(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169036
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】サーフスケートボード
(51)【国際特許分類】
A63B 69/00 20060101AFI20231121BHJP
A63C 17/02 20060101ALI20231121BHJP
B63B 32/60 20200101ALI20231121BHJP
【FI】
A63B69/00 512
A63C17/02
B63B32/60
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080485
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】522193499
【氏名又は名称】宮城 一成
(74)【代理人】
【識別番号】100129539
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 康志
(72)【発明者】
【氏名】宮城 一成
(57)【要約】
【課題】サーフボードに装着して陸上でサーフィンを体感/トレーニングすることのできるサーフスケートボードを提供する。
【解決手段】本発明のサーフスケートボードは、サーフィンのスタンス幅と同じかそれよりも長い平板状に形成され、サーフボードのボトム面の長手方向に取り付ける木製の支持板と、前記ボトム面の長手方向における取り付け位置が選択自在であり、選択した位置で前記支持板の上面を前記ボトム面に脱着自在に面接合する固定手段と、前記支持板の底面に、離間距離を選択自在に取り付ける一組のトラックと、前記トラックと前記支持板の間に介在させる嵩上げ部材と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーフィンのスタンス幅と同じかそれよりも長い平板状に形成され、サーフボードのボトム面の長手方向に取り付ける支持板と、
前記ボトム面の長手方向における取り付け位置が選択自在であり、選択した位置で前記支持板の上面を前記ボトム面に脱着自在に面接合する固定手段と、
前記支持板の底面に、離間距離を選択自在に取り付ける一組のトラックと、
前記トラックと前記支持板の間に介在させる嵩上げ部材と、を備えることを特徴とするサーフスケートボード。
【請求項2】
前記固定手段は、前記支持板の長手方向中心線の両側に、該長手方向に沿って帯状に配置した面シールであることを特徴とする請求項1に記載のサーフスケートボード。
【請求項3】
前記サーフボードは交換可能であり、
前記固定手段は、水上で使用されるサーフボードに代えて、模擬サーフボードのボトム面にも面接合できることを特徴とする請求項1に記載のサーフスケートボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーフスケートボードに関し、特に、サーフボードに装着して陸上でサーフィンを体感可能/トレーニング可能にする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
“波乗り”とも称されるサーフィンは、海上でサーフボード上に立ち、波が形成する斜面を滑走する人気のあるマリンスポーツである。サーフィンの一連の動作としては、パドリングからテイクオフしてサーフボード上に立ち上がり、その後、アップスやターンを繰り返して波乗りを楽しむ。
【0003】
サーフィンのトレーニングは、陸上で行えるものがある。その一つに、サーフスケートボードによるトレーニングがある。既存のサーフスケートボードは、外観はスケートボードと略同じであるが、デッキを左右に傾斜可能なサーフィンのトレーニング向けのトラックを採用したことで、陸上を走行しながらサーフィンのターンに似た動作ができるようになっている。
【0004】
しかしながら、サーフィンのトレーニングに特化させたとはいえ、やはり実際のサーフィンの体感とは違うのが実情である。そのため、サーフィンの経験者がフォームチェック等に用いるのは有用であるが、初心者がこれでサーフィンに慣れることは難しい。しかもサーフスケートボードは、ターンなどのトレーニングはできても、パドリングやテイクオフを含めた一連のトレーニングまではできない。
【0005】
さらに重要なのは、サーフィンは、体格(身長,体重)、運動特性、身体特性などによって好みのスタイルや体使いが様々であることにある。そのため、その人に合ったサーフスケートボードでトレーニングするのが望ましいが、既存のサーフスケートボードではトラックの間隔を調整できる程度で必ずしも十分でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-239305号公報
【特許文献2】実開昭57-120071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、サーフボードに装着して陸上でサーフィンを体感/トレーニングすることのできるサーフスケートボードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の要旨とするところは、以下の通りである。
(1)本発明のサーフスケートボードは、サーフィンのスタンス幅と同じかそれよりも長い平板状に形成され、サーフボードのボトム面の長手方向に取り付ける支持板と、前記ボトム面の長手方向における取り付け位置が選択自在であり、選択した位置で前記支持板の上面を前記ボトム面に脱着自在に面接合する固定手段と、前記支持板の底面に、離間距離を選択自在に取り付ける一組のトラックと、前記トラックと前記支持板の間に介在させる嵩上げ部材と、を備えることを特徴とする。
(2)前記固定手段は、前記支持板の長手方向中心線の両側に、該長手方向に沿って帯状に配置した面シールである。
(3)前記サーフボードは交換可能であり、前記固定手段は、水上で使用されるサーフボードに代えて、模擬サーフボードのボトム面にも面接合できる。
(4)前記嵩上げ部材は、積層した木製ブロック部材と弾性部材を含み、前記支持板と接する側に前記弾性部材を配置している。
(5)前記嵩上げ部材は、さらに高さ調整用のスペーサーを有する。
(6)前記支持板は木製であり、前記木製の支持板と、前記嵩上げ部材の木製ブロック部材は、同じ種類の木材で形成する。
(7)前記支持板は、欧州育成木材の合板で形成する。
(8)前記欧州育成木材の合板は、北欧の樫の合板である。
(9)前記支持板の長手方向は、少なくともサーフボードのテール側に載せる足の位置からテイクオフ時に手を着く位置まで跨る長さに形成している。
【発明の効果】
【0009】
本発明のサーフスケートボードによれば、例えばサーフィンに使用されるサーフボードのボトム面に支持板の上面を装着して、陸上で走行可能なサーフボード(陸上サーフボード)を具現化したことにより、実際のサーフィンに近い模擬サーフィンを陸上で行うことが可能になる。
【0010】
本発明のサーフスケートボードは、支持板に装着するサーフボード(模擬サーフボードを含む)を自由に選べるので、使用者が体感/トレーニングしたいと思うサーフボードで模擬サーフィンをすることができる。
【0011】
その上、サーフボードの長手方向における支持板の取り付け位置を選択自在にしたことによって、使用者の体格等に合わせた位置決め(すなわち重心の調整)が可能になる。この位置決めは、好ましい一例として備えるトラックの離間間隔及び/又は嵩上げ部材による調整と相まって、よりきめ細かい調整を可能にしている。位置決めは、例えばアップスからターンを練習したいとき、或いはパドリングからテイクオフを練習したいときなど、トレーニングメニューに応じて変えることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に従うサーフスケートボードとサーフボードで構成した陸上サーフボードの斜視図である。
【
図4】上記サーフスケートボードの底面を前方側から見た図である。
【
図5】上記サーフスケートボードの平面図、側面図、及び底面図である。
【
図6】上記サーフスケートボードに装着するサーフボードの平面図と底面図である。
【
図7】上記サーフスケートボードをサーフボードに装着する位置の説明図である。
【
図8】上記サーフスケートボードに装着する模擬サーフボードの平面図、側面図及び底面図である。
【
図9】上記サーフスケートボードの試作品を用いた陸上サーフボードでトレーニングした様子を撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態に従うサーフスケートボードについて、添付図面を参照しながら説明する。但し、以下に説明する実施形態によって本発明の技術的範囲は何ら限定解釈されることはない。
【0014】
(第1実施形態)
図1~
図2は、本実施形態のサーフスケートボード1をサーフボード2のボトム面に装着して、陸上で走行可能なサーフボード(以下、「陸上サーフボードS」と称す)にした状態を示す。サーフボード2は、例えば市販されているものなど、実際にサーフィンで使用可能なものが望ましい。図には一例としてショートボードを図示しているが、キッズボード、ファンボードなど他の種類のサーフボードに変えられる。すなわち、サーフスケートボード1は、以下に詳述する構成としたことにより、装着するボードの種類,材質,メーカーなどの制限はなく、使用者が体感/トレーニングしたいと思うサーフボード2を装着可能である。勿論、使用者が自分で使っているもの、或いは過去に使っていたものであってよい。
【0015】
図3~
図5に示すように、サーフスケートボード1は、サーフボード2のボトム面を下方から支持する支持板10、及び、支持板10の底面に取り付ける前後一組のトラック2A,2Bを備える。前後一組のトラック2A,2Bは、車輪であるウィール20を備える。これにより、陸上サーフボードSを陸上で走行可能にする。
【0016】
支持板10は、サーフボード2の長手方向に延びる板状に形成している。板状の部材は、上面が平坦な平板であることが望ましい。すなわち、既存のサーフスケートボードやスケートボードのデッキは、テールやノーズを湾曲させてキックを形成しているが、これとは違い支持板10は、平坦に形成してサーフボード2のボトム面に装着可能にしている。サーフボード2のボトム面の反り形状に合わせた形状に加工することも考えられるが、様々な種類のサーフボード2に装着可能な互換性を持たせるため平坦とするのがよい。
【0017】
板状の支持板10は、木製が望ましい。原材料となる木材は、好ましくは欧州育成木材の合板であり、より好ましくは北欧の樫の合板である。支持板10の表面にはコーティングや塗装、装飾などの表面処理が施されよい。北欧の樫は、硬質で木目が詰まっていて強度が高く、例えば日本のシラカバより樹勢が強く粘りがあるので、例えば厚み9mmといった薄板状の支持板10とすることができる。すなわち、北欧の樫の特性により、このような厚みでもサーフボード2を下方から支持することが可能であり、且つ、薄くしたことによって種類が異なるサーフボード2のボトム面にも支持板10がフィット(適合)し易い。
【0018】
さらに北欧の樫を用いて厚みの薄い支持板10としたことの利点を挙げると、実際に試作品で試したところ、例えばターンをした際にサーフボード2のねじれに支持板10が追従し、さらに元に戻ろうとするときの反発が、実際のサーフィンで波からうけるときの感触に似ていたことが挙げられる。
【0019】
支持板10の長手方向の長さは、好ましい一例として、少なくともサーフィンのスタンス幅と同じかそれよりも長くする。サーフィンのスタンス幅は、人それぞれであるが、試作品を用いて陸上サーフボードSの試乗モニタリングを行ったところ、成人男性のスタンス幅は450mm~700mmで各自の好みがあった。より好ましくは、サーフボード2のテール側に載せる足の位置からテイクオフ時に手を着く位置まで跨る長さである。支持板10のサイズの一例は、長手方向の長さが916mm、短手方向の幅が196mm、厚みが9mmである。北欧の樫の合板は、奇数枚の単板を繊維方向が交差(好ましくは直交)する方向に交互に向きを変えて積層し、互いを固着させた合板である。例えば厚みが9mmの合板は厚みを揃えた5枚の単板を積層し、厚みが12mmの合板は厚みを揃えた7枚の板を積層して形成している。比重は約0.7である。支持板10は、合板から所定の形状に切り出して形成する。図の例ではノーズ及びテールの形状にデザイン性を持たせているが、支持板10のサイズや形状は限定されない。
【0020】
但し、上記のようにサーフボード2への装着性やサーフィンの体験感を追求した結果、サーフスケートボード1単独で使用することは想定していない。支持板10が体重やターンのねじれに耐えられない場合があるからである。すなわち、本実施形態のサーフスケートボード1は、陸上サーフボードSを具現化するのに特化したものであり、既存のサーフスケートボードやスケートボードとは目的や使用方法が異なる。
【0021】
支持板10の上面には、サーフボード2のボトム面に対して支持板10を脱着自在に面接合する面シール11を配置している。面シール11は、サーフスケートボード1をサーフボード2に装着する固定手段の一例である。面シール11は、例えば支持板10の長手方向に沿って支持板10の概ね全長に配置する。面シール11は、一例として、支持板10の面積の半分以上を占めて面接合できるのが好ましい。図では好ましい一例として、2本の帯状の面シール11を、長手方向の中心線を挟んで両側に配置している。このとき中心線を挟んで左右対称であることが好ましい。但し、面シール11は、例えば短手方向に沿ってもよく、形状や大きさが限定されることはない。
【0022】
面シール11は、面ファスナーが好ましい。すなわち、
図6に示すように、もう一方の面ファスナー11aをサーフボード2のボトム面2aに装着し、面ファスナー(11,11a)同士で面接合する構成である。このとき、サーフボード2側の面ファスナー11aは、支持板10側の面ファスナー(面シール11)よりも長くしてよい。テール側は、支持板10のテール側端部がセンターフィンを取り付ける開口部11bの前方側端部に位置するところまで配置する。符号11cは、サイドフィンを取り付ける開口部である。なお面ファスナー(11,11a)は、支持板10を垂直に立てた状態にして、50mm×50mm四方の単位面積で15kgの重りを10分以上、保持可能なものが好ましい。
【0023】
面シール11のサイズは、一例として、長さ900mm、幅50mmである。図の例では、支持板10のノーズの形状に合わせて弧状に形成しているが、概ね支持板10の長手方向の全長に配置している。2本の面シールの間隔は、例えば100mmである。
【0024】
このように、ボルトやビスなどの固定手段を使わずに、長手方向に延びる面シール11でサーフスケートボード1をサーフボード2に装着する構成としたことにより、サーフボード2のボトム面2aの長手方向における支持板10の取り付け位置を、使用者(又は指導者)が選択自在にする。従って、使用者の例えば体格や好みに合った位置に支持板10の取り付け位置を調整することができる。或いは、トレーニングメニューに応じて取り付け位置を変えることができる。
【0025】
続いて、トラック2A,2Bの取り付け方について説明する。支持板10上面の2本の面シール11の間には、トラック2A,2Bを取り付けるためのボルト用の貫通穴12を形成している。ボルト用の貫通穴12は、支持板10を上下に貫通する円形の穴である。その際、ボルト頭部が突出しないように、貫通穴12の上部をボルト頭部が収まる形状にしておくのが好ましい。
【0026】
特に
図4と
図5に示すように、トラック2A,2Bは、それぞれ4個一組のボルト用の貫通穴12を利用して取り付ける。すなわち、4本のボルトを支持板10の上面側から貫通穴12に差し込み、トラック2A,2Bのベースプレート21の貫通穴を通してからナット22で固定することによって、トラック2A,2Bを支持板10に装着する。支持板10のテール側には4個一組のボルト用の貫通穴12を形成している。一方、ノーズ側には複数組のボルト用の貫通穴12を形成している。すなわち、ノーズ側のトラック2Aの取り付け位置を選択自在にして、トラック2A,2Bの離間距離を多段階で変えられるようにしている。
【0027】
支持板10のノーズ側には、短手方向に2個一組の貫通穴12を、長手方向に間隔をあけて例えば12列形成する。このとき
図4に示すように、列の間隔L1を、トラック2A,2Bのベースプレート21の貫通穴の間隔L2の半分に設定する。一例として、トラック2A,2Bのベースプレート21の貫通穴の間隔L2が約64mmのとき、列の間隔L1を半分の約32mmにして12列形成する。これによりノーズ側のトラック2Aの取り付け位置は、長手方向に10段階で設定することができる。短手方向の貫通穴12の間隔は約42mmである。ノーズ先端側から最初の列の貫通穴12までの長さは約47mmである。
【0028】
各トラック2A,2Bは、ハンガー23内に回転自在なシャフト(不図示)を有し、シャフトの両側にウィール20を接続している。各トラック2A,2Bは、ハンガー23が振り子のように稼働するサーフスケートボード用のものを取り付ける。特にノーズ側のトラック2Aは、3次元的に稼働するものが好ましい。このようなトラック2A,2Bは、サーフスケートボード用に市販されているものを装着することができる。一例を挙げると「CARVER CX4」などである。但し、例えば使用者の体格や好みに応じてブッシュ24の硬さなどを変えるのが望ましい。
【0029】
上記のようにトラック2A,2Bはサーフスケートボード用に市販されているものを使用できるが、支持板10へ直接取り付けるのではなく、嵩上げ部材3を介在させて取り付ける。嵩上げ部材3は、例えばトラック2A,2Bのベースプレート21の平面形状に合わせた矩形のブロック状に形成し、トラック2A,2Bのベースプレート21の貫通穴に対応する位置に同様の貫通穴を形成している。これにより共通のボルトで嵩上げ部材3とトラック2A,2Bを支持板10に一体的に装着できる。
【0030】
嵩上げ部材3は、陸上サーフボードSの重心を高くして実際のサーフィンのレールワーク(例えばレールを入れるときの体使いなど)を体感/トレーニング可能にする。嵩上げ部材3は、好ましい一例として、木製ブロック部材31と板状の弾性部材32を積層した構成である。さらに使用者に応じて高さを調節するスペーサー33を任意で含むことができる。木製ブロック部材31は、例えば支持板10と同じ種類の木材で形成する。すなわち、北欧の樫の合板である。弾性部材32は、ウレタンシートが望ましい。
【0031】
上記のように嵩上げして重心を高くしているので、嵩上げ部材3は陸上サーフボードSを安定して支える強度が必要である。しかしながら、実際に試作してみると、木製ブロック部材31のみでは硬すぎて波乗り感が損なわれる。そこで板状の弾性部材32を介在させている。特にウレタンシートは、弾性素材のなかで強度にすぐれ、さらに耐摩耗性にすぐれているので、陸上サーフボードSを安定して支えることができる。さらにその弾性作用によって、波乗り感が損なわれるのを抑える。
【0032】
スペーサー33は、例えば使用者の体格やサーフィンの経験によって任意で配置する。例えば初心者向けに重心を低くして安定化させる場合はスペーサー33を省略する。スペーサー33は、例えば樹脂又は北欧の樫などの木材で形成する。そしてスペーサー33は、木製ブロック部材31とトラック2A,2Bのベースプレート21の間に介在させる。つまり弾性部材32とは反対のトラック2A,2B側に配置する。
【0033】
嵩上げ部材3のサイズに関し、木製ブロック部材31は、一例として、長さ95mm、幅60mm、高さ24mmとする。北欧の樫の合板で形成する場合、厚みが24mmの合板は厚みを揃えた15枚の単板を積層して形成している。弾性部材32は、一例として、長さ95mm、60幅mm、厚み5mmとする。スペーサー33は、一例として、長さ77mm、幅55mm、高さ6mmとする。
【0034】
上述の構成のサーフスケートボード1をサーフボード2に装着する手順としては、まず使用者の体格や好みに応じてトラック2A,2Bの離間間隔を調整する。トレーニングメニューに応じた調整であってよい。そして
図7に一例を示すように、サーフボード2を裏返し、その上に同じく裏返したサーフスケートボード1を載せ、押圧して装着する。
【0035】
位置合わせは、サーフスケートボード1とサーフボード2の互いの長手方向の中心軸を揃え、支持板10のテール側端部がセンターフィンを取り付ける開口部11bの前方側端部に位置するところを基準位置とし、使用者の体格や好みに応じて前後方向(図中矢印方向)に位置をずらすように調整してから、載せるようにする。面シール11であるから微調整が可能である。一連の調整に関して指導者が助言してよい。そして実際に体験/トレーニングをして、フィードバックによって位置を再調整するのがよい。好みの位置が確認できたら、位置合わせ用のマークMを支持板10とサーフボード2に記しておくのが好ましい。支持板10側のマークMは予め記しておいてよい。また目安となる中心線を予め記しておいてもよい。
【0036】
上述の実施形態に従うサーフスケートボード1によれば、例えば実際にサーフィンに使用可能なサーフボード2のボトム面2aに装着して、陸上サーフボードSを具現化したことにより、実際のサーフィンに近い模擬サーフィンを陸上で体感/トレーニングすることが可能になる。
【0037】
(第2実施形態)
第2実施形態に従うサーフスケートボード1は、装着するサーフボード2を模擬サーフボード4に代えたこと除けば第1実施形態と同様の構成である。すなわち、サーフスケートボード1は、既述の通り、異なる種類のサーフボード2に適合可能であるが、実際に水上で使用可能なサーフボード2に代えてさらに模擬サーフボード4にも装着可能である。
【0038】
図8に示すように、模擬サーフボード4は、板状に形成する。好ましくは平板状である。さらに一例として平面視で前方側が幅広く後方側の幅が狭くなる流線形に形成する。模擬サーフボード4のサイズは、一例として、長さ1200mm、幅470mm、厚み12mmである。模擬サーフボード4は木製が望ましい。原材料となる木材は、好ましくは欧州育成木材の合板であり、より好ましくは北欧の樫の合板である。例えば厚みが12mmの北欧の樫の合板は厚みを揃えた7枚の単板を積層して形成されている。模擬サーフボード4の上面には滑り止めのパッド4aを配置し、底面側には面ファスナー11aを配置する。さらに取り付け位置の基準となるマークM1を記しておく。使用者は、このマークM1を基準とし、自分に合った位置に調整してマークMを追記することができる。かかる構成であっても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。勿論、使用者の体格等に応じて形状やサイズが異なる別の模擬サーフボード4に代えることも可能である。
【0039】
図9は、第1実施形態及び第2実施形態のサーフスケートボード1の試作品を用いて、トレーニングする様子を撮影した写真である。この試作品を用いたトレーニングにより、パドリングからテイクオフしてサーフボード上に立ち上がり、その後、レールワークを含むアップスやターンの体使いの練習をすることが可能であることを確認した。さらに複数のモニターに秘密裏に試して頂き、良好なアンケート結果を得ることができている。
【0040】
上述の実施形態は、支持板10の好ましい一例として、試作品で効果を確認した木製としたが、材質は限定されない。他の例として、樹脂製,カーボン製,炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などの繊維強化プラスチック製であってよい。すなわち、支持板10は弾性を有し軽量な材質で形成する。模擬サーフボード4や嵩上げ部材3も同様にしてよい。また一組のトラックは2個一組に限らない。さらに後方側のトラック2Bの位置も可変にしてよい。
【0041】
以上、本発明を具体的な実施形態に則して詳細に説明したが、形式や細部についての種々の置換、変形、変更等が、特許請求の範囲の記載により規定されるような本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行われることが可能であることは、当該技術分野における通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0042】
1 サーフスケートボード
11 面シール
2 サーフボード
2A,2B トラック
20 ウィール
3 嵩上げ部材
S 陸上サーフボード