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特開2023-168701ダクト部材販売システムおよびダクト部材販売方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168701
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】ダクト部材販売システムおよびダクト部材販売方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20231121BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079965
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】591225394
【氏名又は名称】株式会社新富士空調
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】梶野 勇
(72)【発明者】
【氏名】橋本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】野口 智嗣
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】迅速かつ容易に所望のダクトを提供可能にする。
【解決手段】ダクトの需要家Mがスマートフォン2を介してアクセス可能な販売サーバ3に、ダクトを構成する壁板の受注可能な幅寸法をスマートフォン2に表示し、スマートフォン2から指定された幅寸法と枚数の壁板を受注する受注手段と、受注手段で受注した壁板を発送手配する発送手段と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダクトの需要家が通信端末を介してアクセス可能な販売サーバに、
ダクトを構成する壁板の受注可能な幅寸法を前記通信端末に表示し、前記通信端末から指定された幅寸法と枚数の壁板を受注する受注手段と、
前記受注手段で受注した壁板を発送手配する発送手段と、
を備えることを特徴とするダクト部材販売システム。
【請求項2】
前記受注手段は、前記壁板の受注可能な接合構造を前記通信端末に表示し、前記通信端末から指定された接合構造の壁板を受注する、
ことを特徴とする請求項1に記載のダクト部材販売システム。
【請求項3】
前記受注手段は、前記壁板の受注可能なフランジ構造を前記通信端末に表示し、前記通信端末から指定されたフランジ構造の壁板を受注する、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のダクト部材販売システム。
【請求項4】
前記受注手段は、一方のサイドに第1のハゼが形成され他方のサイドに前記第1のハゼに係合する第2のハゼが形成された壁板を、受注可能な壁板として前記通信端末に表示する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のダクト部材販売システム。
【請求項5】
前記受注手段は、一方のサイドに第1のハゼが形成され他方のサイドに前記第1のハゼに沿ってスライドさせることで前記第1のハゼに係合し、かつ、前記第1のハゼから取り外し可能な第2のハゼが形成された壁板を、受注可能な壁板として前記通信端末に表示する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のダクト部材販売システム。
【請求項6】
前記受注手段は、前記幅寸法を含む情報であって外部から読取可能な壁板情報が標示された壁板を、受注可能な壁板として前記通信端末に表示する、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のダクト部材販売システム。
【請求項7】
ダクトを構成する壁板を在庫する在庫ステップと、
ダクトを構成する壁板の受注可能な幅寸法を前記ダクトの需要家に提示し、前記需要家から指定された幅寸法と枚数の壁板を受注する受注ステップと、
前記受注ステップで受注した壁板を発送手配する発送ステップと、
を備えることを特徴とするダクト部材販売方法。
【請求項8】
前記受注ステップにおいて、前記壁板の受注可能な接合構造を前記需要家に提示し、前記需要家から指定された接合構造の壁板を受注する、
ことを特徴とする請求項7に記載のダクト部材販売方法。
【請求項9】
前記受注ステップにおいて、前記壁板の受注可能なフランジ構造を前記需要家に提示し、前記需要家から指定されたフランジ構造の壁板を受注する、
ことを特徴とする請求項7または8のいずれか1項に記載のダクト部材販売方法。
【請求項10】
前記受注ステップにおいて、一方のサイドに第1のハゼが形成され他方のサイドに前記第1のハゼに係合する第2のハゼが形成された壁板を、受注可能な壁板として前記需要家に提示する、
ことを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載のダクト部材販売方法。
【請求項11】
前記受注ステップにおいて、一方のサイドに第1のハゼが形成され他方のサイドに前記第1のハゼに沿ってスライドさせることで前記第1のハゼに係合し、かつ、前記第1のハゼから取り外し可能な第2のハゼが形成された壁板を、受注可能な壁板として前記需要家に提示する、
ことを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載のダクト部材販売方法。
【請求項12】
前記受注ステップにおいて、前記幅寸法を含む情報であって外部から読取可能な壁板情報が標示された壁板を、受注可能な壁板として前記需要家に提示する、
ことを特徴とする請求項7から11のいずれか1項に記載のダクト部材販売方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダクトの部材を販売するためのダクト部材販売システムおよびダクト部材販売方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、空調用の角ダクトは、従来から、ダクト供給事業者において四角い筒状に形成され、工事現場に運ばれて設置されていた。(例えば、特許文献1参照。)。すなわち、ダクト供給事業者が自ら、ダクトの最終形状に合った各壁板を製作し、各壁板を組み付けてダクトを製作していた。例えば、400mm×400mmの角ダクトが必要な場合には、その都度、幅400mmの壁板を4枚製作してダクトを作り、600mm×600mmの角ダクトが必要な場合には、その都度、幅600mmの壁板を4枚製作してダクトを作っていた。
【0003】
しかも、ダクトの大きさや使用目的などに応じて、壁板の組み付け構造(接合構造・ハゼ構造)やダクトのフランジ構造が複数あるため、仕様に合った組み付け構造やフランジ構造のダクトを、その都度製作していた。例えば、仕様がボタンパンチハゼの場合には、その都度、両サイドが直角に曲がってスナップを有する壁板を2枚と、両サイドが二重に折り曲げられた壁板を2枚製作してダクトを作っていた。また、仕様が共板フランジ工法の場合には、その都度、開口側端部が直角に曲がった壁板を4枚製作してダクトを作っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「標準ダクトテキスト」一般社団法人 全国ダクト工業団体連合会 編集発行、平成25年7月、p.33~p.41
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、従来からダクト供給事業者は、必要の都度(受注の都度)、仕様に合った壁板を製作し、各壁板を組み付けてダクトを製作しなければならないため、多大な時間と労力を要していたばかりでなく、コスト高を招くおそれがあった。しかも、近年、建設業界などにおいて納期短縮やコスト低減が厳しく求められるなかで、ダクト供給事業者に対しても納期短縮やコスト低減が厳しく求められている。
【0006】
そこでこの発明は、迅速かつ容易に所望のダクトを提供可能にするダクト部材販売システムおよびダクト部材販売方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、ダクトの需要家が通信端末を介してアクセス可能なダクト部材販売サーバに、ダクトを構成する壁板の受注可能な幅寸法を前記通信端末に表示し、前記通信端末から指定された幅寸法と枚数の壁板を受注する受注手段と、前記受注手段で受注した壁板を発送手配する発送手段と、を備えることを特徴とするダクト部材販売システムである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のダクト部材販売システムにおいて、前記受注手段は、前記壁板の受注可能な接合構造を前記通信端末に表示し、前記通信端末から指定された接合構造の壁板を受注する、ことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のダクト部材販売システムにおいて、前記受注手段は、前記壁板の受注可能なフランジ構造を前記通信端末に表示し、前記通信端末から指定されたフランジ構造の壁板を受注する、ことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3に記載のダクト部材販売システムにおいて、前記受注手段は、一方のサイドに第1のハゼが形成され他方のサイドに前記第1のハゼに係合する第2のハゼが形成された壁板を、受注可能な壁板として前記通信端末に表示する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4に記載のダクト部材販売システムにおいて、前記受注手段は、一方のサイドに第1のハゼが形成され他方のサイドに前記第1のハゼに沿ってスライドさせることで前記第1のハゼに係合し、かつ、前記第1のハゼから取り外し可能な第2のハゼが形成された壁板を、受注可能な壁板として前記通信端末に表示する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5に記載のダクト部材販売システムにおいて、前記受注手段は、前記幅寸法を含む情報であって外部から読取可能な壁板情報が標示された壁板を、受注可能な壁板として前記通信端末に表示する、ことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、ダクトを構成する壁板を在庫する在庫ステップと、ダクトを構成する壁板の受注可能な幅寸法を前記ダクトの需要家に提示し、前記需要家から指定された幅寸法と枚数の壁板を受注する受注ステップと、前記受注ステップで受注した壁板を発送手配する発送ステップと、を備えることを特徴とするダクト部材販売方法である。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のダクト部材販売方法において、前記受注ステップにおいて、前記壁板の受注可能な接合構造を前記需要家に提示し、前記需要家から指定された接合構造の壁板を受注する、ことを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項7または8に記載のダクト部材販売方法において、前記受注ステップにおいて、前記壁板の受注可能なフランジ構造を前記需要家に提示し、前記需要家から指定されたフランジ構造の壁板を受注する、ことを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項7から9に記載のダクト部材販売方法において、前記受注ステップにおいて、一方のサイドに第1のハゼが形成され他方のサイドに前記第1のハゼに係合する第2のハゼが形成された壁板を、受注可能な壁板として前記需要家に提示する、ことを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項7から10に記載のダクト部材販売方法において、前記受注ステップにおいて、一方のサイドに第1のハゼが形成され他方のサイドに前記第1のハゼに沿ってスライドさせることで前記第1のハゼに係合し、かつ、前記第1のハゼから取り外し可能な第2のハゼが形成された壁板を、受注可能な壁板として前記需要家に提示する、ことを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項7から11に記載のダクト部材販売方法において、前記受注ステップにおいて、前記幅寸法を含む情報であって外部から読取可能な壁板情報が標示された壁板を、受注可能な壁板として前記需要家に提示する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1および請求項7に記載の発明によれば、壁板の受注可能な幅寸法がダクトの需要家に示され、需要家から壁板の幅寸法と枚数を受注すると、受注した壁板が需要家に発送される。このように、壁板が組み付けられた状態のダクトを受注、発送せずに、ダクトの壁板のみを受注、発送するため、迅速かつ容易に所望のダクトを提供することが可能となる。例えば、建設現場にダクトを供給するダクト供給事業者が需要家の場合、必要な壁板のみを発注し、受け取った壁板を組み付けるだけで所望のダクトを供給することができる。また、壁板が組み付けられた状態のダクトを在庫する必要がなく、壁板のみを在庫すればよいため、コストを低減できるとともに、複数の幅寸法の壁板を在庫するだけで、多様なダクトに柔軟に対応することが可能となる。
【0020】
請求項2および請求項8に記載の発明によれば、壁板の幅寸法だけではなく接合構造も選択可能なため、所望の接合構造の壁板を提供して、迅速かつ容易に所望のダクトを提供することが可能となる。
【0021】
請求項3および請求項9に記載の発明によれば、壁板の幅寸法だけではなくフランジ構造も選択可能なため、所望のフランジ構造の壁板を提供して、迅速かつ容易に所望のダクトを提供することが可能となる。
【0022】
請求項4および請求項10に記載の発明によれば、一方のサイドに第1のハゼが形成され他方のサイドに第1のハゼに係合する第2のハゼが形成された壁板が、受注可能な壁板となっている。すなわち、従来のように、両サイドに第1のハゼが形成された壁板と、両サイドに第2のハゼが形成された壁板との、2種類の壁板を使う必要がないため、製造・在庫コストを低減できるだけではなく、より柔軟な組み付けが可能となり、迅速かつ容易に所望のダクトを提供することが可能となる。
【0023】
請求項5および請求項11に記載の発明によれば、第1のハゼと第2のハゼをスライドさせることで2つのハゼを着脱可能な壁板が、受注可能な壁板となっているため、迅速かつ容易に所望のダクトを提供することが可能となる。すなわち、壁板の第1のハゼと第2のハゼをスライドさせて係合するだけで、誰でも工具や機械を要することなく、迅速かつ容易に所望のダクトを提供することが可能となる。しかも、壁板が着脱可能なため、壁板つまりダクトを再利用することが可能となる。
【0024】
請求項6および請求項12に記載の発明によれば、壁板情報が標示された壁板が、受注可能な壁板となっているため、壁板情報を読み取ることで、壁板の幅寸法などを容易かつ迅速、正確に知得することができる。この結果、発送や再利用の際に容易かつ迅速、正確に壁板を選定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】この発明の実施の形態に係るダクト部材販売システムを示す概略構成図である。
図2図1のダクト部材販売システムにおける販売対象の壁板の説明図である。
図3図1のダクト部材販売システムにおける販売対象のスピンハゼを示す図であり、壁板を展開した状態を示す図(a)と、壁板を閉じた状態を示す図(b)である。
図4図1のダクト部材販売システムにおけるエコダクトの壁板の組付方法を示す概要図(a)と、ボタンパンチハゼダクトおよび三井ハゼダクトの壁板の組付方法を示す概要図(b)であり、どちらもダクトを端面側から見た状態である。
図5図1のダクト部材販売システムの販売サーバの概略構成ブロック図である。
図6図5の販売サーバで表示される第1の受注画面を示す図である。
図7図5の販売サーバで表示される第2の受注画面を示す図である。
図8図5の販売サーバで表示される第3の受注画面を示す図である。
図9図5の販売サーバで表示される第4の受注画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説端明する。
【0027】
図1は、この発明の実施の形態に係るダクト部材販売システム1を示す概略構成図である。このダクト部材販売システム1は、空調用ダクトの部材・部品を需要家Mに販売・提供するためのシステムであり、ダクトの部材・部品を製造販売する部材販売メーカーが運営する。ここで、この実施の形態では、建設現場にダクトを供給・設置するダクト供給事業者が需要家Mの場合について説明し、ダクト供給事業者(ダクト業界全体)のコスト削減、納期短縮を図っているが、最終的にダクトを使用する事業者・ユーザが需要家Mとなって購入する場合などにも適用可能である。
【0028】
このダクト部材販売システム1は、需要家Mが使用する通信端末2と、部材販売メーカーが運営、使用する販売サーバ3および発送管理コンピュータ4と、を備え、通信端末2と販売サーバ3が通信自在で、販売サーバ3と発送管理コンピュータ4が通信自在となっている。
【0029】
通信端末2は、通信機能や入力、表示機能などを備えればどのような端末であってもよく、例えば、スマートフォン(多機能携帯電話)やパーソナルコンピュータでもよい。この実施の形態では、スマートフォンの場合について説明し、このスマートフォン2は、後述する販売サーバ3のウエブページにアクセスし、発注する壁板の幅寸法や枚数などを入力する。
【0030】
販売サーバ3は、ダクトの需要家Mがスマートフォン2を介してアクセス可能で、インターネット上でウエブページを提供してダクトの部材を販売(電子商取引・eコマース)するためのウエブサーバである。この実施の形態では、ダクトの壁板を販売対象とする場合について、主として説明するが、壁板と同様にしてコーナーピースやパッキンなどのダクト部材も販売対象に含められることは勿論である。また、販売サーバ3は、部材販売メーカーが直接運営、使用するサーバでなくてもよく、例えば、インターネットショッピングモールなどを提供する外部の事業者が運営、使用するサーバであってもよい。
【0031】
まず、販売対象の壁板について簡単に説明すると、図2に示すように、断面が四角い角ダクト100の場合、略長方形の4つの壁板101を組み付けて角ダクト100が構成される。すなわち、隣接する壁板101のサイド同士が、ハゼ構造102によって接合されて角ダクト100に組み付けられ、また、各壁板101の開口側の端部にフランジ103が設けられている。
【0032】
ここで、ハゼ構造102として、従来から広く使用されているボタンパンチハゼや三井ハゼ(ピッツバーグハゼ)のほか、角ダクト100を折り畳めるようにするスピンハゼも含む。このスピンハゼ102は、図3に示すように、一方の壁板101の長手方向(ダクト100の軸線方向)に延びる一端縁部・サイドに、カール状のシングルハゼ102aが形成されている。一方、他方の壁板101の長手方向に延びる一端縁部に、シングルハゼ102aと係合するカール状のダブルハゼ102bが形成され、シングルハゼ102aとダブルハゼ102bとによってスピンハゼ102が構成されている。また、シングルハゼ102aとダブルハゼ102bとの間には、チューブ状のガスケット104が装着されるようになっている。
【0033】
そして、例えば、一方の壁板101と他方の壁板101とが直角に位置する状態(図3(a)、筒状に展開した状態)から、一方の壁板101を他方の壁板101側に押すと、ダブルハゼ102bを軸としてシングルハゼ102aが回動し、図3(b)に示すように、一方の壁板101が他方の壁板101側に移動する。つまり、壁板101が重なるようにして、ダクト100全体が折り畳んだ(扁平した)状態となる。さらに、この状態から、一方の壁板101を他方の壁板101側から離すと、ダブルハゼ102bを軸としてシングルハゼ102aが回動し、一方の壁板101と他方の壁板101とが直角に位置する。つまり、ダクト100が筒状に展開された状態となるものである。
【0034】
また、このようなスピンハゼ102では、シングルハゼ102aとダブルハゼ102bの端部(フランジ103側の端部)同士を突き合わせて、第1のハゼであるシングルハゼ102a(またはダブルハゼ102b)に沿って、第2のハゼであるダブルハゼ102b(またはシングルハゼ102a)をスライドさせることで、ダブルハゼ102bがシングルハゼ102aに係合する。また、係合状態から、シングルハゼ102aに沿ってダブルハゼ102bをスライドさせることで、シングルハゼ102aからダブルハゼ102bを取り外せる、つまり、ダクト100を壁板101に解体できる(ばらせる)ようになっている。
【0035】
さらに、このようなスピンハゼ構造の壁板において、この実施の形態では、図4(a)に示すように、一方のサイドにシングルハゼSが形成され、他方のサイドにダブルハゼWが形成された壁板を受注可能な壁板とする。これにより、1種類の壁板を4つ組み付けるだけでダクトを構成することができる。これに対して、図4(b)に示す従来のボタンパンチハゼダクトや三井ハゼダクトのように、両サイドにシングルハゼSが形成された壁板と、両サイドにダブルハゼWが形成された壁板とを要する場合には、このような2種類の壁板を2枚ずつ用意して組み付けなければ、ダクトを構成することができない。
【0036】
さらに、スピンハゼ102の壁板101のみならず、ボタンパンチハゼや三井ハゼなどのすべての受注可能な壁板101に、外部から読取可能な壁板情報101aが標示されている。この壁板情報101aには、壁板101の材質、製造年月と板厚、幅寸法、接合構造、フランジ構造などを含む当該壁板101に関する情報が含まれ、この実施の形態では、壁板101に刻印されているが、2次元コードやICタグなどで構成されてもよい。
【0037】
また、フランジ103としては、壁板101の開口側端部を略垂直に折り曲げて形成された共板フランジや、壁板101にアングル材が取り付けられたアングルフランジなどが含まれる。
【0038】
販売サーバ3は、図5に示すように、主として、入力部31と、表示部32と、通信部33と、在庫データベース(在庫記憶手段)34と、受注タスク(受注手段)35と、発送タスク(発送手段)36と、これらを制御などする中央処理部37と、を備える。
【0039】
入力部31は、各種情報や指令などを入力するためのインターフェイスであり、具体的には、在庫データベース34のデータ・情報を入力、変更したりする。表示部32は、各種データや情報などを表示するディスプレイであり、具体的には、在庫データベース34のデータ・情報などを表示する。通信部33は、外部と通信するためのインターフェイスであり、具体的には、スマートフォン2に受注画面を送信したり、スマートフォン2からの発注情報を受信したり、発送管理コンピュータ4に発送情報を送信したりする。
【0040】
在庫データベース34は、ダクトの部材・部品の在庫情報を記憶するデータベースであり、部材・部品の種類、サイズごとの在庫数を記憶する。このように、この実施の形態では、販売サーバ3に在庫情報を記憶しているが、発送管理コンピュータ4で在庫情報を記憶して販売サーバ3から読み取れるようにしてもよい。
【0041】
受注タスク35は、ダクトを構成する壁板の受注可能な幅寸法などをスマートフォン2に表示し、スマートフォン2から指定された幅寸法と枚数等の壁板を受注するタスク・プログラムである。すなわち、スマートフォン2からウエブページ(販売サーバ3)がアクセスされると起動され、スマートフォン2に受注画面を表示し、スマートフォン2から壁板の幅寸法や枚数などが入力されると、それらの壁板を受注するものである。
【0042】
具体的には、まず、ホームページ・初期画面をスマートフォン2に表示し、このホームページには、ダクトの構造(壁板の接合構造、フランジ構造など)を選択する画面部が含まれる。この実施の形態では、壁板の接合構造が上記のスピンハゼでフランジ構造が共板フランジであるエコダクトと、壁板の接合構造がボタンパンチハゼダまたは三井ハゼでフランジ構造が共板フランジであるボタンパンチハゼダクトまたは三井ハゼダクトとを選択可能となっている。
【0043】
このように、この実施の形態では、複数種・タイプのダクトのなかからダクトの種類を選択することで、壁板の接合構造やフランジ構造を選択可能となっている。すなわち、壁板の受注可能な接合構造やフランジ構造をスマートフォン2に表示し、スマートフォン2から指定された接合構造やフランジ構造の壁板を受注可能となっている。ここで、ダクトの種類を選択するのに代えて、壁板の接合構造およびフランジ構造を直接選択できるようにしてもよい。
【0044】
そして、スマートフォン2でダクトの種類・タイプが選択されると、壁板の幅寸法や枚数等を入力するための受注画面をスマートフォン2に表示する。例えば、エコダクト(折り畳みダクト)が選択されると、図6に示すような第1の受注画面をスマートフォン2に表示する。この第1の受注画面には、受注可能な壁板の板厚、幅寸法(図6ではダクトサイズ(W))、長さ(L)などの組み合わせが表示されるとともに、発注する壁板の幅寸法W、長さL、枚数などを入力するための入力欄が表示されている。さらに、各壁板の価格を表示してもよく、このことは、後述する他の受注画面においても、同様である。
【0045】
ここで、受注可能な壁板の板厚、幅寸法などは、在庫データベース34に記憶されている現在の在庫情報に基づいて、現在受注可能な壁板の板厚、幅寸法などのみを表示するようにしてもよい。これにより、確実にすぐに発送可能な壁板のみを受注して、需要家Mの利便性を高めて需要家Mとの信頼を築くことが可能となる。後述する他の受注画面においても同様である。
【0046】
また、ボタンパンチハゼダクトまたは三井ハゼダクトが選択されると、図7に示すような第2の受注画面をスマートフォン2に表示する。この第2の受注画面には、受注可能な壁板の板厚、幅寸法(図7ではダクトサイズ)、長さなどの組み合わせが表示されるとともに、発注する壁板の幅寸法W、枚数などを入力するための入力欄が表示されている。
【0047】
同様に、壁板の開口側端部を二重に重ね、略垂直に折り曲げてフランジが形成されたカジノフランジダクトが選択されると、図8に示すような第3の受注画面をスマートフォン2に表示する。この画面においても受注可能な壁板の板厚、幅寸法(図8ではダクトサイズ)、長さなどの組み合わせが表示されるとともに、発注する壁板の板厚T、幅寸法W、枚数などを入力するための入力欄が表示されている。
【0048】
さらに、真っ直ぐなダクトだけではなく、軸心が曲がったダクトも含まれ、軸心が90度曲がったエルボダクトが選択されると、図9に示すような第4の受注画面をスマートフォン2に表示する。この画面においても受注可能な壁板の板厚、幅A(扇の幅)寸法および奥行Bの寸法が表示されるとともに、発注する壁板・ダクトの幅Aおよび奥行Bの寸法、枚数などを入力するための入力欄が表示されている。また、幅Aが700mm以上の場合には、一般に補強リブを備える必要があるが、本システム1では、半径方向で二分割することで補強リブを備えなくても、所定の強度・剛性が得られるようになっている。
【0049】
そして、受注画面でスマートフォン2から発注する壁板の幅寸法W、枚数などが入力され、発注ボタン(図示せず)がオンされると、入力された幅寸法W、枚数などと需要家Mの識別情報などを含む発注情報をスマートフォン2から受信する。つまり、スマートフォン2から指定された幅寸法と枚数等の壁板を受注する。ここで、図7に示す第2の受注画面においては、ハゼ・ダクトの種類、つまり、ボタンパンチハゼダクトか三井ハゼダクトかを選択、入力する必要がある。
【0050】
発送タスク36は、受注タスク35で受注した壁板などを発送手配するタスク・プログラムである。すなわち、上記のように、受注タスク35においてスマートフォン2から発注情報を受信すると起動され、発注情報に基づいて発送管理コンピュータ4に発送情報を送信することで、壁板などを発送手配する。
【0051】
具体的には、発注情報に含まれる壁板の幅寸法W、枚数などと需要家Mの識別情報などに基づいて、発送すべき壁板に関する情報(幅寸法W、ダクトの構造、枚数など)と、発送先の情報(需要家Mの識別情報、住所など)を含む発送情報を発送管理コンピュータ4に送信する。ここで、需要家Mの住所や電話番号などは、需要家Mが初めて販売サーバ3のウエブページにアクセスした際に入力、登録することで、販売サーバ3などに記憶されるようになっている。
【0052】
発送管理コンピュータ4は、部材販売メーカーの発送センターCに配設され、受注した壁板を需要家Mに発送準備・手続するためのコンピュータである。すなわち、発送センターCに壁板などの部材・部品が保管・在庫され、販売サーバ3から受信した発送情報に基づいて発送準備する。具体的には、逐次受信する複数の発送情報に含まれる、発送すべき壁板に関する情報と発送先の情報に基づいて、発送リスト(どこに何を届けるかを示すリスト)を作成したり、トラックの積み込み指示書(どれとどれをどのトラックに積み込むかを示す指示書)などを作成したりする。この発送リストや指示書に基づいて、作業者が所定の壁板を梱包して宛先などを付し、所定のトラックに積み込んで需要家Mに発送するものである。
【0053】
次にこのような構成のダクト部材販売システム1によるダクト部材販売方法について説明する。
【0054】
まず、部材販売メーカーにおいて、ダクトを構成する壁板を製作して発送センターCに在庫する(在庫ステップ)。次に、ダクト供給事業者である需要家Mがスマートフォン2で販売サーバ3のウエブページにアクセスすると、販売サーバ3の受注タスク35が起動され、スマートフォン2に上記のような受注画面を表示し、スマートフォン2から壁板の幅寸法や枚数などが入力されると、それらの壁板を受注する(受注ステップ)。
【0055】
続いて、発送タスク36が起動され、受注タスク35で受注した壁板を発送手配する(発送ステップ)。つまり、発送情報を発送管理コンピュータ4に送信し、これを受けて発送管理コンピュータ4で受注した壁板を需要家Mに発送準備する。この際、発送センターCの作業者が壁板の壁板情報101aを読み取って幅寸法などを確認し、所定の壁板をダクト供給事業者に届ける。そして、ダクト供給事業者が届いた壁板を組み付けてダクトにし、建設現場にダクトを供給・設置するものである。
【0056】
以上のように、このダクト部材販売システム1およびダクト部材販売方法によれば、壁板の受注可能な幅寸法がダクトの需要家Mに示され、需要家Mから壁板の幅寸法と枚数を受注すると、受注した壁板が需要家Mに発送される。このように、壁板が組み付けられた状態のダクトを受注、発送せずに、ダクトの壁板のみを受注、発送するため、迅速かつ容易に所望のダクトを提供することが可能となる。例えば、建設現場にダクトを供給するダクト供給事業者が需要家Mの場合、必要な壁板のみを発注し、受け取った壁板を組み付けるだけで所望のダクトを供給することができる。また、部材販売メーカーは、壁板が組み付けられた状態のダクトを在庫する必要がなく、壁板のみを在庫すればよいため、コストを低減できるとともに、複数の幅寸法の壁板を在庫するだけで、多様なダクトに柔軟に対応することが可能となる。
【0057】
また、壁板の幅寸法だけではなく接合構造も選択可能なため、所望の接合構造の壁板を提供して、迅速かつ容易に所望のダクトを提供することが可能となる。さらに、壁板の幅寸法だけではなくフランジ構造も選択可能なため、所望のフランジ構造の壁板を提供して、迅速かつ容易に所望のダクトを提供することが可能となる。
【0058】
また、一方のサイドにシングルハゼSが形成され、他方のサイドにダブルハゼWが形成された壁板が、受注可能な壁板となっている。すなわち、従来のように、両サイドにシングルハゼSが形成された壁板と、両サイドにダブルハゼWが形成された壁板との、2種類の壁板を使う必要がないため、製造・在庫コストを低減できるだけではなく、より柔軟な組み付けが可能となり、迅速かつ容易に所望のダクトを提供することが可能となる。
【0059】
しかも、シングルハゼSとダブルハゼWをスライドさせることで2つのハゼを着脱可能な壁板が、受注可能な壁板となっているため、迅速かつ容易に所望のダクトを提供することが可能となる。すなわち、壁板のシングルハゼSとダブルハゼWをスライドさせて係合するだけで、誰でも工具や機械を要することなく、迅速かつ容易に所望のダクトを提供することが可能となる。しかも、壁板が着脱可能なため、壁板つまりダクトを再利用することが可能となる。
【0060】
また、壁板情報101aが標示された壁板が、受注可能な壁板となっているため、壁板情報101aを読み取ることで、壁板の幅寸法などを容易かつ迅速、正確に知得することができる。この結果、発送や再利用の際に容易かつ迅速、正確に壁板を選定することが可能となる。
【0061】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、販売サーバ3と発送管理コンピュータ4とが別体となっているが、一体的に構成してもよい。また、ダクトの種類、大きさなどに応じて、受注画面において壁板の板厚を選択、入力できるようにしてもよい。さらに、ダクト部材販売方法の受注ステップにおいて、受注可能な壁板の幅寸法などを需要家Mに提示するのに、部材販売メーカーのウエブページによらないで、カタログやFAXなどの別の媒体で提示してもよく、需要家Mから電話やFAXなどで受注してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 ダクト部材販売システム
2 スマートフォン(通信端末)
3 販売サーバ
34 在庫データベース(在庫記憶手段)
35 受注タスク(受注手段)
36 発送タスク(発送手段)
4 発送管理コンピュータ
M ダクトの需要家
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9