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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016866
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】多層系および多層系を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 37/15 20060101AFI20230126BHJP
   B29C 48/00 20190101ALI20230126BHJP
   B29C 48/16 20190101ALI20230126BHJP
   B29C 48/88 20190101ALI20230126BHJP
   B29C 48/06 20190101ALI20230126BHJP
   B29C 48/30 20190101ALI20230126BHJP
   B29C 64/336 20170101ALI20230126BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230126BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20230126BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20230126BHJP
   B29C 64/209 20170101ALI20230126BHJP
【FI】
B32B37/15
B29C48/00
B29C48/16
B29C48/88
B29C48/06
B29C48/30
B29C64/336
B33Y10/00
B33Y80/00
B29C64/106
B29C64/209
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022186379
(22)【出願日】2022-11-22
(62)【分割の表示】P 2021546793の分割
【原出願日】2020-02-10
(31)【優先権主張番号】62/803,727
(32)【優先日】2019-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】シンシア クチュコ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ブバス
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ウィルキンソン
(72)【発明者】
【氏名】エリック エス. エプスタイン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイビン ツイ
(72)【発明者】
【氏名】レンヘ リン
(57)【要約】
【課題】多層系および多層系を製造する方法を提供すること。
【解決手段】共反応性シーラント組成物を押出成形することによってシーラント層を含む多層系を製造する方法が開示されている。本方法は、個々の層が異なる硬化特性を有する多層系を製作するために使用され得る。個々の層はまた、層中に不均一な濃度の1つまたは1つより多くの構成要素を有し得る。多層系は、広範囲の共反応性組成物の使用を容易にする3次元印刷を使用して製造され得る。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、参照によってその全体が組み込まれる、米国特許法第119条(e)のもと、2019年2月11日に出願された米国仮出願第62/803,727号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、少なくとも1つのシーラント層を含む多層系を製造する方法、この方法を使用して製造される多層系、および多層系の使用に関する。多層系の個々の層はそれぞれ、所望の特性を有するように設計され得る。多層系の個々の層はまた、個々の層中に不均一な濃度の1つまたは1つより多くの構成要素を有し得る。多層系は、3次元印刷のような押出法を使用して製造され得る。多層系は、シーラントとして使用され得る。
【背景技術】
【0003】
シーラントは、典型的には、基材に塗布される均一な組成物として提供される。1成分の系では、シーラントが基材に塗布され、紫外線への曝露のようなエネルギーの適用によって硬化が開始される。2成分の系では、使用前に個々の成分が組み合わされて混合され、反応性成分が組み合わされると硬化反応が進行する。硬化されたシーラントの性能属性としては、例えば、耐薬品性、低温柔軟性、加水分解安定性、耐高温性、引張強度、伸び率、基材接着性、隣接層への接着性、タックフリー時間、ショア10A硬度までの時間、電気伝導性、EMI/RFI遮蔽、静電気散逸性、熱伝導性、低密度、耐食性、表面硬度、耐火性、耐UV性、および耐雨浸食性のうちの1つまたは1つより多くが挙げられ得る。少なくとも1つのシーラントを有する多層系、およびこれらの属性のうちの1つまたは1つより多くを有するシーラント系を製造するための方法が望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によると、2つまたは2つより多くの層を含み、層のうちの1つまたは1つより多くがシーラント層を含む多層系を製造する方法は、(a)第1の成分および第2の成分を混合して、共反応性シーラント組成物を形成するステップであって、共反応性シーラント組成物が第1の反応性化合物および第2の反応性化合物を含み、第1の反応性化合物が第2の反応性化合物に反応性である、ステップと、(b)共反応性シーラント組成物を押出成形して、押出物を形成するステップと、(c)押出物を堆積させて、シーラント層を形成するステップと、を含む。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する
(項目1)
2つまたは2つより多くの層を含み、前記層のうちの1つまたは1つより多くがシーラント層を含む多層系を製造する方法であって、
(a)第1の成分および第2の成分を混合して、共反応性シーラント組成物を形成するステップであって、
前記共反応性シーラント組成物が第1の反応性化合物および第2の反応性化合物を含み、
前記第1の反応性化合物が前記第2の反応性化合物に反応性である、ステップと、
(b)前記共反応性シーラント組成物を押出成形して、押出物を形成するステップと、
(c)前記押出物を堆積させて、前記シーラント層を形成するステップと、を含む、方法。
(項目2)
堆積が3次元印刷を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
堆積が、前記多層系の下層の上に前記押出物を堆積させることを含む、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
前記堆積されたシーラント層の下にある第1の共反応性組成物を堆積させて、下層を形成するステップ、および/または
前記シーラント層の上にある第2の共反応性組成物を堆積させて、上層を形成するステップ
をさらに含み、前記第1の共反応性組成物および前記第2の共反応性組成物が、前記シーラント層とは異なる組成物を含む、項目1~3のいずれか1項に記載の方法。
(項目5)
前記第1の共反応性組成物が前記第2の共反応性組成物とは異なる、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記共反応性シーラント組成物のうちのいずれかが熱硬化性組成物を含む、項目1~5のいずれか1項に記載の方法。
(項目7)
前記多層系の前記層がそれぞれ熱硬化性物質を含む、項目1~6のいずれか1項に記載の方法。
(項目8)
前記押出物の断面プロファイルが前記断面プロファイルにわたって均一な組成を有する、項目1~7のいずれか1項に記載の方法。
(項目9)
前記押出物の断面プロファイルが前記断面プロファイルにわたって不均一な組成を有する、項目1~7のいずれか1項に記載の方法。
(項目10)
前記多層系の前記2つまたは2つより多くの層のうちの最外層がシーラント層を含む、項目1~9のいずれか1項に記載の方法。
(項目11)
前記多層系の前記層がそれぞれ、独立して、シーラント層または非シーラント層を含む、項目1~10のいずれか1項に記載の方法。
(項目12)
前記共反応性シーラント組成物が、耐薬品性の骨格を含むプレポリマーを含む、項目1~11のいずれか1項に記載の方法。
(項目13)
前記共反応性シーラント組成物が、10重量%超の硫黄含有量を含み、重量%が、前記共反応性シーラント組成物の有機構成要素の総重量に基づく、項目1~12のいずれか1項に記載の方法。
(項目14)
前記共反応性シーラント組成物が硫黄含有プレポリマーを含む、項目1~13のいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
前記硫黄含有プレポリマーが、ポリチオエーテル、ポリスルフィド、硫黄含有ポリホルマール、モノスルフィド、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせを含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記硫黄含有プレポリマーが、10重量%超の硫黄含有量を含み、重量%が、前記硫黄含有プレポリマーの総重量に基づく、項目14または15に記載の方法。
(項目17)
前記第1の反応性化合物が、50℃未満の温度で前記第2の反応性化合物に反応性である、項目1~16のいずれか1項に記載の方法。
(項目18)
前記第1の反応性化合物が、触媒および/または重合開始剤の存在下で前記第2の反応性化合物に反応性であり、
前記触媒および/または重合開始剤が、前記第1の反応性化合物と前記第2の反応性化合物との間の反応を触媒および/または開始することができる、項目1~17のいずれか1項に記載の方法。
(項目19)
前記押出物を堆積させる前、堆積させる間、および/または堆積させた後に前記重合開始剤を活性化させるステップをさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記第1の成分が前記第1の反応性化合物および前記第2の反応性化合物を含み、
前記第2の成分が、前記第1の反応性化合物と前記第2の反応性化合物との間の前記反応のための触媒、硬化活性剤、および/または重合開始剤を含む、項目1~19のいずれか1項に記載の方法。
(項目21)
前記第1の成分が前記第1の反応性化合物を含み、前記第2の成分が前記第2の反応性化合物を含む、項目1~19のいずれか1項に記載の方法。
(項目22)
前記第1の反応性化合物がポリアミンおよび/もしくはポリオールを含み、前記第2の反応性化合物がポリイソシアネートを含むか、
前記第1の反応性化合物がポリアミンを含み、前記第2の反応性化合物がポリエポキシドを含むか、
前記第1の反応性化合物がマイケル受容体を含み、前記第2の反応性化合物がマイケル供与体を含むか、または
前記第1の反応性化合物がポリチオールを含み、前記第2の反応性化合物が、ポリチオール、ポリイソシアネート、ポリアルケニル、ポリアルキニル、ポリエポキシド、マイケル受容体、もしくは前述のもののうちのいずれかの組み合わせを含む、項目1~21のいずれか1項に記載の方法。
(項目23)
第1のポンプを使用して前記第1の成分をミキサーに圧送するステップと、
第2のポンプを使用して前記第2の成分を前記ミキサーに圧送するステップと、をさらに含む、項目1~22のいずれか1項に記載の方法。
(項目24)
前記押出物を堆積させた後に、前記堆積された押出物を硬化させるステップをさらに含む、項目1~23のいずれか1項に記載の方法。
(項目25)
硬化が、前記堆積された押出物を30℃未満の温度で硬化させることを含む、項目24に記載の方法。
(項目26)
1つまたは1つより多くの追加の共反応性組成物を前記共反応性シーラント組成物と融合させるステップをさらに含み、
押出成形が、前記共反応性シーラント組成物および前記1つまたは1つより多くの追加の共反応性組成物を共押出成形して、共押出物を形成するステップを含み、
堆積が、前記共押出物を堆積させて、1つまたは1つより多くのシーラント層を含む多層系を形成するステップを含む、項目1~25のいずれか1項に記載の方法。
(項目27)
前記1つまたは1つより多くの追加の共反応性組成物がそれぞれ、独立して、追加の共反応性シーラント組成物または共反応性非シーラント組成物を含む、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記共反応性シーラント組成物および隣接する追加の共反応性組成物が同じ硬化化学反応を含む、項目26または27に記載の方法。
(項目29)
前記共反応性シーラント組成物および隣接する追加の共反応性組成物が異なる硬化化学反応を含む、項目26~28のいずれか1項に記載の方法。
(項目30)
前記共反応性シーラント組成物が、隣接する追加の共反応性組成物に反応性である、項目26~29のいずれか1項に記載の方法。
(項目31)
添加剤含有組成物を追加の共反応性組成物の一部と組み合わせて、添加剤修飾された追加の共反応性組成物を形成するステップであって、前記添加剤含有組成物が添加剤を含む、ステップをさらに含み、
押出成形が、前記共反応性シーラント組成物および前記添加剤修飾された追加の共反応性組成物を共押出成形して、共押出物を形成するステップを含む、項目26~30のいずれか1項に記載の方法。
(項目32)
前記共押出物の断面プロファイルが、不均一な添加剤濃度を有する、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記押出物が、前記共押出物の長手方向の寸法において前記添加剤の濃度が不均一であることを特徴とする、項目31または32に記載の方法。
(項目34)
第3の成分を第4の成分と混合して、前記1つまたは1つより多くの追加の共反応性組成物を形成するステップをさらに含む、項目26~33のいずれか1項に記載の方法。
(項目35)
添加剤含有組成物を前記共反応性シーラント組成物の一部と組み合わせて、添加剤修飾された共反応性シーラント組成物を形成するステップであって、前記添加剤含有組成物が添加剤を含む、ステップと、
前記添加剤修飾された共反応性シーラント組成物を押出成形して、押出物を形成するステップと、をさらに含む、項目1~34のいずれか1項に記載の方法。
(項目36)
前記押出物の断面プロファイルが、不均一な添加剤濃度を有する、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記押出物が、前記押出物の長手方向の寸法において前記添加剤の濃度が不均一であることを特徴とする、項目35または36に記載の方法。
(項目38)
接着促進組成物を前記共反応性シーラント組成物と融合させるステップをさらに含み、
押出成形が前記第1の共反応性組成物および前記接着促進組成物を共押出成形するステップを含む、項目1~37のいずれか1項に記載の方法。
(項目39)
前記押出物を堆積させる前に接着促進層を前記押出物に塗布するステップをさらに含む、項目1~38のいずれか1項に記載の方法。
(項目40)
項目1~39のいずれか1項に記載の方法によって製造されたシーラント層を含む、多層系。
(項目41)
隣接する層が化学的および/または物理的に結合されている、項目40に記載の多層系。
(項目42)
完全に硬化した多層シーラントの破壊エネルギーが個々の層の破壊エネルギーと実質的に同じであり、前記破壊エネルギーがASTM D7313に従って決定される、項目40または41に記載の多層系。
(項目43)
前記層がそれぞれ熱硬化性材料を含む、項目40~42のいずれか1項に記載の多層系。
(項目44)
前記層がそれぞれ異なる熱硬化性材料を含む、項目40~43のいずれか1項に記載の多層系。
(項目45)
前記多層系が、AMS3277に記載されている航空宇宙用シーラントについての要件を満たすか、またはこれを上回る、項目40~44のいずれか1項に記載の多層系。
(項目46)
前記多層シーラントの前記層のうちの1つまたは1つより多くが、不均一な組成物断面プロファイルを有する、項目40~45のいずれか1項に記載の多層系。
(項目47)
前記多層シーラントの前記層のうちの1つまたは1つより多くが、前記長手方向の寸法において不均一な組成を有する、項目40~46のいずれか1項に記載の多層系。
(項目48)
項目40~47のいずれか1項に記載の多層系を含む、部品。
(項目49)
前記部品が自動車車両部品または航空宇宙ビークル部品を含む、項目48に記載の部品。
(項目50)
項目40~47のいずれか1項に記載の多層系を含む、ビークル。
(項目51)
前記ビークルが航空宇宙ビークルまたは自動車車両を含む、項目50に記載のビークル。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本明細書に記載される図面は、例示のみを目的としている。図面は、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【0006】
図1A】本開示によって提供される少なくとも1つのシーラント層を含む多層系の断面図を示す。
図1B】本開示によって提供される少なくとも1つのシーラント層を含む多層系の断面図を示す。
図1C】本開示によって提供される少なくとも1つのシーラント層を含む多層系の断面図を示す。
図1D】本開示によって提供される少なくとも1つのシーラント層を含む多層系の断面図を示す。
図2A】構成要素の濃度が層の厚さにおいて変化する、本開示によって提供される多層系の層の断面図を示す。
図2B】構成要素の濃度が層の横方向の寸法において変化する、本開示によって提供される多層系の層の断面図を示す。
図3】コーティングを含む、本開示によって提供される多層系の断面図を示す。
図4】共押出機の例の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の詳細な説明の目的のために、本開示によって提供される実施形態は、相反することが明示的に指定されている場合を除き、様々な代替的な変形およびステップシーケンスを想定し得ることを理解されたい。さらに、任意の動作の実施例以外、または別様に示される場合、例えば、明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量を表す全ての数は、全ての例において用語「約」によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、相反することが示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得られる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。少なくとも、また、均等諭の適用を特許請求の範囲に限定しようとするものではなく、各数値パラメータは、報告された有意な桁の数を考慮して、かつ通常の四捨五入技法を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。
【0008】
本発明の広い範囲を記載する数値範囲およびパラメータは、近似値であるにもかかわらず、特定の例において記載される数値は、できる限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、それらのそれぞれの試験測定値に見られる標準変動から必然的に得られる特定の誤差を本質的に含有する。
【0009】
また、本明細書に列挙される任意の数値範囲は、その中に包含される全ての部分範囲を含むことを意図していることを理解されたい。例えば、「1~10」の範囲は、列挙されている最小値1~列挙されている最大値10(列挙されている値を含む)、すなわち、1に等しいまたは1を超える最小値および10に等しいまたは10未満の最大値を有する、全ての部分範囲を含むことが意図される。
【0010】
「アルカンアレーン」とは、1つまたは1つより多くのアリール基および/またはアレーンジイル基と、1つまたは1つより多くのアルキルおよび/またはアルカンジイル基とを有する炭化水素基を指し、アリール、アレーンジイル、アルキル、およびアルカンジイルは、本明細書において定義されている。各アリールおよび/またはアレーンジイル基は、C6~12、C6~10、フェニル、またはベンゼンジイルであり得る。各アルキルおよび/またはアルカンジイル基は、C1~6、C1~4、C1~3、メチル、メタンジイル、エチル、またはエタン-1,2-ジイルであり得る。アルカンアレーン基は、C4~18アルカンアレーン、C4~16アルカンアレーン、C4~12アルカンアレーン、C4~8アルカンアレーン、C6~12アルカンアレーン、C6~10アルカンアレーン、またはC6~9アルカンアレーンであり得る。アルカンアレーン基の例としては、ジフェニルメタンが挙げられる。
【0011】
「アルカンアレーンジイル」とは、アルカンアレーン基のジラジカルを指す。アルカンアレーンジイル基は、C6~18アルカンアレーンジイル、C6~16アルカンアレーンジイル、C6~12アルカンアレーンジイル、C6~8アルカンアレーンジイル、C6~12アルカンアレーンジイル、C6~10アルカンアレーンジイル、またはC6~9アルカンアレーンジイルであり得る。アルカンアレーンジイル基の例としては、ジフェニルメタン-4,4’-ジイルが挙げられる。
【0012】
「アルカンシクロアルカン」とは、1つまたは1つより多くのシクロアルキルおよび/またはシクロアルカンジイル基と、1つまたは1つより多くのアルキルおよび/またはアルカンジイル基とを有する飽和炭化水素基を指し、シクロアルキル、シクロアルカンジイ
ル、アルキル、およびアルカンジイルは、本明細書において定義されている。各シクロアルキルおよび/またはシクロアルカンジイル基は、C3~6、C5~6、シクロヘキシル、またはシクロヘキサンジイルであり得る。各アルキルおよび/またはアルカンジイル基は、C1~6、C1~4、C1~3、メチル、メタンジイル、エチル、またはエタン-1,2-ジイルであり得る。アルカンシクロアルカン基は、C6~18アルカンシクロアルカン、C6~16アルカンシクロアルカン、C6~12アルカンシクロアルカン、C6~8アルカンシクロアルカン、C6~12アルカンシクロアルカン、C6~10アルカンシクロアルカン、またはC6~9アルカンシクロアルカンであり得る。アルカンシクロアルカン基の例としては、1,1,3,3-テトラメチルシクロヘキサンおよびシクロヘキシルメタンが挙げられる。
【0013】
「アルカンシクロアルカンジイル」とは、アルカンシクロアルカン基のジラジカルを指す。アルカンシクロアルカンジイル基は、C4~18アルカンシクロアルカンジイル、C4~16アルカンシクロアルカンジイル、C4~12アルカンシクロアルカンジイル、C4~8アルカンシクロアルカンジイル、C6~12アルカンシクロアルカンジイル、C6~10アルカンシクロアルカンジイル、またはC6~9アルカンシクロアルカンジイルであり得る。アルカンシクロアルカンジイル基の例としては、1,1,3,3-テトラメチルシクロヘキサン-1,5-ジイルおよびシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイルが挙げられる。
【0014】
「アルカンジイル」とは、例えば、1~18個の炭素原子(C1~18)、1~14個の炭素原子(C1~14)、1~6個の炭素原子(C1~6)、1~4個の炭素原子(C1~4)、または1~3個の炭素原子(C1~3)を有する、飽和、分岐鎖、または直鎖の非環式炭化水素基のジラジカルを指す。分岐状アルカンジイルは、少なくとも3個の炭素原子を有すると認識されるであろう。アルカンジイルは、C2~14アルカンジイル、C2~10アルカンジイル、C2~8アルカンジイル、C2~6アルカンジイル、C2~4アルカンジイル、またはC2~3アルカンジイルであり得る。アルカンジイル基の例としては、メタン-ジイル(-CH-)、エタン-1,2-ジイル(-CHCH-)、プロパン-1,3-ジイルおよびイソプロパン-1,2-ジイル(例えば、-CHCHCH-および-CH(CH)CH-)、ブタン-1,4-ジイル(-CHCHCHCH-)、ペンタン-1,5-ジイル(-CHCHCHCHCH-)、ヘキサン-1,6-ジイル(-CHCHCHCHCHCH-)、ヘプタン-1,7-ジイル、オクタン-1,8-ジイル、ノナン-1,9-ジイル、デカン-1,10-ジイル、およびドデカン-1,12-ジイルが挙げられる。アルカンジイル基は、炭素原子間に単結合、二重結合、および/または三重結合を含み得る。
【0015】
「アルケニル」基とは、構造-CR=C(R)を指し、アルケニル基は基であり、より大きな分子に結合している。そのような実施形態では、各Rは、独立して、例えば、水素およびC1~3アルキルを含み得る。各Rは水素であり得て、アルケニル基は-CH=CHの構造を有し得る。
【0016】
「アルコキシ」とは、本明細書で定義されるようにRがアルキルである-OR基を指す。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、およびn-ブトキシが挙げられる。アルコキシ基は、C1~8アルコキシ、C1~6アルコキシ、C1~4アルコキシ、またはC1~3アルコキシであり得る。
【0017】
「アルキル」とは、例えば、1~20個の炭素原子、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、1~4個の炭素原子、または1~3個の炭素原子を有する、飽和、分岐鎖、または直鎖の非環式炭化水素基のモノラジカルを指す。分岐状アルキルは、最小で3個の炭素原子を有すると認識されるであろう。アルキル基は、C1~6アルキル、C1~4
ルキル、またはC1~3アルキルであり得る。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル、n-デシル、およびテトラデシルが挙げられる。アルキル基は、C1~6アルキル、C1~4アルキル、およびC1~3アルキルである。
【0018】
「アレーンジイル」とは、ジラジカル単環式または多環式芳香族基を指す。アレーンジイル基の例としては、ベンゼン-ジイルおよびナフタレン-ジイルが挙げられる。アレーンジイル基は、C6~12アレーンジイル、C6~10アレーンジイル、C6~9アレーンジイル、またはベンゼン-ジイルであり得る。
【0019】
「触媒」とは、反応における全体的な標準ギブスエネルギー変化を改変することなく反応速度を増加させる物質を指す。
【0020】
例えばいくつかの炭素原子によって定義される化学基に言及する場合、化学基は、全ての部分範囲の炭素原子ならびに特定の数の炭素原子を含むことが意図される。例えば、C2~10アルカンジイルとしては、C2~4アルカンジイル、C5~7アルカンジイル、および他の部分範囲、Cアルカンジイル、Cアルカンジイル、ならびに2~10個の他の特定の数の炭素原子を有するアルカンジイルが挙げられる。
【0021】
「コーティング」とは、500μm未満、100μm未満、または50μm未満の塗布厚さおよび乾燥厚さを有する膜のような薄膜を指す。コーティングは、多層系を形成する層の厚さよりも小さい厚さを有し得る。
【0022】
「成分」とは、成分の構成要素が別の成分と組み合わされて混合されて共反応性組成物を形成するまで共反応性ではない、組成物を指す。
【0023】
反応性官能基を有する化合物とは、別の化合物の相補的反応性官能基と反応することができる官能基を有する化合物を指す。反応性官能基は、化合物の末端に結合することができ、化合物の骨格に結合され得る。
【0024】
「構成要素」とは、有機化合物または無機化合物を指す。組成物および成分は、1つまたは1つより多くの構成要素を含み得る。構成要素の例としては、プレポリマー、モノマー、多官能化剤、および本明細書に開示されている添加剤が挙げられる。
【0025】
多官能化剤B(-V)の「コア」とは、部分Bを指す。
【0026】
化合物またはポリマーの「コア」とは、反応性基間の区分を指す。例えば、ポリチオールHS-R-SHのコアは-R-である。化合物またはプレポリマーのコアはまた、化合物の骨格またはプレポリマーの骨格とも呼ばれ得る。多官能化剤のコアは、原子であっても、またはシクロアルカン、置換シクロアルカン、ヘテロシクロアルカン、置換ヘテロシクロアルカン、アレーン、置換アレーン、ヘテロアレーン、もしくは置換ヘテロアレーンのような構造であってもよく、反応性官能基を有する部分がこれに結合している。
【0027】
「共反応性組成物」とは、互いに反応することができる少なくとも2つの反応性化合物を含む組成物を指す。共反応性組成物とは、例えば、50℃未満、40℃未満、30℃未満、または20℃未満の温度で反応することができる2つまたは2つより多くの共反応性化合物を含む組成物を指す。2つまたは2つより多くの反応性化合物間の反応は、2つまたは2つより多くの共反応性化合物を組み合わせて混合すること、2つまたは2つより多くの共反応性化合物を含む共反応性組成物に触媒を添加すること、および/または2つまたは2つより多くの共反応性化合物を含む共反応性組成物中で重合開始剤を活性化するこ
とによって開始され得る。共反応性組成物は、例えば、第1の反応性化合物を含む第1の反応性成分と、第2の反応性化合物を含む第2の反応性成分とを組み合わせて混合することによって形成することができ、第1の反応性化合物は、第2の反応性化合物と反応することができる。共反応性組成物は、熱硬化性組成物であり得て、硬化すると熱硬化性物質を形成する。
【0028】
「共反応性非シーラント組成物」とは、シーラントとして配合されていない共反応性組成物を指す。硬化した共反応性非シーラント組成物は、シーラントのいくつかの特性を呈し得るが、硬化した共反応性非シーラント組成物の主要な機能は、シーラントとして作用しないことである。
【0029】
「共反応性シーラント組成物」とは、シーラントとして配合されている共反応性組成物を指す。
【0030】
「共反応性3次元印刷」とは、本明細書に開示されている方法であって、共反応性組成物をノズルに通してまたは押出成形によって押出成形して連続層にして、部品を形成する方法を指す。
【0031】
「シクロアルカンジイル」とは、ジラジカル飽和単環式または多環式炭化水素基を指す。シクロアルカンジイル基は、C3~12シクロアルカンジイル、C3~8シクロアルカンジイル、C3~6シクロアルカンジイル、またはC5~6シクロアルカンジイルであり得る。シクロアルカンジイル基の例としては、シクロヘキサン-1,4-ジイル、シクロヘキサン-1,3-ジイル、およびシクロヘキサン-1,2-ジイルが挙げられる。
【0032】
「シクロアルキル」とは、飽和単環式または多環式炭化水素モノラジカル基を指す。シクロアルキル基は、C3~12シクロアルキル、C3~8シクロアルキル、C3~6シクロアルキル、またはC5~6シクロアルキルであり得る。
【0033】
「ヘテロアルカンジイル」とは、炭素原子のうちの1つまたは1つより多くがN、O、S、またはPのようなヘテロ原子で置き換えられたアルカンジイル基を指す。ヘテロアルカンジイルにおいて、1つまたは1つより多くのヘテロ原子は、NまたはOを含み得る。
【0034】
「硬化時間」とは、共反応性組成物の硬化反応が、例えば、共反応性組成物を形成するための共反応性成分に組み合わせて混合することによって、および/または共反応性組成物を化学放射線に曝露することによって最初に開始してから、共反応性組成物から調製された層が25℃および相対湿度50%の条件でショア30Aの硬度を呈するまでの期間を指す。化学放射線硬化性組成物の場合、硬化時間とは、共反応性組成物が最初に化学放射線に曝露されてから、曝露された共反応性組成物から調製された層が25℃および相対湿度50%の条件でショア30Aの硬度を呈する時点までの期間を指す。
【0035】
2つの文字または記号の間にないダッシュ(「-」)は、置換基の結合点または2つの原子間の結合点を示すために使用される。例えば、-CONHは炭素原子を介して結合される。
【0036】
「化合物に由来する部分」にあるような「由来する」とは、ある部分が親化合物と反応物との反応時に生成されたことを指す。例えば、ビス(アルケニル)化合物CH=CH-R-CH=CHは、チオール基を有する化合物のような別の化合物と反応して、アルケニル基とチオール基との反応に由来する部分-(CH-R-(CH-を生成することができる。別の例として、O=C=N-R-N=C=Oの構造を有する親ジイソシアネートの場合、ジイソシアネートに由来する部分は、-C(O)-NH-R-NH-
C(O)-の構造を有する。
【0037】
「-Rとチオールとの反応に由来する」とは、部分-R’-が、チオール基とチオール基に反応性の基を含む部分との反応から生じたことを指す。例えば、基R-は、CH=CH-O-を含み得て、式中、アルケニル基CH=CH-は、チオール基-SHに反応性である。チオール基との反応時に、部分-R’-は-CH-CH-CH-O-である。
【0038】
「押出物」とは、ノズルまたは押出ダイを通して押出成形された共反応性組成物を指す。共押出物とは、ノズルまたは共押出ダイを通して同時に押出成形された2つまたは2つより多くの共反応性組成物を指す。
【0039】
「から形成される」または「から調製される」とは、オープンな、例えば包含的なクレームの用語を示す。したがって、列挙されている成分の一覧「から形成された」または「から調製された」組成物は、少なくとも列挙されている成分または少なくとも列挙されている成分の反応生成物を含む組成物であり、組成物を形成または調製するために使用される他の列挙されていない成分をさらに含み得ると意図される。
【0040】
「破壊エネルギー」は、ASTM D7313に従って決定される。
【0041】
ガラス転移温度Tは、1Hzの周波数、20ミクロンの振幅、および-80℃~25℃の温度ランプを有する機器TA Instruments Q800を使用して、ダイナミック機械分析(DMA)によって決定され、Tは、tanδ曲線のピークとして識別される。
【0042】
「ヘテロシクロアルカンジイル」とは、炭素原子のうちの1個または1個より多くが、N、O、S、またはPのようなヘテロ原子で置き換えられたシクロアルカンジイル基を指す。ヘテロシクロアルカンジイルにおいて、1個または1個より多いヘテロ原子が、NまたはOを含み得る。
【0043】
モノマーとは、低分子量化合物を指し、例えば、1,000Da未満、800Da未満、600Da未満、500Da未満、400Da未満、または300Da未満の分子量を有し得る。モノマーは、例えば、100Da~1,000Da、100Da~800Da、100Da~600Da、150Da~550Da、または200Da~500Daの分子量を有し得る。モノマーは、100Da超、200Da超、300Da超、400Da超、500Da超、600Da超、または800Da超の分子量を有し得る。モノマーは、2または2を超える、例えば、2~6、2~5、または2~4の反応官能度を有し得る。モノマーは、2、3、4、5、6の官能度、または前述のうちのいずれかの組み合わせを有し得る。モノマーは、例えば、2~6、2~5、2~4、2~3、2.1~2.8、または2.2~2.6の平均反応官能度を有し得る。反応官能度とは、分子1つあたりの反応性官能基の数を指す。異なる数の反応性官能基を有する分子の組み合わせは、非整数の平均数の反応性官能基を有し得る。
【0044】
「ポリアルケニル」とは、少なくとも2つのアルケニル基を有する化合物を指す。少なくとも2つのアルケニル基はアルケニル基であり得て、そのようなポリアルケニル基はアルケニル末端化合物と呼ばれ得る。アルケニル基はまた、ペンダントアルケニル基であり得る。ポリアルケニルは、2つのアルケニル基を有するジアルケニルであり得る。ポリアルケニルは、3つまたは3つより多くのアルケニル基、例えば3~6つのアルケニル基を有し得る。ポリアルケニルは、単一のタイプのポリアルケニルを含み得るか、同じアルケニル官能基を有するポリアルケニルの組み合わせであり得るか、または異なるアルケニル
官能基を有するポリアルケニルの組み合わせであり得る。
【0045】
多官能化剤は、以下の構造を有し得て:
B(-V)
式中、Bは多官能化剤のコアであり、各Vは、チオール基、アルケニル基、エポキシ基、イソシアネート基、またはマイケル受容体基のような反応性官能基で末端化された部分であり、zは、3~6、例えば、3、4、5、または6の整数である。多官能化剤において、各-Vは、例えば、-R-SHまたは-R-CH=CHの構造を有し得て、式中、Rは、例えば、C2~10アルカンジイル、C2~10ヘテロアルカンジイル、置換C2~10アルカンジイル、または置換C2~10ヘテロアルカンジイルであり得る。部分Vを別の化合物と反応させると、部分-V-が得られ、これは他の化合物との反応に由来すると言われる。例えば、Vが-R-CH=CHであり、これを例えばチオール基と反応させる場合、部分Vは、-R-CH-CH-であり、この反応に由来する。
【0046】
「重合開始剤」とは、重合開始剤の活性化後に重合反応を開始することができる化合物を指す。重合開始剤は、例えば、化学放射線、熱、および/または剪断力に曝露されると、活性化され得る。
【0047】
「プレポリマー」とは、ホモポリマーおよびコポリマーを指す。チオール末端プレポリマーの場合、分子量は、ヨウ素滴定を使用した末端基分析によって決定される数平均分子量「Mn」である。チオール末端ではないプレポリマーの場合、ポリスチレン標準を使用するゲル透過クロマトグラフィーによって数平均分子量が決定される。プレポリマーは、骨格と、硬化剤または架橋剤のような別の化合物と反応して硬化ポリマーを形成することができる反応性基とを含む。プレポリマーは、同じであっても異なっていてもよい、互いに結合した複数の繰り返し部分単位を含む。複数の繰り返し部分単位が、プレポリマーの骨格を構成する。
【0048】
「プレポリマー骨格」とは、プレポリマーの反応性官能基間の区分を指す。プレポリマー骨格は、典型的には、繰り返し部分単位を含む。例えば、HS-(R)-SHの構造を有するポリチオールの骨格は-(R)-である。
【0049】
「の反応生成物」とは、少なくとも列挙されている反応物の化学反応生成物を意味し、部分反応生成物、ならびに完全に反応した生成物、およびより少ない量で存在する他の反応生成物を含み得る。例えば、「反応物の反応生成物を含むプレポリマー」とは、少なくとも列挙されている反応物の反応生成物であるプレポリマーまたはプレポリマーの組み合わせを指す。反応物は追加の反応物をさらに含み得る。
【0050】
「反応性化合物」とは、別の化合物に反応性の化合物を指す。反応性化合物は、別の化合物の官能基に反応性の1つまたは1つより多くの官能基を含み得る。
【0051】
「シーラント層」とは、硬化時にシーラントとして機能する層を指す。シーラント層は、共反応性シーラント組成物から調製され得る。
【0052】
ショアA硬度は、ASTM D2240に従って、タイプAデュロメータを使用して測定される。
【0053】
粒子の比重および密度は、ISO787-11に従って決定される。
【0054】
「硫黄含有プレポリマー」とは、骨格がプレポリマーの骨格内に1つまたは1つより多くのチオエーテル-S-基[式中、nは、例えば1~6であり得る]を含むプレポリマ
ーを指す。プレポリマーの基またはペンダント基のいずれかとしてチオールまたは他の硫黄含有基のみを含有するプレポリマーは、硫黄含有プレポリマーには包含されない。プレポリマー骨格とは、繰り返し区分を有するプレポリマーの部分を指す。したがって、HS-R-R(-CH-SH)-[-R-(CH-S(O)-(CH)-S(O)-CH=CHの構造を有するプレポリマーであって、各Rが、プレポリマー骨格内に硫黄原子を含有していない部分であるプレポリマーは、硫黄含有プレポリマーには包含されない。HS-R-R(-CH-SH)-[-R-(CH-S(O)-(CH)-S(O)]-CH=CHの構造を有するプレポリマーであって、少なくとも1つのRが、硫黄原子を含有する部分、例えばチオエーテル基であるプレポリマーが、硫黄含有プレポリマーに包含される。硫黄含有プレポリマーの例としては、ポリチオエーテルプレポリマー、ポリスルフィドプレポリマー、硫黄含有ポリホルマールプレポリマー、およびモノスルフィドプレポリマーが挙げられる。
【0055】
「置換された」とは、1つまたは1つより多くの水素原子が、それぞれ独立して、同じまたは異なる置換基で置換されている基を指す。置換基は、例えば、ハロゲン、-S(O)OH、-S(O)、-SH、-SR(式中、RはC1~10アルキルである)、-COOH、-NO、-NR(式中、各Rは、独立して、水素およびC1~10アルキルを含む)、-CN、=O、C1~10アルキル、-CF、-OH、フェニル、C2~10ヘテロアルキル、C5~6ヘテロアリール、C1~10アルコキシ、または-COR(式中、RはC1~10アルキルである)を含み得る。置換基は、例えば、-OH、-NH、またはC1~3アルキルであり得る。
【0056】
「タックフリー時間」とは、共反応性組成物の硬化反応が、例えば、2つの共反応性成分を混合することによって、または共反応性組成物をUV線のようなエネルギーに曝露することによって開始した時点から、共反応性組成物がもはやタックフリーではなくなる時点までの期間を指す。タックフリーの特性は、ポリエチレンシートを手圧で層の表面に塗布し、シーラントがポリエチレンシートの表面に付着するかどうかを観察することによって決定され、その際、ポリエチレンシートが層から容易に分離する場合に層がタックフリーであるとみなされる。化学放射線硬化性共反応性組成物の場合、タックフリー時間とは、共反応性組成物が化学放射線に曝露されてから、共反応性組成物から調製された層がもはやタックフリーではなくなる時点までの時間を指す。
【0057】
引張強度および伸びは、AMS3279に従って測定される。
【0058】
「熱硬化性物質」とは、硬化した熱硬化性ポリマー組成物を指す。
【0059】
「熱硬化性組成物」とは、注入可能な不溶性ポリマーネットワークへと硬化によって不可逆的に変化する共反応性化合物を含む組成物を指す。硬化は、プレポリマーおよび硬化剤をより高い分子量のポリマーに、次いでポリマーネットワークに変換する化学プロセスである。ポリマーネットワーク間の広範囲な架橋を生成する化学反応における硬化の結果は、実質的に各構成単位が、構造を通る多くの経路によって構成単位同士および巨視的相境界に接続されており、そのような経路の数が、介在する構成単位の平均数と共に増加しており、これらの経路が、平均的に構造と共に延在している必要がある、高度に分岐した構造である。
【0060】
ここで、本発明の特定の化合物、組成物、および方法について言及する。開示される化合物、組成物、および方法は、特許請求の範囲を限定することを意図してはいない。それとは反対に、特許請求の範囲は、全ての代替物、修正物、および同等物を包含することが意図されている。
【0061】
2つまたは2つより多くの層を含み、層のうちの1つまたは1つより多くがシーラント層を含む多層系を製造する方法は、(a)第1の成分および第2の成分を混合して、共反応性シーラント組成物を形成するステップであって、共反応性シーラント組成物が第1の反応性化合物および第2の反応性化合物を含み、第1の反応性化合物が第2の反応性化合物に反応性である、ステップと、(b)共反応性シーラント組成物を押出成形して、押出物を形成するステップと、(c)押出物を堆積させて、シーラント層を形成するステップと、を含む。
【0062】
シーラント組成物とは、硬化したときに、水分および/または温度のような大気条件のうちの少なくとも1つに耐えることができるシーラントを形成し、水、溶媒、燃料、油圧流体、ならびに他の液体およびガスのような物質の透過を少なくとも部分的に遮断する能力を有する材料を指す。シーラントは、燃料、油圧流体、溶媒、グリース、潤滑剤、塩スプレー、ガス、油、および/または洗浄流体に対する耐性のような耐薬品性を呈し得る。耐薬品性の材料は、例えば、EN ISO10563に従って決定して、70℃で7日間にわたって化学物質に浸漬した後に、25%未満、20%未満、15%未満、または10%未満の膨潤率を呈し得る。本開示によって提供される方法を使用して調製された多層系は、AMS3277に記載されている航空宇宙用シーラントについての要件を満たすか、またはこれを上回り得る。シーラントは、密封される部品の使用環境における表面への気体および液体の浸透を最小限に抑えるように設計されている。
【0063】
多層系は2つまたは2つより多くの層を含み得て、これらの層はそれぞれ、多層系の1つまたは1つより多い特性を最適化するように設計され得る。これらの層のうちの少なくとも1つはシーラント層を含み得る。多層系では、外側層または最外層は、シーラントを含み得て、例えば、耐薬品性を呈するように設計され得て、内層は、例えば、低密度、基材接着性、ならびに/または高い引張強度および伸び率を呈するように設計され得る。別の例として、多層系の外側層は、取り扱いおよび製造可能性を促進するための速い硬化速度を呈し得て、下層は、例えば、増強された接着性および/または増強された機械的特性を促進することができるより遅い硬化速度を有し得る。多層系はまた、コストを削減する可能性を有し得る。高価な材料は、これらの材料が特性のために所望される層にのみ使用することができ、他の層は、代替材料を使用することができる。
【0064】
多層シーラント系は、2、3、4、5、または6つの層のような任意の好適な数の層を含み得て、各層は、異なる材料から形成され、異なる特性を呈し得る。多層シーラント系が、1つのシーラント層を含み得るか、2つまたは2つより多くのシーラント層を含み得るか、または各層が、シーラント層を含み得る。多層系は、少なくとも1つのシーラント層を含み得て、他の層はそれぞれ、独立して、シーラント層または非シーラント層を含み得る。非シーラント層は、主に多層シーラント系におけるシーラントとして機能することを意図していない層であるが、非シーラント層は、気体および液体の浸透を制限するいくつかの能力を有し得る。
【0065】
多層系の例を図1Aおよび1Bに示す。図1Aに示される多層系は、外側の第3の層103の下にある中間の第2の層102の下にある内側の第1の層101を含む。図1Bは、基材104に取り付けられた留め具105を覆う多層系を示し、内側の第1層101、その上にある中間の第2の層102、およびその上にある外側の第3の層103を含む。外側の第3の層103のみがシーラントを含み得るか、または全ての層101/102/103がシーラントを含み得る。例えば、内層101は、表面への接着を促進するように構成された組成物を含み得て、中間層102は、高い引張強度および/または伸び率を有する組成物を含み得る。
【0066】
多層系の別の例を、第1の層106が第2の層107に隣接している図1Cに示す。図
1Dは、第1の層106が第2の層107に隣接しており、第3の層108が第1および第2の層106/107の両方の上にある多層系を示す。図1Cでは、第1の層106および/または第2の層107はシーラントであり得る。図1Dでは、外側層108はシーラント層であり得て、層106および107は非シーラント層であり得る。図1Dでは、層106/107/108はそれぞれ、独立して、シーラント層および非シーラント層から選択され得て、層106/107/108のうちの少なくとも1つはシーラント層である。多層系の様々な層の他の構成が可能である。
【0067】
多層系の層のうちの少なくとも1つは、多層系の別の層とは異なり得る。例えば、これらの層は、層中のプレポリマー、モノマー、および/または添加剤のような構成要素の種類および/または量が異なり得る。構成要素の種類および/または量が異なることによって、多層系の様々な層が異なる特性を有するようになり得る。これらの層はそれぞれ、独立して、例えば、反応性化合物、触媒、重合開始剤、接着促進剤、充填材、反応性希釈剤、着色剤、レオロジー制御剤、および/またはフォトクロミック剤を含み得て、これらは、多層系の別の層と同じであり得るか、もしくは異なり得るか、または異なる重量%もしくは体積%で存在し得る。
【0068】
ある層の構成要素は、例えば、組成、硬化化学反応、構成要素の分子量、構成要素のサイズ、構成要素の重量%、および/または構成要素の体積%の点で、別の層の構成要素とは異なり得る。
【0069】
例えば、各層は、独立して、例えば、耐薬品性、低温柔軟性、加水分解安定性、耐高温性、高い張力/伸び、基材への結合、プライマーコーティングへの結合、隣接層への接着、速いタックフリー時間、ショア10Aの硬度までの硬化時間、完全硬化までの時間、電気伝導性、EMI/RFI遮蔽、静電気散逸性、耐食性、硬化硬度、低密度、および/または音減衰のうちの1つまたは1つより多くを呈する硬化層を提供するように構成され得る。
【0070】
多層系の層はそれぞれ、多層系の別の層および/または多層系の隣接層と同じまたは異なる硬化化学反応を有し得る。隣接層間に堅牢な界面を提供するために、隣接層が化学的または物理的に結合されていることが望ましい場合がある。層間の化学的または物理的結合の形成は、同じ硬化化学反応を有する隣接層のための、および/または隣接層中の化合物と共反応することができる化合物を含有する隣接層のための共反応性組成物を使用することによって促進され得る。
【0071】
共反応性組成物の隣接層は、化学的に結合および/または物理的に結合して、機械的に強い層間界面を作製することができる。層間界面の強度は、ASTM D7313に従って破壊エネルギーを測定することによって決定され得る。本開示によって提供される方法を使用して製造される耐薬品性の多層シーラントは、個々の層の破壊エネルギーと実質的に同じ破壊エネルギーを有し得る。例えば、多層シーラントの破壊エネルギーおよび共反応性組成物の個々の硬化層の破壊エネルギーは、例えば、10%未満、5%未満、2%未満、または1%未満内であり得る。
【0072】
多層系の各層は、個々の硬化層の所望の特性を増強するように選択され得る。例えば、最内層は、基材への増強された表面接着性を提供することができるが、必ずしも低密度を有するとは限らない。例えば、最外層は、増強された耐薬品性を提供し、かつ/または静電気荷電を散逸させることができるように配合され得る。内層と外層との間の中間層は、低密度であり得て、増強された機械的特性を呈するように配合され得る。このようにして、多層系の各層は、層の他の特性を損なうことなく、異なる特性または特性の組み合わせを最適化するように構成され得て、多層系の他の全体的な特性は、他の層によって付与さ
れ得る。
【0073】
多層系の層は、層の水平面において、および/または層の水平面に垂直に不均一であり得る。不均一性は、離散的または連続的であり得る。図2Aは、ストリップによって識別される充填材の濃度が層の水平面に垂直な寸法において変化する、例えば充填材のような添加剤を含む層の断面を示す。図2Bは、層の水平面内および特定の領域内と、層の水平面に垂直な寸法との両方において充填材の濃度が変化する層の断面を示す。
【0074】
多層系の層中の組成も、層中で異なり得る。組成は、層の厚さ、すなわち、断面寸法にわたって、および/または層の横方向の寸法、すなわち、長手方向の寸法において変化し得る。例えば、共反応性化合物および/または添加剤のような構成要素の濃度は、例えば、濃度が層の一方の側に向かって層の反対側よりも高くなるように、または濃度が層の中央において2つの側のいずれかよりも高くなり得るように、層の厚さにわたって変化し得る。1つまたは1つより多くの構成要素の濃度は、層の厚さにわたって、直線的に、非直線的に、連続的に、不連続的に、および/または離散的に変化し得る。同様に、共反応性化合物および/または添加剤のような1つまたは1つより多くの構成要素の濃度は、層の厚さに直交する寸法のような層の横方向の寸法において変化し得る。例えば、化合物および/または添加剤のような構成要素の濃度は、層の一方の側では、層の別の側よりも高くなり得る。濃度または構成要素は、層の特定の領域内で変化し得る。構成要素の濃度は、層の横方向の寸法にわたって、直線的に、非直線的に、連続的に、不連続的に、および/または離散的に変化し得る。
【0075】
本開示によって提供される多層系を形成する層はそれぞれ、独立して、内部組成構造を含み得る。例えば、組成は、層の厚さ全体にわたって実質的に均一であり得るか、または層の厚さにわたって変化し得る。均一とは、層を形成する各構成要素の濃度が、層全体の公称濃度の10%以内、5%以内、または1%以内、または0.1%以内であることを意味し、ここで、公称濃度とは、層中の構成要素の平均濃度を指す。例えば、組成は、層の厚さの寸法において均一であり得るか、または、層の横方向の、すなわち、厚さの寸法に直交する寸法において変化し得る。
【0076】
多層系の層を形成するために使用される共反応性組成物は、少なくとも2つの共反応性化合物および1つまたは1つより多くの添加剤を含み得る。層中において、共反応性化合物および/または1つもしくは1つより多くの添加剤の濃度は、実質的に同じであり得て、例えば、+/-5%以内、+/-1%以内、または+/-0.5%以内であり得る。あるいは、層中において、共反応性化合物および/または1つもしくは1つより多くの添加剤の濃度は変化し得る。濃度は、層の厚さにわたって、および/または層の長手方向の寸法において変化し得る。また、共反応性化合物および/または1つもしくは1つより多くの添加剤の濃度は、層の厚さの一部分および/または長手方向の寸法の一部分において変化し得る。
【0077】
これらの層は、層が内部組成構造によって特徴付けられること、および組成物が層全体を通して均一ではないことを示すために、構造化層と呼ばれ得る。
【0078】
構造化層中の組成物は、離散的に、連続的に、不連続的に、直線的に、非直線的に、または可変的に変化し得る。
【0079】
層中の構成要素の濃度は、層の厚さにわたって離散的に変化し得る。例えば、電気伝導性充填材は、ある深さまで層の外側部分に存在し得て、層の内側部分には存在し得ない。
【0080】
層組成物の構成要素の濃度は、例えば、層の厚さまたは厚さの一部にわたって、直線的
にまたは非直線的に変化し得る。
【0081】
層の1つまたは1つより多くの構成要素の濃度は、例えば、1つの表面に向かってより大きく、両方の表面に向かってより大きく、または層の中心に向かってより大きくなり得る。
【0082】
多層系は、密封されることが意図される部品を密封するのに適切な任意の好適な物理的構造を有し得る。例えば、2次元連続表面を密封するために、多層系は、多層シートの形態にあり得る。小さな部品を密封するために、多層系は、キャップ、シェル、または任意の他の好適な形状の形態にあり得る。
【0083】
多層系の各層は、独立して、実質的に均一な厚さを有し得るか、または可変厚さを有し得る。各層の厚さは、多層系を形成する別の層と実質的に同じであり得るか、またはこれとは異なり得る。例えば、層の厚さは、別の層と実質的に同じであり得て、その10%以内、5%以内、または1%以内であり得る。例えば、層の厚さは、別の層の厚さと異なり得て、別の層の厚さの10%超、20%超、50%超、または100%超の差があり得る。
【0084】
例えば、2次元連続表面を密封するために使用される多層系は、各層が実質的に均一な厚さを有し、個々の層の厚さが、別の層の厚さと同じであり得るか、またはこれとは異なり得る、複数の層を含み得る。例えば、実質的に均一な厚さを有する層は、表面にわたって10%超、5%超、または1%超変化しない厚さを有し得る。
【0085】
多層系は、例えば、2mm超、4mm超、6mm超、8mm超、10mm超、12mm超、または14mm超の総厚を有し得る。多層系は、例えば、2mm~15mm、3mm~14mm、3mm~12mm、4mm~10mm、または6mm~8mmの総厚を有し得る。
【0086】
多層系の各層は、独立して、例えば、0.1mm~25mm、0.5mm~25mm、1mm~20mm、2mm~15mm、または3mm~10mmの厚さを有し得る。多層系の各層は、独立して、例えば、0.1mm超、0.5mm超、1mm超、5mm超、10mm超、15mm超、または20mm超の厚さを有し得る。多層系の各層は、独立して、例えば、25mm未満、20mm未満、15mm未満、10mm未満、5mm未満、または1mm未満の厚さを有し得る。
【0087】
多層系の最外層は、個別または組み合わせのいずれかの各下層の厚さよりも大きい厚さを有し得る。最外層は、個別または組み合わせのいずれかの各下層の厚さより小さい厚さを有し得る。
【0088】
内層は、個別または組み合わせのいずれかの各上層の厚さよりも大きい厚さを有し得る。内層は、個別または組み合わせのいずれかの各上層の厚さより小さい厚さを有し得る。
【0089】
3次元部品を密封するために、内層は、部品の複雑な形状を覆ってこれに適合し、かつ滑らかで連続的な外面を提供するような可変断面厚さを有し得る。上層は、実質的に均一な厚さを有し得る。
【0090】
多層系は、共反応性シーラント組成物を押出成形して押出物を形成し、押出物を基材上または予め堆積させた層に堆積させてシーラント層を形成することによって形成され得る。予め堆積させた層は、シーラント層または非シーラント層であり得る。予め堆積させた層は、多層系の最外層であり得る。堆積させたシーラント層に1つまたは1つより多くの
層を堆積させて、多層系を形成することができる。
【0091】
3次元印刷のような付加製造技術を使用して、多層系を基材に塗布することができる。付加製造法は、多層系を一貫した再現可能な方法で塗布する能力を促進する。さらに、部分的に、手動でのシーラント塗布法に関連する時間的な制約が回避されることから、付加製造は、速硬化化学反応のような代替的な硬化化学反応の使用を可能にする。
【0092】
共反応性シーラント組成物は、第1の反応性化合物および第2の反応性化合物を含み得て、第1の反応性化合物は、第2の反応性化合物に反応性である。第1および第2の反応性化合物は、50℃未満、例えば、40℃未満、30℃未満、25℃未満、20℃未満、または15℃未満の温度で反応し得る。第1および第2の反応性化合物は、触媒および/または活性化重合開始剤なしで反応し得る。第1および第2の反応性化合物は、触媒または触媒の組み合わせの存在下で反応し得る。第1および第2の反応性化合物は、活性化光開始剤のような活性化重合開始剤の存在下で反応し得る。触媒および重合開始剤は、第1の反応性化合物と第2の反応性化合物との間の化学反応を触媒または開始するのに好適であり得る。
【0093】
共反応性シーラント組成物は熱硬化性組成物であり得て、そのため、硬化した共反応性シーラント組成物は熱硬化性物質であり得る。多層シーラント系の層はそれぞれ、熱硬化性物質を含み得る。
【0094】
共反応性シーラント組成物は、第1の成分および第2の成分を組み合わせて混合することによって形成され得る。第1の成分は、第1の反応性化合物および第2の反応性化合物を含み得て、第2の成分は、触媒および/または重合開始剤を含み得る。第1の成分は第1の反応性化合物を含み得て、第2の成分は第2の反応性化合物を含み得て、第1および/または第2の成分は、触媒および/または重合開始剤を含み得る。第1の成分および第2の成分に加えて、1つまたは1つより多くの追加の成分を組み合わせて混合することによって共反応性シーラント組成物が形成され得る。
【0095】
共反応性シーラント組成物は、例えば、第1の成分および第2の成分をミキサーに圧送し、第1および第2の成分を混合して、共反応性シーラント組成物を形成することによって形成され得る。
【0096】
堆積システムは、少なくとも2つの成分を保持し、共反応性成分をスタティックおよび/またはダイナミックミキサーに供給するために、インラインスタティックおよび/またはダイナミックミキサー、ならびに別個の加圧式の圧送区画を含み得る。アクティブミキサーのようなミキサーは、円錐形ノズル内に高剪断ブレードを有する可変速度中央インペラを含み得る。例えば、0.2mm~50mm、0.5mm~40mm、1mm~30mm、または5mm~20mmの出口オリフィス寸法を有する一連の円錐形ノズルが使用され得る。
【0097】
例えば、0.6mm~2.5mmの出口オリフィス寸法および30mm~150mmの長さを有する一連のスタティックおよび/またはダイナミック混合ノズルが使用され得る。例えば、出口オリフィス直径は、0.2mm~4.0mm、0.4mm~3.0mm、0.6mm~2.5mm、0.8mm~2mm、または1.0mm~1.6mmであり得る。スタティックミキサーおよび/またはダイナミックミキサーは、例えば、10mm~200mm、20mm~175mm、30mm~150mm、または50mm~100mmの長さを有し得る。混合ノズルは、スタティックおよび/またはダイナミック混合セクションと、スタティックおよび/またはダイナミック混合セクションに結合された分配セクションとを含み得る。スタティックおよび/またはダイナミック混合セクションは、成
分を組み合わせて混合するように構成され得る。分配セクションは、例えば、上記のオリフィス直径のうちのいずれかを有する直管であり得る。分配セクションの長さは、成分が反応を開始して堆積前に粘度を増加させ得る領域を提供するように構成され得る。分配セクションの長さは、例えば、堆積速度、共反応物の反応速度、および所望の粘度に基づいて選択され得る。共反応性組成物は、例えば、0.25秒~5秒、0.3秒~4秒、0.5秒~3秒、または1秒~3秒のスタティックおよび/またはダイナミック混合ノズル内の滞留時間を有し得る。必要に応じて、他の滞留時間が、硬化化学反応および硬化速度に基づいて使用され得る。流量は、例えば0.8mm~1mmの直径を有するノズルを介して、1mL/分~20mL/分、2mL/分~15mL/分、3mL/分~10mL/分、または4mL/分~8mL/分であり得る。一般に、好適な滞留時間は、共反応性組成物のゲル化時間未満である。好適なゲル化時間は、10分未満、8分未満、6分未満、5分未満、4分未満、3分未満、2分未満、または1分未満であり得る。共反応性組成物のゲル化時間は、例えば、0.5分~10分、1分~7分、2分~6分、または3分~5分であり得る。
【0098】
多層シーラントを製作するための共反応性組成物は、23C/相対湿度50%で、例えば、12時間未満、8時間未満、4時間未満、1時間未満、30分未満、10分未満、または1分未満のゲル化時間を有し得る。多層シーラントを製作するための共反応性組成物は、23C/相対湿度50%で、例えば、10秒~12時間、1分~8時間、30分~4時間、または1時間~3時間のゲル化時間を有し得る。多層シーラントを製作するための共反応性組成物は、例えば、10秒超、1分超、30分超、1時間超、4時間超、または8時間超のゲル化時間を有し得る。ゲル化時間とは、共反応性組成物の硬化が、例えば、共反応性成分を混合することまたはUV線のようなエネルギーに曝露することのいずれかによって開始した時点から、共反応性組成物がもはや手で撹拌できなくなるまでの期間を指す。
【0099】
スタティックおよび/またはダイナミック混合ノズルを加熱または冷却して、例えば、共反応性化合物間の反応速度および/または共反応性組成物の粘度を制御することができる。堆積ノズルのオリフィスは、任意の好適な形状および寸法を有し得る。システムは、複数の堆積ノズルを含み得る。ノズルは、固定されたオリフィス寸法および形状を有し得るか、またはノズルオリフィスを制御可能に調整することができる。ミキサーおよび/またはノズルは、共反応性化合物の反応によって生成される発熱を制御するように冷却され得る。
【0100】
多層系の1つまたは1つより多くの追加の層は、押出成形以外の方法によって堆積され得る。例えば、シーラント層の下にあるおよび/または上にある各層は、噴霧、刷毛塗り、ローラーコーティング、および/または展延のような任意の好適な方法を使用して堆積され得る。1つもしくは1つより多くの下層および/または上層はそれぞれ、独立して、シーラント層または非シーラント層を含み得る。
【0101】
多層系のシーラント層に加えて、多層系の他の層が、好適な共反応性組成物を押出成形することによって形成され得る。1つまたは1つより多くの追加の層は、第1の成分および第2の成分を組み合わせて混合して、第1の反応性化合物および第2の反応性化合物を含む共反応性組成物を形成することによって形成され得る。1つまたは1つより多くの追加の各共反応性組成物を共反応性シーラント組成物と融合させて、共押出物を形成することができ、これを多層系の他の層と共に堆積させることができる。追加の各共反応性組成物は、独立して、追加の共反応性シーラント組成物または共反応性非シーラント組成物から選択され得る。
【0102】
1つまたは1つより多くの追加の層は、それぞれの押出物を順次堆積させることによっ
て形成され得る。順次堆積させるとは、第1の共反応性組成物を含む押出物を堆積させて、次いで、第2の共反応性組成物を含む第2の押出物を堆積させることを意味する。このようにして、多層系が層ごとに構築される。
【0103】
あるいは、1つまたは1つより多くの追加の共反応性組成物を共反応性シーラント組成物と共押出して、共押出物を形成することができ、次いで、これを堆積させて、多層系の全てまたは一部を同時に形成することができる。共反応性シーラント組成物と同様に、追加の各共押出共反応性組成物は、第1の成分および第2の成分を組み合わせて混合して、追加の各共反応性組成物を形成することによって形成され得る。追加の各共反応性組成物を、共反応性シーラント組成物流と融合させて、共押出ダイを通して共押出して、共押出物を形成することができる。共押出物を堆積させて、層のうちの少なくとも1つがシーラントである多層系を形成することができる。
【0104】
追加の各共押出共反応性組成物は、独立して、共反応性シーラント組成物または共反応性非シーラント組成物を含み得て、各層は、シーラントまたは非シーラントを含む。追加の各共押出反応性組成物は、硬化すると熱硬化性物質を形成する熱硬化性材料を含む。
【0105】
押出物を形成する隣接する共反応性組成物は、同じまたは異なる硬化化学反応を含み得て、および/または隣接する共反応性組成物中の反応性化合物と反応することができる反応性化合物を含み得る。これによって、隣接層が一体的に結合して高い凝集強度を有する硬化多層系を提供する、隣接する共反応性組成物間の結合が可能になる。
【0106】
共反応性シーラント組成物または共反応性非シーラント組成物のような多層系の各共反応性組成物は、独立して、第1の官能基を有する第1の化合物および第2の官能基を含む第2の化合物を含み得て、第1の官能基は、第2の官能基と反応することができる。
【0107】
第1および第2の官能基は、例えば、50℃未満、40℃未満、30℃未満、20C未満、または15℃未満の温度で反応することができる。第1および第2の官能基は、例えば、10℃~50℃、15℃~40℃、または20℃~30℃の温度で反応することができる。第1および第2の官能基は、例えば10℃超、20℃超、30℃超、または40℃超の温度で反応することができる。
【0108】
共反応性組成物は、1成分共反応性組成物をUV線のような化学放射線に曝露することなどによってエネルギーを適用すると硬化反応が開始する1成分組成物であり得る。共反応性組成物は、2つの共反応性成分が組み合わされて混合されて硬化反応を開始する2成分組成物であり得る。例えば、第1の官能基を含む第1の化合物を含む第1の共反応性成分を、第2の官能基を含む第2の化合物を含む第2の共反応性成分と組み合わせて混合して、共反応性組成物を形成することができ、第1および第2の官能基は共反応性である。第1および第2の共反応性成分を、共押出機に導入する前に組み合わせて混合しても、または共押出機内で組み合わせて混合して、別の共反応性組成物流と融合される共反応性組成物を形成してもよい。
【0109】
多層系および多層系を形成する層の特性、例えば、共反応性組成物の粘度および硬化速度は、表面への堆積後に意図された形状を保持するための押出物または共押出物の能力を促進するように選択され得る。
【0110】
共反応性組成物は、堆積させると、例えば、1E2ポアズ~1E7ポアズ、5E2ポアズ~5E6ポアズ、1E3ポアズ~1E5ポアズ、または5E3ポアズ~5E4ポアズのような初期粘度を有し得て、粘度は、2rpmおよび25℃で#7パドルを装着したBrookfieldレオメータを使用して決定される。共反応性組成物は、例えば、1E
2ポアズ超、5E2ポアズ超、1E3ポアズ超、5E3ポアズ超、1E4ポアズ超、1E5ポアズ超、または1E6ポアズ超の初期粘度を有し得る。共反応性組成物は、例えば、1E7ポアズ未満、1E6ポアズ未満、1E5ポアズ未満、1E4ポアズ未満、または1E3ポアズ未満の初期粘度を有し得る。
【0111】
共反応性組成物は、23℃/相対湿度50%で、例えば、24時間未満、10時間未満、1時間未満、30分未満、10分未満、または5分未満のタックフリーを有し得る。多層シーラントを製作するための共反応性組成物は、23℃/相対湿度50%で、例えば、10秒超、1分超、1時間超、6時間超、または12時間超のタックフリー時間を有し得る。共反応性組成物は、23℃/相対湿度50%で、例えば、30秒~24時間、1分~12時間、1時間~10時間、または2時間~8時間のタックフリーを有し得る。「タックフリー時間」とは、共反応性組成物の硬化が、例えば、共反応性成分を混合することまたはUV線のようなエネルギーに曝露することのいずれかによって開始した時点から、共反応性組成物から調製された層がもはやタックフリーではなくなる時点までの期間を指し、タックフリーは、ポリエチレンシートを手圧で層の表面に塗布し、シーラントがポリエチレンシートの表面に付着するかどうかを観察することによって決定される。
【0112】
共反応性組成物は、23℃/相対湿度50%で、例えば、2分未満、5分未満、30分未満、1時間未満、5時間未満、10時間未満、または20時間未満のショア10Aの硬度までの時間を有し得る。共反応性組成物は、23℃/相対湿度50%で、例えば、30秒超、1分超、1時間超、5時間超、または10時間超のショア10Aの硬度までの時間を有し得る。共反応性組成物は、23℃/相対湿度50%で、例えば、30秒~20時間、1分~12時間、または1時間~10時間のショア10Aの硬度までの時間を有し得る。
【0113】
共反応性組成物は、23℃/相対湿度50%で1日~7日のショア30Aの硬度までの時間のような硬化時間を有し得る。
【0114】
共反応性組成物は、長い可使時間を有し得て、可使時間の終了に続いて、迅速な硬化時間を有し得る。可使時間とは、共反応性化合物が最初に組み合わされて混合されて共反応性組成物が形成されてから、共反応性組成物が手でもはや撹拌できなくなるまでの時間を指すか、または触媒が添加されておよび/もしくは重合開始剤が活性化されて共反応性化合物が反応してから、共反応性組成物がもはや手で撹拌できなくなるまでの時間を指す。
【0115】
多層系を形成するために使用される各共反応性組成物は、独立して、1つまたは1つより多くのプレポリマー、1つまたは1つより多くのモノマー、および1つまたは1つより多くの添加剤を含み得る。
【0116】
共反応性組成物は、熱硬化性組成物であり得て、硬化すると熱硬化性物質を形成し得る。
【0117】
共反応性組成物は、溶媒を実質的に含まない場合がある。例えば、共反応性組成物は、5重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、または0.1重量%未満の溶媒を含み得て、重量%は、共反応性組成物の総重量に基づく。
【0118】
共反応性組成物は、室温で共反応および硬化する共反応性化合物を含み得て、室温とは、20℃~25℃、20℃~22℃、または約20℃の温度を指す。
【0119】
プレポリマーは、任意の好適な骨格を含み得る。プレポリマー骨格は、例えば、多層系の最終的な使用要件および特定の層の所望の属性に基づいて選択され得る。
【0120】
共反応性組成物は、プレポリマーまたはプレポリマーの組み合わせを含み得る。プレポリマーは、例えば、引張強度、伸び率、加水分解安定性、および/または耐薬品性、ならびに硬化したシーラントの他の特性に影響を与え得る。
【0121】
プレポリマーは、例えば、20,000Da未満、15,000Da未満、10,000Da未満、8,000Da未満、6,000Da未満、4,000Da未満、または2,000Da未満の数平均分子量を有し得る。プレポリマーは、例えば、2,000Da超、4,000Da超、6,000Da超、8,000Da超、10,000Da超、または15,000Da超の数平均分子量を有し得る。プレポリマーは、例えば、1,000Da~20,000Da、2,000Da~10,000Da、3,000Da~9,000Da、4,000Da~8,000Da、または5,000Da~7,000Daの数平均分子量を有し得る。
【0122】
プレポリマーは、25℃で液体であり得て、例えば、-20℃未満、-30℃未満、または-40℃未満のガラス転移温度Tgを有し得る。
【0123】
プレポリマーは、例えば、速度300rpmのNo.6スピンドルを有するBrookfield CAP2000粘度計および25℃の温度を使用して測定して、例えば、20ポアズ~500ポアズ(2Pa・s~50Pa・s)、20ポアズ~200ポアズ(2Pa・s~20Pa・s)、または40ポアズ~120ポアズ(4Pa・s~12Pa・s)の範囲の粘度を呈し得る。
【0124】
プレポリマーは、例えば、12個未満、10個未満、8個未満、6個未満、または4個未満の反応性官能基を有し得る。第1の反応性化合物および第2の反応性化合物はそれぞれ、例えば、2~12、2~8、2~6、2~4、または2~3つの各反応性官能基を有するプレポリマーを含み得る。第1の反応性化合物および第2の反応性化合物はそれぞれ、独立して、例えば、2、3、4、5、または6つの官能基を有し得る。
【0125】
共反応性組成物は、任意の好適なポリマー骨格を有するプレポリマーまたはプレポリマーの組み合わせを含み得る。ポリマー骨格は、例えば、硬化される共反応性組成物に耐溶媒性を付与するように、引張強度、伸び率、ヤング率、耐衝撃性、または他の用途に関連する特性のような所望の物理的特性を付与するように選択され得る。プレポリマー骨格は、特定の硬化化学反応に応じて、1つまたは1つより多くの好適な官能基において末端化され得る。
【0126】
プレポリマーは、プレポリマー骨格内に異なる化学構造および性質を有する区分を含み得る。区分は、ランダム、規則的分布、またはブロックで分布され得る。これらの区分を使用して、プレポリマー骨格に特定の特性を付与することができる。例えば、これらの区分は、ポリマー骨格へのチオエーテル結合のような柔軟な結合を含み得る。ペンダント基を有する区分が、プレポリマー骨格に組み込まれ得る。
【0127】
例えば、プレポリマー骨格は、ポリチオエーテル、ポリスルフィド、ポリホルマール、ポリイソシアネート、ポリ尿素、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンオキシド、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、ポリカーボネート、スチレンアクリロニトリル、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(p-フェニレンオキシド)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンイミン、ポリフェニルスルホン、アクリロニトリルスチレンアクリレート、ポリエチレン、シンジオタクチックまたはイソタクチックポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリアミド、エチル-酢酸ビニルホモポリマーまたはコ
ポリマー、ポリウレタン、エチレンのコポリマー、プロピレンのコポリマー、プロピレンのインパクトコポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオキシメチレン、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ブテンのホモポリマーおよびコポリマー、ヘキセンのホモポリマーおよびコポリマー、ならびに前述のもののうちのいずれかの組み合わせを含み得る。
【0128】
他の好適なプレポリマー骨格の例としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、およびオレフィンコポリマー)、スチレン/ブタジエンゴム(SBR)、スチレン/エチレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SEBS)、ブチルゴム、エチレン/プロピレンコポリマー(EPR)、エチレン/プロピレン/ジエンモノマーコポリマー(EPDM)、ポリスチレン(高衝撃性ポリスチレンを含む)、ポリ(酢酸ビニル)、エチレン/酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリ(ビニルアルコール)、エチレン/ビニルアルコールコポリマー(EVOH)、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(メチルメタクリレート)、および他のアクリレートポリマーおよびコポリマー(メチルメタクリレートポリマー、メタクリレートコポリマー、1つまたは1つより多くのアクリレート、メタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、およびブチルメタクリレート由来のメチルポリマーなどを含む)、オレフィンおよびスチレンコポリマー、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)、スチレン/アクリロニトリルポリマー(SAN)、スチレン/マレイン酸無水物コポリマー、イソブチレン/マレイン酸無水物コポリマー、エチレン/アクリル酸コポリマー、ポリ(アクリロニトリル)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリエステル、液晶ポリマー(LCP)、ポリ(乳酸)、ポリ(フェニレンオキシド)(PPO)、PPO-ポリアミド合金、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド、ポリオキシメチレン(POM)ホモポリマーおよびコポリマー、ポリエーテルイミド、フッ化エチレンプロピレンポリマー(FEP)、ポリ(フッ化ビニル)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(塩化ビニリデン)およびポリ(塩化ビニル)、ポリウレタン(熱可塑性および熱硬化性)、アラミド(Kevlar(登録商標)およびNomex(登録商標)など)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリシロキサン(ポリジメチレンシロキサン、ジメチルシロキサン/ビニルメチルシロキサンコポリマー、ビニルジメチルシロキサン末端ポリ(ジメチルシロキサン)を含む)、エラストマー、エポキシポリマー、ポリ尿素、アルキド、セルロースポリマー(エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース、酸酢プロピオン酸セルロース、および酢酸酪酸セルロースなど)、ポリエーテル、ならびにポリ(エチレンオキシド)(ポリ(エチレングリコール)としても知られる)、ポリ(プロピレンオキシド)(ポリ(プロピレングリコール)としても知られる)のようなグリコール、ならびにエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、アクリルラテックスポリマー、ポリエステルアクリレートオリゴマーおよびポリマー、ポリエステルジオールジアクリレートポリマー、ならびにUV硬化性樹脂が挙げられる。
【0129】
共反応性組成物は、エラストマー骨格を含むプレポリマーを含み得る。「エラストマー」、「エラストマー性」、および類似用語は、「ゴムのような」特性を有し、かつ概して低いヤング率および高い引張歪みを有する材料を指す。例えば、エラストマーは、約4MPa~約30MPaのヤング率/引張強度を有し得る。エラストマーは、約100%~約2,000%の引張歪み(破断時の伸び)を有し得る。ヤング率/引張強度および引張歪みは、ASTM D412.4893に従って決定され得る。エラストマーは、例えば、50kN/m~200kN/mの引裂強度を呈し得る。エラストマーの引裂強度は、ASTM D624に従って決定され得る。エラストマーのヤング率は、ASTM D412.4893に従って決定されるように、0.5MPa~6MPaの範囲にあり得る。
【0130】
エラストマー骨格を有する好適なプレポリマーの例としては、ポリエーテル、ポリブタジエン、フルオロエラストマー、ペルフルオロエラストマー、エチレン/アクリルコポリマー、エチレンプロピレンジエンターポリマー、ニトリル、ポリチオールアミン、ポリシロキサン、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、イソプレン、ネオプレン、ポリスルフィド、ポリチオエーテル、シリコーン、スチレンブタジエン、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられる。エラストマー性プレポリマーは、例えば、ポリメチルヒドロシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリヒドロジエチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせのようなポリシロキサンを含み得る。エラストマー性プレポリマーは、シラノール基のような、アミンおよびイソシアネート基との反応性が低い末端官能基を含み得る。
【0131】
高い耐溶媒性を呈するプレポリマーの例としては、フルオロポリマー、エチレンプロピレンジエンターポリマー(EPDM)、および本明細書に開示されている他の耐薬品性のプレポリマー、高い架橋密度を有する硬化されるポリマーマトリックス、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィドおよびポリエチレンのような耐薬品性の有機充填材、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0132】
耐薬品性の骨格を有するプレポリマーの例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ二フッ化ビニリデン、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、ペルフルオロアルコキシ、エチレンクロロトリフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレンポリマーポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン、フッ素化エチレン-プロピレン、ポリスルホン、ポリアリールエーテルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリールスルホン、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミドイミド、液晶ポリマー、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0133】
低温柔軟性を呈するプレポリマーの例としては、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリチオエーテル、ポリスルフィド、ポリホルマール、ポリブタジエン、特定のエラストマー、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0134】
加水分解安定性を呈するプレポリマーの例としては、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリチオエーテル、ポリスルフィド、ポリホルマール、ポリブタジエン、特定のエラストマー、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせ、ならびに高い架橋密度を有する組成物が挙げられる。
【0135】
耐高温性を呈するプレポリマーの例は、例えば、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリチオエーテル、ポリスルフィド、ポリホルマール、ポリブタジエン、特定のエラストマー、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせ、ならびに高い架橋密度を有する組成物のようなプレポリマーを含み得る。
【0136】
高い引張性を呈するプレポリマーの例としては、シリコーンおよびポリブタジエン、高い架橋密度を有する組成物、無機充填材、ならびに前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0137】
共反応性シーラント組成物は、硫黄含有プレポリマーまたは硫黄含有プレポリマーの組み合わせを含み得る。硫黄含有モノマーおよびプレポリマーは、硬化されるシーラントに耐溶媒性を付与し得る。
【0138】
耐薬品性が必要とされる用途では、硫黄含有骨格を有するプレポリマーが使用され得る。耐薬品性は、洗浄溶媒、燃料、油圧流体、潤滑剤、油、および/または塩スプレーに関するものであり得る。耐薬品性とは、水分および温度のような大気条件に曝露した後に、かつ洗浄溶媒、燃料、油圧流体、潤滑剤、および/または油のような化学物質に曝露した後に、許容可能な物理的および機械的特性を維持する部品の能力を指す。一般に、耐薬品性の部品は、70℃で7日間にわたって化学物質に浸漬した後に、25%未満、20%未満、15%未満、または10%未満の膨潤率を呈し、膨潤率は、EN ISO10563に従って決定される。
【0139】
硫黄含有プレポリマーとは、プレポリマーの骨格内に1つまたは1つより多くのチオエーテル-S-基[式中、nは、例えば1~6であり得る]を有するプレポリマーを指す。プレポリマーの末端基またはペンダント基のいずれかとしてチオールまたは他の硫黄含有基のみを含有するプレポリマーは、硫黄含有プレポリマーには包含されない。プレポリマー骨格とは、繰り返し区分を有するプレポリマーの部分を指す。したがって、HS-R-R(-CH-SH)-[-R-(CH-S(O)-(CH)-S(O)-CH=CHの構造を有するプレポリマーであって、各Rが、プレポリマー骨格内に硫黄原子を含有していない部分であるプレポリマーは、硫黄含有プレポリマーには包含されない。HS-R-R(-CH-SH)-[-R-(CH-S(O)-(CH)-S(O)]-CH=CHの構造を有するプレポリマーであって、少なくとも1つのRが、硫黄原子を含有する部分、例えばチオエーテル基であるプレポリマーが、硫黄含有プレポリマーに包含される。
【0140】
高い硫黄含有量を有する硫黄含有プレポリマーは、硬化される共反応性組成物に耐薬品性を付与し得る。例えば、硫黄含有プレポリマー骨格は、10重量%超、12重量%超、15重量%超、18重量%超、20重量%超、または25重量%超の硫黄含有量を有し得て、重量%は、プレポリマー骨格の総重量に基づく。耐薬品性のプレポリマー骨格は、例えば、10重量%~25重量%、12重量%~23重量%、13重量%~20重量%、または14重量%~18重量%の硫黄含有量を有し得て、重量%は、プレポリマー骨格の総重量に基づく。硫黄含有量は、ASTM D297に従って決定され得る。
【0141】
硫黄含有骨格を有するプレポリマーの例としては、ポリチオエーテルプレポリマー、ポリスルフィドプレポリマー、硫黄含有ポリホルマールプレポリマー、モノスルフィドプレポリマー、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0142】
共反応性シーラント組成物は、例えば、40重量%~80重量%、40重量%~75重量%、45重量%~70重量%、または50重量%~70重量%の硫黄含有プレポリマーまたは硫黄含有プレポリマーの組み合わせを含み得て、重量%は、共反応性組成物の総重量に基づく。共反応性シーラント組成物は、例えば、40重量%超、50重量%超、60重量%超、70重量%超、80重量%超、または90重量%超の硫黄含有プレポリマーまたは硫黄含有プレポリマーの組み合わせを含み得て、重量%は、共反応性シーラント組成物の総重量に基づく。共反応性シーラント組成物は、例えば、90重量%未満、80重量%未満、70重量%未満、60重量%未満、50重量%未満、または40重量%未満の硫黄含有プレポリマーまたは硫黄含有プレポリマーの組み合わせを含み得て、重量%は、共反応性シーラント組成物の総重量に基づく。
【0143】
耐燃料性を呈する硬化したシーラント層を形成するための共反応性シーラント組成物は、例えば、10重量%超の硫黄含有量を有するプレポリマーを含み得て、重量%は、プレポリマー、ポリブタジエンおよびエチレンプロピレンジエンターポリマー(EPDM)のようなゴム、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィドおよびポリエチレンのような架橋密度が高く耐薬品性の有機充填材、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせの総重
量に基づく。
【0144】
硫黄含有プレポリマーは、ポリチオエーテルプレポリマーまたはポリチオエーテルプレポリマーの組み合わせを含み得る。
【0145】
ポリチオエーテルプレポリマーは、式(1)の構造を有する少なくとも1つの部分、式(1a)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、式(1b)の末端修飾ポリチオエーテル、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせを含むポリチオエーテルプレポリマーを含み得て:
-S-R-[S-A-S-R-]-S- (1)
HS-R-[S-A-S-R-]-SH (1a)
-S-R-[S-A-S-R-]-S-R (1b)
式中、
nは、1~60の整数であり得て、
各Rは、独立して、C2~10アルカンジイル、C6~8シクロアルカンジイル、C6~14アルカンシクロアルカンジイル、C5~8ヘテロシクロアルカンジイル、および-[(CHR)-X-](CHR)-から選択され得て、式中、
pは、2~6の整数であり得て、
qは、1~5の整数であり得て、
rは、2~10の整数であり得て、
各Rは、独立して、水素およびメチルから選択され得て、
各Xは、独立して、O、S、およびS-Sから選択され得て、
各Aは、独立して、式(2)のポリビニルエーテルまたは式(3)のポリアルケニル多官能化剤に由来する部分であり得て:
CH=CH-O-(R-O)-CH=CH (2)
B(-R-CH=CH (3)
式中、
mは、0~50の整数であり得て、
各Rは、独立して、C1~10アルカンジイル、C6~8シクロアルカンジイル、C6~14アルカンシクロアルカンジイル、および-[(CHR)-X-](CHR)-から選択され得て、式中、p、q、r、R、およびXは、Rに関して定義される通りであり、
Bは、z価のポリアルケニル多官能化剤B(-R-CH=CHのコアを表し、
zは、3~6の整数であり得て、
各Rは、独立して、C1~10アルカンジイル、C1~10ヘテロアルカンジイル、置換C1~10アルカンジイル、および置換C1~10ヘテロアルカンジイルから選択され得て、
各Rは、独立して、末端反応性基を含む部分であり得る。
【0146】
式(1)の部分ならびに式(1a)および(1b)のプレポリマーにおいて、Rは、C2~10アルカンジイルであり得る。
【0147】
式(1)の部分ならびに式(1a)および(1b)のプレポリマーにおいて、Rは-[(CHR)-X-](CHR)-であり得る。
【0148】
式(1)の部分ならびに式(1a)および(1b)のプレポリマーにおいて、Xは、OおよびSから選択され得て、したがって、-[(CHR)-X-](CHR)-は-[(CHR)-O-](CHR)-または-[(CHR)-S-](CHR)-であり得る。Pおよびrは、pおよびrが両方とも2であり得る場合などに、等し
くあり得る。
【0149】
式(1)の部分ならびに式(1a)および(1b)のプレポリマーにおいて、Rは、C2~6アルカンジイルおよび-[(CHR)-X-](CHR)-から選択され得る。
【0150】
式(1)の部分ならびに式(1a)および(1b)のプレポリマーにおいて、Rは-[(CHR)-X-](CHR)-であり得て、XはOであり得るか、またはXはSであり得る。
【0151】
式(1)の部分ならびに式(1a)および(1b)のプレポリマー[式中、Rは-[(CHR)-X-](CHR)-であり得る]において、pは2であり得て、rは2であり得て、qは1であり得て、XはSであり得るか、またはpは2であり得て、qは2であり得て、rは2であり得て、XはOであり得るか、またはpは2であり得て、rは2であり得て、qは1であり得て、XはOであり得る。
【0152】
式(1)の部分ならびに式(1a)および(1b)のプレポリマーにおいて、Rは-[(CHR)-X-](CHR)-であり得て、各Rは水素であり得るか、または少なくとも1つのRはメチルであり得る。
【0153】
式(1)の部分ならびに式(1a)および(1b)のプレポリマーにおいて、Rは-[(CH-X-](CH-であり得て、式中、各Xは、独立して、OおよびSから選択され得る。
【0154】
式(1)の部分ならびに式(1a)および(1b)のプレポリマーにおいて、Rは-[(CH-X-](CH-であり得て、式中、各XはOであり得るか、または各XはSであり得る。
【0155】
式(1)の部分ならびに式(1a)および(1b)のプレポリマーにおいて、Rは-[(CH-X-](CH-であり得て、式中、pは2であり得て、XはOであり得て、qは2であり得て、rは2であり得て、Rはエタンジイルであり得て、mは2であり得て、nは9であり得る。
【0156】
式(1)の部分ならびに式(1a)および(1b)のプレポリマーにおいて、各Rは、1,8-ジメルカプト-3,6-ジオキサオクタン(DMDO;2,2-(エタン-1,2-ジイルビス(スルファニル))ビス(エタン-1-チオール))に由来し得るか、または各Rは、ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS;2,2’-チオビス(エタン-1-チオール))に由来し得て、またそれらの組み合わせに由来し得る。
【0157】
式(1)の部分ならびに式(1a)および(1b)のプレポリマーにおいて、各pは、独立して、2、3、4、5、および6から選択され得る。各pは、同じであり得て、2、3、4、5、または6であり得る。
【0158】
式(1)の部分ならびに式(1a)および(1b)のプレポリマーにおいて、各qは、独立して、1、2、3、4、または5であり得る。各qは、同じであり得て、1、2、3、4、または5であり得る。
【0159】
式(1)の部分ならびに式(1a)および(1b)のプレポリマーにおいて、各rは、独立して、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり得る。各rは、同じであり得て、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり得る。
【0160】
式(1)の部分ならびに式(1a)および(1b)のプレポリマーにおいて、各rは、独立して、2~4、2~6、または2~8の整数であり得る。
【0161】
式(2)のジビニルエーテルにおいて、mは、0~50、例えば、0~40、0~20、0~10、1~50、1~40、1~20、1~10、2~50、2~40、2~20、または2~10の整数であり得る。
【0162】
式(2)のジビニルエーテルにおいて、各Rは、独立して、C2~10n-アルカンジイル基、C3~6分岐状アルカンジイル基、および-[(CH-X-](CH-基から選択され得る。
【0163】
式(2)のジビニルエーテルにおいて、各Rは、独立して、メタンジイル、エタンジイル、n-プロパンジイル、またはn-ブタンジイルのようなC2~10n-アルカンジイル基であり得る。
【0164】
式(2)のジビニルエーテルにおいて、各Rは、独立して、-[(CH-X-](CH-基を含み得て、各Xは、OまたはSであり得る。
【0165】
式(2)のジビニルエーテルにおいて、各Rは、独立して、-[(CH-X-](CH-基を含み得る。
【0166】
式(2)のジビニルエーテルにおいて、各mは、独立して、1~3の整数であり得る。各mは、同じであり得て、1、2、または3であり得る。
【0167】
式(2)のジビニルエーテルにおいて、各Rは、独立して、C2~10n-アルカンジイル基、C3~6分岐状アルカンジイル基、および-[(CH-X-](CH-基から選択され得る。
【0168】
式(2)のジビニルエーテルにおいて、各Rは、独立して、C2~10n-アルカンジイル基であり得る。
【0169】
式(2)のジビニルエーテルにおいて、各Rは、独立して、-[(CH-X-](CH-基であり得て、各Xは、OまたはSであり得る。
【0170】
式(2)のジビニルエーテルにおいて、各Rは、独立して、-[(CH-X-](CH-基であり得て、各Xは、OまたはSであり得て、各pは、独立して、2、3、4、5、および6であり得る。
【0171】
式(2)のジビニルエーテルにおいて、各pは、同じであり得て、2、3、4、5、または6であり得る。
【0172】
式(2)のジビニルエーテルにおいて、各Rは、独立して、-[(CH-X-](CH-基であり得て、各Xは、OまたはSであり得て、各qは、独立して、1、2、3、4、または5であり得る。
【0173】
式(2)のジビニルエーテルにおいて、各qは、同じであり得て、1、2、3、4、または5であり得る。
【0174】
式(2)のジビニルエーテルにおいて、各Rは、独立して、-[(CH-X-
(CH-基であり得て、各Xは、OまたはSであり得て、各rは、独立して、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり得る。
【0175】
式(2)のジビニルエーテルにおいて、各rは、同じであり得て、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり得る。式(2)のジビニルエーテルにおいて、各rは、独立して、2~4、2~6、または2~8の整数であり得る。
【0176】
好適なジビニルエーテルの例としては、エチレングリコールジビニルエーテル(EG-DVE)、ブタンジオールジビニルエーテル(BD-DVE)、ヘキサンジオールジビニルエーテル(HD-DVE)、ジエチレングリコールジビニルエーテル(DEG-DVE)、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ポリテトラヒドロフリルジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0177】
ジビニルエーテルは、硫黄含有ジビニルエーテルを含み得る。好適な硫黄含有ジビニルエーテルの例は、例えば、PCT公開第WO2018/085650号に開示されている。
【0178】
式(1)の部分において、各Aは、独立して、ポリアルケニル多官能化剤から誘導され得る。ポリアルケニル多官能化剤は、式(3)の構造を有し得て、式中、zは、3、4、5、または6であり得る。
【0179】
式(3)のポリアルケニル多官能化剤において、各Rは、独立して、C1~10アルカンジイル、C1~10ヘテロアルカンジイル、置換C1~10アルカンジイル、または置換C1~10ヘテロアルカンジイルから選択され得る。1つまたは1つより多くの置換基は、例えば、-OH、=O、C1~4アルキル、およびC1~4アルコキシから選択され得る。1つまたは1つより多くのヘテロ原子は、例えば、O、S、およびそれらの組み合わせから選択され得る。
【0180】
好適なポリアルケニル多官能化剤の例としては、トリアリルシアヌレート(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、1,3,5-トリアリル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン)、1,3,5-トリアリル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン)、1,3-ビス(2-メチルアリル)-6-メチレン-5-(2-オキソプロピル)-1,3,5-トリアジノン-2,4-ジオン、トリス(アリルオキシ)メタン、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、1-(アリルオキシ)-2,2-ビス((アリルオキシ)メチル)ブタン、2-プロパ-2-エトキシ-1,3,5-トリス(プロパ-2-エニル)ベンゼン、1,3,5-トリス(プロパ-2-エニル)-1,3,5-トリアジナン-2,4-ジオン、および1,3,5-トリス(2-メチルアリル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、1,2,4-トリビニルシクロヘキサン、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ならびに前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0181】
式(1)の部分および式(1a)~(1b)のプレポリマーにおいて、ジビニルエーテルに由来する部分とポリアルケニル多官能化剤に由来する部分とのモル比は、例えば、0.9mol%~0.999mol%、0.95mol%~0.99mol%、または0.96mol%~0.99mol%であり得る。
【0182】
式(1)の部分および式(1a)~(1b)のプレポリマーにおいて、各Rは-(CH2)2-O-(CH-O-(CH-であり得て、各Rは-(CH-であり得て、mは、1~4の整数であり得る。
【0183】
式(1)の部分および式(1a)~(1b)のプレポリマーにおいて、各Rは、ジエチレングリコールジビニルエーテルのようなジビニルエーテル、トリアリルシアヌレートのようなポリアルケニル多官能化剤、またはそれらの組み合わせに由来し得る。
【0184】
式(1)の部分および式(1a)~(1b)のプレポリマーにおいて、各Aは、独立して、式(2a)の部分および式(3a)の部分から選択され得て:
-(CH-O-(R-O)-(CH- (2a)
B{-R-(CH-}{-R-(CH-S-[-R-S-A-S-R-]-SH}z-2 (3a)
式中、m、R、R、R、A、B、m、n、およびzは、式(1)、式(2)、および式(3)に定義される通りである。
【0185】
式(1)の部分および式(1a)~(1b)のプレポリマーにおいて、各Rは-(CH-O-(CH-O-(CH-であり得て、各Rは-(CH-であり得て、mは1~4の整数であり得て、多官能化剤B(-R-CH=CHはトリアリルシアヌレートを含み、式中、zは3であり、各Rは-O-CH-CH=CHであり得る。
【0186】
硫黄含有ポリチオエーテルを合成する方法は、例えば、米国特許第6,172,179号に開示されている。
【0187】
チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーの骨格は、ポリチオエーテルプレポリマーを使用して調製されたシーラントの接着性、引張強度、伸び、耐UV性、硬度、および/または柔軟性のような1つもしくは1つより多くの特性を増強させるように改変され得る。例えば、1つまたは1つより多くの性能属性を改善するために、接着促進基、酸化防止剤、金属リガンド、および/またはウレタン結合がポリチオエーテルプレポリマーの骨格に組み込まれ得る。骨格修飾ポリチオエーテルプレポリマーの例は、例えば、米国特許第8,138,273号(ウレタン含有)、米国特許第9,540,540号(スルホン含有)、米国特許第8,952,124号(ビス(スルホニル)アルカノール含有)、米国特許第9,382,642号(金属配位子含有)、米国出願公開第2017/0114208号(酸化防止剤含有)、PCT国際公開第WO2018/085650号(硫黄含有ジビニルエーテル)、およびPCT国際公開第WO2018/031532号(ウレタン含有)に開示されており、これらはそれぞれ、参照によってその全体が組み込まれる。ポリチオエーテルプレポリマーとしては、米国出願公開第2017/0369737号および同第2016/0090507号に記載されているプレポリマーが挙げられる。
【0188】
好適なチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーの例は、例えば、米国特許第6,172,179号に開示されている。チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーは、Permapol(登録商標)P3.1E、Permapol(登録商標)P3.1E-2.8、Permapol(登録商標)L56086、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせを含み得て、これらはそれぞれ、PPG Aerospaceから入手可能である。これらのPermapol(登録商標)の製品は、式(1)、(1a)、および(1b)のチオール末端ポリチオエーテルプレポリマーに包含される。チオール末端ポリチオエーテルとしては、米国特許第7,390,859号に記載されているプレポリマー、ならびに米国出願公開第2017/0369757号および同第2016/0090507号に記載されているウレタン含有ポリチオールが挙げられる。
【0189】
硫黄含有プレポリマーは、ポリスルフィドプレポリマーまたはポリスルフィドプレポリマーの組み合わせを含み得る。
【0190】
ポリスルフィドプレポリマーとは、プレポリマー骨格内に1つまたは1つより多くのポリスルフィド結合、すなわち-S-結合[式中、xは2~4である]を含有するプレポリマーを指す。ポリスルフィドプレポリマーは、2つまたは2つより多くの硫黄-硫黄結合を有し得る。好適なチオール末端ポリスルフィドプレポリマーは、例えば、AkzoNobelおよびToray Industries,Inc.から、それぞれThioplast(登録商標)およびThiokol-LP(登録商標)という商標名で市販されている。
【0191】
好適なポリスルフィドプレポリマーの例は、例えば、米国特許第4,623,711号、同第6,172,179号、同第6,509,418号、同第7,009,032号、および同第7,879,955号に開示されている。
【0192】
好適なチオール末端ポリスルフィドプレポリマーの例としては、AkzoNobelから市販されている、Thioplast(登録商標)G1、Thioplast(登録商標)G4、Thioplast(登録商標)G10、Thioplast(登録商標)G12、Thioplast(登録商標)G21、Thioplast(登録商標)G22、Thioplast(登録商標)G44、Thioplast(登録商標)G122、およびThioplast(登録商標)G131のようなThioplast(登録商標)Gポリスルフィドが挙げられる。Thioplast(登録商標)G樹脂のような好適なチオール末端ポリスルフィドプレポリマーは、二官能性および三官能性分子のブレンドである液体チオール末端ポリスルフィドプレポリマーであり、ここで、二官能性チオール末端ポリスルフィドプレポリマーは、式(4)の構造を有し、三官能性チオール末端ポリスルフィドポリマーは、式(5)の構造を有し得て:
HS-(-R-S-S-)-R-SH (4)
HS-(-R-S-S-)-CH-CH{-CH-(-S-S-R-)-SH}{-(-S-S-R-)-SH} (5)
式中、各Rは-(CH-O-CH-O-(CH-であり、n=a+b+cであり、nの値は、ポリスルフィドプレポリマーの合成中に使用される三官能性架橋剤(1,2,3-トリクロロプロパン;TCP)の量に応じて7~38であり得る。Thioplast(登録商標)Gポリスルフィドは、1,000Da未満~6,500Daの数平均分子量、1重量%~5.5重量%超の-SH含有量、および0重量%~2.0重量%の架橋密度を有し得る。
【0193】
ポリスルフィドプレポリマーは、式(4a)の構造を有する末端修飾ポリスルフィドプレポリマー、式(5a)の構造を有する末端修飾ポリスルフィドプレポリマー、またはそれらの組み合わせをさらに含み得て:
-S-(-R-S-S-)-R-S-R (4a)
-S-(-R-S-S-)-CH-CH{-CH-(-S-S-R-)-S-}{-(-S-S-R-)-S-R} (5a)
式中、n、a、b、c、およびRは、式(4)および式(5)について定義される通りであり、Rは、末端反応性基を含む部分である。
【0194】
好適なチオール末端ポリスルフィドプレポリマーの例としては、Toray Industries,Inc.から入手可能なThiokol(登録商標)LPポリスルフィド、Thiokol(登録商標)LP2、Thiokol(登録商標)LP3、Thiokol(登録商標)LP12、Thiokol(登録商標)LP23、Thiokol(登録商標)LP33、およびThiokol(登録商標)LP55なども挙げられる。Thiokol(登録商標)LPポリスルフィドは、1,000Da~7,500Daの数平均分子量、0.8%~7.7%の-SH含有量、および0%~2%の架橋密度を有する。
Thiokol(登録商標)LPポリスルフィドプレポリマーは、式(6)の構造を有し、末端修飾ポリスルフィドプレポリマーは、式(6a)の構造を有し得て:
HS-[(CH-O-CH-O-(CH-S-S-]-(CH-O-CH-O-(CH-SH (6)
-S-[(CH-O-CH-O-(CH-S-S-]-(CH-O-CH-O-(CH-S-R (6a)
式中、nは、1,000Da~7,500Daの数平均分子量であるようなもの、例えば、8~80の整数であり得て、各Rは、末端反応性官能基を含む部分である。
【0195】
チオール末端硫黄含有プレポリマーは、Thiokol-LP(登録商標)ポリスルフィド、Thioplast(登録商標)Gポリスルフィド、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0196】
ポリスルフィドプレポリマーは、式(7)の部分を含むポリスルフィドプレポリマー、式(7a)のチオール末端ポリスルフィドプレポリマー、式(7b)の末端修飾ポリスルフィドプレポリマー、または前述のもののいずれかの組み合わせを含み得て:
-R-(S-R- (7)
HS-R-(S-R-SH (7a)
-S-R-(S-R-S-R (7b)
式中、
tは、1~60の整数であり得て、
各Rは、独立して、分岐状アルカンジイル、分岐状アレーンジイル、および-(CH-O-(CH-O-(CH-の構造を有する部分から選択され得て、
qは、1~8の整数であり得て、
pは、1~10の整数であり得て、
rは、1~10の整数であり得て、
yは、1.0~1.5の範囲の平均値を有し得て、
各Rは、末端反応性官能基を含む部分である。
【0197】
式(7)の部分および式(7a)~(7b)のプレポリマーにおいて、R基の0%~20%は、分岐状アルカンジイルまたは分岐状アレーンジイルを含み得て、R基の80%~100%は-(CH-O-(CH-O-(CH-であり得る。
【0198】
式(7)の部分および式(7a)~(7b)のプレポリマーにおいて、分岐状アルカンジイルまたは分岐状アレーンジイルは-R(-A)-であり得て、式中、Rは炭化水素基であり、nは1または2であり、Aは分岐点である。分岐状アルカンジイルは-CH(-CH(-CH-)-)-の構造を有し得る。
【0199】
式(7a)および(7b)のチオール末端ポリスルフィドプレポリマーの例は、例えば、米国出願公開第2016/0152775号、米国特許第9,079,833号、および米国特許第9,663,619号に開示されている。
【0200】
ポリスルフィドプレポリマーは、式(8)の部分を含むポリスルフィドプレポリマー、式(8a)のチオール末端ポリスルフィドプレポリマー、式(8b)の末端修飾ポリスルフィドプレポリマー、または前述のもののいずれかの組み合わせを含み得て:
-(R-O-CH-O-R-S-)n-1-R-O-CH-O-R
(8)
HS-(R-O-CH-O-R-S-)n-1-R-O-CH-O-R-SH (8a)
-S-(R-O-CH-O-R-S-)n-1-R-O-CH-O-R-S-R (8b)
式中、RはC2~4アルカンジイルであり、mは2~8の整数であり、nは2~370の整数であり、各Rは、独立して、末端反応性官能基を含む部分である。
【0201】
式(8)の部分および式(8a)~(8b)のプレポリマーは、例えば、JP62-53354に開示されている。
【0202】
硫黄含有プレポリマーは、硫黄含有ポリホルマールプレポリマーまたは硫黄含有ポリホルマールプレポリマーの組み合わせを含み得る。シーラント用途に有用な硫黄含有ポリホルマールプレポリマーは、例えば、米国特許第8,729,216号および米国特許第8,541,513号に開示されている。
【0203】
硫黄含有ポリホルマールプレポリマーは、式(9)の部分、式(9a)のチオール末端硫黄含有ポリホルマールプレポリマー、式(9b)の末端修飾硫黄含有ポリホルマールプレポリマー、式(9c)のチオール末端硫黄含有ポリホルマールプレポリマー、式(9d)の末端修飾硫黄含有ポリホルマールプレポリマー、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせを含み得て:
-R-(S)-R-[O-C(R-O-R-(S)-R-]
(9)
10-R-(S)-R-[O-C(R-O-R-(S)-R-]-R10 (9a)
-R-(S)-R-[O-C(R-O-R-(S)-R-]-R (9b)
{R10-R-(S)-R-[O-C(R-O-R-(S)-R-]-O-C(R-O-}Z (9c)
{R-R-(S)-R-[O-C(R-O-R-(S)-R-]-O-C(R-O-}Z (9d)
式中、nは1~50の整数であり得て、各pは、独立して、1および2から選択され得て、各Rは、C2~6アルカンジイルであり得て、各Rは、独立して、水素、C1~6アルキル、C7~12フェニルアルキル、置換C7~12フェニルアルキル、C6~12シクロアルキルアルキル、置換C6~12シクロアルキルアルキル、C3~12シクロアルキル、置換C3~12シクロアルキル、C6~12アリール、および置換C6~12アリールから選択され得て、各R10は、末端チオール基を含む部分であり、各Rは、独立して、チオール基以外の末端反応性官能基を含む部分であり、Zは、m価の親ポリオールZ(OH)のコアに由来し得る。
【0204】
硫黄含有プレポリマーは、モノスルフィドプレポリマーまたはモノスルフィドプレポリマーの組み合わせを含み得る。
【0205】
モノスルフィドプレポリマーは、式(10)の部分、式(10a)のチオール末端モノスルフィドプレポリマー、式(10b)のチオール末端モノスルフィドプレポリマー、式(10c)の末端修飾モノスルフィドプレポリマー、式(10d)の末端修飾モノスルフィドプレポリマー、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせを含み得て:
-S-R13-[-S-(R11-X)-(R12-X)-R13-]-S-
(10)
HS-R13-[-S-(R11-X)-(R12-X)-R13-]-SH
(10a)
{HS-R13-[-S-(R11-X)-(R12-X)-R13-]-S-V’-}B (10b)
-S-R13-[-S-(R11-X)-(R12-X)-R13-]-S-R (10c)
{R-S-R13-[-S-(R11-X)-(R12-X)-R13-]-S-V’-}B (10d)
式中、
各R11は、独立して、C2~10アルカンジイル、例えば、C2~6アルカンジイル;C2~10分岐状アルカンジイル、例えば、C3~6分枝アルカンジイル、または例えばメチル基もしくはエチル基のようなアルキル基であり得る1つまたは1つより多くのペンダント基を有するC3~6分岐状アルカンジイル;C6~8シクロアルカンジイル;C6~14アルキルシクロアルカンジイル、例えば、C6~10アルキルシクロアルカンジイル;およびC8~10アルキルアレーンジイルから選択され得て、
各R12は、独立して、C1~10n-アルカンジイル、例えば、C1~6n-アルカンジイル、C2~10分岐状アルカンジイル、例えば、メチルもしくはエチル基のようなアルキル基であり得る1つまたは1つより多くのペンダント基を有するC3~6分岐状アルカンジイル;C6~8シクロアルカンジイル;C6~14アルキルシクロアルカンジイル、例えば、C6~10アルキルシクロアルカンジイル;およびC8~10アルキルアレーンジイルから選択され得て、
各R13は、独立して、C1~10n-アルカンジイル、例えば、C1~6n-アルカンジイル、C2~10分岐状アルカンジイル、例えば、メチルもしくはエチル基のようなアルキル基であり得る1つまたは1つより多くのペンダント基を有するC3~6分岐状アルカンジイル;C6~8シクロアルカンジイル基;C6~14アルキルシクロアルカンジイル、例えば、C6~10アルキルシクロアルカンジイル;およびC8~10アルキルアレーンジイルから選択され得て、
各Xは、独立して、OおよびSから選択され得て、
pは、1~5の整数であり得て、
qは、0~5の整数であり得て、
nは、1~60、例えば、2~60、3~60、または25~35の整数であり得て、
各Rは、独立して、反応性官能基から選択され、
Bは、z価の多官能化剤B(-V)のコアを表し、式中、
zは、3~6の整数であり得て、
各Vは、チオール基に反応性の末端基を含む部分であり得て、
各-V’-は、-Vとチオールとの反応に由来し得る。
【0206】
式(10)の部分または式(10b)~(10c)のプレポリマーを含むチオール末端モノスルフィドを合成する方法は、例えば、米国特許第7,875,666号に開示されている。
【0207】
モノスルフィドプレポリマーは、式(11)の部分、式(11a)の部分を含むチオール末端モノスルフィドプレポリマー、式(11b)のチオール末端モノスルフィドプレポリマー、式(11c)のチオール末端モノスルフィドプレポリマー、式(11d)のチオール末端モノスルフィドプレポリマー、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせを含み得て:
-[-S-(R14-X)-C(R15-(X-R14-]-S- (11)
H-[-S-(R14-X)-C(R15-(X-R14-]-SH (11a)
-[-S-(R14-X)-C(R15-(X-R14-]-S-R
(11b)
{H-[-S-(R14-X)-C(R15-(X-R14-]-S-V’-}B (11c)
{R-[-S-(R14-X)-C(R15-(X-R14-]-S-V’-}B (11d)
式中、
各R14は、独立して、C2~10アルカンジイル、例えば、C2~6アルカンジイル;C3~10分岐状アルカンジイル、例えば、C3~6分枝アルカンジイル、または例えばメチル基もしくはエチル基のようなアルキル基であり得る1つまたは1つより多くのペンダント基を有するC3~6分岐状アルカンジイル;C6~8シクロアルカンジイル;C6~14アルキルシクロアルカンジイル、例えば、C6~10アルキルシクロアルカンジイル;およびC8~10アルキルアレーンジイルから選択され得て、
各R15は、独立して、水素、C1~10n-アルカンジイル、例えば、C1~6n-アルカンジイル、C3~10分岐状アルカンジイル、例えば、例えばメチルもしくはエチル基のようなアルキル基であり得る1つまたは1つより多くのペンダント基を有するC3~6分岐状アルカンジイル;C6~8シクロアルカンジイル基;C6~14アルキルシクロアルカンジイル、例えば、C6~10アルキルシクロアルカンジイル;およびC8~10アルキルアレーンジイルから選択され得て、
各Xは、独立して、OおよびSから選択され得て、
pは、1~5の整数であり得て、
qは、1~5の整数であり得て、
nは、1~60、例えば、2~60、3~60、または25~35の整数であり得て、
各Rは、末端官能基を含む部分であり、
Bは、z価の多官能化剤B(-V)のコアを表し、式中、
zは、3~6の整数であり得て、
各Vは、チオール基に反応性の末端基を含む部分であり得て、
各-V’-は、-Vとチオールとの反応に由来し得る。
【0208】
式(11)~(11d)のモノスルフィドを合成する方法は、例えば、米国特許第8,466,220号に開示されている。
【0209】
プレポリマーは、末端修飾硫黄含有プレポリマーのような末端修飾プレポリマーを含み得る。末端修飾硫黄含有プレポリマーとは、チオール基以外の末端反応性官能基を含む硫黄含有プレポリマーを指す。
【0210】
のような末端反応性官能基は、例えば、アルケニル、アルキニル、エポキシ、イソシアネート、ヒドロキシル、アミン、マイケル受容体、マイケル供与体、または別の反応性官能基から選択され得る。末端修飾硫黄含有プレポリマーは、例えば、チオール末端硫黄含有プレポリマーを、末端官能基とチオール基に反応性の基とを含む化合物と反応させることによって調製され得る。
【0211】
チオール基と反応する好適な基の例としては、アルケニル基、アルキニル基、エポキシ基、マイケル受容体基、およびイソシアネート基が挙げられる。
【0212】
例えば、アルケニル末端硫黄含有プレポリマーは、ポリアルケニル化合物をチオール末端硫黄含有プレポリマーと反応させることによって調製され得て、エポキシ末端硫黄含有プレポリマーは、ポリエポキシドをチオール末端硫黄含有プレポリマーと反応させることによって調製され得て、イソシアネート末端硫黄含有プレポリマーは、ポリイソシアネートをチオール末端硫黄含有プレポリマーと反応させることによって調製され得て、マイケル受容体末端硫黄含有プレポリマーは、多官能性マイケル受容体をチオール末端硫黄含有プレポリマーと反応させることによって調製され得る。
【0213】
共反応性組成物は、反応性モノマーまたは反応性モノマーの組み合わせを含み得る。共
反応性モノマーは、プレポリマーおよび/または別のモノマーに反応性の官能基を含み得る。
【0214】
反応性モノマーは、例えば、1,000Da未満、800Da未満、600Da未満、500Da未満、400Da未満、または300Da未満の分子量を有し得る。モノマーは、例えば、100Da~1,000Da、100Da~800Da、100Da~600Da、150Da~550Da、または200Da~500Daの分子量を有し得る。モノマーは、100Da超、200Da超、300Da超、400Da超、500Da超、600Da超、または800Da超の分子量を有し得る。
【0215】
反応性モノマーは、2または2を超える、例えば、2~6、2~5、または2~4の反応性官能基を有し得る。反応性モノマーは、2、3、4、5、または6の官能度を有し得る。反応性モノマーは、例えば、2~6、2~5、2~4、2~3、2.1~2.8、または2.2~2.6の平均反応官能度を有し得る。
【0216】
反応性モノマーは、例えば、チオール、アルケニル、アルキニル、エポキシ、イソシアネート、マイケル受容体、マイケル供与体、ヒドロキシル、アミン、シラノール、ポリアルコキシシリル、または他の好適な反応性官能基のような任意の好適な官能基を含み得る。
【0217】
反応性モノマーは、例えば、ポリチオール、ポリアルケニル、ポリアルキニル、ポリエポキシド、多官能性マイケル受容体、多官能性マイケル供与体、ポリイソシアネート、ポリオール、ポリアミン、多官能性シラノール、多官能性ポリアルコキシシリル、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせを含み得る。
【0218】
モノマーは、硫黄含有モノマーを含み得る。
【0219】
硫黄含有モノマーは、例えば、0重量%~80重量%、2重量%~75重量%、5重量%~70重量%、10重量%~65重量%、15重量%~60重量%、または20重量%~50重量%の硫黄含有量を有し得て、重量%は、モノマーの総分子量に基づく。モノマーは、例えば、0重量%超、10重量%超、20重量%超、30重量%超、40重量%超、50重量%超、60重量%超、70重量%超、または80重量%超の硫黄含有量を有し得て、重量%は、モノマーの総分子量に基づく。モノマーは、例えば、80重量%未満、70重量%未満、60重量%未満、50重量%未満、40重量%未満、30重量%未満、20重量%未満、10重量%未満、または5重量%未満の硫黄含有量を有し得て、重量%は、モノマーの総分子量に基づく。
【0220】
反応性モノマーは、多官能化剤または多官能化剤の組み合わせを含み得る。
【0221】
多官能化剤は、硬化されるポリマーマトリックスの架橋密度を増加させるために組成物に含まれ得る3つまたは3つより多い官能基の官能度を有し得る。多官能化剤は、反応性プレポリマーおよび/または反応性モノマーに反応性の官能基を含み得る。
【0222】
多官能化剤は、例えば、3~6、例えば、3~5または3~4の平均官能度を含み得る。多官能化剤は、3、4、5、または6の官能度を有し得る。
【0223】
多官能化剤は、例えば、ポリチオール、ポリアルケニル、ポリアルキニル、ポリエポキシド、多官能性マイケル受容体、多官能性マイケル供与体、ポリイソシアネート、ポリオール、ポリアミン、多官能性シラノール、多官能性ポリアルコキシシリル、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせを含み得る。
【0224】
第1の反応性化合物および第2の反応性化合物はそれぞれ、独立して、少なくとも2つの第1の官能基を含み得て、第2の化合物は少なくとも2つの第2の官能基を含み得て、第2の官能基は第1の官能基に反応性である。
【0225】
例えば、第1の官能基はチオール基であり得て、第2の官能基は、アルケニル基、アルキニル基、エポキシ基、マイケル受容体基、イソシアネート基、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせであり得る。
【0226】
特定の官能基および硬化化学反応は、所望の硬化速度を提供し、および/または所望の特性を多層系の硬化層に付与するように選択され得る。
【0227】
有用な硬化化学反応の例としては、ヒドロキシル/イソシアネート、アミン/イソシアネート、エポキシ/エポキシ、およびマイケル受容体/マイケル供与体反応が挙げられる。
【0228】
したがって、第1の官能基はイソシアネートを含み得て、第2の官能基は、ヒドロキシル基、アミン基、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0229】
第1の官能基はアミン基を含み得て、第2の官能基はエポキシ基を含み得る。
【0230】
第1の官能基はエポキシ基を含み得て、第2の官能基はエポキシ基を含み得る。
【0231】
第1の官能基はマイケル受容体基を含み得て、第2の官能基はマイケル供与体基を含み得る。
【0232】
第1の官能基は飽和官能基であり得て、第2の官能基は不飽和基であり得る。第1の官能基および第2の官能基はそれぞれ、飽和官能基を含み得る。第1の官能基および第2の官能基はそれぞれ、不飽和官能基を含み得る。飽和官能基とは、二重結合を有しない官能基を指す。飽和官能基の例としては、チオール、ヒドロキシル、第1級アミン、第2級アミン、およびエポキシ基が挙げられる。不飽和官能基とは、反応性二重結合を有する基を指す。不飽和官能基の例としては、アルケニル基、マイケル受容体基、イソシアネート基、非環状カーボネート、アセトアセテート基、カルボン酸基、ビニルエーテル基、(メタ)アクリレート基、およびマロネート基が挙げられる。
【0233】
第1の官能基はカルボン酸基であり得て、第2の官能基はエポキシ基であり得る。
【0234】
第1の官能基は、(メタ)アクリレート基、マレイン酸基、またはフマル酸基のようなマイケル受容体基であり得て、第2の官能基は、第1級アミン基または第2級アミン基であり得る。
【0235】
第1の官能基は、イソシアネート基であり得て、第2の官能基は、第1級アミン基、第2級アミン基、ヒドロキシル基、またはチオール基であり得る。
【0236】
第1の官能基は、環状カーボネート基、アセトアセテート基、またはエポキシ基であり得て、第2の官能基は、第1級アミン基または第2級アミン基であり得る。
【0237】
第1の官能基はチオール基であり得て、第2の官能基は、アルケニル基、ビニルエーテル基、(メタ)アクリレート基であり得る。
【0238】
第1の官能基は、(メタ)アクリレート基、シアノアクリレート、ビニルエーテル、ビニルピリジン、またはα、β不飽和カルボニル基のようなマイケル受容体基であり得て、第2の官能基は、マロネート基、アセチルアセトネート、ニトロアルカン、または他の活性アルケニル基であり得る。
【0239】
第1の官能基はチオール基であり得て、第2の官能基は、アルケニル基、エポキシ基、イソシアネート基、アルキニル基、またはマイケル受容体基であり得る。
【0240】
第1の官能基はマイケル供与体基基であり得て、第2の官能基はマイケル受容体基であり得る。
【0241】
第1の官能基および第2の官能基はどちらも、チオール基であり得る。
【0242】
第1の官能基および第2の官能基はどちらも、アルケニル基であり得る。
【0243】
第1の官能基および第2の官能基はどちらも、(メタ)アクリレート基のようなマイケル受容体基であり得る。
【0244】
例えば、第1の反応性化合物はポリアミンおよび/またはポリオールを含み得て、第2の反応性化合物はポリイソシアネートを含み得て、第1の反応性化合物はマイケル受容体を含み得て、第2の反応性化合物はマイケル供与体を含み得て、または第1の反応性化合物はポリチオールを含み得て、第2の反応性化合物は、ポリチオール、ポリイソシアネート、ポリアルケニル、ポリアルキニル、ポリエポキシド、マイケル受容体、もしくは前述のもののうちのいずれかの組み合わせを含み得る。
【0245】
官能基は、例えば、50℃未満、40℃未満、30℃未満、20℃未満、または10℃未満の温度で共反応するように選択され得る。官能基は、例えば、5℃超、10℃超、20℃超、30℃超、または40℃超の温度で共反応するように選択され得る。官能基は、例えば、5℃~50℃、10℃~40℃、15℃~35℃、または20℃~30℃の温度で共反応するように選択され得る。
【0246】
これらの共反応性の化学反応のうちのいずれかの硬化速度は、共反応性組成物中に適切な触媒または触媒の組み合わせを含めることによって変更され得る。これらの共反応性の化学反応のうちのいずれかの硬化速度は、共反応性組成物の温度を増加または低下させることによって変更され得る。例えば、共反応性組成物は、30℃未満、例えば、25℃未満または20℃未満の温度で硬化することができるが、共反応性組成物を加熱することによって反応速度を加速することができ、これは、増加した印刷速度に対応するなどの特定の状況下で望ましい場合がある。共反応性成分および/または共反応性組成物の温度を上昇させることは、粘度を調整して、共反応性成分の混合および/または共反応性組成物の堆積を促進する役割も果たし得る。
【0247】
多層系を形成するためには、特定の層が他の層よりも速く硬化することが望ましい場合がある。例えば、外側層が速く硬化して、塗布された多層系が意図される形状を保持する能力を促進すること、および内層が経時的に接着性および/または望ましい物理的特性を発現するようにゆっくり硬化することが望ましい場合がある。
【0248】
多層系の層を調製するために使用される各共反応性組成物は、例えば、独立して、例えば、触媒、重合開始剤、接着促進剤、反応性希釈剤、可塑剤、充填材、着色剤、フォトクロミック剤、レオロジー改質剤、硬化活性剤および促進剤、腐食抑制剤、難燃剤、UV安定剤、雨浸食抑制剤、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせのような1つまた
は1つより多くの添加剤を含み得る。
【0249】
共反応性組成物は、多層系の硬化層に1つまたは1つより多くの所望の特性を付与するように選択された1つまたは1つより多くの添加剤を含み得る。硬化層の特性および層に特性を提供するための添加剤の例は、以下の段落に記載されている。
【0250】
共反応性組成物は、触媒または触媒の組み合わせを含み得る。
【0251】
触媒または触媒の組み合わせは、第1の反応性化合物および第2の反応性化合物の反応のような、共反応性組成物中の共反応物の反応を触媒するように選択され得る。適切な触媒は、硬化化学反応に依存することになる。例えば、チオール-エンまたはチオールエポキシはアミン触媒を含み得る。
【0252】
共反応性組成物は、例えば、0.1重量%~1重量%、0.2重量%~0.9重量%、0.3重量%~0.7重量%、または0.4重量%~0.6重量%の触媒または触媒の組み合わせを含み得て、重量%は、共反応性組成物の総重量に基づく。
【0253】
触媒は、潜在性触媒または潜在性触媒の組み合わせを含み得る。潜在性触媒としては、例えば物理的および/または化学的機構によって放出または活性化されるまでほとんどまたはまったく活性を有しない触媒が挙げられる。潜在性触媒は、構造内に含有され得るか、または化学的に遮断され得る。制御放出触媒は、紫外線、熱、超音波、または水分に曝露されると触媒を放出し得る。潜在性触媒は、コアシェル構造内に隔離されていても、または結晶性もしくは半結晶性ポリマーのマトリックス内に捕捉されていてもよく、触媒は、経時的に、または熱的もしくは機械的エネルギーの印加などによる活性化時に、封入体から拡散し得る。
【0254】
共反応性組成物は、暗硬化触媒または暗硬化触媒の組み合わせを含み得る。暗硬化触媒とは、電磁エネルギーへの曝露なしでフリーラジカルを生成することができる触媒を指す。
【0255】
暗硬化触媒としては、例えば、金属錯体および有機過酸化物、トリアルキルボラン錯体およびペルオキシド-アミンレドックス開始剤の組み合わせが挙げられる。暗硬化触媒は、光重合開始剤と併用され得るか、または光重合開始剤とは独立して使用され得る。
【0256】
チオール/チオール硬化化学反応に基づく共反応性組成物は、チオール/チオール重合反応を開始するための硬化活性剤または硬化活性剤の組み合わせを含み得る。硬化活性剤は、例えば、第1の反応性化合物および第2の反応性化合物がどちらもチオール末端ポリスルフィドプレポリマーのようなチオール末端硫黄含有プレポリマーを含む、共反応性組成物において使用され得る。
【0257】
硬化活性剤は、メルカプタン基を酸化させてジスルフィド結合を形成することができる酸化剤を含み得る。好適な酸化剤の例としては、二酸化鉛、二酸化マンガン、二酸化カルシウム、過ホウ酸ナトリウム一水和物、過酸化カルシウム、過酸化亜鉛、およびジクロメートが挙げられる。
【0258】
硬化活性剤は、無機活性剤、有機活性剤、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0259】
好適な無機活性剤の例としては、金属酸化物が挙げられる。好適な金属酸化物活性剤の例としては、酸化亜鉛(ZnO)、酸化鉛(PbO)、過酸化鉛(PbO)、二酸化マンガン(MnO)、過ホウ酸ナトリウム(NaBOO)、過マンガン酸カリウム
(KMnO)、過酸化カルシウム(CaCO)、過酸化バリウム(BaO)、クメンヒドロペルオキシド、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられる。硬化活性剤は、MnOであり得る。
【0260】
チオール/チオール硬化化学反応に基づく共反応性組成物は、例えば、1重量%~10重量%の硬化活性剤または硬化活性剤の組み合わせを含み得て、重量%は、共反応性組成物の総重量に基づく。例えば、共反応性組成物は、1重量%~9重量%、2重量%~8重量%、3重量%~7重量%、または4重量%~6重量%の活性剤または硬化活性剤の組み合わせを含み得て、重量%は、共反応性組成物の総重量に基づく。例えば、共反応性組成物は、1重量%超、2重量%超、3重量%超、4重量%超、5重量%超、または6重量%超の硬化活性剤または硬化活性剤の組み合わせを含み得て、重量%は、共反応性組成物の総重量に基づく。
【0261】
チオール/チオール硬化化学反応に基づく共反応性組成物は、硬化促進剤または硬化促進剤の組み合わせを含み得る。
【0262】
硬化促進剤は、硫黄供与体として作用して、チオール末端ポリスルフィドプレポリマーのチオール基と反応することができる活性硫黄断片を生成することができる。
【0263】
好適な硬化促進剤の例としては、チアゾール、チウラム、スルフェンアミド、グアニジン、ジチオカルバメート、キサンテート、チオ尿素、アルデヒドアミン、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0264】
硬化促進剤は、チウラムポリスルフィド、チウラムジスルフィド、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0265】
他の好適な硬化促進剤の例としては、トリアジン、ならびにジアルキルジチオリン酸およびジチオホスフェートのスルフィドまたは金属塩およびアミン塩、例えば、トリアジン、ならびにジアルキルジチオリン酸のスルフィドまたは金属塩およびアミン塩、ならびに前述のもののうちのいずれかの組み合わせも挙げられる。非硫黄含有硬化促進剤の例としては、テトラメチルグアニジン(TMG)、ジ-o-トリルグアニジン(DOTG)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水、および塩基が挙げられる。
【0266】
共反応性組成物は、例えば、0.01重量%~2重量%の硬化促進剤または硬化促進剤の組み合わせ、0.05重量%~1.8重量%、0.1重量%~1.6重量%、または0.5重量%~1.5重量%の硬化促進剤または硬化促進剤の組み合わせを含み得て、重量%は、共反応性組成物の総重量に基づく。共反応性組成物は、例えば、2重量%未満、1.8重量%未満、1.6重量%未満、1.4重量%未満、1.2重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、0.1重量%未満、または0.05重量%未満の硬化促進剤または硬化促進剤の組み合わせを含み得て、重量%は、共反応性組成物の総重量に基づく。
【0267】
共反応性組成物は、熱活性化フリーラジカル開始剤または化学放射線によって活性化されるフリーラジカル開始剤のような1つまたは1つより多くのフリーラジカル開始剤を含み得る。
【0268】
チオール/アルケニル、チオール/アルキニル、およびアルケニル/アルケニル硬化化学反応に基づくシーラント組成物のような共反応性組成物は、化学放射線によって硬化可能であり得る。可視光線または紫外線によって硬化可能である共反応性組成物は、光重合開始剤または光重合開始剤の組み合わせを含み得る。
【0269】
共反応性組成物は、光反応開始剤または光反応開始剤の組み合わせを含み得る。放射線は、光重合開始剤による照射時に光重合開始剤から種を生成するのに有効なエネルギーを印加することができる化学放射線であり得て、α線、γ線、X線、紫外(UV)線(UVA、UVA、およびUVCスペクトルを含む)、可視光、青色光、赤外線、近赤外線、または電子ビームを広く含む。例えば、光開始剤はUV光開始剤であり得る。
【0270】
好適なUV光開始剤の例としては、α-ヒドロキシケトン、ベンゾフェノン、α,α-ジエトキシアセトフェノン、4,4-ジエチルアミノベンゾフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、4-イソプロピルフェニル2-ヒドロキシ-2-プロピルケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソアミルp-ジメチルアミノベンゾエート、メチル4-ジメチルアミノベンゾエート、O-ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシクロホスフィンオキシド、ベンゾフェノン光開始剤、オキシム光開始剤、ホスフィンオキシド光開始剤、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0271】
共反応性組成物は、0.05重量%~5重量%、0.1重量%~4.0重量%、0.25重量%~3.0重量%、0.5重量%~1.5重量%の光開始剤または光開始剤の組み合わせを含み得て、重量%は、共反応性組成物の総重量に基づく。
【0272】
共反応性組成物は、熱活性フリーラジカル開始剤を含み得る。熱活性化フリーラジカル開始剤は、25℃超の温度のような高温で活性化し得る。
【0273】
好適な熱活性化フリーラジカル開始剤の例としては、有機ペルオキシ化合物、アゾビス(有機ニトリル)化合物、N-アシルオキシアミン化合物、O-イミノ-イソ尿素化合物、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられる。熱重合開始剤として使用され得る好適な有機ペルオキシ化合物の例としては、ペルオキシモノカーボネートエステル、例えば、第3級ブチルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネートおよび第3級ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート;ペルオキシケタール、例えば、1,1-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン;ペルオキシジカーボネートエステル、例えば、ジ(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ(sec-ブチル)ペルオキシジカーボネートおよびジイソプロピルペルオキシジカーボネート;ジアシペルオキシド、例えば、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、プロピオニルペルオキシド、アセチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、およびp-クロロベンゾイルペルオキシド;ペルオキシエステル、例えば、tert-ブチルペルオキシピバレート、tert-ブチルペルオキシオクチレート、およびtert-ブチルペルオキシイソブチレート;メチルエチルケトンペルオキシド、アセチルシクロヘキサンスルホニルペルオキシド、ならびに前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられる。好適なペルオキシ化合物の他の例としては、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサンおよび/または1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンが挙げられる。熱重合開始剤として使用され得る好適なアゾビス(有機ニトリル)化合物の例としては、アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチル-ブタンニトリル)、および/またはアゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)が挙げられる。熱活性化フリーラジカル開始剤は、1-アセトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンおよび/または1,3-ジシクロヘキシル-O-(N-シクロヘキシリデンアミノ)-イソ尿素を含み得る。
【0274】
共反応性組成物は、接着促進剤または接着促進剤の組み合わせを含み得る。接着促進剤は、金属、複合材、ポリマー、もしくはセラミック表面のような下地基材への、またはプライマーコーティングもしくは他のコーティング層のようなコーティングへのシーラントの接着性を増強することができる。接着促進剤は、充填材への、および多層系の他の層への接着性を増強することができる。
【0275】
接着促進剤としては、フェノール系接着促進剤、フェノール系接着促進剤の組み合わせ、有機官能性シラン、有機官能性シランの組み合わせ、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられ得る。有機官能性アルコキシシランは、アミン官能性アルコキシシランであり得る。オルガノ基は、例えば、チオール基、アミン基、エポキシ基、アルケニル基、イソシアネート基、またはマイケル受容体基から選択され得る。
【0276】
フェノール系接着促進剤は、加熱処理されたフェノール系樹脂、未加熱処理のフェノール系樹脂、またはそれらの組み合わせを含み得る。好適な接着促進剤の例としては、Methylon(登録商標)フェノール系樹脂のようなフェノール系樹脂、およびエポキシ、メルカプトまたはアミン官能性シランのようなオルガノシラン、例えばSilquest(登録商標)オルガノシランが挙げられる。加熱処理されたフェノール系樹脂とは、モノマーまたはプレポリマーと共反応したフェノール系樹脂を指す。
【0277】
フェノール系接着促進剤は、フェノール系樹脂と1つまたは1つより多くのチオール末端ポリスルフィドとの縮合反応の反応生成物を含み得る。フェノール系接着促進剤はチオール末端化され得る。
【0278】
好適なフェノール系樹脂の例としては、2-(ヒドロキシメチル)フェノール、(4-ヒドロキシ-1,3-フェニレン)ジメタノール、(2-ヒドロキシベンゼン-1,3,4-トリイル)トリメタノール、2-ベンジル-6-(ヒドロキシメチル)フェノール、(4-ヒドロキシ-5-((2-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサ-2,4-ジエン-1-イル)メチル)-1,3-フェニレン)ジメタノール、(4-ヒドロキシ-5-((2-ヒドロキシ-3,5-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサ-2,4-ジエン-1-イル)メチル)-1,3-フェニレン)ジメタノール、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせから合成されるものが挙げられる。
【0279】
好適なフェノール系樹脂は、フェノールとホルムアルデヒドとの塩基触媒反応によって合成され得る。
【0280】
フェノール系接着促進剤は、Methylon(登録商標)樹脂、Varcum(登録商標)樹脂、またはDurez Corporationから入手可能なDurez(登録商標)樹脂と、Thioplast(登録商標)樹脂のようなチオール末端ポリスルフィドとの縮合反応の反応生成物を含み得る。
【0281】
Methylon(登録商標)樹脂の例としては、Methylon(登録商標)75108(メチルロールフェノールのアリルエーテル、米国特許第3,517,082号を参照)およびMethylon(登録商標)75202が挙げられる。
【0282】
Varcum(登録商標)樹脂の例としては、Varcum(登録商標)29101、Varcum(登録商標)29108、Varcum(登録商標)29112、Varcum(登録商標)29116、Varcum(登録商標)29008、Varcum(登録商標)29202、Varcum(登録商標)29401、Varcum(登録商標)29159、Varcum(登録商標)29181、Varcum(登録商標)92600、Varcum(登録商標)94635、Varcum(登録商標)94879、およ
びVarcum(登録商標)94917が挙げられる。
【0283】
Durez(登録商標)樹脂の例はDurez(登録商標)34071である。
【0284】
共反応性組成物は、有機官能性アルコキシシランのような有機官能性アルコキシシラン接着促進剤を含み得る。有機官能性アルコキシシランは、ケイ素原子に結合した加水分解性基と少なくとも1つの有機官能基とを含み得る。有機官能性アルコキシシランは、R20-(CH-Si(-OR)3-nの構造を有し得て、R20は有機官能基であり、nは、0、1、または2であり、Rは、メチルまたはエチルのようなアルキルである。有機官能基の例としては、エポキシ、アミノ、メタクリルオキシ、またはスルフィド基が挙げられる。有機官能性アルコキシシランは、2個または2個より多いアルコキシシラン基を有するジポダール(dipodal)アルコキシシラン、官能性ジポダールアルコキシシラン、非官能性ジポダールアルコキシシラン、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせであり得る。有機官能性アルコキシシランは、モノアルコキシシランとジポダールアルコキシシランとの組み合わせであり得る。アミノ官能性アルコキシシランについて、R20は-NHであり得る。
【0285】
Silquest(登録商標)という商標名の好適なアミノ官能性アルコキシシランの例としては、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(Silquest(登録商標)A-1100)、γ-アミノプロピルシルセスキオキサン(Silquest(登録商標)A-1108)、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(Silquest(登録商標)A-1110)、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(Silquest(登録商標)1120)、ベンジルアミノシラン(Silquest(登録商標)1128)、トリアミノ官能性シラン(Silquest(登録商標)A-1130)、ビス-(γ-トリエトキシシリルプロピル)アミン(Silquest(登録商標)Y-11699)、ビス-(γ-トリメトキシシリルプロピル)アミン(Silquest(登録商標)A-1170)、ポリアザミド(Silquest(登録商標)A-1387)、エトキシ系ポリアザミド(Silquest(登録商標)Y-19139)、およびN-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン(Silquest(登録商標)A-2120)が挙げられる。
【0286】
好適なアミン官能性アルコキシシランは、例えば、Gelest Inc、Dow Corning Corporation、およびMomentiveから市販されている。
【0287】
共反応性組成物は、例えば、1重量%~16重量%の接着促進剤、3重量%~14重量%、5重量%~12重量%、または7重量%~10重量%の接着促進剤または接着促進剤の組み合わせを含み得て、重量%は、共反応性組成物の総重量に基づく。
【0288】
共反応性組成物は、16重量%未満の接着促進剤、14重量%未満、12重量%未満、10重量%未満、8重量%未満、6重量%未満、4重量%未満、または2重量%未満の接着促進剤または接着促進剤の組み合わせを含み得て、重量%は、共反応性組成物の総重量に基づく。
【0289】
多層系の層を形成するための共反応性組成物は、充填材または充填材の組み合わせを含み得る。充填材は、例えば、無機充填材、有機充填材、1未満の比重を有する充填材のような低密度充填材、伝導性充填材、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせを含み得る。
【0290】
多層系を形成するための共反応性組成物は、無機充填材または無機充填材の組み合わせ
を含み得る。
【0291】
無機充填材は、例えば、機械的強化をもたらし、かつ組成物のレオロジー特性を制御するために含まれ得る。無機充填材は、例えば、衝撃強度を増加させるため、粘度を制御するため、または硬化される共反応性組成物の電気的特性を改変するためなど、所望の物理的特性を付与するために組成物に添加され得る。
【0292】
シーラント組成物中で有用な無機充填材としては、カーボンブラック、炭酸カルシウム、沈殿炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水和アルミナ(水酸化アルミニウム)、タルク、雲母、二酸化チタン、アルミナシリケート、カーボネート、白亜、シリケート、ガラス、金属酸化物、黒鉛、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0293】
好適な炭酸カルシウム充填材としては、Socal(登録商標)31、Socal(登録商標)312、Socal(登録商標)U1S1、Socal(登録商標)UaS2、Socal(登録商標)N2R、Winnofil(登録商標)SPM、およびSolvay Special Chemicalsから入手可能なWinnofil(登録商標)SPTのような製品が挙げられ得る。炭酸カルシウム充填材は、沈殿炭酸カルシウムの組み合わせを含み得る。
【0294】
無機充填材を表面処理して、無機充填材の分散および無機充填材と共反応性組成物の他の構成要素との適合性を促進することができる疎水性表面または親水性表面を提供することができる。無機充填材は、例えば表面修飾されたシリカのような表面修飾された粒子を含み得る。シリカ粒子の表面は、例えば、シリカ粒子の表面の疎水性または親水性を調整するように改質され得る。表面改質は、粒子の分散性、粘度、硬化速度、および/または接着性に影響を与え得る。
【0295】
共反応性組成物は、有機充填材または有機充填材の組み合わせを含み得る。
【0296】
有機充填材は、低い比重を有するように、およびJRFタイプIのような溶媒に耐性があるように、および/または層の密度を低下させるように選択され得る。好適な有機充填材も、硫黄含有ポリマーマトリックスへの許容可能な接着性を有し得る。有機充填材は、固体粉末もしくは粒子、中空粉末もしくは粒子、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0297】
有機充填材は、例えば、1.15未満、1.1未満、1.05未満、1未満、0.95未満、0.9未満、0.8未満、または0.7未満の比重を有し得る。有機充填材は、例えば、0.85~1.15の範囲、0.9~1.1の範囲、0.9~1.05の範囲、または0.85~1.05の範囲の比重を有し得る。
【0298】
有機充填材は、熱可塑性物質、熱硬化性物質、またはそれらの組み合わせを含み得る。好適な熱可塑性物質および熱硬化性物質の例としては、エポキシ、エポキシアミド、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルフルオリド、テトラフルオロエチレン、ポリアミド、ポリイミド、エチレンプロピレン、ペルフルオロ炭化水素、フルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、メラミン、ポリエステル、フェノール類、エピクロロヒドリン、フッ素化炭化水素、多環式物質、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリスルフィド、ポリウレタン、イソブチレンイソプレン、シリコーン、スチレンブタジエン、液晶ポリマー、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0299】
好適なポリアミド6およびポリアミド12粒子の例は、SP-500、SP-10、TR-1、およびTR-2のグレードとしてToray Plasticsから入手可能である。好適なポリアミド粉末はまた、Arkema GroupからOrgasol(登録商標)の商標名で、およびEvonik IndustriesからVestosin(登録商標)の商標名で入手可能である。
【0300】
有機充填材は、任意の好適な形状を有し得る。例えば、有機充填材は、所望のサイズ範囲を選択するために濾過された粉砕ポリマーの画分を含み得る。有機充填材は、実質的に球状の粒子を含み得る。粒子は、固体であり得るか、または多孔質であり得る。
【0301】
有機充填材は、例えば、1μm~100μm、2μm~40μm、2μm~30μm、4μm~25μm、4μm~20μm、2μm~12μm、または5μm~15μmの範囲の平均粒径を有し得る。有機充填材は、例えば、100μm未満、75μm未満、50μm未満、40μm未満、または20μm未満の平均粒径を有し得る。粒径分布は、フィッシャーサブシーブサイザーを使用することによって、または光学検査によって決定され得る。
【0302】
有機充填材は、改変されて膨張した熱可塑性マイクロカプセルのような低密度充填材を含み得る。好適な改変されて膨張した熱可塑性マイクロカプセルは、メラミンまたは尿素/ホルムアルデヒド樹脂の外側コーティングを含み得る。
【0303】
共反応性組成物は、低密度マイクロカプセルを含み得る。低密度マイクロカプセルは、熱膨張性マイクロカプセルを含み得る。
【0304】
熱膨張性マイクロカプセルとは、所定の温度で膨張する揮発性材料を含む中空シェルを指す。熱膨張性熱可塑性マイクロカプセルは、5μm~70μm、場合によっては10μm~24μm、または10μm~17μmの平均初期粒径を有し得る。「平均初期粒径」という用語は、任意の膨張前のマイクロカプセルの平均粒径(粒径分布の数加重平均)を指す。粒径分布は、フィッシャーサブシーブサイザーを使用することによって、または光学検査によって決定され得る。
【0305】
熱膨張性マイクロカプセルの壁を形成するのに好適な材料の例としては、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、スチレン、ポリカーボネート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、および酢酸ビニルのポリマー、これらのモノマーのコポリマー、ならびにこれらのポリマーおよびコポリマーの組み合わせが挙げられる。架橋剤は、熱膨張性マイクロカプセルの壁を形成する材料と共に含まれ得る。
【0306】
好適な熱可塑性マイクロカプセルの例としては、AkzoNobelから入手可能なExpancel(商標)DEマイクロスフィアのようなExpancel(商標)マイクロカプセルが挙げられる。好適なExpancel(商標)DEマイクロスフィアの例としては、Expancel(商標)920DE40およびExpancel(商標)920DE80が挙げられる。好適な低密度マイクロカプセルは、Kureha Corporationからも入手可能である。
【0307】
低密度マイクロカプセルのような低密度充填材は、比重が、0.01~0.09の範囲、0.04~0.09の範囲、0.04~0.08の範囲、0.01~0.07の範囲、0.02~0.06の範囲、0.03~0.05の範囲、0.05~0.09の範囲、0.06~0.09の範囲、または0.07~0.09の範囲にあることを特徴とし得て、比重は、ISO787-11に従って決定される。低密度マイクロカプセルのような低密度充填材は、比重が、0.1未満、0.09未満、0.08未満、0.07未満、0.0
6未満、0.05未満、0.04未満、0.03未満、または0.02未満であることを特徴とし得て、比重は、ISO787-11に従って決定される。
【0308】
低密度マイクロカプセルのような低密度充填材は、平均粒径が1μm~100μmであり、実質的に球状の形状を有し得ることを特徴とし得る。実質的に球形の粒子は、低密度マイクロカプセルのような低密度充填材粒子の最小断面寸法未満の最大断面寸法を有し得て、平均粒径が、例えば、ASTM D6913に従って決定して、10μm~100μm、10μm~60μm、10μm~40μm、または10μm~30μmであることを特徴とし得る。
【0309】
低密度マイクロカプセルのような低密度充填材は、メラミン樹脂のようなアミノプラスト樹脂のコーティングを有する膨張したマイクロカプセルまたはマイクロバルーンを含み得る。アミノプラスト樹脂でコーティングされた粒子は、例えば、米国特許第8,993,691号に記載されている。そのようなマイクロカプセルは、熱可塑性シェルに取り囲まれた発泡剤を含むマイクロカプセルを加熱することによって形成され得る。コーティングされていない低密度マイクロカプセルを尿素/ホルムアルデヒド樹脂のようなアミノプラスト樹脂と反応させて、粒子の外面に熱硬化性樹脂のコーティングを提供することができる。
【0310】
アミノプラスト樹脂のコーティングによって、アミノプラストでコーティングされたマイクロカプセルは、比重が、例えば、0.02~0.08の範囲、0.02~0.07の範囲、0.02~0.06の範囲、0.03~0.07の範囲、0.03~0.065の範囲、0.04~0.065の範囲、0.045~0.06の範囲、または0.05~0.06の範囲にあることを特徴とし得て、比重は、ISO787-11に従って決定される。
【0311】
共反応性組成物は、微粒子化された酸化ポリエチレンホモポリマーを含み得る。有機充填材は、酸化ポリエチレン粉末のようなポリエチレンを含み得る。好適なポリエチレンは、例えば、Honeywell International,Inc.からACumist(登録商標)という商標名で、INEOSからEltrex(登録商標)という商標名で、およびMitsui Chemicals America, Inc.からMipelon(登録商標)という商標名で入手可能である。
【0312】
共反応性組成物は、例えば、1重量%~90重量%の低密度充填材、1重量%~60重量%、1重量%~40重量%、1重量%~20重量%、1重量%~10重量%、または1重量%~5重量%の低密度充填材を含み得て、重量%は、共反応性組成物の総重量に基づく。
【0313】
共反応性組成物は、1重量%超の低密度充填材、1重量%超、2重量%超、3重量%超、4重量%超、6重量%超、または10重量%超の低密度充填材を含み得て、重量%は、共反応性組成物の総重量に基づく。
【0314】
共反応性組成物は、1体積%~90体積%の低密度充填材、5体積%~70体積%、10体積%~60体積%、20体積%~50体積%、または30体積%~40体積%の低密度充填材を含み得て、体積%は、共反応性組成物の総体積に基づく。
【0315】
共反応性組成物は、1体積%超の低密度充填材、5体積%超、10体積%超、20体積%超、30体積%超、40体積%超、50体積%超、60体積%超、70体積%、または80体積%超の低密度充填材を含み得て、体積%は、共反応性組成物の総体積に基づく。
【0316】
共反応性組成物は、伝導性充填材または伝導性充填材の組み合わせを含み得る。伝導性充填材は、電気伝導性充填材、半導体性充填材、熱伝導性充填材、磁性充填材、EMI/RFI遮蔽充填材、静電気散逸性充填材、電気活性充填材、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせを含み得る。EMI/RFI遮蔽効果は、ASTM D4935に従って決定され得る。
【0317】
共反応性組成物は、電気伝導性充填材または電気伝導性充填材の組み合わせを含み得る。
【0318】
硬化層を電気伝導性にするために、電気伝導性充填材の濃度は、電気伝導性粒子の伝導性ネットワークが形成される電気浸透閾値を上回り得る。電気浸透閾値に達したら、充填材の充填量に応じた導電率の増加を単純なべき乗形式でモデル化することができ:
σ=σ(φ-φ EQN.1
式中、φは充填材の体積分率であり、φは浸透閾値であり、σは充填材の導電率であり、φは複合導電率であり、tはスケーリング成分である。充填材は、電流の流れのために直接接触している必要はなく、伝導は、電気伝導性充填材粒子を取り囲む結合剤の薄層間のトンネリングを介して生じ得て、このトンネリング抵抗は、電気伝導性層の伝導性の制限因子であり得る。
【0319】
伝導性充填材は、任意の好適な形状および/または寸法を有し得る。例えば、電気伝導性充填材は、粒子、粉末、フレーク、小板、フィラメント、繊維、結晶、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせの形態にあり得る。
【0320】
伝導性充填材は、異なる形状、異なる寸法、異なる特性(例えば、異なる熱伝導率、電気伝導率、導磁率、電磁特性、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせなど)を有する伝導性充填材の組み合わせを含み得る。
【0321】
伝導性充填材は、固体であり得るか、または伝導性材料のコーティングを有する粒子のような基材の形態にあり得る。例えば、伝導性充填材は、外側伝導性コーティングを有する低密度マイクロカプセルであり得る。
【0322】
伝導性充填材のような好適な電気伝導性充填材の例としては、金属、金属合金、伝導性酸化物、半導体、炭素、炭素繊維、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0323】
電気伝導性充填材の他の例としては、純銀のような電気伝導性貴金属系充填材;銀めっきされた金のような貴金属めっきされた貴金属;銀めっきされた銅、ニッケル、またはアルミニウムのような貴金属めっきされた非貴金属、例えば、銀めっきされたアルミニウムコア粒子または白金めっきされた銅粒子;銀めっきされたガラス微粒子、貴金属めっきされたアルミニウム、または貴金属めっきされたプラスチック微粒子のような貴金属めっきされたガラス、プラスチック、またはセラミック;貴金属めっきされた雲母;および他のそのような貴金属伝導性充填材が挙げられる。非貴金属系材料も使用することができ、これとしては、例えば、銅コーティングされた鉄粒子またはニッケルめっきされた銅のような非貴金属めっきされた非貴金属;非貴金属、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト;非貴金属めっきされた非金属、例えば、ニッケルめっきされた黒鉛、およびカーボンブラックおよび黒鉛のような非金属材料が挙げられ得る。電気伝導性充填材の組み合わせおよび電気伝導性充填材の形状は、所望の伝導性、EMI/RFI遮蔽効果、硬度、および特定の用途に好適な他の特性を達成するように使用され得る。
【0324】
電気伝導性充填材の量および種類は、硬化したときに0.50Ω/cm未満のシート
抵抗(4点抵抗)または0.15Ω/cm未満のシート抵抗を呈する共反応性組成物を生成するように選択され得る。充填材の量および種類はまた、本開示によって提供される多層組成物を使用して密封された開口部に対して、1MHz~18GHzの周波数範囲にわたって、効果的なEMI/RFI遮蔽をもたらすように選択され得る。
【0325】
有機充填材、無機充填材、および低密度充填材を金属でコーティングして、伝導性充填材を提供することができる。
【0326】
電気伝導性充填材は、グラフェンを含み得る。グラフェンは、1個の炭素原子の原子サイズに等しい厚さ、すなわち、2次元格子に配列されたsp混成炭素原子の単層を有する、炭素原子から作製される密充填ハニカム結晶格子を含む。
【0327】
グラフェンは、グラフェン系炭素粒子を含み得る。グラフェン系炭素粒子とは、ハニカム結晶格子に密充填されたsp結合炭素原子の1原子厚の平面シートを1層または1層より多く含む構造を有する炭素粒子を指す。積層層の平均数は、100未満、例えば50未満であり得る。積層層の平均数は、30もしくは30未満、例えば、20もしくは20未満、10もしくは10未満、または場合によって5もしくは5未満であり得る。グラフェン系炭素粒子は、実質的に平坦であり得るが、平面シートの少なくとも一部は、実質的に湾曲していても、カールしていても、折り曲がっていても、または歪んでいてもよい。グラフェン系炭素粒子は、典型的には、楕円体または等軸化形態を有しない。
【0328】
グラフェン系炭素粒子は、炭素原子層に垂直な方向で測定して、例えば、10nmもしくは10nm未満、5nmもしくは5nm未満、または4nmもしくは4nm未満、または3nmもしくは3nm未満、または2nmもしくは2nm未満、または1nmもしくは1nm未満、例えば、3.6nmもしくは3.6nm未満の厚さを有し得る。グラフェン系炭素粒子は、1原子層~3、6、9、12、20、もしくは30原子層まで、またはそれを超える厚さであり得る。グラフェン系炭素粒子は、炭素原子層に平行な方向で測定して、少なくとも50nm、例えば、100nm超、100nm超~500nmまで、または100nm超~200nmまでの幅および長さを有し得る。グラフェン系炭素粒子は、比較的高いアスペクト比を有する超薄片、小板、またはシートの形態で提供され得て、アスペクト比は、粒子の最長寸法と粒子の最短寸法との比であり、3超:1、例えば、10超:1である。
【0329】
グラフェン系炭素粒子は、剥離黒鉛を含み得て、熱的に生成されたグラフェン系炭素粒子と比較して、異なるサイズ分布、厚さ、アスペクト比、構造形態、酸素含有量、および基底面/縁における化学的官能性のような異なる特徴を有する。
【0330】
グラフェン系炭素粒子は、官能化され得る。官能化されたグラフェン系炭素粒子とは、有機基がグラフェン系炭素粒子に共有結合しているグラフェン系炭素粒子を指す。グラフェン系炭素粒子は、粒子の炭素原子と、カルボン酸基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミン基、脂肪族炭化水素基、フェニル基などのような他の化学部分との間の共有結合を形成することによって官能化され得る。例えば、炭素質材料による官能化は、グラフェン系炭素粒子においてカルボン酸基の形成をもたらし得る。グラフェン系炭素粒子はまた、ディールス・アルダー付加反応、1,3-双極子環付加反応、フリーラジカル付加反応、およびジアゾニウム付加反応のような他の反応によって官能化され得る。炭化水素およびフェニル基は、さらに官能化され得る。ヒドロキシル官能基を有するグラフェン系炭素粒子の場合、ヒドロキシル官能基は、これらの基を例えば有機イソシアネートと反応させることによって修飾および伸長され得る。
【0331】
異なる種類のグラフェン系炭素粒子が、共反応性組成物中で使用され得る。
【0332】
共反応性組成物は、例えば、2重量%~50重量%、4重量%~40重量%、6重量%~35重量%、または10重量%~30重量%の熱的に生成されたグラフェン系炭素粒子を含み得る。
【0333】
電気伝導性およびEMI/RFI遮蔽効果を付与するために使用される充填材をグラフェンと組み合わせて使用することができる。
【0334】
カーボンナノチューブのような電気伝導性非金属充填材、黒鉛化炭素繊維のような炭素繊維、および電気伝導性カーボンブラックを、グラフェンと組み合わせて共反応性組成物中で使用することもできる。
【0335】
伝導性充填材は、磁性充填材または磁性充填材の組み合わせを含み得る。
【0336】
磁性充填材は、軟磁性金属を含み得る。これは、磁性モールド樹脂の透過性を向上させることができる。軟磁性金属の主成分としては、Fe、Fe-Co、Fe-Ni、Fe-Al、およびFe-Siから選択される少なくとも1つの磁性材料が使用され得る。磁性充填材は、高いバルク透過性を有する軟磁性金属であり得る。軟磁性金属としては、Fe、FeCo、FeNi、FeAl、およびFeSiから選択される少なくとも1つの磁性材料が使用され得る。具体例としては、パーマロイ(FeNi合金)、スーパーパーマロイ(FeNiMo合金)、センダスト(FeSiAl合金)、FeSi合金、FeCo合金、FeCr合金、FeCrSi合金、FeNiCo合金、およびFeが挙げられる。磁性充填材の他の例としては、鉄系粉末、鉄-ニッケル系粉末、鉄粉末、フェライト粉末、アルニコ粉末、SmCo17粉末、Nd-B-Fe粉末、バリウムフェライトBaFe、ビスマスフェライトBiFeO、二酸化クロムCrO、SmFeN、NdFeB、およびSmCoが挙げられる。
【0337】
磁性充填材の表面は、絶縁コーティングされ得るか、または10nmもしくは10nmを超える絶縁コーティングの膜厚を有し得る。
【0338】
磁性充填材の表面は、流動性、接着性、および絶縁性能を向上させるために、Si、Al、Ti、Mgのような金属酸化物または有機材料で絶縁コーティングされ得る。
【0339】
グラフェンおよび黒鉛以外の伝導性充填材として使用するのに好適な炭素質材料の例としては、例えば、黒鉛化カーボンブラック、炭素繊維およびフィブリル、蒸気成長炭素ナノ繊維、金属コーティングされた炭素繊維、単壁および多壁ナノチューブを含むカーボンナノチューブ、フラーレン、活性炭、炭素繊維、膨張黒鉛、膨張性黒鉛、黒鉛酸化物、中空炭素球、およびカーボンフォームが挙げられる。
【0340】
伝導性充填材は、半導体または半導体の組み合わせを含み得る。
【0341】
好適な半導体材料の例としては、ナノ粒子、ナノロッド、ナノワイヤ、ナノチューブ、およびナノシートのような半導体ナノ材料、酸化スズ、酸化アンチモン、および酸化インジウムのような半導体金属酸化物、PEDOT:PSS、ポリチオフェン、ポリ(p-フェニレンスルフィド)、ポリアニリン、ポリ(ピロール)、ポリ(アセチレン)、ポリ(p-フェニレンビニレン)、ポリパラフェニレン、任意の他の共役ポリマー、および半導体小分子のような半導体ポリマー、例えば、ルブレン、ペンタセン、アントラセン、および芳香族炭化水素のような5,000Da未満の分子量を有する半導体ポリマーが挙げられる。半導体ナノ材料の例としては、量子ドット、III-VまたはII-VI半導体、Si、Ge、遷移金属ジカルコゲニド(WS2、WSe、およびMoSeなど)、グ
ラフェンナノリボン、半導体カーボンナノチューブ、ならびにフラーレンおよびフラーレン誘導体が挙げられる。
【0342】
充填材は、鋼、チタン、アルミニウム、金、銀、および前述のもののうちのいずれかの合金のような金属繊維を含み得る。
【0343】
好適なセラミック繊維の例としては、アルミナ繊維、アルミナシリケート繊維、窒化ホウ素繊維、炭化ケイ素繊維、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせのような金属酸化物が挙げられる。
【0344】
好適な無機繊維の例としては、炭素、アルミナ、玄武岩、ケイ酸カルシウム、および岩綿が挙げられる。
【0345】
繊維は、S-ガラス繊維、E-ガラス繊維、ソーダ-石灰-シリカ繊維、玄武岩繊維、または石英繊維のようなガラス繊維であり得る。ガラス繊維は、織られたおよび/もしくは編組されたガラス繊維または不織布ガラス繊維の形態にあり得る。
【0346】
繊維は、炭素を含み得て、例えば、黒鉛繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、炭化ケイ素繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維、またはポリエチレン繊維であり得る。連続繊維は、チタン、タングステン、ホウ素、形状記憶合金、黒鉛、炭化ケイ素、ホウ素、アラミド、ポリ(p-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール)、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせを含み得る。
【0347】
高温に耐えることができる繊維としては、例えば、炭素繊維、高強度ガラス(SiO)繊維、酸化物繊維、アルミナ繊維、セラミック繊維、金属繊維、および高温熱可塑物質または熱硬化性物質の繊維が挙げられる。
【0348】
充填材は、カーボンナノチューブを含み得る。好適なカーボンナノチューブは、厚さまたは長さが、例えば、1nm~5,000nmであることを特徴とし得る。好適なカーボンナノチューブは、形状が円筒形であり、フラーレンに構造的に関連し得る。好適なカーボンナノチューブは、それらの端部で開放またはキャッピングされ得る。好適なカーボンナノチューブは、例えば、90重量%超、95重量%超、99重量%超、または99.9重量%超の炭素を含み得て、重量%は、カーボンナノチューブの総重量に基づく。
【0349】
カーボンナノチューブは、単壁ナノチューブ(SWNT)および多壁ナノチューブ(MWNT)として、例えば、1つの壁を有するナノチューブおよび1つより多くの壁を有するナノチューブとしてそれぞれ提供され得る。単壁ナノチューブにおいて、1原子厚の原子シート、例えば、1原子厚の黒鉛シート、すなわち、グラフェンは、シームレスに圧延されて、円筒を形成する。多壁ナノチューブは、同心円状に配置されたいくつかのそのような円筒からなる。
【0350】
多壁カーボンナノチューブは、例えば、平均5~15の壁を有し得る。
【0351】
単壁ナノチューブは、直径が、少なくとも0.5nm、例えば、少なくとも1nmまたは少なくとも2nmであることを特徴とし得る。SWNTは、50nm未満、例えば、30nm未満または10nm未満の直径を有し得る。単壁ナノチューブの長さは、少なくとも0.05μm、少なくとも0.1μm、または少なくとも1μmであり得る。長さは、50mm未満、例えば、25mm未満であり得る。
【0352】
多壁ナノチューブは、外径が、少なくとも1nm、例えば、少なくとも2nm、4nm
、6nm、8nm、または少なくとも9nmであることを特徴とし得る。外径は、100nm未満、80nm未満、60nm未満、40nm未満、または20nm未満であり得る。外径は、9nm~20nmであり得る。多壁ナノチューブの長さは、50nm未満、75nm未満、または100nm未満であり得る。長さは、500μm未満または100μm未満であり得る。長さは、100nm~10μmであり得る。多壁カーボンナノチューブは、9nm~20nmの平均外径および/または100nm~10μmの平均長さを有し得る。
【0353】
カーボンナノチューブは、例えば、200m/g~400m/gのBET表面積を有し得る。カーボンナノチューブは、5~15までの平均壁数を有し得る。BET表面積は、ASTM D6556に従って決定され得る。
【0354】
共反応性組成物は、熱伝導性充填材または熱伝導性充填材の組み合わせを含み得る。
【0355】
熱伝導性充填材としては、例えば、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ヒ化ホウ素のような金属窒化物、ダイヤモンド、黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、グラフェン、およびグラフェン系炭素粒子のような炭素化合物、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化銅、酸化スズのような金属酸化物、水酸化アルミニウムもしくは水酸化マグネシウムのような金属水酸化物、炭化ケイ素のような炭化物、メノウおよびエメリーのような鉱物、セラミック微小球、ムライト、シリカ、炭化ケイ素、カルボニル鉄、モリブデン酸セリウム(III)、銅、亜鉛、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられ得る。
【0356】
共反応性組成物は、5重量%超の伝導性充填材、10重量%超、20重量%超、30重量%超、40重量%超、50重量%超、60重量%超、70重量%超、80重量%超、90重量%超、または95重量%超の伝導性充填材を含み得て、重量%は、共反応性組成物の総重量に基づく。共反応性組成物は、5重量%未満の伝導性充填材、10重量%未満、20重量%未満、30重量%未満、40重量%未満、50重量%未満、60重量%未満、70重量%未満、80重量%未満、90重量%未満、または95重量%未満の伝導性充填材を含み得て、重量%は、共反応性組成物の総重量に基づく。本開示によって提供される共反応性組成物は、1重量%~95重量%の伝導性充填材、5重量%~75重量%、10重量%~60重量%、または20重量%~50重量%の伝導性充填材を有し得て、重量%は、共反応性組成物の総重量に基づく。
【0357】
共反応性組成物は、5体積%超の伝導性充填材、10体積%超、20体積%超、30体積%超、40体積%超、50体積%超、60体積%超、70体積%超、80体積%超、90体積%超、または95体積%超の伝導性充填材を含み得て、体積%は、共反応性組成物の総体積に基づく。共反応性組成物は、5体積%未満の伝導性充填材、10体積%未満、20体積%未満、30体積%未満、40体積%未満、50体積%未満、60体積%未満、70体積%未満、80体積%未満、90体積%未満、または95体積%未満の伝導性充填材を含み得て、体積%は、共反応性組成物の総体積に基づく。本開示によって提供される共反応性組成物は、1体積%~95体積%の伝導性充填材、5体積%~75体積%、10体積%~60体積%、または20体積%~50体積%の伝導性充填材を有し得て、体積%は、共反応性組成物の総体積に基づく。
【0358】
共反応性組成物は、反応性希釈剤または反応性希釈剤の組み合わせを含み得る。反応性希釈剤は、共反応性組成物の初期粘度を低下させるために使用され得る。反応性希釈剤は、組成物の主要反応物のうちの少なくとも1つと反応し、架橋ネットワークの一部となることができる少なくとも1つの官能基を有する化合物であり得る。反応性希釈剤は、例えば、1つの官能基または2つの官能基を有し得る。反応性希釈剤は、組成物の粘度を制御
するために、または共反応性組成物中の充填材の濡れを改善するために使用され得る。
【0359】
共反応性組成物は、反応性希釈剤としてヒドロキシル官能性ビニルエーテルまたはヒドロキシル官能性ビニルエーテルの組み合わせを含み得る。
【0360】
ヒドロキシル官能性ビニルエーテルは、式(12)の構造を有し得て:
CH=CH-O-(CH-OH (12)
式中、wは、2~10の整数である。式(12)のヒドロキシル官能性ビニルエーテルにおいて、wは、2、3、4、5であり得るか、またはwは、6であり得る。好適なヒドロキシル官能性ビニルエーテルの例としては、1-メチル-3-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、およびそれらの組み合わせが挙げられる。ヒドロキシル官能性ビニルエーテルは、反応性希釈剤としての4-ヒドロキシブチルビニルエーテルであり得る。
【0361】
共反応性組成物は、例えば、0.1重量%~10重量%、0.2重量%~9重量%、0.3重量%~0.7重量%、および0.4重量%~0.7重量%のヒドロキシル官能性ビニルエーテルを含み得て、重量%は、共反応性組成物の総重量に基づく。
【0362】
共反応性組成物は、アミノ官能性ビニルエーテルまたはアミノ官能性ビニルエーテルの組み合わせを含み得る。
【0363】
アミノ官能性ビニルエーテルは、式(13)の構造を有し得て:
CH=CH-O-(CH-NH (13)
式中、tは、2~10の整数である。式(13)のアミノ官能性ビニルエーテルにおいて、tは、2、3、4、5であり得るか、またはtは、6であり得る。好適なアミノ官能性ビニルエーテルの例としては、1-メチル-3-アミノプロピルビニルエーテル、4-アミノブチルビニルエーテル、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられる。アミノ官能性ビニルエーテルは、4-アミノブチルビニルエーテルであり得る。
【0364】
共反応性組成物は、エポキシ官能性ビニルエーテルまたはエポキシ官能性ビニルエーテルの組み合わせを含み得る。
【0365】
ヒドロキシル官能性ビニルエーテルは、式(14)の構造を有し得て:
CH=CH-O-(CH-R (14)
式中、wは、2~10の整数であり、Rは、エポキシ基である。式(14)のエポキシ官能性ビニルエーテルにおいて、wは、2、3、4、5、またはwは、6であり得る。エポキシ官能性ビニルエーテルは、2-(4(ビニルオキシ)ブチル)オキシランであり得る。
【0366】
共反応性組成物は、例えば、0.1重量%~10重量%、0.2重量%~9重量%、0.3重量%~0.7重量%、および0.4重量%~0.7重量%のアミノ官能性ビニルエーテルを含み得て、重量%は、共反応性組成物の総重量に基づく。
【0367】
共反応性組成物は、反応性希釈剤として、スチレン、α-メチルスチレン、およびパラ-ビニルトルエン;酢酸ビニル;ならびに/またはn-ビニルピロリドンのようなビニル系希釈剤を含み得る。
【0368】
共反応性組成物は、可塑剤または可塑剤の組み合わせを含有し得る。可塑剤は、共反応性組成物の初期粘度を調整し、塗布を容易にするために含まれ得る。
【0369】
好適な可塑剤の例としては、フタレート、テレフタル酸、イソフタル酸、水素化テルフェニル、クアテルフェニルおよびより高級のポリフェニル、フタル酸エステル、塩素化パラフィン、変性ポリフェニル、桐油、ベンゾエート、ジベンゾエート、熱可塑性ポリウレタン可塑剤、フタル酸エステル、ナフタレンスルホネート、トリメリテート、アジペート、セバケート、マレエート、スルホンアミド、有機ホスフェート、ポリブテン、ブチルアセテート、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトールアセテート、ジペンテン、トリブチルホスフェート、ヘキサデカノール、ジアリルフタレート、スクロースアセテートイソブチレート、イソオクチルタレートのエポキシエステル、ベンゾフェノン、ならびに前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0370】
共反応性組成物は、0.5重量%~7重量%の可塑剤または可塑剤の組み合わせ、1重量%~6重量%、2重量%~5重量%、または2重量%~4重量%の可塑剤または可塑剤の組み合わせを含み得て、重量%は、共反応性組成物の総重量に基づく。共反応性組成物は、8重量%未満の可塑剤、6重量%未満、4重量%未満、または2重量%未満の可塑剤または可塑剤の組み合わせを含み得て、重量%は、共反応性組成物の総重量に基づく。
【0371】
共反応性組成物は、腐食抑制剤または腐食抑制剤の組み合わせを含み得る。
【0372】
好適な腐食抑制剤の例としては、リン酸亜鉛系腐食抑制剤、オルトケイ酸リチウム(LiSiO)およびメタケイ酸リチウム(LiSiO)のようなケイ酸リチウム腐食抑制剤、MgO、アゾール、モノマーアミノ酸、二量体アミノ酸、オリゴマーアミノ酸、窒素含有複素環式化合物(アゾール、オキサゾール、チアゾール、チアゾリン、イミダゾール、ジアゾール、ピリジン、インドリジンおよびトリアジン、テトラゾール、ならびに/またはトリルトリアゾールなど)、無機酸化物粒子のような耐食性粒子(例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化セリウム(CeO)、酸化モリブデン(MoO)、および/または二酸化ケイ素(SiO)を含む)、ならびに前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0373】
共反応性組成物は、5重量%未満の腐食抑制剤または腐食抑制剤の組み合わせ、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、または0.5重量%未満の腐食抑制剤または腐食抑制剤の組み合わせを含み得て、重量%は、共反応性組成物の総重量に基づく。共反応性組成物は、例えば、0.1重量%超の腐食抑制剤、0.5重量%超、1重量%超、または2重量%超の腐食抑制剤を含み得て、重量%は、共反応性組成物の総重量に基づく。
【0374】
共反応性組成物は、難燃剤または難燃剤の組み合わせを含み得る。
【0375】
難燃剤としては、無機難燃剤、有機難燃剤、またはそれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0376】
好適な無機難燃剤の例としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、酸化アンチモン、ハイドロマグネサイト、三水酸化アルミニウム(ATH)、リン酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ホウ酸バリウム、カオリナイト、シリカ、酸化アンチモン、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0377】
好適な有機難燃剤の例としては、ハロカーボン、ハロゲン化エステル、ハロゲン化エーテル、塩素化および/または臭素化難燃剤、有機リン化合物、有機窒素化合物のようなハロゲン不含化合物、ならびに前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0378】
共反応性組成物は、例えば、共反応性組成物の総重量に基づいて、1重量%~30重量
%、例えば、1重量%~20重量%または1重量%~10重量%の難燃剤または難燃剤の組み合わせを含み得る。例えば、共反応性組成物は、共反応性組成物の総重量に基づいて、30重量%未満、20重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、または2重量%未満の難燃剤または難燃剤の組み合わせを含み得る。
【0379】
共反応性組成物は、水分制御添加剤または水分制御添加剤の組み合わせを含み得る。
【0380】
好適な水分制御添加剤の例としては、合成ゼオライト、活性アルミナ、シリカゲル、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、モレキュラーシーブ、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム、アルコキシシラン、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0381】
共反応性組成物は、5重量%未満の水分制御添加剤または水分制御添加剤の組み合わせ、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、または0.5重量%未満の水分制御添加剤または水分制御添加剤の組み合わせを含み得て、重量%は、共反応性組成物の総重量に基づく。
【0382】
共反応性組成物は、UV安定剤またはUV安定剤の組み合わせを含み得る。UV安定剤は、UV吸収剤およびヒンダードアミン光安定剤を含み得る。好適なUV安定剤の例としては、Cyasorb(登録商標)(Solvay)、Uvinul(登録商標)(BASF)、およびTinuvin(登録商標)(BASF)という商標名の製品が挙げられる。
【0383】
共反応性組成物は、顔料および/または染料のような着色剤を含み得る。
【0384】
好適な無機顔料の例としては、カドミウム、炭素、クロム、コバルト、銅、酸化鉄、鉛、水銀、チタン、タングステン、および亜鉛を含有するもののような金属含有無機顔料が挙げられる。例としては、ウルトラマリンブルー、ウルトラマリンバイオレット、還元された酸化タングステン、アルミン酸コバルト、リン酸コバルト、ピロリン酸マンガンアンモニウム、および/または金属不含無機顔料がさらに挙げられる。無機顔料ナノ粒子は、ウルトラマリンブルー、ウルトラマリンバイオレット、プルシアンブルー、コバルトブルー、および/または還元された酸化タングステンを含み得る。特定の有機顔料の例としては、インダントロン、キナクリドン、フタロシアニンブルー、銅フタロシアニンブルー、およびペリレンアントラキノンが挙げられる。
【0385】
好適な顔料のさらなる例としては、黄色、褐色、赤色、および黒色の全ての色合いの酸化鉄顔料;それらの全ての物理的形態および粒子カテゴリーのもの;全ての異なる無機表面処理における酸化チタン顔料;ニッケルおよびチタン酸ニッケルと共沈殿してもいる酸化クロム顔料;有機燃焼からの黒色顔料(例えば、カーボンブラック);様々なα、β、およびε結晶形態の塩素化および臭素化されてもいる銅フタロシアニンに由来する青色および緑色顔料;鉛スルホクロメートに由来する黄色顔料;鉛ビスマスバナデートに由来する黄色顔料;鉛スルホクロメートモリブデートに由来するオレンジ色顔料、アリールアミドに基づく有機的性質の黄色顔料;ナフトールに基づく有機的性質のオレンジ色顔料;ジケト-ピロロ-ピロールに基づく有機的性質のオレンジ色顔料、アゾ染料のマンガン塩に基づく赤色顔料;ベータ-オキシナフトエ酸のマンガン塩に基づく赤色顔料;赤色の有機キナクリドン顔料;ならびに赤色の有機アントラキノン顔料が挙げられる。
【0386】
好適な染料の例としては、アクリジン、アントラキノン、アリールメタン染料、アゾ染料、フタロシアニン染料、キノン-イミン染料(アジン染料を含む)、インダミン、インドフェニル、オキサジン、オキサゾン、およびチアジン、チアゾール染料、サフラニン染
料、キサンテン染料(フルオレン染料を含む)が挙げられる。好適な染料の例としては、アルシアンブルー、アルシアンイエロー、アリザリン、アリザリンレッド、アリザリンイエロー、アゾフロキシン、ビスマルクブラウンR、ビスマルクブラウンY、ブリリアントクレシルブルー、クリソイジンR、クリソイジンY、コンゴレッド、クリスタルバイオレット、エチルグリーン、フクシン酸、ゲンチアンバイオレット、ヤヌスグリーン、リッサミンファストイエロー、マラカイトグリーン、マルチウスイエロー、メルドラブルー、メタニルイエロー、メチルオレンジ、メチルレッド、ナフタレンブラック、ナフトールグリーン、ナフトールイエロー、オレンジG、プルプリン、ローズベンガル、スーダンII、タイタンイエロー、トロペオリンO、トロペオリンOO、トロペオリンOOO、ビクトリアブルー、およびキシレンシアノールが挙げられる。
【0387】
共反応性組成物は、フォトクロミック材料またはフォトクロミック材料の組み合わせを含み得る。
【0388】
フォトクロミック材料は、可逆フォトクロミック材料または非可逆フォトクロミック材料であり得る。フォトクロミック材料は、熱可逆フォトクロミック材料または熱不可逆フォトクロミック材料であり得る。
【0389】
フォトクロミック材料は、フォトクロミック材料の特徴の変化を引き起こすUV線のような特定の波長を有する化学放射線を吸収することによって活性化される化合物であり得る。特徴の変化は、機器を使用してまたは目視で検出され得る、フォトクロミック材料の特徴における識別可能な変化である。特徴の変化の例としては、色または色強度の変化、ならびに吸収率および/または反射率のような電磁スペクトルの可視UV、赤外線(IR)、近IRもしくは遠IR部分におけるエネルギーによる構造または他の相互作用の変化が挙げられる。可視波長における色の変化とは、400nm~800nmの範囲の波長における色の変化を指す。
【0390】
フォトクロミック材料は、UV光のような特定の波長を有する放射エネルギー(可視光および非可視光)を吸収することによって活性化されて、色の変化のような特徴の変化を起こし得る。特徴の変化は、フォトクロミック材料の特徴の変化だけであっても、または共反応性組成物の特徴の変化であってもよい。好適なフォトクロミック材料の例としては、スピロピラン、スピロピリミジン、スピロオキサジン、ジアリールエテン、フォトクロミックキノン、アゾベンゼン、他のフォトクロミック染料、およびそれらの組み合わせが挙げられる。これらのフォトクロミック材料は、放射線に曝露されると、可逆的または不可逆的な特徴の変化を起こし得て、第1および第2の状態は、異なる色であり得るか、または同じ色の異なる強度であり得る。
【0391】
共反応性組成物は、硬化の程度または化学放射線への曝露の程度に敏感なフォトクロミック剤を含み得る。硬化インジケータは、化学放射線に曝露されると色を変化させることができ、これは、恒久的または可逆的であり得る。硬化インジケータは、最初は透明であり、化学放射線に曝露されると着色され得るか、または最初に着色されており、化学放射線に曝露されると透明になり得る。
【0392】
低温柔軟性を呈する本開示によって提供される多層系の層は、例えば、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリチオエーテル、ポリスルフィド、ポリホルマール、ポリブタジエン、特定のエラストマー、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせのようなプレポリマーを含み得る。
【0393】
加水分解安定性を呈する本開示によって提供される多層系の層は、例えば、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリチオエーテル、ポリスルフィド、ポリホルマール、
ポリブタジエン、特定のエラストマー、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせのようなプレポリマー、または高い架橋密度を有する組成物を含み得て、かつ/またはエラストマーを含み得る。
【0394】
耐高温性を呈する本開示によって提供される多層系の層は、例えば、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリチオエーテル、ポリスルフィド、ポリホルマール、ポリブタジエン、特定のエラストマー、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせのようなプレポリマー、または高い架橋密度を有する組成物を含み得る。
【0395】
高い引張強度を呈する本開示によって提供される多層系の層は、例えば、シリコーンおよびポリブタジエンのようなエラストマー系プレポリマー、高い架橋密度を有する組成物、無機充填材、ならびに前述のもののうちのいずれかの組み合わせを含み得る。
【0396】
高い伸び率を呈する本開示によって提供される多層系の層は、例えば、シリコーンおよびポリブタジエンのようなエラストマー系プレポリマー、高い架橋密度を有する組成物、無機充填材、ならびに前述のもののうちのいずれかの組み合わせを含み得る。
【0397】
基材の結合またはプライマーコーティングへの結合を呈する本開示によって提供される多層系の層は、例えば、有機官能性アルコキシシラン、フェノール系樹脂、加熱処理されたフェノール系樹脂、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせ、チタネート、部分的に加水分解されたアルコキシシラン、またはそれらの組み合わせのような接着促進剤を含み得る。
【0398】
層間接着性を呈する本開示によって提供される多層系の層は、例えば、接着促進剤、隣接層中の化合物に反応性である未反応の官能基、およびそれらの組み合わせを含み得る。
【0399】
速いタックフリー時間を呈する本開示によって提供される多層系の層は、例えば、速硬化化学反応を有する共反応物、化学放射線によって硬化可能な系、触媒、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせを含み得る。
【0400】
本開示によって提供される多層系の層は、例えば、共反応物が最初に混合されてから綿球が硬化シーラントの表面にもはや付着しなくなるまでのタックフリー時間が5分未満であることを呈し得る。
【0401】
ショア10Aの硬度までの時間が速い本開示によって提供される多層系の層は、例えば、速硬化化学反応を有する共反応物、化学放射線によって硬化可能な系、触媒、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせを含み得る。
【0402】
電気伝導性、EMI/RFI遮蔽性、および/または静電気散逸性を呈する本開示によって提供される多層系の層は、例えば、電気伝導性充填材または電気伝導性充填材の組み合わせを含み得る。
【0403】
低密度を呈する本開示によって提供される多層系の層は、例えば、低密度有機充填材、中空微粒子、コーティングされた微粒子、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせのような低密度充填材を含み得る。
【0404】
耐食性を呈する本開示によって提供される多層系の層は、例えば、1つまたは1つより多くの腐食抑制剤を含み得る。
【0405】
耐食性を呈する本開示によって提供される多層系の層は、例えば、1つまたは1つより
多くの無機充填材を含み得る。
【0406】
硬化されると、本開示によって提供される多層系は、例えば、所望の耐溶媒性、低温柔軟性、加水分解安定性、耐高温性、高い張力/伸び、基材への結合、プライマーコーティングへの結合、隣接層への接着、速いタックフリー時間、ショア10Aの硬度までの速い時間、電気伝導性、EMI/RFI遮蔽性、静電気散逸性、耐食性、音減衰、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせのうちの1つまたは1つより多くを呈し得る。
【0407】
例えば、60℃で168時間にわたってISO1817に従ってジェット参照流体(JRFタイプ1)に曝露した後に、本開示によって提供される本開示系によって提供される硬化多層は、ISO37に従って決定して1.4MPa超の引張強度、ISO37に従って決定して150%超の引張伸び、およびISO868に従って決定してショア30A超の硬度を呈し得て、これらの試験は、23℃の温度および相対湿度55%の湿度で実施される。
【0408】
60℃で168時間にわたってISO11075タイプ1による融氷液に曝露した後に、本開示によって提供される硬化多層系は、ISO37に従って決定して1MPa超の引張強度およびISO37に従って決定して150%超の引張伸びを呈し得て、これらの試験は、23℃の温度および相対湿度55%の湿度で実施される。
【0409】
本開示によって提供される耐薬品性の多層系は、70℃で7日間にわたって化学物質に浸漬した後に、25%未満、20%未満、15%未満、または10%未満の膨潤率を呈し得て、膨潤率は、EN ISO10563に従って決定される。
【0410】
低膨潤率を呈する本開示によって提供される多層t系は、例えば、高い架橋密度を含み得る。膨潤率は、EN ISO10563に従って、70℃で7日間にわたって特定の溶媒中に硬化組成物を浸漬することによって決定され得る。
【0411】
本開示によって提供される多層系は、例えば、ISO37に従って23℃/相対湿度55%で決定して少なくとも1MPaの硬化時の引張強度を呈し得る。
【0412】
本開示によって提供される多層系は、例えば、ISO37に従って23℃/相対湿度55%で決定して少なくとも150%の硬化時の伸び率を呈し得る。
【0413】
本開示によって提供される多層系は、10分未満のショア10Aの硬度までの速い時間を呈し得て、硬度は、23℃/相対湿度55%でISO868に従って決定される。
【0414】
本開示によって提供される電気伝導性多層系または多層系の層は、例えば、10Ω/sq未満、10Ω/sq未満、10Ω/sq未満、10Ω/sq未満、10Ω/sq未満、10Ω/sq未満、10-1Ω/sq未満、または10-2Ω/sq未満の表面抵抗率を呈し得る。本開示によって提供される電気伝導性多層系または多層系の層の表面は、例えば、10-2~10、10Ω/sq~10Ω/sq、または10Ω/sq~10Ω/sqの表面抵抗率を有し得る。表面抵抗率は、ASTM D257に従って、23℃/相対湿度55%で決定され得る。
【0415】
本開示によって提供される多層系または多層系の層は、例えば、10Ω/cm未満、10Ω/cm未満、10Ω/cm未満、10Ω/cm未満、10Ω/cm未満、10Ω/cm未満、10-1Ω/cm未満、または10-2Ω/cm未満の体積抵抗率を有し得る。電気伝導性多層系または多層系の層は、例えば、10-2Ω/cm~10Ω/cm、10Ω/cm~10Ω/cm、または10Ω/cm~10Ω/cmの体
積抵抗率を有し得る。体積抵抗率は、ASTM D257に従って23℃/相対湿度55%で決定され得る。
【0416】
本開示によって提供される多層系または多層系の層は、例えば、1Scm-1超、10Scm-1超、100Scm-1超、1,000Scm-1超、または10,000Scm-1超の電気伝導率を有し得る。電気伝導性多層系は、1Scm-1~10,000Scm-1、10Scm-1~1,000cm-1、または10Scm-1~500Scm-1の電気伝導率を有し得る。電気伝導率は、ASTM D257に従って23℃/相対湿度55%で決定される。
【0417】
本開示によって提供される多層系または多層系の層は、10KHz~20GHzの範囲の周波数で、例えば、10dB超、30dB超、60dB超、90dB超、または120dB超の減衰を呈し得る。本開示によって提供される電気伝導性多層系は、10KHz~20GHzの周波数で、例えば、10dB~120dB、20dB~100dB、30dB~90dB、または40dB~70dBの範囲の減衰を呈し得る。遮蔽効果は、ASTM D4935に従って23℃/相対湿度55%で決定される。
【0418】
本開示によって提供される多層系または多層系の層は、0.1~50W/(m-K)、0.5~30W/(m-K)、1~30W/(m-K)、1~20W/(m-K)、1~10W/(m-K)、1~5W/(m-K)、2~25W/(m-K)、または5~25W/(m-K)の熱伝導率を呈する。熱伝導率は、ASTM D1461に従って、23℃/相対湿度55%で測定される。
【0419】
本開示によって提供される多層系または多層系の層は、例えば、1.1未満、1.0未満、0.9未満、0.8未満、または0.7未満の比重を呈し得て、比重は、ISO2781に従って23℃/相対湿度55%で決定される。
【0420】
本開示によって提供される多層系または多層系の層は、例えば、ショア20a超、ショア30A超、ショア40A超、ショア50A超、またはショア60a超の硬度を呈し得て、硬度は、ISO868に従って23℃/相対湿度55%で決定される。
【0421】
硬化多層系は、ビークルおよび航空宇宙用シーラント用途での使用について許容可能な特性を有し得る。一般に、航空機および航空宇宙用途で使用されるシーラントは、以下の特性を呈することが望ましい:7日間にわたってJRFタイプIに浸漬した後に、かつAMS3265B試験仕様に従って3%のNaCl水溶液への浸漬した後に、乾燥条件下で決定して、航空宇宙材料仕様(AMS)3265Bの基材上で1リニアインチ(pli)あたり20ポンド超の剥離強度;300ポンド毎平方インチ(psi)~400psi(2.75MPa)の引張強度;1リニアインチ(pli)あたり50ポンド超の引張強度(8.75N/mm);250%~300%の伸び;および40デュロメータA超の硬度。航空機および航空宇宙用途に適切なこれらおよび他の特性は、AMS3265Bに開示されている。また、航空機および航空機用途で使用される本開示の多層系は、硬化したら、ジェット参照流体(JRF)タイプI中にて60℃および周囲圧力で1週間にわたって浸漬した後に、25%または25%未満の体積膨張率を呈することが望ましい。他の特性、範囲、および/または閾値も、他のシーラント用途に適切であり得る。
【0422】
本開示によって提供される多層系は、耐燃料性であり得る。「耐燃料性」という用語は、組成物が、基材に塗布され、硬化されたときに、ASTM D792(米国試験材料協会)またはAMS3269(航空宇宙材料仕様)に記載されている方法と同様の方法に従って、JRFタイプI中にて60℃および周囲圧力で1週間にわたって浸漬した後に、40%または40%未満、いくつかの場合で25%または25%未満、いくつかの場合で2
0%または20%未満、他の場合で10%または10%未満の体積膨潤率を呈する、シーラントのような硬化製品を提供することができることを意味し得る。耐燃料性の決定に使用されるJRFタイプIは、以下の組成を有する:トルエン:28±1体積%;シクロヘキサン(工業用):34±1体積%;イソオクタン:38±1体積%;および第3級ジブチルジスルフィド:1±0.005体積%(SAE(自動車技術者協会)から入手可能なAMS2629、1989年7月1日発行§3.1.1などを参照)。
【0423】
本開示によって提供される耐薬品性の多層系は、AMS3279§3.3.17.1、試験手順AS5127/1§7.7に記載されている手順に従って測定した場合に、少なくとも200%の引張伸びおよび少なくとも200psiの引張強度を呈し得る。
【0424】
本開示によって提供される多層系は、SAE AS5127/1の段落7.8に記載されている手順に従って測定した場合に、200psi(1.38MPa)超、例えば、少なくとも220psi(1.52MPa)、少なくとも250psi(1.72MPa)、およびいくつかの場合で少なくとも400psi(2.76MPa)のラップ剪断強度を呈し得る。
【0425】
本開示によって提供される多層系は、AMS3277に記載されている航空宇宙用シーラントについての要件を満たすか、またはこれを上回り得る。
【0426】
音減衰特性を付与する本開示によって提供される多層系の層は、エポキシ含有化合物を含み得て、エポキシ含有化合物は、エポキシ/ポリオール付加物、ポリチオール、および硬化剤を含む。
【0427】
本開示によって提供される多層系は、音減衰特性を構造体に付与し得る。例えば、音減衰特性を有する多層系が基材に塗布される場合、基材は、長さ215mmに沿ってコーティングされた長さ240mm、幅10mm、および厚さ1mmの鋼板上でSAE試験方法J1637およびASTM E756に従って測定して、10℃、2.5mmのシーラント厚さで、800Hzで少なくとも0.06、400Hzで少なくとも0.04、または200Hzで少なくとも0.02の音減衰損失因子を呈し得る。
【0428】
多層系は、1つまたは1つより多くのコーティングを含み得る。コーティングは、多層系の内層の外面に、多層系の外層の外面に、および/または多層系の1つまたは1つより多くの層間に提供され得る。コーティングとは、多層系の層よりも厚さが小さい層を指す。
【0429】
本開示によって提供される多層系は、層間の中間コーティング、内側コーティング、外側コーティング、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせを含み得る。中間コーティングとは、隣接層間のコーティングを指し、内側コーティングとは、表面に隣接するコーティングを指し、外側コーティングは、多層系の外面にある。コーティングの例を図3に示す。図3は、基材305の上にある第1の層302と、第1の層302の上にある第2の層301と、を有する多層系の断面図を示す。第1のコーティング304は、例えば、接着性および/または耐食性を増強するために、第1の層302と基材305との間に配置される。第2のコーティング303は、例えば、層間接着性を増強するために、第1の層および第2の層301/302間に配置される。第3のコーティング306は、多層系の外面の上にあり得て、例えば、多層系のうちの1つまたは1つより多くの層の耐薬品性、耐摩耗性、または電気伝導性を増強させるように構成され得る。
【0430】
中間コーティング、内側コーティング、または外側コーティングは、例えば、0.001~2mm、0.01mm~1mm、0.05mm~0.5mm、または0.1mm~0
.4mmの厚さを有し得る。コーティングは、例えば、2mm未満、1mm未満、0.5mm未満、0.1mm未満、または0.05mm未満の厚さを有し得る。コーティングの厚さは、多層系を形成する層の厚さより小さくてもよい。中間コーティングは、例えば、層間接着性、電気伝導性、EMI/RFI遮蔽性、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせのような所望の特性を増強するために、またはこれを多層系に提供するために使用され得る。
【0431】
中間コーティングは、下層および/または上層の反応性化合物に反応性の官能基を含む化合物を含み得る。例えば、上層および/または下層が、チオール官能基を有する共反応性化合物を含む場合、中間コーティング層は、チオール基に反応性の基、例えば、アルケニル基、アルキニル基、イソシアネート基、チオール基、またはエポキシ基を有する化合物を含み得る。
【0432】
内側コーティングは、基材への接着性を提供し得るか、耐食性を提供し得るか、またはそれらの組み合わせを提供し得る。例えば、内側コーティングは、例えば、接着促進剤、腐食抑制剤、部分的に加水分解/縮合された有機官能性アルコキシシラン、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせを含み得る。
【0433】
外側コーティングは、審美性、静電気散逸性、電気伝導性、EMI/RFI遮蔽性、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせを提供するように構成され得る。例えば、外側コーティングは、例えば、着色剤、電気伝導性充填材、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0434】
多層系は、多層系の上にある、クリアコート、耐摩耗性コーティング、カラーコーティング、テクスチャードコーティング、耐溶剤性コーティング、UV保護コーティング、触覚、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせのような外側コーティングを含み得る。表面コーティングは、例えば、電気伝導性、IR反射性のような反射性、色、波長依存吸収性、波長依存反射性、耐引っ掻き性、耐摩耗性、耐シミ性、耐指紋性、耐洗浄液性のような所望の表面特性を付与するため、審美的品質を付与するため、および/または触覚特性を付与するために使用され得る。コーティングは、多層コーティングを含み得る。コーティングは、ソフトタッチコーティングのような触覚コーティングであり得る。コーティングは、押出コーティングダイを使用して押出物に塗布され得る。
【0435】
本開示によって提供される多層系は、共反応性シーラント組成物を含む押出物を、または共反応性シーラント組成物と1つまたは1つより多くの追加の共反応性組成物とを含む共押出物を基材に堆積させることによって調製され得る。
【0436】
多層系は、付加製造法を使用して塗布され得る。付加製造は、ロボットを利用した製造法を包含するように広く使用される。付加製造は、例えば、3次元印刷、押出成形、および共押出成形を含む。
【0437】
付加製造法を使用して、共反応性組成物の個々の層を含む多層系を基材に直接塗布し、続いて硬化させることができる、および/または硬化させて硬化多層系を提供することができる。
【0438】
多層系は、共押出成形によって塗布され得る。共押出成形は、多層系が圧力を使用して基材に塗布される方法を指すように広く使用される。手動または自動で圧力をかけることができる。共押出成形は、共押出ダイを通じた押出成形または共反応性組成物の平行流の融合を伴うプロセスを含む。
【0439】
共押出成形は、多層系を単一のプロセスで基材に塗布する能力を促進する。多層系の層を同時に塗布することによって、多層系の整合性、再現性、および完全性を維持する能力を促進することができる。
【0440】
第1および第2の共反応性組成物は、共押出物を提供するのに適切な形状を有する共押出ダイを通して共押出成形され得る。
【0441】
共押出機の概略的な例を図4に示す。共押出機は、バレル401、第1の共反応性組成物403のための第1の入口402、第2の共反応性組成物405のための第2の入口404、および出口ノズル406を備える。入口は、共押出機への共反応性組成物の流れを制御するポンプに結合され得る。共押出機のバレルは、押出機のバレルへの共反応性組成物の流れを制御するためのポンプに結合されたセンサを含み得る。共反応性組成物の流れは、この流れが融合するが混合しないように制御され得る。出口ノズル406において、融合した共反応性組成物408は、共押出物409を提供するように形作られ得る。図4に示されるように、共押出物は、第1の共反応性組成物403が第2の共反応性組成物405の上にあるシートの形態にある。共押出物は、密封される部品または表面に塗布され得る。
【0442】
共押出機は、圧力制御、押出ダイ、共押出ダイ、コーティング塗布機、温度制御要素、共反応性シーラント組成物を照射するための要素、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせを含み得る。
【0443】
自動製造のために、共押出機は、表面に対してノズルを移動させるための装置に取り付けられ得る。共押出機を含む自動製造装置は、プロセッサによって制御され得る。
【0444】
共押出成形法は、広範囲の共押出物構造を製作することができるように、十分に汎用性がある。
【0445】
例えば、3次元多層系の場合、共押出物は、第1の組成物を含む内層と第2の組成物を含む外層とを含むコアシェル構成を有し得る。コアシェル共押出物は、単一の単位として3次元表面に直接塗布され得る。
【0446】
2次元多層系の場合、共押出物は、2つまたは2つより多くの上層を有するシートの形状にあり得る。表面は、多層系の予め堆積させたシートに隣接する多層系の連続シートを塗布することによって密封することができる。
【0447】
多層系は、密封すべき表面に後から塗布され得る別個の成分として製作され得る。例えば、多層系は、所望の形状を有するシートまたはプリフォームとして製作され、部分的に硬化または完全に硬化され得る。次いで、部分硬化または完全硬化した多層系成分が表面に塗布され得る。
【0448】
多層系は、密封すべき表面に直接塗布され得る。例えば、多層系の個々の層は、表面に順次塗布され得て、その際、層のうちの1つまたは1つより多くは、本開示によって提供される共反応性3次元印刷法を使用して塗布される。本開示によって提供される多層系は、密封すべき表面上に直接共押出成形され得る。
【0449】
複数の層を有する結果として、多層系の層それぞれの間に界面が存在し得る。層界面の整合性は、多層系の全体的な性能要件を考慮して維持され得る。
【0450】
多層系の隣接層間の層間接着性は、いくつかの手法で増強され得る。例えば、接着促進
コーティングは、隣接層間に塗布され得る。接着促進コーティングは、隣接層の1つまたは1つより多くの構成要素に非共有結合または共有結合することができる接着促進剤および/または反応性基を含み得る。
【0451】
多層系の隣接ストリップ間の接着性は、隣接層が化学的および/または物理的に結合する能力を促進することによって増強され得る。これは、例えば、隣接する共反応性組成物中の化合物と化学的に反応することができる反応性化合物を有する多層系の隣接ストリップ中に共反応性組成物を含めることによって達成され得る。例えば、チオール-エン化学反応に基づく層の場合、接着促進中間層コーティングは、上層および下層のチオールおよび/またはアルケニル基と反応することができる未反応の基を有する化合物を含み得る。
【0452】
多層系の隣接層間の層間架橋速度は、層間反応を促進し、それによって層間強度を改善するように制御され得る。例えば、隣接層が互いに化学的に結合可能であることが望ましい場合がある。これを達成するために、第1の層が、第2の層の官能基と反応することができる未反応の官能基を有するように、第2の層は、第1の層が完全に硬化する前に、第1の層に堆積され得る。層間架橋の速度は、例えば、連続層の堆積の間の時間を調整すること、温度を調整すること、触媒の濃度を調整すること、ならびに/またはモノマーおよびプレポリマーの量のような組成物の成分を調整することによって制御され得る。
【0453】
層は均一であってもよく、または層は不均一であってもよい。不均一層の場合、層の断面は、プロファイルにわたって異なる化学組成を有し得る。例えば、層間接着性を改善するために、層の一部分は、過剰な特定の共反応性官能基を有し得て、この官能基は、次いで、上層の過剰な共反応性官能基と反応し得る。同様に、層間接着性を改善するために、層の下部は、過剰な特定の共反応性官能基を有し得て、この官能基は、次いで、下層の過剰な共反応性官能基と反応し得る。層間結合および/または接着性を改善するために、タイコーティング、フィルム、または他の処理を、上層を堆積する前またはその間に、堆積された層に塗布または堆積させてよい。層間タイ層は、例えば、隣接層、触媒、および/または接着促進剤に反応性の化合物を含み得る。層間タイコートは、共押出によって押出物の表面に塗布され得る。
【0454】
層は、共反応性組成物および/または共押出物の表面の少なくとも一部分に塗布され得る。層は、例えば、共押出物を液体組成物に通し、共押出物の外面または外面の一部分にコーティングを提供することによって塗布され得る。コーティングは、多層系の隣接ストリップ間の接着性を増強する材料を含み得る。例えば、薄膜コーティングは、多層系を形成する共反応性組成物の官能基に反応性の基を有する化合物を含み得る。
【0455】
共押出多層系はまた、複数の基材への接着を促進するように構成され得る。例えば、接着パッケージは、多層系の内層を特定の基材に結合するために最適化され得る。しかしながら、接着パッケージは、異なる基材への結合を促進するのに最適ではない場合がある。例えば、異なる接着パッケージは、アルミニウムおよびチタンのような異なる金属への、または複合材および金属への結合のために最適化され得る。多層系の最内層は、異なる接着パッケージを有する2つまたは2つより多くの部分を含み得て、内層を形成する共反応性組成物の他の構成要素は、実質的に同じであっても異なっていてもよい。このようにして、異なる材料を含む基材への多層系の結合を増強することができる。
【0456】
押出物または共押出物は、任意の向きに堆積され得る。例えば、ノズルは、下向き、上向き、横方向、またはその間のいずれかの角度に向けられ得る。このようにして、多層系は、垂直壁として、または突出部として堆積され得る。押出物または共押出物は、垂直壁に、傾斜壁の下面に、または水平面の底面に堆積され得る。速硬化化学反応を有する押出物または共押出物を使用することによって、角度の付いた表面が製作され得るように上層
を下層に隣接して堆積する能力を促進することができる。角度の付いた表面は、水平に対して上向きに角度が付けられていても、または水平に対して下向きに角度が着けられていてもよい。
【0457】
共反応性組成物は、例えば、0.1mL/分~20,000mL/分、例えば、1mL/分~12,000mL/分、5mL/分~8,000mL/分、または10mL/分~6,000mL/分のような体積流量を有し得る。体積流量は、例えば、共反応性組成物の粘度、押出圧力、ノズル直径、および共反応性化合物の反応速度に依存し得る。
【0458】
共反応性組成物は、例えば、1mm/秒~400mm/秒、例えば、5mm/秒~300mm/秒、10mm/秒~200mm/秒、または15mm/秒~150mm/秒の印刷速度で使用され得る。印刷速度は、例えば、共反応性組成物の粘度、押出圧力、ノズル直径、および共反応性成分の反応速度に依存し得る。印刷速度とは、共反応性組成物を押出成形するために使用されるノズルが、共反応性組成物が堆積される表面に対して移動する速度を指す。
【0459】
本開示によって提供されるシーラント層を含む多層系は、使用環境から表面を保護するためにシーラントを使用する任意の用途で使用され得る。多層は、例えば、自動車車両および航空宇宙ビークルの部品および表面を密封するために使用され得る。
【0460】
多層系は、基材の表面上に、またはプライマーコーティングもしくは接着促進コーティングのようなコーティングの上方に直接塗布され得るか、または堆積され得る。
【0461】
本開示によって提供される多層系は、様々な基材のうちのいずれかに塗布され得るか、またはその上に堆積され得る。多層系が塗布され得る基材の例としては、チタン、ステンレス鋼、鋼合金、アルミニウム、およびアルミニウム合金のような金属が挙げられ得て、これらのうちのいずれかは、陽極酸化、下塗り、有機コーティング、またはクロメートコーティングされ得るか、またはエポキシ、ウレタン、黒鉛、ガラス繊維複合材、Kevlar(登録商標)、アクリル、ポリカーボネート、および前述のもののうちのいずれかの組み合わせを含み得る。
【0462】
本開示によって提供される硬化多層系は、自動車および航空宇宙シーラント用途のようなビークル用途での使用について許容可能な特性を呈し得る。一般に、航空機および航空宇宙用途で使用されるシーラントは、以下の特性を呈することが望ましい:7日間にわたってJRFタイプIに浸漬した後に、かつAMS3265B試験仕様に従って3%のNaCl溶液への浸漬した後に、乾燥条件下で決定して、航空宇宙材料仕様(AMS)3265Bの基材上で1リニアインチ(pli)あたり20ポンド超の剥離強度;300ポンド毎平方インチ(psi)~400psi(2.75MPa)の引張強度;1リニアインチ(pli)あたり50ポンド超の引張強度(8.75N/mm);250%~300%の伸び;および40デュロメータA超の硬度。航空機および航空宇宙用途に適切な多層系のこれらおよび他の硬化特性は、AMS3265Bに開示されている。また、航空機および航空機用途で使用される多層系は、硬化したら、ジェット参照流体(JRF)タイプ1中にて60℃および周囲圧力で1週間にわたって浸漬した後に、25%または25%未満の体積膨潤率を呈することが望ましい。他の特性、範囲、および/または閾値は、自動車用途のような他のシーラント用途に適切であり得る。
【0463】
本開示によって提供される多層系は、AMS3279§3.3.17.1、試験手順AS5127/1§7.7に記載されている手順に従って測定した場合に、少なくとも200%の引張伸びおよび少なくとも200psiの引張強度を呈し得る。
【0464】
本開示によって提供される多層系は、SAE AS5127/1の段落7.8に記載されている手順に従って測定した場合に、200psi(1.38MPa)超、例えば、少なくとも220psi(1.52MPa)、少なくとも250psi(1.72MPa)、およびいくつかの場合で少なくとも400psi(2.76MPa)のラップ剪断強度を呈し得る。
【0465】
本開示によって提供される方法を使用して調製される多層系は、AMS3277に記載されている航空宇宙用シーラントについての要件を満たすか、またはこれを上回り得る。
【0466】
環境曝露の前に、本開示によって提供される多層系は、ISO2781に従って決定して1.2g/cm未満の密度(1.2未満の比重)、ISO37に従って決定して1MPa超の引張強度、ISO37に従って決定して150%超の引張伸び、およびISO868に従って決定して40ショアA超の硬度を呈し、これらの試験は、21℃~25℃の範囲の温度および相対湿度45%~相対湿度55%の湿度で実施される。
【0467】
ISO1817に従って60℃で168時間にわたって航空機燃料(JRFタイプ1)に曝露した後に、多層系は、ISO37に従って決定して1.4MPa超の引張強度、ISO37に従って決定して150%超の引張伸び、ISO868に従って決定して30ショアA超の硬度を呈し得て、これらの試験は、21℃~25℃の範囲の温度および相対湿度45%~相対湿度55%の湿度で実施される。
【0468】
60℃で168時間にわたって3%のNaCl水溶液に曝露した後に、多層系は、ISO37に従って決定して1.4MPa超の引張強度、ISO37に従って決定して150%超の引張伸び、ISO868に従って決定して30ショアA超の硬度を呈し得て、これらの試験は、21℃~25℃の範囲の温度および相対湿度45%~相対湿度55%の湿度で実施される。
【0469】
60℃で168時間にわたってISO11075タイプ1による融氷液に曝露した後に、本開示によって提供される硬化多層系は、ISO37に従って決定して1MPa超の引張強度およびISO37に従って決定して150%超の引張伸びを呈し得て、これらの試験は、21℃~25℃の範囲の温度および相対湿度45%~相対湿度55%の湿度で実施される。
【0470】
70℃で1,000時間にわたってリン酸エステル油圧流体(Skydrol(登録商標)LD-4)に曝露した後に、本開示によって提供される多層系は、ISO37に従って決定して1MPa超の引張強度、ISO37に従って決定して150%超の引張伸び、およびISO868に従って決定してショア30A超の硬度を呈し得て、これらの試験は、21℃~25℃の範囲の温度および相対湿度45%~相対湿度55%の湿度で実施される。
【0471】
本開示によって提供される多層系は、例えば、-10℃未満、-20℃未満、-30℃未満、-40℃未満、-50℃未満、または-60℃未満のガラス転移温度を有し得る。
【0472】
多層系を製造する方法およびこれらの方法を使用して製造される多層系は、例えば、ビークルの部品または表面のような任意の好適な部分を密封するために使用され得る。
【0473】
「ビークル」という用語は、非常に広い意味で使用され、あらゆる種類の航空宇宙ビークル、船舶、および地上用ビークルを含む。例えば、ビークルとしては、自家用航空機、ならびに小型、中型、または大型商用旅客、貨物、および軍用航空機を含む飛行機のような航空宇宙ビークル;自家用、商用、および軍用ヘリコプターを含むヘリコプター;ロケ
ットおよび宇宙船が挙げられ得る。ビークルとしては、例えば、自動車、トレーラー、トラック、バス、バン、建設用ビークル、ゴルフカート、オートバイ、自転車、列車、および鉄道車のような地上用ビークルが挙げられ得る。ビークルとしてはまた、例えば、船、ボート、およびホバークラフトのような船舶も挙げられ得る。
【0474】
多層系は、F/A-18EスーパーホーネットおよびF/A-18FのようなF/A-18ジェットまたは関連する航空機において、(Boeing Commercial Airplanes製の)Boeing787ドリームライナー、737、747、717ジェット旅客機、関連する航空機において、(NAVAIRおよびSikorsky製の)V-22オスプレイ、VH-92、S-92、および関連する航空機において、(Gulfstream製の)G650、G600、G550、G500、G450、および関連する航空機において、ならびに(Airbus製の)A350、A320、A330、および関連する航空機において使用され得る。多層系は、任意の好適な商用、軍用、または一般用の航空機、例えば、Canadair Regional Jet(CRJ)および関連する航空機のようなBombardier Inc.および/またはBombardier Aerospaceによって生産されたもの、F-22ラプター、F-35ライトニング、および関連する航空機のようなロッキード・マーティンによって生産されたもの、B-2スピリットおよび関連する航空機のようなNorthrop Grummanによって生産されたもの、Pilatus Aircraft Ltd.によって生産されたもの、Eclipse Aviation Corporationによって生産されたもの、またはEclipse Aerospace(Kestrel Aircraft)によって生産されたものなどにおいて使用され得る。
【0475】
本開示によって提供される多層系は、溶媒、油圧流体、潤滑剤、油、および燃料に曝露または潜在的に曝露される燃料タンク表面および他の表面のようなビークルの部品および表面を密封するために使用され得る。
【0476】
本発明は、本開示によって提供される多層系で密封された部品、ならびに本開示によって提供される多層系で密封された部品を含むアセンブリおよび装置を含む。多層系で密封されたビークルの開口部、表面、フィレット、接合表面(開口部、表面、フィレット、接合部、およびフェイ表面を含む)が、本発明の範囲に含まれる。本開示によって提供される方法を使用して密封された自動車車両部品および航空宇宙ビークル部品を含む、ビークル部品のような部品が、本発明の範囲に含まれる。
【0477】
本発明は、本開示によって提供される多層系によって密封された表面のような部品を含むビークルを含む。例えば、多層系で密封された燃料タンクまたは燃料タンクの一部分を含む航空機が、本発明の範囲に含まれる。本開示によって提供される方法を使用して密封された部品を含む、自動車車両および航空宇宙ビークルのようなビークルが、本発明の範囲に含まれる。
【0478】
本開示によって提供される多層系は、留め具を密封するために使用され得る。留め具は、例えば、モータービークル、自動車、トラック、バス、バン、オートバイ、スクーター、娯楽用モータービークル、列車、トラム、自転車、航空宇宙ビークル、飛行機、ロケット、宇宙船、ジェット機、ヘリコプター、ジープを含む軍用車両、輸送車両、戦闘支援車両、人員輸送車、歩兵戦闘車両、地雷防護車両、軽装甲車、軽実用車両、軍用トラック、船、ボートおよび娯楽用船舶を含む船舶を含むビークルの表面上の留め具であり得る。本開示によって提供される多層系を使用して密封される留め具が、本発明の範囲に含まれる。
【0479】
本発明の態様
本発明は、以下の態様のうちの1つまたは1つより多くによってさらに定義され得る。
【0480】
態様1.2つまたは2つより多くの層を含み、層のうちの1つまたは1つより多くがシーラント層を含む多層系を製造する方法であって、(a)第1の成分および第2の成分を混合して、共反応性シーラント組成物を形成するステップであって、共反応性シーラント組成物が第1の反応性化合物および第2の反応性化合物を含み、第1の反応性化合物が第2の反応性化合物に反応性である、ステップと、(b)共反応性シーラント組成物を押出成形して、押出物を形成するステップと、(c)押出物を堆積させて、シーラント層を形成するステップと、を含む、方法。
【0481】
態様2.堆積が3次元印刷を含む、態様1に記載の方法。
【0482】
態様3.堆積が、多層系の下層の上に押出物を堆積させることを含む、態様1または2に記載の方法。
【0483】
態様4.堆積されたシーラント層の下にある第1の共反応性組成物を堆積させて、下層を形成するステップ、および/またはシーラント層の上にある第2の共反応性組成物を堆積させて、上層を形成するステップをさらに含み、第1の共反応性組成物および第2の共反応性組成物が、シーラント層とは異なる組成物を含む、態様1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0484】
態様5.第1の共反応性組成物が第2の共反応性組成物とは異なる、態様4に記載の方法。
【0485】
態様6.共反応性シーラント組成物のうちのいずれかが熱硬化性組成物を含む、態様1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0486】
態様7.多層系の層がそれぞれ熱硬化性物質を含む、態様1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0487】
態様8.押出物の断面プロファイルが断面プロファイルにわたって均一な組成を有する、態様1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0488】
態様9.押出物の断面プロファイルが断面プロファイルにわたって不均一な組成を有する、態様1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0489】
態様10.多層系の2つまたは2つより多くの層のうちの最外層がシーラント層を含む、態様1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0490】
態様11.多層系の層がそれぞれ、独立して、シーラント層または非シーラント層を含む、態様1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0491】
態様12.共反応性シーラント組成物が、耐薬品性の骨格を含むプレポリマーを含む、態様1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0492】
態様13.共反応性シーラント組成物が、10重量%超の硫黄含有量を含み、重量%が、共反応性シーラント組成物の有機構成要素の総重量に基づく、態様1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0493】
態様14.共反応性シーラント組成物が硫黄含有プレポリマーを含む、態様1~13の
いずれか1つに記載の方法。
【0494】
態様15.硫黄含有プレポリマーが、ポリチオエーテル、ポリスルフィド、硫黄含有ポリホルマール、モノスルフィド、または前述のもののうちのいずれかの組み合わせを含む、態様14に記載の方法。
【0495】
態様16.硫黄含有プレポリマーが、10重量%超の硫黄含有量を含み、重量%が、硫黄含有プレポリマーの総重量に基づく、態様14または15に記載の方法。
【0496】
態様17.第1の反応性化合物が、50℃未満の温度で第2の反応性化合物に反応性である、態様1~16のいずれか1つに記載の方法。
【0497】
態様18.第1の反応性化合物が、触媒および/または重合開始剤の存在下で第2の反応性化合物に反応性であり、触媒および/または重合開始剤が、第1の反応性化合物と第2の反応性化合物との間の反応を触媒および/または開始することができる、態様1~17のいずれか1つに記載の方法。
【0498】
態様19.押出物を堆積させる前、堆積させる間、および/または堆積させた後に重合開始剤を活性化させるステップをさらに含む、態様18のいずれか1つに記載の方法。
【0499】
態様20.第1の成分が、第1の反応性化合物および第2の反応性化合物を含み、第2の成分が、第1の反応性化合物と第2の反応性化合物との間の反応のための触媒、硬化活性剤、および/または重合開始剤を含む、態様1~19のいずれか1つに記載の方法。
【0500】
態様21.第1の成分が第1の反応性化合物を含み、第2の成分が第2の反応性化合物を含む、態様1~19のいずれか1つに記載の方法。
【0501】
態様22.第1の反応性化合物がポリアミンおよび/もしくはポリオールを含み、第2の反応性化合物がポリイソシアネートを含むか、第1の反応性化合物がポリアミンを含み、第2の反応性化合物がポリエポキシドを含むか、第1の反応性化合物がマイケル受容体を含み、第2の反応性化合物がマイケル供与体を含むか、または第1の反応性化合物がポリチオールを含み、第2の反応性化合物が、ポリチオール、ポリイソシアネート、ポリアルケニル、ポリアルキニル、ポリエポキシド、マイケル受容体、もしくは前述のもののうちのいずれかの組み合わせを含む、態様1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0502】
態様23.第1のポンプを使用して第1の成分をミキサーに圧送するステップと、第2のポンプを使用して第2の成分をミキサーに圧送するステップと、をさらに含む、態様1~22のいずれか1つに記載の方法。
【0503】
態様24.押出物を堆積させた後に、堆積された押出物を硬化させるステップをさらに含む、態様1~23のいずれか1つに記載の方法。
【0504】
態様25.硬化が、堆積された押出物を30℃未満の温度で硬化させることを含む、態様24に記載の方法。
【0505】
態様26.1つまたは1つより多くの追加の共反応性組成物を共反応性シーラント組成物と融合させるステップをさらに含み、押出成形が、共反応性シーラント組成物および1つまたは1つより多くの追加の共反応性組成物を共押出成形して、共押出物を形成することを含み、堆積が、共押出物を堆積させて、1つまたは1つより多くのシーラント層を含む多層系を形成することを含む、態様1~25のいずれか1つに記載の方法。
【0506】
態様27.1つまたは1つより多くの追加の共反応性組成物がそれぞれ、独立して、追加の共反応性シーラント組成物または共反応性非シーラント組成物を含む、態様26に記載の方法。
【0507】
態様28.共反応性シーラント組成物および隣接する追加の共反応性組成物が同じ硬化化学反応を含む、態様26または27に記載の方法。
【0508】
態様29.共反応性シーラント組成物および隣接する追加の共反応性組成物が異なる硬化化学反応を含む、態様26~28のいずれか1つに記載の方法。
【0509】
態様30.共反応性シーラント組成物が、隣接する追加の共反応性組成物に反応性である、態様26~29のいずれか1つに記載の方法。
【0510】
態様31.添加剤含有組成物を追加の共反応性組成物の一部と組み合わせて、添加剤修飾された追加の共反応性組成物を形成し、添加剤含有組成物が添加剤を含むステップをさらに含み、押出成形が、共反応性シーラント組成物および添加剤修飾された追加の共反応性組成物を共押出成形して、共押出物を形成するステップを含む、態様26~30のいずれか1つに記載の方法。
【0511】
態様32.共押出物の断面プロファイルが、不均一な添加剤濃度を有する、態様31に記載の方法。
【0512】
態様33.押出物が、共押出物の長手方向の寸法において添加剤の濃度が不均一であることを特徴とする、態様31または32に記載の方法。
【0513】
態様34.第3の成分を第4の成分と混合して、1つまたは1つより多くの追加の共反応性組成物を形成するステップをさらに含む、態様26~33のいずれか1つに記載の方法。
【0514】
態様35.添加剤含有組成物を共反応性シーラント組成物の一部と組み合わせて、添加剤修飾された共反応性シーラント組成物を形成し、添加剤含有組成物が添加剤を含む、ステップと、添加剤修飾された共反応性シーラント組成物を押出成形して、押出物を形成するステップと、をさらに含む、態様1~34のいずれか1つに記載の方法。
【0515】
態様36.押出物の断面プロファイルが、不均一な添加剤濃度を有する、態様35に記載の方法。
【0516】
態様37.押出物が、押出物の長手方向の寸法において添加剤の濃度が不均一であることを特徴とする、態様35または36に記載の方法。
【0517】
態様38.接着促進組成物を共反応性シーラント組成物と融合させるステップをさらに含み、押出成形が第1の共反応性組成物および接着促進組成物を共押出成形するステップを含む、態様1~37のいずれか1つに記載の方法。
【0518】
態様39.押出物を堆積させる前に接着促進層を押出物に塗布するステップをさらに含む、態様1~38のいずれか1つに記載の方法。
【0519】
態様40.態様1~39のいずれか1つに記載の方法によって製造されたシーラント層を含む、多層系。
【0520】
態様41.隣接する層が化学的および/または物理的に結合されている、態様40に記載の多層系。
【0521】
態様42.完全に硬化した多層シーラントの破壊エネルギーが個々の層の破壊エネルギーと実質的に同じであり、破壊エネルギーがASTM D7313に従って決定される、態様40または41に記載の多層系。
【0522】
態様43.層がそれぞれ熱硬化性材料を含む、態様40~42のいずれか1つに記載の多層系。
【0523】
態様44.層がそれぞれ異なる熱硬化性材料を含む、態様40~43のいずれか1つに記載の多層系。
【0524】
態様45.多層系が、AMS3277に記載されている航空宇宙用シーラントについての要件を満たすか、またはこれを上回る、態様40~44のいずれか1つに記載の多層系。
【0525】
態様46.多層シーラントの層のうちの1つまたは1つより多くが、不均一な組成物断面プロファイルを有する、態様40~45のいずれか1つに記載の多層系。
【0526】
態様47.多層シーラントの層のうちの1つまたは1つより多くが、長手方向の寸法において不均一な組成を有する、態様40~46のいずれか1つに記載の多層系。
【0527】
態様48.態様40~47のいずれか1つに記載の多層系を含む、部品。
【0528】
態様49.部品が自動車車両部品または航空宇宙ビークル部品を含む、態様48に記載の部品。
【0529】
態様50.態様40~47のいずれか1つに記載の多層系を含む、ビークル。
【0530】
態様51.ビークルが航空宇宙ビークルまたは自動車車両を含む、態様50に記載のビークル。
【実施例0531】
本開示によって提供される実施形態は、多層系を製造する方法および多層系の特性を記載する以下の実施例を参照することによってさらに例示される。本開示の範囲から逸脱することなく、材料および方法の両方に対する多くの変更が実施され得ることは、当業者には明らかであろう。
【0532】
実施例1
チオール末端ポリエポキシ伸長コポリマーの合成
チオール末端ポリチオエーテルポリマーPermapol(登録商標)P3.1E(384.32g、PPG Aerospaceから市販、メルカプタン当量1650)およびポリエポキシドDEN(登録商標)431(8.45g、Dow Chemicalから入手可能)をプラスチックカップ内で組み合わせた。これらの成分を、ミキサー(Hauschild Speed Mixer、2,300rpm、45秒)を使用して組み合わせた。アミンDabco(登録商標)33-LV(5.38g、Air Products&Chemicalsから入手可能)を混合物に添加し、高速ミキサー(Hauschild SpeedMixer(登録商標)、2,300rpmで30秒および80
0rpmで5分)を使用して組み合わせた。次いで、得られたチオール末端ポリエポキシ伸長ポリチオエーテルプレポリマーを23℃で24時間にわたって静置してから、他の構成要素と組み合わせて、共反応性シーラント組成物を調製した。チオール末端ポリエポキシ伸長ポリチオエーテルプレポリマーは、4,716Daの数平均分子量および2,069Daのチオール当量を有していた。
【0533】
実施例2
Skydrol(登録商標)耐性ポリチオエーテルシーラントの調製
実施例1のチオール末端ポリエポキシ伸長ポリチオエーテルプレポリマーを含むベース共反応性成分(B成分)を調製した。表1に示される構成要素を組み合わせ、混合して、ベース成分(B成分)を形成した。
【表1】

Honeywell,Morris Plains,NJから市販されている。
Sakai Trading,New York,NYから市販されている。
Solvayから市販されている。
Cabot Corpから市販されている。
PPG Aerospace,Sylmar,CAから市販されている。
Momentiveから市販されている。
Durez Corpから市販されている。
【0534】
ポリエポキシド硬化剤を含む促進剤成分(A成分)を調製した。促進剤成分(A成分)の構成要素を表2に示す。
【表2】

Dow Chemicalから市販されている。
ポリウレタンポリエポキシド、エポキシ等価重量245;Adeka Corporation,Tokyo,Japanから市販されている。
二官能性エポキシ末端ポリチオエーテル;エポキシ等価重量584;PPG Aerospace,Sylmar,CAから市販されている。
Dow Chemicalから市販されている。
Solvayから市販されている。
Sun Chemical Corp.から市販されている。
【0535】
Skydrol(登録商標)LD-4耐性共反応性シーラント組成物を、100部のベース成分(B成分)と15.3部の促進剤成分(A成分)とを混合することによって調製した。
【0536】
実施例3
多層系
多層系を、まず、シーラントを含む第1の内層を調製し、次いで、第1の内層を覆って第2の外層を塗布することによって製造した。第1の内層を調製するために使用された材料は、Skydrol(登録商標)LD-4耐性ではなかった。
【0537】
内層を、硬化したPR-2001またはPR-1776Mシーラントのサンプルを2インチ×2インチ×0.25インチのブロックに切断することによって調製した。PR-2001およびPR-1776Mはどちらも、PPG Aerospaceから市販されている。PR-2001は、クラスB、2成分の、エポキシ硬化Permapol(登録商標)3.1チオール末端ポリチオエーテルプレポリマー系シーラントである。PR-1776Mは、クラスB、2成分の、二酸化マンガン硬化Permapol(登録商標)P-5改変ポリスルフィド系シーラントである。
【0538】
次いで、内側シーラントのブロックを、1mm~4mmの可変厚さを有する実施例2のSkydrol(登録商標)耐性共反応性シーラント組成物の層でコーティングし、外層を提供した。外層は、ブロックの上部、底部、および側部を覆っており、次いで硬化された。
【0539】
多層系(多層系1~4)を70℃で1日~5日にわたってSkydrol(登録商標)LD-4に浸漬し、ブロックのショアA硬度を定期的に測定した。
【0540】
Skydrol(登録商標)LD-4は、Eastman Chemical Companyから入手可能な、リン酸エステル化学反応に基づく耐火性油圧流体である。Skydrol(登録商標)LD-4は、濃度が、リン酸トリブチル約58.2重量%、リン酸ジブチルフェニル約20重量%~30重量%、リン酸ブチルジフェニル約5重量%~10重量%、2-エチルヘキシル-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン-3-カルボキシレート約10重量%未満、および2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール約1重量%~5重量%である。
【0541】
ASTM D2240に従って硬度を決定した。実施例2のSkydrol(登録商標)耐性シーラントの層なしでPR-2001(シーラントC1)またはPR-1776M(シーラントC2)シーラントブロックからなる対照用シーラントの硬度も、70℃でSkydrol(登録商標)LD-4に浸漬する間、間隔を置いて測定した。
【0542】
これらの結果を表3に示す。これらの結果は、シーラント層を含む多層系が、単層のシーラントよりも高いSkydrol(登録商標)LD-4耐性を呈したことを実証している。
【表3】
【0543】
最後に、本明細書に開示される実施形態を実施する代替的な方法が存在することに留意されたい。したがって、本実施形態は、例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。さらに、特許請求の範囲は、本明細書に与えられる詳細に限定されるべきではなく、これら全範囲およびその等価物に権利がある。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3
図4
【外国語明細書】