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特開2023-169063日本語入力システムのKEARM学習変換
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169063
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】日本語入力システムのKEARM学習変換
(51)【国際特許分類】
   G06F 40/129 20200101AFI20231121BHJP
【FI】
G06F40/129
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022080529
(22)【出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】505292063
【氏名又は名称】有限会社新英プラナーズ
(72)【発明者】
【氏名】河野 拓治
【テーマコード(参考)】
5B109
【Fターム(参考)】
5B109MA01
5B109MA11
5B109ME01
5B109ME13
5B109ME21
5B109VB01
(57)【要約】
【課題】
仮名漢字変換/KEARM変換システムには、KEARM変換の変換候補の出力順位の変更、検索方式の選択および変換後の入力モードの変更ができる用語属性のしくみがあるが、用語属性の属性値は辞書の登録項目であり、属性値を変えるには、その都度KEARM変換用辞書を開いて該当する用語の属性値を変える必要がある。
【解決手段】
KEARM変換の変換候補一覧で先頭候補にしたい候補をクリックすることで当該候補に対応するKEARM変換用辞書の用語属性値を変更し、当該候補を先頭候補(変換第1候補)に出力できるようにする。KEARM変換の場合は、完全一致検索だけでなく1文字検索もできるので、完全一致検索の変換の変更は候補をクリックし、1文字検索の変換の変更は補助キー+クリックとする。また本発明は多機能型日本語入力システムを構成する複数の機能のうちの項目(3)「日本語入力システムのKEARM学習変換」でもある。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ上で動作する応用プログラムに日本語を入力する「仮名漢字変換/KEARM変換式日本語入力システム」(特願2022-017542の完全一致検索型逐次変換式日本語入力システム)に、KEARM学習変換機能を追加するために「KEARM学習変換実行部」を組み込み、さらに操作に必要な論理キーである「補助キー」、「画面切換えキー」および「優先候補選択キー」を追加した日本語入力システム(以後、本システムと呼ぶ)において、
KEARM変換とは、「仮名入力によるカタカナ語(K)、半角英数入力による英語(E)、英略語(A)又はローマ字(R)の3分類(K、E、AまたはR)、4入力(K、E、AおよびR)による相互変換が可能で多言語(M)出力もできる変換」から頭文字をとった固有名称で多言語処理ができる変換方式であり、
本システムは、KEARM変換に使うKEARM変換用辞書の用語属性(図3の列番号7)を利用して、図4のKEARM変換用辞書の用語属性の3分類の属性値設定表で示すとおり、該用語属性の属性値を変えることでKEARM変換の検索方式(属性値-1~3で完全一致検索、属性値4以上で1文字検索)と、変換候補の出力順位および変換後の入力モードを変えられる構造を持つシステムであって、
本発明は、本システムのKEARM変換の逐次変換で表示される変換候補一覧のうち先頭候補(変換第1候補)に変更したい候補をクリックすることにより、クリックされた候補に対応する用語属性の属性値を変えるために、下記(1)~(3)の実行ステップと(4)の確認ステップにより実施する方法であって、
(1)KEARM変換の3分類(K、E、A又はR)のうちどの分類の用語属性の属性値を変えるかを決め、カタカナ語は仮名モードで、英語、英略語又はローマ字は半角英数モードで本システムに入力し、KEARM変換の逐次変換の変換候補一覧(例えば、半角英数で「black」84と入力したときの例は図8の(1)逐次変換画面(中国語)で、仮名で「ぶらっく」84と入力したときの例は図7の(1)逐次変換画面(仏語)で示す)を表示させ、
(2)該変換候補一覧のうち先頭候補(変換第1候補)に変更したい候補(例えば、図8の(1)逐次変換画面の「黒色」85d)をマウスでクリックすることでKEARM学習変換画面に遷移し、クリックされた候補が該画面の変換結果(図8の(2)KEARM学習変換画面(中国語)の「黒色」87)として表示され、かつ、該画面に表示される用語属性の属性値(英語入力なので図8の(2)KEARM学習変換画面(中国語)の「3//」89で示すとおり英語の属性値である左端の第1桁の数値)が-1~3の範囲内に変更され、
(2a)上記(2)の記述中、単に候補をクリックするだけでなく補助キーを押しながら候補(例えば、図11の(1)逐次変換画面(中国語)の「黒色」85d)をクリックすると、前記同様にKEARM学習変換画面に遷移し、クリックされた候補が該画面の変換結果(図11の(2)KEARM学習変換画面(中国語)の「黒色」87)として表示され、かつ、該画面に表示される用語属性の属性値(図11の(2)KEARM学習変換画面(中国語)の「8//」89で示すとおり属性値は左端の第1桁の数値)が4以上の範囲内に変更され、
(2b)上記(2a)の記述中、半角英数入力でなく仮名入力の場合、補助キーを押しながら候補(例えば、図10の(1)逐次変換画面(仏語)の「black」85b)をクリックすると、前記同様にKEARM学習変換画面に遷移し、クリックされた候補が該画面の変換結果(図10の(2)KEARM学習変換画面(仏語)の「black」87)として表示され、かつ、該画面に表示される用語属性の属性値(仮名入力なので図10の(2)KEARM学習変換画面(仏語)の「//5」89で示すとおりカタカナ語の属性値である右端の第3桁の数値)が4以上の範囲内に変更され、
(3)上記(2b)でカタカナ語の属性値を4以上に変更した場合、次回変換では仮名入力による1文字検索となり仮名漢字変換が優先されるので、該属性値の変更だけでなく、(1)で入力した文字列の変換用文字列(全角片仮名文字列)の先頭の片仮名を「読み」とし、クリックした候補の文字列を登録語句としてユーザー辞書に書き込み(図5の「ブ」37aと「black」37bで示す)を行い、
(4)Escキー等を必要回数押して表示中の画面を消し、変更した属性値の範囲及び入力文字列が半角英数入力か仮名入力かの違いにより次のとおり確認を行い、
(4a)変更した属性値が-1~3の場合は、上記(1)の入力を再入力し、(2)で変更した変換結果がKEARM変換の逐次変換画面の先頭(変換第1候補)に表示(例えば、図8の(3)逐次変換画面(中国語)の「黒色」85aなど)されることを確認し、
(4b)変更した属性値が4以上で英語入力の場合は、上記(1)の入力の先頭の英文字1文字を再入力し、(2a)で変更した変換結果がKEARM変換の逐次変換画面の先頭(変換第1候補)に表示(例えば、図11の(3)逐次変換画面(中国語)の「黒色」85a)されることを確認し、
(4c)変更した属性値が4以上で仮名入力の場合は、上記(1)の入力の先頭の仮名1文字を再入力し、(2b)で変更した変換結果が仮名漢字変換の逐次変換画面の先頭(変換第1候補)に表示(例えば、図10の(3)逐次変換画面の「black」81a)されることを確認する、
方法
【請求項2】
請求項1で記述の用語属性の変更方法で得られた英語の用語属性値4以上を持つ複数の用語群(back、beachおよびblackの3つの用語の場合を例に挙げて、以後、各動作説明において括弧内で例示する)のKEARM変換では、KEARM変換用辞書の用語の登録順(アルファベットの昇順)に検索・変換が行われ該用語群(back、beachおよびblack)の先頭に登録されている用語(back)のみが検索・変換対象となるので、先頭の用語以外の希望する用語(例えばblackとする)の登録位置を先頭方向に移動させ該用語(black)を検索・変換対象の候補に変更するために、以下の(1)~(4)の実行ステップと(5)の確認ステップで実施する方法であって、
(1)英文字1文字(英文字b)を入力すると、英語の用語属性値4以上を持つ用語群(back、beachおよびblack)のうち初期状態で先頭に登録されている用語(back)の逐次変換画面(図12の(1)逐次変換画面)が表示され、
(2)画面切換えキーを押すと該文字(英文字b)を先頭にするKEARM変換用辞書に登録されている全用語の逐次変換簡易表示画面(図12の(2)逐次変換簡易表示画面)が表示され、再度、画面切換えキーを押すと、該文字(英文字b)に対応する属性値4以上を持つ用語群(back、beachおよびblack)のみの逐次変換簡易表示画面(図12の(3)逐次変換簡易表示画面)が表示され、
(3)上記(2)の画面(図12の(3)逐次変換簡易表示画面)で希望する用語(例えばblack)を、矢印↓キーを必要回数押して選択(図12の(4)変換候補簡易表示画面)し、
(4)優先用語選択キーを押すことで、上記(3)で選択した用語(black)のKEARM変換用辞書の登録位置を用語属性値4以上の用語群(back、beachおよびblack)の先頭位置に移動させると同時に、移動後の該用語群(black、backおよびbeach)の画面表示(図12の(5)変換候補簡易表示画面)をさせ、
(5)Escキー等を必要回数押して表示中の画面を消し、該文字(英文字b)を再入力すると、英語の用語属性値4以上を持つ用語群(black、backおよびbeach)のうち先頭に移動した用語(black)の逐次変換画面を表示(図12の(6)逐次変換画面)し、変更した内容を確認できる、
方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「仮名漢字変換/KEARM変換式日本語入力システム」(非特許文献2の完全一致検索型逐次変換式日本語入力システムで、以後、仮名漢字変換/KEARM変換システムとも呼ぶ)にKEARM学習変換機能を追加するために必要な構成部分を組み込んだシステム(以後、本システムとも呼ぶ)において、KEARM変換の変換候補一覧で希望する候補をクリックすることにより当該候補に対応するKEARM変換用辞書の用語属性値を変更し、次回以降のKEARM変換で当該候補を先頭候補(変換第1候補)にできるだけでなく、検索方式や変換後の入力モードも同時に変更できる方法に関する。
【0002】
KEARM変換とは、「仮名入力によるカタカナ語(K)、半角英数入力による英語(E)、英略語(A)又はローマ字(R)の3分類(K、 E、 A又は R)、4入力(K、 E、 A及び R)による相互変換が可能で多言語(M)出力もできる変換」から頭文字をとった固有名称で多言語処理ができる変換方式である。
【0003】
本発明は、非特許文献2の段落番号0027で記述の多機能型日本語入力システムの項目(3)「日本語入力システムのKEARM学習変換」でもあり、図13で示す多機能型日本語入力システムのブロック図において中央右側に位置する「KEARM学習変換」(背景をドットパターンのブロックで示す)に相当する。図13の多機能型日本語入力システムは、仮名漢字変換/KEARM変換システム(背景を灰色のブロックで示す部分)を基幹部として12項目の機能を付加したシステムである。
【背景技術】
【0004】
KEARM変換に使うKEARM変換用辞書には用語属性の項目(図3の列番号7)があり、初期状態では「///」で3分類(K、 E、 A又は R)に対応する3桁の「/」で構成され、左端の第1桁が英語、中央の第2桁が英略語又はローマ字、右端の第3桁がカタカナ語用の属性値を示す。「/」は初期状態を示す記号であり属性値では-1に相当する。図4のKEARM変換用辞書の3分類(英語、英略語又はローマ字、およびカタカナ語)の属性値設定表に沿って英語、英略語又はローマ字、またはカタカナ語の属性値を変えることで対応する変換候補を先頭候補にできるだけでなく、検索方式や変換後の入力モードも変更できる。
【0005】
図4のKEARM変換用辞書の3分類の属性値設定表で示すとおり、属性値は最大で-1~8まで変えられる。-1~3が完全一致検索による変換候補の出力順位の設定、4以上が1文字検索による変換候補の出力順位の設定となる。英語、英略語およびローマ字は半角英数モードで入力するが、図4の属性値設定表のとおり、殆どの属性値設定において、半角英数入力によるKEARM変換実行後、入力モードが仮名モードに戻るように設計されている。理由は、日本語入力では通常仮名モードで入力するので、半角英数入力後、次の入力に備えて仮名モードに戻すのである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】仮名漢字変換システムの基本機能 JISX4064: 2002
【0007】
【非特許文献2】仮名漢字変換/KEARM変換式日本語入力システム 特願2022-017542(段落番号0068、0083~0087、0102~0105、0122~0124、0173~0174、0175~0176、0177~0178、0194~0196、図2図20図23図25図26図28図39図40図41図42図45
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
KEARM変換には、変換候補の出力順位の変更、検索方式の選択および変換後の入力モードの変更ができる用語属性のしくみがあるが、用語属性の属性値を変えるにはその都度KEARM変換用辞書を開き、該当する用語の用語属性の項目欄を探し、図4の3分類の属性値設定表を参照して当該属性値を変えなければならない。KEARM変換用辞書の用語属性値の変更が簡単にできる方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
仮名漢字変換には希望する候補を選択して確定操作を行えば優先候補にできる学習機能がある。KEARM変換の場合も優先候補にしたい候補を変換候補一覧から選択することで当該候補を先頭候補(変換第1候補)に変更できるように設計する。KEARM変換の変換候補一覧は、仮名漢字変換の変換候補のように無秩序の配列ではなく、各候補の配置がパターン化されていることを利用し、矢印キーによる選択ではなく変換候補一覧の希望する候補をクリックすることで、KEARM変換用辞書の該当する用語属性の属性値を変えられるようにする。
【0010】
KEARM変換には検索方式として完全一致検索と1文字検索がある。完全一致検索と1文字検索では入力文字列の違いはあるものの変換候補一覧の画面は同じなので、完全一致検索の変換の属性値変更では希望する候補のクリックのみ、1文字検索の変換の属性値変更では補助キー(論理キーであり、物理キーはCtrlキー)を押しながら希望する候補をクリックするように設計する。
【発明の効果】
【0011】
本システムのKEARM変換の逐次変換画面の希望する候補をクリックするだけでKEARM学習変換画面に遷移し、クリックした候補を変更後の変換第1候補とみなして変換結果として表示させ、かつ、当該画面上に変更後の属性値も示すので、操作も簡単であり、変更の動作確認もできる。
【0012】
KEARM変換は完全一致検索による変換と1文字検索による変換ができる。両者の変換の入力文字列は違っても変換候補一覧は同じなので、完全一致検索による変換の用語属性値の変更と、1文字検索による変換の用語属性の変更は、クリックするときに補助キー(論理キーであり物理キーはCtrlキー)を押すか押さないかの違いで区別させ、他の操作は共通化しているので分かりやすい。
【0013】
KEARM変換では1文字検索による変換ができ、例えば、半角英数1文字「b」を入力して英語のblackや仏語のnoirに変換できる。1文字検索は仮名入力でも可能であるが仮名1文字では仮名漢字変換が優先されKEARM変換の候補は出力できない。本発明ではユーザー辞書にKEARM学習変換で選択した候補を登録させ、仮名1文字(例えば「ぶ」)のみでも図10(3)逐次変換画面のように仮名漢字変換の変換候補の先頭にKEARM学習変換の選択候補(例えばblack)を出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】仮名漢字変換/KEARM変換式日本語入力システムに、KEARM学習変換を実行するための構成部分(点線で囲んだ箇所)を組み込んだシステムのブロック図
図2図1の「KEARM学習変換実行部」54の動作説明図
図3】KEARM変換用辞書(個別言語用 StdWork0~StdWork9)
図4】KEARM変換用辞書の用語属性
図5】仮名漢字変換用辞書およびユーザー辞書
図6図1の「変換候補表示部・文字出力部」34~35の動作説明図
図7】実施例1 用語属性値(0~3)変更用画面説明図(カタカナ語)
図8】実施例2 用語属性値(0~3)変更用画面説明図(英語)
図9】実施例3 用語属性値(0~3)変更用画面説明図(ローマ字)
図10】実施例4 用語属性値(4~7)変更用画面説明図(カタカナ語)
図11】実施例5 用語属性値(4~8)変更用画面説明図(英語)
図12】実施例6 同じ英語の属性値(4~8)を持つ用語群から優先使用する用語を選ぶツールの動作説明図
図13】多機能型日本語入力システムのブロック図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本書では各種用語を使うので、先に用語の説明をしておく。JISX4064規定用語及びコンピュータ用語はここには含めない。仮名漢字変換/KEARM変換システムおよび当該システムにKEARM学習変換機能を追加するために必要な構成部分を組み込んだ図1で示すシステムともに用語説明のレベルでは違いはなく、ここでは限定的に両システムともに本システムと呼ぶ。
【0016】
(A)用語のまとめ
用語は順不同で個別に説明してある。多機能型日本語入力システムの連係機能の用語は本発明とは直接関係ないので題目だけを載せている。
(ア)日本語入力システム
仮名漢字変換式日本語入力システム(JISX4064で規定、又はそれに準じるシステム)であってコンピュータキーボードおよび十分な大きさのモニターと組み合わせるパソコン用日本語入力システムである。検索方式には、完全一致検索による「一括変換式」と前方一致検索による「予測変換型」がある。本システムは一括変換式ではあるが、変換起動部があり1文字入力ごとに完全一致検索による一括変換を繰り返す「逐次変換式」である。「予測変換型」も前方一致検索による逐次変換式ではあるが、ここでは完全一致検索による逐次変換式で、かつ、KEARM変換もできる方式を「逐次変換式」として区別している。
(ア)(a)一括変換式
JISX4064仮名漢字変換システムは、文字列を入力後、利用者が変換キーを押すと、入力文字列を漢字の読みとして文節分けし、文頭から順に完全一致検索・変換を行う。変換後、文節の区切り位置変更や文節単位での別候補の選択などの編集もできる。最後に確定キーを押し各文節の変換候補をまとめて変換結果とし確定文字列として出力する。
(ア)(b)予測変換型
1~3文字入力すると、システムが自動的に変換を開始し、入力文字列を漢字の読みとし、前方一致検索を基にシステムが予測変換候補を複数提示し利用者が希望する候補を順次選択して確定文字列を作成していく方式。ただし、利用者が候補を選択しないで入力し続けるとだんだん予測変換候補が少なくなり、最後は完全一致検索による候補一つになり、(c)逐次変換式と同じような動作になる。ただしKEARM変換はできない。
(ア)(c)逐次変換式
本システムの方式であり、JISX4064の完全一致検索・変換方式を踏襲し、かつ、1文字入力ごとに新たに変換を開始する変換起動部の追加、さらに従来の仮名漢字変換に、多言語処理・検索方式の選択・変換候補の出力順位変更・変換後の入力モード変更などの多様な機能を持つKEARM変換および発音機能を付加した完全一致検索型逐次変換式システムである。この方式の特徴は、入力文字列に完全対応した変換候補を逐次出せること及びKEARM変換ができることにある。一括変換式と同様に変換後の編集もできる。
(イ)入力モード
本システムには、平仮名、片仮名、全角英数、半角片仮名、半角英数及びMPモードの6つのモードと日本語入力システムが介入しない直接入力モードがある。最初の5つのモードは市販のシステムと同じで、MPモードは本発明では使わない。KEARM変換のカタカナ語は平仮名、片仮名または半角片仮名モードで入力し、KEARM変換の英語・英略語及びローマ字は半角英数モードで入力する。半角英数モードでは入力文字の背景色が黄緑になるよう設計している。半角英数モードでKEARM変換をするときは変換モードであり入力の文字列に点線の下線が引かれる。しかし半角英数モードには非変換のモードもある。本システムでは、未入力状態で半角英数モードに切り替えると非変換の入力モードになり、文章の途中で半角英数モードに切り替えると変換モードになる。未入力状態で変換モードにするには、[漢字]キーを押し続けると低い電子音が出て変換可能な半角英数モードになる。
(ウ)出力言語
10か国語のうちの一つの言語を出力言語としてマウスで選択できる。初期設定は英語(英)で英語が標準装備となり、英語以外の言語(韓国語~アラビア語)を選択すると、英語+選択言語が装備される。多言語(多)に設定すると変換候補一覧に10カ国語の単語を列挙する。
(ウ)(a)出力言語選択スイッチ
KEARM変換の出力言語をマウスで選択できるスイッチ。
(ウ)(b)選択言語
(ウ)(a)の出力言語選択スイッチで選ばれた出力言語のうち、多言語(多)以外の英語(英)~アラビア語(ア)の10ヶ国語が選択言語であるが、英語は標準の出力言語なので、英語が別枠になっている場合は、英語以外の他の9ヶ国語を選択言語と呼ぶ。
(エ)辞書
本システムでは仮名漢字変換用辞書、ユーザー辞書、KEARM変換用辞書及び自動生成辞書を使う。仮名漢字変換用辞書は標準的な内容なので変更はできない。ユーザー辞書及びKEARM変換用辞書はツールが用意されており利用者が登録語句を追加・変更・削除できる。自動生成辞書はシステムが必要に応じ自動的に作成・削除する。
(エ)(a)仮名漢字変換用辞書
図5の「仮名漢字変換用辞書」36で示す構造の辞書で仮名漢字変換で使う。
(エ)(b)ユーザー辞書
仮名漢字変換用辞書と同じ構造の図5の「ユーザー辞書」37で示す辞書で、仮名漢字変換の学習機能で使う。KEARM変換の変換候補は定型の候補なのでユーザー辞書は使わない。
(エ)(c)KEARM変換用辞書
図3で示す構造の辞書でKEARM変換で使う。
(エ)(d)自動生成辞書
KEARM変換用辞書に登録されていない半角英数文字列や複文節の全角英数記号・符号などを処理するため、システムが当該文字列を自動的に専用の辞書に登録する。更新はされず変換終了後、上書き削除される。
(オ)変換モード
逐次変換、新予測変換、KEARM優先変換及びMPモードがあるが、本発明では逐次変換モードのみ使う。
(オ)(a)逐次変換
1文字入力ごとに完全一致検索による変換を行うモードで、仮名漢字変換、ANS変換、KEARM変換及び自動生成辞書変換を行う。KEARM変換で英語入力と仮名入力ではKEARM変換用辞書の用語属性値を4以上に変更すると1文字検索による1文字変換もできる。1文字検索の変換でも1文字の入力文字が変換候補と一対一で対応していることは変わらない。
(カ)動作モード
ND、ADP、AD及びARPモードがある。単語・語句などの単文節の変換はNDモードのみ使い、文章の変換ではND --> ADP --> ADモードの順で変換を行う。ARPモードは本発明では使わない。
(カ)(a)ND(Non-Div)
単語・語句などの単文節の変換に使う。複文節となる文字列の変換でも最初は単文節か否かのチェックが必要なためNDモードから変換を始める。
(カ)(b)ADP(AutoDivProcess)
複文節となる文字列を第1文節から順次、文節分けし、仮名漢字変換、ANS変換、KEARM変換または自動生成辞書変換を行う。ADPモードでの変換の目的は、各文節の最も適した変換候補を選ぶこと。
(カ)(c)AD(AutoDiv)
ADPでの変換終了後、ADモードで第1文節に戻り、入力バッファss11[0]を変換用文字列として再度変換する。以後、左右の矢印キーで文節移動した場合も同様に入力バッファss11[n](nは文節番号0~49)を変換用文字列として変換を行う。ADモードでの変換をAD変換と呼ぶ。AD変換の目的は変換候補を最大数得ること。ただし仮名漢字変換では標準では5候補に限定している。
(キ)入出力文字表示
応用プログラムの画面上で入出力文字列を表示する部分。この部分は画面枠はないが表示構造を持つ画面であり、表示する文字列は表示属性に沿って下線表示をする。逐次変換では入力文字列は同じ文字種である表示用文字列となり入力文字表示として使われる。変換操作画面への遷移後は表示用文字列ではなく変換結果を表示する。
(キ)(a)入力文字列
キーボードから本システムに入力される文字列であるが、入力処理部で表示用文字列と変換用文字列に分けられ、逐次変換で実際に入力表示に使われるのは同じ文字種の表示用文字列である。
(キ)(b)表示用文字列
入力文字列と同じ文字種で応用プログラムの入出力文字表示の画面で入力文字列の表示用に使われる。
(キ)(c)変換用文字列
変換時の検索用入力として使われる文字列で、入力文字列が仮名の場合は全角片仮名が使われる。英数文字記号・符号では入力文字列がそのまま変換用文字列となる。
(キ)(d)表示属性
入出力文字表示は、表示属性を指定して文字列に特有の下線を引く。標準設定では、逐次変換画面の表示属性は「入力」(点線)で、変換操作画面では、利用者が作業中の分節を「変換済み注目文節」(実線太線)とし、その他の文節を「変換済み文節」(実線細線)で区別する。
(キ)(e)変換結果
逐次変換画面から変換操作画面への遷移後に入出力文字表示に表示される文字列は選択された候補であり変換結果と呼ぶ。変換操作遷移キーによる初動操作では変換第1候補が変換結果になるが、マウスで直接他の候補を選ぶこともできる。複文節では当該文節だけではなく第1文節から最終文節までの出力バッファss12[n](nは文節番号0~49)を組み合わせた文字列になる。確定キーを押すと変換結果が確定文字列となる。
(ク)逐次変換画面
文字列を入力しただけの画面であるが、本システムには変換起動部があるので1文字入力ごとに逐次変換を行い、単文節では変換候補一覧を表示し、複文節では各文節の変換第1候補を組み合わせた文字列を表示する。検索方式は仮名漢字変換では完全一致検索のみであるが、KEARM変換では完全一致検索だけでなく1文字検索による1文字での変換もできる。入出力文字表示は入力文字列と同じ文字種である表示用文字列を表示する。
(ク)(a)1文字検索
図4の「KEARM変換用辞書の用語属性」の3分類の属性値設定表とおり、KEARM変換用辞書の英語及びカタカナ語の登録用語の属性値を4以上に変更するとKEARM変換実行時の検索方式が1文字検索になる。1文字検索は1文字で検索・変換を行うが検索対象用語は登録用語のみであり通常の前方一致検索による1文字での変換とは異なる。1文字検索の変換でも1文字の入力文字が変換候補と一対一で対応していることは変わらない。
(ク)(b)出力順位(逐次変換画面用)
KEARM変換の逐次変換画面の変換候補の出力順位(変換第1候補を先頭とする配置順)は当該KEARM変換用辞書の用語属性値により図4の属性値設定表のとおり変更できる。用語属性値の初期値は-1で、このときのKEARM変換の変換第1候補は、従来の仮名漢字変換システムの変換第1候補と同じになる正順変換になる。属性値はカタカナ語、英語、および英略語又はローマ字の3分類で別々に設定できる。
(ク)(c)変換出力(逐次変換画面用)
変換出力は変換して得られた文字列出力であり、仮名漢字変換、ANS変換及びKEARM変換では次のように処理する。単数または複数の変換出力を統合し一元化した出力が変換情報szBufzになる。
(1)仮名漢字変換では、仮名漢字変換用辞書及びユーザー辞書を使い、1文字入力ごとに変換用文字列を入力として検索・変換を行う。例えば、変換用文字が「シ」で、得られた変換候補が「し」、「市」、「氏」、「死」・・・の場合、これらの変換候補を時系列順に並べて文字変数に保存し、文字列情報「し 市 氏 シ 死 ・・・」を得る。この文字列情報が変換出力になる。変換出力の各候補の末端には制御文字\0を置く。変換出力は辞書の品詞等により階級分け(項番と呼ぶ)し、副詞・名詞(項番4)は文字変数szBufa、名詞+助詞(項番5)は文字変数szBufb、動詞(項番8)は文字変数szBufc、ユーザー辞書(主として項番2)は文字変数UserDicに保存する。
(2)ANS変換は、仮名漢字変換ができない英数記号・符号の変換であり、JIS規格と同様に広義には仮名漢字変換の機能に含まれる。全角の英数記号・符号はすべて対象である。半角の英数記号・符号のうちKEARM変換用辞書に登録されている半角英数の単語・語句は、次の(3)KEARM変換が行われ、残りがANS変換になる。ANS変換では、ユーザー辞書、自動生成辞書を使うか、または辞書を使わず専用プログラムで変換し、数字・記号は全角/半角変換または半角/全角変換を行い、数字は漢数字変換も行われるが、括弧などの符号は類似の各種符号に変換される。変換された文字列を候補としてまとめた文字列情報が変換出力となる。変換出力の各候補の末端には制御文字\0を置く。名詞(項番4)は文字変数szBufa、名詞+助詞(項番5)は文字変数szBufb、ユーザー辞書(主として項番2)は文字変数UserDic、単文節のプログラム変換(項番1、項番6)による変換出力は文字変数szSymbolに保存する。
(3)KEARM変換の半角英数入力による変換では、KEARM変換用辞書を使い、1文字入力ごとに変換用文字列を検索入力として辞書の登録用語を検索する。当該用語の属性値が-1~3のときは完全一致検索で変換を行い1文字では変換中止、2文字以上の入力で完全一致すれば変換を行う。例えば「rule」の英語属性値が初期値の-1のときは、変換用文字列「rule」で検索・変換し、得られた変換候補を時系列順に文字変数に保存し、文字列情報「rule ルール 規則、支配、定規、解式 ///」を得る。属性値が4~8(英語のみ)の場合は1文字検索による1文字で変換を行い、「r」と入力するだけで「rule」と同等の文字列情報が得られる。また属性値を変えると変換候補の出力順位や変換後の入力モードも変わる。このときの文字列情報が変換出力となる。変換出力の各候補の末端には制御文字\0を置く。変換出力は辞書の品詞別に階級分け(項番と呼ぶ)し、名詞(項番4)はszBufa、名詞+助詞(項番5)はszBufb、サ変活用動詞(項番8)はszBufcに保存する。
(4)KEARM変換の仮名入力によるカタカナ語変換は、(1)の仮名漢字変換による階級別変換(項番2~8)で当該カタカナ語(片仮名と同義)が変換候補として抽出されており、かつ、仮名漢字変換が行われなかったときのみ、当該カタカナ語のKEARM変換を行う。登録用語のカタカナ語属性値が-1~3のときは完全一致検索で変換を行う。例えば「ルール」の属性値が-1のときは、得られた変換候補を時系列順に文字変数に保存し、文字列情報「ルール rule 規則、支配、定規、解式 ///」を得る。このときの文字列情報が変換出力となる。変換出力の各候補の末端には制御文字\0を置く。属性値を4~7にすると1文字検索による1文字での変換となるが1文字の仮名入力では仮名漢字変換が優先されるのでKEARM変換は行われない。ただし本発明のKEARM学習変換を実行すると選択候補が変換結果になり、変換結果をユーザー辞書に登録することにより選択候補を仮名漢字変換の先頭候補に出力できる。変換後の入力モードは仮名モードのままとなる。
(ク)(d)逐次変換簡易表示画面
KEARM変換で変換対象となる用語が複数ある場合、出力言語が英語であれば「英語+簡易日本語訳」、その他の選択言語(例えば仏語)であれば「仏語+英語」の1行で表示される文字列情報がそれぞれの用語の変換候補情報になる。これらの複数の用語の変換候補情報を左詰めで候補ごとに改行して順に並べた画面である。
(ク)(e)逐次変換確定キー
逐次変換画面の変換第1候補は、変換時における入力文字列(及び表示用文字列)に対して一対一で対応する出力で、かつ、最も適した変換候補である。また変換第1候補が選択候補になっているので、本システムではこの論理キー(物理キーは、Shift+Enterキー)を押せば変換第1候補を確定文字列に出力できる。予測変換型は入出力が一対一に対応していないので必ず利用者が候補選択するというステップが必要である。
(ク)(f)発音出力キー(逐次変換画面用)
KEARM変換の逐次変換画面では変換第1候補が選択候補になっており、この論理キー(物理キーはCtrl+ ←)を押せば逐次変換の変換第1候補の発音が出る。
(ケ)変換候補一覧画面(変換操作画面とも呼ぶ)
逐次変換画面から変換操作遷移キーを押すとAD変換が行われ、変換操作画面である変換候補一覧を表示する画面になる。単文節の場合は、逐次変換時に得られた変換情報szBufzを使うのでAD変換は行わない。
(ケ)(a)出力順位(変換候補一覧画面用)
変換候補一覧画面の変換候補の出力順位(変換第1候補を先頭とする配置順)は変換操作遷移キーを押して逐次変換画面から変換候補一覧画面に遷移した場合は逐次変換画面の出力順位と同じであるが、KEARM定型変換やKEARM優先変換を実行して変換候補一覧画面に遷移した場合は出力順位が異なる。
(ケ)(b)変換出力(変換候補一覧画面用)
変換候補一覧画面では左右への文節移動またはマウスで任意の文節をクリックしたとき、各文節の入力バッファss11[n](nは0~49)の文字列を入力としてAD変換が行われる。逐次変換画面の変換と同様にAD変換で得られた候補の文字列を時系列順に並べて文字変数に保存し変換出力とする。例えば、仮名漢字変換では「し 市 氏 シ 死 ・・・」のように文字変数に保存し、変換出力とする。ANS変換では全角/半角変換または半角/全角変換、漢数字変換や各種文字種変換による変換出力、KEARM変換では、例えば「rule ルール 規則、支配、定規、解式 ///」のような変換出力になる。いずれの変換出力も各候補の末端には制御文字\0を置く。仮名入力では仮名漢字変換、全角英数記号入力ではANS変換、半角英数入力ではKEARM変換、または辞書に登録されていない文字列は複文節での自動生成辞書によるANS変換になるが、仮名入力によるKEARM変換もある。仮名入力でKEARM変換になるのは逐次変換で得られた文節情報ArrayAuto[n][3]が1のときである。変換出力のまとめ方は、(ク)(a)変換出力(逐次変換画面用)とほぼ同じで、最終の変換出力を文字変数szBufzに保存し変換情報とする。
(ケ)(c)変換操作遷移
逐次変換画面から変換操作画面である変換候補一覧画面に遷移させる操作である。変換操作遷移キーは論理キーであり物理キーは用途で異なる。仮名漢字変換ではSpaceキーなど、KEARM変換では矢印↓キーなどを物理キーとして使う。マウスで直接希望する候補をクリックすれば同様の働きと同時に候補選択もできる。標準では変換候補は逐次変換と同じで最大5つまでの変換候補一覧を表示する。変換候補を最大数表示させるときは物理キーとして[変換]キーを使う。
(ケ)(d)選択候補
変換候補一覧画面で希望する候補を上下矢印キーやマウスで選択できる。選択できる候補は出力言語までで日本語訳と用語属性は発音できる候補ではないので通常操作では選択できない。選択された候補は選択候補と呼ぶ。単独の選択候補の背景色は薄青になり、変換対象となる用語が複数ある場合の簡易表示画面での選択用語の候補の背景色は薄赤になる。
(ケ)(e)変換候補簡易表示画面
逐次変換簡易表示画面から変換操作遷移キーを押して得られる簡易表示の変換候補一覧画面である。表示形態は同じであるが、変換候補簡易表示画面では選択候補を表示する。
(ケ)(f)発音出力キー(変換候補一覧画面用)
KEARM変換の変換候補一覧画面では、この論理キー(物理キーはCtrl+ ←)を押せば選択候補の単語の発音が出る。

(コ)仮名漢字変換
仮名を入力して漢字交じり文に変換すること。本システム以外では再変換機能やKEARM優先変換で仮名漢字変換を行う。JISX4064で規定の仮名漢字変換では英数記号・符号の変換も含むので、広義の仮名漢字変換は(サ)ANS変換も含む。
(サ)ANS変換
英数記号・符号をANS(AlphaNumeric and Symbol)と呼ぶ。ANSの全角英数記号は半角英数記号に変換(全角/半角変換)し、半角英数記号は全角英数記号に変換(半角/全角変換)し、それぞれの変換用文字列と対にして2つの変換候補にする。数字の場合は漢数字にも変換する。括弧などの符号は各種の類似符号に変換する。半角英数の英語、英略語及びローマ字でKEARM変換用辞書に登録されている用語はANS変換ではなくKEARM変換を行う。
(シ)漢字情報変換、(ス)会話文変換、(セ)新予測変換、(ソ)再変換機能、(タ)メモ機能、(チ)漢字仮名変換、(ツ)漢字引き仮名変換、(テ)文章分割・変換
いずれも本システムでは使わない。
(ト)KEARM変換
KEARM変換用辞書を使って検索・変換する方式である。KEARM変換用辞書には多言語用一つと選択言語用(図3)として言語別に1個、合計10個ある。KEARM変換は「仮名入力によるカタカナ語(K)、半角英数入力による英語(E)、英略語(A)及びローマ字(R)の3分類(K、E、A又はR)、4入力(K、E、A及びR)による相互変換が可能で多言語(M)出力もできる変換」から頭文字を取ったもの。頭文字は、K for Katakana、E for English、A for Acronym、R for Romaji、M for Multilingualである。
(ナ)用語属性
KEARM変換用辞書の列番号7の用語属性は「///」が初期設定で、それぞれの「/」は3分類(K、E、A又はR)の初期状態の-1を示しており、左端の第1桁が英語用、中央の第2桁が英略語/ローマ字用、右端の第3桁がカタカナ語用である。
(ナ)(a)用語属性の変更
KEARM変換用辞書の登録用語の用語属性は、KEARM学習変換で簡単に変更できるが、KEARM変換用辞書はユニコードのテキストファイルなので、コンピュータの管理者権限で辞書ファイルを開き、当該用語の属性値を直接変えることもできる。
(ニ)KEARM学習変換
仮名漢字変換の学習機能は変換候補として表示されている先頭候補以外の漢字を選択し確定させることにより次回以降の変換で当該漢字を先頭(すなわち変換第1候補)にできる機能である。KEARM学習変換機能も同じ考え方で、KEARM変換用辞書の用語属性値(-1~8)を使い、KEARM変換で表示されている変換候補一覧で先頭候補以外の候補をクリックすれば次回以降のKEARM変換で当該候補を先頭候補(変換第1候補)にできる機能である。KEARM学習変換では仮名漢字変換のように完全一致検索(用語属性値0~3)だけでなく1文字検索(用語属性値4以上)も可能で、1文字検索による変換の属性値の変更は、補助キー(論理キーであり、物理キーはCtrlキー)を押しながら希望する候補をクリックする。
(ニ)(a)補助キー
KEARM学習変換で、1文字検索の用語属性値(4以上)を変えるときに使う論理キーで物理キーはCtrlキー。
(ニ)(b)画面切換えキー
KEARM学習変換で、1文字検索対象の英語の用語が複数ある場合に、どの用語を優先させるかを設定できるツールにおいて、英文字1文字で全用語の表示と全選択用語の表示の画面切り換えに使う論理キーで物理キーはShift+矢印↓キー。
(ニ)(c)優先候補選択キー
KEARM学習変換で、1文字検索対象の英語の用語が複数ある場合に、どの用語を優先させるかを設定できるツールにおいて、優先させる用語を選択・確定させる論理キーで物理キーはShift+矢印↑キー。
(ニ)(d)変換結果
KEARM学習変換で、逐次変換画面の変換第1候補にしたい変換候補をクリックすると、画面がKEARM学習変換画面に遷移して当該候補が変換結果として入出力表示画面に表示される。
(ヌ)KEARM定型変換、(ネ)KEARM詳細変換、(ノ)KEARM優先変換
いずれも本システムでは使っていない。
(ハ)用語情報
英数記号・符号は下記のとおりANS(Alpha-Numeric and Symbol)コード1~4で区別している。仮名漢字変換用辞書およびユーザー辞書に登録している用語には、要素情報として下記のとおりa~?のyougoCodeが付けてあり、数値換算で5~33に対応させている。両者を組み合わせた1~33を静的情報とし、さらに変換出力szBufa~szBufcで得られた動的情報(名詞、動詞、形容詞などの判断)を加味した1~256を用語情報として変換候補ごとにszBufzcode[n](nは0~499の候補番号)に保存する。prevCodeは変換第1候補であるszBufzcode[0]の用語情報で次の文節の変換時の情報として使う。次の文節との関係に格助詞が入る場合に使うprevCode1もある。szBufzcode[n]は変換候補を画面に表示させるときに下線を引いたり背景色を変えるために使う。
(ハ)(a)ANSコード(英数記号・符号Alpha-Numeric and Symbol)を数値1~4に対応させる。
1:数字 2:英字 3:記号(#$等)4:符号(「 」等)
(ハ)(b)yougoCode(必要に応じて使うのですべてを使うわけではない)
下記のコード(a ~ ?)を数値5~33に対応させる。
a:名字 b:名前 c:国名or東京の地名 d:東京以外の地名 e:苗字・名前兼用・中性名詞 f:人系名詞1(~監督、~君等)g:人系名詞2(被害者、大工等)h:人間の五体部分 i:食用植物 j: 乗物 k:期間(~週間等) l:動物 m:時期(3月等)n:自然現象 o:地形・古跡 p:連体詞・接続詞 q:中国語r:片仮名の擬態語 s: メモ機能t:漢数字 v:一般動詞w:五段活用音便2の動詞 x:形容詞 y:形容動詞z:動詞系名詞(驚き等)以降省略 ?:旧市町村名(与野市等)
下記のコード(*および+)は、上記コード(a ~ ?)に付加して併用できる。
*: 漢字情報変換で使われ、付加すると数値では+120され、変換候補の背景色を薄黄にする。
+: 仮名漢字変換の確定を2回行うと付加され、付加すると数値で+80され、該当する用語は優先使用される。
(ハ)(c)prevCode(必要に応じて使うのですべてを使うわけではない)
0:無し 1:数字 2:英字 3:記号($等)4:符号(「、{等) 5:名字 6:名前 7:国名or東京の地名 8:その他の地名 9:名字・名前兼用・中性名詞 10:人系名詞1(~さん、~君等)11:人系名詞2(被害者、大工等)12:人間の五体部分 13:食植物 14: 乗物 15:期間(~週間等) 16:動物 17:時期(3月等)18:自然現象 19:地形・古跡 20:連体詞・接続詞 21:第一候補以外の名字 22: メモ機能39:名詞節 40:漢数字 60:動詞(未然形含む)61:動詞(連用形)62:動詞(終止・連体形)70:形容詞1 (次節が名詞形)71:形容詞2(次節が動詞または名詞形)80:副詞相当 81:動詞形副詞(~て、~で)以降省略 94:KEARM変換実施節 97:AR変換実施節102~118:複合動詞の処理(買い続ける等)126:KEARM定型変換実施節 130:漢字仮名変換実施節
(ハ)(d)prevCode1(次節との関係に格助詞が絡む場合に使う。必要時のみ使う)
0:無し 1:人系名詞+格助詞(被害者が通う) 2:数量名詞+格助詞(3枚はある)3:人間の五体部分+格助詞(足を押さえる)5:食用植物+格助詞(みかんの皮 )6:乗物+格助詞(バスの車内)7:地域+格助詞(新潟で地震)8:時間・期間+格助詞(3月に会う)11:無使用 12:地形・古跡+格助詞(城の跡)
(ハ)(e)szBufzcode[n](nは候補番号0~499)
szBufzcode[n]は変換された全候補の用語情報で、n番目の候補の背景色を変えたり下線を引いたりする情報に使う。
(ヒ)変換情報
仮名漢字変換、KEARM変換およびANS変換で得られた逐次変換の変換出力szBufa~szBufc、UserDic、szSymbolの文字列から得られた最終の変換出力が変換情報szBufzとなる。逐次変換後に変換操作遷移キー(Spaceキーや矢印↓キーなど)を押すとAD変換が行われる。逐次変換の結果が複文節であれば左右の矢印キーを押すと文節移動が行われ同様にAD変換を行う。AD変換においても変換出力szBufa~szBufcおよびUserDicの文字列情報から得られた最終の変換出力が変換情報szBufzとなる。変換情報は変換候補一覧を示す文字列情報である。
(フ)出力情報
逐次変換の出力情報は、単文節の変換候補一覧情報を示す変換情報szBufzか、複文節の各文節の変換出力の変換第1候補を並べたss12[0]~ss12[n](nは文節番号0~49)を示す文字列情報かにより異なる。単文節の変換情報か複文節の文字列情報かで判断し、文字変数szBufCanに保存して出力情報とする。このとき標準では変換情報の変換候補は最大5つに制限する。AD変換の出力情報は、各文節の変換候補一覧情報を示す変換情報szBufzとなる。
(ヘ)文節情報(抜粋のみ)
用語情報はそれぞれの文節の情報であり候補ごとの情報を持つが、文節情報は文節代表としての情報である。文節情報を示す文字変数はArrayAuto[n][m]である。nは文節番号で0~49、mは0~12である。
(ヘ)(a)ArrayAuto[n][2]: 文節情報
用語情報yougoCodeを保存する。
(ヘ)(b)ArrayAuto[n][3]: 文節情報
1: カタカナ語KEARM変換実施済み
3: 英語、英略語またはローマ字KEARM変換実施済み
6: カタカナ語KEARM変換実施可能節
複文節でArrayAuto[n][3]が1または3のときは変換候補表示時に該当する文節の変換第1候補に下線を引き、ArrayAuto[n][3]が6のときは該当する文節の変換第1候補に取り消し線を引く。
(ヘ)(c)ArrayAuto[n][4]: 文節情報
カタカナ語のKEARM変換が可能なとき、カタカナ語の属性nCharKanaAttri(0~8)を保存する。
(ヘ)(d)ArrayAuto[n][5]: 文節情報
用語情報prevCodeを保存する。
(ヘ)(e)ArrayAuto[n][6]: 文節情報
用語情報prevCode1を保存する。
(ヘ)(f)ArrayAuto[n][8]: 文節情報
KEARM変換時の下記入力文字種情報10~12を保存する。
10: 英語入力
11: ローマ字入力
12: 仮名入力
13: 英略語入力
(ホ)入力バッファ/出力バッファ
複文節の変換では各文節の変換用文字列と変換後得られる変換情報の変換第1候補または選択候補を各文節ごとに保存しなければならない。そのための文節ごとに文字列を保存するためのバッファである。入力、出力および補助用にKER用バッファがあり、最大50(nは文節番号0~49)まで文節分けができる。文字列は128まで保存可能。
入力バッファss11[n][128]: 各文節の変換用文字列を保存。
出力バッファss12[n][128]: 各文節の変換第1候補または選択候補を保存。
KERバッファss12k[n][128]: 補助用。本システムでは使っていない。
(マ)関数一覧(抜粋のみ、標準関数は含まず)
ほとんどは本発明用に新規開発したもので、一部は既存の関数に機能追加したもの。
(a)AlphaPhrase: KEARM変換/複合文字種変換実行用関数
(b)AddCharN: 出力文字表示実行用関数
(c)ChangeDatabaseAttribute: 用語属性値変更用関数
(d)ConvCandidate: 変換候補表示実行用関数
(e)ConvClipboard: クリップボード文字列取込み用関数
(f)ConvPhrase: 仮名漢字変換/ANS変換/KEARM変換/漢字仮名変換/漢字情報変換実行用関数
(g)ConvSound: KEARM発音用ドライブ・文字列指定関数
(h)ConvWord: KEARM単語変換実行用関数
(i)ConvWordSound: KEARM発音言語識別用関数
(j)DatabaseWrite: 辞書変更用関数
(k)DicWrite: ユーザー辞書登録用関数で自動生成辞書の登録にも使う
(l)GetAlphaWord: KEARM変換・会話文変換・漢字情報変換用関数
(m)GetDatabaseWord: KEARM単語検索・変換用関数
(n)GetKanjiWord: 漢字引き仮名変換用関数
(o)GetRefWord: 仮名漢字組合せ情報取得用関数
(p)GetRefaWord: 仮名英語組合せ情報取得用関数
(q)SetDatabaseAttribute: 用語属性値設定用関数
(ミ)変数(抜粋のみ)
(a)AD: ADモードのとき1となる変数
(b)ArrayStart: 逐次変換画面時は-1、変換候補一覧画面時は注目文節番号(0~49)
(c)a3:画面の行番号を検出する整数(0~3)
(d)CandidateIn: 検索用文字変数
(e)ChikujiHenkan: 逐次変換モードで1になる変数
(f)ECF: 英語先頭型の画面の場合1となる
(g)KCF: カタカナ語先頭型の画面の場合1となる
(h)nArray: 文節番号0~49の整数
(i)nAttribute: KEARM変換の3分類(英語が3、英略語/ローマ字が4、カタカナ語が5)を示す整数
(j)n1: NDモードでの変換用文字変数ss1の文字長
(k)n1Auto: ss1Autoの文字長
(l)RCF: 英略語/ローマ字先頭型の画面の場合1となる
(m)Romaji: 変換対象となる用語にローマ字が登録されているときに1となる
(n)SCF: 選択言語先頭型の画面の場合1となる
(o)SenUsr: 新予測変換を使うときに1となる
(p)ss1: 文字変数として多用途に使う
(q)ss1Auto: ADP及びARPモードでの変換用文字変数
(r)ss1Cand: 出力文字表示用文字変数
(s)ss5[n]: 変換候補表示用文字変数、nは候補番号0~499
(t)szBuf: 変換文字列収集用文字変数(単独情報収集用)
(u)szBuf3: 変換補助情報用文字変数
(v)szBufCan: 変換終了時の出力情報用文字変数
(w)szBufa: 名詞(項番4)の変換出力用文字変数
(x)szBufb: 名詞+助詞(項番5)の変換出力用文字変数
(y)szBufc: 動詞(項番8)の変換出力用文字変数
(z)szBufz: 最終の変換出力用文字変数(変換出力の一元化情報)
(α)szBufzcode[n]: 変換終了時の用語情報、nは候補番号0~499
(β)szSymbol: プログラム変換出力用文字変数
(γ)UserDic: ユーザー辞書変換出力用文字変数
(δ)yougotitle: 書込み文字列代入用文字変数1
(ε)yougo: 書込み文字列代入用文字変数2
(ζ)yougomode: ユーザー辞書書込みモード用整数
(B)動作説明および実施例
【0017】
本発明が動作可能なシステムは、「仮名漢字変換/KEARM変換式日本語入力システム」(非特許文献2の完全一致検索型逐次変換式日本語入力システムで、以後、仮名漢字変換/KEARM変換システムと呼ぶ)に図1に示すとおり、KEARM学習変換を実行するために必要な構成部分(点線で囲んだ箇所)を組み込んだシステムであり、以後、本システムと呼ぶ。
【0018】
KEARM変換の変換候補一覧の希望する候補をクリックすることにより、英語、韓国語、中国語、仏語、独語、伊語、西語、葡語、露語およびアラビア語の10か国語のうち選択した言語のKEARM変換用辞書(図3の個別言語用 StdWork0~StdWork9)の列番号7の用語属性の3分類(英語、英略語又はローマ字、およびカタカナ語)のうちクリックされた候補に対応する分類の用語属性値を、図4のKEARM変換用辞書の3分類の属性値設定表に沿って変える。それぞれの分類の用語属性値の初期値は-1(記号は「/」)で、属性値を-1~8の範囲内で変えることができる。クリックした変換候補を先頭候補(変換第1候補)にするだけでなく、変換第2候補も自動的に決まる。また半角英数モードで入力する英語、英略語およびローマ字入力の場合は、変換後、入力モードを仮名モードに戻す設定にすることもできる。属性値-1~3は完全一致検索による変換の変更で、英語、カタカナ語、および英略語又はローマ字の属性値ともに変更できるが、属性値4以上は、1文字検索による変換の変更なので、英語およびカタカナ語の属性値のみ対象で、英略語又はローマ字の属性値は対象外である。
【0019】
実施例1~3では用語属性値を0~3に変更する動作例、実施例4~5では用語属性値を4以上に変更する動作例、実施例6では、英語の用語属性値4~8を持つ複数の用語群から優先使用する用語を選ぶツールの動作例を示す。最初に、実施例1はカタカナ語の用語属性値を(0~3)に変更する動作例を示す。
【0020】
実施例1の図7(1)逐次変換画面(仏語)は、非特許文献2の図23(1)逐次変換画面(仏語)と同じで選択言語である出力言語が仏語、カタカナ語「ブラック」の属性値が初期値の-1、仮名で「ぶらっく」と入力したときのKEARM変換の逐次変換画面であり非特許文献2の段落番号0083~0087で動作説明してある。実施例1は、この逐次変換画面を使ってカタカナ語「ブラック」の用語属性値を-1から3に変更する動作例である。カタカナ語の用語属性値を3に変更するということは、具体的に言うと、図4のKEARM変換用辞書の用語属性の(c)カタカナ語属性値設定表の属性値3で規定しているとおり、入力モードが仮名モード、検索方式が完全一致、先頭候補(変換第1候補)が選択言語である仏語(noir)、変換第2候補がカタカナ語(ブラック)、変換後の入力モードは変わらず仮名モードのままの変換ができる状態に変更する実施例のことである。仮名入力は通常は平仮名モードで入力するが、片仮名モードで入力しても入力文字列が変わるだけで変換用文字列は同じなので変換候補一覧は同じになる。KEARM学習変換の実行は図1の「KEARM学習変換実行部」54で行う。「KEARM学習変換実行部」54の動作説明図である図2と、カタカナ語の用語属性値(0~3)変更用画面説明図である図7で説明する。
【0021】
図2の「用語属性の属性値の変更」70aから始まり、変換第1候補が仏語のnoirになるように、図7(1)逐次変換画面(仏語)の「noir」85dの部分をクリックすると、図2の「属性値を変更するための変数の設定」70bで、各種変数の設定が行われる。用語属性の変更を実行するモードの設定で、逐次変換モードを示す変数ChikujiHenkan = 1、ADモードを示す変数AD = 1、注目文節番号を示す整数ArrayStart = 0、4行目の「noir」85dがクリックされたので画面の行番号を示す整数a3は、先頭行を0とするとa3 = 3となる。次に図2の「属性値の計算」70cで用語属性値設定用関数SetDatabaseAttributeを実行し、変更する用語属性の属性値を計算する。属性値の計算は次のようにする。
【0022】
段落0021で記述のとおりa3 = 3であり、得られたa3の値を使い関数SetDatabaseAttribute(a3)を実行する。この関数が、「noir」85dをクリックしたときの入力文字列「ぶらっく」に対応するKEARM変換用辞書の対象用語であるカタカナ語「ブラック」に対する属性値の計算をする。クリックした「noir」を本システムが認識するのは文字列「noir」から判断するのではなく、変換候補一覧の表示パターンから判断する。なぜならば、中国語の漢字、ハングル文字、キリル文字、アラビア文字、カタカナ語は文字列で判別でき、英略語/ローマ字は辞書の登録位置が限定され、かつ、完全一致検索のみで検出できるので判別できるが、英語は、ラテン文字の言語の単語との区別ができない。例えば、英語のblackと仏語のnoirは文字列から判別はできない。変換候補一覧の表示パターンは、(1)ECF: 英語先頭型、(2)RCF: 英略語/ローマ字先頭型、(3)KCF: カタカナ語先頭型及び(4)SCF: 選択言語先頭型の四通りある。この4つのパターンのどれかを認識でき、かつ、ローマ字が登録されているかで判断すれば、クリックした場所の文字列が何かを判別できる。実施例1の変換候補一覧の表示パターンは、カタカナ語が先頭、半角英数文字列が二番目にあることなどの理由からカタカナ語先頭型のKCFであり、変数KCF = 1とする。ローマ字が登録されているかどうかの判断は図3のKEARM変換用辞書の列番号3に文字列が登録されているかどうか等で判断する。本実施例ではローマ字が登録されていると判断し、変数Romaji = 1とする。KCF = 1とRomaji = 1の条件では、クリックされた画面の4行目は選択言語になり、「noir」85dは仏語noirであることが分かる。次に、入力文字列が仮名で、クリックされた候補が選択言語で、かつ、補助キーが同時に押されていないので、本実施例の変更は、図4の(c)カタカナ語属性値設定表の属性値3を求める動作であることがわかる。KEARM変換用辞書のカタカナ語「ブラック」の用語属性欄に書き込む16進の属性値をCodeとすると Code = 0x33(ASCII文字コードは3)にすればよいことになる。次は、属性値を書き込む動作を説明する。
【0023】
図3のKEARM変換用辞書の列番号7で示すとおり、用語属性は3桁の数値で構成され、左端の第1桁が英語用、中央の第2桁が英略語又はローマ字用、右端の第3桁がカタカナ語用であり、本実施例は仮名入力によるカタカナ語のKEARM変換なので、カタカナ語「ブラック」の用語属性欄の第3桁に属性値を書き込めばよいことになる。属性値 = 3が決まっているので、図2の「属性値を辞書に書込む」70dで用語属性値変更用関数ChangeDatabaseAttribute を使って特定されたKEARM変換用辞書の用語属性欄の第3桁に属性値を書き込む動作の説明をする。
【0024】
関数ChangeDatabaseAttribute(nAttribute, Eimoji, Katakana, Code)への指定は、整数nAttributeで英語(3)、英略語/ローマ字(4)またはカタカナ語(5)を指定する。実施例1は仮名によるカタカナ語入力なのでnAttribute = 5となる。図3のKEARM変換用辞書の構成は1行(8列)のデータが最小データ単位(レコード)である。辞書内のどのレコードの用語属性なのかの検索は英語とカタカナ語の両方で検索して両立することで当該レコードの用語属性欄を特定する。そのため文字変数Eimojiに「black」を格納し、文字変数Katakanaに「ブラック」を格納する。これらの情報を基に、ChangeDatabaseAttribute(nAttribute, Eimoji, Katakana, Code)を実行し、KEARM変換用辞書の用語属性欄を特定し、特定された用語属性欄の右端の第3桁の属性値を3に変更する。次は、図2の「カナ?」70eと「1文字?」70fで、選択した候補の文字列をユーザー辞書に登録するか否かの判断をするが、本実施例では仮名入力によるカタカナ語の属性値変更ではあるが完全一致検索による変換なのでユーザー辞書の登録はしない。
【0025】
段落番号0020で記述のとおり実施例1の図7(1)逐次変換画面(仏語)は、非特許文献2の図23(1)逐次変換画面(仏語)と同じで非特許文献2の段落番号0083~0087で動作説明してある。説明中の段落番号0086の記述では、当該画面を表示させる文字列情報となる「ブラックblack kuro, kuroi noir 黒、黒い、黒人の、不吉な ///」の変換出力szBufaは変換情報としてszBufzに保存されている。一方、本書の段落番号0024で記述の属性値の変更で、変換情報szBufzの情報供給源であるKEARM変換用辞書の用語属性値が書き換わったので、前述の文字列情報の最後尾の用語属性「///」が「//3」に変更され、本実施例の変換情報szBufzは「ブラックblack kuro, kuroi noir 黒、黒い、黒人の、不吉な //3」となる。なお文字列情報の中で使われているカンマ(kuro, kuroi)は実際には、図7(1)逐次変換画面(仏語)で示すとおり特許文書で禁止文字であるセミコロンが使われている。セミコロンを使う理由は、単語であるkuroやkuroiは、それぞれ語句になる場合もあり語句の中にカンマが含まれることもあり得るからである。次に、得られた変換情報szBufzは応用プログラムに送るためのインターフェース部である図1の「変換候補表示部・文字表示部」34~35に入る。「変換候補表示部・文字表示部」34~35の動作説明図である図6で説明する。
【0026】
変換情報szBufzは、図6の最初の部門「変換候補表示部」34の「変換候補表示実行部」34aに入る。「変換候補表示実行部」34aは変換候補表示実行用関数ConvCandidateを実行し、変換情報szBufzの文字列情報をコンピュータ管理の変換候補用構造体に送る。「変換候補表示実行部」34aで得られた変換候補表示情報ss5[0]~ss5[n](nは候補数-1、本実施例では5)を基に「変換候補表示部」34は、「変換候補一覧表示要求」34cをコンピュータに送り「変換候補一覧表示を描く関数等」48の諸関数で応用プログラムの画面「変換候補一覧表示」50のサイズや位置を決めた後、当該画面上に変換候補表示情報ss5[0]~ss5[5]を図7(2)KEARM学習変換画面(仏語)の「ブラック black kuro, kuroi noir 黒、黒い、黒人の、不吉な //3」86~89のように表示させる。変換候補の末端に制御文字\0があるので変換候補ごとに改行されて表示される。「noir」86dが選択候補となり背景色が薄青となる。用語属性「//3」89は、右端のカタカナ語用属性値「3」の背景色が薄赤になる。次に図6の第2部門「文字出力部」35に入り、「変換操作?」35aのYから出て、「文字列出力選択」35bに入る。逐次変換の結果が単文節なので「文字列出力選択」35bで選択候補のss5[3]のnoirを選択し、変数ss1Candに格納する。次に「出力文字表示実行部」35cは出力文字表示実行用関数AddCharNを実行し、ss1Candの選択候補noirをコンピュータ管理の編集用構造体に送る。以上の結果を基に「文字出力部」35は、「出力文字表示要求」35dをコンピュータに送り「入出力文字表示を描く関数等」47の諸関数で応用プログラムの画面「入出力文字表示」49のサイズや位置を決めた後、当該画面上に選択候補noirを図7(2)KEARM学習変換画面(仏語)の「noir」87のように太線の下線付きで変換結果として表示させる。
【0027】
図7(2)KEARM学習変換画面(仏語)はあくまで用語属性値変更用の画面であり、実際の画面を表示するには、Escキーを必要回数押して一旦当該画面を消し、再度、本システムに「ぶらっく」84と入力して得た画面が図7(3)逐次変換画面(仏語)である。変換第1候補が「noir」85aで変換第2候補がカタカナ語「ブラック」85bとなる。図7(1)逐次変換画面(仏語)のカタカナ語の属性値-1を変更して図7(3)逐次変換画面(仏語)のカタカナ語の属性値3への変更に至る説明は非特許文献2の図39(1)逐次変換画面(仏語)から図39(2)逐次変換画面(仏語)への変更と同じで非特許文献2の段落番号0173~0174で説明してある。次に、実施例2は英語の用語属性値を(0~3)に変更する動作例を示す。
【0028】
実施例2の図8(1)逐次変換画面(中国語)は、非特許文献2の図25(1)の逐次変換画面(中国語)と同じで選択言語である出力言語が中国語、英語「black」の属性値が初期値の-1、半角英数で「black」と入力したときの逐次変換画面であり非特許文献2の段落番号0102~0105で説明してある。実施例2は、この画面を使い、英語の用語属性値を-1から3に変更する実施例である。属性値を3に変更するということは、具体的に言うと、図4のKEARM変換用辞書の用語属性の(a)英語属性値設定表の属性値3で規定しているとおり、入力モードが半角英数モード、検索方式が完全一致、変換第1候補が選択言語である中国語(黒色)、変換第2候補が英語(black)、変換後の入力モードが仮名モードに戻る変換状態になるように変更する実施例である。図8(1)逐次変換画面(中国語)で示すとおり「黒色」85dは中国語の単語であるが、特許の文書で使用禁止になっているので日本語の類似語「黒色」に置き換えたものである。「KEARM学習変換実行部」54の動作説明図である図2と、英語の用語属性値(0~3)変更用画面説明図である図8で説明する。
【0029】
図2の「用語属性の属性値の変更」70aから始まり、変換第1候補が中国語の「黒色」になるように、図8(1)逐次変換画面(中国語)の「黒色」85dの部分をクリックすると、図2の「属性値を変更するための変数の設定」70bで、各種変数の設定が行われる。逐次変換モードを示す変数ChikujiHenkan = 1、ADモードを示す変数AD = 1、注目文節番号を示す整数ArrayStart = 0、4行目の「noir」85dがクリックされたので画面の行番号を示す整数a3 = 3となる。次に「属性値の計算」70cで関数SetDatabaseAttributeを実行し、用語属性の属性値を計算する。属性値の計算は次のようにする。
【0030】
段落番号0029で記述のとおりa3 = 3であり、得られたa3の値を使い関数SetDatabaseAttribute(a3)を実行する。この関数が、「黒色」85dをクリックしたときの入力文字列「black」に対応するKEARM変換用辞書の英語「black」に対する属性値の計算をする。実施例2の変換候補一覧の表示パターンは、半角英数文字列が先頭、カタカナ語が二番目にあることなどの理由から英語先頭型のECFであり、変数ECF = 1とする。またローマ字が登録されているのでRomaji = 1である。ECF = 1とRomaji = 1の条件から、クリックした4行目の候補は選択言語である中国語の「黒色」であることが分かる。中国語の「黒色」が変換第1候補になればよいことになる。「黒色」は選択言語で、かつ、補助キーが同時に押されていないので、図4のKEARM変換用辞書の用語属性の(a)英語属性値設定表の属性値3を求める動作であることがわかる。KEARM変換用辞書に書き込む16進の数値をCodeとすると Code = 0x33(ASCIIの文字コード3)にすればよいことになる。用語属性が決まったので、次は図2の「属性値を書込む」70cで関数ChangeDatabaseAttributeを実行し、特定されたKEARM変換用辞書の用語属性欄に属性値を書き込む動作の説明をする。
【0031】
関数ChangeDatabaseAttribute(nAttribute, Eimoji, Katakana, Code)への指定は、整数nAttributeで英語(3)、理略語/ローマ字(4)またはカタカナ語(5)を指定する。実施例2は英語入力なのでnAttribute = 3となる。また辞書内のどのレコードの用語属性なのかの検索は英語とカタカナ語の両方で検索し両立することで当該レコードの用語属性を特定する。そのため文字変数Eimojiに「black」を格納し、文字変数Katakanaに「ブラック」を格納する。これらの情報を基に、ChangeDatabaseAttribute( nAttribute, Eimoji, Katakana, Code)を実行し、KEARM変換用辞書の用語属性欄を特定し、特定された用語属性欄の左端の第1桁の属性値を3に変更する。次は、図2の「カナ?」70eと「1文字?」70fで、選択した候補の文字列をユーザー辞書に登録するか否かの判断をするが、本実施例は英語入力での変換なのでユーザー辞書の登録はしない。
【0032】
段落番号0028で記述のとおり、実施例2の図8(1)逐次変換画面(中国語)は、非特許文献2の図25(1)逐次変換画面(中国語)と同じで非特許文献2の段落番号0102~0105で動作説明してある。説明中の段落番号0105の記述では、当該画面を表示させる文字列情報となる「black ブラック kuro, kuroi 黒色 黒、黒い、黒人の、不吉な ///」の変換出力szBufaは変換情報としてszBufzに保存されている。一方、本書の段落番号0031で記述の属性値の変更で、変換情報szBufzの情報供給源である辞書の内容が書き換わったので文字列情報の最後尾の用語属性「///」も「3//」に変更され、変換情報szBufzは「black ブラック kuro, kuroi 黒色 黒、黒い、黒人の、不吉な 3//」となる。この変換情報szBufzが応用プログラムに送るためのインターフェース部である図1の「変換候補表示部・文字表示部」45~46に入る。「変換候補表示部・文字表示部」45~46の動作説明図である図6で説明する。
【0033】
最初の部門「変換候補表示部」34の「変換候補表示実行部」34aに入る。「変換候補表示実行部」34aは関数ConvCandidateを実行し変換情報szBufzの文字列情報をコンピュータ管理の変換候補用構造体に送る。「変換候補表示実行部」34aで得られた変換候補表示情報ss5[0]~ss5[n](nは候補数-1、本実施例では5)を基に「変換候補表示部」34は、「変換候補一覧表示要求」34cをコンピュータに送り「変換候補一覧表示を描く関数等」48の諸関数で応用プログラムの画面「変換候補一覧表示」50のサイズや位置を決めた後、当該画面上に変換候補表示情報ss5[0]~ss5[5]を図8(2)KEARM学習変換画面(中国語)の「black ブラック kuro, kuroi 黒色 黒、黒い、黒人の、不吉な 3//」86~89のように表示させる。変換候補の末端に制御文字\0があるので変換候補ごとに改行されて表示される。「黒色」86dが選択候補となり背景色が薄青となる。用語属性「3//」89は、左端の英語用属性値「3」の背景色が薄赤になる。次に図6の第2部門「文字出力部」35に入り、「変換操作?」35aのYから出て、「文字列出力選択」35bに入る。逐次変換の結果が単文節なので「文字列出力選択」35bで選択候補のss5[3]の「黒色」を選択し、変数ss1Candに格納する。次に「出力文字表示実行部」35cは関数AddCharNを実行し、ss1Candの選択候補「黒色」をコンピュータ管理の編集用構造体に送る。以上の結果を基に「文字出力部」35は、「出力文字表示要求」35dをコンピュータに送り「入出力文字表示を描く関数等」47の諸関数で応用プログラムの画面「入出力文字表示」49のサイズや位置を決めた後、当該画面上に選択候補「黒色」を図8(2)KEARM学習変換画面(中国語)の「黒色」87のように太線の下線付きで変換結果として表示させる。
【0034】
図8(2)KEARM学習変換画面(中国語)はあくまで用語属性値変更用の画面であり、実際の画面を表示するには、Escキーを必要回数押して一旦当該画面を消し、再度、本システムに「black」84と入力して得た画面が図8(3)逐次変換画面(中国語)である。変換第1候補が「黒色」85aで変換第2候補が英語「black」85bとなる。図8(1)逐次変換画面(中国語)の英語の属性値-1を変更して図8(3)逐次変換画面(中国語)の英語の属性値3への変更に至る説明は非特許文献2の図40(1)逐次変換画面(中国語)から図40(2)逐次変換画面(中国語)への変更と同じで非特許文献2の段落番号0175~0176で説明してある。次に、実施例3はローマ字の用語属性値を(0~3)に変更する動作例を示す。
【0035】
実施例3の図9(1)逐次変換画面(西語)は、非特許文献2の図28(1)の逐次変換画面(西語)と同じで選択言語である出力言語が西語、ローマ字「kuro」の属性値が初期値の-1、半角英数で「kuro」と入力したときの逐次変換画面であり非特許文献2の段落番号0122~0124で説明してある。実施例3は、この画面を使い、ローマ字の用語属性値を-1から3に変更する動作例である。ローマ字の用語属性値を3に変更するということは、具体的に言うと、図4のKEARM変換用辞書の用語属性の(b)英略語/ローマ字属性値設定表の属性値3で規定しているとおり、入力モードが半角英数モード、検索方式が完全一致、変換第1候補が選択言語である西語(negro)で変換第2候補がローマ字(kuro)、変換後の入力モードが仮名モードになる変換状態に変更する実施例である。「KEARM学習変換実行部」54の動作説明図である図2と、ローマ字の用語属性値(0~3)変更用画面説明図である図9で説明する。
【0036】
図2の「用語属性の属性値の変更」70aから始まり、変換第1候補が西語のnegroになるように、図9(1)逐次変換画面(西語)の「negro」85dの部分をクリックすると、図2の「属性値を変更するための変数の設定」70bで、各種変数の設定が行われる。逐次変換モードを示す変数ChikujiHenkan = 1、ADモードを示す変数AD = 1、注目文節番号を示す整数ArrayStart = 0、4行目の「negro」85dがクリックされたので画面の行番号を示す整数a3 = 3となる。次に「属性値の計算」70cで関数SetDatabaseAttributeを実行し、用語属性の属性値を計算する。属性値の計算は次のようにする。
【0037】
段落番号0036で記述のとおりa3 = 3であり、得られたa3の値を使い関数SetDatabaseAttribute(a3)を実行する。この関数が、「negro」85dをクリックしたときの入力文字列「kuro」に対応するKEARM変換用辞書のローマ字「kuro」に対する属性値の計算をする。実施例3の変換候補一覧の表示パターンは、ローマ字が先頭、半角英数文字列が二番目にあることなどの理由から英略語/ローマ字先頭型のRCFであり、変数RCF = 1とする。またローマ字が登録されているのでRomaji = 1となる。RCF = 1とRomaji = 1の条件から、クリックされた4行目の候補は選択言語であることが分かる。クリックされた候補は選択言語である西語のnegroで、かつ、補助キーが同時に押されていないので、図4のKEARM変換用辞書の用語属性の(b)英略語/ローマ字属性値設定表の属性値3を求める動作であることがわかる。KEARM変換用辞書に書き込む16進の数値をCodeとすると Code = 0x33(ASCIIの文字コード3)にすればよいことになる。用語属性値が決まったので、次は図2の「属性値を書込む」70cで関数ChangeDatabaseAttributeを実行し、特定されたKEARM変換用辞書の用語属性欄に属性値を書き込む動作の説明をする。
【0038】
関数ChangeDatabaseAttribute(nAttribute, Eimoji, Katakana, Code)への指定は、整数nAttributeで英語(3)、理略語/ローマ字(4)またはカタカナ語(5)を指定する。実施例3はローマ字入力なのでnAttribute = 4となる。また辞書内のどのレコードの用語属性なのかの検索は英語とカタカナ語の両方で検索し両立することで当該レコードの用語属性を特定する。そのため文字変数Eimojiに「black」を格納し、文字変数Katakanaに「ブラック」を格納する。これらの情報を基に、ChangeDatabaseAttribute( nAttribute, Eimoji, Katakana, Code)を実行し、KEARM変換用辞書の用語属性欄を特定し、特定された用語属性欄の中央の第2桁の属性値を3に変更する。次は、図2の「カナ?」70eと「1文字?」70fで、選択した候補の文字列をユーザー辞書に登録するか否かの判断をすが、本実施例はローマ字入力での変換なのでユーザー辞書の登録はしない。
【0039】
段落番号0035で記述のとおり実施例3の図9(1)逐次変換画面(西語)は、非特許文献2の図28(1)逐次変換画面(西語)と同じで選択言語である出力言語が西語、ローマ字の用語属性が初期値の-1、半角英数入力モードで「kuro」と入力したときの逐次変換画面であり非特許文献2の段落番号0122~0124で動作説明してある。説明中の段落番号0124の記述では、当該画面を表示させる文字列情報となる「black ブラック kuro, kuroi 黒色 黒、黒い、黒人の、不吉な ///」の変換出力szBufaは変換情報としてszBufzに保存されている。一方、本書の段落番号0038の属性値の変更で、変換情報szBufzの情報供給源である辞書の内容が書き換わったので文字列情報の最後尾の用語属性「///」も「/3/」に変更され、変換情報szBufzは「kuro black ブラック negro 黒、黒い、黒人の、不吉な /3/」となる。この変換情報szBufzが応用プログラムに送るためのインターフェース部である図1の「変換候補表示部・文字表示部」34~35に入る。「変換候補表示部・文字表示部」34~35の動作説明図である図6で説明する。
【0040】
最初の部門「変換候補表示部」34の「変換候補表示実行部」34aに入る。「変換候補表示実行部」34aは関数ConvCandidateを実行し変換情報szBufzの文字列情報をコンピュータ管理の変換候補用構造体に送る。「変換候補表示実行部」34aで得られた変換候補表示情報ss5[0]~ss5[n](nは候補数-1、本実施例では5)を基に「変換候補表示部」34は、「変換候補一覧表示要求」34cをコンピュータに送り「変換候補一覧表示を描く関数等」48の諸関数で応用プログラムの画面「変換候補一覧表示」50のサイズや位置を決めた後、当該画面上に変換候補表示情報ss5[0]~ss5[5]を図9(2)KEARM学習変換画面(西語)の「kuro black ブラック negro 黒、黒い、黒人の、不吉な /3/」86~89のように表示させる。変換候補の末端に制御文字\0があるので変換候補ごとに改行されて表示される。「negro」86dが選択候補となり背景色が薄青となる。用語属性「/3/」89は、中央の英略語/ローマ字用属性値「3」の背景色が薄赤になる。次に図2の第2部門「文字出力部」35に入り、「変換操作?」35aのYから出て、「文字列出力選択」35bに入る。逐次変換の結果が単文節なので「文字列出力選択」35bで選択候補のss5[3]のnegroを選択し変数ss1Candに格納する。次に「出力文字表示実行部」35cは関数AddCharNを実行し、ss1Candの選択候補negroをコンピュータ管理の編集用構造体に送る。以上の結果を基に「文字出力部」35は、「出力文字表示要求」35dをコンピュータに送り「入出力文字表示を描く関数等」47の諸関数で応用プログラムの画面「入出力文字表示」49のサイズや位置を決めた後、当該画面上に選択候補negroを図9(2)KEARM学習変換画面(西語)の「negro」87のように太線の下線付きで変換結果として表示させる。
【0041】
図9(2)KEARM学習変換画面(西語)はあくまで用語属性値変更用の画面であり、実際の画面を表示するには、Escキーを必要回数押して一旦当該画面を消し、再度、本システムに「kuro」84と入力して得た画面が図9(3)逐次変換画面(西語)である。変換第1候補が「negro」85aで変換第2候補がローマ字「kuro, kuroi」85bとなる。図9(1)逐次変換画面(西語)のローマ字の属性値-1を変更して図9(3)逐次変換画面(西語)のローマ字の属性値3への変更に至る説明は非特許文献2の図41(1)逐次変換画面(西語)から図41(2)逐次変換画面(西語)への変更と同じで非特許文献2の段落番号0177~0178で説明してある。次に実施例4はカタカナ語の用語属性値(4~7)に変更する動作例を示す。
【0042】
実施例4の図10(1)逐次変換画面(仏語)は、実施例1の図7(1)逐次変換画面(仏語)と同様に非特許文献2の図23(1)逐次変換画面(仏語)と同じで選択言語である出力言語が仏語、カタカナ語「ブラック」の属性値が初期値の-1、仮名で「ぶらっく」と入力したときの逐次変換画面であり非特許文献2の段落番号0083~0087で動作説明してある。実施例4と実施例1は同じ画面を使う実施例であるが、実施例4ではカタカナ語の用語属性値を5に変更して検索方式を1文字検索にする実施例である。カタカナ語の用語属性値を5に変更するということは、具体的に言うと、図4のKEARM変換用辞書の用語属性の(c)カタカナ語属性値設定表の属性値5で規定しているとおり、入力モードが仮名モード、検索方式が1文字検索、変換第1候補が英語(black)、変換第2候補がカタカナ語(ブラック)で変換後の入力モードは仮名モードのままとなる変換状態に変更する実施例である。「KEARM学習変換実行部」54の動作説明図である図2と、カタカナ語の用語属性値(4~7)変更用画面説明図である図10で説明する。
【0043】
図2の「用語属性の属性値の変更」70aから始まり、変換第1候補が英語のblackになるように、図10(1)逐次変換画面(仏語)の「black」85bの部分をクリックすると、図2の「属性値を変更するための変数の設定」70bで、各種変数の設定が行われる。逐次変換モードを示す変数ChikujiHenkan = 1、ADモードを示す変数AD = 1、注目文節番号を示す整数ArrayStart = 0、2行目の「black」85bがクリックされたので画面の行番号を示す整数a3 = 1となる。次に「属性値の計算」70cで関数SetDatabaseAttributeを実行し、用語属性の属性値を計算する。属性値の計算は次のようにする。
【0044】
段落番号0043で記述のとおりa3 = 1であり、得られたa3の値を使い関数SetDatabaseAttribute(a3)を実行する。この関数が、「black」85bをクリックしたときの入力文字列「ぶらっく」に対応するKEARM変換用辞書のカタカナ語「ブラック」に対する属性値の計算をする。実施例4の変換候補一覧の表示パターンは、カタカナ語が先頭、半角英数文字列が二番目にあることなどの理由からカタカナ語先頭型のKCFであり、変数KCF = 1とする。またローマ字が登録されているのでRomaji = 1となる。KCF = 1とRomaji = 1の条件から、クリックされた2行目の候補は英語であることが分かる。クリックされた候補が英語blackで、かつ、補助キーが同時に押されているので、図4のKEARM変換用辞書の用語属性の(c)カタカナ語属性値設定表の属性値5を求める動作であることがわかる。KEARM変換用辞書に書き込む16進の数値をCodeとすると Code = 0x35(ASCIIの文字コード5)にすればよいことになる。用語属性が決まったので、次は図2の「属性値を書込む」70dで関数ChangeDatabaseAttributeを実行し、特定されたKEARM変換用辞書の用語属性欄に属性値を書き込む動作の説明をする。
【0045】
関数ChangeDatabaseAttribute(nAttribute, Eimoji, Katakana, Code)への指定は、整数nAttributeで英語(3)、理略語/ローマ字(4)またはカタカナ語(5)を指定する。実施例4はカタカナ語のKEARM変換なのでnAttribute = 5となる。また辞書内のどのレコードの用語属性なのかの検索は英語とカタカナ語の両方で検索し両立することで当該レコードの用語属性を特定する。そのため文字変数Eimojiに「black」を格納し、文字変数Katakanaに「ブラック」を格納する。これらの情報を基に、ChangeDatabaseAttribute( nAttribute, Eimoji, Katakana, Code)を実行し、KEARM変換用辞書の用語属性欄を特定し、特定された用語属性欄の右端の第3桁の属性値を5に変更する。次は、図2の「カナ?」70eと「1文字?」70fで、選択した候補の文字列をユーザー辞書に登録するか否かの判断をする。
【0046】
仮名入力によるカタカナ語のKEARM学習変換で用語属性値を4以上に変更すると、図4の(c)カタカナ語属性値設定表で示す通り1文字検索となる。1文字検索は、文字通り1文字で検索する方式で他社の予測変換型システムでは前方一致検索による変換になるが、本システムの1文字検索は、事前に設定した用語の完全一致検索の動作を1文字で代行することになるので前方一致検索よりは完全一致検索に近い動作になる。ただし当初の「ぶらっく」の完全一致検索の変換では変換対象となる漢字が存在しないのでKEARM変換のみが行われたが、仮名1文字入力になると変換対象となる漢字が複数存在することになる。KEARM変換は仮名漢字変換も同時に行われると仮名漢字変換を優先させるので、カタカナ語の用語属性値を4~7に変更した場合、KEARM変換ではなく仮名漢字変換の変換候補が変換出力となる。本発明のKEARM学習変換では、この場合の対策が次のように行われる。
【0047】
KEARM学習変換における選択候補を先頭候補として出力させる対策として当該候補をユーザー辞書に登録して仮名漢字変換の変換候補一覧の先頭候補として出力させるように設計している。そのため、本実施例では、図2の「カナ?」70eの判断でYとなり、次の「1文字?」70fの判断でもYとなり「ユーザー辞書登録」70gを起動し、関数DicWriteを実行し、変換用文字列「ブラック」の先頭の1文字「ブ」を「読み」とし、選択候補「black」を登録語句として、図5の「ブ」37a、「black」37bのようにユーザー辞書に登録する。
【0048】
段落番号0042で記述のとおり、実施例4の図10(1)逐次変換画面(仏語)は、非特許文献2の図23(1)逐次変換画面(仏語)と同じで選択言語である出力言語が仏語、カタカナ語の用語属性が初期値の-1、仮名入力モードで「ぶらっく」と入力したときの逐次変換画面であり非特許文献2の段落番号0083~0087で動作説明してある。説明中の段落番号0086の記述では、当該画面を表示させる文字列情報となる「ブラック black kuro, kuroi noir 黒色 黒、黒い、黒人の、不吉な ///」の変換出力szBufaは変換情報としてszBufzに保存されている。一方、本書の段落番号0045の属性値の変更で、変換情報szBufzの情報供給源である辞書の内容が書き換わったので文字列情報の最後尾の用語属性「///」も「//5」に変更され、変換情報szBufzは「ブラック black kuro, kuroi noir 黒色 黒、黒い、黒人の、不吉な //5」となる。この変換情報szBufzが応用プログラムに送るためのインターフェース部である図1の「変換候補表示部・文字表示部」34~35に入る。「変換候補表示部・文字表示部」34~35の動作説明図である図6で説明する。
【0049】
図6の最初の部門「変換候補表示部」34の「変換候補表示実行部」34aに入る。「変換候補表示実行部」34aは関数ConvCandidateを実行し変換情報szBufzの文字列情報をコンピュータ管理の変換候補用構造体に送る。「変換候補表示実行部」34aで得られた変換候補表示情報ss5[0]~ss5[n](nは候補数-1、本実施例では5)を基に「変換候補表示部」34は、「変換候補一覧表示要求」34cをコンピュータに送り「変換候補一覧表示を描く関数等」48の諸関数で応用プログラムの画面「変換候補一覧表示」50のサイズや位置を決めた後、当該画面上に変換候補表示情報ss5[0]~ss5[5]を図10(2)KEARM学習変換画面(仏語)の「ブラック black kuro, kuroi noir 黒色 黒、黒い、黒人の、不吉な //5」86~89のように表示させる。変換候補の末端に制御文字\0があるので変換候補ごとに改行されて表示される。「black」86bが選択候補となり背景色が薄青となる。用語属性「//5」89は、右端のカタカナ語属性値「5」の背景色が薄赤になる。次に図6の第2部門「文字出力部」35に入り、「変換操作?」35aのYから出て、「文字列出力選択」35bに入る。逐次変換の結果が単文節なので「文字列出力選択」35bで選択候補のss5[2]の「black」を選択し変数ss1Candに格納する。次に「出力文字表示実行部」35cは関数AddCharNを実行し、ss1Candの選択候補「black」をコンピュータ管理の編集用構造体に送る。以上の結果を基に「文字出力部」35は、「出力文字表示要求」35dをコンピュータに送り「入出力文字表示を描く関数等」47の諸関数で応用プログラムの画面「入出力文字表示」49のサイズや位置を決めた後、当該画面上に選択候補blackを図10(2)KEARM学習変換画面(仏語)の「black」87のように太線の下線付きで変換結果として表示させる。
【0050】
図10(2)KEARM学習変換画面(仏語)はあくまで用語属性値変更用の画面であり、実際の画面を表示するには、Escキーを必要回数押して一旦当該画面を消し、再入力する。属性値が4以上に変更されており1文字検索になるので、前回入力の「ぶらっく」の先頭の1文字「ぶ」80を入力する。1文字検索では仮名漢字変換が優先され仮名漢字変換による図10(3)逐次変換画面が表示されるが、段落番号0047で記述のとおり、KEARM学習変換で選択した候補が、「ブ」を「読み」とし、「black」を登録語句としてユーザー辞書に登録されているので、KEARM学習変換の選択候補「black」が仮名漢字変換の変換第1候補として表示される。図10(1)逐次変換画面(仏語)のカタカナ語の属性値-1を変更して図10(3)逐次変換画面(仏語)のカタカナ語の属性値5への変更に至る説明は非特許文献2の図42(1)逐次変換画面(仏語)から図42(3)逐次変換画面(仏語)への変更で段落番号0194~0196で説明している動作例と似ているが、非特許文献2ではKEARM学習変換を実行していないので、図42(3)逐次変換画面(仏語)では、ユーザー辞書の登録がない画面を示している。ユーザー辞書に登録された語句が変換第1候補として表示される説明は次のとおりである。
【0051】
非特許文献2の図20(3)変換候補一覧画面(希望する候補を選択)で「審査委」82bをユーザー辞書に登録すると図20(4)逐次変換画面(ユーザー辞書に登録済み)で「審査委」81aが変換第1候補として表示される説明として非特許文献2の段落番号0068に記述されている。
【0052】
本書に戻り、結果として、変換候補一覧でクリックされた変換候補「black」はユーザー辞書に登録され、仮名漢字変換の画面である図10(3)逐次変換画面の「black」81aとして変換第1候補として表示される。次に、実施例5は英語の用語属性値(4~8)に変更する動作例を示す。
【0053】
実施例5の図11(1)逐次変換画面(中国語)は、実施例2の図8(1)逐次変換画面(中国語)と同様に非特許文献2の図25(1)逐次変換画面(中国語)と同じで選択言語である出力言語が中国語、英語「black」の属性値が初期値の-1、半角英数で「black」と入力したときの逐次変換画面であり非特許文献2の段落番号0102~0105で動作説明してある。実施例5は実施例2と同じ画面を使う実施例であるが、実施例5では英語の用語属性値を8にして検索方式を1文字検索に変更する実施例である。英語の属性値を8に変更するということは、具体的に言うと、図4のKEARM変換用辞書の用語属性の(a)英語属性値設定表の属性値8で規定しているとおり、入力モードが半角英数モード、検索方式が1文字検索、変換第1候補が選択言語である中国語(黒色)、変換第2候補が英語(black)、変換後の入力モードが仮名モードに移行する変換状態になるように変更する実施例のことである。「KEARM学習変換実行部」54の動作説明図である図2と、英語の用語属性値(4~8)変更用画面説明図である図11で説明する。
【0054】
図2の「用語属性の属性値の変更」70aから始まり、変換第1候補が中国語の「黒色」になるように、補助キーを押しながら図11(1)逐次変換画面(中国語)の「黒色」85dの部分をクリックすると、図2の「属性値を変更するための変数の設定」70bで、各種変数の設定が行われる。逐次変換モードを示す変数ChikujiHenkan = 1、ADモードを示す変数AD = 1、注目文節番号を示す整数ArrayStart = 0、4行目の「黒色」85dがクリックされたので画面の行番号を示す整数a3 = 3となる。次に「属性値の計算」70cで関数SetDatabaseAttributeを実行し、用語属性の属性値を計算する。属性値の計算は次のようにする。
【0055】
段落番号0054で記述のとおりa3 = 3であり、得られたa3の値を使い関数SetDatabaseAttribute(a3)を実行する。この関数が、「黒色」85dをクリックしたときの入力文字列「black」に対応するKEARM変換用辞書の英語「black」に対する属性値の計算をする。実施例5の変換候補一覧の表示パターンは、半角英数文字列が先頭、カタカナ語が二番目にあることなどの理由から英語先頭型のECFであり、変数ECF = 1とする。またローマ字が登録されているのでRomaji = 1となる。ECF = 1とRomaji = 1の条件から、クリックされた4行目の候補は選択言語の中国語であることが分かる。クリックされた候補は中国語の「黒色」で、かつ、クリックするときに補助キーが押されているので、図4のKEARM変換用辞書の用語属性の(a)英語属性値設定表の属性値8を求める動作であることがわかる。KEARM変換用辞書に書き込む16進の数値をCodeとすると Code = 0x38(ASCIIの文字コード8)にすればよいことになる。用語属性値が決まったので、次は図3の「属性値を書込む」70cで関数ChangeDatabaseAttributeを実行し、特定されたKEARM変換用辞書の用語属性欄に属性値を書き込む動作の説明をする。
【0056】
用語属性変更用関数ChangeDatabaseAttribute(nAttribute, Eimoji, Katakana, Code)への指定は、整数nAttributeで英語(3)、理略語/ローマ字(4)またはカタカナ語(5)を指定する。実施例5は英語入力なのでnAttribute = 3となる。また辞書内のどのレコードの用語属性なのかの検索は英語とカタカナ語の両方で検索し両立することで当該レコードの用語属性を特定する。そのため文字変数Eimojiに「black」を格納し、文字変数Katakanaに「ブラック」を格納する。これらの情報を基に、ChangeDatabaseAttribute( nAttribute, Eimoji, Katakana, Code)を実行し、KEARM変換用辞書の英語「black 」の用語属性欄の属性値を8に変更する。次は、図2の「カナ?」70eと「1文字?」70fで、選択した候補の文字列をユーザー辞書に登録するか否かの判断をするが、本実施例は英語入力での変換なのでユーザー辞書の登録はしない。
【0057】
段落番号0053で記述のとおり、実施例5の図11(1)逐次変換画面(中国語)は、非特許文献2の図25(1)逐次変換画面(中国語)画面と同じで選択言語である出力言語が中国語、英語の用語属性が初期値の-1、半角英数入力モードで「black」と入力したときの逐次変換画面であり非特許文献2の段落番号0102~0105で動作説明してある。説明中の段落番号0105の記述では、当該画面を表示させる文字列情報となる「black ブラック kuro, kuroi 黒色 黒、黒い、黒人の、不吉な ///」の変換出力szBufaは変換情報としてszBufzに保存されている。一方、本書の段落番号0055の属性値の変更で情報供給源であるKEARM変換用辞書に登録されている「black」の英語の用語属性値が8に書き換わったので文字列情報の最後尾の用語属性「///」も「8//」に変更され、変換情報szBufzは「black ブラック kuro, kuroi 黒色 黒、黒い、黒人の、不吉な 8//」となる。この変換情報szBufzで応用プログラムに送るためのインターフェース部である図1の「変換候補表示部・文字表示部」34~35に入る。「変換候補表示部・文字表示部」34~35の動作説明図である図6で説明する。
【0058】
最初の部門「変換候補表示部」34の「変換候補表示実行部」34aに入る。「変換候補表示実行部」34aは関数ConvCandidateを実行し変換情報szBufzの文字列情報をコンピュータ管理の変換候補用構造体に送る。「変換候補表示実行部」34aで得られた変換候補表示情報ss5[0]~ss5[n](nは候補数-1、本実施例では5)を基に「変換候補表示部」34は、「変換候補一覧表示要求」34cをコンピュータに送り「変換候補一覧表示を描く関数等」48の諸関数で応用プログラムの画面「変換候補一覧表示」50のサイズや位置を決めた後、当該画面上に変換候補表示情報ss5[0]~ss5[5]を図11(2)KEARM学習変換画面(中国語)の「black ブラック kuro, kuroi 黒色 黒、黒い、黒人の、不吉な 8//」86のように表示させる。変換候補の末端に制御文字\0があるので変換候補ごとに改行されて表示される。「黒色」86dが選択候補となり背景色が薄青となる。用語属性「8//」89は、左端の英語属性値「8」の背景色が薄赤になる。次に図2の第2部門「文字出力部」35に入り、「変換操作?」35aのYから出て、「文字列出力選択」35bに入る。逐次変換の結果が単文節なので「文字列出力選択」35bで選択候補のss5[3]の「黒色」を選択し変数ss1Candに格納する。次に「出力文字表示実行部」35cは関数AddCharNを実行し、ss1Candの選択候補「黒色」をコンピュータ管理の編集用構造体に送る。以上の結果を基に「文字出力部」35は、「出力文字表示要求」35dをコンピュータに送り「入出力文字表示を描く関数等」47の諸関数で応用プログラムの画面「入出力文字表示」49のサイズや位置を決めた後、当該画面上に選択候補「黒色」を図11(2)KEARM学習変換画面(中国語)の「黒色」87のように太線の下線付きで変換結果として表示させる。
【0059】
図11(2)KEARM学習変換画面(中国語)はあくまで用語属性変更用の画面であり、実際の画面を表示するには、Escキーを必要回数押して一旦当該画面を消し、再入力する。ただし検索方式が1文字検索に変更されているので本システムに半角英数モードで「b」84と入力して得た画面が図11(3)逐次変換画面(中国語)である。変換第1候補が「黒色」85aで変換第2候補が英語「black」85bとなる。図11(1)逐次変換画面(中国語)の英語の属性値-1を変更して図11(3)逐次変換画面(中国語)の英語の属性値8への変更に至る説明は非特許文献2の図45(1)逐次変換画面(中国語)から図45(2)逐次変換画面(中国語)への変更と同じで非特許文献2の段落番号0194~0196で説明してある。
【0060】
実施例5では「black」の英語の用語属性値を8にすることにより「b」1文字の入力で中国語「黒色」をKEARM変換の変換第1候補にできる動作例を示した。この状態で、例えば、別の用語であるbackおよびbeachにも同様に用語属性を4~8に設定をした場合の処理がどうなるかを説明する。KEARM変換では、用語属性値が0~3の完全一致検索による変換で対象となる用語が複数ある場合(例えば、形容詞のliveと動詞のlive)は、非特許文献2の図26で示すようにKEARM変換の画面を変換候補簡易表示画面とし、各用語の変換候補を1行で簡易表示させそれぞれを改行させ左詰めで一つの画面で表示させる。変換候補簡易表示画面で希望する用語の候補を選択し、KEARM詳細変換を実行すれば、それぞれの用語の正規の変換候補一覧画面に遷移できる。本システムで使う簡易表示画面も非特許文献2の簡易表示画面と同じである。一方、用語属性値が4~8となる1文字検索による変換で対象となる用語が複数ある場合は、KEARM変換ではKEARM変換用辞書に最初に登録されている用語の変換候補一覧画面のみを表示するように設計にしている。理由は、1文字検索による変換は他社の予測変換に対抗する省入力での変換が目的なので、簡易表示画面を介さず、直接、該当する用語の変換候補一覧画面を表示できるようにしている。結果として、例えば、back、beachおよびbalckの用語属性値をいずれも4~8に設定すると、KEARM変換用辞書にはアルファベット順で用語が登録されているので、backが1文字検索での変換対象用語となり、beachとblackは処理できない。本発明では、これら処理できないbackまたはblackを使用できるようにするためのツールを用意している。実施例6では、これらのback、beachおよびblackの例を基にして、処理対象外となった「black」を例として挙げ、KEARM変換用辞書内の登録位置を先頭方向に移動させ、「black」を「b」で変換できるようにする動作例である。
【0061】
実施例6を実行する事前準備として、複数の用語の用語属性値を4~8に設定する方法を説明する。実施例5では、選択言語である出力言語が中国語で「black」の英語の用語属性値を8にして「b」の英文字1字で「黒色」を変換第1候補にするよう変更した。同様に「back」の英語の用語属性値をを6にして「b」と入力して「バック」を変換第1候補に、さらに「beach」の英語の用語属性値をを5にして「b」と入力して「beach」を変換第1候補にするよう変更をする。実施例5と同様に「b」を入力すると「black」に変換され半角英数モードが仮名モードに移行するが、再度、半角英数モードに戻して、「back」まで入力すれば逐次変換画面が出るので、この画面からKEARM学習変換を実行すると「back」の用語属性値を6に変更できる。同様にして「beach」の英語の用語属性値を5に設定する。当初は「b」と入力すると「black」に変換されていたが、「back」および「beach」の英語の用語属性値を4~8に設定すると、KEARM変換用辞書の登録順で一番若い「back」が1文字検索での変換対象用語になる。
【0062】
実施例6では中国語版のKEARM変換用辞書(StdWork2)を使うので出力言語を中国語(中)にする。実施例6は、通常のKEARM変換と「KEARM学習変換実行部」54に組み込んだツールを組み合わせた動作となる。最初は通常のKEARM変換から始まる。ツールの動作説明図である図12で説明する。
【0063】
図12の「英字1文字を入力」71aのとおり、本システムに「b」と入力すると、図12の「第1用語の候補表示」71bで示すとおり、辞書の登録順で先頭に位置する第1用語である「back」の1文字検索によるKEARM変換を行う。このときの動作は、図1の「入力部」1~3、「仮名漢字変換/KEARM変換実行部」4~33および「変換候補表示部」34の連携で1文字検索のKEARM変換を行う。使用する主要関数としては、「仮名漢字変換/KEARM変換実行部」4~33を実行するConvPhraseおよび「変換候補表示部」34を実行するConvCandidateで、図4のKEARM変換用辞書の用語属性の(a)英語属性値設定表の属性値6の規定どおり、入力モードが半角英数モード、検索方式が1文字検索、変換第1候補がカタカナ語、変換第2候補が英語となるよう現在の第1用語である「back」のKEARM変換による逐次変換を行い、図12(1)逐次変換画面(中国語)のように画面表示する。変換後の入力モードが仮名モードに移行する。ここから用語属性値が4~8である用語群(back、beachおよびblack)のうち、「black」を先頭位置に書き込むためのツールの動作を始める。
【0064】
ツールは図1の「KEARM学習変換実行部」54に組み込まれており、「KEARM学習変換実行部」54の動作説明図である図2で示すとおり「ツール」71への入力は、図1の「入力部」1~3からの出力文字列CandidateInとなる。「入力部」1~3の詳細説明図は非特許文献2の図2である。ツールの入力に使うCandidateInは、図2の中央に位置する「新予測変換部」3に入る文字列入力CandidateInと同じ文字列を使う。CandidateInはKEARM変換に使う変換用文字列と同じで、仮名入力では片仮名の文字列に統一され、本実施例のように入力文字列が英数記号・符号の場合は入力文字列がそのままCandidateInの文字列になる。最初に、図12の「画面切換えキー操作」71cで画面切換えキー(論理キーであり、物理キーはShift+ ↑キー)を押すと、整数choice を切換え用信号として使い、全用語を表示する(choice = 0)か、英語の用語属性値が4~8の用語群(back、beachおよびblack)のみを表示する(choice = 1)かを切り換えて画面表示をする。
【0065】
切換え用信号であるchoiceは最初はchoice = 0となり、「全用語を表示」71dとなる。CandidateInの入力文字「b」で変換できるすべての用語の変換候補一覧を表示する。このときの主要関数の動作は、最初にKEARM単語検索・変換用関数GetDatabaseWordを実行し、変換した文字列データを文字変数szBufに保存し、szBufを図6の「変換候補表示部・文字出力部」34~35に送り、「変換候補表示部」34の「変換候補表示実行部」34aで関数ConvCandidateを実行しszBufの文字列情報をコンピュータ管理の変換候補用構造体に送る。「変換候補表示実行部」34aで得られた文字列情報を基に「変換候補表示部」34は、次に「変換候補一覧表示要求」34cをコンピュータに送り「変換候補一覧表示を描く関数等」48の諸関数で「変換候補一覧表示」50のサイズや位置を決めた後、変換候補一覧表示を行う。これが図12(2)逐次変換簡易表示画面である。
【0066】
次に、「再度、画面切換えキー操作」71eで、再度、画面切換えキーを押すと、choice = 1となる。この状態で検索・変換を行うと「全選択用語を表示」71fとなり、KEARM単語検索・変換用関数GetDatabaseWordを実行するが、今回は英語の用語属性値が4~8の用語群(back、beachおよびblack)のみを変換対象とし、変換した文字列データを文字変数szBufに保存し、szBufを図6の「変換候補表示部・文字出力部」34~35に送り、「変換候補表示部」34の「変換候補表示実行部」34aで関数ConvCandidateを実行しszBufの文字列情報をコンピュータ管理の変換候補用構造体に送る。「変換候補表示実行部」34aで得られた文字列情報を基に「変換候補表示部」34は、次に「変換候補一覧表示要求」34cをコンピュータに送り「変換候補一覧表示を描く関数等」48の諸関数で「変換候補一覧表示」50のサイズや位置を決めた後、変換候補一覧表示を行う。これが図12(3)逐次変換簡易表示画面である。
【0067】
次に、「“↓”キーで希望用語選択」71gで、図12(3)逐次変換簡易表示画面の3つの候補のどれかを選ぶため、図6の「上下矢印キー操作」34bの「↓」キーを3回押すと、図12の「希望用語を強調表示」71hにより、図6の「変換候補表示実行部」34aで関数ConvCandidateを実行し、変換候補表示用文字変数ss5[n](nは0から始まる候補番号)の候補番号2を選択し、図12(4)変換候補簡易表示画面のように「black 黒、黒い、黒人の、不吉な」背景色が薄赤になる。
【0068】
次に、図12の「優先候補選択キー操作」71iで優先候補選択キー(論理キーであり、物理キーはShift+ ↑キー)を押すと、図12の「希望用語を最上位に書込み後、全選択用語を表示」71jにより、用語属性値変更用関数ChangeDatabaseAttributeを実行し、強調表示された「black」のレコード(KEARM変換用辞書の1行ごとのデータ)をコピーし切り取り、次に、KEARM変換用辞書を先頭から順に読み出し、「back」のレコードを読みだしたときにその一つ前の位置に前述のコピーした「black」のレコードを書込み、次に、以降の情報を書き込む。改めて関数GetDatabaseWordを実行し、英語の用語属性値4以上の用語群(back、beachおよびblack)を検索・変換した文字列データを文字変数szBufに保存し、szBufを図6の「変換候補表示部・文字出力部」34~35に送り、「変換候補表示実行部」34aで関数ConvCandidateを実行しszBufの文字列情報をコンピュータ管理の変換候補用構造体に送る。「変換候補表示実行部」34aで得られた文字列情報を基に「変換候補表示部」34は、次に「変換候補一覧表示要求」34cをコンピュータに送り「変換候補一覧表示を描く関数等」48の諸関数で「変換候補一覧表示」50のサイズや位置を決めた後、変換候補一覧表示を行う。これが図12(5)変換候補簡易表示画面である。これで「black」が用語属性値が4~8である用語群(back、beachおよびblack)のKEARM変換用辞書の先頭位置に書き込まれツールを終了する。
【0069】
次に、Escキーを必要回数押して図12(5)変換候補簡易表示画面を消し、図12の「英字1文字を入力」71kにより本システムに「b」を入力すると、3つの用語群(back、beachおよびblack)の先頭に配置された「black」の図12(6)逐次変換画面(中国語)を表示する。この画面は非特許文献2の図45(2)逐次変換画面(中国語)と同じで非特許文献2の段落番号0194~0196で動作説明してある。
【符号の説明】
【0070】
1~62は構成番号
1~3 入力部
4~33 仮名漢字変換/KEARM変換実行部
34~35 変換候補表示部・文字出力部
34 変換候補表示部
34a 変換候補表示実行部
34b 上下矢印キー操作(変換候補選択)
34c 変換候補一覧表示要求
35 文字出力部
35a 変換操作か否かの判断
35b 文字列出力選択
35c 出力文字表示実行部
35d 出力文字表示要求
36 仮名漢字変換用辞書
36a 読み(見出し)
36b 登録語句
37 ユーザー辞書
37a 読み(見出し)
37b 登録語句
38 KEARM変換用辞書
39 出力言語選択スイッチ
40 KEARM変換音声出力部
41~46 本発明では使用しない
47 入出力文字表示を描く関数等
48 変換候補一覧表示を描く関数等
49 入出力文字表示
50 変換候補一覧表示
51~53 本発明では使用しない
54 KEARM学習変換実行部
55~62 本発明では使用しない
63~69 空き番号
70~79 操作説明・動作説明用番号
70a 用語属性の属性値の変更
70b 属性値を変更するための変数の設定
70c 属性値の計算
70d 属性値を辞書に書込む
70e 仮名入力か否かの判断
70f 1文字検索か否かの判断
70g ユーザー辞書に登録
71 KEARM学習変換用ツール
71a 英文字1文字を入力
71b 第1用語の候補表示
71c 画面切換えキー操作
71d 全用語を表示
71e 再度、画面切換えキー操作
71f 全選択用語を表示
71g “↓”キーで希望用語選択
71h 希望用語を強調表示
71i 優先候補選択キー操作
71j 希望用語を最上位に書込み後、全選択用語を表示
71k 英字1文字を入力
71l 第1用語の候補画面
72~79 空き番号
80~91 画面説明用番号
80~83 仮名漢字変換の画面番号
80 表示用文字列
81 変換候補一覧(逐次変換画面)
81a 変換第1候補
82~83 本発明では使用しない
84~91 KEARM変換の画面番号
84 表示用文字列
85 変換候補一覧(逐次変換画面)
85a 変換第1候補
85b 変換第2候補
85c 変換第3候補
85d 変換第4候補
86 変換候補一覧(KEARM学習変換画面)
86a 選択候補(変換第1候補)
86b 選択候補(変換第2候補)
86c 選択候補(変換第3候補)
86d 選択候補(変換第4候補)
87 変換結果(KEARM学習変換画面)
88 簡易日本語訳
89 用語属性
90~91 本発明では使用しない
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2022-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
本発明は、非特許文献2の段落番号0025で記述の多機能型日本語入力システムの項目(3)「日本語入力システムのKEARM学習変換」でもあり、図13で示す多機能型日本語入力システムのブロック図において中央右側に位置する「KEARM学習変換」(背景をドットパターンのブロックで示す)に相当する。図13の多機能型日本語入力システムは、仮名漢字変換/KEARM変換システム(背景を灰色のブロックで示す部分)を基幹部として12項目の機能を付加したシステムである。