(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168963
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】充放電装置、充放電制御方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20231121BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 L
H02J3/32
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080375
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】岡田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 涼
(72)【発明者】
【氏名】小山 晋吾
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA02
5G066JA04
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA04
5G503BB01
5G503FA06
(57)【要約】
【課題】外部からの信号に対してどのように動作するかの制御を、多様に設定可能な充放電装置、充放電制御方法、及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】充放電装置は、車両に設けられた蓄電池と接続され、前記蓄電池と、電源又は負荷と、の間で充放電を制御する制御部を備える充放電装置であって、該充放電装置の外部から1又は複数の信号を受け付ける外部信号受付部を備え、前記制御部は、前記外部信号受付部で受け付ける1又は複数の信号のオンが検知された場合の前記充放電装置の待機、及び停止を含む動作内容の設定を、前記1又は複数の信号別に、充電中、放電中及び自立給電中を含む運転状況毎に受け付け、受け付けた動作内容の設定を、前記1又は複数の信号別に、運転状況毎に記憶しておき、前記外部信号受付部で受け付ける1又は複数の信号のオンが検知された場合、記憶してある設定に従って動作させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた蓄電池と接続され、前記蓄電池と、電源又は負荷と、の間で充放電を制御する制御部を備える充放電装置であって、
前記充放電装置は、前記車両に搭載される機器を除く機器から1又は複数の信号を受け付ける外部信号受付部を備え、
前記制御部は、
前記外部信号受付部で受け付ける1又は複数の信号のオンが検知された場合の前記充放電装置の待機、及び停止を含む動作内容の設定を、前記1又は複数の信号別に、充電中、放電中及び自立給電中を含む運転状況毎に受け付け、
受け付けた動作内容の設定を、前記1又は複数の信号別に、運転状況毎に記憶しておき、
前記外部信号受付部で受け付ける1又は複数の信号のオンが検知された場合、記憶してある設定に従って動作させる
充放電装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記動作内容の設定として、待機及び停止に加えて、何もしないとの選択を受け付ける、
請求項1に記載の充放電装置。
【請求項3】
前記外部信号受付部は、継電器から出力される外部停止信号を複数受け付ける
請求項1又は2に記載の充放電装置。
【請求項4】
前記外部信号受付部は、接点出力信号を受け付ける
請求項1又は2に記載の充放電装置。
【請求項5】
前記外部信号受付部は、外部スイッチの出力を受け付ける
請求項1又は2に記載の充放電装置。
【請求項6】
車両に設けられた蓄電池と接続され、前記蓄電池と電源又は負荷との間で充放電を制御する充放電装置の制御方法であって、
前記充放電装置は、前記充放電装置は、前記車両に搭載される機器を除く機器から1又は複数の信号を受け付ける外部信号受付部を備え、
前記充放電装置の制御部は、
前記外部信号受付部で受け付ける1又は複数の信号のオンが検知された場合の前記充放電装置の待機、及び停止を含む動作内容の設定を、前記1又は複数の信号別に、充電中、放電中及び自立給電中を含む運転状況毎に受け付け、
受け付けた動作内容の設定を、前記1又は複数の信号別に、運転状況毎に記憶しておき、
前記外部信号受付部で受け付ける1又は複数の信号のオンが検知された場合、記憶してある設定に従って動作させる
充放電制御方法。
【請求項7】
車両に設けられた蓄電池と接続され、前記蓄電池と電源又は負荷との間で充放電を制御する充放電装置に搭載されるコンピュータに、
前記車両に搭載される機器を除く機器から1又は複数の信号を受け付ける外部信号受付部で受け付ける1又は複数の信号のオンが検知された場合の前記充放電装置の待機、及び停止を含む動作内容の設定を、前記1又は複数の信号別に、充電中、放電中及び自立給電中を含む運転状況毎に受け付け、
受け付けた動作内容の設定を、前記1又は複数の信号別に、運転状況毎に記憶しておき、
前記外部信号受付部で受け付ける1又は複数の信号のオンが検知された場合、記憶してある設定に従って動作するよう制御する
処理を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられた蓄電池に対する充放電を制御する充放電装置、充放電制御方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車に備えられている蓄電池の電池容量は比較的大容量である。これらの車両の蓄えられた電力を、電気自動車の駆動以外に、例えば家庭内の負荷へ供給することを可能とするV2H(Vehicle to Home )を実現する技術が提案されている。V2Hに限らず、より規模の大きい建物への電力供給を可能とするV2B(Vehicle to Building )、電力網への供給を可能とするV2G(Vehicle to Grid )を含むV2Xを実現する技術が提案されている。これらの技術により、災害発生によって停電状態となったとしても、移動が可能な電気自動車に蓄えられた電力を供給して生活を維持したり、工場の稼働を維持したりすることが期待できる。
【0003】
V2Xの実現には、車両の蓄電池に接続される充放電用ケーブルを有し、車両における充放電の制御と、電力網からの電力供給とを調整して充放電制御を実施することができる充放電装置の配備が必要になる。特許文献1には、停電時であっても自立運転を行なうことが可能な充放電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
充放電装置は、電力供給源である電力網が停電した場合や逆電力を検出した場合に一旦、安全に運転を停止したり、地絡していることが検出された場合に安全に運転を停止したりするなど、状況に応じた所定の制御を、外部停止信号に応じて実施するように設定されている。
【0006】
充放電装置による所定の制御は、使用環境や、その用途に応じて多様に設定できることが好ましい。
【0007】
本発明は、斯かる事情を鑑みてなされたものであり、外部からの信号に対してどのように動作するかの制御を、多様に設定可能な充放電装置、充放電制御方法、及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施形態の充放電装置は、車両に設けられた蓄電池と接続され、前記蓄電池と、電源又は負荷との間で充放電を制御する制御部を備える充放電装置であって、前記充放電装置は、前記車両に搭載される機器を除く機器から1又は複数の信号を受け付ける外部信号受付部を備え、前記制御部は、前記外部信号受付部で受け付ける1又は複数の信号のオンが検知された場合の前記充放電装置の待機、及び停止を含む動作内容の設定を、前記1又は複数の信号別に、充電中、放電中及び自立給電中を含む運転状況毎に受け付け、受け付けた動作内容の設定を、前記1又は複数の信号別に、運転状況毎に記憶しておき、前記外部信号受付部で受け付ける1又は複数の信号のオンが検知された場合、記憶してある設定に従って動作させる。
【0009】
本開示の一実施形態の充放電制御方法は、車両に設けられた蓄電池と接続され、前記蓄電池と電源又は負荷との間で充放電を制御する充放電装置の制御方法であって、前記充放電装置は、前記充放電装置は、前記車両に搭載される機器を除く機器から1又は複数の信号を受け付ける外部信号受付部を備え、前記充放電装置の制御部は、前記外部信号受付部で受け付ける1又は複数の信号のオンが検知された場合の前記充放電装置の待機、及び停止を含む動作内容の設定を、前記1又は複数の信号別に、充電中、放電中及び自立給電中を含む運転状況毎に受け付け、受け付けた動作内容の設定を、前記1又は複数の信号別に、運転状況毎に記憶しておき、前記外部信号受付部で受け付ける1又は複数の信号のオンが検知された場合、記憶してある設定に従って動作させる。
【0010】
本開示の一実施形態のコンピュータプログラムは、車両に設けられた蓄電池と接続され、前記蓄電池と電源又は負荷との間で充放電を制御する充放電装置に搭載されるコンピュータに、前記車両に搭載される機器を除く機器から1又は複数の信号を受け付ける外部信号受付部で受け付ける1又は複数の信号のオンが検知された場合の前記充放電装置の待機、及び停止を含む動作内容の設定を、前記1又は複数の信号別に、充電中、放電中及び自立給電中を含む運転状況毎に受け付け、受け付けた動作内容の設定を、前記1又は複数の信号別に、運転状況毎に記憶しておき、前記外部信号受付部で受け付ける1又は複数の信号のオンが検知された場合、記憶してある設定に従って動作するよう制御する処理を実行させる。
【0011】
本開示の充放電装置、充放電制御方法、及びコンピュータプログラムでは、外部停止信号に応じた動作内容を、運転状況毎に設定可能である。充放電装置の制御部は、設定に従って動作するように制御する。充電中である場合のみに運転を停止し、放電中(給電中)である場合、又は外部の電力網と接続されていない自立給電中である場合は、待機する、といった設定が可能になる。
【0012】
ここで外部停止信号は、車載機器を除く、充放電装置が設置されている環境における状況を検知する機器からの信号をいう。また外部停止信号は、公衆通信網を介して得られる通信信号を除いてもよい。機器は、保護継電器、センサ等であって、充放電装置を一旦停止させたり、待機させたりするべき状況であることを検知する機器を意味する。
【0013】
充放電装置が使用する電力の契約状況、使用頻度等は、充放電装置が設置される環境に応じて異なるため、状況に関わらず、信号に対して停止するか待機するか、の二択では、ニーズに合わないケースが生じる。これに対し、環境に応じて状況毎の多様な設定が可能となることにより、充放電装置の充放電を適切に管理し、結果として電力使用効率を向上させることも期待できる。
【0014】
本開示の一実施形態の充放電装置では、前記制御部は、前記制御内容の設定として、待機及び停止に加えて、何もしないとの選択を受け付ける。
【0015】
本開示の充放電装置では、運転停止又は待機(のちに復帰)のみならず、何もしない、という選択も可能である。充電及び放電(給電)のいずれも可能な充放電装置であるため、発電中か否か、という2つの状況のみが想定されるパワーコンディショナ等と異なり、多様な対応が可能である。例えば、外部からの停止信号が検知されたとしても何ら反応せず、そのまま実行中の動作を継続してもよい状況があり得る。何もしない、という選択が可能であることにより、外部信号別の運転状況毎の適切な動作を充放電装置に行なわせることが可能である。
【0016】
本開示の一実施形態の充放電装置では、前記外部信号受付部は、継電器から出力される外部停止信号を複数受け付ける。
【0017】
本開示の充放電装置では、外部信号として、継電器から出力されるRPR信号、及びOVGR信号等の継電器からの信号を複数受け付け、信号別に異なる動作をするように設定されていてもよい。
【0018】
本開示の一実施形態の充放電装置では、前記外部信号受付部は、接点出力信号を受け付ける。
【0019】
本開示の充放電装置では、異常が検知された場合に他の装置から出力される接点出力信号を受け付けてもよい。接点出力信号は他の継電器からの信号と組み合わせられてもよい。
【0020】
本開示の一実施形態の充放電装置では、前記外部信号受付部は、外部スイッチの出力を受け付ける。
【0021】
本開示の充放電装置では、管理者等によって別途設けられるスイッチからの出力が受け付けられてもよい。他の継電器からの信号や、接点出力信号に対する設定と組み合わせてもよい。これにより、充放電装置の使用環境、使用目的等に応じた制御を多様に設定可能である。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、充放電装置における外部からの信号に対する動作を多様に設定可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】充放電装置を含む充放電システムの概要図である。
【
図2】充放電装置及び車両の接続構成を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態における設定受付手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】メモリに記憶される設定内容の一例の説明図である。
【
図10】第2実施形態における設定受付手順の一例を示すフローチャートである。
【
図11】第2実施形態の設定受付画面の内容例を説明する図である。
【
図12】第2実施形態でメモリに記憶される設定内容の一例の説明図である。
【
図13】第2実施形態でメモリに記憶される設定内容の他の一例の説明図である。
【
図14】第2実施形態でメモリに記憶される設定内容の他の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、充放電装置1を含む充放電システム200の概要図である。充放電システム200は、充放電装置1と、充放電装置1を介して供給可能な電力を使用する負荷21を含む。負荷21は、家庭、事業所等の建物内に配置されている電気負荷である。充放電システム200は、電力線PLにより、電力源である電力系統Eに接続されている。電力源は電力系統Eに限らず、直流電力網であってもよい。電力源からの供給電力は、分電盤28で負荷21及び充放電装置1へ分岐される。充放電システム200は、多数の車両Vで使用可能な駐車場に設置された複数の充放電装置1を含む構成であってもよい。充放電システム200は、その他、燃料電池を含んでもよい。
【0026】
充放電装置1には、蓄電装置を内蔵する電気自動車である車両Vが接続される。充放電装置1は、車両Vの蓄電装置への充電が可能であるとともに、車両Vの蓄電措置を電力源として負荷21へ給電することも可能である。
【0027】
充放電システム200は、
図1に示すように、充放電装置1及び負荷21のみならず、連系装置である蓄電装置22又は発電装置23等を含んでもよいし、通信線CLを介して上位装置29と接続されていてもよい。上位装置29は、充放電装置1に接続されている場合、電力源からの負荷21への電力の授受、及び、発電装置23からの負荷21群への電力授受、充放電装置1への車両Vにおける充放電を制御する。上位装置29は、
図1に示すように、サーバ装置として外部に設けられて遠隔から制御するものであってもよいし、分電盤28に設置された建物内での電力の需給、充放電、発電等を制御するHEMS(Home Energy Management System)であってもよい。上位装置29は、充放電装置1に内蔵されて充放電を制御するものであってもよい。
【0028】
充放電システム200には、地絡過電圧継電器24、又は逆電力継電器25等の保護継電器が含まれている。これらの保護継電器から出力される信号(RPR(Reverse Power Relay )信号、OVGR(Overvoltage Relay )信号等)が充放電装置1に入力されている。これにより、充放電装置1は、システム内で地絡が起こった場合や、逆電力が発生した場合等、運転を停止すべき状態になったことが検知された場合に、これを検知することができる。
【0029】
図2は、充放電装置1及び車両Vの接続構成を示すブロック図である。車両Vは、電気自動車(EV:Electric Vehicle)、ハイブリッド電気自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、又は燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle )である。
【0030】
車両Vは、その駆動に用いることが可能な大容量の蓄電装置30を備える。車両Vは、蓄電装置30に接続される電力線VPLへのコネクタ35と、蓄電装置30における充放電を制御する車載制御装置32とを備える。電力線VPLには、車両V側の充放電回路に含まれるDCリレー33が介装されており、車載制御装置32がDCリレー33のON及びOFFを制御する。コネクタ35には車載制御装置32と通信接続するための通信端子が含まれている。
【0031】
充放電装置1は、充放電回路10、制御部11、車両通信部12、電源部13、操作部14、外部信号受付部17及び上位通信部16を備える。充放電回路10は、双方向インバータ、各種リレー等の多様な回路素子を含む。充放電回路10は、車両Vと接続するコネクタ15と接続されるDCリレー10aと、電力系統Eと接続される電力線PLに介装された解列リレー10bとを含む。充放電回路10は、DCリレー10aを介してコネクタ15と電力線PLによって接続されている。
【0032】
制御部11は、充放電回路10に含まれる回路素子を制御し、車両Vの蓄電装置30に対する充放電の切り替え、電流量、及び電圧量を制御する。制御部11はCPU(Central Processing Unit)及び不揮発性のメモリを含み、CPUはメモリに記憶されたコンピュータプログラム1Pに基づく制御処理を実行して充放電回路10を制御する。
【0033】
制御部11のメモリに記憶されているコンピュータプログラム1Pは、コンピュータから読み取り可能な記憶媒体9に記憶されていたコンピュータプログラム9PをCPUが読み出してメモリに記憶したものであってもよい。
【0034】
車両通信部12は、コネクタ15及びコネクタ35を介して車載制御装置32と通信接続が可能である。車両通信部12の通信接続のプロトコルは車両V、コネクタ15,35に対応する充放電方式に準拠していればよく、異なる充放電方式に適用するように複数のプロトコルに対応していずれかを選択的に実行できてもよい。本実施形態では車両通信部12は、CAN(Controller Area Network)によって車載制御装置32と通信する。PLC(Power Line Communication)によって通信が実現されてもよい。
【0035】
電源部13は、UPS(Uninterruptible Power Systems)回路及び起動用蓄電池を含み、制御部11へ電力を供給する。電源部13は、停電時には起動用蓄電池から充放電装置1の起動に必要な電力を供給する。電源部13は、電力系統E、発電装置23又は車両Vからの電力を起動用蓄電池に充電してもよい。
【0036】
操作部14は、ディスプレイ、ディスプレイ内蔵タッチパネル、及び物理ボタンを含む。操作部14は、充放電装置1の外装に露出してタッチパネル操作を受け付ける。操作部14は、充放電装置1の本体とは隔離された構成としてよく、例えば、建物内のリモートコントーラとして構成されてもよい。操作部14は、管理者(ユーザ)が所持するスマートフォン又はタブレット端末等の通信端末の操作インタフェースで受け付けた操作情報を、無線通信を介して受け付ける構成であってもよい。制御部11は、操作部14にて受け付けられた操作に基づいて後述する設定受付処理を実行する。操作部14は、ランプを含み、状態に応じた色又はパターンで点灯するように制御部11によって制御されてもよい。
【0037】
上位通信部16は、上位装置29と通信線CLを介して又は無線通信を介して通信を実現する。上位通信部16は例えば、Ethernet(登録商標)あるいはModbus(登録商標)プロトコルに準拠した通信線CLに対応する通信モジュールであってもよいし、ECHONET /ECHONETLite (登録商標)対応の通信線CLに対応する通信モジュールであってもよい。上位通信部16は、PLCにより通信を実現してもよい。上位通信部16は、WiFi(登録商標)、 Bluetooth(登録商標)又はキャリア通信に対応する無線通信モジュールであってもよい。
【0038】
外部信号受付部17は、充放電装置1の外部から出力される信号を受け付ける端子である。外部信号受付部17は例えば、PRP信号、OVGR信号等、その他、充放電システム200内外の継電器から出力される信号を受け付ける。外部信号受付部17は、後述するように、充放電システム200内に設けられたスイッチからの出力を受け付けてもよい。外部信号受付部17は、1又は複数の信号を受け付ける。以下の説明では、外部信号受付部17は、2つの信号を受け付けるものとして説明する。制御部11は、外部信号受付部17で受け付けられた信号の信号レベルを検知し、メモリに記憶してある各端子で入力された信号に応じた動作設定に基づき、停止、待機等への遷移を制御する。動作内容の設定は、後述するように操作部14に対する操作によって変更可能である。
【0039】
上述のように構成される充放電装置1の充放電回路10は、
図1及び
図2に示すように、コネクタ15が車両Vのコネクタ35と接続された状態において、DCリレー10a及び車両V側のDCリレー33を介して車両Vの蓄電装置30と電力線PLにより接続されている。充放電回路10は、
図1及び
図2に示すように、解列リレー10b及び分電盤28を介して電力系統E、及び連系機器(蓄電装置22、発電装置23等)と電力線PLによって接続されている。充放電装置1は、電力系統Eと、車両Vの蓄電装置30、及び連系機器との間の電力の授受を制御する。充放電回路10は、解列リレー10b、DCリレー10a、及びDCリレー33が全てONの状態の場合に、電力線PLを介して蓄電装置30の蓄電装置22や負荷への放電、又は電力系統Eからの蓄電装置30への充電を実施できる。
【0040】
充放電装置1の制御部11は、車両通信部12を介して車載制御装置32と情報を送受信し、その情報に基づいて充放電回路10を制御する。制御部11は、上位通信部16を介して送受信される上位装置29からの情報に基づいて制御を実行してもよい。充放電装置1の制御部11は特に、充放電を実行する前に、車載制御装置32との間で所定の接続シーケンスを実行し、充放電開始が可能な状態となる。所定の接続シーケンスは例えば、CHAdeMO (登録商標)等の充放電制御規格で規定されている。
【0041】
充放電装置1は、外部信号受付部17に入力される外部信号に基づく制御部11の制御内容を設定可能である。
図3は、第1実施形態における設定受付手順の一例を示すフローチャートである。充放電装置1の操作部14のディスプレイに表示されている操作画面に対し、管理者あるいは保守担当者が設定メニューのオプション設定を選択すると、以下の処理が開始される。
【0042】
充放電装置1の制御部11は、外部信号受付部17の2つの端子のいずれかの選択を受け付ける(ステップS101)。ステップS101において制御部11は、外部信号受付部17が含む端子の数に応じて、何番目なのかの選択を受け付ける。
【0043】
制御部11は、選択された端子に対し、後述の動作内容を実行する状況を、「充電中」、「給電中」及び「自立給電中」のいずれかを選択する(ステップS102)。制御部11は、状況の識別データ(状況番号)をそのまま受け付けてもよい。
【0044】
制御部11は、選択された端子に入力される信号の信号レベルがオンとなった場合の動作内容の選択を、ステップS102で選択した状況別に受け付ける(ステップS103)。選択対象の動作内容は、第1実施形態では、第1に「待機(解除から300秒後に復帰)」、第2に「待機(解除から即時復帰)」、第3に「正常停止」、第4に「異常停止」、第5に「何もしない」である。制御部11は、動作内容の識別データ(動作内容番号)をそのまま受け付けてもよい。動作内容は、これに限られず、復帰までの時間は300秒に限らないし、6つ以上の選択対象があってもよい。
【0045】
制御部11は、選択された端子の識別データに対応付けて、選択された動作内容の識別データ(動作内容番号)を、その動作内容を実施する状況の識別データ(状況番号)別にメモリに記憶し(ステップS104)、設定受付手順を終了する。
【0046】
図4は、設定受付画面の内容例を説明する図である。設定受付画面140は、端子の選択インタフェース141、状況選択インタフェース142、動作内容の選択インタフェース143、及び、設定ボタン144を含む。
【0047】
端子の選択インタフェース141は、切り替えボタンを含み、切り替えボタンが選択される都度、対象の端子が巡回的に切り替わる。
図4の設定受付画面140では、1つ目の「端子1」が選択されている。
【0048】
状況選択インタフェース142は、切り替えボタンを含み、切り替えボタンが選択される都度、制御内容を実行する対象の状況が切り替わる。
図4の設定受付画面140では、動作内容を実行する状況として「充電中」が選択されている。状況選択インタフェース142は、
図4の例では、状況をテキスト(ここでは「充電中」)で表示して切り替えボタンで選択可能としているが、状況の識別データ(状況番号)の入力を受け付ける入力欄であってもよい。
【0049】
動作内容の選択インタフェース143は、切り替えボタンを含み、切り替えボタンが選択される都度、対象の状況に対して設定されている動作内容が表示される。
図4の設定受付画面140では、動作内容として「待機(解除から300秒後に復帰)」が選択されている。動作内容の選択インタフェース143は、
図4の例では動作内容をテキスト(ここでは「待機(解除から300秒後に復帰)」で表示して切り替えボタンで選択可能としているが、動作内容の識別データ(動作内容番号)の入力を受け付ける入力欄であってもよい。
【0050】
設定受付画面140は、設定ボタン144を含む。設定ボタン144が選択されると、各状況に対して選択されている動作内容の設定が、制御部11のメモリに記憶される。
【0051】
図5は、メモリに記憶される設定内容の一例の説明図である。メモリには、
図5に示すように、端子の識別データに対し、充電中、給電中、及び自立給電中それぞれの識別データ(状況番号)に対応付けて動作内容の識別データ(動作内容番号)が記憶される。
図5では、説明を分かり易くするために、状況及び動作内容について識別データのみならず、各状況及び制御内容を文字で示しているが、記憶されるデータは識別データでよい。
【0052】
図5の例では、1番目の端子「端子1」に入力される信号の信号レベルがオンとなった場合、運転状況が「給電中」であるときに、待機する(信号レベルのオンが解除されてから300秒後に復帰)という動作が設定されている。1番目の端子「端子1」に入力される信号の信号レベルがオンとなった場合、運転状況が「充電中」及び「自立給電中」である場合については何も選択されておらず、即ち、信号オンに対して何もしない、との設定がされている。この場合、充電又は給電がそのまま継続する。同様に2番目の端子「端子2」に入力される信号の信号レベルがオンとなった場合、運転状況がどの状況であっても待機する(信号レベルのオンが解除されたときには即時に復帰)という動作が設定されている。
【0053】
図5に示したように、端子毎、及び運転状況別に、外部信号の信号レベルがオンとなった場合の動作内容(待機、停止又は何もしない(そのままの動作を継続))が各々設定できることにより、充放電装置1は、使用状況等に応じて下記のような制御をするように設定される。
【0054】
第1の例では、充放電装置1の管理者あるいは保守担当者が、外部信号受付部17の端子の1つ目の端子に、逆電力継電器25からのRPR信号、2つ目の端子に、地絡過電圧継電器24からのOVGR信号を入力させる場合の設定について説明する。
【0055】
この場合、管理者あるいは保守担当者により、
図5に示した内容を設定できる。この設定では、電力系統Eと接続された状態で、逆電力が検知されてRPR信号がオンとなったことが外部信号受付部17を介して検知された場合、制御部11は、給電中であるときは、車両Vの蓄電装置30からの出力を停止する。制御部11は、充電中であるとき、逆電力は充放電装置1の制御を原因とするものではないため、何もせず、即ち、運転を停止せずそのまま継続する。待機中や停止状態である場合も同様である。制御部11は、電力系統Eと接続された状態ではない自立給電中も、何もせず、即ち、運転を停止せずそのまま継続する。このように、充放電装置1の管理者あるいは保守担当者によって、状況に応じた動作内容を設定できる。
【0056】
OVGR信号がオンとなったことが外部信号受付部17を介して検知された場合、制御部11は、
図5に示した設定では、「充電中」、「放電中」及び「自立給電中」のいずれであっても、車両Vの蓄電装置30からの出力、運転を停止する。自立給電中の場合、電源部13の起動用蓄電池の劣化を防ぐために、運転を停止する。いずれの場合も、設定に基づき、地絡が解消されたことが検知できると、制御部11は、即座に所定のシーケンスを実行して車載制御装置32と接続処理を実行し、充放電又は自立給電をするように復帰する。
【0057】
また、第1の例において「待機(解除から即時復帰)」が設定されている場合、OVGR信号がオンとなったことが検知されると、制御部11は、「充電中」、及び「給電中(放電中)」では、車両Vの蓄電装置30からの出力を停止する。ただし、制御部11は、終了時の所定シーケンス(通信接続を切断する等)を実行することなく、接続待機状態に遷移する。接続待機状態とは、充放電装置1のDCリレー10aと車両VのDCリレー33がオンであって、充放電装置1と車載制御装置32との間の通信接続が維持されていて情報の送受信が可能であり、充放電をいつでも開始できる状態である。制御部11は、「待機(解除から即時復帰)」が設定されている場合、OVGR信号がオンとなったことが検知されたタイミングで「自立給電中」であるときには、出力を停止すると共に終了時の所定シーケンスも実行して終了し、管理者が手動で充放電装置1を復帰させるまで運転を開始しないようにする、という内容としてもよい。以下、「待機(解除から即時復帰)」に設定されている場合は同様の動作をするようにしてもよい。
【0058】
第2の例では、充放電装置1の管理者あるいは保守担当者が、外部信号受付部17の端子に、外部からの接点出力信号、例えば連系装置等で異常が検知された場合の接点出力信号を入力させるケースの設定について説明する。充放電装置1の管理者あるいは保守担当者が、外部からの接点出力信号が入力されたときに出力を一時的に停止させ、即座に出力を再開させたい場合、以下のように設定する。
【0059】
図6は、第2の例における設定内容の説明図である。第2の例では、1番目の端子「端子1」のみに対して設定されている。第2の例でも、1番目の端子「端子1」に入力される信号の信号レベルがオンとなった場合、運転状況がどの状況であっても待機する(信号レベルのオンが解除されたときには即時に復帰)との動作設定がされている。
【0060】
第2の例では、外部からの接点出力信号がオンとなったことが外部信号受付部17を介して検知された場合、制御部11は、「充電中」、「放電中」及び「自立給電中」のいずれであっても、車両Vの蓄電装置30からの出力、運転を停止する。充放電装置1の管理者あるいは保守担当者が、外部からの接点出力信号が入力されたときに出力を一時的に停止させ、接点出力信号がオフとなった場合に即時復帰させるように制御することが可能になる。
【0061】
第3の例では、充放電装置1の管理者あるいは保守担当者が、外部信号受付部17の端子に、外部からの接点出力信号、例えば連系装置等で異常が検知された場合の接点出力信号を入力させるケースでの他の設定について説明する。第3の例では、充放電装置1の管理者あるいは保守担当者が、何らかの状況でオンとなるスイッチを増設し、そのスイッチの出力を外部信号受付部17の端子に入力させる場合を併せて説明する。充放電装置1の管理者あるいは保守担当者が、外部からの接点出力信号が入力された場合に、充電のみを一時的に停止させ、増設したスイッチがオンとなった場合に異常停止させるようにしたいときには、以下のように設定する。
【0062】
図7は、第3の例における設定内容の説明図である。第3の例では、1番目の端子「端子1」に入力される信号の信号レベルがオンとなった場合、運転状況が「充電中」であるときに、待機する(信号レベルのオンが解除されたときには即時に復帰)との動作内容が設定されている。1番目の端子「端子1」に入力される信号の信号レベルがオンとなった場合、運転状況が「給電中」及び「自立給電中」であるときには、何もしない、即ち運転を停止しない、との設定がされている。そして2番目の端子「端子2」に入力される信号の信号レベルがオンとなった場合、運転状況がどの状況であっても異常停止するとの動作内容が設定されている。
【0063】
第3の例では、外部からの接点出力信号がオンとなったことが外部信号受付部17を介して検知された場合、制御部11は、「充電中」のみ一時的に、充放電装置1を待機状態に遷移させ、その他の状況時には何もしない。そして接点出力信号がオフとなった場合、制御部11は、所定のシーケンスを実行して車載制御装置32と接続処理を実行し、充電を再開するように復帰する。
【0064】
増設されたスイッチがオンとなったことが外部信号受付部17を介して検知された場合、制御部11は、
図7に示した設定では、「充電中」、「放電中」及び「自立給電中」のいずれであっても、車両Vの蓄電装置30からの出力、運転を異常停止させる。このようにして何らかの状態になった場合には、異常停止させる、という設定が可能である。
【0065】
充放電装置1は、
図5-
図7に示したような設定内容が可能であるため、外部信号受付部17で受け付けている信号の信号レベルがオンになったときに、制御部11が、運転状況に応じてどのような制御をするかを、多様な組み合わせで設定可能である。
【0066】
(変形例)
なお、外部信号受付部17にて複数の信号を受け付けることができる以上、それらの複数の信号がオンとなることが想定される場合、どちらの動作内容を優先すべきかの設定が必要である。
図8は、優先順位の設定例を示す図である。
図8は、
図5に示した動作内容の設定に、更に優先順位の設定が加えられた例を示している。
図8の例では、1つ目の端子及び2つ目の端子それぞれに入力された信号がいずれもオンとなった場合、2つ目の端子に入力される信号に基づく動作内容を優先する。なお優先順位の設定は、設定受付画面140の選択インタフェース141にて端子の選択を受け付ける際に(S101)、共に優先順位に対応する数値の入力を受け付けることによって達成するとよい。
【0067】
若しくは、動作内容それぞれについて優先順位が設定可能であってもよい。
図9は、動作内容毎の優先順位を示す図である。
図9の例では、動作内容の5つ目の選択肢として「緊急停止」が加えられており、「緊急停止」という動作内容が最も優先順位が高く設定されている。
図9に示す例がデフォルトとして設定されているとよい。次に「異常停止」、「正常停止」の順に優先順位が設定され、更に「待機(解除から300秒後に復帰)」、「待機(解除から即時復帰)」の順に優先順位が設定されている。
【0068】
「緊急停止」の動作内容は、DCリレー10a及びDCリレー33を即時オフとし、充放電の出力の降下速度を速めて直ちに出力停止とし、充放電装置1と車載制御装置32との間の通信接続も切断する。「緊急停止」の場合、ユーザの手動により復帰操作がされるまでは終了したままとする。その他「**停止」は、充放電装置1と車載制御装置32との間の通信接続は維持したまま、出力を停止する。
図10の例のように設定されている場合、動作内容として、1つ目の端子に対して「充電中」に「待機(解除から即時復帰)」が設定され、2つ目の端子に対して「充電中」に「緊急停止」が設定されていると、制御部11は以下のように動作する。充電中に、いずれの端子に入力されている信号もオンとなった場合、制御部11は、それぞれに設定されている動作内容を参照し、優先順位が高い方の動作内容、例えば「緊急停止」を実施する。優先順位を設けることにより、外部信号受付部17を、複数の信号をそれぞれ入力できる構成としたとしても、安全に適切に動作させることが可能になる。
【0069】
(第2実施形態)
第2実施形態では、充放電装置1は、外部信号受付部17に受け付けている信号に基づく「充電中」、「給電中」及び「自立給電中」の状況別の動作内容の設定を、その状況が、どのような操作等に基づくものなのかによって区別して受け付ける。第2実施形態における充放電システム200の構成は、後述する設定処理及び設定に基づく制御を除いて、第1実施形態の充放電システム200と同様である。したがって、共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0070】
図10は、第2実施形態における設定受付手順の一例を示すフローチャートである。充放電装置1の操作部14のディスプレイに表示されている操作画面に対し、管理者あるいは保守担当者が設定メニューのオプション設定を選択すると、以下の処理が開始される。
【0071】
充放電装置1の制御部11は、外部信号受付部17の2つの端子のいずれかの選択を受け付ける(ステップS201)。ステップS201において制御部11は、外部信号受付部17が含む端子の数に応じて、何番目なのかの選択を受け付ける。
【0072】
制御部11は、選択された端子に対する信号レベルの設定対象の運転内容の選択を受け付ける(ステップS202)。ステップS202において制御部11は、充放電装置1で選択できる運転内容のいずれかの選択を受け付ける。運転内容は、例えば、操作部14で充電を指定してスタートさせる「充電運転」、操作部14で給電を指定してスタートさせる「給電運転」、自立給電を指定してスタートさせる「自立運転」を含む。運転内容は更に、充電又は給電を時刻と共に予約する「予約運転」、及び、上位装置29からの指示に応じて充電又は給電を実施させる「EMS運転」を含む。運転内容は更に、制御部11自身の制御によって充電及び給電を適宜実施する「出力自律運転」、及び、課金に応じて充電を実行する「課金充電運転」を含む。ステップS202において制御部11は、運転内容の識別データ(運転内容番号)をそのまま受け付けてもよい。
【0073】
制御部11は、選択された運転内容毎に、後述の動作内容を実行する状況を「充電中」、「給電中」及び「自立給電中」のいずれかを選択する(ステップS203)。ステップS203において制御部11は、選択された運転内容が「充電運転」の場合、「充電中」のみを選択肢とし、他を選択させないようにしてもよい。同様にして、「給電運転」が選択されている場合には「給電中」のみが選択肢となり、「自立運転」が選択されている場合には「自立給電中」のみが選択肢となるようにしてもよい。「予約運転」が選択されている場合、制御部11はステップS203において「充電中」又は「給電中」の選択を受け付け、「自立給電中」の選択は受け付けない。同様にして「EMS運転」及び「出力自律運転」の選択がされている場合、制御部11は、「充電中」又は「給電中」の選択を受け付け、「自立給電中」の選択は受け付けない。「課金充電運転」が選択されている場合、制御部11は、「充電中」のみの選択を受け付ける。ステップS203において制御部11は、状況の識別データ(状況番号)をそのまま受け付けてもよい。
【0074】
制御部11は、選択された状況において、端子に入力される信号の信号レベルがオンとなった場合の動作内容の選択を受け付ける(ステップS204)。選択対象の動作内容は、第1実施形態では、第1に「待機(解除から300秒後に復帰)」、第2に「待機(解除から即時復帰)」、第3に「正常停止」、第4に「異常停止」、第5に「何もしない」である。動作内容は、これに限られず、復帰までの時間は300秒に限らないし、6つ以上の選択対象があってもよい。ステップS204において制御部11は、動作内容の識別データ(動作内容番号)をそのまま受け付けてもよい。
【0075】
制御部11は、選択された端子の識別データに対応付けて、選択された運転内容の識別データ(運転内容番号)別に、運転状況の識別データ(状況番号)毎に選択された動作内容の識別データ(動作内容番号)をメモリに記憶し(ステップS205)、設定受付手順を終了する。
【0076】
図11は、第2実施形態の設定受付画面140の内容例を説明する図である。設定受付画面140は、端子の選択インタフェース141、運転内容選択インタフェース146、状況選択インタフェース142、動作内容の選択インタフェース143、及び、設定ボタン144を含む。端子の選択インタフェース141、状況選択インタフェース142、及び、動作内容の選択インタフェース143については、
図4の説明図で選択した内容と同様であるから詳細な説明を省略する。
【0077】
第2実施形態では、運転内容選択インタフェース146にて、運転内容の選択が受け付け可能である。運転内容選択インタフェース146は切り替えボタンを含み、切り替えボタンが選択される都度、運転内容が切り替わる。
図11の設定受付画面140では、運転内容として「予約運転」が選択されている。運転内容選択インタフェース146は、運転内容の識別データ(運転内容番号)の入力を受け付ける入力欄であってもよい。
【0078】
第2実施形態の設定受付画面においても、設定ボタン144が選択されると、端子別に、運転内容及び各状況に対して選択されている動作内容の設定が、制御部11のメモリに記憶される。
【0079】
図12は、第2実施形態でメモリに記憶される設定内容の一例の説明図である。メモリには、
図12に示すように、端子の識別データに対し、運転内容別に、充電中、給電中、及び自立給電中それぞれの識別データ(状況番号)に対応付けて動作内容の識別データ(動作内容番号)が記憶される。
図12の例では、1番目の端子「端子1」のみについて、設定されている。
図12の例では運転内容が「充電運転」で、運転状況が「充電中」である場合に、1番目の端子に入力される信号の信号レベルがオンとなったときには、[2]との動作設定がされている。[2]は、待機する(信号レベルのオンが解除されてから即時復帰)との動作設定である。運転内容が「給電運転」で運転状況が「給電中」である場合は[1]と設定されている。[1]は、待機する(信号レベルのオンが解除されてから300秒後に復帰)という動作設定である。そして、運転内容が「自立運転」で運転状況が「自立」である場合には、[3]と設定されている。[3]は、正常停止である。
【0080】
同様にして
図12の例では、「予約運転」で運転中に運転状況が「充電中」である場合に、1番目の端子に入力される信号の信号レベルがオンとなったときには、[2]に設定されており、「給電中」である場合には、[1]に設定されている。「EMS運転」で運転中も、「出力自律運転」で運転中も、「予約運転」で運転中と同様である。これに対し、
図12の例では「課金充電運転」で運転状況が「充電中」である場合に、1番目の端子に入力される信号の信号レベルがオンとなったときには、[3]と設定されている。
【0081】
充放電装置1で上述したように、運転内容及び状況別に動作内容の設定を受け付けることができるため、充放電装置1の管理者又は保守作業者は、外部信号受付部17の1つ目の端子に地絡過電圧継電器24からOVGR信号を入力させ、
図12のように、OVGR信号がオンの場合に給電中であったときには出力を停止し、OVGR信号が復帰(オフ)してから所定時間(300秒)後に自動的に復帰する、という動作を行なうように設定できる。更に、充電中の場合は、そして充放電装置1の管理者又は保守作業者は、課金充電運転の場合には、OVGR信号がオンの場合には正常停止するように設定できる。
【0082】
図13は、第2実施形態でメモリに記憶される設定内容の他の一例の説明図である。
図13では、
図12と同様に、メモリには、端子の識別データに対し、運転内容別に、充電中、給電中、及び自立給電中それぞれの識別データ(状況番号)に対応付けて動作内容の識別データ(動作内容番号)が記憶される。
図13の例では、1番目の端子「端子1」のみについて、設定されている。
図13の例では運転内容が「充電運転」で、運転状況が「充電中」である場合に、1番目の端子に入力される信号の信号レベルがオンとなったときには、[2]と設定がされている。そして運転内容が「給電運転」で運転状況が「給電中」である場合も[2]と設定されている。そして、運転内容が「自立運転」で運転状況が「自立」である場合には、[3]と設定されている。[3]は、正常停止である。
【0083】
更に
図13の例では、「予約運転」で運転中に運転状況が「充電中」である場合も「給電中」である場合も、1番目の端子に入力される信号の信号レベルがオンとなったときには、[2]に設定されている。「EMS運転」で運転中も、「出力自律運転」で運転中も、「予約運転」で運転中と同様である。そして
図13の例では「課金充電運転」で運転状況が「充電中」である場合に、1番目の端子に入力される信号の信号レベルがオンとなったときには、[3]と設定されている。
【0084】
図13のような設定が可能であるため、充放電装置1の管理者又は保守作業者は、外部信号受付部17の1つ目の端子に他の装置からの出力停止信号を入力させ、
図13のように、出力停止信号がオンの場合には出力を停止し、復帰(オフ)してから所定時間(300秒)後に自動的に復帰する、という動作を行なうように設定できる。更に、充電中の場合は、そして充放電装置1の管理者又は保守作業者は、課金充電運転の場合には、OVGR信号がオンの場合には正常停止するように設定できる。
【0085】
図14は、第2実施形態でメモリに記憶される設定内容の他の一例の説明図である。
図14では、
図12と同様に、メモリには、端子の識別データに対し、運転内容別に、充電中、給電中、及び自立給電中それぞれの識別データ(状況番号)に対応付けて動作内容の識別データ(動作内容番号)が記憶される。
図14の例では、1番目の端子「端子1」のみについて、設定されている。
図14の例では運転内容が「出力自律運転」で、運転状況が「給電中」である場合のみ、1番目の端子に入力される信号の信号レベルがオンとなったときに[2]と設定がされ、他の運転内容、他の状況では「空白」即ち、何もしない、そのまま動作を継続する、ということが設定されている。
【0086】
図14のような設定が可能であるため、充放電装置1の管理者又は保守作業者は、外部信号受付部17の1つ目の端子に、増設したスイッチからの信号を入力させ、
図14のように、スイッチがオンの場合には、出力自律運転中であって且つ給電中であるときには出力を停止(復帰(オフ)してから所定時間(300秒)後に自動的に復帰)する、という動作を行なうように設定できる。例えば、充放電装置1の管理者又は保守作業者は、スイッチを、できれば給電に使用したくない時間帯にオンとしておくものとして用意し、出力自律運転中にスイッチがオンの場合には、給電中であっても出力を停止する(待機)、と設定することができる。
【0087】
このように、第1実施形態及び第2実施形態の充放電装置1は、端子に入力される外部信号と、その信号がオンであるか否かによって充放電装置1にさせたい動作内容を、充電中又は給電中等の状況別に、管理者又は保守作業者によって選択可能とする。これにより、各充放電装置1の設置場所における他の装置との接続関係等の使用環境に応じて、動作を選択することができる。管理者(ユーザ)が適宜、増設スイッチを設けてこのスイッチのオン及びオフに応じた待機や停止の動作内容を決定できる。予め設定により、状況に応じて出力を停止しつつ、自動に復帰も可能である。一旦、待機とする処理によって車両VのDCリレー33の頻回のオン及びオフを回避してDCリレー33の消耗速度を緩めることができる。OVGR信号、RPR信号等の継電器等からの外部停止信号に基づいて停止とすることも選択でき、その場合、車両V側でも停止状態となるため、蓄電装置30及びバッテリの電力消耗を抑えることも可能である。
【0088】
上述のように開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0089】
1 充放電装置
11 制御部
12 車両通信部
14 操作部
17 外部信号受付部
1P,9P コンピュータプログラム
24 地絡過電圧継電器
25 逆電力継電器
30 蓄電装置
32 車載制御装置
V 車両