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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168828
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】テーブル
(51)【国際特許分類】
   A47B 13/00 20060101AFI20231121BHJP
   A47B 13/08 20060101ALI20231121BHJP
   A47B 21/06 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
A47B13/00 B
A47B13/08 A
A47B21/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080164
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】平社 直己
(72)【発明者】
【氏名】藤本 有希
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053NN01
3B053NN03
3B053NN04
3B053PA01
3B053PA03
3B053PC05
(57)【要約】
【課題】天板に通線溝を形成したテーブルにおいて、ケーブル類の抜け防止機能や器具類の格納機能に優れた技術を開示する。
【解決手段】テーブル1は前後の脚4,5で支持された天板3を有しており、天板3の後端部に、第1部分13aと第2部分13bとが交差した姿勢で連通している通線溝13を形成している。第1部分13aは天板2の後端面に開口している。通線溝13の下方には棚板7の後部が位置しており、リア桟板8とフロント仕切り壁11との間が配線空間12になっている。通線溝13はT形になっているため、ケーブル類Cを抜け出にくい状態に保持できる。コンセントやACアダプタ、ケーブル類Cの余長部は配線空間12に整理して格納できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板とこれを支持する脚とを有して、前記天板に、ケーブル類を机上に引出すための通線溝を切り開き形成しているテーブルであって、
前記通線溝は、前記テーブルの端面に開口した第1部分と、前記第1部分と連通しつつ前記第1部分とは姿勢が相違する第2部分とを有している、
テーブル。
【請求項2】
前記第1部分は平面視で前記天板の後端面と直交した姿勢である一方、前記第2部分は前記天板の後端面と平行な姿勢であり、前記通線溝は、平面視において全体としてT型又はL型に形成されている、
請求項1に記載したテーブル。
【請求項3】
前記天板の下方の部位のうち少なくとも前記通線溝の下方又はその近傍に、電源用又は通信用の器具を配置可能な棚板を配置している、
請求項1又は2に記載したテーブル。
【請求項4】
前記棚板に載置されたケーブル類が天板の後ろに落ちることを防止すると共に前記天板を支持するリア仕切り壁を有し、前記リア仕切り壁に、ケーブル類を前記棚板の上方に引き込みできる切欠きが形成されている、
請求項3に記載したテーブル。
【請求項5】
前記棚板は前記天板の前端に向けて広がっており、前記棚板の後部でかつ前記通線溝よりも手前に位置した部位に、ケーブル類が手前にずれることを阻止するフロント仕切り板を配置している、
請求項3に記載したテーブル。
【請求項6】
前記脚の後端面に、前記ケーブル類を配線可能な縦長溝と、前記ケーブル類を前記縦長溝の上端部から前記棚板の上方に引き込みできる上部切欠きと、前記ケーブル類を前記縦長溝の下端部から側方に引き出しできる下部切欠きとが形成されている、
請求項3に記載したテーブル。
【請求項7】
天板とこれを支持する脚とを有して、前記天板に、ケーブル類を机上に引出すための通線溝を切り開き形成しているテーブルであって、
前記天板のうち前記通線溝の近傍部が下方から補強部材で支持されている、
テーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、天板に通線溝が形成されたテーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
執務用や学習用等に使用されるテーブルではパソコン等の電子機器や照明スタンド等の電気機器が使用されることが多いが、これら電子機器・電気機器の電源ケーブルの取り回しに問題が生じることがある。
【0003】
例えば、テーブルを壁面に寄せて配置した場合、電源ケーブルを天板の背面側から机上に引き出せずに右側又は左側から引き出さざるを得ず、すると、見た目が悪くなったり、電源ケーブルが歩行の邪魔になったりすることがある。2つのテーブルを背中合わせに配置した場合も、同様の問題が生じる。
【0004】
そこで、テーブルの配置態様に関係なくケーブル類を机上に美麗に引出しできるようにすることが提案されており、その例として特許文献1には、天板に、一端が一側面に開口して他端は丸孔に連通した一直線状の通線溝(切り込み)を形成して、ケーブル類を横移動させて通線溝に挿入することが開示されている。
【0005】
特許文献1の構成では、ケーブル類の引出し機能を損なうことなく、天板を壁面や他の家具に重ねた状態で配置したり、天板同士が重なった状態で2つのテーブルを並設したりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3057528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の発明は上記の利点があるが、問題も見られる。例えば、通線溝は一直線の姿勢であるため、テーブルを壁等から離して使用している場合、何らかの理由でケーブル類が押されると、ケーブル類が通線溝から外れ出てしまいやすい問題が懸念される。
【0008】
また、机上で複数の機器を使用する場合、1つの通線溝に複数本のケーブル類を通すことになるが、複数本のケーブル類は丸孔の1か所から引き出されるため、ケーブル類を捌きにくくなることも懸念される。
【0009】
また、例えばパソコン等の機器において、電源ケーブルが機器の左又は右の側面に接続されている側面接続仕様と、機器の後面に接続されている後面接続仕様とが有り得るが、特許文献1のように電源ケーブルが丸孔の箇所のみから引き出される構成では、ケーブル類がある程度の弾性を有していることから、側面接続仕様では電源ケーブルは通線溝から外れにくいが、後面接続仕様では電源ケーブルが通線溝から外れやすくなる(或いはその逆)、といった現象が生じることも懸念される。
【0010】
また、電源周りの器具としてコンセント(テーブルタップ)やACアダプタ等のアダプタ類、変圧器を使用することがあり、これらの器具が邪魔にならないように整理することも重要であるが、特許文献1にはこれらの器具の整理について全く触れられていない。
【0011】
更に、天板に通線溝を形成すると、天板のうち通線溝を形成した部位は強度が低下するが、特許文献1には、強度低下の防止策はなんら講じられていない。この点も問題である。
【0012】
本願発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明は様々な構成を含んでおり、その典型を各請求項で特定している。このうち請求項1の発明は上位概念を成すもので、
「天板とこれを支持する脚とを有して、前記天板に、ケーブル類を机上に引出すための通線溝を切り開き形成しているテーブルであって、
前記通線溝は、前記テーブルの端面に開口した第1部分と、前記第1部分と連通しつつ前記第1部分とは姿勢が相違する第2部分とを有している」
という構成になっている。
【0014】
本願発明において、第2部分は1つであってもよいし、複数あってもよい。また、通線溝は第1部分と第2部分とのみによって構成されていることは意味しておらず、第2部分にこれと姿勢が相違する第3部分を連通させてもよい。すなわち、通線溝は、互いに連通した複数の部分で構成されていたらよい。各部分は直線状の姿勢であってもよいし、湾曲していてもよい。通線溝は全体として等幅であるのが好ましい。等幅とすることにより、ルータマシンによって通線溝を一連に加工できる。
【0015】
請求項2の発明は請求項1を具体化したもので、
「前記第1部分は平面視で前記天板の後端面と直交した姿勢である一方、前記第2部分は前記天板の後端面と平行な姿勢であり、前記通線溝は、平面視において全体としてT型又はL型に形成されている」
という構成になっている。
【0016】
請求項2では第1部分と第2部分とが平面視で直交しているが、請求項1の他の展開例として、第1部分と第2部分とでく字状を成した形態や、1本の第1部分から2本の第2部分が傾斜姿勢で分岐して全体としてY形を成した形態も採用できる。或いは、第2部分を円弧状に形成して、全体としてJ形の形態を成すことも可能である。更に、請求項2の変形例として、1本の第1部分から2本の第2部分が分岐したF形の形態も採用可能である。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、
「前記天板の下方の部位のうち少なくとも前記通線溝の下方又はその近傍に、電源用又は通信用の器具を配置可能な棚板を配置している」
という構成になっている。
【0018】
電源用の器具としては、テーブルタップ(コンセント)や変圧器、ACアダプタ、バッテリー等が挙げられる。通信用の器具としては、ルータやハブなどが挙げられる。なお、棚板は、ケーブル類の余長部の配置部としても機能し得る。
【0019】
請求項4の発明は請求項3の展開例であり、
「前記棚板に載置されたケーブル類が天板の後ろに落ちることを防止すると共に前記天板を支持するリア仕切り壁を有し、前記リア仕切り壁に、ケーブル類を前記棚板の上方に引き込みできる切欠きが形成されている」
という構成になっている。
【0020】
請求項5の発明も請求項3の展開例であり、
「前記棚板は前記天板の前端に向けて広がっており、前記棚板の後部でかつ前記通線溝よりも手前に位置した部位に、ケーブル類が手前にずれることを阻止するフロント仕切り板を配置している」
という構成になっている。
【0021】
請求項6の発明も請求項3の展開例であり、
「前記脚の後端面に、前記ケーブル類を配線可能な縦長溝と、前記ケーブル類を前記縦長溝の上端部から前記棚板の上方に引き込みできる上部切欠きと、前記ケーブル類を前記縦長溝の下端部から側方に引き出しできる下部切欠きとが形成されている」
という構成になっている。
【0022】
請求項7の発明は請求項1と並立して上位概念を成すものであり、
「天板とこれを支持する脚とを有して、前記天板に、ケーブル類を机上に引出すための通線溝を切り開き形成しているテーブルであって、
前記天板のうち前記通線溝の近傍部が下方から補強部材で支持されている」
という構成になっている。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明では、通線溝は異なる姿勢の第1部分と第2部分とを有しているため、ケーブル類を第2部分に配置すると、何らかの理由でケーブル類が天板の外側に向けて押されても、ケーブル類が第1部分から外れて出ることはない(或いは外れにくい。)。従って、ケーブル類が通線溝から抜け出ることを防止又は抑制して、ケーブル類を美麗に処理できる。
【0024】
また、複数のケーブル類を机上に引出す場合、1本のケーブル類は第1部分の端部から引き出して、他のケーブル類は第2部分の端部から引き出す、というようにして複数本のケーブル類の引出し位置を異ならせることができるため、複数本のケーブル類を美麗に捌くことができる。
【0025】
また、ケーブル類が接続されている機器に側面接続仕様と後面接続仕様とがある場合、第1部分と第2部分とのうちケーブル類が外れにくい部分を選択できるため、機器の側面接続仕様と後面接続仕様とへの対応性にも優れている。
【0026】
請求項2のように、通線溝を第1部分と第2部分とが直交したT型又はL型に形成すると、ケーブル類は第2部分から第1部分に移行しにくくなるため、特にケーブル類を第2部分に通すことによってケーブル類を外れにくくできる。
【0027】
また、通線溝の切削加工は、XY方向に移動する可動テーブルを有するルータマシンを使用して行えるが、通線溝がT型又はL型であると、通線溝は可動テーブルをX方向とY方向とに移動させる単純な制御で加工できるため、通線溝を容易に加工できる利点もある。この場合、ルータマシンのカッターは回転するので通線溝の端は円弧状になるが、第1部分と第2部分とがT形に交差していると、交差部には円弧の形状は現れないため、美麗な状態になる。
【0028】
請求項3のように棚板を設けると、棚板によって配線空間が形成されて、電源用又は通信用の器具類やケーブル類の余長部分を配線空間に隠した状態に配置できるため、全体として美麗に処理できる。従って、実用的な価値は高い。
【0029】
この場合、請求項4のようにリア仕切り壁を設けると、器具類やケーブルの余長部が後ろに落ちることを防止できる一方、請求項5のようにフロント仕切り壁を設けると、器具類やケーブルの余長部が手前にずれ移動することを防止できるため、器具類やケーブルの余長部の整理機能に優れている。請求項4と請求項5とを組み合わせると、特に好適である。仕切り壁で天板を支持することにより、天板の支持強度を向上できる利点もある。
【0030】
請求項6の構成を採用すると、脚の後面を壁面や他の家具類に重ねた場合でも、ケーブル類を美麗に整理した状態で机上に引き出すことができる。従って、ケーブル類が床に散乱して外観が悪化したり人の足に引っ掛かったりする不具合を防止して、周囲の環境を良くすることができる。
【0031】
請求項7の構成を採用すると、天板の強度低下を防止又は著しく抑制した状態で通線溝を形成できる。従って、実用的な価値は高い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】(A)は第1実施形態を前方から見た全体斜視図、(B)は(A)の部分拡大図である。
図2】(A)は第1実施形態を後ろから見た全体斜視図、(B)は分離斜視図、(C)は後ろから見た部分拡大図である。
図3】(A)は一部破断平面図、(B)は下方から見た斜視図、(C)は後部脚の拡大図である。
図4】ラックを示す図で、(A)は前方から見た斜視図、(B)は後ろから見た斜視図、(C)は下方から見た斜視図である。
図5】(A)は第2実施形態の平面図、(B)は第3実施形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、図1~3に示す第1実施形態を説明する。
【0034】
(1).テーブルの構造
図1では、テーブル1とラック2とを並べた状態を表示している。テーブル1は木製であり、平面視四角形(長方形)の天板3と、この天板3を支持する前後左右2本ずつの前脚4及び後脚5とを備えている。
【0035】
図2(B)から判るとおり、後脚5は断面四角形であるが前脚4は前外面を面取りした断面5角形になっている。後脚5は直立姿勢であるが、前脚4は下に向けて前にずれるように傾斜している。前後の脚4,5は、その上部が前後長手のサイド桟板6によって連結されており、サイド桟板6の内外側面は脚4,5の内外側面と同一面を成している。天板3の前端面は、その上端を僅かに残して後傾姿勢にカットされている。
【0036】
図2(B)や図3に明示するように、天板3の下方には、物品を載置できる棚板7を配置している。棚板7の前端は前脚4の前端近くに位置して、棚板7の後端は後脚5の後端近くに位置している。そして、左右の後脚5に、棚板7の後端に重なる左右長手のリア桟板(後ろ幕板)8が連結されている。リア桟板8の後面は、後脚5の後面よりも僅かに手前に位置している。左右の後脚5の下端部は、左右長手のロアステー9によって連結されている。
【0037】
リア桟板8の上面は天板3の下面に当接している。天板3は、リア桟板8に載っているだけでもよいし、ダボ等によって連結されていてもよい。リア桟板8の上下幅とサイド桟板6との上下幅は同じになっており(異ならせてもよい)、棚板7は、リア桟板8及びサイド桟板6の中途高さ部位にダボやジョイント金具によって連結されている。
【0038】
リア桟板8の左右側部を上向きに切欠くことにより、ケーブル類Cを天板3と棚板7との間の空間に引き込みできる左右の配線通路10が形成されている。また、天板3と棚板7との間の空間のうち配線通路10の手前の部位にフロント仕切り壁11を配置して、リア桟板8とフロント仕切り壁11との間の部位を配線空間12と成している。
【0039】
フロント仕切り壁11は棚板7と天板3とにダボ等によって固定されている。フロント仕切り壁11は左右に分離しているが、一連に連続していてもよい。本実施形態では、リア桟板8は請求項に記載したリア仕切り壁及び補強部材を兼用している。
【0040】
そして、天板3の後部のうちフロント仕切り壁11の後ろのエリアに、前後長手の第1部分13aと左右長手の第2部分13bとからなる平面視T形の通線溝13を形成している。通線溝13の第1部分13aは、後脚5及びサイド桟板6の内側面に近接して配置されており、天板3の後端面に開口している。他方、第2部分13bは、リア桟板8の前面に近接した状態で第1部分13aと連通している。すなわち、第2部分13bは、リア桟板8の前面に近接した状態で、第1部分13aの前後中途部から左右内向きに分岐している。
【0041】
通線溝13はルータマシンで切削加工されている。従って、第1部分13aと第2部分13bとは等幅になっている。また、第1部分13a及び第2部分13bの先端(底部)は平面視円弧面になっている。
【0042】
図2(C)や図3(B)(C)に示すように、後脚5の後面には、ケーブル類Cを挿入可能な縦長溝14が全高に亙って形成されている。また、後脚5の上端部には、縦長溝14と配線空間12とを連通させる上部切欠き15が形成されて、後脚5の下端部には、縦長溝14と連通した左右の下部切欠き16が形成されている。従って、床に這わせたケーブル類Cを、上下の切欠き15,16と縦長溝14とを介して配線空間12に引き出すことができる。
【0043】
ラック2は、4段の棚板18とこれを支持する4本の支柱19,20とを備えており、各棚板18の左右幅は、テーブル1における天板3の前後幅(奥行き寸法)と同じ寸法になっている。また、下から3段目の棚板18は、テーブル1の天板3と同じ高さに設定されている。従って、図1のように、ラック2をテーブル1に側方から向くように配置すると、テーブル1の天板3とラック2における3段目の棚板18とが同一面を成して、テーブル1の天板3を広げた状態になる。
【0044】
図4に示すように、ラック2における上段の棚板18(天板)を除いた棚板18の後端には、物品の脱落を防止するための柵板21を立設している。柵板21は、図示しない金具を介して後支柱20に固定されている。ラック2における後支柱20は断面四角形であるが、前支柱19は五角形になっている。また、各棚板18の前端は、テーブル1の天板3と同様に後傾姿勢に傾斜している。
【0045】
(2).まとめ
机上ではノートパソコンやタブレット端末等の電子機器や、照明スタンドのような電気機器を使用できるが、本実施形態では、これらの機器に使用する電源等のケーブル類Cは、通線溝13から机上に引き出すことができる。従って、天板3を壁面や他の家具に重ねた状態で、ケーブル類Cを後面部から机上に引き出すことができる。
【0046】
そして、ケーブル類Cが後ろ向きに押されることが有り得るが、図1(B)に一点鎖線や二点鎖線で示すように、ケーブル類Cを第2部分13bから引き出すことにより、ケーブル類Cを通線溝13から外れない状態に保持できる。従って、テーブル1を壁際に寄せずに配置した場合であっても、ケーブル類Cの離脱を防止できる。
【0047】
また、複数本のケーブル類Cを使用する場合、第1部分13aと第2部分13bとに分けて引き出すことにより、複数本のケーブル類Cを綺麗に捌いて使用できる。このため、机上でケーブル類Cが乱雑になることを防止して、机上を美麗な状態に維持できる。
【0048】
更に、機器にケーブル類Cを接続した場合、ケーブル類Cの弾性力によってケーブル類Cが通線溝13に対して突っ張ることがあり、この場合、機器に対するケーブル類Cの接続位置の違いにより、ケーブル類Cが手前に引かれ勝手になったり、ケーブル類Cが後ろ向きに押され勝手になったりすることがあるが、ケーブル類Cが手前に引かれ勝手になる場合は、ケーブル類Cを第1部分13aと第2部分13bとのいずれかから引き出して、ケーブル類Cが後ろ向きに押され勝手になる場合は、ケーブル類Cを第2部分13bから引き出すというように使い分けて、ケーブル類Cが通線溝13から抜け出ることを確実に防止できる。
【0049】
本実施形態のように通線溝13を天板3の左右両側部に設けると、機器を左右どの位置においてもケーブル類Cを美麗に処理できる利点がある。また、本実施形態では、棚板7の後部に設けた配線空間12にコンセント(テーブルタップ)等の各種器具類を配置できると共に、ケーブル類Cの余長部も配線空間12に配置できるため、机上面をすっきりと使用できる。
【0050】
この場合、実施形態のようにフロント仕切り壁11を左右に分離して配置すると、棚板7のうち左右のフロント仕切り壁11の間の部分よりも奥の部位を物品の載置部として使用できるため、物品の収納機能を向上できる利点がある。
【0051】
更に、本実施形態では、フロント仕切り壁11とリア桟板8とは請求項に記載した補強部材として機能しており、これらフロント仕切り壁11とリア桟板8とが存在することにより、天板3に通線溝13を形成しても支持強度が低下することを防止できる。後脚5の後面に縦長溝14と上下の切欠き15,16を形成すると、テーブル1の奥部にケーブル類Cが散乱することを防止できるため、見た目が良いと共に、テーブル1の使用者の足にケーブル類Cが引っ掛かる不具合も防止できる。
【0052】
(3).他の実施形態
図5では他の実施形態を示している。このうち(A)に示す第2実施形態では、通線溝13を天板3の左右両側部に設けて、平面視L形に形成している。図示していないが、通線溝13を、1本の第1部分13aと2本の第2部分13bとからなるF形に形成することも可能である。
【0053】
図5(B)に示す第3実施形態では、通線溝13は天板3の後部のうち左右中間部に形成されており、第1部分13aの先端から第2部分13bが左右に分離した平面視T形の形態を成している。第3実施形態の場合、一点鎖線で示すように第1部分13aを第2部分13bよりも手前に延長して、通線溝13を全体として十字形に形成することも可能である。
【0054】
第3実施形態のように通線溝13を天板3の左右中途部(中間部)に設けた場合、フロント仕切り壁11は通線溝13の手前のみに配置したら足りるが、左右全長に亙って配置することも可能である。配線通路10は、天板3の左右側部と左右中間部とに形成したらよい。
【0055】
図面で表示したテーブル1は1人用を想定しているが、2人用や3人用のようなロングタイプのテーブル1の場合は、天板3の左右側部に第1実施形態や第2実施形態の通線溝13をそれぞれ形成しつつ、左右の間のうちの1箇所又は複数箇所に、第3実施形態のような通線溝13を配置したらよい。
【0056】
以上の通線溝13では、前後長手の第1部分13aと左右長手の第2部分13bとが直交しているが、平面視で第2部分13bを第1部分13aに対して傾斜させて、全体としてく字形やV字形、ト形などに形成することも可能である。また、1本の第1部分13aの先端から2本の第2部分13bが逆方向に傾斜姿勢で分岐したY形に形成することも可能である。
【0057】
また、第1部分13aは天板3の後端面と直交した前後長手の姿勢である必然性はないのであり、前後長手線に対して傾斜させることも可能である。第1実施形態のように左右の後脚5をロアステー9で連結した場合、ロアステー9の後面にその全長に亙って延びる横長溝を形成して、ロアステー9の横長溝と後脚5の縦長溝14とを、後脚5に形成した切欠きを介して連通させることも可能である。
【0058】
後脚5の縦長溝14やロアステー9の横長溝にキャップを装着することも可能である。この場合は、天板3の後端面が後脚5の後端面やロアステー9の後端面から突出している場合でも、ケーブル類Cを縦長溝14や横長溝に抜けない状態に保持できる。通線溝13は、第2部分13bから更に第3部分を分岐させてクランク状やトーナメント状に形成することも可能である。
【0059】
第1実施形態のテーブル1において、棚板7による物品収納空間は前向きに開口してオープン方式になっているが、引出しを装着することも可能である。テーブルの通線溝は、天板の側端面に開口させることも可能である。なお、図1図4に示したラックは、図1と反対向きの姿勢に配置したり、手前に開口した姿勢に配置したりすることも可能である。実施形態の脚は棒状になっているが、板状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本願発明は、テーブルに具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0061】
1 テーブル
2 ラック
3 天板
4 前脚
5 後脚
6 サイド桟板
7 棚板
8 リア仕切り壁及び補強部材を兼用するリア桟板(幕板)
10 配線通路
11 補強部材を兼用するフロント仕切り壁
12 配線空間
13 通線溝
13a 第1部分
13b 第2部分
14 縦長溝
15 上部切欠き
16 下部切欠き
C ケーブル類
図1
図2
図3
図4
図5