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特開2023-168722液体噴射ユニットおよび液体噴射装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168722
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】液体噴射ユニットおよび液体噴射装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20231121BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
B41J2/01 307
B41J2/01 301
B41J2/175 121
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022079996
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】米山 一朗
(72)【発明者】
【氏名】菅原 徳起
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA22
2C056FA10
2C056HA07
2C056HA37
2C056KB37
(57)【要約】
【課題】液体噴射ヘッドの交換を容易に行うことができる液体噴射ヘッドユニット及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】第1電気接続部16を有し、インクを噴射する記録ヘッド10と、第1電気接続部16に接続可能な第2電気接続部33を有する電気部材30と、記録ヘッド10を支持するための支持部40と、支持部40から突出方向へ突出する軸部50と、固定部材60と、を備え、記録ヘッド10は、ヘッド貫通孔を有し、電気部材30は、第1貫通孔を有し、軸部50に前記ヘッド貫通孔および第1貫通孔がこの順に挿入された状態で、軸部50と固定部材60との係合によって記録ヘッド10および電気部材30が支持部40に対して固定される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1接続部を有し、液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記第1接続部に接続可能な第2接続部を有する第1部材と、
前記液体噴射ヘッドを支持するための支持部と、
前記支持部から突出方向へ突出する軸部と、
固定部材と、
を備え、
前記液体噴射ヘッドは、ヘッド貫通孔を有し、
前記第1部材は、第1貫通孔を有し、
前記軸部に前記ヘッド貫通孔および第1貫通孔がこの順に挿入された状態で、前記軸部と前記固定部材との係合によって前記液体噴射ヘッドおよび前記第1部材が前記支持部に対して固定される、
ことを特徴とする液体噴射ユニット。
【請求項2】
前記軸部は、ネジ溝を有し、
前記軸部が前記ヘッド貫通孔および前記第1貫通孔に挿入された状態で前記固定部材と前記ネジ溝とが螺合することで、前記液体噴射ヘッドおよび前記第1部材が前記固定部材と前記支持部との間に挟まれることで前記支持部に対して前記液体噴射ヘッドおよび前記第1部材が固定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ユニット。
【請求項3】
前記軸部は、
前記液体噴射ヘッドが前記支持部に支持されている状態で前記ヘッド貫通孔に対向する第1部分と、
前記ネジ溝と前記第1部分との間に設けられ、前記第1接続部と前記第2接続部とが接続されている状態で前記第1貫通孔に対向する第2部分と、
を含み、
前記突出方向に垂直な断面において、前記第2部分の断面積は、前記第1部分の断面積よりも小さく、
前記突出方向に垂直な断面において、前記第1貫通孔の断面積は、前記第1部分の断面積よりも小さい、
ことを特徴とする請求項2に記載の液体噴射ユニット。
【請求項4】
前記突出方向に見た平面視において、
前記軸部の前記ヘッド貫通孔に挿入される部分の最大寸法と前記ヘッド貫通孔の内周縁に接する最大の仮想円の直径との差は、前記軸部の前記第1貫通孔に挿入される部分の最大寸法と前記第1貫通孔の内周縁に接する最大の仮想円の直径との差よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ユニット。
【請求項5】
前記軸部の前記第1部分は、前記ヘッド貫通孔に圧入されることで前記液体噴射ヘッドを前記支持部に対して位置決めする、
ことを特徴とする請求項3に記載の液体噴射ユニット。
【請求項6】
前記液体噴射ヘッドは、第3接続部を有し、
前記第3接続部に接続可能な第4接続部を有する第2部材を備え、
前記第2部材は、第2貫通孔を有し、
前記軸部に前記ヘッド貫通孔、前記第2貫通孔および前記第1貫通孔がこの順に挿入された状態で、前記軸部と前記固定部材とが係合することで前記液体噴射ヘッド、前記第1部材および前記第2部材が前記支持部に対して固定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ユニット。
【請求項7】
前記軸部は、ネジ溝を有し、
前記軸部が前記ヘッド貫通孔、前記第1貫通孔および前記第2貫通孔に挿入された状態で前記固定部材と前記ネジ溝とが螺合することで、前記液体噴射ヘッド、前記第1部材および前記第2部材が前記固定部材と前記支持部との間に挟まれることで前記支持部に対して前記液体噴射ヘッド、前記第1部材および前記第2部材が固定される、
ことを特徴とする請求項6に記載の液体噴射ユニット。
【請求項8】
前記軸部は、
前記液体噴射ヘッドが前記支持部に支持されている状態で前記ヘッド貫通孔に対向する第1部分と、
前記ネジ溝と前記第1部分との間に設けられ、前記第1接続部と前記第2接続部とが接続されている状態で前記第1貫通孔に対向する第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分との間に設けられ、前記第3接続部と前記第4接続部とが接続されている状態で前記第2貫通孔に対向する第3部分と、を含み、
前記突出方向に垂直な断面において、前記第2部分の断面積は、前記第3部分の断面積よりも小さく、
前記突出方向に垂直な断面において、前記第1貫通孔の断面積は、前記第3部分の断面積よりも小さい、
ことを特徴とする請求項7に記載の液体噴射ユニット。
【請求項9】
前記液体噴射ヘッドの前記ヘッド貫通孔、前記第1部材の前記第1貫通孔、前記第2部材の前記第2貫通孔の順に前記軸部を挿入したとき、前記突出方向に見て、前記固定部材は、前記第2部材の前記第2貫通孔に内包される、
ことを特徴とする請求項8に記載の液体噴射ユニット。
【請求項10】
前記固定部材の断面積は、前記第2部材の前記第2貫通孔の断面積よりも大きい、
ことを特徴とする請求項8に記載の液体噴射ユニット。
【請求項11】
前記突出方向に見た平面視において、
前記軸部の前記ヘッド貫通孔に挿入される部分の最大寸法と前記ヘッド貫通孔の内周縁に接する最大の仮想円の直径との差は、前記軸部の前記第1貫通孔に挿入される部分の最大寸法と前記第1貫通孔の内周縁に接する最大の仮想円の直径との差よりも小さく、且つ、前記軸部の前記第2貫通孔に挿入される部分の最大寸法と前記第2貫通孔の内周縁に接する最大の仮想円の直径との差よりも小さい、
ことを特徴とする請求項6に記載の液体噴射ユニット。
【請求項12】
前記軸部の前記第1部分は、前記ヘッド貫通孔に圧入されることで前記液体噴射ヘッドを前記支持部に対して位置決めし、
前記軸部の前記第2部分は、前記第1貫通孔に圧入されることで前記第1接続部に対して前記第2接続部を位置決めし、
前記軸部の前記第3部分は、前記第2貫通孔に圧入されることで前記第3接続部に対して前記第4接続部を位置決めする、
ことを特徴とする請求項8に記載の液体噴射ユニット。
【請求項13】
前記液体噴射ヘッド、前記第1部材および前記第2部材が前記支持部に対して固定されている状態において、
前記液体噴射ヘッドは、前記第1部材の前記第2接続部以外の部分に当接し、且つ、前記第2部材の前記第4接続部以外の部分に当接し、
前記第1部材は、前記第2部材に当接する、
ことを特徴とする請求項6に記載の液体噴射ユニット。
【請求項14】
前記第1部材は、前記液体噴射ヘッドが有する流路と接続される流路を有する流路部材であり、
前記第2部材は、前記液体噴射ヘッドと電気的に接続される電気部材である、
ことを特徴とする請求項6に記載の液体噴射ユニット。
【請求項15】
前記第1部材は、前記液体噴射ヘッドと電気的に接続される電気部材であり、
前記第2部材は、前記液体噴射ヘッドが有する流路と接続される流路を有する流路部材である、
ことを特徴とする請求項6に記載の液体噴射ユニット。
【請求項16】
前記軸部と前記支持部とは、一体的に構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ユニット。
【請求項17】
第1接続部を有し、液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記第1接続部に接続可能な第2接続部を有する第1部材と、
前記液体噴射ヘッドを支持するための支持部と、
固定部材と、
を備え、
前記液体噴射ヘッドは、突出方向へ突出する軸部を有し、
前記第1部材は、第1貫通孔を有し、
前記支持部は、軸部用貫通孔を有し、
前記軸部は、前記突出方向の端部にネジ溝を有し、
前記軸部は、前記軸部用貫通孔に圧入され、
前記軸部が前記第1貫通孔および前記軸部用貫通孔に挿入された状態で前記固定部材と前記ネジ溝とが螺合することで、前記液体噴射ヘッドおよび前記第1部材が前記支持部に対して固定される、
ことを特徴とする液体噴射ユニット。
【請求項18】
前記液体噴射ヘッドは、第3接続部を有し、
前記第3接続部に接続可能な第4接続部を有する第2部材を備え、
前記第2部材は、第2貫通孔を有し、
前記軸部が前記軸部用貫通孔、前記第1貫通孔および前記第2貫通孔に挿入された状態で前記固定部材と前記ネジ溝とが螺合することで、前記液体噴射ヘッド、前記第1部材および前記第2部材が前記支持部に対して固定される、
ことを特徴とする請求項17に記載の液体噴射ユニット。
【請求項19】
請求項1~18の何れか一項に記載の前記液体噴射ユニットと、
前記液体噴射ユニットへ供給するための液体を貯留する液体貯留部と、
を備えることを特徴とする液体噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を噴射する液体噴射ヘッドを具備する液体噴射ユニットおよび液体噴射ユニットを有する液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射装置は、液体噴射ヘッドを具備する液体噴射ユニットを備え、この液体噴射ヘッドから各種の液体を液滴として噴射する装置である。
【0003】
このような液体噴射ユニットとしては、流路部材および電気部材の一例であるコネクターは、ビスによって液体噴射ヘッドの一例である記録ヘッドに固定され、記録ヘッドは、板バネによって支持部の一例であるキャリッジに固定された構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-211700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成の液体噴射ユニットでは、液体噴射ヘッドを交換する際に、支持部に対する液体噴射ヘッドの固定と、流路部材やコネクターなどの液体噴射ヘッドに接続される部材との固定を別々に行う必要があるため、液体噴射ヘッドの交換を容易に行えないという問題がある。
【0006】
なお、このような問題は、インクを噴射する液体噴射ユニットに限定されず、インク以外の液体を噴射する液体噴射ユニットにおいても同様に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の態様は、第1接続部を有し、液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記第1接続部に接続可能な第2接続部を有する第1部材と、前記液体噴射ヘッドを支持するための支持部と、前記支持部から突出方向へ突出する軸部と、固定部材と、を備え、前記液体噴射ヘッドは、ヘッド貫通孔を有し、前記第1部材は、第1貫通孔を有し、前記軸部に前記ヘッド貫通孔および第1貫通孔がこの順に挿入された状態で、前記軸部と前記固定部材との係合によって前記液体噴射ヘッドおよび前記第1部材が前記支持部に対して固定される、ことを特徴とする液体噴射ユニットにある。
【0008】
また本発明の他の態様は、第1接続部を有し、液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記第1接続部に接続可能な第2接続部を有する第1部材と、前記液体噴射ヘッドを支持するための支持部と、固定部材と、を備え、前記液体噴射ヘッドは、突出方向へ突出する軸部を有し、前記第1部材は、第1貫通孔を有し、前記支持部は、軸部用貫通孔を有し、前記軸部は、前記突出方向の端部にネジ溝を有し、前記軸部は、前記軸部用貫通孔に圧入され、前記軸部が前記第1貫通孔および前記軸部用貫通孔に挿入された状態で前記固定部材と前記ネジ溝とが螺合することで、前記液体噴射ヘッドおよび前記第1部材が前記支持部に対して固定される、ことを特徴とする液体噴射ユニットにある。
【0009】
また本発明の他の態様は、上記態様の前記液体噴射ユニットと、前記液体噴射ユニットへ供給するための液体を貯留する液体貯留部と、を備えることを特徴とする液体噴射装置にある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1に係る記録装置の概略構成を示す図。
図2】実施形態1に係る液体噴射ユニットの分解斜視図。
図3】実施形態1に係る液体噴射ユニットの要部断面図。
図4】実施形態1に係る液体噴射ユニットの要部断面図。
図5】実施形態1に係る記録ヘッドの平面図。
図6】実施形態1に係る記録ヘッドの要部断面図。
図7】実施形態1に係る記録ヘッドの要部断面図。
図8】実施形態1に係る流路部材の要部断面図。
図9】実施形態1に係る電気部材の要部断面図。
図10】実施形態1に係る電気部材の要部断面図。
図11】実施形態1に係る液体噴射ユニットの製造方法を示す要部断面図。
図12】実施形態1に係る液体噴射ユニットの製造方法を示す要部断面図。
図13】実施形態1に係る液体噴射ユニットの製造方法を示す要部断面図。
図14】実施形態1に係る液体噴射ユニットの製造方法を示す要部断面図。
図15】実施形態1に係る液体噴射ユニットの軸部及び位置決め孔の要部断面図。
図16】実施形態1に係る液体噴射ユニットの軸部及び位置決め孔の要部断面図。
図17】実施形態1に係る液体噴射ユニットの軸部及び位置決め孔の要部断面図。
図18】実施形態1に係る液体噴射ユニットの軸部及び位置決め孔の要部断面図。
図19】実施形態2に係る液体噴射ユニットの要部断面図。
図20】実施形態2に係る液体噴射ユニットの要部断面図。
図21】実施形態3に係る液体噴射ユニットの要部断面図。
図22】実施形態3に係る液体噴射ユニットの誤組み状態を示す要部断面図。
図23】実施形態3の変形例に係る液体噴射ユニットの誤組み状態を示す要部断面図。
図24】他の実施形態に係る液体噴射ユニットの要部断面図。
図25】他の実施形態に係る液体噴射ユニットの要部断面図。
図26】他の実施形態に係る液体噴射ユニットの要部断面図。
図27】他の実施形態に係る液体噴射ユニットの要部断面図。
図28】他の実施形態に係る液体噴射ユニットの要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本発明の一態様を示すものであって、本発明の範囲内で任意に変更可能である。各図において同じ符号を付したものは、同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。また、各図においてX、Y、Zは、互いに直交する3つの空間軸を表している。本明細書では、これらの軸に沿った方向をX方向、Y方向、およびZ方向とする。各図の矢印が向かう方向を正(+)方向、矢印の反対方向を負(-)方向として説明する。また、正方向および負方向を限定しない3つの空間軸の方向については、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向として説明する。
【0012】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録装置1の概略構成を示す図である。
【0013】
図1に示すように、インクジェット式記録装置1は、「液体噴射装置」の一例であり、「液体」の一種であるインクをインク滴として印刷用紙等の媒体Sに噴射・着弾させて、当該媒体Sに形成されるドットの配列により画像等の印刷を行う印刷装置である。なお、媒体Sとしては、記録用紙の他、樹脂フィルムや布等の任意の材質を用いることができる。
【0014】
以下において、X軸、Y軸、Z軸の3つの空間軸のうち、後述する液体噴射ユニット2の移動方向(換言すると、主走査方向)をY軸方向とし、当該主走査方向と直交した媒体Sの搬送方向をX軸方向とし、インクジェット式記録ヘッド10のノズル11(図6参照)が形成されたノズル面に平行な面をXY平面とし、ノズル面、すなわち、XY平面に交差する方向、本実施形態では、XY平面に直交する方向をZ軸方向とし、インク滴はZ軸方向のうち+Z方向に噴射されるものとする。
【0015】
図1に示すように、インクジェット式記録装置1は、液体噴射ユニット2と、液体容器3と、制御部である制御ユニット4と、媒体Sを送り出す搬送機構5と、移動機構6と、を具備する。
【0016】
液体噴射ユニット2については詳しくは後述するが、「液体貯留部」の一例である液体容器3から供給されるインクをインク滴として噴射する「液体噴射ヘッド」の一例であるインクジェット式記録ヘッド10(以下単に記録ヘッドとも言う)を具備する。
【0017】
液体容器3は、液体噴射ユニット2から噴射される複数種類(例えば、複数色)のインクを個別に貯留する。液体容器3としては、例えば、インクジェット式記録装置1に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、インクを補充可能なインクタンクなどが挙げられる。なお、液体容器3には、例えば、色や成分等が異なる複数種類のインクが貯留されている。また、液体容器3は、メインタンクとサブタンクとで分かれていてもよい。サブタンクが液体噴射ユニット2に接続され、液体噴射ユニット2からインク滴を噴射することで消費したインクをメインタンクからサブタンクに補充する構成であってもよい。
【0018】
制御ユニット4は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の制御装置と、半導体メモリー等の記憶装置と、を備えている。制御ユニット4は、記憶装置に記憶されたプログラムを制御装置が実行することでインクジェット式記録装置1の各要素、すなわち、液体噴射ユニット2、搬送機構5、移動機構6等を統括的に制御する。
【0019】
搬送機構5は、媒体SをX軸方向に搬送するものであり、搬送ローラー5aを有する。すなわち搬送機構5は、搬送ローラー5aが回転することで媒体SをX軸方向に搬送する。なお媒体Sを搬送する搬送機構5は、搬送ローラー5aを備えるものに限られず、例えば、ベルトやドラムによって媒体Sを搬送するものであってもよい。
【0020】
移動機構6は、液体噴射ユニット2をY軸方向に往復させるための機構であり、支持部40と搬送ベルト8とを具備する。支持部40は、液体噴射ユニット2の一部を構成するものであり、記録ヘッドを支持する所謂、キャリッジである。支持部40は、搬送ベルト8に固定される。搬送ベルト8は、Y軸に沿って架設された無端ベルトである。制御ユニット4による制御のもとで搬送ベルト8が回転することで記録ヘッド10が支持部40と共にY軸方向で往復移動する。なお支持部40は、記録ヘッド10と共に液体容器3を搭載する構成であってもよい。本実施形態では、支持部40と記録ヘッド10とが「液体噴射ユニット」の一部を構成する。
【0021】
記録ヘッド10は、制御ユニット4による制御のもとで、液体容器3から供給されたインクを複数のノズルのそれぞれからインク滴として+Z方向に媒体Sに噴射する噴射動作を実行する。この記録ヘッド10による噴射動作が、搬送機構5による媒体Sの搬送や移動機構6による記録ヘッド10の往復移動と並行して行われることにより、媒体Sの表面にインクによる画像が形成される、いわゆる印刷が行われる。
【0022】
図2は、液体噴射ユニット2の分解斜視図である。図3は、液体噴射ユニット2のXZ平面に平行な要部断面図である。図4は、液体噴射ユニット2のYZ平面に平行な要部断面図である。図5は、記録ヘッド10を+Z方向に見た平面図である。図6は、図5のA-A′線に沿った一部を切り欠いた要部断面図である。図7は、図5のB-B′線に沿った一部を切り欠いた要部断面図である。図8は、流路部材20のXZ平面に平行な要部断面図である。図9は、流路部材20のXZ平面に平行な要部断面図である。図10は、電気部材30のYZ平面に平行な要部断面図である。
【0023】
図2図4に示すように、本実施形態の液体噴射ユニット2は、記録ヘッド10と、流路部材20と、電気部材30と、支持部40と、軸部50と、固定部材60と、を備える。
【0024】
記録ヘッド10は、図5図7に示すように、インクをインク滴として噴射するノズル11と、ノズル11に連通する第1流路12と、第1流路12内のインクに圧力変化を生じさせる不図示の圧力発生手段等と、を具備する。ノズル11は、記録ヘッド10の+Z方向を向く面に設けられている。本実施形態では、このノズル11が形成された面をノズル面11aと称する。また、圧力発生手段としては、例えば、電気機械変換機能を呈する圧電材料を有する圧電アクチュエーターの変形によって流路の容積を変化させて流路内のインクに圧力変化を生じさてノズル11からインク滴を吐出させる圧電アクチュエーターを使用することができる。また、圧力発生手段としては、例えば、第1流路12内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル11からインク滴を吐出するものを使用することができる。さらに圧力発生手段としては、振動板と電極との間に静電気力を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル11からインク滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターを使用することができる。
【0025】
また、記録ヘッド10は、Z軸方向に亘って貫通する第1位置決め孔13を有する。本実施形態の第1位置決め孔13が「ヘッド貫通孔」に相当する。第1位置決め孔13は、記録ヘッド10のX軸方向の両端部のそれぞれに設けられた第1フランジ部14のそれぞれに、Z軸方向に亘って貫通して設けられている。第1位置決め孔13は、本実施形態では、Z軸方向に見て円形状を有する。もちろん、Z軸方向に見た第1位置決め孔13の形状は特にこれに限定されず、多角形状、楕円形状、長円形状であってもよい。また、第1位置決め孔13は、Z軸方向に亘って同じ開口形状および開口面積を有する。もちろん、第1位置決め孔13は、Z軸方向に亘って異なる開口形状であってもよく、開口面積が+Z方向に向かって徐々に漸小または漸大する形状であってもよい。
【0026】
また、記録ヘッド10の-Z方向を向く面には、第1流路接続部15と第1電気接続部16とが設けられている。第1流路接続部15は、記録ヘッド10の-Z方向を向く面に開口する凹形状を有する。また、第1流路接続部15は、Z軸方向に見て円形状の開口を有する。また、第1流路接続部15の底面である+Z方向側の面には、ノズル11に連通する第1流路12が開口して設けられている。つまり、第1流路接続部15は、第1流路12と連通する。この第1流路接続部15に、詳しくは後述する流路部材20の第2流路接続部22が液密に接続される。なお、本実施形態では、第1流路接続部15は、1個の記録ヘッド10に2個設けられている。もちろん、第1流路接続部15の数はこれに限定されず、1個であってもよく、3個以上設けるようにしてもよい。また、第1流路接続部15と連通する第1流路12は、記録ヘッド10にインクを供給する供給路であってもよく、記録ヘッド10内のインクを外部に排出するための排出路であってもよい。本実施形態では、記録ヘッド10の第1流路接続部15が「第3接続部」に相当する。
【0027】
第1電気接続部16は、記録ヘッド10の-Z方向を向く面に開口する溝部17の底面に設けられており、記録ヘッド10の内部に設けられた不図示の圧力発生手段と電気的に接続されている。また、第1電気接続部16は、電気部材30の第2電気接続部33と電気的に接続される。このような第1電気接続部16は、例えば、複数の配線同士を電気的に接続するための対となるコネクターの一方を用いることができる。なお、記録ヘッド10の内部において第1電気接続部16と圧力発生手段との間には、スイッチング素子を有する駆動回路等や温度を測定するセンサー等が設けられていてもよい。また、本実施形態では、1個の記録ヘッド10に1個の第1電気接続部16を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、2個以上の第1電気接続部16を設けるようにしてもよくその数は特に限定されない。本実施形態では、記録ヘッド10の第1電気接続部16が、「第1接続部」に相当する。
【0028】
これら第1流路接続部15と第1電気接続部16とは、記録ヘッド10の-Z方向を向く面において互いに干渉しないように配置されている。本実施形態では、第1流路接続部15と第1電気接続部16とは、Y軸方向において互いに離れた位置に配置されている。具体的には、図5に示すように、第1流路接続部15は、記録ヘッド10の中心に対して-Y方向に配置されており、第1電気接続部16は、記録ヘッド10の中心に対して+Y方向側に配置されている。また、第1流路接続部15は、記録ヘッド10の中心に対して+X方向の部分と-X方向の部分にそれぞれに1つずつ配置され、第1電気接続部16は、記録ヘッド10のX軸方向における中央部に配置されている。
【0029】
図8に示すように、流路部材20は、記録ヘッド10の第1流路12に接続される第2流路21が内部に設けられる。また、流路部材20は、記録ヘッド10の第1流路接続部15に接続される第2流路接続部22を有する。第2流路接続部22は、+Z方向を向く面から+Z方向に向かって突出する凸形状を有し、先端に第2流路21が開口するように内部に第2流路21が形成されている。第2流路接続部22を-Z方向に見た外形は、円形状を有する。つまり、第2流路接続部22は、円筒形状を有する。本実施形態では、流路部材20が「第2部材」に相当し、第2流路接続部22が「第4接続部」に相当する。
【0030】
流路部材20は、+Z方向に見て、第1電気接続部16が設けられた溝部17を覆わない大きさを有する。つまり、図4に示すように、Y軸方向において流路部材20の幅は記録ヘッド10の幅よりも小さい。このため、流路部材20の第2流路接続部22を記録ヘッド10の第1流路接続部15に接続した状態で、第1電気接続部16および溝部17は流路部材20によって覆われることなく-Z方向に露出される。
【0031】
このような流路部材20の図示しない内部には、例えば、インクに含まれる気泡やゴミなどの異物を補足するフィルター、下流側の流路の圧力に応じて開閉して上流から下流に向かうインクの流れを制御する弁機構、第2流路21内のインクを加熱するヒーター等の加熱手段等を設けてもよい。また、流路部材20の第2流路21は、複数に分岐された分岐流路であってもよい。
【0032】
また、流路部材20は、Z軸方向に亘って貫通する第2位置決め孔23を有する。本実施形態では、流路部材20の第2位置決め孔23が「第2貫通孔」に相当する。第2位置決め孔23は、流路部材20のX軸方向の両端部のそれぞれに設けられた第2フランジ部24のそれぞれに、Z軸方向に貫通して設けられている。また、第2位置決め孔23は、本実施形態では、Z軸方向に見て円形状を有する。もちろん、第2位置決め孔23をZ軸方向に見た形状は、特にこれに限定されず、多角形状、楕円形状、長円形状であってもよい。また、第2位置決め孔23は、Z軸方向に亘って同じ開口形状および開口面積を有する。もちろん、第2位置決め孔23は、Z軸方向に亘って異なる開口形状であってもよく、開口面積が+Z方向に向かって徐々に漸小または漸大する形状であってもよい。
【0033】
また、流路部材20には、第2流路21と外部流路とを接続する外部流路接続部25が設けられている。外部流路接続部25は、流路部材20の-Z方向の面から-Z方向に向かって突出する凸形状を有し、先端に第2流路21が開口するように内部に第2流路21が形成されている。外部流路接続部25を+Z方向に見た外形は、円形状を有する。つまり、外部流路接続部25は、円筒形状を有する。このような外部流路接続部25には、チューブ等の外部流路が形成された流路管70が接続される。なお、流路管70を外部流路接続部25に対して着脱できないように固定することで、流路管70を流路部材20の一部として設けてもよい。もちろん、外部流路接続部25は、流路管70に接続される円筒形状に限定されず、例えば、インクカートリッジ等に差し込まれる-Z方向側の先端が尖った針状のものであってもよい。
【0034】
図9および図10に示すように、電気部材30は、ケース部材31と、基板32と、第2電気接続部33と、外部配線接続部34と、を有する。
【0035】
ケース部材31は、内部に基板32、第2電気接続部33の一部および外部配線接続部34を収容するものであり、中空の箱形状を有する。
【0036】
基板32は、リジット基板からなり、不図示の配線や配線に実装された電子部品等を有する。
【0037】
第2電気接続部33は、基板32の+Z方向を向く面に実装されて、基板32の不図示の配線等と接続されている。このような第2電気接続部33は、複数の配線同士を電気的に接続するための対となるコネクターの他方を用いることができる。つまり、記録ヘッド10の第1電気接続部16と電気部材30の第2電気接続部33とは、配線同士を電気的に接続するための対となるコネクターの一方と他方とである。
【0038】
第2電気接続部33は、基板32の+Z方向を向く面に固定されている。ケース部材31には、第2電気接続部33に対応して、-Z方向に突出する第1突起部35が設けられており、第1突起部35の-Z方向を向く面には、第2電気接続部33を内部から+Z方向の外部に突出させるための第1開口部35aが設けられている。
【0039】
外部配線接続部34は、基板32の-Z方向を向く面に実装されて、基板32の不図示の配線等と接続されている。外部配線接続部34は、フレキシブルケーブル等の外部配線80が接続されるものであり、例えば、コネクターからなる。フレキシブルケーブルは、例えば、FFC(Flexible Flat Cable)やFPC(Flexible printed circuits)である。ケース部材31には、外部配線接続部34を-Z方向の面に露出するための露出開口部36が設けられている。外部配線80は、露出開口部36に挿入されて外部配線接続部34と電気的に接続される。なお、外部配線80を外部配線接続部34に対して着脱できないように固定することで、外部配線80を電気部材30の一部として設けてもよい。
【0040】
このような電気部材30は、第2電気接続部33が、記録ヘッド10の第1電気接続部16と電気的に接続される。本実施形態では、電気部材30が「第1部材」に相当し、第2電気接続部33が「第2接続部」に相当する。
【0041】
また、電気部材30は、Z軸方向に貫通する第3位置決め孔37を有する。本実施形態の第3位置決め孔37が「第1貫通孔」に相当する。第3位置決め孔37は、電気部材30を構成するケース部材31のX軸方向の両端部のそれぞれに設けられた第3フランジ部38のそれぞれに、Z軸方向に貫通して設けられている。また、第3位置決め孔37は、本実施形態では、Z軸方向に見て円形状を有する。もちろん、第3位置決め孔37をZ軸方向に見た形状は、特にこれに限定されず、多角形状、楕円形状、長円形状であってもよい。
【0042】
なお、本実施形態の電気部材30では、ケース部材31の内部に1枚の基板32を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、ケース部材31の内部に2枚以上の複数の基板32を互いにフレキシブルケーブルやコネクター等で接続して設けるようにしてもよい。また、電気部材30は、第2電気接続部33が実装された基板32をケース部材31で覆うようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、ケース部材を設けずに、第2接続部が実装された基板32のみで構成されるものであってもよい。このように電気部材30が、基板32のみで構成される場合には、基板32に第3位置決め孔37が設けられていればよい。
【0043】
支持部40は、図2図4に示すように、記録ヘッド10を支持するものであり、上述したように移動機構6の一部を構成する、所謂、キャリッジである。本実施形態では、支持部40は、図1に示すように4個の記録ヘッド10を支持する。もちろん、支持部40は、単一の記録ヘッド10を支持するものであってもよく、支持部40が支持する記録ヘッド10の数は、4個に限定されるものではない。
【0044】
支持部40には、記録ヘッド10のノズル11が開口するノズル面11aを露出する第2開口部41が設けられている。第2開口部41は、支持部40をZ軸方向に貫通して設けられている。また、第2開口部41は、記録ヘッド10毎に独立して設けられている。つまり、本実施形態の支持部40は、4個の記録ヘッド10を支持するため、第2開口部41は合計4個設けられている。もちろん、第2開口部41は、複数の記録ヘッド10に対して共通して設けられていてもよい。
【0045】
軸部50は、支持部40から-Z方向に突出して設けられている。本実施形態では、軸部50は、基端部が支持部40に固定され、先端部が-Z方向に突出するように軸方向がZ軸方向に沿って配置されている。つまり、本実施形態の軸部50が突出する「突出方向」は-Z方向である。軸部50は、支持部40に支持される記録ヘッド10毎に2本ずつ、合計8本設けられている。また、軸部50と支持部40とは、一体的に構成されている。ここで、軸部50と支持部40とが一体的であるとは、軸部50と支持部40とが射出成形や鋳造によって同じ製造工程で製造された構成を含む。また、軸部50と支持部40とが一体的であるとは、支持部40に形成された固定孔に軸部50を圧入することで容易に着脱できないように固定された構成を含む。また、軸部50と支持部40とが一体的であるとは、軸部50と支持部40とを溶着することで容易に着脱できないように固定された構成を含む。例えば、支持部40と軸部50とを締結することで容易に着脱できるように固定された構成は、軸部50と支持部40とが一体的である構成には含まれない。つまり、支持部40と軸部50とが締結することで固定された構成は、別体と称する。このように軸部50と支持部40とを、互いに容易に着脱できない固定方法によって一体的に構成することで、別体で構成する場合に比べて支持部40と軸部50との固定が緩むのを抑制して、固定の緩みによって軸部50が支持部40に対して傾き、軸部50によって位置決めされる記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30の支持部40に対する位置決め精度が低下するのを抑制することができる。
【0046】
各軸部50は、軸方向に垂直な断面、つまり、Z軸方向に垂直なX軸とY軸とで規定されるXY平面に沿った断面において円形状を有する。本実施形態では、軸部50は、Z軸方向に垂直な断面の断面積は、Z軸方向に沿って同じ大きさを有する。つまり、軸部50は、直径がZ軸方向に亘って同じ円柱形状を有する。なお、軸部50の形状は特にこれに限定されず、Z軸方向に垂直な断面が、多角形状、楕円形状、長円形状等であってもよい。
【0047】
このような軸部50の-Z方向に突出した先端部に固定部材60が係合する。本実施形態では、軸部50と固定部材60とは螺合することで係合する。具体的には、軸部50の先端部には、螺旋状のネジ溝50aが外周面に沿って設けられおり、軸部50の先端部は雄ネジとなっている。
【0048】
固定部材60は、Z軸方向に貫通する固定孔61を有し、固定孔61の内周面に沿って螺旋状のネジ溝が設けられることで雌ネジとなっている。そして、雄ネジである軸部50の先端部に雌ネジである固定部材60の固定孔61が螺合することで軸部50と固定部材60とは係合する。
【0049】
固定部材60は、Z軸方向に見た外形が六角形状を有する所謂、六角ナットとなっている。このため固定部材60は、レンチなどの工具を用いて回転させて軸部50に締結することができる。
【0050】
このような支持部40に、記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30が支持されている。具体的には、支持部40に基端部が固定された軸部50に記録ヘッド10の第1位置決め孔13、流路部材20の第2位置決め孔23、電気部材30の第3位置決め孔37をこの順で挿入した状態で、軸部50と固定部材60とを螺合することで、記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30が支持部40と固定部材60との間に挟まれる。これにより、記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30は、支持部40に対して固定されている。また、軸部50に第1位置決め孔13を挿入することで、軸部50に対する記録ヘッド10のXY平面の位置決めが行われる。また、軸部50に第2位置決め孔23を挿入することで、流路部材20は、軸部50を介して記録ヘッド10に対するXY平面の位置決めが行われる。また、軸部50に第3位置決め孔37を挿入することで、電気部材30は、軸部50を介して記録ヘッド10に対する位置決めが行われる。
【0051】
このような液体噴射ユニット2の製造方法をさらに図11図14を参照して説明する。なお、図11図14は、液体噴射ユニット2の製造方法を示す要部断面図である。
図11に示すように、支持部40に固定された軸部50に記録ヘッド10の第1位置決め孔13を挿入する。このように軸部50に第1位置決め孔13を挿入することで、記録ヘッド10は軸部50に対してXY平面内の位置決めが行われる。したがって、記録ヘッド10は、軸部50を介して支持部40に対してXY平面内の位置決めが行われる。
【0052】
第1位置決め孔13の軸部50への挿入は、記録ヘッド10の第1フランジ部14が支持部40の-Z方向を向く面に当接するまで行われる。このように記録ヘッド10をZ軸方向で支持部40に当接させることで、記録ヘッド10は支持部40に対してZ軸方向の位置決めが行われる。つまり、軸部50は、記録ヘッド10の第1位置決め孔13に挿入されることで、記録ヘッド10を支持部40に対して位置決めする。
【0053】
次に、図12に示すように、軸部50に流路部材20の第2位置決め孔23を挿入する。このように軸部50に第2位置決め孔23を挿入することで、流路部材20は軸部50に対してXY平面内の位置決めが行われて、軸部50を介して記録ヘッド10に対してXY平面内の位置決めが行われる。また、第2位置決め孔23の軸部50への挿入は、流路部材20の第2流路接続部22が、記録ヘッド10の第1流路接続部15に接続されるまで行う。また、本実施形態では、第1流路接続部15と第2流路接続部22とが接続された状態で、流路部材20は記録ヘッド10の第1電気接続部16以外の部分に当接する。つまり、記録ヘッド10の-Z方向を向く面と流路部材20の+Z方向を向く面とが当接した状態で、第1流路接続部15と第2流路接続部22とは接続される。このように流路部材20をZ軸方向で記録ヘッド10に当接させることで、流路部材20は記録ヘッド10に対してZ軸方向の位置決めが行われる。つまり、軸部50は、流路部材20の第2位置決め孔23に挿入されることで、記録ヘッド10の第1流路接続部15に対して第2流路接続部22を位置決めする。
【0054】
次に、図13に示すように、軸部50に電気部材30の第3位置決め孔37を挿入する。このように軸部50に第3位置決め孔37を挿入することで、電気部材30は軸部50に対してXY平面内の位置決めが行われて、軸部50を介して記録ヘッド10に対してXY平面内の位置決めが行われる。また、第3位置決め孔37の軸部50への挿入は、電気部材30の第2電気接続部33が、記録ヘッド10の第1電気接続部16に接続されるまで行う。また、本実施形態では、第1電気接続部16と第2電気接続部33とが接続された状態で、第1突起部35の+Z方向を向く面が、記録ヘッド10の第1流路接続部15以外の部分に当接する。つまり、記録ヘッド10の-Z方向を向く面と第1突起部35の+Z方向を向く面とが当接した状態で、第1電気接続部16と第2電気接続部33とが接続される。このように電気部材30をZ軸方向で記録ヘッド10に当接させることで、電気部材30は記録ヘッド10に対してZ軸方向の位置決めが行われる。つまり、軸部50は、電気部材30の第3位置決め孔37に挿入されることで、記録ヘッド10の第1電気接続部16に対して第2電気接続部33を位置決めする。
【0055】
また、本実施形態では、第1電気接続部16と第2電気接続部33とが接続された状態で、流路部材20の-Z方向を向く面と電気部材30の第1突起部35以外の+Z方向を向く面とが当接する。このように、電気部材30をZ軸方向で流路部材20に当接させることで、電気部材30と記録ヘッド10との間で、流路部材20を挟み込んで、記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30を互いに固定することができる。
【0056】
そして、図14に示すように、軸部50の先端に固定部材60を螺合させる。このとき、固定部材60の+Z方向を向く面と、第3フランジ部38の-Z方向を向く面とを当接させた状態で、固定部材60を軸部50に対して締め付けることで、固定部材60と支持部40との間で記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30を挟み込み、記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30を支持部40に対して固定することができる。つまり、記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30が支持部40に固定されている状態において、記録ヘッド10は、電気部材30の第2電気接続部33以外の部分に当接し、且つ、流路部材20の第2流路接続部22以外の部分に当接し、電気部材30と流路部材20とは当接する。これにより、記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30を支持部40に安定して固定することができる。なお、本実施形態では、第1フランジ部14と第2フランジ部24との間、および、第2フランジ部24と第3フランジ部38との間のそれぞれに隙間を設けるようにしたが、特にこれに限定されない。第1フランジ部14と第2フランジ部24とをZ軸方向において当接するようにしてもよく、第2フランジ部24と第3フランジ部38とをZ軸方向において当接するようにしてもよい。このように2つの部材の間でフランジ部同士を当接させることで、両者が当接する面積を増大させて2つの部材の間での位置決め精度を向上することができると共に、フランジ部の変形や破損を抑制することができる。
【0057】
そして、図11図14に示す工程を4回繰り返すことで、支持部40に対して、記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30の組を4組固定し、図2に示す液体噴射ユニット2が製造される。
【0058】
以上説明したように、本実施形態の液体噴射ユニット2は、第1電気接続部16を有し、インクを噴射する記録ヘッド10と、第1電気接続部16に接続可能な第2電気接続部33を有する電気部材30と、を具備する。また、液体噴射ユニット2は、記録ヘッド10を支持するための支持部40と、支持部40から-Z方向に突出する軸部50と、固定部材60と、を備える。また、記録ヘッド10は、第1位置決め孔13を有し、電気部材30は、第3位置決め孔37を有し、軸部50に第1位置決め孔13および第3位置決め孔37がこの順に挿入された状態で、軸部50と固定部材60との係合によって記録ヘッド10および電気部材30が支持部40に対して固定される。
【0059】
また、記録ヘッド10は、第1流路接続部15を有する。また、第1流路接続部15に接続可能な第2流路接続部22を有する流路部材20を備える。また、流路部材20は、第2位置決め孔23を有し、軸部50に第1位置決め孔13、第2位置決め孔23および第3位置決め孔37がこの順に挿入された状態で、軸部50と固定部材60とが係合することで記録ヘッド10、電気部材30および流路部材20が支持部40に対して固定される。
【0060】
このように固定部材60を軸部50に固定するだけで記録ヘッド10を支持部40に固定することができると共に、流路部材20および電気部材30を記録ヘッド10に固定することができるため、軸部50と固定部材60との係合を解除するだけで、記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30の交換を容易に行うことができる。また、共通の軸部50に第1位置決め孔13、第2位置決め孔23および第3位置決め孔37を挿入させるだけで、記録ヘッド10の支持部40に対する位置決めと、記録ヘッド10に対する流路部材20および電気部材30の位置決めと、を行うことができるため、記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30のそれぞれを異なる軸部50に固定する場合に比べて、位置決め工程を簡略化することができる。また、記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30を共通の軸部50によって固定することができるため、記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30を位置決め固定するための機構を個別に設ける場合に比べて、記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30のXY平面内において小型化することができる。特に支持部40に複数の記録ヘッド10を支持させる際に、複数の記録ヘッド10の間の間隔を小さくすることができ、液体噴射ユニット2の小型化を図ることができる。また、軸部50に固定部材60を係合させるだけで、記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30を支持部40に固定することができるため、本実施形態のように支持部40に複数の記録ヘッド10が支持させる際にも作業を行い易く、液体噴射ユニット2の組み立て性を向上することができる。
【0061】
また、本実施形態の液体噴射ユニット2では、軸部50は、ネジ溝50aを有し、軸部50が第1位置決め孔13、第3位置決め孔37および第2位置決め孔23に挿入された状態で固定部材60とネジ溝50aとが螺合する。これにより記録ヘッド10、電気部材30および流路部材20が固定部材60と支持部40との間に挟まれることで支持部40に対して記録ヘッド10と電気部材30および流路部材20とが固定されることが好ましい。
【0062】
このように軸部50と固定部材60とを螺合させることで、軸部50と固定部材60とを係合させることができると共に、固定部材60を軸部50に締結するだけで、固定部材60と支持部40との間で記録ヘッド10、電気部材30および流路部材20を確実に固定することができる。
【0063】
また、本実施形態の液体噴射ユニット2では、記録ヘッド10、電気部材30および流路部材20が支持部40に対して固定されている状態において、記録ヘッド10は、電気部材30の第2電気接続部33以外の部分に当接し、且つ、流路部材20の第2流路接続部22以外の部分に当接する。また、電気部材30は流路部材20に当接することが好ましい。
【0064】
このように記録ヘッド10と流路部材20および電気部材30とをZ軸方向で当接させると共に、流路部材20と電気部材30とをZ軸方向で当接させることで、記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30を安定して固定することができる。また、記録ヘッド10の第1フランジ部14と流路部材20の第2フランジ部24とが当接し、流路部材20の第2フランジ部24と電気部材30の第3フランジ部38とが当接するのが好ましい。これにより、第3フランジ部38の変形や破壊を抑制することができると共に、固定部材60の締め付け量の違いによって各部材がZ軸方向に対して傾くのを抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態の液体噴射ユニット2では、軸部50と支持部40とは一体的に構成されていることが好ましい。つまり、軸部50は、支持部40から容易に取り外すことができない固定方法によって一体的に構成することで、別体で構成する場合に比べて支持部40と軸部50との固定が緩むのを抑制して、固定の緩みによって軸部50が支持部40に対して傾き、軸部50によって位置決めされる記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30の支持部40に対する位置決め精度が低下するのを抑制することができる。
【0066】
ここで、図3および図4に示すように、軸部50は、第1部分51と第2部分52と第3部分53とを有する。第1部分51は、記録ヘッド10が支持部40に支持されている状態で第1位置決め孔13に対向する部分である。第2部分52は、第1部分51と雄ネジとなるネジ溝50aとの間に設けられ、記録ヘッド10の第1電気接続部16と電気部材30の第2電気接続部33とが接続されている状態で第3位置決め孔37に対向する部分である。第3部分53は、第1部分51と第2部分52との間に設けられ、記録ヘッド10の第1流路接続部15と流路部材20の第2流路接続部22とが接続されている状態で第2位置決め孔23に対向する部分である。なお、軸部50が第1位置決め孔13、第2位置決め孔23および第3位置決め孔37に対向するとは、軸部50の外周面と第1位置決め孔13、第2位置決め孔23および第3位置決め孔37の内周面とが接触している状態も、接触することなく隙間を空けた状態も含む。
【0067】
図15から図18は、軸部50と第1位置決め孔13、第2位置決め孔23及び第3位置決め孔37のXY平面に平行な断面図である。
【0068】
図15に示すように、Z軸方向に見た平面視において、第1部分51の最大寸法S1と、第1位置決め孔13の内周面に接する最大の仮想円13vの直径R1との差d1は、第2部分52の最大寸法S2と第3位置決め孔37の内周面に接する最大の仮想円37vの直径R2との差d2よりも小さいことが好ましい。つまり、d1<d2の関係を満たすことが好ましい。なお、差d1は、仮想円13vの直径R1から第1部分51の最大寸法S1を減じた値であり、差d2は、仮想円37vの直径R2から第2部分52の最大寸法S2を減じた値である。
【0069】
ここで、第1部分51および第2部分52のそれぞれの最大寸法S1,S2とは、軸部50が-Z方向に見て円形であれば、軸部50の直径に相当する。また、第1位置決め孔13および第3位置決め孔37のそれぞれの内周面に接する最大の仮想円13v、37vのそれぞれの直径R1,R2とは、第1位置決め孔13および第3位置決め孔37が、-Z方向に見て円形であれば、第1位置決め孔13および第3位置決め孔37の内径に相当する。このようにd1をd2よりも小さくすることで、XY平面において記録ヘッド10の軸部50に対して移動可能な距離を、電気部材30の軸部50に対して移動可能な距離に比べて小さくすることができ、記録ヘッド10の軸部50に対するXY平面内の位置決め精度を電気部材30に比べて高くすることができる。したがって、記録ヘッド10を軸部50が固定された支持部40に対して比較的高精度に位置決めすることができ、記録ヘッド10から噴射されるインク滴の媒体Sへの着弾位置ずれを抑制することができる。つまり、記録ヘッド10は、インク滴を噴射するノズル11を有するため、ノズル11から噴射されたインク滴が媒体に着弾した際に位置ずれが生じないように、記録ヘッド10の支持部40に対する位置決めは比較的高精度に行う必要がある。このように記録ヘッド10の支持部40の位置決めを高精度に行うことで、複数の記録ヘッド10の間での位置決め精度も向上することができる。これに対して、記録ヘッド10に対する電気部材30のXY平面内の位置決めは、第1電気接続部16および第2電気接続部33が接続される程度に行われていればよい。このため、電気部材30の軸部50に対するXY平面内の位置決め精度、つまり、電気部材30の記録ヘッド10に対する位置決め精度は、記録ヘッド10の支持部40に対する位置決め精度に比べて低くても、第1電気接続部16および第2電気接続部33の接続に問題は生じ難い。
【0070】
また、軸部50の第1部分51は、記録ヘッド10の第1位置決め孔13に圧入されるのが好ましい。つまり、仮想円13vの直径R1が、第1部分51の最大寸法S1以下であることが好ましい。このように第1部分51を第1位置決め孔13に圧入することで、記録ヘッド10は、軸部50に対しXY平面内で移動できなくなり、記録ヘッド10の軸部50に対するXY平面内の位置決め精度を向上することができる。
【0071】
なお、差d2は、0(ゼロ)よりも大きいことが好ましい。換言すれば、仮想円37vの直径R2が、第2部分52の最大寸法S2よりも大きいことが好ましい。これにより、第2部分52が電気部材30の第3位置決め孔37に圧入されることなく、軸部50から電気部材30を着脱し易くすることができる。つまり、本発明の「位置決め」とは、軸部50が第1位置決め孔13、第2位置決め孔23および第3位置決め孔37に圧入されて、記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30が軸部50に対してXY平面内に移動できない状態も、また、軸部50が第1位置決め孔13、第2位置決め孔23および第3位置決め孔37に圧入されておらず、記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30が軸部50に対してXY平面内に若干移動可能な状態、所謂、ラフガイドも含むものである。
【0072】
また、第1部分51および第1位置決め孔13と第3部分53および第2位置決め孔23との関係についても同様の関係であることが好ましい。つまり、図15に示すように、Z軸方向に見た平面視において、第1部分51の最大寸法S1と、仮想円13vの直径R1との差d1は、第3部分53の最大寸法S3と第2位置決め孔23の内周面に接する最大の仮想円23vの直径R3との差d3よりも小さいことが好ましい。なお、差d3は、仮想円23vの直径R3から第3部分53の最大寸法S3を減じた値である。つまり、d1<d3の関係を満たすことが好ましい。これにより、XY平面における記録ヘッド10の軸部50に対する位置決め精度を、流路部材20の軸部50に対する位置決め精度よりも高くすることができる。つまり、流路部材20の記録ヘッド10に対するXY平面内の位置決めは、第1流路接続部15と第2流路接続部22とが接続できる程度の精度があればよいため、記録ヘッド10の支持部40に対するXY平面内の位置決めに比べて低い精度であっても問題は生じ難い。
【0073】
また、差d3は、差d2と同様に0(ゼロ)よりも大きいことが好ましい。換言すれば、仮想円23vの直径R3が、第3部分53の最大寸法S3よりも大きいことが好ましい。これにより、第3部分53が、流路部材20の第2位置決め孔23に圧入されることなく、軸部50から流路部材20を着脱し易くすることができる。
【0074】
なお、例えば、図16に示すように、第1位置決め孔13の一部が拡幅した拡幅部13aを有する場合、第1位置決め孔13と第1部分51との最大の隙間、つまり、第1部分51と拡幅部13aとの隙間d10がd1よりも大きい場合であっても、d1は第1位置決め孔13の内周面に接する最大の仮想円13vの直径R1で規定されるため、d1<d2、d1<d3の関係を満たすことで、記録ヘッド10の軸部50に対するXY平面内の位置決め精度を電気部材30および流路部材20に比べて高精度に行うことができる。つまり、最大の隙間で規定すると、d10は、d2およびd3よりも大きくなるが、拡幅部13aは位置決めに影響しないため、実際には第1位置決め孔13の方が、第2位置決め孔23および第3位置決め孔37よりも位置決め精度が高い。このため、軸部50の第1部分51の最大寸法S1と第1位置決め孔13の内周面に接する最大の仮想円13vの直径R1との差d1、軸部50の第2部分52の最大寸法S2と第2位置決め孔23の内周面に接する最大の仮想円23vの直径R2との差d2、軸部50の第3部分53の最大寸法S3と第3位置決め孔37の内周面に接する最大の仮想円37vの直径R3との差d3を比較して規定することで、位置決め精度の優劣を規定することができる。
【0075】
同様に、例えば、図17に示すように、第1位置決め孔13のZ軸方向に見た形状が、矩形状を基本として角を曲面とした形状の場合でも、d1<d2、d1<d3の関係を満たすことで、記録ヘッド10の軸部50に対するXY平面内の位置決め精度を電気部材30および流路部材20に比べて高精度に行うことができる。ここで、差d1は、第1位置決め孔13の内周面に接する最大の仮想円13vの直径R1と第1部分51の最大寸法S1とで規定され、差d2は、第3位置決め孔37の内周面に接する最大の仮想円37vの直径R2と第2部分52の最大寸法S2とで規定され、差d3は、第2位置決め孔23の内周面に接する最大の仮想円23vの直径R3と第3部分53の最大寸法S3とで規定される。
【0076】
同様に、例えば、図18に示すように、軸部50のZ軸方向に垂直な断面形状が矩形状を基本として角を曲面となるように面取りした形状であっても、d1<d2、d1<d3の関係を満たすことで、記録ヘッド10の軸部50に対するXY平面内の位置決め精度を電気部材30および流路部材20に比べて高精度に行うことができる。ここで、差d1は、第1位置決め孔13の内周面に接する最大の仮想円13vの直径R1と第1部分51の最大寸法S1とで規定され、差d2は、第3位置決め孔37の内周面に接する最大の仮想円37vの直径R2と第2部分52の最大寸法S2とで規定され、差d3は、第2位置決め孔23の内周面に接する最大の仮想円23vの直径R3と第3部分53の最大寸法S3とで規定される。
【0077】
また、図15図18に示す液体噴射ユニット2では、-Z方向に見た平面視において、軸部50の第1位置決め孔13に挿入される部分である第1部分51の最大寸法S1と第1位置決め孔13の内周縁に接する最大の仮想円13vの直径R1との差d1は、軸部50の第3位置決め孔37に挿入される部分である第2部分52の最大寸法S2と第3位置決め孔37の内周縁に接する最大の仮想円37vの直径R2との差d2よりも小さい、ことが好ましい。
【0078】
このように、記録ヘッド10の支持部40に対するXY平面内の位置決め精度を電気部材30の記録ヘッド10に対する位置決め精度よりも向上することができる。このため、記録ヘッド10から噴射されるインク滴の媒体Sへの着弾位置ずれを抑制することができる。また、電気部材30を軸部50から着脱し易くすることができるため、記録ヘッド10および電気部材30の交換を容易に行うことができる。
【0079】
また、軸部50は、第1位置決め孔13に挿入されることで記録ヘッド10を支持部40に対して圧入して位置決めし、且つ、第3位置決め孔37に挿入されることで第1電気接続部16に対して第2電気接続部33を位置決めすることが好ましい。軸部50を記録ヘッド10の第1位置決め孔13に圧入して位置決めすることで、記録ヘッド10の支持部40に対する位置決め精度をさらに向上することができる。
【0080】
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1は、上記に記載の液体噴射ユニット2と、液体噴射ユニット2へ供給するための液体を貯留する液体容器3と、を備える。このようなインクジェット式記録装置1では、液体噴射ユニット2の小型化によって小型化を図ることができると共に、記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30の支持部40への位置決めおよび組み立て性を向上することができる。
【0081】
(実施形態2)
図19および図20は、本発明の実施形態2に係る液体噴射ユニットの要部断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0082】
図示するように、本実施形態の液体噴射ユニット2は、記録ヘッド10と流路部材20と電気部材30と支持部40と軸部50と固定部材60とを具備する。軸部50には、記録ヘッド10の第1位置決め孔13、電気部材30の第3位置決め孔37および流路部材20の第2位置決め孔23が、この順で挿入されている。つまり、本実施形態では、流路部材20が「第1部材」に相当し、第2流路接続部22が「第2接続部」に相当し、第2位置決め孔23が「第1貫通孔」に相当する。また、電気部材30が「第2部材」に相当し、第2電気接続部33が「第4接続部」に相当し、第3位置決め孔37が「第2貫通孔」に相当する。また、記録ヘッド10の第1流路接続部15が「第1接続部」に相当し、第1電気接続部16が「第3接続部」に相当する。
【0083】
さらに、軸部の第2部分52は、流路部材20の第2位置決め孔23に対向する部分であり、第3部分53は、電気部材30の第3位置決め孔37に対向する部分となる。このような本実施形態の構成であっても、上述した実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0084】
(実施形態3)
図21は、本発明の実施形態3に係る液体噴射ユニットの要部断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0085】
図21に示すように、本実施形態では、上述した実施形態1と同様に、軸部50に記録ヘッド10の第1位置決め孔13、流路部材20の第2位置決め孔23、電気部材30の第3位置決め孔37が、この順に挿入されている。つまり、本実施形態では、上述した実施形態1と同様に、電気部材30が「第1部材」に相当し、流路部材20が「第2部材」に相当する。
【0086】
軸部50は、第1部分51を有する第1軸部151と、第2部分52を有する第2軸部152と第3部分53を有する第3軸部153と、を有する。第1軸部151と第2軸部152と第3軸部153とは、同軸上に連続して設けられている。
【0087】
第1部分51は、記録ヘッド10が支持部40に固定されている状態で、記録ヘッド10の第1位置決め孔13に対向する部分である。第2部分52は、第1部分51と雄ネジとなるネジ溝50aとの間に設けられ、記録ヘッド10の第1電気接続部16と電気部材30の第2電気接続部33とが接続されている状態で第3位置決め孔37に対向する部分である。第3部分53は、第1部分51と第2部分52との間に設けられ、記録ヘッド10の第1流路接続部15と流路部材20の第2流路接続部22とが接続されている状態で第2位置決め孔23に対向する部分である。なお、軸部50が第1位置決め孔13、第2位置決め孔23および第3位置決め孔37に対向するとは、軸部50の外周面と第1位置決め孔13、第2位置決め孔23および第3位置決め孔37の内周面とが接触している状態も、接触することなく隙間を空けた状態も含む。
【0088】
このような第1部分51を有する第1軸部151は、第1部分51よりもZ軸方向に長く形成されている。同様に、第2部分52を有する第2軸部152は、第2部分52よりもZ軸方向に長く形成されている。また同様に、第3部分53を有する第3軸部153は、第3部分53よりもZ軸方向に長く形成されている。なお、第1軸部151、第2軸部152および第3軸部153の各々は、Z軸方向に亘ってそれぞれ第1部分51、第2部分52および第3部分53と同じ断面形状および断面積を有する。
【0089】
そして、Z軸に垂直な断面、つまり、XY平面に沿った断面において、第2部分52の断面積は、第1部分51の断面積よりも小さい。ここで、第1部分51および第2部分52のZ軸方向に垂直な断面積のそれぞれは、最大の断面積のことである。つまり、第1部分51および第2部分52のそれぞれは、Z軸方向に亘って断面積が異なる形状であってもよい。例えば、第1部分51および第2部分52は、断面積が+Z方向に向かって徐々に漸大するテーパー形状であってもよい。また、本実施形態では、軸部50の第1部分51、第2部分52および第3部分53は、Z軸方向に垂直な断面が円形を有する。このため、第2部分52の直径は、第1部分51の直径よりも小さい。もちろん、軸部50の形状はこれに限定されず、Z軸方向に垂直な断面が多角形状、楕円形状、長円形状等であってもよい。また、第1部分51、第2部分52および第3部分53のそれぞれが異なる形状であってもよく、第1部分51、第2部分52および第3部分53から選択される2つが同じ形状であってもよい。
【0090】
また、Z軸方向に垂直な断面において、第2部分52の断面積は、第3部分53の断面積よりも小さい。ここで、第2部分52および第3部分53のZ軸方向に垂直な断面積のそれぞれは、最大の断面積のことである。つまり、第2部分52および第3部分53のそれぞれは、Z軸方向に亘って断面積が異なる形状であってもよい。また、本実施形態では、軸部の第1部分51、第2部分52および第3部分53は、Z軸方向に垂直な断面が円形を有するため、第2部分52の直径は、第3部分53の直径よりも小さい。
【0091】
つまり、第1部分51、第2部分52および第3部分53のそれぞれのZ軸方向に垂直な断面積は、第1部分51、第3部分53、第2部分52の順番で小さくなっている。
【0092】
記録ヘッド10は、「ヘッド貫通孔」である第1位置決め孔13を有し、「第2部材」である流路部材20は、「第2貫通孔」である第2位置決め孔23を有し、「第1部材」である電気部材30は、「第1貫通孔」である第3位置決め孔37を有する。また、第3位置決め孔37は、-Z方向側に設けられた大径部37aと、+Z方向側に設けられた小径部37bとを有する。大径部37a及び小径部37bは連通している。-Z方向に見て、大径部37aの断面積は小径部37bの断面積より大きい。このため、実際には第3位置決め孔37の小径部37bが、「第1貫通孔」に相当する。
【0093】
固定部材60は、第1固定部161と第2固定部162とを有する。第1固定部161と第2固定部162とは一体的に形成されており、Z軸方向に見て、第2固定部162は、第1固定部161よりも大きく、第1固定部161を内包する。また、第1固定部161および第2固定部162は、Z軸方向に見て円形状を有する。このため、Z軸方向に見て、第2固定部162の外径は、第1固定部161の外径よりも大きい。
【0094】
また、固定部材60は、+Z方向に開口する固定孔61を有し、固定孔61の内周面に沿って螺旋状のネジ溝が設けられることで雌ネジとなっている。そして、雄ネジである軸部50の先端部のネジ溝50aに雌ネジである固定部材60が螺合することで軸部50と固定部材60とは係合する。また、本実施形態の固定孔61は、固定部材60をZ軸方向に貫通することなく、Z軸方向の厚さの途中まで設けられている。そして、固定部材60の-Z方向の面には、2つの溝が直交する十字穴62、一例として、JIS B 1012:1985に規定されるねじ用十字穴であり、一般的にプラスと呼称される十文字の穴が設けられている。固定部材60の-Z方向の面に十字穴62を設けることで、十字穴62を介してドライバー等の工具を用いて固定部材60を軸部50に強固に締結することができる。なお、固定部材60の-Z方向の面に形成される穴は、十字穴に限定されず、例えば、一般的にマイナスと呼称される一文字の溝である「すりわり」、十字穴の一つがながくなってすりわりと同じ形となっている穴である「プラスマイナス穴」、六画形状の開口の「六角穴」、四角形状の開口の「四角穴」等であってもよい。
【0095】
また、固定部材60の第2固定部162の外周面には、細かい凹凸、所謂、ローレット加工が施されており、第2固定部162を把持して固定部材60を回転させる際に滑り難くなっている。
【0096】
そして、軸部50の先端に固定部材60を螺合させると、固定部材60の第1固定部161は、大径部37a内に挿入された状態で、固定部材60の第2固定部162の+Z方向を向く面と、第3フランジ部38の-Z方向を向く面とは当接される。このため固定部材60と第3フランジ部38とをZ軸方向で当接させた状態で、固定部材60を軸部50に対して締め付けることで、固定部材60と支持部40との間で記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30を挟み込み、記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30を支持部40に対して固定することができる。
【0097】
また、Z軸方向に垂直な断面、つまり、XY平面に沿った断面において、第3位置決め孔37の断面積は、第1部分51の断面積よりも小さい。ここで言う第3位置決め孔37の断面積とは、第3位置決め孔37の大径部37a以外の部分である小径部37bにおける最小の断面積のことである。つまり、第3位置決め孔37は、Z軸方向に亘って異なる断面積を有する形状であってもよい。このように第3位置決め孔37の断面積を第1部分51の断面積よりも小さくすることで、第1部分51に電気部材30の第3位置決め孔37を挿入することができない。このため、軸部50に記録ヘッド10よりも先に電気部材30の第3位置決め孔37を挿入しても、第1部分51に第3位置決め孔37を挿入することができず、記録ヘッド10と電気部材30とを軸部50に挿入する順番を間違えることを抑制することができる。したがって、軸部50に記録ヘッド10よりも先に電気部材30を挿入することによって、記録ヘッド10のノズル面11aが、電気部材30に接触して破損するのを抑制することができる。
【0098】
また、Z軸方向に垂直な断面、つまり、XY平面に沿った断面において、電気部材30の第3位置決め孔37の断面積は、第3部分53の断面積よりも小さい。ここで言う第3位置決め孔37の断面積とは、最小の断面積のことであり、本実施形態では小径部37bの断面積である。このように、第3位置決め孔37の断面積を第3部分53の断面積よりも小さくすることで、軸部50の第3部分53に電気部材30の第3位置決め孔37を挿入することができない。このため、軸部50に流路部材20よりも先に電気部材30の第3位置決め孔37を挿入しても、第3位置決め孔37に第3部分53を挿入することができず、流路部材20と電気部材30とを軸部50に挿入する順番を間違えることを抑制することができる。
【0099】
ここで、記録ヘッド10と電気部材30とを積層する順番の間違えの一例を図22および図23に示す。
【0100】
図22に示すように、Z軸方向に見て、固定部材60の断面積は、流路部材20の第2位置決め孔23の断面積よりも大きい。ここで、固定部材60の断面積とは、最大の断面積のことであり、本実施形態では、第2固定部162の断面積のことである。また、第2位置決め孔23の断面積は、最小の断面積のことである。例えば、第2固定部162および第2位置決め孔23が円形状を有する場合には、第2固定部162の外径は、第2位置決め孔23の内径よりも大きい。このような構成において、軸部50に記録ヘッド10の第1位置決め孔13、電気部材30の第3位置決め孔37および流路部材20の第2位置決め孔23をこの順に挿入する。このとき、記録ヘッド10は、第1位置決め孔13が第1部分51によって位置決めされる。また、電気部材30は、第3位置決め孔37が第2部分52によって位置決めされる。また、流路部材20は、第2位置決め孔23が第2部分52に挿入されるため、第2位置決め孔23は、第2部分52との隙間が大きく、位高精度な位置決めが行われない。また、軸部50の先端は、第2位置決め孔23から-Z方向に突出せず、第2位置決め孔23内に位置する。このように誤って積層された状態では、固定部材60の固定孔61の雌ねじを軸部50のネジ溝50aに螺合しようとしても、固定部材60は、第2フランジ部24に当接して+Z方向の移動が規制されるため、軸部50のネジ溝50aと固定部材60の固定孔61の雌ねじとはZ軸方向に離れた位置に配置されて螺合しない。したがって、固定部材60によって支持部40に対して記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30を固定することができない。このため、固定部材60の螺合不良によって、記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30を積層する順の誤りに気付くことができ、誤った積層順で液体噴射ユニット2が構成されてしまうのを抑制することができる。なお、軸部50の先端は、軸部50の第1部分51に第1位置決め孔13が挿入された記録ヘッド10に対して電気部材30が接続された状態において、第3位置決め孔37から-Z方向に突出する。このように軸部50の先端を第3位置決め孔37から-Z方向に突出させることで、軸部50を視認し易く、軸部50に固定部材60を容易に螺合させることができる。また、軸部50の先端を第3位置決め孔37から-Z方向に突出させることで、流路部材20と電気部材30とを積層する順番を間違えた場合に、第3位置決め孔37から-Z方向に突出した軸部50の先端は、第2位置決め孔23内に位置し、第2位置決め孔23から-Z方向に突出しない。このため、軸部50の先端の突出状態を見るだけで、流路部材20と電気部材30との積層する順番の誤りに気付くことができ、誤った積層順で液体噴射ユニット2が構成されるのを抑制することができる。もちろん、軸部50の先端は、軸部50の第1部分51に第1位置決め孔13が挿入された記録ヘッド10に対して電気部材30が接続された状態において、第3位置決め孔37から-Z方向に突出しない、つまり、軸部50の先端は、第3位置決め孔37内に位置する状態としてもよい。
【0101】
以上説明したように、本実施形態の液体噴射ユニット2では、軸部50は、記録ヘッド10が支持部40に支持されている状態で第1位置決め孔13に対向する第1部分51を有する。また、軸部50は、ネジ溝50aと第1部分51との間に設けられ、第1電気接続部16と第2電気接続部33とが接続されている状態で第3位置決め孔37に対向する第2部分52を有する。また、軸部50は、第1部分51と第2部分52との間に設けられ、第1流路接続部15と第2流路接続部22とが接続されている状態で第2位置決め孔23に対向する第3部分53を有する。そして、-Z方向に垂直な断面において、第2部分52の断面積は、第3部分53の断面積よりも小さく、-Z方向に垂直な断面において、第3位置決め孔37の断面積、本実施形態では小径部37bの断面積は、第3部分53の断面積よりも小さいことが好ましい。このような構成とすることで、第3位置決め孔37に第3部分53が挿入されず、流路部材20と電気部材30との組み立て順番の間違いに気付きやすく、誤った積層の順番による組み立てを抑制することができる。
【0102】
また、本実施形態でも、上述した実施形態1と同様に、-Z方向に見た平面視において、軸部50の第1位置決め孔13に挿入される第1部分51の最大寸法S1と、第1位置決め孔13の内周面に接する最大の仮想円13vの直径R1との差d1は、軸部50の第3位置決め孔37に挿入される第2部分52の最大寸法S2と第3位置決め孔37の内周面に接する最大の仮想円37vの直径R2との差d2よりも小さいことが好ましい。
【0103】
また、-Z方向に見た平面視において、軸部50の第1位置決め孔13に挿入される第1部分51の最大寸法S1と、第1位置決め孔13の内周面に接する最大の仮想円13vの直径R1との差d1は、軸部50の第3位置決め孔23に挿入される第3部分53の最大寸法S3と第2位置決め孔23の内周面に接する最大の仮想円23vの直径R3との差d3よりも小さいことが好ましい。
【0104】
このような第1部分51と第1位置決め孔13との差d1、第2部分52と第3位置決め孔37との差d2、第3部分53と第2位置決め孔23との差d3を上記の関係とすることで、記録ヘッド10の支持部40に対するXY平面内の位置決め精度を流路部材20および電気部材30の記録ヘッド10に対する位置決め精度よりも向上することができる。このため、記録ヘッド10から噴射されるインク滴の媒体Sへの着弾位置ずれを抑制することができる。また、流路部材20および電気部材30を軸部50から着脱し易くすることができるため、記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30の交換を容易に行うことができる。
【0105】
また、第1軸部151の第1部分51は、記録ヘッド10の第1位置決め孔13に圧入されるのが好ましい。換言すれば、仮想円13vの直径R1が、第1部分51の最大寸法S1以下であることが好ましい。これにより、記録ヘッド10の軸部50に対するXY平面内の位置決め精度をさらに向上することができる。また、本実施形態では、Z軸方向に垂直な断面積は、第1部分51を有する第1軸部151、第3部分53を有する第3軸部153、第2部分52を有する第2軸部152の順番で小さくなっている。このため、第1部分51が記録ヘッド10の第1位置決め孔13に圧入する場合であっても、第1位置決め孔13に第2部分52および第3部分53が挿通される際に第2軸部152および第3軸部153は第1位置決め孔13に圧入されない。したがって、記録ヘッド10の第1位置決め孔13に軸部50を圧入するZ軸方向の距離を実施形態1、2に比べて短くすることができ、液体噴射ユニット2の組み立て性を向上することができる。また、軸部50から記録ヘッド10を取り外す際に、記録ヘッド10の第1軸部151への圧入状態を解除するために記録ヘッド10をZ軸方向に距離させる距離を短くすることができる。つまり、記録ヘッド10の第1位置決め孔13には、第2軸部152および第3軸部153が圧入されない。したがって、記録ヘッド10を軸部50から取り外し易く、記録ヘッド10の交換を容易に行うことができる。
【0106】
なお、軸部50の第2部分52の差d2は、0(ゼロ)よりも大きいことが好ましい。換言すれば、仮想円37vの直径R2が、第2部分52の最大寸法S2よりも大きいことが好ましい。これにより、第2部分52が電気部材30の第3位置決め孔37に圧入されることなく、軸部50から電気部材30を着脱し易くすることができる。もちろん、第2部分52が電気部材30の第3位置決め孔37に圧入されるようにしてもよい。
【0107】
また、軸部50の第3部分53の差d3は、0(ゼロ)よりも大きいことが好ましい。換言すれば、仮想円23vの直径R3が、第3部分53の最大寸法S3よりも大きいことが好ましい。これにより、第3部分53が流路部材20の第2位置決め孔23に圧入されることなく、軸部50から電気部材30を着脱し易くすることができる。もちろん、第3部分53が流路部材20の第2位置決め孔23に圧入されるようにしてもよい。本実施形態では、Z軸方向に見て、第2部分52の断面積は、第3部分53よりも大きいため、第3部分53を第2位置決め孔23に圧入する場合であっても、第2部分52は第2位置決め孔23に圧入されない。したがって、第3部分53を第2位置決め孔23に圧入して流路部材20をZ軸方向に沿って移動させる距離を実施形態1および2に比べて短くすることができる。流路部材20を取り外す際にも圧着状態を解除するために流路部材20をZ軸方向に沿って移動させる距離を比較的短くすることができる。したがって、本実施形態では、流路部材20の第2位置決め孔23に第3部分53を圧入するようにしても、流路部材20の軸部50に対する着脱を容易に行うことができる。
【0108】
つまり、本実施形態の液体噴射ユニット2では、軸部50の第1部分51は、第1位置決め孔13に圧入されることで記録ヘッド10を支持部40に対して位置決めする。また、軸部50の第2部分52は、第3位置決め孔37に圧入されることで第1電気接続部16に対して第2電気接続部33を位置決めする。また、軸部50の第3部分53は、第2位置決め孔23に圧入されることで第1流路接続部15に対して第2流路接続部22を位置決めするのが好ましい。
【0109】
このような構成とすることで、軸部50に対する記録ヘッド10のXY平面内での位置決め精度を向上することができる。また、記録ヘッド10に対する流路部材20および電気部材30のXY平面内での位置決め精度を向上することができる。また、記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30を軸部50に挿入する順番を間違えた場合であっても、各部材を軸部50に圧入した状態でZ軸方向に移動する距離が短いため、軸部50から各部材を抜き取る際に圧入を解除するために移動する距離を短くして、組み直しを容易に行うことができる。
【0110】
なお、図23に示す実施形態3の変形例のように、Z軸方向に見て、固定部材60の第2固定部162の外形は、流路部材20の第2位置決め孔23の外形よりも小さくてもよい。例えば、第2固定部162および第2位置決め孔23が円形状を有する場合には、第2固定部162の外径d20は、第2位置決め孔23の内径d21よりも小さい。仮に、軸部50に流路部材20よりも先に電気部材30の第3位置決め孔37を挿入し、その後、軸部50に流路部材20の第2位置決め孔23を挿入するといった誤った順番で組み立てた場合、つまり、記録ヘッド10の第1位置決め孔13、電気部材30の第3位置決め孔37、流路部材20の第2位置決め孔23の順に軸部50を挿入する場合を想定する。このように誤った順番で組み立てた場合には、固定部材60を軸部50に螺合させても、Z軸方向に見て、固定部材60は、流路部材20の第2位置決め孔23に間隔を空けて内包される。したがって、固定部材60と第2位置決め孔23との間に隙間が生じ、流路部材20が固定部材60によって固定されず、流路部材20は軸部50に対して隙間の分だけXY平面内に移動できてしまう。このため、流路部材20の軸部50に対するXY平面の移動、所謂、がたつきを検知するだけで、記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30を積層する順番の間違いに気づくことができる。なお、Z軸方向に見て、固定部材60の第2固定部162の外形は、第3位置決め孔37よりも大きい。これにより、正常に組み立てた際に、第2固定部162の+Z方向を向く面が、第3フランジ部38の-Z方向を向く面に当接し、固定部材60と支持部40との間で記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30を挟み込んで、支持部40に固定することができる。また、軸部50の-Z方向の先端は、軸部50の第1部分51に第1位置決め孔13が挿入された記録ヘッド10に対して電気部材30が接続された状態において、第3位置決め孔37から-Z方向に突出する。このように軸部50の先端を第3位置決め孔37から-Z方向に突出させることで、軸部50を視認し易く、軸部50に固定部材60を容易に螺合させることができる。また、軸部50の先端を第3位置決め孔37から-Z方向に突出させることで、流路部材20と電気部材30とを積層する順番を間違えた場合に、第3位置決め孔37から-Z方向に突出した軸部50の先端は、第2位置決め孔23内に位置し、第2位置決め孔23から-Z方向に突出しない。このため、軸部50の先端の突出状態を見るだけで、流路部材20と電気部材30との積層する順番の誤りに気付くことができ、誤った積層順で液体噴射ユニット2が構成されるのを抑制することができる。もちろん、軸部50の先端は、軸部50の第1部分51に第1位置決め孔13が挿入された記録ヘッド10に対して電気部材30が接続された状態において、第3位置決め孔37から-Z方向に突出しない、つまり、軸部50の先端は、第3位置決め孔37内に位置する状態としてもよい。
【0111】
また、図23に示すように、流路部材20と電気部材30とを積層する順番を間違えた際に、流路部材20の第2流路接続部22のZ軸方向の長さL1は、記録ヘッド10の第1流路接続部15に接続されない長さであることが好ましい。つまり、第2流路接続部22の長さL1は、流路部材20と記録ヘッド10との間に挟まれた電気部材30のZ軸方向の厚さL2よりも短いことが好ましい。これにより、積層する順番を間違えた際に、第1流路接続部15と第2流路接続部22とが接続されるのを抑制されるため、流路部材20の軸部50に対するXY平面の移動させやすくなり、積層する順番の誤りを気づきやすくすることができる。つまり、第1流路接続部15と第2流路接続部22とが不十分であっても接続されていると、組み間違いしていることに気付かない虞がある。なお、実施形態3(図22)も同様の構成としている。
【0112】
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
【0113】
例えば、上述した各実施形態では、液体噴射ユニット2に「第1部材」と「第2部材」とを設けるようにしたが、特にこれに限定されず、「第1部材」のみを設けるようにしてもよい。ここで、「第1部材」として流路部材20を設けた例を図24に示す。なお、図24は、実施形態1の変形例を示す要部断面図である。
【0114】
図24に示すように、液体噴射ユニット2は、支持部40と軸部50と記録ヘッド10と流路部材20とを具備し、軸部50には、記録ヘッド10の第1位置決め孔13と流路部材20の第2位置決め孔23とがこの順に挿入されている。つまり、図24に示す例では、流路部材20の第2位置決め孔23が、「第1貫通孔」に相当する。そして、軸部50の先端部には、ネジ溝50aが形成されており、固定部材60の固定孔61に設けられたネジ溝が螺合する。これにより、支持部40と固定部材60との間に記録ヘッド10と流路部材20とが挟まれ、支持部40に対して記録ヘッド10および流路部材20が固定される。また、この固定状態において、記録ヘッド10の「第1接続部」である第1流路接続部15と、流路部材20の「第2接続部」である第2流路接続部22とが液密に接続される。なお、外部配線80は、記録ヘッド10に電気的に接続されている。
【0115】
また、軸部50は、上述した実施形態3と同様に、第1部分51を有する第1軸部151と、第2部分52を有する第2軸部152とを有する。そして、Z軸方向に垂直な断面において、第2部分52の断面積は、第1部分51の断面積よりも小さい。ここで言う第1部分および第2部分52の断面積とは、それぞれの最大の断面積である。また、Z軸方向に垂直な断面において、第2位置決め孔23の断面積は、第1部分51の断面積よりも小さい。ここで言う第2位置決め孔23の断面積とは、最小の断面積である。このように、第2部分52の断面積を第1部分51の断面積よりも小さくし、第2位置決め孔23の断面積を第1部分51の断面積よりも小さくすることで、軸部50に第2位置決め孔23、第1位置決め孔13をこの順に誤って挿入することを抑制することができる。したがって、流路部材20の後に記録ヘッド10を軸部50に挿入する誤った組み立てを行うことで、ノズル面11aが流路部材20に接触して破損するのを抑制することができる。
【0116】
以上説明したように、図24に示す液体噴射ユニット2は、第1流路接続部15を有し、液体を噴射する記録ヘッド10と、第1流路接続部15に接続可能な第2流路接続部22を有する流路部材20と、を具備する。また、液体噴射ユニット2は、記録ヘッド10を支持するための支持部40と、支持部40から-Z方向に突出する軸部50と、固定部材60と、を備える。また、記録ヘッド10は、第1位置決め孔13を有し、流路部材20は、第2位置決め孔23を有し、軸部50に第1位置決め孔13および第2位置決め孔23がこの順に挿入された状態で、軸部50と固定部材60との係合によって記録ヘッド10および流路部材20が支持部40に対して固定される。
【0117】
このように固定部材60を軸部50に固定するだけで記録ヘッド10を支持部40に固定することができると共に、流路部材20を記録ヘッド10に固定することができるため、軸部50と固定部材60との係合を解除するだけで、記録ヘッド10および流路部材20の交換を容易に行うことができる。また、共通の軸部50に第1位置決め孔13、第2位置決め孔23を挿入させるだけで、記録ヘッド10の支持部40に対する位置決めと、記録ヘッド10に対する流路部材20の位置決めと、を行うことができるため、記録ヘッド10および流路部材20のそれぞれを異なる軸部50に固定する場合に比べて、位置決め工程を簡略化することができる。また、記録ヘッド10および流路部材20を共通の軸部50によって固定することができるため、記録ヘッド10および流路部材20を位置決め固定するための機構を個別に設ける場合に比べて、記録ヘッド10および流路部材20のXY平面内において小型化することができる。特に支持部40に複数の記録ヘッド10を支持させる際に、複数の記録ヘッド10の間の間隔を小さくすることができ、液体噴射ユニット2の小型化を図ることができる。また、軸部50に固定部材60を係合させるだけで、記録ヘッド10および流路部材20を支持部40に固定することができるため、本実施形態のように支持部40に複数の記録ヘッド10が支持させる際にも作業を行い易く、液体噴射ユニット2の組み立て性を向上することができる。
【0118】
なお、図24では、「第1部材」として流路部材20を設けた構成を例示したが、特にこれに限定されず、実施形態1のように「第1部材」として電気部材30を用いて「第2部材」である流路部材20を設けないようにしてもよい。
【0119】
また、図24に示す液体噴射ユニット2では、軸部50は、ネジ溝50aを有し、軸部50が第1位置決め孔13および第2位置決め孔23に挿入された状態で固定部材60とネジ溝50aとが螺合する。これにより、記録ヘッド10および流路部材20が固定部材60と支持部40との間に挟まれることで支持部40に対して記録ヘッド10および流路部材20が固定される。
【0120】
このように軸部50と固定部材60とを螺合させることで、軸部50と固定部材60とを係合させることができると共に、固定部材60を軸部50に締結するだけで、固定部材60と支持部40との間で記録ヘッド10および流路部材20を確実に固定することができる。
【0121】
また、図24に示す液体噴射ユニット2では、軸部50は、記録ヘッド10が支持部40に支持されている状態で第1位置決め孔13に対向する第1部分51を有する。また、軸部50は、ネジ溝50aと第1部分51との間に設けられ、第1流路接続部15と第2流路接続部22とが接続されている状態で第2位置決め孔23に対向する第2部分52を有する。そして、軸部50の-Z方向に垂直な断面において、第2部分52の断面積は、第1部分51の断面積よりも小さく、-Z方向に垂直な断面において、第2位置決め孔23の断面積は、第1部分51の断面積よりも小さい。このため、間違って流路部材20の第2位置決め孔23を記録ヘッド10の第1位置決め孔13よりも先に軸部50に挿入しても、流路部材20の第2位置決め孔23は、第1部分51に対向する位置まで挿入されることがなく、組み立て順の間違いに気付くことができる。このため、間違って組み立てることで、記録ヘッド10のノズル面11aが流路部材20に接触して破損するのを抑制することができる。
【0122】
なお、図24に示す例では、軸部50の第1部分51と第2部分52とは、Z軸方向に垂直な断面積が異なるようにしたが、特にこれに限定されず、上述した実施形態1と同様に同じ断面積としてもよい。
【0123】
また、液体噴射ユニット2の変形例を図25に示す。図25は、液体噴射ユニット2の変形例を示す要部断面図である。
【0124】
図25に示すように、支持部40には、Z軸方向に貫通する軸部用貫通孔42が設けられている。また、本変形例の軸部50は、前述の各実施形態とは異なり、電気部材30の一部として設けられている。つまり、電気部材30には、軸部50が一体的に設けられている。電気部材30は、「第1部材」の一例であり、流路部材20は、「第2部材」の一例である。ここで、電気部材30と軸部50とが一体的に設けられているとは、軸部50と電気部材30とが射出成形や鋳造によって同じ製造工程で製造された構成を含む。また、軸部50と電気部材30とが一体的であるとは、電気部材30に形成された穴に軸部50を圧入することで容易に着脱できないように固定された構成を含む。また、軸部50と電気部材30とが一体的であるとは、軸部50と電気部材30とが溶着によって容易に着脱できないように固定された構成を含む。
【0125】
軸部50は、電気部材30の第3フランジ部38の+Z方向を向く面から+Z方向へ突出する。軸部50は、第1部分51を有する第1軸部151と、第2部分52を有する第2軸部152と、第3部分53を有する第3軸部153とを具備する。第1軸部151、第3軸部153および第2軸部152は、この順に-Z方向に並んで配置されている。Z軸方向に直交する断面積の大きさは、第1部分51が最も小さく、第3部分53が第1部分51よりも大きく、第2部分52が第3部分53よりも大きい。
【0126】
また、軸部50の+Z方向の先端部は、外周面にネジ溝50aが形成されることで雄ネジとなっている。流路部材20の第2位置決め孔23および記録ヘッド10の第1位置決め孔13を、この順に軸部50に挿入した状態で、軸部50のネジ溝50aが形成された先端部を支持部40の軸部用貫通孔42に+Z方向に向かって挿入する。そして、支持部40の+Z方向の面で固定部材60を螺合させることで、支持部40と第3フランジ部38との間で、記録ヘッド10および流路部材20を挟み込み、支持部40に対して記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30を位置決めして固定することができる。つまり、図25に示す液体噴射ユニット2では、例えば、軸部50によって記録ヘッド10、流路部材20および電気部材30を仮組みした状態で、軸部50の先端をノズル面11aよりも+Z方向に突出させることで、仮組みした状態の軸部50の先端を支持部40の軸部用貫通孔42に挿入する際に、ノズル面11aが支持部40の-Z方向の面に接触して破損するのを抑制することができる。
【0127】
なお、このような図25に示す構成であっても、「第1部材」として流路部材20を設け、「第2部材」として電気部材30を設けてもよい。
【0128】
また、このような図25に示す構成であっても、「第1部材」として流路部材20または電気部材30を設け、「第2部材」を設けないようにしてもよい。ここで、電気部材30を設けずに、軸部50と流路部材20とを一体とした構成を図26に示す。図26は、液体噴射ユニット2の変形例を示す要部断面図である。
【0129】
図26に示すように、流路部材20には、+Z方向に向かって突出する軸部50が一体的に設けられている。ここで言う一体的とは、上述した軸部50と電気部材30との関係と同様の意味である。
【0130】
また、支持部40には、Z軸方向に貫通する軸部用貫通孔42が設けられている。軸部用貫通孔42は、第1軸部用貫通孔43と第2軸部用貫通孔44とを有する。第1軸部用貫通孔43は、支持部40の-Z方向を向く面に開口するように設けられており、第2軸部用貫通孔44は、支持部40の+Z方向を向く面に開口するように設けられている。また、Z軸方向に垂直な開口において、第2軸部用貫通孔44の開口面積は、第1軸部用貫通孔43の開口面積よりも大きい。-Z方向に見た平面視において、第1軸部用貫通孔43の開口の大きさは、固定部材60の最大の断面積よりも小さくなっており、第2軸部用貫通孔44の開口の大きさは、固定部材60の最大の断面積よりも大きい。また、第2軸部用貫通孔44のZ軸方向の深さは、固定部材60のZ軸方向の厚さと同じかそれ以上となっている。
【0131】
また、軸部50は、流路部材20と記録ヘッド10とを仮組みして、軸部50の先端部を軸部用貫通孔42に挿入し、記録ヘッド10の第1フランジ部14が支持部40の-Z方向を向く面に当接した際に、軸部50の先端が支持部40の+Z方向を向く面から突出せず、第2軸部用貫通孔44内に位置する長さとなっている。このような構成では、軸部用貫通孔42内に軸部50を挿入した状態で、固定部材60を軸部50に螺合させると、固定部材60は第2軸部用貫通孔44内に入り、支持部40の+Z方向を向く面から突出しない。このため、固定部材60や軸部50が記録ヘッド10のノズル面11a側にノズル面11aよりも媒体側に向かって突出するのを抑制して、記録ヘッド10のノズル面11aと媒体との間隔を短くすることができると共に、媒体が固定部材60や軸部50に引っかかり、固定部材60や軸部50の変形や紙ジャムを抑制することができる。なお、このような第2軸部用貫通孔44内に挿入される固定部材60は、六角ナットを採用するのが困難であるため、実施形態3と同様に+Z方向を向く面に十字穴等を設けられた固定部材60を用いるのが好ましい。また、第1軸部用貫通孔43に軸部50を圧入するようにしてもよい。軸部用貫通孔42に第2軸部用貫通孔44を設けることで、第1軸部用貫通孔43に圧入するZ軸方向の距離が短くなり、交換を容易に行うことができる。なお、外部配線80は、記録ヘッド10に電気的に接続されている。また、本実施形態では、「第1部材」として流路部材20を設けた構成を例示したが、特にこれに限定されず、「第1部材」として電気部材30を設けるようにしてもよい。
【0132】
以上説明したように、図26に示す液体噴射ユニット2は、「第1接続部」である第1流路接続部15を有し、液体を噴射する記録ヘッド10を有する。また、液体噴射ユニット2は、第1流路接続部15に接続可能な「第2接続部」である第2流路接続部22を有する流路部材20を有する。また、液体噴射ユニット2は、記録ヘッド10を支持するための支持部40と固定部材60とを備える。流路部材20は、「突出方向」である+Z方向へ突出する軸部50を有し、記録ヘッド10は、「ヘッド貫通孔」である第1位置決め孔13を有し、支持部40は、軸部用貫通孔42を有する。軸部50は、+Z方向の端部にネジ溝50aを有し、軸部50が軸部用貫通孔42および第1位置決め孔13に挿入された状態で固定部材60とネジ溝50aとが螺合することで、記録ヘッド10および流路部材20が支持部40に対して固定される。このような構成であっても上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0133】
また、軸部50は、記録ヘッド10と一体的に設けるようにしてもよい。このような例を図27に示す。なお、図27は、液体噴射ユニット2の変形例を示す要部断面図である。
【0134】
図27に示すように、記録ヘッド10の第1フランジ部14には、「突出方向」である-Z方向に突出する軸部50が一体的に設けられている。ここで言う一体的とは、上述した軸部50と電気部材30との関係と同様の意味である。
【0135】
支持部40には、軸部50が挿入される軸部用貫通孔42が、Z軸方向に貫通して設けられている。軸部用貫通孔42には、軸部50が圧入される。このような構成では、支持部40の+Z方向側から記録ヘッド10の軸部50を軸部用貫通孔42に圧入し、記録ヘッド10を支持部40に対して位置決めした後、支持部40の-Z方向に突出した軸部50に流路部材20の第2位置決め孔23および電気部材30の第3位置決め孔37をこの順に挿入する。そして、軸部50の-Z方向の先端部に固定部材60を係合させる。これにより、記録ヘッド10は、支持部40の+Z方向を向く面に固定されると共に、流路部材20および電気部材30は、支持部40と固定部材60との間に挟まれることで、支持部40に固定される。なお、本変形例では、記録ヘッド10の軸部50を軸部用貫通孔42に圧入することで、記録ヘッド10は支持部40から+Z方向に落下するのを抑制して支持部40に保持させることができ、作業性を向上することができる。
【0136】
つまり、図27に示す構成では、電気部材30が「第1部材」に相当し、第3位置決め孔37が「第1貫通孔」に相当する。また、流路部材20が「第2部材」に相当し、第2位置決め孔23が「第2貫通孔」に相当する。
【0137】
なお、図27に示す構成では、電気部材30を「第1部材」としたが、特にこれに限定されず、図19に示すように、流路部材20を「第1部材」とし、電気部材30を「第2部材」としてもよい。もちろん、流路部材20を設けずに電気部材30のみを設けるようにしてもよく、電気部材30を設けずに流路部材20のみを設けるようにしてもよい。
【0138】
以上説明したように、図27に示す液体噴射ユニット2では、「第1接続部」である第1電気接続部16を有し、液体を噴射する記録ヘッド10を有する。また、液体噴射ユニット2は、第1電気接続部16に接続可能な「第2接続部」である第2電気接続部33を有する電気部材30を有する。また、液体噴射ユニット2は、記録ヘッド10を支持するための支持部40と、固定部材60とを有する。記録ヘッド10は、-Z方向へ突出する軸部50を有し、電気部材30は、第3位置決め孔37を有する。また、支持部40は、軸部用貫通孔42を有し、軸部50は、-Z方向の端部にネジ溝50aを有する。また、軸部50は、軸部用貫通孔42に圧入され、軸部50が第3位置決め孔37および軸部用貫通孔42に挿入された状態で固定部材60とネジ溝50aとが螺合することで、記録ヘッド10および電気部材30が支持部40に対して固定される。このような構成であっても上述した実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0139】
また、図27に示す液体噴射ユニット2では、記録ヘッド10は、「第3接続部」である第1流路接続部15を有し、第1流路接続部15に接続可能な「第4接続部」である第2流路接続部22を有する流路部材20を備える。また、流路部材20は、第2位置決め孔23を有する。そして、軸部50が軸部用貫通孔42、第3位置決め孔37および第2位置決め孔23に挿入された状態で固定部材60とネジ溝50aとが螺合することで、記録ヘッド10、電気部材30および流路部材20が支持部40に対して固定される。このような構成であっても上述した実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0140】
また、上述した各実施形態では、軸部50の先端部は、外周面に螺旋状のネジ溝50aを形成した雄ネジとし、固定部材60の固定孔61は、内周面に螺旋状のネジ溝を形成した雌ネジとして両者を螺合させるようにしたが、特にこれに限定されない。ここで、変形例を図28に示す。なお、図28は、実施形態1に係る液体噴射ユニット2の変形例を示す要部断面図である。
【0141】
図28に示すように、軸部50には、先端面に開口する固定孔54が設けられており、固定孔54の内周面に沿って螺旋状のネジ溝54aを設けることで雌ネジとなっている。これに対して、固定部材60は、第1固定部161と第2固定部162とを有し、-Z方向に見て第2固定部162の大きさは、第1固定部161よりも大きい。また第1固定部161は、外周面に螺旋状のネジ溝を設けることで雄ネジとなっている。そして、軸部50の固定孔54のネジ溝と、固定部材60の第1固定部161のネジ溝とを螺合させることで、軸部50と固定部材60とは係合される。このような構成であっても、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0142】
また、上述した各実施形態では、軸部50の突出方向の先端部にネジ溝50aを設けるようにしたが、特にこれに限定されず、軸部50はネジ溝50aよりもさらに突出方向に延設されたものであってもよい。つまり、ネジ溝50aは、先端部の外周面に設けられたものに限定されず、軸部の先端部と基端部との間に設けられたものも含む。
【0143】
また、上述した各実施形態では、記録ヘッド10の第1流路接続部15は凹形状を有し、流路部材20の第2流路接続部22は凸形状を有する構成を例示したが、特にこれに限定されず、記録ヘッド10の第1流路接続部を-Z方向に突出する凸形状とし、流路部材20の第2流路接続部を+Z方向に開口する凹形状としてもよい。また、記録ヘッド10の第1電気接続部16は、溝部17内に設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、電気部材30に+Z方向に開口する溝部を設け、この溝部の内部に第2電気接続部33を設けるようにしてもよい。もちろん、記録ヘッド10および電気部材30の両方に溝部を設けずに記録ヘッド10と電気部材30とのZ軸方向で積層された面で両者を接続するようにしてもよい。
【0144】
また、上述した実施形態では、支持部40は、キャリッジとしたが、例えば、支持部40は、キャリッジに搭載されるサブキャリッジ等であってもよい。つまり、キャリッジに直接、記録ヘッド10を搭載するものであってもよく、キャリッジにサブキャリッジを介して記録ヘッド10を搭載するものであってもよい。
【0145】
また、上述したインクジェット式記録装置1では、液体噴射ユニット2が主走査方向に移動するものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、液体噴射ユニットが固定されて、紙等の記録シートを副走査方向に移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。つまり、ライン式記録装置における支持部40は、印刷時に移動することなく装置本体に対して固定された、液体噴射ユニットを支持するプリントバー等であってもよい。
【0146】
なお、上記実施の形態においては、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを、また液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置を挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッドを有する液体噴射ユニットおよび液体噴射装置全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドを有する液体噴射ユニットや液体噴射装置にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられ、かかる液体噴射ヘッドを備えた液体噴射ユニットおよび液体噴射装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0147】
1…インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、2…液体噴射ユニット、10…インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、11…ノズル、13…第1位置決め孔(ヘッド貫通孔)、15…第1流路接続部(第1接続部、第3接続部)、16…第1電気接続部(第1接続部、第3接続部)、20…流路部材(第1部材、第2部材)、22…第2流路接続部(第2接続部、第4接続部)、23…第2位置決め孔(第1貫通孔、第2貫通孔)、30…電気部材(第1部材、第2部材)、33…第2電気接続部(第2接続部、第4接続部)、37…第3位置決め孔(第1貫通孔、第2貫通孔)、40…支持部、42…軸部用貫通孔、50…軸部、50a、54a…ネジ溝、51…第1部分、52…第2部分、53…第3部分、60…固定部材、151…第1軸部、152…第2軸部、153…第3軸部
図1
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