(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168891
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】O/W/O型皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/37 20060101AFI20231121BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20231121BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20231121BHJP
A61K 8/89 20060101ALI20231121BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20231121BHJP
A61K 8/45 20060101ALI20231121BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/34
A61K8/41
A61K8/89
A61K8/06
A61K8/45
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080266
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田渕 翔
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC011
4C083AC022
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC331
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC441
4C083AC541
4C083AC542
4C083AC582
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC692
4C083AC791
4C083AC792
4C083AD022
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD162
4C083BB05
4C083BB06
4C083BB13
4C083CC02
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD34
4C083EE07
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】水分蒸散抑制効果が高く、肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸ばすことができ、密着感に優れたO/W/O型皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)炭素数12~26のグリセリンモノ脂肪酸エステル、
(B)炭素数12~22の高級アルコール、
(C)25℃で液状の油剤、
(D)スフィンゴシン塩及びイオン性界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上の化合物、
(E)シリコーン系界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上の非イオン性界面活性剤
を含有するO/W/O型皮膚外用剤であり、
成分(C)が、少なくともO/W/O型皮膚外用剤の内層油相に含有され、
成分(A)及び(B)の合計量に対する内層油相に含まれる成分(C)の質量割合(内層油相に含まれる(C))/((A)+(B))が、0より大きく3未満である、O/W/O型皮膚外用剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)炭素数12~26のグリセリンモノ脂肪酸エステル、
(B)炭素数12~22の高級アルコール、
(C)25℃で液状の油剤、
(D)スフィンゴシン塩及びイオン性界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上の化合物、
(E)シリコーン系界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上の非イオン性界面活性剤
を含有するO/W/O型皮膚外用剤であり、
成分(C)が、少なくともO/W/O型皮膚外用剤の内層油相に含有され、
成分(A)及び(B)の合計量に対する内層油相に含まれる成分(C)の質量割合(内層油相に含まれる(C))/((A)+(B))が、0より大きく3未満である、O/W/O型皮膚外用剤。
【請求項2】
内層油相に含まれる成分(C)が、少なくとも炭化水素油、エステル油、エーテル油及びシリコーン油から選ばれる1種又は2種以上を含む、請求項1記載のO/W/O型皮膚外用剤。
【請求項3】
内層油相に含まれる成分(C)の含有量が、0.1~6質量%である、請求項1又は2記載のO/W/O型皮膚外用剤。
【請求項4】
成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)が、0.1~4である、請求項1~3のいずれか1項記載のO/W/O型皮膚外用剤。
【請求項5】
成分(A)が内層油相に含有される、請求項1~4のいずれか1項記載のO/W/O型皮膚外用剤。
【請求項6】
成分(D)が、アシルアミノ酸塩及びアシルメチルタウリン塩から選ばれる1種以上を含む、請求項1~5のいずれか1項記載のO/W/O型皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、O/W/O型皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、使用感に優れ、保湿効果が持続する皮膚外用剤が検討されている。
例えば、特許文献1には、グリセリンモノ脂肪酸エステル、炭素数10~22のアルコール、セラミド類と、スフィンゴシン塩及びイオン性界面活性剤から選ばれる化合物とを含有するO/W/O型皮膚外用剤が、乳化安定性に優れ、皮膚に適用する場合に、あつみ感、皮膚を保護する感じ、なめらか感があり、しっとり感が持続することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のO/W/O型皮膚外用剤では、肌に塗布した後、肌の水分蒸散性が高く、特に乾燥した環境下においては、肌を保湿した状態を十分保持することに課題があった。また、O/W/O型皮膚外用剤を肌に塗布する際に、上滑りする感触となり、肌に付着しながら伸ばせる実感が得にくかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、グリセリンモノ脂肪酸エステル、高級アルコール、スフィンゴシン塩及びイオン性界面活性剤から選ばれる化合物、親油性非イオン性界面活性剤を含有するO/W/O型皮膚外用剤において、内層油相に25℃で液状の油剤を含有させることにより、水分蒸散抑制効果が高く、肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸ばすことができることを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)炭素数12~26のグリセリンモノ脂肪酸エステル、
(B)炭素数12~22の高級アルコール、
(C)25℃で液状の油剤、
(D)スフィンゴシン塩及びイオン性界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上の化合物、
(E)シリコーン系界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上の非イオン性界面活性剤
を含有するO/W/O型皮膚外用剤であり、
成分(C)が、少なくともO/W/O型皮膚外用剤の内層油相に含有され、
成分(A)及び(B)の合計量に対する内層油相に含まれる成分(C)の質量割合(内層油相に含まれる(C))/((A)+(B))が、0より大きく3未満である、O/W/O型皮膚外用剤に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のO/W/O型皮膚外用剤は、肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸ばすことができ、密着感に優れたものであり、水分蒸散抑制効果が高いものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いる成分(A)は、炭素数12~26のグリセリンモノ脂肪酸エステルである。
成分(A)の炭素数12~26のグリセリンモノ脂肪酸エステルは、肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸びる密着感を向上させ、水分蒸散抑制効果を向上させる観点から、グリセリンモノ脂肪酸エステルを構成する脂肪酸残基の炭素数は12~26であり、炭素数14以上であるのが好ましく、16以上がより好ましく、24以下が好ましく、22以下がより好ましい。
成分(A)のグリセリンモノ脂肪酸エステルとしては、例えば、グリセリンモノラウリン酸エステル、グリセリンモノミリスチン酸エステル、グリセリンモノパルミチン酸エステル、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンモノベヘン酸エステル、グリセリンモノオレイン酸エステル、グリセリンモノイソステアリン酸エステル、グリセリンモノアラキジン酸エステル、グリセリンモノリノール酸エステル等が挙げられる。これらのうち、前述した観点から、グリセリンモノベヘン酸エステル、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンモノパルミチン酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種又は2種以上を含むのが好ましく、グリセリンモノベヘン酸エステルがより好ましい。
【0009】
成分(A)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸びる密着感を向上させ、水分蒸散抑制効果を向上させ、O/W/O型皮膚外用剤の保存安定性を向上させる観点から、全組成中に0.1~3.5質量%であるのが好ましく、1~2.8質量%がより好ましく、1.7~2.4質量%がさらに好ましい。
【0010】
本発明で用いる成分(B)は、炭素数12~22の高級アルコールである。
成分(B)としては、肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸びる密着感を向上させ、水分蒸散抑制効果を向上させ、O/W/O型皮膚外用剤の保存安定性を向上させる観点から、炭素数14以上であるのが好ましく、16以上がより好ましく、20以下が好ましく、18以下がより好ましい。
成分(B)としては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。これらのうち、直鎖アルキル基を有するものが好ましく、炭素数16~18の一価アルコールを含むのがより好ましく、セチルアルコール及びステアリルアルコールから選ばれる1種以上を含むのがさらに好ましく、セチルアルコールを含むのがよりさらに好ましい。
【0011】
成分(B)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸びる密着感を向上させ、水分蒸散抑制効果を向上させ、O/W/O型皮膚外用剤の保存安定性を向上させる観点から、全組成中に0.5~5質量%であるのが好ましく、1~3.5質量%がより好ましく、1.3~2.8質量%がさらに好ましく、1.7~2.4質量%がよりさらに好ましい。
【0012】
本発明において、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)は、肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸びる密着感を向上させ、水分蒸散抑制効果を向上させ、O/W/O型皮膚外用剤の保存安定性を向上させる観点から、0.1~4であるのが好ましく、0.2~2であるのがより好ましく、0.3~1.7がさらに好ましく、0.7~1.25がよりさらに好ましい。
【0013】
成分(C)は、25℃で液状の油剤であり、成分(B)は含まれない。液状とは、流動性があることをいい、ペースト状も含まれる。
成分(C)の油剤としては、例えば、炭化水素油、エステル油、エーテル油、シリコーン油、高級脂肪酸等が挙げられる。
【0014】
より具体的には、炭化水素油としては、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン等が挙げられる。
炭化水素油としては、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィンから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィンから選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、スクワラン、流動イソパラフィンから選ばれる1種以上を含むのがさらに好ましく、スクワランを含むのがよりさらに好ましい。
【0015】
エステル油としては、モノエステル油、ジエステル油、トリエステル油及びテトラエステル油が挙げられる。
モノエステル油としては、炭素数2~24の脂肪族又は芳香族のモノカルボン酸又はジカルボン酸のモノエステルが挙げられ、具体例としては、2-エチルヘキサン酸セチル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2-ヘキシルデシルステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、オレイン酸デシル、イソデシルベンゾエート、メトキシケイヒ酸オクチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、コハク酸2-エチルヘキシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、安息香酸アルキル(C12~C15)等が挙げられる。
モノエステル油としては、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸オクチルドデシルから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシルから選ばれる1種以上を含むのがより好ましく、イソノナン酸イソノニルを含むのがさらに好ましい。
【0016】
ジエステル油としては、炭素数3~18のジカルボン酸のジエステル、多価アルコールのジ脂肪酸エステル等が挙げられ、具体例としては、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジステアリン酸グリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、モノイソステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル、ジ2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、セバシン酸ジイソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル等が挙げられる。
ジエステル油としては、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコールから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、ジカプリン酸ネオペンチルグリコールを含むのがより好ましい。
【0017】
トリエステル油としては、3価以上の多価アルコールのトリ脂肪酸エステルが挙げられ、具体的には、トリミリスチン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリ2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、トリオレイン酸グリセリン、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリイソステアリン酸グリセリン、さらに、オリーブ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、ヒマシ油、紅花油、ヒマワリ油、アボカド油、キャノーラ油、キョウニン油、米胚芽油、米糠油等の植物油などが挙げられる。
【0018】
テトラエステル油としては、4価以上の多価アルコールのテトラ脂肪酸エステルが挙げられ、具体的には、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリット、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリット、テトラオクタン酸ペンタエリスリット、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリットが挙げられる。
【0019】
エステル油としては、肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸びる密着感を向上させ、水分蒸散抑制効果を向上させる観点から、モノエステル油、ジエステル油、トリエステル油から選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、モノエステル油、ジエステル油から選ばれる1種以上を含むのがより好ましく、上滑りせず、肌に付着しながら伸びる密着感を向上させる観点から、モノエステル油を含むのがさらに好ましい。
またエステル油としては、構成に水酸基を含んでいるもの、含まないもののいずれも用いることができるが、肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸びる密着感を向上させ、水分蒸散抑制効果を向上させる観点から、構成に水酸基を含まないものが好ましい。
【0020】
エーテル油としては、ジアルキルエーテルが挙げられ、具体的には、ジヘキシルエーテル、ジカプリリルエーテル、セチル-1,3-ジメチルブチルエーテル等が挙げられ、セチル-1,3-ジメチルブチルエーテルを含むのが好ましい。
【0021】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン(1cs)、ジメチルポリシロキサン(1.5cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)、ジメチルポリシロキサン(6cs)等の揮発性、不揮発性の直鎖状ジメチルポリシロキサン;メチルトリメチコン、トリス(トリメチルシリル)メチルシラン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン等の分岐状シロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、網状型メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルトリメチコン、ジメチルシクロポリシロキサン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン等のメチルフェニルポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
シリコーン油としては、直鎖状ジメチルポリシロキサン、分岐状シロキサンから選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、直鎖状ジメチルポリシロキサンを含むのがより好ましく、ジメチルポリシロキサン(2cs)、ジメチルポリシロキサン(6cs)から選ばれる1種以上を含むのがさらに好ましい。
【0022】
高級脂肪酸としては、オレイン酸、イソステアリン酸、ウンデシレン酸等が挙げられる。
【0023】
成分(C)の油剤としては、肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸びる密着感を向上させ、水分蒸散抑制効果を向上させる観点から、炭化水素油、エステル油、エーテル油、シリコーン油から選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましく、炭化水素油、エーテル油、シリコーン油から選ばれる1種又は2種以上を含むのがより好ましく、炭化水素油、シリコーン油から選ばれる1種以上を含むのがさらに好ましく、炭化水素油を含むのがよりさらに好ましい。
【0024】
成分(C)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、少なくともO/W/O型皮膚外用剤の内層油相に含まれ、内層油相に含まれる含有量は、肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸びる密着感を向上させ、水分蒸散抑制効果を向上させ、O/W/O型皮膚外用剤の保存安定性を向上させる観点から、全組成中に0.1~6質量%であるのが好ましく、0.5~5質量%がより好ましく、1.5~3質量%がさらに好ましい。
また、成分(C)は、外層油相にも含むことができ、1種又は2種以上を組合わせて用いることができる。O/W/O型皮膚外用剤の外層油相に含まれる成分(C)の含有量は、肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸びる密着感を向上させ、水分蒸散抑制効果を向上させ、O/W/O型皮膚外用剤の保存安定性を向上させる観点から、全組成中に9~56質量%であるのが好ましく、15~40質量%がより好ましく、20~35質量%がさらに好ましい。
内層油相と外層油相に含まれる成分(C)の合計の含有量は、肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸びる密着感を向上させ、水分蒸散抑制効果を向上させ、O/W/O型皮膚外用剤の保存安定性を向上させる観点から、全組成中に10~56質量%であるのが好ましく、18~45質量%がより好ましく、25~35質量%がさらに好ましい。
【0025】
本発明において、成分(A)及び(B)の合計量に対する内層油相に含まれる成分(C)の質量割合(内層油相に含まれる(C))/((A)+(B))は、肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸びる密着感を向上させ、水分蒸散抑制効果を向上させる観点から、0より大きく3未満であり、0.1~2が好ましく、0.15~0.9がさらに好ましく、0.2~0.7がより好ましく、0.3~0.6がよりさらに好ましい。
【0026】
成分(D)は、スフィンゴシン塩及びイオン性界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上の化合物である。
成分(D)のうち、スフィンゴシン塩におけるスフィンゴシンとして、下記一般式(1)で表わされるスフィンゴシンが挙げられる。
【0027】
【0028】
(一般式(1)中、R1はヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基が置換していてもよい、炭素数4~30の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;Yはメチレン基、メチン基又は酸素原子を示し;X1、X2、及びX3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X4は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Yがメチン基のとき、X1とX2のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X4がオキソ基を形成するとき、X3は存在しない。);R2及びR3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;a個のRは各々独立して水素原子又はアミジノ基であるか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1~8の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;aは2又は3の数を示し;破線部は不飽和結合であってもよいことを示す。)
【0029】
式中、R1は、ヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基が置換していてもよい、炭素数4~30、好ましくはヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数7~22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基である。中でも、炭素数10~20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、Y側末端にヒドロキシル基を持つ炭素数10~20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基で、分岐鎖アルキル基の場合は分岐鎖がメチル分岐のもの等が好ましい。具体的には、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、1-ヒドロキシトリデシル基、1-ヒドロキシペンタデシル基、イソヘキサデシル基、イソステアリル基が好ましい。
【0030】
Yはメチレン基(CH2)、メチン基(CH)又は酸素原子のいずれかを示す。
X1、X2、及びX3は、各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X4は水素原子、アセチル基、グリセリル基、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成する置換基を示す。中でも、X1、X2、及びX3のうち0~1個がヒドロキシル基で、残余が水素原子、及びX4が水素原子であるものが好ましい。なお、Yがメチン基のとき、X1とX2のいずれか一方のみが水素原子であり、他方は存在しない。また、X4がオキソ基を形成するとき、X3は存在しない。
【0031】
R2及びR3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し、R3は水素原子であることがさらに好ましい。
【0032】
また、aは2又は3の数を示し、aが2のときRはR4及びR5を示し、aが3のときRはR4、R5及びR6を示す。
【0033】
R4、R5及びR6は、各々独立して水素原子又はアミジノ基であるか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1~8の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す。ここで炭化水素基に置換し得るヒドロキシアルコキシ基としては、炭素数1~7の直鎖又は分岐鎖のヒドロキシアルコキシ基が好ましい。また、アルコキシ基としては、炭素数1~7の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基が好ましい。R4、R5及びR6としては、例えば、水素原子;メチル、エチル、プロピル、2-エチルへキシル、イソプロピル等の直鎖又は分岐鎖アルキル基;ビニル、アリル等のアルケニル基;アミジノ基;ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピル、2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシへキシル、1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル、2-メトキシエチル、1-メチル-2-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル、3-メトキシプロピル、1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル等のヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基及びアルコキシ基から選ばれる1~6個が置換した総炭素数1~8の炭化水素基が挙げられる。
【0034】
中でも、水素原子、又はメチル基、2-ヒドロキシエチル、1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル、1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル等のヒドロキシル基及びヒドロキシアルコキシ基から選ばれる1~3個が置換していてもよいアルキル基が好ましい。
【0035】
一般式(1)で表わされるスフィンゴシンとしては、次の一般式(2)で表わされる天然由来のスフィンゴシン又は同構造の合成物が好ましい。
【0036】
【0037】
(一般式(2)中、R7はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数7~19の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;Y1はメチレン基又はメチン基を示し;X5、X6及びX7は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X8は水素原子を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Y1がメチン基のとき、X5とX6のいずれか一方が水素原子を示し、他方は存在しない。X8がオキソ基を形成するとき、X7は存在しない。);R8はヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;a個のR1は各々独立して水素原子又はアミジノ基であるか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1~4の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和炭化水素基を示し;aは2又は3の数を示し;破線部は不飽和結合があってもよいことを示す。)
【0038】
ここでR7としては、炭素数7~19の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基が好ましく、中でも、炭素数13~15の直鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基が好ましい。aは2が好ましく、R1は各々独立して水素原子、又は炭素数1~4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基が好ましい。
【0039】
一般式(2)で表わされる天然型スフィンゴシンとしては、具体的には、天然のスフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、スフィンガジエニン、デヒドロスフィンゴシン、デヒドロフィトスフィンゴシン、及びこれらのN-アルキル体(例えば、N-メチル体)が挙げられる。
これらのスフィンゴシンは天然型(D(+)体)の光学活性体を用いても、非天然型(L(-)体)の光学活性体を用いても、さらに天然型と非天然型の混合物を用いてもよい。上記化合物の相対立体配置は、天然型の立体配置のものでも、それ以外の非天然型の立体配置のものでもよく、また、これらの混合物によるものでもよい。
中でも、PHYTOSPHINGOSINE(INCI名;8th Edition)及び次式で表わされるものが好ましい。
【0040】
【0041】
これらは、天然からの抽出物、合成物のいずれでもよく、市販のものを用いることができる。天然型スフィンゴシンの市販のものとしては、例えば、Phytosphingosine(エボニック社製)、D-Sphingosine(4-Sphingenine)(SIGMA-ALDRICH社製)、DS-phytosphingosine(DOOSAN社製)、phytosphingosine(コスモファーム社製)が挙げられる。
【0042】
これらのスフィンゴシンの塩としては、グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸塩;アルギニン等の塩基性アミノ酸塩;リン酸、塩酸等の無機酸塩;酢酸等のモノカルボン酸塩;コハク酸等のジカルボン酸塩;クエン酸、乳酸、リンゴ酸等のオキシカルボン酸塩などが挙げられ、これらの中から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0043】
次に、成分(D)のうち、イオン性界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸アルギニン等の炭素数12~22の脂肪酸又はその塩;
ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、セチル硫酸ナトリウム等の炭素数12~22のアルキル硫酸エステル又はその塩;
ポリオキシエチレンラウリル硫酸トリエタノールアミン等の炭素数12~22のアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩;
ラウロイルサルコシンナトリウム等のN-炭素数12~22のアシルサルコシン又はその塩;
モノステアリルリン酸ナトリウム等の炭素数12~22のアルキルリン酸又はその塩;
ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸ナトリウム等のポリオキシエチレン炭素数12~22のアルキルエーテルリン酸又はその塩;
ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム等の炭素数12~24のジアルキルスルホコハク酸又はその塩;
N-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウム等の炭素数12~22のN-アルキロイルメチルタウリン又はその塩;
ジラウロイルグルタミン酸ナトリウム、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ステアロイル-L-グルタミン酸アルギニン、N-ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム等のN-炭素数12~22のアシルグルタミン酸又はその塩などが挙げられる。
【0044】
また、カチオン界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩が好ましく、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム等の塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化トリアルキルメチルアンモニウム、アルキルアミン塩等が挙げられる。
【0045】
さらに、両性界面活性剤としては、例えば、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタイン、アルキルスルホベタイン、アミドアミノ酸塩、アルキルアミドプロピルベタインが等挙げられ、中でもアルキルアミドプロピルベタインが好ましい。
【0046】
成分(D)としては、肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸びる密着感を向上させ、O/W/O型皮膚外用剤の保存安定性を向上させる観点から、フィトスフィンゴシン、アニオン界面活性剤が好ましく、アニオン界面活性剤がより好ましい。
また、アニオン界面活性剤としては、肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸びる密着感を向上させ、水分蒸散抑制効果を向上させ、O/W/O型皮膚外用剤の保存安定性を向上させる観点から、炭素数12~22のN-アルキロイルメチルタウリン塩、N-炭素数12~22のアシルグルタミン酸又はその塩から選ばれる1種以上を含むのが好ましく、炭素数12~22のN-アルキロイルメチルタウリン塩を含むのがより好ましく、N-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウムを含むのがさらに好ましい。
また、炭素数12~22のN-アシルグルタミン酸又はその塩としては、N-ステアロイル-L-グルタミン酸塩が好ましく、N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム塩がより好ましい。
【0047】
成分(D)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸びる密着感を向上させ、水分蒸散抑制効果を向上させ、O/W/O型皮膚外用剤の保存安定性を向上させる観点から、全組成中に0.1~2質量%であるのが好ましく、0.2~1.5質量%がより好ましく、0.3~0.8質量%がさらに好ましい。
【0048】
成分(E)は、シリコーン系界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上の非イオン性界面活性剤である。
【0049】
シリコーン系界面活性剤としては、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーンなどが挙げられる。
架橋型ポリエーテル変性シリコーンは、オルガノポリシロキサン鎖をポリエーテルで架橋した3次元架橋物である。
架橋型ポリエーテル変性シリコーンとしては、(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー、(PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(PEG-10/ラウリルジメチコン)クロスポリマー等が挙げられ、
肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸びる密着感を向上させ、水分蒸散抑制効果を向上させ、O/W/O型皮膚外用剤の保存安定性を向上させる観点から(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー、(PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマーから選ばれる1種以上が好ましく、(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマーが好ましい。
また、架橋型ポリエーテル変性シリコーンは、揮発性炭化水素油又はシリコーン油に希釈又は分散されたものが好ましい。揮発性炭化水素油としては、イソドデカン、ポリイソブテンがより好ましい。
架橋型ポリエーテル変性シリコーンとしては、例えば、KSG-210、KSG-240((ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー);KSG-310、KSG-320、KSG-330((PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー);KSG-340((PEG-10/ラウリルジメチコン)クロスポリマー及び(PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー)(以上、信越化学工業社製)等の市販品を用いることができる。
これらの架橋型ポリエーテル変性シリコーンは、1種又は2種以上を用いることができる。
【0050】
架橋型ポリグリセリン変性シリコーンは、オルガノポリシロキサン鎖をポリグリセリンで架橋した3次元架橋物であり、具体例としては、(ジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマーや、アルキル共変性タイプの(ラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー等が挙げられ、
肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸びる密着感を向上させ、水分蒸散抑制効果を向上させ、O/W/O型皮膚外用剤の保存安定性を向上させる観点から、(ジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー)が好ましい。
架橋型ポリグリセリン変性シリコーンとしては、例えば、KSG-710(ジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー)、KSG-810(ラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー)(以上、信越化学工業社製)等の市販品を用いることができる。
これらの架橋型ポリグリセリン変性シリコーンは、1種又は2種以上を用いることができる。
【0051】
ポリエーテル変性シリコーンは、1価のポリオキシアルキル基を構造内に有するシリコーンである。
ポリエーテル変性シリコーンとしては、例えば、PEG-3ジメチコン、PEG-10ジメチコン、PEG-12ジメチコン、PEG-11メチルエーテルジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン等が挙げられ、
肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸びる密着感を向上させ、水分蒸散抑制効果を向上させ、O/W/O型皮膚外用剤の保存安定性を向上させる観点から、PEG-3ジメチコン、PEG-10ジメチコン、PEG-12ジメチコンから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、PEG-3ジメチコン、PEG-10ジメチコンから選ばれる1種以上が好ましい。
市販品としては、KF-6011、KF-6015、KF-6017、KF-6025、KF-6028、KF-6048(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。
これらのポリエーテル変性シリコーンは、1種又は2種以上を用いることができる。
【0052】
ポリグリセリン変性シリコーンとは、1価のポリグリセリル基を構造内に有するシリコーンをいい、例えば、ポリグリセリル-3ジシロキサンジメチコン、ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等が挙げられ、
肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸びる密着感を向上させ、水分蒸散抑制効果を向上させ、O/W/O型皮膚外用剤の保存安定性を向上させる観点から、
ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコンが好ましい。
市販品としては、KF-6100、KF-6104(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。
これらのポリグリセリン変性シリコーンは、1種又は2種以上を用いることができる。
【0053】
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ソルビタンジ脂肪酸エステル、ソルビタントリ脂肪酸エステル等が挙げられ、肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸びる密着感を向上させ、水分蒸散抑制効果を向上させ、O/W/O型皮膚外用剤の保存安定性を向上させる観点から、ソルビタンモノ脂肪酸エステルが好ましい。また、ソルビタン脂肪酸エステルは、同様の観点から、ソルビタン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸残基の炭素数は12~22が好ましく、14~20がより好ましく、16~18がさらに好ましい。
【0054】
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ジグリセリン脂肪酸エステル、トリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられ、肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸びる密着感を向上させ、水分蒸散抑制効果を向上させ、O/W/O型皮膚外用剤の保存安定性を向上させる観点から、ジグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸残基の炭素数は、同様の観点から、12~22が好ましく、14~20がより好ましく、16~18がさらに好ましい。
【0055】
成分(E)としては、肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸びる密着感を向上させ、水分蒸散抑制効果を向上させ、O/W/O型皮膚外用剤の保存安定性を向上させる観点から、少なくともシリコーン界面活性剤、ソルビタンモノ脂肪酸エステルから選ばれる1種以上を含むのが好ましく、シリコーン界面活性剤を含むのがより好ましく、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンから選ばれる1種以上を含むのがさらに好ましく、架橋型ポリエーテル変性シリコーンを含むのがよりさらに好ましく、(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー)を含むのがことさら好ましい。
【0056】
成分(E)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸びる密着感を向上させ、O/W/O型皮膚外用剤の保存安定性を向上させる観点から、全組成中に1~8質量%であるのが好ましく、2~6質量%がより好ましく、3~5質量%がさらに好ましい。
成分(E)は、外層油相中に含まれることが好ましい。例えば、外層油相中には、上述した濃度が含まれることがより好ましい。
【0057】
本発明において、水の含有量は、肌に塗布する際に、上滑りせず、肌に付着しながら伸びる密着感を向上させ、水分蒸散抑制効果を向上させ、O/W/O型皮膚外用剤の保存安定性を向上させる観点から、全組成中に20~80質量%であるのが好ましく、30~70質量%がより好ましく、40~60質量%がさらに好ましい。
【0058】
本発明のO/W/O型皮膚外用剤は、前記の成分のほか、本発明の効果を損なわない範囲で、通常使用される各種の成分を任意で使用することができる。これらの成分としては、例えば、前記以外の油性成分、多価アルコール、水溶性高分子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ビタミン剤、防腐剤、pH調整剤、香料、植物エキス類、着色剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤等が挙げられる。
【0059】
本発明のO/W/O型皮膚外用剤は、通常の方法により製造することができる。
本発明のO/W/O型皮膚外用剤において、成分(C)は、少なくとも内層油相に含有され、さらに外層油相に含有されてもよく、成分(C)以外の油性成分は、内層油相、外層油相のいずれに含有されていても良い。
また、本発明のO/W/O型皮膚外用剤において、成分(A)、(B)、(C)及び(D)が内層油相に含有され、さらに外層油相に、成分(C)及び成分(E)が含有されるのが好ましい。
【0060】
O/W/O型皮膚外用剤は、例えば、以下の方法で製造することができる。
まず、成分(A)~(D)を高温で均一溶解し、O/W/O型皮膚外用剤の内層に含まれる内層油相を調製する。前記内層油相に水相を添加して混合後、冷却してO/W型乳化物を調製する。
次に、成分(E)及び残りの油剤を混合し、O/W/O型皮膚外用剤の外層に含まれる外層油相を調製する。前記O/W型乳化物を外層油相に添加して、混合することにより、O/W/O型皮膚外用剤を製造することができる。
【0061】
本発明のO/W/O型皮膚外用剤は、化粧品、医薬部外品、医薬品用途として用いることができ、ローション、乳液、クリーム、美容液、分散液、ジェル、軟膏、パック、ムース、エアゾール、パップ剤、洗浄料等のスキンケア化粧料;日やけ止め乳液、日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料;化粧下地、ファンデーション、コンシーラー、ほお紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、オーバーコート剤、口紅等のメイクアップ化粧料などとして適用することができる。スキンケア化粧料として適用することが好ましく、乳液、クリームとして適用することがより好ましい。
【実施例0062】
実施例1~14、比較例1~6
表1~表3に示す組成のO/W/O型皮膚化粧料を製造し、水分蒸散抑制率及び密着感を評価した。結果を表1~表3に併せて示す。
【0063】
(製造方法)
(1)成分(A)~(D)を80℃で均一に混合溶解し、O/W/O型皮膚化粧料の内層に含まれる内層油相を調製した。
(2)水及びその他の水溶性成分を80℃で均一に混合溶解し、水相を調製した。
(3)(1)で得られた内層油相に(2)で得られた水相を添加し、転相乳化法により乳化した後、室温(25℃)まで放冷して、O/W型乳化物を得た。
(4)成分(E)と残りの油剤を室温(25℃)で均一に混合し、O/W/O型皮膚化粧料の外層に含まれる外層油相を調製した。
(5)(4)で得られた外層油相に、(3)で得られたO/W型乳化物を添加し、均一になるまで撹拌して乳化することにより、O/W/O型皮膚化粧料を得た。
【0064】
(評価方法)
(1)水分蒸散抑制率:
各O/W/O型皮膚化粧料を、直径50mm、深さ0.5mmの金属製容器(SUSIII)に均一に入れ、温度20±1℃、湿度10±1%の条件の恒温室に保存し、24時間後の重量変化を測定することにより、水分の蒸散抑制率を測定した。
水分蒸散抑制率は、以下の式より求めた
・保存前の各皮膚化粧料の水分量(W1):[(保存前の各皮膚化粧料+金属製容器の合計の重量)-(金属製容器の重量)]×各皮膚化粧料中の水分量の割合
・24時間保存後の各皮膚化粧料の水分量(W2):(W1)-[(保存前の各皮膚化粧料の重量+金属製容器の合計の重量)-(24時間後の各皮膚化粧料の重量+金属製容器の合計の重量)]
・水分蒸散抑制率(%)=[1-(W2)/(W1)]×100
【0065】
(密着感)
専門評価者3名が、各O/W/O型皮膚化粧料を1gとり、前腕内側の4×10cmの大きさに、人差し指、中指の2本の指で、1秒間に1往復の速さで20秒間マッサージし、伸ばす際の上滑り感について、以下に示す5段階の基準で評価した。なお、上滑り感が低減されると、肌に密着して伸ばす実感が得られる。結果は、3名の合計点で示した。
5:上滑り感が全くない(密着感が非常にある)。
4:上滑り感がほとんどない(密着感がある)。
3:上滑り感があまりない(密着感がややある)。
2:上滑り感を感じる(密着感がほとんどない)。
1:上滑り感を明らかに感じる(密着感が全くない)。
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
*1 グリセリンモノベヘン酸エステル:サンソフト NO.8100-C、太陽化学社製、
*2 セチルアルコール:セチルアルコール NX、高級アルコール工業社製、
*3 スクワラン:スクワラン、岸本特殊肝油工業所社製、
*4 ステアロイルメチルタウリンNa(N-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウム):ニッコール SMT、日光ケミカルズ社製、
*5 (ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー:シリコーン KSG-210((ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー:25質量%、ジメチルポリシロキサン(6cs):75質量%)、信越化学工業社製、(表1~3中の(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマーの量は、シリコーン KSG-210の(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー量を記載した。なお、シリコーン KSG-210に含まれるジメチルポリシロキサン(6cs)は、(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマーとは別に記載した)
*6 水添ポリイソブテン:パールリーム EX、日油社製、
*7 ジメチルポリシロキサン(2cs):シリコーン KF-96A-2CS、信越化学工業社製、
*8 セチル-1,3-ジメチルブチルエーテル:ASE-166K、花王社製、
*9 イソノナン酸イソノニル:サラコス 913、日清オイリオグループ社製、
*10 ジカプリン酸ネオペンチルグリコール:エステモールN-01、日清オイリオグループ社製、
*11 擬似セラミド:スフィンゴリピッド E、花王社製、
*12 ステアロイルグルタミン酸Na、アミソフト HS-11P、味の素社製、
*13 フィトスフィンゴシン:Phytosphingosine、エボニック社製、
*14 塩化ステアリルトリメチルアンモニウム:コータミン 86W(ステアリルトリメチルアンモニウム:28質量%、水:72質量%)、花王社製(表3中には、ステアリルトリメチルアンモニウム分量を記載した)