(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168962
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】車載装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 48/08 20090101AFI20231121BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20231121BHJP
H04W 84/20 20090101ALI20231121BHJP
H04W 24/10 20090101ALI20231121BHJP
H04W 76/10 20180101ALI20231121BHJP
【FI】
H04W48/08
G08G1/00 D
H04W84/20
H04W24/10
H04W76/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080373
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】児玉 雄一
(72)【発明者】
【氏名】中條 充
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 功
【テーマコード(参考)】
5H181
5K067
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC12
5H181FF13
5K067AA21
5K067DD34
5K067EE02
5K067EE16
5K067EE25
(57)【要約】
【課題】車載装置の搭載先の車両における車載ネットワークの構成に、当該車載装置を容易に対応させることが可能な車載装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】車両に搭載される車載装置であって、車載ネットワークにおける前記車載装置の役割に関する設定情報を管理装置から受信する通信部と、前記通信部により受信された前記設定情報に基づいて、前記役割に対応する、前記車載装置の動作設定を行う設定部とを備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載装置であって、
車載ネットワークにおける前記車載装置の役割に関する設定情報を管理装置から受信する通信部と、
前記通信部により受信された前記設定情報に基づいて、前記役割に対応する、前記車載装置の動作設定を行う設定部とを備える、車載装置。
【請求項2】
前記設定部は、前記設定情報に基づいて、前記車載ネットワークの通信における前記役割に対応する、前記車載装置の通信動作の設定を行う、請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記設定情報に基づいて、前記車載ネットワークにおいて前記車載装置がコマンダとして通信するかレスポンダとして通信するかを切り替える、請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記設定情報に基づいて、前記車載ネットワークにおいて前記車載装置がアクセスポイントとして通信するかステーションとして通信するかを切り替える、請求項2に記載の車載装置。
【請求項5】
前記通信部は、車種および年式の少なくともいずれか一方ごとの前記設定情報を受信する、請求項1または請求項2に記載の車載装置。
【請求項6】
前記設定部は、前記車両に関する車両情報を、前記車両から前記管理装置へ送信するための設定に前記設定情報を用いる、請求項1または請求項2に記載の車載装置。
【請求項7】
車両に搭載される車載装置における情報処理方法であって、
車載ネットワークにおける前記車載装置の役割に関する設定情報を管理装置から受信するステップと、
受信した前記設定情報に基づいて、前記役割に対応する、前記車載装置の動作設定を行うステップとを含む、情報処理方法。
【請求項8】
車両に搭載される車載装置において用いられる情報処理プログラムであって、
コンピュータを、
車載ネットワークにおける前記車載装置の役割に関する設定情報を管理装置から受信する通信部と、
前記通信部により受信された前記設定情報に基づいて、前記役割に対応する、前記車載装置の動作設定を行う設定部、
として機能させるための、情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の車載ECU(Electronic Control Unit)を備える車載ネットワークに関する技術が開発されている。たとえば、特開2000-229546号公報(特許文献1)には、以下のような車両制御装置が開示されている。すなわち、車両制御装置は、車両全体の作動を管理する中央ECU1と、車両各部の作動をそれぞれ制御する複数の端末ECU2a,2b,~2nと、これらのECU相互に結合した車載LAN3とを備え、中央ECUでは、導体部品からなり、コネクタ部7に装着される車両情報カートリッジ8により選択的に短絡される端子の情報から車両仕様を示す車両情報を求めて前記各端末ECUに与え、その車両情報に従って各端末ECUの機能種別を個々に設定する。そして、車両仕様を車両情報カートリッジにより管理する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、車両の出荷後に、車載ECUの追加が生じた場合、または車両において提供すべき機能の変更が生じた場合、車両の構成に応じて、ディーラ等において各車両に対して個別に設定変更を行う必要があった。
【0005】
特許文献1に記載の車両制御装置では、上述のように、車両情報カートリッジを用いることにより、各車載ECUに対して車両の仕様に応じた機能および制御特性を設定することができる。しかしながら、車載ECUの追加、または車載ECUに対する設定変更がある場合、車両情報カートリッジの変更または追加を行う必要があり、柔軟な対応を行うことができないという問題があった。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、車載装置の搭載先の車両における車載ネットワークの構成に、当該車載装置を容易に対応させることが可能な車載装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の車載装置は、車両に搭載される車載装置であって、車載ネットワークにおける前記車載装置の役割に関する設定情報を管理装置から受信する通信部と、前記通信部により受信された前記設定情報に基づいて、前記役割に対応する、前記車載装置の動作設定を行う設定部とを備える。
【0008】
本開示の情報処理方法は、車両に搭載される車載装置における情報処理方法であって、車載ネットワークにおける前記車載装置の役割に関する設定情報を管理装置から受信するステップと、受信した前記設定情報に基づいて、前記役割に対応する、前記車載装置の動作設定を行うステップとを含む。
【0009】
本開示の情報処理プログラムは、車両に搭載される車載装置において用いられる情報処理プログラムであって、コンピュータを、車載ネットワークにおける前記車載装置の役割に関する設定情報を管理装置から受信する通信部と、前記通信部により受信された前記設定情報に基づいて、前記役割に対応する、前記車載装置の動作設定を行う設定部、として機能させるためのプログラムである。
【0010】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える車載装置として実現され得るだけでなく、車載装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得たり、車載装置を含むシステムとして実現され得る。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、車載装置の搭載先の車両における車載ネットワークの構成に、当該車載装置を容易に対応させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施の形態に係る管理装置の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施の形態に係る管理装置における記憶部に保存されている設定情報のデータベースの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施の形態に係る管理装置における記憶部に保存されている設定情報のデータベースの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施の形態に係る管理装置が表示する画面の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施の形態に係る車載装置の、車載ネットワークにおける接続位置と役割との関係を説明するための図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施の形態に係る車載装置の、車載ネットワークにおける接続位置と役割との関係を説明するための図である。
【
図8】
図8は、本開示の実施の形態に係る車載装置の構成および車載ネットワークにおける接続位置の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施の形態に係る車載装置における記憶部に保存される設定情報の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施の形態に係る車載装置の車載ネットワークにおける接続位置の他の例を示す図である。
【
図11】
図11は、本開示の実施の形態に係る車載装置における記憶部に保存されるソフトウェアモジュール情報の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、本開示の実施の形態に係る車載装置におけるソフトウェアモジュールごとの通信形態の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、本開示の実施の形態に係る通信システムのシーケンスの一例を示す図である。
【
図14】
図14は、本開示の実施の形態に係る通信システムのシーケンスの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の実施の形態に係る車載装置は、車両に搭載される車載装置であって、車載ネットワークにおける前記車載装置の役割に関する設定情報を管理装置から受信する通信部と、前記通信部により受信された前記設定情報に基づいて、前記役割に対応する、前記車載装置の動作設定を行う設定部とを備える。
【0014】
このような構成により、車両の出荷後に当該車両に追加された車載装置、または車両の出荷後に、車両において提供すべき機能の変更が生じた車載装置に対して、搭載先の車両により異なる車載ネットワークの構成に応じた役割設定を容易に行うことができる。したがって、車載装置の搭載先の車両における車載ネットワークの構成に、当該車載装置を容易に対応させることができる。
【0015】
(2)上記(1)において、前記設定部は、前記設定情報に基づいて、前記車載ネットワークの通信における前記役割に対応してもよい。
【0016】
このような構成により、車載ネットワークの通信における車載装置の役割が搭載先の車両により異なる場合に、車載装置の役割設定を容易に行うことができる。
【0017】
(3)上記(2)において、前記設定部は、前記設定情報に基づいて、前記車載ネットワークにおいて前記車載装置がコマンダとして通信するかレスポンダとして通信するかを切り替えてもよい。
【0018】
このような構成により、車載ネットワークにおけるLINおよびBluetooth(登録商標)等の通信規格における車載装置の役割の相違に容易に対応することができる。
【0019】
(4)上記(2)において、前記設定部は、前記設定情報に基づいて、前記車載ネットワークにおいて前記車載装置がアクセスポイントとして通信するかステーションとして通信するかを切り替えてもよい。
【0020】
このような構成により、車載ネットワークにおけるWiFi(登録商標)等の通信規格における車載装置の役割の相違に容易に対応することができる。
【0021】
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記通信部は、車種および年式の少なくともいずれか一方ごとの前記設定情報を受信してもよい。
【0022】
このような構成により、実現すべき機能に対応させるための車種または年式ごとの個別設定が不要となり、異なる車種または年式の車両間において容易に動作設定を行うことができる。
【0023】
(6)上記(1)から(5)のいずれかにおいて、前記設定部は、前記車両に関する車両情報を、前記車両から前記管理装置へ送信するための設定に前記設定情報を用いてもよい。
【0024】
このような構成により、設定情報の送信先である車両から、特定の機能を実行するための車両情報を収集し、車両情報を用いた当該機能を実現することができる。
【0025】
(7)本開示の実施の形態に係る情報処理方法は、車両に搭載される車載装置における情報処理方法であって、車載ネットワークにおける前記車載装置の役割に関する設定情報を管理装置から受信するステップと、受信した前記設定情報に基づいて、前記役割に対応する、前記車載装置の動作設定を行うステップとを含む。
【0026】
このような構成により、車両の出荷後に当該車両に追加された車載装置、または車両の出荷後に、車両において提供すべき機能の変更が生じた車載装置に対して、搭載先の車両により異なる車載ネットワークの構成に応じた役割設定を容易に行うことができる。したがって、車載装置の搭載先の車両における車載ネットワークの構成に、当該車載装置を容易に対応させることができる。
【0027】
(8)本開示の実施の形態に係る情報処理プログラムは、車両に搭載される車載装置において用いられる情報処理プログラムであって、コンピュータを、車載ネットワークにおける前記車載装置の役割に関する設定情報を管理装置から受信する通信部と、前記通信部により受信された前記設定情報に基づいて、前記役割に対応する、前記車載装置の動作設定を行う設定部、として機能させるためのプログラムである。
【0028】
このような構成により、車両の出荷後に当該車両に追加された車載装置、または車両の出荷後に、車両において提供すべき機能の変更が生じた車載装置に対して、搭載先の車両により異なる車載ネットワークの構成に応じた役割設定を容易に行うことができる。したがって、車載装置の搭載先の車両における車載ネットワークの構成に、当該車載装置を容易に対応させることができる。
【0029】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0030】
[全体構成]
図1は、本開示の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
図1を参照して、通信システム301は、車載装置の一例である1または複数の車載ECU101と、端末装置161と、管理装置201とを備える。各車載ECU101、端末装置161および管理装置201は、たとえば、インターネット等のネットワーク151を介して情報の送受信を行うことができる。車載ECU101および車載機器111は、車両1に搭載されている。
【0031】
管理装置201は、たとえば、車両1に関する機能を提供する事業者により管理される。端末装置161は、たとえば、車両1に関する機能の実行者である事業者または個人(以下、まとめてユーザと称する。)により管理される。具体的には、車両1に関する機能は、たとえば、車両1の走行履歴を管理する機能等である。
【0032】
管理装置201は、1または複数の車載ECU101から、対応する車両1に関する車両情報を収集する。そして、管理装置201は、収集した1または複数の車両情報に基づいて、上記機能の実行に用いられる提供情報を作成する。車両情報は、たとえば、車両1の走行に関する情報を含む。
【0033】
具体的には、管理装置201は、たとえば、複数の車両1の各々の位置情報および車速情報等を収集し、収集した位置情報および車速情報等に基づいて、各車両1の走行位置を、車速に応じた表示態様で地図上にマッピングした地図情報等を提供情報として作成する。たとえば、この提供情報を利用することにより、ユーザである事業者において各車両1の運行管理を行うことが可能となる。
【0034】
なお、車両情報は、位置情報または車速情報に限らず、たとえば、ブレーキの状態を示すブレーキ情報であってもよい。また、車両情報は、車両1の走行に関する情報に限らず、車両1における計測結果を示す情報、具体的には、車両1の周辺画像を示す画像情報、ドア開閉状態、および温度情報等の、車両1におけるセンサ等の車載機器111による計測結果を示す情報であってもよい。また、車両情報は、たとえば、車両1の識別情報または車両1のネットワーク構成情報であってもよい。
【0035】
たとえば、管理装置201は、車種または年式ごとの、ネットワークの詳細設定、すなわち車載ECU101が車載ネットワークにおいて果たすべき役割を示す設定情報を作成する。たとえば、設定情報は、車載ネットワークの通信における役割に対応する、車載ECU101の通信動作の設定に用いられる。
【0036】
一例として、設定情報は、車両1に関する車両情報を、当該車両1から管理装置201へ送信するための設定に用いられる。すなわち、設定情報は、提供情報の作成に用いられる車両情報を車両1から取得するために、当該車両1に対して行われる設定に関する情報である。
【0037】
[管理装置の構成]
図2は、本開示の実施の形態に係る管理装置の構成を示す図である。
図2を参照して、管理装置201は、通信部21と、記憶部22と、設定情報作成部23と、提供情報作成部24とを備える。通信部21、設定情報作成部23および提供情報作成部24の一部または全部は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)およびDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサにより実現される。記憶部22は、たとえば不揮発性メモリである。
【0038】
通信部21は、ネットワーク151を介して、複数の車載ECU101および端末装置161と情報の送受信を行う。
【0039】
記憶部22には、車種ごとの、車両1の車載ネットワークにおける車載ECU101の役割すなわち振る舞いに関する設定情報のデータベースが保存されている。車種は、たとえば、車両1の用途、および仕向け地の別に応じて設定される。
【0040】
図3および
図4は、本開示の実施の形態に係る管理装置における記憶部に保存されている設定情報のデータベースの一例を示す図である。
【0041】
図3および
図4を参照して、設定情報は、車載ネットワークにおいて車載ECU101がコマンダ(commander/master)として通信するかレスポンダ(responder/slave)として通信するかを示す。また、たとえば、設定情報は、車載ネットワークにおいて車載ECU101がアクセスポイントとして通信するかステーションとして通信するかを示す。
【0042】
より詳細には、記憶部22は、設定情報のデータベースとして、車種と車載ネットワークにおける車載ECU101の役割との対応関係を示す対応テーブルT1を記憶する。
【0043】
具体的には、
図3に示す対応テーブルT1は、車載ネットワークの通信規格であるLIN(Local Interconnect Network)における車載ECU101の役割を示している。対応テーブルT1は、車種X1では車載ECU101がLINコマンダとして動作し、車種X2およびX3では車載ECU101がLINレスポンダとして動作することを示している。
【0044】
図4に示す対応テーブルT2は、車載ネットワークの通信規格であるWiFiにおける車載ECU101の役割を示している。対応テーブルT2は、車種X11では車載ECU101がアクセスポイントとして動作し、車種X12およびX13では車載ECU101がステーションとして動作することを示している。以下、対応テーブルT1およびT2の各々を対応テーブルTと称する場合がある。
【0045】
再び
図1および
図2を参照して、ユーザが、提供情報を取得するための操作を端末装置161に対して行ったとする。この場合、端末装置161は、提供情報を要求する旨を示す要求情報を、ネットワーク151を介して管理装置201へ送信する。
【0046】
管理装置201において、通信部21は、端末装置161から送信された要求情報をネットワーク151経由で受信し、受信した要求情報を設定情報作成部23へ出力する。
【0047】
設定情報作成部23は、対応テーブルTに基づいて、設定情報を作成する。より詳細には、設定情報作成部23は、対応テーブルT1を参照して、車種ごとに設定情報を作成する。設定情報作成部23は、車種X1の車両1へ送信する設定情報として、LINコマンダを示す設定情報を作成する。また、設定情報作成部23は、車種X2およびX3の車両1へ送信する設定情報として、LINレスポンダを示す設定情報を作成する。
【0048】
そして、設定情報作成部23は、作成した車種X1~X3に対応する設定情報を通信部21へ出力する。通信部21は、設定情報作成部23により作成された設定情報を、ネットワーク151を介して1または複数の車種X1、1または複数の車種X2、および1または複数の車種X3の車両1へ送信する。
【0049】
また、設定情報作成部23は、対応テーブルT2を参照して、車種ごとに設定情報を作成する。設定情報作成部23は、車種X11の車両1へ送信する設定情報として、WiFiアクセスポイントを示す設定情報を作成する。また、設定情報作成部23は、車種X12およびX13の車両1へ送信する設定情報として、WiFiステーションを示す設定情報を作成する。
【0050】
そして、設定情報作成部23は、作成した車種X11~X13に対応する設定情報を通信部21へ出力する。通信部21は、設定情報作成部23により作成された設定情報を、ネットワーク151を介して1または複数の車種X11、1または複数の車種X12、および1または複数の車種X13の車両1へ送信する。
【0051】
なお、対応テーブルT1およびT2の両方が用いられる構成に限らず、記憶部22が対応テーブルT1およびT2のいずれか一方を記憶する構成であってもよい。
【0052】
また、対応テーブルT1およびT2の少なくともいずれか一方が、1つの車種のみの情報を示してもよい。すなわち、設定情報作成部23は、ある通信規格について1つの車種のみの設定情報を作成する構成であってもよい。
【0053】
また、記憶部22は、対応テーブルTを記憶していない構成であってもよい。たとえば、管理装置201は、ネットワークの詳細設定を事業者が設定可能な構成であってもよい。これにより、1台の車両において車載ECU101の搭載先が複数存在し、同じ車種または年式の車両間でも車載ECU101の役割が異なり得る場合に、搭載先に応じた役割を車載ECU101に設定することができる。
【0054】
図5は、本開示の実施の形態に係る管理装置が表示する画面の一例を示す図である。
図5を参照して、設定情報作成部23は、車載ネットワークにおける車載ECU101の役割を入力可能な画面を、図示しない表示装置に表示する処理を行う構成であってもよい。
【0055】
図5に示す例では、プルダウンメニューが表示され、事業者は、たとえば車種ごとに、車載ネットワークの通信規格であるLINにおける車載ECU101の役割を選択可能である。
【0056】
設定情報作成部23は、たとえば車種ごとに、画面におけるユーザの選択結果に基づいて設定情報を作成し、通信部21およびネットワーク151を介して1または複数の車両1へ送信する。
【0057】
車両1において、車載ECU101は、管理装置201から送信された設定情報を受信し、受信した設定情報に基づいて、設定情報の示す役割に対応する、当該車載ECU101の動作設定を行う。たとえば、車載ECU101は、提供情報を作成するための車両情報が管理装置201へ送信されるように動作設定を行う。車載ECU101による動作設定の詳細については、後述する。
【0058】
再び
図2を参照して、管理装置201において、通信部21は、動作設定後の車載ECU101から送信された車両情報をネットワーク151経由で受信すると、受信した車両情報を提供情報作成部24へ出力する。提供情報作成部24は、通信部21から受けた車両情報に基づいて、提供情報を作成する。そして、提供情報作成部24は、作成した提供情報を記憶部22に保存する。
【0059】
通信部21は、たとえば所定のタイミングにおいて、記憶部22に保存されている提供情報を取得し、取得した提供情報をネットワーク151経由で端末装置161へ送信する。これにより、ユーザにおいて、管理装置201により作成された提供情報を用いて特定の機能を実行することができる。
【0060】
なお、設定情報は、提供情報の作成等のために、車両1から管理装置201へ車両情報を送信するための設定に用いられる情報に限定されず、車両1内に閉じた車両情報のやり取りを行うための設定等、他の何らかの設定に用いられる情報であってもよい。
【0061】
また、設定情報は、車載ネットワークの通信における車載ECU101の役割を示すものに限らず、センサ等の車載機器111を制御するか否か等、他の役割を示すものであってもよい。
【0062】
また、設定情報は、車載ECU101の役割に加えて、管理装置201へ送信すべき車両情報のデータの種類をさらに示してもよい。
【0063】
また、管理装置201以外の他の装置が、提供情報の作成を行う構成であってもよい。この場合、管理装置201は、車両1から受信した車両情報を当該他の装置へ送信する。
【0064】
また、ユーザは、端末装置161を用いることなく、管理装置201に対して直接、提供情報を要求する旨の入力等を行ってもよい。この場合、通信システム301は、端末装置161を備えなくてもよい。
【0065】
図6および
図7は、本開示の実施の形態に係る車載装置の、車載ネットワークにおける接続位置と役割との関係を説明するための図である。
【0066】
図6は、車載ECU101が車両1における既存のネットワークに新たに接続された場合を示している。既存のネットワークにはコマンダとして動作する車載機器111(以下、機器コマンダとも称する。)およびレスポンダとして動作する車載機器111(以下、機器レスポンダとも称する。)が存在している。機器コマンダからのメッセージ要求により、各機器レスポンダはネットワーク上に、すなわち機器コマンダに対してメッセージを送信する。
【0067】
この場合、車載ECU101は、レスポンダとして設定される。車載ECU101は、管理装置201から受信した設定情報に基づいて、レスポンダとして動作し、ネットワーク上に流れるメッセージを受信し、メッセージから必要な車両情報を取得し、管理装置201へ送信する。
【0068】
図7は、何らかの理由で車両1における既存のネットワークに車載ECU101を接続できない場合を示している。ユーザは、得るべき車両情報に対応する車載機器111が特定されている場合、当該車載機器111である機器レスポンダと車載ECU101とを1対1で接続する。この場合、当該車載機器111と車載ECU101とのネットワークにおいて機器コマンダが存在しないため、車載ECU101はメッセージを当該車載機器111から受信することができない。
【0069】
この場合、車載ECU101は、コマンダとして設定される。車載ECU101は、コマンダとして、機器レスポンダである当該車載機器111に対してメッセージ要求を送信し、車両情報を取得する必要がある。
【0070】
[車載装置の構成]
図8は、本開示の実施の形態に係る車載装置の構成および車載ネットワークにおける接続位置の一例を示す図である。
図8は、車載ECU101が
図6に示すような場所に搭載された場合を示している。
【0071】
図8を参照して、車載ECU101は、たとえばLINバス10を介して複数の車載機器111と接続された場合、当該複数の車載機器111と通信を行うことが可能である。車載ECU101は、設定部12と、記憶部13と、通信部31とを備える。通信部31は、車外通信部11と、車内通信部14とを含む。車外通信部11、設定部12および車内通信部14の一部または全部は、たとえば、CPUおよびDSP等のプロセッサにより実現される。記憶部13は、たとえば不揮発性メモリである。
【0072】
車外通信部11は、WiFi、LTE(Long Term Evolution)または5G等の通信方式に従って、図示しない無線基地局と無線通信を行うことにより、ネットワーク151経由で管理装置201と通信を行う。たとえば、車外通信部11は、管理装置201から送信された設定情報をネットワーク151経由で受信し、受信した設定情報を設定部12へ出力する。なお、車外通信部11は、無線基地局およびネットワーク151を介して管理装置201と通信する構成に限らず、有線回線を介して管理装置201と通信する構成であってもよい。また、車外通信部11は、他の車載ECU101をさらに介して管理装置201と通信する構成であってもよい。
【0073】
車内通信部14は、複数の車載機器111との間でLINの規格に従った通信を行う。たとえば、車内通信部14は、車速センサ111Aから送信された車速情報、ブレーキ制御装置111Bから送信されたブレーキ情報、およびカメラ111Cから送信された画像情報を受信する。車速情報は、車両1の車速の計測結果を示す。ブレーキ情報は、車両1におけるブレーキの状態を示す。画像情報は、撮像された車両1の周辺画像を示す。
【0074】
なお、車載ECU101および各車載機器111は、LINに限らず、CAN(Controller Area Network)(登録商標)、CXPI(Clock Extension Peripheral Interface)、Ethernet(登録商標)、またはUSB(Universal Serial Bus)等の規格に従った通信を行う構成であってもよい。また、車載ECU101および車載機器111は、Bluetooth等の規格に従った無線通信を行う構成であってもよい。
【0075】
設定部12は、車外通信部11から出力された設定情報を受けて、当該設定情報を記憶部13に保存する。
【0076】
図9は、本開示の実施の形態に係る車載装置における記憶部に保存される設定情報の一例を示す図である。
【0077】
図9を参照して、設定部12は、設定情報として、車載ネットワークの通信規格と当該通信規格における車載ECU101の役割との対応関係を示す対応テーブルK1を記憶部13に保存する。
【0078】
再び
図8を参照して、設定部12は、車外通信部11により受信された設定情報に基づいて、役割に対応する、車載ECU101の動作設定を行う。
【0079】
より詳細には、設定部12は、車両1のイグニッションスイッチがオン状態へ切り替わったタイミング等の所定タイミングにおいて、記憶部13における対応テーブルK1に基づいて、車載ECU101の動作設定を行う。なお、所定タイミングは、設定情報を受信したタイミング等、他のイベントに応じたタイミングであってもよいし、定期的なタイミングであってもよい。
【0080】
たとえば、設定部12は、設定情報に基づいて、車載ネットワークの通信における役割に対応する、車載ECU101の通信動作の設定を行う。一例として、設定部12は、車両1に関する車両情報を、車両1から管理装置201へ送信するための設定に設定情報を用いる。具体的には、設定部12は、提供情報の作成に必要な所定の種類の車両情報が管理装置201へ送信されるように設定を行う。
【0081】
具体的には、たとえば、設定部12は、設定情報に基づいて、車載ネットワークにおいて車載ECU101がコマンダとして通信するかレスポンダとして通信するかを切り替える。また、たとえば、設定部12は、設定情報に基づいて、車載ネットワークにおいて車載ECU101がアクセスポイントとして通信するかステーションとして通信するかを切り替える。
【0082】
たとえば車種X1の車両1において、設定部12は、車速情報が管理装置201へ送信されるように、車載ECU101に対して設定を行う。
【0083】
より詳細には、
図8に示すように車載ECU101がLINバス10に接続され、車速センサ111Aから車速情報が定期的または不定期にLINバス10へ送信されている状況である場合、設定部12は、LINレスポンダとして動作して車速情報を受信し、かつ受信した車速情報を車外通信部11へ出力するように車内通信部14を設定する。また、設定部12は、車内通信部14から受けた車速情報を管理装置201へ送信するように車外通信部11を設定する。
【0084】
図10は、本開示の実施の形態に係る車載装置の車載ネットワークにおける接続位置の他の例を示す図である。
図10は、車載ECU101が
図7に示すような場所に搭載された場合を示している。
【0085】
図10に示すように車載ECU101が車速センサ111Aに1対1で接続され、車速センサ111Aから車内通信部14へ車速情報が送信されていない状況である場合、設定部12は、LINコマンダとして動作し、かつ車速センサ111Aに対して車速情報の送信を要求するように車内通信部14を設定する。
【0086】
車速センサ111Aは、車載ECU101からの要求を受けて、車速情報を定期的または不定期に車載ECU101へ送信する。また、設定部12は、受信した車速情報を車外通信部11へ出力するように車内通信部14を設定する。また、設定部12は、車内通信部14から受けた車速情報を管理装置201へ送信するように車外通信部11を設定する。
【0087】
このような設定処理が行われることにより、提供情報の作成に必要な車速情報が管理装置201へ送信される。
【0088】
図11は、本開示の実施の形態に係る車載装置における記憶部に保存されるソフトウェアモジュール情報の一例を示す図である。
【0089】
図11を参照して、記憶部13は、ソフトウェアモジュール情報として、設定情報のパターンとソフトウェアモジュールとの対応関係を示す対応テーブルK2を記憶する。
【0090】
具体的には、LINコマンダに対応するソフトウェアモジュールはAであり、LINレスポンダに対応するソフトウェアモジュールはBであり、WiFiアクセスポイントに対応するソフトウェアモジュールはCであり、WiFiステーションに対応するソフトウェアモジュールはDであり、Bluetoothコマンダに対応するソフトウェアモジュールはEであり、Bluetoothレスポンダに対応するソフトウェアモジュールはFである。
【0091】
車載ECU101は、ソフトウェアモジュールA~Fを搭載し、設定部12は、いずれか1つを選択的に有効化することにより、車内通信部14の動作設定を行う。なお、車載ECU101は、
図11に示す各通信規格の一部のソフトウェアモジュールを搭載する構成であってもよい。
【0092】
図12は、本開示の実施の形態に係る車載装置におけるソフトウェアモジュールごとの通信形態の一例を示す図である。
【0093】
図12を参照して、設定部12は、車内通信部14をLINコマンダとして動作するように設定する場合、対応テーブルK2を参照し、ソフトウェアモジュールAを有効化する。この場合、車内通信部14は、たとえば、LINの車載機器111と双方向通信を行う。
【0094】
設定部12は、車内通信部14をLINレスポンダとして動作するように設定する場合、対応テーブルK2を参照し、ソフトウェアモジュールBを有効化する。この場合、車内通信部14は、たとえば、LINの車載機器111から情報を受信する。
【0095】
設定部12は、車内通信部14をWiFiアクセスポイントとして動作するように設定する場合、対応テーブルK2を参照し、ソフトウェアモジュールCを有効化する。この場合、車内通信部14は、たとえば、WiFiの車載機器111へ情報を送信する。
【0096】
設定部12は、車内通信部14をWiFiステーションとして動作するように設定する場合、対応テーブルK2を参照し、ソフトウェアモジュールDを有効化する。この場合、車内通信部14は、たとえば、WiFiの車載機器111から情報を受信する。
【0097】
設定部12は、車内通信部14をBluetoothコマンダとして動作するように設定する場合、対応テーブルK2を参照し、ソフトウェアモジュールEを有効化する。この場合、車内通信部14は、たとえば、Bluetoothの車載機器111へ情報を送信する。
【0098】
設定部12は、車内通信部14をBluetoothレスポンダとして動作するように設定する場合、対応テーブルK2を参照し、ソフトウェアモジュールFを有効化する。この場合、車内通信部14は、たとえば、Bluetoothの車載機器111から情報を受信する。
【0099】
このような構成により、車載ECU101は、車載ネットワークの通信における役割を容易に切り替えることができる。
【0100】
なお、設定部12は、車外通信部11から受けた設定情報を記憶部13に保存する際、または記憶部13における対応テーブルK1を参照して車載ECU101の動作設定を行う際、たとえば予め保持している情報に基づいて、当該設定情報の内容の是非を判定する構成であってもよい。具体的には、たとえば、設定部12は、設定情報が、対応テーブルK2に登録されているいずれかのパターンを示す場合、設定情報の内容が正しいと判定し、当該設定情報に従って車載ECU101の動作設定を行う。一方、設定部12は、設定情報が、対応テーブルK2に登録されていないパターンを示す場合、設定情報の内容が誤りであると判定し、現状の動作設定を維持する。また、設定部12は、対応テーブルK2に限らず、予め保持している、車両1における実際の車載ネットワークの構成を示す情報等に基づいて、設定情報の内容の是非を判定する構成であってもよい。
【0101】
なお、上記で説明した「車種ごと」は、「車両の年式ごと」に置き換えてもよいし、「車種および年式の組み合わせごと」に置き換えてもよい。すなわち、設定部12は、車種および年式の少なくともいずれか一方ごとに設定情報を作成する。年式とは、車両が製造された年を意味する。
【0102】
[動作の流れ]
次に、本開示の実施の形態に係る通信システムにおける各装置の動作について図面を用いて説明する。
【0103】
通信システム301における各装置は、メモリを含むコンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のシーケンスの各ステップの一部または全部を含むプログラムを当該メモリから読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0104】
図13は、本開示の実施の形態に係る通信システムのシーケンスの一例を示す図である。以下では、車種X2の車両1における車載ECU101および複数の車載機器111、管理装置201、ならびに端末装置161の各装置の動作について説明する。複数の車載機器111は、車速センサ111A、ブレーキ制御装置111B、およびカメラ111Cであるとする。
【0105】
図13を参照して、まず、ユーザが車両1における
図8に示すような位置に車載ECU101を搭載したとする(ステップS10)。
【0106】
次に、ユーザが端末装置161に対して提供情報を取得するための操作を行ったとする。この場合、端末装置161は、提供情報を要求する旨を示す要求情報を、ネットワーク151を介して管理装置201へ送信する(ステップS11)。
【0107】
次に、管理装置201は、端末装置161から送信された要求情報を受信すると、各車種の設定情報を作成する。具体的には、管理装置201は、たとえば、車種X2に対応する設定情報として、LINレスポンダを示す設定情報を作成する(ステップS12)。
【0108】
次に、車両1のイグニッションスイッチがオン状態へ切り替わると、当該車両1における車載ECU101、車速センサ111A、ブレーキ制御装置111B、およびカメラ111Cが起動する(ステップS13)。
【0109】
次に、車載ECU101は、設定情報が作成済であるか否かを確認するための設定情報要求を、ネットワーク151経由で管理装置201へ送信する(ステップS14)。
【0110】
設定情報要求は、たとえば、送信元である車載ECU101の識別情報、および当該車載ECU101を搭載する車両1の車種X2等が含まれる。なお、車載ECU101は、起動すると設定情報要求の送信を行う構成に限らず、車両1のイグニッションスイッチがオン状態からオフ状態へ切り替わるまでの間、定期的または不定期に設定情報要求の送信を行う構成であってもよい。
【0111】
次に、管理装置201は、車載ECU101から送信された設定情報要求を受信すると、受信した設定情報要求の送信元である車載ECU101を搭載する車両1の車種が「X2」であることを確認する。また、管理装置201は、車種X2に対応する設定情報を作成したか否かを確認する。ここでは、管理装置201は、車種X2に対応する設定情報を作成しているため、当該設定情報をネットワーク151経由で、設定情報要求の送信元である車載ECU101へ送信する(ステップS15)。
【0112】
次に、車載ECU101は、管理装置201から送信された設定情報を受信すると、受信した設定情報を記憶部13に保存する(ステップS16)。
【0113】
次に、車両1のイグニッションスイッチがオフ状態へ切り替わり、その後、オン状態へ切り替わると、設定部12は、記憶部13における設定情報に基づいて、車載ECU101の動作設定を行う。具体的には、車載ECU101は、上述のように、車内通信部14がLINレスポンダとして動作して車速情報を受信し、かつ受信した車速情報が管理装置201へ送信されるように設定する。以後、車速センサ111Aからの車速情報が管理装置201へ送信されることになる(ステップS17)。
【0114】
次に、車載ECU101は、車速センサ111Aから送信された車速情報を受信する(ステップS18)。
【0115】
次に、車載ECU101は、上記設定処理の内容に従い、受信した車速情報をネットワーク151経由で管理装置201へ送信する(ステップS19)。
【0116】
次に、車載ECU101は、ブレーキ制御装置111Bから送信されたブレーキ情報を受信する(ステップS20)。
【0117】
次に、車載ECU101は、上記設定処理の内容に従い、受信したブレーキ情報の管理装置201への送信を行わない(ステップS21)。
【0118】
次に、車載ECU101は、カメラ111Cから送信された画像情報を受信する(ステップS22)。
【0119】
次に、車載ECU101は、上記設定処理の内容に従い、受信した画像情報の管理装置201への送信を行わない(ステップS23)。
【0120】
次に、管理装置201は、車載ECU101から送信された車速情報をネットワーク151経由で受信すると、受信した車速情報を用いて、提供情報を作成する(ステップS24)。
【0121】
次に、管理装置201は、たとえば、作成した提供情報を、ネットワーク151経由で端末装置161へ送信する(ステップS25)。これにより、ユーザにおいて、管理装置201により作成された提供情報を用いて特定の機能を実行することができる。そして、車両1におけるイグニッションスイッチがオフ状態へ切り替わるまでの間、上述したステップS18~ステップS25と同様の動作が繰り返し行われる。そして、車両1におけるイグニッションスイッチがオフ状態へ切り替わると、車載ECU101、車速センサ111A、ブレーキ制御装置111B、およびカメラ111Cが停止する。
【0122】
図14は、本開示の実施の形態に係る通信システムのシーケンスの他の例を示す図である。
【0123】
図14を参照して、まず、ユーザが車両1における
図10に示すような位置に車載ECU101を搭載したとする(ステップS30)。
【0124】
ステップS31~S36の処理は、
図13に示すステップS11~S16の処理と同様である。
【0125】
次に、車両1のイグニッションスイッチがオフ状態へ切り替わり、その後、オン状態へ切り替わると、設定部12は、記憶部13における設定情報に基づいて、車載ECU101の動作設定を行う。具体的には、車載ECU101は、上述のように、車内通信部14がLINコマンダとして動作して車速センサ111Aに対して車速情報の送信を要求し、かつ受信した車速情報が管理装置201へ送信されるように設定する(ステップS37)。
【0126】
次に、車載ECU101は、LINコマンダとして、車速センサ111Aに対して車速情報の送信を要求する。以後、車速センサ111Aから車速情報が送信され、車載ECU101を介して管理装置201へ送信されることになる(ステップS38)。
【0127】
次に、車載ECU101は、車速センサ111Aから送信された車速情報を受信する(ステップS39)。
【0128】
次に、車載ECU101は、受信した車速情報をネットワーク151経由で管理装置201へ送信する(ステップS40)。
【0129】
次に、管理装置201は、車載ECU101から送信された車速情報をネットワーク151経由で受信すると、受信した車速情報を用いて、提供情報を作成する(ステップS41)。
【0130】
次に、管理装置201は、たとえば、作成した提供情報を、ネットワーク151経由で端末装置161へ送信する(ステップS42)。これにより、ユーザにおいて、管理装置201により作成された提供情報を用いて特定の機能を実行することができる。そして、車両1におけるイグニッションスイッチがオフ状態へ切り替わるまでの間、上述したステップS39~ステップS42と同様の動作が繰り返し行われる。そして、車両1におけるイグニッションスイッチがオフ状態へ切り替わると、車載ECU101、車速センサ111A、ブレーキ制御装置111B、およびカメラ111Cが停止する。
【0131】
なお、管理装置201は、ユーザによる提供情報の要求を受ける構成に限らず、管理装置201を管理する事業者が車種または年式を管理装置201に対して指定し、設定情報の車両1への送信および提供情報の作成を行う構成であってもよい。また、管理装置201は、たとえば、何らかの情報に基づいて、設定情報の車両1への送信および提供情報の作成を自動的に行う構成であってもよい。
【0132】
また、車載ECU101、車速センサ111A、ブレーキ制御装置111B、およびカメラ111Cは、イグニッションスイッチがオン状態またはオフ状態へ切り替わること以外をトリガとして起動または停止する構成であってもよい。
【0133】
また、管理装置201は、車載ECU101から設定情報要求を受信した場合であって(ステップS14またはS34)、対応する設定情報の作成を行っていない場合、車載ECU101への設定情報の送信を行わない。
【0134】
また、車両1内での通信について、たとえば、ディーラ等において、ダイアグツール等を用いた車載ECU101の初期設定が当該車両1に行われていてもよい。この場合、車載ECU101が管理装置201からの設定情報を一度も受信していない状態であっても、車載機器111と車載ECU101との間の通信を正常に行うことができる。
【0135】
また、本開示の実施の形態に係る管理装置201の機能の一部または全部が、クラウドコンピューティングによって提供されてもよい。すなわち、本開示の実施の形態に係る管理装置201が、複数のサーバによって構成されるクラウドサーバであってもよい。
【0136】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0137】
1 車両
11 車外通信部
12 設定部
13 記憶部
14 車内通信部
21 通信部
22 記憶部
23 設定情報作成部
24 提供情報作成部
31 通信部
101 車載ECU(車載装置)
111 車載機器
151 ネットワーク
161 端末装置
201 管理装置
301 通信システム