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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169041
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】照明システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/155 20200101AFI20231121BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20231121BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20231121BHJP
   H05B 47/165 20200101ALI20231121BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20231121BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20231121BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20231121BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231121BHJP
【FI】
H05B47/155
H05B47/105
H05B47/16
H05B47/165
F21S2/00 625
F21V3/00 320
F21V5/00 320
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080493
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松林 容子
(72)【発明者】
【氏名】竹本 笑
(72)【発明者】
【氏名】岡本 諒
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA03
3K273PA09
3K273QA13
3K273RA02
3K273RA12
3K273SA21
3K273SA31
3K273SA46
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA11
3K273TA15
3K273TA22
3K273TA28
3K273TA33
3K273TA52
3K273TA62
3K273UA22
(57)【要約】
【課題】電気機器の表示画面を見た状態での作業の効率化を図る。
【解決手段】照明システム10は、第1光源1Aと、第2光源1Bと、制御部3と、情報検出部5と、を備える。第1光源1Aは、照射面の第1照射領域に第1照明光を照射する。第2光源1Bは、照射面の第2照射領域に第2照明光を照射する。照射面は、表示画面を有する電気機器の後方に位置する。制御部3は、第1光源1A及び第2光源1Bを制御する。情報検出部5は、電気機器の利用者の生体情報を検出する。第1照射領域は、第2照射領域よりも狭い。第1照射領域の少なくとも一部は、第2照射領域と重なっている。制御部3は、情報検出部5の検出結果である利用者の生体情報に基づいて光量変化期間における第1照明光の光量を所定周期で変化させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面を有する電気機器の後方に位置する照射面の第1照射領域に第1照明光を照射する第1光源と、
前記照射面の第2照射領域に第2照明光を照射する第2光源と、
前記第1光源及び前記第2光源を制御する制御部と、
前記電気機器の利用者の生体情報を検出する情報検出部と、を備え、
前記第1照射領域は、前記第2照射領域よりも狭く、
前記第1照射領域の少なくとも一部は、前記第2照射領域と重なっており、
前記制御部は、前記情報検出部の検出結果である前記利用者の前記生体情報に基づいて光量変化期間における前記第1照明光の光量を所定周期で変化させる、
照明システム。
【請求項2】
前記第1照明光の彩度は、前記第2照明光の彩度よりも高い、
請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記所定周期は、0.06Hz以上で、1.0Hz以下である、
請求項1又は2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記光量変化期間における前記第1照明光による前記第1照射領域の平均輝度に対する、前記光量変化期間における前記第1照明光による前記第1照射領域の最大輝度と最小輝度との差分の1/2の輝度の百分率は、5%以上で、38%以下である、
請求項1又は2に記載の照明システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記光量変化期間としての第1期間とは異なる第2期間において前記第2照明光の光量を変化させる、
請求項1又は2に記載の照明システム。
【請求項6】
前記第2期間の長さは、前記第1期間の長さよりも長い、
請求項5に記載の照明システム。
【請求項7】
前記第2期間の長さは、前記第1期間の長さと同じである、
請求項5に記載の照明システム。
【請求項8】
前記第2照射領域において、前記第2照射領域の下部における輝度が最も高い、
請求項1又は2に記載の照明システム。
【請求項9】
前記照射面を有する部材を更に備える、
請求項1又は2に記載の照明システム。
【請求項10】
前記第1光源は、
第1発光部と、
前記第1発光部の前方に位置し、前記第1発光部から放射される光を拡散させて前記第1照明光として出射させる第1光学部材と、を有し、
前記第2光源は、
第2発光部と、
前記第2発光部の前方に位置し、前記第2発光部から放射される光を集光させて前記第2照明光として出射させる第2光学部材と、を有する、
請求項1又は2に記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に照明システムに関し、より詳細には、複数の光源を備える照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、赤色発光手段と、青色発光手段と、緑色発光手段とを有する照明装置(照明システム)が記載されている。特許文献1に記載の照明装置では、例えば、3つの発光手段の発光量の総和を略一定にしたまま青色発光手段の発光量比を高めることで覚醒を促すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-102156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、電気機器の表示画面を見た状態での作業が増加傾向にあり、当該作業の効率化を図るための作業環境(照明環境)が望まれている。
【0005】
本開示の目的は、電気機器の表示画面を見た状態での作業の効率化を図ることが可能な照明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る照明システムは、第1光源と、第2光源と、制御部と、情報検出部と、を備える。前記第1光源は、照射面の第1照射領域に第1照明光を照射する。前記第2光源は、前記照射面の第2照射領域に第2照明光を照射する。前記照射面は、表示画面を有する電気機器の後方に位置する。前記制御部は、前記第1光源及び前記第2光源を制御する。前記情報検出部は、前記電気機器の利用者の生体情報を検出する。前記第1照射領域は、前記第2照射領域よりも狭い。前記第1照射領域の少なくとも一部は、前記第2照射領域と重なっている。前記制御部は、前記情報検出部の検出結果である前記利用者の前記生体情報に基づいて光量変化期間における前記第1照明光の光量を所定周期で変化させる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様に係る照明システムによれば、電気機器の表示画面を見た状態での作業の効率化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係る照明システムの構成図である。
図2図2は、同上の照明システムの設置状況の概略図である。
図3図3は、同上の照明システムの適用例の概略図である。
図4図4は、同上の照明システムにより照射面に形成される照射領域の概略図である。
図5図5は、同上の照明システムの動作を説明するための色度図である。
図6図6は、同上の照明システムに関し、時間周波数と振幅ゲインとの関係を示すグラフである。
図7図7は、同上の照明システムに関し、第1期間において照射面の輝度を第1周期で変化させた場合の上記輝度の時間変化を示すグラフである。
図8図8は、同上の照明システムに関し、第1期間において照射面の輝度を第2周期で変化させた場合の上記輝度の時間変化を示すグラフである。
図9図9は、同上の照明システムに関し、第1期間において照射面の輝度を第3周期で変化させた場合の上記輝度の時間変化を示すグラフである。
図10図10Aは、実施形態2に係る照明システムの第1光源から照射される第1照明光の光量の時間変化を示すグラフである。図10Bは、同上の照明システムの第2光源から照射される第2照明光の光量の時間変化を示すグラフである。
図11図11Aは、実施形態2の変形例1に係る照明システムの第1光源から照射される第1照明光の光量の時間変化を示すグラフである。図11Bは、同上の照明システムの第2光源から照射される第2照明光の光量の時間変化を示すグラフである。
図12図12Aは、実施形態2の変形例2に係る照明システムの第1光源から照射される第1照明光の光量の時間変化を示すグラフである。図12Bは、同上の照明システムの第2光源から照射される第2照明光の光量の時間変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態1,2に係る照明システムについて図面を参照して説明する。下記の実施形態1,2において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、下記の実施形態1,2で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、下記の実施形態1,2に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0010】
(実施形態1)
(1)概要
まず、実施形態1に係る照明システム10の概要について、図1図3を参照して説明する。
【0011】
実施形態1に係る照明システム10は、例えば、図2に示すように、電気機器6の利用者(以下、「作業者300」という)が電気機器6の表示画面61(図3参照)を見た状態での作業を行う際に、電気機器6を後方から間接的に照明するために用いられる。電気機器6は、例えば、ノート型のパーソナルコンピュータである。実施形態1に係る照明システム10では、図3に示すように、電気機器6の後方に位置する照射面S1に対して、第1光源1A(図1参照)からの第1照明光101、及び第2光源1B(図1参照)からの第2照明光102を照射することにより、照射面S1の前方に位置する電気機器6を間接的に照明する。実施形態1に係る照明システム10では、照射面S1は、例えば、作業空間WS1(図2参照)を形成するためのパーティション200の表面(前面)である。
【0012】
実施形態1に係る照明システム10は、電気機器6の表示画面61を見た状態での作業の効率化を図るために、作業者300が電気機器6の表示画面61に集中しやすくなるような作業環境(照明環境)を形成することを目的としている。このため、実施形態1に係る照明システム10は、以下の構成を採用している。
【0013】
実施形態1に係る照明システム10は、第1光源1Aと、第2光源1Bと、制御部3と、情報検出部5と、を備える。第1光源1Aは、照射面S1の第1照射領域R1に第1照明光101を照射する。第2光源1Bは、照射面S1の第2照射領域R2に第2照明光102を照射する。照射面S1は、表示画面61を有する電気機器6の後方に位置する。制御部3は、第1光源1A及び第2光源1Bを制御する。情報検出部5は、電気機器6の利用者(作業者300)の生体情報を検出する。第1照射領域R1は、第2照射領域R2よりも狭い。第1照射領域R1の少なくとも一部は、第2照射領域R2と重なっている。制御部3は、情報検出部5の検出結果である利用者の生体情報に基づいて光量変化期間(例えば、図7の第1期間T1)における第1照明光101の光量を所定周期で変化させる。
【0014】
実施形態1に係る照明システム10では、電気機器6の後方に位置する照射面S1に対して第1照明光101及び第2照明光102を照射している。第1照明光101が照射される第1照射領域R1は、第2照明光102が照射される第2照射領域R2よりも狭く、少なくとも一部において第2照射領域R2と重なっている。そして、制御部3は、情報検出部5の検出結果に基づいて光量変化期間における第1照明光101の光量を所定周期で変化させている。これにより、第1照明光101の光量を所定周期で変化させない場合に比べて、作業者300の意識を覚醒させることが可能となる。その結果、作業者300は電気機器6の表示画面61に集中しやすくなり、電気機器6を用いた作業の効率化を図ることが可能となる。
【0015】
また、実施形態1に係る照明システム10では、第1照射領域R1の少なくとも一部は第2照射領域R2と重なっており、第1照射領域R1が第2照射領域R2と重なっていない場合に比べて輝度差勾配が緩やかになり、作業者300に与える不快感を緩和することが可能となる。
【0016】
(2)詳細
次に、実施形態1に係る照明システム10の構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0017】
実施形態1に係る照明システム10は、図1に示すように、第1光源1Aと、第2光源1Bと、第1駆動部2Aと、第2駆動部2Bと、制御部3と、入力受付部4と、情報検出部5と、を備える。
【0018】
(2.1)第1光源
第1光源1Aは、図1に示すように、第1発光部111と、第1光学部材112と、を有する。
【0019】
第1発光部111は、例えば、光色の異なる4種類(例えば、赤色、緑色、青色、白色)の発光ダイオード(以下、「LED」と称する)をそれぞれ複数個ずつ有する。同色の複数個のLEDは、電気的に直列接続されて基板に実装されることが好ましい。以下の説明では、基板に実装された同色の複数個のLEDをLEDモジュールと称する場合がある。
【0020】
第1光学部材112は、第1発光部111の前方に位置する。第1光学部材112は、例えば、拡散シートを含む。拡散シートは、例えば、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂等の透光性を有する合成樹脂で形成されている。したがって、第1発光部111から放射される光は、拡散シートで拡散及び混合され、各LEDモジュールの光量の比率に応じた光色の光(第1照明光101)となる。すなわち、第1光学部材112は、第1発光部111から放射される光を拡散させて第1照明光101として出射させる。なお、第1光源1Aは、レンズユニットを更に有していてもよい。レンズユニットは、各LEDモジュールに含まれる複数個のLEDと一対一に対応する複数のレンズを備えることが好ましい。
【0021】
また、第1光源1Aは、図2に示すように、筐体11Aを更に有する。筐体11Aは、金属製又は合成樹脂製である。筐体11Aは、一面(図2の上面)が開口した箱状に形成されている。第1発光部111は、LEDを開口面に向けるようにして筐体11Aに収容される。第1光学部材112は、開口面を塞ぐように筐体11Aに取り付けられる。
【0022】
第1光源1Aは、表示画面61を有する電気機器6の後方に位置する照射面S1の第1照射領域R1(図4参照)に第1照明光101を照射する。なお、第1照射領域R1については後述する。
【0023】
(2.2)第2光源
第2光源1Bは、図1に示すように、第2発光部121と、第2光学部材122と、を有する。
【0024】
第2発光部121は、第1発光部111と同様、光色の異なる4種類(例えば、赤色、緑色、青色、白色)のLEDをそれぞれ複数個ずつ有する。同色の複数個のLEDは、電気的に直列接続されて基板に実装されることが好ましい。以下の説明では、基板に実装された同色の複数個のLEDをLEDモジュールと称する場合がある。
【0025】
第2光学部材122は、第2発光部121の前方に位置する。第2光学部材122は、例えば、リニアフレネルレンズを含む。リニアフレネルレンズは、例えば、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂等の透光性を有する合成樹脂により形成されている。したがって、第2発光部121から放射される光は、リニアフレネルレンズにより集光及び混合され、各LEDモジュールの光量の比率に応じた光色の光(第2照明光102)となる。すなわち、第2光学部材122は、第2発光部121から放射される光を集光させて第2照明光102として出射させる。
【0026】
また、第2光源1Bは、図2に示すように、筐体11Bを更に有する。筐体11Bは、金属製又は合成樹脂製である。筐体11Bは、一面(図2の上面)が開口した箱状に形成されている。第2発光部121は、LEDを開口面に向けるようにして筐体11Bに収容される。第2光学部材122は、開口面を塞ぐように筐体11Bに取り付けられる。
【0027】
第2光源1Bは、表示画面61を有する電気機器6の後方に位置する照射面S1の第2照射領域R2(図4参照)に第2照明光102を照射する。なお、第2照射領域R2については後述する。
【0028】
(2.3)第1駆動部
第1駆動部2Aは、例えば、商用の電力系統から供給される交流電力を直流電力に変換する電力変換回路と、4つの定電流回路と、を有する。4つの定電流回路は、第1発光部111の4つのLEDモジュールと一対一に対応する。
【0029】
電力変換回路は、例えば、全波整流回路、昇圧チョッパ回路、平滑コンデンサ等を含む。全波整流回路は、例えば、ダイオードブリッジからなる。電力変換回路は、電力系統から入力される交流電圧(例えば、電源周波数60Hz、実効値100Vの交流電圧)を、交流電圧のピーク電圧よりも高い直流電圧に変換する。
【0030】
4つの定電流回路の各々は、例えば、バックコンバータを含む。バックコンバータは、例えば、降圧チョッパ回路である。各定電流回路は、電力変換回路から出力される直流電圧をバックコンバータで降圧し、対応するLEDモジュールに供給する出力電流を目標電流値に一致させるように動作する。例えば、各定電流回路は、制御部3からDMX(Digital Multiplex)512の通信プロトコルに準拠したデジタル信号を受信し、このデジタル信号に応じてバックコンバータを制御してもよい。あるいは、各定電流回路は、制御部3から与えられる光量目標値及び光色目標値に応じてバックコンバータをPWM(Pulse Width Modulation)制御してもよい。
【0031】
第1駆動部2Aは、例えば、4本の電気ケーブルを介して第1光源1Aに電気的に接続される。4本の電気ケーブルは、第1駆動部2Aの4つの定電流回路の各々の出力端と、第1光源1Aの4つのLEDモジュールの各々の入力端と、を電気的に接続する。
【0032】
(2.4)第2駆動部
第2駆動部2Bは、第1駆動部2Aと同様、商用の電力系統から供給される交流電力を直流電力に変換する電力変換回路と、4つの定電流回路と、を有する。第2駆動部2Bが有する電力変換回路及び4つの定電流回路は、第1駆動部2Aが有する電力変換回路及び4つの定電流回路と同一の回路構成を有しており、ここでは説明を省略する。
【0033】
第2駆動部2Bは、例えば、4本の電気ケーブルを介して第2光源1Bに電気的に接続される。4本の電気ケーブルは、第2駆動部2Bの4つの定電流回路の各々の出力端と、第2光源1Bの4つのLEDモジュールの各々の入力端と、を電気的に接続する。
【0034】
(2.5)制御部
制御部3は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。照明システム10では、1以上のプロセッサがメモリに記録されているプログラムを実行することにより、制御部3の機能が実現される。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0035】
制御部3は、第1光源1A及び第2光源1Bを制御する。より詳細には、制御部3は、第1光源1Aから照射される第1照明光101の光量及び光色、並びに、第2光源1Bから照射される第2照明光102の光量及び光色を制御する。より具体的には、制御部3は、第1駆動部2Aに対して第1光量目標値及び第1光色目標値を与えることにより、第1照明光101の光量及び光色を制御する。また、制御部3は、第2駆動部2Bに対して第2光量目標値及び第2光色目標値を与えることにより、第2照明光102の光量及び光色を制御する。
【0036】
ここで、第1照明光101は、第1光量目標値及び第1光色目標値から、4つのLEDモジュールの調光値に変換された後、4つの定電流回路の目標電流値に変換される。したがって、制御部3は、第1光量目標値及び第1光色目標値として、各定電流回路の目標電流値を第1駆動部2Aに与える。
【0037】
また、第2照明光102は、第2光量目標値及び第2光色目標値から、4つのLEDモジュールの調光値に変換された後、4つの定電流回路の目標電流値に変換される。したがって、制御部3は、第2光量目標値及び第2光色目標値として、各定電流回路の目標電流値を第2駆動部2Bに与える。
【0038】
ただし、定電流回路がPWM制御される場合、制御部3は、定電流回路の出力電流の単位時間あたりの平均値を、各目標電流値に一致させるために必要なPWM制御のデューティ比に換算し、このデューティ比を第1駆動部2A及び第2駆動部2Bに与えてもよい。
【0039】
(2.6)入力受付部
入力受付部4は、上述の第1光量目標値及び第1光色目標値を指定する入力を受け付ける。また、入力受付部4は、上述の第2光量目標値及び第2光色目標値を指定する入力を受け付ける。
【0040】
入力受付部4は、例えば、コンピュータシステムで構成される。コンピュータシステムは、例えば、デスクトップ型又はノート型のパーソナルコンピュータであってもよいし、板状の筐体にタッチパネル等の入力デバイスを搭載したタブレット端末であってもよい。
【0041】
入力受付部4は、例えば、モニタ画面に色度図(例えば、XYZ表色系のxy色度図)を表示させ、モニタ画面に表示されている色度図においてマウスポインタ、タッチペン又は指先で選択された任意の色度点を、光色目標値を指定する入力として受け付ける。また、入力受付部4は、例えば、モニタ画面にフェーダ又はスライダー等のGUI(Graphical User Interface)を表示させ、マウスポインタ、タッチペン又は指先でGUIを操作して選択された任意の数値を、光量目標値を指定する入力として受け付ける。
【0042】
入力受付部4は、例えば、DMX512等の通信プロトコルに準拠し、通信線を介して制御部3と双方向に通信可能に接続される。入力受付部4は、受け付けた入力情報(例えば、選択された色度点のxy座標、フェーダ等の数値)を、通信線を通して制御部3に送信する。
【0043】
(2.7)情報検出部
情報検出部5は、電気機器6(図3参照)の利用者(作業者300)の生体情報を検出する。情報検出部5は、例えば、電気機器6とは別体に設けられたカメラを有する。情報検出部5は、例えば、作業者300の顔を含む所定領域をカメラで撮像し、撮像画像を制御部3に出力する。
【0044】
制御部3は、情報検出部5から取得した撮像画像から作業者300の特徴量を抽出する。作業者300の特徴量は、例えば、作業者300の目の大きさである。ここで、作業者300の目の大きさとは、例えば、撮像画像において作業者300の目が示されている領域の面積又は画素数である。そして、制御部3は、撮像画像から抽出した作業者300の目の大きさが基準値以下である場合には作業者300が眠気を催していると判断し、基準値よりも大きい場合には作業者300が覚醒していると判断する。制御部3は、作業者300が眠気を催していると判断した場合、後述のゆらぎ動作を実行する。すなわち、制御部3は、情報検出部5の検出結果である上記利用者の生体情報に基づいて光量変化期間(後述の第1期間T1)における第1照明光101の光量を所定周期で変化させる。実施形態1では、情報検出部5は、作業者300の生体情報として作業者300の顔を検出する。
【0045】
(3)照明システムの設置状況
次に、実施形態1に係る照明システム10の設置状況について、図2及び図3を参照して説明する。以下では、電気機器6の表示画面61と照射面S1とが並ぶ方向を前後方向D1とし、水平方向(図3の例では表示画面61の長手方向)を左右方向D2とし、前後方向D1及び左右方向D2の両方と直交する方向(図3の例では表示画面61の短手方向)を上下方向D3として説明するが、これらの方向は照明システム10の使用時の方向を限定する趣旨ではない。また、図面中の「D1」、「D2」、「D3」を示す矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、いずれも実体を伴わない。さらに、図3では、電気機器6の表示画面61、第1照射領域R1及び第2照射領域R2を識別しやすいように、表示画面61、第1照射領域R1及び第2照射領域R2以外の部分に色を付している。すなわち、図3に示す色が、表示画面61、第1照射領域R1及び第2照射領域R2以外の部分に実際に付されているわけではない。また、図3では、第1照射領域R1と第2照射領域R2とを識別しやすいように、第2照射領域R2にドットハッチングを付している。すなわち、図3に示すドットハッチングは、断面を示すものではない。
【0046】
照明システム10は、図2に示すように、照射面S1の下部に設けられた設置台7に設置されている。照射面S1は、例えば、作業空間WS1を形成するためのパーティション200の表面(前面)である。作業空間WS1の天井面には、作業空間WS1を照明するための照明器具8が取り付けられている。照明器具8は、例えば、天井取付型の照明器具であるが、天井埋込型の照明器具であってもよい。照明器具8は、作業空間WS1に対して、第1照明光101及び第2照明光102とは光色が異なる第3照明光103を照射する。
【0047】
設置台7は、底板70と、前板71と、後板72と、一対の側板73と、を有する。底板70は、平板状であって、照射面S1に対して垂直に配置されている。前板71は、底板70と同様、平板状であって、底板70の前後方向D1の一端(前端)から上向きに突出している。後板72は、底板70と同様、平板状であって、底板70の前後方向D1の他端(後端)から上向きに突出している。一対の側板73は、底板70の左右方向D2(図2の紙面に垂直な方向)の両端から上向きに突出している。すなわち、設置台7は、底板70の上方が開放された長尺の箱状に形成されている。なお、図2では、一対の側板73のうちの片方(図2の手前側)の側板73の図示を省略している。底板70、前板71、後板72及び一対の側板73は、金属製、木製、合成樹脂製のいずれかの板材で形成されることが好ましい。
【0048】
第1光源1Aは、設置台7の内部空間(底板70、前板71、後板72及び一対の側板73で囲まれた空間)に設置されている。より詳細には、第1光源1Aは、設置台7の内部空間において、筐体11Aの開口面(第1照明光101の出射面)が上向きとなるようにして一対の側板73に固定されている。また、第1光源1Aからの第1照明光101が照射面S1に向けて照射されるように、筐体11Aに対して第1光学部材112を変位(回転)させて、光軸を照射面S1の方に向けている。すなわち、第1光源1Aは、電気機器6の表示画面61と照射面S1とが並ぶ前後方向D1において、電気機器6が載置されている載置面S2と照射面S1との間に位置している(図2参照)。
【0049】
第2光源1Bは、筐体11Bの開口面(第2照明光102の出射面)が上向きとなるようにして一対の側板73に固定されている。また、第2光源1Bは、設置台7の内部空間において、第1光源1Aよりも照射面S1から離れた位置に設置されている。すなわち、図2の例では、第1光源1Aと第2光源1Bとは、前後方向D1に沿って後方から第1光源1A、第2光源1Bの順に並んでいる。
【0050】
ところで、第1光源1Aでは、筐体11Aの開口面(第1照明光101の出射面)は、図2に示すように、上下方向D3において前板71の上端よりも下側に位置している。また、第2光源1Bでは、筐体11Bの開口面(第2照明光102の出射面)は、図2に示すように、上下方向D3において前板71の上端よりも下側に位置している。このため、第1光源1Aからの第1照明光101及び第2光源1Bからの第2照明光102のうち前方に向かう光は設置台7の前板71で遮光され、載置面S2上に置かれた電気機器6を用いて作業を行っている作業者300からは直接見えない。その結果、第1光源1Aからの第1照明光101及び第2光源1Bからの第2照明光102によるグレアを抑制することが可能となる。さらに、グレアを抑制し、かつ照射面S1への入射効率を高めるためには、光源1の出射面100を照射面S1に向けて傾けることが好ましい。
【0051】
(4)照射面の照射領域
次に、照射面S1に形成される第1照射領域R1及び第2照射領域R2について、図3及び図4を参照して説明する。
【0052】
実施形態1に係る照明システム10では、第1光源1Aから出射した第1照明光101が照射面S1に照射されることによって、照射面S1に第1照射領域R1が形成される。また、実施形態1に係る照明システム10では、第2光源1Bから出射した第2照明光102が照射面S1に照射されることによって、照射面S1に第2照射領域R2が形成される。本開示でいう「第1照射領域R1」とは、第1光源1A及び第2光源1Bのうち第1光源1Aのみを照射した場合に第1照明光101が照射される照射面S1において最大輝度の30%以上となる領域をいう。また、本開示でいう「第2照射領域R2」とは、第1光源1A及び第2光源1Bのうち第2光源1Bのみを照射した場合に第2照明光102が照射される照射面S1において最大輝度の30%以上となる領域をいう。例えば、図4における2つのグラフのうち左側のグラフにおいて、第1閾値Th1よりも左側が最大輝度の30%以上の輝度となる範囲であり、このグラフから第1照射領域R1の上下方向D3の上限位置及び下限位置が決まる。また、図4における2つのグラフのうち右側のグラフにおいて、第2閾値Th2よりも左側が最大輝度の30%以上の輝度となる範囲であり、このグラフから第2照射領域R2の上下方向D3の上限位置及び下限位置が決まる。また、電気機器6が載置面S2に載置されている状態では、電気機器6の表示画面61及び照射面S1を前方から見たときに、電気機器6の表示画面61の一部(下部)が第1照射領域R1と重なっている(図4参照)。ここで、覚醒感を高める刺激として、視作業を邪魔しない適度な刺激量を提供するためには、例えば、表示画面61の3割以上が第1照射領域R1に含まれていることが好ましい。
【0053】
図4の例では、第1照射領域R1は、第2照射領域R2よりも狭い。より詳細には、第1照射領域R1の左右方向D2の長さは第2照射領域R2の左右方向D2の長さと等しいが、第1照射領域R1の上下方向D3の長さは第2照射領域R2の上下方向D3の長さよりも短い。
【0054】
また、第1照射領域R1の少なくとも一部は、第2照射領域R2と重なっている。図4の例では、第1照射領域R1の全部が第2照射領域R2と重なっている。より詳細には、第1照射領域R1は、第2照射領域R2の下部において第2照射領域R2と重なっている。このため、実施形態1に係る照明システム10では、第2照明光102によるベース照明に対して第1照明光101によるポイント照明を照射することになる。これにより、照射面S1の第2照射領域R2に第2照明光102を照射しない場合に比べて、輝度差弁別閾(第1照明光101と第2照明光102との輝度差の最小値)を高くすることが可能となり、その結果、後述のゆらぎ動作による介入刺激を低減することが可能となる。すなわち、実施形態1に係る照明システム10によれば、後述のゆらぎ動作(介入刺激)による作業者300の不快感を緩和することが可能となる。この場合において、輝度差弁別閾を更に高めるために、第2照射領域R2において、第2照射領域R2の下部(例えば、第1照射領域R1と重なる部分)における輝度が最も高いことが好ましい。また、後述のゆらぎ動作による覚醒効果を高めるために、第1照明光101の彩度は、第2照明光102の彩度よりも高いことが好ましい。さらに、第1照射領域R1の面積は、第2照射領域R2の面積の1/3以下であることが好ましい。
【0055】
ここで、図3に示すように、電気機器6の表示画面61及び照射面S1を前方から見たときに、第1光源1Aからの第1照明光101により照射面S1に形成される第1照射領域R1の左右方向D2の長さL1は、電気機器6の表示画面61の左右方向D2の長さL2の2倍以上であることが好ましい。一例として、電気機器6の表示画面61の左右方向D2の長さL2が265mmである場合、第1照射領域R1の左右方向D2の長さL1は693mm以上であることが好ましい。これにより、電気機器6を用いた作業を行っている作業者300の安定注視野を含むように第1照射領域R1が形成される。本開示でいう「安定注視野」とは、無理のない情報受容が可能な範囲をいい、視線移動での情報受容が可能な有効視野に加えて、頭部運動により無理のない情報受容が可能な範囲(以下、「情報受容可能範囲」という)を含む。情報受容可能範囲は、例えば、水平方向では、正面に対して左右方向に45度以下であり、正面に対して上方向に30度以下であり、正面に対して下方向に40度以下である。一例として、情報受容可能範囲が、正面に対して右方向に30度、左方向に30度である場合、作業者300の安定注視野が上述の照射領域R1の左右方向D2の長さL1に含まれる。
【0056】
また、電気機器6の表示画面61の平均輝度は、一般的に、表示画面61の大きさにかかわらず、100cd/m以上、350cd/m以下に設定される。このため、照射面S1の第1照射領域R1の平均輝度が電気機器6の表示画面61の平均輝度に近づくように、第1照射領域R1の平均輝度を100cd/m以上で、350cd/m以下に制御することが好ましい。
【0057】
(5)第1照明光及び第2照明光の光色範囲
次に、第1照明光101及び第2照明光102の光色範囲について、図5を参照して説明する。図5は、CIE1931色空間のxy色度図である。
【0058】
上述のような作業空間WS1(図2参照)では、相対的に彩度の高い色の光は好まれず、相対的に彩度の低い色の光が好まれる。したがって、第1照明光101及び第2照明光102の光色範囲は、図5に示すように、楕円E1の内側領域R3であることが好ましい。楕円E1は、中心座標が(x,y)=(0.3333,0.3333)、長半径が0.1796、短半径が0.1227、x軸に対する長軸A1の傾き(x軸と長軸A1とがなす角度θ1)が40.984度の楕円式で規定される。すなわち、制御部3は、CIE1931色空間のxy色度図において、第1照明光101及び第2照明光102の色度が、上記楕円式で規定される楕円E1の内側領域R3の色度となるように、第1光源1A及び第2光源1Bを制御することが好ましい。
【0059】
より好ましくは、第1照明光101及び第2照明光102の光色範囲は、図5に示すように、楕円E2の内側領域R4であるのがよい。楕円E2は、中心座標が(x,y)=(0.3333,0.3333)、長半径が0.1409、短半径が0.0722、x軸に対する長軸A1の傾き(x軸と長軸A1とがなす角度θ1)が40.984度の楕円式で規定される。
【0060】
ここで、図5の「P0」は、楕円E1,E2の中心点である。また、図5の「P11」及び「P12」は、後述のゆらぎ動作における第1照明光101の色度に対応する色度点である。より詳細には、図5の「P11」は、第1期間T1(図7参照)における第1照明光101による第1照射領域R1の最大輝度に対応する第1色度の色度点(第1色度点)である。また、図5の「P12」は、第1期間T1における第1照明光101による第1照射領域R1の最小輝度に対応する第2色度の色度点(第2色度点)である。第1期間T1は、後述のゆらぎ動作を実行する期間であり、光量変化期間に相当する。そして、図5の例では、第1色度点P11及び第2色度点P12は、楕円E2の内側領域R4に含まれている。なお、第2色度点P12における第2色度は、後述のゆらぎ動作を実行していない第2期間T2(図7参照)における第1照明光101による第1照射領域R1の色度でもある。
【0061】
また、図5の例では、楕円E1,E2の中心点P0に近くなるほど彩度が低くなる。したがって、楕円E1,E2の中心点P0から遠い位置にある第1色度点P11の彩度は、中心点P0に近い位置にある第2色度点P12の彩度よりも高い。このように、後述のゆらぎ動作において、彩度の高い第1色度の第1照明光101を照射面S1に照射することにより、照射面S1に照射された第1照明光101を見た作業者300の意識を覚醒させることが可能となる。また、実施形態1に係る照明システム10では、図4に示すように、第1照射領域R1の全部が第2照射領域R2と重なっており、第1照射領域R1において第1照明光101と第2照明光102とが混合される。これにより、第1照射光101のみを第1照射領域R1に照射する場合に比べて、第1照明光101の刺激純度を低くすることが可能となり、その結果、第1照明光101による光色の変化を緩やかにすることが可能となり、強い刺激による不快感を緩和することが可能となる。
【0062】
(6)ゆらぎ動作
次に、作業者300が眠気を催していると制御部3が判断した場合に実行されるゆらぎ動作について、図6図9を参照して説明する。本開示でいう「ゆらぎ動作」とは、光量変化期間(例えば、第1期間T1)において、第1光源1Aから照射面S1(図3参照)に向けて照射される第1照明光101の光量を所定周期で変化させる動作をいう。
【0063】
図6の横軸は、第1期間T1における第1照明光101の時間周波数を示し、図6の縦軸は、第1照明光101の振幅ゲインを示す。また、図6の実線a1は、各時間周波数における振幅ゲインの上限値の折れ線であり、図6の点線a2は、各時間周波数における振幅ゲインの下限値の折れ線である。ここで、振幅ゲインは、ゆらぎ動作時における第1照射光101による照射面S1の平均輝度に対する、第1照明光101の光量を変化させた場合の変化幅の半分の大きさの輝度の比率で定義される。また、第1期間T1は、第1照明光101の光量を所定周期で変化させる期間であり、光量変化期間に相当する。
【0064】
振幅ゲインが小さすぎる場合、すなわち第1照明光101の光量の変化幅が小さすぎる場合、照射面S1の第1照射領域R1の輝度変化も小さくなり、作業者300が第1照射領域R1の輝度変化に気づかない可能性がある。一方、振幅ゲインが大きすぎる場合、すなわち第1照明光101の光量の変化幅が大きすぎる場合、照射面S1の第1照射領域R1の輝度変化が大きくなり、作業者300が不快に感じる可能性がある。このため、時間周波数は、人の呼吸を考慮した場合、深呼吸が4~6回/分であることから0.06Hz以上であり、図6より振幅の許容度をある程度有する1.0Hz以下であることが好ましい。より好ましくは、通常呼吸が10~24回/分であることから、時間周波数は、0.16Hz以上で、0.4Hz以下であることが好ましい。
【0065】
図7は、時間周波数が0.1Hzである場合における第1照射領域R1の輝度変化を示すグラフである。図7の横軸は、時間を示し、図7の縦軸は、第1照射領域R1の輝度を示す。また、図7のT1は、第1期間を示し、図7のT2は、第2期間を示す。ここで、第2期間T2は、第1照明光101の光量が一定となる期間である。すなわち、第2期間T2では、図7に示すように、第1照明光101の光量は一定であり、例えば、93cd/mである。また、図7の例では、第1期間T1は30秒である。すなわち、図7の例では、第1照明光101の光量を、時間周波数0.1Hzで30秒間変化させる。したがって、図7の例では、第1期間T1において3周期分のゆらぎを与えることになる。
【0066】
図7の例では、ゆらぎ動作を実行していない第2期間T2において、第1照射領域R1の平均輝度は、93cd/mである。また、図7の例では、ゆらぎ動作を実行している第1期間T1において、第1照射領域R1の最大輝度は207cd/mであり、最小輝度は93cd/mである。このため、第1期間T1における第1照射領域R1の平均輝度は、150cd/mである。すなわち、第1期間T1における第1照明光101による第1照射領域R1の平均輝度は、第1照明光101の光量が一定である第2期間T2における第1照明光101による第1照射領域R1の平均輝度よりも高い。
【0067】
また、第1期間T1における輝度変化は、第1期間T1における第1照明光101による第1照射領域R1の平均輝度に対する、第1期間T1における第1照明光101による第1照射領域R1の最大輝度と最小輝度との差分の1/2の輝度の百分率で定義される。図7の例では、第1期間T1における輝度変化は、{(207-93)/2}/150×100=38%である。
【0068】
図8は、時間周波数が0.5Hzである場合における第1照射領域R1の輝度変化を示すグラフである。図8の横軸は、時間を示し、図8の縦軸は、第1照射領域R1の輝度を示す。また、図8のT1は、第1期間を示し、図8のT2は、第2期間を示す。ここで、第2期間T2は、第1照明光101の光量が一定となる期間である。すなわち、第2期間T2では、図8に示すように、第1照明光101の光量は一定であり、例えば、131cd/mである。また、図8の例では、第1期間T1は6秒である。すなわち、図8の例では、第1照明光101の光量を、時間周波数0.5Hzで6秒間変化させる。したがって、図8の例では、第1期間T1において3周期分のゆらぎを与えることになる。
【0069】
図8の例では、ゆらぎ動作を実行していない第2期間T2では、第1照射領域R1の平均輝度は、131cd/mである。また、図8の例では、ゆらぎ動作を実行している第1期間T1では、第1照射領域R1の最大輝度は168cd/mであり、最小輝度は132cd/mである。このため、第1期間T1における第1照射領域R1の平均輝度は、150cd/mである。すなわち、第1期間T1における第1照明光101による第1照射領域R1の平均輝度は、第1照明光101の光量が一定である第2期間T2における第1照明光101による第1照射領域R1の平均輝度よりも高い。
【0070】
また、第1期間T1における輝度変化は、第1期間T1における第1照明光101による第1照射領域R1の平均輝度に対する、第1期間T1における第1照明光101による第1照射領域R1の最大輝度と最小輝度との差分の1/2の輝度の百分率で定義される。図8の例では、第1期間T1における輝度変化は、{(168-132)/2}/150×100=12%である。
【0071】
図9は、時間周波数が1.0Hzである場合における第1照射領域R1の輝度変化を示すグラフである。図9の横軸は、時間を示し、図9の縦軸は、第1照射領域R1の輝度を示す。また、図9のT1は、第1期間を示し、図9のT2は、第2期間を示す。ここで、第2期間T2は、第1照明光101の光量が一定となる期間である。すなわち、第2期間T2では、図9に示すように、第1照明光101の光量は一定であり、例えば、142cd/mである。また、図9の例では、第1期間T1は3秒である。すなわち、図9の例では、第1照明光101の光量を、時間周波数1.0Hzで3秒間変化させる。したがって、図9の例では、第1期間T1において3周期分のゆらぎを与えることになる。
【0072】
図9の例では、ゆらぎ動作を実行していない第2期間T2では、第1照射領域R1の平均輝度は、142cd/mである。また、図9の例では、ゆらぎ動作を実行している第1期間T1では、第1照射領域R1の最大輝度は158cd/mであり、最小輝度は142cd/mである。このため、第1期間T1における第1照射領域R1の平均輝度は、150cd/mである。すなわち、第1期間T1における第1照明光101による第1照射領域R1の平均輝度は、第1照明光101の光量が一定である第2期間T2における第1照明光101による第1照射領域R1の平均輝度よりも高い。
【0073】
また、第1期間T1における輝度変化は、第1期間T1における第1照明光101による第1照射領域R1の平均輝度に対する、第1期間T1における第1照明光101による第1照射領域R1の最大輝度と最小輝度との差分の1/2の輝度の百分率で定義される。図9の例では、第1期間T1における輝度変化は、{(158-142)/2}/150×100=5%である。
【0074】
このように、実施形態1に係る照明システム10では、制御部3は、情報検出部5の検出結果である電気機器6の利用者(作業者300)の生体情報に基づいて、第1期間(光量変化期間)T1における第1照明光101の光量を所定周期で変化させる。そして、第1期間T1における第1照明光101による第1照射領域R1の平均輝度に対する、第1期間T1における第1照明光101による第1照射領域R1の最大輝度と最小輝度との差分の1/2の輝度の百分率は、5%以上で、38%以下である。また、実施形態1では、第1期間T1において3周期分のゆらぎ(光量変化)を与えているが、3周期分のゆらぎに限らず、第1期間T1において1周期分又は2周期分のゆらぎを与えてもよいし、4周期分又は5周期分のゆらぎを与えてもよい。すなわち、第1期間T1において1周期以上、5周期以下のゆらぎを与えるように構成されていればよい。
【0075】
(7)比較例との対比
比較例として、電気機器の表示画面に表示される画像に連動させて該画像を鑑賞する鑑賞者が存在する鑑賞空間の照明を制御するシステムを挙げる。比較例に係るシステムでは、上記鑑賞空間の照明の光量、光色、配光及び方向のうちの少なくとも1つのパラメータを、上記表示画面に映し出される画像から仮想される仮想画像空間の対応するパラメータに一致させるように、上記鑑賞空間に設けられた1以上の光源を制御する。これにより、上記表示画面に映し出された画像の臨場感を高めることができる。
【0076】
これに対して、実施形態1に係る照明システム10は、上述したように、電気機器6の表示画面61を見た状態での作業の効率化を図るために、作業者300が電気機器6の表示画面61に集中しやすくなるような作業環境(照明環境)を形成することを目的としており、上述の比較例に係るシステムとは目的が異なっている。
【0077】
(8)効果
実施形態1に係る照明システム10では、電気機器6の後方に位置する照射面S1に対して第1照明光101及び第2照明光102を照射している。第1照明光101が照射される第1照射領域R1は、第2照明光102が照射される第2照射領域R2よりも狭く、少なくとも一部において第2照射領域R2と重なっている。そして、制御部3は、情報検出部5の検出結果に基づいて光量変化期間における第1照明光101の光量を所定周期で変化させている。これにより、第1照明光101の光量を所定周期で変化させない場合に比べて、作業者300の意識を覚醒させることが可能となる。その結果、作業者300は電気機器6の表示画面61に集中しやすくなり、電気機器6を用いた作業の効率化を図ることが可能となる。
【0078】
また、実施形態1に係る照明システム10では、第1照射領域R1の少なくとも一部は第2照射領域R2と重なっており、第1照射領域R1が第2照射領域R2と重なっていない場合に比べて作業者300に与える不快感を緩和することが可能となる。
【0079】
また、実施形態1に係る照明システム10では、第1照明光101の彩度は、第2照明光102の彩度より高い。これにより、第1照明光101の彩度と第2照明光102の彩度とが等しい場合に比べて、作業者300の意識をより覚醒させることが可能となる。
【0080】
また、実施形態1に係る照明システム10では、上述の所定周期は、0.06Hz以上で、1.0Hz以下である。これにより、上述の所定期間が1.0Hzよりも大きい場合に比べて、作業者300が不快に感じる可能性を低減することが可能となる。
【0081】
また、実施形態1に係る照明システム10では、第1期間T1における第1照明光101による第1照射領域R1の平均輝度に対する、第1期間T1における第1照明光101による第1照射領域R1の最大輝度と最小輝度との差分の1/2の輝度の百分率は、5%以上で、38%以下である。これにより、作業者300を不快にさせることなく、作業者300の意識を覚醒させることが可能となる。
【0082】
(9)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つにすぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0083】
本開示における照明システム10は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における照明システム10としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1又は複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1又は複数の電子回路で構成される。
【0084】
また、照明システム10における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは照明システム10に必須の構成ではなく、照明システム10の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、照明システム10の少なくとも一部の機能、例えば、制御部3の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0085】
反対に、実施形態1において、複数の装置に分散されている照明システム10の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、第1駆動部2Aと制御部3とに分散されている照明システム10の一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。
【0086】
実施形態1では、電気機器6は、ノート型のパーソナルコンピュータである。これに対して、電気機器6は、ノート型のパーソナルコンピュータに限らず、例えば、デスクトップ型のパーソナルコンピュータであってもよいし、タブレット端末であってもよいし、スマートフォンであってもよい。また、電気機器6は、例えば、テレビジョンであってもよい。
【0087】
実施形態1では、第1光源1A及び第2光源1Bは、前後方向D1において電気機器6と照射面S1との間に配置されたパーティション照明である。これに対して、第1光源1A及び第2光源1Bの少なくとも一方は、パーティション照明に限らず、例えば、電気機器6の背面(表示画面61が設けられている面とは反対側の面)に設けられた照明であってもよいし、デスクスタンドであってもよいし、天井面に取り付けられたベース照明であってもよい。
【0088】
実施形態1では、第1光源1A及び第2光源1Bの各々は、4種類のLEDを有している。これに対して、第1光源1A及び第2光源1Bの少なくとも一方は、4種類のLEDに加えて、4種類のLED以外のLED(例えば、彩度の高い青色LED)を更に有していてもよい。
【0089】
実施形態1では、第1光源1Aの第1光学部材112は、リニアフレネルレンズを含んでいる。これに対して、第1光学部材112は、リニアフレネルレンズの代わりに、各種類の複数個のLEDと一対一に対応した複数のレンズを含んでいてもよい。また、第1光学部材112は、拡散シートを更に含んでいてもよい。
【0090】
実施形態1では、入力受付部4は、モニタ画面に表示させた色度図及びGUIから光量目標値及び光色目標値を指定する入力を受け付けている。これに対して、入力受付部4は、物理的なキーボード又はモニタ画面に表示させた仮想のキーボード等のCUI(Character-based User Interface)から光量目標値及び光色目標値を指定する入力を受け付けてもよい。
【0091】
実施形態1では、情報検出部5が有するカメラが電気機器6とは別体のカメラであるが、情報検出部5が有するカメラは、電気機器6に搭載されたカメラであってもよい。
【0092】
実施形態1では、情報検出部5はカメラを有しているが、情報検出部5は、例えば、作業者300の脳波(生体情報)を検出する脳波計を有していてもよい。この場合、制御部3は、脳波計で検出された作業者300の脳波にα波が含まれていれば作業者300がリラックスしていると判断し、含まれていなければ緊張状態にあると判断する。そして、制御部3は、作業者300が緊張状態にある場合に、上述のゆらぎ動作を実行する。
【0093】
また、情報検出部5は、作業者300の脈波(生体情報)を検出する脈拍センサを有していてもよい。この場合、制御部3は、脈波センサで検出された作業者300の脈波が閾値以下であればリラックスしていると判断し、閾値以上であれば緊張状態にあると判断する。そして、制御部3は、作業者300が緊張状態にある場合に、上述のゆらぎ動作を実行する。
【0094】
また、情報検出部5が抽出する作業者300の特徴量は、作業者300の目の大きさに限らず、例えば、作業者300の顔全体に対する目の大きさの比率であってもよい。
【0095】
実施形態1では、図7図9に示すように、第1期間T1が1つであるが、第1期間T1は1つに限らず、例えば、所定期間において複数の第1期間T1が設けられていてもよい。すなわち、所定期間において複数回のゆらぎ動作を行ってもよい。
【0096】
実施形態1では、照射面S1が照明システム10に含まれていないが、照射面S1は照明システム10に含まれていてもよい。すなわち、照明システム10は、照射面S1を有する部材(パーティション200)を更に備えていてもよい。これにより、照射面S1を一体に備える照明システム10を提供することが可能となる。
【0097】
(実施形態2)
実施形態2に係る照明システム10について、図10図12を参照して説明する。実施形態2に係る照明システム10に関し、実施形態1に係る照明システム10と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0098】
実施形態2に係る照明システム10は、第1照明光101によるゆらぎ動作に加えて、第2照明光102によるゆらぎ動作も行っている点で、実施形態1に係る照明システム10と相違する。
【0099】
実施形態2に係る照明システム10では、制御部3は、第1期間T11において第1照明光101の光量を変化させている。また、実施形態2に係る照明システム10では、制御部3は、第2期間T21において第2照明光102の光量を変化させている。すなわち、実施形態2に係る照明システム10では、第1照明光101によるゆらぎ動作に加えて、第2照明光102によるゆらぎ動作も行っている。第2期間T21は、図10A及び図10Bに示すように、光量変化期間としての第1期間T11とは異なる期間である。
【0100】
実施形態2に係る照明システム10では、図10Aに示すように、第1期間T11は、時刻t12から時刻t13までの期間、時刻t14から時刻t15までの期間、又は時刻t16から時刻t17までの期間である。また、実施形態2に係る照明システム10では、図10Bに示すように、第2期間T21は、時刻t11から時刻t18までの期間である。すなわち、実施形態2に係る照明システム10では、第2照明光102によるゆらぎ動作を行っている間に、第1照明光101によるゆらぎ動作を3回行っている。また、実施形態2に係る照明システム10では、第2照明光102の光量が異なる時刻t12、時刻t14及び時刻t16のタイミングで第1照明光101によるゆらぎ動作を開始している。また、実施形態2に係る照明システム10では、図10Bに示すように、第2照明光102は、時間経過と共に光量が減少するように変化している。このように、実施形態2に係る照明システム10では、第2期間T21の長さは、第1期間T11の長さよりも長い。第2期間T21は、例えば、24時間である。第1期間T11は、例えば、30秒である。すなわち、実施形態2に係る照明システム10では、第2期間T21を1周期とするサーカディアンリズム(概日リズム)で第2照明光102によるゆらぎ動作を行っている。
【0101】
(2)効果
実施形態2に係る照明システム10においても、情報検出部5の検出結果に基づいて第1期間(光量変化期間)T11における第1照明光101の光量を所定周期で変化させることにより、第1照明光101の光量を所定周期で変化させない場合に比べて、作業者300の意識を覚醒させることが可能となる。その結果、作業者300は電気機器6の表示画面61に集中しやすくなり、電気機器6を用いた作業の効率化を図ることが可能となる。
【0102】
また、実施形態2に係る照明システム10においても、第1照射領域R1の少なくとも一部が第2照射領域R2と重なっており、第1照射領域R1が第2照射領域R2と重なっていない場合に比べて作業者300に与える不快感を緩和することが可能となる。
【0103】
さらに、実施形態2に係る照明システム10では、第2照明光102の光量を変化させる第2期間T21の長さは、第1照明光101の光量を変化させる第1期間T11の長さよりも長い。これにより、第2照明光102による照射面S1の輝度変化を気づきにくくしつつ、照射面S1の明るさを調整することが可能となる。
【0104】
(3)変形例
以下、実施形態2の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0105】
(3.1)変形例1
変形例1に係る照明システム10では、作業者300の目の感度低下に合わせて第2照明光102の光量を変化(増加)させている点で、実施形態2に係る照明システム10と相違する。以下、変形例1に係る照明システム10について、図11A及び図11Bを参照して説明する。
【0106】
変形例1に係る照明システム10では、図11Aに示すように、時刻t22から時刻t23までの期間、時刻t24から時刻t25までの期間、及び時刻t26から時刻t27までの期間が第1期間T12である。すなわち、制御部3は、上述の各第1期間T12において第1照明光101によるゆらぎ動作を行っている。より詳細には、制御部3は、第2照明光102の光量が異なる時刻t22、時刻t24及び時刻t26のタイミングで第1照明光101によるゆらぎ動作を開始している。
【0107】
また、変形例1に係る照明システム10では、図11Bに示すように、制御部3は、時刻t21から時刻t28までの第2期間T22において、第2照明光102によるゆらぎ動作を行っている。より詳細には、制御部3は、第2期間T22において、時間経過による作業者300の目の感度低下に合わせて、第2照明光102の光量を増加させている。すなわち、変形例1に係る照明システム10においても、制御部3は、光量変化期間としての第1期間T12とは異なる第2期間T22において第2照明光102の光量を変化させている。また、変形例1に係る照明システム10においても、第2期間T22の長さは、第1期間T12の長さよりも長い。第2期間T22は、例えば、1時間である。第1期間T12は、例えば、30秒である。
【0108】
変形例1に係る照明システム10では、制御部3は、作業者300の目の感度が時間経過と共に低下するのに合わせて、第2照明光102の光量を変化(増加)させている。これにより、第1照明光101とのコントラストを高めることができ、その結果、作業者300が電気機器6の表示画面61が見やすくなることで作業効率を向上させることが可能となる。
【0109】
(3.2)変形例2
変形例2に係る照明システム10では、第2期間T23を1周期とするウルトラディアンリズムで第2照明光102によるゆらぎ動作を行っている点で、実施形態2に係る照明システム10と相違する。以下、変形例2に係る照明システム10について、図12A及び図12Bを参照して説明する。
【0110】
変形例2に係る照明システム10では、図12Aに示すように、時刻t32から時刻t33までの期間、時刻t34から時刻t35までの期間、及び時刻t36から時刻t37までの期間が第1期間T13である。すなわち、制御部3は、上述の各第1期間T13において第1照明光101によるゆらぎ動作を行っている。より詳細には、制御部3は、第2照明光102の光量が異なる時刻t32、時刻t34及び時刻t36のタイミングで第1照明光101によるゆらぎ動作を開始している。
【0111】
また、変形例2に係る照明システム10では、図12Bに示すように、制御部3は、時刻t31から時刻t38までの第2期間T23において、第2照明光102によるゆらぎ動作を行っている。より詳細には、制御部3は、第2期間T23において、第2照明光102の光量を一旦増加させた後に減少させ、更に増加させている。すなわち、変形例2に係る照明システム10においても、制御部3は、光量変化期間としての第1期間T13とは異なる第2期間T23において第2照明光102の光量を変化させている。また、変形例2に係る照明システム10においても、第2期間T23の長さは、第1期間T13の長さよりも長い。第2期間T23は、例えば、30分から4時間程度である。第1期間T13は、例えば、30秒である。すなわち、変形例2に係る照明システム10では、第2期間T23を1周期とするウルトラディアンリズムで第2照明光102によるゆらぎ動作を行っている。
【0112】
(3.3)その他の変形例
以下、その他の変形例を列挙する。
【0113】
実施形態2及び変形例1,2では、第2期間T21,T22,T23の長さが第1期間T11,T12,T13の長さよりも長くなっている。これに対して、第2期間の長さは、第1期間の長さと同じであってもよい。この場合、第1照明光101の光量を変化させるタイミング及び第2照明光102の光量を変化させるタイミングによっては、第2照明光102に対する第1照明光101の変化量を大きくすることが可能となる。
【0114】
また、実施形態2で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。
【0115】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0116】
第1の態様に係る照明システム(10)は、第1光源(1A)と、第2光源(1B)と、制御部(3)と、情報検出部(5)と、を備える。第1光源(1A)は、照射面(S1)の第1照射領域(R1)に第1照明光(101)を照射する。第2光源(1B)は、照射面(S1)の第2照射領域(R2)に第2照明光(102)を照射する。照射面(S1)は、表示画面(61)を有する電気機器(6)の後方に位置する。制御部(3)は、第1光源(1A)及び第2光源(1B)を制御する。情報検出部(5)は、電気機器(6)の利用者の生体情報を検出する。第1照射領域(R1)は、第2照射領域(R2)よりも狭い。第1照射領域(R1)の少なくとも一部は、第2照射領域(R2)と重なっている。制御部(3)は、情報検出部(5)の検出結果である利用者の生体情報に基づいて光量変化期間(T1)における第1照明光(101)の光量を所定周期で変化させる。
【0117】
この態様によれば、電気機器(6)を用いた作業の効率化を図ることが可能となる。
【0118】
第2の態様に係る照明システム(10)では、第1の態様において、第1照明光(101)の彩度は、第2照明光(102)の彩度よりも高い。
【0119】
この態様によれば、第1照明光(101)の彩度と第2照明光(102)の彩度とが等しい場合に比べて、作業者(300)の意識をより覚醒させることが可能となる。
【0120】
第3の態様に係る照明システム(10)では、第1又は第2の態様において、所定周期は、0.06Hz以上で、1.0Hz以下である。
【0121】
この態様によれば、作業者(300)が不快に感じる可能性を低減することが可能となる。
【0122】
第4の態様に係る照明システム(10)では、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、光量変化期間(T1)における第1照明光(101)による第1照射領域(R1)の平均輝度に対する、光量変化期間(T1)における第1照明光(101)による第1照射領域(R1)の最大輝度と最小輝度との差分の1/2の輝度の百分率は、5%以上で、38%以下である。
【0123】
この態様によれば、作業者(300)を不快にさせることなく、作業者(300)の意識を覚醒させることが可能となる。
【0124】
第5の態様に係る照明システム(10)では、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、制御部(3)は、第2期間(T21,T22,T23)において第2照明光(102)の光量を変化させる。第2期間(T21,T22,T23)は、光量変化期間(T11,T12,T13)としての第1期間(T11,T12,T13)とは異なる期間である。
【0125】
この態様によれば、第2照明光(102)に対する第1照明光(101)の変化幅を小さくすることが可能となり、その結果、作業者(300)の不快感をより緩和することが可能となる。
【0126】
第6の態様に係る照明システム(10)では、第5の態様において、第2期間(T21,T22,T23)の長さは、第1期間(T11,T12,T13)の長さよりも長い。
【0127】
この態様によれば、第2照明光(102)による照射面(S1)の輝度変化を気づきにくくしつつ、照射面(S1)の明るさ(輝度)を調整することが可能となる。
【0128】
第7の態様に係る照明システム(10)では、第5の態様において、第2期間(T21,T22,T23)の長さは、第1期間(T11,T12,T13)の長さと同じである。
【0129】
この態様によれば、第2照明光(102)に対する第1照明光(101)の変化量を大きくすることが可能となる。
【0130】
第8の態様に係る照明システム(10)では、第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、第2照射領域(R2)において、第2照射領域(R2)の下部における輝度が最も高い。
【0131】
この態様によれば、作業者(300)の視線方向の輝度を高めることができ、電気機器(6)の表示画面(61)の視認性が向上する。
【0132】
第9の態様に係る照明システム(10)は、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、照射面(S1)を有する部材(200)を更に備える。
【0133】
この態様によれば、照射面(S1)を一体に備える照明システム(10)を提供することが可能となる。
【0134】
第10の態様に係る照明システム(10)では、第1~第9の態様のいずれか1つにおいて、第1光源(1A)は、第1発光部(111)と、第1光学部材(112)と、を有する。第1光学部材(112)は、第1発光部(111)の前方に位置し、第1発光部(111)から放射される光を集光させて第1照明光(101)として出射させる。第2光源(1B)は、第2発光部(121)と、第2光学部材(122)と、を有する。第2光学部材(122)は、第2発光部(121)の前方に位置し、第2発光部(121)から放射される光を拡散させて第2照明光(102)として出射させる。
【0135】
この態様によれば、照射面(S1)において、第2照射領域(R2)を広範囲に形成しつつ、第1照射領域(R1)を所望の範囲に形成することが可能となる。
【0136】
第2~第10の態様に係る構成については、照明システム(10)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0137】
1A 第1光源
1B 第2光源
3 制御部
5 情報検出部
6 電気機器
61 表示画面
10 照明システム
101 第1照明光
102 第2照明光
111 第1発光部
112 第1光学部材
121 第2発光部
122 第2光学部材
200 パーティション(部材)
300 作業者(利用者)
R1 第1照射領域
R2 第2照射領域
S1 照射面
T1,T11,T12,T13 第1期間(光量変化期間)
T21,T22,T23 第2期間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12