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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016865
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】有機発光材料
(51)【国際特許分類】
   C07F 15/00 20060101AFI20230126BHJP
   H10K 85/30 20230101ALI20230126BHJP
   H10K 50/12 20230101ALI20230126BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20230126BHJP
   H10K 101/10 20230101ALN20230126BHJP
【FI】
C07F15/00 E CSP
H10K85/30
H10K50/12
H10K85/60
H10K101:10
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186291
(22)【出願日】2022-11-22
(62)【分割の表示】P 2021002771の分割
【原出願日】2021-01-12
(31)【優先権主張番号】202010026581.1
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011438481.6
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519333413
【氏名又は名称】北京夏禾科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】劉 仁茂
(72)【発明者】
【氏名】▲カク▼ 新方
(72)【発明者】
【氏名】黄 維洲
(72)【発明者】
【氏名】代 志洪
(72)【発明者】
【氏名】張 奇
(72)【発明者】
【氏名】張 翠芳
(72)【発明者】
【氏名】路 楠楠
(72)【発明者】
【氏名】鹿 学宇
(72)【発明者】
【氏名】張 冬冬
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 擁軍
(72)【発明者】
【氏名】▲クアン▼ 志遠
(72)【発明者】
【氏名】夏 伝軍
(57)【要約】
【課題】有機発光素子において発光材料として素子の効率および耐用年数を大幅に向上した金属錯体の提供。
【解決手段】本発明は、有機発光材料を開示する。前記発光材料は、3,4-重水素置換イソキノリン系配位子およびアセチルアセトン系配位子を含む一連の金属錯体である。前記化合物は、有機エレクトロルミネセント素子の発光層における発光材料として用いられることができる。これらの新規な化合物は、より良好な素子の性能を提供することができる。本発明は、該有機発光材料を含むエレクトロルミネセント素子および化合物の組合せをさらに開示する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
M(L(L(Lの一般式を有する金属錯体。
(L、LおよびLは、それぞれ金属Mと配位する第1配位子、第2配位子および第3配位子であり、そのうち、金属Mは、原子質量が40超えの金属であり、
、LおよびLは、結合して多座配位子を形成していてもよく、
mは、1または2であり、nは、1または2であり、qは、0または1であり、m+n+qは、金属Mの酸化状態に等しく、
mが1よりも大きい場合、Lは、同一または異なってもよく、nが1よりも大きい場合、Lは、同一または異なってもよく、
前記第1配位子Lは、式1で表される構造を有し、
【化1】
~Xは、出現毎に同一または異なってCRまたはNから選ばれ、
~Yは、出現毎に同一または異なってCRまたはNから選ばれ、
およびRは、出現毎に同一または異なって、水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の炭素原子7~30アラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミン基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、ニトリル基、イソニトリル基、スルファニル、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
~X のうちの少なくとも1つがCR から選ばれ、かつ前記R は、出現毎に同一または異なって水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の炭素原子7~30アラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミン基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、ニトリル基、イソニトリル基、スルファニル、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
式1中、隣り合う置換基は、結合して環を形成していてもよく、
前記第2配位子Lは、式2で表される構造を有し、
【化2】
~Rは、出現毎に同一または異なって、水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の炭素原子7~30アラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミン基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、ニトリル基、イソニトリル基、スルファニル、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
式2中、隣り合う置換基は、結合して環を形成していてもよく、
前記第3配位子Lは、モノアニオン性二座配位子である。)
【請求項2】
金属Mは、Cu、Ag、Au、Ru、Rh、Pd、Os、IrおよびPtからなる群から選ばれ、
好ましくは、金属Mは、PtまたはIrから選ばれる、請求項1に記載の金属錯体。
【請求項3】
~X は、出現毎に同一または異なってCRから選ばれ、
好ましくは、X~Xは、出現毎に同一または異なってCRから選ばれ、かつ前記R は、出現毎に同一または異なって水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の炭素原子7~30アラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミン基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、ニトリル基、イソニトリル基、スルファニル、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる、請求項1~2のいずれか一項に記載の金属錯体。
【請求項4】
および/またはXは、出現毎に同一または異なってCRから選ばれ、且つRは、出現毎に同一または異なって水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の炭素原子7~30アラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミン基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、ニトリル基、イソニトリル基、スルファニル、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
好ましくは、XおよびXは、出現毎に同一または異なってCRから選ばれ、且つRは、出現毎に同一または異なって水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基からなる群から選ばれ、
より好ましくは、XおよびXは、出現毎に同一または異なってCRから選ばれ、且つRは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基から選ばれ、XおよびXは、CHであり、
隣り合う置換基Rは、結合して環を形成していてもよい、請求項1~2のいずれか一項に記載の金属錯体。
【請求項5】
およびXは、CHであり、XおよびXは、出現毎に同一または異なってCRから選ばれる、請求項1~2のいずれか一項に記載の金属錯体。
【請求項6】
は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、フッ素、メチル基、エチル基、2-ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、重水素化メチル基、重水素化プロピル基、イソプロピルアミノ基、フェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、ピリジル基、ビニル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基Rは、結合して環を形成していてもよい、請求項1~5のいずれか一項に記載の金属錯体。
【請求項7】
~Yは、出現毎に同一または異なってCRから選ばれ、且つRは、出現毎に同一または異なって水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の炭素原子7~30アラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミン基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、ニトリル基、イソニトリル基、スルファニル、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基Rは、結合して環を形成していてもよい、請求項1~6のいずれか一項に記載の金属錯体。
【請求項8】
は、CRであり、且つRは、出現毎に同一または異なってハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の炭素原子7~30アラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミン基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、ニトリル基、イソニトリル基、スルファニル、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
好ましくは、Yは、CRであり、且つRは、出現毎に同一または異なってハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基からなる群から選ばれ、
より好ましくは、Yは、CRであり、且つRは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、または置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基から選ばれ、Y、YおよびYは、いずれもCHであり、
隣り合う置換基Rは、結合して環を形成していてもよい、請求項1~6のいずれか一項に記載の金属錯体。
【請求項9】
は、出現毎に同一または異なって水素、フッ素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、2-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル-3-イル、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4,4-ジメチルシクロヘキシル基、ネオペンチル基、2,4-ジメチルペンタン-3-イル、1,1-ジメチルシラシクロヘキサン-4-イル、シクロペンチルメチル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン-2-イル、アダマンチル基、重水素化イソプロピル基、フェニル基、ピリジル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる、請求項1~8のいずれか一項に記載の金属錯体。
【請求項10】
第1配位子Lは、出現毎に同一または異なってLa1~La1189からなる群から選ばれるいずれか1種またはいずれか2種である、請求項1~2のいずれか一項に記載の金属錯体。
【化3-1】
【化3-2】
【化3-3】
【化3-4】
【化3-5】
【化3-6】
【化3-7】
【化3-8】
【化3-9】
【化3-10】
【化3-11】
【化3-12】
【化3-13】
【化3-14】
【化3-15】
【化3-16】
【化3-17】
【化3-18】
【化3-19】
【化3-20】
【化3-21】
【化3-22】
【化3-23】
【化3-24】
【化3-25】
【化3-26】
【化3-27】
【化3-28】
【化3-29】
【化3-30】
【化3-31】
【化3-32】
【化3-33】
【化3-34】
【化3-35】
【化3-36】
【化3-37】
【化3-38】
【化3-39】
【化3-40】
【請求項11】
前記式2中、R~Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、好ましくは、Rは、水素、重水素またはメチル基から選ばれ、R~Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、フッ素、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、3-メチルブチル基、3-エチルペンチル基、トリフルオロメチル基、およびこれらの組合せから選ばれる、請求項1~10のいずれか一項に記載の金属錯体。
【請求項12】
第2配位子Lの構造は、出現毎に同一または異なってLb1~Lb383からなる群から選ばれるいずれか1種またはいずれか2種である、請求項1~10のいずれか一項に記載の金属錯体。
【化4-1】
【化4-2】
【化4-3】
【化4-4】
【化4-5】
【化4-6】
【化4-7】
【化4-8】
【化4-9】
【化4-10】
【化4-11】
【化4-12】
【化4-13】
【化4-14】
【請求項13】
第1配位子Lおよび/または第2配位子Lにおける水素が一部または全部重水素化されてもよい、請求項10または12に記載の金属錯体。
【請求項14】
第3配位子Lの構造は、
【化5】
から選ばれるいずれか1種である、請求項1~13のいずれか一項に記載の金属錯体。
(R、RおよびRは、一置換、複数置換、または無置換を表してもよく、
は、出現毎に同一または異なってO、S、Se、NRN1およびCRC1C2からなる群から選ばれ、
およびXは、出現毎に同一または異なってO、S、SeおよびNRN2からなる群から選ばれ、
、R、R、RN1、RN2、RC1およびRC2は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の炭素原子7~30アラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミン基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、ニトリル基、イソニトリル基、スルファニル、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
の構造において、隣り合う置換基は、結合して環を形成していてもよい。)
【請求項15】
第3配位子Lの構造は、出現毎に同一または異なって、
【化6-1】
【化6-2】
【化6-3】
【化6-4】
【化6-5】
【化6-6】
【化6-7】
からなる群から選ばれる、請求項1~13のいずれか一項に記載の金属錯体。
【請求項16】
前記金属錯体は、Ir(L(L)またはIr(L)(L)(L)であり、
好ましくは、前記金属錯体は、
【化7-1】
【化7-2】
【化7-3】
【化7-4】
【化7-5】
【化7-6】
【化7-7】
【化7-8】
【化7-9】
【化7-10】
【化7-11】
【化7-12】
【化7-13】
【化7-14】
【化7-15】
【化7-16】
【化7-17】
【化7-18】
【化7-19】
【化7-20】
【化7-21】
【化7-22】
【化7-23】
【化7-24】
【化7-25】
【化7-26】
【化7-27】
【化7-28】
【化7-29】
【化7-30】
からなる群から選ばれる、請求項15に記載の金属錯体。
【請求項17】
陽極と、
陰極と、
前記陽極と陰極との間に設けられた有機層とを含むエレクトロルミネセント素子であって、
前記有機層は、請求項1~16のいずれか一項に記載の金属錯体を含む、エレクトロルミネセント素子。
【請求項18】
前記エレクトロルミネセント素子は、赤色光または白色光を放射する、請求項17に記載のエレクトロルミネセント素子。
【請求項19】
前記有機層は、発光層であり、前記金属錯体は、発光材料であり、
好ましくは、前記有機層は、ホスト材料をさらに含み、
より好ましくは、前記ホスト材料は、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、カルバゾール、アザカルバゾール、インドロカルバゾリル、ジベンゾチオフェン、アザジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、アザジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、トリフェニレン、アザトリフェニレン、フルオレニル、シリコンフルオレン、ナフタレン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、フェナントレン、アザフェナントレン、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる少なくとも1種の化学基を含む、請求項17に記載のエレクトロルミネセント素子。
【請求項20】
請求項1~16のいずれか一項に記載の金属錯体を含む、化合物の処方。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光素子などの有機電子素子に用いられる化合物に関する。特に、重水素置換配位子を含有する有機発光材料、該有機発光材料を含有するエレクトロルミネセント素子および化合物の組合せに関する。
【背景技術】
【0002】
有機電子素子は、有機発光ダイオード(OLEDs)、有機電界効果トランジスタ(O-FETs)、有機発光トランジスタ(OLETs)、有機起電セル(OPVs)、色素-増感太陽電池(DSSCs)、有機光検出器、有機感光装置、有機電界効果素子(OFQDs)、発光電気化学セル(LECs)、有機レーザダイオードおよび有機プラズマ発光素子を含むが、それに限定されない。
【0003】
1987年、イーストマンコダック(Eastman Kodak)のTangおよびVan Slykeにより、電子輸送層および発光層として、アリールアミン正孔輸送層とトリス-8-ヒドロキシキノリン-アルミニウム層とを含む二層有機エレクトロルミネセント素子が報道されている(Applied Physics Letters、1987、51(12):913~915)。素子に対してバイアスが一旦印加されると、緑色光が素子から発射される。この発明は、現代の有機発光ダイオード(OLEDs)の発展に対する基礎を築き上げている。最も先進的なOLEDsは、電荷注入・輸送層、電荷・励起子ブロッキング層、および陰極と陽極との間の1つまたは複数の発光層などの複数の層を含んでもよい。OLEDsは、自発光性ソリッドステート素子であるので、表示および照明の適用に対して極めて大きな潜在力を提供している。また、有機材料の固有な特性、例えばそれらの可撓性は、可撓性基板で行った製造などの特殊な適用に非常に適合するようになっている。
【0004】
OLEDは、その発光メカニズムに応じて、3種の異なるタイプに分けられている。Tangおよびvan Slykeにより発明されたOLEDは、蛍光OLEDであり、一重項発光のみを使用する。素子において生成した三重項が非輻射減衰通路により浪費され、蛍光OLEDの内部量子効率(IQE)が25%に過ぎないため、この制限はOLEDの商業化を妨害している。1997年、ForrestおよびThompsonにより、錯体含有重金属からの三重項発光を発光体として用いるりん光OLEDが報道されている。そのため、一重項および三重項を収穫し、100%のIQEを実現することができる。その効率が高いため、りん光OLEDの発見および発展は、直接的にアクティブマトリクスOLED(AMOLED)の商業化に貢献する。最近、Adachiは、有機化合物の熱活性化遅延蛍光(TADF)によって高効率を実現している。これらの発光体は、小さい一重項-三重項ギャップを有するため、励起子が三重項から一重項に戻るトランジションが可能となる。TADF素子において、三重項励起子がリバースシステム間で貫通すること(逆項間交差)によって一重項励起子を生成することに起因してIQEが高くなっている。
【0005】
OLEDsは、さらに、所用材料の形態に応じて、小分子とポリマーOLEDに分けられてもよい。小分子とは、ポリマーではない、有機または有機金属のいずれかの材料を指し、精確な構造を有すれば、小分子の分子量が大きくてもよい。明確な構造を有するデンドリマーは、小分子と認められている。ポリマーOLEDは、共役ポリマーと、側鎖の発光基を有する非共役ポリマーとを含む。製造過程において後重合を発生すると、小分子OLEDがポリマーOLEDになり得る。
【0006】
様々なOLEDの製造方法が公知されている。小分子OLEDは、一般的に、真空熱蒸発により製造されるものである。ポリマーOLEDは、例えばスピンコート、インクジェット印刷およびノズル印刷などの溶液法により製造されるものである。材料が溶剤に溶解または分散することが可能であれば、小分子OLEDも溶液法により製造されることができる。
【0007】
OLEDの発光色は、発光材料の構造設計により実現することができる。OLEDは、所望のスペクトルを実現するように、1つまたは複数の発光層を含んでもよい。緑色、黄色、赤色OLEDにおいて、りん光材料は、既に商業化の実現に成功したが、青色のりん光素子には、依然として、青色が飽和せず、耐用年数が短く、作業電圧が高いなどの問題が存在する。市販のフルカラーOLEDディスプレイは、一般的に混合策略を用い、青色の蛍光、および黄色、赤色または緑色のりん光を用いる。現在、りん光OLEDの効率が高輝度の場合に急速に低下するという問題が存在する。また、より飽和した発光スペクトル、より高い効率、およびより長いデバイス耐用年数を有することが望まれている。
【0008】
US20150171348A1では、以下の一部の構造を有する化合物が開示されている。
【化1】
そのうち、以下の構造を有する縮合環構造を含む。
【化2】
具体的な例は、
【化3】
である。それは、配位子に縮合環構造が導入されることに起因する性能の変更に注目している。該出願では、イソキノリンにおける5、8-位に2つの重水素原子が導入された関連錯体が言及されているが、重水素化効果について検討されておらず、さらに、イソキノリン環における特定の3、4-位に重水素が導入されることに起因する金属錯体の性能の変更に着目されていない。
【0009】
US20080194853A1では、以下の構造を有するイリジウム錯体が開示されている。
【化4】
そのうち、
【化5】
は、フェニルイソキノリン構造から選ばれ、配位子Xは、アセチルアセトン系配位子から選ばれてもよい。具体的な例は、
【化6】
である。本出願の発明者は、イリジウム錯体配位子に複数の重水素原子が導入されることに起因する素子効率の向上に着目しているが、イソキノリン環における3、4位という2つの特定の位置に水素原子が導入されることにより、素子の耐用年数が向上するという特殊な優勢に着目していない。
【0010】
US20030096138A1では、以下の構造を有する化合物を含む活性層が開示されている。
【化7】
そのうち、配位子Lは、以下の構造から選ばれてもよい。
【化8】
ただし、RおよびR~R10は、それぞれ独立してH、D、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、スルフヒドリル基、アルキルチオ基、アミン基などの置換基から選ばれ、αは、0、1または2であり、δは、0または1~4の整数である。その実例では、αおよびδがいずれも0である。該出願では、イソキノリン環にR置換基を有するいずれの例が開示されておらず、イリジウム錯体に重水素原子が導入されることによるの効果についても検討されていない。
【0011】
WO2018124697A1では、以下の構造を有する有機エレクトロルミネセント化合物が開示されている。
【化9】
ただし、R~Rは、アルキル基/重水素化アルキル基から選ばれる。本出願の発明者は、アルキル基/重水素化アルキル基で置換されたフェニルイソキノリン配位子がイリジウム錯体に対してもたらした効率の向上に着目しているが、イソキノリン環に直接重水素化されることにより、金属錯体の性能、特に耐用年数および効率に対する向上に着目していない。
【0012】
US20100051869A1では、下記式で表される構造を有する有機イリジウム錯体を少なくとも1種含む組成物が開示されている。
【化10】
本出願の発明者は、2-カルボニルピロール構造の配位子に注目している。該出願では、全重水素化フェニルイソキノリン配位子が言及されているが、アセチルアセトン系配位子と組み合わせて錯体に適用されること、および本発明に係る金属錯体の全体構造と明らかに異なることに着目されていない。
【0013】
CN109438521Aでは、以下の構造を有する錯体が開示されている。
【化11】
ただし、この錯体における1つまたは複数の水素が重水素に置換されてもよい。開示されたC^N配位子は、フェニルイソキノリンまたはフェニルキナゾリン構造を有してもよい。具体的な例は、
【化12】
【化13】
【化14】
である。本出願の発明者は、主に、ビス窒素で配位するアミジン系およびグアニジン系配位子に注目している。該出願では、全重水素化イソキノリン配位子が言及されているが、アセチルアセトン系配位子と組み合わせて錯体に適用されること、および本発明に係る金属錯体の全体構造と明らかに異なることに着目されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0171348号
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0194853号
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0096138号
【特許文献4】国際公開第2018/124697号
【特許文献5】米国特許出願公開第2010/0051869号
【特許文献6】中国特許出願公開第109438521号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Applied Physics Letters、1987、51(12):913~915
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
全重水素化および5、8-位の2つの重水素化されたフェニルイソキノリン構造配位子を含むイリジウム錯体が関連文献において報道されているが、これらの重水素化に関する例は、該当文献において開示されたイソキノリン配位子を有するイリジウム錯体の多数の例のうちの1つに過ぎないか、又はアセチルアセトン系配位子とともに金属錯体に用いられることに関していないか、或いは重水素化の効果および重水素化の位置が素子の性能、特に耐用年数に対する影響について検討していないため、関連する分野では依然として開発する必要がある。真剣な研究により、本発明者は、金属錯体におけるイソキノリン配位子の特定の位置に重水素原子が導入されることにより、このような金属錯体が有機発光素子において発光材料として素子の効率および耐用年数を大幅に向上させることができることを驚きに発見した。
【課題を解決するための手段】
【0017】
発明の概要
本発明は、3,4-重水素置換イソキノリン系配位子およびアセチルアセトン系配位子を含む一連の有機発光材料を提供することを目的とする。前記化合物は、有機エレクトロルミネセント素子の発光層における発光材料として用いられることができる。これらの新規な金属錯体は、素子の効率および耐用年数を向上することができる。
【0018】
本発明の一実施例によれば、M(L(L(Lの一般式で表される構造を有する金属錯体が開示される。
(L、LおよびLは、それぞれ金属Mと配位する第1配位子、第2配位子および第3配位子であり、そのうち、金属Mは、相対原子質量が40超えの金属であり、
、LおよびLは、結合して多座配位子を形成していてもよく、
mは、1または2であり、nは、1または2であり、qは、0または1であり、m+n+qは、金属Mの酸化状態に等しく、
mが1よりも大きい場合、Lは、同一または異なってもよく、nが1よりも大きい場合、Lは、同一または異なってもよく、
前記第1配位子Lは、式1で表される構造を有し、
【化15】
~Xは、出現毎に同一または異なってCRまたはNから選ばれ、
~Yは、出現毎に同一または異なってCRまたはNから選ばれ、
およびRは、出現毎に同一または異なって、水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の炭素原子7~30アラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミン基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、ニトリル基、イソニトリル基、スルファニル、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
式1中、隣り合う置換基は、結合して環を形成していてもよく、
前記第2配位子Lは、式2で表される構造を有し、
【化16】
~Rは、出現毎に同一または異なって、水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の炭素原子7~30アラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミン基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、ニトリル基、イソニトリル基、スルファニル、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
式2中、隣り合う置換基は、結合して環を形成していてもよく、
前記第3配位子Lは、モノアニオン性二座配位子である。)
【0019】
本発明の他の実施例によれば、陽極と、陰極と、陽極と陰極との間に設けられた有機層とを含むエレクトロルミネセント素子がさらに開示される。前記有機層は、M(L(L(Lの一般式で表される構造を有する金属錯体を含む。
(L、LおよびLは、それぞれ金属Mと配位する第1配位子、第2配位子および第3配位子であり、そのうち、金属Mは、相対原子質量が40超えの金属であり、
、LおよびLは、結合して多座配位子を形成していてもよく、
mは、1または2であり、nは、1または2であり、qは、0または1であり、m+n+qは、金属Mの酸化状態に等しく、
mが1よりも大きい場合、Lは、同一または異なってもよく、nが1よりも大きい場合、Lは、同一または異なってもよく、
前記第1配位子Lは、式1で表される構造を有し、
【化17】
~Xは、出現毎に同一または異なってCRまたはNから選ばれ、
~Yは、出現毎に同一または異なってCRまたはNから選ばれ、
およびRは、出現毎に同一または異なって、水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の炭素原子7~30アラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミン基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、ニトリル基、イソニトリル基、スルファニル、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
式1中、隣り合う置換基は、結合して環を形成していてもよく、
前記第2配位子Lは、式2で表される構造を有し、
【化18】
~Rは、出現毎に同一または異なって、水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の炭素原子7~30アラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミン基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、ニトリル基、イソニトリル基、スルファニル、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
式2中、隣り合う置換基は、結合して環を形成していてもよく、
前記第3配位子Lは、モノアニオン性二座配位子である。)
【0020】
本発明の他の実施例によれば、上述した金属錯体を含む化合物の処方がさらに開示される。
【0021】
本発明に係る金属錯体は、有機エレクトロルミネセント素子の発光層における発光材料として用いられることができる。イソキノリン配位子の3、4位に2つの重水素で置換されながら、アセチルアセトン配位子と結合されることにより、金属錯体が形成されることができる。これらの金属錯体は、素子の耐用年数および外部量子効率の向上などの多数の特性を意外に示す。前記金属錯体は、OLEDを容易に製造するために用いられ、高効率で、耐用年数が長いエレクトロルミネセント素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る金属錯体および化合物の組合を含んでもよい有機発光装置の模式図である。
図2】本発明に係る金属錯体および化合物の組合を含んでもよい他の有機発光装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
OLEDは、ガラス、プラスチック、および金属などの様々な基板で製造することができる。図1は、有機発光装置100を例示的に制限せずに示している。図面に対して、必ずしも縮尺どおりに製作するわけではなく、図において、必要に応じて一部の層構造を省略してもよい。装置100には、基板101、陽極110、正孔注入層120、正孔輸送層130、電子ブロッキング層140、発光層150、正孔ブロッキング層160、電子輸送層170、電子注入層180および陰極190が含まれてもよい。装置100は、記載される層を順に堆積することにより製造されてもよい。各層の性質、機能および例示的な材料については、米国特許US7279704B2の第6~10欄においてより詳細に記載されており、そのすべての内容を本明細書に援用する。
【0024】
これらの層のそれぞれには、より多くの実例がある。例示的には、全文を援用するように組み込まれた米国特許第5844363号において、可撓性で透明な基板-陽極の組合せが開示されている。例えば、全文を援用するように組み込まれた米国特許出願公開第2003/0230980号において、p型ドープの正孔輸送層の実例は50:1のモル比でF-TCNQがドーピングされたm-MTDATAであることが開示されている。全文を援用するように組み込まれた、トンプソン(Thompson)らによる米国特許第6303238号において、ホスト材料の実例が開示されている。例えば、全文を援用するように組み込まれた米国特許出願公開第2003/0230980号において、n型ドープの電子輸送層の実例は1:1のモル比でLiがドーピングされたBPhenであることが開示されている。全文を援用するように組み込まれた米国特許第5703436号および第5707745号において、例えばMg:Agなどの金属薄層と、その上に被覆された、スパッタ堆積された透明な導電ITO層とを有する複合陰極を含む陰極の実例が開示されている。全文を援用するように組み込まれた米国特許第6097147号および米国特許出願公開第2003/0230980号において、より詳細に、ブロッキング層の原理と使用が記載されている。全文を援用するように組み込まれた米国特許出願公開第2004/0174116号において注入層の実例が提供されている。全文を援用するように組み込まれた米国特許出願公開第2004/0174116号において、保護層が記載されている。
【0025】
非限定的な実施例により上述した分層構造が提供される。上述した各種の層を組み合わせることによってOLEDの機能が実現することができ、或いは、一部の層を完全に省略することができる。それは、明確に記載されていない他の層を含んでもよい。それぞれの層内に、最適な性能を実現するように、単一の材料または多種の材料の混合物を使用することができる。機能層はいずれも、複数なサブ層を含んでもよく、例えば、発光層は、所望の発光スペクトルを実現するように、2層の異なる発光材料を有してもよい。
【0026】
一実施例において、OLEDは、陰極と陽極との間に設けられた「有機層」を有すると記載されてもよい。該有機層は、1つまたは複数の層を含んでもよい。
【0027】
OLEDにもカプセル化層が必要であり、図2に示すように、有機発光装置200が例示的に制限せずに示されている。図1との相違点は、水分および酸素などの外界からの有害物質を防止するように、陰極190上にカプセル化層102を含んでもよい。ガラス、または有機-無機混合層などのカプセル化機能を提供可能ないかなる材料も、カプセル化層として用いられてもよい。カプセル化層は、OLED素子の外部に、直接または間接的に配置されるべきである。多層薄膜カプセル化については、米国特許US7968146B2において記載されており、そのすべての内容を本明細書に援用する。
【0028】
本発明の実施例により製造される素子は、該素子の1つまたは複数の電子部材モジュール(或いは、ユニット)を有する各種の消費製品に組み込まれてもよい。これらの消費製品は、例えば、フラットパネルディスプレイ、モニタ、医療用モニタ、テレビ、ビルボード、室内または室外用照明ランプおよび/または信号ランプ、ヘッドアップディスプレイ、全部または一部透明のディスプレイ、可撓性ディスプレイ、スマートフォン、フラットパネルコンピューター、フラットパネル携帯電話、ウェアラブル素子、スマートウォッチ、ラップトップコンピューター、デジタルカメラ、携帯型ビデオカメラ、ファインダー、マイクロディスプレイ、3-Dディスプレイ、車載ディスプレイおよびテールライトを含む。
【0029】
本明細書に記載される材料および構造は、上述にて列挙されている他の有機電子素子にも用いられてもよい。
【0030】
「頂部」とは、基板から最も遠く、「底部」とは、基板から最も近いことを意味する。第1層が第2層「上」に設けられていると記載されている場合、第1層が基板から相対的に遠いように設けられている。第1層が第2層「と」「接触する」ことを規定していない限り、第1層と第2層との間に他の層が存在してもよい。例示的には、陰極と陽極との間に各種の有機層が存在しても、依然として、陰極が陽極「上」に設けられていると記載されることができる。
【0031】
「溶液が処理可能である」とは、溶液または懸濁液の形態で液体媒体に溶解、分散または輸送可能であり、および/または液体媒体から堆積可能であることを意味する。
【0032】
配位子は、直接的に発射材料の感光性質を促成すると、「感光性」と呼ばれてもよいことが信じられている。配位子は、発射材料の感光性質を促成しないと、「補助性」と呼ばれてもよい。しかし、補助性の配位子は、感光性配位子の性質を変更することができることが信じられている。
【0033】
蛍光OLEDの内部量子効率(IQE)は、遅延蛍光の存在によって25%のスピン統計による制限を超えてもよいことが信じられている。遅延蛍光は、一般的に2つのタイプ、すなわちP型遅延蛍光およびE型遅延蛍光に分けられてもよい。P型遅延蛍光は、三重項-三重項消滅(TTA)により生成される。
【0034】
一方、E型遅延蛍光は、2つの三重項の衝突ではなく、三重項と一重項との励起状態の変換に依存する。E型遅延蛍光を生成可能な化合物は、エネルギー状態の変換を行うように、極めて小さい一重項-三重項ギャップを有することが必要である。熱エネルギーは、三重項から一重項までの遷移を活性化することができる。このようなタイプの遅延蛍光は、熱活性化遅延蛍光(TADF)とも呼ばれる。TADFの顕著な特徴は、遅延成分が温度の上昇と伴って向上することにある。リバースシステム(RISC)間の貫通(逆項間交差)の速度が十分に速いと、三重項からの非輻射減衰を最小化させ、バックフィルした一重項の励起状態の割合は75%に達することができる。一重項の合計割合は100%であってもよく、エレクトロによる励起子のスピン統計の25%をはるかに超えている。
【0035】
E型遅延蛍光の特徴は、励起複合物系または単一の化合物から見える。理論に限定されず、E型遅延蛍光は、発光材料が小さい一重項-三重項エネルギーギャップ(ΔES-T)を有する必要がある。有機非金属含有の供与体・受容体発光材料は、この点を実現する可能性がある。これらの材料の発射は、通常、供与体・受容体電荷遷移(CT)型発射であると特徴付けられる。これらの供与体・受容体型化合物において、HOMOとLUMOとの空間分離は、一般的に小さいΔES-Tを生成することになる。これらの状態は、CT状態を含んでもよい。通常、供与体・受容体発光材料は、電子供与体部分(例えば、アミン基またはカルバゾール誘導体)と電子受容体部分(例えば、N含有の六員芳香族環)を結合することにより構築される。
【0036】
置換基の専門用語の定義について
【0037】
ハロゲンまたはハロゲン化物とは、本明細書に用いられるように、フッ素、クロロ、臭素およびヨウ素を含む。
【0038】
アルキル基とは、直鎖および分岐鎖のアルキル基を含む。アルキル基の実例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、ネオペンチル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、1-ペンチルヘキシル、1-ブチルペンチル、1-ヘプチルオクチル、および3-メチルペンチルを含む。また、アルキル基は、置換されていてもよい。アルキル基鎖における炭素は、他のヘテロ原子で置換されてもよい。そのうち、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチルおよびネオペンチルであることが好ましい。
【0039】
シクロアルキル基とは、本明細書に用いられるように、環状アルキル基を含む。好ましいシクロアルキル基は、環炭素原子数4~10のシクロアルキル基であり、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、4,4-ジメチルシクロヘキシル、1-アダマンチル、2-アダマンチル、1-ノルボルニル基、2-ノルボルニル基などを含む。また、シクロアルキル基は、置換されていてもよい。環における炭素は、他のヘテロ原子で置換されてもよい。
【0040】
アルケニル基とは、本明細書に用いられるように、直鎖および分岐鎖のオレフィン基を含む。好ましいアルケニル基は、炭素原子数2~15のアルケニル基である。アルケニル基の実施例は、ビニル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、1-メチルビニル基、スチリル基、2,2-ジフェニルビニル基、1,2-ジフェニルビニル基、1-メチルアリル基、1,1-ジメチルアリル基、2-メチルアリル基、1-フェニルアリル基、2-フェニルアリル基、3-フェニルアリル基、3,3-ジフェニルアリル基、1,2-ジメチルアリル基、1-フェニル-1-ブテニル基および3-フェニル-1-ブテニル基を含む。また、アルケニル基は、置換されていてもよい。
【0041】
アルキニル基とは、本明細書に用いられるように、直鎖および分岐鎖のアルキニル基を含む。好ましいアルキニル基は、炭素原子数2~15のアルキニル基である。また、アルキニル基は、置換されていてもよい。
【0042】
アリール基または芳香族基とは、本明細書に用いられるように、非縮合および縮合系を考慮する。好ましいアリール基は、炭素原子数6~60、より好ましくは炭素原子数6~20、更に好ましくは炭素原子数6~12のアリール基である。アリール基の実施例は、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、トリフェニレン、テトラフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、およびアズレンを含み、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、トリフェニレン、フルオレニルおよびナフタレンを含むことが好ましい。また、アリール基は、置換されていてもよい。非縮合アリール基の実施例は、フェニル、ビフェニル-2-イル、ビフェニル-3-イル、ビフェニル-4-イル、p-ターフェニル-4-イル、p-ターフェニル-3-イル、p-トリビフェニル-2-イル、m-ターフェニル-4-イル、m-ターフェニル-3-イル、m-ターフェニル-2-イル、o-トリル、m-トリル、p-トリル、p-(2-フェニルプロピル)フェニル、4’-メチルビフェニル、4’’-tert-ブチル-p-ターフェニル-4-イル、o-クミル、m-クミル、p-クミル、2,3-キシリル、3,4-キシリル、2,5-ジメチルフェニル、メシチレンおよびm-テトラフェニルを含む。
【0043】
複素環基または複素環とは、本明細書に用いられるように、芳香族および非芳香族の環状基を考慮する。イソアリール基もヘテロアリール基を指す。好ましい非芳香族複素環基は、環原子が3~7であり、少なくとも1つのヘテロ原子、例えば、窒素、酸素および硫を含む。複素環基は、少なくとも1つの窒素原子、酸素原子、硫原子およびセレン原子から選ばれるヘテロ原子を有する芳香族複素環基であってもよい。
【0044】
ヘテロアリール基とは、本明細書に用いられるように、ヘテロ原子数1~5の非縮合および縮合ヘテロ芳香族基を考慮する。好ましいヘテロアリール基は、炭素原子数3~30、より好ましくは炭素原子数3~20、さらに好ましくは炭素原子数3~12のヘテロアリール基である。好適なヘテロアリール基は、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリドインドール、ピロロピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インデノアジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、ベンゾフランピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノビピリジン、ベンゾセレノピリジン、およびセレンベンゾピリジンを含み、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、イミダゾール、ピリジン、トリアジン、ベンズイミダゾール、1,2-アザボラン、1,3-アザボラン、1,4-アザボラン、ボラゾールおよびそのアザ類似物を含むことが好ましい。また、ヘテロアリール基は、置換されていてもよい。
【0045】
アルコキシ基とは、-O-アルキル基で表される。アルキル基の例および好ましい例は、上記例と同様である。炭素原子数1~20、好ましくは炭素原子数1~6のアルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシおよびヘキシルオキシを含む。炭素原子数が3以上のアルコキシ基は、直鎖状、環状、または分岐鎖状であってもよい。
【0046】
アリールオキシ基とは、-O-アリール基または-O-ヘテロアリール基で表される。アリール基及びヘテロアリール基の例および好ましい例は、上記例と同様である。炭素原子数6~40のアリールオキシ基の例は、フェノキシ基およびビフェニルオキシ基を含む。
【0047】
アラルキル基とは、本明細書に用いられるように、アリール置換基を有するアルキル基である。また、アラルキル基は、置換されていてもよい。アラルキル基の例は、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、1-フェニルイソプロピル、2-フェニルイソプロピル、フェニル-tert-ブチル、α-ナフチルメチル、1-α-ナフチルエチル、2-α-ナフチルエチル、1-α-ナフチルイソプロピル、2-α-ナフチルイソプロピル、β-ナフチルメチル、1-β-ナフチル-エチル、2-β-ナフチル-エチル、1-β-ナフチルイソプロピル、2-β-ナフチルイソプロピル、p-メチルベンジル、m-メチルベンジル、o-メチルベンジル、p-クロロベンジル、m-クロロベンジル、o-クロロベンジル、p-ブロモベンジル、m-ブロモベンジル、o-ブロモベンジル、p-ヨードベンジル、m-ヨードベンジル、o-ヨードベンジル、p-ヒドロキシベンジル、m-ヒドロキシベンジル、o-ヒドロキシベンジル、p-アミノベンジル、m-アミノベンジル、o-アミノベンジル、p-ニトロベンジル、m-ニトロベンジル、o-ニトロベンジル、p-シアノベンジル、m-シアノベンジル、o-シアノベンジル、1-ヒドロキシ-2-フェニルイソプロピルおよび1-クロロ-2-フェニルイソプロピルを含む。そのうち、ベンジル、p-シアノベンジル、m-シアノベンジル、o-シアノベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、1-フェニルイソプロピルおよび2-フェニルイソプロピルであることが好ましい。
【0048】
アザジベンゾフラン、アザ-ジベンゾチオフェンなどにおける「アザ」とは、対応する芳香族フラグメントにおける1つまたは複数のC-H基が窒素原子に置換されることを指す。例えば、アザトリフェニレンは、ジベンゾ[f,h]キノキサリン、ジベンゾ[f,h]キノリン、および環系において2つ以上の窒素を有する他の類似物を含む。当業者であれば、上述したアザ誘導体の他の窒素類似物を容易に想到することができ、且つこれらの類似物は、すべて本明細書に記載される専門用語に含まれるものとして確定される。
【0049】
本発明において、特に断りのない限り、置換のアルキル基、置換のシクロアルキル基、置換のヘテロアルキル基、置換のアラルキル基、置換のアルコキシ基、置換のアリールオキシ基、置換のアルケニル基、置換のアリール基、置換のヘテロアリール基、置換のアルキルシリル基、置換のアリールシリル基、置換のアミン基、置換のアシル基、置換のカルボニル基、置換のカルボキシル基、置換のエステル基、置換のスルフィニル基、置換のスルホニル基、置換のホスフィノ基からなる群のうちのいずれかの用語を使用すると、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基、アリールシリル基、アミン基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、スルフィニル基、スルホニル基、およびホスフィノ基のうちのいずれかの基が、重水素、ハロゲン、無置換の1~20個の炭素原子を有するアルキル基、無置換の3~20個の環炭素原子を有するシクロアルキル基、無置換の1~20個の炭素原子を有するヘテロアルキル基、無置換の7~30個の炭素原子数を有するアラルキル基、無置換の1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、無置換の6~30個の炭素原子を有するアリールオキシ基、無置換の2~20個の炭素原子を有するアルケニル基、無置換の6~30個の炭素原子を有するアリール基、無置換の3~30個の炭素原子を有するヘテロアリール基、無置換の3~20個の炭素原子を有するアルキルシリル基、無置換の6~20個の炭素原子を有するアリールシリル基、無置換の0~20個の炭素原子を有するアミン基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、スルファニル、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびその組合せから選ばれる1つまたは複数により置換され得ることを意味する。
【0050】
分子フラグメントについて、置換基または他の形態で他の部分に結合させると記載する場合、フラグメント(例えば、フェニル基、フェニレン基、ナフチル基、ジベンゾフラニル基)であるか否か、或いは、分子全体(例えば、ベンゼン、ナフタレン、ジベンゾフラン)であるか否かにより、その名称を確定することができることを理解すべきである。本明細書に用いられるように、置換基の指定、或いはフラグメントの結合の異なる形態は、均等であると認められている。
【0051】
本明細書で言及される化合物において、複数置換とは、二重置換を含む、最も多くの使用可能な置換に達するまでの範囲を指す。本明細書で言及される化合物中のある置換基は、複数置換(二重置換、三重置換、四重置換などを含む)を意味すると、その置換基はその結合構造上の複数の利用可能な置換位置に存在してもよいことを意味し、複数の利用可能な置換位置にいずれも存在する該置換基は、同じ構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。
【0052】
本明細書で言及される化合物において、隣接する置換基が結合して環を形成していてもよいように特に限定されない限り、前記化合物における隣接する置換基は結合して環を形成することができない。本明細書で言及される化合物において、隣接する置換基が結合して環を形成していてもよいことは、隣接する置換基が結合して環を形成する場合を含むとともに、隣接する置換基が結合せずに環を形成しない場合も含む。隣接する置換基が結合して環を形成していてもよい場合、形成される環は、単環または多環、および脂環、ヘテロ脂環、アリール環、またはヘテロアリール環であってもよい。このような記述において、隣接する置換基は、同一の原子に結合された置換基、互いに直接結合する炭素原子に結合された置換基、または更に離れた炭素原子に結合された置換基を指してもよい。好ましくは、隣接する置換基は、同一の炭素原子に結合された置換基および互いに直接結合する炭素原子に結合された置換基を指す。
【0053】
隣接する置換基が結合して環を形成していてもよいという記述も、同一の炭素原子に結合された2つの置換基が化学結合により互いに結合して環を形成することを意味すると認められ、下記式で例示することができる。
【0054】
【化19】
【0055】
隣接する置換基が結合して環を形成していてもよいという記述も、互いに直接結合する炭素原子に結合された2つ置換基が化学結合により互いに結合して環を形成することを意味すると認められ、下記式で例示することができる。
【0056】
【化20】
【0057】
また、隣接する置換基が結合して環を形成していてもよいという記述も、互いに直接結合する炭素原子に結合された2つ置換基の一方が水素を表す場合に、第2置換基は水素原子が結合された位置に結合されて環を形成することを意味すると認められている。下記式で例示する。
【0058】
【化21】
【0059】
本発明の一実施例によれば、M(L(L(Lの一般式を有する金属錯体が開示される。
(L、LおよびLは、それぞれ金属Mと配位する第1配位子、第2配位子および第3配位子であり、そのうち、金属Mは、相対原子質量が40超えの金属であり、
、LおよびLは、結合して多座配位子を形成していてもよく、
mは、1または2であり、nは、1または2であり、qは、0または1であり、m+n+qは、金属Mの酸化状態に等しく、
mが1よりも大きい場合、Lは、同一または異なってもよく、nが1よりも大きい場合、Lは、同一または異なってもよく、
前記第1配位子Lは、式1で表される構造を有し、
【化22】
~Xは、出現毎に同一または異なってCRまたはNから選ばれ、
~Yは、出現毎に同一または異なってCRまたはNから選ばれ、
およびRは、出現毎に同一または異なって、水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の炭素原子7~30アラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミン基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、ニトリル基、イソニトリル基、スルファニル、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
式1中、隣り合う置換基は、結合して環を形成していてもよく、
前記第2配位子Lは、式2で表される構造を有し、
【化23】
~Rは、出現毎に同一または異なって、水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の炭素原子7~30アラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミン基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、ニトリル基、イソニトリル基、スルファニル、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
式2中、隣り合う置換基は、結合して環を形成していてもよく、
前記第3配位子Lは、モノアニオン性二座配位子である。)
【0060】
該実施例において、「式1中、隣り合う置換基は、結合して環を形成していてもよい」とは、隣り合う置換基R同士、隣り合う置換基R同士および/または隣り合う置換基RおよびR同士が結合して環を形成する状況、および、隣り合う置換基R同士、隣り合う置換基R同士および/または隣り合う置換基RおよびR同士が結合して環を形成しなくてもよい状況を含んでもよい。
【0061】
該実施例において、「式2中、隣り合う置換基は、結合して環を形成していてもよい」とは、隣り合う置換基R、R、R、R、R、RおよびR同士が結合して環を形成し、たとえば、隣り合う置換基RおよびR同士、隣り合う置換基RおよびR同士、隣り合う置換基RおよびR同士、隣り合う置換基RおよびR同士、隣り合う置換基RおよびR同士、隣り合う置換基RおよびR同士のうち、いずれか1種または複数種が結合して環を形成する状況、および、隣り合う置換基R、R、R、R、R、RおよびR同士が結合して環を形成しなくてもよく、たとえば、隣り合う置換基RおよびR同士、隣り合う置換基RおよびR同士、隣り合う置換基RおよびR同士、隣り合う置換基RおよびR同士、隣り合う置換基RおよびR同士、隣り合う置換基RおよびR同士のうち、いずれか1種または複数種が結合して環を形成しなくてもよい状況を含んでもよい。
【0062】
本発明において、置換基が水素から選ばれる場合、前記水素は、他の同位元素の重水素または三重水素ではなく、その同位元素の軽水素(H)を指す。
【0063】
本発明の一実施例によれば、金属Mは、Cu、Ag、Au、Ru、Rh、Pd、Os、IrおよびPtからなる群から選ばれる。
【0064】
本発明の一実施例によれば、金属MはPtまたはIrから選ばれる。
【0065】
本発明の一実施例によれば、X~Xのうちの少なくとも1つがCRから選ばれる。
【0066】
本発明の一実施例によれば、X~Xのうちの少なくとも1つがNから選ばれる。
【0067】
本発明の一実施例によれば、Y~Yのうちの少なくとも1つがNから選ばれる。
【0068】
本発明の一実施例によれば、X~Xは、出現毎に同一または異なってCRから選ばれる。
【0069】
本発明の一実施例によれば、Xおよび/またはXは、出現毎に同一または異なってCRから選ばれ、且つRは、出現毎に同一または異なって重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の炭素原子7~30アラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミン基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、ニトリル基、イソニトリル基、スルファニル、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
そのうち、隣り合う置換基Rは、結合して環を形成していてもよい。
【0070】
本発明の一実施例によれば、XおよびXは、出現毎に同一または異なってCRから選ばれ、且つRは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基からなる群から選ばれる。
【0071】
本発明の一実施例によれば、XおよびXは、出現毎に同一または異なってCRから選ばれ、且つRは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基から選ばれ、XおよびXはCHである。
【0072】
本発明の一実施例によれば、XおよびXはCHであり、XおよびXは、出現毎に同一または異なってCRから選ばれる。
【0073】
本発明の一実施例によれば、Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、フッ素、メチル基、エチル基、2-ブチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、重水素化メチル基、重水素化プロピル基、イソプロピルアミノ基、フェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、ピリジル基、ビニル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
そのうち、隣り合う置換基Rは、結合して環を形成していてもよい。
【0074】
本発明の一実施例によれば、Y~Yは、出現毎に同一または異なってCRから選ばれ、且つR在は、出現毎に同一または異なって水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の炭素原子7~30アラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミン基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、ニトリル基、イソニトリル基、スルファニル、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
そのうち、隣り合う置換基Rは、結合して環を形成していてもよい。
【0075】
本発明の一実施例によれば、YはCRであり、且つRは、出現毎に同一または異なってハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の炭素原子7~30アラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミン基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、ニトリル基、イソニトリル基、スルファニル、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる、そのうち、隣り合う置換基Rは、結合して環を形成していてもよい。
【0076】
本発明の一実施例によれば、YはCRであり、且つRは、出現毎に同一または異なってハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基からなる群から選ばれる、そのうち、隣り合う置換基Rは、結合して環を形成していてもよい。
【0077】
本発明の一実施例によれば、Rは、炭素原子数1~20のアルキル基である。
【0078】
本発明の一実施例によれば、Yは、CRであり、且つRは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基またはシクロアルキル基、または置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基から選ばれ、Y、YおよびYは、いずれもCHであり、
そのうち、隣り合う置換基Rは、結合して環を形成していてもよい。
【0079】
本発明の一実施例によれば、Rは、出現毎に同一または異なって水素、フッ素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、2-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル-3-イル、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4,4-ジメチルシクロヘキシル基、ネオペンチル基、2,4-ジメチルペンタン-3-イル、1,1-ジメチルシラシクロヘキサン-4-イル、シクロペンチルメチル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン-2-イル、アダマンチル基、重水素化イソプロピル基、フェニル基またはピリジル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0080】
本発明の一実施例によれば、第1配位子Lは、出現毎に同一または異なってLa1~La1101からなる群から選ばれるいずれか1種またはいずれか2種である。La1~La1101の具体的な構造は、請求項10をご参照ください。
【0081】
本発明の一実施例によれば、第1配位子Lは、出現毎に同一または異なってLa1~La1189からなる群から選ばれるいずれか1種またはいずれか2種である。La1~La1189の具体的な構造は、請求項10をご参照ください。
【0082】
本発明の一実施例によれば、前記式2中、R~Rは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0083】
本発明の一実施例によれば、前記式2中、Rは、水素、重水素またはメチル基から選ばれ、R~Rは、出現毎に同一または異なって、水素、重水素、フッ素、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、3-メチルブチル基、3-エチルペンチル基、トリフルオロメチル基、およびこれらの組合せから選ばれる。
【0084】
本発明の一実施例によれば、第2配位子Lの構造は、出現毎に同一または異なってLb1~Lb383からなる群から選ばれるいずれか1種またはいずれか2種である。Lb1~Lb383の具体的な構造は、請求項12をご参照ください。
【0085】
本発明の一実施例によれば、第1配位子Lおよび/または第2配位子Lにおける水素が一部または全部重水素化されてもよい。
【0086】
本発明の一実施例によれば、第3配位子Lの構造は、
【化24】
から選ばれるいずれか1種である。
(R、RおよびRは、一置換、複数置換、または無置換を表してもよく、
は、出現毎に同一または異なってO、S、Se、NRN1およびCRC1C2からなる群から選ばれ、
およびXは、出現毎に同一または異なってO、S、SeおよびNRN2からなる群から選ばれ、
、R、R、RN1、RN2、RC1およびRC2は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の炭素原子7~30アラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミン基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、ニトリル基、イソニトリル基、スルファニル、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
の構造において、隣り合う置換基は、結合して環を形成していてもよい。)
【0087】
本実施例において、隣り合う置換基は、結合して環を形成していてもよいとは、そのうちの隣り合う置換基グループ、たとえば、2つの置換基R同士、2つの置換基R同士、2つの置換基R同士、置換基RおよびR同士、置換基RおよびR同士、置換基RおよびR同士、置換基RおよびRN1同士、置換基RおよびRN1同士、置換基RおよびRC1同士、置換基RおよびRC2同士、置換基RおよびRC1同士、置換基RおよびRC2同士、置換基RおよびRN2同士、置換基RおよびRN2同士、およびRC1およびRC2同士のうち、いずれか1つまたは複数が結合して環を形成してもよいことを意味する。明らかには、これらの置換基同士は、いずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0088】
本発明の一実施例によれば、第3配位子Lは、出現毎に同一または異なってLc1~Lc227からなる群から選ばれる。Lc1~Lc227の具体的な構造は、請求項15をご参照ください。
【0089】
本発明の一実施例によれば、前記金属錯体は、Ir(L(L)またはIr(L)(L)(L)である。前記金属錯体がIr(L(L)である場合、前記第1配位子Lは、出現毎に同一または異なってLa1~La1189からなる群から選ばれるいずれか1種またはいずれか2種であり、前記第2配位子Lは、出現毎に同一または異なってLb1~Lb383からなる群から選ばれるいずれか1種である。前記金属錯体がIr(L)(L)(L)である場合、前記第1配位子Lは、出現毎に同一または異なってLa1~La1189からなる群から選ばれるいずれか1種であり、前記第2配位子Lは、出現毎に同一または異なってLb1~Lb383からなる群から選ばれるいずれか1種であり、前記第3配位子Lは、出現毎に同一または異なってLc1~Lc227からなる群から選ばれるいずれか1種である。
【0090】
本発明の一実施例によれば、前記金属錯体は、請求項16に示される具体的な構造から選ばれる錯体である。
【0091】
本発明の他の実施例によれば、陽極と、陰極と、前記陽極と陰極との間に設けられた有機層とを含むエレクトロルミネセント素子がさらに開示される。前記有機層は、上述したいずれか1つの実施例に記載される金属錯体を含む。
【0092】
本発明の一実施例によれば、前記エレクトロルミネセント素子は、赤色光または白色光を放射する。
【0093】
本発明の一実施例によれば、前記有機層は、発光層であり、前記金属錯体は、発光材料である。
【0094】
本発明の一実施例によれば、前記有機層は、ホスト材料をさらに含む。
【0095】
本発明の一実施例によれば、前記ホスト材料は、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、カルバゾール、アザカルバゾール、インドロカルバゾリル、ジベンゾチオフェン、アザジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、アザジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、トリフェニレン、アザトリフェニレン、フルオレニル、シリコンフルオレン、ナフタレン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、フェナントレン、アザフェナントレン、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる少なくとも1種の化学基を含む。
【0096】
本発明の別の実施例によれば、上述したいずれか1つの実施例に記載される金属錯体を含む化合物の組合せがさらに開示される。
【0097】
他の材料との組合せ
【0098】
本発明に記載される有機発光素子に用いられる特定層の材料は、素子に存在する各種の他の材料と組み合わせて使用することができる。これらの材料の組合せについて、米国特許出願US2016/0359122A1の第0132~0161段落において詳細に記載されており、その内容を全て本明細書に援用する。記載または言及された材料は、本明細書に開示される化合物と組み合わせて使用可能な材料の非限定的な実例であり、且つ当業者にとっては、文献を容易に参照して組み合わせて使用可能な他の材料を識別することができる。
【0099】
本明細書において、有機発光素子に用いられる具体的な層の材料は、前記素子に存在する多種の他の材料と組み合わせて使用することができると記載されている。例示的には、本明細書において開示される発光ドーパントは、多種のホスト、輸送層、ブロッキング層、注入層、電極および他の存在可能な層と組み合わせて使用することができる。これらの材料の組合せは、特許出願US2015/0349273A1の第0080~0101段落において詳細に記載されており、その内容を全て本明細書に援用する。記載または言及された材料は、本明細書に開示される化合物と組み合わせて使用可能な材料の非限定的な実例であり、且つ当業者にとっては、文献を容易に参照して組み合わせて使用可能な他の材料を識別することができる。
【0100】
材料合成の実施例において、説明しない限り、すべての反応が窒素の保護で行われる。すべての反応溶剤は、無水であり、且つ市販品由来のまま使用される。合成される生成物に対して、本分野通常の1種または多種の機器(Bruker製の核磁気共鳴装置、Shimadzu製の液体クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー/質量分析計、気体クロマトグラフィー/質量分析計、示差熱走査熱量装置、上海▲リョウ▼光技術製の蛍光分光光度計、武漢科思特製の電気化学作業ステーション、安徽貝意克製の昇華装置などを含むがそれに限定されず)を用いて、当業者にとって熟知の方法で構造確認と特性テストを行った。素子の実施例において、素子の特性に対しても、本分野通常の機器(AngstromEngineering製の蒸着機、蘇州弗士達製の光学テストシステム、耐用年数テストシステム、北京量拓製のエリプソメーターなどを含むがそれに限定されず)を用いて、当業者にとって熟知の方法でテストを行った。当業者は上述した機器の使用、テスト方法などの関連内容を知っているので、サンプルの固有データを確実に、影響を受けずに取得することができるため、上記関連内容を本明細書において繰り返し説明はしない。
【実施例0101】
材料合成の実施例
【0102】
本発明に係る金属錯体の調製方法は限定されない。典型的であるが非限定的に以下の化合物を例として、その合成経路および調製方法は、以下のとおりである。
【0103】
合成の実施例1:化合物Ir(La126(Lb361)の合成
【0104】
ステップ1:イリジウム二量体の合成
【化25】
100mLの丸底フラスコに、中間体1(4.06g、14.64mmol)、三塩化イリジウム三水和物(1.29g、3.66mmol)、エトキシエタノール(39mL)および水(13mL)をそれぞれ添加した。そして、得た反応混合物へ窒素ガスを導入して3分間バブリングした。その後、反応を窒素ガスの保護下で還流反応を24時間行ったまで加熱して、反応溶液が黄緑色から深紅色となった。その後、反応を室温までに冷却させ、濾過した。メタノールで固体を複数回洗浄した後、乾燥させて二量体を得た。
【0105】
ステップ2:化合物Ir(La126(Lb361)の合成
【化26】
ステップ1で得たイリジウム二量体(1.33g、0.85mmol)、3,7-ジエチル-1,1,1-トリフルオロノナン-4,6-ジオン(679mg、2.55mmol)、炭酸カリウム(1.17g、8.5mmol)および2-エトキシエタノール(28mL)の混合物を窒素ガスの保護下で室温で24時間撹拌した。TLCで反応完了が示された後、漏斗にセライトを添加し反応混合液を入れて、濾過した。フィルターケーキをエタノールで複数回洗浄した後、ジクロロメタンでフィルターケーキにおける製品を溶液にリンスした。次に、溶液に一定量のエタノールを添加し、エバポレーターにおいて注意深く溶液におけるジクロルメタンを回転して除去した。溶液に赤色の固体を析出させ、濾過した。エタノールで得た固体を複数回洗浄し、乾燥するまでポンピングした後、赤色の固体生成物Ir(La126(Lb361)(1.29g、収率75%)を得た。得た生成物は、分子量が1010である目標生成物として確認された。
【0106】
合成の実施例2:化合物Ir(La577(Lb378)の合成
【0107】
ステップ1:イリジウム二量体の合成
【化27】
100mLの丸底フラスコに、中間体2(3.34g、10.53mmol)、三塩化イリジウム三水和物(1.24g、3.51mmol)、エトキシエタノール(39mL)および水(13mL)をそれぞれ添加した。そして、得た反応混合物へ窒素ガスを導入して3分間バブリングした。その後、反応を窒素ガスの保護下で還流反応を24時間行ったまで加熱して、反応溶液が黄緑色から深紅色となった。その後、反応を室温までに冷却させ、濾過した。メタノールで固体を複数回洗浄した後に乾燥させてイリジウム二量体(2.65g、収率87.8%)を得た。
【0108】
ステップ2:化合物Ir(La577(Lb378)の合成
【化28】
ステップ1で得たイリジウム二量体(1.33g、0.77mmol)、3,7-ジエチル-9,9-ジフルオロ-デカン-4,6-ジオン(808mg、3.1mmol)、炭酸カリウム(1.06g、7.71mmol)および2-エトキシエタノール(22mL)の混合物を窒素ガスの保護下で室温で24時間撹拌した。TLCで反応完了が示された後、漏斗にセライトを添加し反応混合液を入れて、濾過した。フィルターケーキをエタノールで複数回洗浄した後、ジクロロメタンでフィルターケーキにおける製品を溶液にリンスした。次に、溶液に一定量のエタノールを添加し、エバポレーターにおいて注意深く溶液におけるジクロルメタンを回転して除去した。溶液に赤色の固体を析出させ、濾過した。エタノールで得た固体を複数回洗浄し、乾燥するまでポンピングした後、赤色の固体生成物である化合物Ir(La577(Lb378)(1.4g、収率83.5%)を得た。得た生成物は、分子量が1087である目標生成物として確認された。
【0109】
合成の実施例3:化合物Ir(La577(Lb361)の合成
【化29】
イリジウム二量体(1.33g、0.77mmol)、3,7-ジエチル-1,1,1-トリフルオロノナン-4,6-ジオン(820mg、3.1mmol)、炭酸カリウム(1.06g、7.71mmol)および2-エトキシエタノール(22mL)の混合物を窒素ガスの保護下で室温で24時間撹拌した。TLCで反応完了が示された後、漏斗にセライトを添加し反応混合液を入れて、濾過した。フィルターケーキをエタノールで複数回洗浄した後、ジクロロメタンでフィルターケーキにおける製品を溶液にリンスした。次に、溶液に一定量のエタノールを添加し、エバポレーターにおいて注意深く溶液におけるジクロルメタンを回転して除去した。溶液に赤色の固体を析出させ、濾過した。エタノールで得た固体を複数回洗浄し、乾燥するまでポンピングした後、赤色の固体生成物である化合物Ir(La577(Lb361)(1.4g、収率83.4%)を得た。得た生成物は、分子量が1091である目標生成物として確認された。
【0110】
合成の実施例4:化合物Ir(La331(Lb378)の合成
【化30】
イリジウム二量体(1.2g、0.72mmol)、3,7-ジエチル-9,9-ジフルオロ-デカン-4,6-ジオン(755mg、2.88mmol)、炭酸カリウム(995mg、7.2mmol)および2-エトキシエタノール(24mL)の混合物を窒素ガスの保護下で室温で24時間撹拌した。TLCで反応完了が示された後、漏斗にセライトを添加し反応混合液を入れて、濾過した。フィルターケーキをエタノールで複数回洗浄した後、ジクロロメタンでフィルターケーキにおける製品を溶液にリンスした。次に、溶液に一定量のエタノールを添加し、エバポレーターにおいて注意深く溶液におけるジクロルメタンを回転して除去した。溶液に赤色の固体を析出させ、濾過した。エタノールで得た固体を複数回洗浄し、乾燥するまでポンピングした後、赤色の固体生成物である化合物Ir(La331(Lb378)(1.4g、収率92%)を得た。得た生成物は、分子量が1059である目標生成物として確認された。
【0111】
合成の実施例5:化合物Ir(La331(Lb361)の合成
【化31】
イリジウム二量体(1.24g、0.745mmol)、3,7-ジエチル-1,1,1-トリフルオロノナン-4,6-ジオン(793mg、2.98mmol)、炭酸カリウム(1.03g、7.45mmol)および2-エトキシエタノール(25mL)の混合物を窒素ガスの保護下で室温で24時間撹拌した。TLCで反応完了が示された後、漏斗にセライトを添加し反応混合液を入れて、濾過した。フィルターケーキをエタノールで複数回洗浄した後、ジクロロメタンでフィルターケーキにおける製品を溶液にリンスした。次に、溶液に一定量のエタノールを添加し、エバポレーターにおいて注意深く溶液におけるジクロルメタンを回転して除去した。溶液に赤色の固体を析出させ、濾過した。エタノールで得た固体を複数回洗浄し、乾燥するまでポンピングした後、赤色の固体生成物である化合物Ir(La331(Lb361)(1.29g、収率82%)を得た。得た生成物は、分子量が1062である目標生成物として確認された。
【0112】
合成の実施例6:化合物Ir(La577(Lb31)の合成
【化32】
イリジウム二量体(1.25g、0.8mmol)、3,7-ジエチルノナン-4,6-ジオン(650mg、3.2mmol)、炭酸カリウム(1.11g、8mmol)および2-エトキシエタノール(25mL)の混合物を窒素ガスの保護下で室温で24時間撹拌した。TLCで反応完了が示された後、漏斗にセライトを添加し反応混合液を入れて、濾過した。フィルターケーキをエタノールで複数回洗浄した後、ジクロロメタンでフィルターケーキにおける製品を溶液にリンスした。次に、溶液に一定量のエタノールを添加し、エバポレーターにおいて注意深く溶液におけるジクロルメタンを回転して除去した。溶液に赤色の固体を析出させ、濾過した。エタノールで得た固体を複数回洗浄し、乾燥するまでポンピングした後、赤色の固体生成物である化合物Ir(La577(Lb31)(1.09g、収率66%)を得た。得た生成物は、分子量が1037である目標生成物として確認された。
【0113】
合成の実施例7:化合物Ir(La577(Lb116)の合成
【化33】
イリジウム二量体(1.2g、0.8mmol)、3,3,7-トリエチルノナン-4,6-ジオン(500mg、2.4mmol)、炭酸カリウム(1.11g、8mmol)および2-エトキシエタノール(25mL)の混合物を窒素ガスの保護下で室温で24時間撹拌した。TLCで反応完了が示された後、漏斗にセライトを添加し反応混合液を入れて、濾過した。フィルターケーキをエタノールで複数回洗浄した後、ジクロロメタンでフィルターケーキにおける製品を溶液にリンスした。次に、溶液に一定量のエタノールを添加し、エバポレーターにおいて注意深く溶液におけるジクロルメタンを回転して除去した。溶液に赤色の固体を析出させ、濾過した。エタノールで得た固体を複数回洗浄し、乾燥するまでポンピングした後、赤色の固体生成物である化合物Ir(La577(Lb116)(1.1g、収率65%)を得た。得た生成物は、分子量が1065である目標生成物として確認された。
【0114】
合成の実施例8:化合物Ir(La331(Lb116)の合成
【化34】
イリジウム二量体(1.25g、0.75mmol)、3,3,7-トリエチルノナン-4,6-ジオン(540mg、2.25mmol)、炭酸カリウム(1.04g、7.5mmol)および2-エトキシエタノール(22mL)の混合物を窒素ガスの保護下で室温で24時間撹拌した。TLCで反応完了が示された後、漏斗にセライトを添加し反応混合液を入れて、濾過した。フィルターケーキをエタノールで複数回洗浄した後、ジクロロメタンでフィルターケーキにおける製品を溶液にリンスした。次に、溶液に一定量のエタノールを添加し、エバポレーターにおいて注意深く溶液におけるジクロルメタンを回転して除去した。溶液に赤色の固体を析出させ、濾過した。エタノールで得た固体を複数回洗浄し、乾燥するまでポンピングした後、赤色の固体生成物である化合物Ir(La331(Lb116)(1.25g、収率83%)を得た。得た生成物は、分子量が1037である目標生成物として確認された。
【0115】
合成の実施例9:化合物Ir(La331)(Lb361)(Lc161)の合成
【化35】
イリジウム二量体(0.9g、0.5mmol)、3,7-ジエチル-1,1,1-トリフルオロノナン-4,6-ジオン(0.5g、2mmol)、炭酸カリウム(1g、5.3mmol)および2-エトキシエタノール(12mL)の混合物を窒素ガスの保護下で室温で24時間撹拌した。TLCで反応完了が示された後、漏斗にセライトを添加し反応混合液を入れて、濾過した。フィルターケーキをエタノールで複数回洗浄した後、ジクロロメタンでフィルターケーキにおける製品を溶液にリンスした。次に、溶液に一定量のエタノールを添加し、エバポレーターにおいて注意深く溶液におけるジクロルメタンを回転して除去した。溶液に赤色の固体を析出させ、濾過した。エタノールで得た固体を複数回洗浄し、乾燥するまでポンピングした後、赤色の固体生成物である化合物Ir(La331)(Lb361)(Lc161)(0.82g、収率75%)を得た。得た生成物は、分子量が1061である目標生成物として確認された。
【0116】
合成の実施例10:化合物Ir(La126)(Lb361)(Lc141)の合成
【化36】
イリジウム二量体(1.14g、0.7mmol)、3,7-ジエチル-1,1,1-トリフルオロノナン-4,6-ジオン(0.5g、2mmol)、炭酸カリウム(1g、5.3mmol)および2-エトキシエタノール(12mL)の混合物を窒素ガスの保護下で室温で24時間撹拌した。TLCで反応完了が示された後、漏斗にセライトを添加し反応混合液を入れて、濾過した。フィルターケーキをエタノールで複数回洗浄した後、ジクロロメタンでフィルターケーキにおける製品を溶液にリンスした。次に、溶液に一定量のエタノールを添加し、エバポレーターにおいて注意深く溶液におけるジクロルメタンを回転して除去した。溶液に赤色の固体を析出させ、濾過した。エタノールで得た固体を複数回洗浄し、乾燥するまでポンピングした後、赤色の固体生成物である化合物Ir(La126)(Lb361)(Lc141)(1.1g、収率79%)を得た。得た生成物は、分子量が1009である目標生成物として確認された。
【0117】
当業者であれば、上記調製方法は、例示的なものに過ぎず、それを改良することによって本発明の他の化合物の構造を取得することができることを知るべきである。
【0118】
素子の実施例1
【0119】
まず、厚みが120nmのインジウムスズ酸化物(ITO)陽極を有するガラス基板を洗浄した後、酸素プラズマとUVオゾンで処理した。処理した後、基板をグローブボックスで乾燥させて水を除去した。その後、基板を基板ホルダに取り付けて真空室に置いた。以下、指定された有機層に対して、真空度が約10-8トルの場合、0.2~2オングストローム/秒の速度でホット真空蒸着によって順にITO陽極に蒸着を行った。化合物HIを正孔注入層(HIL)として用いた。化合物HTを正孔輸送層(HTL)として用いた。化合物EBを電子ブロッキング層(EBL)として用いた。その後、本発明における化合物Ir(La126(Lb361)を3%でホスト化合物RHにドーピングして発光層(EML)として用いた。化合物HBを正孔ブロッキング層(HBL)として用いた。HBL上において、化合物ETおよび8-ヒドロキシキノリン-リチウム(Liq)を電子輸送層(ETL)として蒸着した。最後に、厚み1nmのLiqを電子注入層として蒸着するとともに、120nmのAlを陰極として蒸着した。そして、該素子をグローブボックスに遷移させ、ガラスカバーと吸湿剤を用いてカプセル化して該素子を完成させた。
【0120】
素子の比較例1
【0121】
素子の比較例1の調製方法は、発光層(EML)において比較化合物RD1で本発明に係る化合物Ir(La126(Lb361)を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0122】
素子の比較例2
【0123】
素子の比較例2の調製方法は、発光層(EML)において比較化合物RD2で本発明に係る化合物Ir(La126(Lb361)を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0124】
素子の実施例2
【0125】
素子の実施例2の調製方法は、発光層(EML)において、本発明に係る化合物Ir(La331(Lb361)で本発明に係る化合物Ir(La126(Lb361)(化合物Ir(La331(Lb361)と化合物RHとの重量比が5:95である)を代替し、およびEBLにおいて化合物EB1で化合物EBを代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0126】
素子の実施例3
【0127】
素子の実施例3の調製方法は、発光層(EML)において、本発明に係る化合物Ir(La331(Lb378)で本発明に係る化合物Ir(La331(Lb361)を代替する以外、素子の実施例2と同様である。
【0128】
素子の実施例4
【0129】
素子の実施例4の調製方法は、発光層(EML)において、本発明に係る化合物Ir(La577(Lb378)で本発明に係る化合物Ir(La331(Lb361)を代替する以外、素子の実施例2と同様である。
【0130】
素子の実施例5
【0131】
素子の実施例5の調製方法は、発光層(EML)において、本発明に係る化合物Ir(La577(Lb361)で本発明に係る化合物Ir(La331(Lb361)を代替する以外、素子の実施例2と同様である。
【0132】
素子の比較例3
【0133】
素子の比較例3の調製方法は、発光層(EML)において、比較化合物RD3で本発明に係る化合物Ir(La331(Lb361)を代替する以外、素子の実施例2と同様である。
【0134】
素子の比較例4
【0135】
素子の比較例4の調製方法は、発光層(EML)において、比較化合物RD4で本発明に係る化合物Ir(La331(Lb361)を代替する以外、素子の実施例2と同様である。
【0136】
素子の比較例5
【0137】
素子の比較例5の調製方法は、発光層(EML)において、比較化合物RD5で本発明に係る化合物Ir(La331(Lb361)を代替する以外、素子の実施例2と同様である。
【0138】
素子の詳細の層構造および厚みを、下記表に示す。用いられる材料が2種以上の層は、前記重量比で異なる化合物をドーピングすることにより得られる。
【0139】
【表1】
【0140】
素子に用いられる材料の構造は、以下のように表される。
【化37-1】
【化37-2】
【0141】
表2は、素子の実施例1、比較例1~2、素子の実施例2~5および比較例3~5における1000ニットの輝度で測定された色座標(CIE)、発射波長(λmax)および15mA/cmの定電流密度での外部量子効率(EQE)のデータを示す。定電流密度80mA/cmで、素子の耐用年数LT97を測定した。
【0142】
【表2】
【0143】
まとめ
表2に示したデータについては、実施例1と比較例1、2との比較から分かるように、色座標および発射波長は相当的であった。しかしながら、最も重要なことは以下の通りである。比較例1と比べると、実施例1における耐用年数が8.2%向上し、外部量子効率が4.0%向上した。比較例2と比べると、実施例1における耐用年数が23.3%向上し、外部量子効率が4.7%向上した。その結果、イソキノリン配位子の3、4位に2つの重水素で置換されることにより、耐用年数および効率の両方が同時に向上し、特に耐用年数が著しく向上することができ、該構造特徴の独特性および重要性が証明されている。
【0144】
実施例2と比較例3~5との比較から分かるように、実施例2および比較例3~5における色座標および発射波長は相当的であった。しかしながら、最も重要なことは以下の通りである。比較例3と比べると、実施例2における耐用年数が23%向上し、外部量子効率が2.4%向上した。比較例4と比べると、実施例2における耐用年数が8.5%向上し、外部量子効率が2.2%向上した。比較例5と比べると、実施例2における耐用年数が18.5%向上し、外部量子効率がやや向上した。それと同時に、実施例3~5におけるデータは、実施例2と類似する長い耐用年数および高効率の特性を示した。これらの素子のデータから分かるように、イソキノリン配位子の3、4位に2つの重水素で置換されることにより、耐用年数および効率の両方が同時に向上し、特に耐用年数が著しく向上することができ、該構造特徴の独特性および重要性が再度と証明されている。
【0145】
ここで記載される各種の実施例は、例示的なものに過ぎず、本発明の範囲を限定するためのものではないことを理解すべきである。そのため、当業者にとって、保護しようとする本発明は、本明細書に記載される具体的な実施例および好ましい実施例の変形を含むことが自明である。本発明の構想を逸脱しない前提で、本明細書に記載される材料および構造の多くは、他の材料および構造で代替することができる。本発明がなぜ機能するかについての様々な理論は、限定的ではないことを理解すべきである。
図1
図2