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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168927
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】液体加熱容器の蓋、液体加熱容器
(51)【国際特許分類】
   A47J 36/06 20060101AFI20231121BHJP
   A47J 27/21 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
A47J36/06 E
A47J27/21 101S
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080319
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】大西 宏季
(72)【発明者】
【氏名】東 直毅
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA34
4B055BA03
4B055BA04
4B055BA54
4B055CA22
4B055CA73
4B055CB08
4B055CB13
4B055CB17
(57)【要約】
【課題】低背化しても蒸気排出口から液体が噴き出し難い液体加熱容器の蓋等を実現する。
【解決手段】蓋(10)は、上面に蒸気排出口(11)を有し、下面に蒸気入口(26)を有する外蓋(12)と、外蓋(12)の下面に位置し、外蓋(12)との間に蒸気の排出通路(X)を形成する内蓋(15)と、を備える。内蓋(15)は、排出通路(X)に蒸気を取り込む第1貫通孔(16)を有し、排出通路(X)における第1貫通孔(16)と蒸気入口(26)との間に、下側を塞ぎ上側の少なくとも一部を開放した壁部(30)が設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体加熱容器の蓋であって、
上面に蒸気排出口を有し、下面に前記蒸気排出口に連通する蒸気入口を有する外蓋と、
前記外蓋の下面に位置し、前記外蓋との間に蒸気の排出通路を形成する内蓋と、を備え、
内蓋は、前記排出通路に蒸気を取り込む貫通孔を有し、
前記排出通路における前記貫通孔と前記蒸気入口との間に、下側を塞ぎ上側の少なくとも一部を開放した壁部が設けられている液体加熱容器の蓋。
【請求項2】
前記壁部は、
前記貫通孔が位置する領域を囲うように設けられた囲い壁と、
前記囲い壁における前記蒸気入口と対面する側に形成された、下が塞がれ上が開放された上開口と、
前記囲い壁における前記蒸気入口と対面する側以外に形成された、下が開放された下開口と、を有する請求項1に記載の液体加熱容器の蓋。
【請求項3】
前記外蓋の上面に前記蓋を開けるための操作部が設けられ、
前記排出通路は、前記操作部の下方の領域外に形成されている請求項1に記載の液体加熱容器の蓋。
【請求項4】
前記外蓋は、
上面に凹部を有し、該凹部に前記蓋を開けるための操作部が設けられ、
前記凹部の裏側に、前記凹部との間に空気層を形成する2重構造を有する請求項1に記載の液体加熱容器の蓋。
【請求項5】
前記外蓋は、前記蒸気入口が設けられると共に、内部に弁体を上下動可能に収納し上部に弁孔を有する弁体収納室を有し、
平面透視において、前記弁体収納室は前記蒸気排出口よりも前記壁部側に位置し、前記弁孔の上方が、前記蒸気入口と前記蒸気排出口とを連通する内部通路の上壁に覆われている請求項1に記載の液体加熱容器の蓋。
【請求項6】
上端が開口した加熱容器本体と、
請求項1から5のいずれか1項に記載の液体加熱容器の蓋と、を備える液体加熱容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電気ポットや電気ケトル等の液体加熱容器の蓋、および液体加熱容器に関し、特に蒸気の排出に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体加熱容器である電気ポットの蓋は、外蓋と、外蓋の下面に取り付けられた内蓋とを基本的な構成とする。外蓋の上面には蒸気排出口が形成され、外蓋と内蓋との間に、ポット内部で発生した蒸気が通る排出通路が形成される。外蓋の下面には、蒸気排出口に連通する蒸気入口が設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、第1開口と、第1開口と異なる位置に形成される第2開口と、第1開口から第2開口まで延びる主通路とを備え、主通路は、少なくとも一つの分岐部および少なくとも一つの合流部を含んで構成されている蒸気処理ユニットを備えた蓋ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-130458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術は、主通路を分岐して通路長を長くすることで蒸気の勢いを落として蒸気排出口からの湯の噴き出しを抑制するものである。通路長をより長くするためには、主通路を高さ方向に立体的に設けることが望ましいが、蓋の厚みを薄くする蓋の低背化とは相容れない技術である。
【0006】
本発明の一態様は、低背化しても蒸気排出口から液体が噴き出し難い液体加熱容器の蓋等を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る液体加熱容器の蓋は、上面に蒸気排出口を有し、下面に前記蒸気排出口に連通する蒸気入口を有する外蓋と、前記外蓋の下面に位置し、前記外蓋との間に蒸気の排出通路を形成する内蓋と、を備え、内蓋は、前記排出通路に蒸気を取り込む貫通孔を有し、前記排出通路における前記貫通孔と前記蒸気入口との間に、下側を塞ぎ上側の少なくとも一部を開放した壁部が設けられている。
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る液体加熱容器は、上端が開口した加熱容器本体と、本発明の一態様に係る液体加熱容器の蓋を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、低背化しても蒸気排出口から液体が噴き出し難い液体加熱容器の蓋等を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態の電気ポットの一部省略の部分断面図である。
図2】上記電気ポットが備える蓋を下から見た分解斜視図である。
図3】上記蓋を前後方向に沿ったラインで切断した断面を示す斜視図である。
図4】上記蓋の内蓋と蓋下部材との間に形成された排出通路における蒸気と湯の流れを説明する図である。
図5】上記蓋におけるフックレバーの第2の熱対策を説明する図である。
図6】変形例を示すもので、内蓋と蓋下部材との間に形成された排出通路における蒸気と湯の流れを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0012】
(電気ポットの概要)
図1は、本実施形態の電気ポット1の一部省略の部分断面図である。図1に示すように、本実施形態の電気ポット(液体加熱容器)1は、ポット本体2の内部に内容器3を収納し、内容器3の底面にヒーター4が装着されている。内容器3の底面には通水管5が接続され、通水管5の途中にポンプ6が接続されている。通水管5は、内容器3とポット本体2の胴部材7との間で立ち上がり、ノーズ部8の吐出口9に連通されている。
【0013】
ポット本体2の上端開口部には、蓋10がヒンジ33により開閉自在かつ着脱可能に取り付けられている。蓋10の後端部、即ちヒンジ33に近い部分に、電気ポット1の内容器3の内部で発生した蒸気を排出する蒸気排出口11が形成されている。
【0014】
(蓋の構成)
図2は、電気ポット1が備える蓋10を下から見た分解斜視図である。図3は、蓋10を前後方向に沿ったラインで切断した断面を示す斜視図である。
【0015】
図2図3に示すように、蓋10は、外蓋12と内蓋15を備える。外蓋12は、上面に蒸気排出口11を有し、下面に蒸気排出口11に連通する蒸気入口26を有する。内蓋15は、外蓋12の下面に位置し、外蓋12との間に蒸気の排出通路Xを形成する。
【0016】
外蓋12は、蓋下部材13と蓋上部材14とが上下に組み合わされて構成される。蓋下部材13と蓋上部材14とは嵌合され、図示しないネジ等を用いて一体化されている。蓋下部材13および蓋上部材14は、例えばプラスチック等からなる樹脂成型品である。蒸気排出口11は、蓋上部材14の上面に設けられ、蒸気入口26は、蓋下部材13の上面に設けられている。
【0017】
内蓋15は、蓋下部材13に重ね合わせるように設けられており、例えばステンレス鋼等からなる。内蓋15は、外縁部にパッキン20が嵌められ、ネジ等を用いて蓋下部材13と一体化されている。
【0018】
内蓋15は、排出通路Xに蒸気を取り込む第1貫通孔(貫通孔)16を有している。本実施形態では、内蓋15は、排出通路Xに浸入した湯(液体)をポット内部に戻す第2貫通孔17をさらに有している。本実施形態では、第1貫通孔16は内蓋15の中央部に複数形成され、第2貫通孔17は内蓋15の周辺部(中央部の周辺)に形成されている。
【0019】
より詳細には、内蓋15は、中央部に上向きに膨らんだ膨出部18を有しており、該膨出部18の天面に第1貫通孔16が複数設けられている。第2貫通孔17は、内蓋15における中央部を挟む左右に1つずつ設けられると共に、後述する弁体収納室24の下方に複数設けられている。内蓋15は、弁体収納室24の下方となる後端部に下向きに窪んだ窪み部19を有しており、該窪み部19の底面に第2貫通孔17が複数設けられている。
【0020】
蓋下部材13は、前部に前後方向にスライド自在に設けられたフック21を備えている。フック21は、フック21の後端部と蓋下部材13の一部との間に介在されたコイルばね22によりフック21の前端部が前方に露出するように付勢されている。
【0021】
蓋上部材14は、上面前部にフック21を操作するフックレバー23を備えている。フックレバー23は、蓋10を開けるための操作部である。フックレバー23の係止片23a(図5参照)がフック21に係止されている。フックレバー23を操作することでフック21を後退させ、ポット本体2に対するフック21の係合を解除する。
【0022】
蓋下部材13は、後端部に弁体収納室24を備えている。弁体収納室24は、内部に弁体25を上下動可能に収納し、前部に蒸気入口26を有し、上部に弁孔27を有している。
【0023】
通常の使用状態では、弁体25は、弁体収納室24の底部に位置し、弁孔27は開放されている。したがって、排出通路X内に入り込んだ蒸気は、蒸気入口26から弁体収納室24に入り、弁孔27を通って蒸気排出口11から排出される。電気ポット1が転倒すると、弁体25が弁孔27を閉塞し、蒸気排出口11からの湯の漏れ出しを防止する。
【0024】
図2図3の例では、逆円錐台形の弁体収納室24が左右方向(ヒンジ33の軸方向)に一対設けられ、各弁体収納室24の内部に逆円錐台形の弁体25が収納されている。そして、各弁体収納室24の前部に、蒸気入口26が上下2箇所ずつ形成され、各弁体収納室24の上部に弁孔27が形成されている。2つ有る弁孔27は、一方が他方に比べて大径に形成されている。各弁孔27は、内部通路28を介して複数のスリット状の排出孔を有する蒸気排出口11に連通している。2つの弁孔27に大小の差を持たせているのは、蓋10の急激な閉止によって慣性にて弁体25が弁孔27を閉塞したままとなった場合に、小径側の弁体25を先に落下させて、蒸気排出口11への通路を確保するためである。
【0025】
(排出通路)
蓋下部材13は、下面に囲い壁(壁部)30を有している。囲い壁30は、内蓋15に形成されている第1貫通孔16が位置する領域を囲うように設けられている。囲い壁30の下端は、内蓋15の上面に近接または当接している。囲い壁30は、下が塞がれ上が開放された上開口31と、下が開放された下開口32とを有する。上開口31は、囲い壁30における蒸気入口26と対面する側に形成され、下開口32は、蒸気入口26と対面する側以外に形成されている。本実施形態では、下開口32は、囲い壁30の左右の側部にそれぞれ形成されている。ここでは、下開口32として、上が塞がれ下が開放されたものを例示するが、下開口32は少なくとも下が開放されていればよい。
【0026】
図4は、蓋10の内蓋15と蓋下部材13との間に形成された排出通路Xにおける蒸気と湯の流れを説明する図である。なお、図4は、内蓋15が上を向いた状態である。図3図4において、矢印Uは湯の流れを示し、矢印Jは蒸気の流れを示している。図3図4を用いて、排出通路Xにおける蒸気と湯の流れを説明する。
【0027】
図3図4に示すように、囲い壁30が設けられることで、矢印Jにて示す蒸気の流れ(蒸気経路)と、矢印Uにて示す湯の流れ(湯経路)とを分岐することができる。矢印Jにて示すように、排出通路Xにおいて上方に位置する蒸気は、上開口31を通って蒸気入口26に到達し、蒸気排出口11に繋がる通路に取り込まれる。これに対し、矢印Uにて示すように、排出通路Xにおいて下方に位置する湯は、上開口31を通過することができないため、通常は蒸気入口26に到達しない。囲い壁30の内側の湯は、下開口32を通って囲い壁30の外側を回り込むように流れ、その間に、第2貫通孔17を通ってポット内部に戻される。
【0028】
また、上開口31の下縁を超えて蒸気入口26側に湯が浸入したとしても、蒸気入口26側での湯の水位は、囲い壁30が設けられていない場合に比べて低いため、蒸気入口26から取り込まれ難い。同様に、囲い壁30の外側を回り込んで蒸気入口26の下方に達した場合も、湯の水位は、囲い壁30が設けられていない場合に比べて低いため、蒸気入口26から取り込まれ難い。さらに、本実施形態では、蒸気入口26の下方にも第2貫通孔17が設けられているため、これによっても、蒸気入口26側において水位は上がり難い。
【0029】
このように、蒸気の流れと湯の流れとを分岐することで、蒸気を湯と分けた状態で蒸気入口26から取り込むことができる。これにより、蓋10の低背化のために、蒸気入口26の高さを、排出経路Xに浸入する湯を取り込み難い高さに設定できなくても、蒸気入口26に湯を取り込み難くして、蒸気排出口11からの湯の噴き出しを抑制することができる。
【0030】
なお、本実施形態では、壁部として第1貫通孔16が位置する領域を囲う囲い壁30を設けているが、壁部は、排出通路Xにおける第1貫通孔16と蒸気入口26との間に設けられ、下側を塞ぎ上側の少なくとも一部を開放するものであればよい。つまり、第1貫通孔16と蒸気入口26との間に、上方に位置する蒸気を通し、下方に位置する湯を堰き止める壁部であればよい。このような壁部が設けられることで、蒸気の流れと湯の流れとを分岐して、蒸気を湯と分けた状態で蒸気入口26から取り込むことができる。
【0031】
但し、第1貫通孔16と蒸気入口26との間を直線的に仕切る壁部よりも囲い壁30とすることで、蒸気入口26の下方までの経路長を長くできる。これにより、蒸気入口26の下方に達するまでに湯をポット内部に効率良く戻すことができ、蒸気排出口11からの湯の噴き出しをより一層抑制することができる。
【0032】
なお、本実施形態では、囲い壁30は、左右方向に延びる長円形状としているが、円形状であってもよいし、矩形状であってもよい。但し、角のある矩形状よりも、長円形状や円形とすることで、囲い壁30に沿った湯の流れがスムーズになり、囲い壁30にて堰き止められた際の湯の飛び散り等を抑制することができる。
【0033】
また、本実施形態では、囲い壁30、つまり壁部を、蓋下部材13の下面に蓋下部材13と一体にリブとして形成されている。しかしながら、囲い壁30は、必ずしも蓋下部材13と一体に形成する必要はなく、蓋下部材13とは別部材にて形成されていてもよいし、内蓋15の上面に形成されていてもよい。
【0034】
また、本実施形態では、図4に示すように、上開口31は、径の大きい弁孔27を有する弁体収納室24の前方に形成されている。このような構成とすることで、湯と蒸気が分岐されるため、湯の侵入を少なくすることができる。また蒸気の流れが線方向に一本化されるため、内圧が上昇することを低減することができる。
【0035】
上開口31は、2つある弁体収納室24の両方の前方に形成されていてもよい。両方に設けることで、上開口31の開口面積と同じとした場合、片方に設ける構成よりも上開口31の下縁を高い位置(蓋下部材13に近い位置)に設定でき、上開口31からの湯の侵入をより効果的に防ぐことができる。
【0036】
また、本実施形態では、上開口31の形状を、上開口31の上縁が蓋下部材13の下面に達した切欠き状としている。このような形状とすることで、上開口31の幅(左右方向の寸法)を同じとした場合、上開口31の上縁が蓋下部材13の下面に達しない構成よりも上開口31の下縁を高い位置に設定でき、上開口31からの湯の侵入をより効果的に防ぐことができる。
【0037】
本実施形態では、下開口32の形状を、下開口32の下縁が開放された切欠き状としている。このような形状とすることで、内蓋15の上面との間に、湯の流れの障害となる突起(下開口をくり貫き形状とした場合の下縁の段差)等が形成されず、囲い壁30の内側にある湯を外側へと流すことができる。
【0038】
上開口31の下縁と下開口32の上縁の高さは同じであってよいし、上開口31の下縁よりも下開口32の上縁の方が高い位置であってもよい。あるいは、上開口31の下縁よりも下開口32の上縁の方が低い位置であってもよい。
【0039】
<内部通路>
本実施形態では、図3に示すように、平面透視において、弁体収納室24は、蒸気排出口11よりも囲い壁30側に位置しており、弁孔27の上方が、蒸気入口26と蒸気排出口11とを連通する内部通路28の上壁に覆われている。
【0040】
このような構成することで、内部通路28がクランク形状となるため、万一、蒸気入口26から内部通路28内に湯が取り込まれたとしても、湯の流速も効果的に減少させて、噴き出し難くすることができる。
【0041】
(フックレバーの第1の熱対策)
本実施形態では、図3図4に示すように、排出通路Xは、フックレバー23の下方の領域外、つまり、フックレバー23の下方の領域を避けて形成されている。具体的には、蓋下部材13と内蓋15との間に、フックレバー23の下方の領域への蒸気および湯の浸入を遮る隔壁34を有している。隔壁34は、囲い壁30と同様に、蓋下部材13の下面に、蓋下部材13の下面に蓋下部材13と一体にリブとして形成されている。本実施形態では、囲い壁30の前部と、隔壁34とで、フックレバー23の下方への蒸気および湯の浸入を阻止している。
このような構成とすることで、排出通路Xを通る蒸気および湯の熱にて、フックレバー23の操作時にユーザが熱く感じることを抑制することができる。蓋10を低背化した場合、排出通路Xとフックレバー23との距離が近づくため、フックレバー23が熱く成り易い。そのため、このような熱対策の構成を組み合わせて採用することが好ましい。
【0042】
また、本実施形態では、図4に示すように、フックレバー23の真下の領域よりも広い領域を排出通路X外としている。これにより、フックレバー23の真下の領域のみ排出通路X外とする構成よりも、フックレバー23の操作時に熱さを感じることをより一層抑制することができる。
【0043】
なお、本実施形態でも、隔壁34は、蓋下部材13の下面に蓋下部材13と一体に形成されているが、囲い面30と同様に、蓋下部材13とは別部材にて形成されていてもよいし、内蓋15の上面に設けられていてもよい。
【0044】
そして、このような排出通路Xをフックレバー23の下方の領域外に形成する第1の熱対策は、前述した囲い壁30にて蒸気の経路と湯の経路とを分岐する構成との組み合わせは必須ではない。つまり、外蓋の上面にフックレバー等の操作部を有し、操作部の下方に蒸気および湯が通る排出経路を有する液体加熱容器の蓋全般に採用することができる。
【0045】
(フックレバーの第2の熱対策)
図5は、蓋10におけるフックレバー23の第2の熱対策を説明する図である。図5における符号501の図は、フックレバー23を操作している状態の蓋10の要部を示す断面図である。符号502の図は、フックレバー23が設けられる凹部35の裏面側を示す要部の斜視図であり、符号503の図は、凹部35における要部を拡大して示す断面図である。
【0046】
図5に示すように、本実施形態では、外蓋12の上面、つまり蓋上部材14の上面に、フックレバー23を配置する凹部35が設けられている。外蓋12は、凹部35の裏側に、凹部35との間に空気層38を形成する2重構造を有している。具体的には、凹部35の裏面(下面)側に、凹部35の裏面に重ね合わせるように断熱壁36が設けられている。断熱壁36は、凹部35の裏面との間に空気層38を形成している。
【0047】
図5の示す例では、断熱壁36は、凹部35におけるフックレバー23の軸37の後方に位置する部分に、左右方向(軸37の軸方向)に延びる板状に形成されている。この部分は、凹部35の後部よりも排出通路Xとの距離が近く熱く成り易い。そのため、少なくとも凹部35におけるフックレバー23の軸37の後方の部分を2重構造とすることで、フックレバー23の操作時にユーザが熱く感じることを抑制することができる。断熱壁36は、凹部20の裏面の全体に設けてもよい。
【0048】
本実施形態でも、断熱壁36は、蓋上部材14の下面(裏面)に蓋上部材14と一体に形成されているが、蓋上部材14とは別部材にて形成されていてもよい。
【0049】
そして、このような凹部35を2重構造にする第2の熱対策は、前述した囲い壁30にて蒸気の経路と湯の経路とを分岐する構成との組み合わせは必須ではない。つまり、外蓋の上面側にフックレバー等の操作部を有し、操作部の下方に蒸気および湯が通る排出経路を有する液体加熱容器の蓋全般に採用することができる。第1の熱対策と第2の熱対策とはそれぞれ単独に採用することができる。
【0050】
〔変形例〕
図6は、本実施形態の変形例の蓋10Aを示すもので、内蓋15と蓋下部材13Aとの間に形成された排出通路Xにおける蒸気と湯の流れを説明する図である。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0051】
図6に示す変形例の蓋10Aでは、外蓋12に変えて外蓋12Aを備えている、囲み壁30Aを有する蓋下部材13Aを備えており、排出通路Xがフックレバー23の下方に位置する領域にも形成されている。囲み壁30Aにおいては、下開口32が、囲み壁30Aの前部に1箇所形成されている。このような構成とした場合、側部に下開口32が有する囲み壁30よりも、蒸気入口26の下方までの経路長を長くできる。
【0052】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1 電気ポット(液体加熱容器)
10,10A 蓋
11 蒸気排出口
12,12A 外蓋
13,13A 蓋下部材
14 蓋上部材
15 内蓋
16 第1貫通孔(貫通孔)
17 第2貫通孔
23 フックレバー
24 弁体収納室
25 弁体
26 蒸気入口
27 弁孔
28 内部通路
30,30A 囲い壁(壁部)
31 上開口
32 下開口
34 隔壁
35 凹部
36 断熱壁(2重構造)
38 空気層
図1
図2
図3
図4
図5
図6