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特開2023-168757増幅器、増幅回路、および電流検出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168757
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】増幅器、増幅回路、および電流検出装置
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/45 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
H03F3/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080046
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大田 明宏
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA12
5J500AA18
5J500AA51
5J500AC54
5J500AF12
5J500AF15
5J500AH10
5J500AH17
5J500AH25
5J500AH29
5J500AH39
5J500AK05
5J500AK09
5J500AK27
5J500AK33
5J500AK34
5J500AM08
5J500AM13
5J500AS15
5J500AT01
5J500DN01
5J500DN22
5J500DN23
5J500DP01
(57)【要約】
【課題】外部にコンデンサを接続した負帰還回路を構成した場合でも発振を抑制することができる増幅器を提供する。
【解決手段】増幅器(1)は、入力信号が入力可能な差動増幅段(X)と、前記差動増幅段の後段に接続される出力段(Y)と、前記出力段の出力端に接続される第1出力端子(Tout)と、前記出力端子に接続される第1端を有する抵抗(RA)と、前記抵抗と前記出力段の入力端との間に接続される内部コンデンサ(C1)と、前記抵抗に対して前記出力端子を流れる出力電流(Iout)に比例した比例電流を供給する電流源2と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号が入力可能な差動増幅段と、
前記差動増幅段の後段に接続される出力段と、
前記出力段の出力端に接続される第1出力端子と、
前記出力端子に接続される第1端を有する抵抗と、
前記抵抗と前記出力段の入力端との間に接続される内部コンデンサと、
前記抵抗に対して前記出力端子を流れる出力電流に比例した比例電流を供給する電流源と、
を備える増幅器。
【請求項2】
前記出力段は、
第1電源電圧の印加端に接続されるソースと、前記出力端子に接続されるドレインと、を含む第1PMOSトランジスタと、
グランド電位の印加端に接続されるソースと、前記出力端子に接続されるドレインと、を含む第1NMOSトランジスタと、
前記差動増幅段の出力に基づき前記第1PMOSトランジスタのゲートを駆動する第1ドライバと、
前記差動増幅段の出力に基づき前記第1NMOSトランジスタのゲートを駆動する第2ドライバと、
を有し、
前記電流源は、
前記第1PMOSトランジスタのソースに接続されるソースと、前記第1PMOSトランジスタのゲートに接続されるゲートと、前記抵抗と前記内部コンデンサとが接続される第1ノードに接続されるドレインと、を含む第2PMOSトランジスタと、
前記第1NMOSトランジスタのソースに接続されるソースと、前記第1NMOSトランジスタのゲートに接続されるゲートと、前記第1ノードに接続されるドレインと、を含む第2NMOSトランジスタと、
を有する、請求項1に記載の増幅器。
【請求項3】
前記第1および第2PMOSトランジスタの第1ゲートと前記第1ドライバの出力端との間と、前記第1ゲートと前記グランド電位の印加端との間の各導通を切り替えるように構成される第1スイッチと、
前記第1および第2NMOSトランジスタの第2ゲートと前記第2ドライバの出力端との間と、前記第2ゲートと前記グランド電位の印加端との間の各導通を切り替えるように構成される第2スイッチと、
を備える、請求項2に記載の増幅器。
【請求項4】
前記第1および第2PMOSトランジスタの第1ゲートと前記第1ドライバの出力端との間と、前記第1ゲートと第2電源電圧の印加端との間の各導通を切り替えるように構成される第3スイッチと、
前記第1および第2NMOSトランジスタの第2ゲートと前記第2ドライバの出力端との間と、前記第2ゲートと第3電源電圧の印加端との間の各導通を切り替えるように構成される第4スイッチと、
を備える、請求項2または請求項3に記載の増幅器。
【請求項5】
請求項1に記載の増幅器と、
前記増幅器の前記第1出力端子に接続され、外部に外部コンデンサを接続可能な第2出力端子と、を備える、増幅回路。
【請求項6】
負荷に流れる電流を電流・電圧変換するように構成されるセンス抵抗と、
請求項5に記載の増幅回路と、を備え、
前記増幅回路は、
前記センス抵抗の第1端に接続される正側入力端子と、
前記センス抵抗の第2端に接続される負側入力端子と、
をさらに備える、電流検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2つの入力端子を有し、当該入力端子間の電圧差を増幅して出力する増幅器(オペアンプとも称される)が知られている。当該増幅器は、種々の増幅回路に用いられる(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-80486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
増幅器は、信号を増幅するための負帰還回路を構成するように使用される。増幅器は、内部に位相補償のための内部コンデンサを有していることが多い。しかしながら、増幅器の出力端に外部に配置される外部コンデンサを接続した場合、当該外部コンデンサによって負帰還回路の位相余裕がなくなり、発振しやすい場合があった。
【0005】
本開示は、外部にコンデンサを接続した負帰還回路を構成した場合でも発振を抑制することができる増幅器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例えば、本開示に係る増幅器は、入力信号が入力可能な差動増幅段と、
前記差動増幅段の後段に接続される出力段と、
前記出力段の出力端に接続される第1出力端子と、
前記出力端子に接続される第1端を有する抵抗と、
前記抵抗と前記出力段の入力端との間に接続される内部コンデンサと、
前記抵抗に対して前記出力端子を流れる出力電流に比例した比例電流を供給する電流源と、を備える構成としている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る増幅器によれば、外部にコンデンサを接続した負帰還回路を構成した場合でも発振を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、比較例に係る増幅回路の構成を示す図である。
図2図2は、比較例に係る増幅器の構成を示す図である。
図3図3は、比較例に係る増幅回路におけるゲインと位相の周波数特性を示すグラフである。
図4図4は、本開示の実施形態に係る増幅器の構成を示す図である。
図5図5は、本開示の実施形態に係る増幅回路におけるゲインと位相の周波数特性を示すグラフである。
図6図6は、本開示の実施形態に係る増幅器のより具体的な構成例を示す図である。
図7図7は、第1変形例に係る増幅器の構成を示す図である。
図8図8は、第2変形例に係る増幅器の構成を示す図である。
図9図9は、電流検出装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
<1.比較例>
ここでは、本開示の実施形態との対比のための比較例について説明する。比較例との対比により、本開示の実施形態の有効性が明らかになる。
【0011】
図1は、比較例に係る増幅回路101の構成を示す図である。図1に示す増幅回路101は、増幅器100を用いて構成される反転増幅回路である。反転増幅回路は、負帰還回路の一例である。
【0012】
増幅回路101は、増幅器100と、抵抗R1~R4と、を有する。抵抗値は、R1=R3、R2=R4である。また、増幅回路101は、正側入力端子Tinpと、負側入力端子Tinmと、基準電圧端子Trefと、出力端子Toと、を有する。
【0013】
抵抗R1の一端は、正側入力端子Tinpに接続される。抵抗R1の他端と抵抗R2の一端とが接続されるノードは、増幅器100の正側入力端子(+)に接続される。抵抗R2の他端は、基準電圧端子Trefに接続される。基準電圧端子Trefには、基準電圧REFが印加される。
【0014】
抵抗R3の一端は、負側入力端子Tinmに接続される。抵抗R3の他端と抵抗R4の一端とが接続されるノードは、増幅器100の負側入力端子(-)に接続される。抵抗R4の他端は、増幅器100の出力端に接続される。増幅器100の出力端は、出力端子Toに接続される。
【0015】
このような構成により、増幅回路101は、正側入力端子Tinpに印加される電圧INPと負側入力端子Tinmに印加される電圧INMとの電圧差を反転増幅して出力端子Toから出力電圧OUTを出力する。
【0016】
図2は、比較例に係る増幅器100の構成を示す図である。図2に示す増幅器100は、差動増幅段Xと、出力段Yと、を有する半導体集積回路である。また、増幅器100は、外部との電気的接続を確立するための正側入力端子Tp、負側入力端子Tn、および出力端子Toutを有する。なお、増幅器100は、位相補償のための内部コンデンサC1を内蔵している。
【0017】
差動増幅段Xは、PMOSトランジスタ(Pチャネル型MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor))M1,M2と、NMOSトランジスタ(Nチャネル型MOSFET)M3,M4と、定電流源I1と、を有する。
【0018】
PMOSトランジスタM1のゲートは、負側入力端子Tnに接続される。PMOSトランジスタM2のゲートは、正側入力端子Tpに接続される。PMOSトランジスタM1,M2のソースは、定電流源I1に共通接続される。PMOSトランジスタM1のドレインは、NMOSトランジスタM3のドレインに接続される。NMOSトランジスタM3のゲートとドレインは、短絡される。NMOSトランジスタM3,M4のゲート同士は接続される。NMOSトランジスタM3,M4のソースは、グランド電位の印加端に共通接続される。NMOSトランジスタM4のドレインは、PMOSトランジスタM2のドレインに接続される。
【0019】
PMOSトランジスタM2とNMOSトランジスタM4とが接続されるノードは、出力段Yの入力端に接続される。出力段Yの出力端は、出力端子Toutに接続される。また、内部コンデンサC1は、出力端子Toutと出力段Yの入力端との間に接続される。
【0020】
このような構成により、増幅器100は、正側入力端子Tpと負側入力端子Tn間の電圧差を増幅して出力端子Toutから出力する。
【0021】
ここで、図1に示すように、増幅回路101の出力端子Toには、外部に設けられる外部コンデンサC2が接続される。外部コンデンサC2は、ノイズ対策などのために設けられる。増幅器100には位相補償用の内部コンデンサC1が設けられるが、使用する増幅器100では許容できないほどの大きな容量の外部コンデンサC2を接続すると、負帰還回路である増幅回路101において発振が生じやすくなる場合があった。
【0022】
図3は、増幅回路101(負帰還回路)におけるゲイン(利得)(実線)と位相(破線)の周波数特性(いわゆるボード線図)を示すグラフである。このように、大きな容量の外部コンデンサC2を接続することで、ゲインは、周波数が上昇する方向において、0dB付近で傾きが緩やかになった後、一旦増加し、急激に減少する。このとき、位相は、ゲインが0dBとなる付近で急激に下がる。これにより、位相余裕およびゲイン余裕がなくなり、発振が生じやすくなっている。
【0023】
<2.本開示の実施形態>
上記のような比較例における課題を解決すべく、本開示の実施形態が実施される。図4は、本開示の実施形態に係る増幅器1の構成を示す図である。
【0024】
図4に示す増幅器1は、先述した比較例に係る構成(図2)と同様に、差動増幅段Xと、出力段Yと、位相補償用の内部コンデンサC1と、を有する。さらに、本実施形態の増幅器1では、抵抗RAと、電流源2が設けられる。
【0025】
抵抗RAの一端は、出力端子Toutに接続される。抵抗RAの他端は、内部コンデンサC1の一端に接続される。内部コンデンサC1の他端は、出力段Yの入力端に接続される。電流源2は、抵抗RAと内部コンデンサC1とが接続されるノードNAに接続され、抵抗RAに対して出力端子Toutに流れる出力電流Ioutに比例した比例電流(=a×Iout)を供給するように構成される。
【0026】
このような構成の本実施形態に係る増幅器1を用いて先述した比較例に係る構成(図1)と同様な増幅回路(負帰還回路)を構成した場合、増幅回路の出力端子Toに外部コンデンサC2を接続することができる。図5は、このような増幅回路(負帰還回路)におけるゲイン(実線)と位相(破線)の周波数特性を示すグラフである。
【0027】
図5に示すように、ゲインが0dBの付近でゲインの傾きが大きくなり、位相の傾きは小さくなる。これにより、位相余裕およびゲイン余裕が確保され、増幅回路において発振が生じにくくなる。従って、ノイズ耐性を向上させるなどのために容量の大きい外部コンデンサC2を接続することが可能となる。また、増幅回路における増幅率を増加させやすくなる。
【0028】
図6は、増幅器1のより具体的な構成例を示す図である。図6に示す構成では、出力段Yは、ドライバDr1,Dr2と、PMOSトランジスタP1と、NMOSトランジスタN1と、を有する。
【0029】
PMOSトランジスタP1のソースは、電源電圧の印加端に接続される。NMOSトランジスタN1のソースは、グランド電位の印加端に接続される。PMOSトランジスタP1のドレインとNMOSトランジスタN1のドレインは、出力端子Toutに共通接続される。ドライバDr1は、差動増幅段XにおけるPMOSトランジスタM2とNMOSトランジスタM4とが接続されるノードNx(差動増幅段Xの出力端)の電圧に基づきPMOSトランジスタP1のゲートを駆動する。ドライバDr2は、ノードNxの電圧に基づきNMOSトランジスタN1のゲートを駆動する。出力電流Ioutは、PMOSトランジスタP1を流れて出力端子Toutから外部へ流れ出る場合(実線)と、外部から出力端子Toutを介してNMOSトランジスタN1を流れ込む場合(破線)がある。
【0030】
また、図6に示す構成において、電流源2は、PMOSトランジスタP2と、NMOSトランジスタN2と、を有する。PMOSトランジスタP2のソースは、PMOSトランジスタP1のソースに接続される。PMOSトランジスタP2のゲートは、PMOSトランジスタP1のゲートに接続される。PMOSトランジスタP2のドレインは、ノードNAに接続される。NMOSトランジスタN2のソースは、NMOSトランジスタN1のソースに接続される。NMOSトランジスタN2のゲートは、NMOSトランジスタN1のゲートに接続される。NMOSトランジスタN2のドレインは、ノードNAに接続される。
【0031】
PMOSトランジスタP1,P2のVgs(ゲート・ソース間電圧)は共通であり、PMOSトランジスタP2のサイズをPMOSトランジスタP1のサイズと異ならせることで、抵抗RAに出力電流Ioutに比例した比例電流(a×Iout)(実線)を流すことができる。同様に、NMOSトランジスタN1,N2のVgsは共通であり、NMOSトランジスタN2のサイズをNMOSトランジスタN1のサイズと異ならせることで、抵抗RAに出力電流Ioutに比例した比例電流(a×Iout)(破線)を流すことができる。
【0032】
図7は、第1変形例に係る増幅器1の構成を示す図である。図7に示す増幅器1は、先述した図6に示す構成に加えて、スイッチSW1,SW2を設けている。スイッチSW1は、PMOSトランジスタP1,P2のゲートとドライバDr1の出力端との間と、上記ゲートとグランド電位の印加端との間の各導通を切り替えるように構成される。スイッチSW2は、NMOSトランジスタN1,N2のゲートとドライバDr2の出力端との間と、上記ゲートとグランド電位の印加端との間の各導通を切り替えるように構成される。
【0033】
通常時は、スイッチSW1,SW2は、各ゲートとドライバDr1,Dr2との間を導通させる。異常発生時には、スイッチSW1,SW2は、各ゲートとグランド電位の印加端との間を導通させる。これにより、異常発生時には、出力端子Toutがハイレベルに固定され、車載用などの機能安全として異常発生を通知することができる。
【0034】
図7に示す構成の増幅器1では、出力端子Toutの電位に追従してノードNAの電位が変動するため、出力端子Toutの電位が電源電圧に近いと比例電流(a×Iout)を流すためのPMOSトランジスタP2のVds(ドレイン・ソース間電圧)が確保できない。しかしながら、増幅器1は、上記のように機能安全で出力端子Toutをハイレベルに固定して異常を通知する機能を有するため、出力端子Toutの電位を電源電圧に近い領域まで増幅させる必要はなくなり、上記のようなVdsを確保できない点は問題とならない。
【0035】
図8は、第2変形例に係る増幅器1の構成を示す図である。図8に示す増幅器1は、先述した図6に示す構成に加えて、スイッチSW3,SW4を設けている。スイッチSW3は、PMOSトランジスタP1,P2のゲートとドライバDr1の出力端との間と、上記ゲートと電源電圧の印加端との間の各導通を切り替えるように構成される。スイッチSW4は、NMOSトランジスタN1,N2のゲートとドライバDr2の出力端との間と、上記ゲートと電源電圧の印加端との間の各導通を切り替えるように構成される。
【0036】
通常時は、スイッチSW3,SW4は、各ゲートとドライバDr1,Dr2との間を導通させる。異常発生時には、スイッチSW3,SW4は、各ゲートと電源電圧の印加端との間を導通させる。これにより、異常発生時には、出力端子Toutがローレベルに固定され、機能安全として異常発生を通知することができる。
【0037】
図8に示す構成の増幅器1では、出力端子Toutの電位に追従してノードNAの電位が変動するため、出力端子Toutの電位がグランド電位に近いと比例電流(a×Iout)を流すためのNMOSトランジスタN2のVdsが確保できない。しかしながら、増幅器1は、上記のように機能安全で出力端子Toutをローレベルに固定して異常を通知する機能を有するため、出力端子Toutの電位をグランド電位に近い領域まで増幅させる必要はなくなり、上記のようなVdsを確保できない点は問題とならない。
【0038】
なお、上記スイッチSW1~SW4を1つの増幅器に設けてもよい。
【0039】
<3.アプリケーションへの適用>
先述した本開示の実施形態に係る増幅器1は、各種のアプリケーションに適用することが可能である。図9は、アプリケーションの一例として、増幅回路10を電流検出装置15に適用した場合の構成を示す図である。なお、増幅回路10は、増幅器1を用いた反転増幅回路である。
【0040】
図9に示す電流検出装置15は、増幅回路10と、センス抵抗Rsと、を備える。センス抵抗Rsの一端は、電源電圧VCCの印加端に接続される。センス抵抗Rsの他端は、負荷Lに接続される。センス抵抗Rsの一端は、増幅回路10の正側入力端子Tinpに接続される。センス抵抗Rsの他端は、増幅回路10の負側入力端子Tinmに接続される。
【0041】
これにより、負荷Lを流れる負荷電流は、センス抵抗Rsにより電流・電圧変換され、電圧INP,INM間の電圧差として増幅回路10に入力される。増幅回路10により増幅された後の電圧は、出力OUTとして出力端子Toから出力される。出力OUTは、ADC(ADコンバータ)20によりAD変換され、マイコン30へ入力される。
【0042】
周辺回路が激しく動作している環境下で、電流検出装置15により高精度の信号検出を行うため、出力端子ToとADC20との間には、ノイズ対策用に外部コンデンサC2が接続される。容量の大きな外部コンデンサC2を接続しても、先述した増幅器1の構成により、発振が生じにくくなる。
【0043】
なお、増幅回路10は、電流検出装置15以外にも、例えば、磁気センサ、圧力センサ、車載用センサAFE(アナログフロントエンド)、または医療用センサAFEなどに適用することが可能である。
【0044】
<4.その他>
本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0045】
<5.付記>
以上のように、例えば、本開示の一側面に係る増幅器(1)は、
入力信号が入力可能な差動増幅段(X)と、
前記差動増幅段の後段に接続される出力段(Y)と、
前記出力段の出力端に接続される第1出力端子(Tout)と、
前記出力端子に接続される第1端を有する抵抗(RA)と、
前記抵抗と前記出力段の入力端との間に接続される内部コンデンサ(C1)と、
前記抵抗に対して前記出力端子を流れる出力電流(Iout)に比例した比例電流を供給する電流源2と、を備える構成としている(第1の構成)。
【0046】
また、上記第1の構成において、前記出力段(Y)は、
第1電源電圧の印加端に接続されるソースと、前記出力端子(Tout)に接続されるドレインと、を含む第1PMOSトランジスタ(P1)と、
グランド電位の印加端に接続されるソースと、前記出力端子に接続されるドレインと、を含む第1NMOSトランジスタ(N1)と、
前記差動増幅段(X)の出力に基づき前記第1PMOSトランジスタのゲートを駆動する第1ドライバ(Dr1)と、
前記差動増幅段の出力に基づき前記第1NMOSトランジスタのゲートを駆動する第2ドライバ(Dr2)と、
を有し、
前記電流源(2)は、
前記第1PMOSトランジスタのソースに接続されるソースと、前記第1PMOSトランジスタのゲートに接続されるゲートと、前記抵抗(RA)と前記内部コンデンサ(C1)とが接続される第1ノード(NA)に接続されるドレインと、を含む第2PMOSトランジスタ(P2)と、
前記第1NMOSトランジスタのソースに接続されるソースと、前記第1NMOSトランジスタのゲートに接続されるゲートと、前記第1ノードに接続されるドレインと、を含む第2NMOSトランジスタ(N2)と、を有する構成としてもよい(第2の構成)。
【0047】
また、上記第2の構成において、前記第1および第2PMOSトランジスタ(P1,P2)の第1ゲートと前記第1ドライバ(Dr1)の出力端との間と、前記第1ゲートと前記グランド電位の印加端との間の各導通を切り替えるように構成される第1スイッチ(SW1)と、
前記第1および第2NMOSトランジスタ(N1,N2)の第2ゲートと前記第2ドライバ(Dr2)の出力端との間と、前記第2ゲートと前記グランド電位の印加端との間の各導通を切り替えるように構成される第2スイッチ(SW2)と、を備える構成としてもよい(第3の構成)。
【0048】
また、上記第2または第3の構成において、前記第1および第2PMOSトランジスタ(P1,P2)の第1ゲートと前記第1ドライバ(Dr1)の出力端との間と、前記第1ゲートと第2電源電圧の印加端との間の各導通を切り替えるように構成される第3スイッチ(SW3)と、
前記第1および第2NMOSトランジスタ(N1,N2)の第2ゲートと前記第2ドライバ(Dr2)の出力端との間と、前記第2ゲートと第3電源電圧の印加端との間の各導通を切り替えるように構成される第4スイッチ(SW4)と、を備える構成としてもよい(第4の構成)。
【0049】
また、本開示の一側面に係る増幅回路(10)は、上記第1から第4のいずれかの構成の増幅器(1)と、前記増幅器の前記第1出力端子(Tout)に接続され、外部に外部コンデンサ(C2)を接続可能な第2出力端子(To)と、を備える(第5の構成)。
【0050】
また、本開示の一側面に係る電流検出装置(15)は、負荷(L)に流れる電流を電流・電圧変換するように構成されるセンス抵抗(Rs)と、
上記第5の構成の増幅回路(10)と、を備え、
前記増幅回路は、
前記センス抵抗の第1端に接続される正側入力端子(Tinp)と、
前記センス抵抗の第2端に接続される負側入力端子(Tinm)と、
をさらに備える。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本開示は、例えば、各種用途の増幅回路に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 増幅器
2 電流源
10 増幅回路
15 電流検出装置
30 マイコン
100 増幅器
101 増幅回路
C1 内部コンデンサ
C2 外部コンデンサ
I1 定電流源
Dr1,Dr2 ドライバ
L 負荷
M1,M2 PMOSトランジスタ
M3,M4 NMOSトランジスタ
N1,N2 NMOSトランジスタ
P1,P2 PMOSトランジスタ
R1~R4 抵抗
RA 抵抗
Rs センス抵抗
SW1~SW4 スイッチ
Tinp 正側入力端子
Tn 負側入力端子
To 出力端子
Tout 出力端子
Tp 正側入力端子
Tref 基準電圧端子
X 差動増幅段
Y 出力段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9