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特開2023-168726走行システム、走行装置、走行方法、及び走行プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168726
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】走行システム、走行装置、走行方法、及び走行プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20231121BHJP
【FI】
G05D1/02 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080004
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(72)【発明者】
【氏名】寺本 英司
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA02
5H301AA10
5H301BB05
5H301BB10
5H301BB11
5H301DD07
5H301DD15
5H301FF07
5H301GG06
5H301GG07
5H301GG08
5H301GG09
5H301GG17
5H301HH10
5H301LL01
5H301LL02
5H301LL06
5H301LL08
5H301LL17
(57)【要約】
【課題】走行装置に生じた異常の内容を容易に特定することが可能な走行システム、走行装置、走行方法、及び走行プログラムを提供する。
【解決手段】走行システム10は、所定エリアを走行する走行装置3が異常を検知した場合に前記異常に関する異常情報を取得する異常取得処理部111と、走行装置3が異常を検知した場合に、当該異常が検知された位置を含む撮像エリアを前記所定エリアに配置された監視カメラ2が撮像した撮像画像を取得する画像取得処理部112と、異常取得処理部111により取得される前記異常情報と画像取得処理部112により取得される前記撮像画像とに基づいて前記異常の内容を特定する特定処理部113と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定エリアを走行する走行装置が異常を検知した場合に前記異常に関する異常情報を取得する異常取得処理部と、
前記走行装置が異常を検知した場合に、当該異常が検知された位置を含む撮像エリアを前記所定エリアに配置された第1撮像部が撮像した撮像画像を取得する画像取得処理部と、
前記異常取得処理部により取得される前記異常情報と前記画像取得処理部により取得される前記撮像画像とに基づいて前記異常の内容を特定する特定処理部と、
を備える走行システム。
【請求項2】
前記特定処理部は、前記異常の内容を特定した場合に、前記走行装置が当該異常に対して対処すべき動作を表す対処動作を特定し、
前記走行装置に前記対処動作を実行させる、
請求項1に記載の走行システム。
【請求項3】
複数の前記異常の内容と、複数の前記異常の内容のそれぞれに対して対処すべき前記対処動作とが予め関連付けられて記憶部に記憶されている、
請求項2に記載の走行システム。
【請求項4】
前記対処動作には、前記走行装置の自律走行を継続させる動作と、前記走行装置の自律走行を停止させる動作と、前記走行装置に所定の情報を報知させる動作とのうち少なくともいずれかが含まれる、
請求項2に記載の走行システム。
【請求項5】
前記異常情報には、前記走行装置に設けられた検知部であって前記異常を検知した検知部に関する情報と、前記走行装置が前記異常を検知したときの現在位置の情報と、前記走行装置の走行軌跡の情報と、前記走行装置に設けられた第2撮像部の撮像画像の情報とのうち少なくともいずれかが含まれる、
請求項1~4のいずれか1項に記載の走行システム。
【請求項6】
前記画像取得処理部は、前記異常情報に基づいて前記所定エリアに配置された複数の前記第1撮像部のうち前記異常が検知された位置を含む前記撮像エリアを撮像する前記第1撮像部を特定し、特定した前記第1撮像部から前記撮像画像を取得する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の走行システム。
【請求項7】
前記画像取得処理部は、前記走行装置に設けられた第2撮像部の撮像エリア外を撮像可能な前記第1撮像部から前記撮像画像を取得する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の走行システム。
【請求項8】
所定エリアにおいて走行装置を走行させる走行処理部と、
前記走行装置が走行中に異常を検知する検知処理部と、
前記検知処理部により前記異常が検知された場合に、前記異常に関する異常情報をサーバーに通知する通知処理部と、
前記サーバーにおいて特定される前記異常に対して対処すべき動作を表す対処動作の動作指示を取得する対処取得処理部と、
前記対処取得処理部により取得される前記動作指示に基づいて、前記対処動作を実行する実行処理部と、
を備える走行装置。
【請求項9】
一又は複数のプロセッサーが、
所定エリアを走行する走行装置が異常を検知した場合に前記異常に関する異常情報を取得する異常取得ステップと、
前記走行装置が異常を検知した場合に、当該異常が検知された位置を含む撮像エリアを前記所定エリアに配置された第1撮像部が撮像した撮像画像を取得する画像取得ステップと、
前記異常取得ステップにおいて取得される前記異常情報と前記画像取得ステップにおいて取得される前記撮像画像とに基づいて前記異常の内容を特定する特定ステップと、
を実行する走行方法。
【請求項10】
所定エリアを走行する走行装置が異常を検知した場合に前記異常に関する異常情報を取得する異常取得ステップと、
前記走行装置が異常を検知した場合に、当該異常が検知された位置を含む撮像エリアを前記所定エリアに配置された第1撮像部が撮像した撮像画像を取得する画像取得ステップと、
前記異常取得ステップにおいて取得される前記異常情報と前記画像取得ステップにおいて取得される前記撮像画像とに基づいて前記異常の内容を特定する特定ステップと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるための走行プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行装置を走行させる走行システム、走行装置、走行方法、及び走行プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
所定エリアにおいて自律走行する走行装置(移動ロボット)が知られている。従来、前記移動ロボットにおいて、前記移動ロボットに過負荷が発生した場合に、前記移動ロボットに搭載されたカメラにより周囲を撮影し、撮影画像に基づいて異常の内容を特定する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-237325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、例えば走行装置に搭載されたカメラの死角で異常に起因する事象が生じた場合や、カメラに不具合が生じた場合等には、異常の内容を特定することが困難になる。
【0005】
本発明の目的は、走行装置に生じた異常の内容を容易に特定することが可能な走行システム、走行装置、走行方法、及び走行プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に係る走行システムは、所定エリアを走行する走行装置が異常を検知した場合に前記異常に関する異常情報を取得する異常取得処理部と、前記走行装置が異常を検知した場合に、当該異常が検知された位置を含む撮像エリアを前記所定エリアに配置された第1撮像部が撮像した撮像画像を取得する画像取得処理部と、前記異常取得処理部により取得される前記異常情報と前記画像取得処理部により取得される前記撮像画像とに基づいて前記異常の内容を特定する特定処理部と、を備える。
【0007】
本発明の他の局面に係る走行装置は、所定エリアにおいて走行装置を走行させる走行処理部と、前記走行装置が走行中に異常を検知する検知処理部と、前記検知処理部により前記異常が検知された場合に、前記異常に関する異常情報をサーバーに通知する通知処理部と、前記サーバーにおいて特定される前記異常に対して対処すべき動作を表す対処動作の動作指示を取得する対処取得処理部と、前記対処取得処理部により取得される前記動作指示に基づいて、前記対処動作を実行する実行処理部と、を備える。
【0008】
本発明の他の局面に係る走行方法は、一又は複数のプロセッサーが、所定エリアを走行する走行装置が異常を検知した場合に前記異常に関する異常情報を取得する異常取得ステップと、前記走行装置が異常を検知した場合に、当該異常が検知された位置を含む撮像エリアを前記所定エリアに配置された第1撮像部が撮像した撮像画像を取得する画像取得ステップと、前記異常取得ステップにおいて取得される前記異常情報と前記画像取得ステップにおいて取得される前記撮像画像とに基づいて前記異常の内容を特定する特定ステップと、を実行する走行方法である。
【0009】
本発明の他の局面に係る走行プログラムは、所定エリアを走行する走行装置が異常を検知した場合に前記異常に関する異常情報を取得する異常取得ステップと、前記走行装置が異常を検知した場合に、当該異常が検知された位置を含む撮像エリアを前記所定エリアに配置された第1撮像部が撮像した撮像画像を取得する画像取得ステップと、前記異常取得ステップにおいて取得される前記異常情報と前記画像取得ステップにおいて取得される前記撮像画像とに基づいて前記異常の内容を特定する特定ステップと、を一又は複数のプロセッサーに実行させるための走行プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、走行装置に生じた異常の内容を容易に特定することが可能な走行システム、走行装置、走行方法、及び走行プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係る走行システムの概略構成を示す模式図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る走行装置の記憶部に記憶される地図情報の一例を示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る走行装置の目標経路の一例を示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る走行システムに含まれる監視カメラの位置の一例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る走行システムの構成を示す機能ブロック図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る清掃装置の外観を示す斜視図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る走行装置の記憶部に記憶される経路情報の一例を示す図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係るサーバーの記憶部に記憶される対処動作情報の一例を示す図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係る走行装置で実行される走行処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、本発明の実施形態に係るサーバーで実行される走行支援処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
[走行システム10]
図1に示されるように、本発明の実施形態に係る走行システム10は、サーバー1と監視カメラ2と走行装置3とを含む。サーバー1、監視カメラ2、及び走行装置3は、LAN、インターネット、WAN、又は公衆電話回線などの通信網を介して通信可能である。
【0014】
走行システム10は、ショッピングモール、商業ビル、空港、駅などの各種施設に導入される。走行装置3は、施設内を自律的に走行することによって移動可能な装置であり、移動ロボットとも称されている。走行装置3は、自律走行によって移動しつつ、施設内の清掃を行ったり、施設内の利用者に各種情報(広告、案内情報など)を提示したり、施設内で荷物を運搬したり、施設内の警備を行ったりすることが可能である。
【0015】
また、走行装置3は、施設内の所定エリアを、予め設定された目標経路に従って自律走行する。図2には、前記所定エリアに対応する環境地図M1の一例を示している。環境地図M1は、施設内のフロア1F(1階)の地図を示し、走行装置3は、フロア1F内を自律走行する。また図3には、前記目標経路の一例を示している。図3に示す目標経路R1は、フロア1Fに設定される、走行開始位置S1から走行終了位置G1までの走行経路である。走行装置3は、フロア1F内を目標経路R1に従って自律走行する。目標経路R1は、走行装置3が清掃作業を行う清掃経路、走行装置3が警備を行う警備経路、走行装置3が案内情報及び広告情報を表示する案内経路、走行装置3が荷物を搬送する搬送経路などである。なお、目標経路R1は、用途に応じて適宜設定される。
【0016】
監視カメラ2は、施設に配置され、施設内の所定エリアを撮像する。例えば、監視カメラ2は、施設内の天井に複数台設置され、各監視カメラ2が撮像エリアを撮像する。図4には、監視カメラ2の配置位置の一例を示している。図4に示すように、フロア1F内の天井に4台の監視カメラ2が配置され、各監視カメラ2は撮像エリア2aを撮像する。このように、複数台の監視カメラ2は、走行装置3が走行する走行エリア(例えばフロア1F)を分担して監視する。監視カメラ2は、本発明の第1撮像部の一例である。
【0017】
サーバー1は、走行装置3が検知した異常、及び、監視カメラ2が撮像した撮像画像などの情報を取得して、異常内容を特定したり、特定した異常内容に応じて走行装置3の走行を制御したりする。サーバー1は、施設内に設置されてもよいし、施設外に設置されてもよい。
【0018】
本発明に係る走行システムは、サーバー1、監視カメラ2、及び走行装置3のうち一又は複数の構成要素を含むものであってもよいし、サーバー1単体で構成されてもよい。例えば、サーバー1、監視カメラ2、及び走行装置3の構成要素が協働して後述する走行処理(図9参照)及び走行支援処理(図10参照)を分担して実行する場合には、その処理を実行する複数の構成要素を含むシステムが本発明に係る走行システムを構成する。また例えば、サーバー1及び走行装置3が本発明に係る走行システムを構成してもよいし、走行装置3単体が本発明に係る走行システムを構成してもよい。
【0019】
図5は、走行システム10の構成を示す機能ブロック図である。サーバー1及び監視カメラ2は通信網N1を介してデータ通信可能に接続されており、サーバー1及び走行装置3は通信網N2を介してデータ通信可能に接続されている。以下、サーバー1及び走行装置3の具体的構成について説明する。
【0020】
[走行装置3]
図6は、本発明の実施形態に係る自律走行型の走行装置3の外観を示す斜視図である。以下の説明では、図6に示される上下方向D1、前後方向D2、左右方向D3を用いる。走行装置3は、本発明の走行装置の一例である。なお、走行装置3は、図6に示す構成に限定されない。
【0021】
図5及び図6に示すように、走行装置3は、装置本体30と、装置本体30に設けられた各機能部とを備えている。具体的には、装置本体30には、走行部30C、モータ(不図示)、バッテリ(不図示)、操作部33、表示パネル34、カメラ36、及び制御部31(制御装置)などが設けられている。
【0022】
図6に示すように、装置本体30は、その外装を構成する外装カバー30Aを有し、その下部にシャーシ30Bを有する。シャーシ30Bは、床面に対して概ね平行に設けられている。また、装置本体30の内部には、上述の各機能部を支持するための支持フレームが適宜設けられている。
【0023】
走行部30Cは、装置本体30の走行姿勢を維持しつつ進行方向の搬送力を床面に伝達するものであり、シャーシ30Bに取り付けられている。走行部30Cは、走行用の一対の車輪39と、4個のキャスタ38とを有する。
【0024】
車輪39は、シャーシ30Bの前後方向D2の中央であって、左右方向D3(幅方向)の両端部それぞれに回転可能に支持されている。4個のキャスタ38は、装置本体30の走行姿勢を維持するためのものであり、シャーシ30Bの前方端の両端部、及びシャーシ30Bの後方端の両端部に回転可能に支持されている。走行装置3が床面に置かれた状態で、車輪39及びキャスタ38の各外周面は床面によって支持される。これにより、装置本体30が、図6に示される走行姿勢に維持される。
【0025】
車輪39の回転軸には、減速ギヤなどの伝達機構を介して、モータの出力軸が連結されている。このため、モータが駆動されて、その回転駆動力が前記出力軸から出力されると、モータの回転駆動力が車輪39に伝達される。本実施形態では、一対の車輪39のそれぞれに対して、個別にモータが設けられている。したがって、各モータが個別に駆動制御されることによって、各車輪39の回転速度が制御される。例えば、各車輪39の回転速度が等速に制御されると、走行装置3は真っ直ぐに進行し、各車輪39の回転速度が異なる速度に制御されると、回転速度の遅い車輪39側に走行装置3が旋回する。
【0026】
前記バッテリは、装置本体30の中心部に設けられている。前記バッテリは、前記モータに駆動用の電力を供給する。
【0027】
また図6に示すように、走行装置3の正面には、フロントレーザセンサ35aと、ソナーセンサ35bと、カメラ36とが設けられている。
【0028】
フロントレーザセンサ35aは、装置本体30の正面の下部に形成された幅方向に延びる溝部30Dに設けられている。フロントレーザセンサ35aは、溝部30Dの内部の中央に配置されている。フロントレーザセンサ35aは、レーザ発信素子、レーザ発信素子を駆動するレーザドライバ、受光素子、受光素子の出力をデジタル信号に変換する受光処理回路などを備えている。フロントレーザセンサ35aは制御部31に接続されており、制御部31によって制御される。フロントレーザセンサ35aは、前方へ向けて幅方向(水平方向)へ所定の走査角(例えば120度)の範囲内でレーザ光を走査する。フロントレーザセンサ35aが、照射された物体(障害物など)で反射して戻って来たレーザ光を受光すると、制御部31は、前記レーザ光が戻ってくるまでの時間を測定し、その測定値に基づいて各走査位置における物体までの距離を算出する。これにより、制御部31は、走行装置3の正面側(進行方向側)に存在する物体までの距離や位置、その物体の幅方向における形状やサイズを把握することができる。
【0029】
ソナーセンサ35bは、表示パネル34の下側に設けられている。ソナーセンサ35bは、装置本体30の正面における幅方向の両端部それぞれに設けられている。ソナーセンサ35bは、制御部31に接続されており、制御部31によって制御される。ソナーセンサ35bは、音波を用いて物体(障害物など)を検知するものであり、その音波が物体に反射して戻ってくるまでの時間に基づいて、その物体との距離を測定する。
【0030】
カメラ36は、被写体の画像を撮像してデジタル画像データとして出力するデジタルカメラである。カメラ36は、装置本体30の正面かつ表示パネル34の上側に設けられており、走行装置3の正面方向を撮像する。カメラ36により撮像された撮像画像の画像データは、制御部31に送信される。カメラ36は、本発明の第2撮像部の一例である。
【0031】
装置本体30の両側面それぞれには、サイドレーザセンサ35cが設けられている。サイドレーザセンサ35cは、フロントレーザセンサ35aと概ね同様に構成されており、レーザ発信素子、レーザ発信素子を駆動するレーザドライバ、受光素子、受光素子の出力をデジタル信号に変換する受光処理回路などを備えている。サイドレーザセンサ35cは、制御部31に接続されており、制御部31によって制御される。サイドレーザセンサ35cは、前方から下方そして後方へ向けて所定の走査角(例えば180度)の範囲内でレーザ光を走査する。サイドレーザセンサ35cが、照射された物体で反射して戻って来たレーザ光を受光すると、制御部31は、前記レーザ光が戻ってくるまでの時間を測定し、その測定値に基づいて各走査位置における物体までの距離を算出する。これにより、制御部31は、走行装置3の正面側(進行方向側)に存在する障害物や、床面に存在する段差や障害物までの距離や位置、それらの走査方向における形状やサイズを把握することができる。
【0032】
フロントレーザセンサ35a、ソナーセンサ35b、及びサイドレーザセンサ35cは、検知センサー35(図5参照)に含まれる。また、検知センサー35は、装置本体30に対する物体の接触、装置本体30の振動、装置本体30の傾き、モータの負荷などを検知する一又は複数のセンサー(接触センサー、振動センサー、加速度センサー、負荷センサーなど)を含む。このように、検知センサー35は、走行装置3周辺の障害物、走行装置3における接触、振動、傾き、負荷などを検知する。
【0033】
操作部33(図5参照)は、装置本体30の背面の上部に設けられている。操作部33は、外装カバー30Aに取り付けられている。操作部33は、走行装置3のユーザーよって操作される装置であり、例えば、タッチ操作が可能なタッチパネルを有する装置である。操作部33には、ユーザーが各種操作(ティーチング操作、登録操作、設定操作、走行指示操作など)を行うための操作画面が表示される。操作部33に対する操作情報は、制御部31に転送され、制御部31による走行制御に用いられる。なお、操作部33は、装置本体30の上面(天板)に設けられてもよい。
【0034】
表示パネル34は、装置本体30の前面に設けられている。表示パネル34は、例えば液晶パネルである。表示パネル34には、各種の案内情報が制御部31によって表示される。前記案内情報は、例えば、施設内の商品の広告情報、施設内の店舗情報、施設内の利用者への警告情報などである。
【0035】
操作ハンドル30Eは、装置本体30の背面の最上部に設けられている。操作ハンドル30Eは、外装カバー30Aに取り付けられている。操作ハンドル30Eは、ユーザーが走行装置3に目標経路を教示させるためのティーチング操作(教示操作)を行う場合に、ユーザーが把持する操作部材である。操作ハンドル30Eには、ユーザーから運転操作を受け付ける各種操作ボタン(走行ボタン、後退ボタン、左旋回ボタン、右旋回ボタンなど)が設けられている。前記操作ボタンに対する操作情報は、制御部31に転送され、制御部31による走行制御に用いられる。
【0036】
通信部37(図5参照)は、走行装置3を無線で通信網N2に接続し、通信網N2を介してサーバー1などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0037】
記憶部32(図5参照)は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。具体的に、記憶部32には、地図情報321、経路情報322などのデータが記憶される。
【0038】
地図情報321には、走行装置3が走行する走行エリア(本発明の所定エリアに相当)に対応する環境地図の情報が登録される。地図情報321には、一又は複数の環境地図が登録される。例えば、施設のフロアごとに環境地図が生成される場合、地図情報321には、施設のフロアのそれぞれに対応する複数の環境地図が登録される。例えば、地図情報321に、施設のフロア1F(1階)の環境地図M1図2参照)、フロア2F(2階)の環境地図(不図示)、フロア3F(3階)の環境地図(不図示)などが登録される。前記環境地図は、外部機器において予め生成されたものであってもよいし、走行装置3が走行しながら各センサー(フロントレーザセンサ35aと、ソナーセンサ35bなど)により検出される障害物までの距離及び位置に基づいて生成されたものであってもよい。すなわち、制御部31は、走行装置3を走行させることによって走行エリアの環境地図を生成してもよい。
【0039】
図7は経路情報322の一例を示す図である。図7に示すように、経路情報322には、ユーザーによる前記ティーチング操作に基づいて生成される目標経路の情報が登録される。具体的には、経路情報322には、目標経路ごとに、「経路ID」、「経路名」、「エリア名」、「位置情報」などの情報が登録される。制御部31は、ユーザーによる前記ティーチング操作に基づいて目標経路を生成し、生成した目標経路の情報を経路情報322に登録する。「経路ID」は、目標経路の識別情報であり、「経路名」は、目標経路の名称である。「エリア名」は、前記走行エリアの名称である。「位置情報」は、目標経路の位置(座標)を示す情報である。例えば一つの目標経路R1(図3参照)の走行開始位置S1から走行終了位置G1までの座標情報が、目標経路R1の前記位置情報に登録される。図3に示す目標経路R1は、経路情報322の経路ID「0001」に対応する(図6参照)。
【0040】
他の実施形態として、地図情報321及び経路情報322などの情報の一部又は全部がサーバー1に記憶されてもよい。
【0041】
さらに、記憶部32には、制御部31に後述の走行処理(図9参照)を実行させるための走行プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記走行プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、走行装置3が備えるCDドライブ又はDVDドライブなどの読取装置(不図示)で読み取られて記憶部32に記憶される。
【0042】
制御部31は、装置本体30の上部に設けられている。制御部31は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部31は、前記ROM又は記憶部32に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより走行装置3を制御する。
【0043】
具体的に、制御部31は、図5に示すように、走行処理部311、検知処理部312、通知処理部313、対処取得処理部314、実行処理部315などの各種の処理部を含む。なお、制御部31は、前記CPUで前記走行プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記走行プログラムは、複数のプロセッサーを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0044】
走行処理部311は、制御部31において生成される前記目標経路に基づいて走行装置3を自律走行させる。具体的には、走行処理部311は、前記目標経路に応じた駆動信号をモータに出力して走行部30Cを駆動させることにより走行装置3を前記目標経路に従って自律走行させる。例えば、走行指示画面(不図示)においてユーザーが所望の目標経路を選択すると、走行処理部311は、当該目標経路に従って走行装置3を自律走行させる。また、ユーザーが走行スケジュールを予め設定していた場合には、走行処理部311は、当該走行スケジュールに基づいて走行装置3を自律走行させる。
【0045】
検知処理部312は、走行装置3の異常を検知する。具体的には、検知処理部312は、検知センサー35から受信する検知信号に基づいて走行装置3の異常を検知する。例えば、走行装置3が走行中に壁、障害物(備品、資材、商品など)、人などに接触すると、検知センサー35は接触を検知して検知信号(異常信号)を送信する。また例えば、走行装置3が走行中に客が走行装置3を揺するなど悪戯すると、検知センサー35は接触、振動、傾きなどを検知して検知信号(異常信号)を送信する。また例えば、走行装置3が走行中に車輪が異物(備品、ゴミなど)を巻き込んで引きずると、検知センサー35はモータの過負荷を検知して検知信号(異常信号)を送信する。検知処理部312は、検知センサー35から前記検知信号(異常信号)を受信すると、走行装置3の異常を検知する。なお、検知処理部312は、所定の周期で検知センサー35から検知信号を常時受信し、当該検知信号が閾値を超えるなど異常値を示した場合に、走行装置3の異常を検知してもよい。
【0046】
また、検知処理部312は、走行装置3の異常を検知した場合に、カメラ36に撮像指示を出力する。カメラ36は、前記撮像指示を取得すると、撮像処理を実行して撮像画像を制御部31に送信する。前記撮像画像は、静止画像であってもよいし、動画像であってもよい。また、カメラ36は、前記撮像指示に関わらず、所定の周期又は常時、撮像処理を実行してもよい。検知処理部312は、カメラ36の前記撮像画像に基づいて、走行装置3の異常を検知してもよい。例えば、検知処理部312は、複数の前記撮像画像の差分に基づいて、障害物などの異常を検知してもよい。
【0047】
通知処理部313は、検知処理部312が走行装置3の異常を検知した場合に、前記異常に関する異常情報をサーバー1に通知(出力)する。前記異常情報には、異常を検知した検知センサー35(フロントレーザセンサ35a、ソナーセンサ35b、サイドレーザセンサ35c、接触センサー、振動センサー、加速度センサー、負荷センサーなど)に関する情報(センサー情報)と、走行装置3が異常を検知したときの走行装置3の現在位置の情報(位置情報)と、走行装置3の走行軌跡の情報(走行情報)と、カメラ36の撮像画像の情報(画像情報)とのうち少なくともいずれかが含まれる。前記センサー情報には、センサーの種別、検出値、検出日時などの情報が含まれる。前記各種センサーは、本発明の検知部の一例である。
【0048】
対処取得処理部314は、サーバー1において特定される対処動作、すなわち前記異常に対して走行装置3が対処すべき動作を表す対処動作の動作指示を取得する。サーバー1において実行される前記対処動作の特定方法については後述する。前記対処動作には、自律走行を継続する動作(走行継続動作)、自律走行を停止する動作(走行停止動作)、警告情報を報知する動作(警告報知動作)、走行経路を変更する動作(回避動作)などが含まれる。
【0049】
実行処理部315は、対処取得処理部314により取得される前記動作指示に基づいて、前記対処動作を実行する。例えば、対処取得処理部314が前記走行継続動作の動作指示を取得すると、実行処理部315は、走行装置3の自律走行を継続させる。また例えば、対処取得処理部314が前記走行停止動作の動作指示を取得すると、実行処理部315は、走行装置3の自律走行を停止させる。また例えば、対処取得処理部314が前記警告報知動作の動作指示を取得すると、実行処理部315は、走行装置3の表示パネル34に警告情報を表示させる、又は、走行装置3から警告音を出力させる。また例えば、対処取得処理部314が前記回避動作の動作指示を取得すると、実行処理部315は、走行装置3の走行経路を変更(回避走行)させる。
【0050】
このように、走行装置3では、検知処理部312が走行装置3の異常を検知すると、実行処理部315が、サーバー1から取得する前記動作指示に応じた前記対処動作を実行する。
【0051】
[サーバー1]
図5に示すように、サーバー1は、制御部11、記憶部12、操作表示部13、及び通信部14などを備える情報処理装置である。なお、サーバー1は、1台のコンピュータに限らず、複数台のコンピュータが協働して動作するコンピュータシステムであってもよい。また、サーバー1は、クラウドサーバーで構築されてもよい。また、サーバー1で実行される各種の処理は、一又は複数のプロセッサーによって分散して実行されてもよい。
【0052】
通信部14は、サーバー1を有線又は無線で通信網N1に接続し、通信網N1を介して監視カメラ2との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行したり、サーバー1を無線で通信網N2に接続し、通信網N2を介して走行装置3との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行したりするための通信インターフェースである。
【0053】
操作表示部13は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、操作を受け付けるマウス、キーボード、又はタッチパネルのような操作部とを備えるユーザーインターフェースである。
【0054】
記憶部12は、各種の情報を記憶するHDD又はSSDなどの不揮発性の記憶部である。具体的に、記憶部12には、対処動作情報121などのデータが記憶される。図8は対処動作情報121の一例を示す図である。
【0055】
図8に示すように、対処動作情報121には、走行装置3において生じ得る異常の内容(異常内容)ごとに、対処動作の内容(対処動作内容)が関連付けられて登録される。対処動作情報121の各異常内容及び各対処動作内容は予め登録される。なお、対処動作情報121は、操作表示部13によるユーザー操作に基づいて適宜、変更、追加、削除が可能である。また、対処動作情報121は、走行装置3が導入される施設の種別、走行装置3の用途(清掃、警備、案内、搬送など)などに対応して複数生成されてもよい。
【0056】
対処動作情報121は、制御部11が、走行装置3で検知された異常の内容(異常内容)を特定し、特定した異常内容に対応する対処動作内容を特定するために利用される。
【0057】
なお、他の実施形態として、対処動作情報121の一部又は全部が、サーバー1から通信網N1、N2を介してアクセス可能な他のサーバーに記憶されてもよい。この場合、サーバー1の制御部11は、前記他のサーバーから前記情報を取得して、後述の走行支援処理(図10参照)などの各処理を実行してもよい。
【0058】
また、記憶部12には、制御部11に後述の走行支援処理(図10参照)を実行させるための走行プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記走行プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、サーバー1が備えるCDドライブ又はDVDドライブなどの読取装置(不図示)で読み取られて記憶部12に記憶される。
【0059】
制御部11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することによりサーバー1を制御する。
【0060】
具体的に、制御部11は、図5に示すように、異常取得処理部111、画像取得処理部112、特定処理部113、出力処理部114などの各種の処理部を含む。なお、制御部11は、前記CPUで前記走行プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記走行プログラムは、複数のプロセッサーを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0061】
異常取得処理部111は、走行装置3が異常を検知した場合に前記異常に関する異常情報を取得する。具体的には、走行装置3は、自律走行中に異常を検知すると、異常を検知した検知センサー35に関する情報(センサー情報)と、走行装置3が異常を検知したときの走行装置3の現在位置の情報(位置情報)と、走行装置3の走行軌跡の情報(走行情報)と、カメラ36の撮像画像の情報(画像情報)とのうち少なくともいずれかを含む異常情報をサーバー1に送信する。異常取得処理部111は、走行装置3から送信される前記異常情報を取得する。
【0062】
画像取得処理部112は、走行装置3が異常を検知した場合に、当該異常が検知された位置を含む撮像エリアを監視カメラ2が撮像した撮像画像を取得する。例えば、画像取得処理部112は、フロア1Fにおいて走行装置3が自律走行中に異常を検知したときの走行装置3の現在位置を前記異常情報に基づいて特定すると、フロア1Fに配置された4台の監視カメラ2(図4参照)のうち前記現在位置を撮像エリア2aに含む監視カメラ2を特定し、特定した監視カメラ2から撮像画像を取得する。画像取得処理部112は、現在の撮像画像のみを取得してもよいし、前記異常が検知される所定時間前から現在までの撮像画像を取得してもよい。また、画像取得処理部112は、特定した監視カメラ2の撮像画像に加えて、当該監視カメラ2に隣接する一又は複数台の監視カメラ2の撮像画像を取得してもよい。
【0063】
また、画像取得処理部112は、走行装置3に搭載されたカメラ36(図6参照)の撮像エリア外を撮像可能な監視カメラ2から前記撮像画像を取得してもよい。例えば、走行装置3のカメラ36が前方を撮像する場合において、第1監視カメラ2が走行装置3の前方側から走行装置3を撮影し、第2監視カメラ2が走行装置3の後方側から走行装置3を撮影する場合、画像取得処理部112は、第2監視カメラ2から前記撮像画像を取得する。これにより、画像取得処理部112は、カメラ36の撮像画像と第2監視カメラ2の撮像画像とにより走行装置3の全周囲の画像を取得することができる。
【0064】
特定処理部113は、異常取得処理部111により取得される前記異常情報と画像取得処理部112により取得される前記撮像画像とに基づいて前記異常内容を特定する。すなわち、特定処理部113は、走行装置3から取得する前記異常情報と、監視カメラ2から取得する前記撮像画像とに基づいて、走行装置3が検知した異常の内容及び原因を特定する。また、特定処理部113は、対処動作情報121(図8参照)に登録された異常内容のうち、前記異常情報及び前記撮像画像に対応する異常内容を特定する。
【0065】
例えば、前記異常情報に、走行装置3の接触センサーが異常を検知したことを示す情報が含まれ、監視カメラ2の画像に、カート(例えばショッピングカート)の画像と、当該カートが走行装置3に接触した後に移動した様子を写す画像とが含まれる場合に、特定処理部113は、「カートが接触後、立ち去る」(図8参照)の異常内容を特定する。
【0066】
また例えば、前記異常情報に、走行装置3の振動センサーが異常を検知したことを示す情報が含まれ、監視カメラ2の画像に、備品が転倒して走行装置3に寄りかかっている様子を写す画像が含まれる場合に、特定処理部113は、「備品が転倒して走行装置に寄りかかる」(図8参照)の異常内容を特定する。
【0067】
また例えば、前記異常情報に、走行装置3の接触センサー、振動センサー、及び加速度センサーが異常を検知したことを示す情報が含まれ、監視カメラ2の画像に、客が悪戯している様子を写す画像が含まれる場合に、特定処理部113は、「客の悪戯」(図8参照)の異常内容を特定する。
【0068】
また例えば、前記異常情報に、走行装置3の負荷センサーが異常を検知したことを示す情報が含まれ、監視カメラ2の画像に大型ゴミの画像が含まれる場合に、特定処理部113は、「大型ゴミを引きずる」(図8参照)の異常内容を特定する。
【0069】
また例えば、前記異常情報に、走行装置3のフロントレーザセンサ35a、ソナーセンサ35b、及びサイドレーザセンサ35cが異常を検知したことを示す情報が含まれ、監視カメラ2の画像に障害物の画像が含まれる場合に、特定処理部113は、「障害物が通路を塞ぐ」(図8参照)の異常内容を特定する。
【0070】
特定処理部113は、前記異常内容を特定すると、さらに、当該異常に対して対処すべき動作を表す対処動作を特定する。具体的には、特定処理部113は、対処動作情報121(図8参照)に登録された対処動作内容のうち、特定した前記異常内容に関連付けられた対処動作内容を特定する。
【0071】
例えば、特定処理部113は、「カートが接触後、立ち去る」の異常内容を特定した場合に、対処動作内容として「走行継続」を特定する。
【0072】
また例えば、特定処理部113は、「備品が転倒して走行装置に寄りかかる」の異常内容を特定した場合に、対処動作内容として「停止」を特定する。
【0073】
また例えば、特定処理部113は、「客の悪戯」の異常内容を特定した場合に、対処動作内容として「警告報知」を特定する。
【0074】
また例えば、特定処理部113は、「大型ゴミを引きずる」の異常内容を特定した場合に、対処動作内容として「停止」を特定する。
【0075】
また例えば、特定処理部113は、「障害物が通路を塞ぐ」の異常内容を特定した場合に、対処動作内容として「回避走行」を特定する。
【0076】
このように、特定処理部113は、走行装置3から取得する前記異常情報と、監視カメラ2から取得する前記撮像画像とに基づいて、走行装置3が検知した異常の内容及び原因を特定し、特定した異常に対処するための動作(対処動作)を特定する。
【0077】
出力処理部114は、特定処理部113により特定される前記対処動作の処理を走行装置3に実行させる指示(対処動作指示)を走行装置3に出力する。出力処理部114は、一又は複数台の走行装置3のそれぞれが異常を検知するごとに、前記対処動作指示を対応する走行装置3に出力する。
【0078】
走行装置3の実行処理部315は、サーバー1から前記対処動作指示を取得すると、前記対処動作指示に応じた前記対処動作を実行する。例えば、検知処理部312が、「カートが接触後、立ち去る」の異常内容に対応する異常を検知した場合に、実行処理部315は、走行装置3を目標経路に従って自律走行を継続させる。
【0079】
また例えば、検知処理部312が、「備品が転倒して走行装置に寄りかかる」の異常内容に対応する異常を検知した場合に、実行処理部315は、走行装置3を停止させる。
【0080】
また例えば、検知処理部312が、「客の悪戯」の異常内容に対応する異常を検知した場合に、実行処理部315は、表示パネル34に警告情報を表示させる、又は、走行装置3から警告音を出力させる。
【0081】
また例えば、検知処理部312が、「大型ゴミを引きずる」の異常内容に対応する異常を検知した場合に、実行処理部315は、走行装置3を停止させる。
【0082】
また例えば、検知処理部312が、「障害物が通路を塞ぐ」の異常内容に対応する異常を検知した場合に、実行処理部315は、走行装置3を障害物を回避するように走行(回避走行)させる。
【0083】
以下、図9及び図10を参照しつつ、走行システム10において実行される処理について説明する。具体的に、本実施形態では、走行装置3の制御部31によって前記走行処理(図9参照)が実行され、サーバー1の制御部11によって前記走行支援処理(図10参照)が実行される。
【0084】
なお、本発明は、前記走行処理及び前記走行支援処理に含まれる一又は複数のステップを実行する方法(本発明の走行方法の一例)の発明として捉えることができる。また、ここで説明する前記走行処理及び前記走行支援処理に含まれる一又は複数のステップは適宜省略されてもよい。なお、前記走行処理及び前記走行支援処理における各ステップは同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは走行装置3の制御部31及びサーバー1の制御部11が前記走行処理及び前記走行支援処理における各ステップを実行する場合を例に挙げて説明するが、一又は複数のプロセッサーが当該走行処理及び当該走行支援処理における各ステップを分散して実行する方法も他の実施形態として考えられる。
【0085】
[走行処理]
図9は、走行装置3において実行される前記走行処理の手順の一例を示している。
【0086】
まず、ステップS11において、走行装置3の制御部31は、走行装置3のユーザーから走行開始指示を受け付けたか否かを判定する。具体的には、制御部31は、操作部33において、ユーザーから走行開始の指示操作を受け付けたか否かを判定する。制御部31は、前記走行開始指示を受け付けたと判定すると(S11:Yes)、処理をステップS12に移行させる。制御部31は、前記走行開始指示を受け付けるまで待機する(S11:No)。
【0087】
ここでは、例えば、ユーザーは、走行エリアとしてフロア1F(図2参照)を選択し、フロア1Fの走行経路として目標経路R1(図3参照)を選択して前記走行開始指示を行う。
【0088】
ステップS12において、制御部31は、走行装置3の走行処理を開始させる。例えば、制御部31は、フロア1F(図7参照)において、走行開始位置S1から自律走行を開始させる。
【0089】
次にステップS13において、制御部31は、異常を検知したか否かを判定する。具体的には、制御部31は、検知センサー35(フロントレーザセンサ35a、ソナーセンサ35b、サイドレーザセンサ35c、接触センサー、振動センサー、加速度センサー、負荷センサーなど)から受信する検知信号に基づいて走行装置3の異常を検知する。
【0090】
また、制御部31は、異常を検知した場合に、カメラ36(図6参照)に撮像指示を出力して撮像処理を実行させる。制御部31は、異常を検知したと判定すると(S13:Yes)、処理をステップS14に移行させ、異常を検知しないと判定すると(S13:No)、処理をステップS131に移行させる。
【0091】
次にステップS14において、制御部31は、検知した異常に関する異常情報をサーバー1に通知する。具体的には、制御部31は、異常を検知した検知センサー35に関する情報(センサー情報)と、走行装置3が異常を検知したときの走行装置3の現在位置の情報(位置情報)と、走行装置3の走行軌跡の情報(走行情報)と、カメラ36の撮像画像の情報(画像情報)とのうち少なくともいずれかを含む前記異常情報をサーバー1に送信する。サーバー1は、走行装置3から前記異常情報を取得すると、後述の図10に示す走行支援処理を実行する。
【0092】
走行装置3の制御部31は、前記異常情報をサーバー1に通知すると、サーバー1から前記対処動作指示を取得するまで待機する(S15:No)。制御部31は、サーバー1から前記対処動作指示を取得すると(S15:Yes)、処理をステップS16に移行させる。
【0093】
ステップS16において、制御部31は、前記対処動作指示に応じた対処動作を実行させる。例えば、制御部31は、前記対処動作指示に基づいて、自律走行を継続する動作(走行継続動作)、自律走行を停止する動作(走行停止動作)、警告情報を報知する動作(警告報知動作)、走行経路を変更する動作(回避動作)などを実行する。その後、制御部31は、処理をステップS17に移行させる。
【0094】
これに対して、ステップS13において制御部31が異常を検知しない場合には(S13:No)、ステップS131において、制御部31は、目標経路に従った自律走行を実行する。その後、制御部31は、処理をステップS17に移行させる。
【0095】
ステップS17において、制御部31は、自律走行を終了したか否かを判定する。例えば、制御部31は、走行装置3が走行終了位置G1(図3参照)に到着したか否かを判定する。制御部31は、自律走行を終了したと判定すると(S17:Yes)、前記走行処理を終了する。一方、制御部31は、自律走行を終了していないと判定すると(S17:No)、処理をステップS13に移行させて上述の処理を繰り返し実行する。
【0096】
[走行支援処理]
図10は、サーバー1において実行される前記走行支援処理の手順の一例を示している。
【0097】
まず、ステップS21において、サーバー1の制御部11は、走行装置3から前記異常情報を取得したか否かを判定する。制御部31は、前記異常情報を取得したと判定すると(S21:Yes)、処理をステップS22に移行させる。制御部31は、前記異常情報を取得するまで待機する(S21:No)。
【0098】
ステップS22において、制御部11は、監視カメラ2から撮像画像を取得する。例えば、制御部11は、フロア1Fにおいて走行装置3が自律走行中に異常を検知したときの走行装置3の現在位置を前記異常情報に基づいて特定すると、フロア1Fに配置された4台の監視カメラ2(図4参照)のうち前記現在位置を撮像エリア2aに含む監視カメラ2を特定し、特定した監視カメラ2から撮像画像を取得する。
【0099】
次にステップS23において、制御部11は、走行装置3が検知した異常の異常内容を特定する。具体的には、制御部11は、走行装置3から取得した前記異常情報と、監視カメラ2から取得した前記撮像画像とに基づいて、前記異常内容を特定する。また、制御部11は、対処動作情報121(図8参照)に登録された複数の異常内容の中から、該当する異常内容を特定する。
【0100】
次にステップS24において、制御部11は、走行装置3が当該異常に対して対処すべき動作を表す対処動作を特定する。具体的には、制御部11は、対処動作情報121(図8参照)に登録された対処動作内容のうち、特定した前記異常内容に関連付けられた対処動作内容を特定する。
【0101】
次にステップS25において、制御部11は、特定した前記対処動作を走行装置3に実行させる対処動作指示を走行装置3に出力する。ステップS25の後、制御部11は、処理をステップS21に移行させて、上述の処理を繰り返し実行する。
【0102】
サーバー1が前記対処動作指示を走行装置3に出力すると、走行装置3の制御部31は、上述したように、前記対処動作指示を取得して前記対処動作を実行する(図9のステップS16)。
【0103】
走行装置3の制御部31及びサーバー1の制御部11は、以上のようにして前記走行処理及び前記走行支援処理を実行する。また、サーバー1の制御部11は、走行装置3ごとに前記異常情報を取得して前記走行支援処理を実行する。このようにして、サーバー1は、一又は複数台の走行装置3の走行を制御する。
【0104】
以上説明したように、本実施形態に係る走行システム10は、所定エリアを走行する走行装置3が異常を検知した場合に前記異常に関する異常情報を取得し、走行装置3が異常を検知した場合に、当該異常が検知された位置を含む撮像エリアを前記所定エリアに配置された監視カメラ2が撮像した撮像画像を取得し、前記異常情報と前記撮像画像とに基づいて前記異常の内容を特定する。
【0105】
上記構成によれば、走行システム10は、走行装置3の異常を検知した場合に、検知した異常情報と、走行装置3の外部カメラ(例えば監視カメラ2)が走行装置3を含む所定エリアを撮像した撮像画像とを取得する。このため、走行装置3に搭載されたカメラ36の死角で異常に起因する事象が生じた場合や、カメラ36に不具合が生じた場合であっても、異常の内容を特定することが可能となる。また、走行システム10は、走行装置3から異常情報(前記センサー情報、前記位置情報、前記走行情報、前記画像情報)を取得するため、異常の内容及び原因を詳細に特定することができる。以上のように、本発明によれば、走行装置3に生じた異常の内容を容易に特定することが可能となる。
【0106】
本発明の他の実施形態として、走行システム10は、走行装置3が検知した異常の内容を特定した場合に、当該異常の内容をユーザー(走行装置3の管理者など)に通知してもよい。また、走行システム10は、特定した異常内容に対応する対処動作内容をユーザーに通知してもよい。また、走行装置3は、ユーザーからの指示に基づいて前記対処動作を実行してもよい。
【0107】
なお、本発明の走行システムが走行装置3単体で構成される場合、走行装置3の制御部31は、図5に示すサーバー1の制御部11の各処理部(例えば、画像取得処理部112、特定処理部113)を備えて構成される。この場合、制御部31は、監視カメラ2から撮像画像を取得する。
【0108】
[発明の付記]
以下、上述の実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0109】
<付記1>
所定エリアを走行する走行装置が異常を検知した場合に前記異常に関する異常情報を取得する異常取得処理部と、
前記走行装置が異常を検知した場合に、当該異常が検知された位置を含む撮像エリアを前記所定エリアに配置された第1撮像部が撮像した撮像画像を取得する画像取得処理部と、
前記異常取得処理部により取得される前記異常情報と前記画像取得処理部により取得される前記撮像画像とに基づいて前記異常の内容を特定する特定処理部と、
を備える走行システム。
【0110】
<付記2>
前記特定処理部は、前記異常の内容を特定した場合に、前記走行装置が当該異常に対して対処すべき動作を表す対処動作を特定し、
前記走行装置に前記対処動作を実行させる、
付記1に記載の走行システム。
【0111】
<付記3>
複数の前記異常の内容と、複数の前記異常の内容のそれぞれに対して対処すべき前記対処動作とが予め関連付けられて記憶部に記憶されている、
付記1又は2に記載の走行システム。
【0112】
<付記4>
前記対処動作には、前記走行装置の自律走行を継続させる動作と、前記走行装置の自律走行を停止させる動作と、前記走行装置に所定の情報を報知させる動作とのうち少なくともいずれかが含まれる、
付記2に記載の走行システム。
【0113】
<付記5>
前記異常情報には、前記走行装置に設けられた検知部であって前記異常を検知した検知部に関する情報と、前記走行装置が前記異常を検知したときの現在位置の情報と、前記走行装置の走行軌跡の情報と、前記走行装置に設けられた第2撮像部の撮像画像の情報とのうち少なくともいずれかが含まれる、
付記1~4のいずれかに記載の走行システム。
【0114】
<付記6>
前記画像取得処理部は、前記異常情報に基づいて前記所定エリアに配置された複数の前記第1撮像部のうち前記異常が検知された位置を含む前記撮像エリアを撮像する前記第1撮像部を特定し、特定した前記第1撮像部から前記撮像画像を取得する、
付記1~5のいずれかに記載の走行システム。
【0115】
<付記7>
前記画像取得処理部は、前記走行装置に設けられた第2撮像部の撮像エリア外を撮像可能な前記第1撮像部から前記撮像画像を取得する、
付記1~6のいずれかに記載の走行システム。
【符号の説明】
【0116】
1 :サーバー
2 :監視カメラ
2a :撮像エリア
3 :走行装置
10 :走行システム
11 :制御部
31 :制御部
35 :検知センサー
35a :フロントレーザセンサ
35b :ソナーセンサ
35c :サイドレーザセンサ
36 :カメラ
111 :異常取得処理部
112 :画像取得処理部
113 :特定処理部
114 :出力処理部
121 :対処動作情報
311 :走行処理部
312 :検知処理部
313 :通知処理部
314 :対処取得処理部
315 :実行処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10