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特開2023-168631フェキソフェナジン塩酸塩を含む造粒物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168631
(43)【公開日】2023-11-24
(54)【発明の名称】フェキソフェナジン塩酸塩を含む造粒物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/445 20060101AFI20231116BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20231116BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231116BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20231116BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20231116BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
A61K31/445
A61K31/137
A61P43/00 121
A61K9/16
A61P37/08
A61P17/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023174678
(22)【出願日】2023-10-06
(62)【分割の表示】P 2019032529の分割
【原出願日】2019-02-26
(31)【優先権主張番号】P 2018031609
(32)【優先日】2018-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 真之介
(57)【要約】
【課題】造粒性に優れた造粒物を提供する。
【解決手段】フェキソフェナジン塩酸塩と、メチルエフェドリンの塩およびプソイドエフ
ェドリンの塩からなる群より選択される1種以上のエフェドリン類を含有してなる、造粒
物を調製する。メチルエフェドリンの塩およびプソイドエフェドリンの塩からなる群より
選択される1種以上のエフェドリン類によって、フェキソフェナジン塩酸塩の造粒性を向
上させる方法も提供する。さらに、フェキソフェナジン塩酸塩とエフェドリン類とを配合
し、造粒することを特徴とする固形製剤の製造方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)フェキソフェナジン塩酸塩、及び
(B)メチルエフェドリンの塩およびプソイドエフェドリンの塩からなる群より選択される1種以上のエフェドリン類とを含有する造粒物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェキソフェナジン塩酸塩及びエフェドリン類を含有する造粒物及びそれを
含む固形製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
フェキソフェナジン塩酸塩、化学名2-(4-{(1RS)-1-Hydroxy-4
-[4-(hydroxydiphenylmethyl)piperidin-1-y
l]butyl}phenyl)-2-methylpropanoic acid m
onohydrochlorideは、ヒスタミンH1受容体拮抗作用だけでなく、各種
ケミカルメディエーター遊離抑制作用、炎症性サイトカイン遊離抑制作用、及び好酸球遊
走抑制作用を有する。このような作用から、フェキソフェナジン塩酸塩を含有する製剤は
、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、並びに、湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、アトピー性皮膚炎
等の皮膚疾患に伴うそう痒など、各種アレルギー性疾患の治療剤として既に実用化されて
いる。
【0003】
フェキソフェナジンと結合剤を含有する粒子を造粒して錠剤として調製すること、及び
その結合剤を選択することによってフェキソフェナジンの安定性向上を目的とした技術が
提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-119540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
良好な造粒性を有する造粒物を含む固形製剤の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、フェキソフェナジン塩酸塩の造粒性が悪く、造粒が困難であることに基づい
て、これに着目し、鋭意検討を行った結果、意外にもフェキソフェナジン塩酸塩と、メチ
ルエフェドリンの塩及びプソイドエフェドリンの塩からなる群より選択される1種以上の
エフェドリン類とを含有する組成物にすることで造粒性が向上し、優れた固形製剤を製造
することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
[1]
(A)フェキソフェナジン塩酸塩、及び
(B)メチルエフェドリンの塩及びプソイドエフェドリンの塩からなる群より選択される
1種以上のエフェドリン類とを含有する造粒物;
[2]
(A)フェキソフェナジン塩酸塩、及び
(B)メチルエフェドリンの塩及びプソイドエフェドリンの塩からなる群より選択される
1種以上のエフェドリン類とを含有する造粒物を含む固形製剤;
[3]
(A)フェキソフェナジン塩酸塩の1質量部に対し、前記(B)エフェドリン類を0.5
~2.0質量部の割合で含有する項2記載の固形製剤;
[4]
(A)フェキソフェナジン塩酸塩を1日当たりの投与量として60~120mg含有する
項2又は3記載の固形製剤;
[5]
さらに、抗コリン成分を含有する、項2~4のいずれか1項記載の固形製剤;
[6]
さらに、潤沢剤を含有する、項2~5のいずれか1項記載の固形製剤;
[7]
前記(B)エフェドリン類が、メチルエフェドリン塩酸塩であり、1日当たりの投与量
として、60~100mg含有する、項2~6のいずれか1項記載の固形製剤;
[8]
前記(B)エフェドリン類が、プソイドエフェドリン塩酸塩であり、1日当たりの投与
量として、60~300mg含有する、項2~6記載のいずれか1項記載の固形製剤;
[9]
錠剤、顆粒剤、又はカプセル剤の形態である、項2~8のいずれか1項記載の固形製剤

[10]
メチルエフェドリンの塩及びプソイドエフェドリンの塩からなる群より選択される1種
以上のエフェドリン類によって、フェキソフェナジン塩酸塩の造粒性を向上させる方法;
[11]
(A)フェキソフェナジン塩酸塩、及び
(B)メチルエフェドリンの塩及びプソイドエフェドリンの塩からなる群より選択される
1種以上のエフェドリン類とを配合し、造粒することを特徴とする固形製剤の製造方法;
等を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によって、良好な造粒性を有する造粒物及びそれから得られる固形製剤を得るこ
とができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、(A)フェキソフェナジン塩酸塩、及び(B)メチルエフェドリンの塩およ
びプソイドエフェドリンの塩からなる群より選択される1種以上のエフェドリン類とを含
有する造粒物、及び当該造粒物を含む固形製剤に関する。
【0010】
本発明の固定製剤は、造粒物を含み、本発明の造粒物において、(B)エフェドリン類
は、(A)フェキソフェナジン塩酸塩の有するアレルギー疾患に対する効果を増強してい
るが、これと同時に、単独では造粒性の悪いフェキソフェナジン塩酸塩の造粒性を向上さ
せることもできる。
【0011】
[(A)フェキソフェナジン塩酸塩]
本発明で用いられる、フェキソフェナジン((RS)-2-[4-[1-ヒドロキシ-
4-[4-(ヒドロキシ-ジフェニル-メチル)-1-ピペリジル]ブチル]フェニル]
-2-メチル-プロピオン酸)の塩酸塩(本明細書中、(A)成分と記載することもある
)は、第2世代抗ヒスタミン薬として公知の化合物である。フェキソフェナジン塩酸塩は
、市販品にて入手するか、公知の製造方法によって製造することができる。
【0012】
フェキソフェナジンは、R体、S体のいずれであってもよく、光学分離したものを用い
てもラセミ体を用いてもよい。
【0013】
本発明の固形製剤における(A)成分の用量(投与量)は、(B)成分の量、他の成分
の種類や量、及び服用者の状態(体重、年齢、性別、症状、体調等)に応じて適宜設定で
き、限定はされないが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、通常、1日あた
りの経口投与量は、フェキソフェナジン塩酸塩として、好ましくは、約10~約240m
gとすることができ、より好ましくは、約10~約200mg、さらに好ましくは、約2
0~約160mg、さらにより好ましくは、約30~約140mg、特に好ましくは、約
60~約120mgとすることができる。或いは、最も好ましくは、1日辺り120mg
とすることである。
【0014】
本発明の固形製剤における(A)成分の含有量は、上記の服用量となるように適宜設定
できる。限定はされないが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、例えば、固
形製剤の総量を基準として、1質量%以上とすることができ、好ましくは3質量%以上、
より好ましくは5質量%以上、さらにより好ましくは10質量%以上とすることができ、
90質量%以下とすることができ、好ましくは60質量%以下とすることができ、より好
ましくは50質量%以下とすることができる。
(A)成分の総含有量は、例えば、固形製剤の総量を基準として、1~90質量%とす
ることができ、好ましくは3~60質量%、より好ましくは5~60質量%、さらにより
好ましくは10~50質量%とすることができる。
【0015】
[(B)エフェドリン類]
本明細書において、エフェドリン類は、メチルエフェドリンの塩、及びプソイドエフェ
ドリンの塩からなる群より選択される少なくとも1種を指す。
【0016】
本発明において、メチルエフェドリンの塩又はプソイドエフェドリンの塩は、薬学上許
容される塩であれば特に限定されないが、例えば、塩としては、無機酸や有機酸、無機塩
基や有機塩基等との塩が挙げられ、例えば、硫酸塩、塩酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、
フマル酸塩、ジフェニルジスルホン酸塩、テオクル酸塩、サリチル酸塩、タンニン酸塩、
ベシル酸塩、ナパジシル酸塩、リン酸塩等が挙げられる。本発明においては、塩酸塩が好
ましく、エフェドリン類として、メチルエフェドリンの塩酸塩又はプソイドエフェドリン
の塩酸塩が特に好ましい。
【0017】
本発明の固形製剤における(B)成分の総含有量は、限定はされないが、固形製剤の総
量の1~20質量%であることが好ましい。本願発明の効果及び(A)成分に対する(B
)成分は、特に限定はされず、(A)成分1質量部に対して、(B)成分が0.1~10
質量部であることが好ましく、0.5~2質量部であることが特に好ましい。
【0018】
[(B-1)メチルエフェドリン塩酸塩]
本発明で用いられる、メチルエフェドリン((1RS,2SR)-2-ジメチルアミノ
-1-フェニルプロパン-1-オール)塩酸塩(本明細書中、単に(B)成分と記載する
こともある)は、エフェドリンと類似の作用機序、すなわちα作用、及びβ作用を有し、
気管支拡張作用、中枢性の鎮咳作用を有することが知られている公知の化合物である。メ
チルエフェドリン塩酸塩は、市販品にて入手するか、又は公知の方法に従って製造するこ
とができる。
【0019】
メチルエフェドリンは、R体、S体のいずれであってもよく、光学分離したものを用い
てもラセミ体を用いてもよい。
【0020】
本発明の固形製剤における(B-1)成分の用量(投与量)は、(A)成分の量、他の
成分の種類や量、及び服用者の状態(体重、年齢、性別、症状、体調等)に応じて適宜設
定でき、限定はされないが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、(B-1)
成分が含まれる場合には、通常、1日あたりの経口投与量は、メチルエフェドリン塩酸塩
として、約10~約200mgとすることができ、より好ましくは、約22~約160m
g、さらにより好ましくは、約30~約140mg、特に好ましくは、約60~約100
mgとすることができる。或いは、最も好ましくは、1日あたり72mgとすることであ
る。これを1つの固体製剤に含有させることもできる。
【0021】
本発明の固形製剤における(B-1)成分の総含有量は、(B-1)成分が含まれる場
合には、限定はされないが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、例えば、固
形製剤の総量を基準として、0.1質量%以上とすることができ、好ましくは1質量%以
上、より好ましくは5質量%以上、さらにより好ましくは8質量%以上とすることができ
、場合により10質量%以上とすることができる。(B-1)成分は、固体製剤の総量を
基準として、20質量%以下とすることができ、好ましくは15質量%以下、より好まし
くは12重量%以下である。
【0022】
(B-1)成分の総含有量は、(B-1)成分が含まれる場合には、固形製剤の総量を
基準として、0.1~20質量%とすることができ、好ましくは1~15質量%、より好
ましくは5~12質量%、さらにより好ましくは8~12質量%とすることができる。
【0023】
[(B-2)プソイドエフェドリン塩酸塩]
本発明で用いられる、プソイドエフェドリン((1S,2S)-2-(メチルアミノ)
-1-フェニル-1-プロパノール)塩酸塩(本明細書中、(B)成分と記載することも
ある)は、エフェドリンと類似の作用機序、すなわちα作用、及びβ作用を有し、気管支
拡張作用、中枢性の鎮咳作用を有することが知られている公知の化合物である。プソイド
エフェドリン塩酸塩は、市販品にて入手するか、又は公知の方法に従って製造することが
できる。
【0024】
プソイドエフェドリンは、R体、S体のいずれであってもよく、光学分離したものを用
いてもラセミ体を用いてもよい。
【0025】
本発明の固形製剤における(B-2)成分の用量(投与量)は、(A)成分の量、他の
成分の種類や量、及び服用者の状態(体重、年齢、性別、症状、体調等)に応じて適宜設
定でき、限定はされないが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、(B-2)
成分が含まれる場合には、通常、1日あたりの経口投与量は、例えば、プソイドエフェド
リン塩酸塩として、約20~約400mgとすることができ、より好ましくは、約60~
約300mg、さらにより好ましくは、約100~約280mg、特に好ましくは、約1
20~約240mgとすることができる。
【0026】
本発明の固形製剤における(B-2)成分の総含有量は、(B-22)成分が含まれる
場合には、限定はされないが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、例えば、
固形製剤の総量を基準として、0.1質量%以上とすることができ、好ましくは1質量%
以上、より好ましくは5質量%以上、さらにより好ましくは8質量%以上とすることがで
き、場合により10質量%以上とすることができる。(B-2)成分は、固体製剤の総量
を基準として、30質量%以下とすることができ、好ましくは15質量%以下、より好ま
しくは12重量%以下である。
【0027】
(B-2)成分の総含有量は、(B-2)成分が含まれる場合には、例えば、固形製剤
の総量を基準として、0.1~30質量%とすることができ、好ましくは5~12質量%
、より好ましくは、8~12質量%とすることができる。
【0028】
本発明の固形製剤は、(B-1)成分又は(B-2)成分のいずれか一方を含有してい
れば良く、場合により、(B-1)成分及び(B-2)成分の両方を含有しても良い。本
発明の固形製剤は、好ましくは、(B-1)成分又は(B-2)成分のいずれか一方を含
有するものである。
【0029】
本発明の固形製剤の(B)成分の総含有量は、限定はされないが、本発明の効果をより
顕著に発揮させる観点から、例えば、固形製剤の総量を基準として、(B-1)又は(B
-2)それぞれ単一の(B)成分につき、0.1質量%以上とすることができ、好ましく
は1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらにより好ましくは8質量%以上とす
ることができ、場合により10質量%以上とすることができる。本発明の固形製剤におけ
る(B)成分の総含有量は、限定はされないが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観
点から、例えば、固形製剤の総量を基準として、(B-1)又は(B-2)それぞれ単一
の(B)成分につき、12質量%以下であり、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点
から、好ましくは、11.5質量%以下とすることができ、より好ましくは、11質量%
以下とすることができる。但し、(B)成分としては、(B-1)又は(B-2)成分の
それぞれ単独であることが好ましいことから、(B)成分の合計量としても、これらの値
であることが好ましい。
【0030】
(B)成分の総含有量は、例えば、固形製剤の総量を基準として、(B-1)又は(B
-2)それぞれ単一の(B)成分につき、0.1~12質量%とすることができ、好まし
くは1~12質量%、より好ましくは5~12質量%、さらにより好ましくは7~12質
量%、最も好ましくは8~12質量%とすることができ、場合により、10~11質量%
とすることができる。
【0031】
本発明による効果を奏する観点から、(A)成分の総含有量と(B-1)成分の総含有
量との配合比率を(A)成分/(B-1)成分で示される重量比とした場合、1.3~1
.9の範囲内である。好ましくは、(A)成分/(B-1)成分で示される重量比は、1
.3~1.8の範囲内であり、より好ましくは、1.3~1.7の範囲内であり、最も好
ましくは5/3である。
【0032】
本発明による効果を奏する観点から、(A)成分の総含有量と(B-2)成分の総含有
量との配合比率を(A)成分/(B-2)成分で示される重量比とした場合、0.5~1
.0の範囲内である。好ましくは、(A)成分/(B-2)成分で示される重量比は、0
.5又は1である。
【0033】
本発明の固形製剤は、通常、1日1~6回、好ましくは1日1~3回、最も好ましくは
2回投与することができる。したがって、1回の投与のための本発明の固形製剤は、前記
の1日あたりの投与量を1日の投与回数で割った量を、含有することが好ましい。尚、本
発明の造粒物は、効果の持続性も有するため、1日1~2回の投与であっても高い効果が
持続する。
【0034】
本発明の造粒物及び固形製剤には、さらに、(A)成分及び(B)成分以外の任意の成
分を含ませることができる。このような任意成分は、その1種又は2種以上を適宜組み合
わせることも可能である。このような任意の成分の代表的な一例として、好ましくは、ト
ロパンアルカロイド又はその誘導体などの(C)抗コリン成分が挙げられる。さらに、本
発明の造粒物及び固形製剤には、カフェインを含まないことが好ましい。カフェインは、
揮発して結晶として析出し、成長する可能性がある。すなわち、ウィスカー(ひげ結晶)
と呼ばれる結晶を形成して、製品の品質を悪くする可能性がある。
【0035】
[(C)抗コリン成分]
本発明において、抗コリン成分としては、トロパン骨格を持つアルカロイド又はその誘
導体が例示される。具体的にはトロパンアルカロイド(アトロピン、スコポラミン、ヒヨ
スチアミンなど)及びその誘導体(例えば、メチルアトロピン、メチルスコポラミン、ブ
チルスコポラミンなどの四級アンモニウム化誘導体など)並びにそれらのアルカロイドを
含有する成分(ダツラエキス、ベラドンナ総アルカロイド、ベラドンナコン、ベラドンナ
エキス、ロートコン総アルカロイド、ロートコン、ロートエキス、ヨウ化イソプロパミド
、メチルスコポラミン又はその塩、ブチルスコポラミン又はその塩等)が挙げられる。な
お、これらは、薬学上許容される塩や溶媒和物の状態であってもよい。これらのうち、本
発明の固形製剤の打錠性により良い影響を及ぼすことができる観点から、ベラドンナ総ア
ルカロイドが特に好ましい。
【0036】
ここで、塩の好適な具体例としては、臭化物塩(例えば、ブチルスコポラミン臭化物な
ど)、臭化水素酸塩(例えば、スコポラミン臭化水素酸塩水和物など)、クエン酸塩(例
えば、ロートコン総アルカロイドクエン酸塩など)などが挙げられる。また、溶媒和物と
しては、水和物等が挙げられる。
【0037】
抗コリン成分として、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0038】
本発明の固形製剤に抗コリン成分が含まれる場合には、抗コリン成分は、通常、成人に
対して、1日あたり有効成分の量として、通常、0.1~100mgを投与することがで
き、例えばベラドンナ総アルカロイドの場合には、0.01~1mg、好ましくは0.4
~0.6mg、ロートエキス、ベラドンナエキス、ダツラエキスでは1~100mg、ヨ
ウ化イソプロパミドの場合には0.1~10mgを1日1回ないし数回に分けて経口投与
することができる。
【0039】
本発明の固形製剤に抗コリン成分が含まれる場合には、抗コリン成分の総含有量は、例
えば、固形製剤の総量を基準として、例えばベラドンナ総アルカロイドの場合には0.0
2~0.1質量%、好ましくは0.03~0.1質量%、より好ましくは0.03~0.
06質量%とすることができる。場合により0.02~0.06質量%程度に調整するこ
ともできる。ロートエキス、ベラドンナエキス、ダツラエキスの場合は、0.1~40質
量%とすることができる。ヨウ化イソプロパミドの場合には0.01~4質量%とするこ
とができる。
【0040】
本発明による効果を奏する観点から、(A)成分と(C)抗コリン成分との配合割合は
、(A)成分1質量部に対し、(C)抗コリン成分0.001質量部~0.005質量部
とすることが好ましい。
【0041】
[(D)結合剤]
本発明の造粒物は、良好に造粒するという本発明の効果をより顕著に奏するという観点
から、さらに以下に挙げる(D)結合剤を含有することも好ましい。本発明の造粒物に含
まれ得る(D)結合剤は、限定はされず、水難溶性結合剤(結晶セルロース、低置換度ヒ
ドロキシプロピルセルロース)などでもあり得るが、水溶性結合剤が好ましい。特に、本
発明の造粒物が造粒過程を経た組成物である場合には、水溶性結合剤が好ましい。本発明
の造粒物に含まれ得る水溶性結合剤としては、医薬上、薬理学的に又は生理学的に許容さ
れることを限度として特に制限されず、多糖類、タンパク質、水溶性セルロース系高分子
、デンプン類、水溶性ビニル系高分子、ポリエーテル類、糖類のいずれであってもよい。
ここで、多糖類としては、具体的には、アラビアガム、寒天、トラガントガム、アルギン
酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、デキストラン、プルラン、
ペクチン、キトサン、ヘミロース等が挙げられる。タンパク質としては、具体的に、ゼラ
チン、精製ゼラチン等が挙げられる。水溶性セルロース系高分子としては、具体的に、カ
ルメロース又はその塩、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。デンプン類と
しては、具体的に、デンプン(コムギデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデン
プン等)、アルファー化デンプン、デキストリン、シクロデキストリン、カルボキシメチ
ルスターチ、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシエチルスターチ、部分アルファー
化デンプン等が挙げられる。水溶性ビニル系高分子としては、具体的に、ポリビニルピロ
リドン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、コポリドン等が挙げられる
。アクリル系高分子としては、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。ポリエーテル
類として、具体的に、マクロゴール等が挙げられる。糖類としては、具体的に、白糖水あ
め、果糖、糖アルコール類(例えばキシリトール、ソルビトール)、ブドウ糖等が挙げら
れる。これらの(D)成分の製剤上の用途は結合剤以外であってもよい。上記の結合剤の
中でも、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチル
セルロースなどのセルロース系高分子;バレイショデンプン、トウモロコシデンプン、ア
ルファー化デンプンなどのデンプン類;及びポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコー
ルなどからなるビニル系高分子;より選択される水溶性高分子の結合剤(本明細書では水
溶性結合剤とも表わす)であることが好ましく、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビ
ニルピロリドンが更に好ましい。
【0042】
本発明の造粒物に(D)結合剤が含まれる場合には、(A)フェキソフェナジン塩酸塩
のアレルギー疾患に対する効果を十分に増強する観点及び造粒性の向上の観点等の本発明
の効果をより顕著に奏するという観点や、コスト対効果の観点から、(A)フェキソフェ
ナジン塩酸塩1質量部に対し、(D)結合剤を、好ましくは0.03~2.0質量部、よ
り好ましくは0.05~1.7質量部、さらに好ましくは0.08~1.5質量部含有す
る。本発明の造粒物は、造粒性が向上されていることから、少ない結合剤であっても造粒
性が良い。
【0043】
本発明の造粒物は、所望により、フェキソフェナジン塩酸塩及びエフェドリン類に加え
て、その他の生理活性成分を含有してもよい。
このような生理活性成分としては、例えば
(1)交感神経興奮成分(例えば、フェニレフリン(、フェニルプロパノールアミン、エ
フェドリン、エチレフリン、メトキサミン、ミドドリン、メトキシフェナミンなど)、
(2)消炎酵素類(例えば、リゾチーム、セラペプターゼ、ブロメライン、プロナーゼな
ど)
(3)生薬、及び生薬由来成分(例えば、ショウキョウ、ニンジン、マオウ、ケイヒ、ケ
イガイ、サイシン、シンイ、ナンテンジツ、オウヒ、ビャクシ、ゼンコ、キキョウ、シャ
ゼンシ、ゴオウ、ガジュツ、ビャクジュツ、ソウジュツ、ゲンチアナ、ウイキョウ、オン
ジ、オウバク、オウレン、チクセツニンジン、チンピ、チョウジ、セネガ、シャゼンソウ
、シャジンなど)、
(4)キサンチン誘導体(例えば、テオフィリン、アミノフィリン、テオブロミン、ジプ
ロフェイリン、プロキシフィリン、ペントキシフィリンなど)、
(5)解熱鎮痛薬成分(例えば、アスピリン、アスピリンアルミニウム、アセトアミノフ
ェン、エテンザミド、サザピリン、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウム、ラクチルフ
ェネチジン、イブプロフェン、ケトプロフェンなど)、
(6)鎮咳薬成分(例えば、アクロラミド、クロペラスチン、ペントキシベリン(カルベ
タペンタン)、チペピジン、ジブナート、デキストロメトルファン、コデイン、ジヒドロ
コデイン、ノスカピンなど)、
(7)去痰薬(例えば、グアヤコールスルホン酸カリウム、グアイフェネシンなど)、
(8)ビタミン類(例えば、ビタミンA類[例えば、レチナール、レチノール、レチノイ
ン酸、カロチン、デヒドロレチナール、リコピンなど]、ビタミンB類[例えば、チアミ
ン、チアミンジスルフィド、ジセチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチ
アミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、フルスルチアミン、
リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチド、ピリドキシン、ピリドキサール、ヒド
ロキソコバラミン、シアノコバラミン、メチルコバラミン、デオキシアデノコバラミン、
葉酸、テトラヒドロ葉酸、ジヒドロ葉酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチニルア
ルコール、パントテン酸、パンテノール、ビオチン、コリン、イノシトールなど]、ビタ
ミンC類[例えば、アスコルビン酸、エリソルビン酸、又はその誘導体など]、ビタミン
D類[例えば、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ヒドロキシコレカルシ
フェロール、ジヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロタキステロールなど]、ビタ
ミンE類[例えば、トコフェロール及びその誘導体、ユビキノン誘導体など]、その他の
ビタミン類[例えば、ヘスペリジン、カルニチン、フェルラ酸、γ-オリザノール、オロ
チン酸、ルチン、エリオシトリンなど]など)、及び
(9)粘膜保護成分(例えば、アミノ酢酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ジヒドロキシ
アルミニウム・アミノ酢酸塩などのアルミニウム系粘膜保護剤;メタケイ酸アルミン酸マ
グネシウム、ケイ酸アルミニウム、ヒドロタルサイト、水酸化アルミナマグネシウム、水
酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化
アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・
炭酸マグネシウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシ
ウム、ケイ酸マグネシウム、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成
物などのマグネシウム系粘膜保護剤など)などが挙げられる。
これらの生理活性成分は、フリー体であっても、塩であってもよい。
【0044】
本発明の造粒物を含む固形製剤は、好ましくは経口投与組成物である。その剤形として
は、錠剤(素錠、口腔内速崩解錠、咀嚼可能錠、発泡錠、ゼリー状ドロップ剤、ドロップ
剤、フィルムコーティング錠、糖衣錠、カプレット剤、丸剤などを含む)、トローチ剤、
顆粒剤、丸剤、ドライシロップ剤、散剤(細粒剤を含む)、カプセル剤(硬カプセル剤、
軟カプセル剤を含む)のような固形製剤等を例示できる。中でも、本願発明の効果をより
一層発揮することや、汎用性などの観点から、フェキソフェナジン塩酸塩と、メチルエフ
ェドリン塩酸塩又はプソイドエフェドリン塩酸塩を含有する造粒物を含む固形製剤が好ま
しい。造粒を経て調製される固形製剤には、顆粒剤、錠剤、トローチ剤、硬カプセル剤、
ドライシロップ剤などが含まれる。このうち、特に好ましくは、造粒を経て調製される錠
剤又は顆粒剤である。
【0045】
本発明の造粒物を含む固形製剤が錠剤、顆粒剤、又はカプセル剤である場合、本発明の
効果および服用の利便性の観点から、当該固形剤の総量に対するフェキソフェナジン塩酸
塩の含有量は、通常2.5~35質量%、好ましくは10~25質量%、好ましくは13
~20質量%、さらに好ましくは13~18質量%である。
【0046】
本発明の造粒物を含む固形製剤が錠剤、顆粒剤、又はカプセル剤である場合、本発明の
効果をより顕著に奏するという観点から、当該固形剤の総量に対するエフェドリン類の含
有量は、通常0.03~57.0質量%、好ましくは0.5~30質量%であり、さらに
好ましくは1~20質量%である。エフェドリン類として、生薬又は漢方エキスを用いる
場合、固形剤の総量に対するエフェドリン類を含有する生薬又は漢方エキスの含有量は、
好ましくは15~50質量%である。
【0047】
本発明の造粒物を含む固形製剤が錠剤、顆粒剤、又はカプセル剤である場合、本発明の
効果をより顕著に奏するという観点から、当該固形剤の総量に対する(D)結合剤の固形
分含有量は、好ましくは0.5質量%~90質量%、より好ましくは0.5~50質量%
、さらに好ましくは1~30質量%であり、もっとも好ましくは10~20質量%である
【0048】
ここでの(D)結合剤は、限定はされないが、水溶性結合剤であることが好ましい。本
発明の造粒物は、被造粒物や組成物の総質量に対して、適切な量の水溶性結合剤を含有す
ることによって、本発明の効果を顕著に奏する。
【0049】
また本発明の造粒物は、その剤形に応じて、適切な添加物を含有してもよい。このよう
な添加物としては、固形製剤(例えば、錠剤やカプセル剤、散剤など)の場合、賦形剤(
例えば、ショ糖、乳糖、マンニトール、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸など)、滑沢剤
(例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、タルクなど)、崩壊剤(
例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、クロスカルメロース
ナトリウムなど)、発泡剤(例えば、炭酸水素ナトリウムなど)、流動化剤(例えば、メ
タケイ酸アルミン酸ナトリウム、軽質無水ケイ酸など)、などが挙げられる。これらの添
加物の製剤上の用途は上記以外であってもよい。また油性基剤(例えば、オリーブ油、ト
ウモロコシ油、大豆油、ゴマ油、綿実油などの植物油;中鎖脂肪酸トリグリセリドなど)
、水性基剤(例えば、マクロゴール400、水)、ゲル基剤(例えば、カルボキシビニル
ポリマー、ガム質など)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート80、硬化ヒマシ油、グ
リセリン脂肪酸エステル、セスキオレイン酸ソルビタンなど)、懸濁化剤(例えば、サラ
シミツロウや各種界面活性剤、大豆レシチンなど)、分散剤、乳化剤、安定化剤、緩衝剤
、溶解補助剤、pH調節剤、防腐剤(保存剤)などが挙げられる。またこれらの組成物に
はいずれの場合でも、抗酸化剤、甘味剤、酸味剤、着色剤、香料、及び呈味剤などを適宜
添加してもよい。
【0050】
本発明の造粒物を含む固形製剤は、その剤形に応じて、フェキソフェナジン塩酸塩とエ
フェドリン類と、所望により用いられるその他の生理活性成分及び添加剤とを、慣用の方
法により調製して得ることができる。
【0051】
また、本発明の造粒物を含む固形製剤は、症状として、ダニやハウスダスト、花粉など
のアレルゲンが原因で発症するアレルギー性鼻炎(通年性アレルギー性鼻炎、及び季節性
アレルギー性鼻炎(花粉症の鼻炎症状など)を含む)或いは蕁麻疹、並びに、湿疹・皮膚
炎、皮膚そう痒症、アトピー性皮膚炎等の皮膚疾患に伴うそう痒に効果が高い。本発明の
造粒物は、特に、アレルギー性鼻炎患者のアレルギー症状の軽減に有用である。特に(A
)フェキソフェナジン塩酸塩と(B)エフェドリン類とを含有することによって、くしゃ
み、鼻水などの鼻のアレルギー症状を緩和する。
【0052】
本発明の造粒物を含む固形製剤は、フェキソフェナジン塩酸塩とエフェドリン類とを同
時に造粒して得られ、かつその2成分を1つの製剤に含めることが好ましい。
【0053】
[固形製剤の製造方法]
本発明の固形製剤は、造粒工程を経たものであれば、公知のいずれの方法によっても製
造することができる。必要に応じて、滅菌工程を含めることができる。製剤は、第17改
正日本薬局方総則に従い、又はこれに準拠して、各成分を混合することにより製造するこ
ともできる。
【0054】
ここで、造粒法としては、押出造粒法、粉砕造粒法、乾式圧密造粒法、流動層造粒法、
転動造粒法、高速攪拌造粒法などを適宜組み合わせて使用することができる。
【0055】
本発明の固形製剤が錠剤の場合は、例えば、造粒法と打錠法等を組み合わせて調製する
こともできる。例えば、間接圧縮法、例えば、湿式顆粒打錠法、乾式顆粒打錠法などを使
用することもできる。本発明の固形製剤は、コーティングを施した、糖衣錠やフィルムコ
ーティング錠でもあり得る。さらに、本発明の固形製剤は、単層錠であっても、二層錠な
どの積層錠であってもよい。本発明において、固形製剤は、湿式顆粒打錠法で調製された
単層錠でもあり得る。
【0056】
本発明の固体製剤が、カプセル剤の場合は、造粒して得られた顆粒をカプセルに充填す
る方法などを使用することができる。
【0057】
本発明の固形製剤は、コーティングを施した、糖衣錠やフィルムコーティング錠でもあ
り得る。さらに、本発明の固形製剤は、単層錠であっても、二層錠などの積層錠であって
もよい。本発明において、固形製剤は、湿式顆粒打錠法で調製された単層錠でもあり得る
【0058】
本発明の製造方法においても、(B)エフェドリン類の量、(A)フェキソフェナジン
塩酸塩の量、任意成分の(C)抗コリン成分の量、(D)結合剤の量、及びそれらの成分
比は、固形製剤の場合と同様である。
【0059】
[包装]
本発明の固形製剤は、任意の包装形態で提供され得る。例えば、包装形態は、SP包装
やPTP包装などのように1錠、1カプセル、1包、又は1回服用量毎に個装する形態で
あってもよいし、或いは、任意の容器(例えば、ガラス製又はプラスチック製の瓶容器、
或いは合成樹脂やアルミ箔などを積層加工したフィルムでできたパウチ型包装容器など)
の中に複数回服用量(例えば、多数の錠剤)を一緒にまとめて充填し、服用のつど繰り返
し開封されて継続的に使用される形態をとってもよい。多数の錠剤を一緒にまとめて包装
体に充填する後者の形態は、コスト的に有利である。特に、ジッパー等によって開閉自在
な取出口を有するパウチ型包装容器(ジッパー式パウチ型包装容器など)に多数の錠剤や
カプセルを一緒にまとめて充填する形態を有利に使用することができる。
【0060】
[フェキソフェナジン塩酸塩の造粒性を向上させる方法]
本発明はまた、(B)メチルエフェドリンの塩およびプソイドエフェドリンの塩からな
る群より選択される1種以上のエフェドリン類によって、(A)フェキソフェナジン塩酸
塩の造粒性を向上させる方法にも関する。例えば、本発明の造粒物に、(B)メチルエフ
ェドリンの塩およびプソイドエフェドリンの塩からなる群より選択される1種以上のエフ
ェドリン類と(A)フェキソフェナジン塩酸塩とを共存させることで、該造粒物に良好な
造粒性を付与することができる。ここで、「造粒性を向上させる」と「良好な造粒性を付
与する」とは同様の意味で用いることができ、(A)フェキソフェナジン塩酸塩単独での
造粒性よりも、良好であることをいう。例えば、フェキソフェナジン塩酸塩単独で造粒し
た場合より、全体に占める微粒子の割合が少なくなること、メジアン径D50の値が上昇
することなどをいう。特に限定はされないが、全体の重量に占める微粒子の重量の割合は
、少ないほど良好であるといえるが、少なくとも全体の20%以下であることが好ましい
。当該方法においても、(B)エフェドリン類の量、(A)フェキソフェナジン塩酸塩の
量、任意成分の(C)抗コリン成分、(D)結合剤の量、及びそれらの成分比は、造粒物
又は固形製剤の場合と同様である。
【0061】
[錠剤の形態]
ここで、錠剤の形態は、特に限定はされず、上述の通り、素錠、口腔内速崩壊錠、口腔
内速溶解錠、チュアブル錠、発泡錠、トローチ剤、ドロップ剤、フィルムコーティング錠
、糖衣錠、カプレット剤、丸剤などであり得る。本発明によれば、結合剤などを多量に添
加せずとも製剤的に打錠性の良い固形製剤が得られる為、服用に支障がない量で必要に応
じて様々な大きさの固形製剤とすることができる。これらは、例えば、限定はされないが
、1錠あたりの重量が、30~800mgであることが好ましく、100~800mgで
あることがより好ましく、300~800mgであることがさらに好ましく、300~6
00mgであることがさらにより好ましく、300~500mgであることが最も好まし
い。測定は、汎用の天秤を用いて測定することができる。
【0062】
錠剤は、好ましくは、錠径が3.0~12.0mm、錠厚が2.0~7.0mmである
。錠厚、錠径は汎用のノギス等を用いて測定することができる。その硬度は、本発明の効
果を奏し得る限り特に限定されないが、良好な溶出性を達成する観点からは、40~20
0N程度が好ましい。なお、本発明の硬度は、硬度計(PTB311E, ファーマテスト
社製)を用いて、測定した値である。
【実施例0063】
以下に、実施例によって、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定される
ものではない。
【0064】
実施例1
表1に記載の処方表に基づき、流動層造粒機にフェキソフェナジン塩酸塩144g、メ
チルエフェドリン塩酸塩86.4g、乳糖水和物324g、部分アルファー化デンプン1
08g、結晶セルロース96gの混合物を投入した。そこに吸気温度設定75℃、風量2
0~50m/hの条件下、5%のポリビニルピロリドン水溶液を360g噴霧し、それ
を乾燥して顆粒を得た。得られた顆粒10gを500、355、250、150、106
、75μmという6つの異なる篩目の篩を用いて分級し、篩に残存した重量を測定した。
各重量から、全体に占める75μm以下の微粉量の重量の割合を算出した。更に定法に基
づきこれらの累積分布曲線の50%累積値に相当する径であるメジアン径D50を算出し
た。
【0065】
実施例2
表1に記載の処方表に基づき、流動層造粒機にフェキソフェナジン塩酸塩144g、塩
酸プソイドエフェドリン144g、乳糖水和物324g、部分アルファー化デンプン10
8g、結晶セルロース96gの混合物を投入した。そこに吸気温度設定75℃、風量20
~50m/hの条件下、5%のポリビニルピロリドン水溶液を360g噴霧し、それを
乾燥して顆粒を得た。得られた顆粒10gを500、355、250、150、106、
75μmという6つの異なる篩目の篩を用いて分級し、篩に残存した重量を測定した。各
重量から、全体に占める75μm以下の微粉量の重量の割合を算出した。更に定法に基づ
きこれらの累積分布曲線の50%累積値に相当する径であるメジアン径D50を算出した
【0066】
実施例3
表1に記載の処方表に基づき、流動層造粒機にフェキソフェナジン塩酸塩120g、塩
酸プソイドエフェドリン240g、乳糖水和物270g、部分アルファー化デンプン90
g、結晶セルロース80gの混合物を投入した。そこに吸気温度設定75℃、風量20~
50m/hの条件下、5%のポリビニルピロリドン水溶液を360g噴霧し、それを乾
燥して顆粒を得た。得られた顆粒10gを500、355、250、150、106、7
5μmという6つの異なる篩目の篩を用いて分級し、篩に残存した重量を測定した。各重
量から、全体に占める75μm以下の微粉量の重量の割合を算出した。更に定法に基づき
これらの累積分布曲線の50%累積値に相当する径であるメジアン径D50を算出した。
【0067】
実施例4
表1に記載の処方表に基づき、流動層造粒機にフェキソフェナジン塩酸塩120g、プ
ソイドエフェドリン塩酸塩240g、ベラドンナ総アルカロイド0.4g、乳糖水和物2
70g、部分アルファー化デンプン90g、結晶セルロース80gの混合物を投入した。
そこに吸気温度設定75℃、風量20~50m/hの条件下、5%のポリビニルピロリ
ドン水溶液を300g噴霧し、それを乾燥して顆粒を得た。得られた顆粒10gを500
、355、250、150、106、75μmという6つの異なる篩目の篩を用いて分級
し、篩に残存した重量を測定した。各重量から、全体に占める75μm以下の微粉量の重
量の割合を算出した。更に定法に基づきこれらの累積分布曲線の50%累積値に相当する
径であるメジアン径D50を算出した。
【0068】
比較例1
表1に記載の処方表に基づき、流動層造粒機にフェキソフェナジン塩酸塩144g、乳
糖水和物324g、部分アルファー化デンプン108g、結晶セルロース96gの混合物
を投入した。そこに吸気温度設定75℃、風量20~50m/hの条件下、5%ポリビ
ニルピロリドン水溶液を600g噴霧し、それを乾燥して顆粒を得た。実施例1と同様の
方法で、75μm以下の微粉量の重量の割合とメジアン径D50を求めた。
【0069】
実施例1~4、及び比較例1の造粒性向上(微粉量割合の低減、メジアン径D50の増
大)の検討の結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
比較例1では75μm以下の粉体(微粉)量が全体の31.3%を占めているのに対し
、実施例1~4では75μm以下の粉体量は、それぞれ全体の12.8%、0.5%、2
.0%、及び3.0%であった。つまりフェキソフェナジン塩酸塩にエフェドリン類を配
合することによって、微粉量が半分以下に減少していることがわかる。比較例1で調製し
た顆粒は実施例1で調製した顆粒と比べ、周囲への飛散や機器への付着が多かったことも
自明である結果であった。
【0072】
また比較例1では3径D50は108.6μmであるのに対し、実施例1~4では、メ
ジアン径D50が、それぞれ、184.8μm、259.4μm、229.8μm、21
8.3μmとなった。このことより、フェキソフェナジン塩酸塩とエフェドリン類と共に
造粒することで確実に得られた顆粒のメジアン径が大きくなっており、粒子径の増大効果
があることが示された。
【0073】
(製剤例)
処方例1に基づき、湿式造粒して顆粒を調製した後打錠して1錠360mgの錠剤を調
製し、1日あたり2錠服用とした。処方例2~3に基づき、湿式造粒して顆粒を調製した
後打錠して1錠300mgの錠剤を調製し、1日あたり4錠服用とした。処方例4に基づ
き、湿式造粒して顆粒を調製した後打錠して1錠400mgの錠剤を調製し、1日あたり
6錠服用とした。
【0074】
【表2】
【0075】
処方例5に基づき、乾式造粒して顆粒を調製した後打錠して1錠360mgの錠剤を調
製し、1日あたり2錠服用とした。処方例6~7に基づき、乾式造粒して顆粒を調製した
後打錠して1錠300mgの錠剤を調製し、1日あたり4錠服用とした。処方例8に基づ
き、乾式造粒して顆粒を調製した後打錠して1錠400mgの錠剤を調製し、1日あたり
6錠服用とした。
【0076】
【表3】
【0077】
処方例9に基づき、1包あたり0.36gの顆粒を調製し、1日あたり2包服用とした
。またこの顆粒を同量、硬カプセルに充填し、1日あたり2カプセル服用とした。処方例
10~11に基づき、1包あたり0.30gの顆粒を調製し、1日あたり4包服用とした
。またこの顆粒を同量、硬カプセルに充填し、1日あたり4カプセル服用とした。処方例
12に基づき、1包あたり0.40gの顆粒を調製し、1日あたり6包服用とした。また
この顆粒を同量、硬カプセルに充填し、1日あたり6カプセル服用とした。
【0078】
【表4】