(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168728
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】ステータ及び回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 1/18 20060101AFI20231121BHJP
H02K 3/44 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
H02K1/18 C
H02K3/44 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080006
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 工
(72)【発明者】
【氏名】三戸 信二
【テーマコード(参考)】
5H601
5H604
【Fターム(参考)】
5H601AA00
5H601FF00
5H601GA02
5H601GB33
5H601GB48
5H601GC12
5H601GD02
5H601GD08
5H601GD22
5H601KK13
5H601KK25
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC15
5H604DA15
5H604DA18
5H604PE06
(57)【要約】
【課題】コアシートの座屈を抑制可能にしたステータ及び回転電機を提供する。
【解決手段】ステータ11は、軸方向に積層された複数のコアシートにて形成され、環状のヨーク部25、及び、ヨーク部25から内周側に延出するティース23を有するステータコア20と、ティース23を被覆するボビン30と、ボビン30に巻回されているコイル40と、ヨーク部25の軸方向端面25aに当接する当接部54を有する押さえ部材としての樹脂モールド部50と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に積層された複数のコアシート(24)にて形成され、環状のヨーク部(25)、及び、前記ヨーク部から内周側に延出するティース(23)を有するステータコア(20)と、
前記ティースを被覆するボビン(30)と、
前記ボビンに巻回されているコイル(40)と、
前記ヨーク部の軸方向端面(25a)に当接する当接部(54)を有する押さえ部材(50)と、
を備えている、ステータ。
【請求項2】
前記ステータコアは、周方向に沿って並ぶ複数の分割コア(21)にて構成され、
前記複数の分割コアの各々は、前記ヨーク部を構成するコアバック(22)と、前記コアバックから延出する前記ティースと、を有している、
請求項1に記載のステータ。
【請求項3】
前記当接部は、前記ヨーク部の周方向全体において前記軸方向端面に当接している、
請求項1または請求項2に記載のステータ。
【請求項4】
前記当接部は、前記ヨーク部の周方向において部分的に前記軸方向端面に当接している、
請求項2に記載のステータ。
【請求項5】
前記当接部は、周方向に隣り合う前記コアバックが互いに接する境界部(22x)において前記軸方向端面に当接している、
請求項4に記載のステータ。
【請求項6】
前記当接部は、前記コアバックの周方向中央部(22y)において前記軸方向端面に当接している、
請求項4に記載のステータ。
【請求項7】
前記押さえ部材は、前記コイルを覆う樹脂モールド部(50)であり、
前記コイルは、軸方向一端部(41)と、軸方向他端部(42)とを有し、
前記樹脂モールド部は、前記コイルの前記軸方向一端部を覆う第1被覆部(51)と、前記コイルの前記軸方向他端部を覆う第2被覆部(52)と、前記第1被覆部と前記第2被覆部とを繋ぐ連結部(53)と、を有し、
前記当接部は、前記第1被覆部及び前記第2被覆部にそれぞれ含まれている、
請求項1に記載のステータ。
【請求項8】
前記ステータコアは、周方向に沿って並ぶ複数の前記ティースを有し、
前記コイルは、前記複数のティースにそれぞれ対応して複数設けられ、
前記樹脂モールド部は、前記複数のコイルをまとめて覆っている、
請求項7に記載のステータ。
【請求項9】
前記樹脂モールド部は、前記ボビンよりも熱伝導率が高い材料にて形成されている、
請求項7または請求項8に記載のステータ。
【請求項10】
ステータ(11)と、前記ステータに対向するロータ(12)と、を備える回転電機(10)であって、
前記ステータは、
軸方向に積層された複数のコアシート(24)にて形成され、環状のヨーク部(25)、及び、前記ヨーク部から内周側に延出するティース(23)を有するステータコア(20)と、
前記ティースを被覆するボビン(30)と、
前記ボビンに巻回されているコイル(40)と、
前記ヨーク部の軸方向端面(25a)に当接する当接部(54)を有する押さえ部材(50)と、
を備えている、回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータ及び回転電機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のステータは、軸方向に積層された複数のコアシートにて形成されたステータコアを備える。ステータコアは、環状のヨーク部と、ヨーク部から内周側に延出するティースとを有する。ティースには、コイルが巻回される。ステータコアは、ヨーク部の外周面がハウジングの内周面に接する態様でハウジングに収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなステータでは、例えばヨーク部がハウジングから受ける力によって、コアシートにおけるヨーク部を構成する部位が座屈するおそれがあった。
本開示の目的は、コアシートの座屈を抑制可能にしたステータ及び回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するステータは、軸方向に積層された複数のコアシート(24)にて形成され、環状のヨーク部(25)、及び、前記ヨーク部から内周側に延出するティース(23)を有するステータコア(20)と、前記ティースを被覆するボビン(30)と、前記ボビンに巻回されているコイル(40)と、前記ヨーク部の軸方向端面(25a)に当接する当接部(54)を有する押さえ部材(50)と、を備えている。
【0006】
上記課題を解決する回転電機は、ステータ(11)と、前記ステータに対向するロータ(12)と、を備える回転電機(10)であって、前記ステータは、軸方向に積層された複数のコアシート(24)にて形成され、環状のヨーク部(25)、及び、前記ヨーク部から内周側に延出するティース(23)を有するステータコア(20)と、前記ティースを被覆するボビン(30)と、前記ボビンに巻回されているコイル(40)と、前記ヨーク部の軸方向端面(25a)に当接する当接部(54)を有する押さえ部材(50)と、を備えている。
【0007】
上記のステータ及び回転電機によれば、ヨーク部の軸方向端面に当接する当接部を有する押さえ部材によって、コアシートにおけるヨーク部を構成する部位の座屈を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】同形態のステータを部分的に断面で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、ステータ及び回転電機の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。
【0010】
図1に示すように、回転電機10は、ステータ11と、ステータ11に対向するロータ12とを備える。ステータ11は、円環状をなしている。ロータ12は、ステータ11の内側に配置される。ロータ12は、回転軸13を有する。ロータ12は、ステータ11に対して径方向に対向している。ステータ11は、円筒状のハウジング14に収容されている。ステータ11は、例えば焼き嵌めによりハウジング14に収容される。
【0011】
(ステータ11の構成)
図1及び
図2に示すように、ステータ11は、ステータコア20と、ボビン30と、コイル40と、押さえ部材としての樹脂モールド部50と、を備える。なお、
図2では、樹脂モールド部50の一部を断面で示している。
【0012】
ステータコア20は、ステータ11の周方向に沿って環状に並ぶ複数の分割コア21を有する。分割コア21は、例えば12個設けられている。ステータコア20は、例えば12個の分割コア21を有する。各分割コア21は、例えば磁性金属材からなる。なお、以下の説明では、ステータ11の周方向、ステータ11の径方向、及びステータ11の軸方向をそれぞれ単に「周方向」、「径方向」及び「軸方向」と言う場合がある。
【0013】
各分割コア21は、コアバック22と、コアバック22から径方向に沿って延出するティース23とを有している。複数の分割コア21は、それぞれのコアバック22が全体で円環状をなすように周方向に沿って配置される。各ティース23は、径方向に沿って延在する。
【0014】
各分割コア21において、ティース23は、例えば、コアバック22の内側面から径方向内側に突出している。ティース23の先端部は、ステータ11の軸線L1を向いている。ティース23の基端部は、ティース23における径方向外側の端部である。
【0015】
図3に示すように、各分割コア21は、軸方向に積層された複数のコアシート24にて形成されている。各コアシート24は、例えば電磁鋼板にて構成されている。各コアシート24は、例えば、接着により互いに固定されている。
【0016】
図1及び
図2に示すように、各分割コア21が周方向に環状に並んで配置された状態において、各分割コア21のコアバック22は、周方向に沿って環状に並んで配置される。各コアバック22は、環状のヨーク部25を構成する。各コアバック22は、周方向両側において隣り合うコアバック22に対してそれぞれ接している。各コアバック22の径方向外側面は、ヨーク部25の外周面を形成している。ヨーク部25の外周面、すなわち、各コアバック22の径方向外側面は、ハウジング14の内周面に接する。各ティース23は、ヨーク部25から内周側に延出している。
【0017】
図3に示すように、ステータコア20の軸方向両側の各々において、各コアバック22の軸方向端面は、ヨーク部25の軸方向端面25aを形成している。各コアバック22の軸方向端面は、例えば、軸線L1に対して垂直な同一平面上に位置している。すなわち、ヨーク部25の軸方向両側の軸方向端面25aは、軸線L1に対して垂直な平面状をなしている。
【0018】
各分割コア21には、ボビン30が設けられている。ボビン30は、例えば、複数の分割コア21にそれぞれ対応して複数設けられている。ボビン30は、ティース23を被覆するティース被覆部31を有している。コイル40は、各ティース被覆部31に巻回されている。すなわち、ボビン30のティース被覆部31は、分割コア21とコイル40との間に介在されている。これにより、ボビン30は、分割コア21とコイル40との間を電気的に絶縁する。なお、それぞれ1つの分割コア21、ボビン30及びコイル40は、1つの一体部品を構成している。
【0019】
ボビン30は、合成樹脂等の絶縁体にて構成されている。ボビン30の材料としては、例えばエポキシ系樹脂等を用いることができる。ボビン30は、例えば、分割コア21に対してモールド成形されている。すなわち、分割コア21に対して一体に形成されている。これにより、ボビン30が分割コア21に対して密着した状態とすることが可能となる。
【0020】
なお、本実施形態の構成とは異なる構成として、例えば、分割コア21とは別で作製したボビンを分割コア21に後付けで装着する場合には、分割コア21とボビンとの間に大きな隙間が生じる懸念がある。その点、本実施形態のように、ボビン30を分割コア21に対してモールド成形することで、分割コア21とボビン30との間の隙間を無くす、もしくは当該隙間を極めて小さくすることが可能である。
【0021】
(樹脂モールド部50の構成)
図2に示すように、樹脂モールド部50は、例えば、複数のコイル40をまとめて覆っている。
図3に示すように、コイル40は、軸方向の一端部である第1端部41と、軸方向の他端部である第2端部42とを有している。樹脂モールド部50は、コイル40の第1端部41を覆う第1被覆部51と、コイル40の第2端部42を覆う第2被覆部52とを有している。第1被覆部51は、コイル40の第1端部41の軸方向外側及び第1端部41の径方向両側を覆っている。第2被覆部52は、コイル40の第2端部42の軸方向外側及び第2端部42の径方向両側を覆っている。
【0022】
図1及び
図2に示すように、樹脂モールド部50は、周方向に隣り合うティース23の間を通って第1被覆部51と第2被覆部52とを繋ぐ連結部53を有している。連結部53は、複数のティース23の各間に充填されている。第1被覆部51と第2被覆部52とは、複数の連結部53によって互いに連結されている。
【0023】
ステータ11では、例えば、分割コア21、ボビン30及びコイル40を含む一体部品を環状に配置し、各コイル40を例えばバスバにより電気的に接続する。その後、例えば、各コイル40、各ボビン30及び前記バスバなどをまとめて覆うように、樹脂モールド部50をモールド成形する。
【0024】
樹脂モールド部50は、例えば、ボビン30よりも熱伝導率が大きい樹脂にて形成されている。樹脂モールド部50の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂や不飽和ポリエステル系樹脂にアルミナ粉末等を混合した材料を用いることができる。ボビン30の熱伝導率は、例えば、1.0(W/m・K)に設定される。それに対し、樹脂モールド部50の熱伝導率は、例えば、2.0(W/m・K)以上に設定されることが好ましい。
【0025】
また、樹脂モールド部50は、ばね定数の大きい構造とされるのが好ましい。樹脂モールド部50のばね定数が大きいと、ヨーク部25の座屈を抑制するのに必要な樹脂モールド部50の体積を小さく抑えることが可能となる。その結果、樹脂モールド部50の重量を小さく抑えることが可能となる。
【0026】
図2及び
図3に示すように、第1被覆部51及び第2被覆部52の各々は、ヨーク部25の軸方向端面25aに当接する当接部54を有している。第1被覆部51の当接部54は、軸方向一方側の軸方向端面25aに対して軸方向に当接している。第2被覆部52の当接部54は、軸方向他方側の軸方向端面25aに対して軸方向に当接している。すなわち、第1被覆部51及び第2被覆部52の各々の当接部54は、ヨーク部25を軸方向に挟むように設けられている。
【0027】
本実施形態では、当接部54は、周方向に沿って連続する環状をなしている。そして、当接部54は、ヨーク部25の周方向全体において各軸方向端面25aに当接している。すなわち、
図4に示すように、当接部54は、周方向に隣り合うコアバック22が互いに接する境界部22xにおいて軸方向端面25aに当接している。また、当接部54は、各コアバック22の周方向中央部22yにおいて軸方向端面25aに当接している。
【0028】
本実施形態の作用について説明する。
ステータコア20のヨーク部25は、ハウジング14から径方向内側への力を受ける。ステータコア20が焼き嵌めによりハウジング14に組み付けられる場合には、ヨーク部25は、ハウジング14から径方向内側への力をより顕著に受ける。すると、ヨーク部25を構成する各コアバック22には、周方向において互いに接近する方向への力が生じる。このため、何ら対策がなされていない場合、ヨーク部25を構成する各コアバック22において、例えば焼き嵌め時の応力によってコアシート24が座屈するおそれがある。
【0029】
そこで、本実施形態では、ヨーク部25の軸方向端面25aには、樹脂モールド部50の当接部54が当接されている。これにより、ヨーク部25を構成する各コアバック22がハウジング14から力を受けたときに、ヨーク部25の軸方向端面25aを当接部54が押さえているため、コアシート24におけるコアバック22構成する部位の座屈が抑制されるようになっている。また、ヨーク部25が座屈しようとする力は、軸方向両側に拡がる方向にかかり、その力を第1被覆部51及び第2被覆部52の各当接部54が受ける。ここで、第1被覆部51と第2被覆部52とは連結部53にて繋がっているため、ヨーク部25が座屈しようとする力を第1被覆部51及び第2被覆部52の各当接部54にて好適に受けることが可能となる。
【0030】
また、各コイル40への通電によりステータ11で発生する回転磁界との相互作用によって、ロータ12が回転する。このとき、通電によりコイル40は発熱する。コイル40の熱の一部は、樹脂モールド部50を介して外部に放出される。放熱経路の一例としては、例えば、コイル40から樹脂モールド部50を介してステータコア20に達する放熱経路である。さらに、樹脂モールド部50は、ボビン30よりも熱伝導率が高い材料にて形成されることで、放熱性をより向上させることが可能となる。
【0031】
本実施形態の効果について説明する。
(1)ステータ11は、ヨーク部25の軸方向端面25aに当接する当接部54を有する押さえ部材としての樹脂モールド部50を備える。この構成によれば、ヨーク部25の軸方向端面25aに当接する当接部54を有する樹脂モールド部50によって、コアシート24におけるヨーク部25を構成する部位の座屈を抑制することが可能となる。
【0032】
また、当接部54によってコアシート24の座屈が抑制されることで、各コアシート24を互いに固定するためのかしめを不要、またはかしめ箇所を極力少なくすることが可能となる。これにより、コアシート24の内部の磁束の流れにおいてかしめ損を少なく抑えることが可能となり、その結果、回転電機10の高出力化に寄与できる。
【0033】
また、当接部54によってコアシート24の座屈が抑制されることで、各コアシート24を互いに固定するための接着剤を無くし、各コアシート24が互いに固定されていない構造とすることも可能となる。この場合、各コアシート24を互いに接着する接着剤を用いないため、耐熱性に優れた構成とすることが可能となる。
【0034】
(2)ステータコア20は、周方向に沿って並ぶ複数の分割コア21にて構成されている。複数の分割コア21の各々は、ヨーク部25を構成するコアバック22と、コアバック22から延出するティース23と、を有している。この構成によれば、ヨーク部25が各分割コア21のコアバック22にて構成される。このため、ハウジング14から受ける力によって、分割された各コアバック22がより座屈しやすい構成である。したがって、当接部54による座屈抑制効果をより顕著に得ることが可能となる。
【0035】
(3)当接部54は、ヨーク部25の周方向全体において軸方向端面25aに当接している。この構成によれば、各コアバック22において、座屈が生じやすい境界部22x及び周方向中央部22yの両方を当接部54にて押さえることが可能となる。したがって、当接部54によってヨーク部25の座屈をより好適に抑制することが可能となる。
【0036】
(4)樹脂モールド部50は、コイル40を覆っている。コイル40は、軸方向の一端部である第1端部41と、軸方向の他端部である第2端部42とを有している。樹脂モールド部50は、コイル40の第1端部41を覆う第1被覆部51と、コイル40の第2端部42を覆う第2被覆部52と、周方向に隣り合うコイル40の間を通って第1被覆部51と第2被覆部52とを繋ぐ連結部53と、を有している。そして、当接部54は、第1被覆部51及び第2被覆部52にそれぞれ含まれている。この構成によれば、第1被覆部51の当接部54と第2被覆部52の当接部54とがヨーク部25を軸方向に挟んでいる。また、第1被覆部51と第2被覆部52とは、連結部53によって互いに繋がっている。したがって、ヨーク部25の軸方向両側において、当接部54によってヨーク部25の座屈をより好適に抑制することが可能となる。
【0037】
(5)ステータコア20は、周方向に沿って並ぶ複数のティース23を有している。コイル40は、複数のティース23にそれぞれ対応して複数設けられている。そして、樹脂モールド部50は、複数のコイル40をまとめて覆っている。樹脂モールド部50を介したコイル40の放熱性を向上させることが可能となる。その結果、回転電機10の高出力化に寄与できる。
【0038】
(6)樹脂モールド部50は、ボビン30よりも熱伝導率が高い材料にて形成されている。樹脂モールド部50を介したコイル40の放熱性をより一層向上させることが可能となる。
【0039】
(変更例)
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0040】
・例えば、
図5または
図6に示すように、当接部54が、ヨーク部25の周方向において部分的に軸方向端面25aに当接する構成であってもよい。このような構成によれば、樹脂モールド部50の体積を減少させることが可能となり、その結果、ステータ11の軽量化に寄与できる。
【0041】
図5に示す構成では、当接部54は、周方向に隣り合うコアバック22が互いに接する各境界部22xにおいて軸方向端面25aに当接している。このような構成によれば、樹脂モールド部50を軽量化しつつも、コアバック22において座屈しやすい境界部22xの座屈を抑制することが可能となる。なお、この場合、当接部54を含む樹脂モールド部50が周方向において点在する構成であってもよい。また、
図5に示す構成のように、樹脂モールド部50がコイル40の軸方向外側を覆わない構成であってもよい。
【0042】
図6に示す構成では、当接部54は、各コアバック22の周方向中央部22yにおいて軸方向端面25aに当接している。このような構成によれば、樹脂モールド部50を軽量化しつつも、コアバック22において座屈しやすい周方向中央部22yの座屈を抑制することが可能となる。
【0043】
・樹脂モールド部50が、ボビン30と熱伝導率が同等の材料、または、ボビン30よりも熱伝導率が低い材料にて形成される構成であってもよい。
・各コアシート24は、例えば、かしめにより互いに固定されていてもよい。また、各コアシート24は、例えば、かしめ及び接着により互いに固定されていてもよい。また、各コアシート24は、例えば、レーザ溶接などの溶接により互いに固定されていてもよい。
【0044】
・樹脂モールド部50が形成されるまでの仮固定として、各コアシート24を互いに固定する接着剤を用いてもよい。この場合、接着剤の接着力は、樹脂モールド部50を形成するまでの接着力があれば成立するため、接着剤の材料選定の制約は少ない。
【0045】
・ステータコア20は、複数の分割コア21で形成される構成に限らず、一体部品で形成されてもよい。このような構成においても、コアシート24におけるヨーク部25を構成する部位の座屈を当接部54によって抑制することが可能となる。
【0046】
・上記実施形態のボビン30は、ステータコア20に対してモールド成形されるが、これに限らず、例えば、別途作製したボビンをステータコア20に装着する構成としてもよい。
【0047】
・分割コア21ならびにティース23の数は、上記実施形態に限定されるものではなく、構成に応じて適宜変更可能である。
・上記実施形態の回転電機10は、ロータ12がステータ11の内周側に配置されるインナロータ型の回転電機であるが、これ以外に例えば、ロータがステータの外周側に配置されるアウタロータ型の回転電機に適用してもよい。
【0048】
・今回開示された実施形態及び変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0049】
(付記)
本発明の特徴を以下の通り示す。
[1]軸方向に積層された複数のコアシート(24)にて形成され、環状のヨーク部(25)、及び、前記ヨーク部から内周側に延出するティース(23)を有するステータコア(20)と、前記ティースを被覆するボビン(30)と、前記ボビンに巻回されているコイル(40)と、前記ヨーク部の軸方向端面(25a)に当接する当接部(54)を有する押さえ部材(50)と、を備えている、ステータ。
【0050】
[2]前記ステータコアは、周方向に沿って並ぶ複数の分割コア(21)にて構成され、前記複数の分割コアの各々は、前記ヨーク部を構成するコアバック(22)と、前記コアバックから延出する前記ティースと、を有している、上記[1]に記載のステータ。
【0051】
[3]前記当接部は、前記ヨーク部の周方向全体において前記軸方向端面に当接している、上記[1]または[2]に記載のステータ。
[4]前記当接部は、前記ヨーク部の周方向において部分的に前記軸方向端面に当接している、上記[2]に記載のステータ。
【0052】
[5]前記当接部は、周方向に隣り合う前記コアバックが互いに接する境界部(22x)において前記軸方向端面に当接している、上記[4]に記載のステータ。
[6]前記当接部は、前記コアバックの周方向中央部(22y)において前記軸方向端面に当接している、上記[4]に記載のステータ。
【0053】
[7]前記押さえ部材は、前記コイルを覆う樹脂モールド部(50)であり、前記コイルは、軸方向一端部(41)と、軸方向他端部(42)とを有し、前記樹脂モールド部は、前記コイルの前記軸方向一端部を覆う第1被覆部(51)と、前記コイルの前記軸方向他端部を覆う第2被覆部(52)と、前記第1被覆部と前記第2被覆部とを繋ぐ連結部(53)と、を有し、前記当接部は、前記第1被覆部及び前記第2被覆部にそれぞれ含まれている、上記[1]から[6]のいずれか1つに記載のステータ。
【0054】
[8]前記ステータコアは、周方向に沿って並ぶ複数の前記ティースを有し、前記コイルは、前記複数のティースにそれぞれ対応して複数設けられ、前記樹脂モールド部は、前記複数のコイルをまとめて覆っている、上記[7]に記載のステータ。
【0055】
[9]前記樹脂モールド部は、前記ボビンよりも熱伝導率が高い材料にて形成されている、上記[7]または[8]に記載のステータ。
[10]ステータ(11)と、前記ステータに対向するロータ(12)と、を備える回転電機(10)であって、前記ステータは、軸方向に積層された複数のコアシート(24)にて形成され、環状のヨーク部(25)、及び、前記ヨーク部から内周側に延出するティース(23)を有するステータコア(20)と、前記ティースを被覆するボビン(30)と、前記ボビンに巻回されているコイル(40)と、前記ヨーク部の軸方向端面(25a)に当接する当接部(54)を有する押さえ部材(50)と、を備えている、回転電機。
【符号の説明】
【0056】
10…回転電機、11…ステータ、12…ロータ、20…ステータコア、21…分割コア、22…コアバック、22x…境界部、22y…周方向中央部、23…ティース、24…コアシート、25…ヨーク部、25a…軸方向端面、30…ボビン、40…コイル、41…第1端部(軸方向一端部)、42…第2端部(軸方向他端部)、50…樹脂モールド部(押さえ部材)、51…第1被覆部、52…第2被覆部、53…連結部、54…当接部。