(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168752
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】到達支援システム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20231121BHJP
G08G 1/0962 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0962
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080040
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】榊原 聖治
(72)【発明者】
【氏名】坂井 孝光
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA06
2F129BB03
2F129CC16
2F129CC17
2F129DD14
2F129DD15
2F129DD20
2F129DD57
2F129EE52
2F129EE54
2F129EE78
2F129FF11
2F129FF17
2F129FF18
2F129FF20
2F129FF32
2F129FF57
2F129FF64
2F129HH02
5H181AA07
5H181AA15
5H181FF05
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF17
5H181FF22
5H181FF32
(57)【要約】
【課題】利用者が迷った後に、目的地までの移動を支援することができるシステムの提供。
【解決手段】目的地の位置を取得する目的地情報取得部と、前記目的地に向かっている利用者の位置を取得する利用者情報取得部と、前記目的地の位置と、前記利用者の位置と、に基づいて、前記利用者が迷っていることを特定する迷走特定部と、前記利用者が迷っている場合、前記利用者が前記目的地に到達するための支援を行う支援情報を、前記目的地の周囲の道路に関する情報の提供者から取得する支援情報取得部と、前記支援情報を前記利用者に提供する支援情報提供部と、を備える到達支援システムが構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地の位置を取得する目的地情報取得部と、
前記目的地に向かっている利用者の位置を取得する利用者情報取得部と、
前記目的地の位置と、前記利用者の位置と、に基づいて、前記利用者が迷っていることを特定する迷走特定部と、
前記利用者が迷っている場合、前記利用者が前記目的地に到達するための支援を行う支援情報を、前記目的地の周囲の道路に関する情報の提供者から取得する支援情報取得部と、
前記支援情報を前記利用者に提供する支援情報提供部と、
を備える到達支援システム。
【請求項2】
前記支援情報取得部は、
前記利用者が迷っている状態で前記利用者が使用する端末において表示された経路案内情報を取得し、
前記提供者に対して前記経路案内情報を送信し、
前記提供者が前記経路案内情報に基づいて前記経路案内情報に追加した情報を含む前記支援情報を取得する、
請求項1に記載の到達支援システム。
【請求項3】
前記経路案内情報には、迷っている前記利用者の位置が含まれる、
請求項2に記載の到達支援システム。
【請求項4】
取得された前記支援情報は、前記目的地に対応付けて記憶媒体に格納され、
前記支援情報提供部は、
前記利用者が向かっている前記目的地に対応付けられた前記支援情報が既に存在する場合に、既に存在する前記支援情報を前記利用者に提供する、
請求項2または請求項3に記載の到達支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、到達支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目的地の付近から目的地まで迷わずに移動するさせるための支援を行う技術が知られている。例えば、特許文献1においては、荷物の配送先の付近まで経路を車載端末によって案内し、荷物の配送先の付近から配送先までの経路をウェアラブル端末で案内する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、迷う前に目的地までの経路を案内する技術である。しかし、当該案内が行われていたとしても利用者が迷ってしまうことはある。そして、従来の技術は、利用者が迷った後に、目的地までの移動を支援するものではなかった。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、利用者が迷った後に、目的地までの移動を支援することができるシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、到達支援システムは、目的地の位置を取得する目的地情報取得部と、前記目的地に向かっている利用者の位置を取得する利用者情報取得部と、前記目的地の位置と、前記利用者の位置と、に基づいて、前記利用者が迷っていることを特定する迷走特定部と、前記利用者が迷っている場合、前記利用者が前記目的地に到達するための支援を行う支援情報を、前記目的地の周囲の道路に関する情報の提供者から取得する支援情報取得部と、前記支援情報を前記利用者に提供する支援情報提供部と、を備える。
【0006】
すなわち、到達支援システムにおいては、利用者が迷っている場合に、利用者が目的地に到達するための支援を行う支援情報を、目的地の周囲の道路に関する情報の提供者から取得する。そして、当該支援情報を前記利用者に提供する。この構成によれば、目的地の周囲の道路に関する情報を知っている提供者が、迷っている利用者を支援することができる。提供者は、目的地の周囲の道路に関する情報を知っている者であるため、迷っている利用者が必要とする情報を提供することができる。このため、利用者が迷った後であっても、目的地までの移動を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】
図4Aは利用者が迷っている状態での経路案内の例を示す図であり、
図4Bは追加された支援情報の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)到達支援システムの構成:
(1-1)配送先端末の構成:
(1-2)サーバの構成:
(1-3)到達支援システムの構成:
(2)到達支援処理:
(3)他の実施形態:
【0009】
(1)到達支援システムの構成:
図1は、本発明にかかる到達支援システム10の構成を示すブロック図である。本実施形態にかかる到達支援システム10は、配送先に荷物を配送する配送車両で使用される。配送車両は、1台以上存在し、各配送車両における配送計画は、サーバ300で作成される。配送車両の運転者である利用者は、配送計画を示す配送計画情報に含まれる走行予定経路に従って配送車両を走行させる。利用者は、出発地において複数の荷物を配送車両に荷積みする。また、利用者は配送車両を運転し、配送計画情報において決められた到達順序で各配送先に行き、配送先において荷主(着荷主)に荷物を配達する。本実施形態において、配送車両の運転者である利用者は複数人存在し、配送車両も複数台存在し得るが、以下においては、主に、一人の利用者および一台の配送車両に着目して説明を行う。
【0010】
配送先には、配送される荷物を受け取る着荷主が存在する。本実施形態において、当該着荷主は、配送車両の利用者が道に迷った場合に支援情報を提供する提供者となる。このような支援情報の提供を行うために、本実施形態においては、到達支援システム10と配送先端末200とサーバ300とが協働する。
【0011】
(1-1)配送先端末の構成:
配送先端末200は、少なくとも一つの配送先に存在し、支援情報の提供者が使用する端末である。配送先端末200は、制御部201,通信部202,ユーザI/F部203を備えている。制御部201は、CPU,RAM,ROM等を備えており、図示しない記憶媒体に記録されたプログラムを実行することができる。通信部202は、他の装置と通信を行うための装置である。本実施形態において、配送先端末200は、サーバ300と通信可能である。ユーザI/F部203は、提供者に対して各種の情報を出力するディスプレイ等の出力部と、提供者による操作入力を受け付けるキーボード等の入力部と、を備えている。
【0012】
本実施形態において、制御部201は、ブラウザプログラムを実行することが可能である。制御部201は、当該ブラウザプログラムの実行下において、通信部202を介して、配送車両の利用者から支援情報の提供要求を受け付ける。また、制御部201は、当該ブラウザプログラムの機能により、ユーザI/F部203によって提供者が入力した支援情報を受け付ける。そして、制御部201は、通信部202を介して、配送車両の利用者に当該支援情報を送信する。
【0013】
(1-2)サーバの構成:
サーバ300は、複数の配送車両の運行管理を行うためのサーバである。当該サーバ300には、運行管理を行う管理者等が使用する端末によってアクセス可能であっても良い。サーバ300は、制御部301,通信部302,記憶媒体310を備える。制御部301は、CPU,RAM,ROM等を備えており、記憶媒体310やROM等に記録されたプログラムを実行することができる。通信部302は、他の装置と通信を行うための装置である。本実施形態において、サーバ300は、配送先端末200および到達支援システム10と通信可能である。
【0014】
本実施形態において、制御部301は、配送計画を作成するプログラムと、配送車両の利用者の支援を行うためのプログラムと、を実行可能である。サーバ300は、管理者から提供された情報、例えば、配送先の位置、各配送先に配送すべき荷物等の情報に基づいて、配送計画情報を作成する。
【0015】
図2Aは、本実施形態における配送計画情報の例を示す図である。本実施形態においては出発地点Sと最終目的地Gが同一であり、これらの地点は配送車両に荷物を積み込む拠点である。
図2Aに示す例において、配送車両で配達を行う利用者は、出発地点Sから配送先G1,G2,G3,G4、さらに最終目的地Gという順で配送車両を移動させる。すなわち、配送先の到達順序は、早い順にG1,G2,G3,G4である。
【0016】
配送先のそれぞれには、配送先の識別情報(本実施形態においては、地点名)が対応づけられている。また、配送先のそれぞれには、荷卸すべき荷物の識別情報(D1等)が対応づけられている。さらに、配送先のそれぞれには、各配送先に到着する予定の時刻である到着時刻と、各配送先から出発する予定の時刻である出発時刻が対応づけられている。なお、
図2Aに示す例においては、到着時刻および出発時刻が日時によって示されているが、定期的に一定の走行予定経路を走行することで配達が行われる場合、日付は省略されてもよい。
【0017】
さらに、配送計画情報には、走行予定経路が含まれている。走行予定経路は、各地点を出発地とし、次に到達すべき地点を目的地とする経路が、サーバ300等によって探索されることによって特定される。例えば、店舗aへの経路は、拠点Aを出発地、店舗aを目的地として探索された経路であり、店舗bへの経路は、店舗aを出発地、店舗bを目的地として探索された経路である。
図2Aにおいては、走行予定経路がノードの順列である例が示されている(ノードはNx(xはノードを示す数値)と表記。各配送先に対応した走行予定経路の最終地点(目的地)は、配送先の位置P
m1である)。むろん、走行予定経路の定義は種々の定義であってよく、リンクの順列等であってもよい。なお、到着時刻は、走行予定経路に基づいて決定されてよい。
【0018】
本実施形態においては、管理者が、図示しない管理者端末等を介して、配送先と、各配送先の到達順序と、各配送先における荷役対象の荷物とを指定する。指定が行われると、制御部301は図示しない地図情報に基づいて、走行予定経路を探索し、到達時刻を取得することで配送計画情報310aを作成する。作成された配送計画情報310aは、記憶媒体310に記録される。
【0019】
なお、
図2Aにおいては、一台の配送車両の配送計画情報を示しているが、複数台の配送車両によって配送が行われる場合には、各配送車両の配送計画情報が作成される。作成された各配送車両の配送計画情報310aは、各配送車両の利用者が利用する到達支援システム10に対して送信される。配送計画情報310aの作成方法は一例であり、例えば、各種のアルゴリズムによって配送計画問題を解くことによって配送順序が特定され、当該配送順序に従って配送先に行く際の走行予定経路が特定されて配送計画情報310aが作成されても良い。
【0020】
各配送車両の利用者は、到達支援システム10のナビゲーション機能を利用しながら配達を行う。しかし、当該ナビゲーション機能を利用した場合であっても、利用者が配送先に到達できず迷ってしまうこともある。一方、配送先に居る提供者は、配送先およびその周辺の道路を、配送車両の利用者よりもよく知っている可能性が高い。従って、配送車両が特定の配送先を目的地として移動している際に利用者が迷った場合に、当該特定の配送先に居る提供者にガイドを求めれば、利用者にとって有用な情報が得られる可能性が高い。
【0021】
そこで、本実施形態においては、配送車両の利用者が迷っている場合、迷っている利用者が使用している到達支援システム10から、支援情報の提供要求が送信される。制御部301は、通信部302を介して当該提供要求を受け付けると、通信部302を制御し、当該利用者が向かっている配送先の配送先端末200に対して支援情報の提供要求を送信する。
【0022】
配送先端末200の制御部201は、通信部202を介して当該提供要求を受け付ける。配送先端末200を使用する提供者は、支援情報の提供要求に含まれる情報(詳細は後述)を参照し、迷っている利用者が配送先に到達するように支援するための支援情報を作成する。支援情報が作成されると、制御部201は、通信部202を介して支援情報を送信する。
【0023】
サーバ300の制御部301は、通信部302を介して当該支援情報を受信し、さらに、迷っている利用者が使用する到達支援システム10に転送する。この結果、到達支援システム10を利用する利用者は、支援情報を参照することが可能になる。以上の構成によれば、利用者が迷った後であっても、目的地までの移動を支援することができ、利用者が目的地である配送先に到達できる可能性を高めることができる。
【0024】
(1-3)到達支援システムの構成:
到達支援システム10は、配送車両を運転し、配送を行う利用者のそれぞれが使用する端末である。本実施形態において、到達支援システム10は、可搬型の端末である。到達支援システム10は、例えば、スマートフォン、タブレット端末等によって構成可能である。なお、到達支援システム10の態様は限定されず、配送車両に搭載された車載端末であってもよい。到達支援システム10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20を備えている。また、到達支援システム10は、記憶媒体30と、通信部40と、GNSS受信部41と、ユーザI/F部42と、を備えている。
【0025】
通信部40は、到達支援システム10と情報の授受を行う回路を備えている。制御部20は、通信部40を介して到達支援システム10と通信を行うことができる。ユーザI/F部42は、配送車両の利用者に対して各種の情報を提供する表示部としてのディスプレイ、スピーカ等の出力部と、利用者による入力を受け付けるタッチパネル、ボタン等の入力部とを備えている。
【0026】
GNSS受信部41は、Global Navigation Satellite Systemの信号を受信する装置であり、航法衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して利用者の現在位置を算出するための信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して配送車両の現在の位置を取得する。配送車両の現在の位置を取得するための構成は、GNSS受信部41に限定されず、他にも種々の構成を採用可能である。
【0027】
記憶媒体30には、地図情報30aが記録されている。また、記憶媒体30には、サーバ300から送信された配送計画情報310aおよび支援情報310bが記録される。地図情報30aは、配送車両の位置の特定等に利用される情報であり、配送車両が走行する道路上に設定されたノードの位置を示すノードデータ,ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置を示す形状補間点データ,ノード同士の連結を示すリンクデータ,道路やその周辺に存在する地物の位置や属性等を示す地物データ等を含んでいる。これらの地物には目的地となり得る施設が含まれる。本実施形態において、地図情報30aには、各施設データが示す施設やリンクデータが示す道路区間、ノードデータが示す道路を描画するための情報も含まれている。本実施形態において、制御部20は、地図情報30aに含まれる当該情報に基づいて、地図を描画し、ユーザI/F部42の表示部に表示させることができる。但し、地図を示す画像の取得態様は、種々の態様であって良く、例えば、サーバ300から画像が送信され、ユーザI/F部42の表示部に表示されても良い。
【0028】
制御部20は、記憶媒体30やROMに記憶されたプログラムを実行することができる。本実施形態においては、このプログラムとして、図示しないナビゲーションプログラムと、到達支援プログラム21と、を実行可能である。ナビゲーションプログラムは、配送車両の利用者に対して配送先への走行予定経路を案内する機能を有している。すなわち、制御部20は、ナビゲーションプログラムが実行されると、GNSS受信部41の出力に基づいて利用者の現在位置を定期的に取得する。また、制御部20は、地図情報30aに基づいて、利用者の現在位置を含む地図を描画し、ユーザI/F部42の表示部に表示させる。さらに、制御部20は、配送計画情報310aおよび地図情報30aに基づいて、利用者の現在位置の次の目的地である配送先までの走行予定経路を特定し、表示部に表示された地図に重畳表示させる。
【0029】
図2Bは、ナビゲーションプログラムの機能によって制御部20がユーザI/F部42の表示部に表示させる地図の例を示している。
図2BにおけるG1は、
図2Aに示す店舗aを示しており、符号Cは配送車両の利用者の現在位置を示している。道路は細い直線で示されており、道路に重畳された太い直線は走行予定経路である。このように、配送車両の利用者は、次の目的地である配送先に行くための走行予定経路と利用者の現在の位置とを把握することができる。
【0030】
しかし、このようなナビゲーション機能が実現されている状態であっても、利用者が道に迷うことがある。また、ナビゲーション機能で実現された
図2Bに示すような表示がわかりづらい場合や、利用者の現在位置に誤差があって地図上に正しく表示されていない場合など、間違いを誘発しやすい状況が発生することもある。いずれにしても、ナビゲーション機能を利用しているにもかかわらず、利用者が道に迷ってしまう場合がある。このような場合、ナビゲーション機能を利用しても利用者が目的地である配送先に到達できない場合や、到達することがとても困難である場合がある。
【0031】
そこで、本実施形態においては、配送先に居る提供者が、迷っている利用者に支援情報を提供できるように構成されている。到達支援プログラム21は、当該支援情報を取得するためのプログラムである。到達支援プログラム21が実行されると、制御部20は、目的地情報取得部21a、利用者情報取得部21b、迷走特定部21c、支援情報取得部21d、支援情報提供部21eとして機能する。
【0032】
目的地情報取得部21aは、目的地の位置を取得する機能である。すなわち、制御部20は、目的地情報取得部21aの機能により、配送計画情報310aを参照し、利用者が現在向かっている目的地である配送先を取得する。利用者情報取得部21bは、目的地に向かっている利用者の位置を取得する機能である。すなわち、制御部20は、利用者情報取得部21bの機能により、GNSS受信部41の出力に基づいて、目的地に向かっている利用者の位置を取得する。
【0033】
迷走特定部21cは、目的地の位置と、利用者の位置と、に基づいて、利用者が迷っていることを特定する機能である。本実施形態において制御部20は、迷走特定部21cの機能により、目的地の位置と、利用者の位置との位置関係の推移を特定し、位置関係の推移が、予め決められた迷走判定条件に適合する場合に利用者が迷っていると特定する。迷走判定条件は、目的地の位置と、利用者の位置との位置関係の推移が、利用者が迷っている際に発生する典型的な推移であるか否か判定するための条件であり、詳細は後述する。
【0034】
支援情報取得部21dは、利用者が迷っている場合、利用者が目的地に到達するための支援を行う支援情報を、目的地の周囲の道路に関する情報の提供者から取得する機能である。利用者が迷っていると特定された場合、制御部20は、支援情報取得部21dの機能により、通信部40を介して、支援情報の提供要求をサーバ300に送信する。サーバ300は、利用者が向かっている配送先に対して、支援情報の提供要求を送信する。
【0035】
配送先端末200が当該支援情報の提供要求を受信すると、配送先端末200を使用する提供者は、支援情報を作成する。支援情報は、配送車両の利用者が目的地である配送先に到達するための支援を行うことができる情報であれば良く、種々の態様であって良い。本実施形態においては、支援情報の提供要求と共に、配送車両の利用者が目的地である配送先の周辺で迷っている状況を示す情報が送信される。配送先端末200において提供者は、当該情報に基づいて、利用者が迷っている状況を特定し、当該状況に合わせて目的地への到達を支援する支援情報を作成する。提供者に送信される情報および支援情報の具体的な態様についての詳細は後述する。
【0036】
支援情報が作成されると、配送先端末200からサーバ300に支援情報が送信される。サーバ300が当該支援情報を取得すると、制御部301は、記憶媒体310に支援情報を記憶する(支援情報310b)。さらに、サーバ300は、迷っている利用者が使用する到達支援システム10に対して、支援情報310bを送信する。到達支援システム10の制御部20は、通信部40を介して支援情報310bを取得し、記憶媒体30に記録する。
【0037】
支援情報提供部21eは、支援情報を利用者に提供する機能である。制御部20は、記憶媒体30に記録された支援情報310bを参照し、ユーザI/F部42の表示部を制御して当該支援情報310bを表示させる。迷っている利用者は、表示部を視認することで当該支援情報を認識することができる。この構成によれば、利用者が目的地である配送先に到達できる可能性を高めることができる。従って、本実施形態によれば、利用者が迷った後であっても、利用者が目的地である配送先に到達できる可能性を高めることができる。
【0038】
(2)到達支援処理:
次に、制御部20が実行する到達支援処理を説明する。配送が行われる際、制御部20は、
図3に示す到達支援処理を実行する。到達支援処理が開始されると、制御部20は、ナビゲーションプログラムの機能により、配送計画情報を取得し、案内を開始する(ステップS100)。具体的には、制御部20は、通信部40を介して、利用者の識別情報と配送計画情報の送信要求と、をサーバ300に対して送信する。サーバ300は、利用者の識別情報に基づいて、当該利用者が行うべき配送計画を特定し、当該配送計画を示す配送計画情報310aを特定する。サーバ300は、通信部302を介して、当該配送計画情報310aを送信する。制御部20は、通信部40を介して当該配送計画情報310aを取得し、記憶媒体30に記録する。
【0039】
さらに、制御部20は、GNSS受信部41の出力に基づいて、利用者の現在の位置を特定する。さらに、制御部20は、配送計画情報310aを参照し、利用者の現在の位置から、次の目的地である配送先を特定する。さらに、制御部20は、地図情報30aおよび配送計画情報310aを参照し、利用者の現在の位置と走行予定経路を含む地図を描画する。そして、制御部20は、ユーザI/F部42の表示部を制御し、当該地図を表示させる。この結果、例えば、
図2Bのような画面が、ユーザI/F部42の表示部に表示される。制御部20は、以後、利用者の現在位置の変化に応じて、地図を更新し、更新後の地図をユーザI/F部42の表示部に表示させる。むろん、経路案内の機能、例えば、直進方向以外の方向に進行すべき交差点の手前で、交差点での退出方向を案内する機能等が実行されてもよい。
【0040】
制御部20は、以上のようなナビゲーション機能が実行されている状況において、到達支援プログラム21の機能により、ステップS105~S140の処理を行う。すなわち、到達支援プログラム21の機能と並行してナビゲーション機能も実行され続ける。以後においては、主に到達支援プログラム21の機能を説明する。
【0041】
まず、制御部20は、目的地情報取得部21aの機能により、次の目的地の位置を取得する(ステップS105)。本実施形態において、制御部20は、ナビゲーション機能によって現在向かっている目的地を次の目的地として特定する。そして、制御部20は、配送計画情報310aおよび地図情報30aに基づいて、当該配送先の位置(緯度、経度等の座標)を取得する。例えば、
図2Bに示す例であれば、配送先G1の位置が取得される。
【0042】
次に、制御部20は、利用者情報取得部21bの機能により、利用者の位置を取得する(ステップS110)。すなわち、制御部20は、GNSS受信部41の出力に基づいて利用者の現在位置(緯度、経度等の座標)を特定する。
【0043】
次に、制御部20は、迷走特定部21cの機能により、利用者の迷い度を取得する(ステップS115)。迷い度は、利用者が道に迷っている可能性が高いほど大きくなる指標であり、各種の態様で定義することができる。本実施形態においては、徐々に利用者の現在の位置が目的地の位置に近づいて行く状況が適正であるとみなされており、一定期間以上現在の位置が目的地の位置に近づかない状況である場合、利用者が迷っていると見なす。このため、制御部20は、利用者の現在の位置と目的地の位置との距離を取得し、当該距離が一定期間以上小さくならない場合に、その期間が長いほど迷い度が大きくなるように迷い度を定義する。例えば、当該距離が小さくならなかった期間長を迷い度とすることが可能である。
【0044】
迷い度に対しては、迷っているか否かを判定するための迷走判定条件が予め決められている。そこで、制御部20は、迷走特定部21cの機能により、迷い度と迷走判定条件とに基づいて、利用者が迷っているか否か判定する(ステップS120)。すなわち、制御部20は、迷い度と迷走判定条件とを比較し、迷い度の方が大きい場合に、利用者が迷っていると判定する。むろん、迷っているか否かの判定は、以上の手法に限られず、種々の手法が採用されてよい。
【0045】
ステップS120において、利用者が迷っていると判定された場合、制御部20は、支援情報取得部21dの機能により、配送先の提供者に経路案内情報を送信し、支援情報を要求する(ステップS125)。すなわち、制御部20は、ユーザI/F部42の表示部に表示され、配送車両の利用者に対して提供されている経路案内情報を、提供者に送信することで、利用者が迷っている状況を提供者に対して具体的に通知する。このために、制御部20は、ユーザI/F部42の表示部に表示されている地図の画面を示す画像データを取得する。そして、制御部20は、当該画像データに対して利用者の識別情報および利用者が向かっている配送先の識別情報を対応付け、支援情報の提供要求とともに通信部40を介してサーバ300に対して送信する。
【0046】
サーバ300が当該画像データおよび識別情報と支援情報の提供要求を受信すると、制御部301は、配送先の識別情報に基づいて、当該配送先に存在する配送先端末200を特定し、当該配送先端末200に対して、画像データおよび支援情報の提供要求を転送する。
【0047】
配送先端末200の制御部201は、通信部202を介してこれらの情報を取得し、ユーザI/F部203の表示部に表示させる。
図4Aは、
図2Bに示す配送先G1に利用者が接近し、配送先G1が存在する道路が狭いために配送先G1が存在する道路を通り過ぎ、結果として迷ってしまった場合において、利用者に提供されている経路案内情報の例を示している。
図4Aに示すように、経路案内情報には、迷っている利用者の位置が含まれる。また、
図4Aに示す経路案内情報には、利用者が向かっている目的地である配送先G1、配送先G1までの走行予定経路も含まれる。
【0048】
図4Aのような経路案内情報が表示されると、配送先端末200を使用する提供者は、配送車両の利用者に提供された経路を認識することができる。さらに、提供者は、配送車両の利用者の現在位置や、当該現在位置と目的地である配送先G1との位置関係を認識することができる。このため、提供者は、配送車両の利用者が、配送先G1に接近する際に生じた間違いや、道に迷った理由を容易に類推することができる。さらに、提供者は、利用者の現在位置に基づいて、利用者が配送先G1に到達するためにお勧めの移動方向や経路を容易に特定することができる。
【0049】
提供者は、ユーザI/F部203の入力部を操作し、経路案内情報に対して配送先に到達するための支援を行うための文字、画像等を追加する。
図4Bは、
図4Aに示す経路案内情報に基づいて、提供者が追加した情報の例を示している。具体的には、提供者は、
図4Aに示す経路案内情報に基づいて、利用者が、配送先G1の手前の交差点で左折すべき所、その交差点を見過ごしたと類推した。この類推に基づいて、提供者は、「左折交差点を見過ごしています。目的地は細い道路沿いです。」という文字列を追加した。
【0050】
さらに、提供者は、利用者の現在位置に基づいて、利用者が直進した後、3回右折する経路であれば、
図4Aの経路案内情報に既に表示されている道路を通ることで配送先G1に近づくことができると認識することができる。さらに、提供者は、配送先G1が存在する道路が細い道路であるため、駐車場に駐車した後に徒歩で配送先G1に近づいた方が良いことを知っている。そこで、提供者は、利用者の現在位置以後の経路および駐車場を示す画像および文字列を追加した。具体的には、提供者は、経路案内情報としての地図に破線の矢印の画像を追加し、駐車場の位置に駐車場を示す画像を追加し、さらに、「破線のように進み、駐車場に止めてください。」という文字列を追加した。
【0051】
さらに、提供者は、配送先G1に到達するために見過ごされた交差点を案内するために、経路案内情報に含まれていなかった情報として、目印を追加した。すなわち、提供者は、見過ごされた交差点の角に高い松の木があることを知っており、当該松の木を目印とすれば良いことを知っている。そこで、提供者は「高い松が目印です」という文字列を追加した。
【0052】
経路案内情報に対して情報が追加されると、制御部201は、情報が追加された後の地図を示す情報を支援情報とし、通信部202を介してサーバ300に対して送信する。サーバ300の制御部301は、通信部302を介して、当該支援情報を受信する。さらに、制御部301は、当該支援情報の提供要求を行った利用者の識別情報に基づいて、当該利用者が使用する到達支援システム10を特定する。そして、制御部301は、通信部302を介して当該到達支援システム10に対して識別情報を送信する。
【0053】
制御部20は、支援情報取得部21dの機能により、サーバ300から送信された支援情報を取得し、支援情報提供部21eの機能により、支援情報を表示する(ステップS130)。すなわち、制御部20は、通信部40を介して支援情報を取得して記憶媒体30に記録する(支援情報310b)。さらに、制御部20は、ユーザI/F部42の表示部を制御し、表示部に支援情報を表示させる。以上の構成によれば、道に迷っている利用者が配送先に到達できる可能性を高めることができる。
【0054】
ステップS130が実行された場合、または、ステップS120において、利用者が迷っていると判定されなかった場合、制御部20は、利用者が配送先に到達したか否か判定する(ステップS135)。すなわち、制御部20は、GNSS受信部41の出力に基づいて利用者の現在位置を取得し、ステップS105で取得した目的地の位置からの距離が閾値以下である場合に、利用者が配送先に到達したと判定する。
【0055】
ステップS135において、利用者が配送先に到達したと判定されない場合、制御部20は、ステップS110以降の処理を繰り返す。ステップS135において、利用者が配送先に到達したと判定された場合、制御部20は、次の配送先が存在するか否か判定する(ステップS140)。すなわち、制御部20は、配送計画情報310aに基づいて、最後に到達したと判定された配送先が、配送計画の最後の配送先(
図2Aに示す例であれば、配送先G4)である場合、次の配送先が存在しないと判定する。次の配送先が存在すると判定されない場合、制御部20は、ステップS105以降を繰り返し、到達した配送先の次の配送先についての処理を行う。ステップS140において、次の配送先が存在すると判定された場合、制御部20は、到達支援処理を終了する。
【0056】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、配送車両の利用者が迷っているか否かの判断はサーバ300によって実施されてもよい。また、迷っているか否かの判定は、配送先から所定距離の範囲で実行されてもよい。さらに、走行予定経路は到達支援システム10で探索されてもよい。
【0057】
上述の実施形態を構成する各システムは、機能を共有したより少ない装置で構成されても良い。このような例としては、
図1に示す少なくとも1台のシステムが、他の1台以上のシステムと同一の装置で構成される例が挙げられる。例えば、到達支援システム10とサーバ300とが一体の装置で構成されていても良いし、配送先端末200とサーバ300とが一体の装置で構成されても良い。また、到達支援システム10の一部(目的地情報取得部21a、利用者情報取得部21b、迷走特定部21c、支援情報提供部21e、支援情報取得部21dの少なくとも一部)の機能が、配送先端末200、サーバ300で実現されても良い。さらに、
図1に示すシステムがより多数のシステムで構成されても良い。例えば、到達支援システム10、配送先端末200、サーバ300の少なくとも一部がクラウドサーバで構成されても良い。さらに、上述の実施形態の一部の構成が省略される構成や、処理が変動または省略される構成も想定し得る。
【0058】
目的地情報取得部は、目的地の位置を取得することができればよい。すなわち、目的地情報取得部は、利用者が向かっている各種の地点を目的地として取得することができればよい。従って、目的地は、配送における配送先に限定されない。例えば、知人宅や待ち合わせ場所、打合せ場所、集荷先等であっても良い。
【0059】
利用者情報取得部は、目的地に向かっている利用者の位置を取得することができればよい。利用者の位置は、目的地の位置との関係に基づいて利用者が迷っているか否かの判定を行うための基になる情報である。従って、迷っているか否かを特定するために予め設定された期間の利用者の位置の推移が取得されることが好ましく、継続的に利用者の位置が取得されても良い。
【0060】
迷走特定部は、目的地の位置と、利用者の位置と、に基づいて、利用者が迷っていることを特定することができればよい。利用者が迷っているか否かを特定するための方法は、上述の実施形態における方法に限定されない。例えば、利用者が同じ場所を複数回行き来している場合、利用者の位置が一定範囲内にとどまっている場合、走行予定経路から逸脱している期間が一定期間以上になった場合など、種々の条件によって、利用者が迷っているか否かが特定されて良い。さらに、人工知能を用いて、利用者が迷っているか否か特定されても良い。例えば、目的地の位置と、利用者の位置と、を入力し、迷っているか否かを出力する機械学習モデルが機械学習され、当該機械学習モデルによって、利用者が迷っているか否か特定されても良い。
【0061】
支援情報取得部は、利用者が迷っている場合、利用者が目的地に到達するための支援を行う支援情報を、目的地の周囲の道路に関する情報の提供者から取得することができればよい。すなわち、支援情報取得部は、迷っている利用者に対して、提供者から支援情報を提供することができればよい。支援情報は、利用者が目的地に到達するための支援を行うための情報であれば良く、その態様は限定されない。従って、上述の実施形態のような地図の画面に追加された情報に限定されない。例えば、各種のテキスト情報であっても良いし、音声情報であっても良い。支援情報の内容としても、種々の内容が想定され、例えば、地図上に表示されていない注意すべき場所や地図上に表示されていないが通るべき経路を示す情報等であっても良い。
【0062】
提供者は、目的地の周囲の道路に関する情報を提供できる者であれば良い。このような提供者は、上述の実施形態のように目的地(配送先)に居る者であっても良いし、他の場所に居る者であってもよい。但し、提供者は、利用者に対して、目的地に向かうための支援を行うことができる者であるため、目的地の周辺の道路を知っている者であり、利用者よりも当該道路を熟知している者であることが好ましい。このような提供者は、予め決められていれば良く、利用者が迷った場合に、提供者に対して支援情報の提供が促される。
【0063】
さらに、提供者に対して通知される情報は上述の態様に限定されないし、経路案内情報以外の情報が通知されても良い。例えば、利用者の現在位置や、現在位置の推移、走行予定経路を逸脱した位置等が提供者に対して通知されても良い。また、提供者に対して、利用者の位置等が通知されず、利用者が迷っていることが通知される構成等であっても良い。
【0064】
さらに、提供者から提供された支援情報は、再利用されても良い。例えば、上述の
図1に示す構成において、提供者から取得された支援情報は、目的地に対応付けて記憶媒体に格納される構成が採用されてよい。支援情報が格納される記憶媒体は、到達支援システム10の記憶媒体30であってもよいし、サーバ300の記憶媒体310であってもよい。
【0065】
そして、到達支援システム10の制御部20は、支援情報提供部21eの機能により、利用者が向かっている目的地に対応付けられた支援情報が既に存在する場合、既に存在する支援情報を利用者に提供する。すなわち、過去に任意の利用者が迷った場合に提供された支援情報は、到達支援システム10またはサーバ300の記憶媒体に格納され、同一の目的地に向かっている利用者に対して提供される。なお、支援情報は、利用者が迷っているか否かにかかわらず提供されても良いし、利用者が迷っている場合に提供されても良い。前者であれば、利用者が迷う可能性を低減することができる。後者であれば、迷ってしまった利用者が目的地に到達できる可能性を高めることができる。
【0066】
さらに、本発明のように、迷っている利用者に対して提供者から支援情報を提供する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、配送車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0067】
10…到達支援システム、20…制御部、21…到達支援プログラム、21a…目的地情報取得部、21b…利用者情報取得部、21c…迷走特定部、21d…支援情報取得部、21e…支援情報提供部、30…記憶媒体、30a…地図情報、40…通信部、41…GNSS受信部、42…ユーザI/F部、200…配送先端末、201…制御部、202…通信部、203…ユーザI/F部、300…サーバ、301…制御部、302…通信部、310…記憶媒体、310a…配送計画情報、310b…支援情報