(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168673
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】シミュレーション装置、制御方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 9/05 20060101AFI20231121BHJP
G09B 9/042 20060101ALI20231121BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20231121BHJP
E21B 7/02 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
G09B9/05 A
G09B9/042 Z
G09B9/05 E
G06F3/01 510
E21B7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079913
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000165974
【氏名又は名称】古河機械金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鶴見 翔太
【テーマコード(参考)】
2D129
5E555
【Fターム(参考)】
2D129AA04
2D129AB13
2D129BA16
2D129BA30
2D129DC13
2D129DC15
5E555AA22
5E555AA25
5E555AA26
5E555AA64
5E555BA38
5E555BB38
5E555BC04
5E555BE17
5E555CA10
5E555CA42
5E555CB21
5E555DA08
5E555DA09
5E555DB53
5E555DC09
5E555DC10
5E555DC13
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】利便性を向上させること。
【解決手段】シミュレーション装置は、複数の模擬操作部31を有する模擬操作装置3と、ユーザの視界に応じた実像を取得する撮影装置41と、撮影装置41にて取得された実像と穿孔機械に対応する第1の仮想モデルの画像とをそれぞれ表示可能とする表示装置4と、実像と第1の仮想モデルの画像とを表示装置4にそれぞれ表示させる制御装置6とを備える。制御装置6は、ユーザの視線方向に応じて、表示装置4への実像の表示を妨げつつ第1の仮想モデルの画像を表示させる第1の表示処理と、表示装置4に実像と第1の仮想モデルの画像との双方を表示させる第2の表示処理とのいずれかの表示処理を実行する表示制御部637を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿孔機械に設けられ、当該穿孔機械を動作させるために用いられる複数の操作部をそれぞれ擬似的に再現した複数の模擬操作部を有する模擬操作装置と、
ユーザに装着され、当該ユーザの視界に応じた実像を取得する撮影装置と、
前記ユーザに装着され、前記実像と前記穿孔機械に対応する第1の仮想モデルの画像とをそれぞれ表示可能とする表示装置と、
前記実像と前記第1の仮想モデルの画像とを前記表示装置にそれぞれ表示させるとともに、前記第1の仮想モデルの画像のうち、前記ユーザによって操作された前記模擬操作部に対応する前記第1の仮想モデルの部位を当該模擬操作部への操作に応じて擬似的に動作させる制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記ユーザの視線方向に応じて、前記表示装置への前記実像の表示を妨げつつ当該表示装置に前記第1の仮想モデルの画像を表示させる第1の表示処理と、前記表示装置に前記実像と前記第1の仮想モデルの画像との双方を表示させる第2の表示処理とのいずれかの表示処理を実行する表示制御部を備えるシミュレーション装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、
前記第1の仮想モデルが配置される仮想空間上に配置され、画像が投影されるスクリーンとして機能する第2の仮想モデルに前記実像を投影することで当該実像を前記表示装置に表示させ、
前記第1の表示処理では、
前記第2の仮想モデルの透明度を第1の透明度に設定することで前記表示装置への前記実像の表示を妨げ、
前記第2の表示処理では、
前記第2の仮想モデルの透明度を前記第1の透明度よりも小さい第2の透明度に設定することで前記表示装置に前記実像を表示させる請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記表示装置の特定の位置から前記ユーザの視線方向に応じて直線状に延びる仮想的な基準線を作成する基準線作成部と、
予め設定された切替用基準位置と前記基準線との最短距離を算出する算出部と、
前記最短距離が特定の閾値以下であるか否かを判定する判定部とをさらに備え、
前記表示制御部は、
前記判定部にて前記最短距離が前記特定の閾値を超えると判定された場合には前記第1の表示処理を実行し、前記判定部にて前記最短距離が前記特定の閾値以下であると判定された場合には前記第2の表示処理を実行する請求項1または2に記載のシミュレーション装置。
【請求項4】
前記切替用基準位置は、
前記模擬操作装置の配置位置に対応させた位置に設定されている請求項3に記載のシミュレーション装置。
【請求項5】
前記切替用基準位置は、
複数、設定されている請求項3に記載のシミュレーション装置。
【請求項6】
穿孔機械のシミュレーション装置の制御装置が実行する制御方法であって、
表示装置への実像の表示を妨げつつ当該表示装置に前記穿孔機械に対応する第1の仮想モデルの画像を表示させる第1の表示処理を実行する第1の表示処理ステップと、
前記表示装置に前記実像と前記第1の仮想モデルの画像との双方を表示させる第2の表示処理を実行する第2の表示処理ステップとのいずれかの表示処理ステップをユーザの視線方向に応じて実行する制御方法。
【請求項7】
表示装置への実像の表示を妨げつつ当該表示装置に穿孔機械に対応する第1の仮想モデルの画像を表示させる第1の表示処理を実行する第1の表示処理ステップと、
前記表示装置に前記実像と前記第1の仮想モデルの画像との双方を表示させる第2の表示処理を実行する第2の表示処理ステップとのいずれかの表示処理ステップをユーザの視線方向に応じてコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シミュレーション装置、制御方法、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、採石場や石灰石鉱山等では、岩盤に発破孔を穿孔するために穿孔機械が使用されている(例えば、特許文献1参照)。
このような穿孔機械では、送り機構によってさく岩機の先端に装着された工具を破砕対象へと押し付け、当該工具を介して、打撃機構で発生する衝撃力と回転機構で発生する回転力とを破砕対象へと伝達することで発破孔を穿孔する。そして、このような穿孔作業では、ブーム及びガイドシェルの位置決め、送り機構、打撃機構、及び回転機構の作動、セントラライザやロッドチェンジャの作動等が行われる。すなわち、当該穿孔機械では、操作対象が多岐にわたり、それぞれの操作対象を作動させるための多くの操作部が設けられている。
【0003】
そして、上述したように穿孔機械には多くの操作部が設けられているため、当該穿孔機械の操作の技能を習得することは容易ではない。
そこで、穿孔機械の実機を使用せずに当該穿孔機械の操作の技能習得を行うためのシミュレーション装置を利用することが考えられる。例えば、当該シミュレーション装置は、訓練者に装着させたヘッドマウントディスプレイ等の表示装置を介して、穿孔機械の仮想モデルの画像(以下、モデル画像と記載)を当該訓練者に視認させる。また、当該シミュレーション装置は、穿孔機械に設けられた複数の操作部を擬似的に再現した複数の擬似操作部のいずれかの擬似操作部への訓練者の操作に応じて、モデル画像のうち、当該擬似操作部に対応するブーム等の部位を表示装置における表示画面上で擬似的に動作させる。
従来、このようなシミュレーション装置として、フォークリフト等の作業車両のシミュレーション装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-303768号公報
【特許文献2】特開2004-252024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ヘッドマウントディスプレイ等の表示装置にモデル画像のみを表示させた場合には、当該表示装置を装着した訓練者は、実空間を認識することができない。すなわち、訓練者は、実空間上の擬似操作部を視認することができない。特に、穿孔機械のシミュレーション装置では、当該穿孔機械に多くの操作部が設けられているため、当該操作部に対応する擬似操作部の数も、非常に多い。その結果、表示装置を装着した訓練者は、実空間を認識することができないため、当該実空間上の複数の擬似操作部を手探りで操作することとなる。
そこで、複数の擬似操作部を訓練者に手探りで操作させることがなく、利便性を向上させることができる技術が要望されている。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、利便性を向上させることができるシミュレーション装置、制御方法、及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るシミュレーション装置は、穿孔機械に設けられ、当該穿孔機械を動作させるために用いられる複数の操作部をそれぞれ擬似的に再現した複数の模擬操作部を有する模擬操作装置と、ユーザに装着され、当該ユーザの視界に応じた実像を取得する撮影装置と、前記ユーザに装着され、前記実像と前記穿孔機械に対応する第1の仮想モデルの画像とをそれぞれ表示可能とする表示装置と、前記実像と前記第1の仮想モデルの画像とを前記表示装置にそれぞれ表示させるとともに、前記第1の仮想モデルの画像のうち、前記ユーザによって操作された前記模擬操作部に対応する前記第1の仮想モデルの部位を当該模擬操作部への操作に応じて擬似的に動作させる制御装置とを備え、前記制御装置は、前記ユーザの視線方向に応じて、前記表示装置への前記実像の表示を妨げつつ当該表示装置に前記第1の仮想モデルの画像を表示させる第1の表示処理と、前記表示装置に前記実像と前記第1の仮想モデルの画像との双方を表示させる第2の表示処理とのいずれかの表示処理を実行する。
【0008】
また、本発明に係るシミュレーション装置では、前記表示制御部は、前記第1の仮想モデルが配置される仮想空間上に配置され、画像が投影されるスクリーンとして機能する第2の仮想モデルに前記実像を投影することで当該実像を前記表示装置に表示させ、前記第1の表示処理では、前記第2の仮想モデルの透明度を第1の透明度に設定することで前記表示装置への前記実像の表示を妨げ、前記第2の表示処理では、前記第2の仮想モデルの透明度を前記第1の透明度よりも小さい第2の透明度に設定することで前記表示装置に前記実像を表示させる。
【0009】
また、本発明に係るシミュレーション装置では、前記制御装置は、前記表示装置の特定の位置から前記ユーザの視線方向に応じて直線状に延びる仮想的な基準線を作成する基準線作成部と、予め設定された切替用基準位置と前記基準線との最短距離を算出する算出部と、前記最短距離が特定の閾値以下であるか否かを判定する判定部とをさらに備え、前記表示制御部は、前記判定部にて前記最短距離が前記特定の閾値を超えると判定された場合には前記第1の表示処理を実行し、前記判定部にて前記最短距離が前記特定の閾値以下であると判定された場合には前記第2の表示処理を実行する。
【0010】
また、本発明に係るシミュレーション装置では、前記切替用基準位置は、前記模擬操作装置の配置位置に対応させた位置に設定されている。
【0011】
また、本発明に係るシミュレーション装置では、前記切替用基準位置は、複数、設定されている。
【0012】
また、本発明に係る制御方法は、穿孔機械のシミュレーション装置の制御装置が実行する制御方法であって、表示装置への実像の表示を妨げつつ当該表示装置に前記穿孔機械に対応する第1の仮想モデルの画像を表示させる第1の表示処理を実行する第1の表示処理ステップと、前記表示装置に前記実像と前記第1の仮想モデルの画像との双方を表示させる第2の表示処理を実行する第2の表示処理ステップとのいずれかの表示処理ステップをユーザの視線方向に応じて実行する。
【0013】
また、本発明に係る制御プログラムは、表示装置への実像の表示を妨げつつ当該表示装置に穿孔機械に対応する第1の仮想モデルの画像を表示させる第1の表示処理を実行する第1の表示処理ステップと、前記表示装置に前記実像と前記第1の仮想モデルの画像との双方を表示させる第2の表示処理を実行する第2の表示処理ステップとのいずれかの表示処理ステップをユーザの視線方向に応じてコンピュータに実行させるための制御プログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るシミュレーション装置、制御方法、及び制御プログラムによれば、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施の形態に係るシミュレーション装置によって操作の技能習得を行う対象となる穿孔機械を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係るシミュレーション装置の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、制御方法を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、ステップS1~S3を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0017】
〔穿孔機械の概略構成〕
図1は、実施の形態に係るシミュレーション装置1によって操作の技能習得を行う対象となる穿孔機械100を示す図である。
先ず、本実施の形態に係るシミュレーション装置1の構成を説明する前に、当該シミュレーション装置1によって操作の技能習得を行う対象となる穿孔機械100の構成について説明する。
なお、穿孔機械100を説明するにあたって、以下に示す「前方側」とは、
図1に示す右側を意味する。
【0018】
穿孔機械100は、作業者の操作に応じて岩盤に発破孔を穿孔する。この穿孔機械100は、
図1に示すように、左右一対のトラック111(
図1では一方のトラック111のみを図示)を有する走行台車110と、当該走行台車110上にそれぞれ搭載されたブーム120、さく岩ユニット130、及び操縦室140とを備える。
【0019】
ブーム120は、
図1に示すように、ブーム本体121と、ブームペデスタル122と、ブーム旋回シリンダ(図示略)と、ブームリフトシリンダ123とを備える。
ブームペデスタル122は、走行台車110上の右斜め前方側に設けられた基台112(
図1)に対して、鉛直方向に沿う旋回軸124(
図1)を中心として回転(旋回)可能に設けられている。そして、ブーム旋回シリンダ(図示略)が駆動することで、ブーム120は、旋回する。また、ブーム本体121は、ブームペデスタル122に対して、水平方向(前後方向)に沿う起伏軸125(
図1)を中心として回転(起伏)可能に設けられている。そして、ブームリフトシリンダ123が駆動することで、ブーム120は、起伏する。
【0020】
さく岩ユニット130は、
図1に示すように、ブーム120の先端部分に装着されている。このさく岩ユニット130は、ブーム120の先端部分に装着されたガイドシェル131と、当該ガイドシェル131の長手方向に沿って当該ガイドシェル131上を前進後退可能に設けられたさく岩機132と、当該さく岩機132の先端に装着された工具133とを備える。
ここで、さく岩機132は、ガイドシェル131に設けられた送り機構(図示略)によって当該ガイドシェル131上を前進後退するとともに、公知の打撃機構(図示略)及び回転機構(図示略)を備える。また、工具133は、具体的な図示は省略したが、シャンクロッド、スリーブ、ロッド、及びビットを基端側からこの順に接続されたものである。
そして、穿孔機械100では、送り機構(図示略)によって工具133を破砕対象へと押し付け、打撃機構(図示略)で発生する衝撃力と回転機構(図示略)で発生する回転力とを当該工具133を介して当該破砕対象へ伝達して発破孔を穿孔する。
【0021】
操縦室140は、
図1に示すように、走行台車110上の左斜め前方側に設けられている。そして、操縦室140内には、
図1に示すように、穿孔機械100を操作する作業者が着座する運転席141が設けられている。また、運転席141の両側方には、具体的な図示は省略したが、穿孔機械100を動作させるために用いられる複数の操作部が設けられている。
【0022】
〔シミュレーション装置の概略構成〕
次に、シミュレーション装置1の構成について説明する。
図2は、実施の形態に係るシミュレーション装置1の構成を示す図である。
シミュレーション装置1は、
図2に示すように、訓練席2と、模擬操作装置3と、ヘッドマウントディスプレイ4と、ベースステーション5と、制御装置6とを備える。
【0023】
訓練席2は、シミュレーション装置1によって、穿孔機械100の操作の技能習得を行うユーザである訓練者が着座する部分である。
模擬操作装置3は、
図2に示すように、訓練席2の両側方にそれぞれ設けられ、穿孔機械100に設けられた操作装置(図示略)を擬似的に再現したものである。より具体的に、模擬操作装置3は、当該操作装置に設けられた複数の操作部(図示略)をそれぞれ擬似的に再現した複数の模擬操作部31を有する。これら複数の模擬操作部31は、制御装置6との間で無線または有線によってそれぞれ通信可能に接続され、訓練者等によるユーザ操作に応じた信号を当該制御装置6に対してそれぞれ出力する。
【0024】
例えば、複数の模擬操作部31のうち、模擬操作部311は、訓練席2に対して右側方に設けられている。この模擬操作部311は、穿孔機械100における送り機構(図示略)、打撃機構(図示略)、及び回転機構(図示略)をそれぞれ動作させる操作部を擬似的に再現した傾倒可能なレバーである。
【0025】
ヘッドマウントディスプレイ4は、本発明に係る表示装置に相当し、制御装置6との間で無線または有線によって通信可能に接続する。このヘッドマウントディスプレイ4は、眼鏡のような外観を有し、訓練者に装着される。そして、ヘッドマウントディスプレイ4は、当該ヘッドマウントディスプレイ4を装着した訓練者の視界に応じた実像と所定の画像とをそれぞれ表示可能とする。このヘッドマウントディスプレイ4は、撮影部41と、表示部42と、複数の赤外線出力部43とを備える(
図3参照)。
【0026】
撮影部41は、本発明に係る撮影装置に相当し、入射した光を受光して電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を含むカメラである。また、撮影部41は、制御装置6による制御の下、ヘッドマウントディスプレイ4を装着した訓練者の視界に応じた領域を撮影して撮影画像を生成する。そして、撮影部41は、生成した撮影画像のデータを制御装置6に出力する。
【0027】
表示部42は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)等を用いた表示ディスプレイで構成され、ヘッドマウントディスプレイ4を装着した訓練者の左眼及び右眼の少なくともいずれか一方に対向する位置に配置される。そして、表示部42は、制御装置6による制御の下、各種の画像を表示する。
【0028】
複数の赤外線出力部43は、ヘッドマウントディスプレイ4の位置(3次元の位置)及び姿勢(ヘッドマウントディスプレイ4を装着している訓練者の視線方向)を判別するために用いられる。これら複数の赤外線出力部43は、互いに異なる位置にそれぞれ配置され、赤外線をそれぞれ出力(照射)する。
【0029】
ベースステーション5は、ヘッドマウントディスプレイ4の位置(3次元の位置)及び姿勢(ヘッドマウントディスプレイ4を装着している訓練者の視線方向)を検出するために用いられる。また、ベースステーション5は、制御装置6との間で無線または有線によって通信可能に接続する。このベースステーション5は、複数の赤外線出力部43から出力された赤外線を検出する2つの赤外線カメラ51(
図2)によって構成されている。なお、赤外線カメラ51の数は、2つに限らず、その他の数だけ設けても構わない。そして、2つの赤外線カメラ51は、撮影により生成した赤外線画像のデータを制御装置6にそれぞれ出力する。
【0030】
図3は、制御装置6の構成を示すブロック図である。なお、
図3では、説明の便宜上、模擬操作部31、赤外線出力部43、及び赤外線カメラ51を1つずつのみ図示している。
制御装置6は、シミュレーション装置1全体の動作を制御する。この制御装置6は、
図3に示すように、入力部61と、記憶部62と、制御部63とを備える。
入力部61は、訓練者等によるユーザ操作を受け付けるボタン、スイッチ、タッチパネル等で構成され、当該ユーザ操作に応じた信号を制御部63に出力する。
【0031】
記憶部62は、制御部63が実行する各種のプログラム(本発明に係る制御プログラムを含む)の他、当該制御部63が処理を行うときに必要なデータ等を記憶する。
ここで、当該制御部63が処理を行うときに必要なデータとしては、第1の3Dモデル(第1の仮想モデル)のデータと、第2の3Dモデル(第2の仮想モデル)のデータと、切替用基準位置を示すデータと、特定の閾値を示すデータとを例示することができる。
第1の3Dモデルのデータは、穿孔機械100に応じた3Dモデルのデータである。
第2の3Dモデルのデータは、撮影部41にて生成された撮影画像が投影されるスクリーンとして機能する3Dモデルのデータである。
これら第1,第2の3Dモデルは、例えばCAD(Computer-Aided Design)ソフトウェア等によって生成された3Dモデルであって、シミュレーション装置1が設置される実空間座標系に整合させた仮想空間座標系において、当該第1,第2の3Dモデルの各部位の位置や角度が関連付けられている。
【0032】
切替用基準位置を示すデータは、制御部63が実行する後述する第1,第2の表示処理を切り替える際に用いられる基準位置(実空間座標系での位置(3次元の位置)または仮想空間座標系での位置(3次元の位置))を示すデータである。
特定の閾値を示すデータは、第1,第2の表示処理を切り替える際の判定に用いられる閾値を示すデータである。
【0033】
制御部63は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等のコントローラによって、記憶部62に記憶された各種のプログラムが実行されることにより実現され、シミュレーション装置1全体の動作を制御する。なお、制御部63は、CPUやMPUに限らず、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路によって構成されても構わない。この制御部63は、
図3に示すように、第1の画像取得部631と、第2の画像取得部632と、第1の算出部633と、基準線作成部634と、第2の算出部635と、判定部636と、表示制御部637とを備える。
【0034】
第1の画像取得部631は、撮影部41にて生成された撮影画像のデータを取得する。 第2の画像取得部632は、2つの赤外線カメラ51にてそれぞれ生成された赤外線画像のデータを取得する。
【0035】
第1の算出部633は、ヘッドマウントディスプレイ4の位置及び姿勢(ヘッドマウントディスプレイ4を装着している訓練者の視線方向)を算出する。具体的に、第1の算出部633は、第2の画像取得部632にて取得された各赤外線画像のデータに基づいて、複数の赤外線出力部43から各赤外線カメラ51に到達した赤外線の到達時間や角度を認識する。そして、第1の算出部633は、当該到達時間や角度から、ヘッドマウントディスプレイ4の位置及び姿勢(ヘッドマウントディスプレイ4を装着している訓練者の視線方向)を算出する。
【0036】
基準線作成部634は、ヘッドマウントディスプレイ4の特定の位置から訓練者の視線方向に応じて直線状に延びる仮想的な基準線を作成する。
第2の算出部635は、本発明に係る算出部に相当し、記憶部62に記憶された切替用基準位置を示すデータに基づいて、当該切替用基準位置と、基準線作成部634にて作成された基準線との最短距離を算出する。
判定部636は、記憶部62に記憶された特定の閾値を示すデータを参照し、第2の算出部635にて算出された最短距離が当該特定の閾値以下であるか否かを判定する。
なお、上述した基準線、切替用基準位置、及び最短距離の詳細については、後述する「制御方法」において説明する。
【0037】
表示制御部637は、表示部42に表示させる表示画像を生成する。
具体的に、表示制御部637は、第1の算出部633にて算出されたヘッドマウントディスプレイ4の位置及び姿勢(ヘッドマウントディスプレイ4を装着している訓練者の視線方向)を認識する。そして、表示制御部637は、記憶部62に記憶されている第1の3Dモデルのデータに基づいて、ヘッドマウントディスプレイ4の位置から当該ヘッドマウントディスプレイ4を装着している訓練者の視線方向に認識される第1の3Dモデルの画像(以下、モデル画像と記載)を生成する。また、表示制御部637は、ヘッドマウントディスプレイ4を装着した訓練者によって操作された模擬操作部31に対応する第1の3Dモデルの部位を当該模擬操作部31の操作に応じて擬似的に動作させる。さらに、表示制御部637は、判定部636の判定結果に基づいて(訓練者の視線方向に応じて)、表示部42への撮影部41にて生成された撮影画像(実像)の表示を妨げつつモデル画像を表示させる第1の表示処理と、当該モデル画像とともに第2の3Dモデルのデータを用いて当該撮影画像を表示部42に表示させる第2の表示処理とのいずれかの表示処理を実行する。
なお、表示制御部637が実行する第1,第2の表示処理の詳細については、後述する「制御方法」において説明する。
【0038】
〔制御方法〕
次に、制御装置6が実行する制御方法について説明する。
図4は、制御方法を示すフローチャートである。
図5は、ステップS1~S3を説明する図である。
図5において、二点鎖線で示した空間VSは、第1,第2の3Dモデルが配置される仮想空間である。また、符号「TR」は、ヘッドマウントディスプレイ4を装着し、訓練席2に着座した訓練者である。なお、
図5では、説明の便宜上、訓練者TRとして、当該訓練者TRの頭のみを図示している。さらに、一点鎖線で示した線、基準線作成部634にて作成される基準線RLである。また、符号「SC」は、第2の3Dモデルであるスクリーンである。さらに、符号「RP」は、切替用基準位置である。また、符号「DS」は、切替用基準位置RPと基準線RLとの最短距離である。なお、
図5の下方側は、鉛直軸に沿う下方側である。すなわち、
図5では、訓練者TRの視線方向が斜め下方側を向いている状態を示している。
【0039】
先ず、基準線作成部634は、ヘッドマウントディスプレイ4の特定の位置から訓練者TRの視線方向に応じて直線状に延びる仮想的な基準線RLを作成する(ステップS1)。
具体的に、基準線作成部634は、第1の算出部633にて算出されたヘッドマウントディスプレイ4の位置に基づいて、例えば当該ヘッドマウントディスプレイ4における訓練者TRの左眼及び右眼の中間に対応した位置を特定する。そして、基準線作成部634は、当該特定した位置から、第1の算出部633にて算出されたヘッドマウントディスプレイ4の姿勢である訓練者TRの視線方向に沿って直線状に延びる仮想的な線を基準線RLとして作成する。当該基準線RLは、実空間座標系または仮想空間座標系での直線を示す数式によって表現されている。
【0040】
ステップS1の後、第2の算出部635は、記憶部62に記憶された切替用基準位置RPを示すデータに基づいて、当該切替用基準位置RPと基準線RLとの最短距離DSを算出する(ステップS2)。
ステップS2の後、判定部636は、記憶部62に記憶された特定の閾値を示すデータを参照し、当該ステップS2で算出された最短距離DSが当該特定の閾値以下であるか否かを判定する(ステップS3)。
【0041】
そして、表示制御部637は、最短距離DSが特定の閾値を超えると判定された場合(ステップS3:No)には、以下に示すように、第1の表示処理を実行する(ステップS4:第1の表示処理ステップ)。この後、制御部63は、ステップS1に戻る。
図6は、仮想空間VSの一部を示す図である。
図6において、符号「120M」は、ブーム120に対応したブームモデル(第1の3Dモデル)である。また、符号「121M」は、ブーム本体121に対応したブーム本体モデル(第1の3Dモデル)である。さらに、符号「122M」は、ブームペデスタル122に対応したブームペデスタルモデル(第1の3Dモデル)である。また、符号「123M」は、ブームリフトシリンダ123に対応したブームリフトシリンダモデル(第1の3Dモデル)である。さらに、符号「124M」は、旋回軸124に対応した旋回軸モデル(第1の3Dモデル)である。また、符号「125M」は、起伏軸125に対応した起伏軸モデル(第1の3Dモデル)である。さらに、符号「112M」は、基台112に対応した基台モデル(第1の3Dモデル)である。また、符号「3M」は、穿孔機械100に設けられ、模擬操作装置3と同様の構成を有する操作装置(図示略)に対応した操作装置モデル(第1の3Dモデル)である。
図7は、ステップS4を説明する図である。具体的に、
図7は、仮想空間VS上での訓練者TRの視野が
図6に示す領域Ar1である場合における表示部42に表示される表示画像F1を示す図である。
【0042】
ここで、切替用基準位置RPは、模擬操作装置3の配置位置に対応させた位置(実空間座標系では模擬操作装置3の配置位置、仮想空間座標系では操作装置モデル3Mの位置)に複数、設定されている。すなわち、切替用基準位置RPは、
図5に示すように、ヘッドマウントディスプレイ4を装着し、訓練席2に着座した訓練者TRから見て、下方側にそれぞれ設けられている。
【0043】
以下、第1の表示処理を説明するにあたって、訓練者TRが
図5に示す状態よりも頭を上げ、仮想空間VS上での当該訓練者TRの視野が比較的に上方側の領域であって
図6に示す領域Ar1である場合を想定する。
この場合には、基準線RLが切替用基準位置RPよりも上方側に位置することとなり、ステップS2で算出される最短距離DSは、比較的に大きい距離となる。その結果、最短距離DSが特定の閾値を超えると判定され(ステップS3:No)、表示制御部637によって第1の表示処理が実行される(ステップS4)。
【0044】
具体的に、表示制御部637は、ステップS4において、第1の算出部633にて算出されたヘッドマウントディスプレイ4の位置及び姿勢(訓練者TRの視線方向)と、記憶部62に記憶されている第1の3Dモデルのデータとに基づいて、仮想空間VS上での訓練者TRの視野に応じた領域Ar1に認識されるブームモデル120M、基台モデル112M、及び操作装置モデル3Mの各モデル画像を生成する。そして、表示制御部637は、当該生成した各モデル画像を配置した表示画像F1(
図7)を生成する。これにより、表示部42には、当該表示画像F1が表示される。
【0045】
ここで、第1の表示処理において、表示制御部637は、表示画像F1を生成する際、当該表示画像F1における特定の領域(下方側の左右方向の中央領域)に、撮影部41にて生成された撮影画像を投影したスクリーンSCを配置する。また、表示制御部637は、スクリーンSCの透明度を第1の透明度(本実施の形態では、透明になった状態である透明度:100)にする。なお、
図7では、第1の透明度に設定されたスクリーンSCを一点鎖線で表現している。このため、第1の表示処理では、表示画像F1には、
図7に示すように、領域Ar1に認識されるブームモデル120M、基台モデル112M、及び操作装置モデル3Mの各モデル画像のみが表示される。すなわち、表示画像F1には、撮影画像は表示されない。
なお、第1の透明度としては、スクリーンSCを透明にする透明度:100に限らず、表示部42への撮像部41にて生成された撮影画像の表示を妨げる透明度であれば、その他の透明度であっても構わない。
【0046】
一方、表示制御部637は、最短距離DSが特定の閾値以下であると判定された場合(ステップS3:Yes)には、以下に示すように、第2の表示処理を実行する(ステップS5:第2の表示処理ステップ)。この後、制御部63は、ステップS1に戻る。
図8は、ステップS5を説明する図である。具体的に、
図8は、仮想空間VS上での訓練者TRの視野が
図6に示す領域Ar2である場合における表示部42に表示される表示画像F2を示す図である。
図8において、符号「CI」は、撮影部41にて生成された撮影画像である。また、符号「HA」は、撮影画像CIに写り込んだ訓練者TRの手である。なお、
図8では、撮影画像CIと、ブームモデル120M、基台モデル112M、及び操作装置モデル3Mの各モデル画像とを区別するために、当該撮影画像CIにドットを付している。
【0047】
以下、第2の表示処理を説明するにあたって、訓練者TRが
図5に示すように頭を下げ、仮想空間VS上での当該訓練者TRの視野が比較的に下方側の領域であって
図6に示す領域Ar2である場合を想定する。
この場合には、基準線RLが切替用基準位置RPに近接することとなり、ステップS2で算出される最短距離DSは、比較的に小さい距離となる。その結果、最短距離DSが特定の閾値以下であると判定され(ステップS3:Yes)、表示制御部637によって第2の表示処理が実行される(ステップS5)。
【0048】
具体的に、表示制御部637は、ステップS5において、第1の算出部633にて算出されたヘッドマウントディスプレイ4の位置及び姿勢(訓練者TRの視線方向)と、記憶部62に記憶されている第1の3Dモデルのデータとに基づいて、仮想空間VS上での訓練者TRの視野に応じた領域Ar2に認識されるブームモデル120M、基台モデル112M、及び操作装置モデル3Mの各モデル画像を生成する。そして、表示制御部637は、当該生成した各モデル画像を配置した表示画像F2(
図8)を生成する。これにより、表示部42には、当該表示画像F2が表示される。
【0049】
ここで、第2の表示処理において、表示制御部637は、表示画像F2を生成する際、第1の表示処理と同様に、当該表示画像F2における特定の領域(下方側の左右方向の中央領域)に、撮影部41にて生成された撮影画像CIを投影したスクリーンSCを配置する。また、表示制御部637は、スクリーンSCを第1の透明度よりも小さい第2の透明度にする。なお、
図8では、第2の透明度に設定されたスクリーンSCを実線で表現している。このため、第2の表示処理では、表示画像F2には、
図8に示すように、撮影画像CIが表示され、領域Ar2に認識されるブームモデル120M、基台モデル112M、及び操作装置モデル3Mの各モデル画像の一部がスクリーンSC(撮影画像CI)によって隠された状態で表示される。
【0050】
以上説明した本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
本実施の形態に係るシミュレーション装置1では、制御装置6は、訓練者TRの視線方向に応じて、第1,第2の表示処理のいずれかの表示処理を実行する。ここで、第1の表示処理は、表示部42に撮影画像CIを表示させずに仮想空間VS上での訓練者TRの視野に応じた領域に認識される第1の3Dモデルのモデル画像を表示する表示処理である。一方、第2の表示処理は、表示部42に撮影画像CIと仮想空間VS上での訓練者TRの視野に応じた領域に認識される第1の3Dモデルのモデル画像との双方を表示させる表示処理である。
このため、第2の表示処理が実行されれば、訓練者TRは、表示部42に表示される表示画像F2に表示された撮影画像CIから、実空間上の模擬操作部31を視認することができる。例えば、
図8に示す撮影画像CIには模擬操作部31が写り込んでおり、当該撮影画像CIから、所望の模擬操作部31を探すことができる。したがって、本実施の形態に係るシミュレーション装置1によれば、複数の模擬操作部31を訓練者TRに手探りで操作させることがなく、利便性を向上させることができる。
【0051】
特に、第1,第2の表示処理は、訓練者TRの視線方向に応じて切り替えられる。
このため、常時、第2の表示処理が実行されることで、撮影画像CIが常時、表示部42に表示される構成と比較して、例えば訓練者TRが所望の模擬操作部31を探す場合に限って、当該撮影画像CIを表示部42に表示させることができる。言い換えれば、例えば訓練者TRが所望の模擬操作部31を探し当てた後、当該模擬操作部31を操作している場合には、第1の表示処理が実行されることで、当該模擬操作部31の操作に応じて擬似的に動作する第1の3Dモデルのモデル画像のみを表示画像F1から訓練者TRに視認させることができる。したがって、模擬操作部31の操作時には不要となる撮影画像CIを表示部42に表示させないことで、利便性をさらに向上させることができる。
【0052】
また、本実施の形態に係るシミュレーション装置1では、制御装置6は、仮想空間VS上に第2の3DモデルであるスクリーンSCを配置し、当該スクリーンSCに撮影画像CIを投影することで、表示部42に当該撮影画像CIを表示させる。ここで、制御装置6は、第1の表示処理ではスクリーンSCを第1の透明度に設定し、第2の表示処理ではスクリーンSCを第2の透明度に設定する。
したがって、表示部42に撮影画像CIを表示させない第1の表示処理と、当該表示部42に当該撮影画像CIを表示させる第2の表示処理とを簡単な処理で容易に行うことができる。
【0053】
また、本実施の形態に係るシミュレーション装置1では、制御装置6は、訓練者TRの視線方向に応じた基準線RLを作成するとともに、予め設定された切替用基準位置RPと当該基準線RLとの最短距離DSを算出する。そして、制御装置6は、最短距離DSが特定の閾値以下であるか否かの判定結果に基づいて、第1,第2の表示処理のいずれかの表示処理を実行する。
このため、第2の表示処理が実行される際での訓練者TRの視線方向である条件を細かく設定することができる。したがって、上述した「例えば訓練者TRが所望の模擬操作部31を探す場合に限って、当該撮影画像CIを表示部42に表示させることができる。」という効果を好適に実現することができる。
【0054】
特に、切替用基準位置RPは、模擬操作装置3の配置位置に対応させて複数、設けられている。
このため、上述した「例えば訓練者TRが所望の模擬操作部31を探す場合に限って、当該撮影画像CIを表示部42に表示させることができる。」という効果をより確実に実現することができる。
【0055】
(その他の実施の形態)
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。
上述した実施の形態において、第1の表示処理が実行される条件は、最短距離DSが特定の閾値を超えるという条件に限らない。同様に、第2の表示処理が実行される条件は、最短距離DSが特定の閾値以下であるという条件に限らない。訓練者TRの視線方向に応じて、第1,第2の表示処理のいずれかの表示処理が実行されれば、その他の条件を採用しても構わない。例えば、訓練者TRの視線方向が水平面に対して下方に向く視線方向である場合に、第2の表示処理が実行されても構わない。言い換えれば、訓練者TRの視線方向が水平面上、または当該水平面に対して上方に向く視線方向である場合に、第1の表示処理が実行されても構わない。
【0056】
上述した実施の形態では、切替用基準位置RPは、複数、設定されている例を説明したが、1つのみ設定されていても構わない。
上述した実施の形態において、制御部63の一部の機能を制御装置6の外部に設けても構わない。例えば、ヘッドマウントディスプレイ4の位置及び姿勢を算出する第1の算出部633の機能をベースステーション5に設けても構わない。この際、制御装置6は、ヘッドマウントディスプレイ4の位置及び姿勢を示す情報をベースステーション5から取得する。
【符号の説明】
【0057】
1 シミュレーション装置
2 訓練席
3 模擬操作装置
3M 操作装置モデル
4 ヘッドマウントディスプレイ
5 ベースステーション
6 制御装置
31,311 模擬操作部
41 撮影部
42 表示部
43 赤外線出力部
51 赤外線カメラ
61 入力部
62 記憶部
63 制御部
100 穿孔機械
110 走行台車
111 トラック
112 基台
112M 基台モデル
120 ブーム
120M ブームモデル
121 ブーム本体
121M ブーム本体モデル
122 ブームペデスタル
122M ブームペデスタルモデル
123 ブームリフトシリンダ
123M ブームリフトシリンダモデル
124 旋回軸
124M 旋回軸モデル
125 起伏軸
125M 起伏軸モデル
130 さく岩ユニット
131 ガイドシェル
132 さく岩機
133 工具
140 操縦室
141 運転席
631 第1の画像取得部
632 第2の画像取得部
633 第1の算出部
634 基準線作成部
635 第2の算出部
636 判定部
637 表示制御部
Ar1,Ar2 領域
CI 撮影画像
DS 最短距離
F1,F2 表示画像
HA 手
RL 基準線
RP 切替用基準位置
SC スクリーン
TR 訓練者
VS 仮想空間