(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169100
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】建物に関連するサービスを提供するためのコンピュータシステム、および、そのコンピュータシステムにおいて実行される方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/08 20120101AFI20231121BHJP
G06Q 50/16 20120101ALI20231121BHJP
【FI】
G06Q40/08
G06Q50/16 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208639
(22)【出願日】2022-12-26
(62)【分割の表示】P 2022080248の分割
【原出願日】2022-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】503133025
【氏名又は名称】株式会社創建
(71)【出願人】
【識別番号】512233835
【氏名又は名称】株式会社日本戸建管理
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】吉村 孝文
(72)【発明者】
【氏名】吉村 卓也
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049CC29
5L055BB61
(57)【要約】
【課題】建物に関連するサービスを提供するためのコンピュータシステムを提供すること。
【解決手段】本発明のコンピュータシステムは、建物の点検の内容を示す点検情報を取得する手段と、建物に関連する保険の請求内容を示す保険情報を取得する手段と、点検情報と保険情報とに基づいて、保険の請求内容が妥当であるか否かを判定する手段と、保険の請求内容が妥当でないと判定された場合に、保険の請求に関する警告を提示する手段とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に関連するサービスを提供するためのコンピュータシステム、および、そのコンピュータシステムにおいて実行される方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建物に関連する保険金の不正請求が増えている(例えば、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】健美家株式会社、“損害保険の不当、過大請求に逮捕者続出。大家が犯罪に加担しないための損害保険との付き合い方”、[online]、[令和4年4月27日検索]、インターネット<URL:https://www.kenbiya.com/ar/ns/for_rent/hoken/5371.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
何の根拠および証拠もなく、建物に関連する保険金の不正請求を防止するのは困難である。
【0005】
本発明は、建物に関連する保険金の不正請求を防止することが可能な、建物に関連するサービスを提供するためのコンピュータシステム、および、そのコンピュータシステムにおいて実行される方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの局面において、本発明のコンピュータシステムは、建物に関連するサービスを提供するためのコンピュータシステムであり、前記コンピュータシステムは、前記建物の点検の内容を示す点検情報を取得する手段と、前記建物に関連する保険の請求内容を示す保険情報を取得する手段と、前記点検情報と前記保険情報とに基づいて、前記保険の請求内容が妥当であるか否かを判定する手段と、前記保険の請求内容が妥当でないと判定された場合に、前記保険の請求に関する警告を提示する手段とを備える。
【0007】
本発明の1つの実施形態では、前記点検情報は、前記建物を点検した時期を示す情報と前記建物の損傷の有無を示す情報とを含み、前記保険情報は、前記保険の適用を希望する損害の発生時期を示す情報を含み、前記保険の請求内容が妥当であるか否かを判定することは、前記損害の発生時期が、前記建物を点検した時期より前であるか否かを判定することと、前記建物の損傷の有無を示す情報に基づいて、前記建物を点検した時期に前記建物に損傷が存在したか否かを判定することとを含み、前記損害の発生時期が、前記建物を点検した時期より前である場合、かつ、前記建物を点検した時期に前記建物に損傷が存在しなかった場合に、前記保険の請求内容が妥当でないと判定されてもよい。
【0008】
本発明の1つの実施形態では、前記点検情報を取得する手段は、前記点検情報を示す画像を撮像するためのカメラ、または、前記建物の異常を検知するためのセンサを含んでいてもよい。
【0009】
本発明の1つの実施形態では、前記コンピュータシステムは、前記保険の有効適用期間を特定する手段をさらに備え、前記保険の請求内容が妥当であるか否かを判定することは、前記損害の発生時期が前記保険の有効適用期間内であるか否かを判定することをさらに含み、前記損害の発生時期が前記保険の有効適用期間内でない場合に、前記保険の請求内容が妥当でないと判定されてもよい。
【0010】
本発明の1つの実施形態では、前記コンピュータシステムは、前記保険の有効適用範囲を特定する手段をさらに備え、前記保険の請求内容が妥当であるか否かを判定することは、前記損害の発生箇所が前記保険の有効適用範囲内であるか否かを判定することをさらに含み、前記損害の発生箇所が前記保険の有効適用範囲内でない場合に、前記保険の請求内容が妥当でないと判定されてもよい。
【0011】
本発明の1つの実施形態では、前記コンピュータシステムは、前記保険の契約の更新処理を実行する手段をさらに備えていてもよい。
【0012】
本発明の1つの実施形態では、前記点検情報を取得するタイミングおよび前記保険の契約の更新処理を実行するタイミングは、同時であってもよい。
【0013】
本発明の1つの局面において、本発明の方法は、建物に関連するサービスを提供するためのコンピュータシステムにおいて実行される方法であり、前記コンピュータシステムは、プロセッサ部を備え、前記方法は、前記プロセッサ部が、前記建物の点検の内容を示す点検情報を取得することと、前記プロセッサ部が、前記建物に関連する保険の請求内容を示す保険情報の取得することと、前記プロセッサ部が、前記点検情報と前記保険情報とに基づいて、前記保険の請求内容が妥当であるか否かを判定することと、前記プロセッサ部が、前記保険の請求内容が妥当でないと判定された場合に、前記保険の請求に関する警告を提示することとを含む。
【0014】
本発明の1つの局面において、本発明のプログラムは、建物に関連するサービスを提供するためのコンピュータシステムにおいて実行されるプログラムであり、前記コンピュータシステムは、プロセッサ部を備え、前記プログラムは、前記プロセッサ部によって実行されると、前記建物の点検の内容を示す点検情報を取得することと、前記建物に関連する保険の請求内容を示す保険情報の取得することと、前記点検情報と前記保険情報とに基づいて、前記保険の請求内容が妥当であるか否かを判定することと、前記保険の請求内容が妥当でないと判定された場合に、前記保険の請求に関する警告を提示することとを少なくとも前記プロセッサ部に行わせる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、建物に関連する保険金の不正請求を防止することが可能な、建物に関連するサービスを提供するためのコンピュータシステム、および、そのコンピュータシステムにおいて実行される方法およびプログラムを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】建物に関連する保険金の不正請求を防止することが可能な新しいビジネスモデルを実現するためのシステム100の構成の一例を示す図
【
図2A】所有者データベース部151に格納されている情報の構成の一例を示す図
【
図2B】建物データベース部152に格納されている情報の構成の一例を示す図
【
図2C】保険データベース部153に格納されている情報の構成の一例を示す図
【
図3】コンピュータシステム110において実行される処理の一例を示す図
【
図4】
図3に示されるステップS303における判定処理のフローの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.建物に関連する保険金の不正請求を防止することが可能な新しいビジネスモデル
出願人は、建物に関連する保険金の不正請求を防止することが可能な新しいビジネスモデルを提案する。この新しいビジネスモデルは、建物の点検と建物の保険との両方を取り扱うことによって、建物に関連する保険金の不正請求を防止することを企図したものである。この新しいビジネスモデルでは、建物の保険を管理している一方で、建物の点検の内容を示す点検情報が、建物ごとに収集される。これにより、建物の所有者が、その建物に対してかけられた保険(例えば、損害保険、火災保険)に係る請求を行ったときに、その建物に対してかけられた保険の詳細情報と、その建物の点検の詳細情報とに基づいて、保険の請求内容が妥当であるか否かを判定することが可能である。ここで、「建物」は、住居用途の建物であってもよいし、非住居用途の建物(例えば、商業用のビルや工業用の工場)であってもよい。
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
2.建物に関連する保険金の不正請求を防止することが可能な新しいビジネスモデルを実現するためのシステムの構成
図1は、建物に関連する保険金の不正請求を防止することが可能な新しいビジネスモデルを実現するためのシステム100の構成の一例を示す。
【0020】
図1に示される実施形態では、システム100は、建物の保険に関する情報と建物の点検に関する情報とを管理するためのコンピュータシステム110と、ユーザ装置120
1~120
Nと、建物の点検の内容を示す点検情報を収集するための点検装置130
1~130
Mとを備える。コンピュータシステム110は、インターネット140を介して、ユーザ装置120
1~120
Nのそれぞれ、および、点検装置130
1~130
Mのそれぞれと通信することが可能なように構成されている。ここで、N、Mは、1以上の整数である。
【0021】
コンピュータシステム110は、建物の保険に関する情報と建物の点検に関する情報とを管理する管理会社のための処理を実行する情報処理システムである。
図1に示される実施形態では、コンピュータシステム110は、インターフェース部111と、1つ以上のCPU(Central Processing Unit)を含むプロセッサ部112と、メモリ部113とを含む。コンピュータシステム110は、表示部、入力部などをさらに備えていてもよい。コンピュータシステム110のハードウェア構成は、その機能を実現できる限りにおいて特に限定されず、単一のマシンで構成されていてもよく、複数台のマシンを組み合わせて構成されたものであってもよい。
【0022】
インターフェース部211は、ユーザ装置1201~120Nのそれぞれ、および、点検装置1301~130Mのそれぞれとの通信を制御する。
【0023】
メモリ部113には、処理を実行するために必要とされるプログラムやそのプログラムを実行するために必要とされるデータ等が格納されている。ここで、プログラムをどのようにしてメモリ部113に格納するかは問わない。例えば、プログラムは、メモリ部113にプリインストールされていてもよい。あるいは、プログラムは、インターネット140などのネットワークを経由してダウンロードされることによってメモリ部213にインストールされるようにしてもよいし、光ディスクやUSBなどの記憶媒体を介してメモリ部113にインストールされるようにしてもよい。
【0024】
プロセッサ部112は、コンピュータシステム110全体の動作を制御する。プロセッサ部112は、メモリ部113に格納されているプログラムを読み出し、そのプログラムを実行する。これにより、コンピュータシステム110は、所望のステップを実行する装置として機能することが可能であり、コンピュータシステム110のプロセッサ部112は、所望の機能を達成する手段として動作することが可能である。
【0025】
図1に示される実施形態では、コンピュータシステム110は、データベース部150に接続されている。データベース部150は、所有者データベース部151と、建物データベース部152と、保険データベース部153とを含む。
【0026】
ユーザ装置1201~120Nのそれぞれは、インターネット140を介して、コンピュータシステム110と通信することが可能なように構成されている。ユーザ装置1201~120Nのそれぞれは、インターフェース部、プロセッサ部、メモリ部、表示部、および入力部を備え得る。例えば、ユーザ装置1201~120Nのそれぞれは、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等の携帯無線端末であってもよいし、ラップトップPC、ノートPC等のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0027】
点検装置1301~130Mのそれぞれは、インターネット140を介して、コンピュータシステム110と通信することが可能なように構成されている。点検装置1301~130Mのそれぞれは、1つ以上の建物に取り付けられている。点検装置1301~130Mのそれぞれの一例は、建物の点検の内容を示す点検情報を示す画像を撮像するためのカメラ、建物の異常を検知するためのセンサなどであるが、これらに限定されない。なお、1つの建物に対して1つの点検装置が取り付けられていてもよいし、1つの建物に対して複数の点検装置が取り付けられていてもよい。
【0028】
なお、
図1に示される実施形態では、ユーザ装置120
1~120
Nのそれぞれおよび点検装置130
1~130
Mがインターネット140を介してコンピュータシステム110と通信可能であると説明したが、本発明はこれに限定されない。インターネット140の代わりに任意のタイプのネットワークを用いることも可能である。
【0029】
また、
図1に示される実施形態では、データベース部150は、コンピュータシステム110の外部に設けられているが、本発明はこれに限定されない。データベース部150をコンピュータシステム110の内部に設けることも可能である。データベース部150の構成は、特定のハードウェア構成には限定されない。例えば、データベース部150は、単一のハードウェア部品で構成されてもよいし、複数のハードウェア部品で構成されてもよい。例えば、データベース部150は、コンピュータシステム110の単一の外付けハードディスク装置として構成されてもよいし、ネットワークを介して接続されるクラウド上のストレージとして構成されてもよい。
【0030】
図2Aは、所有者データベース部151に格納されている情報の構成の一例を示す。
【0031】
所有者データベース部151には、建物の所有者に関する情報が格納されている。所有者に関する情報は、所有者を識別するための情報(所有者ID)によって識別されることが可能である。所有者に関する情報は、例えば、所有者の氏名、性別、生年月日、電話番号、Eメールアドレスなどを含む。
【0032】
図2Bは、建物データベース部152に格納されている情報の構成の一例を示す。
【0033】
建物データベース部152には、建物に関する情報が格納されている。建物に関する情報は、建物を識別するための情報(建物ID)によって識別されることが可能である。建物に関する情報は、建物の所有者を識別するための情報(所有者ID)に関連付けられている。建物に関する情報は、例えば、建物の住所、築年数、間取り、点検の内容を示す点検情報(例えば、建物の点検箇所を示す情報、点検した時期を示す情報、点検箇所の画像(例えば、静止画および/または動画)、損傷の有無)などを含む。点検した時期において建物に損傷が存在する場合には、点検情報は、点検箇所のうちの損傷が確認された箇所を示す情報、点検箇所のうちの損傷が確認された箇所の損傷の内容を示す情報などをさらに含み得る。
【0034】
このような点検情報をデータベース部に蓄積しておくことによって、突発的に発生した大きな損害だけでなく、経時的に徐々に大きくなる欠損等(例えば、建物の経年劣化)に起因して発生する損害も、記録することが可能である。これにより、コンピュータシステム110が、建物の保険の適用の申請を受けたときに、申請の対象となる損害が保険適用対象の損害であるか否かを判定するのに役立つ。
【0035】
図2Cは、保険データベース部153に格納されている情報の構成の一例を示す。
【0036】
保険データベース部153には、保険に関する情報が格納されている。保険に関する情報は、保険を識別するための情報(保険ID)によって識別されることが可能である。保険に関する情報は、保険IDによって識別される保険が適用される建物を識別するための情報(建物ID)に関連付けられている。保険に関する情報は、保険IDによって識別される保険が適用される建物を所有する所有者を識別するための情報(所有者ID)に関連付けられていてもよい。保険に関する情報は、保険の種別、保険適用対象の損害、有効に適用される期間(すなわち、有効適用期間)、有効に適用される範囲(すなわち、有効適用範囲)(例えば、屋根、外壁、窓など)、更新時期などを含む。
【0037】
3.コンピュータシステムにおいて実行される処理
図3は、コンピュータシステム110において実行される処理の一例を示す。
図3に示される各ステップは、例えば、コンピュータシステム110のプロセッサ部111によって実行される。なお、
図3に示される実施形態では、建物Xを所有者Aが所有しているものとする。以下、
図3に示される各ステップを説明する。
【0038】
ステップS301:建物Xの点検の内容を示す点検情報が受信される。点検情報は、建物Xの点検箇所を示す情報、点検した時期を示す情報、点検箇所の画像(例えば、静止画および/または動画)、損傷の有無などを含み得る。点検情報に含まれる損傷の有無を示す情報が「有」を示す場合には、点検情報は、点検情報は、点検箇所のうちの損傷が確認された箇所を示す情報、点検箇所のうちの損傷が確認された箇所の損傷の内容を示す情報などをさらに含み得る。点検情報は、定期的に受信されてもよいし、断続的に受信されてもよいし、常に受信されてもよいし、建物Xに損害が発生したタイミングで受信されてもよい。
【0039】
点検情報は、例えば、建物Xの点検を行った従業員(すなわち、コンピュータシステム110の管理会社の従業員)またはその委託業者によって操作されるユーザ装置1201から受信されるものであり得る。その従業員が、建物Xの点検を行った後、点検情報(例えば、建物Xの点検箇所を示す情報、点検した時期を示す情報、点検箇所の画像、損傷の有無、点検箇所のうちの損傷が確認された箇所を示す情報、点検箇所のうちの損傷が確認された箇所の損傷の内容を示す情報など)をユーザ装置1201に入力することによって、ユーザ装置1201は、点検情報をコンピュータシステム110に送信することが可能である。
【0040】
あるいは、点検情報は、建物Xに設置された少なくとも1つの点検装置1301~130M(例えば、点検情報を示す画像を撮像するためのカメラ、または、建物Xの異常を検知するためのセンサ)から受信されるものであり得る。例えば、建物Xの屋根に設置されたカメラが、建物Xの屋根をモニタリングしている場合、カメラは、撮像機能を用いて建物Xの屋根の点検を実行することが可能であり、建物Xの屋根を撮影することによって建物Xの屋根の点検情報を示す画像を撮像することが可能である。カメラは、例えば、建物Xの屋根の点検情報を示す画像を撮像したことに応答して、建物Xの屋根の点検情報を示す画像をコンピュータシステム110に送信するように構成される。点検情報を示す画像をカメラが撮像するタイミングは、任意である。カメラは、点検情報を示す画像を、定期的に撮像してもよいし、断続的に撮像してもよいし、連続的に撮像してもよいし、常に(すなわち、動画として)撮像していてもよい。例えば、建物Xの外壁に設置されたセンサが、建物Xの外壁をモニタリングしている場合、センサは、検知機能を用いて建物Xの外壁の点検を実行することが可能である。センサは、建物Xの外壁の異常(例えば、所定の閾値を越える外壁の揺れ、外壁の崩壊など)を検知した場合には、建物Xの外壁の異常を検知した旨とともに、建物Xの外壁の異常に関連するパラメータを測定し、その測定値を点検情報としてコンピュータシステム110に送信するようにしてもよい。また、センサは、所定の期間中に異常を検知しなかった場合には、建物Xの外壁に異常を検知していない旨を点検情報としてコンピュータシステム110に送信するようにしてもよい。建物Xの屋根および外壁以外のものについても同様である。
【0041】
あるいは、点検情報は、建物Xの所有者Aによって操作されるユーザ装置1202から受信されるものであってもよい。建物Xの所有者Aが、建物Xの点検を行った後、点検情報(例えば、建物Xの点検箇所を示す情報、点検した時期を示す情報、点検箇所の画像、損傷の有無、点検箇所のうちの損傷が確認された箇所を示す情報、点検箇所のうちの損傷が確認された箇所の損傷の内容を示す情報など)をユーザ装置1202に入力することによって、ユーザ装置1202は、点検情報をコンピュータシステム110に送信することが可能である。
【0042】
ステップS302:建物Xに関連する保険の請求内容を示す保険情報が受信される。保険情報は、建物Xの所有者Aによって操作されるユーザ装置1202から受信される。保険情報は、所有者Aが保険金の支払いを要求するためのものである。保険情報は、例えば、所有者IDまたは保険ID、保険の適用を希望する損害の発生時期を示す情報、保険の適用を希望する損害の発生箇所を示す情報などを含む。保険情報は、保険の有効適用期間、および、保険の有効適用範囲をさらに含んでいてもよい。
【0043】
ステップS303:保険の請求内容が妥当であるか否かが判定される。この処理は、点検情報および保険情報に基づいて実行される。判定結果が「Yes」の場合には、処理はステップS304に進み、判定結果が「No」の場合には、処理はステップS305進む。この処理の詳細は、
図4を参照して後述される。
【0044】
ステップS304:保険が適用される旨を所有者Aに通知する処理が実行される。この処理は、保険が適用される旨を示す通知をユーザ装置1202に送信することによって達成される。
【0045】
また、保険が適用される旨を所有者Aに通知する処理とともに、または、保険が適用される旨を所有者Aに通知する処理の後に、コンピュータシステム110は、所有者Aに保険金を支払うための処理をさらに実行してもよい。
【0046】
ステップS305:保険の請求に関する警告を提示するための処理が実行される。保険の請求に関する警告は、例えば、保険を適用することができない旨、保険を適用することができない理由などを含む。保険の請求に関する警告は、コンピュータシステム110の表示部に警告を表示することによってコンピュータシステム110の管理会社の従業員に提示されてもよいし、コンピュータシステム110の管理会社の従業員によって操作されるユーザ装置1201に警告を送信することによってコンピュータシステム110の管理会社の従業員に提示されてもよいし、建物Xの所有者Aによって操作されるユーザ装置1202に警告を送信することによって建物Xの所有者Aに提示されてもよい。
【0047】
また、コンピュータシステム110は、保険の契約の更新処理を実行することが可能なように構成されている。この処理は、保険データベース部153を参照して実行される。例えば、保険の契約の更新処理を実行するタイミングは、点検情報を取得するタイミングと同時であり得る。これにより、保険の契約の更新のタイミングと、建物Xの点検の実施のタイミングとを同期させることが可能である。
【0048】
図4は、
図3に示されるステップS303における判定処理のフローの一例を示す。以下、
図4に示される各ステップを説明する。
【0049】
ステップS401:保険の有効適用期間が特定される。ステップS302において受信された保険情報が、保険の有効適用期間を示す情報を含む場合には、コンピュータシステム110は、保険情報に基づいて、保険の有効適用期間を特定することが可能である。ステップS302において受信された保険情報が、保険の有効適用期間を示す情報を含まない場合には、ステップS302において受信された保険情報に含まれる所有者IDまたは保険IDに基づいて、保険データベース部153を参照して、保険IDに対応する保険の有効適用期間、または、所有者IDに対応する保険の有効適用期間を特定することが可能である。
【0050】
ステップS402:建物Xの損害の発生時期が、保険の有効適用期間内であるか否かが判定される。この処理は、保険情報に含まれる保険の適用を希望する建物Xの損害の発生時期を示す情報と、ステップS401において特定された保険の有効適用期間を示す情報とに基づいて、実行される。判定結果が「Yes」の場合には、処理はステップS403に進み、判定結果が「No」の場合には、処理はステップS409進む。
【0051】
ステップS403:保険の有効適用範囲が特定される。ステップS302において受信された保険情報が、保険の有効適用範囲を示す情報を含む場合には、コンピュータシステム110は、保険情報に基づいて、保険の有効適用範囲を特定することが可能である。ステップS302において受信された保険情報が、保険の有効適用範囲を示す情報を含まない場合には、ステップS302において受信された保険情報に含まれる所有者IDまたは保険IDに基づいて、保険データベース部153を参照して、保険IDに対応する保険の有効適用範囲、または、所有者IDに対応する保険の有効適用範囲を特定することが可能である。
【0052】
ステップS404:建物Xの損害の発生箇所が、保険の有効適用範囲内であるか否かが判定される。この処理は、保険情報に含まれる保険の適用を希望する建物Xの損害の発生箇所を示す情報と、ステップS401において特定された保険の有効適用箇所を示す情報とに基づいて、実行される。判定結果が「Yes」の場合には、処理はステップS404に進み、判定結果が「No」の場合には、処理はステップS409進む。
【0053】
ステップS405:建物Xの損害の発生時期が、建物Xの点検した時期より前であるか否かが判定される。この処理は、ステップS301において受信された点検情報または建物データベース部152に格納されている点検情報に含まれる点検時期を示す情報、および、ステップS302において受信された保険情報に含まれる損害の発生時期を示す情報に基づいて、実行される。判定結果が「Yes」の場合には、処理はステップS406に進み、判定結果が「No」の場合には、処理はステップS408進む。
【0054】
ステップS406:建物Xを点検した時期に建物Xに損傷が存在したか否かが判定される。この処理は、ステップS301において受信された点検情報または建物データベース部152に格納されている点検情報(特に、損傷の有無を示す情報)に基づいて、実行される。好ましくは、この処理は、最新の点検情報(すなわち、建物Xの最新の点検した時期を示す情報を含む点検情報)に基づいて実行される。判定結果が「Yes」の場合には、処理はステップS409に進み、判定結果が「No」の場合には、処理はステップS407進む。
【0055】
ステップS407:建物Xの損害の発生箇所が、建物Xを点検した時期において建物Xに損傷が確認された箇所(すなわち、損傷箇所)と一致するか否かが判定される。この処理は、保険情報に含まれる保険の適用を希望する建物Xの損害の発生箇所を示す情報と、ステップS301において受信された点検情報または建物データベース部152に格納されている点検情報(特に、点検箇所のうちの損傷が確認された箇所を示す情報)に基づいて、実行される。判定結果が「Yes」の場合には、処理はステップS409に進み、判定結果が「No」の場合には、処理はステップS408進む。
【0056】
なお、
図4のステップS407の後かつステップS409の前の任意のタイミングで、コンピュータシステム110は、ステップS301において受信された点検情報および/または建物データベース部152に格納されている点検情報に含まれる点検箇所の画像を画像解析することによって、保険データベース部153を参照して、所有者Aが保険の適用を希望する損害が保険適用対象の損害であるか否かを判定してもよい。この場合、コンピュータシステム110は、必要に応じて(すなわち、保険の種別に応じて)、例えば、保険情報に含まれる損害の発生時期に対応する天候または災害を示す情報などを外部システムに問い合わせ、その問い合わせ結果を、所有者Aが保険の適用を希望する損害が保険適用対象の損害であるか否かの判定処理に使用してもよい。
【0057】
ステップS408:保険の請求内容が妥当であると判定される。この処理は、ステップS303における判定結果が「Yes」の場合に対応する。
【0058】
ステップS409:保険の請求内容が妥当ではないと判定される。この処理は、ステップS303における判定結果が「No」の場合に対応する。
【0059】
なお、
図4に示される実施形態では、ステップS401~S404がステップS405より前のタイミングで実行されるように説明したが、本発明はこれに限定されない。ステップS401~S404は、ステップS407とS408との間の任意のタイミングで実行されてもよい。
【0060】
なお、
図3、
図4に示される実施形態では、メモリ部に格納されたプログラムをプロセッサ部が実行することによって、
図3、
図4に示される各ステップの処理が実現される例を説明したが、本発明はこれに限定されない。
図3、
図4に示される各ステップのうちの少なくとも一部の処理が制御回路などのハードウェア構成によって実現されてもよい。
【0061】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、建物に関連する保険金の不正請求を防止することが可能な、建物に関連するサービスを提供するためのコンピュータシステム、および、そのコンピュータシステムにおいて実行される方法およびプログラム等を提供するものとして有用である。
【符号の説明】
【0063】
100 システム
110 コンピュータシステム
1201~120N ユーザ装置
1301~130M 点検装置
140 インターネット
150 データベース部