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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168745
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】ガス発生器
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/263 20110101AFI20231121BHJP
【FI】
B60R21/263
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080031
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米澤 賢一
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054DD11
3D054DD17
3D054DD28
3D054DD40
(57)【要約】
【課題】適切な出力を得ることが可能なガス発生器を提供する。
【解決手段】ガス発生器は、ハウジングと、前記ハウジング内に配置される点火器と、前記ハウジングに収容され、前記点火器の作動によって燃焼ガスを発生させるガス発生剤と、前記ハウジングに設けられ、前記ハウジング内で生じた前記燃焼ガスを外部へ排出する第一排出孔と、前記ハウジングに前記第一排出孔とともに設けられ、前記ハウジング内で生じた前記燃焼ガスを外部へ排出する第二排出孔と、少なくとも1つの前記第一排出孔及び少なくとも1つの前記第二排出孔を一緒に覆う閉塞部材とを備え、前記閉塞部材のうち、前記第一排出孔を覆う部分が第一開裂圧で開裂し、前記第二排出孔を覆う部分が、第一開裂圧よりも高い第二開裂圧で開裂するように設定され、前記閉塞部材のうち、少なくとも前記第一排出孔と前記第二排出孔との境界部分に、前記閉塞部材の強度を低下させる破断補助部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置される点火器と、
前記ハウジングに収容され、前記点火器の作動によって燃焼ガスを発生させるガス発生剤と、
前記ハウジングに設けられ、前記ハウジング内で生じた前記燃焼ガスを外部へ排出する第一排出孔と、
前記ハウジングに前記第一排出孔とともに設けられ、前記ハウジング内で生じた前記燃焼ガスを外部へ排出する第二排出孔と、
少なくとも1つの前記第一排出孔及び少なくとも1つの前記第二排出孔を一緒に覆う閉塞部材と、
を備え、
前記閉塞部材のうち、前記第一排出孔を覆う部分が第一開裂圧で開裂し、前記第二排出孔を覆う部分が、第一開裂圧よりも高い第二開裂圧で開裂するように設定され、
前記閉塞部材のうち、少なくとも前記第一排出孔と前記第二排出孔との境界部分に、前記閉塞部材の強度を低下させる破断補助部を備えるガス発生器。
【請求項2】
前記第一排出孔の開口面積は、前記第二排出孔の開口面積と比べて大きい、請求項1に記載のガス発生器。
【請求項3】
前記破断補助部は、前記閉塞部材に設けられた脆弱部である請求項1に記載のガス発生器。
【請求項4】
前記破断補助部は、前記閉塞部材に設けられた脆弱部である請求項2に記載のガス発生器。
【請求項5】
前記閉塞部材は、前記第一排出孔及び前記第二排出孔が設けられた前記ハウジングの壁面に沿って貼設されたシートであり、
前記破断補助部は、前記閉塞部材において前記シートの厚さ寸法が、少なくとも前記第二排出孔を覆う部分の厚さ寸法よりも小さく形成された部位である請求項3に記載のガス発生器。
【請求項6】
前記閉塞部材は、前記第一排出孔及び前記第二排出孔が設けられた前記ハウジングの壁面に沿って貼設されたシートであり、
前記破断補助部は、前記閉塞部材において前記シートの厚さ方向に切断された切断部と、切断されていない非切断部とが交互に配列された線状の部位である請求項3に記載のガス発生器。
【請求項7】
前記閉塞部材は、
前記ハウジングの周方向に沿って前記ハウジングの壁面に貼設されたシートであり、
前記周方向において前記第一排出孔を覆う部分と前記第二排出孔を覆う部分との境界部分に、前記閉塞部材の幅方向に沿って前記閉塞部材の幅を狭めるように前記閉塞部材が切除された切除部を備え、
前記破断補助部が、前記閉塞部材のうち前記切除部によって幅が狭められた部位である請求項3に記載のガス発生器。
【請求項8】
前記閉塞部材は、前記第一排出孔及び前記第二排出孔が設けられた前記ハウジングの壁面に沿って貼設されたシートであり、
前記破断補助部は、前記第一排出孔及び前記第二排出孔の境界部分に形成され、前記ハ
ウジングの壁面から前記閉塞部材側に突設された突起である請求項1に記載のガス発生器。
【請求項9】
前記第一排出孔及び前記第二排出孔が、前記ハウジングの周方向に沿って、前記ハウジングの壁面に配列され、
前記閉塞部材が、前記第一排出孔及び前記第二排出孔の配列方向に沿って設けられ、
前記破断補助部が、前記閉塞部材において前記第一排出孔を覆う部分と前記第二排出孔を覆う部分とを分断する方向に設けられている請求項1~8の何れか1項に記載のガス発生器。
【請求項10】
前記破断補助部が、前記第一排出孔又は前記第二排出孔を囲むように線状に形成された請求項1~6の何れか1項に記載のガス発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハウジング内に形成された燃焼室内にガス発生剤を充填し、点火器によってガス発生剤を燃焼させることで燃焼ガスを発生させ、該燃焼ガスをハウジングに設けられたガス排出孔から外部へ放出するガス発生器が広く用いられている。
【0003】
特許文献1のガス発生器では、上側容器の周壁部に、径の異なるガス排出孔が2種類具備され、シールテープが、これら2種類のガス排出孔を同時に塞いでいる。そして、ガス排出孔の開口径によって、これら2種類のガス排出孔を塞ぐシールテープの破裂圧力が調節されている。これによりガス発生手段が燃焼した際のハウジング内の圧力(以下「燃焼内圧」とする)を均等化して、燃焼性能を安定化させることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-335361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
大径の排出孔(ガス排出孔)と、小径の排出孔とを同じシールテープで纏めて覆い、このせん断方向に燃焼ガスの圧力が加わった場合、小径の排出孔を覆う部分よりも大径の排出孔を覆う部分が先に開裂する。即ち、第一開裂圧で大径の排出孔を覆う部分のみを開裂させ、第一開裂圧よりも高い第二開裂圧で双方の排出孔を覆う部分開裂させるように構成し、燃焼性能を安定化させることが考えられる。
しかしながら、大径の排出孔(ガス排出孔)と、小径の排出孔とを一つのシールテープで纏めて覆った場合、大径の排出孔を覆う部分に圧力が加わり、開裂する際に、この力が周囲に伝わり、シールテープの位置がズレたり、シールテープが部分的に浮き上ったりすることで、小径孔の閉塞状態が、本来の開裂圧よりも低い圧力で解消されることがある。その場合、一部のガスが小径の排出孔を通って排出されることになる。即ち大径の排出孔のみが開口すべき時に余計な開口が生じるので、ガス発生器から出力される燃焼ガスの量や圧力といった出力の特性が設計通りにならない可能性がある。
【0006】
本開示の技術は、上述の実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、適切な出力を得ることが可能なガス発生器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の技術は、以下の構成を採用した。即ち、本開示に係るガス発生器の技術は、
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置される点火器と、
前記ハウジングに収容され、前記点火器の作動によって燃焼ガスを発生させるガス発生剤と、
前記ハウジングに設けられ、前記ハウジング内で生じた前記燃焼ガスを外部へ排出する第一排出孔と、
前記ハウジングに前記第一排出孔とともに設けられ、前記ハウジング内で生じた前記燃焼ガスを外部へ排出する第二排出孔と、
少なくとも1つの前記第一排出孔及び少なくとも1つの前記第二排出孔を一緒に覆う閉塞部材と、
を備え、
前記閉塞部材のうち、前記第一排出孔を覆う部分が第一開裂圧で開裂し、前記第二排出孔を覆う部分が、第一開裂圧よりも高い第二開裂圧で開裂するように設定され、
前記閉塞部材のうち、少なくとも前記第一排出孔と前記第二排出孔との境界部分に、前記閉塞部材の強度を低下させるの破断補助部を備える。
【0008】
前記第一排出孔の開口面積は、前記第二排出孔の開口面積と比べて大きく設定されてもよい。
【0009】
前記破断補助部は、前記閉塞部材に設けられた脆弱部であってもよい。
【0010】
前記閉塞部材は、前記第一排出孔及び前記第二排出孔が設けられた前記ハウジングの壁面に沿って貼設されたシートであり、
前記破断補助部は、前記閉塞部材において前記シートの厚さ寸法が、少なくとも前記第二排出孔を覆う部分の厚さ寸法よりも小さく形成された部位であってもよい。
【0011】
前記閉塞部材は、前記第一排出孔及び前記第二排出孔が設けられた前記ハウジングの壁面に沿って貼設されたシートであり、
前記破断補助部は、前記閉塞部材において前記シートの厚さ方向に切断された切断部と、切断されていない非切断部とが交互に配列された線状の部位であってもよい。
【0012】
前記閉塞部材は、
前記ハウジングの周方向に沿って前記ハウジングの壁面に貼設されたシートであり、
前記周方向において前記第一排出孔を覆う部分と前記第二排出孔を覆う部分との境界部分に、前記閉塞部材の幅方向に沿って前記閉塞部材の幅を狭めるように前記閉塞部材が切除された切除部を備え、
前記破断補助部が、前記閉塞部材のうち前記切除部によって幅が狭められた部位であってもよい。
【0013】
前記閉塞部材は、前記第一排出孔及び前記第二排出孔が設けられた前記ハウジングの壁面に沿って貼設されたシートであり、
前記破断補助部は、前記第一排出孔及び前記第二排出孔の境界部分に形成され、前記ハウジングの壁面から前記閉塞部材側に突設された突起であってもよい。
【0014】
前記第一排出孔及び前記第二排出孔が、前記ハウジングの周方向に沿って、前記ハウジングの壁面に配列され、
前記閉塞部材が、前記第一排出孔及び前記第二排出孔の配列方向に沿って設けられ、
前記破断補助部が、前記閉塞部材において前記第一排出孔を覆う部分と前記第二排出孔を覆う部分とを分断する方向に設けられてもよい。
【0015】
前記破断補助部が、前記第一排出孔又は前記第二排出孔を囲むように線状に形成されてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、適切な出力を得ることが可能なガス発生器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、第一実施形態に係るガス発生器の中心軸に沿った内部構造を概略的に示す軸方向断面図である。
図2図2は、第一排出孔及び第二排出孔を覆うシールテープの一部を示す図である。
図3図3は、シールテープが貼設された上側容器の中心軸と直交する断面を模式的に示す図である。
図4図4は、変形例1に係るシールテープの構成を示す図である。
図5図5は、変形例2に係る第一排出孔及び第二排出孔の構成を示す図である。
図6図6は、変形例2に係るシールテープの構成を示す図である。
図7図7は、変形例3に係る第一排出孔及び第二排出孔の配置を示す図である。
図8図8は、変形例3に係るシールテープの構成を示す図である。
図9図9は、変形例4に係る第一排出孔及び第二排出孔の配置を示す図である。
図10図10は、図9の第一排出孔及び第二排出孔を覆うシールテープの構成を示す図である。
図11図11は、変形例5に係るシールテープの構成を示す図である。
図12図12は、第二実施形態に係る第一排出孔及び第二排出孔並びに破断補助部の構成を示す図である。
図13図13は、第一排出孔及び第二排出孔を覆うシールテープを示す図である。
図14図14は、図13のA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して本開示の実施形態に係るガス発生器について説明する。なお、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本開示は、実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0019】
<第一実施形態>
[全体構成]
図1は、第一実施形態に係るガス発生器100の中心軸Cに沿った内部構造を概略的に示す軸方向断面図である。以下、図1に示すように、ガス発生器100を中心軸Cに沿って切断した断面をガス発生器100の「縦断面」という場合がある。また、ガス発生器100の中心軸Cに沿った方向をガス発生器100の「上下方向」という場合がある。図1では、ガス発生器100の作動前の状態が示されている。ガス発生器100は、例えばエアバッグを膨張、展開させるためのガスをエアバッグに供給するエアバッグ用ガス発生器である。
【0020】
ガス発生器100は、ガス排出孔26を有する上側容器1と、該上側容器1と共に内部収容空間を形成する下側容器2とを接合してなるハウジング3内に、略円筒形状の内筒部材4を配置して、その外側を第一の燃焼室5Aとしている。また、該内筒部材4は、下部の内径を広げるように、その周壁の内側に段欠き部6が設けられ、該段欠き部6に略平板円形の隔壁7が中心軸Cと直交する面に沿って配置される。この隔壁7で該内筒内が2室に区画され、上側容器側に第二の燃焼室5B、下側容器側に点火器収容室8が形成されている。このため当該ガス発生器100では、第一の燃焼室5Aと第二の燃焼室5Bとが、ハウジング3内に同心円状に設けられて、該ハウジング3の半径方向に隣接している。
【0021】
この第一及び第二の燃焼室内には、点火器12によって点火された場合に燃焼ガスを発生するガス発生剤9(9A,9B)が収容され、点火器収容室8内には、衝撃によって作動する点火器12が収容されている。第一の燃焼室5Aと第二の燃焼室5Bとを画成する内筒部材4には貫通孔10が設けられており、この貫通孔10は、シールテープ11によ
り閉塞されている。但しこのシールテープ11は、ガス発生剤9Bが燃焼して燃焼ガスが発生し、第二の燃焼室5B内の圧力が高まった場合に開裂する。このためガス発生剤9Bが燃焼した場合、両燃焼室5A,5Bは、貫通孔10により連通される。このシールテープ11は、第二の燃焼室5Bのガス発生剤9Bが燃焼した時にのみ破れるように、その材質や厚さが調整される。本実施形態では厚さ40μmのステンレス製のシールテープを用いている。なお、貫通孔10は、上側容器1に設けられた第二排出孔26Bよりも開口面積が大きく設定されている。
【0022】
点火器12は、外部のセンサが衝撃を感知したことに基づいて出力される作動信号によって作動する第一点火器12A及び第二点火器12Bを含んで構成されている。第一点火器12A及び第二点火器12Bは、互いに平行になるようにカラー13に対して、その頭部を突出させて設けられている。本実施形態のガス発生器100では、例えば、2つの点火器12(12A,12B)を設けたカラー13を該内筒4内に挿入した後、内筒部材4の下端をかしめて該カラー13を固定することにより、点火器12を所定の状態で容易に固定することができる。また、2つの点火器12の向きや間隔といった位置関係を容易に規制することができる。なお、2つの点火器12が一つのカラー13に取り付けられる構成に限定されるものではなく、第一点火器12Aと第二点火器12Bが夫々別のカラー13に取り付けられてもよい。
【0023】
本実施形態では、カラー13と隔壁7との間の空間において、何れか1つの点火器12(以下、第二点火器12Bとする)を包囲するように略円筒形状の分離筒14が配置され、その外側に第一の伝火薬収容室15A、内側に第二の伝火薬収容室15Bを画成し、そして各収容室内に、点火器12と、該点火器12と共に点火ユニットを構成する伝火薬16A,16Bとを収容している。
【0024】
第一の伝火薬収容室15Aは、その中に収容された伝火薬16Aが燃焼すると、内筒部材4に形成された伝火孔17を閉塞するシールテープ18が開裂して第一の燃焼室5Aと連通する。また第二の伝火薬収容室15Bも、その中の伝火薬16Bが燃焼すると隔壁7に形成された伝火孔19を閉塞するシールテープ20が破裂して第二の燃焼室5Bと連通する。依って、このガス発生器100は、作動に際して、第一の点火器12Aが着火(作動)したときの火炎は、その収容室15A内にある伝火薬16Aを着火・燃焼させ、その火炎が内筒部材4に形成された伝火孔17を通り、該収容室15Aの半径方向に位置する第一の燃焼室5A内に収容されたガス発生剤9Aを着火燃焼させる。
【0025】
また第二の点火器12Bは、その収容室15B内の第二の伝火薬16Bを着火・燃焼させ、その火炎が該収容室15Bの軸方向に設けられた伝火孔19を通り、その延長上にある第二の燃焼室5B内に収容されたガス発生剤9Bを着火・燃焼させる。なお、本実施形態では、ガス発生剤9A、9Bの形状は限定されるものではなく、公知の形状のものを使用することができる。この第二の燃焼室5B内で発生した燃焼ガスは、内筒部材4の上側容器1側に設けられた貫通孔10を通り第一の燃焼室5A内に流入する。
【0026】
特に、図1に示すガス発生器100では、カラー13と隔壁7との間に配置される分離筒14は、隔壁7の下面に該分離筒14の外形に相当する穴部21を設けると共に、カラー13の上面に同様の穴部131を設け、それぞれの穴部21・131に分離筒14の上端又は下端を嵌入して配置されている。
【0027】
この様に分離筒14を配置していることにより、何れか一の伝火薬収容室内で発生する伝火薬の火炎が、他方の伝火薬収容室内の伝火薬を直接燃焼させず、2つの燃焼室内に収容されたガス発生剤9A、9Bは、それぞれ異なる区分の伝火薬が燃焼した火炎により着火・燃焼される。即ち、穴部21・131が無く単に分離筒14が隔壁7とカラー13と
の間で挟持された場合、該分離筒14内(即ち第二の伝火薬収容室内)で伝火薬が燃焼した際には、その燃焼によって生じるガスの圧力は、該分離筒を半径方向に押し広げるようにも働くこととなるが、本実施形態の構成では、分離筒14の上下端部がそれぞれ穴部21・131支持され、燃焼ガス及び火炎の漏洩を抑制することができる。但し、この構成に限定されるものではなく、穴部21・131が無く分離筒14が隔壁7とカラー13との間で挟持された構成であってもよい。
【0028】
またハウジング3内には、ガス発生剤9A,9Bの燃焼によって発生した燃焼ガスを浄化・冷却するためのクーラント・フィルタ22が配設されており、その上側容器1側の内周面は、クーラント・フィルタ22の端面と上側容器1天井部内面との間を燃焼ガスが通過することのない様に、その上側容器1側の内周面がショートパス防止部材で覆われている。該クーラント・フィルタ22の外側には、燃焼ガスが該フィルタ22の全面を通過することができるように、間隙25が形成されている。
【0029】
上側容器1の周壁部101には、ハウジング3内で生じた燃焼ガスをガス発生器100の外部へ排出するガス排出孔26が設けられている。ガス排出孔26は、径の異なる第一排出孔26A及び第二排出孔26Bを有している。第一排出孔26A及び第二排出孔26Bは、周壁部101の内側から外側にかけて貫通し、開口部の形状が円形となるように形成されている。また、第一排出孔26A及び第二排出孔26Bは、それぞれ上側容器1の周方向に沿って複数設けられている。第一排出孔26Aは、第二排出孔26Bと比べて、孔1つ当たりの開口面積は大きい。また各孔数は同一である。このため複数の第一排出孔26Aにおける総開口面積も複数の第二排出孔26Bにおける総開口面積よりも大きいものとなっている。例えば、第一排出孔26Aは径φ3.0mmで孔数16個、第二排出孔26Bは径φ2mmで孔数16個としてもよい。なお、各排出孔26A,26Bの形状、径及び孔数は、特段限定されるものではなく、ガス発生器100の要求仕様に応じて任意に設定され得る。例えば、各排出孔26A,26Bの形状は、円形に限らず、楕円形や、多角形であってもよい。
【0030】
また、上側容器1の周壁部101内面には、シールテープ(閉塞部材)27が貼付され、このシールテープ27によって第一排出孔26A及び第二排出孔26Bが一緒に(第一排出孔26A及び第二排出孔26Bに跨って)覆われ、閉塞されている。
【0031】
図2は、第一排出孔26A及び第二排出孔26Bを覆うシールテープ27の一部を示す図、図3は、シールテープ27が貼設された上側容器1の中心軸Cと直交する断面を示す図である。本実施形態では、図2に示すように、複数の第一排出孔26Aが上側容器1の周方向に沿って一列に設けられ、これら第一排出孔26Aの上側に複数の第二排出孔26Bが上側容器1の周方向に沿って一列に設けられている。即ち、第一排出孔26Aの列とともに第二排出孔26Bの列が、中心軸C方向に並んで設けられている。
【0032】
シールテープ27は、周壁部101に貼付された際に、その周方向となる方向に長くなるようなシート状の部材である。シールテープ27は、中心軸C方向に並ぶ2種類のガス排出孔26を同時に塞いでもさらに上下方向に余裕のある幅であり、例えば、各排出孔26A,26Bの上端からシールテープ27の上端、或は各排出孔26A,26Bの下端からシールテープ下端までは2~3mmの余裕があることが望ましい。また、シールテープ27は、20μm~200μmの厚さを有するアルミ製のシール層と5~100μmの厚さを有する接着層、あるいは粘着層とを備えることが好ましいが、所望の効果を発揮するのであれば特にシールテープ27の材質や構造は限定されない。
【0033】
本実施形態ではアルミシール層の厚さが50μm、接着層、あるいは粘着層の厚みが50μmのシールテープを使用している。このように径の本実施例では各排出孔26A,2
6Bの列が、ガス発生器100の中心軸C方向に隣接して配置されているが、この配置に限定されるものではない。
【0034】
なお、シールテープ27は、少なくとも1つの第一排出孔26A及び少なくとも1つの前記第二排出孔26Bを一緒に覆うように配置される。例えば、シールテープ27を細切れにして貼ると、部品点数の増加や製造負荷の増加を招くことがある。このため多くの排出孔26A,26Bを一緒に覆うことが望ましい。例えば、一つのシールテープ27が上側容器1の内壁面全周にわたって貼られ、全ての排出孔26A,26Bを覆う構成でもよい。但し、この構成に限定されるものではなく、製造工程が複雑化しない程度に、例えば数枚のシールテープ27で排出孔26A,26Bを覆う構成としてもよい。図3の例では、上側容器1の内壁面全周に設けられた排出孔26A,26Bを4つのシールテープ27で覆っている。同じように排出孔26A,26Bを2枚、または3枚のシールテープ27で覆ってもよい。
【0035】
直径3mmである第一排出孔26Aの1つあたりの開口は7.1mmの面積を有し、直径2mmである第二排出孔26Bの1つあたりの開口は3.1mmの面積を有し、第二排出孔26Bに対する第一排出孔26Aとの開口径比は1.5:1.0であり、開口面積比は2.3:1.0である。
【0036】
上述のように、本実施形態では、開口面積の異なる二種類の第一排出孔26A及び第二排出孔26Bが、同じシールテープ27で閉塞されているので、シールテープ27の第一排出孔26Aおよび第二排出孔26Bを覆う部分が破れて、第一排出孔26Aおよび第二排出孔26Bの閉塞が解除される圧力(以下、開裂圧とも称す)が二段階に設定されている。即ち、シールテープ27のうち、第一排出孔26Aを覆う部分が第一開裂圧で開裂し、第二排出孔26Bを覆う部分が、第一開裂圧よりも高い第二開裂圧で開裂するように設定されている。ガス発生器100の作動の仕方によっては、シールテープ27の第二排出孔26Bを覆う部分が破れるタイミングが、第一排出孔26Aを覆う部分が破れるタイミングよりも遅い場合がある。また第一排出孔26Aを覆う部分のみが破れることもある。
【0037】
また、シールテープ27は、第一排出孔26Aと第二排出孔26Bが並ぶ方向(幅方向)の中央において、シールテープ27の長手方向に沿って、破断補助部271を備えている。即ち、シールテープ27が、第一排出孔26A及び第二排出孔26Bを覆うように周壁部101の内壁面に設けられた場合に、第一排出孔26Aと前記第二排出孔26Bとの境界となる部分に、破断補助部271が配置される。ここで境界となる部分(以下、境界部分とも称す)は、例えばシールテープ27における第一排出孔26Aと第二排出孔26Bとの間に位置する部分であって、第一排出孔26Aを画す第一排出孔周囲の領域と第二排出孔26Bを画す第二排出孔周囲の領域との境界部分である。なお、図2の例では、境界部分が第一排出孔26Aと前記第二排出孔26Bとの間の中央に設けられているが、これに限らず、境界部分は、第一排出孔26Aと第二排出孔26Bとの間のうち、第一排出孔26A寄りに設けられても、第二排出孔26B寄りに設けられてもよい。
【0038】
破断補助部271は、シールテープ27のうち、少なくとも第一排出孔26Aと第二排出孔26Bとの境界部分の強度を低下させる。本実施形態の破断補助部271は、シールテープ27において、シール層の厚さが、少なくとも第一排出孔26Aや第二排出孔26B、およびその周囲を覆う部分等、破断補助部271以外の部分よりも薄く、脆弱に形成された部位(脆弱部)である。例えば、シールテープ27の製造時に、シール層に所定深さの切込みを入れることで破断補助部271が形成される。本実施形態の破断補助部271は、脆弱部でないシール層の厚さ寸法に対して脆弱部の厚さ寸法が半分となるように切込みをいれた所謂ハーフカットである。このため、後述のように、シールテープ27のうち、第一排出孔26Aを覆う部分が開裂し、第二排出孔26Bを覆う部分が開裂しない状
況の場合、破断補助部271が破断し、第一排出孔26Aを覆う部分のみが壁面から外れることになる。
【0039】
<動作>
上記の様に形成されたガス発生器100では、点火器収容室8内であって分離筒14の外に配置された第一の点火器12Aが作動すると、第一の伝火薬収容室15A内に収容された伝火薬16Aが着火・燃焼し、その火炎が内筒部材4の伝火孔17を通って、第一の燃焼室5A内に収容された第一のガス発生剤9Aを燃焼させる。また分離筒14に包囲される第二の点火器12Bが作動すると、第二の伝火薬収容室15B内に収容された伝火薬16Bが着火・燃焼し、その火炎は第二の燃焼室5B内に収容された第二のガス発生剤9Bを着火・燃焼させる。
【0040】
そして第二の燃焼室5B内の火炎は、貫通孔10を通って、第一の燃焼室5A内に入る。このように第一の点火器12Aを作動させた場合と第二の点火器12Bを作動させた場合とで、燃焼経路が異なるため、第一の点火器12Aを作動させた後に第二の点火器12Bを作動させるか、或いは第一と第二の点火器12A,12Bを同時に作動させるか等、点火器12A,12Bの着火タイミングを変えることで、各ガス発生剤9A,9Bの燃焼するタイミングを制御し、ガス発生器100の出力形態(作動性能)が任意に調整される。
【0041】
ここで、第一と第二の点火器12A,12Bを同時に作動させる等してハウジング3内の圧力が第二開裂圧を超えた場合、第一排出孔26Aと第二排出孔26Bを覆う部分のシールテープ27が開裂し、第一排出孔26A及び第二排出孔26Bの双方から燃焼ガスが排出される。
【0042】
一方、第一の点火器12Aだけを作動させる等してハウジング3内の圧力が第二開裂圧を超えずに第一開裂圧を超えた場合、シールテープ27のうち、第一排出孔26Aを覆う部分が開裂し、第一排出孔26Aのみから燃焼ガスが排出される。このようにシールテープ27のうち、第一排出孔26Aを覆う部分が開裂し、第二排出孔26Bを覆う部分が開裂しない場合、従来のように破断補助部271が設けられていないと、燃焼ガスの圧力によって第一排出孔26Aを覆う部分が壁面から剥がされるような力が働いた場合に隣接する第二排出孔26Bを覆う部分を引っ張り、第二排出孔26Bを覆う部分が開裂してしまうことがある。この場合、ガス発生剤9Aの燃焼表面積に対して総開口面積が設計値より大きくなってしまい、所望の出力性能を得られない可能性がある。
【0043】
これに対し、本実施形態では、燃焼ガスの圧力によって第一排出孔26Aを覆う部分が壁面から剥がされるような力が加わったとしても、破断補助部271が破断して第二排出孔26Bを覆う部分と分離されるため、第二排出孔26Bを覆う部分を第二開裂圧以下で開裂させてしまうことが抑制される。これにより、本実施形態のガス発生器100は、例えばガス発生器100の作動開始後、所定期間において、単位時間あたりのガス発生量を設計値通り保つといった適切な出力を得ることができる。
【0044】
<変形例1>
図4は、変形例1に係るシールテープ27の構成を示す図である。前述の第一実施形態では、シールテープ27の脆弱部をハーフカットとしたが、本変形例では、脆弱部をミシン目状としている。なお、その他の構成は、前述の実施形態と同じであるので、同一の要素に同符号を付すなどして、再度の説明を省略する。
【0045】
図4の(A)はシールテープ27を表面側から見た状態を示し、(B)はシールテープ27の断面を模式的に示す。本変形例において、シールテープ27は、前述の実施形態に
おける図2の破断補助部271と同様に、シールテープ27の幅方向中央において、長手方向に沿って破断補助部272が設けられている。即ち、シールテープ27が、第一排出孔26A及び第二排出孔26Bを覆うように周壁部101の内壁面に設けられた場合に、第一排出孔と前記第二排出孔との境界となる部分に、破断補助部272が配置される。
【0046】
本実施形態の破断補助部272は、図4(B)に示すように、シール層721の粘着層722側(裏面側)から、粘着層722と反対側(表面側)にかけて、厚さ方向に切断された切断部72Aと、切断されていない非切断部72Bとが交互に形成された脆弱部である。破断補助部272は、所謂ミシン目であり、部分的に切断された切断部72Aを有しているため、他の部分よりも脆弱に形成された脆弱部である。このため、ハウジング3内の圧力が第二開裂圧を超えずに第一開裂圧を超えて、シールテープ27のうち、第一排出孔26Aを覆う部分に壁面から剥がされるような力が加わると、破断補助部271が破断して第一排出孔26Aを覆う部分が第二排出孔26Bを覆う部分から分離されるため、第二排出孔26Bを覆う部分が第二開裂圧以下で開裂してしまうことが抑制される。これにより、本変形例のガス発生器100は、適切な出力を得ることができる。
【0047】
<変形例2>
図5は、変形例2に係る第一排出孔26A及び第二排出孔26Bの構成を示す図、図6は、変形例2に係るシールテープ27の構成を示す図である。前述の第一実施形態では、第一排出孔26Aと第二排出孔26Bとが夫々上側容器1の周方向に列設されている。これに対し本変形例では、上側容器1の周方向に第一排出孔26Aと第二排出孔26Bとが混在して配列された構成である。なお、その他の構成は、前述の実施形態と同じであるので、同一の要素に同符号を付すなどして、再度の説明を省略する。
【0048】
本変形例では、図5に示すように、第一排出孔26Aと第二排出孔26Bとが、上側容器1の周方向に沿って交互に配置されて、一つの列を成している。シールテープ27は、図6に示すように、これら第一排出孔26A及び第二排出孔26Bの配列方向(上側容器1の周方向)に沿って、第一排出孔26A及び第二排出孔26Bを一緒に覆うように配置されている。本変形例のシールテープ27は、上側容器1の周方向に並ぶ第一排出孔26Aと第二排出孔26Bとの境界部分において、シールテープ27の上側の辺711から下側の辺712にかけて、シールテープ27を第一排出孔26A側と第二排出孔26B側とに分断する方向に破断補助部273が設けられている。
【0049】
本変形例の破断補助部273は、シールテープ27において、シール層の厚さが、少なくとも第一排出孔26Aや第二排出孔26B、およびその周囲を覆う部分よりも薄く、脆弱に形成された部位(脆弱部)であり、例えば、ハーフカットされたものである。なお、破断補助部273は、ハーフカットに限らず、変形例1のように、ミシン目状に形成された脆弱部であってもよい。
【0050】
なお、第一排出孔26A及び第二排出孔26Bは、交互に配列されるものでなくてもよく、例えば、第一排出孔26A及び第二排出孔26Bの少なくとも一方が配列方向(上側容器1の周方向)に複数連続して配置されてもよい。この場合、上側容器1の周方向に隣接する同じ大穴(第一排出孔)同士、小穴(第二排出孔)同士をまとめて一つのグループとし、このグループの境界、即ち第一排出孔26Aと第二排出孔26Bの境界部分を分断する位置に破断補助部273が設けられてもよい。この場合、同じグループの排出孔26A,26Bの間には、破断補助部273が設けられなくてもよい。
【0051】
本変形例によれば、ハウジング3内の圧力が第二開裂圧を超えずに第一開裂圧を超えた場合、シールテープ27のうち、第一排出孔26Aを覆う部分が壁面から剥がされるような力が加わると、破断補助部273が破断して第二排出孔26Bを覆う部分から分離され
るため、第二排出孔26Bを覆う部分が第二開裂圧以下で開裂してしまうことが抑制される。これにより、本変形例のガス発生器100は、適切な出力を得ることができる。
【0052】
<変形例3>
図7は、変形例3に係る第一排出孔26A及び第二排出孔26Bの配置を示す図、図8は、変形例3に係るシールテープ27の構成を示す図である。本変形例は、前述の変形例2と比べて、シールテープ27の構成が異なっている。なお、その他の構成は、前述の変形例2と同じであるので、同一の要素に同符号を付すなどして、再度の説明を省略する。
【0053】
本変形例では、図7に示すように、第一排出孔26Aと第二排出孔26Bとが、上側容器1の周方向に沿って混在して配置され、一つの列を成している。シールテープ27は、第一排出孔26A又は第二排出孔26Bを覆うように、上側容器1の周方向に沿って、周壁部101の内壁面に貼設される。
【0054】
本変形例の破断補助部274は、シールテープ27に設けられた脆弱部であり、シールテープ27が上側容器1に貼り付けられた場合に、第二排出孔26Bを囲む位置に線状に設けられている。破断補助部274は、前述の第一実施形態と同様に、シール層の厚さ寸法が第一排出孔26Aや第二排出孔26Bを覆う部分と比べて小さく(薄く)なるように切込みを有した形状や、変形例1のように、切断部と非切断部とを交互に有したミシン目状であってもよい。
【0055】
図8(A)に示すように、破断補助部274は、上側容器1の周方向において、複数の第二排出孔26Bが、連続して配置され、群(第二排出孔群)26BGを形成している場合には、これら複数の第二排出孔26Bを第二排出孔群26BGとして囲んでもよい。また、破断補助部274は、第二排出孔26Bが連続せず、二つの第一排出孔26Aの間に第二排出孔26B-1が一つのみ存在している場合には、第二排出孔26B-1を単体で囲んでもよい。なお、破断補助部274は、図8(A)のように第二排出孔26Bを囲む構成に限定されるものではなく、図8(B)に示すように、第一排出孔26Aを囲む構成であってもよい。ここで、上側容器1の周方向において、複数の第一排出孔26Aが、連続して配置され第一排出孔群26AGを形成している場合、破断補助部274は、連続した複数の第一排出孔26Aを第一排出孔群26AGとして囲む構成でもよい。また、第一排出孔26Aが連続せず、二つの第二排出孔26Bの間に第一排出孔26A-1が一つのみ存在している場合、破断補助部274は、第一排出孔26A-1を単体で囲む構成であってもよい。
【0056】
本変形例によれば、ハウジング3内の圧力が第二開裂圧を超えずに第一開裂圧を超えた場合、シールテープ27のうち、第一排出孔26Aを覆う部分が壁面から剥がされるような力が加わると、破断補助部274が破断して第二排出孔26Bを覆う部分から分離されるため、第二排出孔26Bを覆う部分が第二開裂圧以下で開裂してしまうことが抑制される。これにより、本変形例のガス発生器100は、適切な出力を得ることができる。
【0057】
<変形例4>
図9は、変形例4に係る第一排出孔26A及び第二排出孔26Bの配置を示す図、図10は、図9の第一排出孔26A及び第二排出孔26Bを覆うシールテープ27の構成を示す図である。本変形例は、前述の実施形態と比べて、第一排出孔26A及び第二排出孔26Bの配置とシールテープ27の構成が異なっている。なお、その他の構成は、前述の実施形態と同じであるので、同一の要素に同符号を付すなどして、再度の説明を省略する。
【0058】
図9の例では、図5と同様に第一排出孔26Aと第二排出孔26Bとが混在した列261と、第二排出孔26Bのみが配置された列262とが設けられている。また、図9の例
では、シールテープ27が、第一排出孔26A及び第二排出孔26Bを覆うように配置され、幅方向の中央において、シールテープ27の長手方向に沿って、破断補助部271が設けられている。即ち、破断補助部271は、第一排出孔26Aを含む列261と、第二排出孔26Bが配置された列262との間に配置されている。
【0059】
また、シールテープ27において、上側容器1の周方向に並ぶ第一排出孔26Aと第二排出孔26Bとの境界部分に、シールテープ27を第一排出孔26A側と第二排出孔26B側とに分断する方向、即ちシールテープ27の幅方向に沿って破断補助部273が設けられている。
【0060】
本変形例によれば、ハウジング3内の圧力が第二開裂圧を超えずに第一開裂圧を超えた場合、シールテープ27のうち、第一排出孔26Aを覆う部分が壁面から剥がされるような力が加わると、破断補助部271,273が破断して第二排出孔26Bを覆う部分から分離されるため、第二排出孔26Bを覆う部分が第二開裂圧以下で開裂してしまうことが抑制される。これにより、本変形例のガス発生器100は、適切な出力を得ることができる。
【0061】
<変形例5>
図11は、変形例5に係るシールテープ27の構成を示す図である。前述の変形例2と比べて、シールテープ27の構成が異なっている。なお、その他の構成は、前述の変形例2と同じであるので、同一の要素に同符号を付すなどして、再度の説明を省略する。
【0062】
本変形例では、図5に示すように、第一排出孔26Aと第二排出孔26Bとが、上側容器1の周方向に沿って交互に配置されて、一つの列を成している。シールテープ27は、図11に示すように、第一排出孔26A及び第二排出孔26Bを覆い、第一排出孔26Aを覆う部分と第二排出孔26Bを覆う部分との境界部分に、シールテープ27の幅方向(中心軸Cに沿う方向)に沿って、シールテープ27の幅を狭めるように切除された切除部260を備え、この切除部260によって幅が狭められた部位を破断補助部275としている。即ち、破断補助部275は、少なくとも第二排出孔26Bを覆う部分よりも幅が狭く、脆弱に形成された脆弱部である。なお、破断補助部275は、幅が狭く形成されることに加え、第一実施形態と同様に厚さ方向に切込みを設けた脆弱部とされても、変形例1と同様にミシン目状の脆弱部とされてもよい。また切除部260はシールテープ27の長さ方向(図11における左右の方向)に幅を有さず、線状に切断されていてもよい。
【0063】
本変形例によれば、ハウジング3内の圧力が第二開裂圧を超えずに第一開裂圧を超えた場合、シールテープ27のうち、第一排出孔26Aを覆う部分が壁面から剥がされるような力が加わると、破断補助部275が破断して第二排出孔26Bを覆う部分から分離されるため、第二排出孔26Bを覆う部分が第二開裂圧以下で開裂してしまうことが抑制される。これにより、本変形例のガス発生器100は、適切な出力を得ることができる。
【0064】
<第二実施形態>
図12は、第二実施形態に係る第一排出孔26A及び第二排出孔26Bと破断補助部276の構成を示す図、図13は、第一排出孔26A及び第二排出孔26Bを覆うシールテープ27を示す図、図14は、図13のA-A断面図である。本実施形態は、前述の変形例2と比べ、破断補助部276が上側容器1に設けられた構成が異なっている。なお、その他の構成は、前述の変形例2と同じであるので、同一の要素に同符号を付すなどして、再度の説明を省略する。
【0065】
本実施形態の破断補助部276は、上側容器1における周壁部101の内壁面に、シールテープ27が貼設される側、即ちハウジング3の中心側に向けて突設された突起である
。また破断補助部276は、隣接する第一排出孔26Aと第2排出孔26Bの境界部に形成されている。破断補助部276は、シールテープ27を破断可能とするように、頂部が鋭角に形成されている。本実施形態の破断補助部276は、三角柱状であって、中心軸C方向に沿って長手に形成されている。なお、破断補助部276の形状は、これに限らず、シールテープ27を破断可能なものであればよい。破断補助部276は、上側容器1の内壁面に対して、溶接、ろう付け、接着などによって付加されてもよく、上側容器1の内壁面のうち、破断補助部276以外の部分を切削することで形成されてもよい。
【0066】
本実施形態において、シールテープ27は、図13図14に示すように、第一排出孔26A及び第二排出孔26Bと破断補助部276とを覆うように貼設される。このとき破断補助部276は、中心軸C方向において、シールテープ27の幅よりも長くなるように形成され、ハウジング3内の圧力が高まりシールテープ27が破断補助部276に押し当てられた場合に、シールテープ27が上側の辺711から下側の辺712にかけて分断される。
【0067】
本実施形態によれば、ガス発生器100が作動し、ハウジング3内の圧力が第二開裂圧を超えずに第一開裂圧を超え、シールテープ27のうち、第一排出孔26Aを覆う部分が開裂して壁面から剥がされるような力が加わると、破断補助部276によって第一排出孔26Aを覆う部分と第二排出孔26Bを覆う部分とが分離されるので、第二排出孔26Bを覆う部分が第二開裂圧以下で開裂してしまうことが抑制される。これにより、本実施形態のガス発生器100は、適切な出力を得ることができる。
【0068】
なお、本実施形態では、破断補助部276の配置を変形例2と同様にしたが、第一実施形態と同様に上下方向に並んだ第一排出孔26Aと第二排出孔26Bの間に破断補助部276が設けられても、変形例3のように第一排出孔26A又は第二排出孔26Bを囲むように破断補助部276が配置されてもよい。
【0069】
以上、本明細書に開示された各々の態様は、本明細書に開示された他のいかなる特徴とも組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0070】
1: 上側容器
10: 貫通孔
100: ガス発生器
101: 周壁部
11: シールテープ
12: 点火器
12A: 第一点火器
12B: 第二点火器
13: カラー
131: 穴部
14: 分離筒
15A: 第一の伝火薬収容室
15B: 第二の伝火薬収容室
16A,16B: 伝火薬
17: 伝火孔
18: シールテープ
19: 伝火孔
2: 下側容器
20: シールテープ
21: 穴部
22: クーラント・フィルタ
26: ガス排出孔
260: 切除部
26A: 第一排出孔
26B: 第二排出孔
27: シールテープ
271~276: 破断補助部
3: ハウジング
4: 内筒部材
5A: 燃焼室
5B: 燃焼室
7: 隔壁
721: シール層
722: 粘着層
72A: 切断部
72B: 非切断部
8: 点火器収容室
9: ガス発生剤
9A: ガス発生剤
9B: ガス発生剤
9B: 燃焼室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14