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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168791
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】自動倉庫システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20231121BHJP
   G06Q 10/087 20230101ALI20231121BHJP
【FI】
B65G1/137 A
G06Q10/08 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080109
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100156395
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 寿王
(72)【発明者】
【氏名】小林 祐幾
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 徹雄
【テーマコード(参考)】
3F522
5L049
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522BB02
3F522CC06
3F522FF02
3F522FF27
3F522GG03
3F522GG13
3F522GG18
3F522GG22
3F522GG24
3F522GG25
3F522JJ01
3F522JJ02
3F522LL31
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】出荷予定物品の積み付け後の荷姿を改善し且つ出荷時刻までに出荷予定物品を出荷する。
【解決手段】出荷が予定された複数の出荷予定物品を格納する倉庫と、倉庫に格納されている複数の出荷予定物品の積み付けレイアウトを生成する積み付け計算を行う積み付け計算部127Aと、積み付け計算部127Aにより生成された積み付けレイアウトに基づいて、倉庫から出庫された複数の出荷予定物品を積み付ける積み付け装置と、を備え、積み付け計算部127Aは、複数の出荷予定物品の出荷数及び出荷時刻に関する出荷情報と、積み付け装置の処理能力に関する処理能力情報と、に基づいて、積み付け計算を開始する。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出荷が予定された複数の出荷予定物品を格納する倉庫と、
前記倉庫に格納されている複数の前記出荷予定物品の積み付けレイアウトを生成する積み付け計算を行う積み付け計算部と、
前記積み付け計算部により生成された前記積み付けレイアウトに基づいて、前記倉庫から出庫された複数の前記出荷予定物品を積み付ける積み付け装置と、を備え、
前記積み付け計算部は、
複数の前記出荷予定物品の出荷数及び出荷時刻に関する出荷情報と、前記積み付け装置の処理能力に関する処理能力情報と、に基づいて、前記積み付け計算を開始する、自動倉庫システム。
【請求項2】
前記積み付け計算部は、複数の前記出荷予定物品が出荷時刻までに出荷可能である場合、現時点で前記積み付け計算を開始する場合と比べて、複数の当該出荷予定物品が前記倉庫に格納されている時間が長くなるように、前記積み付け計算を開始する、請求項1に記載の自動倉庫システム。
【請求項3】
前記出荷情報を取得する出荷情報取得部と、
前記処理能力情報を取得する処理能力情報取得部と、を備える、請求項1に記載の自動倉庫システム。
【請求項4】
複数の前記出荷予定物品が出荷時刻までに出荷されるために前記積み付け装置に必要な処理能力である必要処理能力を、前記出荷情報に基づいて周期的に計算する能力計算部を備え、
前記積み付け計算部は、
前記能力計算部により計算された前記必要処理能力が、前記処理能力情報の処理能力を上回る場合、前記積み付け計算を開始する、請求項1~3のいずれか1項に記載の自動倉庫システム。
【請求項5】
前記能力計算部は、
第1出荷時刻に対応する複数の前記出荷予定物品の数及び前記第1出荷時刻より前に出荷される複数の前記出荷予定物品の数の総数と、前記第1出荷時刻と、に基づいて、前記必要処理能力を計算する、請求項4に記載の自動倉庫システム。
【請求項6】
前記第1出荷時刻は、全ての前記出荷予定物品にそれぞれ対応する全ての前記出荷時刻のうち最も遅い出荷時刻である、請求項5に記載の自動倉庫システム。
【請求項7】
同じ出荷時刻で且つ同じ出荷先の複数の前記出荷予定物品を同じ出荷グループとした場合において、
前記積み付け計算部は、
複数の前記出荷予定物品の前記積み付け計算を開始する場合、複数の前記出荷予定物品の中で出荷時刻が最も早い前記出荷グループの複数の前記出荷予定物品を対象として、前記積み付け計算を開始する、請求項4に記載の自動倉庫システム。
【請求項8】
前記能力計算部は、設定されたリスク値に更に基づいて、前記必要処理能力を計算する、請求項4に記載の自動倉庫システム。
【請求項9】
同じ出荷時刻で且つ同じ出荷先の複数の前記出荷予定物品を同じ出荷グループとした場合において、
前記出荷情報と前記処理能力情報とに基づいて、前記出荷グループごとに、複数の前記出荷予定物品の積み付けに要する時間である積み付け時間を計算する時間計算部を備え、
前記積み付け計算部は、
複数の出荷グループのそれぞれにおいて、出荷時刻と積み付け時間とに基づいて逆算した時刻を前記積み付け計算の開始タイミングとして決定すると共に、
決定した前記開始タイミングで前記積み付け計算を開始した場合に前記積み付け時間が複数の出荷グループで重なる場合、複数の出荷グループで前記積み付け時間が重ならないように当該開始タイミングを早める、請求項1~3のいずれか1項に記載の自動倉庫システム。
【請求項10】
前記積み付け計算部は、前記倉庫の空き棚数が所定値を下回った場合、前記積み付け計算を開始する、請求項1に記載の自動倉庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、目的の時間に目的の処理装置に物品(出荷予定物品)が到着するように、自動倉庫から出庫した物品をそれぞれの処理装置まで搬送する自動倉庫システムが記載されている。この自動倉庫システムでは、自動倉庫からそれぞれの処理装置まで物品を搬送するための所要時間の測定結果を基に平均搬送時間が計算され、当該平均搬送時間及び目的の時間を基に物品の出庫時刻が逆算され、当該出庫時刻に物品が出庫されると共に処理装置まで搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-347388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような自動倉庫システムでは、複数の出荷予定物品を積み付ける積み付け装置を処理装置として備える場合、積み付け後の荷姿を改善したいという要望がある。この要望を実現するためには、積み付け計算の開始をできる限り遅らせることにより積み付け計算の対象となる出荷予定物品(積み付け計算の選択肢)を増やすことが好ましい。一方、積み付け計算を遅らせると、出荷時刻までに出荷できなくなるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、積み付け後の出荷予定物品の荷姿を改善し且つ出荷時刻までに出荷予定物品を出荷することが可能な自動倉庫システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る自動倉庫システムは、出荷が予定された複数の出荷予定物品を格納する倉庫と、倉庫に格納されている複数の出荷予定物品の積み付けレイアウトを生成する積み付け計算を行う積み付け計算部と、積み付け計算部により生成された積み付けレイアウトに基づいて、倉庫から出庫された複数の出荷予定物品を積み付ける積み付け装置と、を備える。積み付け計算部は、複数の出荷予定物品の出荷数及び出荷時刻に関する出荷情報と、積み付け装置の処理能力に関する処理能力情報と、に基づいて、積み付け計算を開始する。
【0007】
この自動倉庫システムでは、複数の出荷予定物品の出荷数及び出荷時刻並びに積み付け装置の処理能力を考慮して、複数の出荷予定物品の積み付け計算を開始することができる。よって、例えば、複数の出荷予定物品の積み付け計算の開始を出荷に間に合わせながら可能な限り遅らせることが可能となる。その結果、出荷時刻に間に合う範囲で、倉庫内に多くの出荷予定物品を溜めて、積み付け計算の選択肢を増やすことが可能となる。以上のことから、出荷予定物品の積み付け後の荷姿を改善し且つ出荷時刻までに出荷予定物品を出荷することができる。
【0008】
本発明に係る自動倉庫システムでは、積み付け計算部は、複数の出荷予定物品が出荷時刻までに出荷可能である場合、現時点で積み付け計算を開始する場合と比べて、複数の当該出荷予定物品が倉庫に格納されている時間が長くなるように、積み付け計算を開始してもよい。この場合、出荷時刻に間に合う範囲で、倉庫内に多くの出荷予定物品を溜めて、積み付け計算の選択肢を増やすという上記作用を実現できる。
【0009】
本発明に係る自動倉庫システムは、出荷情報を取得する出荷情報取得部と、処理能力情報を取得する処理能力情報取得部と、を備えてもよい。この場合、出荷情報取得部及び処理能力情報取得部によって出荷情報及び処理能力情報を取得することができる。
【0010】
本発明に係る自動倉庫システムは、複数の出荷予定物品が出荷時刻までに出荷されるために積み付け装置に必要な処理能力である必要処理能力を、出荷情報に基づいて周期的に計算する能力計算部を備え、積み付け計算部は、能力計算部により計算された必要処理能力が、処理能力情報の処理能力を上回る場合、積み付け計算を開始してもよい。この場合、出荷時刻に間に合う範囲で、倉庫内に多くの出荷予定物品を溜めて、積み付け計算の選択肢を増やすという上記作用を、具体的に実現できる。
【0011】
本発明に係る自動倉庫システムでは、能力計算部は、第1出荷時刻に対応する複数の出荷予定物品の数及び第1出荷時刻より前に出荷される複数の出荷予定物品の数の総数と、第1出荷時刻と、に基づいて、必要処理能力を計算してもよい。この場合、必要処理能力を具体的に求めることが可能となる。
【0012】
本発明に係る自動倉庫システムでは、第1出荷時刻は、全ての出荷予定物品にそれぞれ対応する全ての出荷時刻のうち最も遅い出荷時刻であってもよい。この場合、出荷時刻が最も遅い出荷予定物品の出荷が出荷時刻より遅れることを抑制することが可能となる。
【0013】
本発明に係る自動倉庫システムでは、同じ出荷時刻で且つ同じ出荷先の複数の出荷予定物品を同じ出荷グループとした場合において、積み付け計算部は、複数の出荷予定物品の積み付け計算を開始する場合、複数の出荷予定物品の中で出荷時刻が最も早い出荷グループの複数の出荷予定物品を対象として、積み付け計算を開始してもよい。これにより、出荷時刻が早い出荷予定物品の出荷が、当該物品に対応する出荷時刻より遅れることを抑制することが可能となる。
【0014】
本発明に係る自動倉庫システムでは、能力計算部は、設定されたリスク値に更に基づいて、必要処理能力を計算してもよい。この場合、リスク値を考慮して必要処理能力を具体的に求めることが可能となる。
【0015】
本発明に係る自動倉庫システムでは、同じ出荷時刻で且つ同じ出荷先の複数の出荷予定物品を同じ出荷グループとした場合において、出荷情報と処理能力情報とに基づいて、出荷グループごとに、複数の出荷予定物品の積み付けに要する時間である積み付け時間を計算する時間計算部を備え、積み付け計算部は、複数の出荷グループのそれぞれにおいて、出荷時刻と積み付け時間とに基づいて逆算した時刻を積み付け計算の開始タイミングとして決定すると共に、決定した開始タイミングで積み付け計算を開始した場合に積み付け時間が複数の出荷グループで重なる場合、複数の出荷グループで積み付け時間が重ならないように当該開始タイミングを早めてもよい。この場合、出荷時刻に間に合う範囲で、倉庫内に多くの出荷予定物品を溜めて、積み付け計算の選択肢を増やすという上記作用を、具体的に実現できる。
【0016】
本発明に係る自動倉庫システムでは、積み付け計算部は、倉庫の空き棚数が所定値を下回った場合、積み付け計算を開始してもよい。この場合、倉庫の空き棚数の不足を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、出荷予定物品の積み付け後の荷姿を改善し且つ出荷時刻までに出荷予定物品を出荷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、自動倉庫システムの倉庫及び管理装置を示す概略構成図である。
図2図2は、自動倉庫システムを示す概略平面図である。
図3図3は、図2の自動倉庫システムの搬送装置の終端部分と積み付け装置とを示す概略斜視図である。
図4図4は、第1実施形態に係る管理装置の機能構成を示すブロック図である。
図5図5は、第1実施形態に係る自動倉庫システムにおける物品の出荷処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6(a)、(b)及び(c)は、第1実施形態に係る自動倉庫システムにおける物品の出荷処理の一例を説明するための図である。
図7図7は、第1実施形態に係る自動倉庫システムにおける物品の出荷処理の一例を説明するための図である。
図8図8は、第2実施形態に係る管理装置の機能構成を示すブロック図である。
図9図9は、第2実施形態に係る自動倉庫システムにおける物品の出荷処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、第2実施形態に係る自動倉庫システムにおける物品の出荷処理の一例を説明するための図である。
図11図11(a)、(b)及び(c)は、第2実施形態に係る自動倉庫システムにおける物品の出荷処理の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態について、図面を参照して詳細を説明する。各図の説明において、同一又は相当する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0020】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る自動倉庫システムの概要を説明する。図1は、自動倉庫システムの倉庫及び管理装置を示す概略斜視図である。図2は、自動倉庫システムを示す概略平面図である。図3は、自動倉庫システムの搬送装置の終端部分と積み付け装置とを示す概略斜視図である。図1に示されるように、自動倉庫システム100Aは、複数の荷物(出荷予定物品)200の入庫、保管、出庫などを管理及び自動化するためのオートメーションシステムである。自動倉庫システム100Aは、倉庫110と、管理装置120Aと、を備える。
【0021】
倉庫110は、出荷が予定された複数の荷物200を格納する。荷物200は、例えば、直方体形状を有する段ボールケースである。例えば複数の荷物200の少なくとも一部は、そのサイズ又は形状が互いに異なっていてもよい。倉庫110は、ラック130と、搬出入装置140と、昇降搬送装置150と、を備える。加えて、図2に示されるように、自動倉庫システム100Aは、多段コンベア143と、搬送装置160と、寸法取得装置170と、積み付け装置180と、搬送走行車190とを備える。以下では、水平方向における所定方向を第1方向Xとし、水平方向において当該第1方向Xに直交する方向を第2方向Yとし、第1方向X及び第2方向Yに直交する方向を第3方向Zとする。
【0022】
ラック130は、出荷が予定された荷物200が保管される設備である。ラック130は、第2方向Yにおいて並ぶように複数配置されている。各ラック130は、第3方向Zから見て長方形状を有する複数の段を有する。各ラック130では、第3方向Zから見て、各段の長辺が第1方向Xに沿って延在しており、各段上に複数の荷物200が第1方向Xに沿って配置される。
【0023】
搬出入装置140は、複数の荷物200をまとめて搬出入できる設備である。搬出入装置140は、レール141と、搬送台車142とを備える。レール141は、第1方向Xに延在する棒状の部材である。レール141は、ラック130の側方においてラック130の各段に対応した高さに配置されている。レール141は、多段コンベア143に対応する位置にまで延在している。
【0024】
搬送台車142は、荷物200を搬送する設備である。搬送台車142は、レール141に沿って移動する。搬送台車142には、荷物200の側面を押したり引いたりする部材、荷物200を持ち上げるフォークなどが設けられる。多段コンベア143は、ラック130の各段に対応した高さに配置された搬送装置である。多段コンベア143は、第1方向Xにおいてラック130と昇降搬送装置150との間に配置されている。多段コンベア143には、搬送台車142上の荷物200が移載される。
【0025】
上述した搬出入装置140によれば、ラック130から搬送台車142により取り出された荷物200を多段コンベア143に一時的に保管できる。また、搬送台車142を待機させることなく荷物200を昇降搬送装置150に順次移載できる。多段コンベア143が、昇降搬送装置150から多段コンベア143に移載された荷物200を一時的に保管することによって、昇降搬送装置150を待機させることなく荷物200をラック130に保管できる。
【0026】
昇降搬送装置150は、荷物200を昇降移動させる装置である。昇降搬送装置150は、搬送台車142から受け取った荷物200をラック130の各段、及び後述の搬送装置160に対応する所望の位置に昇降させる。昇降搬送装置150の種類は特に限定されない。第1実施形態では、昇降搬送装置150として、複数個の荷物200を一斉に昇降させる能力を備えたいわゆるバーチカルコンベアが採用されている。
【0027】
昇降搬送装置150は、水平方向に荷物200を搬送することができるローラコンベアなどのコンベアを備える。昇降搬送装置150は、保持している複数の荷物200を搬送装置160に払い出すこと、及び、荷物200を搬送装置160から受け取ることができる。昇降搬送装置150の配置は、特に限定されないが、第1実施形態では、ラック130の搬送装置160側の端部に昇降搬送装置150が配置されている。搬送台車142を挟んで配置される一対の昇降搬送装置150の一方は搬入用の装置であり、その他方は搬出用の装置であってもよい。
【0028】
搬送装置160は、搬出入装置140及び昇降搬送装置150を介してラック130から出庫された荷物200を搬送する設備である。第1実施形態では、搬送装置160は、出庫された荷物200を、積み付け装置180が保持することができる位置まで出庫順で順次一列で搬送する設備である。搬送装置160によって搬送される荷物200の経路は、特に限定されない。第1実施形態では、昇降搬送装置150から積み付け装置180の近傍まで最短距離で搬送する経路ではなく、荷物200を蛇行して搬送する経路となっている。これにより、搬送装置160は、複数個の荷物200を一時的に保持するバッファーとしても機能する。搬送装置160の種類は、特に限定されないが、ローラコンベア、ベルトコンベアなどである。
【0029】
なお、図2に示されるように、自動倉庫システム100Aは、搬出用の搬送装置160を備えているが、これに加えて、ラック130に荷物200を搬入するための搬入用の搬送装置220を備えている。搬入用の搬送装置220は、搬入用の昇降搬送装置150に接続されている。
【0030】
寸法取得装置170は、搬入用の搬送装置220上に配置される複数の荷物200のそれぞれの寸法を取得する設備である。寸法取得装置170は、搬入用の搬送装置220上の荷物200の第1方向Xに沿った寸法、第2方向Yに沿った寸法、及び第3方向Zに沿った寸法を取得する。取得した各寸法に関する情報(寸法情報)は、管理装置120Aに送信される。
【0031】
図2及び図3に示されるように、積み付け装置180は、搬送装置160により搬送された荷物200を出庫順で積み付ける装置である。荷物200の積み付け(パレタイズ)とは、限られた空間に荷物200を配置することである。積み付け装置180は、管理装置120Aの積み付け計算部127A(後述する)により生成される荷物200の積み付けレイアウトに基づいて、複数の荷物200を積み付ける。
【0032】
第1実施形態では、積み付け装置180は、パレット210上に荷物200を三次元的に配置する。具体的には、積み付け装置180は、パレット210の上に複数の荷物200を配置し、配置された荷物200の上にさらに荷物200を積み上げる。積み付け装置180の種類は、特に限定されず、図3に示すような6軸ロボットの他、パラレルリンクロボットなどでもよく、荷物200を保持するチャックを各方向に移動させることができるクレーンなどでもよい。積み付けレイアウトとは、限られた空間に荷物200を配置する際に、限られた空間のどの場所に複数の荷物200をどのように配置するかを示す配置レイアウトである。
【0033】
搬送走行車190は、積み付け装置180により積み付けられた荷物200を他の場所に搬送する。搬送走行車190の種類は、特に限定されない。搬送走行車190は、例えば、有人のフォークリフト及びパレット210を掬い上げるフォークを備えた搬送車などであってもよい。第1実施形態では、搬送走行車190は、自律的に動作する無人搬送車であり、積み付け装置180によりパレット210上に積み付けられた荷物200をパレットと共にトラックバース240(図2を参照)まで搬送する。
【0034】
図4は、管理装置120Aの機能構成を示すブロック図である。管理装置120Aは、入庫物品管理部121と、出庫物品管理部122と、寸法情報取得部123と、出荷情報取得部124と、処理能力情報取得部125と、能力計算部126と、積み付け計算部127Aと、を備えている。管理装置120Aの各機能は、プログラムをコンピュータなどで機能させることにより実現される。
【0035】
入庫物品管理部121は、自動倉庫システム100Aに入庫される荷物200の位置などを管理する。入庫物品管理部121は、管理装置120Aに入力される情報に応じて指定されるラック130に荷物200が入庫されるように、搬出入装置140を制御する。入庫物品管理部121は、入庫した荷物200の位置などの情報を記憶する。入庫物品管理部121は、ラック130において荷物200が配置されている領域及び/又は荷物200が配置されていない領域に関する情報を取得する。また、入庫物品管理部121は、管理装置120Aに入力される情報に応じて、荷物200と、荷物200に対応する出荷時刻とを記憶する。入庫物品管理部121は、複数の荷物200の数及び出荷時刻に関する出荷情報を生成して、当該出荷情報を出荷情報取得部124に出力する。
【0036】
出庫物品管理部122は、受け付けた出荷オーダーに基づいて、同じ出荷時刻で且つ同じ出荷先の複数の荷物200を同一の出荷グループとして管理する。出庫物品管理部122は、例えば、自動倉庫システム100Aの内部もしくは外部から送信される出荷オーダーを受け付ける。出荷オーダーは、例えば、予め定められる荷物200の配送先、荷物200の希望到着日時などの条件によってまとめられた複数のオーダーでもよい。出荷グループは、例えば、上記配送先、上記希望到着日時に基づく出荷時刻などによって分類されてもよい。本実施形態では、各出荷グループに含まれる複数の荷物200は、同一のパレット210上に積み付けられる。また、出庫物品管理部122は、出荷グループに関する情報であるグループ情報を積み付け計算部127Aに出力する。グループ情報は、出荷グループと当該出荷グループに対応する荷物200とを示す情報である。
【0037】
加えて、出庫物品管理部122は、倉庫110の出庫キューを記憶している。倉庫110の出庫キューとは、出庫の準備が完了している荷物200のリストである。出庫の準備が完了している荷物200とは、例えば、積み付け計算部127Aにより積み付け計算が完了した荷物200である(後述する)。出庫物品管理部122は、倉庫110の出庫キューに登録された荷物200が出庫されるように、搬出入装置140を制御する。出庫物品管理部122は、出庫する荷物200の位置などの情報を記憶する。
【0038】
寸法情報取得部123は、荷物200固有の性状を示す荷物情報を取得する。荷物情報は、荷物200の性状を示す情報であれば特に限定されないが、例えば積み付けレイアウトを生成する際に用いられる情報である。荷物200の性状は、物質の性質と状態という意味であり、例えば、荷物200の重さ、寸法などである。荷物情報は、定量的に示すことが可能な物理量に関する情報だけでなく、人為的に定められる情報も含む。物理量に関する情報は、例えば、荷物200の重さを示す重量情報、荷物200の寸法を示す寸法情報、荷物200の底面積に対する高さ寸法を示す安定度情報、荷物200の単位底面積あたりの重さを示す圧力情報、上に乗せられる荷物200の重量の限度を示す耐荷重情報などである。人為的に定められる情報は、例えば、荷物200の中に収容される物品の破損のしやすさ、荷物200の中に収容される物品の価値などである。寸法情報取得部123の荷物情報の取得先は、特に限定されない。寸法情報取得部123は、例えば、搬出入装置140、寸法取得装置170などから荷物情報を取得する。
【0039】
出荷情報取得部124は、複数の荷物200の数及び出荷時刻に関する出荷情報を取得する。例えば、出荷情報取得部124は、入庫物品管理部121の内部で生成された出荷情報を取得する。処理能力情報取得部125は、積み付け装置180の処理能力に関する処理能力情報を取得する。例えば、処理能力情報取得部125は、積み付け装置180から処理能力情報を取得する。能力計算部126は、複数の荷物200が出荷時刻までに出荷されるために積み付け装置180に必要な処理能力である必要処理能力を、出荷情報に基づいて周期的に計算する。なお、処理能力は、荷物200が積み付けられる際に積み付け装置180によって実際に発揮される能力であればよく、例えば、積み付け装置180が処理できる最大能力であってもよいし、積み付け装置180の仕様上の能力であってもよいし、これらの能力に基づき求められた基準となる能力であってもよい。
【0040】
積み付け計算部127Aは、複数の荷物200の積み付けレイアウトを生成する積み付け計算を行う。具体的には、積み付け計算部127Aは、寸法情報取得部123から荷物情報を取得する。積み付け計算部127Aは、荷物情報に基づいて、荷物200の積み付け計算を行う。第1実施形態では、積み付け計算部127Aは、少なくとも荷物200の寸法情報に基づいて、積み付けレイアウトを生成する。積み付けレイアウトの生成において、同一のグループに含まれる荷物200の積載順は、例えば、深さ優先探索、幅優先探索などの木探索によって設定される。この場合、予め定められる基準に達した積載順が得られた時点で荷物200の積載順が決定されてもよい。また、予め定められる条件(例えば、荷物200の数など)に応じて、探索されないデータがあってもよい。生成される積み付けレイアウトに関する情報は、積み付け装置180に送信される。積み付け計算部127Aは、複数の荷物200について積み付け計算を行い、一定基準(後述する)を満たしたパレットを算出することができた場合、当該パレットに対応する複数の荷物200を、出庫物品管理部122によって記憶されている倉庫110の出庫キューに登録する。また、積み付け計算を行う際に当該積み付けレイアウトの対象となる荷物200の数が多いほど、積み付け計算における選択肢が増える。この場合、積み付けレイアウトに基づいて積み付けられた荷物200の荷姿が改善される。
【0041】
積み付け計算部127Aは、出荷情報と処理能力情報とに基づいて、当該積み付け計算を開始する。このとき、積み付け計算部127Aは、複数の荷物200が出荷時刻までに出荷可能である場合、現時点で積み付け計算を開始する場合と比べて、複数の当該荷物200が倉庫110に格納されている時間が長くなるように、積み付け計算を開始する。具体的には、積み付け計算部127Aは、能力計算部126によって出荷情報に基づいて計算された必要処理能力が処理能力情報の処理能力を上回る場合にのみ、積み付け計算を開始する。積み付け計算部127Aについての詳細な説明は後述する。
【0042】
以下、図5を参照して、自動倉庫システム100Aにおける荷物200の出荷処理の一例について説明する。図5は、自動倉庫システム100Aにおける荷物200の出荷処理の一例を示すフローチャートである。当該出荷処理は、周期的に実行されており、例えば1分~10分ごとに実行されてもよいし、90秒ごとに実行されてもよい。また、出荷処理は、周期的に実行されていなくてもよく、例えば、出荷情報取得部124によって新たな出荷情報が取得されたとき(新しい出荷情報が登録されたとき)に実行されてもよい。
【0043】
まず、管理装置120Aは、積み付け装置180が待機状態であるか否かを判定する(ステップS101)。次に、積み付け装置180が待機状態ではなかった場合(ステップS101:NO)、管理装置120Aは、倉庫110の出庫待ちキューに登録された荷物200の数が一定数を下回っているか否かを判定する(ステップS102)。続いて、積み付け装置180が待機状態であった場合(ステップS101:YES)又は、上記荷物200の数が一定数を下回っていた場合(ステップS102:YES)、出荷情報取得部124は、複数の荷物200の数及び出荷時刻に関する出荷情報を取得する(ステップS103)。続いて、処理能力情報取得部125は、積み付け装置180の処理能力に関する処理能力情報を取得する(ステップS104)。
【0044】
続いて、能力計算部126は、複数の荷物200が出荷時刻までに出荷されるために積み付け装置180に必要な処理能力である必要処理能力を、出荷情報に基づいて計算する(ステップS105)。続いて、積み付け計算部127Aは、出荷情報と処理能力情報とに基づいて、当該積み付け計算を開始するか否かを判定する。(ステップS106)。
【0045】
ステップS105では、能力計算部126は、所定の出荷時刻である第1出荷時刻について、第1出荷時刻に対応する荷物200の数及び第1出荷時刻より前に出荷される複数の荷物200の総数と、第1出荷時刻とに基づいて必要処理能力を計算する。能力計算部126は、設定されたリスク値にも基づいて、必要処理能力を計算する。具体的には、能力計算部126は、まず、現在時刻から第1出荷時刻までの時間から、積み付け完了後にトラックなどへの積み込みの完了までに要する時間である積み込み時間を減算することにより、出荷までに積み付けに費やすことが可能な時間である残時間を計算する。次に、能力計算部126は、第1出荷時刻に対応する荷物200の数と第1出荷時刻より前に出荷される複数の荷物200の総数とを合計した数値を出荷梱残数とする。最後に、能力計算部126は、出荷梱残数を残時間で除算した数値に、予め設定されたリスク値を乗算した数値を必要処理能力として計算する。
【0046】
続いて、積み付け計算部127Aによって積み付け計算を開始しないと判定された場合(ステップS106:NO)、積み付け計算部127Aは、倉庫110における空き棚の数が一定数を下回っているか否かを判定する(ステップS107)。なお、上記一定数とは、荷物200が倉庫110に入庫される際に荷物200が配置される空き棚が不足することを回避できるように設定されていればよい。例えば、一定数とは、棚の総数に対する空き棚の数の割合が15%であってもよい。
【0047】
ステップS106では、積み付け計算部127Aは、荷物200が出荷時刻までに出荷可能であるか(出荷時刻に間に合うか)否かを判定する。具体的には、積み付け計算部127Aは、能力計算部126によって出荷情報に基づいて計算された必要処理能力が、処理能力情報の処理能力を上回るか否かを判定する。積み付け計算部127Aは、必要処理能力が処理能力を上回る場合、荷物200が出荷時刻までに出荷可能ではないとして積み付け計算を開始する。
【0048】
続いて、積み付け計算部127Aによって、積み付け計算を開始すると判定された場合(ステップS106:YES)又は、倉庫110における空き棚の数が一定数を下回っていると判定された場合(ステップS107:YES)、積み付け計算部127Aは、荷物200の積み付けレイアウトを生成する積み付け計算を行う(ステップS108)。続いて、積み付け計算部127Aは、積み付け計算が完了した荷物200を倉庫110の出庫待ちキューに、当該荷物200が積み付けられたパレット単位で登録する(ステップS109)。
【0049】
ステップS108では、同じ出荷時刻で且つ同じ出荷先の複数の荷物200を同じ出荷グループとした場合において、積み付け計算部127Aは、複数の荷物200の積み付け計算を開始する場合、複数の荷物200の中で出荷時刻が最も早い出荷グループの複数の荷物200を対象として、積み付け計算を開始する。
【0050】
なお、ステップS108では、積み付け計算部127Aは、1つの出荷グループに含まれる複数の荷物200(同一の出荷時刻を有する複数の荷物200)について積み付けレイアウトを計算する場合、直前に積み付けレイアウトの計算対象となった荷物200と同じ配送番号に含まれる複数の荷物200について積み付けレイアウトを優先して計算する。これにより、積み付け装置180が、同じ配送番号に含まれる複数の荷物200の積み付けを連続して実行することが可能となる。
【0051】
最後に、出荷待ちキューに登録された荷物200の数が一定数を上回っていた場合(ステップS102:NO)、倉庫110における空き棚の数が一定数を上回っていた場合(ステップS107:NO)、又は倉庫110の出荷待ちキューへの登録が行われた場合(ステップS109)、処理を終了する。
【0052】
図6(a)、(b)及び(c)を参照してステップS105及びS106における処理について詳細に説明する。図6(a)、(b)及び(c)は、第1実施形態に係る自動倉庫システムにおける荷物200の出荷処理の一例を説明するための図である。図6(a)、(b)及び(c)に示される例では、配送番号001~006に対応する複数の荷物200が倉庫110に格納されている。図6(a)では、16時00分の時点における倉庫110の状態が示されており、配送番号001~004に対応する複数の荷物200が倉庫110に格納されている。図6(b)では、図6(a)から10分経過した時点における倉庫110の状態が示されている。図6(c)では、図6(a)から5分が経過した時点において、配送番号005及び006に対応する複数の荷物200が更に格納された場合の倉庫110の状態が示されている。
【0053】
配送番号001及び002において、荷物200の数はそれぞれ500個であり、出荷時刻は18時00分である。配送番号003において、荷物200の数は400個であり、出荷時刻が18時30分である。配送番号004において、荷物200の数は600個であり、出荷時刻が18時30分である。配送番号005において、荷物200の数は300個であり、出荷時刻が19時00分である。配送番号006において、荷物200の数は400個であり、出荷時刻が19時00分である。また、上述したように、出庫物品管理部122は、同じ出荷時刻で且つ同じ出荷先の複数の荷物200を同じ出荷グループとする。具体的には、出庫物品管理部122は、配送番号001及び002に対応する複数の荷物200を第1出荷グループ、配送番号003及び004に対応する複数の荷物200を第2出荷グループ、配送番号005及び006に対応する複数の荷物200を第3出荷グループとする。
【0054】
図6(a)に示される例では、第1出荷グループについて下記の開始判定処理(ステップS105及びS106)が実行される。まず、能力計算部126が、現在時刻16時00分から出荷時刻18時00分までの時間から積み込み時間0.5時間を減算して、1.5時間を残時間として導出する。次に、能力計算部126が、出荷時刻18時00分までに出荷される荷物200の数の総数である1000個を出荷梱残数とする。能力計算部126は、出荷梱残数1000個を残時間1.5時間で除算した数値に、リスク値1.1を乗算した数値733個/時間を必要処理能力として計算する。最後に、積み付け計算部127Aは、必要処理能力733個/時間が、積み付け装置180の処理能力である1200個/時間を下回るので、積み付け計算を開始せず待機する。
【0055】
更に、図6(a)に示される例では、第2出荷グループについて下記の開始判定処理(ステップS105及びS106)が実行される。まず、能力計算部126が、現在時刻16時00分から出荷時刻18時30分までの時間から積み込み時間0.5時間を減算して、2.0時間を残時間として導出する。次に、能力計算部126が、出荷時刻18時30分までに出荷される荷物200の数と出荷時刻18時30分より前に出荷される荷物200の数との合計である2000個を出荷梱残数とする。能力計算部126は、出荷梱残数2000個を残時間2.0時間で除算した数値に、リスク値1.1を乗算した数値1100個/時間を必要処理能力として計算する。最後に、積み付け計算部127Aは、必要処理能力1100個/時間が、処理能力1200個/時間を下回るので、積み付け計算を開始せず待機する。このように、第1出荷時刻は、全ての荷物200にそれぞれ対応する全ての出荷時刻のうち最も遅い出荷時刻であってもよい。
【0056】
図6(b)に示される例では、第1出荷グループについて上記と同様にして開始判定処理(ステップS105及びS106)が実行される。能力計算部126が、1.33時間を残時間として、1000個を出荷梱残数として、それぞれ計算する。能力計算部126は、出荷梱残数を残時間で除算した値にリスク値1.1を乗算して、827個/時間を必要処理能力として計算する。積み付け計算部127Aは、必要処理能力827個/時間が処理能力1200個/時間を下回るので、積み付け計算を開始せず待機する。
【0057】
更に、図6(b)に示される例では、第2出荷グループについて上記と同様にして開始判定処理(ステップS105及びS106)が実行される。能力計算部126が、1.83時間を残時間として、2000個を出荷梱残数として、それぞれ計算する。能力計算部126は、出荷梱残数を残時間で除算した値にリスク値1.1を乗算して、1202個/時間を必要処理能力と計算する。積み付け計算部127Aは、必要処理能力1202個/時間が処理能力1200個/時間を上回るので、第1出荷グループ及び第2出荷グループに含まれる荷物200を対象として積み付け計算を開始する。このように、第1出荷時刻は、全ての荷物200にそれぞれ対応する全ての出荷時刻のうち最も遅い出荷時刻であってもよい。また、積み付け計算部127Aは、積み付け計算を開始する場合、まず第1出荷グループの複数の荷物200を対象として、積み付け計算を開始する。以降、出荷時刻が早い順に各出荷グループについて積み付け計算が行われる。
【0058】
図6(c)に示される例では、第1出荷グループについて上記と同様にして開始判定処理(ステップS105及びS106)が実行される。能力計算部126が、1.41時間を残時間として、1000個を出荷梱残数として、それぞれ計算する。能力計算部126は、出荷梱残数を残時間で除算した値にリスク値1.1を乗算して、780個/時間を必要処理能力として計算する。積み付け計算部127Aは、必要処理能力780個/時間が処理能力1200個/時間を下回るので、積み付け計算を開始せず待機する。
【0059】
更に、図6(c)に示される例では、第2出荷グループについて上記と同様にして開始判定処理(ステップS105及びS106)が実行される。能力計算部126が、1.91時間を残時間として、2000個を出荷梱残数として、それぞれ計算する。能力計算部126は、出荷梱残数を残時間で除算した値にリスク値1.1を乗算して、1151個/時間を必要処理能力として計算する。積み付け計算部127Aは、必要処理能力1151個/時間が処理能力1200個/時間を下回るので、積み付け計算を開始せず待機する。
【0060】
加えて、図6(c)に示される例では、第3出荷グループについて上記と同様にして開始判定処理(ステップS105及びS106)が実行される。能力計算部126が、2.41時間を残時間として、2700個を出荷梱残数として、それぞれ計算する。能力計算部126は、出荷梱残数を残時間で除算した値にリスク値1.1を乗算して、1232個/時間を必要処理能力として計算する。積み付け計算部127Aは、必要処理能力1232個/時間が処理能力1200個/時間を上回るので、第1出荷グループ、第2出荷グループ及び第3出荷グループに含まれる荷物200を対象として積み付け計算を開始する。このように、第1出荷時刻は、全ての荷物200にそれぞれ対応する全ての出荷時刻のうち最も遅い出荷時刻であってもよい。また、積み付け計算部127Aは、積み付け計算を開始する場合、まず第1出荷グループの複数の荷物200を対象として、積み付け計算を開始する。以降、出荷時刻が早い順に各出荷グループについて積み付け計算が行われる。
【0061】
以上、図6(a)、(b)及び(c)において述べたように、能力計算部126及び積み付け計算部127Aは、倉庫110に格納されている複数の荷物200に対応する各出荷時刻を第1出荷時刻として各開始判定処理を実行する。図7は、図6(c)における残時間及び積み込み時間を出荷グループごとに示した表である。図7にも示されるように全ての出荷時刻について開始判定処理(ステップS105及びS106)が実行されるため、全ての荷物200の出荷が各出荷時刻に遅れる可能性を低減することができる。
【0062】
以上、自動倉庫システム100Aでは、複数の荷物200の出荷数及び出荷時刻並びに積み付け装置180の処理能力を考慮して、複数の荷物200の積み付け計算を開始することができる。よって、例えば、複数の荷物200の積み付け計算の開始を出荷に間に合わせながら可能な限り遅らせることが可能となる。その結果、出荷時刻に間に合う範囲で、倉庫110内に多くの荷物200を溜めて、積み付け計算の選択肢を増やすことが可能となる。以上のことから、荷物200の積み付け後の荷姿を改善し且つ出荷時刻までに荷物200を出荷することができる。
【0063】
自動倉庫システム100Aでは、積み付け計算部127Aは、複数の荷物200が出荷時刻までに出荷可能である場合、現時点で積み付け計算を開始する場合と比べて、複数の当該荷物200が倉庫110に格納されている時間が長くなるように、積み付け計算を開始する。この場合、出荷時刻に間に合う範囲で、倉庫内に多くの荷物200を溜めて、積み付け計算の選択肢を増やすという上記作用を実現できる。
【0064】
具体的には、複数の荷物200の積み付け計算の開始を、出荷に間に合わせながら可能な限り遅らせることが可能となる。その結果、出荷時刻に間に合う範囲で、倉庫110内に多くの荷物200を溜めて、積み付け計算の選択肢を増やすことが可能となる。以上のことから、荷物200の積み付け後の荷姿を改善し且つ出荷時刻までに荷物200を出荷することができる。
【0065】
自動倉庫システム100Aは、出荷情報を取得する出荷情報取得部124と、処理能力情報を取得する処理能力情報取得部125と、を備える。この場合、出荷情報取得部及び処理能力情報取得部によって出荷情報及び処理能力情報を取得することができる。
【0066】
具体的には、自動倉庫システム100Aの内部又は外部から出荷情報及び処理能力情報を取得することが可能となる。これにより、複数の荷物200の出荷数及び出荷時刻並びに積み付け装置180の処理能力について、より高精度の情報を取得することが可能となる。その結果、荷物200の積み付け後の荷姿をさらに改善し且つ出荷時刻までにより確実に荷物200を出荷することができる。
【0067】
自動倉庫システム100Aは、複数の荷物200が出荷時刻までに出荷されるために積み付け装置180に必要な処理能力である必要処理能力を、出荷情報に基づいて周期的に計算する能力計算部126を備える。積み付け計算部127Aは、能力計算部126により計算された必要処理能力が、処理能力情報の処理能力を上回る場合、積み付け計算を開始する。この場合、出荷時刻に間に合う範囲で、倉庫内に多くの荷物200を溜めて、積み付け計算の選択肢を増やすという上記作用を、具体的に実現できる。
【0068】
具体的には、必要処理能力が処理能力を上回る前に積み付け計算を開始することができる。これにより、出荷時刻までに荷物200をより確実に出荷することができる。また、上述した出荷処理は、周期的に実行されるため、必要処理能力の計算並びに当該必要処理能力と処理能力との比較が周期的に行われる。これにより、例えば、設備の異常、出荷する荷物200の変更、又は出荷時刻の変更が発生した場合において、当該能力が処理能力を上回る前に積み付け計算を開始することが可能となる。その結果、荷物200の出荷が出荷時刻より遅れる可能性を低減することができる。
【0069】
自動倉庫システム100Aでは、能力計算部126は、第1出荷時刻に対応する複数の荷物200の数及び第1出荷時刻より前に出荷される複数の荷物200の数の総数と、第1出荷時刻と、に基づいて、必要処理能力を計算する。この場合、必要処理能力を具体的に求めることが可能となる。
【0070】
具体的には、第1出荷時刻について計算された必要処理能力に基づいて積み付け計算を開始することができる。その結果、第1出荷時刻に対応する複数の荷物200を出荷時刻までにより確実に出荷する。
【0071】
自動倉庫システム100Aでは、第1出荷時刻は、全ての荷物200にそれぞれ対応する全ての出荷時刻のうち最も遅い出荷時刻である。この場合、出荷時刻が最も遅い荷物200の出荷が出荷時刻より遅れることを抑制することが可能となる。
【0072】
具体的には、出荷時刻が最も遅い荷物200の出荷が出荷時刻より遅れることが抑制される。これにより、出荷時刻までに荷物200をより確実に出荷することができる。
【0073】
自動倉庫システム100Aでは、出庫物品管理部122によって、同じ出荷時刻で且つ同じ出荷先の複数の荷物200が同じ出荷グループとされている。この場合、積み付け計算部127Aは、複数の荷物200の積み付け計算を開始する場合、複数の荷物200の中で出荷時刻が最も早い出荷グループの複数の荷物200を対象として、積み付け計算を開始する。これにより、出荷時刻が早い荷物200の出荷が、当該荷物200に対応する出荷時刻より遅れることを抑制することが可能となる。その結果、出荷時刻までに荷物200をより確実に出荷することが可能となる。
【0074】
自動倉庫システム100Aでは、能力計算部126は、設定されたリスク値に基づいて、必要処理能力を計算する。この場合、リスク値を考慮して必要処理能力を具体的に求めることが可能となる。
【0075】
具体的には実際の必要処理能力より高い必要処理能力と処理能力とを比較して積み付け計算が開始される。これにより、不測の事態が生じた場合に、荷物200の出荷が出荷時刻より遅れる可能性を低減することができる。例えば、設備の異常、出荷する荷物200の変更、又は出荷時刻の変更が発生し、必要処理能力より高い能力が積み付け装置180に要求された場合において、当該能力が処理能力を上回る前に積み付け計算を開始することが可能となる。その結果、荷物200の出荷が出荷時刻より遅れる可能性を低減することができる。
【0076】
自動倉庫システム100Aでは、積み付け計算部127Aは、倉庫110の空き棚数が所定値を下回った場合、積み付け計算を開始する。この場合、倉庫110の空き棚数の不足を防ぐことができる。
【0077】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る自動倉庫システム100Bは、管理装置120Aに代えて管理装置120Bを有する点で第1実施形態に係る自動倉庫システム100Aと異なる。図8は、第2実施形態に係る管理装置120Bを示すブロック図である。管理装置120Bは、能力計算部126及び積み付け計算部127Aに代えて、積み付け計算部127B及び時間計算部128Bを有する点で管理装置120Aと異なる。
【0078】
積み付け計算部127Bは、積み付け計算部127Aと同様にして、荷物200の積み付けレイアウトを生成する積み付け計算を行う。積み付け計算部127Bは、出荷情報と処理能力情報とに基づいて、当該積み付け計算を出荷グループごとに開始する。このとき、積み付け計算部127Aは、複数の荷物200が出荷時刻までに出荷可能である場合、現時点で積み付け計算を開始する場合と比べて、複数の当該荷物200が倉庫110に格納されている時間が長くなるように、積み付け計算を開始する。具体的には、積み付け計算部127Bは、出庫物品管理部122からグループ情報を取得し、積み付け計算を実行する出荷グループを選択する。積み付け計算部127Bは、積み付け計算部127Aと異なり、時間計算部128Bによって出荷情報と処理能力情報とから計算された積み付け時間と、出荷時刻とに基づいて出荷グループごとに逆算した時刻を積み付け計算の開始タイミングとして当該出荷グループについて決定する。積み付け計算部127Bは、開始タイミングを出荷グループごとに決定すると共に、決定した開始タイミングを出荷グループごとに早める。
【0079】
時間計算部128Bは、出荷情報と処理能力情報とに基づいて、出荷グループごとに、複数の荷物200の積み付けに要する時間である積み付け時間を計算する。具体的には、時間計算部128Bは、出荷情報に含まれる荷物200の数を積み付け装置180の処理能力で除算することにより、積み付け時間を計算する。
【0080】
図9は、第2実施形態に係る自動倉庫システム100Bにおける荷物200の出荷処理の一例を示すフローチャートである。第2実施形態に係る出荷処理は、ステップS105及びS106に代えて、ステップS201~S204を有する点で第1実施形態に係る出荷処理と異なる。
【0081】
まず、管理装置120Bは、積み付け装置180が待機状態であるか否かを判定する(ステップS101)。次に、積み付け装置180が待機状態ではなかった場合(ステップS101:NO)、管理装置120Bは、出庫待ちキューに登録された荷物200の数が一定数を下回っているか否かを判定する(ステップS102)。続いて、積み付け装置180が待機状態であった場合(ステップS101:YES)又は、上記荷物200の数が一定数を下回っていた場合(ステップS102:YES)、出荷情報取得部124は、複数の荷物200の出荷数及び出荷時刻に関する出荷情報を取得する(ステップS103)。続いて、処理能力情報取得部125は、積み付け装置180の処理能力に関する処理能力情報を取得する(ステップS104)。
【0082】
続いて、時間計算部128Bは、出荷情報と処理能力情報とに基づいて、出荷グループごとに、複数の荷物200の積み付けに要する時間である積み付け時間を計算する(ステップS201)。続いて、積み付け計算部127Bは、積み付け計算の開始タイミングを決定する(ステップS202)。続いて、積み付け計算部127Bは、決定した開始タイミングを早める(ステップS203)。続いて、積み付け計算部127Bは、現在時刻が、早めた開始タイミングを過ぎているか否かを判定する(ステップS204)。
【0083】
ステップS201では、時間計算部128Bは、出庫物品管理部122からグループ情報を取得する。時間計算部128Bは、出荷グループごとに、複数の荷物200の数の合計を出荷梱残数とする。時間計算部128Bは、出荷グループごとに、出荷梱残数を処理能力で除算した数値にリスク値を乗算して、複数の荷物200の積み付けに要する時間である積み付け時間を計算する。
【0084】
ステップS202では、積み付け計算部127Bは、まず、出庫物品管理部122から出荷グループに関するグループ情報を取得する。次に、積み付け計算部127Bは、時間計算部128Bによって計算された積み付け時間と出荷時刻とを出荷グループごとに取得する。続いて、積み付け計算部127Bは、出荷グループごとに、積み付け時間と出荷時刻とに基づいて逆算した時刻を積み付け計算の開始タイミングとして決定する。
【0085】
ステップS203では、積み付け計算部127Bは、決定した開始タイミングで積み付け計算を開始した場合に積み付け時間が複数の出荷グループで重なる場合、複数の出荷グループで積み付け時間が重ならないように当該開始タイミングを早める。
【0086】
続いて、積み付け計算部127Bによって、現在時刻が開始タイミングを過ぎていないと判定された場合(ステップS204:NO)、積み付け計算部127Bは、倉庫110における空き棚の数が一定数を下回っているか否かを判定する(ステップS107)。続いて、積み付け計算部127Bによって、現在時刻が開始タイミングを過ぎていると判定された場合(ステップS204:YES)又は、倉庫110における空き棚の数が一定数を下回っていると判定された場合(ステップS107:YES)、積み付け計算部127Aは、荷物200の積み付けレイアウトを生成する積み付け計算を行う(ステップS108)。続いて、積み付け計算部127Bは、積み付け計算が完了した荷物200を、当該荷物200が積み付けられたパレット単位で倉庫110の出庫待ちキューに登録する(ステップS109)。
【0087】
最後に、出荷待ちキューに登録された荷物200の数が一定数を上回っていた場合(ステップS102:NO)、倉庫110における空き棚の数が一定数を上回っていた場合(ステップS107:NO)、又は倉庫110の出荷待ちキューへの登録が行われた場合(ステップS109)、処理を終了する。
【0088】
以下、図10並びに図11(a)、(b)及び(c)を参照してステップS201~S203における処理について詳細に説明する。図10は、第2実施形態に係る自動倉庫システムにおける荷物200の出荷処理の一例を説明するための図である。図11(a)、(b)及び(c)は、第2実施形態に係る自動倉庫システムにおける荷物200の出荷処理の一例を説明するための図である。
【0089】
図10では、16時00分の時点における倉庫110の状態が示されており、配送番号001~006に対応する複数の荷物200が倉庫110に格納されている。配送番号001及び002において、荷物200の数はそれぞれ500個であり、出荷時刻は18時00分である。配送番号003において、荷物200の数は400個であり、出荷時刻が18時30分である。配送番号004において、荷物200の数は600個であり、出荷時刻が18時30分である。配送番号005及び配送番号006において、荷物200の数はそれぞれ600個であり、出荷時刻が19時30分である。また、上述したように、出庫物品管理部122は、同じ出荷時刻で且つ同じ出荷先の複数の荷物200を同じ出荷グループとする。具体的には、出庫物品管理部122は、配送番号001及び002に対応する複数の荷物200を第1出荷グループ、配送番号003及び004に対応する複数の荷物200を第2出荷グループ、配送番号005及び006に対応する複数の荷物200を第3出荷グループとする。
【0090】
まず、ステップS201における処理について詳細に説明する。図10に示される例では、時間計算部128Bは、第1出荷グループ及び第2出荷グループにおいて、出荷梱残数を1000個であると計算する。時間計算部128Bは、出荷梱残数1000個を処理能力1200個/時間で除算した数値に、リスク値1.1を乗算して、積み付け時間0.92時間を算出する。また、時間計算部128Bは、第3出荷グループにおいて、出荷梱残数を1200個であると計算する。時間計算部128Bは、出荷梱残数1200個を処理能力1200個/時間で除算した数値に、リスク値1.1を乗算して、積み付け時間1.10時間を算出する。
【0091】
次に、ステップS202における処理について詳細に説明する。図11(a)に示される例では、積み付け計算部127Bは、第1出荷グループにおいて出荷時刻18時00分、積み込み時間0.5時間、及び積み付け時間0.92時間を取得する。積み付け計算部127Bは、積み込み時間及び積み付け時間の分だけ、出荷時刻18時00分から遡った時刻を計算し、当該時刻16時34分48秒を積み付け計算の開始タイミングとする。また、積み付け計算部127Bは、第2出荷グループにおいて出荷時刻18時30分、積み込み時間0.5時間、及び積み付け時間0.92時間を取得する。積み付け計算部127Bは、積み込み時間及び積み付け時間の分だけ、出荷時刻18時30分から遡った時刻を計算し、当該時刻17時04分48秒を積み付け計算の開始タイミングとする。加えて、積み付け計算部127Bは、第3出荷グループにおいて出荷時刻19時30分、積み込み時間0.5時間、及び積み付け時間1.10時間を取得する。積み付け計算部127Bは、積み込み時間及び積み付け時間の分だけ、出荷時刻19時30分から遡った時刻を計算し、当該時刻17時54分を積み付け計算の開始タイミングとする。
【0092】
最後に、ステップS203における処理について詳細に説明する。図11(a)、(b)及び(c)に示される例では、積み付け時間が、第1出荷グループと第2出荷グループとの間で重なっている。また、積み付け時間が、第2出荷グループと第3出荷グループとの間で重なっている。このとき、積み付け計算部127Bは、まず、第2出荷グループと第3出荷グループとの間で積み付け時間が重ならないように、第2出荷グループの開始タイミングを早める。その後、積み付け計算部127Bは、第1出荷グループと第2出荷グループとの間で積み付け時間が重ならないように、第1出荷グループの開始タイミングを早める。
【0093】
具体的には、図11(b)に示されるように、積み付け計算部127Bは、第2出荷グループの積み付け時間が終了するタイミングと第3出荷グループの開始タイミングとが一致するように、第2出荷グループの開始タイミングを17時04分48秒から16時58分48秒に早める。続いて、図11(c)に示されるように、積み付け計算部127Bは、第1出荷グループの積み付け時間が終了するタイミングと第2出荷グループの開始タイミングとが一致するように、第1出荷グループの開始タイミングを16時34分48秒から16時03分36秒に早める。
【0094】
以上、第2実施形態に係る自動倉庫システム100Bでは、出庫物品管理部122によって、同じ出荷時刻で且つ同じ出荷先の複数の荷物200が同じ出荷グループとされている。この場合、出荷情報と処理能力情報とに基づいて、出荷グループごとに、複数の荷物200の積み付けに要する時間である積み付け時間を計算する時間計算部128Bを備える。積み付け計算部127Bは、複数の出荷グループのそれぞれにおいて、出荷時刻と積み付け時間とに基づいて逆算した時刻を積み付け計算の開始タイミングとして決定すると共に、決定した開始タイミングで積み付け計算を開始した場合に積み付け時間が複数の出荷グループで重なる場合、複数の出荷グループで積み付け時間が重ならないように当該開始タイミングを早める。この場合、出荷時刻に間に合う範囲で、倉庫内に多くの荷物200を溜めて、積み付け計算の選択肢を増やすという上記作用を、具体的に実現できる。
【0095】
具体的には、複数の荷物200の積み付け計算の開始タイミングを、出荷に間に合わせながら可能な限り遅らせることができる。その結果、荷物200の積み付け後の荷姿を改善し且つ出荷時刻までに荷物200を出荷することができる。
【0096】
このような自動倉庫システム100Bにおいても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0097】
[変形例]
以上、第1実施形態及び第2実施形態について説明したが、本発明の一態様は、上記実施形態に限られず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0098】
上記実施形態では、出荷情報取得部124は、入庫物品管理部121において生成された出荷情報を取得したが、これに限定されない。例えば、出荷情報取得部124は、自動倉庫システム100A,100Bの外部から出荷情報を取得してもよい。上記実施形態では、処理能力情報取得部125は、積み付け装置180から出荷情報を取得したが、これに限定されない。例えば、処理能力情報取得部125は、自動倉庫システム100A,100Bの外部から管理装置120Aに入力された処理能力情報を取得してもよい。
【0099】
上記実施形態では、積み付け計算部127Bは、出荷グループごとに開始タイミングを決定した後に開始タイミングを早めたが、出荷グループ同士で積み付け時間が重ならなければよい。例えば、積み付け計算部127Bは、出荷時刻が遅い順に開始タイミングを決定し、各開始タイミングを決定する際に開始タイミングを早めてもよい。より詳細には、図11に示される例では、まず、積み付け計算部127Bは、第3出荷グループの開始タイミングを17時54分とする。次に、積み付け計算部127Bは、第3出荷グループの開始タイミングと第2出荷グループの積み付けが完了するタイミングとが一致するように、第2出荷グループの開始タイミングを16時58分48秒とする。最後に、積み付け計算部127Bは、第2出荷グループの開始タイミングと第1出荷グループの積み付けが完了するタイミングとが一致するように、第1出荷グループの開始タイミングを16時03分36秒とする。
【0100】
上記実施形態では、荷物200は、段ボールケースであったが、内部に物を格納することが可能な入れ物であればよい。例えば、荷物200は、折りたたみコンテナであってもよい。上記実施形態では、例えば深さ優先探索、幅優先探索などの木探索を利用して積み付けレイアウトを生成する積み付け計算を行っているが、積み付け計算の手法は特に限定されず、種々の公知手法を用いてもよい。
【0101】
上記実施形態では、ステップS108の後、一定基準を満たした積み付けレイアウトが生成されたか否かを判定し、生成されたと判定された場合に、ステップS109において当該積み付けレイアウトに対応する複数の荷物200を倉庫110の出庫キューに登録してもよい。一定基準を満たすパレットとは、積み付けされる荷物200の体積の合計が基準値を超えているパレットである。基準値とは、例えば、1つのパレットにおいて荷物200を積載可能な空間の体積(最大積載体積)に対して80%の体積である。また、一定基準を満たすパレットとは、例えば、1つのパレットあたりに積み付けされる荷物200の個数が所定の個数以上であるパレットであってもよい。所定の個数とは、例えば、1つのパレットに搭載可能な荷物200の限界の数のうち80%の個数である。
【0102】
上記実施形態では、ステップS108の後、積み付け計算部127Aは、一定基準を満たした積み付けレイアウトが生成されたか否かにかかわらず、当該積み付けレイアウトに最終の出荷梱が含まれている場合、ステップS109において当該積み付けレイアウトに対応する複数の荷物200を倉庫110の出庫キューに登録してもよい。例えば、積み付け計算部127Aは、所定のパレットへの積み付けレイアウトを算出した際に、1つの出荷グループに含まれる複数の荷物200のうち当該パレットに対応する荷物200以外の全ての荷物200が出庫待ちキューに登録されている場合、当該パレットに対応する荷物200を出庫待ちキューに登録する。
【0103】
上記実施形態では、ステップS108の後、積み付け計算部127Aは、一定基準を満たした積み付けレイアウトが生成されておらず、当該積み付けレイアウトに最終の出荷梱が含まれていない場合でも、ステップS109において当該積み付けレイアウトに対応する複数の荷物200を倉庫110の出庫キューに登録してもよい。この場合、積み付け計算部127Aは、例えば、1つのパレットに積み付けされる個数が最も多くなるようにパレットを算出し、ステップS109に進んで当該パレットに対応する荷物200を出庫待ちキューに登録する。
【0104】
上記実施形態及び変形例における各構成には、上述した材料及び形状に限定されず、様々な材料及び形状を適用することができる。上記実施形態又は変形例における各構成は、他の実施形態又は変形例における各構成に任意に適用することができる。上記実施形態又は変形例における各構成の一部は、本発明の一態様の要旨を逸脱しない範囲で適宜に省略可能である。
【0105】
以下、本発明の構成要件について記載する。
<発明1>
出荷が予定された複数の出荷予定物品を格納する倉庫と、
前記倉庫に格納されている複数の前記出荷予定物品の積み付けレイアウトを生成する積み付け計算を行う積み付け計算部と、
前記積み付け計算部により生成された前記積み付けレイアウトに基づいて、前記倉庫から出庫された複数の前記出荷予定物品を積み付ける積み付け装置と、を備え、
前記積み付け計算部は、
複数の前記出荷予定物品の出荷数及び出荷時刻に関する出荷情報と、前記積み付け装置の処理能力に関する処理能力情報と、に基づいて、前記積み付け計算を開始する、自動倉庫システム。
<発明2>
前記積み付け計算部は、複数の前記出荷予定物品が出荷時刻までに出荷可能である場合、現時点で前記積み付け計算を開始する場合と比べて、複数の当該出荷予定物品が前記倉庫に格納されている時間が長くなるように、前記積み付け計算を開始する、発明1に記載の自動倉庫システム。
<発明3>
前記出荷情報を取得する出荷情報取得部と、
前記処理能力情報を取得する処理能力情報取得部と、を備える、発明1又は2に記載の自動倉庫システム。
<発明4>
複数の前記出荷予定物品が出荷時刻までに出荷されるために前記積み付け装置に必要な処理能力である必要処理能力を、前記出荷情報に基づいて周期的に計算する能力計算部を備え、
前記積み付け計算部は、
前記能力計算部により計算された前記必要処理能力が、前記処理能力情報の処理能力を上回る場合、前記積み付け計算を開始する、発明1~3のいずれか1項に記載の自動倉庫システム。
<発明5>
前記能力計算部は、
第1出荷時刻に対応する複数の前記出荷予定物品の数及び前記第1出荷時刻より前に出荷される複数の前記出荷予定物品の数の総数と、前記第1出荷時刻と、に基づいて、前記必要処理能力を計算する、発明4に記載の自動倉庫システム。
<発明6>
前記第1出荷時刻は、全ての前記出荷予定物品にそれぞれ対応する全ての前記出荷時刻のうち最も遅い出荷時刻である、発明5に記載の自動倉庫システム。
<発明7>
同じ出荷時刻で且つ同じ出荷先の複数の前記出荷予定物品を同じ出荷グループとした場合において、
前記積み付け計算部は、
複数の前記出荷予定物品の前記積み付け計算を開始する場合、複数の前記出荷予定物品の中で出荷時刻が最も早い前記出荷グループの複数の前記出荷予定物品を対象として、前記積み付け計算を開始する、発明4~6のいずれか1項に記載の自動倉庫システム。
<発明8>
前記能力計算部は、設定されたリスク値に更に基づいて、前記必要処理能力を計算する、発明4~7のいずれか1項に記載の自動倉庫システム。
<発明9>
同じ出荷時刻で且つ同じ出荷先の複数の前記出荷予定物品を同じ出荷グループとした場合において、
前記出荷情報と前記処理能力情報とに基づいて、前記出荷グループごとに、複数の前記出荷予定物品の積み付けに要する時間である積み付け時間を計算する時間計算部を備え、
前記積み付け計算部は、
複数の出荷グループのそれぞれにおいて、出荷時刻と積み付け時間とに基づいて逆算した時刻を前記積み付け計算の開始タイミングとして決定すると共に、
決定した前記開始タイミングで前記積み付け計算を開始した場合に前記積み付け時間が複数の出荷グループで重なる場合、複数の出荷グループで前記積み付け時間が重ならないように当該開始タイミングを早める、発明1~3のいずれか1項に記載の自動倉庫システム。
<発明10>
前記積み付け計算部は、前記倉庫の空き棚数が所定値を下回った場合、前記積み付け計算を開始する、発明1~9のいずれか1項に記載の自動倉庫システム。
【符号の説明】
【0106】
100A,100B…自動倉庫システム、200…荷物(出荷予定物品)、110…倉庫、124…出荷情報取得部、125…処理能力情報取得部、126…能力計算部、127A,127B…積み付け計算部、128B…時間計算部、180…積み付け装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11