(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016883
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】バイオベースエラストマーEVA組成物及びその物品及びその方法
(51)【国際特許分類】
C08L 31/04 20060101AFI20230126BHJP
C08L 23/08 20060101ALI20230126BHJP
C08L 21/00 20060101ALI20230126BHJP
C08L 83/04 20060101ALI20230126BHJP
C08K 5/14 20060101ALI20230126BHJP
C08K 5/22 20060101ALI20230126BHJP
A43B 1/14 20060101ALI20230126BHJP
A43B 13/04 20060101ALI20230126BHJP
C12P 7/06 20060101ALI20230126BHJP
C12P 1/02 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
C08L31/04 S
C08L23/08
C08L21/00
C08L83/04
C08K5/14
C08K5/22
A43B1/14
A43B13/04 A
C12P7/06
C12P1/02
【審査請求】有
【請求項の数】53
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022187445
(22)【出願日】2022-11-24
(62)【分割の表示】P 2020556900の分割
【原出願日】2019-04-12
(31)【優先権主張番号】62/658,283
(32)【優先日】2018-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514091253
【氏名又は名称】ブラスケム・エス・エー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャンカルロス・デレヴァチ
(72)【発明者】
【氏名】マウロ・アルフレド・ソト・オヴィエド
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンダ・ムニョズ・アンデルリ
(72)【発明者】
【氏名】オマール・ワンディアー・レンク
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼ・アウグスト・エステヴェス・ヴィヴェイロ
(57)【要約】
【課題】ポリマー組成物は、エラストマーエチレン酢酸ビニルを含むことができ、エラストマーエチレン酢酸ビニルのエチレンの少なくとも一部は、再生可能炭素源から得られる。硬化性ポリマー組成物、膨張性ポリマー組成物、物品、硬化物品、及び膨張物品は、こうしたポリマー組成物を含む、又はこうしたポリマー組成物から形成することができる。
【解決手段】ポリマー組成物を製造する方法は、再生可能炭素源から少なくとも一部得られるエチレンを酢酸ビニルと重合させて、エチレン酢酸ビニルコポリマーを生成する工程と、エチレン酢酸ビニルコポリマーをエラストマーポリオレフィンと混合して、エラストマーエチレン酢酸ビニルを生成する工程とを含むことができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマーエチレン酢酸ビニルを含むポリマー組成物であって、前記エラストマーエチレン酢酸ビニルのエチレンの少なくとも一部が再生可能炭素源から得られる、ポリマー組成物。
【請求項2】
前記エラストマーエチレン酢酸ビニルが、
エチレン酢酸ビニルコポリマー、
エチレンアルファ-オレフィンコポリマー、及び
ゴム
を含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
前記エラストマーエチレン酢酸ビニルが、
前記エチレン酢酸ビニルコポリマーを、質量パーセントで、20wt%~90wt%の範囲、
前記エチレンアルファ-オレフィンコポリマーを、質量パーセントで、50wt%~600wt%の範囲、
前記ゴムを、質量パーセントで、0.5wt%~40wt%の範囲、
ポリオルガノシロキサンを、質量パーセントで、0.1wt%~10wt%の範囲、及び
可塑剤を、質量パーセントで、0.5wt%~20wt%の範囲
含む、請求項2に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
前記エチレンアルファ-オレフィンコポリマーが、C3~C20アルファ-オレフィンモノマーから製造される、請求項2又は3に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
酢酸ビニルが、再生可能炭素源から少なくとも一部得られる、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
酢酸ビニルが、コポリマー中に、5~40wt%の範囲の量で存在する、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
前記エチレンが、コポリマー中に、60~95wt%の範囲の量で存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
ASTM D6866-18B法によって決定される場合、少なくとも5%のバイオベース炭素含有量を示す、請求項1から7のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
ASTM D-792によって決定される場合、0.92~0.96g/cm3の範囲の密度を示す、請求項1から8のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
ASTM D1238によって、190℃で荷重2.16kgを用いる測定で決定される場合、1~25g/10分の範囲のメルトインデックスを示す、請求項1から9のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項11】
ASTM D2240によって決定される場合、ショアA40~90の範囲の硬度を示す、請求項1から10のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のポリマー組成物から製造される物品。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか一項に記載のポリマー組成物及び少なくとも過酸化剤を含む、硬化性ポリマー組成物。
【請求項14】
請求項13に記載の硬化性ポリマー組成物から製造される硬化非膨張物品。
【請求項15】
ASTM D-792によって決定される場合、0.7~1.2g/cm3の範囲の密度を示す、請求項14に記載の硬化非膨張物品。
【請求項16】
ASTM D2240によって決定される場合、ショアA40~90の範囲のショアA硬度を示す、請求項14又は15に記載の硬化非膨張物品。
【請求項17】
ISO 4649:2017によって、荷重10Nでの測定で決定される場合、10mm3~250mm3の範囲の耐摩耗性を示す、請求項14から16のいずれか一項に記載の硬化非膨張物品。
【請求項18】
ASTM D638によって決定される場合、少なくとも200%の破断点伸びを示す、請求項14から17のいずれか一項に記載の硬化非膨張物品。
【請求項19】
ASTM D6866-18B法によって決定される場合、少なくとも5%のバイオベース炭素含有量を示す、請求項14から17のいずれか一項に記載の硬化非膨張物品。
【請求項20】
請求項1から11に記載のポリマー組成物並びに少なくとも発泡剤及び過酸化剤を含む、膨張性ポリマー組成物。
【請求項21】
請求項20に記載の膨張性ポリマー組成物から製造される膨張物品。
【請求項22】
ASTM D-792によって決定される場合、0.05~0.9g/cm3の範囲の密度を示す、請求項21に記載の膨張物品。
【請求項23】
ABNT NBR 14455:2015によって決定される場合、アスカーC20~95の範囲のアスカーC硬度を示す、請求項21又は22に記載の膨張物品。
【請求項24】
ASTM D395:2016B法によって決定される場合、20%~100%の範囲の圧縮永久歪みを示す、請求項21から23のいずれか一項に記載の膨張物品。
【請求項25】
ABNT NBR 8619:2015によって決定される場合、30%~80%の範囲の弾性反発を示す、請求項21から24のいずれか一項に記載の膨張物品。
【請求項26】
ISO 4649によって、荷重5Nでの測定で決定される場合、40mm3~700mm3の範囲の耐摩耗性を示す、請求項21から25のいずれか一項に記載の膨張物品。
【請求項27】
PFI法に従って、70℃×1時間で測定される場合、0.1%から7%の間の収縮を示す、請求項21から26のいずれか一項に記載の膨張物品。
【請求項28】
ASTM D638によって決定される場青、少なくとも300%の破断点伸びを示す、請求項21から27のいずれか一項に記載の膨張物品。
【請求項29】
ASTM D6866-18B法によって決定される場合、少なくとも5%のバイオベース炭素含有量を示す、請求項21から28のいずれか一項に記載の膨張物品。
【請求項30】
靴底、ミッドソール、アウトソール、ユニソール、インソール、モノブロックサンダル、ビーチサンダル、フルEVAフットウェア、スポーツ用品、シール、ホース、ガスケット、発泡体、発泡体マットレス、及び自動車用部品からなる群から選択される、請求項12、請求項14から19及び請求項21から29のいずれか一項に記載の物品。
【請求項31】
ポリマー組成物を製造する方法であって、
再生可能炭素源から少なくとも一部得られるエチレンを酢酸ビニルと重合させて、エチレン酢酸ビニルコポリマーを生成する工程と、
前記エチレン酢酸ビニルコポリマーをエラストマーポリオレフィンと混合して、エラストマーエチレン酢酸ビニルを生成する工程と
を含む、方法。
【請求項32】
前記エラストマーポリオレフィンが、エチレンアルファ-オレフィンコポリマー及びゴムを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
混合する前記工程が、
EVAコポリマーを、質量パーセントで、20wt%~90wt%の範囲、
エチレンアルファ-オレフィンコポリマーを、質量パーセントで、5 wt%~60 wt%の範囲、
ポリオルガノシロキサンを、質量パーセントで、0.1wt%~10wt%の範囲、
可塑剤を、質量パーセントで、0.5wt%~20wt%の範囲、及び
ゴムを、質量パーセントで、0.5wt%~40wt%の範囲
混合することを含む、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
前記エチレンアルファ-オレフィンコポリマーが、C3~C20アルファ-オレフィンモノマーを含む、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
前記ポリマー組成物が、ASTM D6866-18B法によって決定される場合、少なくとも5%のバイオベース炭素含有量を示す、請求項31から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記酢酸ビニルが、再生可能炭素源から少なくとも一部得られる、請求項31から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記酢酸ビニルが、前記エチレン酢酸ビニルコポリマー中に、5~40wt%の範囲の量で存在する、請求項31から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記エチレンが、前記エチレン酢酸ビニルコポリマー中に、60~95wt%の範囲の量で存在する、請求項31から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記エチレン酢酸ビニルコポリマーが、少なくとも1種の追加のコモノマーを更に含む、請求項31から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
ポリマー組成物を製造する方法であって、
再生可能炭素源を発酵させてエタノールを生成する工程と、
エタノールを脱水して、エチレンを生成する工程と、
エチレン及び酢酸ビニルを重合させて、エチレン酢酸ビニルコポリマーを生成する工程と、
前記エチレン酢酸ビニルコポリマーをエラストマーポリオレフィンと混合して、エラストマーエチレン酢酸ビニルを生成する工程と
を含む、方法。
【請求項41】
発酵させる前記工程により、前記エタノール及び高級アルコールを含む副生成物の混合物が生成され、脱水する前記工程により、エチレン及び高級アルケン不純物が生成され、前記方法が、前記エチレンを得るために、前記エチレン及び前記高級アルケン不純物を精製する工程を更に含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
発酵させる前記工程により、前記エタノール及び高級アルコールを含む副生成物が生成され、前記方法が、前記エタノールを得るために、前記エタノール及び前記副生成物を精製する工程を更に含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記再生可能炭素源が、サトウキビ及びテンサイ、カエデ、ナツメヤシ、ヤシ糖、ソルガム、アメリカンアガベ、トウモロコシ、小麦、大麦、ソルガム、米、ジャガイモ、キャッサバ、サツマイモ、藻、果実、セルロースを含む材料、ワイン、ヘミセルロースを含む材料、リグニンを含む材料、木材、わら、サトウキビバガス、サトウキビの葉、トウモロコシ茎葉、木材残渣、紙、並びにその組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1種の植物材料である、請求項40から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記エラストマーポリオレフィンが、エチレンアルファ-オレフィンコポリマー及びゴムを含む、請求項40から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記ポリマー組成物が、ASTM D6866-18B法によって決定される場合、少なくとも5%のバイオベース炭素含有量を示す、請求項40から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記酢酸ビニルが、再生可能炭素源から少なくとも一部得られる、請求項40から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記酢酸ビニルが、前記エチレン酢酸ビニルコポリマー中に、5~40wt%の範囲の量で存在する、請求項40から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記エチレンが、前記エチレン酢酸ビニルコポリマー中に、60~95wt%の範囲の量で存在する、請求項40から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
重合させる前記工程が、管型反応器又はオートクレーブ反応器から選択される高圧重合反応器において、フリーラジカル発生剤の存在下で行われる、請求項31から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
過酸化剤の存在下で前記ポリマー組成物を硬化させる工程を更に含む、請求項31から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
少なくとも発泡剤及び過酸化剤の存在下で前記ポリマー組成物を硬化及び膨張させる工程を更に含む、請求項31から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記ポリマー組成物を硬化させる前記工程が、酸素で満たされた状態、又は酸素が部分的に存在する状態で行われる、請求項50又は51に記載の方法。
【請求項53】
請求項31から52のいずれか一項に記載の方法によって製造されるポリマー組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
市販のゴム組成物は、多様な第1のポリマー及び第2のポリマー並びに様々な添加剤と配合して、最終用途に基づいて性能を調整することができる。例えば、フットウェア市場で通常使用されるゴム組成物は、その用途に必要な特質を得るために、多くの原料を必要とし、複雑で特殊な混合物の製造につながる。
【0002】
多くの添加剤を含む、複雑な配合に加えて、硬化及び加硫により、さらなる制約がもたらされ、様々な用途のために、配合を変えること、又はゴムを再利用することが制限される。従来のゴムベース、例えば、SBR(スチレン-ブタジエンゴム)、天然ゴム、及び/又は様々な合成ゴム若しくは天然ゴムのブレンドに伴う、加工の難しさは、同様の特性又は改善された特性、例えば、低摩耗性、柔らかな触感、軽さ、及びより少ない数の配合成分を有する、代替基材を探す動機となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】BR102012025160-4
【特許文献2】米国特許出願第62/594307号
【特許文献3】米国特許第9181143号
【特許文献4】米国特許第4396789号
【特許文献5】米国特許第5840971号
【特許文献6】WO201694161A1
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「Selective catalytic oxidation of ethanol to acetic acid on dispersed Mo-V-Nb mixed oxides」Li X,Iglesia E.、Chemistry 2007、13(33)、9324~30頁
【非特許文献2】「The Production of Vinyl Acetate Monomer as a Co-Product from the Non-Catalytic Cracking of Soybean Oil」Benjamin Jones、Michael Linnen、Brian Tande、及びWayne Seames、Processes、2015、3、61-9-633
【非特許文献3】「Acetic acid bacteria:A group of bacteria with versatile biotechnological applications」Saichana N、Matsushita K、Adachi O、Frebort I、Frebortova J.、Biotechnol Adv. 2015年11月 1;33(6Pt2):1260~71頁
【非特許文献4】「Biotechnological applications of acetic acid bacteria」Raspor P、Goranovic D.、Crit Rev Biotechnol.2008;28(2):101~24頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
この概要は、詳細な説明において、以下に更に記述される概念の選択を紹介するために提供する。この概要は、特許請求の範囲に記載の主題の、鍵となる特徴、又は必須の特徴を特定するものでもなく、特許請求の範囲に記載の主題の範囲を制限する一助として用いるものでもない。
【0006】
一態様において、本明細書で開示された実施形態は、エラストマーエチレン酢酸ビニルを含むポリマー組成物であって、エラストマーエチレン酢酸ビニルのエチレンの少なくとも一部が、再生可能炭素源から得られる、ポリマー組成物に関する。
【0007】
別の態様において、本明細書で開示された実施形態は、エラストマーエチレン酢酸ビニルを含むポリマー組成物から製造することができる物品であって、エラストマーエチレン酢酸ビニルのエチレンの少なくとも一部が再生可能炭素源から得られる、物品に関する。
【0008】
別の態様において、本明細書で開示された実施形態は、エラストマーエチレン酢酸ビニル及び少なくとも過酸化剤を含む硬化性ポリマー組成物であって、エラストマーエチレン酢酸ビニルのエチレンの少なくとも一部が再生可能炭素源から得られる、硬化性ポリマー組成物に関する。
【0009】
更に別の態様において、本明細書で開示された実施形態は、エラストマーエチレン酢酸ビニル及び少なくとも過酸化剤を含む硬化性ポリマー組成物から製造される硬化物品であって、エラストマーエチレン酢酸ビニルのエチレンの少なくとも一部が再生可能炭素源から得られる、硬化物品に関する。
【0010】
別の態様において、本明細書で開示された実施形態は、エラストマーエチレン酢酸ビニル並びに少なくとも発泡剤及び過酸化剤を含む膨張性ポリマー組成物であって、エラストマーエチレン酢酸ビニルのエチレンの少なくとも一部が再生可能炭素源から得られる、膨張性ポリマー組成物に関する。
【0011】
別の態様において、本明細書で開示された実施形態は、エラストマーエチレン酢酸ビニル並びに少なくとも発泡剤及び過酸化剤を含む膨張性ポリマー組成物から製造される膨張物品であって、エラストマーエチレン酢酸ビニルのエチレンの少なくとも一部が再生可能炭素源から得られる、膨脹物品に関する。
【0012】
更に別の態様において、本明細書で開示された実施形態は、ポリマー組成物を製造する方法であって、再生可能炭素源から少なくとも一部得られるエチレンを酢酸ビニルと重合させて、エチレン酢酸ビニルコポリマーを生成する工程と、エチレン酢酸ビニルコポリマーをエラストマーポリオレフィンと混合して、エラストマーエチレン酢酸ビニルを生成する工程とを含む、方法に関する。
【0013】
更に別の態様において、本明細書で開示された実施形態は、ポリマー組成物を製造する方法であって、再生可能炭素源を発酵させてエタノールを生成する工程と、エタノールを脱水して、エチレンを生成する工程と、エチレン及び酢酸ビニルを重合させて、エチレン酢酸ビニルコポリマーを生成する工程と、エチレン酢酸ビニルコポリマーをエラストマーポリオレフィンと混合して、エラストマーエチレン酢酸ビニルを生成する工程とを含む、方法に関する。
【0014】
特許請求の範囲に記載の主題の、他の態様及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の、1つ又は複数の実施形態のバイオベース酢酸ビニルの製造の、例示的な経路を示す図である。
【
図2】本開示の、1つ又は複数の実施形態の物品の収縮を測定するPFI法に関連した、いくつかの点を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
一態様において、本明細書で開示された実施形態は、エラストマーエチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマーを含むゴム組成物であって、エラストマーエチレン酢酸ビニルコポリマーのエチレンの少なくとも一部が、植物系材料等の再生可能炭素源から得られる、すなわち、バイオベースエラストマーエチレン酢酸ビニルコポリマーを形成する、ゴム組成物に関する。
【0017】
本開示のポリマー組成物は、スチレン-ブタジエンゴム等のゴムを、部分的に、又は全体的に置き換えるのに使用して、靴底部品、サンダル又はビーチサンダル用のモノブロック発泡ソール等を含む用途の膨張物品及び非膨張物品を製造することができると同時に、これらの用途で求められる必須の技術的要件を保持する。
【0018】
本開示のポリマー組成物は、エラストマーEVA組成物、及び充填剤、発泡剤、硬化剤、又は発泡促進剤の1種又は複数の混合物から得られる反応生成物を含むことができる。エラストマーEVAは、例えば、バイオベースエチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレン-アルファオレフィンコポリマー及びゴムを含むことができる。成分のそれぞれは、以下に説明される。
【0019】
EVAは、高温及び高圧での、エチレン及び酢酸ビニルの重合から誘導されるランダムな単位の配列によって形成される、エラストマーのポリオレフィン族のコポリマーである。EVAコポリマーにより、他の熱可塑性物質のように処理することができるが、柔軟性及び弾性を含む、ゴムのような特徴を与えることができる、材料がもたらされる。天然源に由来する生成物の使用は、化石源から得られるものとは対照的に、大気の二酸化炭素濃度の増加を減らし、故に温室効果の拡大を効率的に制限する、有効な手段として、益々、広く好まれる選択肢となった。天然原料から得られる生成物は、化石源に由来する生成物に対して、その再生可能炭素含有量において異なる。この再生可能炭素含有量は、技術的なASTM D 6866-18規範「放射性炭素分析を用いた、固体試料、液体試料、及び気体状試料のバイオベース含有量を決定する、標準試験法」に記載された技法によって認定することができる。再生可能天然原料から得られる生成物は、そのライフサイクルの終わりで焼却することができ、化石に由来しないCO2のみを生じ得る、付加的な特性を有する。更に、本開示の特定の実施形態が、エラストマーEVA組成物の製造における、バイオベースEVAコポリマーの使用を対象とすることができる一方で、1種又は複数の、他の成分もまた、再生可能源から形成され得ることも理解される。したがって、以下の説明の一部は、EVAコポリマー中のバイオベース炭素量を対象とし、1つ又は複数の実施形態において、エラストマーEVA組成物は、ASTM D6866-18B法によって決定される場合、少なくとも5%のバイオベース炭素含有量を示すことができる。更に、他の実施形態は、バイオベース炭素を少なくとも10%、20%、40%、50%、60%、80%、又は90%含むことができる。こうしたバイオベース炭素は、EVAコポリマーによって完全に付与されてもよく、同様に、他の成分によって付与されてもよい。
【0020】
エラストマーEVA組成物
本開示の、1つ又は複数の実施形態のポリマー組成物は、(A)バイオベースEVAコポリマー、(B)エチレンアルファ-オレフィンコポリマー、(C)ポリオルガノシロキサン、(D)可塑剤、及び(E)ゴムから調製することができ、一部の実施形態では、(F)架橋剤によって架橋された、エラストマーエチレン酢酸ビニル(EVA)組成物を含むことができる。エラストマーEVA組成物は、ブラジル特許BR102012025160-4及び米国特許出願第62/594307号において開示されたように調製され、その両方は、本明細書にその全体が援用されている。本開示のエラストマー組成物の主要な成分、及びその個々の特性を以下に詳述する。
【0021】
(A)EVAコポリマー
本開示のエラストマーEVA組成物は、エチレン及び酢酸ビニルの共重合によって調製される、1種又は複数の、エチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマーを組み込むことができる。一部の実施形態において、EVAコポリマーは、化石源又は再生可能源、例えば、バイオベースEVAに由来し得る。バイオベースEVAは、例えば、バイオベースエタノールに由来するエチレンのように、エチレンモノマー及び/又は酢酸ビニルモノマーの少なくとも一方が、再生可能源に由来するEVAである。
【0022】
本開示のポリマー組成物は、EVAポリマー中のエチレンの質量パーセントが、60wt%、66wt%、及び72wt%のうちの1つから選択される下限から、82wt%、88wt%、92wt%、及び95wt%のうちの1つから選択される上限までの範囲である、EVAコポリマーを含むことができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。更に、エチレンの、この全量のうち、そのエチレンの少なくとも一部は、再生可能炭素源をベースにすると理解される。
【0023】
本開示のポリマー組成物は、様々な比率の、エチレン及び酢酸ビニルを組み込んだEVAコポリマーを含むことができる。本開示のポリマー組成物は、ASTM D5594によって決定される場合、コポリマー中の酢酸ビニルの質量パーセントが、5wt%、8wt%、12wt%、及び18wt%のうちの1つから選択される下限から、28wt%、33wt%、及び40wt%から選択される上限までの範囲である、EVAコポリマーを含むことができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。更に、酢酸ビニルの、この全量のうち、その酢酸ビニルの少なくとも一部は、再生可能炭素源をベースにすると理解される。
【0024】
詳細には、1つ又は複数の実施形態において、EVAコポリマーは、ASTM D6866-18B法によって決定される場合、少なくとも5%のバイオベース炭素含有量を示す。更に、他の実施形態は、バイオベース炭素を少なくとも10%、20%、40%、50%、60%、80%、又は100%含むことができる。前述したように、EVAポリマー中の、全ての、バイオベース炭素又は再生可能炭素は、バイオベースエチレン及び/又はバイオベース酢酸ビニルから付与され得る。これらのそれぞれは、次に説明される。
【0025】
例えば、1つ又は複数の実施形態において、再生可能炭素源は、サトウキビ及びテンサイ、カエデ、ナツメヤシ、ヤシ糖、ソルガム、アメリカンアガベ、トウモロコシ、小麦、大麦、ソルガム、米、ジャガイモ、キャッサバ、サツマイモ、藻、果実、セルロースを含む材料、ワイン、ヘミセルロースを含む材料、リグニンを含む材料、木材、わら、サトウキビバガス、サトウキビの葉、トウモロコシ茎葉、木材残渣、紙、並びにその組み合わせからなる群から選択される、1種又は複数の植物材料である。
【0026】
1つ又は複数の実施形態において、バイオベースエチレンは、再生可能炭素源を発酵させてエタノールを生成する工程によって得ることができ、エタノールはその後、脱水して、エチレンを生成することができる。更に、また、発酵させる工程により、エタノールに加えて、高級アルコールの副生成物も生成されると理解される。高級アルコール副生成物が脱水中に存在する場合、高級アルケン不純物が、エタノールと同時に形成され得る。したがって、1つ又は複数の実施形態において、エタノールを、脱水の前に精製して、高級アルコール副生成物を取り除くか、他の実施形態において、エチレンを精製して、脱水後に高級アルケン不純物を取り除くことができる。
【0027】
したがって、バイオエタノールとして知られる、生物学的起源のエタノールは、サトウキビ及びビート等の培養物に由来する糖、又はトウモロコシ等の、他の培養物に関連した加水分解でんぷんに由来する糖の発酵によって得られる。バイオベースエチレンは、わら及びサトウキビ外皮等の多くの農業副産物において見出され得る、セルロース及びヘミセルロースからの加水分解の基づく生成物から得ることができることも想起される。この発酵は、多様な微生物の存在下で実施され、こうした微生物の最も重要なものは、酵母サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である。それより得られるエタノールは、通常300℃を超える温度での触媒反応によって、エチレンに変換することができる。多様な触媒、例えば、高比表面積ガンマ-アルミナを、この目的で使用することができる。他の例には、米国特許第9181143号及び米国特許第4396789号に記載された教示が含まれ、それらは、参照によって本明細書にその全体が援用されている。
【0028】
他方で、バイオベース酢酸ビニルを、本開示のEVAコポリマーの、1つ又は複数の実施形態において使用することもできる。バイオベース酢酸ビニルは、エタノールの酸化によって、酢酸を生成し(上記のように生成されてもよい)、続いて、エチレン及び酢酸を反応させてエチレンをアシルオキシ化し(acyloxylate)、酢酸ビニルに至ることによって製造することができる。更に、酢酸と反応させるエチレンもまた、上記の再生可能資源から生成することができると理解される。
【0029】
バイオベース酢酸ビニルを得る、例示的な経路を
図1に示す。初めに示されるように、少なくとも1種のアルコール(エタノール又はエタノールを含むアルコールの混合物のいずれか)を生成するために、前述されたものを含む、再生可能出発材料の発酵、及び任意の精製が行われる。アルコールを2つの部分に分けることができ、ここで、第1の部分を第1の反応器に導入し、第2の部分を第2の反応器に導入することができる。第1の反応器において、アルケン(発酵の後に精製を行ったかどうかによって、エチレン又はエチレンを含むアルケンの混合物)を生成するためにアルコールを脱水し、続いて任意で精製して、エチレンを得ることができる。当業者は、精製が脱水の前に起こる場合、脱水の後で精製する必要はなく、逆の場合も同じであることを認識し得る。第2の反応器において、酢酸を得るために、アルコールを酸化させることができ、それを任意で精製することができる。第3の反応器において、第1の反応器で生成されたエチレン及び第2の反応器で生成された酢酸を合わせることができ、反応させて、エチレンをアシルオキシ化し、酢酸ビニルを生成し、その後、単離し、任意で精製することができる。エタノールを酸化させて酢酸を生成することについての、追加の詳細は、米国特許第5840971号及び「Selective catalytic oxidation of ethanol to acetic acid on dispersed Mo-V-Nb mixed oxides」Li X,Iglesia E.、Chemistry 2007、13(33)、9324~30頁で見出すことができる。
【0030】
しかし、本開示は、酢酸を生成する経路に関してあまり限定しない。むしろ、
図1に示したように、「The Production of Vinyl Acetate Monomer as a Co-Product from the Non-Catalytic Cracking of Soybean Oil」Benjamin Jones、Michael Linnen、Brian Tande、及びWayne Seames、Processes、2015、3、61-9-633に説明されるように、酢酸を脂肪酸から得ることも想起される。更に、「Acetic acid bacteria:A group of bacteria with versatile biotechnological applications」Saichana N、Matsushita K、Adachi O、Frebort I、Frebortova J.、Biotechnol Adv. 2015年11月 1;33(6Pt2):1260~71頁及び「Biotechnological applications of acetic acid bacteria」Raspor P、Goranovic D.、Crit Rev Biotechnol.2008;28(2):101~24頁に説明されるように、発酵からの酢酸の生成は、酢酸生成菌によって行われる。更に、
図1は、酢酸ビニルの生成を対象とするが、酢酸ビニルを生成するのに用いられるエチレンの生成は、その後、酢酸ビニルと反応させて、本開示のEVAコポリマーを生成する、エチレンを生成するのに使用することもできると理解される。したがって、例えば、第1の反応器及び第2の反応器に供給される、エタノールの量は、それぞれ、重合させるエチレン及び酢酸ビニルの相対的な量に応じて変えることができる。
【0031】
本開示のポリマー組成物は、EVAコポリマーの、キロダルトン(kDa)での数平均分子量(Mn)が、5kDa、10kDa、20kDa、及び25kDaのうちの1つから選択される下限から、30kDa、35kDa、40kDa、及び50kDaのうちの1つから選択される上限までの範囲である、EVAコポリマーを含むことができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0032】
本開示のポリマー組成物は、EVAコポリマーの、キロダルトン(kDa)での質量平均分子量(Mw)が、25kDa、50kDa、70kDa、90kDa、及び110kDaのうちの1つから選択される下限から、120kDa、140kDa、150kDa、及び180kDaのうちの1つから選択される上限までの範囲である、EVAコポリマーを含むことができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0033】
本開示のポリマー組成物は、EVAコポリマーの分散度(Mw/Mn)が、1.0、1.5、3.0、及び4.0のうちの1つから選択される下限から、5.0、6.0、7.0、及び8.0のうちの1つから選択される上限までの範囲である、EVAコポリマーを含むことができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0034】
分子量特性は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)実験によって測定することができる。こうした実験は、例えば、赤外検出器IR5及び4ブリッジ式キャピラリー粘度計(PolymerChar社)及び8角度光散乱検出器(Wyatt社)等と、3方向で連結することができる。4混床、13μmカラム(Tosoh社)のセットを、温度140℃で使用することができる。実験では、濃度1mg/mL、流量1mL/分、溶解温度及び溶解時間、それぞれ160℃及び90分、注入容量200μL、並びにBHT100ppmで安定化させたトリクロリウムベンゼン(trichlorium benzene)の溶媒を使用することができる。
【0035】
本開示のエラストマーEVA組成物は、エチレン酢酸ビニルコポリマーを、下限20wt%、30wt%、40wt%、又は50wt%から、上限60wt%、70wt%、80wt%、又は90wt%までの範囲である、組成物の質量パーセント(wt%)で含むことができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0036】
(B)エチレンアルファ-オレフィンコポリマー
本開示のエラストマーEVA組成物は、エチレン及びC3~C20アルファ-オレフィンの重合から製造される、1種又は複数のコポリマーを組み込むことができる。
【0037】
本開示のエチレンアルファ-オレフィンコポリマーは、ASTM D2240によって決定される硬度が、ショアA10、ショアA15、及びショアA20のいずれかから選択される下限から、ショアA70、ショアA75、及びショアA80のいずれかから選択される上限までを有する範囲であることができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0038】
本開示のエチレンアルファ-オレフィンコポリマーは、ASTM D792によって決定される密度が、0.80g/cm3、0.85g/cm3、及び0.88g/cm3のいずれかから選択される下限から、0.89g/cm3、0.90g/cm3、及び0.95g/cm3のいずれかから選択される上限までを有する範囲であることができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0039】
本開示のエチレンアルファ-オレフィンコポリマーは、190℃及び2.16kgで、ASTM D1238によって決定されるメルトフローインデックス(MFI)が、0.01g/10分、0.05g/10分、0.1g/10分、0.5g/10分、1g/10分、5g/10分、及び10g/10分のいずれかから選択される下限から、70g/10分、75g/10分、及び100g/10分のいずれかから選択される上限までを有する範囲であることができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0040】
本開示のエラストマーEVA組成物は、エチレンアルファ-オレフィンコポリマーを、下限5wt%又は10wt%から、上限30wt%又は60wt%までの範囲である、組成物の質量パーセント(wt%)で含むことができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0041】
(C)ポリオルガノシロキサン
本開示のエラストマーEVA組成物は、ポリオルガノシロキサンを組み込むことができる。1つ又は複数の実施形態において、好適なポリオルガノシロキサンは、直鎖状、分枝鎖状、又は三次元の構造を含み、その側基は、メチル、エチル、プロピルの各基、ビニル、フェニル、水素、アミノ、エポキシ、又はハロゲンの各置換基の1種又は複数を含むことができる。ポリオルガノシロキサンの末端基は、ヒドロキシル基、アルコキシ基、トリメチルシリル、ジメチルジフェニルシリル等を含むことができる。本開示のポリオルガノシロキサンは、ジメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサン等の1種又は複数を含むことができる。
【0042】
本開示のエラストマーEVA組成物は、25℃で測定される、下限20cP又は40cPから、上限700,000cP又は900,000cPまでの範囲である、粘度を有するポリオルガノシロキサンを含むことができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0043】
本開示のエラストマーEVA組成物は、ポリオルガノシロキサンを、下限0.1wt%又は0.5wt%から、上限5wt%又は10wt%までの範囲である、組成物の質量パーセント(wt%)で含むことができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0044】
(D)可塑剤
本開示のエラストマーEVA組成物は、加工性を改善し、エラストマーEVAの硬度を調節するために可塑剤を組み込むことができる。本開示の可塑剤は、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ビス(n-ブチル)(DNBP)、フタル酸ブチルベンジル(BZP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ジ-n-オクチル(DOP又はDNOP)、フタル酸ジ-o-オクチル(DIOP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジイソブチル(DIBP)、フタル酸ジ-n-ヘキシル、トリメリット酸トリ-メチル(TMTM)、トリメリット酸トリ-(2-エチルヘキシル)(TEHTM-MG)、トリメリット酸トリ-(n-オクチル,n-デシル)、トリメリット酸トリ-(ヘプチル,ノニル)、トリメリット酸n-オクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHA)、アジピン酸ジメチル(DMD)、アジピン酸モノメチル(MMAD)、アジピン酸ジオクチル(DOA))、セバシン酸ジブチル(DBS)、アジピン酸のポリエステル、例えば、VIERNOL、マレイン酸ジブチル(DBM)、マレイン酸ジイソブチル(DIBM)、安息香酸塩、エポキシ化大豆油、n-エチルトルエンスルホンアミド、n-(2-ヒドロキシプロピル)ベンゼンスルホンアミド、n-(n-ブチル)ベンゼンスルホンアミド、リン酸トリクレジル(TCP)、リン酸トリブチル(TBP)、グリコール/ポリエステル、トリエチレングリコールジヘキサノエート、3gh)、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、ポリブテン、アセチル化モノグリセリド、クエン酸アルキル、クエン酸トリエチル(TEC)、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリオクチル、クエン酸トリヘキシル、クエン酸アセチルトリヘキシル、クエン酸ブチリルトリヘキシル、o-ブチリルクエン酸トリヘキシル、クエン酸トリメチル、アルキルスルホン酸フェニルエステル、2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル、ニトログリセリン、三硝酸ブタントリオール、ジニトロトルエン、三硝酸トリメチロールエタン、二硝酸ジエチレングリコール、二硝酸トリエチレングリコール、ビス(2,2-ジニトロプロピル)ホルマール、ビス(2,2-ジニトロプロピル)アセタール、2,2,2-トリニトロエチル2-ニトロキシエチルエーテル、鉱物油、他の可塑剤及びポリマー可塑剤の中からの、1種又は複数を含むことができる。
【0045】
本開示のエラストマーEVA組成物は、可塑剤を、下限0.5wt%又は2wt%から、上限10wt%又は20wt%までの範囲である、組成物の質量パーセント(wt%)で含むことができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0046】
(E)ゴム
本開示のエラストマーEVA組成物は、最終用途に応じて、ゴムのような触感を増し、且つ摩擦係数を高める、ゴム成分を組み込むことができる。本開示のゴムは、天然ゴム、ポリイソプレン(IR)、スチレン及びブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエン、ニトリルゴム(NBR)、ポリオレフィンゴム、例えば、エチレン-プロピレンゴム(EPDM、EPM)等、アクリルゴム、ハロゲンゴム、例えば、臭素化ブチルゴム及び塩素化ブチルゴム、臭素化イソブチレン(isotubylene)、ポリクロロプレン等を含むハロゲン化ブチルゴム、シリコーンゴム、例えば、メチルビニルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム等、硫黄含有ゴム、例えば、ポリスルフィドゴム(polysulfidic rubber)、フッ素化ゴム、熱可塑性ゴム、例えば、スチレン、ブタジエン、イソプレン、エチレン、及びプロピレンをベースとしたエラストマー、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)、スチレン-ブチレン-スチレン(SBS)等、エステル系エラストマー、エラストマーポリウレタン、エラストマーポリアミド等の、1種又は複数を含むことができる。
【0047】
本開示のゴムは、ASTM D2240によって決定される硬度が、ショアA10、ショアA15、及びショアA20のいずれかから選択される下限から、ショアA45、ショアA50、及びショアA55のいずれかから選択される上限までを有する範囲であることができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0048】
本開示のエラストマーEVA組成物は、ゴムを、下限0.5wt%又は1wt%から、上限20wt%又は40wt%までの範囲である、組成物の質量パーセント(wt%)で含むことができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0049】
1つ又は複数の実施形態において、エラストマーEVA組成物は、190℃及び2.16kgで、ASTM D1238によって決定されるメルトフローインデックス(MFI)が、1g/10分、2g/10分、3g/10分、及び4g/10分のいずれかから選択される下限から、10g/10分、15g/10分、20g/10分、25g/10分のいずれかから選択される上限までを有する範囲であることができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0050】
1つ又は複数の実施形態において、エラストマーEVA組成物は、ASTM D792によって決定される密度が、0.92g/cm3、0.93g/cm3、及び0.94g/cm3のいずれかから選択される下限から、0.94g/cm3、0.95g/cm3、及び0.96g/cm3のいずれかから選択される上限までを有する範囲であることができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0051】
1つ又は複数の実施形態において、エラストマーEVA組成物は、ASTM D2240によって決定される場合、ショアA40、ショアA50、又はショアA60のいずれかの下限からショアA70、ショアA80、又はショアA90の上限までの範囲を有し得る、ショアA硬度を示し、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0052】
充填剤
本開示のポリマー組成物は、カーボンブラック、シリカ粉末、炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、クレイ、多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)、酸化金属粒子及び酸化金属ナノ粒子、無機塩粒子及び無機塩ナノ粒子、再生EVA、並びにその混合物を含むことができる、充填剤を詰め込むことができる。
【0053】
本明細書に定められたように、再生EVAは、少なくとも1種の加工方法、例えば、成形又は押出成形を施されたリグラインド材料から得ることができ、その後のスプルー、ランナー、鋳ばり、型抜きした部分等は、粉砕されるか、又は切り刻まれる。
【0054】
1つ又は複数の実施形態において、本開示のポリマー組成物は、1種又は複数の充填剤を、5phr、10phr、15phr、20phr、25phr、30phr、35phr、40phr、及び55phrのうちの1つから選択される下限から、60phr、80phr、100phr、120phr、140phr、160phr、180phr、200phr、及び220phrのうちの1つから選択される上限までの範囲である、樹脂百分率(parts per hundred of resin)(phr)で含むことができ、任意の下限を任意の上限と共にも使用することができる。
【0055】
過酸化剤
本開示のポリマー組成物は、ポリマー加工中に、フリーラジカルを発生させることができる、1種又は複数の過酸化剤を含むことができる。例えば、過酸化剤は、重合及び/又は硬化の間にポリマーを反応させながら、EVA樹脂と組み合わせることができる。1つ又は複数の実施形態において、過酸化剤は、二官能性過酸化物、例えば、ベンゾイルペルオキシド;ジクミルペルオキシド;ジ-tert-ブチルペルオキシド;OO-Tert-アミル-O-2-エチルヘキシルモノペルオキシカーボネート;tert-ブチルクミルペルオキシド;tert-ブチル3,5,5-トリメチルヘキサノエートペルオキシド;tert-ブチルペルオキシベンゾエート;2-エチルヘキシルカーボネートtert-ブチルペルオキシド;2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシド)ヘキサン;1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシド)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン;2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシド)ヘキシン-3;3,3,5,7,7-ペンタメチル-1,2,4-トリオキセパン;ブチル4,4-ジ(tert-ブチルペルオキシド)バレレート;ジ(2,4-ジクロロベンゾイル)ペルオキシド;ジ(4-メチルベンゾイル)ペルオキシド;ペルオキシドジ(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン等を含むことができる。
【0056】
過酸化剤はまた、ベンゾイルペルオキシド、2,5-ジ(クミルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ジ(クミルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキシン-3,4-メチル-4-(t-ブチルペルオキシ)-2-ペンタノール、ブチル-ペルオキシ-2-エチル-ヘキサノエート、tert-ブチルペルオキシピバレート、第三級ブチルペルオキシネオデカノエート、t-ブチル-ペルオキシ-ベンゾエート、t-ブチル-ペルオキシ-2-エチル-ヘキサノエート、4-メチル-4-(t-アミルペルオキシ)-2-ペンタノール,4-メチル-4-(クミルペルオキシ)-2-ペンタノール、4-メチル-4-(t-ブチルペルオキシ)-2-ペンタノン、4-メチル-4-(t-アミルペルオキシ)-2-ペンタノン、4-メチル-4-(クミルペルオキシ)-2-ペンタノン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-アミルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3,2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-アミルペルオキシ)ヘキシン-3,2,5-ジメチル-2-t-ブチルペルオキシ-5-ヒドロペルオキシヘキサン、2,5-ジメチル-2-クミルペルオキシ-5-ヒドロペルオキシヘキサン、2,5-ジメチル-2-t-アミルペルオキシ-5-ヒドロペルオキシヘキサン、m/p-アルファ,アルファ-ジ[(t-ブチルペルオキシ)イソプロピル]ベンゼン、1,3,5-トリス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,3,5-トリス(t-アミルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,3,5-トリス(クミルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ[1,3-ジメチル-3-(t-ブチルペルオキシ)ブチル]カーボネート、ジ[1,3-ジメチル-3-(t-アミルペルオキシ)ブチル]カーボネート、ジ[1,3-ジメチル-3-(クミルペルオキシ)ブチル]カーボネート、ジ-t-アミルペルオキシド、t-アミルクミルペルオキシド、t-ブチル-イソプロフェニルクミルペルオキシド、2,4,6-トリ(ブチルペルオキシ)-s-トリアジン、1,3,5-トリ[1-(t-ブチルペルオキシ)-1-メチルエチル]ベンゼン、1,3,5-トリ-[(t-ブチルペルオキシ)-イソプロピル]ベンゼン、1,3-ジメチル-3-(t-ブチルペルオキシ)ブタノール、1,3-ジメチル-3-(t-アミルペルオキシ)ブタノール、ジ(2-フェノキシエチル)ペルオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジミリスチルペルオキシジカーボネート、ジベンジルペルオキシジカーボネート、ジ(イソボルニル)ペルオキシジカーボネート、3-クミルペルオキシ-1,3-ジメチルブチルメタクリレート、3-t-ブチルペルオキシ-1,3-ジメチルブチルメタクリレート、3-t-アミルペルオキシ-1,3-ジメチルブチルメタクリレート、トリ(1,3-ジメチル-3-t-ブチルペルオキシブチルオキシ)ビニルシラン、1,3-ジメチル-3-(t-ブチルペルオキシ)ブチルN-[1-{3-(1-メチルエテニル)-フェニル)1-メチルエチル]カルバメート、1,3-ジメチル-3-(t-アミルペルオキシ)ブチルN-[1-{3(1-メチルエテニル)-フェニル}-1-メチルエチル]カルバメート、1,3-ジメチル-3-(クミルペルオキシ))ブチルN-[1-{3-(1-メチルエテニル)-フェニル}-1-メチルエチル]カルバメート、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル4,4-ジ(t-アミルペルオキシ)バレレート、エチル3,3-ジ(t-ブチルペルオキシ)ブチレート、2,2-ジ(t-アミルペルオキシ)プロパン、3,6,6,9,9-ペンタメチル-3-エトキシカルボニル(cabonyl)メチル-1,2,4,5-テトラオキサシクロノナン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルペルオキシ)バレレート、エチル-3,3-ジ(t-アミルペルオキシ)ブチレート、ベンゾイルペルオキシド、OO-t-ブチル-O-水素-モノペルオキシ-サクシネート、OO-t-アミル-O-水素-モノペルオキシ-サクシネート、3,6,9,トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリペルオキシノナン(又はメチルエチルケトンペルオキシド環状三量体)、メチルエチルケトンペルオキシド環状二量体、3,3,6,6,9,9-ヘキサメチル-1,2,4,5-テトラオキサシクロノナン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t-ブチルペルベンゾエート、t-ブチルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-アミルペルベンゾエート、t-アミルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシイソブチレート、3-ヒドロキシ-1,1-ジメチルt-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、OO-t-アミル-O-水素-モノペルオキシサクシネート、OO-t-ブチル-O-水素-モノペルオキシサクシネート、ジ-t-ブチルジペルオキシフタレート、t-ブチルペルオキシ(3,3,5-トリメチルヘキサノエート)、1,4-ビス(t-ブチルペルオキシカルボ)シクロヘキサン、t-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチル-ペルオキシ-(cis-3-カルボキシ)プロピオネート、アリル3-メチル-3-t-ブチルペルオキシブチレート、OO-t-ブチル-O-イソプロピルモノペルオキシカーボネート、OO-t-ブチル-O-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート、1,1,1-トリス[2-(t-ブチルペルオキシ-カルボニルオキシ)エトキシメチル]プロパン、1,1,1-トリス[2-(t-アミルペルオキシ-カルボニルオキシ)エトキシメチル]プロパン、1,1,1-トリス[2-(クミルペルオキシ-カルボニル(cabonyl)オキシ)エトキシメチル]プロパン、OO-t-アミル-O-イソプロピルモノペルオキシカーボネート、ジ(4-メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジ(3-メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジ(2-メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、2,4-ジブロモ-ベンゾイルペルオキシド、過酸化コハク酸、ジベンゾイルペルオキシド、ジ(2,4-ジクロロ-ベンゾイル)ペルオキシド、及びその組み合わせを含むこともできる。
【0057】
1つ又は複数の実施形態において、本開示のポリマー組成物は、1種又は複数の過酸化剤を、0.5phr、0.75phr、1phr、1.5phr、及び2phrのうちの1つから選択される下限から、2.5phr、2.75phr、3phr、3.5phr、及び4phrのうちの1つから選択される上限までの範囲である、樹脂百分率(phr)で含むことができ、任意の下限を任意の上限と共にも使用することができる。更に、過酸化剤の濃度は、最終材料の用途に応じて、多かれ少なかれ決まることがあると想起される。
【0058】
架橋助剤
また、架橋助剤は、硬化過程の間に、ポリマー組成物に合わせることができると想起される。架橋助剤により、追加の架橋反応部位がつくられる。したがって、ポリマーの架橋の程度は、過酸化物をより多く添加することによって通常得られるものよりも、著しく増加する。一般に、助剤は、架橋率を増やす。1つ又は複数の実施形態において、架橋助剤には、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリメチロールプロパン-トリス-メタクリレート(TRIM)、トリアリルシアヌレート(TAC)、及びその組み合わせが挙げられる。
【0059】
1つ又は複数の実施形態において、本開示のポリマー組成物は、1種又は複数の架橋助剤を、0.01phr、0.25phr、0.5phr、1phrのうちの1つから選択される下限から、1.5phr及び2phrの1つから選択される上限までの範囲である、樹脂百分率(phr)で含むことができる。
【0060】
発泡剤
本開示のポリマー組成物は、膨張ポリマー組成物及び発泡体を製造するために、1種又は複数の発泡剤を含むことができる。発泡剤は、固体発泡剤、液体発泡剤、又は気体状発泡剤を含むことができる。固体発泡剤を使用する実施形態において、発泡剤は、粉末又は顆粒として、ポリマー組成物と合わせることができる。
【0061】
本開示の発泡剤は、ポリマー加工温度で分解し、発泡ガス、例えば、N2、CO、CO2等を放出する化学発泡剤を含む。化学発泡剤の例には、ヒドラジン、例えば、トルエンスルホニルヒドラジン、ヒドラジド、例えば、オキシジベンゼンスルホニルヒドラジド、ジフェニルオキシド-4,4'-ジスルホン酸ヒドラジド等、硝酸塩、アゾ化合物、例えば、アゾジカルボンアミド、シアノ吉草酸、アゾビス(イソブチロニトリル)、及びN-ニトロソ化合物、及び他の窒素系材料、及び当技術分野で公知の他の化合物を含む有機発泡剤が挙げられる。
【0062】
無機化学発泡剤は、炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム等の炭酸塩を含むことができ、それらは、単独で用いてもよく、又は弱い有機酸、例えば、クエン酸、乳酸、若しくは酢酸と合わせて用いてもよい。
【0063】
1つ又は複数の実施形態において、本開示のポリマー組成物は、1種又は複数の発泡剤を、1phr、1.5phr、2phr、2.5phr、及び3phrのうちの1つから選択される下限から、3.5phr、4phr、4.5phr、5phr、5.5phr、及び6phrのうちの1つから選択される上限までの範囲である、樹脂百分率(phr)で含むことができ、任意の下限を任意の上限と共にも使用することができる。
【0064】
発泡促進剤
本開示のポリマー組成物は、関連する活性化温度を下げることによって、発泡剤の作用を増進するか、又は開始する、1種又は複数の発泡促進剤(キッカーとしても知られている)を含むことができる。例えば、選択された発泡剤が、170℃よりも高い温度、例えば、220℃以上で、反応するか、又は分解する場合、周囲のポリマーは、活性化温度まで加熱されるならば、分解することになり、発泡促進剤が使用され得る。発泡促進剤は、選択された発泡剤を活性化させることができる、任意の好適な発泡促進剤を含むことができる。1つ又は複数の実施形態において、好適な発泡促進剤には、カドミウム塩、カドミウム-亜鉛塩、鉛塩、鉛-亜鉛塩、バリウム塩、バリウム-亜鉛(Ba-Zn)塩、酸化亜鉛、二酸化チタン、トリエタノールアミン、ジフェニルアミン、スルホン酸化芳香族酸、及びその塩等が挙げられる。
【0065】
1つ又は複数の実施形態において、本開示のポリマー組成物は、1種又は複数の発泡促進剤を、0.1phr、0.25phr、0.5phr、1phr、2phr、及び2.5phrのうちの1つから選択される下限から、1.5phr、2phr、2.5phr、3phr、3.5phr、4phr、4.5phr、及び5phrのうちの1つから選択される上限までの範囲である、樹脂百分率(phr)で含むことができ、任意の下限を任意の上限と共にも使用することができる。
【0066】
添加剤
本開示のポリマー組成物は、加工助剤、潤滑剤、帯電防止剤、清澄剤、核形成剤、ベータ-核形成剤、滑り剤、酸化防止剤、相溶化剤、制酸剤、光安定剤、例えば、HALS、IR吸収剤、増白剤、無機充填剤、有機染料及び/又は無機染料、ブロッキング防止剤、加工助剤、難燃剤、可塑剤、殺生物剤、粘着促進剤、酸化金属、鉱物充填剤、流動促進剤、油、抗酸化物質、オゾン劣化防止剤、促進剤、並びに加硫剤等の、1種又は複数のポリマー添加剤を含む、ブレンド中にポリマー組成物に添加される場合、様々な物理的特性及び化学的特性を改質する、添加剤を含むことができる。
【0067】
調製
本開示のポリマー組成物は、任意の、従来の混合装置において、調製することができる。1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物は、従来のEVA加工条件で、従来のニーダー、バンバリーミキサー、混合ローラー、二軸押出成形機等における混合によって調製し、その後、硬化させ、又は従来の膨張方法、例えば、射出成形若しくは圧縮成形において、硬化させ、膨張させることができる。
【0068】
1つ又は複数の実施形態において、本開示のEVAコポリマーは、反応器において製造することができる。エチレン及び酢酸ビニルを、反応器に加えて重合させる。一部の実施形態において、エチレン、酢酸ビニルを、高圧ラジカル重合によって重合させ、ここで、過酸化剤は、重合開始剤として作用する。一部の実施形態において、エチレン及び酢酸ビニル及び過酸化剤は、温度80℃~300℃の、オートクレーブ又は管型の反応器中に、高圧で加えられ、反応器内の圧力は、一部の実施形態では500バール~3000バールであり、一部の実施形態では圧力1000バール~2600バールである。他の実施形態において、コポリマーは、溶液重合方法によって製造することができる。
【0069】
前述されたように、前述されたもののいずれかを含む、1種又は複数のフリーラジカル発生剤は、重合の間、含まれていてもよい。更に、また、他の成分と混合して、ポリマー組成物を生成すると、ポリマー組成物は、例えば、同様に、前述されたものを含む過酸化物、及び任意で、架橋助剤の存在下で、硬化させることもできると理解される。膨張組成物を含む実施形態について、以下に説明されるように、膨張及び硬化させる工程は、発泡剤及び過酸化剤、及び任意で、発泡促進剤又は架橋助剤の存在下であってもよい。こうした硬化させる工程のいずれかの間、1つ又は複数の実施形態において、硬化させる工程は、酸素で満たされた状態、又は酸素が部分的に存在する状態で行うことができ、例えばWO201694161A1に説明され、参照によってその全体が援用されている。
【0070】
物理的特性
本開示のポリマー組成物は、ゴム材料の置換えとして、良好な性能を有することができ、高温及び低温で許容できる性能を有し、臭気がほとんどないか、又は全くなく、標準のゴム配合物と同等の密度、又はより低い密度を有する。1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物は、高い柔軟性、好適な硬度、良好な耐摩耗性、高い摩擦係数、及び柔らかい触感を示すことができる。一部の実施形態において、本開示のポリマー組成物から製造された物品は、膨張ポリマー構造又は非膨張ポリマー構造の形態をとることができる。
【0071】
本開示のポリマー組成物を含む硬化非膨張物品は、ASTM D-792によって決定される場合、0.7g/cm3、0.8g/cm3、0.9g/cm3、又は1.0g/cm3のいずれかの下限から、1.0g/cm3、1.1g/cm3、又は1.2g/cm3のいずれかの上限までの範囲であり得る密度を有することができ、任意の下限を任意の上限と共にも使用することができる。
【0072】
本開示のポリマー組成物によって製造される硬化非膨張物品は、ASTM D2240によって決定される硬度が、ショアA40、ショアA50、又はショアA60のうちの1つから選択される下限から、ショアA60、ショアA70、ショアA80、及びショアA90のうちの1つから選択される上限までを有する範囲内であることができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0073】
本開示のポリマー組成物によって製造される硬化非膨張物品は、ISO 4649:2017によって、荷重10Nでの測定で決定される場合の耐摩耗性が、10mm3、20mm3、40mm3、80mm3のうちの1つから選択される下限から、100mm3、150mm3、200mm3、又は250mm3のうちの1つから選択される上限までを有する範囲内であり、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0074】
本開示のポリマー組成物によって製造される硬化非膨張物品は、ASTM D638によって決定される破断点伸びが、少なくとも200%、250%、又は300%であることができる。
【0075】
更に、前述されたように、エラストマーEVA組成物は、例えば、説明された発泡剤及び過酸化剤で、膨張し、硬化することができることも想起される。本開示のポリマー組成物によって製造される膨張物品は、ASTM D-792によって決定される密度が、0.05g/cm3、0.12g/cm3、0.2g/cm3、0.25g/cm3、0.5g/cm3のうちの1つから選択される下限から、0.4g/cm3、0.5g/cm3、0.6g/cm3、0.65g/cm3、0.70g/cm3、0.90g/cm3のうちの1つから選択される上限までを有する範囲内であることができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0076】
本開示のポリマー組成物によって製造される膨張物品は、ABNT NBR 14455:2015によって決定されるアスカーC硬度が、アスカーC20、アスカーC30、アスカーC40、又はアスカーC50のいずれかの下限及びいずれかの、アスカーC60、アスカーC70、アスカーC80、又はアスカーC90の上限を有する範囲であることができ、但し、いずれの下限も、いずれの上限とも対になることができる。
【0077】
本開示のポリマー組成物によって製造される膨張物品は、D395:2016B法によって決定される圧縮永久歪み(PCS)が、20%、30%、40%、又は50%のうちの1つから選択される下限から、60%、70%、80%、90%、又は100%のうちの1つから選択される上限までを有する範囲内であることができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0078】
本開示のポリマー組成物によって製造される膨張物品は、ABNT NBR 8619:2015によって決定される弾性反発が、30%、35%、40%、45%、及び50%のうちの1つから選択される下限から、50%、60%、70%、及び80%のうちの1つから選択される上限までを有する範囲であることができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0079】
本開示のポリマー組成物によって製造される膨張物品は、PFI法(PFI「靴製造産業の試験研究機関(Testing and Research Institute for the Shoe Manufacturing Industry)」Pirmesens、Germany)を用いた、70℃×1時間での、0.1%、1%、1.5%、及び5%のうちの1つから選択される下限から、4%、5%、6%、及び7%のうちの1つから選択される上限までを有する範囲内の、収縮を有することができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0080】
PFI法は、収縮測定の業界で使用することができ、以下に詳述する。
【0081】
装置
・ 強制空気循環を備えたオーブン
・ パキメーター
・ 試験片又はテンプレートに印をつけるための定規
・ 厚さゲージ
【0082】
試料
3個の、寸法少なくとも100×100mmの試験片を、それぞれの試料で評価すべきである。
【0083】
手順
試験片は、温度23±2℃及び相対湿度50±5%で、1時間調整することができる。試料の、おおよその厚さを測定する。
【0084】
図2に示すように、定規又はテンプレートを用いて、試験片のそれぞれに、各点A、B、C、及びDを印し付けた。
【0085】
初期長(Ci)を、パキメーターを用いて、A方向(区分A-B及び区分C-D)において、並びにB方向(区分A-C及び区分B-D)において、最も近い0.01mmまで測定する。
【0086】
次いで、試験片を、強制空気循環オーブンにおいて、70℃で1時間保持する。
【0087】
暴露時間の後、試験片をオーブンから取り出し、温度23±2℃及び相対湿度50±5%で60分間調整する。
【0088】
最終長(Cf)を、カリパスを用いて、A方向(区分A-B及び区分C-D)において、並びにB方向(区分A-C及び区分B-D)において、最も近い0.01mmまで測定する。
【0089】
平均初期長(Cim)は、試験片のそれぞれについて、A方向において、A-B区分及びC-D区分の平均として、並びにB方向において、A-C区分及びB-D区分の平均として計算される。
【0090】
平均最終長(Cfm)は、試験片のそれぞれについて、A方向において、A-B区分及びC-D区分の平均として、並びにB方向において、A-C区分及びB-D区分の平均として計算される。
【0091】
結果
膨張EVAの収縮は、以下の式によって示され、最も近い0.1%までパーセントで表される。
【0092】
収縮%=(Cim-Cfm)×100/Cim
式中、
Cim=初期長平均(mm)
Cfm=最終長平均(mm)
【0093】
最終のEVA収縮結果は、A方向及びB方向について、それぞれの試験片で計算された収縮値の平均として計算される。
注記:PFIは、A方向及びB方向の膨張材料の収縮の、許容できる最大値を推奨する(
図1):
0.6g/cm
3までの密度を有する材料について-3%
0.6g/cm
3を超える密度を有する材料について-2%
【0094】
本開示のポリマー組成物によって製造される膨張物品は、ISO 4649によって、荷重5Nでの測定で決定される耐摩耗性が、40mm3、80mm3、120mm3、150mm3、200mm3、又は400mm3のうちの1つから選択される下限から、300mm3、600mm3、又は700mm3のうちの1つから選択される上限までを有する範囲内であることができ、任意の下限を任意の上限と対にすることができる。
【0095】
本開示のポリマー組成物によって製造される膨張物品は、ASTM D638によって決定される破断点伸びが、少なくとも、300%、350%、又は400%であることができる。
【0096】
用途
1つ又は複数の実施形態において、ポリマー組成物は、押出成形、射出成形、圧縮成形、熱成形、キャストフィルム押出成形、インフレーション成形、発泡、押出ブロー成形、射出ブロー成形、ISBM(射出延伸ブロー成形)、引き抜き成形、3D印刷、回転成形、二重膨張(double expansion)法等を含む、様々な成形方法において使用されて、製品を製造することができる。
【0097】
本開示のポリマー組成物は、インソール、ミッドソール、ソール、ホットメルト接着剤、プライマー、土木建築における、内張り、産業用床、遮音材を含む、多くのポリマー物品に配合することもできる。本開示のポリマー組成物は、靴底、ミッドソール、アウトソール、ユニソール、インソール、モノブロックサンダル、及びビーチサンダル、及びフルEVAフットウェアを含む、多種多様な最終用途に用いられる物品を形成することができる。
【0098】
他の用途には、シール、ホース、ガスケット、発泡体、発泡体マットレス、家具、電気-電子、自動車、包装、EVAタイヤ、ブラジャー、マット、板紙、スポーツ用品、玩具、水泳用付属品、脚用浮き輪、ヨガブロック、ダンベルグローブ、ジムステップ、ロドシート(rodo sheet)、着物の紐、サンドペーパー、指保護具、壁保護具、指股、教育用ゲーム及び教育用製品、装飾用パネル、EVAボール、ツイステッドヘックススツール(twisted Hex stool)、スリッパ、枕、スポンジ、椅子、サイクリングビブパッド、保護カバー、カーペット、エプロン、及びその他が挙げられる。
【実施例0099】
以下の実施例において、ポリマー組成物の配合物は、様々な物理的特性を研究するために、調製され、分析される。
【0100】
(実施例1)
エチレン酢酸ビニルのバイオベースコポリマーの製造
本発明のエチレン及び酢酸ビニルのバイオベースコポリマーを、サトウキビから得られる、エタノールの脱水から得られるエチレンを用いて製造した。エチレンを生成するための、エタノールの脱水は、直列につながれた、連続の、4個の固定床断熱反応器において、350℃から480℃まで変わる温度、及び圧力3~10atmで、アルミナ触媒を用いて実施した。その後、反応生成物を、深冷蒸留によって精製し、ポリマー等級エチレンを得る。
【0101】
このエチレン及び酢酸ビニルのコポリマーを、長さ1.110m及び直径50mmの高圧管型反応器において製造した。エチレンを、流量8.5トン/時間で反応器に注入し、酢酸ビニルを、流量2000kg/時間で注入する。混合物を、ハイパー圧縮機で2400バールまで圧縮し、130℃で予め加熱する。第三級ブチルペルオキシピバレート/t-ブチルペルオキシ-2-エチル-ヘキサノエート/OO-Tert-アミル-O-2-エチルヘキシルモノペルオキシカーボネートの混合物を開始剤として使用した。反応温度を、190℃から250℃の間で変化させ、EVAコポリマーを8.5トン/時間で製造した。Table 1(表1)は、得られるバイオベースEVAの特性を示す。
【0102】
【0103】
(実施例2)
エラストマーEVAの調製
以下の実施例において、本開示のバイオベースEVAを用いて生成されたエラストマーEVA及びBraskem SA社からSVT2145Rとして市販されているものを、Table 2(表2)に示す特性を測定するために調べた。
【0104】
【0105】
(実施例3)
硬化非膨張物品の調製
以下の実施例において、硬化性ポリマー組成配合物を、ニーダーXSN-5型QUANZHOU YUCHENGSHENG MACHINE CO.,LTD社で、温度100℃で調製し、その後、シリンダー(開放混合)で薄片化し、Luxor Industria de Maquinas Ltda社からの液圧プレスLPB-100-AQ-EVA型で、175℃で7分間加圧し、硬化させて、10×10cmのプラークを製造し、それらを分析して様々な物理的特性を調べた。バイオベースエラストマーEVA及びバイオベースEVAの混合物も含む、硬化性ポリマー組成配合物を、Table 3(表3)に示す。
【0106】
【0107】
試料を、硬度(ショアA及びショアD)、密度、耐摩耗性、及びバイオベース含有量について分析し、結果をTable 4(表4)に示す。
【0108】
【0109】
(実施例4)
膨張物品の調製
以下の実施例において、膨張性ポリマー組成配合物を、ニーダーXSN-5型QUANZHOU YUCHENGSHENG MACHINE CO.,LTD社で、温度105℃で調製し、その後、シリンダー(開放混合)で薄片化し、Luxor Industria de Maquinas Ltda社からの液圧プレスLPB-100-AQ-EVA型で、175℃で7分間加圧し、硬化させて、異なる膨張率で膨張させてプラークを製造し、それらを分析して様々な物理的特性を調べた。膨張性ポリマー組成配合物をTable 5(表5)に示す。
【0110】
【0111】
試料を、硬度(ショアA及びアスカーC)、密度、耐摩耗性、圧縮永久歪み、収縮、弾性反発、及びバイオベース炭素含有量について分析し、結果をTable 6(表6)に示す。
【0112】
【0113】
いくつかの例示的な実施形態のみが、上記で詳述されているものの、当業者は、例示的な実施形態において、本発明から実質的に逸脱することなく、多くの変更が可能であることを容易に認識するであろう。したがって、全てのこうした変更は、以下の特許請求の範囲で定められた、本開示の範囲内に含まれるものである。特許請求の範囲において、ミーンズ・プラス・ファンクションクレームは、列挙された機能を果たすものとして本明細書に記載された構成、及び構造的均等物だけでなく、均等構成にも及ぶことを意図する。故に、釘は、円柱表面を用いて、木材部品を共に固定するが、ネジは、木材部品を取り付ける環境でらせん表面を用いるという点で、釘及びネジは、構造的均等物ではない可能性があるが、釘及びネジは、均等構成であり得る。それは、特許請求の範囲において関連の機能と共に用語「~のためのミーンズ」を明示的に使用するものを除いて、本明細書に記載の特許請求の範囲のいずれかを限定するための、米国特許法第112条第6項を行使しないことは、出願者の明確な意図である。