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  • 特開-電気機器および電気機器の接続方法 図1
  • 特開-電気機器および電気機器の接続方法 図2
  • 特開-電気機器および電気機器の接続方法 図3
  • 特開-電気機器および電気機器の接続方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023168974
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】電気機器および電気機器の接続方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/06 20060101AFI20231121BHJP
   H05K 7/00 20060101ALI20231121BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20231121BHJP
   H02G 1/14 20060101ALI20231121BHJP
   H01R 9/03 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
H05K7/06 C
H05K7/00 L
H02G3/16
H02G1/14
H01R9/03 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080402
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】319007240
【氏名又は名称】株式会社日立インダストリアルプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】池野 仁
(72)【発明者】
【氏名】谷口 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正
【テーマコード(参考)】
4E352
5E077
5G355
5G361
【Fターム(参考)】
4E352AA02
4E352AA18
4E352BB02
4E352BB06
4E352BB10
4E352CC05
4E352CC08
4E352CC12
4E352DD11
4E352DR02
4E352DR25
4E352DR40
4E352EE01
4E352GG08
4E352GG17
4E352GG25
5E077BB01
5E077BB18
5E077CC17
5E077JJ21
5G355AA10
5G355BA11
5G355CA02
5G355CA15
5G361BA03
5G361BA07
5G361BB01
(57)【要約】
【課題】
電気機器の接続端子と配線とを接続する場合において、接続作業を容易にするとともに、接続部分のスペースを小さくすることができるようにする。
【解決手段】
接続端子にバスバーを有し、該バスバーと外部機器から延びる配線とを接続するバスバーを利用した電気機器であって、バスバーは、基準位置からバスバーまでの配線長さに対応して、配線の長さが長いほど浅い角度になるように折り曲げる。そして、バスバーの折り曲げた位置よりも先端部(配線の端部側)と配線の端部とを接続するようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続端子にバスバーを有し、該バスバーと外部機器から延びる配線とを接続するバスバーを利用した電気機器であって、
前記バスバーは、前記配線の長さが長いほど浅い角度になるように曲げられており、該曲げられた前記バスバーの先端部と前記配線の先端部とを接続する電気機器。
【請求項2】
請求項1に記載された電気機器において、
前記バスバーの曲げ角度は、基準位置から前記バスバーまでの前記配線の長さに応じて、前記配線の長さが長いほど浅い角度になるようにしたことを特徴とする電気機器。
【請求項3】
請求項2に記載された電気機器において、
前記基準位置は、前記外部機器と前記電気機器との間に設けた仕切り板に設けた配線穴の位置とすることを特徴とする電気機器。
【請求項4】
請求項1に記載された電気機器において、
前記バスバーを、前記接続端子から絶縁を確保する長さを確保するように延伸させたことを特徴とする電気機器。
【請求項5】
電気機器の接続端子にバスバーを設けておき、前記バスバーと外部機器から延びる配線の端部とを接続するバスバーを利用した電気機器の接続方法であって、
前記バスバーを、前記配線の長さが長いほど浅い角度になるように曲げておき、前記バスバーの先端部と前記配線の端部とを接続するようにした電気機器の接続方法。
【請求項6】
請求項5に記載された電気機器の接続方法において、
前記バスバーの曲げ角度は、基準位置から前記バスバーまでの前記配線の長さに応じて、前記配線の長さが長いほど浅い角度になるようにしたことを特徴とする電気機器の接続方法。
【請求項7】
請求項6に記載された電気機器の接続方法において、
前記基準位置は、前記外部機器と前記電気機器との間に配置した仕切り板に設けた
配線穴の位置とすることを特徴とする電気機器の接続方法。
【請求項8】
請求項5に記載された電気機器の接続方法において、
前記バスバーは、前記接続端子から絶縁を確保する長さを確保するように延伸させたことを特徴とする電気機器の接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器および電気機器の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電力変換器などの電気機器における接続端子(配線用端子)と配線(電線)との接続には、配線の端部と接続端子とを溶着やボルトナットなどの固定具を用いて直接接続する方法や、接続端子にバスバー(bus bar)を設けておき、このバスバーと配線とを溶着やボルトナットなどの固定具を用いて接続する方法が行われてきている。
【0003】
なお、バスバーを利用して配線の接続を行う技術の一例として、特開2001-251729号公報(特許文献1)に開示されたものが知られている。この特許文献1では、導電性の金属板を打ち抜きして折り曲げ加工により形成したバスバーより起立するタブを、接続対象のメス端子の方向と合致するようにひねり、中継端子を介在させることなく直接接続可能にしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-251729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電気機器の接続端子と配線の接続においては、接続の前に配線の接続端部を接続端子と略平行になるように曲げ加工してから接続する方法が採られている。このような従来の配線接続方法を、図4を用いて説明する。図4において、10は電力変換器等の電気機器であり、21~23は電気機器10の接続端子を示す。41a,41bは、配線41を構成する電線であり、これらの電線41a,41bは接続端子と略平行になるように曲げられた状態で接続端子21と接続される。接続は、溶着やボルトナット等の固定具により行われる。同様に42a,42bは、配線42を構成する電線である。また、同様に43a,43bは、配線43を構成する電線である。60は仕切り板であり、電気機器10と外部機器との境界に位置する。仕切り板60は、配線41から43を通すための配線穴を有する。このような構成において、配線41~43とそれぞれ接続端子21~23との接続を行う場合には、接続の前に、配線の端部を接続端子と略平行になるように曲げておく必要がある。
【0006】
しかし、大電流を流す必要がある電気機器の配線用端子と配線との接続の場合では、大電流を流すために使用する配線の断面積は太くならざるを得ない。配線の断面積が太くなると、曲げ剛性は大きくなるので、この配線端部の曲げ加工を簡単に行うことは難しくなる。また、剛性が大きいために、曲率を大きくすることは困難であり、必要な曲げ状態にするために湾曲部が必要になるのでかなり大きなスペース(空間)を必要とする。そのため、配線に使用する電線の長さも長くなる。特に、筐体内に電気機器を収納する場合には、収納するための筐体の容積は大きくなるので、コンパクト化を実現する上で大きなネックになる。これは、接続端子にバスバーを介在させ、バスバーと配線とを接続する方法の場合でも同様である。すなわち、バスバーと配線の端部との接続を行うために、従来の方法では配線の端部を曲げ加工しているので、上述したと同様の技術課題を残している。
【0007】
そこで、本発明は、電気機器の接続端子(配線用端子)と配線とを接続する場合の接続作業を容易にするとともに、接続部分のスペースを小さくすることができる電気機器および電気機器の接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明は、その一例を挙げると、接続端子にバスバーを有し、該バスバーと外部機器から延びる配線とを接続するバスバーを利用した電気機器であって、前記バスバーは、前記配線の長さが長いほど浅い角度になるように曲げられており、該曲げられた前記バスバーの先端部と前記配線の先端部とを接続する電気機器である。
【0009】
また、本発明の他の例を挙げると、電気機器の接続端子にバスバーを設けておき、前記バスバーと外部機器から延びる配線の端部とを接続するバスバーを利用した電気機器の接続方法であって、前記バスバーを、前記配線の長さが長いほど浅い角度になるように曲げておき、前記バスバーの先端部と前記配線の端部とを接続するようにした電気機器の接続方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、接続端子にバスバーを備え、バスバーを配線の長さが長いほど浅い角度に曲げて配線の端部の曲げをなくすあるいは少なくできる構成を採用したので、電気機器の接続端子と配線とを接続する場合の接続作業を容易にするとともに、接続部分のスペースを小さくすることができる電気機器および電気機器の接続方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1における電気機器の接続構成を示す図である。
図2図1に示す電気機器の接続部分を拡大して示す図である。
図3】本発明の実施例2における電気機器の構成を示す図である。
図4】従来の電気機器の接続構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体的な実施例により詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施例の記載内容に限定して解釈されるものではなく、本発明の技術思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。また、以下に説明する実施例の構成において、同一機器、同様の動作や機能を有する部分には同一の符号を用いており、重複する説明を省略することがある。また、図面に示す各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは本発明の理解を容易にするために簡略化して示しており、実際の各構成の位置、大きさ、形状、範囲などを表しているわけではない。
【0013】
≪実施例≫
本発明の実施例における電気機器の構成を図1に示す。この図1の実施例に示す電気機器10は、電力変換装置の電気部品である三相リアクトルを想定している。電気機器10には、接続端子(配線用端子)21,22,23が備えられている。接続端子21,22,23にはそれぞれ曲げ角度が異なるバスバー31,32,33接続端子にバスバーが設けられている(取り付けられている)。
【0014】
なお、この実施例では、接続端子にバスバーを設ける場合に、バスバー31~33と接続端子21~23とを別体とし、それらの取り付けをボルトナット等の固定具を用いて行うようにした例を示したが、本発明はこのような構成に限るものではない。例えば、接続端子とバスバーとの取り付けは溶着などによる直接接続することでも良い。あるいは、接続端子とバスバーとを別体とせず、接続端子をバスバーと一体化し、バスバーの端部を延伸させてバスバーの折り曲げ加工を可能にした構成でもよい。
【0015】
電気機器10(より具体的には、接続端子21~23)と外部機器(図示せず)との電気接続に用いる配線41~43の端部とバスバー31~33の先端部(折り曲げた部分よりも配線の先端側に位置する部分)との夫々の接続は、溶着や固定具など公知の方法で接続する。この実施例では、配線の端部に圧着端子を設けておき、この圧着端子とバスバーの先端部とを、ボルトナットを使用して固定することにより、バスバーと配線との接続を行うようにした。また、配線41は、電線41aと41bの2本の電線を使用した。同様に、配線42は電線42aと42bの2本の電線を使用し、配線43は電線43aと43bの2本の電線を使用し、それらの両端に圧着端子を備えた構成としている。配線に2本の電線を用いた理由は、大電流を流すためである。したがって、本発明では、配線として2本の電線を使用する必要はなく、1本の電線を用いるようにしても何ら問題はない。
【0016】
図1におけるバスバー51~53は、接続先である外部機器の端部におけるバスバーである。これらのバスバー51,52,53は高さ(長さ)を段違いとすることで、配線接続用ボルトの突き出し部分の絶縁距離を確保するようにしている。なお、外部機器の他接続端部をバスバーの構成にすることは本発明において必須の構成ではなく、接続目的である電気機器10の接続端子にバスバーが設けられた構成であれば良い。
【0017】
電気機器10と外部との間を仕切る仕切り板60には、配線41~43が通るための配線穴が設けられている。この実施例では、この配線穴の位置を、バスバー31~33の折り曲げ角度を求めるための基準位置としている。すなわち、この配線穴の位置(この実施例における基準位置)からバスバーまでの配線の長さに対応して、この配線の長さが長いほど曲げ角度を浅くするようにバスバー31~33の曲げ加工を行う。この曲げ加工は、配線とバスバーとの接続作業前に行われる必要があるが、一般に、事前に基準位置からバスバーまでの配線の長さは既知であるので、予めバスバーを所定の曲げ角度に折り曲げた状態で接続端子に取り付けておけば、配線とバスバーとの接続作業が容易になる。このようなバスバー31~33の折り曲げ加工を行うことにより、配線41~43は基準位置までの長さを短くすることができる。これにより、配線に使用する電線の消費量を少なくすることができる。例えば、バスバー31,32,33の曲げ角度を仕切り板60に設けられた配線穴に向けて一直線となるよう、配線穴(基準位置)からの距離が遠い順に曲げ角度を浅く設計すると、配線穴とバスバー31,32,33間の配線を直線にでき配線長を最短にすることができる。
【0018】
次に、配線41とバスバー31との接続について、図2を用いて説明する。図2は、図1における配線41とバスバー31との接続方法を説明するための図であり、接続部分を拡大して示している。なお、他の配線42,43と他のバスバー32,33との接続も同様に行われるため、図2では( )書きで関係する符号を記載している。211と212は、バスバー31と接続端子21を接続するための貫通穴であり、この穴を利用してボルトナット等で固定することによりバスバー31と接続端子21とを締結することができる。
【0019】
すでに説明したように、図2におけるバスバー31は、配線41の端部における曲げを少なくするために、配線41の基準位置からバスバーまでの長さに対応して折り曲げ加工されている。配線41は、2本の電線41a,41bで構成され、その電線端部には圧着端子411a,411bが設けられている。この圧着端子411a,411bとバスバー31の先端部とは、図示のようにボルトナット70により固定され、バスバー31と配線41(電線41a,41b)との接続がなされる。なお、この接続は、ボルトナットのような固定具に限らず、溶着など他の公知の接続方法を用いて接続することで問題はない。
【0020】
また、図2からわかるように、この実施例では、バスバー31は、接続端子21の延伸方向に延伸させている。リアクトルフレームを含む金属部品から離れた箇所で曲げ始めることで、絶縁距離を確保することができる。
【0021】
なお、図1では、仕切り板60の配線穴(この実施例における基準位置)を仕切り板60の左端に設けた例を示したが、本発明はこのような例に限定されない。例えば、図3に示すように、仕切り板60の中央部に配線穴を設けることでも同様である。図3は、仕切り板60の配線穴の位置を除き、すでに説明した図1と同様の構成なので、図3の説明は省略する。また、図3では、配線穴を中央部に設けた例を示したが、図1図3とは異なる位置に設けても良い。ここで、基準位置とは、バスバーの折り曲げ角度を設定する場合における基準となる位置であり、配線穴に限るものではない。また、仕切り板60を設けることも必要としない。また、電気機器10を収納するための筐体の側面(例えば、筐体の底面)に設けた配線用の空間部分であっても良い。
【0022】
以上説明した本発明の実施例によれば、接続端子にバスバーを備え、バスバーを配線の長さが長いほど浅い角度に曲げて配線の接続端部の曲げをなくすあるいは少なくできる構成を採用したので、電気機器の接続端子と配線とを接続する場合の接続作業を容易にするとともに、接続部分のスペースを小さくすることができる。また、バスバーを接続端子の延伸方向に伸ばして必要な絶縁距離を確保することができる。また、電気機器を筐体内に格納する場合には、筐体の容積を小さくすることができるので、コンパクト化を実現することができる。
【符号の説明】
【0023】
10…電気機器、21~23…接続端子、31~33…バスバー、41~43…配線、41a,41b,42a,43a,43b…電線、51~53バスバー、60…仕切り板、70…ボルトナット
図1
図2
図3
図4