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特開2023-168953キャリアテープの固定具および固定方法、並びにキャリアテープセット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168953
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】キャリアテープの固定具および固定方法、並びにキャリアテープセット
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080363
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】石谷 泰行
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353BB01
5E353HH26
5E353HH30
5E353HH32
5E353HH40
5E353NN17
5E353QQ01
5E353QQ05
(57)【要約】
【課題】キャリアテープの取り扱い性を向上させることができるキャリアテープの固定具および固定方法、並びにキャリアテープセットを提供すること。
【解決手段】キャリアテープの固定具は、電子部品を収容しリールに巻回されたキャリアテープを保持する第1保持部と、リールの外周部を保持する第2保持部と、を備え、キャリアテープをリールに対して固定可能とする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を収容しリールに巻回されたキャリアテープを保持する第1保持部と、
前記リールの外周部を保持する第2保持部と、を備え、
前記キャリアテープを前記リールに対して固定可能とした、キャリアテープの固定具。
【請求項2】
前記第1保持部は、前記キャリアテープを厚み方向に挟むための第1溝部を有する、請求項1に記載の固定具。
【請求項3】
前記第1溝部の最深部は、鋭角に折れ曲がる、請求項2に記載の固定具。
【請求項4】
前記キャリアテープは、エンボス状のポケットを形成したポケット形成部と、送り孔を形成した送り孔形成部とがそれぞれ長手方向に延在して構成されており、
前記第1保持部は、前記キャリアテープの前記送り孔形成部に係合して前記キャリアテープを保持する、請求項1に記載の固定具。
【請求項5】
前記第2保持部は、前記リールの前記外周部を厚み方向に挟むための第2溝部を有する、請求項1に記載の固定具。
【請求項6】
前記第2溝部の最深部は、ラウンド形状を有する、請求項5に記載の固定具。
【請求項7】
前記第1保持部は、前記キャリアテープを厚み方向に挟むための第1溝部を有し、前記第2保持部は、前記リールの前記外周部を厚み方向に挟むための第2溝部を有し、
前記第1溝部は第1方向に向かって開口し、前記第2溝部は前記第1方向に略直交する第2方向に向かって開口する、請求項1に記載の固定具。
【請求項8】
前記第2溝部の深さは、前記第1溝部の深さよりも深い、請求項7に記載の固定具。
【請求項9】
弾性体で構成される、請求項1に記載の固定具。
【請求項10】
前記第1保持部は、前記キャリアテープにおける長手方向の先端に係合して前記キャリアテープを保持する、請求項1に記載の固定具。
【請求項11】
前記キャリアテープは、送り孔を形成した送り孔形成部を有し、
前記第1保持部は、前記送り孔に挿入される突起部を有する、請求項1に記載の固定具。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1つに記載の前記固定具と、
前記固定具の前記第1保持部により保持される前記キャリアテープと、
前記固定具の前記第2保持部により保持される前記リールと、を備える、キャリアテープセット。
【請求項13】
固定具の第1保持部により、電子部品を収容しリールに巻回されたキャリアテープを保持するステップと、
前記固定具の第2保持部により、前記リールの外周部を保持するステップと、を含む、キャリアテープの固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアテープの固定具および固定方法、並びにキャリアテープセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子部品を収容したキャリアテープをリールに巻回した構造(キャリアテープセット)が知られている(例えば、特許文献1)。キャリアテープセットは、オートロードフィーダ等のテープフィーダやテープBOXにセットされ、キャリアテープを搬送方向に搬送駆動して、部品実装装置に電子部品を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-174887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、キャリアテープセットを使用する前の状態や使用後の一時保管状態において、キャリアテープがリールからほどけたり、折れ曲がり等が発生し、キャリアテープセットをスムーズに使用できない場合がある。キャリアテープの取り扱い性を向上させるという観点で改善の余地があるといえる。
【0005】
従って、本発明の目的は、前記課題を解決することにあって、キャリアテープの取り扱い性を向上させることができるキャリアテープの固定具および固定方法、並びにキャリアテープセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明のキャリアテープの固定具は、電子部品を収容しリールに巻回されたキャリアテープを保持する第1保持部と、前記リールの外周部を保持する第2保持部と、を備え、前記キャリアテープを前記リールに対して固定可能とする。
【0007】
また、本発明のキャリアテープセットは、前記固定具と、前記固定具の前記第1保持部により保持される前記キャリアテープと、前記固定具の前記第2保持部により保持される前記リールと、を備える。
【0008】
また、本発明のキャリアテープの固定方法は、固定具の第1保持部により、電子部品を収容しリールに巻回されたキャリアテープを保持するステップと、前記固定具の第2保持部により、前記リールの外周部を保持するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、キャリアテープの取り扱い性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態のキャリアテープセットの概略斜視図
図2】実施形態のキャリアテープの概略斜視図
図3】実施形態のキャリアテープの概略縦断面図(図2のC-C矢視図)
図4】実施形態のキャリアテープセットの概略図
図5】実施形態のキャリアテープセットの概略平面図
図6】実施形態のキャリアテープを固定具で固定した状態を示す概略図
図7】実施形態の固定具の概略斜視図
図8】実施形態の固定具の概略側面図
図9】実施形態のキャリアテープの固定方法に関するフローチャート
図10A】実施形態のキャリアテープの固定方法を説明するための概略図
図10B】実施形態のキャリアテープの固定方法を説明するための概略図
図10C】実施形態のキャリアテープの固定方法を説明するための概略図
図10D】実施形態のキャリアテープの固定方法を説明するための概略図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1態様によれば、電子部品を収容しリールに巻回されたキャリアテープを保持する第1保持部と、前記リールの外周部を保持する第2保持部と、を備え、前記キャリアテープを前記リールに対して固定可能とした、固定具を提供する。
【0012】
本発明の第2態様によれば、前記第1保持部は、前記キャリアテープを厚み方向に挟むための第1溝部を有する、第1態様に記載の固定具を提供する。
【0013】
本発明の第3態様によれば、前記第1溝部の最深部は、鋭角に折れ曲がる、第2態様に記載の固定具を提供する。
【0014】
本発明の第4態様によれば、前記キャリアテープは、エンボス状のポケットを形成したポケット形成部と、送り孔を形成した送り孔形成部とがそれぞれ長手方向に延在して構成されており、前記第1保持部は、前記キャリアテープの前記送り孔形成部に係合して前記キャリアテープを保持する、第1態様から第3態様のいずれか1つに記載の固定具を提供する。
【0015】
本発明の第5態様によれば、前記第2保持部は、前記リールの前記外周部を厚み方向に挟むための第2溝部を有する、第1態様から第4態様のいずれか1つに記載の固定具を提供する。
【0016】
本発明の第6態様によれば、前記第2溝部の最深部は、ラウンド形状を有する、第5態様に記載の固定具を提供する。
【0017】
本発明の第7態様によれば、前記第1保持部は、前記キャリアテープを厚み方向に挟むための第1溝部を有し、前記第2保持部は、前記リールの前記外周部を厚み方向に挟むための第2溝部を有し、前記第1溝部は第1方向に向かって開口し、前記第2溝部は前記第1方向に略直交する第2方向に向かって開口する、第1態様から第6態様のいずれか1つに記載の固定具を提供する。
【0018】
本発明の第8態様によれば、前記第2溝部の深さは、前記第1溝部の深さよりも深い、第7態様に記載の固定具を提供する。
【0019】
本発明の第9態様によれば、弾性体で構成される、第1態様から第8態様のいずれか1つに記載の固定具を提供する。
【0020】
本発明の第10態様によれば、前記第1保持部は、前記キャリアテープにおける長手方向の先端に係合して前記キャリアテープを保持する、第1態様から第9態様のいずれか1つに記載の固定具を提供する。
【0021】
本発明の第11態様によれば、前記キャリアテープは、送り孔を形成した送り孔形成部を有し、前記第1保持部は、前記送り孔に挿入される突起部を有する、第1態様から第10態様のいずれか1つに記載の固定具を提供する。
【0022】
本発明の第12態様によれば、前記固定具と、前記固定具の前記第1保持部により保持される前記キャリアテープと、前記固定具の前記第2保持部により保持される前記リールと、を備える、キャリアテープセットを提供する。
【0023】
本発明の第13態様によれば、固定具の第1保持部により、電子部品を収容しリールに巻回されたキャリアテープを保持するステップと、前記固定具の第2保持部により、前記リールの外周部を保持するステップと、を含む、キャリアテープの固定方法を提供する。
【0024】
以下、本発明に係るキャリアテープの固定具および固定方法、並びにキャリアテープセットの例示的な実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。本発明は、以下の実施形態の具体的な構成に限定されるものではなく、同様の技術的思想に基づく構成が本発明に含まれる。
【0025】
(実施形態)
まず、本発明の一実施形態のキャリアテープセットの概略構成について、図1を用いて説明する。図1は、実施形態に係るキャリアテープセット1の概略構成を示す斜視図である。
【0026】
図1に示すように、キャリアテープセット1は、キャリアテープ2と、リール4とを備える。キャリアテープセット1は、図示しないオートロードフィーダ等のテープフィーダやテープBOXにセットして使用され、キャリアテープ2が搬送方向Aに搬送駆動されることで、キャリアテープ2に収容された電子部品9(図3)を部品実装装置に供給する。
【0027】
キャリアテープ2は、電子部品9を収容したテープ状の部材であり、リール4に巻回されている。リール4は、キャリアテープ2を巻回して保持するための部材であり、キャリアテープ2を巻回するための円形状の外面を有する。
【0028】
以下、キャリアテープ2とリール4のそれぞれの構成について説明する。
【0029】
図2図3はそれぞれ、キャリアテープ2を概略的に示す斜視図、縦断面図(図2のC-C矢視図)である。
【0030】
図2図3に示すように、キャリアテープ2は、ポケット形成部6と、送り孔形成部8と、カバーテープ10とを備える。キャリアテープ2は、長手方向Lに長く伸びた形状を有し、長手方向Lに直交する幅方向Wおよび厚み方向Tを有する。
【0031】
ポケット形成部6は、複数のエンボス状のポケット12を形成する部分である。ポケット12のそれぞれには、チップ部品等の電子部品9(図3)が収容される。図2では、電子部品9の図示を省略している。複数のポケット12は、長手方向Lに沿って一定間隔で設けられる。
【0032】
送り孔形成部8は、複数の送り孔14を形成する部分である。送り孔14は、テープ駆動用のスプロケット13の爪13Aが挿入される貫通孔である。複数の送り孔14は、長手方向Lに沿って一定間隔で設けられる。
【0033】
ポケット形成部6および送り孔形成部8はそれぞれ長手方向Lに沿って延びるとともに、幅方向Wの異なる位置に設けられる。送り孔形成部8は、キャリアテープ2の「基準側」に位置する。
【0034】
カバーテープ10は、複数のポケット12を覆うための部材であり、ポケット形成部6に重なるように添付される。カバーテープ10によって電子部品9の脱落が防止される。カバーテープ10は、スプロケット13の回転に応じて、図示しない剥離機構により剥離される。
【0035】
図3に示すように、ポケット形成部6と送り孔形成部8は、厚み方向Tの長さ(厚み)が異なっている。具体的には、ポケット形成部6は厚みD1を有し、送り孔形成部8は厚みD1よりも短い厚みD2を有する。
【0036】
図4は、リール4およびキャリアテープ2を示す概略図である。
【0037】
図4に示すように、リール4は、軸心部16と、軸心部16の両側に設けられた一対の外板部18とを備える。
【0038】
軸心部16は、キャリアテープ2を巻回するための部分であり、円形状の外面を有する。図4に示す例では、軸心部16の外周面にキャリアテープ2が複数回分、巻回されている。
【0039】
外板部18は、軸心部16の両側に取り付けられた板状の部材である。外板部18の外周部(フランジ部)19は、軸心部16よりも外側に突出しており、一対の外板部18によって囲まれた空間にキャリアテープ2が配置される。
【0040】
外周部19を含む外板部18は、厚みD3を有する。厚みD3は、前述したキャリアテープ2の厚みD1、D2よりも大きい。
【0041】
上述した構成を有するキャリアテープセット1において、テープフィーダやテープBOXにセットして使用する前に予め、所定のテープカット処理(先端処理)を行う場合がある。テープカット処理について、図5を用いて説明する。
【0042】
図5は、キャリアテープセット1を上方から見た概略平面図である。図5の(a)に示すように、使用前の初期状態のキャリアテープセット1では、キャリアテープ2の先端15に粘着テープ17が添付されている。粘着テープ17は、キャリアテープ2の先端15を下方部分に貼り付けてキャリアテープ2がほどけることを防止する。
【0043】
キャリアテープセット1の使用を開始する際に、作業者は粘着テープ17を取り外すとともに、切断手段21を用いて、所定のカットライン23にてキャリアテープ2を切断する。キャリアテープ2の切断によって、(b)に示すように、キャリアテープ2の先端15がカットライン23の位置まで後退する。テープカット処理後のキャリアテープ2では、先頭の送り孔14Aが前方に向かって開口しており(矢印D)、図2に示したスプロケット13の爪13Aが噛み込みやすくなる。これにより、キャリアテープ2の搬送開始をスムーズに実行することができる。
【0044】
テープカット処理後のキャリアテープセット1では、キャリアテープ2を固定する手段がないため、キャリアテープ2の取り扱い性が低下する。具体的には、キャリアテープ2がリール4からほどけたり、カバーテープ10がキャリアテープ2からはがれたり、キャリアテープ2に折り目が付く等、キャリアテープ2の状態が意図しない状態に変化する可能性があり、電子部品9の吸着エラーの原因にもなり得る。キャリアテープセット1の使用を開始した後においても、処理対象の基板1枚の処理が完了すること等に応じて、キャリアテープセット1を取り外して一時保管する場合があり、その保管中においても同様の問題が生じる。
【0045】
上記問題を解決するために、本実施形態のキャリアテープセット1では、キャリアテープ2をリール4に対して固定可能とする固定具20を設けている。以下、キャリアテープ2の固定具20について、図6図8を用いて説明する。
【0046】
図6は、固定具20の使用状態を例示した概略図である。図7図8は、固定具20の概略斜視図、概略側面図である。
【0047】
図6に示すように、本実施形態の固定具20は、キャリアテープ2を保持するとともに、リール4の外板部18を保持することで、キャリアテープ2をリール4に対して一時的に固定可能とする部材である。
【0048】
図6図8に示すように、固定具20は、第1保持部22と、第2保持部24とを備える。
【0049】
第1保持部22は、キャリアテープ2を保持するための部分である。本実施形態の第1保持部22は、キャリアテープ2を厚み方向Tに挟むことが可能なように2股に分かれた形状を有する。
【0050】
図7図8に示すように、2股に分かれた形状の第1保持部22は、第1方向B1に開口した第1溝部26を有する。第1溝部26は、キャリアテープ2を厚み方向Tに挟むことが可能なように、第1方向B1に向かうにつれて間隔が漸増したテーパ形状を有する。第1溝部26をキャリアテープ2の送り孔形成部8に向けて第1方向B1に近付けることで、送り孔形成部8を挟んで保持することができる。第1溝部26がテーパ形状であるため、送り孔形成部8の厚みのバリエーションにも対応できる。
【0051】
本実施形態における第1溝部26の最深部28は、鋭角に折れ曲がった形状を有する。これにより、厚みの小さい送り孔形成部8を保持しやすくなっている。
【0052】
第2保持部24は、リール4の外周部19を保持するための部分である。本実施形態の第2保持部24は、第1保持部22と同様に2股に分かれた形状を有する。
【0053】
2股に分かれた形状の第2保持部24は、第2方向B2に開口した第2溝部30を有する。第2溝部30は、第2方向B2に向かうにつれて間隔が漸増したテーパ形状を有する。第2溝部30をリール4の外周部19に対して第2方向B2に近付けることで、リール4の外周部19を挟んで保持することができる。第2溝部30がテーパ形状であるため、リール4の外周部19の厚みのバリエーションにも対応できる。
【0054】
本実施形態における第2溝部30の最深部32は、滑らかに湾曲したラウンド形状を有する。これにより、キャリアテープ2に比べて厚みの大きなリール4の外周部19を保持しやすくなっている。
【0055】
図8に示すように、第1溝部26の入口部分27は幅E1を有し、第2溝部30の入口部分29は幅E1よりも長い幅E2を有する。幅E1よりも幅E2が長いことで、幅E1を有する入口部分27には厚みの小さなキャリアテープ2の送り孔形成部8(例えば約0.15mm)を挿入しやすく、幅E2を有する入口部分29には厚みの大きなリール4の外周部19(例えば約1mm)を挿入しやすくなっている。
【0056】
特に、リール4の外周部19の厚みD3(図4)は、所定の規格によってある程度以上の厚みを有するように定められている。このため、第2溝部30の溝幅を第1溝部26の溝幅よりも大きく形成し、且つ第2溝部30の最深部32をラウンド形状とすることで、リール4の外周部19を挟んで保持するのに適した形とすることができる。
【0057】
図8に示すように、第1溝部26は深さF1を有し、第2溝部30は深さF1よりも深い深さF2を有する。第1溝部26の保持対象である送り孔形成部8の長さと、第2溝部30の保持対象であるリール4の外周部19の長さに応じて、第1溝部26と第2溝部30のそれぞれの深さF1、F2を適切な長さに設定している。
【0058】
特に本実施形態では、第1溝部26の深さF1を、キャリアテープ2の送り孔形成部8の横幅D4(図3)よりも短く設定している。これにより、第1溝部26に送り孔形成部8を挿入したときに、第1保持部22の先端がポケット形成部6のポケット12まで到達しない状態を確保することができ、送り孔形成部8のみに第1保持部22を係合させることができる。
【0059】
本実施形態の固定具20は、第1保持部22と第2保持部24を含めて、ゴムなどの弾性体(弾性材料)で一体的に構成されている。これにより、キャリアテープ2やリール4を挟んで保持するのに適した材質となっており、キャリアテープ2をリール4に対して安定的に固定することができる。なお、弾性体に限らず、樹脂などで構成してもよい。
【0060】
図6に示すように、第1方向B1と第2方向B2は、互いに略直交する方向を向いている。ここで、「略直交」とは、第1方向B1と第2方向B2がなす角度が、85°以上かつ95°以下を意味する。これにより、キャリアテープ2のねじれを抑制した状態で、キャリアテープ2をリール4に対して固定することができる。
【0061】
さらに、第1保持部22と第2保持部24はそれぞれ、固定具20の高さ方向Kにおいてオフセットした位置に設けられている。高さ方向Kに重なる位置に設ける場合に比べて、固定具20の剛性を向上させるとともに、キャリアテープ2の保持高さをリール4の外周部19に対して適切な高さ位置に設定することができる。
【0062】
上述した構成を有する固定具20を用いて、キャリアテープ2をリール4に固定する固定方法について、図9および図10A図10Dを用いて説明する。
【0063】
図9は、キャリアテープ2の固定方法に関するフローチャートであり、図10A図10Dは、キャリアテープ2の固定方法を説明するための概略説明図である。
【0064】
図9に示すように、作業者は、固定具20の第1保持部22により、キャリアテープ2を保持する(S1)。具体的には、図10Aに示すように、作業者がキャリアテープ2と固定具20の両方を持った状態で、固定具20の第1保持部22をキャリアテープ2の送り孔形成部8に近づける(第1方向B1)。これにより、キャリアテープ2の基準側から固定具20を係合させる。
【0065】
図10Bに示すように、第1保持部22の第1溝部26にキャリアテープ2の送り孔形成部8が挿入され、テーパ形状の第1溝部26によって、送り孔形成部8が厚み方向Tに挟んで保持される。
【0066】
作業者は、固定具20の第2保持部24により、リール4の外周部19を保持する(S2)。具体的には、図10Cに示すように、キャリアテープ2を保持した状態の固定具20の第2保持部24を、リール4の外周部19に近付ける(第2方向B2)。
【0067】
図10Dに示すように、第2保持部24の第2溝部30にリール4の外周部19が挿入され、テーパ形状の第2溝部30によって、外周部19が厚み方向(キャリアテープ2の幅方向Wに対応)に挟んで保持される。
【0068】
ステップS1、S2の実行により、固定具20によってキャリアテープ2をリール4に対して固定することができ、簡単な方法でキャリアテープ2をリール4に固定することができる。これにより、テープカット処理後や使用開始後の保管状態において、キャリアテープ2のほどけや折れ曲がり等を抑制することができ、キャリアテープ2の取り扱い性を向上させることができる。
【0069】
固定具20を用いれば、リール4の軸心部16の径やキャリアテープ2の巻回数、キャリアテープ2の横幅等によらず、キャリアテープ2を安定的に固定することができ、汎用性の高い固定方法を実現することができる。
【0070】
また固定具20を用いれば、図5で説明したテープカット処理を複数のキャリアテープ2に対して予め施して、それぞれのキャリアテープ2を固定具20で固定した上で保管しておくことができる。従来のように、使用するキャリアテープ2だけを順次テープカット処理していく場合と異なり、テープカット処理をまとめて実行することができ、作業効率の向上につながる。
【0071】
仮に、作業者が間違えて、溝部26、30に対して意図しない保持対象物を挿入した場合でも、作業者が容易に気付くことができる設計となっている。具体的には、第1溝部26にリール4の外周部19を挿入しようとしても、第1溝部26の入口部分27が狭いため、厚みの大きなリール4の外周部19を挿入できない、あるいは挿入しにくくなっている。また、第2溝部30にキャリアテープ2の送り孔形成部8を挿入しようとしても、第2溝部30の幅が広く、最深部32もラウンド形状になっているため、厚みの小さな送り孔形成部8を安定的に保持することができない。このように、保持部22、24の保持対象を間違えた場合でも、正常な固定方法に導くことが可能である。
【0072】
図10Dに示すキャリアテープ2の固定状態を解除するには、第1保持部22からキャリアテープ2を引き抜くとともに、第2保持部24からリール4の外周部19を引き抜けばよい。このようにして固定状態を容易に解除することができる。
【0073】
なお、ステップS1、S2の順序は任意の順序であってもよい。例えば、第2保持部24でリール4の外周部19を保持してから(S2)、第1保持部22でキャリアテープ2を保持してもよい(S1)。
【0074】
<作用・効果>
上述したように、実施形態の固定具20は、電子部品9を収容してリール4に巻回されたキャリアテープ2を保持する第1保持部22と、リール4の外周部19を保持する第2保持部24と、を備え、キャリアテープ2をリール4に対して固定可能とする。
【0075】
このような構成によれば、キャリアテープ2をリール4に対して固定可能とすることで、テープカット処理後や使用開始後の保管中等の場面において、キャリアテープ2の取り扱い性を向上させることができる。
【0076】
また、実施形態の固定具20では、第1保持部22は、キャリアテープ2を厚み方向Tに挟むための第1溝部26を有する。このような構成によれば、キャリアテープ2を簡単な方法で保持することができる。
【0077】
また、実施形態の固定具20では、第1溝部26の最深部28は、鋭角に折れ曲がる。このような構成によれば、キャリアテープ2における厚みが小さい部分(例えば送り孔形成部8)を挟み込んで保持するのに適している。
【0078】
また、実施形態の固定具20では、キャリアテープ2は、エンボス状のポケット12を形成したポケット形成部6と、送り孔14を形成した送り孔形成部8とがそれぞれ長手方向Lに延在して構成されており、第1保持部22は、キャリアテープ2の送り孔形成部8に係合してキャリアテープ2を保持する。このような構成によれば、厚みの小さい送り孔形成部8に係合してキャリアテープ2を保持することで、厚みの大きい箇所(エンボス状のポケット形成部6)の厚みの影響を受けることなく、キャリアテープ2を保持することができる。
【0079】
また、実施形態の固定具20では、第2保持部24は、リール4の外周部19を厚み方向(キャリアテープ2の幅方向Wに対応)に挟むための第2溝部30を有する。このような構成によれば、リール4の外周部19を簡単な方法で保持することができる。
【0080】
また、実施形態の固定具20では、第2溝部30の最深部32は、ラウンド形状を有する。このような構成によれば、リール4の外周部19のようなある程度の厚みがあるものを挟み込んで保持するのに適している。
【0081】
また、実施形態の固定具20では、第1溝部26は第1方向B1に向かって開口し、第2溝部30は第1方向B1に略直交する第2方向B2に向かって開口する。このような構成によれば、キャリアテープ2のねじれを抑制した状態でキャリアテープ2を固定することができる。
【0082】
また、実施形態の固定具20では、第2溝部30の深さF2は、第1溝部26の深さF1よりも深い。このような構成によれば、溝部26、30のそれぞれを保持対象に応じた深さに設定することができる。
【0083】
また、実施形態の固定具20では、弾性体で構成される。このような構成によれば、保持対象を挟んで保持しやすくなり、キャリアテープ2を安定的に固定することができる。
【0084】
また、実施形態のキャリアテープセット1は、固定具20と、固定具20の第1保持部22により保持されるキャリアテープ2と、固定具20の第2保持部24により保持されるリール4と、を備える。
【0085】
このような構成によれば、上述した固定具20と同様の作用を奏することができる。
【0086】
また、実施形態のキャリアテープ2の固定方法は、固定具20の第1保持部22により、電子部品9を収容しリール4に巻回されたキャリアテープ2を保持するステップ(S1)と、固定具20の第2保持部24により、リール4の外周部19を保持するステップ(S2)と、を含む。
【0087】
このような方法によれば、キャリアテープ2の取り扱い性を向上させることができる。
【0088】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、本実施形態では、固定具20の第1保持部22がキャリアテープ2を厚み方向Tに挟んで保持する場合について説明したが、このような場合に限らず、挟み込む以外の方法によってキャリアテープ2を保持してもよい。例えば、第1保持部が送り孔14に挿入される突起部を有し、その突起部を送り孔14に挿入することで、キャリアテープ2を保持するようにしてもよい。これにより、キャリアテープ2の送り孔14を用いてキャリアテープ2を保持することができる。
【0089】
また上記実施形態では、第1保持部22がキャリアテープ2の送り孔形成部8のみに係合してキャリアテープ2を保持する場合について説明したが、このような場合に限らず、キャリアテープ2の異なる箇所に係合して保持してもよい。例えば、第1保持部がキャリアテープ2における長手方向Lの先端15に係合して(例えば先端15を含む領域を挟み込む)、キャリアテープ2を保持してもよい。これにより、キャリアテープ2の先端15を用いてキャリアテープ2を保持することができる。
【0090】
また上記実施形態では、第2保持部24がリール4の外周部19を挟み込んで保持する場合について説明したが、このような場合に限らず、挟み込む以外の方法によってリール4の外周部19を保持してもよい。
【0091】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した特許請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。また、各実施形態における要素の組合せや順序の変化は、本開示の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、キャリアテープの固定具および固定方法、並びにキャリアテープセットであれば適用可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 キャリアテープセット
2 キャリアテープ
4 リール
6 ポケット形成部
8 送り孔形成部
9 電子部品
10 カバーテープ
12 ポケット
14 送り孔
16 軸心部
18 外板部
19 外周部(フランジ部)
20 固定具
22 第1保持部
24 第2保持部
26 第1溝部
28 最深部
30 第2溝部
32 最深部
L 長手方向
T 厚み方向
W 幅方向
K 高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D