(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169042
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】照明装置及び照明システム
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20231121BHJP
F21V 14/06 20060101ALI20231121BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20231121BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231121BHJP
F21Y 113/13 20160101ALN20231121BHJP
【FI】
F21S2/00 355
F21S2/00 230
F21V14/06
F21S2/00 330
F21V5/04 650
F21Y115:10
F21Y113:13
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080494
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松林 容子
(72)【発明者】
【氏名】塚田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】竹本 笑
(72)【発明者】
【氏名】岡本 諒
(57)【要約】
【課題】配光を容易に調整する。
【解決手段】照明装置1は、基板11と、複数の発光素子(第1発光素子12)と、配光制御部材(第1配光制御部材13)と、を備える。配光制御部材は、第1方向に長い長尺状に形成され、基板11の一主面(第1主面111)に配置されている複数の発光素子から放射される光の配光を制御する。配光制御部材は、複数の発光素子から放射される光の1/2ビーム角が20度以下となるように光の配光を制御する。第2方向D2における複数の発光素子の各々の出射面121と配光制御部材の入射面133との間の距離L1は、第3方向D3における複数の発光素子の各々の長さW1の3.17倍以上で、7倍以下である。複数の発光素子の各々の光軸A1と配光制御部材の光軸A2とのなす角度θ1は12度以下である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に長い長尺状に形成された基板と、
前記基板の一主面において前記第1方向に沿って配置されている複数の発光素子と、
前記第1方向に長い長尺状に形成され、前記基板の前記一主面に配置されている前記複数の発光素子から放射される光の配光を制御する配光制御部材と、を備え、
前記配光制御部材は、前記複数の発光素子から放射される前記光の1/2ビーム角が20度以下となるように前記光の配光を制御し、
前記基板の厚さ方向である第2方向における前記複数の発光素子の各々の出射面と前記配光制御部材の入射面との間の距離は、前記第1方向及び前記第2方向の両方と直交する第3方向における前記複数の発光素子の各々の長さの3.17倍以上で、7倍以下であり、
前記複数の発光素子の各々の光軸と前記配光制御部材の光軸とのなす角度は12度以下である、
照明装置。
【請求項2】
前記第2方向からの平面視において、前記第1方向における前記配光制御部材の中心軸は、前記複数の発光素子と重なっている、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記配光制御部材は、前記複数の発光素子に対して可変である、
請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の照明装置であり、第1照明光を照射面に照射する第1照明装置と、
第2照明光を前記照射面に照射する第2照明装置と、を備え、
前記第2照明装置は、前記第1照明装置よりも配光角度が広く、
前記照射面の法線方向において、前記第2照明装置から前記照射面までの距離は、前記第1照明装置から前記照射面までの距離よりも短い、
照明システム。
【請求項5】
前記第1照明光の光色と前記第2照明光の光色とが異なる、
請求項4に記載の照明システム。
【請求項6】
前記第1照明光の彩度は、前記第2照明光の彩度よりも高い、
請求項4に記載の照明システム。
【請求項7】
前記第2方向を上下方向とした場合において、前記第1照明装置における前記第1照明光の出射面は、前記第2照明装置における前記第2照明光の出射面よりも上方に位置する、
請求項4に記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に照明装置及び照明システムに関し、より詳細には、基板と基板の一主面に配置されている複数の発光素子とを備える照明装置、及び照明装置を備える照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1の光源ユニット(第1照明装置)と、第2の光源ユニット(第2照明装置)と、筐体とを備える照明装置(照明システム)が記載されている。第1の光源ユニット及び第2の光源ユニットの各々は、LEDと、基板と、アルミ放熱板と、リフレクタとを有する。第1の光源ユニット及び第2の光源ユニットは、筐体に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2015/1255557号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の照明装置では、配光を変更する場合に筐体ごと調整するため、大きな可動領域空間を設ける必要があったり、微小な調整が困難となったりする場合がある。
【0005】
本開示の目的は、配光を容易に調整することが可能な照明装置及び照明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る照明装置は、基板と、複数の発光素子と、配光制御部材と、を備える。前記基板は、第1方向に長い長尺状に形成されている。前記複数の発光素子は、前記基板の一主面において前記第1方向に沿って配置されている。前記配光制御部材は、前記第1方向に長い長尺状に形成され、前記基板の前記一主面に配置されている前記複数の発光素子から放射される光の配光を制御する。前記配光制御部材は、前記複数の発光素子から放射される前記光の1/2ビーム角が20度以下となるように前記光の配光を制御する。第2方向における前記複数の発光素子の各々の出射面と前記配光制御部材の入射面との間の距離は、第3方向における前記複数の発光素子の各々の長さの3.17倍以上で、7倍以下である。前記第2方向は、前記基板の厚さ方向である。前記第3方向は、前記第1方向及び前記第2方向の両方と直交する方向である。前記複数の発光素子の各々の光軸と前記配光制御部材の光軸とのなす角度は12度以下である。
【0007】
本開示の一態様に係る照明システムは、第1照明装置と、第2照明装置と、を備える。前記第1照明装置は、前記照明装置であり、第1照明光を照射面に照射する。前記第2照明装置は、第2照明光を前記照射面に照射する。前記第2照明装置は、前記第1照明装置よりも配光角度が広い。前記照射面の法線方向において、前記第2照明装置から前記照射面までの距離は、前記第1照明装置から前記照射面までの距離よりも短い。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係る照明装置及び照明システムによれば、配光を容易に調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る照明システムの構成図である。
【
図2】
図2は、同上の照明システムの設置状況の概略図である。
【
図3】
図3は、同上の照明装置の外観斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の照明装置の分解斜視図である。
【
図5】
図5は、同上の照明装置に関し、
図3のX1-X1線断面図である。
【
図6】
図6は、同上の照明装置に関し、
図5の一部拡大図である。
【
図8】
図8は、同上の照明装置の配光特性を示す配光曲線図である。
【
図9】
図9は、同上の照明システムを構成する第2照明装置の配光特性を示す配光曲線図である。
【
図10】
図10は、同上の照明装置に関し、発光素子と配光制御部材との位置関係を説明する説明図である。
【
図11】
図11は、同上の照明装置に関し、発光素子の出射面と配光制御部材の入射面との間の距離と、入射効率との関係を示すグラフである。
【
図12】
図12は、同上の照明システムにより照射面に形成される照射領域の概略図である。
【
図13】
図13は、同上の照明システムに関し、第1照明装置と第2照明装置との位置関係を説明する説明図である。
【
図14】
図14は、同上の照明システムを構成する第1照明装置が第1位置に位置している場合における、発光素子の光軸と配光制御部材の光軸とのなす角度と照度勾配との関係を示すグラフである。
【
図15】
図15は、同上の照明システムを構成する第1照明装置が第2位置に位置している場合における、発光素子の光軸と配光制御部材の光軸とのなす角度と照度勾配との関係を示すグラフである。
【
図16】
図16Aは、実施形態の変形例1に係る照明装置の概略図である。
図16Bは、同上の照明装置の角度調整機構の概略図である。
【
図17】
図17Aは、実施形態の変形例2に係る照明装置の概略図である。
図17Bは、同上の照明装置の角度調整機構の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る照明装置及び照明システムについて図面を参照して説明する。下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、下記の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、下記の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
(実施形態)
(1)概要
まず、実施形態に係る照明装置1及び照明システム10の概要について、
図1~
図7を参照して説明する。
【0012】
実施形態に係る照明システム10は、例えば、
図2に示すように、電気機器8の利用者(以下、「作業者300」という)が電気機器8の表示画面81を見た状態での作業を行う際に、電気機器8を後方(
図2の左側)から間接的に照明するために用いられる。電気機器8は、例えば、ノート型のパーソナルコンピュータである。実施形態に係る照明システム10では、
図2に示すように、電気機器8の後方に位置する照射面S1に対して、第1照明装置1からの第1照明光101、及び第2照明装置2からの第2照明光102を照射することにより、照射面S1の前方(
図2の右側)に位置する電気機器8を間接的に照明する。実施形態に係る照明システム10では、照射面S1は、例えば、作業空間WS1を形成するためのパーティション400の表面(前面)である。
【0013】
実施形態に係る照明システム10は、
図1及び
図2に示すように、第1照明装置1(以下、「照明装置1」ともいう)と、第2照明装置2と、を備える。第1照明装置1は、第1照明光101を照射面S1に照射する。第2照明装置2は、第2照明光102を照射面S1に照射する。照射面S1は、例えば、
図2に示すように、作業空間WS1を形成するためのパーティション400の表面である。
図2に示すように、第2照明装置2は、第1照明装置1よりも配光角度が広い。照射面S1の法線方向である第3方向D3(
図2の左右方向)において、第2照明装置2から照射面S1までの距離L21は、第1照明装置1から照射面S1までの距離L11よりも短い。すなわち、第2照明装置2は、第3方向D3において、第1照明装置1よりも照射面S1側に位置している。
【0014】
また、実施形態に係る照明装置1は、
図3~
図7に示すように、基板11と、複数の第1発光素子(発光素子)12と、第1配光制御部材(配光制御部材)13と、を備える。基板11は、第1方向D1に長い長尺状に形成されている。複数の第1発光素子12は、基板11の第1主面(一主面)111において第1方向D1に沿って配置されている。第1配光制御部材13は、第1方向D1に長い長尺状に形成され、基板11の第1主面111に配置されている複数の第1発光素子12から放射される光の配光を制御する。第1配光制御部材13は、複数の第1発光素子12から放射される光の1/2ビーム角が20度以下となるように光の配光を制御する。第2方向D2における複数の第1発光素子12の各々の出射面121と第1配光制御部材13の入射面133との間の距離L1は、第3方向D3における複数の発光素子12の各々の長さW1の3.17倍以上で、7倍以下である。第2方向D2は、基板11の厚さ方向である。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2の両方と直交する方向である。複数の第1発光素子12の各々の光軸A1と第1配光制御部材13の光軸A2とのなす角度θ1は12度以下である。
【0015】
実施形態に係る照明装置1では、第2方向D2における複数の第1発光素子12の各々の出射面121と第1配光制御部材13の入射面133との間の距離L1は、第3方向D3における複数の発光素子12の各々の長さW1の3.17倍以上で、7倍以下である。また、実施形態に係る照明装置1では、複数の第1発光素子12の各々の光軸A1と第1配光制御部材13の光軸A2とのなす角度θ1は12度以下である。すなわち、実施形態に係る照明装置1によれば、複数の第1発光素子12に対する第1配光制御部材13の位置及び角度を上記範囲内で調整するだけで、配光を調整することが可能となる。要するに、実施形態に係る照明装置1によれば、照明装置全体の位置及び角度を調整する場合に比べて配光を容易に調整することが可能となる。
【0016】
さらに、実施形態に係る照明システム10では、
図2に示すように、照射面S1の法線方向(第3方向D3)において、第2照明装置2から照射面S1までの距離L21は、第1照明装置1から照射面S1までの距離L11よりも短い。すなわち、実施形態に係る照明システム10では、第2照明装置2は、第1照明装置1よりも照射面S1側に位置している。また、実施形態に係る照明システム10では、第2照明装置2は、第1照明装置1よりも配光角度が広い。これにより、第1照明装置1からの第1照明光101及び第2照明装置2からの第2照明光102によるきれいなグラデーション照明を実現することが可能となる。
【0017】
以下では、照射面S1の法線方向である第3方向D3を前後方向とし、基板11の長手方向である第1方向D1を左右方向とし、基板11の厚さ方向である第2方向D2を上下方向として説明するが、これらの方向は照明装置1及び照明システム10の使用時の方向を限定する趣旨ではない。また、図面中の「D1」、「D2」、「D3」を示す矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、いずれも実体を伴わない。
【0018】
(2)詳細
次に、実施形態に係る照明システム10の構成について、
図1及び
図2を参照して説明する。
【0019】
実施形態に係る照明システム10は、
図1に示すように、第1照明装置1と、第2照明装置2と、を備える。また、実施形態に係る照明システム10は、第1駆動部3と、第2駆動部4と、制御部5と、入力受付部6と、を更に備える。
【0020】
(2.1)第1照明装置(照明装置)
第1照明装置1は、
図1に示すように、複数の第1発光素子12と、第1配光制御部材(配光制御部材)13と、を有する。第1照明装置1は、
図2に示すように、第1照明光101を照射面S1に照射する。
【0021】
複数の第1発光素子12の各々は、例えば、光色の異なる4種類(例えば、赤色、緑色、青色、白色)の発光ダイオード(以下、「LED」と称する)のいずれかである。複数の第1発光素子12は、例えば、
図7に示すように、後述の基板11の第1主面111において基板11の長手方向(
図7の上下方向)に沿って等間隔に配置(実装)されている。複数の第1発光素子12のうち同色の2以上のLEDは、電気的に直列に接続されていることが好ましい。以下では、複数の第1発光素子12のうち同色の2以上のLEDをLEDモジュールと称する場合がある。
【0022】
第1配光制御部材13は、複数の第1発光素子12の前方(
図5の上方)に位置している。第1配光制御部材13は、後述のレンズ132(
図5参照)を備える。レンズ132は、例えば集光レンズであり、具体的にはリニアフレネルレンズである。したがって、複数の第1発光素子12から放射される光は、レンズ132により集光及び混合され、各LEDモジュールの光量の比率に応じた光色の光(第1照明光101)となる。
【0023】
(2.2)第2照明装置
第2照明装置2は、
図1に示すように、複数の第2発光素子21と、第2配光制御部材22と、を有する。第2照明装置2は、
図2に示すように、第2照明光102を照射面S1に照射する。また、第2照明装置2では、後述するように、第2配光制御部材22が拡散シートを備えており、レンズ132を備える第1配光制御部材13よりも配光角度が広い。すなわち、第2照明装置2は、第1照明装置1よりも配光角度が広い。
【0024】
複数の第2発光素子21の各々は、複数の第1発光素子12と同様、光色の異なる4種類(例えば、赤色、緑色、青色、白色)のLEDのいずれかである。複数の第2発光素子21は、例えば、複数の第1発光素子12と同様、基板の一主面において基板の長手方向に沿って等間隔に配置(実装)されている。複数の第2発光素子21のうち同色の2以上のLEDは、電気的に直列に接続されていることが好ましい。以下では、複数の第2発光素子21のうち同色の2以上のLEDをLEDモジュールと称する場合がある。
【0025】
第2配光制御部材22は、複数の第2発光素子21の前方に位置する。第2配光制御部材22は、例えば、拡散シートを備える。拡散シートは、例えば、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂等の透光性を有する合成樹脂で形成されている。したがって、複数の第2発光素子21から放射される光は、拡散シートにより拡散及び混合され、各LEDモジュールの光量の比率に応じた光色の光(第2照明光102)となる。なお、第2配光制御部材22は、レンズユニットを更に有していてもよい。レンズユニットは、複数の第2発光素子21と一対一に対応する複数のレンズを備えていることが好ましい。
【0026】
ここで、実施形態に係る照明システム10では、第1照明装置1から出射する第1照明光101の光色と、第2照明装置2から出射する第2照明光102の光色と、が異なっていることが好ましい。一例として、第1照明光101の光色は淡い青緑であり、第2照明光102の光色は青みがかった白である。また、実施形態に係る照明システム10では、第1照明光101の彩度は、第2照明光102の彩度よりも高いことが好ましい。
【0027】
(2.3)第1駆動部
第1駆動部3は、例えば、商用の電力系統から供給される交流電力を直流電力に変換する電力変換回路と、4つの定電流回路と、を有する。4つの定電流回路は、第1照明装置1の4つのLEDモジュールと一対一に対応する。
【0028】
電力変換回路は、例えば、全波整流回路、昇圧チョッパ回路、平滑コンデンサ等を含む。全波整流回路は、例えば、ダイオードブリッジからなる。電力変換回路は、電力系統から入力される交流電圧(例えば、電源周波数60Hz、実効値100Vの交流電圧)を、交流電圧のピーク電圧よりも高い直流電圧に変換する。
【0029】
4つの定電流回路の各々は、例えば、バックコンバータを含む。バックコンバータは、例えば、降圧チョッパ回路である。各定電流回路は、電力変換回路から出力される直流電圧をバックコンバータで降圧し、対応するLEDモジュールに供給する出力電流を目標電流値に一致させるように動作する。例えば、各定電流回路は、制御部5からDMX(Digital Multiplex)512の通信プロトコルに準拠したデジタル信号を受信し、このデジタル信号に応じてバックコンバータを制御してもよい。あるいは、各定電流回路は、制御部5から与えられる光量目標値及び光色目標値に応じてバックコンバータをPWM(Pulse Width Modulation)制御してもよい。
【0030】
第1駆動部3は、例えば、4本の電気ケーブルを介して第1照明装置1に電気的に接続される。4本の電気ケーブルは、第1駆動部3の4つの定電流回路の各々の出力端と、第1照明装置1の4つのLEDモジュールの各々の入力端と、を電気的に接続する。
【0031】
(2.4)第2駆動部
第2駆動部4は、第1駆動部3と同様、商用の電力系統から供給される交流電力を直流電力に変換する電力変換回路と、4つの定電流回路と、を有する。第2駆動部4が有する電力変換回路及び4つの定電流回路は、第1駆動部3が有する電力変換回路及び4つの定電流回路と同一の回路構成を有しており、ここでは説明を省略する。
【0032】
第2駆動部4は、例えば、4本の電気ケーブルを介して第2照明装置2に電気的に接続される。4本の電気ケーブルは、第2駆動部4の4つの定電流回路の各々の出力端と、第2照明装置2の4つのLEDモジュールの各々の入力端と、を電気的に接続する。
【0033】
(2.5)制御部
制御部5は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。照明システム10では、1以上のプロセッサがメモリに記録されているプログラムを実行することにより、制御部5の機能が実現される。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0034】
制御部5は、第1照明装置1及び第2照明装置2を制御する。より詳細には、制御部5は、第1照明装置1から照射される第1照明光101の光量及び光色、並びに、第2照明装置2から照射される第2照明光102の光量及び光色を制御する。より具体的には、制御部5は、第1駆動部3に対して第1光量目標値及び第1光色目標値を与えることにより、第1照明光101の光量及び光色を制御する。また、制御部5は、第2駆動部4に対して第2光量目標値及び第2光色目標値を与えることにより、第2照明光102の光量及び光色を制御する。
【0035】
ここで、第1照明光101は、第1光量目標値及び第1光色目標値から、4つのLEDモジュールの調光値に変換された後、4つの定電流回路の目標電流値に変換される。したがって、制御部5は、第1光量目標値及び第1光色目標値として、各定電流回路の目標電流値を第1駆動部3に与える。
【0036】
また、第2照明光102は、第2光量目標値及び第2光色目標値から、4つのLEDモジュールの調光値に変換された後、4つの定電流回路の目標電流値に変換される。したがって、制御部5は、第2光量目標値及び第2光色目標値として、各定電流回路の目標電流値を第2駆動部4に与える。
【0037】
ただし、定電流回路がPWM制御される場合、制御部5は、定電流回路の出力電流の単位時間あたりの平均値を、各目標電流値に一致させるために必要なPWM制御のデューティ比に換算し、このデューティ比を第1駆動部3及び第2駆動部4に与えてもよい。
【0038】
(2.6)入力受付部
入力受付部6は、上述の第1光量目標値及び第1光色目標値を指定する入力を受け付ける。また、入力受付部6は、上述の第2光量目標値及び第2光色目標値を指定する入力を受け付ける。
【0039】
入力受付部6は、例えば、コンピュータシステムで構成される。コンピュータシステムは、例えば、デスクトップ型又はノート型のパーソナルコンピュータであってもよいし、板状の筐体にタッチパネル等の入力デバイスを搭載したタブレット端末であってもよい。
【0040】
入力受付部6は、例えば、モニタ画面に色度図(例えば、XYZ表色系のxy色度図)を表示させ、モニタ画面に表示されている色度図においてマウスポインタ、タッチペン又は指先で選択された任意の色度点を、光色目標値(第1光色目標値、第2光色目標値)を指定する入力として受け付ける。また、入力受付部6は、例えば、モニタ画面にフェーダ又はスライダー等のGUI(Graphical User Interface)を表示させ、マウスポインタ、タッチペン又は指先でGUIを操作して選択された任意の数値を、光量目標値(第1光量目標値、第2光量目標値)を指定する入力として受け付ける。
【0041】
入力受付部6は、例えば、DMX512等の通信プロトコルに準拠し、通信線を介して制御部5と双方向に通信可能に接続される。入力受付部6は、受け付けた入力情報(例えば、選択された色度点のxy座標、フェーダ等の数値)を、通信線を通して制御部5に送信する。
【0042】
(3)第1照明装置(照明装置)の構造
次に、第1照明装置(照明装置)1の構造について、
図3~
図7を参照して説明する。
【0043】
照明装置1は、
図3~
図7に示すように、基板11と、複数の第1発光素子(発光素子)12と、第1配光制御部材(配光制御部材)13と、を備える。また、照明装置1は、第1ケース23と、第2ケース24と、を更に備える。
【0044】
(3.1)基板
基板11は、例えば、プリント配線板である。基板11は、第1方向D1(左右方向)に長い長尺状に形成されている。より詳細には、基板11は、第1方向D1に長い平板状に形成されている。したがって、基板11の厚さ方向である第2方向D2(上下方向)からの平面視における基板11の形状は、第1方向D1に長い長方形状である(
図7参照)。基板11は、第1主面111及び第2主面112を有する。第1主面111と第2主面112とは、基板11の厚さ方向である第2方向D2において互いに対向している。
【0045】
(3.2)第1発光素子
複数の第1発光素子12は、基板11の第1主面111において第1方向D1に沿って配置されている。より詳細には、複数の第1発光素子12は、
図7に示すように、第1方向D1における後述の第1配光制御部材13の中心軸A3に沿って等間隔に配置(実装)されている。
図7の例では、第2方向D2(
図7の紙面に垂直な方向)からの平面視において、第1方向D1における第1配光制御部材13の中心軸A3は、複数の第1発光素子(発光素子)12と重なっている。ここで、「第1配光制御部材13の中心軸A3」は、第1配光制御部材13の中心軸のうち、第1配光制御部材13の長手方向である第1方向D1に沿った中心軸である。
【0046】
(3.3)第1配光制御部材
第1配光制御部材13は、ベース板131と、レンズ132と、を有する。第1配光制御部材13は、基板11の第1主面111に配置されている複数の第1発光素子12から放射される光の配光を制御するための部材である。第1配光制御部材13は、
図4に示すように、第1方向D1に長い長尺状に形成されている。第1配光制御部材13は、例えば、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂等の合成樹脂により形成されている。
【0047】
ベース板131は、例えば、第1方向D1に長い平板状に形成されている。ベース板131は、第1主面1311及び第2主面1312を有する。第1主面1311及び第2主面1312は、ベース板131の厚さ方向(第2方向D2)において互いに対向している。
【0048】
レンズ132は、ベース板131の第1主面1311に形成されている。レンズ132は、例えば集光レンズであり、具体的にはリニアフレネルレンズである。レンズ132は、第1方向D1に長い長尺状に形成されている。なお、レンズ132は、集光レンズ(リニアフレネルレンズ)以外のレンズを含んでいてもよい。また、レンズ132は、リニアフレネルレンズ以外の集光レンズを含んでいてもよい。レンズ132の光軸A2は、
図5及び
図6に示すように、レンズ132の入射面133の中心点P2を通り、ベース板131の第2主面1312と直交する。
【0049】
また、実施形態に係る照明装置1では、第1配光制御部材13は、複数の第1発光素子12から放射される光の1/2ビーム角が20度以下となるように、上記光の配光を制御する。なお、各第1発光素子12と第1配光制御部材13との位置関係については、「(4)第1発光素子と第1配光制御部材との位置関係」の欄で説明する。
【0050】
(3.4)第1ケース
第1ケース23は、
図4に示すように、ボディ14と、第1カバー18と、一対の第2カバー19と、を有する。
【0051】
ボディ14は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金の押出成形材により中空の筒状に形成されている。ボディ14の一面(上面)は開口している。また、ボディ14の内側面における上端部には、上述の基板11を保持するための一対の保持溝141(
図5参照)が設けられている。したがって、一対の保持溝141に基板11の短手方向(第3方向D3)の両端が差し込まれることにより、基板11がボディ14に保持される。基板11がボディ14に保持された状態では、基板11の第1主面111とボディ14の開口面とが対向する。また、ボディ14の内部空間における基板11の下部には、上述の第1駆動部3が収容される。
【0052】
第1カバー18は、例えば、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂等の合成樹脂により形成されている。第1カバー18は、第1方向D1に長い長尺状に形成されている。第1方向D1からの平面視における第1カバー18の形状は、上側に凸となる円弧状である。第1カバー18は、ボディ14の開口面を塞ぐようにしてボディ14に取り付けられる。ボディ14に第1カバー18が取り付けられた状態では、基板11の第1主面111と第1カバー18の内面とが対向する。したがって、複数の第1発光素子12から放射された光は、第1カバー18を透過して第1ケース23の外部に出射する。
【0053】
一対の第2カバー19の各々は、ボディ14と同様、アルミニウム又はアルミニウム合金により平板状に形成されている。一対の第2カバー19は、ボディ14の長手方向(第1方向D1)の両端においてそれぞれねじ止めされる。
【0054】
(3.5)第2ケース
第2ケース24は、
図4に示すように、第1ボディ15と、第2ボディ16と、カバー17と、を有する。
【0055】
第1ボディ15は、例えば、金属板により第1方向D1に長い長尺状に形成されている。第1ボディ15は、側壁部151と、保持部152と、を備える。側壁部151は、第1方向D1に長い平板状に形成されている。保持部152は、第1片153と、第2片154と、第3片155と、第4片156と、第5片157と、を備える。第1片153は、側壁部151の上端から後方に突出している。第2片154は、第1片153の後端から上方に突出している。第3片155は、第2片154の上端から前方に突出している。第4片156は、第3片155の前端から上方に突出している。第5片157は、第4片156の上端から後方に突出している。したがって、第1方向D1からの平面視における保持部152の形状は、逆S字状である。ここで、第1ボディ15では、第1片153、第2片154及び第3片155により第1保持溝158が形成されている。また、第1ボディ15では、第3片155、第4片156及び第5片157により第2保持溝159が形成されている。
【0056】
第2ボディ16は、第1ボディ15と同様、例えば、金属板により第1方向D1に長い長尺状に形成されている。第2ボディ16は、側壁部161と、保持部162と、を備える。側壁部161は、第1方向D1に長い平板状に形成されている。保持部162は、第1片163と、第2片164と、第3片165と、第4片166と、第5片167と、を備える。第1片163は、側壁部161の上端から前方に突出している。第2片164は、第1片163の前端から上方に突出している。第3片165は、第2片164の上端から後方に突出している。第4片166は、第3片165の後端から上方に突出している。第5片167は、第4片166の上端から前方に突出している。したがって、第1方向D1からの平面視における保持部162の形状は、S字状である。ここで、第2ボディ16では、第1片163、第2片164及び第3片165により第1保持溝168が形成されている。また、第2ボディ16では、第3片165、第4片166及び第5片167により第2保持溝169が形成されている。
【0057】
一対の第1保持溝158,168は、後述のカバー17を保持するための溝であって、カバー17の一対の取付部172の第2片174がそれぞれ差し込まれる。一対の第2保持溝159,169は、上述の第1配光制御部材13を保持するための溝であって、第1配光制御部材13のベース板131の短手方向(第3方向D3)の両端がそれぞれ差し込まれる。
【0058】
第1ボディ15及び第2ボディ16は、第3方向D3において所定の間隔を空けた状態で、適宜の固定方法(例えば、ねじ固定)により支持台20(
図2参照)に取り付けられる。ここで、第1ボディ15及び第2ボディ16が支持台20に取り付けられた状態で、第1ボディ15及び第2ボディ16に保持された第1配光制御部材13のベース板131の第2主面1312が照射面S1の方を向くように、第1ボディ15の側壁部151及び第2ボディ16の側壁部161の長さが決められている。より詳細には、第2方向D2における第1ボディ15の側壁部151の長さH4は、第2方向D2における第2ボディ16の側壁部161の長さH5よりも長い。
【0059】
カバー17は、例えば、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂等の合成樹脂により形成されている。カバー17は、主部171と、一対の取付部172と、を備える。主部171は、第1方向D1に長い平板状に形成されている。一対の取付部172の各々は、第1片173と、第2片174と、を備える。第1片173は、主部171の前端又は後端から下方に突出している。第2片174は、第1片173の下端から前方又は後方に突出している。したがって、第1方向D1からの平面視における各取付部172の形状は、L字状又は逆L字状である。
【0060】
実施形態に係る照明装置1では、支持台20に取り付けられた第1ボディ15及び第2ボディ16に対して第1方向D1からカバー17をスライドさせることにより、第1ボディ15及び第2ボディ16にカバー17が取り付けられる。第1ボディ15及び第2ボディ16にカバー17が取り付けられた状態では、一方(
図5の右側)の取付部172の第2片174が第1ボディ15の第1保持溝158に差し込まれ、他方(
図5の左側)の取付部172の第2片174が第2ボディ16の第1保持溝168に差し込まれる。
【0061】
(4)第1発光素子と第1配光制御部材との位置関係
次に、第1発光素子12と第1配光制御部材13との位置関係について、
図5及び
図6を参照して説明する。
【0062】
基板11上に配置された第1発光素子12の光軸A1は、
図5及び
図6に示すように、第2方向D2(上下方向)と平行である。ここで、第1発光素子12の光軸A1は、第1発光素子12の出射面121の中心点P1を通り、出射面121の法線方向に平行な仮想軸である。
【0063】
一方、第1配光制御部材13の光軸A2は、上述したように、第2方向D2における第2ボディ16の側壁部161の長さH5が、第2方向D2における第1ボディ15の側壁部151の長さH4よりも短くなっているため、第1発光素子12の光軸A1に対して照射面S1側に傾斜している。ここで、第1配光制御部材13の光軸A2は、レンズ132の入射面133の中心点P2を通り、出射面(ベース板131の第2主面1312)の法線方向に平行な仮想軸である。
【0064】
このように、第1照明装置1では、第1配光制御部材13の光軸A2が第1発光素子12の光軸A1に対して照射面S1側に傾斜しており、かつ第1配光制御部材13が集光レンズ(レンズ132)を備えているため、第1照明装置1の配光特性は、
図8に示すように、鉛直方向(上下方向)において照射面S1側に傾斜(
図8では10度)した狭角の配光特性となる。一方、第2照明装置2では、第2照明光102の出射面200が上向きとなっており(
図2参照)、かつ第2配光制御部材22が拡散シートを備えているため、第2照明装置2の配光特性は、
図9に示すように、広角の配光特性となる。なお、
図8において、K1は鉛直方向(上下方向)の配光曲線であり、K2は水平方向(左右方向)の配光曲線である。また、
図9において、K3は鉛直方向(上下方向)の配光曲線であり、K4は水平方向(左右方向)の配光曲線である。
【0065】
ここで、
図10は、第1発光素子12と第1配光制御部材13との位置関係を説明する説明図である。
図10において、「W1」は、第3方向D3における第1発光素子12の長さ(幅)であり、「H1」は、第1発光素子12の厚さである。また、
図10において、「θ11,θ12(θ1)」は、第1発光素子12の光軸A1と第1配光制御部材13の光軸A2とのなす角度であり、「d1」は、第3方向D3における第1配光制御部材13の入射面133の変位量である。また、
図10において、「L1」は、第2方向D2における第1発光素子12の出射面121と第1配光制御部材13の入射面133との間の距離である。
【0066】
一例として、長さW1が3mm、距離L1が13.5mmである場合を想定する。この場合における変位量d1を表1に示す。
【0067】
【0068】
ここで、変位量d1は、第1発光素子12の長さW1の1/2以下であることが好ましく、具体的には1.5mm以下であることが好ましい。また、入射効率を考慮すると、第2方向D2における第1発光素子12と第1配光制御部材13との間の距離L1は短いほうが好ましい。しかしながら、実施形態に係る照明装置1のように、第1発光素子12に対して第1配光制御部材13を傾ける場合には、距離L1が小さいと変位量d1も小さくなって調整が困難になる。このため、例えば、距離L1が13.5mmである場合には変位量d1は1mm以上であることが好ましい。したがって、この場合には、第1発光素子12の光軸A1と第1配光制御部材13の光軸A2とのなす角度θ1(以下、「傾斜角度θ1」ともいう)は、6度であることが好ましい(表1参照)。変位量d1が1mm以上で、傾斜角度θ1が6度である場合、距離L1は9.5mm以上となる。すなわち、第2方向D2における第1発光素子12の出射面121と第1配光制御部材13の入射面133との間の距離L1はは、第3方向D3における第1発光素子12の長さW1の3.17(=9.5mm/3mm)倍以上であることが好ましい。ここで、「第2方向D2における第1発光素子12の出射面121と第1配光制御部材13の入射面133との間の距離L1」は、中心点P1と中心点P2との間の距離である。中心点P1は、第1発光素子12の光軸A1に平行な方向から第1発光素子12を見た場合における第1発光素子12の出射面121の中心点である。中心点P2は、第1配光制御部材13の光軸A2に平行な方向から第1配光制御部材13を見た場合における第1配光制御部材13の入射面133の中心点である。
【0069】
さらに、
図11は、第2方向D2における第1発光素子12の出射面121と第1配光制御部材13の入射面133との間の距離L1と入射効率との関係を示すグラフである。ここで、入射効率は、第1照明装置1から出射する全光束に対する照射面S1に入射する光束の百分率である。
図11の実線a1に示すように、距離L1が長くなるほど入射効率は低下する。第1発光素子12の光軸A1と第1配光制御部材13の光軸A2とのなす角度θ1、つまり傾斜角度θ1が0度である場合、入射効率は10.2%である。このため、傾斜角度θ1が0度よりも大きい場合において入射効率が10.2%以上であればよく、距離L1は21mm以下であればよい。すなわち、距離L1は、第3方向D3における第1発光素子12の長さW1の7(=21mm/3mm)倍以下であればよい。
【0070】
要するに、実施形態に係る照明装置1では、第2方向D2における複数の第1発光素子12の各々の出射面121と第1配光制御部材13の入射面133との間の距離L1は、第3方向D3における複数の発光素子12の各々の長さW1の3.17倍以上で、7倍以下であることが好ましい。
【0071】
(5)照明システムの設置状況
次に、実施形態に係る照明システム10の設置状況について、
図2を参照して説明する。
【0072】
照明システム10は、
図2に示すように、照射面S1の下部に設けられた設置台7に設置されている。照射面S1は、例えば、作業空間WS1を形成するためのパーティション400の表面(前面)である。作業空間WS1の天井面には、作業空間WS1を照明するための照明器具9が取り付けられている。照明器具9は、
図2の例では、天井取付型の照明器具であるが、天井埋込型の照明器具であってもよい。照明器具9は、作業空間WS1に対して、第1照明光101及び第2照明光102とは光色が異なる第3照明光103を照射する。
【0073】
設置台7は、底板70と、前板71と、後板72と、一対の側板73と、を有する。底板70は、平板状であって、照射面S1に対して垂直に配置されている。前板71は、底板70と同様、平板状であって、底板70の前後方向(第3方向D3)の一端(前端)から上向きに突出している。後板72は、底板70と同様、平板状であって、底板70の前後方向(第3方向D3)の他端(後端)から上向きに突出している。一対の側板73は、底板70の左右方向(第1方向D1)の両端から上向きに突出している。すなわち、設置台7は、底板70の上方が開放された長尺の箱状に形成されている。なお、
図2では、一対の側板73のうちの片方(
図2の手前側)の側板73の図示を省略している。底板70、前板71、後板72及び一対の側板73は、金属製、木製、合成樹脂製のいずれかの板材で形成されることが好ましい。
【0074】
第1照明装置1は、設置台7の内部空間(底板70、前板71、後板72及び一対の側板73で囲まれた空間)に設置されている。より詳細には、第1照明装置1は、例えば、設置台7の内部空間において、第1照明光101の出射面100が上向きとなるようにして一対の側板73に固定されている。また、第1照明装置1から出射する第1照明光101が照射面S1に向けて照射されるように、第1発光素子12の光軸A1(
図5参照)に対して第1配光制御部材13の光軸A2(
図5参照)を照射面S1の方に向けている。このように、第1照明装置1は、照射面S1の法線方向である第3方向D3において、電気機器8が載置されている載置面S2と照射面S1との間に位置している。
【0075】
第2照明装置2は、例えば、設置台7の内部空間において、第2照明光102の出射面200が上向きとなるようにして一対の側板73に固定されている。また、第2照明装置2は、設置台7の内部空間において、第1照明装置1よりも照射面S1に近い位置に設置されている。すなわち、
図2の例では、照射面S1の法線方向(第3方向D3)において、第2照明装置2から照射面S1までの距離L21は、第1照明装置1から照射面S1までの距離L11よりも短い。言い換えると、第1照明装置1と第2照明装置2とは、前後方向(第3方向D3)に沿って前方から第1照明装置1、第2照明装置2の順に並んでいる。ここで、「照射面S1の法線方向(第3方向D3)における第1照明装置1から照射面S1までの距離L11」は、第1発光素子12の出射面121の中心点P1から照射面S1までの距離である。また、「照射面S1の法線方向(第3方向D3)における第2照明装置2から照射面S1までの距離L21」は、第2発光素子21の出射面の中心点から照射面S1までの距離である。
【0076】
ところで、第1照明装置1では、第1照明光101の出射面100は、
図2に示すように、上下方向(第2方向D2)において前板71の上端よりも下側に位置している。また、第2照明装置2では、第2照明光102の出射面200は、
図2に示すように、上下方向(第2方向D2)において前板71の上端よりも下側に位置している。このため、第1照明光101及び第2照明光102のうち前方に向かう光は設置台7の前板71で遮光され、載置面S2上に置かれた電気機器8を用いて作業を行っている作業者300からは直接見えない。結果的に、第1照明光101及び第2照明光102によるグレアを抑制することが可能となる。
【0077】
また、実施形態に係る照明システム10では、
図2に示すように、上下方向(第2方向D2)において、第1照明装置1における第1照明光101の出射面100は、第2照明装置2における第2照明光102の出射面200よりも上方に位置している。より詳細には、第1照明装置1の高さH11は、第2照明装置2の高さH21よりも高い。これにより、第1照明装置1よりも照射面S1側に位置している第2照明装置2によって第1照明光101の一部が遮光されることを抑制することが可能となる。ここで、第1照明装置1の高さH1は、
図2に示すように、出射面100のうちで最も低い位置を基準に規定している。したがって、
図2の例では、第1照明装置1の出射面100の全体が、第2照明装置2の出射面200よりも上方に位置している。
【0078】
(6)照射面の照射領域
次に、照射面S1に形成される第1照射領域R1及び第2照射領域R2について、
図12を参照して説明する。
【0079】
実施形態に係る照明システム10では、第1照明装置1から出射した第1照明光101が照射面S1に照射されることによって、照射面S1に第1照射領域R1が形成される。また、実施形態に係る照明システム10では、第2照明装置2から出射した第2照明光102が照射面S1に照射されることによって、照射面S1に第2照射領域R2が形成される。本開示でいう「第1照射領域R1」とは、第1照明装置1及び第2照明装置2のうち第1照明装置1のみを点灯させた場合に第1照明光101が照射される照射面S1において最大輝度の30%以上となる領域をいう。また、本開示でいう「第2照射領域R2」とは、第1照明装置1及び第2照明装置2のうち第2照明装置2のみを点灯させた場合に第2照明光102が照射される照射面S1において最大輝度の30%以上となる領域をいう。例えば、
図12における2つのグラフのうち右側のグラフにおいて、第1閾値Th1よりも左側が最大輝度の30%以上の輝度となる範囲であり、このグラフから第1照射領域R1の上下方向(第2方向D2)の上限位置及び下限位置が決まる。また、
図12における2つのグラフのうち左側のグラフにおいて、第2閾値Th2よりも左側が最大輝度の30%以上の輝度となる範囲であり、このグラフから第2照射領域R2の上下方向(第2方向D2)の上限位置及び下限位置が決まる。また、電気機器8が載置面S2に載置されている状態では、電気機器8の表示画面81及び照射面S1を前方から見たときに、電気機器8の表示画面81の一部(下部)が第1照射領域R1と重なっている(
図12参照)。
【0080】
ここで、第1発光素子12の光軸A1と第1配光制御部材13の光軸A2とのなす角度θ1を変化させた場合における、第1照射領域R1の最大照度、最小照度、集光照射領域高、入射効率、均斉度を表2に示す。最小照度は、第1照射領域R1における最大照度の1/3の照度である。また、集光照射領域高は、第1照射領域R1の高さ(第2方向D2の長さ)である。ここで、本実施形態では、均斉度は、最大照度に対する平均照度の割合で定義される。
【0081】
【0082】
表2では、傾斜角度θ1が3度、6度、9度、12度のいずれの場合においても、傾斜角度θ1が0度の場合に比べて最大照度及び最小照度のいずれも高くなっている。また、表2では、傾斜角度θ1が3度、6度、9度、12度のいずれの場合においても、傾斜角度θ1が0度の場合に比べて集光照射領域高は大きくなっている。また、表2では、傾斜角度θ1が3度、6度、9度、12度のいずれの場合においても、傾斜角度が0度の場合に比べて入射効率は高くなっている。また、表2では、傾斜角度θ1が3度、6度、9度、12度のいずれの場合においても、傾斜角度が0度の場合に比べて均斉度は高くなっている。すなわち、実施形態に係る照明装置1では、複数の第1発光素子12の光軸A1と第1配光制御部材13の光軸A2とのなす角度(傾斜角度)θ1は、0度よりも大きく、12度以下であることが好ましい。
【0083】
(7)第1照明装置及び第2照明装置の位置と照射面の照度勾配との関係
次に、第3方向D3における第1照明装置1及び第2照明装置2の位置と照射面S1の照度勾配との関係について、
図13~
図15を参照して説明する。
【0084】
図13の「L31」は、第3方向D3における設置台7の内側寸法である。
図13の「L32」は、第3方向D3における第1照明装置1及び第2照明装置2の長さ(幅)である。
図13の「L33」は、第3方向D3における第1照明装置1と第2照明装置2との間の隙間である。
図13の「L34」は、第3方向D3における設置台7の内側面から第1照明装置1の中心までの距離である。また、
図14及び
図15の縦軸は、照射面S1の高さ位置(mm)であり、
図14及び
図15の横軸は、照射面S1の照度(lx)である。
【0085】
まず、内側寸法L31が200mm、長さL32が60mm、隙間L33が20mm、距離L34が130mmである場合(以下、「第1例」という)を想定する。第1例では、照射面S1の照度勾配は、
図14に示すように、第1発光素子12の光軸A1と第1配光制御部材13の光軸A2とのなす角度θ1(以下、「傾斜角度θ1」ともいう)の大きさに応じて異なる。例えば、傾斜角度θ1が0度である場合、照射面S1の輝度は、照射面S1の高さ位置に応じて点線b5に沿って変化する。また、傾斜角度θ1が3度である場合、照射面S1の輝度は、照射面S1の高さ位置に応じて一点鎖線b2に沿って変化する。また、傾斜角度θ1が6度である場合、照射面S1の輝度は、照射面S1の高さ位置に応じて実線b1に沿って変化する。また、傾斜角度θ1が9度である場合、照射面S1の輝度は、照射面S1の高さ位置に応じて二点鎖線b3に沿って変化する。また、傾斜角度θ1が12度である場合、照射面S1の輝度は、照射面S1の高さ位置に応じて点線b4に沿って変化する。第1例では、第1照明装置1及び第2照明装置2による照射面S1の照度勾配が最も滑らかとなるのは、傾斜角度θ1が6度の場合である。
【0086】
次に、内側寸法L31が200mm、長さL32が60mm、隙間L33が20mm、距離L34が170mmである場合(以下、「第2例」という)を想定する。第2例では、照射面S1の照度勾配は、第1例と同様、傾斜角度θ1の大きさに応じて異なる(
図15参照)。例えば、傾斜角度θ1が0度である場合、照射面S1の輝度は、照射面S1の高さ位置に応じて点線c5に沿って変化する。また、傾斜角度θ1が3度である場合、照射面S1の輝度は、照射面S1の高さ位置に応じて一点鎖線c2に沿って変化する。また、傾斜角度θ1が6度である場合、照射面S1の輝度は、照射面S1の高さ位置に応じて実線c1に沿って変化する。また、傾斜角度θ1が9度である場合、照射面S1の輝度は、照射面S1の高さ位置に応じて二点鎖線c3に沿って変化する。また、傾斜角度θ1が12度である場合、照射面S1の輝度は、照射面S1の高さ位置に応じて点線c4に沿って変化する。第2例では、第1照明装置1及び第2照明装置2による照射面S1の照度勾配が最も滑らかとなるのは、第1例と同様、傾斜角度θ1が6度の場合である。
【0087】
このように、第1照明装置1及び第2照明装置2による照射面S1への照明では、第3方向D3における第1照明装置1及び第2照明装置2の位置にかかわらず、傾斜角度θ1が6度である場合に照射面S1の照度勾配が最も滑らかになる。
【0088】
(8)効果
実施形態に係る照明装置1では、第2方向D2における複数の第1発光素子12の各々の出射面121と第1配光制御部材13の入射面133との間の距離L1は、第3方向D3における複数の発光素子12の各々の長さW1の3.17倍以上で、7倍以下である。また、実施形態に係る照明装置1では、複数の第1発光素子12の各々の光軸A1と第1配光制御部材13の光軸A2とのなす角度θ1は12度以下である。このため、複数の第1発光素子12に対する第1配光制御部材13の位置及び角度を上記範囲内で調整するだけで、配光を調整することが可能となる。すなわち、実施形態に係る照明装置1によれば、照明装置全体の位置及び角度を調整する場合に比べて配光を容易に調整することが可能となる。
【0089】
また、実施形態に係る照明装置1では、第2方向D2からの平面視において、第1方向D1における第1配光制御部材13の中心軸A3は、複数の第1発光素子12と重なっている。このため、第1配光制御部材13の中心軸A3を回転中心として第1配光制御部材13を回転させることで、照射面S1への配光を制御することが可能となる。
【0090】
また、実施形態に係る照明システム10では、照射面S1の法線方向(第3方向D3)において、第2照明装置2から照射面S1までの距離L21は、第1照明装置1から照射面S1までの距離L11よりも短い。また、実施形態に係る照明システム10では、第2照明装置2は、第1照明装置1よりも配光角度が広い。これにより、第1照明装置1からの第1照明光101及び第2照明装置2からの第2照明光102によるきれいなグラデーション照明を実現することが可能となる。
【0091】
また、実施形態に係る照明システム10では、第1照明光101の光色と第2照明光102の光色とが異なっている。これにより、第1照明光101の色味及び第2照明光102の色味をそれぞれ強く感じさせるグラデーション照明を実現することが可能となる。
【0092】
また、実施形態に係る照明システム10では、第1照明光101の彩度は、第2照明光102の彩度よりも高い。これにより、第1照明光101の色味を強く感じさせるグラデーション照明を実現することが可能となる。
【0093】
また、実施形態に係る照明システム10では、第1照明装置1における第1照明光101の出射面100は、第2照明装置2における第2照明光102の出射面200よりも上方に位置している(
図2参照)。これにより、第1照明光101が第2照明装置2により遮光されることを抑制することが可能となる。
【0094】
(9)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つにすぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0095】
(9.1)変形例1
変形例1に係る照明装置1Aについて、
図16A及び
図16Bを参照して説明する。なお、変形例1に係る照明装置1Aに関し、上述の実施形態に係る照明装置1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0096】
変形例1に係る照明装置1Aは、複数の第1発光素子12に対して第1配光制御部材13が可変である点で、上述の実施形態に係る照明装置1と相違する。
【0097】
変形例1に係る照明装置1Aは、上述の基板11、複数の第1発光素子12、第1配光制御部材13、第1ケース23及び第2ケース24に加えて、保持部材25Aと、回転軸26と、角度調整機構27Aと、を更に備える。
【0098】
保持部材25Aは、第1配光制御部材13を保持するための部材である。保持部材25Aは、回転軸26により回転可能に支持されている。
【0099】
回転軸26は、第1方向D1(
図16Aの紙面に垂直な方向)に長い丸棒状に形成されている。
【0100】
角度調整機構27Aは、
図16Bに示すように、第1円板271と、第2円板272と、を有する。
【0101】
第1円板271は、第1貫通孔2711と、突起2713と、を備える。第1貫通孔2711は、第1方向D1(第1円板271の厚さ方向)に沿って第1円板271を貫通している。突起2713は、第1円板271における第2円板272との対向面2712から第2円板272側に突出している。
【0102】
第2円板272は、第2貫通孔2721と、複数の凹溝2723と、を備える。第2貫通孔2721は、第1方向D1(第2円板272の厚さ方向)に沿って第2円板272を貫通している。複数の凹溝2723は、第2円板272における第1円板271との対向面2722において周方向に沿って等間隔に設けられている。したがって、変形例1に係る照明装置1Aでは、複数の第1発光素子12に対する第1配光制御部材13の角度を複数段階に調整することが可能となる。すなわち、変形例1に係る照明装置1Aでは、第1配光制御部材13は、複数の第1発光素子12に対して可変である。要するに、第1配光制御部材13は、複数の第1発光素子12に対して可動するように構成されている。
【0103】
第1円板271は、第1貫通孔2711に回転軸26を貫通させた状態で保持部材25Aに固定されている。また、第2円板272は、第2貫通孔2721に回転軸26を貫通させた状態で回転軸26に固定されている。
【0104】
変形例1に係る照明装置1Aによれば、保持部材25Aを回転させるだけで傾斜角度θ1の調整が可能となる。
【0105】
(9.2)変形例2
変形例2に係る照明装置1Bについて、
図17A及び
図17Bを参照して説明する。なお、変形例2に係る照明装置1Bに関し、上述の実施形態に係る照明装置1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0106】
変形例2に係る照明装置1Bは、複数の第1発光素子12に対して第1配光制御部材13が可変である点で、上述の実施形態に係る照明装置1と相違する。
【0107】
変形例2に係る照明装置1Bは、上述の基板11、複数の第1発光素子12、第1配光制御部材13、第1ケース23及び第2ケース24に加えて、保持部材25Bと、回転軸26と、角度調整機構27Bと、を更に備える。
【0108】
保持部材25Bは、第1配光制御部材13を保持するための部材である。保持部材25Bは、回転軸26により回転可能に支持されている。
【0109】
回転軸26は、第1方向D1(
図17Aの紙面に垂直な方向)に長い丸棒状に形成されている。
【0110】
角度調整機構27Bは、
図17Bに示すように、スナップリング273を有する。スナップリング273の内周縁には、複数のノッチ2731が周方向に沿って設けられている。スナップリング273は、保持部材25Bに固定されている。
【0111】
変形例2に係る照明装置1Bでは、スナップリング273の両端間の間隔を拡げて保持部材25Bを回転軸26の回りに回転させた後、スナップリング273の両端間の間隔を元の位置に戻すことで、複数の第1発光素子12に対する第1配光制御部材13の角度を調整することが可能となる。すなわち、変形例2に係る照明装置1Bでは、第1配光制御部材13は、複数の第1発光素子12に対して可変である。要するに、第1配光制御部材13は、複数の第1発光素子12に対して可動するように構成されている。
【0112】
変形例2に係る照明装置1Bによれば、保持部材25Bを回転させるだけで傾斜角度θ1の調整が可能となる。
【0113】
(9.3)その他の変形例
以下、その他の変形例を列挙する。
【0114】
本開示における照明システム10は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における照明システム10としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1又は複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1又は複数の電子回路で構成される。
【0115】
また、照明システム10における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは照明システム10に必須の構成ではなく、照明システム10の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、照明システム10の少なくとも一部の機能、例えば、制御部5の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0116】
反対に、上述の実施形態において、複数の装置に分散されている照明システム10の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、第1駆動部3と制御部5とに分散されている照明システム10の一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。
【0117】
上述の実施形態では、電気機器8は、ノート型のパーソナルコンピュータである。これに対して、電気機器8は、ノート型のパーソナルコンピュータに限らず、例えば、デスクトップ型のパーソナルコンピュータであってもよいし、タブレット端末であってもよいし、スマートフォンであってもよい。また、電気機器8は、例えば、テレビジョンであってもよい。
【0118】
上述の実施形態では、第1照明装置1及び第2照明装置2は、第3方向D3(前後方向)において電気機器8と照射面S1との間に配置されたパーティション照明である。これに対して、第1照明装置1及び第2照明装置2は、パーティション照明に限らず、例えば、電気機器8の背面(表示画面81が設けられている面とは反対側の面)に設けられた照明であってもよいし、デスクスタンドであってもよいし、天井面に取り付けられたベース照明であってもよい。
【0119】
上述の実施形態では、第1照明装置1及び第2照明装置2の各々は、4種類のLEDを有している。これに対して、第1照明装置1及び第2照明装置2の少なくとも一方は、4種類のLEDに加えて、4種類のLED以外のLED(例えば、彩度の高い青色LED)を更に有していてもよい。
【0120】
上述の実施形態では、第1配光制御部材(配光制御部材)13は、リニアフレネルレンズ(レンズ132)を備えている。これに対して、第1配光制御部材13は、リニアフレネルレンズの代わりに、又はリニアフレネルレンズと共に、複数の第1発光素子12と一対一に対応した複数のレンズを備えていてもよい。また、リニアフレネルレンズ(レンズ132)に光拡散性を持たせてもよいし、第1配光制御部材13が拡散シートを更に備えていてもよい。
【0121】
上述の実施形態では、入力受付部6は、モニタ画面に表示させた色度図及びGUIから光量目標値及び光色目標値を指定する入力を受け付けている。これに対して、入力受付部6は、物理的なキーボード又はモニタ画面に表示させた仮想のキーボード等のCUI(Character-based User Interface)から光量目標値及び光色目標値を指定する入力を受け付けてもよい。
【0122】
上述の実施形態では、照射面S1が照明システム10に含まれていないが、照射面S1は照明システム10に含まれていてもよい。すなわち、照明システム10は、照射面S1を有する部材(パーティション400)を更に備えていてもよい。これにより、照射面S1を一体に備える照明システム10を提供することが可能となる。
【0123】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0124】
第1の態様に係る照明装置(1;1A;1B)は、基板(11)と、複数の発光素子(12)と、配光制御部材(13)と、を備える。基板(11)は、第1方向(D1)に長い長尺状に形成されている。複数の発光素子(12)は、基板(11)の一主面(111)において第1方向(D1)に沿って配置されている。配光制御部材(13)は、第1方向(D1)に長い長尺状に形成され、基板(11)の一主面(111)に配置されている複数の発光素子(12)から放射される光の配光を制御する。配光制御部材(13)は、複数の発光素子(12)から放射される光の1/2ビーム角が20度以下となるように光の配光を制御する。第2方向(D2)における複数の発光素子(12)の各々の出射面(121)と配光制御部材(13)の入射面(133)との間の距離(L1)は、第3方向(D3)における複数の発光素子(12)の各々の長さ(W1)の3.17倍以上で、7倍以下である。第2方向(D2)は、基板(11)の厚さ方向である。第3方向(D3)は、第1方向(D1)及び第2方向(D2)の両方と直交する方向である。複数の発光素子(12)の各々の光軸(A1)と配光制御部材(13)の光軸(A2)とのなす角度(θ1)は12度以下である。
【0125】
この態様によれば、複数の発光素子(12)に対する配光制御部材(13)の位置及び角度を上記範囲内で調整するだけで配光を調整することが可能であり、照明装置全体の位置及び角度を調整する場合に比べて配光を容易に調整することが可能となる。
【0126】
第2の態様に係る照明装置(1)では、第1の態様において、第2方向(D2)からの平面視において、第1方向(D1)における配光制御部材(13)の中心軸(A3)は、複数の発光素子(12)と重なっている。
【0127】
この態様によれば、配光制御部材(13)の中心軸(A3)を回転中心として配光制御部材(13)を回転させることで、照射面(S1)への配光を制御することが可能となる。
【0128】
第3の態様に係る照明装置(1A;1B)では、第1又は第2の態様において、配光制御部材(13)は、複数の発光素子(12)に対して可変である。
【0129】
この態様によれば、複数の発光素子(12)に対する配光制御部材(13)の角度を微調整することが可能となる。
【0130】
第4の態様に係る照明システム(10)は、第1又は第2の態様に係る照明装置(1)であり、第1照明光(101)を照射面(S1)に照射する第1照明装置(1)と、第2照明光(102)を照射面(S1)に照射する第2照明装置(2)と、を備える。第2照明装置(2)は、第1照明装置(1)よりも配光角度が広い。照射面(S1)の法線方向(D3)において、第2照明装置(2)から照射面(S1)までの距離(L21)は、第1照明装置(1)から照射面(S1)までの距離(L11)よりも短い。
【0131】
この態様によれば、第1照明装置(1)からの第1照明光(101)及び第2照明装置(2)からの第2照明光(102)によるきれいなグラデーション照明を実現することが可能となる。
【0132】
第5の態様に係る照明システム(10)では、第4の態様において、第1照明光(101)の光色と第2照明光(102)の光色とが異なる。
【0133】
この態様によれば、第1照明光(101)の色味及び第2照明光(102)の色味をそれぞれ強く感じさせるグラデーション照明を実現することが可能となる。
【0134】
第6の態様に係る照明システム(10)では、第4又は第5の態様において、第1照明光(101)の彩度は、第2照明光(102)の彩度よりも高い。
【0135】
この態様によれば、第1照明光(101)の色味を強く感じさせるグラデーション照明を実現することが可能となる。
【0136】
第7の態様に係る照明システム(10)では、第4~第6の態様のいずれか1つにおいて、第2方向(D2)を上下方向とした場合において、第1照明装置(1)における第1照明光(101)の出射面(100)は、第2照明装置(2)における第2照明光(102)の出射面(200)よりも上方に位置する。
【0137】
この態様によれば、第1照明光(101)が第2照明装置(2)により遮光されることを抑制することが可能となる。
【0138】
第2~第3の態様に係る構成については、照明装置(1,1A,1B)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0139】
第5~第7の態様に係る構成については、照明システム(10)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0140】
1,1A,1B 第1照明装置(照明装置)
2 第2照明装置
10 照明システム
11 基板
12 第1発光素子(発光素子)
13 第1配光制御部材(配光制御部材)
100 出射面
101 第1照明光
102 第2照明光
111 第1主面(一主面)
121 出射面
133 入射面
200 出射面
A1,A2 光軸
A3 中心軸
D1 第1方向
D2 第2方向
D3 第3方向
L1,L11,L21 距離
S1 照射面
W1 長さ