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特開2023-168766車両管理装置、車両、車両診断装置、車両管理方法、及び、車両管理プログラム
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  • 特開-車両管理装置、車両、車両診断装置、車両管理方法、及び、車両管理プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168766
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】車両管理装置、車両、車両診断装置、車両管理方法、及び、車両管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0645 20230101AFI20231121BHJP
【FI】
G06Q30/06 350
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080061
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】吉田 泰介
(72)【発明者】
【氏名】友岡 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 絢子
(72)【発明者】
【氏名】安藤 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】木村 仁
(72)【発明者】
【氏名】長濱 卓範
(72)【発明者】
【氏名】笹尾 幸平
(72)【発明者】
【氏名】花房 直人
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 亮彦
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB68
(57)【要約】
【課題】車両を貸し出すサービスにおいて、顧客満足度の低下を防止しつつ、故障車両の貸し出しを防止する。
【解決手段】車両管理装置50は、車両管理情報510が示す車両60の利用開始予定時刻511よりも、所定の時間512の分、前の時刻に、車両60の診断に必要な車両状態情報610を収集する収集部61に、車両状態情報610の収集を指示する指示部51と、指示部51よる指示に応じて収集された車両状態情報610に基づいて車両60が正常であるか否かを診断する診断部70から、車両60の診断結果700を取得する診断結果取得部52と、診断結果700が、車両60が正常であることを表す場合、車両60に関する利用許可情報530を出力する出力部53と、を備える。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両管理情報が示す車両の利用開始予定時刻よりも、所定の時間、前の時刻に、前記車両の診断に必要な車両状態情報を収集する収集手段に、前記車両状態情報の収集を指示する指示手段と、
前記指示手段による指示に応じて収集された前記車両状態情報に基づいて前記車両が正常であるか否かを診断する診断手段から、前記車両の診断結果を取得する診断結果取得手段と、
前記診断結果が、前記車両が正常であることを表す場合、前記車両に関する利用許可情報を出力する出力手段と、
を備える車両管理装置。
【請求項2】
前記所定の時間は、前記収集手段による前記車両状態情報の収集に要する時間と、前記診断手段による前記車両の診断に要する時間とを合計した時間である、
請求項1に記載の車両管理装置。
【請求項3】
前記車両の位置情報を取得する位置情報取得手段をさらに備え、
前記指示手段は、前記車両管理情報が示す前記車両の利用終了予定時刻を含む所定の長さの時間帯において、前記位置情報が前記車両の保管場所を示す場合、前記収集手段に、前記車両状態情報の収集を指示する、
請求項1または請求項2に記載の車両管理装置。
【請求項4】
前記所定の長さの時間帯は、前記車両管理情報が示す前記車両の利用終了予定時刻と、前記車両の実際の利用終了時刻との差分に関する実績値を統計処理した値である、
請求項3に記載の車両管理装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の車両管理装置による指示に応じて、前記車両状態情報を収集し、収集した前記車両状態情報を前記診断手段に送信する前記収集手段
を備える車両。
【請求項6】
前記車両の充電開始あるいは給油開始を検知する検知手段をさらに備え、
前記収集手段は、前記充電開始あるいは前記給油開始が検知された場合、前記車両状態情報を収集し、収集した前記車両状態情報を前記診断手段に送信する、
請求項5に記載の車両。
【請求項7】
前記車両の周辺を撮像する撮像手段をさらに備え、
前記収集手段は、前記撮像手段による撮像画像を、前記撮像画像から前記車両を診断する前記診断手段に送信する、
請求項5に記載の車両。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の車両管理装置に前記診断結果を送信する前記診断手段
を備える車両診断装置。
【請求項9】
情報処理装置によって、
車両管理情報が示す車両の利用開始予定時刻よりも、所定の時間、前の時刻に、前記車両の診断に必要な車両状態情報を収集する収集手段に、前記車両状態情報の収集を指示し、
前記車両状態情報の収集の指示に応じて収集された前記車両状態情報に基づいて前記車両が正常であるか否かを診断する診断手段から、前記車両の診断結果を取得し、
前記診断結果が、前記車両が正常であることを表す場合、前記車両に関する利用許可情報を出力する、
車両管理方法。
【請求項10】
車両管理情報が示す車両の利用開始予定時刻よりも、所定の時間、前の時刻に、前記車両の診断に必要な車両状態情報を収集する収集手段に、前記車両状態情報の収集を指示する指示処理と、
前記指示処理による指示に応じて収集された前記車両状態情報に基づいて前記車両が正常であるか否かを診断する診断手段から、前記車両の診断結果を取得する診断結果取得処理と、
前記診断結果が、前記車両が正常であることを表す場合、前記車両に関する利用許可情報を出力する出力処理と、
をコンピュータに実行させるための車両管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両管理装置、車両、車両診断装置、車両管理方法、及び、車両管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カーシェアリングあるいはレンタカー等の車両を貸し出すサービスを提供する事業者にとって、車両の保守、及び、車両が故障した場合における対応等を含むサービスを効率的かつ的確に行うことは重要であり、そのようなサービスを実現する技術が期待されている。
【0003】
上述の技術に関連して、特許文献1には、カーシェアリングサービスの利便性を向上するための車両管理システムが開示されている。このシステムは、カーシェアリングサービスの第1利用者が利用する第1車両の故障を検知する。そしてこのシステムは、当該カーシェアリングサービスの利用者であって第1車両から既定距離以内に存在する第2車両を利用中の第2利用者に対して、第1車両の位置にて第2車両の利用を終了可能であることを案内する。
【0004】
また、特許文献2には、効率的にカーシェアリング事業を行うためのカーシェアリング管理システムが開示されている。このシステムは、予約車両の利用計画を作成し、予約車両のメンテナンス終了前に、予約車両の車両状態に応じたメンテナンス予定時間に関する情報を取得する。このシステムは、取得したメンテナンス予定時間に関する情報と作成した利用計画とに基づいて、代替車両の要否を判定する。そして、このシステムは、代替車両が必要と判定した場合、複数の事業体が保有する複数の共有車両の中から代替車両を検索し、検索された代替車両を新たな予約車両として利用計画を変更する。
【0005】
また、特許文献3には、車両貸出し時に利用者に課せられる処理の負担を軽減するための車両共同利用システムが開示されている。このシステムは、共有車両の利用が開始された際に、所定項目をチェックして当該共有車両が走行可能な状態であるか否かを判断する。このシステムは、当該共有車両が走行不可能であった場合、走行不可能であることを車両検査報告として管制室に送信すると共に、不具合があることを表示して利用者に車両の乗り換えを促す。そして、当該管制室は、当該共有車両から受信した車両検査報告に基づいて、貸し出し履歴に記録された利用者に対する当該共有車両の貸し出し記録を削除して貸し出しを取消す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-015807号公報
【特許文献2】特開2019-008660号公報
【特許文献3】特開2005-215770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カーシェアリングあるいはレンタカー等のサービスにおいて、事業者側が車両の故障を認識せずに故障車両を貸し出してしまう場合がある。このような故障車両の貸し出しを防止するために、例えば、車両の利用前などに車両の診断を実行することが考えられる。しかしながらその場合、診断に用いるデータの収集及び診断に時間を要し、車両を利用する顧客は車両の診断が完了するまで待たされることから、顧客満足度の低下の要因となる。特許文献1乃至3は、このような問題については特に言及していない。
【0008】
本発明の主たる目的は、車両を貸し出すサービスにおいて、顧客満足度の低下を防止しつつ、故障車両の貸し出しを防止することを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る車両管理装置は、車両管理情報が示す車両の利用開始予定時刻よりも、所定の時間、前の時刻に、前記車両の診断に必要な車両状態情報を収集する収集手段に、前記車両状態情報の収集を指示する指示手段と、前記指示手段による指示に応じて収集された前記車両状態情報に基づいて前記車両が正常であるか否かを診断する診断手段から、前記車両の診断結果を取得する診断結果取得手段と、前記診断結果が、前記車両が正常であることを表す場合、前記車両に関する利用許可情報を出力する出力手段と、を備える。
【0010】
上記目的を達成する他の見地において、本発明の一態様に係る車両管理方法は、情報処理装置によって、車両管理情報が示す車両の利用開始予定時刻よりも、所定の時間、前の時刻に、前記車両の診断に必要な車両状態情報を収集する収集手段に、前記車両状態情報の収集を指示し、前記車両状態情報の収集の指示に応じて収集された前記車両状態情報に基づいて前記車両が正常であるか否かを診断する診断手段から、前記車両の診断結果を取得し、前記診断結果が、前記車両が正常であることを表す場合、前記車両に関する利用許可情報を出力する。
【0011】
また、上記目的を達成する更なる見地において、本発明の一態様に係る車両管理プログラムは、車両管理情報が示す車両の利用開始予定時刻よりも、所定の時間、前の時刻に、前記車両の診断に必要な車両状態情報を収集する収集手段に、前記車両状態情報の収集を指示する指示処理と、前記指示処理による指示に応じて収集された前記車両状態情報に基づいて前記車両が正常であるか否かを診断する診断手段から、前記車両の診断結果を取得する診断結果取得処理と、前記診断結果が、前記車両が正常であることを表す場合、前記車両に関する利用許可情報を出力する出力処理と、をコンピュータに実行させる。
【0012】
更に、本発明は、係る車両管理プログラム(コンピュータプログラム)が格納された、コンピュータ読み取り可能な、不揮発性の記録媒体によっても実現可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、車両を貸し出すサービスにおいて、顧客満足度の低下を防止しつつ、故障車両の貸し出しを防止することを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係る車両管理システム1の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る車両管理システム1の車両20の利用開始時の動作を示すフローチャートである。
図3】本発明の第1の実施形態に係る車両管理システム1の車両20の利用終了時の動作を示すフローチャートである。
図4】本発明の第2の実施形態に係る車両管理装置50の構成を示すブロック図である。
図5】本発明の各実施形態に係る車両管理装置を実現可能な情報処理装置900の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る車両管理システム1の構成を示すブロック図である。車両管理システム1は、例えば、カーシェアリングあるいはレンタカーなどの車両20を貸し出すサービス事業において、車両20の状態を診断し、その診断結果をふまえて車両20の貸し出しを管理するシステムである。
【0017】
車両管理システム1は、大別して、車両管理装置10、車両20、及び、車両診断装置30を有する。車両管理装置10と車両20と車両診断装置30とは、通信ネットワーク40を介して通信可能に接続されている。通信ネットワーク40は、例えばインターネット等の通信ネットワークである。
【0018】
車両管理装置10は、例えば、カーシェアリングあるいはレンタカーなどの車両20を貸し出すサービスを提供する事業者が利用するサーバ等の情報処理装置である。車両管理装置10は、複数の情報処理装置を含んでもよい。車両管理装置10は、指示部11、診断結果取得部12、出力部13、位置情報取得部14、記憶部15を備える。指示部11、診断結果取得部12、出力部13、位置情報取得部14は、順に、指示手段、診断結果取得手段、出力手段、位置情報取得手段の一例である。
【0019】
車両20は、車両管理装置10の管理対象である車両である。車両20は、収集部21、検知部22、撮像部23を備える。収集部21、検知部22、撮像部23は、順に、収集手段、検知手段、撮像手段の一例である。
【0020】
車両診断装置30は、車両20の状態を診断するサーバ等の情報処理装置である。車両診断装置30は、車両管理装置10に含まれてもよいし、車両20を貸し出すサービスを提供する事業者が利用する、車両管理装置10とは異なる装置でもよい。あるいは、車両診断装置30は、車両20の製造事業者、あるいは公的機関などによって管理される装置でもよい。車両診断装置30は、診断部31を備える。診断部31は、診断手段の一例である。
【0021】
車両管理装置10の記憶部15は、例えば、図5を参照して後述するRAM(Random Access Memory)あるいはハードディスク904のような記憶デバイスである。記憶部15は、車両管理情報150、利用開始時診断指示基準時間153、利用許可情報154、利用終了時診断指示基準時間155を記憶している。車両管理情報150、利用開始時診断指示基準時間153、利用許可情報154、利用終了時診断指示基準時間155については後述する。
【0022】
まず、車両20の利用開始時(貸し出し開始時)における車両管理システム1の動作について説明する。
【0023】
車両管理装置10の指示部11は、車両管理情報150が示す車両の利用開始予定時刻151よりも、利用開始時診断指示基準時間153(所定の時間の一例)の分、前の時刻に、車両20の診断に必要な車両状態情報210を収集する収集部21に、車両状態情報210の収集を指示することを表す情報を、通信ネットワーク40を介して送信する。但し、指示部11は、計時機能(時計)を備えることとする。
【0024】
車両20の収集部21は、指示部11からの指示に応じて、車両状態情報210の車両状態情報210を収集する。車両状態情報210は、例えば、車両20が備えるセンサによって測定された情報を含み、車両診断装置30が車両20の状態を診断するために必要となる情報である。収集部21は、収集した車両状態情報210を、通信ネットワーク40を介して車両診断装置30に送信する。
【0025】
車両20の撮像部23は、車両20の周辺を撮像する例えばドライブレコーダのような機器であり、車両20の周辺を撮像した撮像画像230を記憶する。収集部21は、撮像部23から撮像画像230を収集し、撮像画像230を車両状態情報210に含めて車両診断装置30に送信してもよい。
【0026】
車両診断装置30の診断部31は、車両20から受信した車両状態情報210と診断基準311に基づいて、車両20が正常であるか否かを診断する。診断基準311は、例えば、車両20の種別(車種)ごとに、車両20が正常である場合における車両状態情報210が示す値、あるいは、車両20が異常である(故障している)場合における車両状態情報210が示す値を表す。尚、車両状態情報210は、車両20の種別を識別可能な識別情報を含むこととする。診断基準311は、例えば、車両診断装置30の管理者等によって与えられてもよいし、車両診断装置30が通信ネットワーク40に接続された外部の装置から取得するようにしてもよい。
【0027】
診断部31は、車両20から受信した車両状態情報210に撮像画像230が含まれる場合、既存の画像解析技術を用いて、撮像画像230を解析する。診断部31は、撮像画像230を解析することによって、車両20が、例えばガードレール等の道路上の器物に接触し、その接触によって車両20の側面あるいはタイヤ等に傷が生じた可能性があると判定できる。
【0028】
診断部31は、車両状態情報210に基づく車両20の診断結果310を、通信ネットワーク40を介して車両管理装置10に送信する。
【0029】
車両管理装置10の診断結果取得部12は、車両診断装置30から送信された車両20の診断結果310を受信する。
【0030】
車両管理装置10の出力部13は、診断結果310が、車両20が正常であることを表す場合、車両20に関する利用許可情報154を生成する。そして出力部13は、利用許可情報154を記憶部15に格納し、利用許可情報154を、例えば、車両管理装置10の利用者が車両管理装置10から出力された情報を確認する際に利用する管理端末装置(不図示)に出力する。この場合、車両20を貸し出すサービスを提供する事業者によって、車両20を貸し出す作業が行われる。
【0031】
出力部13は、診断結果310が、車両20が異常である(故障している)ことを表す場合、車両20に関する利用許可情報154を生成せず、利用許可情報154を当該管理端末装置に出力しない。この場合、出力部13は、例えば、車両20が異常であることを表す情報を当該管理端末装置に出力してもよい。この場合、車両20を貸し出すサービスを提供する事業者によって、例えば、車両20の代替車両を準備して貸し出す作業が行われる。
【0032】
上述した利用開始時診断指示基準時間153は、例えば、車両20の収集部21による車両状態情報210の収集に要する時間と、車両診断装置30の診断部31による車両20の診断に要する時間との合計時間と同等の値とすることが望ましい。この場合、車両管理装置10は、車両20の利用開始予定時刻151が示すタイミングで、車両20の診断結果310を得ることができる。尚、上述した車両状態情報210の収集に要する時間、及び、車両20の診断に要する時間は、過去におけるそれらの実績値から得ることができる。
【0033】
次に、車両20の利用終了時(返却時)における車両管理システム1の動作について説明する。
【0034】
車両管理装置10の位置情報取得部14は、車両20から車両20の現在の位置情報を随時取得する。当該位置情報は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)を用いて取得可能な情報である。
【0035】
指示部11は、車両管理情報150が示す車両20の利用終了予定時刻152を含む利用終了時診断指示基準時間155が示す長さ(所定の長さの一例)の時間帯において、位置情報取得部14によって取得された位置情報が、車両20の保管場所を示すか否かを確認する。車両20の保管場所は、例えば、車両20を貸し出すサービスを提供する事業者が、車両20を保管する場所であり、より具体的には、車両20が貸し出され、車両20の利用終了後に車両20が返却される場所である。尚、記憶部15は、車両20の保管場所に関する位置情報を記憶していることとする。
【0036】
指示部11は、利用終了予定時刻152を含む利用終了時診断指示基準時間155が示す長さの時間帯において、車両20の位置情報が、車両20の保管場所を示す場合、車両20の収集部21に対して、車両状態情報210の収集を指示する。
【0037】
収集部21は、上述した車両20の利用開始時のときと同様に、車両状態情報210を収集し、収集した車両状態情報210を車両診断装置30に送信する。
【0038】
車両診断装置30の診断部31は、上述した車両20の利用開始時のときと同様に、車両20から受信した車両状態情報210と診断基準311とに基づいて、車両20が正常であるか否かを診断する。診断部31は、車両20の診断結果310を、車両管理装置10に送信する。
【0039】
車両管理装置10の診断結果取得部12は、車両診断装置30から送信された車両20の診断結果310を受信する。
【0040】
車両管理装置10の出力部13は、診断結果310が、車両20が正常であることを表す場合、返却された車両20が正常であることを示す情報を、車両管理装置10の管理端末装置に出力する。この場合、車両20を貸し出すサービスを提供する事業者によって、車両20が正常な状態で返却されたことを確定する事務手続きが行われる。
【0041】
出力部13は、診断結果310が、車両20が異常であることを表す場合、返却された車両20が異常であることを示す情報を、車両管理装置10の管理端末装置に出力する。この場合、車両20を貸し出すサービスを提供する事業者によって、車両20が異常であることの原因が調査され、その調査結果に応じて、車両20の利用者に対して車両20の修理に関する代金を請求すること等を含む事務手続きが行われる。
【0042】
上述した利用終了時診断指示基準時間155は、例えば、車両管理情報150が示す車両20の利用終了予定時刻152と、車両20の実際の利用終了時刻(返却時刻)との差分に関するこれまでの実績値を統計処理した値とすればよい。当該統計処理した値は、例えば、平均値、中央値、最頻値、標準誤差などから算出した値である。車両20の実際の利用終了時刻は、利用終了予定時刻152よりも前になることもあれば後になることもある。指示部11は、車両20の利用終了時刻に関する過去の実績値から、利用終了予定時刻152を含む利用終了時診断指示基準時間155が示す長さの時間帯に、車両20が返却されるとみなすこととする。そして、指示部11は、当該時間帯において、位置情報取得部14によって取得された位置情報が、車両20の保管場所を示すことをもって、車両20が返却されたことを検知する。
【0043】
次に、車両20の利用中(貸し出し中)における車両管理システム1の動作について説明する。
【0044】
車両20の検知部22は、車両20が例えば電気自動車である場合、車両20の充電開始を検知し、車両20が例えばガソリン車である場合、車両20の給油開始を検知する。
【0045】
車両20の収集部21は、検知部22によって、車両20の充電開始あるいは給油開始が検知された場合、車両状態情報210を収集し、収集した車両状態情報210を車両診断装置30に送信する。
【0046】
車両診断装置30の診断部31は、上述した車両20の利用開始時及び利用終了時のときと同様に、車両20から受信した車両状態情報210と診断基準311とに基づいて、車両20が正常であるか否かを診断する。診断部31は、車両20の診断結果310を、車両管理装置10に送信する。
【0047】
車両管理装置10の診断結果取得部12は、車両診断装置30から送信された車両20の診断結果310を受信する。
【0048】
車両管理装置10の出力部13は、診断結果310を車両管理装置10の管理端末装置に出力するとともに、車両20が備えるナビゲーションシステムあるいは運転者が所持するスマートフォン等の端末装置に通知する。出力部13は、診断結果310が、車両20に関する重大な故障を示す場合、車両20の利用を中止することを指示し、車両20の代替車両を手配することを表す情報を、車両20の運転者に提示するようにしてもよい。
【0049】
次に図2及び図3のフローチャートを参照して、本実施形態に係る車両管理システム1の動作(処理)について詳細に説明する。
【0050】
図2は、車両20の利用開始時における車両管理システム1の動作を示すフローチャートである。
【0051】
車両管理装置10の指示部11は、現在時刻が、車両20の利用開始予定時刻151よりも、利用開始時診断指示基準時間153ほど前の時刻であるか否かを確認する(ステップS101)。現在時刻が、利用開始時診断指示基準時間153ほど前の時刻になっていない場合(ステップS102でNo)、処理はステップS101へ戻る。現在時刻が、利用開始時診断指示基準時間153ほど前の時刻である場合(ステップS102でYes)、指示部11は、車両20の収集部21に、車両状態情報210の収集を指示する(ステップS103)。
【0052】
収集部21は、車両状態情報210を収集し、収集した車両状態情報210を車両診断装置30に送信する(ステップS104)。車両診断装置30の診断部31は、車両状態情報210及び診断基準311に基づいて車両20が正常であるか否かを診断し、その診断結果310を車両管理装置10に送信する(ステップS105)。
【0053】
車両管理装置10の診断結果取得部12は、車両診断装置30から診断結果310を受信する(ステップS106)。車両管理装置10の出力部13は、診断結果310が、車両20が正常であることを示すか否かを確認する(ステップS107)。車両20が正常である場合(ステップS108でYes)、出力部13は、車両20に関する利用許可情報154を生成して、生成した利用許可情報154を車両管理装置10の管理端末装置等に出力し(ステップS109)、全体の処理は終了する。車両20が正常でない(故障している)場合(ステップS108でNo)、出力部13は、利用許可情報154を生成せずに、利用許可情報154を車両管理装置10の管理端末装置等に出力せず(車両20が異常であることを表す情報を出力する)(ステップS110)、全体の処理は終了する。
【0054】
図3は、車両20の利用終了時における車両管理システム1の動作を示すフローチャートである。
【0055】
車両管理装置10の指示部11は、現在時刻が、車両20の利用終了予定時刻152を含む、利用終了時診断指示基準時間155が示す時間帯に含まれるか否かを確認する(ステップS201)。現在時刻が、利用終了時診断指示基準時間155が示す時間帯に含まれない場合(ステップS202でNo)、処理はステップS201へ戻る。現在時刻が、利用終了時診断指示基準時間155が示す時間帯に含まれる場合(ステップS202でYes)、車両管理装置10の位置情報取得部14は、車両20の現在の位置情報を取得する(ステップS203)。
【0056】
指示部11は、車両20の現在の位置情報が、車両20の保管場所を示すか否かを確認する(ステップS204)。車両20の現在の位置情報が、車両20の保管場所を示さない場合(ステップS205でNo)、処理はステップS201へ戻る。車両20の現在の位置情報が、車両20の保管場所を示す場合(ステップS205でYes)、車両管理システム1は、図2に示すステップS103乃至S107と同様の処理を行う(ステップS206)。
【0057】
車両20が正常である場合(ステップS207でYes)、出力部13は、車両20が正常であることを示す情報を車両管理装置10の管理端末装置等に出力し(ステップS208)、全体の処理は終了する。車両20が正常でない(故障している)場合(ステップS207でNo)、出力部13は、車両20が異常であることを示す情報を車両管理装置10の管理端末装置等に出力し(ステップS209)、全体の処理は終了する。
【0058】
本実施形態に係る車両管理装置10は、車両を貸し出すサービスにおいて、顧客満足度の低下を防止しつつ、故障車両の貸し出しを防止することを実現できる。その理由は、車両管理装置10は、現在時刻が、車両20の利用開始予定時刻151よりも、利用開始時診断指示基準時間153ほど前の時刻である場合に、車両20に車両状態情報210の収集を指示し、車両状態情報210に基づく診断結果310を車両診断装置30から取得するからである。
【0059】
以下に、本実施形態に係る車両管理装置10によって実現される効果について、詳細に説明する。
【0060】
カーシェアリングあるいはレンタカー等のサービスにおいて、事業者側が車両の故障を認識せずに故障車両を貸し出してしまう場合がある。このような故障車両の貸し出しを防止するために、例えば、車両の利用前などに車両の診断を実行することが考えられる。しかしながらその場合、診断に用いるデータの収集及び診断に時間を要し、車両を利用する顧客は車両の診断が完了するまで待たされることから、顧客満足度の低下の要因となる。
【0061】
このような問題に対して、本実施形態に係る車両管理装置10は、車両20の利用開始予定時刻151よりも、利用開始時診断指示基準時間153ほど前の時刻になったときに、車両20に車両状態情報210の収集を指示する。そして、利用開始時診断指示基準時間153を、収集部21による車両状態情報210の収集に要する時間と、診断部31による車両20の診断に要する時間とを合計した時間とすることによって、車両管理装置10は、利用開始予定時刻151に診断結果310を取得して利用許可情報154を出力する。即ちこの場合、車両20の利用開始予定時刻151に車両20の診断が終了するので、車両20を利用する顧客は、車両20の診断が完了するまで待たされることはない。したがって、車両管理装置10は、車両を貸し出すサービスにおいて、顧客満足度の低下を防止しつつ、故障車両の貸し出しを防止することができる。
【0062】
また、本実施形態に係る車両管理装置10は、車両20の位置情報を取得し、車両20の利用終了予定時刻152を含む利用終了時診断指示基準時間155が示す長さの時間帯において、当該位置情報が車両20の保管場所を示す場合、収集部21に、車両状態情報210の収集を指示する。即ち、車両管理装置10は、車両20の利用が終了した(返却された)ことを速やかに検知して、車両20の車両状態情報210の収集とその診断を指示する。この場合、返却された車両20の診断が、車両20に関する返却事務手続きと並列に行われるので、顧客は、車両20の返却時においても、車両20の診断が完了するまで待たされることはない。したがって、車両管理装置10は、車両を貸し出すサービスにおいて、顧客満足度の低下を防止しつつ、返却された車両の状態の確認を行うことができる。
【0063】
また、本実施形態に係る車両20は、車両20の充電開始あるいは給油開始を検知し、充電開始あるいは給油開始を検知した場合、車両状態情報210を収集し、収集した車両状態情報210を車両診断装置30に送信する。一般的に、車両20が走行中に、車両状態情報210を収集することは困難であり、車両20は、その利用中における車両状態情報210を収集可能なタイミング(充電時あるいは給油時)において車両状態情報210を収集するので、車両20の利用中において発生した故障を、より早く検出することを実現できる。
【0064】
また、本実施形態に係る車両20は、車両20の周辺を撮像して、その撮像画像を車両診断装置30に送信し、車両診断装置30は、車両状態情報210のみでなく当該撮像画像もふまえて車両20を診断する。したがって、車両20及び車両診断装置30は、車両20に発生した傷など、車両状態情報210からでは検出できないような車両20の不具合も検出することを実現できる。
【0065】
<第2の実施形態>
図4は、本発明の第2の実施形態に係る車両管理装置50の構成を示すブロック図である。
【0066】
本実施形態に係る車両管理装置50は、指示部51、診断結果取得部52、出力部53を備えている。指示部51、診断結果取得部52、出力部53は、順に、指示手段、診断結果取得手段、出力手段の一例である。
【0067】
指示部51は、車両管理情報510が示す車両60の利用開始予定時刻511よりも、所定の時間512の分、前の時刻に、車両60の診断に必要な車両状態情報610を収集する収集部61に、車両状態情報610の収集を指示する。車両60は、例えば、第1の実施形態に係る車両20と同様な車両である。車両管理情報510は、例えば、第1の実施形態に係る車両管理情報150と同様な情報である。利用開始予定時刻511は、例えば、第1の実施形態に係る利用開始予定時刻151と同様な時刻である。所定の時間512は、例えば、第1の実施形態に係る利用開始時診断指示基準時間153と同様な時間である。収集部61は、例えば、第1の実施形態に係る収集部21と同様に動作する。指示部51は、例えば、第1の実施形態に係る指示部11と同様に動作する。
【0068】
診断結果取得部52は、指示部51による指示に応じて収集された車両状態情報610に基づいて車両60が正常であるか否かを診断する診断部70から、車両60の診断結果700を取得する。診断部70は、例えば、第1の実施形態に係る診断部31と同様に動作する。診断結果700は、例えば、第1の実施形態に係る診断結果310と同様な情報である。診断結果取得部52は、例えば、第1の実施形態に係る診断結果取得部12と同様に動作する。
【0069】
出力部53は、診断結果700が、車両60が正常であることを表す場合、車両60に関する利用許可情報530を出力する。利用許可情報530は、例えば、第1の実施形態に係る利用許可情報154と同様な情報である。出力部53は、例えば、第1の実施形態に係る出力部13と同様に動作する。
【0070】
本実施形態に係る車両管理装置50は、車両を貸し出すサービスにおいて、顧客満足度の低下を防止しつつ、故障車両の貸し出しを防止することを実現できる。その理由は、車両管理装置50は、現在時刻が、車両60の利用開始予定時刻511よりも、所定の時間512ほど前の時刻である場合に、車両60に車両状態情報610の収集を指示し、車両状態情報610に基づく診断結果700を診断部70から取得するからである。
【0071】
<ハードウェア構成例>
上述した各実施形態において図1、及び、図4に示した車両管理装置における各部は、専用のHW(HardWare)(電子回路)によって実現することができる。また、図1、及び、図4において、少なくとも、下記構成は、プロセッサによって実行される命令を含むソフトウェアプログラムの機能(処理)単位(ソフトウェアモジュール)と捉えることができる。
・指示部11及び51、
・診断結果取得部12及び52、
・出力部13及び53、
・位置情報取得部14、
・記憶部15における記憶制御機能。
【0072】
但し、これらの図面に示した各部の区分けは、説明の便宜上の構成であり、実装に際しては、様々な構成が想定され得る。この場合のハードウェア環境の一例を、図5を参照して説明する。
【0073】
図5は、本発明の各実施形態に係る車両管理装置を実行可能な情報処理装置900(コンピュータ)の構成を例示的に説明する図である。即ち、図5は、図1、及び、図4に示した車両管理装置を実現可能なコンピュータ(情報処理装置)の構成であって、上述した実施形態における各機能を実現可能なハードウェア環境を表す。
【0074】
図5に示した情報処理装置900は、構成要素として下記を備えている。
・CPU(Central_Processing_Unit)901、
・ROM(Read_Only_Memory)902、
・RAM(Random_Access_Memory)903、
・ハードディスク(記憶装置)904、
・通信インタフェース905、
・バス906(通信線)、
・CD-ROM(Compact_Disc_Read_Only_Memory)等の記録媒体907に格納されたデータを読み書き可能なリーダライタ908、
・モニターやスピーカ、キーボード等の入出力インタフェース909。
【0075】
即ち、上記構成要素を備える情報処理装置900は、これらの構成がバス906を介して接続された一般的なコンピュータである。情報処理装置900は、CPU901を複数備える場合もあれば、マルチコアにより構成されたCPU901を備える場合もある。
【0076】
そして、上述した実施形態を例に説明した本発明は、図5に示した情報処理装置900に対して、次の機能を実現可能なコンピュータプログラムを供給する。その機能とは、その実施形態の説明において参照したブロック構成図(図1及び図4)における上述した構成、或いはフローチャート(図2及び図3)の機能である。本発明は、その後、そのコンピュータプログラムを、当該ハードウェアのCPU901に読み出して解釈し実行することによって達成される。また、当該装置内に供給されたコンピュータプログラムは、読み書き可能な揮発性のメモリ(RAM903)、または、ROM902やハードディスク904等の不揮発性の記憶デバイスに格納すれば良い。
【0077】
また、前記の場合において、当該ハードウェア内へのコンピュータプログラムの供給方法は、現在では一般的な手順を採用することができる。その手順としては、例えば、CD-ROM等の各種記録媒体907を介して当該装置内にインストールする方法や、インターネット等の通信回線を介して外部よりダウンロードする方法等がある。そして、このような場合において、本発明は、係るコンピュータプログラムを構成するコード或いは、そのコードが格納された記録媒体907によって構成されると捉えることができる。
【0078】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 車両管理システム
10 車両管理装置
11 指示部
12 診断結果取得部
13 出力部
14 位置情報取得部
15 記憶部
150 車両管理情報
151 利用開始予定時刻
152 利用終了予定時刻
153 利用開始時診断指示基準時間
154 利用許可情報
155 利用終了時診断指示基準時間
20 車両
21 収集部
210 車両状態情報
22 検知部
23 撮像部
230 撮像画像
30 車両診断装置
31 診断部
310 診断結果
311 診断基準
40 通信ネットワーク
50 車両管理装置
51 指示部
510 車両管理情報
511 利用開始予定時刻
512 所定の時間
52 診断結果取得部
53 出力部
530 利用許可情報
60 車両
61 収集部
610 車両状態情報
70 診断部
700 診断結果
900 情報処理装置
901 CPU
902 ROM
903 RAM
904 ハードディスク(記憶装置)
905 通信インタフェース
906 バス
907 記録媒体
908 リーダライタ
909 入出力インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5