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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168830
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】液晶表示パネル
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20231121BHJP
   G02F 1/1339 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
G02F1/1335 505
G02F1/1339 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080167
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【弁理士】
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【弁理士】
【氏名又は名称】田端 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【弁理士】
【氏名又は名称】梶谷 美道
(72)【発明者】
【氏名】小柴 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】秋山 泰人
【テーマコード(参考)】
2H189
2H291
【Fターム(参考)】
2H189DA07
2H189DA19
2H189DA32
2H189DA43
2H189DA48
2H189FA16
2H189GA10
2H189HA06
2H189JA14
2H189LA10
2H189LA15
2H291FA14Y
2H291FD04
2H291FD26
2H291GA11
2H291GA19
2H291HA15
2H291LA05
2H291LA40
(57)【要約】
【課題】外力による変形によって光漏れが発生することを抑制することが可能な液晶パネルを提供する。
【解決手段】液晶表示パネルは、アクティブマトリクス基板と、カラーフィルタ基板と、これらの間に位置する液晶層とを備える。カラーフィルタ基板は、平面視において、アクティブマトリクス基板のソースバスラインと重なる第1部分、および、第1部分と交差し、ゲートバスラインと重なる第2部分を含むブラックマトリクスと、第1部分と第2部分とが交差する領域に配置された柱状のスペーサとを備える。第1部分は、第2部分と接する基部を有し、第1部分が伸びる方向と垂直な方向における基部の幅は、他の部分における幅よりも大きい。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブマトリクス基板と、前記アクティブマトリクス基板と対向するように配置されたカラーフィルタ基板と、前記アクティブマトリクス基板と前記カラーフィルタ基板との間に位置する液晶層と、
を備えた液晶表示パネルであって、
前記アクティブマトリクス基板は、
透光性の第1基板と、
前記第1基板上に位置し、第1方向に伸びる複数のゲートバスラインと、
前記第1基板上に位置し、前記複数のゲートバスラインと交差し、第2方向に伸びる複数のソースバスラインと、
前記第1方向および前記第2方向の2次元に配列され、前記複数のゲートバスラインの1つおよび前記複数のソースバスラインの1つと電気的に接続された複数の画素と、
前記複数のゲートバスライン、前記複数のソースバスライン、前記複数の画素を覆って前記第1基板に配置された第1配向膜と、
を備え、
前記カラーフィルタ基板は、
透光性の第2基板と、
前記第2基板上に位置し、平面視において、前記アクティブマトリクス基板の前記複数のソースバスラインとそれぞれ重なる複数の第1部分と、前記複数の第1部分と交差し、前記複数のゲートバスラインとそれぞれ重なる複数の第2部分とを含むブラックマトリクスと、
前記第2基板上に位置し、前記ブラックマトリクスの複数の第1部分および複数の第2部分によって区画された複数の領域にそれぞれ配置された複数のカラーフィルタと、
前記ブラックマトリクスの前記複数の第1部分と前記複数の第2部分とが交差する複数の領域の少なくとも一部に配置された、複数の柱状のスペーサと、
を備え、
前記複数の第1部分のうち、前記複数のスペーサの少なくとも一部に隣接する第1部分は、前記第2部分と接する基部を有し、前記隣接する第1部分において、前記第1部分が伸びる方向と垂直な方向における前記基部の幅は、他の部分における幅よりも大きい、
液晶表示パネル。
【請求項2】
前記基部の幅をw1とし、前記他の部分の幅をw2としたとき、w1およびw2は以下の関係を満たしている、
w2<w1<2・w2
請求項1に記載の液晶表示パネル。
【請求項3】
前記基部の幅よりも前記基部の前記第1部分に沿った長さのほうが大きい、請求項1に記載の液晶表示パネル。
【請求項4】
前記複数のスペーサは第1スペーサと第2スペーサとを含み、前記第2スペーサの高さは前記第1スペーサの高さよりも小さい、請求項1に記載の液晶表示パネル。
【請求項5】
前記基部を有する第1部分は、前記第2スペーサに隣接している、請求項4に記載の液晶表示パネル。
【請求項6】
前記第1配向膜の表面は、前記複数のソースバスライン上において前記カラーフィルタ基板側に突出している、請求項1から5のいずれか1項に記載の液晶表示パネル。
【請求項7】
前記複数の画素のそれぞれは、前記複数のゲートバスラインの1つおよび前記複数のソースバスラインの1つと電気的に接続されたTFTおよび前記TFTに接続された画素電極を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の液晶表示パネル。
【請求項8】
前記アクティブマトリクス基板は、
前記第1基板と前記第1配向膜との間に配置された、共通電極と、層間絶縁膜とをさらに備え、
前記層間絶縁膜は前記共通電極と複数の前記画素電極との間に位置する、請求項7に記載の液晶表示パネル。
【請求項9】
前記アクティブマトリクス基板は、前記第1配向膜と前記第1基板との間に位置する平坦化膜を有していない、請求項1から5のいずれか1項に記載の液晶表示パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液晶表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶層の厚さを一定に保つための柱状のスペーサが設けられた液晶表示パネルが知られている。このような液晶表示パネルでは、大きな力が加わることによって、液晶表示パネルが変形し、柱状のスペーサの先端が配向膜と接触して液晶の配向の乱れを生じさせ、光漏れが発生し得る。このような課題を解決するため、特許文献1は、柱状のスペーサに隣接する領域に遮光領域を設けることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-186279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、外力による変形によって光漏れが発生することを抑制することが可能な液晶パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のある実施形態に係る液晶表示パネルは、アクティブマトリクス基板と、前記アクティブマトリクス基板と対向するように配置されたカラーフィルタ基板と、前記アクティブマトリクス基板と前記カラーフィルタ基板との間に位置する液晶層と、を備えた液晶表示パネルであって、前記アクティブマトリクス基板は、透光性の第1基板と、前記第1基板上に位置し、第1方向に伸びる複数のゲートバスラインと、前記第1基板上に位置し、前記複数のゲートバスラインと交差し、第2方向に伸びる複数のソースバスラインと、前記第1方向および前記第2方向の2次元に配列され、前記複数のゲートバスラインの1つおよび前記複数のソースバスラインの1つと電気的に接続された複数の画素と、前記複数のゲートバスライン、前記複数のソースバスライン、前記複数の画素を覆って前記第1基板に配置された第1配向膜と、を備え、前記カラーフィルタ基板は、透光性の第2基板と、前記第2基板上に位置し、平面視において、前記アクティブマトリクス基板の前記複数のソースバスラインとそれぞれ重なる複数の第1部分と、前記複数の第1部分と交差し、前記複数のゲートバスラインとそれぞれ重なる複数の第2部分とを含むブラックマトリクスと、前記第2基板上に位置し、前記ブラックマトリクスの複数の第1部分および複数の第2部分によって区画された複数の領域にそれぞれ配置された複数のカラーフィルタと、前記ブラックマトリクスの前記複数の第1部分と前記複数の第2部分とが交差する複数の領域の少なくとも一部に配置された、複数の柱状のスペーサと、を備え、前記複数の第1部分のうち、前記複数のスペーサの少なくとも一部に隣接する第1部分は、前記第2部分と接する基部を有し、前記隣接する第1部分において、前記第1部分が伸びる方向と垂直な方向における前記基部の幅は、他の部分における幅よりも大きい。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一実施形態によれば、外力による変形によって光漏れが発生することを抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】液晶表示パネルの撓みによってアクティブマトリクス基板とカラーフィルタ基板との間に位置ずれが発生することを説明する図である。
図2図2は、本実施形態の液晶表示パネルの外観を示す模式的な斜視図である。
図3図3は、アクティブマトリクス基板の主要な構成要素を示す部分拡大平面図である。
図4図4は、カラーフィルタ基板の主要な構成要素を示す部分拡大平面図である。
図5図5は、図4のV-V線の位置における液晶表示パネルの断面図である。
図6図6は、ブラックマトリクスの第1部分と第2部分の交差部分を示す拡大平面図である。
図7】本実施形態の液晶表示パネルにおける光漏れの抑制を説明する模式図である。
図8】本実施形態の液晶表示パネルにおける光漏れの抑制を説明する模式図である。
図9】本実施形態の液晶表示パネルにおける光漏れの抑制を説明する模式図である。
図10】従来の液晶表示パネルにおける光漏れの発生を説明する模式図である。
図11】従来の液晶表示パネルにおける光漏れの発生を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
液晶表示パネルは種々の用途に使用されており、一部の製造工程を省略した低コストの液晶表示パネルが求められる場合がある。具体的には、ガラス基板の厚さを小さくするスリミングを省略したり、アクティブマトリクス基板表面の平坦化のために層間絶縁膜を省略することによって、製造コストをおさえた液晶パネルが求められる場合がある。
【0009】
スリミング工程を省略した液晶パネルでは、ガラス基板が厚いことによって、上述した柱状のスペーサと配向膜との接触による光漏れが顕著になることがある。図1を参照して、この理由を説明する。図1に示すように、液晶表示パネルのアクティブマトリクス基板1とカラーフィルタ基板2とが手指などの外力によって曲げられた状態を考える。アクティブマトリクス基板1の厚さをT1とし、カラーフィルタ基板2の厚さをT2とし、これら合計の厚さをTとする。また、アクティブマトリクス基板1とカラーフィルタ基板2との間隔をdとする。カラーフィルタ基板2の側からアクティブマトリクス基板1の側へ外力が加えられることによって、アクティブマトリクス基板1の裏面1bが凸になるように液晶表示パネルが撓む状態を考える。この時、カラーフィルタ基板2の表面2aにおける撓みの半径をRとする。
【0010】
撓みがない場合の液晶表示パネルの長さをLとした場合、アクティブマトリクス基板1とカラーフィルタ基板2とでは、撓みの際の半径が異なることによって、カラーフィルタ基板2の表面2aとアクティブマトリクス基板1の裏面1bとで、図1における両端でそれぞれ、位置ずれSが生じる。この位置ずれSは、半径RがTおよびdの和に対して十分に大きい場合、S=L(T+d)/(2R)で示される。例えば、液晶表示パネルに用いられるガラス基板は通常400μm~500μm程度の厚さを有しており、スリミング工程によって100μm~200μm程度の厚さになるまで、ガラス基板はエッチングされる。したがって、ガラス基板が厚い場合、外力による撓みや変形によって、柱状のスペーサが配向膜と接触して移動する範囲も大きくなり、液晶層の配向が乱れる範囲も大きくなる。
【0011】
また、アクティブマトリクス基板側の配向膜を形成する際に、下地を平坦化しないことによって、液晶表示パネルの製造コストを低減できる。しかし、本願発明者の検討によれば、平坦化膜を有しない液晶表示パネルでは、上述した外力による撓みによって、ソースバスライン沿いのスペーサ近傍に光漏れが発生し得ることが分かった。本願発明者はこのような課題に鑑み、新規な液晶表示パネルを想到した。
【0012】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。また、以下の説明において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、実施形態および変形例に記載された各構成は、本開示の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されていたり、一部の構成部材が省略されていたりする場合がある。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0013】
図2は、本実施形態の液晶表示パネルの外観を示す模式的な斜視図である。液晶表示パネル100は、アクティブマトリクス基板10と、カラーフィルタ基板50と、液晶層70とを備えている。
【0014】
アクティブマトリクス基板10と、カラーフィルタ基板50とは互いに対向して配置されている。本願明細書において対向とは互いに向き合っていることを意味する。
【0015】
液晶層70は、アクティブマトリクス基板10とカラーフィルタ基板50との間に位置しており、液晶層70の周囲に配置されたシール71によって、アクティブマトリクス基板10とカラーフィルタ基板50との間で封止されている。液晶表示パネル100は、クロスニコルの関係で配置された一対の偏光板で挟まれ、アクティブマトリクス基板10側にバックライトが配置されることによって、液晶表示装置として画像を表示し得る。
【0016】
図3は、アクティブマトリクス基板10の主要な構成要素を示す部分拡大平面図であり、図4は、カラーフィルタ基板50の主要な構成要素を示す部分拡大平面図である。また、図5は、図4のV-V線の位置における液晶表示パネル100の断面図である。アクティブマトリクス基板10およびカラーフィルタ基板50の構成要素の配置の対応を分かりやすく示すため、なお、図4では、カラーフィルタ基板50を液晶層70と対向する面とは反対の面から見た構造を示している。
【0017】
アクティブマトリクス基板10は、第1基板11と、複数のゲートバスライン12と、複数のソースバスライン14と、複数の画素30と、第1配向膜20とを含む。また、アクティブマトリクス基板10は、ゲート絶縁膜13と、層間絶縁膜18と、共通電極19とをさらに備えている。
【0018】
第1基板11は、アクティブマトリクス基板10上に形成される各構成要素を支持し、例えば、ガラス、樹脂等の透明材料によって構成されている。
【0019】
複数のゲートバスライン12は、それぞれx方向(第1方向)に伸びており、所定の間隔でy方向(第2方向)に配列にされている。ゲートバスライン12は、例えば、アルミニウム、銅、チタン、モリブデン、クロム、これらの合金等の金属材料によって構成されている。
【0020】
ゲート絶縁膜13は、ゲートバスライン12を覆って第1基板11上に配置されている。ゲート絶縁膜13は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素などの無機材料によって構成されている。
【0021】
複数のソースバスライン14は、全体として、それぞれy方向に伸びており、所定の間隔でx方向に配置されている。複数のソースバスライン14は、複数のゲートバスライン12とゲート絶縁膜13を介して交差している。本実施形態では、各ソースバスライン14は、ゲートバスライン12との交差領域、および、2つの交差領域間の中間において、屈曲部を有しており、屈曲部において伸びる方向が交互に切り替わっている。このため、全体としてソースバスライン14はジグザク形状を有している。
【0022】
複数の画素30は、複数のゲートバスライン12のうちの各隣接する一対のゲートバスライン12および複数のソースバスライン14のうちの各隣接する一対のソースバスライン14によって囲まれる領域にそれぞれ配置されている。各画素30は、TFT31および画素電極17を含んでいる。各画素30は、一対のゲートバスライン12の一方、および、一対のソースバスライン14の一方と電気的に接続されている。具体的には、TFT30は、半導体層15とドレイン電極16を含み、ゲート絶縁膜13を介してゲートバスライン12と重なっている。半導体層15は、ソースバスライン14およびドレイン電極16と電気的に接続されている。ドレイン電極16はさらに画素電極17と電気的に接続されている。
【0023】
半導体層15は、例えば、In、Ga、およびZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む酸化物半導体層、またはSi半導体層を備えている。酸化物半導体層およびSi半導体層は多結晶、微結晶、c軸配向性など種々の結晶性を備えていてもよい。画素電極17は、例えば、ITO(インジウムスズ酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)などの透明電極材料によって構成されていることが好ましい。ドレイン電極16は、透明電極材料で構成されていてもよいし、ゲートバスライン12の材料として挙げた金属材料で構成されていてもよい。
【0024】
層間絶縁膜18は、ゲートバスライン12、ソースバスライン14および画素30を
覆って第1基板11上に位置している。層間絶縁膜18は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素などの無機材料によって構成されていてもよいし、アクリル樹脂等の有機材料によって構成されていてもよい。図5に示すように、層間絶縁膜18の上面は、層間絶縁膜18が覆っている構造に対応した凹凸を有しており、上面は平坦化されていない。つまり、層間絶縁膜18は平坦化膜ではない。
【0025】
共通電極19は、層間絶縁膜18全体を覆って第1基板11上に配置されている。共通電極19は、画素電極17と同様、透明電極材料によって構成されていることが好ましい。本実施形態では、共通電極19は、全体につながった1つのベタ電極であるが、共通電極19は画素ごとあるいは複数の画素ごとに分断されていてもよい。また、本実施形態では、共通電極19は、画素電極17よりも液晶層70側に位置しているが、共通電極19は、画素電極17よりも第1基板11側に位置していてもよい。この場合、画素電極17と共通電極19との間には層間絶縁膜18が位置していることが好ましい。
【0026】
画素電極17および共通電極19のうち、液晶層70に近い方の電極には、スリット状の開口が設けられていることが好ましい。本実施形態では、共通電極19にスリット状の開口が設けられていることが好ましい。
【0027】
第1配向膜20は、共通電極19の全体を覆って、第1基板11上に配置されている。上述したように層間絶縁膜18の上面が平坦化されていないため、第1配向膜20の上面も、第1基板11上の構造による凹凸を有している。特に、ソースバスライン14上において、カラーフィルタ基板50側に突出したリッジ20tを有している。第1配向膜20は、例えばポリイミド樹脂などによって構成されており、表面に光配向法、ラビング法などの配向処理が施されている。
【0028】
カラーフィルタ基板50は、第2基板51と、ブラックマトリクス52と、複数のカラーフィルタ53と、複数の柱状のスペーサ55とを備える。カラーフィルタ基板50は、オーバーコート層54と、第2配向膜56とをさらに備える。
【0029】
第2基板51は、カラーフィルタ基板50上に形成される各構成要素を支持し、ガラス、樹脂等の透明材料によって構成されている。
【0030】
ブラックマトリクス52は、第2基板51上に位置しており、複数の第1部分52Aと、複数の第2部分52Bとを含む。平面視、つまり、第2基板51の主面に垂直な方向見て、複数の第1部分52Aは、アクティブマトリクス基板10の複数のソースバスライン14とそれぞれ重なっている。また、平面視において、複数の第2部分52Bは、アクティブマトリクス基板10の複数のゲートバスライン12とそれぞれ重なっている。複数の第1部分52Aと複数の第2部分52Bとは、互いに交差している。
【0031】
第1部分52Aは、第2部分52Bに接する基部52Abを有している。以下において詳述するように、第1部分52Aが伸びる方向と垂直な方向における基部52Abの幅は、他の部分における幅よりも大きくなっている。ブラックマトリクス52は、黒色樹脂などの光を透過し難い樹脂材料、または、クロムなどの単層の金属膜または金属層と金属酸化物からなる層との積層構造によって構成されている。
【0032】
カラーフィルタ53は、第2基板51上に位置し、ブラックマトリクス52の複数の第1部分52Aおよび複数の第2部分52Bによって区画された複数の領域にそれぞれ配置されている。具体的には、例えば、x方向に隣接した3つの領域には、赤のカラーフィルタ53R、緑のカラーフィルタ53Gおよび青のカラーフィルタ53Bが配置され、この組み合わせが、ペンタイルあるいはストライプなどの配置に従って、他の領域にも配置されている。
【0033】
オーバーコート層54は、カラーフィルタ53を覆って第2基板51に位置している。オーバーコート層54は例えば、樹脂材料などからなる誘電体である。
【0034】
複数の柱状のスペーサ55は、オーバーコート層54上のブラックマトリクス52の第1部分52Aと第2部分52Bとが交差する領域に位置している。複数の柱状のスペーサ55は、第1スペーサ55Aと第2スペーサ55Bとを含む。図5に示すように、第1スペーサ55Aの高さh1は第2スペーサ55Bの高さh2よりも大きい。このため、液晶表示パネル100において、通常の状態(大きな外力が加えられていない場合)では、第1スペーサ55Aがアクティブマトリクス基板10のソースバスライン14に位置するリッジ20tと接触しており、第2スペーサ55Bはリッジ20tの頂部から離隔している。スペーサ55は、例えばフォトレジストによって構成することができる。
【0035】
液晶表示パネルに局所的に大きな外力が加わると、第1スペーサ55Aがまず圧縮され、次いで、第2スペーサ55Bがリッジ20tと接触し、外力を受ける。このため、第1スペーサ55Aが大きく変形して塑性変形してしまうのを抑制し、外力が取り除かれた際に第1スペーサ55Aおよび第2スペーサ55Bが元の高さに戻りやすくなる。また、液晶表示パネル100が低温で保持された場合には、液晶の収縮によって第1スペーサ55Aが圧縮され、液晶の収縮に追随して液晶表示パネル100の液晶層70の厚さが小さくなる。このため、低温化において、低温気泡が発生するのを抑制できる。
【0036】
第2配向膜56は、スペーサ55を覆って、オーバーコート層54に配置されている。第2配向膜56は、例えばポリイミド樹脂などによって構成されており、表面に光配向法、ラビング法などの配向処理が施されている。
【0037】
次に図6を参照しながらブラックマトリクス52の形状を詳細に説明する。図6は、ブラックマトリクス52の第1部分52Aと第2部分52Bの交差部分を示す拡大平面図である。ゲートバスライン12およびソースバスライン14を合わせて示している。
【0038】
第1部分52Aの伸びる方向に対して垂直な方向に幅を定義する。第1部分52Aの基部52Abの幅w1と基部52Abより先端に位置する他の部分の幅w2とは、下記(1)の関係を満たしていることが好ましい。
w2<w1<2・w2 (1)
この関係を満たすことによって、過度に基部52Abの幅が広くなり、開口率が大きく低下するのを抑制し、かつ、ソースバスライン14沿いのスペーサ近傍の領域における光漏れを効果的に抑制し得る。
【0039】
また、基部52Abの第1部分52Aに沿った長さd1は、基部52Abの幅w1よりも大きいことが好ましい。つまり、下記(2)の関係を満たしていることが好ましい。
w2<d1 (2)
この関係を満たすことによって、液晶表示パネルが厚くなっても、開口率が大きく低下するのを抑制し、かつ、ソースバスライン14沿いのスペーサ近傍の領域における光漏れを効果的に抑制し得る。
【0040】
さらに液晶表示パネル100の厚さをd2とした場合、下記(3)の関係を満たしていることが好ましい。
1/200・d2<d1<1/50・d2 (3)
上述したように液晶パネルの厚さと、液晶パネルが撓んだ時のアクティブマトリクス基板とカラーフィルタ基板との間の位置ずれには相関がある。この関係を満たすことによって、液晶表示パネル100の厚さに応じた適切な位置ずれ量を見積もることができるため、開口率をできるだけ高く維持しながら、効率的にソースバスライン14沿いのスペーサ近傍の領域における光漏れを効果的に抑制し得る。
【0041】
なお、図6に示す例では、基部52Abは、第1スペーサ55Aおよび第2スペーサ55Bに隣接するすべての第1部分52Aに設けられているが、一部の第1部分52Aにのみ設けてもよい。例えば、第1スペーサ55Aが位置する第1部分52Aと第2部分52Bとが交差する領域において、ブラックマトリクス52の面積を大きく確保している場合には、基部52Abを設けなくてもよい。
【0042】
具体的には、第1スペーサ55Aは、外力が加えられていない状態で、アクティブマトリクス基板10の第1配向膜20と接触しているので、液晶表示パネル100に外力が加えられると、第1スペーサ55Aは第1配向膜20と接触し、第1配向膜20の表面を乱しながら、大きく移動する。このため、第1スペーサ55Aが配置される第1部分52Aと第2部分52Bとが交差する領域には、あらかじめ、ブラックマトリクス52の面積を大きくしておくことが好ましい。この場合、液晶表示パネル100の変形によって、第1スペーサ55Aが移動する距離が、この第1部分52Aと第2部分52Bとが交差する領域を覆うブラックマトリクス52の範囲内であれば、基部52Abを設けなくてもよい。
【0043】
また、外力によって液晶表示パネル100の変形する際、液晶表示パネル100内の位置によってスペーサ55の移動方向が決まっている場合には、スペーサ55が移動しない方向には、基部52Abを設けなくてもよい。
【0044】
液晶表示パネル100は、ブラックマトリクス52を形成するマスクパターンに基部52Abを設けることによって従来の液晶表示パネルと同様の方法によって製造することができる。
【0045】
次に液晶表示パネル100において、ソースバスライン14沿いのスペーサ近傍の領域における光漏れが抑制される理由を説明する。図7は、アクティブマトリクス基板10に位置するゲートバスライン12およびソースバスライン14と、カラーフィルタ基板50に位置しているブラックマトリクス52および第2スペーサ55Bとを示している。カラーフィルタ基板50とアクティブマトリクス基板10との間に生じる位置ずれは、例えば、ゲートバスライン12が伸びるx方向とソースバスライン14が伸びるy方向に分けられる。このうち、x方向への位置ずれによって、第2スペーサ55Bがアクティブマトリクス基板10に対してx方向に移動しても、アクティブマトリクス基板10の第1配向膜20の表面に傷、乱れ等生じる領域は、平面視において、ブラックマトリクス52の第2部分52Bと重なる。このため、第2スペーサ55Bのx方向への移動は、光漏れの原因とはなりにくい。
【0046】
一方、図7において矢印で示すように、外力によってカラーフィルタ基板および第2スペーサ55Bがy方向に移動した場合、図8に示すように、第2スペーサ55Bの頂部が、ソースバスライン14上に形成されたリッジ20tの上面や角、上面に隣接する側面部分と接触し、その部分において、第1配向膜20に傷、乱れ等が生じた領域20dが生じる。
【0047】
外力が取り除かれると、図9に示すように、カラーフィルタ基板50は元の位置へ戻る。このとき、領域20dは、基部52Abと重なるため、傷、乱れ等が生じた領域20dにおいて、液晶層70に乱れが生じ、光漏れが発生しても、基部52Abによって効果的に光が遮断される。よって、ソースバスライン14沿いのスペーサ近傍の領域における光漏れが抑制される。これに対し、図10および図11に示すように、ブラックマトリクス52の第1部分52Aが基部52Abを有しない場合、図11に示すように、カラーフィルタ基板50が元の位置へ戻った際、領域20dの少なくとも一部は、第1部分52Aからはみ出す。このため、領域20dにおいて、液晶層70に乱れが生じ、光漏れが発生した場合、ブラックマトリクスの第1部分52Aで完全には光漏れを遮ることができず、カラーフィルタ基板50から外部へ漏れた光が出射すると考えられる。
【0048】
このように本実施形態の液晶表示パネルによれば、基部52Abがあることによって、ソースバスライン14の根本付近の第1配向膜20がスペーサ55と接触して液晶の配向が乱れても、光漏れを効果的に抑制することができる。
【0049】
本開示の液晶表示パネルは、上記実施形態に限られず、種々の改変が可能である。本開示の液晶表示パネルによって解決される課題は、特に、横電界方式の液晶表示パネルにおいて顕著であるこのため、IPS、FFS等の液晶表示パネルに好適に用いることができる。しかし、本開示の液晶表示パネルは横電界方式の液晶表示パネルに限られず、縦電界方式の液晶表示パネルに適用してもよい。また、本実施形態で示したブラックマトリクスの形状は一例であり、ブラックマトリクスは他の形状であってもよい。また、液晶表示パネルの構成も一例であって、種々の構造の液晶表示パネルに、本開示の継承表示パネルを適用することが可能である。
本開示の液晶表示パネルは、以下のようにも説明することができる。
【0050】
第1の構成に係る液晶表示パネルは、アクティブマトリクス基板と、アクティブマトリクス基板と対向するように配置されたカラーフィルタ基板と、アクティブマトリクス基板とカラーフィルタ基板との間に位置する液晶層とを備える。アクティブマトリクス基板は、透光性の第1基板と、第1基板上に位置し、第1方向に伸びる複数のゲートバスラインと、第1基板上に位置し、複数のゲートバスラインと交差し、第2方向に伸びる複数のソースバスラインと、第1方向および第2方向の2次元に配列され、複数のゲートバスラインの1つおよび複数のソースバスラインの1つと電気的に接続された複数の画素と、複数のゲートバスライン、複数のソースバスライン、複数の画素を覆って第1基板に配置された第1配向膜とを備える。カラーフィルタ基板は、透光性の第2基板と、第2基板上に位置し、平面視において、アクティブマトリクス基板の複数のソースバスラインとそれぞれ重なる複数の第1部分と、複数の第1部分と交差し、複数のゲートバスラインとそれぞれ重なる複数の第2部分とを含むブラックマトリクスと、第2基板上に位置し、ブラックマトリクスの複数の第1部分および複数の第2部分によって区画された複数の領域にそれぞれ配置された複数のカラーフィルタと、ブラックマトリクスの複数の第1部分と複数の第2部分とが交差する複数の領域の少なくとも一部に配置された複数の柱状のスペーサとを備える。複数の第1部分のうち、複数のスペーサの少なくとも一部に隣接する第1部分は、第2部分と接する基部を有し、隣接する第1部分において、第1部分が伸びる方向と垂直な方向における基部の幅は、他の部分における幅よりも大きい。第1の構成によれば、基部があることによって、ソースバスラインの根本付近の配向膜がスペーサと接触して液晶の配向が乱れても、光漏れを抑制できる。
【0051】
第2の構成の液晶表示パネルは、第1の構成において、基部の幅をw1とし、他の部分の幅をw2としたとき、w1およびw2は、w2<w1<2・w2の関係を満たしていてもよい。基部の幅が上記関係を満たすことによって、BMの面積の増大および開口率の低下を抑制しながら光漏れを効率的に抑制できる。
【0052】
第3の構成の液晶表示パネルは、第1の構成において、基部の第1部分に沿った長さをd1とし、液晶表示パネルの厚さd2としたとき、d1およびd2は、0.5・d2<d1<d2の関係を満たしていてもよい。基部の長さが上記関係を満たすことによって、BMの面積の増大および開口率の低下を抑制しながら光漏れを効率的に抑制できる。
【0053】
第4の構成の液晶表示パネルは、第1の構成において、基部の幅よりも基部の第1部分に沿った長さのほうが大きくてもよい。基部の幅が上記関係を満たすことによって、BMの面積の増大および開口率の低下を抑制しながら光漏れを効率的に抑制できる。
【0054】
第5の構成の液晶表示パネルは、第1~第4のいずれか1つの構成において、複数のスペーサは第1スペーサと第2スペーサとを含み、第2スペーサの高さは第1スペーサの高さよりも小さくてもよい。
【0055】
第6の構成の液晶表示パネルは、第5の構成において、基部を有する第1部分は、第2スペーサに隣接していてもよい。
【0056】
第7の構成の液晶表示パネルは、第1~第6のいずれか1つの構成において、第1配向膜の表面が、複数のソースバスライン上においてカラーフィルタ基板側に突出していてもよい。
【0057】
第8の構成の液晶表示パネルは、第1~第7のいずれか1つの構成において、複数の画素のそれぞれは、複数のゲートバスラインの1つおよび複数のソースバスラインの1つと電気的に接続されたTFTおよびTFTに接続された画素電極を含んでいてもよい。
【0058】
第9の構成の液晶表示パネルは、第8の構成において、アクティブマトリクス基板が、第1基板と第1配向膜との間に配置された、共通電極と、層間絶縁膜とをさらに備え、層間絶縁膜が共通電極と複数の画素電極との間に位置していてもよい。
【0059】
第10の構成の液晶表示パネルは、第1~第9のいずれか1つの構成において、アクティブマトリクス基板が、第1配向膜と第1基板との間に位置する平坦化膜を有していなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本開示の液晶表示パネルは、種々の用途に使用され、種々の駆動方式の液晶表示パネルに好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0061】
1,10…アクティブマトリクス基板、2,50…カラーフィルタ基板、11…第1基板、12…ゲートバスライン、13…ゲート絶縁膜、14…ソースバスライン、15…半導体層、16…ドレイン電極、17…画素電極、18…層間絶縁膜、19…共通電極、20…第1配向膜、20d…領域、20t…リッジ、30…画素、51…第2基板、52…ブラックマトリクス、52A…第1部分、52Ab…基部、52B…第2部分、53,53R,53G,53B…カラーフィルタ、54…オーバーコート層、55…スペーサ、55A…第1スペーサ、55B…第2スペーサ、56…第2配向膜、70…液晶層、71…シール、100…液晶表示パネル
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図11