(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168677
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
H01L27/146 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079927
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】庄司 孝裕
(72)【発明者】
【氏名】武田 薫
【テーマコード(参考)】
4M118
【Fターム(参考)】
4M118AA01
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA05
4M118CA05
4M118CA20
4M118CB06
4M118CB14
4M118FB03
4M118FB09
4M118FB13
4M118FB16
4M118FB24
4M118HA26
4M118HA27
(57)【要約】
【課題】上下電極間の短絡の発生を抑制するとともに、検出感度の低下を抑制することが可能な検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置は、基板と、基板の上に下部電極、半導体層及び上部電極の順に積層されたフォトダイオードと、フォトダイオードに設けられたトランジスタと、トランジスタとフォトダイオードとの層間に設けられた絶縁層と、を有し、絶縁層は、平面視でフォトダイオードの中央部に設けられたコンタクトホールを有し、フォトダイオードの下部電極は、絶縁層の上に設けられるとともに、コンタクトホールと重なる領域に連続して設けられ、コンタクトホールの底部でトランジスタと電気的に接続され、上部電極のコンタクトホールと重なる領域に、第1開口が設けられる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上に下部電極、半導体層及び上部電極の順に積層されたフォトダイオードと、
前記フォトダイオードに設けられたトランジスタと、
前記トランジスタと前記フォトダイオードとの層間に設けられた絶縁層と、を有し、
前記絶縁層は、平面視で前記フォトダイオードの中央部に設けられたコンタクトホールを有し、
前記フォトダイオードの前記下部電極は、前記絶縁層の上に設けられるとともに、前記コンタクトホールと重なる領域に連続して設けられ、前記コンタクトホールの底部で前記トランジスタと電気的に接続され、
前記上部電極の前記コンタクトホールと重なる領域に、第1開口が設けられる
検出装置。
【請求項2】
前記半導体層は、前記コンタクトホールと重なる領域に設けられた第2開口を有し、
前記半導体層の前記第2開口及び前記上部電極の前記第1開口は、平面視で重なって設けられる
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記半導体層の前記第2開口の幅は、前記コンタクトホールの前記底部の幅よりも大きい
請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記上部電極の前記第1開口の幅は、前記コンタクトホールの前記底部の幅よりも大きい
請求項1に記載の検出装置。
【請求項5】
前記フォトダイオードの前記下部電極及び前記半導体層は、前記絶縁層の上に設けられるとともに、前記コンタクトホールと重なる領域に連続して設けられ、
前記上部電極の前記第1開口は、前記半導体層の上に設けられる
請求項1に記載の検出装置。
【請求項6】
前記上部電極は、前記第1開口と重なり、かつ、前記コンタクトホールの前記底部と重なる領域で、前記半導体層の上に設けられた島状電極を含む
請求項5に記載の検出装置。
【請求項7】
前記基板に平行な第1方向での前記コンタクトホールの前記底部の幅は、前記第1方向での前記コンタクトホールの傾斜面の幅以下である
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項8】
基板と、
前記基板の上に下部電極、半導体層及び上部電極の順に積層されたフォトダイオードと、
前記フォトダイオードに設けられたトランジスタと、
前記トランジスタと前記フォトダイオードとの層間に設けられた絶縁層と、を有し、
前記絶縁層は、平面視で前記フォトダイオードの隅部に設けられたコンタクトホールを有し、
前記フォトダイオードの前記下部電極及び前記半導体層は、前記絶縁層の上に設けられるとともに、前記コンタクトホールと重なる領域に連続して設けられ、
前記下部電極は、前記コンタクトホールの底部で前記トランジスタと電気的に接続され、
前記上部電極の前記コンタクトホールと重なる領域であって、前記半導体層の上に切り欠き部が設けられる
検出装置。
【請求項9】
前記上部電極は、前記切り欠き部と重なり、かつ、前記コンタクトホールの前記底部と重なる領域で、前記半導体層の上に設けられた島状電極を含む
請求項8に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から特許文献3には、複数のPINフォトダイオードが基板上に配列された検出装置(特許文献1から特許文献3では、それぞれフォトセンサー、光電変換素子、電磁波検出素子と記載されている)が記載されている。複数のPINフォトダイオードは、複数のトランジスタがマトリクス状に配列された、いわゆるアクティブマトリクス型のアレイ基板上に実装される。
【0003】
このような検出装置では、トランジスタとフォトダイオードとを電気的に接続するためにコンタクトホールが設けられている。特許文献1、3では、フォトダイオードは、コンタクトホールにより形成される段差と重ならない領域に設けられている。特許文献2では、コンタクトホールにより形成される段差と重ならない領域に、フォトダイオードのp型半導体層が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-283113号公報
【特許文献2】特開2012-39004号公報
【特許文献3】特開2013-140987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンタクトホール等で形成される段差に起因してフォトダイオードの下部電極と上部電極との間にリークパスが生じる可能性がある。特許文献1から特許文献3では、トランジスタ及びコンタクトホールとの位置関係により、フォトダイオードの配置の制約が大きくなる。このため、フォトダイオードの実質的な受光面積が小さくなり、検出感度が低下する可能性がある。
【0006】
本発明は、上下電極間の短絡の発生を抑制するとともに、検出感度の低下を抑制することが可能な検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の検出装置は、基板と、前記基板の上に下部電極、半導体層及び上部電極の順に積層されたフォトダイオードと、前記フォトダイオードに設けられたトランジスタと、前記トランジスタと前記フォトダイオードとの層間に設けられた絶縁層と、を有し、前記絶縁層は、平面視で前記フォトダイオードの中央部に設けられたコンタクトホールを有し、前記フォトダイオードの前記下部電極は、前記絶縁層の上に設けられるとともに、前記コンタクトホールと重なる領域に連続して設けられ、前記コンタクトホールの底部で前記トランジスタと電気的に接続され、前記上部電極の前記コンタクトホールと重なる領域に、第1開口が設けられる。
【0008】
本発明の一態様の検出装置は、基板と、前記基板の上に下部電極、半導体層及び上部電極の順に積層されたフォトダイオードと、前記フォトダイオードに設けられたトランジスタと、前記トランジスタと前記フォトダイオードとの層間に設けられた絶縁層と、を有し、前記絶縁層は、平面視で前記フォトダイオードの隅部に設けられたコンタクトホールを有し、前記フォトダイオードの前記下部電極及び前記半導体層は、前記絶縁層の上に設けられるとともに、前記コンタクトホールと重なる領域に連続して設けられ、前記下部電極は、前記コンタクトホールの底部で前記トランジスタと電気的に接続され、前記上部電極の前記コンタクトホールと重なる領域であって、前記半導体層の上に切り欠き部が設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る検出装置を示す平面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、1つの検出素子を示す回路図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るフォトダイオード及びトランジスタを模式的に示す平面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態の第1変形例に係る検出装置を模式的に示す断面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態の第2変形例に係る検出装置の、フォトダイオード及びトランジスタを模式的に示す平面図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る検出装置の、フォトダイオード及びトランジスタを模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、本開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本開示と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0011】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る検出装置を示す平面図である。
図1に示すように、検出装置1は、アレイ基板2(基板21)と、センサ部10と、ゲート線駆動回路15と、信号線選択回路16と、検出回路48と、制御回路102と、電源回路103と、を有する。
【0013】
基板21には、配線基板110を介して制御基板101が電気的に接続される。配線基板110は、例えば、フレキシブルプリント基板やリジット基板である。配線基板110には、検出回路48が設けられている。制御基板101には、制御回路102及び電源回路103が設けられている。制御回路102は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)である。制御回路102は、センサ部10、ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16に制御信号を供給して、センサ部10の検出動作を制御する。電源回路103は、電源信号SVS(
図4参照)等の電圧信号をセンサ部10及びゲート線駆動回路15に供給する。
【0014】
基板21は、検出領域AAと、周辺領域GAとを有する。検出領域AAは、複数のフォトダイオードPDが設けられた領域である。周辺領域GAは、検出領域AAの外周と、基板21の端部との間の領域であり、複数のフォトダイオードPDが設けられない領域である。ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16は、基板21の周辺領域GAに設けられる。
【0015】
なお、以下の説明において、第1方向Dxは、基板21と平行な面内の一方向である。第2方向Dyは、基板21と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。なお、第2方向Dyは、第1方向Dxと直交しないで交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向である。第3方向Dzは、基板21の法線方向である。また、「平面視」とは、基板21と垂直な方向から見た場合の位置関係をいう。
【0016】
複数の検出素子3(フォトダイオードPD)は、検出領域AAにマトリクス状に配列される。言い換えると、複数の検出素子3(フォトダイオードPD)は、検出領域AAに第1方向Dx及び第2方向Dyに並んで配列される。ここで、センサ部10の複数の検出素子3は、それぞれ、センサ素子としてフォトダイオードPD、容量素子Ca及びトランジスタTr(
図3参照)を有する光センサである。フォトダイオードPDは、それぞれに照射される光に応じた電気信号を出力する。より具体的には、フォトダイオードPDは、PIN(Positive Intrinsic Negative)フォトダイオードである。複数の検出素子3が有するフォトダイオードPDは、ゲート線駆動回路15から供給されるゲート駆動信号VGLに従って検出を行う。複数のフォトダイオードPDは、は、それぞれに照射される光に応じた電気信号を、検出信号Vdetとして信号線選択回路16に出力する。検出装置1は、複数のフォトダイオードPDからの検出信号Vdetに基づいて生体に関する情報を検出する。
【0017】
図2は、第1実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、検出装置1は、さらに検出制御回路11と検出部40と、を有する。検出制御回路11の機能の一部又は全部は、制御回路102に含まれる。また、検出部40のうち、検出回路48以外の機能の一部又は全部は、制御回路102に含まれる。
【0018】
検出制御回路11は、ゲート線駆動回路15、信号線選択回路16及び検出部40にそれぞれ制御信号を供給し、これらの動作を制御する回路である。検出制御回路11は、スタート信号STV、クロック信号CK等の各種制御信号をゲート線駆動回路15に供給する。また、検出制御回路11は、選択信号ASW等の各種制御信号を信号線選択回路16に供給する。
【0019】
ゲート線駆動回路15は、各種制御信号に基づいて複数のゲート線GL(
図4参照)を駆動する回路である。ゲート線駆動回路15は、複数のゲート線GLを順次又は同時に選択し、選択されたゲート線GLにゲート駆動信号VGLを供給する。これにより、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GLに接続された複数のフォトダイオードPDを選択する。
【0020】
信号線選択回路16は、複数の信号線SL(
図4参照)を順次又は同時に選択するスイッチ回路である。信号線選択回路16は、例えばマルチプレクサである。信号線選択回路16は、検出制御回路11から供給される選択信号ASWに基づいて、選択された信号線SLと検出回路48とを接続する。これにより、信号線選択回路16は、フォトダイオードPDの検出信号Vdetを検出部40に出力する。
【0021】
検出部40は、検出回路48と、信号処理回路44と、座標抽出回路45と、記憶回路46と、検出タイミング制御回路47と、を備える。検出タイミング制御回路47は、検出制御回路11から供給される制御信号に基づいて、検出回路48と、信号処理回路44と、座標抽出回路45と、が同期して動作するように制御する。
【0022】
検出回路48は、例えばアナログフロントエンド回路(AFE、Analog Front End)である。検出回路48は、少なくとも検出信号増幅回路42及びA/D変換回路43の機能を有する信号処理回路である。検出信号増幅回路42は、検出信号Vdetを増幅する回路であり、例えば、積分回路である。A/D変換回路43は、検出信号増幅回路42から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0023】
信号処理回路44は、検出回路48の出力信号に基づいて、センサ部10に入力された所定の物理量を検出する論理回路である。信号処理回路44は、指等の被検出体が検出面に接触又は近接した場合に、検出回路48からの信号に基づいて指や掌の表面の凹凸を検出できる。また、信号処理回路44は、検出回路48からの信号に基づいて生体に関する情報を検出してもよい。生体に関する情報は、例えば、指や掌の血管像、脈波、脈拍、血中酸素飽和度等である。
【0024】
記憶回路46は、信号処理回路44で演算された信号を一時的に保存する。記憶回路46は、例えばRAM(Random Access Memory)、レジスタ回路等であってもよい。
【0025】
座標抽出回路45は、信号処理回路44において指等の被検出体の接触又は近接が検出されたときに、指等の被検出体の表面の凹凸の検出座標を求める論理回路である。また、座標抽出回路45は、指や掌の血管の検出座標を求める論理回路である。座標抽出回路45は、センサ部10の各検出素子3から出力される検出信号Vdetを組み合わせて、指等の被検出体の表面の凹凸の形状を示す二次元情報を生成する。なお、座標抽出回路45は、検出座標を算出せずにセンサ出力Voとして検出信号Vdetを出力してもよい。
【0026】
次に、検出装置1の回路構成例及び動作例について説明する。
図3は、1つの検出素子を示す回路図である。
図3に示すように、検出素子3は、フォトダイオードPDと、容量素子Caと、トランジスタTrと、を含む。トランジスタTrは、フォトダイオードPDに対応して設けられる。トランジスタTrは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFT(Thin Film Transistor)で構成されている。トランジスタTrのゲートはゲート線GLに接続される。トランジスタTrのソースは信号線SLに接続される。トランジスタTrのドレインは、フォトダイオードPDのアノード及び容量素子Caに接続される。
【0027】
フォトダイオードPDのカソードには、電源回路103から電源電位SVSが供給される。また、容量素子Caには、電源回路103から、容量素子Caの初期電位となる基準電位VR1が供給される。
【0028】
検出素子3に光が照射されると、フォトダイオードPDには光量に応じた電流が流れ、これにより容量素子Caに電荷が蓄積される。トランジスタTrがオンになると、容量素子Caに蓄積された電荷に応じて、信号線SLに電流が流れる。信号線SLは、信号線選択回路16を介して検出回路48に接続される。これにより、検出装置1は、検出素子3ごとに、フォトダイオードPDに照射される光の光量に応じた信号を検出できる。
【0029】
なお、
図3では1つの検出素子3を示しているが、ゲート線GL及び信号線SLは、複数の検出素子3に接続される。具体的には、ゲート線GLは、第1方向Dx(
図1参照)に延在し、第1方向Dxに配列された複数の検出素子3(トランジスタTr)と接続される。また、信号線SLは、第2方向Dyに延在し、第2方向Dyに配列された複数の検出素子3(トランジスタTr)に接続される。
【0030】
なお、トランジスタTrは、n型TFTに限定されず、p型TFTで構成されてもよい。また、検出素子3において、1つのフォトダイオードPDに対応して、複数のトランジスタが設けられていてもよい。
【0031】
次に、検出装置1の詳細な構成について説明する。
図4は、第1実施形態に係るフォトダイオード及びトランジスタを模式的に示す平面図である。
図4に示すように、検出素子3は、ゲート線GLと、信号線SLとで囲まれた領域である。
【0032】
フォトダイオードPDは、ゲート線GLと、信号線SLとで囲まれた領域に設けられる。フォトダイオードPDは、上部電極34、半導体層30及び下部電極35を含む。上部電極34及び下部電極35は、フォトダイオードPDのそれぞれに対応して設けられる。下部電極35は、例えば、フォトダイオードPDのアノード電極である。上部電極34は、例えば、フォトダイオードPDのカソード電極である。
【0033】
フォトダイオードPDの、上部電極34、半導体層30及び下部電極35の外形形状は、平面視で略四角形状である。ただし、これに限定されず、上部電極34、半導体層30及び下部電極35の外形形状は多角形状、円形状等の他の形状であってもよい。あるいは、上部電極34、半導体層30及び下部電極35は、外形の一部に切り欠き部が設けられた異形状等であってもよい。
【0034】
トランジスタTrは、ゲート線GLと信号線SLとの交差部の近傍に設けられる。トランジスタTrは、半導体層61、ソース電極62、ドレイン電極63及びゲート電極64を含む。
【0035】
半導体層61は、第1方向Dxに延在し、平面視でゲート線GLと重なって設けられる。半導体層61の一端側は、コンタクトホールCH3を介してソース電極62と接続される。半導体層61の他端側は、コンタクトホールCH4を介してドレイン電極63と接続される。
【0036】
半導体層61は、酸化物半導体である。より好ましくは、半導体層61は、酸化物半導体のうち透明アモルファス酸化物半導体(TAOS:Transparent Amorphous Oxide Semiconductor)である。トランジスタTrに酸化物半導体を用いることにより、トランジスタTrのリーク電流を抑制できる。すなわち、トランジスタTrは、非選択の検出素子3からのリーク電流を低減できる。このため、検出装置1は、S/N比を向上させることができる。ただし、半導体層61は、これに限定されず、微結晶酸化物半導体、アモルファス酸化物半導体、ポリシリコン、低温ポリシリコン(LTPS:Low Temperature Polycrystalline Silicone)等であってもよい。
【0037】
本実施形態では、ゲート線GLのうち、半導体層61と重なる部分がゲート電極64として機能する。ゲート電極64(ゲート線GL)は、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)又はこれらの合金が用いられる。また、半導体層61の、ゲート電極64と重なる部分にチャネル領域が形成される。
【0038】
また、信号線SLのうち、半導体層61と重なる部分がソース電極62である。ドレイン電極63は、平面視でゲート線GLと交差して第2方向Dyに延在する。ドレイン電極63の端部には、フォトダイオードPDと重なる位置に接続部63aが設けられる。接続部63aの第1方向Dxの幅は、ドレイン電極63の第1方向Dxの幅よりも大きく形成される。
【0039】
接続部63aは、コンタクトホールCH2を介して、接続配線67から引き出された引き出し配線67aと接続される。接続配線67は、平面視でフォトダイオードPDの中央部に配置され、外形形状は多角形状に形成される。引き出し配線67aは、接続配線67に接続され、トランジスタTr側に向かって斜め方向に延在する。
【0040】
フォトダイオードPDの下部電極35は、コンタクトホールCH1を介して接続配線67と接続される。また、上部電極34及び半導体層30には、それぞれコンタクトホールCH1と重なる位置に第1開口OP1、第2開口OP2が設けられる。コンタクトホールCH1、第1開口OP1及び第2開口OP2は、平面視でフォトダイオードPDの中央部に配置される。なお、フォトダイオードPDと接続配線67との接続構成、及び、第1開口OP1、第2開口OP2の詳細については、
図5、
図6で後述する。
【0041】
なお、接続配線67の外形形状は多角形状に限定されず、円形状や、四角形状等、他の形状であってもよい。引き出し配線67aは、ドレイン電極63の接続部63aと接続可能であれば、どのように引き回されてもよい。あるいは、引き出し配線67aは無くてもよく、接続配線67と、ドレイン電極63の接続部63aとが接続されてもよい。また、以下の説明では、接続配線67と引き出し配線67aとを区別して説明する必要がない場合には、単に接続配線67と表す場合がある。
【0042】
トランジスタTrの配置、形状等もあくまで一例であり、適宜変更することができる。例えば、半導体層61は、平面視でゲート線GLと重ならない位置に配置されている部分を有してもよい。
【0043】
次に、検出装置1の積層構成について説明する。
図5は、
図4のV-V’断面図である。以下の説明では、基板21の表面に垂直な方向において、基板21から封止膜29に向かう方向を「上側」又は単に「上」とする。また、封止膜29から基板21に向かう方向を「下側」又は単に「下」とする。
【0044】
図5に示すように、基板21は、絶縁性基板であり、例えば、ガラスや樹脂材料が用いられる。基板21は、平板状に限定されず、曲面を有していてもよい。この場合、基板21は、フィルム状の樹脂であってもよい。
【0045】
絶縁層22、23、24、25は、基板21の上に設けられる。絶縁層22、23、24、25は、無機絶縁膜であり、例えば、酸化シリコン(SiO2)や窒化シリコン(SiN)等である。また、各無機絶縁層は、単層に限定されず積層膜であってもよい。
【0046】
ゲート電極64(ゲート線GL)は、絶縁層22の上に設けられる。絶縁層23は、ゲート電極64(ゲート線GL)を覆って絶縁層22の上に設けられる。半導体層61は、絶縁層23の上に設けられる。絶縁層24、25は、半導体層61を覆って絶縁層23の上に設けられる。なお、絶縁層22は形成されていなくてもよい。
【0047】
ソース電極62(信号線SL)及びドレイン電極63(接続部63a)は、絶縁層25の上に設けられる。ソース電極62は、絶縁層24、25に設けられたコンタクトホールCH3を介して半導体層61と電気的に接続される。ドレイン電極63は、絶縁層24、25に設けられたコンタクトホールCH4を介して半導体層61と電気的に接続される。ドレイン電極63及び接続部63aは、フォトダイオードPDと重ならない領域から、フォトダイオードPDと重なる領域まで延在して設けられる。
【0048】
絶縁層26は、ソース電極62(信号線SL)及びドレイン電極63(接続部63a)を覆って絶縁層25の上に設けられる。接続配線67及び引き出し配線67aは、絶縁層26の上に設けられる。引き出し配線67aは、絶縁層26に設けられたコンタクトホールCH2を介してドレイン電極63(接続部63a)と接続される。接続配線67及び引き出し配線67aは、フォトダイオードPDと重なる領域に設けられる。言い換えると、接続配線67及び引き出し配線67aは、第3方向Dzで、基板21とフォトダイオードPDとの間に配置される。
【0049】
絶縁層27は、接続配線67及び引き出し配線67aを覆って絶縁層26の上に設けられる。絶縁層26、27は、有機絶縁膜であり、例えばアクリル樹脂等で形成される。絶縁層26、27は、トランジスタTrを覆って設けられ、トランジスタTrや各種配線で形成される凹凸を平坦化する平坦化層である。また、絶縁層26、27は、トランジスタTrとフォトダイオードPDとの層間に設けられた絶縁膜である。
【0050】
次に、フォトダイオードPDの積層構成について説明する。フォトダイオードPDは、基板21の上、より具体的には絶縁層27の上に、下部電極35、半導体層30、上部電極34の順に積層される。
【0051】
下部電極35は、絶縁層27の上に設けられ、絶縁層27に設けられたコンタクトホールCH1を介して接続配線67と電気的に接続される。絶縁層27に設けられたコンタクトホールCH1は、平面視でフォトダイオードPDの中央部に設けられる(
図4参照)。下部電極35は、フォトダイオードPDのアノードであり、検出信号Vdetを読み出すための電極である。下部電極35は、例えば、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)等の金属材料が用いられる。又は、下部電極35は、これらの金属材料が複数積層された積層膜であってもよい。下部電極35は、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)等の透光性を有する導電材料であってもよい。
【0052】
半導体層30は、i型半導体層31、p型半導体層32及びn型半導体層33を含む。i型半導体層31、p型半導体層32及びn型半導体層33は、例えばアモルファスシリコン(a-Si)で形成される。
図5では、基板21の表面に垂直な方向において、n型半導体層33、i型半導体層31及びp型半導体層32の順に積層されている。ただし、反対の構成、つまり、p型半導体層32、i型半導体層31及びn型半導体層33の順に積層されていてもよい。
【0053】
p型半導体層32は、a-Siに不純物がドープされてp+領域を形成する。n型半導体層33は、a-Siに不純物がドープされてn+領域を形成する。i型半導体層31は、例えば、ノンドープの真性半導体であり、p型半導体層32及びn型半導体層33よりも低い導電性を有する。
【0054】
上部電極34は、フォトダイオードPDのカソードであり、電源電位SVSを半導体層30に供給するための電極である。上部電極34は、例えばITO等の透光性導電層であり、フォトダイオードPDごとに複数設けられる。
【0055】
半導体層30の、コンタクトホールCH1と重なる領域には第2開口OP2が設けられている。上部電極34の、コンタクトホールCH1と重なる領域には第1開口OP1が設けられている。絶縁層28及び封止膜29は、フォトダイオードPDを覆って絶縁層27の上に設けられる。また、絶縁層28及び封止膜29は、第1開口OP、第2開口OP2と重なる領域で、下部電極35を覆って設けられる。絶縁層28及び封止膜29は、シリコン窒化膜や酸化アルミニウム膜などの無機膜、あるいはアクリルなどの樹脂膜が用いられる。封止膜29は、単層に限定されず、上記の無機膜及び樹脂膜を組み合わせた2層以上の積層膜であってもよい。封止膜29によりフォトダイオードPDは良好に封止され、上面側からの水分の侵入を抑制することができる。
【0056】
次に、コンタクトホールCH1、第1開口OP及び第2開口OP2近傍の、フォトダイオードPDの構成について説明する。
図6は、
図4のVI-VI’断面図である。なお、
図4では、VI-VI’線を図示するために、V-V’線とずらして示しているが、
図5及び
図6は、いずれも平面視でコンタクトホールCH1の中心(底部BTの幾何中心)を通る断面を示している。
図6に示すように、フォトダイオードPDの下部電極35は、絶縁層27の上に設けられるとともに、コンタクトホールCH1と重なる領域に連続して設けられる。より詳細には、下部電極35は、コンタクトホールCH1の底部BT及び傾斜面TPに亘って連続して設けられる。下部電極35は、コンタクトホールCH1の底部BTで接続配線67と接続される。これにより、フォトダイオードPDは、コンタクトホールCH1及び接続配線67を介してトランジスタTrと電気的に接続される。
【0057】
コンタクトホールCH1の底部BTの第1方向Dxでの幅W-BTは、傾斜面TPの第1方向Dxでの幅W-TPよりも大きい。ここで、断面視で、コンタクトホールCH1の底部BTは、2つの傾斜面TPの間に位置する。底部BTの第1方向Dxでの幅W-BTは、少なくとも一方の傾斜面TPの第1方向Dxでの幅W-TPよりも大きい。底部BTの幅W-BTは、例えば10μm程度であり、傾斜面TPの幅W-TPは、例えば4μm以上5μm以下程度である。幅W-BT及び幅W-TP等の長さは、平面視でコンタクトホールCH1の底部BTの幾何中心を通り、第1方向Dxに平行な仮想線で切断した同一断面での長さとする。
【0058】
上述したように、上部電極34のコンタクトホールCH1と重なる領域には、第1開口OP1が設けられている。半導体層30のコンタクトホールCH1と重なる領域には、第2開口OP2が設けられている。上部電極34の第1開口OP1及び半導体層30の第2開口OP2は、平面視で、フォトダイオードPDの中央部に設けられる(
図4参照)。また、半導体層30の第2開口OP2は、平面視で、上部電極34の第1開口OP1と重なって設けられる。言い換えると、下部電極35の上で、コンタクトホールCH1の底部BT及び傾斜面TPと重なる領域には、半導体層30及び上部電極34は設けられていない。
【0059】
上部電極34の第1開口OP1の第1方向Dxでの幅は、コンタクトホールCH1の底部BTの幅W-BT及び傾斜面TPの幅W-TPの合計の長さ以上である。同様に、半導体層30の第2開口OP2の幅は、コンタクトホールCH1の底部BTの幅W-BT及び傾斜面TPの幅W-TPの合計の長さ以上である。
【0060】
このような構成により、半導体層30及び上部電極34が少なくともコンタクトホールCH1の段差部に設けられないので、コンタクトホールCH1の段差部に起因する半導体層30のシーム等のリークパスLP(
図9参照)の発生が抑制される。この結果、検出装置1は、上部電極34と下部電極35との間の短絡の発生を抑制することができる。ここで、コンタクトホールCH1の段差部とは、より具体的には、コンタクトホールCH1を形成する絶縁層27の内壁の下端部27eと接続配線67とが屈曲して接する部分である。
【0061】
また、半導体層30及び上部電極34が少なくともコンタクトホールCH1の段差部に設けられないので、半導体層30のリークパスLPの発生を抑制するためにコンタクトホールCH1の傾斜面TPを緩やかに形成する必要がない。これにより、コンタクトホールCH1の形状の自由度を向上させることができ、傾斜面TPの幅W-TPを小さく形成できる。すなわち、傾斜面TPの傾斜角度を大きくすることができる。これにより、フォトダイオードPD全体の面積に対する、傾斜面TP及び底部BTを含めたコンタクトホールCH1の面積を小さくすることができる。この結果、上部電極34の第1開口OP1及び半導体層30の第2開口OP2の面積も小さくすることができる。これにより、検出装置1は、フォトダイオードPDの実質的な受光面積が小さくなることを抑制して、高精細化を図ることができる。
【0062】
また、コンタクトホールCH1、第1開口OP1及び第2開口OP2は、平面視で、フォトダイオードPDの中央部に配置されているので、フォトダイオードPDの端部あるいは隅部に配置された場合に比べて、コンタクトホールCH1、第1開口OP1及び第2開口OP2の形状の不均一性や位置のばらつきを抑制することができる。
【0063】
したがって、本実施形態の検出装置1は、コンタクトホールCH1の形状のばらつきを考慮して、底部BTの幅W-BT及び傾斜面TPの幅W-TPを大きく形成する必要がない。また、コンタクトホールCH1の形状のばらつきを考慮して、上部電極34の第1開口OP1及び半導体層30の第2開口OP2の幅(径)を大きく形成する必要がない。これにより、トランジスタTr及び接続配線67等との位置関係によるフォトダイオードPDの配置や、第1開口OP1及び第2開口OP2の形状、面積等の制約を小さくすることができる。したがって、検出装置1は、フォトダイオードPDの実質的な受光面積が小さくなることを抑制できる。
【0064】
なお、半導体層30及び上部電極34は、少なくともコンタクトホールCH1の段差部(絶縁層27の内壁の下端部27eと接続配線67との接続箇所)に重ならないように設けられる。すなわち、半導体層30及び上部電極34は、絶縁層27の平坦な領域に設けられるとともに、コンタクトホールCH1の傾斜面TPの一部に重なっていてもよい。上部電極34の第1開口OP1の第1方向Dxでの幅は、少なくともコンタクトホールCH1の底部BTの幅W-BTよりも大きい。同様に、半導体層30の第2開口OP2の幅は、少なくともコンタクトホールCH1の底部BTの幅W-BTよりも大きい。また、上部電極34の第1開口OP1の第1方向Dxでの幅は、半導体層30の第2開口OP2の幅と、実質的に同等である。ただしこれに限定されず、上部電極34の第1開口OP1の第1方向Dxでの幅は、半導体層30の第2開口OP2の幅よりも大きくてもよい。
【0065】
(第1実施形態の第1変形例)
図7は、第1実施形態の第1変形例に係る検出装置を模式的に示す断面図である。なお、以下の説明では、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0066】
図7に示すように、第1変形例に係る検出装置1Aにおいて、第1方向DxでのコンタクトホールCH1の底部BTの幅W-BTは、第1方向DxでのコンタクトホールCH1の傾斜面TPの幅W-TP以下である。第1変形例では、底部BTの幅W-BTは、例えば4μm程度であり、傾斜面TPの幅W-TPは、例えば4μm以上5μm以下程度である。
【0067】
上述したように、第1変形例に係る検出装置1Aでは、コンタクトホールCH1の段差部を緩やかに形成する必要がなく、コンタクトホールCH1の面積は、少なくとも底部BTで下部電極35と接続配線67との接続が確保できる大きさであればよい。第1変形例に係る検出装置1Aでは、上述した第1実施形態に比べて、コンタクトホールCH1の面積が小さく形成されるので、フォトダイオードPDの実質的な受光面積を大きくすることができる。なお、底部BTの幅W-BT及び傾斜面TPの幅W-TPは、あくまで一例であり、適宜変更することができる。
【0068】
(第1実施形態の第2変形例)
図8は、第1実施形態の第2変形例に係る検出装置の、フォトダイオード及びトランジスタを模式的に示す平面図である。
図9は、
図8のIX-IX’断面図である。
【0069】
図8及び
図9に示すように、第2変形例に係る検出装置1Bでは、上述した第1実施形態及び第1変形例に比べて、フォトダイオードPDの半導体層30に第2開口OP2が設けられていない構成が異なる。
【0070】
図9に示すように、フォトダイオードPDの下部電極35及び半導体層30は、絶縁層27の上に設けられるとともに、コンタクトホールCH1と重なる領域に連続して設けられる。より詳細には、下部電極35及び半導体層30は、コンタクトホールCH1の底部BT及び傾斜面TPに亘って連続して設けられる。上部電極34の第1開口OP1は、半導体層30の上で、コンタクトホールCH1と重なる領域に設けられる。
【0071】
より詳細には、下部電極35及び半導体層30は、コンタクトホールCH1を形成する絶縁層27の内壁の下端部27eと接続配線67とが屈曲して接する部分を覆って設けられる。上部電極34は、絶縁層27の平坦な領域に設けられ、少なくともコンタクトホールCH1の段差部(絶縁層27の内壁の下端部27eと接続配線67との接続箇所)と重ならない領域に設けられる。より詳細には、半導体層30は、コンタクトホールCH1の段差部に対応して形成された段差部を有する。上部電極34は、少なくとも半導体層30の段差部に重ならない領域に設けられる。言い換えると、上部電極34の第1開口OP1の周縁部は、コンタクトホールCH1の傾斜面TPの一部と重なっていてもよい。
【0072】
さらに、上部電極34は、島状電極34a及び接続部34b(
図10参照)を含む。島状電極34aは、第1開口OP1と重なり、かつ、コンタクトホールCH1の底部BTと重なる領域で、半導体層30の上に設けられる。島状電極34aは、少なくとも半導体層30の段差部と重ならない領域に設けられる。島状電極34aの第1方向Dxの幅は、コンタクトホールCH1の底部BTの第1方向Dxの幅W-BTよりも小さい。接続部34bは、島状電極34aよりも細幅であり、島状電極34aと上部電極34とを接続する。
【0073】
第2変形例では、上部電極34に第1開口OP1が設けられており、上部電極34は少なくとも半導体層30の段差部と重ならない領域に設けられる。このため、コンタクトホールCH1の段差部に起因して半導体層30のシーム等のリークパスLPが発生した場合であっても、上部電極34と下部電極35との間の短絡の発生を抑制することができる。
【0074】
また、半導体層30はコンタクトホールCH1と重なる領域に亘って連続して設けられる。さらに、上部電極34は島状電極34aを含むので、上述した第1実施形態に比べて、フォトダイオードPDの実質的な受光面積を大きくすることができる。なお、接続部34bは半導体層30の段差部を跨がって設けられているが、接続部34bの幅は、半導体層30の段差部の外周に沿った全長に比べて、極めて小さい。このため、接続部34bでのリークは無視できるほど小さい。なお、第2変形例の検出装置1Bにおいて、島状電極34a及び接続部34bはなくてもよい。
【0075】
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態に係る検出装置の、フォトダイオード及びトランジスタを模式的に示す平面図である。
図11は、
図10のXI-XI’断面図である。
図10に示すように、第2実施形態に係る検出装置1Cにおいて、絶縁層27に設けられたコンタクトホールCH1は、平面視でフォトダイオードPDの隅部に設けられる。
【0076】
接続配線67Aは、平面視で、フォトダイオードPDの隅部であってコンタクトホールCH1に重なる位置に配置される。引き出し配線67Aaは、接続配線67Aに接続され、トランジスタTr側に向かってゲート線GLに沿って第1方向Dxに延在する。引き出し配線67Aaは、コンタクトホールCH2及び接続部63aを介してトランジスタTrのドレイン電極63に電気的に接続される。なお、引き出し配線67Aaは、信号線SLに沿って第2方向Dyに延在してもよい。
【0077】
図10及び
図11に示すように、フォトダイオードPDの下部電極35及び半導体層30は、絶縁層27の上に設けられるとともに、コンタクトホールCH1と重なる領域に連続して設けられる。より詳細には、下部電極35及び半導体層30は、コンタクトホールCH1の底部BT及び傾斜面TPに亘って連続して設けられる。下部電極35は、フォトダイオードPDの隅部で、コンタクトホールCH1の底部BTで接続配線67Aと接続される。これにより、フォトダイオードPDは、コンタクトホールCH1及び接続配線67Aを介してトランジスタTrと電気的に接続される。
【0078】
上部電極34のコンタクトホールCH1と重なる領域であって、半導体層30の上に切り欠き部NTが設けられる。上部電極34の切り欠き部NTは、コンタクトホールCH1に対応して、フォトダイオードPDの隅部に設けられる。上部電極34は、絶縁層27の平坦な領域に設けられ、少なくともコンタクトホールCH1の段差部(絶縁層27の内壁の下端部27eと接続配線67Aとの接続箇所)と重ならない領域に設けられる。上部電極34は、少なくとも半導体層30の段差部に重ならない領域に設けられる。すなわち、上部電極34の切り欠き部NTの端部は、コンタクトホールCH1の傾斜面TPの一部と重なっていてもよい。
【0079】
上述した第2変形例と同様に、上部電極34は、島状電極34aを含む。島状電極34aは、切り欠き部NTが形成された領域で、かつ、コンタクトホールCH1の底部BTと重なる領域で、半導体層30の上に設けられる。島状電極34aは、少なくとも半導体層30の段差部と重ならない領域に設けられる。すなわち、島状電極34aの第1方向Dxの幅は、コンタクトホールCH1の底部BTの第1方向Dxの幅W-BTよりも小さい。接続部34bは、島状電極34aよりも細幅であり、島状電極34aと上部電極34とを接続する。
【0080】
第2実施形態では、島状電極34aは、任意の箇所で電源回路103と電気的に接続され、上部電極34に供給される電源電位SVSと同等の電位を有する信号が供給される。島状電極34aは、第2変形例と同様に接続部34bを介して上部電極34と接続されてもよいし、他の給電配線を介して電源回路103と電気的に接続されてもよい。
【0081】
第2実施形態においても、コンタクトホールCH1の段差部に起因して半導体層30のシーム等のリークパスLPが発生した場合であっても、上部電極34が半導体層30の段差部と重ならない領域に設けられるので、上部電極34と下部電極35との間の短絡の発生を抑制することができる。また、下部電極35及び半導体層30は、コンタクトホールCH1と重なる領域に亘って設けられているので、半導体層30及び上部電極34に切り欠き部NTが形成された構成に比べて、フォトダイオードPDの実質的な受光面積を大きくすることができる。これにより、検出装置1Cは、検出感度の低下を抑制するとともに、上部電極34と下部電極35との間の短絡の発生を抑制することができる。
【0082】
なお、
図10に示す、切り欠き部NTの平面視での形状は、あくまで一例であり、適宜変更することができる。例えば、切り欠き部NTは、多角形状の一部や、円弧状の一部であってもよい。
【0083】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した各実施形態及び各変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0084】
1、1A、1B、1C 検出装置
2 アレイ基板
21 基板
22、23、24、25、26、27、28 絶縁層
29 封止膜
30 半導体層
31 i型半導体層
32 p型半導体層
33 n型半導体層
34 上部電極
35 下部電極
48 検出回路
PD フォトダイオード
AA 検出領域
GA 周辺領域
SL 信号線
GL ゲート線
CH1、CH2、CH3、CH4 コンタクトホール
OP1 第1開口
OP2 第2開口
Tr トランジスタ