(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168751
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】乳幼児用ひっかき防止クッション
(51)【国際特許分類】
A41D 13/00 20060101AFI20231121BHJP
A41D 13/05 20060101ALI20231121BHJP
A41D 13/08 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
A41D13/00 102
A41D13/05
A41D13/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080039
(22)【出願日】2022-05-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年7月31日 販売サイトCreemaのウェブサイト https://www.creema.jp/item/12310471/detail?msclkid=c41b360bcf9911ec9c528d2c24d5daeb 1 令和3年8月から令和4年5月 上記販売サイトCreemaでの取引履歴 1 令和3年8月14日 販売サイトminneのウェブサイト https://minne.com/items/28948072?msclkid=03f302a0cf9a11ec9d9aba947b5efdfb 1 令和4年1月から令和4年5月 上記販売サイトminneでの入金明細 1 令和3年8月16日 現在販売を停止している販売サイトメルカリshopsの販売当時ウェブサイトのスクリーンショット 1 令和4年2月4日 インスタグラムウェブサイト https://www.instagram.com/p/CZjhHgavf_J/ 1
(71)【出願人】
【識別番号】522192540
【氏名又は名称】龍野 和子
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】龍野 和子
【テーマコード(参考)】
3B011
3B211
【Fターム(参考)】
3B011AA09
3B011AB00
3B011AC18
3B211AA09
3B211AB00
3B211AC18
(57)【要約】
【課題】本発明は、より乳幼児にストレスをかけず、また肘を曲げたり手指を自由に動かせることにより成長を妨げることなく引っ掻き防止を達成できる乳幼児用ひっかき防止クッションを提供する。
【解決手段】本発明の一観点に係る乳幼児用ひっかき防止クッションは、外皮部材2と外皮部材2内に収容される充填部材3と、を有し、乳幼児が腕を通す貫通孔Hが形成された環状であり、貫通孔から径方向に3cm以上の太さを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外皮部材と、前記外皮部材内に収容される充填部材と、を有し、
乳幼児が腕を通す貫通孔が形成された環状であり、前記貫通孔から径方向に3cm以上の太さを備えた乳幼児用ひっかき防止クッション。
【請求項2】
厚みが3cm以上10cm以下の範囲にある請求項1記載の乳幼児用ひっかき防止クッション。
【請求項3】
前記外皮部材は通気性のある布であり、前記充填部材は綿及びウレタンスポンジ、またはビーズの少なくともいずれかである請求項1記載の乳幼児用ひっかき防止クッション。
【請求項4】
前記外皮部材は、樹脂であり、前記充填部材は空気である請求項1記載の乳幼児用ひっかき防止クッション。
【請求項5】
前記外皮部材の内部において、前記貫通孔を取り囲むように配置され、前記貫通孔が収縮する方向に力を加える環状の弾性部材を有する請求項1記載の乳幼児用ひっかき防止クッション。
【請求項6】
前記貫通孔及び前記環状は、棒形状を形成する前記外皮部材及び前記充填部材を、一方の端と他方の端を接合部材によって接合することにより貫通孔を有する環状とされたものである請求項1記載の乳幼児用ひっかき防止クッション。
【請求項7】
前記外皮部材は、外周が円形状である請求項1記載の乳幼児用ひっかき防止クッション。
【請求項8】
前記外皮部材は、外周が多角形状である請求項1記載の乳幼児用ひっかき防止クッション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳幼児用ひっかき防止クッションに関する。
【背景技術】
【0002】
乳幼児は、かゆみ等によって無意識に顔を掻いてしまうことがある。特に、このような場合、いわゆる「ひっかき傷」ができてしまい、これを更に掻いてしまうことでひっかき傷が悪化することになる。
【0003】
このようなひっかき傷が生じないようにするために様々な工夫が提案されているが、具体的な道具としては、例えば、下記非特許文献1には、乳幼児の手に嵌める引っ掻き防止用のミトンが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】https://store.ponparemall.com/bst-shop/goods/sjx692/?vos=afppmpvczzzzx00000005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記ミトンをしていても、ミトンをした状態で顔等をひっかいてしまうことを防止することは困難である。また、上記のようなミトンは指を自由に動かすことができないため、乳幼児にとってストレスが大きく手指の成長に良くない影響があるといった課題もある。更に、乳幼児がミトンを自ら外してしまうことができるため効果が無くなるといったこともある。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、より乳幼児にストレスをかけず、また肘を曲げたり手指を自由に動かせることにより成長を妨げることなく引っ掻き防止を達成できる乳幼児用ひっかき防止クッションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の一観点に係る乳幼児用ひっかき防止クッションは、外皮部材と、外皮部材内に収容される充填部材と、を有し、乳幼児が腕を通す貫通孔が形成された環状であり、貫通孔から径方向に3cm以上の太さを備えたものである。
【0008】
また、本観点において、限定されるわけでは無いが、厚みが3cm以上10cm以下の範囲にあることが好ましい。
【0009】
また、本観点において、限定されるわけでは無いが、外皮部材は通気性のある布であり、充填部材は綿及びウレタンスポンジ、またはビーズの少なくともいずれかであることが好ましい。
【0010】
また、本観点において、限定されるわけでは無いが、外皮部材は、樹脂であり、充填部材は空気であることが好ましい。
【0011】
また、本観点において、限定されるわけでは無いが、外皮部材の内部において、貫通孔を取り囲むように配置され、貫通孔が収縮する方向に力を加える環状の弾性部材を有することが好ましい。
【0012】
また、本観点において、限定されるわけでは無いが、貫通孔及び環状は、棒形状を形成する外皮部材及び充填部材を、一方の端と他方の端を接合部材によって接合することにより貫通孔を有する環状とされたものであることが好ましい。
【0013】
また、本観点において、限定されるわけでは無いが、外皮部材は、外周が円形状であることが好ましい。
【0014】
また、本観点において、限定されるわけでは無いが、外皮部材は、外周が多角形状であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
以上、本発明によって、より乳幼児にストレスをかけることなく引っ掻き防止を達成できる乳幼児用ひっかき防止クッションを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る乳幼児用ひっかき防止クッションの外観の斜視概略を示す図である。
【
図2】実施形態に係る乳幼児用ひっかき防止クッションの外観の正面図である。
【
図3】実施形態に係る乳幼児用ひっかき防止クッションの外観の背面図である。
【
図4】実施形態に係る乳幼児用ひっかき防止クッションの外観の右側面図である。
【
図5】実施形態に係る乳幼児用ひっかき防止クッションの外観の左側面図である。
【
図6】実施形態に係る乳幼児用ひっかき防止クッションの外観の平面図である。
【
図7】実施形態に係る乳幼児用ひっかき防止クッションの外観の底面図である。
【
図8】実施形態に係る乳幼児用ひっかき防止クッションの断面の概略を示す図である。
【
図9】実施形態に係る乳幼児用ひっかき防止クッションの外観の他の例の概略を示す図である。
【
図10】実施形態に係る乳幼児用ひっかき防止クッションの外観の他の例の概略を示す図である。
【
図11】実施形態に係る乳幼児用ひっかき防止クッションの外観の他の例の概略を示す図である。
【
図12】実施形態に係る乳幼児用ひっかき防止クッションの外観の他の例の概略を示す図である。
【
図13】実施形態に係る乳幼児用ひっかき防止クッションの外観の他の例の概略を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例に記載される具体的な例示にのみ限定されるわけでは無い。
【0018】
図1は、本実施形態に係る乳幼児用ひっかき防止クッション(以下「本クッション」という。)1の外観の斜視概略を示す図であり、
図2は正面、
図3は背面図、
図4は右側面、
図5は左側面、
図6は平面、
図7は底面をそれぞれ示す写真図である。なお、正面と背面、右側面と左側面、平面と底面はそれぞれ対象に表れている。また、
図8は、本クッション1を正面に対し平行な面で切断した場合の断面の概略を示す図である。これらの図で示すように、本クッション1は、外皮部材2と、外皮部材2内に収容される充填部材3と、を有し、乳幼児が腕を通す貫通孔Hが形成された環状であり、貫通孔Hから径方向に3cm以上の太さを備えたものである。
【0019】
本クッション1では、中心部分に設けられた貫通孔Hに乳幼児の腕を通すこと、より具体的には上腕や肘に装着させることで、乳幼児が顔等を引っ掻こうとしても本クッション1の太さにより前腕を顔に近づけることができず、結果指先が顔に届かず、引っ掻くことを防止することができるといった効果がある。また本クッション1では弾性のある充填部材、柔らかい充填部材を充填させるため、乳幼児の上腕に取り付けたとしても柔らかくストレスになりにくいといった効果もある。
【0020】
本クッション1において、外皮部材1は、本クッション全体の形状を定めるとともに内部に充填部材3を収容するために用いられるものである。本クッション1は、貫通孔Hが形成されており環状を形成する。
【0021】
また、本クッション1において、限定されるわけでは無いが外皮部材2は通気性のある布であることが好ましい。通気性をもたせることで、熱がこもってしまうことを防止するとともに、汚れた場合に充填部材3を含め洗濯及び乾燥が容易にできるといった利点がある。
【0022】
また、本クッション1において、限定されるわけでは無いが、外皮部材2は、上記図が示すように外周が円形状であることが好ましい。円形状とすることで本クッション1を装着した場合に乳幼児の腕周辺から外皮部材の縁まで概ね等距離とすることが可能となり使用感が安定するといった効果がある。なお、外周が円形状以外の例も採用することができるがこれについては改めて後述する。
【0023】
また、本クッション1において、限定されるわけでは無いが、外皮部材2は、樹脂であることも可能ではある。樹脂とする場合、布と異なり通気性が阻害されてしまうといった課題があるが、空気を充填させることが可能となり、充填部材にもよるが空気による弾性を確保することが可能となり、使用しない場合は空気を抜けば小さく収納させることが可能となるといった利点がある。
【0024】
また、本クッション1において、限定されるわけでは無いが、外皮部材2の内部において、貫通孔Hを取り囲むように配置され、貫通孔Hが収縮する方向に力を加える環状の弾性部材Eを有することが好ましい。ここで弾性部材としては、例えば輪ゴムであることが好ましい。輪ゴムとすることで適度な収縮・反発力を維持することができる。この場合の例が上記
図8のとおりである。
【0025】
なお、本クッションにおいて、外皮部材2の内部において、弾性部材を設ける代わりに、締め紐部材Sを貫通孔Hに沿って配置し、この締め紐部材Sを締めることで貫通孔Hの大きさを調節しつつ乳幼児の腕のサイズに合わせることが可能となる。この場合のイメージを
図9に示しておく。なおこの場合、限定されるわけでは無いが、例えば、外皮部材2の内側にはひもを通すための襞Fを設け、この襞に襞孔を設けてこの締め紐部材Sを通しておくことで安定的に保持させることが可能となる。この場合、上記の弾性部材とは異なり、乳幼児の腕の太さに対してその締め付け強さを調節することができるといった利点がある。
【0026】
また、本クッション1において、充填部材3は、上記の通り、外皮部材2内に収容されるものであって、外皮部材2の太さ及び厚さを調整するために用いるものである。充填部材3を充填させることで、本クッション1は形状を維持することができる。
【0027】
充填部材3は綿及びウレタンスポンジ、またはビーズの少なくともいずれかであることが好ましい。綿である場合は、適度な弾力と柔らかさを維持することが可能であり、しかもその充填させる綿の量によってその弾力及び柔らかさを調整することが可能である。さらに、外皮部材2が通気性を備えている場合、綿もその通気性を阻害することがない。また、ビーズの場合は、弾力性を備えにくくはなっているが、外皮部材2の許す範囲で柔軟な形状変化が可能となる。柔軟な形状変化によって、乳幼児の腕の動きに合わせてストレスなく形状変化させることができるようになる。
【0028】
充填部材3は、外皮部材2が樹脂である場合において、上記の通り空気であることとしてもよい。空気とすることで、内部の充填部材3が汚れることがなく、本クッション1の不使用時には空気を抜くことで小型化でき嵩張ることなく収容可能となる。
【0029】
また、本クッション1は、乳幼児が腕を通す貫通孔Hが形成された環状であり、貫通孔Hから径方向に3cm以上の太さを備えたものとなっている。ここで「径方向」とは、本クッションを正面から見た場合に、その貫通孔Hの中心をとおる直線を設定した場合にその中心から離れる方向に沿った向きをいい、「太さ」とは、径方向において、本クッション1の貫通孔Hの縁から外皮部材1の縁の間の距離をいう。この太さを3cm以上とすることで乳幼児の腕を上腕に設置した場合、乳幼児が肘で前腕を折り曲げて顔を引っ掻こうとしても指先が顔に届かないといった効果を発揮することができる。ただし、あまりに太すぎる場合は乳幼児の腕が寝床面から浮きすぎてしまい腕が上がった状態になりすぎてしまうため、10cm以下であることが好ましい。この太さは、外皮部材2の寸法及び充填部材3の充填量などによって調節可能である。
【0030】
また、本クッション1において、厚みが3cm以上10cm以下の範囲にあることが好ましい。ここで「厚み」とは、本クッションを正面に見た場合に、その垂直な方向に対する長さをいい、具体的には
図4で示されるように、外皮部材2の上端及び下端の間の長さをいう。この厚みを3cm以上とすることで、上記太さと同様、乳幼児が肘で前腕を折り曲げて顔を引っ掻こうとしても指先が顔に届かないといった効果を発揮することができる。ただし、あまりに厚すぎる場合は乳幼児の腕が寝床面から浮きすぎてしまい腕が上がった状態になりすぎてしまうため、10cm以下であることが好ましい。この厚みは、外皮部材2の寸法及び充填部材3の充填量などによって調節可能である。
【0031】
ただし、上記のような円形状だけでなく、本クッション1の外皮部材2は、外周が多角形状であることが好ましい。この場合のイメージ図を
図10、11に示しておく。
図10は三角形状の場合を、
図11は四角形状の場合を示しておく。多角形状とすることで、その辺において設置が安定するといった利点がある。また、多角形状である限りにおいて限定されず、上記の図では三角形、四角形の例を示しているがこれ以外の多角形状については当然に適用可能であることは言うまでもない。
【0032】
ところで、本クッション1において、限定されるわけでは無いが、貫通孔H及び環状は、棒形状を形成する外皮部材及び充填部材を、一方の端と他方の端を接合部材によって接合することにより貫通孔を有する環状とされたものであることが好ましい。この場合の概略を
図12に示しておく。
【0033】
ここで「接合部材」は、いわゆるボタンとボタン孔等の組合せを採用することができる。これにより、不使用時は外しておくことで丸めて小さく収容することができる一方、使用する際にこれらを嵌め合わせることで環状とすることができる。
【0034】
さらに、接合部材は、一方の端と他方の端を接合する接合部材としているが、面ファスナーを採用し、一方の端にフック又はループを形成し、他方の端又は外皮部材周囲をループ又はフックとすることで、好みの貫通孔Hの大きさとして環状とすることができるようになるといった利点がある。この場合のイメージを
図13に示しておく。
【0035】
以上、本クッションは、より乳幼児にストレスをかけることなく引っ掻き防止を達成できる乳幼児用ひっかき防止クッションとなる。より具体的に説明すると、中心部分に設けられた貫通孔Hに乳幼児の腕を通すこと、より具体的には上腕に装着させることで、乳幼児が顔等を引っ掻こうとしても本クッション1の太さにより前腕を顔に近づけることができず、結果指先が顔に届かず、引っ掻くことを防止することができるといった効果がある。また本クッション1では弾性のある充填部材、柔らかい充填部材を充填させるため、乳幼児の上腕に取り付けたとしても柔らかくストレスになりにくいといった効果もある。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、乳幼児用ひっかき防止クッションとして産業上の利用可能性がある。