(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168861
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】ラベル貼付方法
(51)【国際特許分類】
B65C 9/22 20060101AFI20231121BHJP
G09F 3/10 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
B65C9/22
G09F3/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080218
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005980
【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
(72)【発明者】
【氏名】池澤 善実
(72)【発明者】
【氏名】浦崎 淳
【テーマコード(参考)】
3E095
【Fターム(参考)】
3E095AA01
3E095BA01
3E095CA10
3E095DA48
3E095DA53
3E095DA60
3E095FA12
(57)【要約】
【課題】再湿潤活性糊層を有するラベルを不具合なく被着体に貼付することができるラベル貼付方法を提供する。
【解決手段】課題は、被着体にラベルを貼付するラベル貼付方法であって、被着体のラベル貼付部位に水分を付与する工程(1)、被着体のラベル貼付部位に前記水分が存在する時間内に前記ラベルを接触及び配置させる工程(2)、並びに接触及び配置と同時若しくは接触及び配置後にラベルが接触及び配置する被着体のラベル貼付部位を押さえ付ける工程(3)を有し、前記ラベルが紙基材、前記紙基材の表面に対して記録層及び前記紙基材の裏面に対して再湿潤活性糊層を有する、ラベル貼付方法によって解決できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体にラベルを貼付するラベル貼付方法であって、被着体のラベル貼付部位に水分を付与する工程(1)、被着体のラベル貼付部位に前記水分が存在する時間内に前記ラベルを接触及び配置させる工程(2)、並びに接触及び配置と同時若しくは接触及び配置後にラベルが接触及び配置する被着体のラベル貼付部位を押さえ付ける工程(3)を有し、前記ラベルが紙基材、前記紙基材の表面に対して記録層及び前記紙基材の裏面に対して再湿潤活性糊層を有する、ラベル貼付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤として再湿潤活性糊を含有する再湿潤活性糊層を裏面に有するラベルの被着体へのラベル貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
再湿潤活性糊層を裏面に有するラベルの被着体への貼付方法は、ラベルの再湿潤活性糊層に水を付与して粘着性を発現してから当該ラベルを被着体に貼り付ける方法であって、公知である。
再湿潤活性糊層を裏面に有するようなラベル類は、例えば、印刷用紙の片面に再湿性接着剤を塗布し、他面に文字又は図形等の各種印刷を施す表面処理剤を塗布形成することにより、前記印刷用紙の外気湿度に対する伸長によるカールを防止したことを特徴とする、ラベル又はシールとしての貼付紙が公知である(例えば、特許文献1参照)。そして、特許文献1は、貼付紙の再湿性接着剤側に水を付着する水付け手段を組み合わせた貼付紙の水付け装置を開示する。
貼付方法では、例えば、貼付紙の再湿性接着剤層が、天地の天側を向いた上下逆さ、又は天地と直角方向である縦型となるように配置されている前記貼付紙の再湿性接着剤層に、ブルックフィールド型粘度計による25℃下粘度が100~80,000mPa・sである水溶性高分子水溶液を塗布して前記再湿性接着剤層を湿潤させる、貼付紙の再湿性接着剤層の湿潤方法、並びに前記再湿性接着剤層の湿潤方法により、前記再湿性接着剤層を湿潤させた貼付紙を被着体に供給して該被着体に該貼付紙を貼付する、貼付紙の被着体への貼付方法が公知である(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-231256号公報
【特許文献2】特開2018-090319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
紙基材、前記紙基材の表面に対して記録層及び前記紙基材の裏面に対して再湿潤活性糊層を有するラベルでは、再湿潤活性糊層に粘着性を発現するべく水を付与した場合に、カールの発生、コックリングの発生、及び被着体に接触及び配置させる前に再湿潤活性糊層が粘着性を発現するため再湿潤活性糊層へ不純物が付着という不具合を生じる場合があった。
本発明の目的は、上記不具合を防止することができるラベル貼付方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
基材の裏面に対して再湿潤活性糊層を有するラベルでは、被着体にラベルを貼付する場合、再湿潤活性糊層に対して水分を付与してから被着体に貼付される。
この理由は、再湿潤活性糊層の再湿潤活性糊を活性化して粘着性を発現するために再湿潤活性糊層に対して十分な水分を付与する必要性があるからである。すなわち、従来は、被着体に水分の付与する方法ではラベルの再湿潤活性糊を十分活性化して粘着性を発現できないと、考えられていた。また、この理由は、作業面において、再湿潤活性糊層に水分の付与する方法がラベルの貼付する位置にズレが現われても貼付することができたからである。また、この理由は、例えば、被着体に糊を付与して当該ラベル貼付部位にラベルを貼付する方法では貼付する位置にズレがあると、はみ出た糊によって不具合が発生したからである。この様な状況から、基材の裏面に対して再湿潤活性糊層を有するラベルにおいて、被着体に水分を付与する貼付方法は検討するに値しなかった。一方で、従来、基材の裏面に対して再湿潤活性糊層を有するラベルにおいて基材が紙基材であるラベルの場合、再湿潤活性糊層に対して水分を付与する方法では、ラベルのカールの発生、コックリングの発生及び粘着性を発現した再湿潤活性糊層へ不純物の付着という不具合が問題になる。そこで、例えば、特許文献1に記載されるが如くのラベルの構造が検討されてきた。
上記の状況に対して、本発明者らは、以下を見出した。
紙基材、前記紙基材の表面に対して記録層及び前記紙基材の裏面に対して再湿潤活性糊層を有するラベルでは、紙基材が有する空隙に起因して液吸収能を有するため、前記液吸収能の作用によって被着体に付与した水分を再湿潤活性糊層が十分に吸収することができる。結果、ラベルは、再湿潤活性糊層が十分粘着性を発現することができる。被着体に水分を付与することで、ラベルのカールの発生、コックリングの発生及び粘着性を発現した再湿潤活性糊層へ不純物の付着という不具合が回避できる。
【0006】
以上から本発明の課題は、以下によって解決できる。
[1]被着体にラベルを貼付するラベル貼付方法であって、被着体のラベル貼付部位に水分を付与する工程(1)、被着体のラベル貼付部位に前記水分が存在する時間内に前記ラベルを接触及び配置させる工程(2)、並びに接触及び配置と同時若しくは接触及び配置後にラベルが接触及び配置する被着体のラベル貼付部位を押さえ付ける工程(3)を有し、前記ラベルが紙基材、前記紙基材の表面に対して記録層及び前記紙基材の裏面に対して再湿潤活性糊層を有する、ラベル貼付方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によって、ラベル貼付方法では、カールの発生、コックリングの発生、及び被着体に接触及び配置させる前に再湿潤活性糊層が粘着性を発現するため再湿潤活性糊層へ不純物の付着という不具合を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の内容を更に具体的に説明する。
【0009】
ラベル貼付方法に使用するラベルは、紙基材と、前記紙基材の表面に対して記録層及び前記紙基材の裏面に対して再湿潤活性糊層とを有する。ここで、本明細書において紙基材の表面及び裏面とは、紙基材の面を区別するために便宜的な記載であって、紙基材の物理的乃至化学的な違いに依存する様な表面及び裏面を示さない。
ラベルとしては、再湿潤活性糊層を有する単層構造又は複数層の積層構造を有するシート、テープ、シール及び伝票類等が含まれる。
ラベルは、本発明の効果を損なわない限りにおいて、記録層に対して従来公知の保護層及び/又は紙基材と記録層若しくは再湿潤活性糊層との間に紙基材への接着性の向上などを目的に従来公知の下塗り層を設けることができる。
【0010】
紙基材は、木材パルプ及び/又は非木材パルプ等のパルプから成るスラリーに対して、填料、サイズ剤、バインダー、定着剤、歩留り剤及び紙力剤等の製紙分野で従来公知の各種添加剤を必要に応じて添加した紙料を、酸性、中性又はアルカリ性の条件で、従来公知の抄紙方法によって抄造した原紙、前記原紙を従来公知の表面サイズ剤を含有するサイズプレス液でサイズプレス処理したサイズ処理紙、前記原紙を従来公知の表面処理剤を含有する表面処理液で表面処理した表面処理紙、又は前記原紙若しくは前記処理紙に対してカレンダー処理を施した普通紙である。
紙基材において、サイズプレス処理する側、表面処理する側及びカレンダー処理する側は、紙基材の両面及び片面のいずれでもよく、片面の場合では、記録層及び再湿潤活性糊層のいずれの側でもよい。
【0011】
さらに、紙基材には、顔料及びバインダーを含有する塗工層又は樹脂を含有する樹脂層を上記原紙、処理紙又は普通紙に設けた、塗工紙分野で従来公知の塗工紙が含まれる。さらに、紙基材には、既存する上質紙、薄葉紙、リンター紙、クラフト紙、片艶紙、片面ラミネート紙、紙間強化紙及び難燃紙等が含まれる。
いくつかの実施態様において、紙基材は、再湿潤活性糊層を設ける裏面が液吸収能を有する。液吸収能が悪化する紙基材は、例えば、再湿潤活性糊層側を設ける側に樹脂層又はラミネート層を有するものを挙げることができる。この理由は、再湿潤活性糊層が粘着性を発現し難くなるからである。
【0012】
上記木材パルプは、製紙分野で従来公知の化学パルプ、機械パルプ及びセミケミカルパルプ等である。化学パルプ(Chemical pulp)の例としては、LBKP(Leaf Bleached Kraft Pulp)及びNBKP(Needle Bleached Kraft Pulp)を挙げることができる。機械パルプ(Mechanical pulp)の例としては、GP(Groundwood Pulp)、PGW(Pressure GroundWood pulp)、RMP(Refiner Mechanical Pulp)、TMP(ThermoMechanical Pulp)、CTMP(ChemiThermoMechanical Pulp)、CMP(ChemiMechanical Pulp)を挙げることができる。セミケミカルパルプ(Semi-Chemical Pulp)の例としては、CGP(ChemiGroundwood Pulp)を挙げることができる。
上記非木材パルプは、製紙分野で従来公知の非木材繊維からなるパルプである。非木材繊維の原料は、例えば、コウゾ、ミツマタ及びガンピ等の木本靭皮、亜麻、大麻及びケナフ等の草本靭皮、マニラ麻、アバカ及びサイザル麻等の葉繊維、イネわら、ムギわら、サトウキビバカス、タケ及びエスパルト等の禾本科植物、並びにワタ及びリンター等の種毛を挙げることができる。
さらに、パルプの例としては、DIP(DeInked Pulp)等の古紙パルプ(Waste Paper Pulp)並びに製紙工場で発生する損紙(Spoilage)から離解して成るパルプを挙げることができる。
【0013】
いくつかの実施態様において、紙基材は、上記の原紙、処理紙又は普通紙である。この理由は、ラベルの製造コスト的に優位であるからである。
いくつかの実施態様において、紙基材は、クラフト紙である。この理由は、ラベルの強度に優れるからである。
【0014】
いくつかの実施態様において、紙基材は、再湿潤活性糊層を設ける側である裏面に印刷画像を有する。この理由は、ラベルの偽造防止になるからである。印刷は、従来公知の印刷機を用いる方法である。印刷機は、例えば、グラビア印刷機、凸版印刷機、オフセット印刷機、フレキソ印刷機、インクジェット印刷機、昇華熱転写印刷機及び電子写真印刷機等を挙げることができる。印刷インキには、各印刷機の通常のもの以外に、ブラックライトを当てることで確認できるステルスインキ等を使用することができる。
【0015】
記録層は、画像を記録可能な層又は画像を記録した層であって、特に限定されない。画像を記録可能な層としての記録層は、グラビア印刷用の塗工層、オフセット印刷用の塗工層、凸版印刷用の塗工層、フレキソ印刷用の塗工層、感熱記録層、表層に保護層を有する感熱記録層、インクジェット印刷用のインク受理層、熱転写受像用の塗工層、転写捺染用の受像層及び電子写真印刷機用の塗工層等の従来公知の印刷方法及び画像記録方法によって画像を記録することができる層を挙げることができる。この様な画像を記録することができる層は、紙基材に対して層を形成する為の塗工組成物を従来公知の塗工装置及び乾燥装置を用いて塗工及び乾燥することで得ることができる。塗工装置は、例えば、エアナイフコーター、各種ブレードコーター、各種バーコーター、各種カーテンコーター及び各種ロールコーターなどを挙げることができる。さらに、塗工装置の例としては、平版、凸版、凹版、フレキソ、グラビア、スクリーンなどの各種印刷方式を挙げることができる。乾燥装置は、例えば、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤーなどの熱風乾燥機、赤外線加熱ドライヤー、並びにマイクロ波及び紫外線などを利用した乾燥機などを挙げることができる。画像の記録は、被着体にラベルの貼付前及び/又は貼付後である。
画像を記録した層としての記録層は、既に画像を形成した記録紙、模様紙、色紙、模様フィルム、色付きフィルム、化粧紙、化粧シート及び画像記録シート等の記録材料の紙基材に対して積層した層、接着層又は貼り合わせ層等を挙げることができる。記録材料の積層した層の積層、接着層の接着又は貼り合わせ層の貼り合わせは、被着体にラベルの貼付前及び/又は貼付後である。
【0016】
いくつかの実施態様において、上記紙基材の表面に画像の直接記録が可能である場合は紙基材が記録層を兼務するラベルとなる。
【0017】
再湿潤活性糊層は、水又は水含有溶液により再湿潤活性糊層を湿潤させることによって再湿潤活性糊層が含有する再湿潤活性糊剤が粘着性を発現する糊層である。再湿潤活性糊剤は糊分野で従来公知のものである。再湿潤活性糊剤は、例えば、クロロプレンゴム類、ポリビニルアルコール類、澱粉類、酢酸ビニルアクリル酸塩共重合体及び酢酸ビニルメタクリル酸塩共重合体などの酢酸ビニル系共重合体、デキストリン、アラビアゴム、ニカワ、並びにポリアクリルアミド等を挙げることができる。この様な再湿潤活性糊層は、紙基材に対して層を形成する為の少なくとも再湿潤活性糊剤を含む塗工組成物を従来公知の塗工装置及び乾燥装置を用いて塗工及び乾燥することで得ることができる。塗工装置及び乾燥装置は上記記録層において記載と同じであり、ここでは説明を割愛する。
【0018】
いくつかの実施態様において、ラベルは、紙基材が原紙、処理紙、普通紙又はクラフト紙であり、並びに再湿潤活性糊層が、澱粉類、デキストリン、アラビアゴム及びニカワ等の天然由来系の再湿潤活性糊剤から選ばれる一種又は二種以上である。この理由は、廃棄物となった場合の環境負荷軽減及びラベルに使用される合成樹脂の使用量軽減になるからである。
【0019】
ラベル貼付方法は、被着体のラベル貼付部位に水分を付与する工程(1)、被着体のラベル貼付部位に前記水分が存在する時間内に前記ラベルを接触及び配置させる工程(2)、並びに接触及び配置と同時若しくは接触及び配置後にラベルが接触及び配置する被着体のラベル貼付部位を押さえ付ける工程(3)を有する。
【0020】
ラベルを貼付する対象である被着体は、素材として例えば、金属類、ガラス類、樹脂類、プラスチック類、皮革、紙類、及びこれら素材の複合材料、並びに食品等を挙げることができる。また、被着体は、形態として例えば、板類、シート類、布帛類、容器類、段ボール箱等の箱類、各種梱包体、並びに包装体、包装パック類、包装袋及び包装容器等を挙げることができる。
【0021】
いくつかの実施態様において、ラベルの使用は、物流分野及び小売り分野で使用される伝票ラベル、表示ラベル、タグラベル及びバーコードラベル、並びに段ボール箱の封止に使用する梱包テープの用途である。この理由は、従来公知の糊層に対して剥離紙を有するラベルでは、現場において、剥離の作業及び剥離紙の処分問題が回避できるからである。また、この理由は、紙基材の表面に対して記録層、前記記録層に対して剥離層、紙基材の裏面に対して粘着層を有する従来公知のライナーレスラベルでは、現場において、剥離層の存在によって後から印刷及び/又は加筆できない不具合を回避できるからである。
【0022】
上記工程(1)は、被着体のラベル貼付部位に水分の付与である。水分の付与に使用する液体は、水又は水含有溶液である。
いくつかの実施態様において、水含有溶液は、従来公知の防カビ剤及び/又は防腐剤を含有する。この理由は、保管中の水含有溶液の腐敗を防止することができるからである。
いくつかの実施態様において、水含有溶液は、従来公知の増粘剤を含有する。この理由は、水含有溶液の液ダレ等を防止することができるからである。
いくつかの実施態様において、水含有溶液は、グリセリン、ポリエチレングリコール、尿素及び潮解性無機塩等の従来公知の乾燥抑制剤及び又は保湿剤を含有する。この理由は、付与された水含有溶液中の水の蒸発を抑制することができるからである。
いくつかの実施態様において、水含有溶液は、着色染料又は着色顔料等の着色剤を含有する。この理由は、水分が付与されたラベル貼付部位が明確になるからである。
【0023】
被着体のラベル貼付部位に水分を付与する方法は、従来公知の方法である。水分を付与する方法は、例えば、上記塗工装置を使用して塗工、スプレー塗工、滴下、刷毛を使用して塗工及びスポンジ等の吸液体を使用して塗工を挙げることができる。被着体のラベル貼付部位に水分を付与する方法は、回分処理、逐次処理及び連続処理のいずれでもよい。被着体のラベル貼付部位に水分を付与する方法は、人の手作業による方法及び機械による自動化方法のいずれでもよい。
いくつかの実施態様において、被着体のラベル貼付部位には、予めスタンプ等によってラベル貼付部位の目印を表示する。この理由は、貼付位置が明確になるからである。
【0024】
上記工程(2)は、被着体のラベル貼付部位に前記水分が存在する時間内にラベルを接触及び配置である。すなわち、工程(2)は、被着体に付与した水分をラベルの再湿潤活性糊層が吸収できるように被着体のラベル貼付部位にラベルを被着体に接する状態で配置することである。配置は、人の手作業による方法並びに従来公知の自動アーム及び搬送装置等の機械による自動化方法のいずれでもよい。
【0025】
上記工程(3)は、ラベルと被着体とが接触及び配置すると同時又は接触及び配置後にラベルが接触及び配置する被着体のラベル貼付部位をラベル上から適度に圧を掛けて押さえ付けである。押さえ付けは、人の手作業による方法並びに特許文献2に記載されるが如くのニップロール間挟持、従来公知のオートスタンプ機及び押し機等の機械による自動化方法のいずれでもよい。
【0026】
いくつかの実施態様において、ラベル貼付方法は、上記工程(2)に先立って、被着体のラベル貼付部位に付着する霜、ゴミ及び埃等の異物を除去する工程(4)を有する。この理由は、異物の挟み込みを防止することができるからである。除去する工程(4)は、例えば、被着体表面の掻き取り、被着体表面の拭き取り、被着体表面のブラッシング及び被着体表面へのエア吹付け等を挙げることができる。
少なくとも一つの実施態様において、ラベル貼付方法は、被着体にラベルを貼付するラベル貼付方法は、被着体のラベル貼付部位に水分を付与する工程(1)、被着体のラベル貼付部位に付着する異物を除去する工程(4)、被着体のラベル貼付部位に前記水分が存在する時間内に前記ラベルを接触及び配置させる工程(2)、並びに接触及び配置と同時若しくは接触及び配置後にラベルが接触及び配置する被着体のラベル貼付部位を押さえ付ける工程(3)を有し、前記ラベルが紙基材、前記紙基材の表面に対して記録層及び前記紙基材の裏面に対して再湿潤活性糊層を有する。
【実施例0027】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されない。
【0028】
<ラベル>
ラベル1には、坪量54g/m2の普通紙の表面に記録層としてグラビア印刷層及び裏面に再湿潤活性糊として澱粉を用いた再湿潤活性糊層を設けた記録材料を用いた。グラビア印刷層には、白色顔料としてカオリン及び炭酸カルシウム並びにバインダーとしてスチレンブタジエン共重合系樹脂を含有する従来公知のものを用いた。1枚のラベルの大きさは、4cm×5cmとした。
ラベル2には、坪量48g/m2のクラフト紙の表面に記録層としてグラビア印刷層及び裏面に再湿潤活性糊として澱粉を用いた再湿潤活性糊層を設けた記録材料を用いた。グラビア印刷層には、白色顔料としてカオリン及び炭酸カルシウム並びにバインダーとしてスチレンブタジエン共重合系樹脂を含有する従来公知のものを用いた。1枚のラベルの大きさは、4cm×5cmとした。
ラベル3には、坪量64g/m2の普通紙の表面に対して記録層として下塗り層及び前記下塗り層に対して感熱記録層並びに裏面に再湿潤活性糊としてポリビニルアルコールを用いた再湿潤活性糊層を設けた感熱記録材料を用いた。下塗り層には、中空有機白色顔料及びバインダーとして澱粉及びスチレンブタジエン共重合系樹脂を含有する従来公知のものを用いた。感熱記録層には、染料前駆体及び顕色剤を含有する従来公知のものを用いた。1枚のラベルの大きさは、4cm×5cmとした。
ラベル4には、坪量64g/m2の普通紙の表面に記録層としてインクジェット印刷用インク受理層及び裏面に再湿潤活性糊として澱粉を用いた再湿潤活性糊層を設けたインクジェット記録材料を用いた。インク受理層には、白色顔料として非晶質シリカ及びバインダーとしてポリビニルアルコールを含有する従来公知のものを用いた。1枚のラベルの大きさは、4cm×5cmとした。
【0029】
<被着体>
被着体1には、50cm×50cmの段ボール紙を用いた。
被着体2には、50cm×50cmの封筒用未晒クラフト紙を用いた。
【0030】
<工程(1)>
被着体のラベル貼付部位に水分を付与する工程(1)は下記方法とした。
工程(1)-1では、水の入ったペットボトルに霧とジェットとの切替可能な加圧式ペットボトル取付スプレーを取り付けて、被着体のラベル貼付部位にスプレーして水を付与した。
工程(1)-2では、水を十分含ませた4cm×5cmのスポンジを被着体のラベル貼付部位に押し当てて水を付与した。
【0031】
<工程(2)>
被着体のラベル貼付部位に水分が存在する時間内にラベルを接触及び配置させる工程(2)は下記方法とした。
ラベルを手に取り、被着体のラベル貼付部位に接触させて配置した。
【0032】
<工程(3)>
ラベルが接触及び配置する被着体のラベル貼付部位を押さえ付ける工程(3)は下記方法とした。
被着体のラベル貼付部位に接触及び配置したラベルをシート転圧ゴムローラーを用いてラベル上でローラーを一往復させて押さえた。
【0033】
<工程(4)>
被着体のラベル貼付部位に付着する異物を除去する工程(4)は下記方法とした。
ハンディ型エアスプレーガンによってエアを吹き付けて被着体のラベル貼付部位に付着していたであろう埃等を除去した。
【0034】
実施例として、上記ラベル及び上記被着体を組み合わせて用いて、上記ラベルを適宜印刷方式を用いて印刷した後、工程(1)-1若しくは工程(1)-2、工程(2)及び工程(3)をこの記載の順番で、又は工程(1)-1若しくは工程(1)-2、工程(4)、工程(2)及び工程(3)をこの記載の順番で、一組み合わせに付き20回の貼付試験を実施した。
【0035】
比較例として、工程(1)-1若しくは工程(1)-2を、上記ラベルに水を十分含ませた4cm×5cmのスポンジをラベルの再湿潤活性糊層に押し当てて水を付与した工程(1′)へと変更、及び工程(2)を、被着体のラベル貼付部位にラベルの再湿潤活性糊層の水分が存在する時間内にラベルを接触及び配置させる工程(2′)に変更した。
上記ラベル及び上記被着体を組み合わせて用いて、工程(1′)、工程(2′)及び工程(3)をこの記載の順番で、又は工程(1′)、工程(4)、工程(2′)及び工程(3)をこの記載の順番で、一組み合わせに付き20回の貼付試験を実施した。
【0036】
本発明に該当する被着体のラベル貼付部位に水分を付与するラベル貼付方法である実施例では、被着体のラベル貼付部位に接触及び配置するまでラベルの再湿潤活性糊層に水が付与されることがなく、ラベルにカールの発生、コックリングの発生及び再湿潤活性糊層へ埃の付着という不具合が認められなかった。また、工程(2)の前に工程(4)を有することで、被着体のラベル貼付部位の不純物が取り除かれて貼付の外観がより良好となった。
本発明に該当しないラベルの再湿潤活性糊層に水を付与するラベル貼付方法である比較例では、ラベルにカールの発生、コックリングの発生及び/又は再湿潤活性糊層へ埃の付着という不具合が発生する場合が認められた。
【0037】
上記実施例において、水に替えて、防カビ剤及び防腐剤を含有する水含有溶液とした。結果、ぬめり等の水含有溶液の腐敗が抑制されて、貼付がより良好となった。
上記実施例において、水に替えて、アクリル系樹脂の増粘剤を含有する水含有溶液とした。結果、被着体の付与した水含有溶液の液ダレが防止でき、貼付がより良好となった。
上記実施例において、水に替えて、グリセリンを含有する水含有溶液とした。結果、被着体のラベル貼付部位に付与された水含有溶液の蒸発が抑制され、貼付がより良好となった。
上記実施例において、水に替えて、着色染料を含有する水含有溶液とした。結果、被着体のラベル貼付部位の箇所が明確になって、貼付がより良好になった。