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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168796
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】投影装置及び投影方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20231121BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20231121BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20231121BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
F21S2/00 350
G01C15/00 103D
G03B21/00 D
G03B21/14 A
F21S2/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080117
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(74)【代理人】
【識別番号】100213702
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 芳則
(72)【発明者】
【氏名】河野 陽
【テーマコード(参考)】
2K203
【Fターム(参考)】
2K203FA23
2K203FA25
2K203GA04
2K203HA04
(57)【要約】
【課題】 作業効率を向上させた誘導機能を有する投影装置及び投影方法を提供すること。
【解決手段】測定装置は、光源と、光源から出射された光を前記光源の光軸回りに反射させる反射素子と、光軸回りに配置されて、反射素子により反射された光を被照射体側に反射によって偏向させる偏向部と、被照射体に投影される光に指向性を持たせる指向性付与部と、を備える。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出射された光を前記光源の光軸回りに反射させる反射素子と、
前記光軸回りに配置されて、前記反射素子により反射された光を被照射体側に反射によって偏向させる偏向部と、
被照射体に投影される光に指向性を持たせる指向性付与部と、
を備える投影装置。
【請求項2】
前記指向性付与部は、出射する光の光線横断面形状に指向性を付与した前記光源である、請求項1に記載の投影装置。
【請求項3】
前記光線横断面形状は、直交する二軸方向を視別可能な2回対称である請求項2に記載の投影装置。
【請求項4】
前記指向性付与部は、複数回の投影により指向性を有する投影像を投影する制御部である請求項1に記載の投影装置。
【請求項5】
前記光源と、前記偏向部である自由曲面を有する反射ミラーと、前記指向性付与部とが設けられる本体部と、
前記反射素子を前記光源から出射される光の光軸上に支持し、前記本体部に接続される透光性カバー部材と、
を備える請求項1に記載の投影装置。
【請求項6】
前記偏向部は、前記光源と前記反射素子との間に配置される請求項1に記載の投影装置。
【請求項7】
前記偏向部である自由曲面は、光軸に対して軸対称に形成される請求項1に記載の投影装置。
【請求項8】
前記光源と、前記偏向部である自由曲面を有する反射ミラーとが設けられる本体部と、
前記反射素子を前記光源から出射される光の光軸上に支持し、前記本体部に接続される透光性カバー部材と、
を備え、
前記自由曲面は、前記光源と前記反射素子との間に配置されて、前記光軸に対して軸対称に形成される、
請求項1に記載の投影装置。
【請求項9】
前記指向性付与部は、出射する光の光線横断面形状を直交する二軸方向を視別可能な2回対称に形成した前記光源である、
請求項8に記載の投影装置。
【請求項10】
前記指向性付与部は、複数回の投影により指向性を有する投影像を投影する制御部である請求項8に記載の投影装置。
【請求項11】
光源と、反射素子と、前記光源から出射される光の光軸回りに配置された偏向部と、指向性付与部とを備える投影装置における投影方法であって、
前記反射素子が、前記光源から出射された光を前記光源の光軸回りに反射し、
前記偏向部が、前記反射素子により反射された光を被照射体側に反射し、
前記指向性付与部が、被照射体に投影される光に指向性を持たせる、
投影方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、投影装置及び投影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、作業現場において作業者を誘導する技術が提案されている。例えば、特許文献1にはBIM(Building Information Modeling)情報の投影装置が開示されている。この投影装置は、レイアウト情報等のイメージをレーザビームにより投影を行い、建設現場における作業者を補助するものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第9121692号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし特許文献1の投影装置は、シザーリフトに設置された状態で一軸周りに回転ビームを出射しており、投影可能な範囲が広くない。そのため、作業効率の向上が難しい場合がある。
【0005】
本開示は、作業効率を向上させた誘導機能を有する投影装置及び投影方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本開示に係る投影装置は、光源と、前記光源から出射された光を前記光源の光軸回りに反射させる反射素子と、前記光軸回りに配置されて、前記反射素子により反射された光を被照射体側に反射によって偏向させる偏向部と、被照射体に投影される光に指向性を持たせる指向性付与部と、を備える。
【0007】
上記した目的を達成するために、本開示に係る投影方法は、光源と、反射素子と、前記光源から出射される光の光軸回りに配置された偏向部と、指向性付与部とを備える投影装置における投影方法であって、前記反射素子が、前記光源から出射された光を前記光源の光軸回りに反射し、前記偏向部が、前記反射素子により反射された光を被照射体側に反射し、前記指向性付与部が、被照射体に投影される光に指向性を持たせる。
【発明の効果】
【0008】
上記手段を用いる本開示に係る投影装置及び投影方法は、作業効率を向上させた誘導を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1に係る測定システムの全体構成図である。
図2】実施形態1の測量装置及び測定装置の制御ブロック図である。
図3】実施形態1の測定装置の構成図である。
図4】実施形態1の自由曲面の縦収差図である。
図5】実施形態1の測定装置による走査範囲の例を示す図である。
図6】実施形態2の測定装置の構成図である。
図7】実施形態2の自由曲面の縦収差図である。
図8】実施形態2の測定装置による走査範囲の例を示す図である。
図9】実施形態3の測定装置の構成図である。
図10】実施形態3の自由曲面の縦収差図である。
図11】実施形態3の測定装置による走査範囲の例を示す図である。
図12】実施形態4の測定装置の構成図である。
図13】実施形態5の測定システムを用いた投影システムの構成図である。
図14】実施形態5の指向性付与部が光源である場合の投影像の例を示す図である。
図15】実施形態5の指向性付与部が光源である場合の投影像の例を示す図である。
図16】実施形態5の指向性付与部が光源である場合に投影像を壁面に投影した例を示す図である。
図17】実施形態5の指向性付与部が測定制御部である場合の投影像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
以下、本開示の実施形態1を図面に基づき説明する。図1は、実施形態1に係るシステム1の全体構成図である。システム1は、測定装置100A(100)と、測量装置200と、基準座標として設定される既知点であるターゲット300とを含む測定システムである。なお、以下の説明において、各装置や配置関係は、説明の便宜上模式的に示しており、実際の縮尺と異なってもよい。
【0011】
システム1は、屋外又は屋内において使用可能である。図1では、建設中の建物である構造物4の測定を屋外で行う例を示している。システム1は、測量装置200によりターゲット300の座標を測定する。測定装置100Aは、構造物4及びその周辺の土地等を点群測定し、ターゲット300の座標を基準座標とした各点の座標を絶対座標に変換する等として求める。図1の構造物4は、建物の床41と柱42を含む。測定装置100Aは、移動及び設置が容易であるため、建物の屋内に設置される場合であっても、構造物4の内装(壁、柱、床、窓若しくは天井等の構造物4の内部構造、又は、構造物4内の電気設備若しくは空調機器等の設置物)の点群測定を行って内装の各点についても基準座標を基にした絶対座標で求めることができる。
【0012】
測量装置200は、例えば、トータルステーションであり、三脚等の脚部に支持され、ターゲット300までの角度と距離とを測定して測量を行う機能を有する。測量装置200は、詳細は図示しないが、上記脚部に着脱可能であって整準を行う整準部と、整準部によって整準されて鉛直軸周りに回動可能に設けられた本体部と、本体部に水平軸周りに回動可能に設けられた望遠鏡部とを備える。従って、望遠鏡部は整準部に対して水平軸及び鉛直軸周りに対して回動可能に設けられる。整準は整準部を調整して作業者(又は操作者)による手作業で行ってもよいし、自動整準であってもよい。また、測量装置200は、測量装置2を制御するためのコンピュータ(不図示)を備える。
【0013】
図2は、測定装置100A及び測量装置200の制御ブロック図である。測量装置200は、測量部201、測量記憶部202、測量通信部203、測量制御部204、及び表示部205を備える。
【0014】
測量装置200は、測量装置200の器械点から測定対象物(本実施形態では、ターゲット300)までの距離及び基準方向に対する角度を測定して、測定対象物の空間座標を求める。測量部201は、測距部201aと測角部201bとを有する。測距部201aは、測距光を出射する送光部と、送光部からの測距光が照射されてターゲット300により反射された反射光を受光する受光部とを含む。測距部201aは、例えば、パルスレーザ光である測距光を出射すると共にターゲット300により反射された反射光を受光することで測量装置200からターゲット300までの距離(斜距離)を測定する。なお、測距方式はこのようなパルス方式に限られず、例えばレーザ光の波の数に基づき測距するいわゆる位相差方式等の周知の方式を適用することも可能である。
【0015】
測角部201bは、測量装置200の本体部の水平方向の回動角(即ち鉛直軸周りの回転角)を検出する水平角検出部(水平エンコーダ)と、望遠鏡部の鉛直方向の回動角(即ち水平軸周りの回転角)を検出する鉛直角検出部(鉛直エンコーダ)とを有する。望遠鏡部は、ターゲット300を視準可能な光学系を含む望遠鏡を内部に有する。また、ターゲット300により反射された光は、望遠鏡の視準軸に沿って導光され、測距部201aにより受光される。
【0016】
測量記憶部202は、測量プログラム等の各種プログラム、設計情報202a、測量情報202b(測点及び座標を対応させた測量結果等)、GPS時刻、測量装置200の大きさ(高さ、幅、奥行き等)等の各種データを記憶可能に構成される。
【0017】
測量通信部203は、測定装置100A等の外部機器と通信可能に構成され、例えばBluetooth(登録商標)等の無線通信手段である。なお、測量通信部203は、接続端子を介して有線通信手段として機能してもよい。
【0018】
測量制御部204は、測量装置200の本体部を鉛直軸周りの水平方向に回動可能に制御する機能、及び、測量装置200の望遠鏡部を水平軸周りの鉛直方向に回動可能に制御する機能を有する。測量制御部204は、図示しない水平角検出部及び鉛直角検出部により検出された角度(水平角及び鉛直角)、測距部201aにより測定された距離(斜距離)等の各種情報の取得、記憶、演算等を行い、例えば表示部205にその取得結果、演算結果を表示する。また、測量制御部204は、操作部に対する操作に応じて、又は演算結果に応じて、各部の駆動制御等を行う。
【0019】
表示部205は、例えば測量装置200の本体部の後方部に設けられる。また、測量装置200は、図示しない操作部を有する。操作部は、各種の動作指示や設定を入力可能な操作手段である。動作指示は、例えば、電源のオン、オフの切替、測量を開始するトリガ、測量モードの切替、測量周期の設定等を含むことができる。また操作部は、スイッチ、ボタン、ダイアルなど、任意の操作デバイスや入力デバイスを含んでもよい。表示部205がタッチパネルである場合は、表示部205と操作部とは一体に形成されていてもよい。
【0020】
図1に示すターゲット300は、例えば構造物4の柱42に着脱可能に設けられたコーナーキューブプリズムである。ターゲット300は、再帰反射特性を有し、測量装置200から照射される光を入射方向とは反対方向の測量装置200の方向に反射する。同様に、ターゲット300は、測定装置100Aから照射される光を入射方向とは反対方向の測定装置100Aの方向に反射する。
【0021】
なお、ターゲット300は、その他の再帰反射部材を用いてもよく、例えば、測量装置200又は測定装置100Aから照射された光を反射して測量装置200又は測定装置100Aに反射光を検出させることが可能な程度の強度で反射可能なその他の反射部材(例えば、反射シート又はターゲット板等)であってもよい。また、ターゲット300は、プリズム等の部材ではなく、構造物4の一部(例えば、床41又は柱42等)であってもよい。
【0022】
測定装置100Aについて説明する。図3は、測定装置100Aの構成図である。なお、図3の測定装置100Aは、上下の中心軸に沿って切断した縦断面を模式的に示しており、一部は端面により図示している。
【0023】
測定装置100Aは、短円柱状の本体部12と、本体部12に接続されたカバー部材13とを備える。カバー部材13は、透光性を有し半球面状に形成される。本体部12には、検出部14と、偏向部である自由曲面151A(151)を有する反射ミラー15A(15)と、測定制御部104(制御部)とが設けられる。検出部14は、内部に、光源141(送光部)と受光部142とを含む。検出部14は、光源141から光を外部に出射し、被照射体から反射された光を受光する機能を有する。
【0024】
カバー部材13は、検出部14から出射される光の光軸A上に、基台161を介して支持された反射素子16を有する。反射素子16は、検出部14の光軸A上に配置される。反射素子16は、測定制御部104によって反射面が制御される。反射素子16の反射面は、光軸Aに対する傾斜角度を二軸方向に変更(又は傾動)可能に制御される。換言すると、反射素子16は、反射面を、光軸Aに直交する第一の軸周りに傾動制御されるとともに、光軸A及び第一の軸に対して直交するする第二の軸周りに傾動制御される。また、反射素子16は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を用いて、又は、モータとMEMS若しくはガルバノスキャナと用いて、上記二軸方向の傾動を可能に構成される。モータを用いる構成について例示すると、反射素子16は、モータにより光軸A周りに回動して光軸Aと直交する平面(例えば水平面)と平行な第一の面上を走査させ、光軸Aと直交する軸の周りにMEMS又はガルバノスキャナにより回動して光軸Aを含み第一の面と直交する第二の面上を走査させるように構成される。反射素子16は、光源141から出射されて開口部152を介して導光された光を検出部14の光軸A回りに反射させることができる。
【0025】
自由曲面151Aは、光軸Aに対して軸対称に、図3の断面視凸湾曲状に形成される。自由曲面151Aは、例えば、球面状、楕円球状又はその他の凸湾曲状に形成される。また、自由曲面151Aは、光軸A上に上下に貫通した開口部152を有し、光軸A回りに環状に配置される。図3に示すように、自由曲面151Aは検出部14と反射素子16との間に配置される。
【0026】
また、反射ミラー15Aの自由曲面151Aは、反射素子16により反射された光を被照射体(例えば、図1に示す構造物4又は構造物4の周辺の物体等)側に反射する。本実施形態では、自由曲面151Aが、反射素子16側に凸湾曲状に形成されているため、光源141から出射された光は、反射素子16、自由曲面151A及びカバー部材13を介して測定装置100Aの下方側の略半球放射状の領域に外部に出射される。
【0027】
図2を参照して、測定装置100Aの制御ブロックについて説明する。測定装置100Aは、測定部101、測定記憶部102、測定通信部103、測定制御部104、検出部14、及び反射素子16を備える。
【0028】
測定装置100Aは、測定装置100Aの器械点から被照射体(例えば、ターゲット300又は構造物4、等)までの距離及び基準方向に対する角度を測定して、被照射体の空間座標を求める。測定部101は、測距部101aと測角部101bとを有する。測距部101aは、例えば、光源141によって出射されたパルスレーザ光である測距光が被照射体により反射されて、その反射光を受光部142により受光することで測定装置100から被照射体までの距離(斜距離)を測定する。なお、測距方式はこのようなパルス方式に限られず、例えばレーザ光の波の数に基づき測距するいわゆる位相差方式等の周知の方式を適用することも可能である。
【0029】
測角部101bは、反射素子16の傾斜角度から、測定装置100Aから外部に出射された光の出射角度(例えば、光軸Aに対する後述の鉛直角θ)を検出する。被照射体により反射された反射光は、出射光の光路に沿って出射時とは反対方向に導光されて受光部142に入射する。測角部101bは、受光部142が受光したときに反射素子16の傾斜角度に対応する測定装置100Aから出射される光の出射角度を求める。
【0030】
測定記憶部102は、測定プログラム等の各種プログラム、測定情報102a(測点及び座標を対応させた測定結果等)、GPS時刻、測定装置100Aの大きさ(高さ、幅、奥行き等)等の各種データを記憶可能に構成される。
【0031】
測定通信部103は、測量装置200等の外部機器と通信可能に構成され、例えばBluetooth(登録商標)等の無線通信手段である。なお、測定通信部103は、接続端子を介して有線通信手段として機能してもよい。
【0032】
測定制御部104は、測定装置100Aの反射素子16を光軸Aに対して二軸方向に傾動させる機能、及び、被照射体の空間座標を求める機能を有する。測定制御部104は、測角部101bにより検出された角度(水平角及び鉛直角)、測距部101aにより測定された距離(斜距離)等の各種情報の取得、記憶、演算等を行い、例えば測定記憶部102にその取得結果、演算結果を表示する。また、測定制御部104は、図示しない端末から測定通信部103を介して操作指示を受信することにより当該操作指示に応じて、又は演算結果に応じて、測定装置100Aの各部の駆動制御等を行う。
【0033】
図4は、自由曲面151Aの縦収差図である。縦軸は瞳半径方向である瞳径を示している。縦軸の原点は図3の自由曲面151Aの光軸A上に対応し、縦軸の正方向及び負方向は自由曲面151Aの光軸Aから外周方向である図3の右方向及び左方向にそれぞれ対応する。また、横軸は像面軸(主光線軸である光軸)を示している。横軸の原点は光軸Aと直交する基準面(例えば、自由曲面151Aと光軸Aとの交点を含む面、又は、自由曲面151Aと反射素子16との間の位置における面)に対応し、横軸の正方向は光軸Aの反射素子16から光源141側へ向かう方向(図3の上方)に対応する。
【0034】
自由曲面151Aの光軸A側から出射される光は収差が大きいため光軸A側の位置の被照射体に照射され、自由曲面151Aの光軸Aから径方向外側に離れた位置から出射される光は収差が小さくなり光軸Aから径方向外側に離れた位置の被照射体に照射される。
【0035】
なお、本実施形態では、縦収差図を用いて光線結像関係を模式的に表現して示したが、自由曲面151Aの形状を適宜設定して、測定装置100Aとは異なる他の測定装置を構成してもよい。例えば、自由曲面151Aは、瞳全面(反射面の全体)に亘り均一な角度変換率を有する形状であったり、投影面(例えば、図1に示した床41の表面)にて均等なピッチ(間隔)となるように角度変換効率を変化させる等、用途や目的に応じて自由に設定可能である。従って、反射素子16(例えば、MEMS)に対する傾動制御は一律に行われた場合であっても、測定装置100Aから出射される光線の角度変換率(又は角度変換方向)は任意に設定することができる。
【0036】
次に、光源141及び受光部142を含む検出部14と、反射素子16と、検出部14の光軸A回りに環状に配置される自由曲面151Aと、測定制御部104とを備えるシステム1における測定方法の例(動作例)について説明する。
【0037】
測定制御部104は、図1に示す測定装置100Aの光源141から光(スキャン光)を出射させる。光源141から出射された光は、光軸Aに沿って検出部14から開口部152を通過して反射素子16に向けて導光される。反射素子16は光源141から出射された光を光軸A回りに反射すると、自由曲面151Aは反射素子16により反射された光をカバー部材13を介して被照射体側に反射する。
【0038】
測定制御部104は、被照射体から反射された光(戻り光)を自由曲面151A及び反射素子16を介して受光部142により受光させて、光の往復時間と出射方向から被照射体の空間位置を検出する。また、測定制御部104は、被照射体として設けられた既知点であるターゲット300を測定する等してターゲット300の基準座標を検出し、測定記憶部102に測定情報102aとして記憶する。測定制御部104は、基準座標と他の被照射体との相対位置を算出して他の被照射体の空間座標を求める機能を有する。例えば、測定制御部104は、基準座標から他の被照射体の測点までの相対座標(又は位置ベクトル)を求め、基準座標に相対座標を加算することで任意の測点の絶対座標を求めることができる。
【0039】
図5は、測定装置100Aによる走査範囲の例を示す図である。図5では、測定装置100Aから出射された光を構造物4の床41に照射している。測定装置100Aから出射される光は、測定装置100Aの真下に相当する光軸Aを中心とする所定の立体角φ(光軸Aに対する出射光の傾斜角度の倍角に相当する)の走査不可領域411内には照射されないが、立体角φ以上、且つ、光軸Aからの鉛直角θ=90度程度以下の走査可能領域412に照射可能である。図5では、所定の鉛直角θ前後において走査用の光が照射された照射領域412aと光が照射されていない未照射領域412bとが示されている。
【0040】
また、測定装置100Aにおいて、測定制御部104は、出射される光を、光軸A周り(図5では床41の平面視時計回り)に照射領域412aを走査しながら、光軸Aに対して遠近方向に走査させている。例えば、測定装置100Aが出射する光の出射方向は、鉛直角θの最小値から最大値の方向に走査させ、鉛直角θが最大値となったら最小値に戻って繰り返されるように制御される。
【0041】
以上、実施形態1のシステム1では、自由曲面151Aを凸湾曲状に形成したため、反射素子16の傾動角度が小さい場合であっても測定装置100Aから出射される光を広角に出射し被照射体を走査することができる。測定装置100Aは、自由曲面151Aは凸反射面を有する為、光軸A上はカバーできない(即ち、図5に示したように光軸A上に走査不可領域411が含まれる走査可能領域412がドーナツ状に形成される)が、走査可能な角度範囲(Scan範囲)が拡大する。そのため、測定装置100Aは、簡便に構成することができ計測性能を重視しない場合等にも有用である。したがって、測定装置100Aは、広範囲に位置する物体の空間位置を簡易な構成で検出することができる。
【0042】
(実施形態2)
次に実施形態2について説明する。本実施形態では、実施形態1の測定装置100Aの代わりに測定装置100B(100)を用いる例について説明する。図6は、測定装置100Bの構成図である。図6の測定装置100Bは、上下の中心軸に沿って切断した縦断面を模式的に示しており、一部は端面を示している。測定装置100Bも、図1に示したシステム1に適用することができる。なお、測定装置100Bの説明において、測定装置100Aと同様の構成については、同一の符号を付す等して、その説明を省略又は簡略化する。
【0043】
測定装置100Bは、前述の自由曲面151Aを有する反射ミラー15Aの代わりに、偏向部である自由曲面151B(151)を有する反射ミラー15B(15)を備える。
【0044】
自由曲面151Bは、光軸Aに対して軸対称に、図6の断面視凹湾曲状に形成される。自由曲面151Bは、楕円球面状に形成される。また、自由曲面151Bは、光軸A上に上下に貫通した開口部152を有し、光軸A回りに環状に配置される。自由曲面151Bは、図6に示すように、検出部14と反射素子16との間に配置される。
【0045】
また、反射ミラー15Bの自由曲面151Bは、反射素子16により反射された光を被照射体(例えば、図1に示す構造物4又は構造物4の周辺の物体等)側に反射する。本実施形態では、自由曲面151Bが、反射素子16側に凹湾曲状に形成されているため、光源141から出射された光は、反射素子16、自由曲面151B及びカバー部材13を介して測定装置100Bの下方側へ向けて外部に出射される。
【0046】
図7は、自由曲面151Bの縦収差図である。縦軸は瞳半径方向である瞳径を示している。縦軸の原点は図6の自由曲面151Bの光軸A上に対応し、縦軸の正方向及び負方向は自由曲面151Bの光軸Aから外周方向である図7の右方向及び左方向にそれぞれ対応する。また、横軸は像面軸(主光線軸である光軸)を示している。横軸の原点は光軸Aと直交する基準面(例えば、自由曲面151Bと光軸Aとの交点を含む面、又は、自由曲面151Bと反射素子16との間の位置における面)に対応し、横軸の正方向は光軸Aの反射素子16から光源141側へ向かう方向(図7の上方)に対応する。
【0047】
測定装置100Bの自由曲面151Bは楕円球面の凹湾曲面状に形成されている。本実施形態では、反射素子16が自由曲面151Bの一方の焦点f1に位置しているため、反射素子16から導光されて自由曲面151Bの任意の位置で反射された光は、楕円球の他の一方の焦点f2(図8参照)に集光する。そのため、測定装置100Bの収差特性は、図7に示すように、瞳軸の位置に関わらず、焦点f2に対応する位置-F2で集光する。
【0048】
なお、測定装置100Bから出射された光は、焦点f2で集光した後に拡幅するため(図8参照)、測定装置100Bは自由曲面151Bを凹湾曲状に形成した場合であっても、所定の立体角φ範囲に位置する被照射体に光を照射することができる。
【0049】
以上、実施形態2の測定装置100Bを使用したシステム1では、自由曲面151Bを凹湾曲状に形成した。したがって、測定装置100Bは、光軸A上を含む光軸A周辺の領域に対して光を出射することができ、広範囲に位置する物体の空間位置を簡易な構成で検出することができる。
【0050】
(実施形態3)
次に実施形態3について説明する。本実施形態では、実施形態1の測定装置100Aの代わりに測定装置100C(100)を用いる例について説明する。図9は、測定装置100Cの構成図である。図9の測定装置100Cは、上下の中心軸に沿って切断した縦断面を模式的に示しており、一部は端面を示している。測定装置100Cも、図1に示したシステム1に適用することができる。なお、測定装置100Cの説明において、測定装置100Aと同様の構成については、同一の符号を付す等して、その説明を省略又は簡略化する。
【0051】
測定装置100Cは、前述の自由曲面151Aを有する反射ミラー15Aの代わりに、偏向部である自由曲面151C(151)を有する反射ミラー15C(15)を備える。
【0052】
自由曲面151Cは、光軸Aに対して軸対称に、図9の断面視凹湾曲状に形成される。また、自由曲面151Cは、光軸A上に上下に貫通した開口部152を有し、光軸A回りに円環状に配置される。自由曲面151Cは、光軸A側に位置して法線を光軸Aの径方向外側に向けた第一反射領域151-1と、光軸Aの径方向外側に位置して(第一反射領域151-1よりも外側に位置して)法線を光軸の径方向内側に向けた第二反射領域151-2とを有する。自由曲面151Cは、図9に示すように、検出部14と反射素子16との間に配置される。
【0053】
また、反射ミラー15Cの自由曲面151Cは、反射素子16により反射された光を被照射体(例えば、図1に示す構造物4又は構造物4の周辺の物体等)側に反射する。本実施形態では、自由曲面151Cが、反射素子16側に凹湾曲状の環状に窪んだドーナツ状に形成されているため、光源141から出射された光は、反射素子16、自由曲面151C及びカバー部材13を介して測定装置100Cの下方側へ向けて外部に出射される。
【0054】
図10は、自由曲面151Cの縦収差図である。縦軸は瞳半径方向である瞳径を示している。縦軸の原点は図9の自由曲面151Cの光軸A上に対応し、縦軸の正方向及び負方向は自由曲面151Cの光軸Aから外周方向である図9の右方向及び左方向にそれぞれ対応する。また、横軸は像面軸(主光線軸である光軸)を示している。横軸の原点は光軸Aと直交する基準面(例えば、自由曲面151Cと光軸Aとの交点を含む面、又は、自由曲面151Cと反射素子16との間の位置における面)に対応し、横軸の正方向は光軸Aの反射素子16から光源141側へ向かう方向(図9の上方)に対応する。
【0055】
測定装置100Cの自由曲面151Cは環状に凹湾曲面状に形成されている。本実施形態の自由曲面151Cは、第一反射領域151-1が反射素子16からの光を光軸Aから径方向外側に拡散方向に反射し、第二反射領域151-2が反射素子16からの光を光軸Aから径方向内側の集光方向に反射する。
【0056】
図11は、測定装置100Cによる走査範囲の例を示す図である。測定装置100Cから出射される光は、光軸Aを中心とする所定の立体角φ1以上、且つ立体角φ2未満の走査可能領域412c内、並びに、立体角φ1未満の走査可能領域412d及び立体角φ2以上且つ光軸Aからの鉛直角θが所定の角度以下(例えば、90度程度以下)の走査可能領域412d及び走査可能領域412eに照射可能である。すなわち、図11において、測定装置100Cは、光軸A周辺を含む走査可能領域412d、412c及び412eの広範囲に連続的に走査することができる。
【0057】
測定装置100Cにおいて、反射素子16が光源141から入射された光L1(図9参照)を光軸A側の第一反射領域151-1から光軸Aから離間する第二反射領域151-2に移動させると、図11に示すように光軸Aに対して径方向外側から内側へ向かう第一径方向D1へ照射位置が移動する。光L1は、第一径方向D1に沿って、光軸Aに対して離間した位置から光軸A上を通過した後に、再び光軸Aから離間するように移動する。光L2も同様に、第二径方向D2に沿って、光軸Aに対して離間した位置から光軸A上を通過した後に、再び光軸Aから離間するように移動する。従って、測定装置100Cから出射された光の照射位置は、第一反射領域151-1から第二反射領域151-2に自由曲面151C上を移動すると、図9の光L2と軸対称に出射された光L2の照射位置と光軸A上で点状に重なった後に再び光軸Aから離間する第二径方向D2へ移動する。
【0058】
測定装置100Cにおいて、測定制御部104は、出射される光を、光軸A周り(図5では床41の平面視時計回り)に照射領域412aを走査しながら、光軸Aに対して遠近方向に走査させている。
【0059】
以上、実施形態3の測定装置100Cを使用したシステム1では、自由曲面151Cを凹湾曲状の環状に窪んだドーナツ状に形成した。そのため、測定装置100Cは、光軸A上及び光軸A周辺の走査を可能としつつ、より広角な範囲も走査することができる。したがって、測定装置100Cは、広範囲に位置する物体の空間位置を簡易な構成で検出することができる。また、測定装置100Cは、被測定対象により散乱されて戻される光束(信号光)に対しては集光作用を有するため、信号品位(又は信号品質)を維持しつつ広範囲な領域を測定することができる。
【0060】
(実施形態4)
次に実施形態4について説明する。本実施形態では、実施形態1の測定装置100Aの代わりに測定装置100D(100)を用いる例について説明する。図12は、測定装置100Dの構成図である。図12の測定装置100Dは、上下の中心軸に沿って切断した縦断面を模式的に示しており、一部は端面を示している。測定装置100Dも、図1に示したシステム1に適用することができる。なお、測定装置100Dの説明において、測定装置100Aと同様の構成については、同一の符号を付す等して、その説明を省略又は簡略化する。
【0061】
測定装置100Dは、前述の自由曲面151Aを有する反射ミラー15Aの代わりに、複数の光ファイバー171を有する光ファイバー導光部17、及びマイクロレンズアレイ18を備える。光ファイバー導光部17は光の進行方向を任意の方向に偏向させる偏向部として機能する。なお、図12では、光ファイバー171を模式的に示している。
【0062】
光ファイバー導光部17は、複数の光ファイバー171を束ねるように配置されている。本実施形態の光ファイバー171は、反射素子16から出射された光を一方の端部171aから入射させて他の一方の端部171bから出射させることでマイクロレンズアレイ18側へ導光するとともに、マイクロレンズアレイ18側から出射された光を一方の端部171bから入射させて他の一方の端部171aから出射させることで反射素子16側へ導光する。光ファイバー171の反射素子16側の一方の端部171a(入出力端)は一次元方向(例えば、図12の左右方向、又は、光軸A周りの円周状(ドーナツ状又は円環状))に配列されている。また、光ファイバー171のマイクロレンズアレイ18側の他の一方の端部171b(入出力端)は二次元方向に球面状に配列している。
【0063】
マイクロレンズアレイ18は、光ファイバー導光部17から出射された光を測定装置100Dの外部へ導光する、又は、外部から入射する光を光ファイバー導光部17へ導光する、正のレンズパワーを有する複数のマイクロレンズ181を含む。各マイクロレンズ181は、測定装置100Dのカバー部材13を外部から見たP部拡大図に示すように、光軸方向に見て円形状に形成されている。なお、各マイクロレンズ181は、光軸方向に見た円形状に限らず他の形状としてもよく、例えば、ハニカム状に形成される。光ファイバー171のマイクロレンズアレイ18側の端部171b及びマイクロレンズアレイ18は、球面状に配置されている。
【0064】
ここで、測定装置100Dの光路について説明する。測定制御部104は、図12に示す測定装置100Dの光源141から光(スキャン光)を出射する。光源141から出射された光は、光軸Aに沿って検出部14から上方の反射素子16に向けて導光される。反射素子16は光源141から出射された光を光軸A回りに反射する。反射素子16は、一次元方向に一列に配列された光ファイバー171の端部171aに、光が順次入射されるように、検出部14から導光された光を反射する。例えば、光ファイバー171の端部171aは円周状に配向(配列)しており、反射素子16は光軸A周りに光を出射させることでこれら端部171aに順次入射させることができる。なお、光ファイバー171の端部171aは、二次元方向に(例えば球面状に)配列されていてもよい。
【0065】
端部171aから入射した光は反対側の端部171bからマイクロレンズアレイ18に向けて出射する。マイクロレンズアレイ18の各マイクロレンズ181に入射した光は、測定装置100Dの外部に出射される。マイクロレンズアレイ18から外部に出射された光は、図示しない被照射体側に照射される。
【0066】
また、測定制御部104は、出射時の光路とは逆方向に沿って、被照射体から反射された光(戻り光)をマイクロレンズアレイ18、光ファイバー171及び反射素子16を介して受光部142により受光させて、光の往復時間と出射方向から被照射体の空間位置を検出する。被照射体により反射された戻り光は、マイクロレンズアレイ18の各マイクロレンズ181によって集光されて光ファイバーの端部171bに入射する。したがって、戻り光を効率よく集光(結合)させて受光部142まで導光させることが出来る。また、測定制御部104は、被照射体として設けられた既知点であるターゲット300の基準座標を検出する。測定装置100Aは、点群データを取得するためのその他の動作については、実施形態1で説明した測定装置100Aと同様に行うことができる。
【0067】
以上実施形態4の測定装置100Dは、光ファイバー導光部17により、光源141側から出射された光を反射素子16による出射角度よりも広角となるように導光することができる。したがって、測定装置100Dは、広範囲に位置する物体の空間位置を簡易な構成で検出することができる。
【0068】
なお、実施形態1~4では、測定装置100A~100D(100)が光の往復時間と出射方向から被照射体の空間位置を検出する制御部を備える構成について説明したが、システム1の何れかの装置又は機器(例えば、測量装置200又は測定装置100若しくは測量装置200と通信可能に接続された図示しない装置又は機器)が制御部を備えてもよい。
【0069】
以上、実施形態1~4では、光源141及び受光部142を含む検出部14と、光源141から出射された光を検出部14の光軸A回りに反射させる反射素子16と、光軸A回りに配置されて、反射素子16により反射された光を被照射体側に反射によって偏向させる偏向部(151,17)と、被照射体から反射された光を偏向部(151,17)及び反射素子16を介して受光部142により受光させて、光の往復時間と出射方向から被照射体の空間位置を検出する制御部(104)と、を備えるシステム1及び測定装置100について説明した。
【0070】
また、光源141及び受光部142を含む検出部14と、反射素子16と、検出部14の光軸A回りに環状に配置される偏向部(151,17)と、制御部(104)とを備えるシステム1における測定方法であって、反射素子16が光源141から出射された光を光軸A回りに反射し、偏向部(151,17)が反射素子16により反射された光を被照射体側に反射によって偏向させ、制御部(104)が被照射体から反射された光を偏向部(151,17)及び反射素子16を介して受光部142により受光させて、光の往復時間と出射方向から被照射体の空間位置を検出する、測定方法について説明した。
【0071】
測定装置100A~100Dは、反射素子16による光の反射角度とは異なる角度で光を出射して周辺空間の点群測定を行うことができる。したがって、測定装置100A~100D(100)、システム1(測定システム)及び測定方法によれば、偏向部の構成を適宜設定することで任意の方向の広範囲に位置する物体の空間位置を簡易な構成で検出することができる
【0072】
また、実施形態1~4では、一つの光源141から出射された光を周囲に一筆書き状に出射して、略半球状に走査範囲に被測定対象を測定することができる。そのため、測定装置100の簡易且つコンパクトに構成することができる。
【0073】
(実施形態5)
次に実施形態5について説明する。本実施形態では、実施形態1で説明した測定装置100A(100)が作業者等の誘導機能を有する投影装置として機能する構成について説明する。なお、本実施形態の説明において、他の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付す等して、その説明を省略又は簡略化する。また、上記の誘導機能を有する構成は、その他の測定装置100B~100D(100)のいずれかが備えてもよい。
【0074】
図13は、システム1を用いた投影システムの構成図である。測定装置100Aは、被照射体に投影される光L3に指向性を付与する指向性付与部を有する。指向性付与部は、光源141から出射される光の光線の横断面形状(横断面形状には、輪郭形状の他、光線の模様又は色彩を含んでもよい)に指向性を付与する構成、若しくは、測定制御部104が複数回の投影により指向性を有する投影像(「投影パターン」ともいう。)を投影する構成、又はこれらの組み合わせとすることができる。
【0075】
まず、指向性付与部を光源141により構成する場合について説明する。指向性付与部として構成される光源141は、出射する光の光線横断面形状を非対称に形成する。ここでいう非対称とは、光L3が被投影対象に投影された場合の投影像413が指向性を有している態様をいい、軸対称及び点対称(作業者が視別可能なn回対称(nは1より大きな整数))の一部の形状が含まれていてもよい。光源141から出射される光L3の横断面形状は、光源141内部又は検出部14の光路に設けたシャッター、スリット、フィルタ、メッシュ、液晶シャッター、DMD(デジタルマイクロミラーレンズ)等の光学部材である光調整部により光の一部を遮光して形成することができる。この光調整部は、光路に任意に配置可能に構成されていてもよく、実施形態1~実施形態4で説明した点群測定を行う場合は配置しない構成としてもよい。なお、指向性付与部が、光源141から出射される光の光線の横断面形状に指向性を付与する構成では、投光/受光系である検出部14がモータ駆動等により回転する系では投影像の方位が常に放射状方向を向くこととなり方位又は方角の判別に使用できないため、検出部14は測定装置100Aが設置される空間に対して固定的に配置される。
【0076】
光の横断面形状は、例えば、直交する二軸方向を視別可能な2回対称である。図13に示される測定装置100Aが出射する光L3は、楕円の横断面形状を有し、被投影対象(前述の被測定対象と同様の対象であってもよい。)である床41に楕円の投影像413a(413)(「フットプリント」ともいう。)を投影する(図14の投影像413aも参照)。なお、図13には、光軸A周りに円形の走査経路414上を投影像413aが移動する例を示しており、測定装置100Aが光L3を間欠的に出射することで投影像413aを間欠的に表示することができる。
【0077】
投影像413aは、長軸及び短軸を有するため、作業者等が二方向を視別することができる。そのため、投影像413aの一方向(例えば、長軸方向)を土地の南北方向を向くように設定し、投影像413aの他の一方向(例えば、短軸方向)を土地の東西方向を向くように設定することで、作業者等が容易に方角を把握することができる。
【0078】
なお投影像413aは、間欠的な投影に限らず、走査経路414に沿って繋がるように環状に投影されてもよい(不図示)。この場合であっても、投影像413aが被投影対象である床41に全体として略楕円の外径及び内径を有する指向性を持った形状で投影されるため作業者等が容易に方位(又は方角)を把握することができる。
【0079】
また、図14に示す投影像413b(413)は、円形状と正三角形状とを隣接させた複数の図形を組み合わせて投影像413b全体として指向性を付与した例を示している。また、図15に示す投影像413c(413)は、大きさの異なる円形状(若しくは楕円形状)を隣接させた複数の図形を組み合わせて投影像413c全体として指向性を付与した例を示している。投影像413b及び投影像413cは、いずれも非点対称に形成される。投影像413b及び投影像413cは、非点対称に形成されるため、指向される方向(例えば、投影像413bの場合は正三角形状の頂部が位置する図14の上方向、又は、投影像413cの場合は大きい円形状から小さい円形状が配置される図14の右方やや下方向)を基準方向として、作業者等に容易に方位(又は方角)を把握させることができる。
【0080】
また、図15に示す投影像413d(413)は、正四角形の図形の枠内に文字(本実施形態では平仮名文字)を配置して全体として指向性を付与した例を示している。投影像413dは、非点対称に形成される。そのため、図形の指向する方向(例えば、文字の上方)を基準方向として、作業者等に容易に方位(又は方角)を把握させることができる。なお、投影像413dに表示させる文字種類は、平仮名以外のその他の種類としてもよいし、複数の種類又は同一の種類の文字を組み合わせてもよい。また、投影像413dに表示させる文字は複数であってもよい。
【0081】
図16は、指向性付与部が光源141である場合に投影像413dを壁面415に投影した例を示す図である。図16では、測定装置100Aが建物の屋内等の壁に囲われた空間に位置する場合に、投影像413dが壁面415にどのような向きで投影されるかを示している。また、壁面415は円筒状に形成されている例を示している。投影像413dは、光軸Aを中心とした第一方向D3と、第一方向D3に直交する第二方向D4の対向位置では、互いに上下左右が反転して(換言すれば180度回転して)投影される。図16の例では、基準方向である第一方向D3の奥方と、文字の上部位置の向きとを一致させている。したがって、壁面415の空間内にいる作業者等は、壁面415に投影されたいずれかの投影像413dの向きを確認することで容易に方位(又は方角)を把握させることができる。
【0082】
なお、図13~16の投影像413a~411dは、説明の便宜のため拡大して図示しているが、実際の大きさ又は形状の比率はこれらとは異なっていてもよい。
【0083】
次に、指向性付与部が測定制御部104により構成する場合について説明する。指向性付与部として構成される測定制御部104は、測定装置100Aから図13の床41の平面視における光軸A周りに光L3が照射されるように制御しながら、光軸Aを中心とする径方向にも走査しながら、複数回の投影により指向性を有する投影像413eを投影させる。本実施形態の投影像413eは、例えば、図17に示すように直線状の矢印により形成されて指向性を有する。
【0084】
光L3を複数回走査して投影像を形成することで、投影像413eを光L3の断面幅や形状に寄らず、任意の大きさ又は形状で投影することができる。
【0085】
実施形態5では、測定装置100が投影装置として機能する例について説明したが、測定装置100は実施形態1~4の点群測定機能を備えない投影装置として構成されていてもよい。
【0086】
また、投影像413a~411dの形状は本実施形態で説明した態様に限らない。例えば、投影像413は、色彩又は模様に指向性を持たせてもよい。投影像413は、上下方向及び左右方向の二軸に対して非対称である形状が望ましいが、上下方向及び左右方向の一方向の軸に対して非対称に構成されていてもよい。
【0087】
以上、実施形態5では、光源141と、光源141から出射された光を光源141の光軸A回りに反射させる反射素子16と、光軸A回りに配置されて、反射素子16により反射された光を被照射体側に反射によって偏向させる偏向部(151,17)と、被照射体に投影される光に指向性を持たせる指向性付与部(141,104)と、を備える投影装置(測定装置100)について説明した。
【0088】
また、実施形態5では、光源141と、反射素子16と、光源141から出射される光の光軸A回りに環状に配置された偏向部(151,17)と、指向性付与部(141,104)とを備える投影装置(測定装置100)における投影方法であって、反射素子16が、光源141から出射された光を光源141の光軸A回りに反射し、偏向部(151,17)が、反射素子16により反射された光を被照射体側に反射し、指向性付与部(141,104)が、被照射体に投影される光に指向性を持たせる投影方法について説明した。
【0089】
これにより、投影装置(100)及び投影方法は、作業者を特定の座標へ誘導することができる。作業者は、おおよその方位を容易に視認することができるため、現在位置の把握又は特定の作業場所までの方位を把握し、作業効率を向上させることができる。また、施工対象の空間に図面情報を単独で又は投影像413と共に転写して、杭打ちの位置又は座標を表示してもよい。
【0090】
以上で本開示の実施形態の説明を終えるが、本開示の態様はこの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0091】
1 システム
2 測量装置
4 構造物
12 本体部
13 カバー部材
14 検出部
15(15A~15C) 反射ミラー
16 反射素子
17 光ファイバー導光部
18 マイクロレンズアレイ
41 床
42 柱
100(100A~100D) 測定装置
101 測定部
101a 測距部
101b 測角部
102 測定記憶部
102a 測定情報
103 測定通信部
104 測定制御部
141 光源
142 受光部
151(151A~151C) 自由曲面
151-1 第一反射領域
151-2 第二反射領域
152 開口部
161 基台
171 光ファイバー
171a 端部
171b 端部
181 マイクロレンズ
200 測量装置
201 測量部
201a 測距部
201b 測角部
202 測量記憶部
202a 設計情報
202b 測量情報
203 測量通信部
204 測量制御部
205 表示部
300 ターゲット
411 走査不可領域
412 走査可能領域
412a 照射領域
412b 未照射領域
412c~412e 走査可能領域
413(413a~413e) 投影像
414 走査経路
415 壁面
A 光軸
D1 第一径方向
D2 第二径方向
D3 第一方向
D4 第二方向
L1~L3 光
f1 焦点
f2 焦点
θ 鉛直角
φ,φ1,φ2 立体角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17