタグリプチン/メトホルミン、リナグリプチン/メトホルミン、アログリプチン/メトホルミン、およびアログリプチン/ピオグリタゾンが含まれる。
【0166】
様々な実施形態において、選択、指示、および/または施される療法は、高脂血症を治療するためのものである。そのような療法の例には、これらだけに限定されないが、スタチン(例えば、ロバスタチン(MEVACOR)、徐放性ロバスタチン(ALTOPREV)、プラバスタチン(PRAVACHOL)、シンバスタチン(ZOCOR)、フルバスタチン(LESCOL)、フルバスタチン24時間(LESCOL XL)、アトルバスタチン(LIPITOR)、ロスバスタチン(CRESTOR)、ピタバスタチン(LIVALO))、スタチン組み合わせ製品(例えば、徐放性ロバスタチン/ナイアシン(ADVICOR)、徐放性シンバスタチン/ナイアシン(SIMCOR)、シンバスタチン/エゼチミベ(VYTORIN)、アトルバスタチン/アムロジピン(CADUET)、シンバスタチン/シタグリプチン(JUVISYNC))、胆汁酸捕捉剤(例えば、コレスチポール(COLESTID)、コレスチラミン樹脂(例えば、PREVALITE、QUESTRAN)、コレセベラム(WELCHOL))、2-アゼチジノン(吸収阻害薬)(例えば、エゼチミベ(ZETIA))、フィブラート(例えば、フェノフィブラート(TRICOR、TRIGLIDE、FENOGLIDE、LIPOFEN、ANTARA、LOFIBRA)、ゲムフィブロジル(LOPID)、フェノフィブラート(FIBRICOR、TRILIPIX))、ナイアシン(例えば、ナイアシン(NIASPAN、SLO-NIACIN、Niacin ER))、オメガ-3脂肪酸(例えば、オメガ-3脂肪酸(LOVAZA)、イコサペントエチルE-EPA(VASCEPA)、およびロミタピド(JUXTAPID)が含まれる。
【0167】
様々な実施形態において、選択、指示、および/または施される療法は、便秘を治療するためのものである。そのような療法の例には、これらだけに限定されないが、緩下薬、食事、グアニル酸シクラーゼCアゴニスト、セロトニンアゴニスト、および塩素イオンチャネルアゴニストが含まれる。グアニル酸シクラーゼCアゴニストの例は、リナクロチドである。セロトニンアゴニストの例には、プルカロプリドおよびテガセロッドが含まれる。塩素イオンチャネルアゴニストの例には、ルビプロストンが含まれる。
【0168】
様々な実施形態において、選択、指示、および/または施される療法は、脂肪肝を治療するためのものである。そのような療法の例は、メトホルミンである。
【0169】
低いメタン細菌量または検出不可能なメタン細菌に起因または関連する疾患および状態を直接的または間接的に処置するために選択および/または施すことができる療法。
様々な実施形態において、低いメタン細菌量が検出されるか、または検出可能なメタン細菌量が決定されなかったら、メタン細菌の増殖を直接的に促進するか、またはメタン細菌のコロニー形成を直接的に提供するこれらの療法を、単独で、またはこれらの疾患もしくは状態を処置する既知の療法と同時に施すことができる。
【0170】
様々な実施形態において、選択、指示、および/または施される療法は、クローン病、潰瘍性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、栄養不良、吸収不良、および/または再栄養症候群を処置するためのものである。そのような治療の例は、メタン細菌の投与である。様々な実施形態において、上記メタン細菌は、メタノブレビバクター属からのものである。メタノブレビバクターの例には、これらだけに限定されないが、M.acididurans、M.arboriphilus、M.curvatus、M.cuticularis、M.filiformis、M.gottschalkii、M.millerae、M.olleyae、M.oralis、M.ruminantium、M.smithii、M.thaueri、M.woesei、およびM.woliniiが含まれる。ある種の実施形態では、上記メタノブレビバクターは、Methanobrevibacter smithii(M.Smithii)である。
【0171】
医薬組成物および投与経路
様々な実施形態において、本発明は、治療有効量の本明細書に記載の治療剤と共に薬学的に許容される添加剤を含む医薬組成物を提供する。
【0172】
「薬学的に許容される添加剤」は、おおむね安全で、非毒性で、かつ望ましい医薬組成物を調製する際に有用な添加剤を意味し、これには、獣医学的使用、さらにはヒト用の医薬的使用に許容される添加剤が含まれる。そのような添加剤は、固体、液体、半固体、または、エアロゾル組成物の場合には、気体であってよい。
【0173】
ある種の実施形態では、本発明の治療剤は、1個または複数個の酸性官能基を含有することがあり、したがって、薬学的に許容される塩基と共に薬学的に許容される塩を形成することができる。用語「薬学的に許容される塩、エステル、アミド、およびプロドラッグ」は、本明細書で使用する場合、適正な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などを伴うことなく患者の組織と接触させて使用するために適していて、合理的なベネフィット/リスク比に適合し、かつ本発明の化合物のその意図された使用に有効である本発明の化合物のカルボン酸塩、アミノ酸付加塩、エステル、アミド、およびプロドラッグを指す。用語「塩」は、本発明の化合物の相対的に非毒性の無機および有機酸付加塩を指す。これらの塩は、その場で、化合物の最終的な単離および精製の間に、または別に、その遊離塩基の形態の精製化合物を適切な有機酸または無機酸と反応させ、そうして形成した塩を単離することによって調製することができる。これらは、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属およびアルカリ土類金属に基づくカチオン、さらには、これだけに限定されないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム(anunonium)、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどを含めた、非毒性アンモニウム、第4級アンモニウム、およびアミンカチオンが含まれ得る(例えば、参照により本明細書に組み込まれるBerge S. M.ら(1977) J. Pharm. Sci. 66、1を参照されたい)。
【0174】
用語「薬学的に許容されるエステル」は、本発明の化合物の比較的非毒性のエステル化生成物を指す。これらのエステルは、その場で、化合物の最終的な単離および精製の間に、または別に、その遊離酸の形態またはヒドロキシルの精製化合物を適切なエステル化剤と反応させることによって調製することができる。カルボン酸は、触媒の存在下で、アルコールで処理することによってエステルに変換することができる。この用語はさらに、生理学的条件下で溶媒和され得る低級炭化水素、例えば、アルキルエステル、メチル、エチルおよびプロピルエステルを含むことが意図されている。
【0175】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩またはプロドラッグ」は、適正な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などを伴うことなく対象の組織と接触させて使用するために適していて、合理的なベネフィット/リスク比に適合し、かつその意図された使用に有効である塩またはプロドラッグである。
【0176】
用語「プロドラッグ」は、in vivoで急速に変換されて、機能的に活性な1種または複数種の本明細書において開示するとおりの化合物、またはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体をもたらす化合物を指す。詳細な論述が、両方とも参照により本明細書に組み込まれるT. HigachiおよびV. Stella、「Pro-drugs as Novel Delivery Systems」、Vol. 14 of the A. C. S. Symposium Series、およびBioreversible Carriers in: Drug Design、Edward B. Roche編、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987において提供されている。本明細書で使用する場合、プロドラッグは、in vivoに投与されると、代謝されるか、または別段に変換されて、上記化合物の生物学的、薬学的、または治療的に活性な形態になる化合物である。本明細書において開示するとおりの1種または複数種の化合物、またはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体のプロドラッグは、本明細書において開示するとおりの1種または複数種の化合物、またはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体の代謝安定性または輸送特徴を改変するか、副作用または毒性をマスキングするか、化合物のフレーバーを改善するか、または化合物の他の特徴もしくは特性を改変するように設計することができる。in vivoにおける薬力学的プロセスおよび薬物代謝の知識により、本明細書において開示するとおりの1種または複数種の化合物、またはその変異体、バリアント、類似体、もしくは誘導体の薬学的に活性な形態であれば、医薬分野の当業者は、一般に、上記化合物のプロドラッグを設計することができる(例えば、Nogrady (1985) Medicinal Chemistry A Biochemical Approach、Oxford University Press、N. Y.、388~392頁を参照されたい)。適切なプロドラッグを選択および調製するための従来の手順は、例えば、「Design of Prodrugs」、H. Bundgaard編、Elsevier、1985において記載されている。プロドラッグの適切な例には、対応する酸のメチル、エチル、およびグリセロールエステルが含まれる。
【0177】
様々な実施形態において、本発明による医薬組成物は、任意の投与経路による送達のために製剤化することができる。「投与経路」は、これだけに限定されないが、エアロゾル、経鼻、経口、経粘膜、経皮、または非経口を含めた当技術分野で公知の任意の投与経路を指し得る。
【0178】
「経皮」投与は、局所用クリーム剤もしくは軟膏剤を使用して、または経皮貼付剤によって達成することができる。
【0179】
「非経口」は、眼窩内、注入、動脈内、嚢内、心臓内、皮内、筋肉内、腹腔内、肺内、髄腔内、胸骨内、髄腔内、子宮内、静脈内、クモ膜下、被膜下、皮下、経粘膜、または経皮気管内を含めた、一般に注射を伴う投与経路を指す。非経口経路では、上記組成物は、注入または注射のための液剤もしくは懸濁剤の形態であってよいか、または凍結乾燥された散剤としてであってよい。非経口使用のための組成物は、単位剤形で(例えば、単回用量アンプルで)、または複数回用量を含有するバイアルで提供することができ、その中には、適切な防腐剤を加えることができる(下記を参照されたい)。
【0180】
上記組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、注入デバイス、もしくは埋め込み用の送達デバイスの形態であってよいか、または使用前に水または別の適切なビヒクルで再構成される乾燥粉末として存在してよい。活性薬剤(複数可)とは別に、上記組成物は、適切な非経口的に許容される担体および/または添加剤を含んでよい。活性薬剤(複数可)を、制御放出用のマイクロスフェア、マイクロカプセル、ナノ粒子、リポソームなどに組み込むことができる。さらに、上記組成物は、懸濁化剤、可溶化剤、安定剤、pH調節剤、張性調節剤、および/または分散剤を含み得る。
【0181】
上記で示したとおり、本発明による医薬組成物は、滅菌注射に適した形態であってよい。そのような組成物を調製するために、適切な活性薬剤(複数可)を、非経口的に許容される液体ビヒクルに溶解または懸濁させる。使用することができる許容されるビヒクルおよび溶媒には、水、適切な量の塩酸、水酸化ナトリウム、または適切な緩衝液の添加により適切なpHに調節された水、1,3-ブタンジオール、リンゲル液、デキストロース溶液、および等張性塩化ナトリウム溶液がある。水性製剤は、1種または複数種の防腐剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸エチル、またはp-ヒドロキシ安息香酸n-プロピル)を含有してもよい。上記化合物の1種が、水にわずかしか、またはほとんど溶解しない場合、溶解増強剤または可溶化剤を加えることができるか、または上記溶媒は、10~60%w/wのプロピレングリコールなどを含んでよい。
【0182】
ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの湿潤剤、乳化剤、および滑沢剤、さらには着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、および芳香剤、防腐剤、および抗酸化剤も、組成物中に存在してよい。
【0183】
薬学的に許容される抗酸化剤の例には:アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤;パルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロールなどの油溶性抗酸化剤;およびクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート化剤が含まれる。
【0184】
腸管内経路によって、上記医薬組成物は、錠剤、ゲルカプセル剤、糖衣錠剤、シロップ剤、懸濁剤、液剤、散剤、顆粒剤、乳剤、制御放出を可能にするマイクロスフェアもしくはナノスフェア、または脂質ベシクルもしくはポリマーベシクルの形態であってよい。非経口経路では、上記組成物は、注入用または注射用の液剤または懸濁剤の形態であってよい。
【0185】
局所経路では、本発明による化合物に基づく医薬組成物は、皮膚および粘膜を処置するために製剤化することができ、軟膏剤、クリーム剤、乳剤、膏薬、散剤、含浸パッド剤、液剤、ゲル剤、噴霧剤、ローション剤、または懸濁剤の形態である。これらは、制御放出を可能にするマイクロスフェアもしくはナノスフェア、または脂質ベシクルもしくはポリマーベシクル、またはポリマー貼付剤、およびヒドロゲル剤の形態であってもよい。これらの局所経路用組成物は、臨床的適応症に応じて、無水形態でも水性形態でもよい。
【0186】
眼経路では、点眼剤の形態であってよい。
【0187】
本発明による医薬組成物は、任意の薬学的に許容される担体を含有してもよい。「薬学的に許容される担体」は、本明細書で使用する場合、該当する化合物を、ある組織、器官、または身体の一部から、別の組織、器官、または身体の一部へと運搬または輸送することに関係する薬学的に許容される材料、組成物、またはビヒクルを指す。例えば、上記担体は、液体または固体の増量剤、希釈剤、添加剤、溶媒、またはカプセル封入材料、またはそれらの組み合わせであってよい。担体の各構成要素は、それが製剤の他の成分と適合性でなければならという点で、「薬学的に許容され」なければならない。また、これは、接触し得る任意の組織または器官と接触させて使用するために適していなければならず、その治療効果よりも過剰に重大な毒性、刺激、アレルギー応答、免疫原性、またはあらゆる他の合併症のリスクを帯びていてはならないことを意味する。
【0188】
本発明による医薬組成物は、経口投与のためにカプセル封入されていても、錠剤化されていても、または乳剤もしくはシロップ剤で調製されていてもよい。薬学的に許容される固体または液体担体を加えて、上記組成物を増強もしくは安定化するか、または上記組成物の調製を促進することができる。液体担体には、シロップ、ラッカセイ油、オリブ油、グリセリン、生理食塩水、アルコール、および水が含まれる。固体担体には、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム、二水和物、石膏、ステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸、タルク、ペクチン、アラビアゴム、寒天、またはゼラチンが含まれる。上記担体は、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリルなどの徐放性材料を単独で、またはろうと組み合わせて含むことができる。
【0189】
医薬製剤を、錠剤の形態では、粉砕、混合、造粒、および必要な場合には圧縮;または硬ゼラチンカプセル剤の形態では、粉砕、混合、および充填を伴う薬学の従来技術に従って作製する。液体担体を使用する場合には、上記製剤は、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤、または水性もしくは非水性懸濁剤の形態である。そのような液体製剤は、そのまま経口で投与するか、または軟ゼラチンカプセル剤に充填することができる。
【0190】
本発明による医薬組成物は、治療有効量で送達することができる。正確な治療有効量は、所与の対象における処置の有効性の点において、最も有効な結果をもたらす組成物の量である。この量は、これだけに限定されないが、治療用化合物の特徴(活性、薬物動態、薬力学、および生物学的利用能を含む)、対象の生理学的状態(年齢、性別、疾患の種類および段階、全身の身体的状態、所与の投薬に対する応答性、ならびに薬物の種類)、製剤中の薬学的に許容される1種または複数種の担体の性質、および投与経路を含めた様々な因子に応じて変動する。臨床分野および薬理分野の当業者であれば、日常的な実験によって、例えば、化合物の投与に対する対象の応答をモニターし、それに応じて投薬量を調節することによって、治療有効量を決定することができる。追加のガイダンスについては、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (Gennaro編、第20版、Williams & Wilkins PA、USA) (2000)を参照されたい。
【0191】
治療有効量の治療剤の典型的な投薬量は、製造者が推奨する、既知の治療用化合物が使用される範囲内であってよく、また、in vitro応答または動物モデルにおける応答によって当業者に示されるとおりである。そのような投薬量は典型的には、関連する生物学的活性を失うことなく、濃度または量を約1桁ほど低減することができる。したがって、実際の投薬量は、医師の判断、患者の状態、およびベースとなっている治療方法の有効性に依存し得る。
【0192】
メタン細菌またはメタン細菌栄養共生微生物の測定
様々な実施形態において、増幅ベースのアッセイを使用して、メタン細菌の量またはメタン細菌栄養共生微生物の量を測定することができる。そのような増幅ベースのアッセイでは、核酸配列は、増幅反応(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)におけるテンプレートとして働く。定量増幅では、増幅産物の量は、元の試料におけるテンプレートの量に比例する。適切な対照、例えば、健康な試料と比較することで、メタン細菌量の測定が得られる。
【0193】
「定量」増幅の方法は、当業者によく知られている。例えば、定量PCRは、同じプライマーを使用して、既知の量の対照配列を同時に同時増幅することを伴う。これによって、PCR反応を校正するために使用することができる内標準が得られる。定量PCRのための詳細なプロトコルは、Innisら(1990) PCR Protocols、A Guide to Methods and Applications、Academic Press,Inc. N.Y.)において提示されている。定量PCR分析を使用してのマイクロサテライト領域でのDNAコピー数の測定は、Ginzongerら(2000) Cancer Research 60:5405~5409に記載されている。その遺伝子についての既知の核酸配列は、当業者が、その遺伝子の任意の一部を増幅するためのプライマーを常套的に選択することを十分に可能にする。蛍光定量PCRも、本発明の方法において使用することができる。蛍光定量PCRでは、定量は、蛍光シグナル、例えば、TaqManおよびsybrグリーンの量に基づく。
【0194】
他の適切な増幅方法には、これらだけに限定されないが、リガーゼ鎖反応(LCR)(WuおよびWallace(1989) Genomics 4: 560、Landegrenら(1988) Science 241:1077、およびBarringerら(1990) Gene 89: 117を参照されたい)、転写増幅(Kwohら(1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 1173)、自己持続配列複製(Guatelliら(1990) Proc. Nat. Acad. Sci. USA 87: 1874)、ドットPCR、およびリンカーアダプターPCRなどが含まれる。
【0195】
本明細書において提供する方法のなお他の実施形態では、個々の核酸分子(またはそれらの増幅産物)の配列決定を行う。一実施形態では、配列決定を決定する前に、核酸分子集団から単一核酸分子を単離するハイスループット平行配列決定技術を使用することができる。そのようなストラテジーは、限定ではないが、Illumina/Solexa(the Genome Analyzer; Bennettら(2005) Pharmacogenomics、6:373-20 382)、Applied Biosystems,Inc.(the SOLiD Sequencer; solid.appliedbiosystems.com)、Roche(例えば、the 454 GS FLX sequencer; Marguliesら(2005) Nature、437:376~380;米国特許第6,274,320号;同第6,258,568号;同第6,210,891号)、Helicos Biosciences製のHeliscope(商標)システム(例えば、米国特許出願公開第2007/0070349号を参照されたい)などによって開発されたものなどの当技術分野で周知の配列決定機および/またはストラテジーを含めた、いわゆる「次世代配列決定システム」を使用することができる。例えば、国際出願PCT/GB2009/001690(公開番号WO/2010/004273)に記載されているとおりの確立配列決定(例えば、Oxford Nanoporeによって開発されたとおりのもの)などの他の配列決定ストラテジーを使用することもできる。
【0196】
本明細書において提供する方法のなお他の実施形態では、大規模配列決定を使用して、上記メタン細菌またはメタン細菌栄養共生微生物を同定および定量化することができる。これらの技術は、当技術分野で公知である。
【0197】
核酸試料の調製
A.核酸単離
メタン細菌量を決定するために本発明の方法で使用することができる、対象からの生体試料に由来する核酸試料は、当技術分野で周知の手段によって調製することができる。例えば、外科手術または針生検吸引を、対象からの生体試料に対して使用することができる。
【0198】
一実施形態では、参照値を計算するために使用する核酸試料は、その種の少なくとも1、2、5、10、20、30、40、50、100、または200の異なる生物から採取する。本発明のある種の態様では、本発明の方法で使用するとおりのゲノムDNA「に由来する」核酸は、制限酵素消化および/または他の核酸への連結によって生成されたゲノム核酸の断片、および/またはゲノム核酸の増幅生成物、またはプレメッセンジャーRNA(プレmRNA)、プレmRNAの増幅産物、または例えば、「ショットガン」クローニング法によって生成され、クローニングベクター中で増殖させたゲノムDNA断片であってよい。ある種の実施形態では、ゲノム核酸試料を、制限酵素で消化する。
【0199】
B.核酸の増幅
上記核酸試料は、増幅された核酸を含む必要はないが、一部の実施形態では、単離した核酸を、増幅の利点を必要とし、かつ/または増幅を利用する手法でプロセシングすることができる。対象からの生体試料のゲノムDNA試料を、場合により、制限エンドヌクレアーゼを使用して断片化し、かつ/または分析を決定する前に増幅することができる。一実施形態では、上記DNA断片を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して増幅する。PCRを実行するための方法は、当業者によく知られている。PCRの優位性の1つは、少量のDNAを使用することができることである。例えば、対象からの生体試料に由来するゲノムDNAは、DNA約150ng、175ng、200ng、225ng、250ng、275ng、または300ngであればよい。
【0200】
本発明の方法のある種の実施形態では、対象からの生体試料に由来する核酸を、単一のプライマー対を使用して増幅する。例えば、ゲノムDNA試料を、制限エンドヌクレアーゼで消化して、ゲノムDNAの断片を生成することができ、次いで、これを、プライマー対が認識するアダプターDNA配列に連結する。本発明の方法の他の実施形態では、対象からの生体試料に由来する核酸を、メタン細菌に特異的なプライマー対のセットを使用して増幅する。そのようなプライマー対のセットはそれぞれ、上記遺伝子に隣接するゲノムDNA配列を認識し、その際、メタン細菌の検出または定量化も評価することができる。ハイブリッド形成に適したDNA試料は、例えば、ゲノムDNA、ゲノムDNAの断片、アダプター配列に連結されたゲノムDNAの断片、またはクローニングされた配列のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅によって得ることができる。所望の特異性および最適な増幅特性を有するプライマーを設計する際に、Oligo version 5.0(National Biosciences)などの、当技術分野では周知のコンピュータープログラムを使用することができる。PCR方法は、当技術分野で周知であり、例えば、Innisら編、1990、PCR Protocols: A Guide to Methods And Applications, Academic Press Inc.、San Diego, Califに記載されている。制御ロボットシステムが、核酸を単離および増幅するために有用であり、使用することができることは、当業者には明らかである。
【0201】
対象からの生体試料のゲノムDNAを、制限エンドヌクレアーゼを使用して断片化し、分析前に増幅する他の実施形態では、上記増幅は、対象からの生体試料のゲノムDNAの複数の領域をクローニングすることを含む。そのような方法では、上記DNA領域の増幅を、クローニングプロセスによって達成する。例えば、発現ベクターを、対象からの生体試料のゲノムDNAの特定の断片を大量に発現するように操作することができる(SambrookおよびRussel、Molecular Cloning: A Laboratory Manual 4th ed.、Cold Spring Harbor Laboratory Press(Cold Spring Harbor、NY 2012))。
【0202】
分析前に、対象からの生体試料のDNAを、制限エンドヌクレアーゼを使用して断片化し、増幅するまた他の実施形態では、上記増幅は、対象からの生体試料に由来する遺伝子をコードする核酸、または核酸の遺伝子および隣接するゲノム領域の発現を含む。次いで、イントロンを含めた全トランスクリプトを含むRNA(プレメッセンジャーRNA)を単離し、メタン細菌量を分析および提示する本発明の方法において使用する。ある種の実施形態では、増幅は必要ない。そのような実施形態では、対象の生体試料からのゲノムDNAまたはプレRNAを、制限エンドヌクレアーゼまたは他の方法を使用して、断片化することができる。その結果生じた断片を、SNPプローブとハイブリッド形成させることができる。典型的には、断片を増幅する必要のあるDNAまたはプレmRNAの量と比較すると、より大量のDNAを単離する必要がある。例えば、対象からの生体試料に由来する核酸を増幅しない場合、ハイブリッド形成で使用するための対象からの生体試料のDNA試料は、DNA約400ng、500ng、600ng、700ng、800ng、900ng、または1000ng以上であり得る。別法で、他の実施形態では、分子反転プローブ(MIP)アッセイのために使用されるような、分析に400ng、300ng、200ng、100ng、90ng、85ng、80ng、75ng、70ng、65ng、60ng、55ng、50ng未満などの非常に少量の核酸を必要とする方法を使用する。これらの技術は、容易に利用可能であるが、一般に、わずかなDNA量(例えば、少量の断片化DNA)を有し、かつ/または大量の核酸が得られないことを特徴とするパラフィン包埋ホルマリン固定材料または小型コア針生検などの臨床試料を分析するために特に有用である。
【0203】
C.ハイブリッド形成
本発明の方法で使用する対象からの生体試料に由来する核酸試料を、メタン細菌を同定および/または定量化するために、プローブ(例えば、オリゴヌクレオチドプローブ)を含むアレイとハイブリッド形成させることができる。ある種の実施形態では、本発明の方法で使用するプローブは、DNAチップにタイリングされていてよいプローブのアレイ(例えば、SNPオリゴヌクレオチドプローブ)を含む。一部の実施形態では、上記メタン細菌を、制限酵素消化された核酸断片のサイズ変化の検出を含まない方法によって検出する。他の実施形態では、SNPを分析して、メタン細菌を同定または定量化する。本発明の方法で使用するハイブリッド形成および洗浄条件は、本発明により分析する核酸試料が、アレイの相補的オリゴヌクレオチド配列と、好ましくは、その相補的DNAが位置する特異的アレイ部位と特異的に結合するか、または特異的にハイブリッド形成するように選択する。一部の実施形態では、上記相補的DNAは、例えば、MIPアッセイにおいてSNPを分析するために使用されるものなどのAffymetrixオリゴヌクレオチドアレイで使用されるように、完全にマッチしているか、または多少ミスマッチであってよい。例えば、自己相補性配列によって形成するヘアピンまたはダイマーを除去するために、アレイの一本鎖合成オリゴデオキシリボ核酸DNAプローブを、対象からの生体試料の核酸試料と接触させる前に、変性させる必要があることがある。
【0204】
最適なハイブリッド形成条件は、プローブの長さおよび対象からの生体試料に由来する核酸試料の種類に左右される。核酸に特異的な(すなわち、ストリンジェントな)ハイブリッド形成条件のための一般的なパラメーターは、SambrookおよびRussel、Molecular Cloning: A Laboratory Manual 4th ed.、Cold Spring Harbor Laboratory Press (Cold Spring Harbor、NY 2012);Ausubelら編、1989、Current Protocols in Molecules Biology、Vol. 1、Green Publishing Associates, Inc.、John Wiley & Sons, Inc.、New York、pp. 2.10.1~2.10.16に記載されている。例示的で有用なハイブリッド形成条件は、Tijessen、1993、Hybridization with Nucleic Acid Probes、Elsevier Science Publishers B. V. and Kricka、1992、Nonisotopic DNA Probe Techniques、Academic Press、San Diego, Califに提示されている。
【0205】
D.オリゴヌクレオチド核酸アレイ
本発明の方法の一部の実施形態では、DNAアレイを使用して、相補性配列を含むメタン細菌量を評価することができる。ハイブリッド形成を使用して、メタン細菌の存在および/または量を決定することができる。オリゴヌクレオチド「プローブ」(すなわち、既定の配列を有する核酸分子)を使用するDNAアレイの様々な形式が、当業者によく知られている。典型的には、それぞれ異なる試料が、所定の領域に固定化されるように、そのそれぞれが規定の配列を有する核酸プローブのセットを、固体支持体上に固定化する。ある種の実施形態では、上記プローブのセットは、支持体上で位置アドレス指定可能な(positionally-addressable)結合(例えば、ハイブリッド形成)部位のアレイを形成する。そのような結合部位はそれぞれ、支持体上の所定の領域に結合したプローブの多数のオリゴヌクレオチド分子を含む。より具体的には、各プローブの同一性(すなわち、配列)を、アレイ上の(すなわち、支持体または表面上の)その位置から決定することができるように、アレイの各プローブを好ましくは、固体支持体上の既知の所定の位置に位置させる。マイクロアレイは、そのうちの一部は本明細書に記載されているいくつかの方法で作製することができる。しかしながら、作製するマイクロアレイは、一定の特徴を共有し、それらは再現可能であるので、所与のアレイの多数のコピーを作成し、相互に容易に比較することができる。
【0206】
ある種の実施形態では、マイクロアレイを、結合(例えば、核酸ハイブリッド形成)条件下で安定な材料から作製する。マイクロアレイは、好ましくは、小さく、例えば、約1cmから25cmの間、好ましくは約1~3cmである。しかしながら、より大きいアレイおよび小さいアレイの両方ともが企図され、例えば、非常に多数の異なるプローブを同時に評価するために好ましいことがある。オリゴヌクレオチドプローブを、アレイを形成する支持体上で直接合成することができる。上記プローブは、例えば、ガラス、プラスチック(例えば、ポリプロピレン、ナイロン)、ポリアクリルアミド、ニトロセルロース、ゲル、または他の多孔性もしくは非多孔性材料から作製されていてよい固体支持体または表面に付着させることができる。固定化プローブのセットまたは固定化プローブのアレイを、標識核酸種を含有する試料と接触させて、固定化プローブに相補的な配列を有する核酸が、プローブとハイブリッド形成するか、または結合するようにする。例えば洗い流すことによって、結合しなかった材料をすべて分離した後に、結合した標識配列を検出および測定する。その測定を典型的には、コンピューター支援を受けて行う。DNAアレイアッセイを使用して、標識核酸の複合体混合物、例えば、ゲノムDNAの制限消化に由来する核酸断片を分析することができる。
【0207】
ある種の実施形態では、高密度オリゴヌクレオチドアレイを、本発明の方法で使用する。表面上の規定の位置に、既定の配列に相補的な数千のオリゴヌクレオチドを含有するこれらのアレイを、例えば、フォトリソグラフィ技術によって、その表面上にin situで合成することができる(例えば、Fodorら、1991、Science 251:767~773;Peaseら、1994、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91:5022~5026; Lockhartら、1996、Nature Biotechnology 14:1675;米国特許第5,578,832号;同第5,556,752号;同第5,510,270号;同第5,445,934号;同第5,744,305号;および同第6,040,138号を参照されたい)。in situオリゴヌクレオチド合成のためにインクジェット技術を使用してアレイを生成するための方法も、当技術分野で公知である(例えば、Blanchard、国際特許公開WO98/41531、1998年9月24日公開;Blanchardら、1996、Biosensors And Bioelectronics 11:687~690;Blanchard、1998、Synthetic DNA Arrays in Genetic Engineering、Vol. 20、J. K. Setlow編、Plenum Press、New York、111~123頁を参照されたい)。表面に核酸を付着させるための別の方法は、Schenaら(1995、Science 270:467~470)によって一般的に記載されたように、ガラスプレート上に印刷する方法である。例えば、マスキングによってマイクロアレイを作製するための他の方法(MaskosおよびSouthern、1992、Nucl.Acids. Res.20:1679~1684)も使用することができる。これらの方法を使用する場合、既知の配列のオリゴヌクレオチド(例えば、15~60マー)を、誘導体化ガラススライドなどの表面上で直接合成する。生成されるアレイは、複数のオリゴヌクレオチド分子で重複していてよい。
【0208】
DNAアレイのオリゴヌクレオチドプローブを生成するための例示的な方法の1つは、例えば、N-ホスホナートまたはホスホラミダイト化学(Froehlerら、1986、Nucleic Acid Res.14:5399~5407;McBrideら、1983、Tetrahedron Lett.24:246~248)を使用して、合成ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドを合成することによる方法である。合成配列は、典型的には、約15から約600塩基長の間、より典型的には約20から約100塩基長の間、最も好ましくは、約40から約70塩基長の間である。一部の実施形態では、合成核酸は、限定ではないが、イノシンなどの非天然塩基を含む。上記のとおり、核酸類似体を、ハイブリッド形成のための結合部位として使用することができる。適切な核酸類似体の例は、ペプチド核酸(例えば、Egholmら、1993、Nature 363:566~568;米国特許第5,539,083号を参照されたい)である。代替の実施形態では、上記ハイブリッド形成部位(すなわち、プローブ)を、SNPに対応するゲノムDNAまたはその補体のプラスミドまたはファージクローンから作製する。本発明の方法で使用されるオリゴヌクレオチドプローブのサイズは、少なくとも10、20、25、30、35、40、45、または50ヌクレオチド長であってよい。ハイブリッド形成は、相補性配列については選択的であるが、完全に相補的ではない他の配列も、ある程度のレベルで所与のプローブとハイブリッド形成し得ることは、当技術分野でよく知られている。したがって、試料のハイブリッド形成を最適化するために、わずかな変化を伴う複数のオリゴヌクレオチドプローブを使用することができる。ハイブリッド形成をさらに最適化するために、ハイブリッド形成ストリンジェンシー条件、例えば、ハイブリッド形成温度および塩濃度を、当技術分野で周知の方法によって改変することができる。
【0209】
ある種の実施形態では、本発明の方法で使用される高密度オリゴヌクレオチドアレイは、メタン細菌に対応するオリゴヌクレオチドを含む。
【0210】
E.標識付け
一部の実施形態では、本発明の方法で使用する核酸試料、その断片、または断片を検出可能に標識付けする。例えば、検出可能な標識は、例えば、ヌクレオチド類似体に組み込むことによる、蛍光標識であってよい。本発明において使用するために適した他の標識には、これらだけに限定されないが、ビオチン、イミノビオチン、抗原、補因子、ジニトロフェノール、リポ酸、オレフィン化合物、検出可能なポリペプチド、電子豊富な分子、基質との作用によって検出可能なシグナルを発生することができる酵素、および放射性同位体が含まれる。
【0211】
本発明の方法と併せて使用することができる放射性同位体には、これらだけに限定されないが、32Pおよび14Cが含まれる。本発明に適した蛍光分子には、これらだけに限定されないが、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、テキサスレッド、5'カルボキシ-フルオレセイン(「FAM」)、2'、7'-ジメトキシ-4'、5'-ジクロロ-6-カルボキシ-フルオレセイン(「JOE」)、N、N、N'、N'-テトラメチル-6-カルボキシ-ローダミン(「TAMRA」)、6-カルボキシ-X-ローダミン(「ROX」)、HEX、TET、IRD40、ならびにIRD41が含まれる。
【0212】
本発明による使用に適した蛍光分子には、さらに、これだけに限定されないが、Cy2、Cy3、Cy3.5、CY5、Cy5.5、Cy7、およびFLUORXを含めたシアニン色素; これだけに限定されないが、BODIPY-FL、BODIPY-TR、BODIPY-TMR、BODIPY-630/650、およびBODIPY-650/670を含めたBODIPY色素;ならびにこれだけに限定されないが、ALEXA-488、ALEXA-532、ALEXA-546、ALEXA-568、およびALEXA-594を含めたALEXA色素;さらに、当業者に公知の他の蛍光色素が含まれる。本発明に適した電子豊富なインジケーター分子には、これらだけに限定されないが、フェリチン、ヘモシアニン、およびコロイド金が含まれる。
【0213】
二色蛍光標識付けおよび検出スキームも、使用することができる(Shenaら、1995、Science 270:467~470)。2種以上の標識の使用は、実験条件(例えば、ハイブリッド形成条件)における僅かな相違によって、変化を検出する際に有用であり得る。本発明の一部の実施形態では、異なる色の少なくとも5、10、20、または100種の色素を、標識付けのために使用することができる。そのような標識付けによって、多数の試料を同時に分析することも可能となり、これは、本発明に包含される。
【0214】
本発明の方法で使用することができる標識付けされた核酸試料、その断片、またはアダプター領域に連結されたその断片を、ハイブリッド形成するプローブと相補的な配列を有する核酸のサンプリングを可能にする条件下で、複数のオリゴヌクレオチドプローブに接触させる。使用された標識の種類に応じて、そのハイブリッド形成シグナルを、これだけに限定されないが、X線フィルム、ホスホイメージャー、またはCCDカメラを含めた当業者によく知られている方法を使用して検出することができる。蛍光標識付けされたプローブを使用する場合、転写物アレイの各部位でのその蛍光発光を、好ましくは、走査型共焦点レーザー顕微鏡によって検出することができる。一実施形態では、適切な励起ラインを使用する別の走査を、使用される2種のフルオロフォアのそれぞれについて実施する。別法では、2種のフルオロフォアに特異的な波長での同時の試料照明を可能にするレーザーを使用することができ、その2種のフルオロフォアからの発光を同時に分析することができる(Shalonら(1996) Genome Res. 6、639~645を参照されたい)。好ましい実施形態では、上記アレイを、コンピューター制御されたX-Yステージおよび顕微鏡対物レンズを備えたレーザー蛍光スキャナーで走査する。2種のフルオロフォアの連続励起は、マルチライン混合ガスレーザーで実現し、発光された光を、波長ごとにスプリットし、2つの光電子増倍管で検出する。そのような蛍光レーザー走査デバイスは、例えば、Schenaら(1996) Genome Res. 6、639~645において記載されている。別法では、Fergusonら(1996) Nat.Biotech.14、1681~1684によって記載されているものなどの、光ファイババンドルを使用することができる。次いで、コンピューターソフトウェアを使用して、その結果生じたシグナルを分析して、メタン細菌量を決定することができる。
【0215】
F.メタン細菌量を分析するためのアルゴリズム
ハイブリッド形成シグナルを検出したら、その結果生じたデータを、アルゴリズムを使用して分析することができる。ある種の実施形態では、メタン細菌を定量するためのアルゴリズムは、周知の方法に基づく。
【0216】
G.コンピューター実行システムおよび方法
ある種の実施形態では、本発明の方法は、メタン細菌量を計算するためのコンピュータープログラムを実行する。例えば、コンピュータープログラムを使用して、本明細書に記載のアルゴリズムを行うことができる。コンピューターシステムは、異なるハイブリッド形成測定において平衡へと近づく間の多数のハイブリッド形成シグナル変化/プロファイルを含み、本発明の方法の実行においてコンピューターシステムによって使用することができる本発明の方法によって生成したデータを記憶および操作することもできる。ある種の実施形態では、コンピューターシステムは、プローブハイブリッド形成データを受信し;(ii)プローブハイブリッド形成データを記憶し;(iii)プローブハイブリッド形成データを比較して、メタン細菌の量を決定する。その量が、参照値よりも高いか、または低いかを計算する。一部の実施形態では、コンピューターシステムは、(i)メタン細菌量を閾値または参照値と比較し;(ii)上記メタン細菌量が閾値または参照値を上回るか、もしくは下回るかどうかの表示、または上記表示に基づき疾患または状態の存在を出力する。ある種の実施形態では、そのようなコンピューターシステムも、本発明の一部と判断する。
【0217】
バイオインフォマティクスおよび/またはコンピューター分野の当業者が有する知識によって本発明の分析方法を実行するために、多数の種類のコンピューターシステムを使用することができる。
【0218】
いくつかのソフトウェアコンポーネントを、そのようなコンピューターシステムの動作中にメモリにロードすることができる。上記ソフトウェアコンポーネントは、当技術分野で標準的なソフトウェアコンポーネントおよび本発明に特化したコンポーネント(例えば、Linら(2004) Bioinformatics 20、1233~1240に記載のdCHIPソフトウェア;Silverら(2007) Cell 128、991~1002に記載のCRLMMソフトウェア;Richardsonら(2006) Cancer Cell 9、121~132に記載のAroma Affymetrixソフトウェア)の両方を含んでよい。本発明の方法を、使用される特異的アルゴリズムを含めた式の記号入力およびプロセシングのハイレベル仕様を可能にする数理ソフトウェアパッケージにプログラミングまたはモデリングし、それによって、使用者が、個別の式およびアルゴリズムを手順的にプログラミングする必要を無くすこともできる。そのようなパッケージには、例えば、Mathworks製のMatlab(Natick、Mass.)、Wolfram Research製のMathematica(Champaign、Ill.)、またはMathSoft製のS-Plus(Seattle、Wash.)が含まれる。ある種の実施形態では、上記コンピューターは、ハイブリッド形成シグナルプロファイルを記憶するためのデータベースを含む。メタン細菌量を計算するために、そのような記憶プロファイルにアクセスし、それを使用することができる。
【0219】
非限定的実施例では、図23は、1個または複数個のプロセッサー1300、および1個または複数個のプロセッサー1300によって実行するための1つまたは複数のプログラム1600を記憶するメモリ1500を含むデバイスまたはコンピューターシステム1000を図示している。
【0220】
一部の実施形態では、上記デバイスまたはコンピューターシステム1000は、デバイスまたはコンピューターシステム1000の1個または複数個のプロセッサー1300によって実行するための1つまたは複数のプログラム1600を記憶するための非一時的コンピューターリーダブル記憶媒体1700をさらに含んでよい。
【0221】
一部の実施形態では、上記デバイスまたはコンピューターシステム1000は、1個または複数個のインプットデバイス1100をさらに含んでよく、これらは、外部デバイス(図示せず)、1個または複数個のプロセッサー1300、メモリ1500、非一時的コンピューターリーダブル記憶媒体1700、および1個または複数個のアウトプットデバイス1900からなる群のいずれか1つへ、またはいずれか1つから情報を送信または受信するように構成されていてよい。
【0222】
一部の実施形態では、上記デバイスまたはコンピューターシステム1000は、1個または複数個のアウトプットデバイス1900をさらに含むことができ、これらは、外部デバイス(図示せず)、1個または複数個のプロセッサー1300、メモリ1500、および非一時的コンピューターリーダブル記憶媒体1700からなる群のいずれか1つへ、またはいずれか1つから情報を送信または受信するように構成されていてよい。
【0223】
上記で同定したモジュールまたはプログラムはそれぞれ、本発明が記載するとおりの機能を行うための一連の指示に対応する。これらのモジュールおよびプログラム(すなわち、一連の指示)を別々のソフトウェアプログラム、手順、またはモジュールとして実行する必要はなく、したがって、様々な実施形態において、これらのモジュールの様々なサブセットを組み合わせるか、または別段に再配置することができる。一部の実施形態では、メモリは、上記で同定したモジュールおよびデータ構造のサブセットを記憶することができる。さらに、メモリは、上記に記載しなかった追加のモジュールおよびデータ構造を記憶することもできる。
【0224】
本開示において例示する態様は、特定のタスクが、コミュニケーションネットワークによってつながっている遠隔のプロセシングデバイスによって行われる分散型コンピューティング環境においても実行することができる。分散型コンピューティング環境では、プログラムモジュールは、局所および遠隔のメモリ記憶デバイスの両方に位置してよい。
【0225】
さらに、本明細書に記載の様々なコンポーネントが、本技術革新(複数可)の実施形態を実行するために適切な価値のあるコンポーネントおよび回路素子を含み得る電気回路(複数可)を含んでよいことは分かるであろう。さらに、様々なコンポーネントの多くを、1個または複数個の集積回路(IC)チップ上に実装することができることは分かるであろう。例えば、一実施形態では、コンポーネントのセットを、単一のICチップ上に実装することができる。他の実施形態では、1個または複数個の個々のコンポーネントを、別々のICチップ上に製作または実装する。
【0226】
上記には、本発明の実施形態の例が含まれる。もちろん、特許請求の範囲に記載された対象物を記載するために、コンポーネントまたは方法のすべての考えられる組み合わせを記載することは不可能であるが、本技術革新の多くのさらなる組み合わせおよび置き換えが可能であることは分かるであろう。したがって、特許請求の範囲に記載された対象物は、添付の特許請求の範囲の意図および範囲内に該当するすべてのそのような改変、変更、および変形を包含することが意図されている。さらに、本開示において例示する実施形態の上記の記載は、要約書において記載することを含めて、網羅的であるか、または開示の実施形態を、開示されている正確な形態に限定することを意図したものではない。具体的な実施形態および実施例を、例示の目的で本明細書に記載しているが、関連する分野の当業者であれば分かるとおり、そのような実施形態および実施例の範囲内と考えられる様々な変更形態が可能である。
【0227】
上記コンポーネント、デバイス、回路、システムなどによって行われる様々な機能について特に、またそれらに関して、そのようなコンポーネントを記載するために使用する用語は、別段に示さない限り、開示されている構造と構造的には同等でなくても、特許請求の範囲に記載された対象物の本明細書において例示されている例示的な態様において機能を果たす記載のコンポーネントの規定の機能を行う任意のコンポーネント(例えば、機能的同等物)に対応することが意図されている。この点について、本技術革新は、システム、さらには、特許請求の範囲に記載された対象物の様々な方法の動作および/または事象を行うためにコンピューター実行可能な指示を有するコンピューターリーダブル記憶媒体を含むことは分かるであろう。
【0228】
上述のシステム/回路/モジュールは、いくつかのコンポーネント/ブロックの間の相互作用について記載されている。そのようなシステム/回路およびコンポーネント/ブロックは、上述の様々な置き換えおよび組合せに従って、これらのコンポーネントまたは既定のサブコンポーネント、規定のコンポーネントまたは既定のサブコンポーネントの一部、および/または追加のコンポーネントを含み得ることは、分かり得るであろう。サブコンポーネントはまた、親コンポーネント内に含まれている(階層的)のではなく、他のコンポーネントにコミュニケーションによってつなげられているコンポーネントとして実装することができる。加えて、1個または複数個のコンポーネントを、単一のコンポーネントに組み合わせて、機能を集合させることができるか、または、複数の別々のサブコンポーネントに分割することができ、集積機能を得るために、そのようなコンポーネントにコミュニケーションでつながる管理層などの任意の1個または複数個の中間層を提供することができることは特記すべきである。本明細書に記載のコンポーネントはいずれも、本明細書に具体的に記載していないが当業者には公知の1個または複数個の他のコンポーネントと相互作用してもよい。
【0229】
加えて、本技術革新の特定の特徴が、いくつかの実施態様の1つのみに関して開示されていることもあるが、任意の所与の用途または特定の用途に望ましく、有利であり得るように、そのような特徴を、他の実施態様の1つまたは複数の他の特徴と組み合わせることができる。さらに、用語「~を含む」、「~を含むこと」、「~を有する」、「~を含有する」、そのバリアント、および他の同様の語句が、詳細な説明また特許請求の範囲のいずれかにおいて使用されている限り、これらの用語は、任意の追加のまたは他の要素を排除することのない開放移行(open transition)としての用語「~を含むこと」と同様に、包括的であることを意図されている。
【0230】
本出願において使用する場合、用語「コンポーネント」、「モジュール」、「システム」などは、一般に、ハードウェア(例えば、回路)、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、ソフトウェアのいずれかのコンピューター関連実体、または1つまたは複数の特異的機能性を有する動作マシーンに関連する実体を指すことが意図されている。例えば、コンポーネントは、これだけに限定されないが、プロセッサーで実行するプロセス(例えば、デジタルシグナルプロセッサー)、プロセッサー、オブジェクト、実行可能ファイル、実行のスレッド、プログラム、および/またはコンピューターであってよい。実例としては、コントローラーで実行するアプリケーションと、そのコントローラーが、1つのコンポーネントであってよい。1個または複数個のコンポーネントが、実行のプロセスおよび/またはスレッド内に存在してよく、コンポーネントは、1つのコンピューターに限局されていてもよく、かつ/または2つ以上のコンピューターに分散されていてもよい。さらに、「デバイス」は、特別に設計されたハードウェア;ハードウェアが特定の機能を果たすことを可能にするソフトウェアをそこで実行することによって特化される一般化ハードウェア;コンピューターリーダブル媒体に記憶されているソフトウェア;またはそれらの組み合わせの形態を取ってよい。
【0231】
さらに、用語「例」または「例示的な」は、例、事例、または例示として役立つことを意味して本明細書において使用されている。「例示的な」として本明細書に記載される任意の態様または設計は、他の態様または設計よりも好ましいか、または有利であるとは必ずしも解釈されない。むしろ、これらの用語「例」または「例示的な」の使用は、具体的に概念を表すことが意図されている。本出願において使用する場合、用語「または」は、排他的な「または」ではなく包括的な「または」を意味することが意図されている。すなわち、別段に指定がない限り、または文脈から明確でない限り、「XはAまたはBを使用する」は、通常の包括的な置き換えのすべてを意味することが意図されている。すなわち、XがAを使用するか;XがBを使用するか;またはXがAおよびBの両方を使用するならば、「XがAまたはBを使用する」は、上述の事例のすべてで満たされている。加えて、本出願および添付の特許請求の範囲において使用するとおりの冠詞「a」および「an」は、一般に、単数形を指示する文脈から別段の、または明確な指定がない限り、「1つまたは複数」を意味すると解釈されるべきである。
【0232】
コンピューティングデバイスは典型的には、様々な媒体を含み、この媒体には、コンピューターリーダブル記憶媒体および/またはコミュニケーション媒体が含まれ得、この際、これら2つの用語は、本明細書において、以下のとおり相互に別様に使用される。コンピューターリーダブル記憶媒体は、コンピューターがアクセスし得る任意の利用可能な記憶媒体であってよく、典型的には、非一時的性質を有し、揮発性媒体および不揮発性媒体、リムーバブル媒体および非リムーバブル媒体の両方を含み得る。例として、限定ではないが、コンピューターリーダブル記憶媒体を、コンピューターリーダブルインストラクション、プログラムモジュール、構造化データ、または非構造化データなどの情報を記憶するための任意の方法または技術と接続して実装することができる。コンピューターリーダブル記憶媒体には、これらだけに限定されないが、所望の情報を記憶するために使用することができるRAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリもしくは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)もしくは他の光学ディスク記憶、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶もしくは他の磁気記憶デバイス、または他の有形および/もしくは非一過性媒体が含まれる。コンピューターリーダブル記憶媒体は、例えば、媒体に記憶されている情報に関する様々な動作についてのアクセスリクエスト、問い合わせ、または他のデータレトリーバルプロトコルを介して、1個または複数個の局所または遠隔コンピューティングデバイスによってアクセスされ得る。
【0233】
他方で、コミュニケーション媒体は、典型的には、コンピューターリーダブルインストラクション、データ構造、プログラムモジュール、または他の構造化もしくは非構造化データを、変調データシグナル、例えば、キャリア波、または他のトランスポートメカニズムなどの一過性であってよいデータシグナルで具体化し、任意の情報送信またはトランスポート媒体を含む。用語「変調データシグナル」(複数可)は、情報を1つまたは複数のシグナルでコードするように、1つまたは複数のその特徴が設定または変更されるシグナルを指す。例として、限定ではないが、コミュニケーション媒体には、ワイヤードネットワークまたは直接ワイヤード接続などのワイヤード媒体、ならびにアコースティック、RF、赤外、および他のワイヤレス媒体などのワイヤレス媒体が含まれる。
【0234】
説明を簡単にするために、方法を図示し、一連の動作として説明する。しかしながら、この開示による動作は、他の動作が本明細書において表示および説明されることなく、様々な順番で、かつ/または同時に起こってもよい。さらに、図示されている動作のすべてが、開示の対象物による方法を実行するために必要であるとは限らない。加えて、当業者であれば、上記方法を、別法で、状態図または事象によって一連の相互に関係のある状態として表すことができることを理解し、認めるであろう。加えて、本明細書に開示されている方法を、コンピューティングデバイスへのそのような方法のトランスポートおよび転送を容易にするために、製品上に記憶させることができることは認められるべきである。製品という用語は、本明細書で使用する場合、任意のコンピューターリーダブルデバイスまたは記憶媒体からアクセス可能なコンピュータープログラムを包含することが意図されている。
【0235】
したがって、本発明の一部の実施形態は、(1)高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を診断し、(2)高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態に対する罹病性を診断し、かつ/または(3)高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有するか、または有することが疑われる対象のために療法を選択、指示するための方法を実装されたコンピューターであって、1個または複数個のプロセッサー、および1個または複数個のプロセッサーによって実行するための1つまたは複数のプログラムを記憶するメモリを有するデバイスに、本明細書に記載の方法を実施するためのインストラクションを包含する上記1つまたは複数のプログラムを含む上記コンピューターを提供する。
【0236】
本発明の一部の実施形態は、(1)高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を診断し、(2)高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態に対する罹病性を診断し、かつ/または(3)高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有するか、または有することが疑われる対象のために療法を選択、指示するためのコンピューターシステムであって、1個または複数個のプロセッサー;および記憶のためのメモリ:本明細書に記載の方法を行うためのインストラクションを含む1つまたは複数のプログラムを含む上記コンピューターシステムを提供する。
【0237】
本発明の一部の実施形態は、(1)高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を診断し、(2)高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態に対する罹病性を診断し、かつ/または(3)高いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態か、または低いメタン細菌量を有することに起因もしくは関連する疾患もしくは状態を有するか、または有することが疑われる対象のために療法を選択、指示するための1つまたは複数のプログラムを記憶する非一時的コンピューターリーダブル記憶媒体であって、コンピューターシステム(上記のコンピューターシステムなど)の1個または複数個のプロセッサーによって実行するための1つまたは複数のプログラムが、本明細書に記載の方法を行うためのインストラクションを含む上記非一時的コンピューターリーダブル記憶媒体を提供する。
【0238】
水素量およびメタン量の検出
様々な実施形態において、水素量およびメタン量は、呼気検査によって検出および分析することができる(例えば、P. KerlinおよびL. Wong、Breath hydrogen testing in bacterial overgrowth of the small intestine, Gastroenterol. 95(4):982~88 [1988]; A.Strocchiら、Detection of malabsorption of low doses of carbohydrate: accuracy of various breath H criteria, Gastroenterol.105(5):1404~1410 [1993]; D. de Boissieuら、[1996]; P. J. Lewindonら、Bowel dysfunction in cystic fibrosis: importance of breath testing, J. Paedatr. Child Health 34(1):79~82 [1998])。呼気水素または呼気メタン検査は、胃腸管に存在する多くの絶対または条件的発酵菌が特定の条件下で、宿主によって消費された基質から発酵産物として、検出可能な量の水素またはメタンガスを生成するという事実に基づく。基質には、ラクツロース、キシロース、ラクトース、またはグルコースなどの糖が含まれる。次いで、小腸で生成された水素またはメタンは、宿主の血流に入り、徐々に呼出される。
【0239】
典型的には、終夜の絶食の後に、患者は、管理された量のラクツロース、キシロース、ラクトース、またはグルコースなどの糖を嚥下し、呼気試料を、頻繁な時間間隔で、典型的には10~15分ごとに2時間~4時間にわたって採取される。試料を、単独か、または組み合わせでのガスクロマトグラフィーまたは他の適切な技術によって分析する。
【0240】
水素量およびメタン量を検出する別の方法は、胃腸細菌によっては代謝されるが、ヒト宿主によっては不十分にしか消化されないラクツロース、キシロース、マンニトール、または尿素などの同位体標識付けされた基質を投与した後に、同位体標識付けされた二酸化炭素、メタン、または水素の呼気放出を測定するための質量分析および/または放射線検出を伴うガスクロマトグラフィーによる方法である(例えば、G. R. SwartおよびJ. W. van den Berg、13C breath test in gastrointestinal practice, Scand. J. Gastroenterol. [Suppl.] 225:13~18 [1998];S. F. Dellertら、The 13C-xylose breath test for the diagnosis of small bowel bacterial overgrowth in children, J. Pediatr. Gastroenterol. Nutr.25(2):153~58 [1997];C. E. KingおよびP. P. Toskes、Breath tests in the diagnosis of small intestinal bacterial overgrowth, Crit. Rev.Lab. Sci.21(3):269~81 [1984])。不十分に消化可能な基質は、それを吸収するか、またはそれを酵素分解もしくは異化する能力がヒトには相対的または絶対的に欠如しているものである。
【0241】
適切な同位体標識には、13Cまたは14Cが含まれる。メタンの測定では、上記基質が、同位体標識を含んで合成されていて、その同位体標識が、基質の構造中の代謝的に適切な位置、すなわち、腸管マイクロフローラによる酵素的生物分解によって、その同位体標識が気体生成物中に封鎖されることとなる位置に置かれている限り、適切な同位体標識には、HおよびH、または17Oおよび18Oも含まれ得る。選択される同位体標識が14C、H、または15Oなどの放射性同位体であれば、呼気試料を、適切な放射線検出手段を備えたガスクロマトグラフィーによって分析することができる(例えば、C. S. Changら、Increased accuracy of the carbon-14 D-xylose breath test in detecting small-intestinal bacterial overgrowth by correction with the gastric emptying rate, Eur. J. Nucl. Med. 22(10):1118~22 [1995];C. E. KingおよびP. P. Toskes、Comparison of the 1-gram [.sup.14 C]xylose, 10-gram lactulose-H, and 80-gram glucose-H breath tests in patients with small intestine bacterial overgrowth, Gastroenterol.91(6):1447~51 [1986];A. Schneiderら、Value of the .sup.14 C-D-xylose breath test in patients with intestinal bacterial overgrowth, Digestion 32(2):86~91 [1985])。
【0242】
キット
本発明は、また、本明細書に記載の疾患または状態を決定、選択、および/または処置するためのキットに関する。上記キットは、本発明の組成物の少なくとも1種を含む材料または構成要素の集合体である。したがって、一部の実施形態では、上記キットは、上記のとおりの治療剤を含む組成物を含む。他の実施形態では、上記キットは、メタン細菌またはメタン細菌栄養共生微生物を定量化するためのプライマーを含む。
【0243】
本発明のキットに編成される構成要素の正確な性質は、その意図されている目的に依存する。一実施形態では、上記キットは、特に哺乳動物対象を処置する目的で編成される。別の実施形態では、上記キットは、特にヒト対象を処置する目的で編成される。さらなる実施形態では、上記キットは、獣医学用途のために、これだけに限定されないが、牧場動物、家畜、および実験室動物などの対象を処置するために編成される。
【0244】
取扱説明書が、上記キットには含まれ得る。「取扱説明書」は典型的には、メタン細菌もしくはメタン細菌栄養共生微生物を定量化するか、またはメタン細菌もしくはメタン細菌栄養共生微生物の増殖を阻害するか、またはメタン細菌もしくはメタン細菌栄養共生微生物に起因もしくは関連する疾患もしくは状態を処置するためなど、所望の結果をもたらすために上記キットの構成要素を使用する際に使用すべき技術を記載する具体的な表現を含む。場合により、上記キットはまた、希釈剤、緩衝剤、薬学的に許容される担体、シリンジ、カテーテル、アプリケーター、ピペットもしくは測定用ツール、包帯材料などの他の有用な構成要素、または当業者であれば容易に分かるような他の有用な装備を含む。
【0245】
キットに集合させた材料または構成要素を、その実施可能性および有用性を維持する任意の簡便かつ適切な方法で貯蔵して、開業医に供給することができる。例えば、上記構成要素は、溶解、脱水、または凍結乾燥された形態であってよく;室温、冷蔵温度、または凍結温度で供給することができる。上記構成要素は典型的には、適切な包装材料(複数可)内に含まれる。本明細書において使用するとおり、語句「包装材料」は、本発明の組成物などのキットの内容物を収容するために使用される1個または複数個の物理的構造を指す。包装材料は、好ましくは混入物非含有の滅菌環境を提供するために周知の方法によって組み立てられている。本明細書で使用する場合、用語「パッケージ」は、個別のキット構成要素を保持することができるガラス、プラスチック、ペーパー、ホイルなどの適切な固体マトリックスまたは材料を指す。包装材料は一般に、内容物および/またはキットの目的および/またはその構成要素を示す外側ラベルを有する。
【実施例0246】
次の実施例は、特許請求の範囲に記載の本発明をより良好に例示するために提供するものであって、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。具体的な材料を述べている点については、これは単に、例示を目的とするものであって、本発明の限定を意図したものではない。当業者であれば、本発明の可能性を超過することなく、本発明の範囲から逸脱することなく、同等の手段または反応物を開発することができるであろう。
【0247】
実施例1
患者の参加および排除基準
この研究は、本発明者らの研究機関の審査会によって許可され、すべての参加者からインフォームドコンセントが得られた。ラクツロース呼気検査に参加した18~65歳の持続性Rome II陽性IBS対象は、上記研究に適していた。腸切除などの腹部外科手術(胆嚢切除術または虫垂切除術を除く)の履歴、炎症性腸疾患、腹部癒着、直腸周囲、もしくは腸管フィステルなどの既知の腸管障害、不安定な甲状腺疾患、糖尿病、癌、HIV、妊娠、麻薬、イモジウム、およびテガセロッドなどの腸管運動性に影響を及ぼすことが公知の薬物の使用、または過去1か月以内の抗生物質の利用のいずれかを有した場合、その患者は排除した。
【0248】
呼気および糞便試料の収集
以前に検証されたとおりのC-D VASスコアリングに基づき、便秘から下痢までの相対程度を決定するために、すべての患者に初めに、腸症状の質問票を完成させるように依頼した[13]。次いで、対象は、ラクツロース呼気検査(LBT)を受けた。LBTの一部として、対象に、ベースライン呼気試料の後に、溶液の経口ラクツロース10gm(Pharmaceutical Associates、Inc.、Greenville、SC)を摂取するように依頼した。ラクツロースは、ヒトによっては消化されないが、腸内細菌叢によって利用される多糖である。次いで、反復呼気試料を、ラクツロース摂取後から180分まで、15分ごとに得、メタンおよび水素のレベルを、ガスクロマトグラフィー(Quintron instrument company、Milwaukee、WI)を使用して分析した。以前に公開されたとおり[5、13]、メタン呼気検査陽性は、≧3ppmの呼気メタンレベルと定義した。質問票および呼気検査結果を使用して、呼気分析でメタンを有した対象および便秘型IBSを選択した。対照群には、呼気検査でメタンについて陽性と検査されなかった任意の形態のIBSを有するものが含まれた。呼気検査の完了後に、すべての対象に、糞便容器および糞便試料を収集する方法についての指示を与えた。患者は、収集から24時間以内に凍結された新鮮な糞便試料を戻した。
【0249】
糞便PCR検査
各糞便試料から、細菌DNAを、QIAamp PCRキット(Qiagen、Hilden、ドイツ)を使用して抽出した。以前に公開された汎用16S rDNAプライマーを用いるPCR(Eppendorfマスターサイクラー勾配)を使用して、糞便中の全細菌の存在を検出した。定量PCRを、M.smithiiのみに特異的なrpoB遺伝子プライマーを使用して、同じ糞便試料で行った(表1)。加えて、汎用プライマーを使用して全細菌数を決定するために、定量PCRも行った(表1)。
【0250】
(表1)糞便中の細菌DNAを検出するために使用した様々なPCRプライマー
【0251】
定量PCRを、光学グレードの96ウェルプレートを使用してCFX96(商標)Real-Time PCR Detection System(Bio-Rad Laboratoies、Hercules、CA)で行った。反復試料を、リアルタイムPCRによるDNAの決定のために常套的に使用した。それぞれ300nMの汎用フォワードプライマーおよびリバースプライマーを含有するiQ(商標) SYBR GREEN Supermix(Bio-Rad laboratories)を使用して、20μlの全体積でPCR反応を行った。反応条件を95℃で3分間、続いて、95℃で10秒間、55℃で10秒間、および72℃で30秒間、次いで95℃で10秒間を40サイクルに設定した。データ分析では、Bio-Radが供給するCFX Managerソフトウェアを使用した。全細菌についての標準曲線を生成するために、Ct値を、大腸菌株ATCC 25922の培養物の対応する連続10倍希釈から抽出したテンプレートDNAに対してプロットした。大腸菌株ATCC 25922を、TB Growth培地(MO BIO Laboratories,Inc.、Carlsbad、CA)中で、10CFUの濃度まで予め増殖させ、次いで、コロニー数を検査するために、LB(ISC BioExpress、Kaysville、UT)寒天プレートで平板培養した。その10CFU大腸菌溶液を、Qiaamp(登録商標)DNA Miniキット(Qiagen)を使用することによって、DNA抽出に掛けた。抽出したDNAを使用して、10倍希釈を作製し、標準曲線を樹立した。同様に、M.Smithiiについての較正曲線を、10CFU M.Smithii液体培養物の10倍希釈を分取することによって作製した。600nmでの光学密度を測定することによって、濃度を決定した。
【0252】
統計的解析
非パラメトリックデータでは、Mann Whitney U検定を利用し、正常分散データでは、ステューデントt検定を利用した。スピアマンの順位相関を利用して、M.smithiiの量を、呼気検査でのメタンの量と比較した。水素とメタンとの間の呼気検査百万分率の比較では、Pearson回帰分析を利用した。加えて、M.smithiiを、全細菌およびM.smithii数の合計に対するパーセント比として表し、このパーセントを、呼気検査状態、メタンレベル、および便秘の程度とも比較した。すべての検査を両側にし、統計的優位性をP<0.05と定義した。
【0253】
ベースライン特徴
合計9名の患者(メタン呼気分析陽性のC-IBS)および10名の対照(呼気メタンなしのIBS)が、参加基準を満たした。各群における対象の多数が女性であった(メタン群では9名中8名および非メタン対照では10名中8名)。平均年齢は、上記2群の間で差異はなかった(メタン陽性対象での43.8±8.7歳 vs. メタン陰性対象での41.9±9.9歳)。検証された症状C-Dスコア(-100から+100までのスコア範囲)は、メタン群のC-IBSでは51.1±37.8mmであり、これは、非メタン対象での-1.0±35.1mmよりも高く(P<0.01)、これは、下痢に対して、メタン陽性対象におけるかなりの便秘を示している。両群の間で、鼓張または腹痛の重症度には差異がなかった。
【0254】
糞便からのPCR結果
q-PCRでは、2名のメタン生成対象および1名の水素生成対象において、試料が不十分なために、M.smithii試料を翻訳することができなかったが、7名のメタン生成対象および9名の非メタン生成対象は、分析に適していた。全細菌数についてのq-PCRの場合には、6試料が翻訳することができず、13試料(呼気メタン陽性6試料および呼気メタン陰性7試料)が分析に適していた。M.smithiiのパーセントの決定では、12試料があり、M.smithiiレベルおよび細菌レベルの両方を測定した。
【0255】
M.smithiiを最初に検査すると、M.smithiiは、メタン生成者と、さらには非メタン対象との両方で検出された。しかしながら、M.smithiiの存在は、呼気メタン陰性対象(湿潤糞便1gm当たり3.2×10±7.6×10コピー)と比較して、呼気メタン陽性対象において有意に高かった(湿潤糞便1gm当たり1.8×10±3.0×10コピー)(p<0.001)。これらの所見に基づき、メタンについてラクツロース呼気検査を陽性にするためのM.smithiiの最小閾値は、湿潤糞便1gm当たり4.2×10コピーであると判断された(図1)。
【0256】
この関係をさらに評価するために、M.smithiiと、全細菌およびM.smithiiの合計との比を、パーセントとして表した。非メタン生成者では、M.smithiiパーセントは、0.24±0.47%であり、メタン生成対象では、7.1±6.3%(P=0.02)であった(図2)。パーセント数に基づき、1.2%超のM.smithiiは常に、呼気メタン陽性を示した。
【0257】
M.smithiiと、呼気検査での呼気メタンおよび水素レベルとの比較
180分AUCによって決定されたとおりに生成した呼気メタンの量は、糞便中のM.smithiiの量と有意に相関した(R=0.76、P<0.001)(図3)。全細菌数は、呼気検査でのメタンと相関しなかったが、M.smithiiパーセントは、呼気検査でのメタンのレベルと高度に相関した(R=0.77、P=0.001)(図4)。
【0258】
メタンとは対照的に、呼気水素を、M.smithii、全原核細菌の量、およびM.smithiiのパーセントと比較した場合、傾向はみられなかった。しかしながら、呼気メタンAUCと水素AUCとの間の逆相関によって示唆されるとおり、メタンによる水素利用が予測された(R=-0.61、P=0.005)(図5)。
【0259】
便秘症状、M.smithii、および全細菌数
便秘を下痢に対する相対値(C-D)として検査する以前に検証されたスコアを使用して、本発明者らは、M.smithiiおよび全細菌レベルによって便秘の重症度が予測されるかどうかを検査した。絶対M.smithii(図6)(R=0.43、P=0.1)およびM.smithiiパーセント(図7)(R=0.47、P=0.12)は両方とも、C-Dによる便秘の重症度と比較すると、有意性を全く満たさなかった。M.smithiiおよびM.smithiiパーセントの場合にも、腹痛または鼓張のレベルおよび重症度の間に、相関作用は見られなかった。
【0260】
全細菌数の場合には、C-Dスコアとの関連はなく、かつ鼓張との関連はなかった。細菌レベルと腹痛VASスコアとの間に逆相関があったが(R=-0.51)、これは、統計的有意性に達しなかった(P=0.07)(図8)。
【0261】
実施例2
ラットのM.smithiiハイパーコロニー形成(hypercolonization)
20匹の成体Sprague-Dawleyラットを、21日齢の離乳仔として得た(Harlan Labs、Indianapolis、IN)。3日間の検疫の後に、すべてのラットを秤量し、次いで、胃酸を中和するために、玉付き接種針を使用する強制経口投与によって、1mlアリコットの5%炭酸水素ナトリウムを投与した。約20分後に、ラットの1群(n=10)に、液体増殖培地中のM.smithiiの0.5ml強制経口投与物を投与した。ラットの第2の群(n=10)に、液体増殖培地の0.5ml強制経口投与物を投与した。さらに20分後に、乾燥器ジャー内でのイソフルラン麻酔の後に、M.smithiiを強制経口投与されたラットに、同じ接種の0.2ml浣腸剤を与えた。上記の強制経口投与および浣腸は、腸内のM.smithiiレベルが、ハイパーコロニー形成によって増強され得るかを決定するために行った。
【0262】
M.smithiiによるコロニー形成の追跡
接種の後に、すべてのラットを、標準的な動物施設手順下で、マイクロアイソレーター1つ当たり2匹で収容し、標準げっ歯類用固形飼料(脂肪5.7%)(Lab Rodent Diet 5001; Newco Distributors、Rancho Cucamonga、CA)で飼育した。新鮮な糞便試料を最初の1週間は毎日、次いで、その後はほぼ2週間ごとに収集した。
【0263】
特定の週の糞便試料を、以前に記載されたとおりに(27)、qPCRを行うことによって、M.smithiiのレベルおよび全細菌のレベルについて検査した。M.smithiiレベルは、RpoB遺伝子のためのプライマー
を使用して定量し、全細菌は、16S組換えDNA
を使用して定量した。動物体重も、週に1回得た。
【0264】
食事の操作
成長曲線の終了および成体体重への到達を示唆する10gの範囲内で3回連続する体重が得られるまで、ラットを観察した(112日目に対応した)。次いで、112日目に、すべてのラットを、高脂肪食(脂肪34.3%)(Teklad高脂肪食TD.06414;Harlan Laboratories、Madison、WI)に切り替え、この食事で10週間にわたって182日目まで飼育した。新鮮な糞便試料および動物体重をすべての動物から、週1回ベースで収集した。182日目に、すべてのラットを通常固形飼料に戻した。最後に、253日目に、各群から5匹のラットに再び、高脂肪固形飼料を供給した。ラットを、それらの個々の食事で飼育し、その間、糞便試料および週1回の体重を得ることを、5週間にわたって287日目の安楽死まで続けた。この最後のフェーズは、安楽死の前に、10匹のラットが高脂肪食によるものであり、10匹が標準固形飼料によるものであることを保証するものであった。
【0265】
安楽死および腸試料採取
接種後287日目に、すべてのラットをCO窒息および気胸によって安楽死させた。側腹切開を行い、以前に記載されたとおりに(A27)、左結腸、盲腸、回腸、空腸、および十二指腸の切片を、各ラットから切除した。以前に記載されたとおりに(A27)、DNAを各区域の管腔内容物から抽出し、M.smithii特異的プライマーおよび汎用細菌プライマーを用いるqPCRを行って、それぞれ各区域におけるM.smithiiおよび全細菌のレベルを決定した。上記研究プロトコルは、Cedars-Sinai Institutional Animal Care Utilization Committee(IACUC)によって許可された。
【0266】
統計的解析
接種ラットおよび非接種ラットの間でのqPCRによる糞便中のM.smithiiのレベルを、Mann-Whitney U検定によって比較した。食事の変化前後の体重の比較を、対応t検定によって比較した。群の間での腸区域または糞便中のM.smithiiのレベルを再び、Mann-Whitney U検定によって比較した。介入前後のM.smithiiレベルを比較するためには、Wilcoxon符号順位検定を使用した。体重では、データを平均±標準偏差として表し、M.smithiiレベルについてのデータは、平均±標準誤差として表した。統計的有意性は、P<0.05によって決定した。
【0267】
M.smithiiでのラットのコロニー形成
ベースラインでは、すべてのラットが、群の間で差異のない糞便中のM.smithiiの存在を実証した(図9)。
【0268】
M.smithiiを接種した後に、ラットは、対照動物よりも、糞便M.smithiiの検出の増大を実証した。しかしながら、これは存続せず、9日目までに、レベルは対照レベルまで戻った(図9)。ハイパーコロニー形成は生じなかったので、残りの実験では、ラットのすべてを、単一群として検査した。
【0269】
高脂肪食への当初移行後のM.smithiiレベルおよび体重
ラットが成体体重に達したことを示唆する10gプラトーの範囲内で3回連続する体重が得られるまで、すべてのラットに当初は、標準ラット固形試料を給餌した。このプラトーは、2週間で112日目の前日に生じた(図10a)。98日目および112日目の間に得た3回の連続測定の間、平均体重変化は5.5±5.8gでしかなかった。112日目に高脂肪固形飼料に切り替えた後に、ラット体重の急激な増加が観察された(図10a)。平均体重は、112日目の268±13gから119日目の292±16gまで増加した(P<0.00001)。これは、前週の5.1±5.4gと比較すると、112日目から119日目までの1週間で23.2±9.5gの体重増加をもたらした(P<0.00001)。この高脂肪食の継続にも関わらず、182日目までに、ラットの体重は296±22gとなり、これは、高脂肪固形飼料の開始から1週後の体重とは統計的に異ならなかった(P=0.39)。
【0270】
高脂肪食固形飼料に切り替えた後に見られた体重変化に加えて、糞便M.smithiiレベルも、高脂肪食の実行後に急激に上昇した(図10b)。M.smithiiレベルは、5.6×10±2.8×10cfu/mlであったが、これは、1週間の高脂肪食の後に、3.0×10±7.0×10cfu/mlに対してほぼ1log上昇した(P<0.01)(図11a)。体重変化と同様に、M.smithiiの変化も1週間で生じ、高脂肪固形飼料での追加の週で、さらに上昇することはなかった(図11a)。
【0271】
別の分析では、高脂肪食で体重をより多く、またはより少なく増加させたかに基づき、ラットを複数の群に分割した。別の分析では、高脂肪食で体重をより多く、またはより少なく増加させたかに基づき、ラットを複数の群に分割した。この分析では、高脂肪食で>10%の体重増加を示したラットは、より少ない体重増加を示したラット(<10%の体重増加)よりも高いM.smithiiの糞便レベルを示した(P=0.08、図11b)。
【0272】
標準食に戻した場合のM.smithiiおよび体重
182日目に、10週間の高脂肪食の後、標準固形試料に戻したところ、ラットは、体重減少を経験しなかった(図10a)。この図において示されているとおり、ラットの体重は、プラトーを維持した。しかしながら、標準固形試料へと戻したことで、経時的に、糞便M.smithiiレベルの段階的な低下が生じた(図10b)。脂肪の停止および標準固形試料の再開から1週間後の189日目に、M.smithiiレベルは、3.4×10±8.1×10cfu/mlであり、これは、154日目から有意に低下した(P<0.001)(図10b)。糞便M.smithiiレベルは、標準固形飼料を続けたラットでは、研究の終了時まで低下し続けた(2.0×10±2.0×10cfu/ml)(P<0.05)(図10b)。
【0273】
2回目の高脂肪食の無作為再開
研究の最終フェーズで、ラットを2群に無作為化した(10匹のラットを高脂肪固形飼料に戻し、他の10匹では標準固形飼料を続けた)。図10aは、高脂肪固形飼料に戻すことで、標準固形飼料の継続と比較して、体重がさらに増加したことを示唆している一方で、これら2群(高脂肪固形飼料vs.標準固形飼料)の間での体重の相違は、いずれの時点でも、統計的有意性には達しなかった。しかしながら、高脂肪固形飼料に戻した10匹のラットは、292±16gから319±26gへの平均体重の増加を示し、これは、有意であった(P<0.001、図10a)。高脂肪食固形飼料に戻すことで、これらの動物におけるM.smithiiレベルの上昇も生じた(P=0.039、図11c)。
【0274】
死後の腸区域ごとの細菌およびM.smithiiレベル
接種後287日目の安楽死の後に、左結腸、盲腸、回腸、空腸、および十二指腸の切片を各ラットから切除し、DNAを、各区域の管腔から抽出した。M.smithii特異的プライマーおよび汎用細菌プライマーを用いるqPCRを使用して、M.smithiiおよび全細菌のレベルをそれぞれ決定した。意外にも、M.smithiiの最高レベルは、小腸において見出され、回腸で最も上昇した(図12a)。対照的に、全細菌レベルは、小腸において最も低く、盲腸および左結腸において最も高かった(図12b)。各腸区域におけるM.smithiiのレベルを、研究の最終フェーズで高脂肪食に切り替えたラットと、標準固形飼料を続けたラットとで比較すると、より高いM.smithiiレベルが、高脂肪食に切り替えたラットのすべての腸区域において同定された(図13a)。しかしながら、統計的有意性に達したのは、十二指腸、回腸、および盲腸のみであった。対照的に、いずれの腸区域においても、標準固形飼料を続けたラットと比較して、高脂肪食に切り替えたラットとの間で、全細菌レベルに有意な差は同定されなかった(図13b)。
【0275】
M.smithiiでの腸コロニー形成の規模とラットの体重との間の相関
この最終比較は、体重の決定因子としてのGI管におけるM.smithiiの分布を検査するためのものであった。統計的に有意ではなかったが、研究の最終フェーズで高脂肪食固形飼料であったか否かに関わらず、最も大規模なM.smithiiコロニー形成を有したラット(すなわち、コロニー形成しなかった腸区域がなかったラット)は、あまり広くないM.smithiiコロニー形成(すなわち、コロニー形成しなかった腸区域を1つまたは複数有したラット)よりも体重が多かった(図14)。すべてのラットのうちで最も少ない体重は、5つのうち3つの腸区域でM.smithiiコロニー形成のなかった高脂肪食固形飼料のラットで記録された。
【0276】
実施例3
個体群研究
ラクツロース呼気検査に出席した連続対象が、参加に適していた。除外基準は、生体インピーダンス人体計測的測定を安全に行える可能性に基づき、妊娠中の女性および心臓ペーシング/除細動デバイスを装着した対象は除外された。この研究への参加の前に、すべての対象から、インフォームドコンセントを得た。この研究は、Institutional Review Board at Cedars-Sinai Medical Center(Los Angeles、California)から許可された。
【0277】
質問表
対象は、人口統計学的および医学的質問表、ならびに0~100mmの視覚的アナログ尺度(100は最も重症)で腸管愁訴(鼓張、下痢、便秘、および腹痛)の直近7日間を格付けする腸症状の質問票を完成した(B12)。
【0278】
ラクツロース呼気検査
以前に記載されたとおり、対象は、12時間にわたって絶食して医療センターに来た(B13)。呼気試料を、デュアルバッグシステム(Quintron Instrument Co、Milwaukee、Wisconsin)で収集した。初回呼気収集の後に、対象は、ラクツロースシロップ剤10g、次いで、水250mLを摂取した。呼気試料を、15分ごとに2時間にわたって収集し、呼気追跡ガスクロマトグラフィー(Quintron Instrument Co)を使用して分析した。排出物には、水素、メタン、および二酸化炭素が含まれた。水素およびメタンは、肺胞ガスレベルに対して規準化するために二酸化炭素について補正され、百万分率(ppm)で報告された。以前に記載されたとおり(B13)、メタン3ppm以上を示した対象をメタン陽性と判断した。検査中の90分目、または90分目以前に20ppm超の水素を示した対象は、水素陽性と判断した。
【0279】
人体計測
生体インピーダンス検査を、他の研究において検証された(B12)In-Bodyスケール(Biospace Co、Ltd、Seoul、Korea)を使用して行った。BMIおよび体脂肪率を、身長(スタジオメーターによって測定)および電気コンダクタンスに基づき決定した。
【0280】
評価項目
対象を4群に分けた:標準(N)(90分目またはそれ以前に<3ppmメタンおよび<20ppm水素);水素のみ陽性(H+)(90分目またはそれ以前に<3ppmメタンおよび水素<20ppm);メタンのみ陽性(M+)(90分目またはそれ以前にメタン≧3ppmおよび水素<20ppm);およびメタンおよび水素陽性(M+/H+)(90分目またはそれ以前にメタン≧3ppmおよび水素≧20ppm)。一次評価項目はBMIおよび体脂肪率であり、一次分析では、4群全体でこれらの測定値を比較した。
【0281】
データおよび統計的解析
年齢を群全体で、ANOVA、次いで、ダネット事後検定によって比較し、性別をフィッシャー直接検定によって比較した。非正規性によって、視覚的アナログ尺度スコアを全群で、Kruskal-Wallis検定によって比較した。BMIおよび体脂肪率を、共分散(ANCOVA)モデルの分析によって分析した。初回ANCOVAモデルは、共変数として年齢を用いる2元因子モデル(2レベルの性別および4レベルの群)であった。性別×群相互作用は有意でなかったので(BMIではP=.28および体脂肪率ではP=.37)、相互作用の項を、各結果についてANCOVAモデルに落とした。年齢は有意であり、各モデルで維持された。最小二乗(調整)平均を、H+/M+群を、他の3群それぞれと比較するために使用した。P=.05の両側有意レベルを全体で使用した。統計計算のために、SASバージョン9.2(SAS Institute、Cary、North Carolina)を使用した。
【0282】
人口統計
合計792名の対象が、上記研究に参加した。対象の人口統計を特記するが、群によって多少異なった(表2)。メタンのみ陽性(M+)およびメタン陽性および水素陽性(H+/M+)群の対象は、標準(N)および水素のみ陽性(H+)群の対象よりも高齢であった。女性のパーセントは、H+およびM+群において少なかった。ベースラインGI愁訴は、群によって異ならなかったが、M+対象は、他の群よりも便秘の程度が高い傾向があった(表2)。
【0283】
(表2)研究コホートの人口統計的比較
データは、平均±標準偏差として表されている;P値は、4群での相違の比較についてのものである。
【0284】
身体組成
H+/M+対象は、他の3群のいずれよりも高いBMIを示した(図15A)。体脂肪率も同様に、H+/M+群において最も高かった(図15B)。性別は、群の間で有意に異ならなかった。ANOVAは、すべての群にわたって年齢が相違したことを示した。ダネット事後検定は、M+群が、年齢についてN群と有意に異なる唯一の群であったことを示した。年齢について調整すると、BMIは、他の3群よりも、H+/M+群においてまだ有意に高かった(N:24.1±5.2kg/m;H+:24.2±4.5kg/m;M+:24.0±3.75kg/m;H+/M+:26.5±7.1kg/m2、各比較でP<.02)。同様の分析を使用すると、H+/M+群は、他の群よりも高い体脂肪率を示した(N:28.3±10.0%;H+:27.5±9.0%;M+:28.0±8.9%;H+/M+:34.1±10.9%)(各比較でP<.001)。
【0285】
実施例4A
抗生物質前の患者1は、糖負荷試験で260のグルコースピークを示した。1日3回550mgでのリファキシミンの投与後に、グルコースピークは、161mg/dLであった。同じ患者でのコレステロールは200であり、処置後は171であった。
【0286】
抗生物質前の患者2は、糖負荷試験で154のグルコースピークを示した。1日2回500mgのネオマイシンの投与後に、グルコースピークは121であった。コレステロールは、処置前は202であり、処置後は178に低下した。
【0287】
実施例4B
メタン陽性の前糖尿病性肥満対象での抗生物質治療試験
メタン陽性の前糖尿病性肥満対象での抗生物質治療試験が実施され、実施が継続されている。この試験は、メタン陽性(呼気メタン>3ppm)の前糖尿病性肥満(BMI>30)患者がリクルートされるオーブンラベルプロスペクティブ試験である。この研究では、対象は、エントリーの際に脂質パネルおよび糖負荷試験(インスリンレベルを含む)を受ける。血液も、インクレチンについて貯蔵され、糞便も、ミクロビオーム分析のために貯蔵される。次いで、エントリーの際に、対象は、非吸収性抗生物質であるリファキシミン(550mg、経口、1日3回)およびネオマイシン(500mg、1日2回)で処置される。抗生物質の完了の後に、対象は、脂質パネルおよび糖負荷試験を繰り返した。
【0288】
図17~20は、両側t検定による、抗生物質前後の最初の7対象の脂質および血糖プロファイルである。
【0289】
インスリン抵抗性を測定するマツダスコアリングシステムに基づき、スコアは低いほど、インスリン抵抗性が高いことを示し、したがって、上記の結果は、インスリン感受性が改善されていることを示唆している。
【0290】
メタン陽性の前糖尿病性肥満対象の抗生物質処置のこの試験の最初の7対象でこれまでに得られた結果が実証しているように、測定された代謝パラメーターの4つすべてが、わずか14日間にわたって抗生物質で処置されたわずか7対象で、統計的に有意であるか、統計的有意に近いかのいずれかの平均的改善を示した。全コレステロールが改善した(P=0.082)。経口グルコース攻撃後のグルコース曲線下面積が改善した(P=0.11)。インスリン曲線下面積が改善した(P=0.048)。インスリン抵抗性が改善した(P=0.062)。7名の対象のうち、5名の対象が、呼気メタンレベル0を達成し、他の2名の対象の呼気メタンレベルは、3ppm未満に低下することはなかった。興味深いことに、ほぼすべての好ましい統計的結果は、メタンレベルが0まで低下した5名の対象によって大きく促進されたものであった。
【0291】
実施例5、メタン細菌および肥満
患者および方法
ラクツロース呼気検査を受けた連続成人対象をリクルートした。20名の対象に、ベースライン呼気試料採取後に、経口ラクツロース10gmを投与した。Quintronガスクロマトグラフを使用してメタンおよび水素を分析するために、ラクツロース摂取の後、呼気試料採取を15分ごとに3時間にわたって繰り返した。メタン呼気検査陽性は、呼気メタンレベル≧3ppmと定義した。
【0292】
方法
15名の非メタン対象および5名のメタン陽性対象が、標準的な75g経口ブドウ糖負荷試験を受けた。BMIは、リクルートメントのための判定基準ではなかった。グルコースおよびインスリンレベルのための静脈試料を、絶食時およびグルコース摂取後30分ごとに3時間にわたって得た。式:グルコース(mg/dL)×インスリン(μU/mL)/405に従って、インスリン抵抗性(HOMA-IR)のホメオスターシスモデル評価を使用して、インスリン抵抗性を定量化した。
【0293】
(表3)メタン生成者と非メタン生成者とのベースライン特徴
P<0.05を統計的に有意と判断
BMI:肥満指数
HOMA-IR:インスリン抵抗性のホメオスターシスモデル
AUC:曲線下面積
OGTT:75gm経口ブドウ糖負荷試験
【0294】
グルコース負荷後180分の間、メタン生成者は、非メタン対象(585.5±128.3mg/dL)(P=0.03)と比較すると、高い血清グルコースAUC(774.2±140.3mg/dL)を示した(図16を参照されたい)。対照的に、メタン生成者(217.76±122.08μU/mL)と非メタン生成者(215.37±75.02μU/mL)との間で、180分インスリンAUCに有意な差はなかった(図21A、B)。これは、メタン生成者と非メタン生成者との間のOGTT後グルコース対インスリン比の相違をもたらした(図22を参照されたい)。
【0295】
本発明者らは、メタン生成対象は、経口グルコース攻撃を受けると、対応する非メタン生成対象よりも、有意に高い絶対グルコースレベルの上昇を示すことを見出した。この所見は、BMIに依存していなかった。さらに、非メタン生成者と比較すると、メタン生成対象のインスリン抵抗性(HOMA-IRによって測定)に、有意な差はなかった。これは、腸管メタン生成を伴う対象は、高い炭水化物負荷で攻撃されると、耐糖能障害を有し得、高血糖症の発症に対してより高い素因を有し得、これは、基礎インスリン抵抗性およびBMIとは独立しているようであることを示唆している。
【0296】
参考文献
【0297】
参照文献「A」
【0298】
参照文献「B」
【0299】
本発明の様々な実施形態を、上記の詳細な説明において記載している。これらの説明は、上記の実施形態を直接的に記載しているが、当業者であれば、本明細書に示され、記載されている具体的な実施形態に対する改変および/または変更を考えることができることは理解されるであろう。この説明の趣旨の範囲内に該当するすべてのそのような改変または変更も、本発明に含まれることが意図されている。具体的に特記されていない限り、本明細書および特許請求の範囲における用語および語句には、該当し得る分野の当業者にとって通常の慣用の意味が与えられていることを、本発明者らは意図している。
【0300】
本出願の出願時に出願人に分かっていた本発明の様々な実施形態の上述の説明は、例示および説明を目的として提供され、意図されたものである。本説明は、網羅的であることを意図したものでも、開示した正確な形態に本発明を限定することを意図したものでもなく、多くの変更形態および変形形態が、上記の教示に照らして可能である。記載の実施形態は、本発明の原理およびその実際の用途を説明し、他の当業者が、企図される特定の使用に適合するように、本発明を様々な実施形態で様々に変更させて利用することを可能にするために役立つ。したがって、本発明は、本発明を実施するために開示されている具体的な実施形態に限定されないことが意図されている。
【0301】
本発明の特定の実施形態を示し、記載したが、本明細書における教示に基づき、本発明およびそのより広い態様から逸脱することなく、変化および変更を施すことが可能であり、したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、本発明の真の意図および範囲内であるようなそのような変化および変更のすべてを包含し得ることは、当業者には明白であろう。通常、本明細書において使用されている用語は一般に、「オープンな」用語として意図されていることは当業者に理解されるであろう、(例えば、用語「~を含む~」は、「これだけに限定されないが、~を含む~」と解釈されるべきであり、用語「~を有する」は、「~を少なくとも有する」と解釈されるべきであり、用語「~を含む」は、「~を含むが、これだけに限定されない」と解釈されるべきである)。
【0302】
配列情報
SEQUENCE LISTING
<110> CEDARS-SINAI MEDICAL CENTER
<120> METHODS OF DIAGNOSIS, SELECTION, AND TREATMENT OF DISEASES AND
CONDITIONS CAUSED BY OR ASSOCIATED WITH METHANOGENS
<150> US 61/792,687
<151> 2013-03-15
<150> US 61/831,498
<151> 2013-06-05
<150> US 61/912,297
<151> 2013-12-05
<150> US 61/931,498
<151> 2014-01-24
<160> 4
<170> PatentIn version 3.5

<210> 1
<211> 19
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> synthetic construct
<400> 1
tcctacggga ggcagcagt 19

<210> 2
<211> 26
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> synthetic construct
<400> 2
ggactaccag ggtatctaat cctgtt 26

<210> 3
<211> 20
<212> DNA
<213> Methanobrevibacter smithii
<400> 3
aagggatttg cacccaacac 20

<210> 4
<211> 22
<212> DNA
<213> Methanobrevibacter smithii
<400> 4
gaccacagtt aggaccctct gg 22
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【配列表】
2023016863000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載された発明。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
2023016863000001.xml