(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169108
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】摩耗インジケータシステム
(51)【国際特許分類】
G01B 5/00 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
G01B5/00 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023050351
(22)【出願日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】63/342,380
(32)【優先日】2022-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/961,250
(32)【優先日】2022-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519447732
【氏名又は名称】トランスポーテーション アイピー ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パターソン,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ピヤサク,マルハリータ
(72)【発明者】
【氏名】ベイリー,ダヴィド
【テーマコード(参考)】
2F062
【Fターム(参考)】
2F062AA15
2F062CC30
2F062EE01
2F062HH02
2F062KK06
2F062LL07
2F062LL09
2F062LL11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】信頼性の高い摩耗インジケータシステムを提供する。
【解決手段】摩耗インジケータシステム100は、ハウジング108と、摩耗インジケータ回路104と、アクチュエータアセンブリ106とを有するスイッチアセンブリ102を備える。ハウジング108は、導体バー114に沿って接触して摺動する集電体シュー112を有する集電体シューアセンブリ110に接続する。摩耗インジケータ回路104は、通信ユニット118およびスイッチユニット120を備える。アクチュエータアセンブリ106は、ハウジング108およびスイッチユニット120に動作可能に結合され、集電体シューアセンブリ110が移動するときに導体バーアセンブリ116に沿って追従し、かつ、集電体シュー112が指定の摩耗レベルに到達した時にスイッチユニット120を作動させる。通信ユニット118は、指定の摩耗レベルを示す信号を通信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩耗インジケータシステム(100)であって、
集電体シュー(112)と導体バーアセンブリ(116)の導体バー(114)との間で電力を伝送するための前記導体バー(114)に沿って接触して摺動する前記集電体シュー(112)を有する集電体シューアセンブリ(110)に接続するように構成されたハウジング(108)を備えるスイッチアセンブリ(102)を備え、
前記スイッチアセンブリ(102)が、前記ハウジング(108)内に少なくとも部分的に収容され、通信ユニット(118)およびスイッチユニット(120)を有する摩耗インジケータ回路(104)を備え、前記スイッチアセンブリ(102)が、前記ハウジング(108)および前記スイッチユニット(120)に動作可能に結合されたアクチュエータアセンブリ(106)を備え、
前記アクチュエータアセンブリ(106)が、前記集電体シューアセンブリ(110)が移動する間に前記導体バーアセンブリ(116)に沿って追従するように、かつ、前記集電体シュー(112)が指定の摩耗レベルに到達したことに応答して前記スイッチユニット(120)を作動させる位置まで押し下げるように前記導体バーアセンブリ(116)に接触するように構成されており、
前記摩耗インジケータ回路(104)が、前記通信ユニット(118)が前記スイッチユニット(120)の作動に応答して前記指定の摩耗レベルを示す信号を通信するように構成されている、摩耗インジケータシステム(100)。
【請求項2】
前記通信ユニット(118)が、1つまたは複数の発光ダイオード(LED)または他の発光素子を備え、前記通信ユニット(118)が、前記1つまたは複数のLEDまたは他の発光素子が前記スイッチユニット(120)の作動に応答して作動されるように構成され、前記信号が、前記1つまたは複数のLEDまたは他の発光素子からの光の伝送を含む、請求項1に記載の摩耗インジケータシステム(100)。
【請求項3】
前記通信ユニット(118)が、前記スイッチユニット(120)の作動に応答して作動されるように構成されたオーディオ装置を備え、前記信号が、前記オーディオ装置によって生成されたオーディオ信号を含む、請求項1に記載の摩耗インジケータシステム(100)。
【請求項4】
前記通信ユニット(118)が、前記スイッチユニット(120)の作動に応答して作動されるように構成された無線送信機を備え、前記信号が、前記無線送信機によって生成されるとともに機外電子装置による受信のために構成された無線周波数(RF)信号を含む、請求項1に記載の摩耗インジケータシステム(100)。
【請求項5】
前記アクチュエータアセンブリ(106)が、
前記集電体シュー(112)が前記指定の摩耗レベルよりも低い第2の摩耗レベル未満の摩耗レベルを有する間、前記集電体シューアセンブリ(110)が移動するが前記導体バーアセンブリ(116)に接触しない間に前記導体バーアセンブリ(116)に沿って追従し、かつ
前記摩耗レベルが前記第2の摩耗レベルよりも大きく前記指定の摩耗レベルよりも小さい間に、前記導体バーアセンブリ(116)に接触するが、前記スイッチユニット(120)を作動させない
ように構成されている、請求項1に記載の摩耗インジケータシステム(100)。
【請求項6】
前記アクチュエータアセンブリ(106)がプランジャアーム(134)およびアクチュエータヘッド(136)を備え、前記プランジャアーム(134)が、前記ハウジング(108)の開口部(130)に配置された第1の端部(138)、および第2の端部(140)を有し、前記アクチュエータヘッド(136)が、前記ハウジング(108)の外側で前記プランジャアーム(134)の前記第2の端部(140)に取り付けられ、かつ前記導体バーアセンブリ(116)と接触するように構成され、
前記アクチュエータヘッド(136)が、第1の端部(144)および遠位の第2の端部(146)を有する細長い本体(142)を備え、
前記アクチュエータヘッド本体(142)の前記第1の端部(144)および前記第2の端部(146)が、前記アクチュエータヘッド(136)が前記導体バーアセンブリ(116)に沿って接触して移動する間に、前記アクチュエータヘッド(136)と前記導体バーアセンブリ(116)との間に先行ギャップおよび後続ギャップを呈するように構成されたそれぞれの傾斜端面を画定する、請求項1に記載の摩耗インジケータシステム(100)。
【請求項7】
前記アクチュエータヘッド(136)の長さが10センチメートル~20センチメートルである、請求項6に記載の摩耗インジケータシステム(100)。
【請求項8】
前記アクチュエータアセンブリ(106)がプランジャアーム(134)およびアクチュエータヘッド(136)を備え、前記プランジャアーム(134)が、前記ハウジング(108)の開口部(130)に配置された第1の端部(138)、および第2の端部(140)を有し、前記アクチュエータヘッド(136)が、前記ハウジング(108)の外側で前記プランジャアーム(134)の前記第2の端部(140)に取り付けられ、かつ前記導体バーアセンブリ(116)と接触するように構成され、
前記アクチュエータアセンブリ(106)が、第1の弾性部材(156)およびレバーアーム(158)をさらに備え、前記レバーアーム(158)が、第1の端部(160)および第2の端部(162)を有し、かつ前記レバーアーム(158)の前記第1の端部(160)と第2の端部(162)との間で前記ハウジング(108)の内側に回動可能に取り付けられ、前記プランジャアーム(134)の前記第1の端部(138)が、前記レバーアーム(158)の前記第1の端部(160)に接触し、前記第1の弾性部材(156)が、前記ハウジング(108)と前記レバーアーム(158)の前記第1の端部(138)との間に配置され、かつ前記レバーアーム(158)および前記プランジャアーム(134)を上方に付勢し、
前記スイッチユニット(120)が、磁石スイッチ(164)と、磁石ユニット(166)と、第2の弾性部材(168)とを備え、前記磁石ユニット(166)が、前記ハウジング(108)内のスロット(170)内に摺動可能に配置され、前記第2の弾性部材(168)が、前記磁石ユニット(166)と係合して前記スロット(170)内に配置され、前記磁石ユニット(166)を前記磁石スイッチ(164)に向かってまたは前記磁石スイッチから離れるように付勢し、
前記レバーアーム(158)の前記第2の端部(140)が、前記アクチュエータアセンブリ(106)が完全に上方に位置決めされるように前記レバーアーム(158)が回動されている間に第1の動作位置において、前記磁石ユニット(166)に係合し、かつ前記磁石ユニット(166)を前記第2の弾性部材(168)に対して保持するように構成され、
前記レバーアーム(158)の前記第2の端部(140)が、前記集電体シュー(112)が前記指定の摩耗レベルに到達したことに応答して前記レバーアーム(158)の前記第1の端部(138)が前記アクチュエータアセンブリ(106)によって下方に回動されている間に第2の動作位置において、前記第2の弾性部材(168)が前記磁石ユニット(166)を前記磁石スイッチ(164)に向かってまたは前記磁石スイッチから離れるように移動させるために、前記磁石ユニット(166)から係合解除するようにさらに構成されている、請求項1に記載の摩耗インジケータシステム(100)。
【請求項9】
前記磁石ユニット(166)が、磁石キャリア(176)と、前記磁石キャリア(176)に取り付けられた磁石(178)とを備え、前記磁石キャリア(176)、前記磁石(178)、または前記磁石キャリア(176)と組み合わせた前記磁石(178)のうちの1つまたは複数が、係合機構を画定し、前記レバーアーム(158)の前記第2の端部(162)が、前記磁石ユニット(166)の前記係合機構と選択的に係合するように構成されたラッチ肩部を画定する、請求項8に記載の摩耗インジケータシステム(100)。
【請求項10】
前記スイッチアセンブリ(102)が、前記ハウジング(108)内のリセットレセプタクル(182)内に摺動可能に配置されたリセット部材(180)をさらに備え、前記リセット部材(180)が、前記リセット部材(180)の作動に応答して前記レバーアーム(158)の前記第2の端部(162)を前記磁石ユニット(166)に再係合させるように構成されている、請求項8に記載の摩耗インジケータシステム(100)。
【請求項11】
前記スイッチアセンブリ(102)が、前記ハウジング(108)内のリセットレセプタクル(182)内に摺動可能に配置されたリセット部材(180)をさらに備え、前記リセット部材(180)が、前記ハウジング(108)の外側で手動によりアクセス可能な第1の端部と、前記リセットレセプタクル(182)内の遠位の第2の端部とを有し、
前記リセット部材(180)が、前記レバーアーム(158)の前記第2の端部(162)が前記第1の動作位置にあり、かつ前記磁石ユニット(166)から係合解除されている間に、前記ハウジング(108)に向かう前記リセット部材(180)の前記第1の端部(138)の移動時に、前記レバーアーム(158)の前記第2の端部(140)が前記磁石ユニット(166)に係合して保持する前記磁石ユニット(166)の位置に、前記第2の弾性部材の作用に抗して前記磁石ユニット(166)を押し込むように、前記リセット部材(180)の前記第2の端部を前記リセットレセプタクル(182)内にさらに移動させるように構成されている、請求項8に記載の摩耗インジケータシステム(100)。
【請求項12】
前記磁石スイッチ(164)が常開磁石スイッチを備え、前記第2の弾性部材(168)が、前記磁石ユニット(166)を前記磁石スイッチ(164)に向かって付勢し、前記第2の動作位置において、前記レバーアーム(158)の前記第2の端部(162)が、前記第2の弾性部材(168)が前記磁石ユニット(166)を前記磁石(178)のスイッチに向かって移動させて前記磁石スイッチ(164)を閉じるように、前記磁石ユニット(166)から係合解除するように構成されている、請求項8に記載の摩耗インジケータシステム(100)。
【請求項13】
前記磁石スイッチ(164)が、常閉磁石スイッチを備え、前記第2の弾性部材(168)が、前記磁石ユニット(166)を前記磁石スイッチ(164)から離れるように付勢し、前記第2の動作位置において、前記レバーアーム(158)の前記第2の端部(162)が、前記第2の弾性部材(168)が前記磁石ユニット(166)を前記磁石スイッチ(164)から離れるように移動させて前記磁石スイッチ(164)を閉じるように、前記磁石ユニット(166)から係合解除するように構成されている、請求項8に記載の摩耗インジケータシステム(100)。
【請求項14】
摩耗インジケータシステム(100)であって、
集電体シュー(112)と導体バーアセンブリ(116)の導体バー(114)との間で電力を伝送するための前記導体バー(114)に沿って接触して摺動する前記集電体シュー(112)を有する集電体シューアセンブリ(110)に接続されたハウジング(108)を備えるスイッチアセンブリ(102)を備え、
前記スイッチアセンブリ(102)が、前記ハウジング(108)内に少なくとも部分的に収容され、通信ユニット(118)およびスイッチユニット(120)を有する摩耗インジケータ回路(104)を備え、前記スイッチアセンブリ(102)が、前記ハウジング(108)および前記スイッチユニット(120)に動作可能に結合されたアクチュエータアセンブリ(106)を備え、
前記アクチュエータアセンブリ(106)が、前記集電体シューアセンブリ(110)が移動する間に前記導体バーアセンブリ(116)に沿って追従するように、かつ、前記集電体シュー(112)が指定の摩耗レベルに到達したことに応答して前記スイッチユニット(120)を作動させる位置まで押し下げるように前記導体バーアセンブリ(116)に接触するように構成されており、
前記摩耗インジケータ回路(104)が、前記スイッチユニット(120)が作動されるのに応答して前記通信ユニット(118)が前記指定の摩耗レベルを示す信号を通信するように構成されている、摩耗インジケータシステム(100)。
【請求項15】
前記通信ユニット(118)が、1つまたは複数の発光ダイオード(LED)または他の発光素子を備え、前記通信ユニット(118)が、前記1つまたは複数のLEDまたは他の発光素子が前記スイッチユニット(120)の作動に応答して作動されるように構成され、前記信号が、前記1つまたは複数のLEDまたは他の発光素子からの光の伝送を含む、請求項14に記載の摩耗インジケータシステム(100)。
【請求項16】
前記通信ユニット(118)が、前記スイッチユニット(120)の前記作動に応答して作動されるように構成されたオーディオ装置を備え、前記信号が、前記オーディオ装置によって生成されたオーディオ信号を含む、請求項14に記載の摩耗インジケータシステム(100)。
【請求項17】
前記通信ユニット(118)が、前記スイッチユニット(120)の作動に応答して作動されるように構成された無線送信機を備え、前記信号が、前記無線送信機によって生成されるとともに機外電子装置による受信のために構成された無線周波数(RF)信号を含む、請求項14に記載の摩耗インジケータシステム(100)。
【請求項18】
前記アクチュエータアセンブリ(106)が、
前記集電体シュー(112)が前記指定の摩耗レベルよりも低い第2の摩耗レベル未満の摩耗レベルを有する間、前記集電体シューアセンブリ(110)が移動するが前記導体バーアセンブリ(116)に接触しない間に前記導体バーアセンブリ(116)に沿って追従し、かつ
前記摩耗レベルが前記第2の摩耗レベルよりも大きく前記指定の摩耗レベルよりも小さい間に、前記導体バーアセンブリ(116)に接触するが、前記スイッチユニット(120)を作動させない
ように構成されている、請求項14に記載の摩耗インジケータシステム(100)。
【請求項19】
前記アクチュエータアセンブリ(106)がプランジャアーム(134)およびアクチュエータヘッド(136)を備え、前記プランジャアーム(134)が、前記ハウジング(108)の開口部(130)に配置された第1の端部(138)、および第2の端部(140)を有し、前記アクチュエータヘッド(136)が、前記ハウジング(108)の外側で前記プランジャアーム(134)の前記第2の端部(140)に取り付けられ、前記導体バーアセンブリ(116)と接触するように構成され、
前記アクチュエータヘッド(136)が、第1の端部(138)および遠位の第2の端部(140)を有する細長い本体を備え、
前記アクチュエータヘッド(136)の本体の前記第1の端部および第2の端部(140)が、前記アクチュエータヘッド(136)が前記導体バーアセンブリ(116)に沿って接触して移動する間に、前記アクチュエータヘッド(136)と前記導体バーアセンブリ(116)との間に先行ギャップおよび後続ギャップを呈するように構成されたそれぞれの傾斜端面を画定する、請求項14に記載の摩耗インジケータシステム(100)。
【請求項20】
クレーンシステム(100)であって、
導体バー(114)を有する固定導体バーアセンブリ(116)と、
前記導体バーアセンブリ(116)に対して移動するように構成され、支持フレーム、前記支持フレームに動作可能に結合されたクレーンモータ、前記モータに電力を供給するように構成されたモータコントローラ、および前記モータコントローラが前記モータに電力を供給するために前記導体バー(114)と集電体シュー(112)との間で電力を伝達するための前記導体バー(114)に沿って接触して摺動する前記集電体シュー(112)を有する集電体シューアセンブリ(110)を備える、クレーンユニットと、
ハウジング(108)、摩耗インジケータ回路(104)、アクチュエータアセンブリ(106)を備えるスイッチアセンブリ(102)であって、前記ハウジング(108)が前記集電体シューアセンブリ(110)に接続され、前記摩耗インジケータ回路(104)が前記ハウジング(108)内に少なくとも部分的に収容され、かつ通信ユニット(118)およびスイッチユニット(120)を備え、前記アクチュエータアセンブリ(106)が前記ハウジング(108)および前記スイッチユニット(120)に動作可能に結合され、前記アクチュエータアセンブリ(106)が、前記集電体シューアセンブリ(110)が移動するときに前記導体バーアセンブリ(116)に沿って追従するように、かつ、前記集電体シュー(112)が指定の摩耗レベルに到達したときに前記導体バーアセンブリ(116)に接触して前記スイッチユニット(120)を作動させる位置まで押し下げるように構成され、前記摩耗インジケータ回路(104)が、前記スイッチユニット(120)が作動されたときに前記通信ユニット(118)が前記指定の摩耗レベルを示す信号を通信するように構成されている、スイッチアセンブリと
を備える、クレーンシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮出願第63/342,380号(出願日2022年5月16日)の優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書の主題の実施形態は、移動する集電体を利用する電力伝送システムに関する。
【背景技術】
【0003】
産業機器のいくつかのアイテムは、移動アセンブリの外部の供給源から供給される電力で動作する移動アセンブリを備える。一例は、一組の軌道に沿って移動する天井クレーンまたはガントリクレーンであり、これは、ウインチモータを動作させるためにクレーンに電力が供給される必要がある。別の例は、移動中に架空線または路傍レールから電力を受信する車両である。電力を移動アセンブリに伝達するために、移動アセンブリは、典型的には炭素複合材料または炭素-金属複合材料から作られた1つまたは複数の集電体シューを備える。集電体シューは、典型的には銅または鋼であり、かつ、例えば電気接地および1つまたは複数の正電圧接続を提供するために電力網または他の電源に接続されたそれぞれの固定導体バー(すなわち、電力レールまたは軌道)に沿って摺動する。
【0004】
集電体シューと金属導体バーとの間の摩擦により、集電体シューは、経時的に摩耗し、指定された摩耗状態(例えば、用途およびエンドユーザの方針に応じて、指定された集電体シューの残りの厚さ、10~20%の残り寿命など)に到達したときに交換されなければならない。天井用途では、集電体シューは、地上高に取り付けられていることがあり、したがって地上レベルからの検査が困難であり、保守要員によって見落とされる可能性があり、または定期的な保守評価に含まれていない可能性さえある。集電体シューの交換が早すぎると、機器に供給される電力が不足し、その結果、その性能が低下し、安全上の問題が生じる可能性がある。さらに、集電体シューが完全に摩耗すると、シューマウントと導体バーとの間に電気アークが発生し、導体バーが損傷する可能性がある。
【0005】
不時の集電体シューの交換を回避するために、従来のシステムには、集電体シューの摩耗を遠隔監視するための手段が装備されてきた。例は、光学センサ(例えば、カメラ)、および集電体シューが指定の摩耗レベルに到達したときに作動する、シュー本体自体に埋め込まれた電気警報回路を含む。しかしながら、前者は実装に費用がかかり、(カメラフィードを介して集電体シューの相対的な摩耗レベルを正確に視覚的に評価する観点から)較正することが困難であり、後者は集電体シュー自体に広範な修正を必要とし、これはコストを増加させ、信頼性および性能に影響を及ぼす可能性がある。
【0006】
既存のシステムとは異なる集電体シュー摩耗インジケータシステムを有することが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【0007】
実施形態では、摩耗インジケータシステムは、ハウジングと、摩耗インジケータ回路と、アクチュエータアセンブリとを有するスイッチアセンブリを備える。ハウジングは、集電体シューと導体バーアセンブリの導体バーとの間で電力を伝達するための導体バーに沿って接触して摺動する集電体シューを有する集電体シューアセンブリに接続するように構成されている。摩耗インジケータ回路は、ハウジング内に少なくとも部分的に収容され、通信ユニットおよびスイッチユニットを備える。アクチュエータアセンブリは、ハウジングおよびスイッチユニットに動作可能に結合される。アクチュエータアセンブリは、集電体シューアセンブリが移動するときに導体バーアセンブリに沿って追従するように、かつ集電体シューが指定の摩耗レベルに到達したときにスイッチユニットを作動させる位置まで押し下げるように導体バーアセンブリに接触するように構成されている。摩耗インジケータ回路は、スイッチユニットが作動されたときに、指定の摩耗レベルを示す信号を通信ユニットが通信するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の主題は、添付の図面を参照して、非限定的な実施形態の以下の説明を読むことによって理解され得る。
【0009】
【
図1】第1の動作状態における摩耗インジケータシステムの第1の実施形態の概略図である。
【
図2】第2の動作状態における摩耗インジケータシステムの第1の実施形態の概略図である。
【
図3】第1の動作状態における摩耗インジケータシステムの第2の実施形態の概略図である。
【
図4】第2の動作状態における摩耗インジケータシステムの第2の実施形態の概略図である。
【
図5】第3の動作状態における摩耗インジケータシステムの第2の実施形態の概略図である。
【
図6】アクチュエータアセンブリの実施形態の概略図である。
【
図7】第1の動作状態における摩耗インジケータシステムの第3の実施形態の、内部部品を示すために部分的に切り取られた側面図である。
【
図8】第2の動作状態における摩耗インジケータシステムの第3の実施形態の、内部部品を示すために部分的に切り取られた側面図である。
【
図9】第1の動作状態における摩耗インジケータシステムの別の実施形態の端面図である。
【
図10】第2の動作状態における摩耗インジケータシステムの別の実施形態の端面図である。
【
図11】レバーアームと組み合わせた磁石ユニットの実施形態の概略図である。
【
図12】部分(A)および(B)を有する、それぞれ第1および第2の動作状態における摩耗インジケータシステムの別の実施形態の概略図である。
【
図13】部分(A)および(B)を有する、それぞれ第1および第2の動作状態における摩耗インジケータシステムの別の実施形態の概略図である。
【
図14】摩耗インジケータ回路の実施形態を示す簡略化された電気回路図である。
【
図15】導体バーの隣接する部分におけるギャップの横断を示す、摩耗インジケータシステムの別の実施形態の、内部部品を示すために部分的に切り取られた側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載の主題の実施形態は、例えば、集電体シューが、集電体シューを交換する必要があり得る指定の摩耗レベルに到達したときに保守要員に警告するための摩耗インジケータシステムに関する。例えば、集電体シューは、集電体シューに取り付けられた装置(ガントリクレーンまたは車両など)に電力を供給するために、集電体シューと導体バーとの間の電力の伝達のための導体バーアセンブリの導体バーに沿って摺動して接触することにより、経時的に摩耗することがある。
【0011】
一実施形態では、摩耗インジケータシステムは、ハウジングと、摩耗インジケータ回路と、アクチュエータアセンブリとを有するスイッチアセンブリを備える。ハウジングは、集電体シューと導体バーアセンブリの導体バーとの間で電力を伝達するための導体バーに沿って接触して摺動する集電体シューを有する集電体シューアセンブリに接続するように構成されている。摩耗インジケータ回路は、ハウジング内に少なくとも部分的に収容され、通信ユニットおよびスイッチユニットを備える。アクチュエータアセンブリは、ハウジングおよびスイッチユニットに動作可能に結合される。アクチュエータアセンブリは、集電体シューアセンブリが移動するときに導体バーアセンブリに沿って追従するように、かつ集電体シューが指定の摩耗レベルに到達したときにスイッチユニットを作動させる位置まで押し下げるように導体バーアセンブリに接触するように構成されている。摩耗インジケータ回路は、スイッチユニットが作動されたときに、指定の摩耗レベルを示す信号を通信ユニットが通信するように構成されている。
【0012】
様々な態様によれば、アクチュエータアセンブリは、集電体シューアセンブリが移動するときに導体バーアセンブリに沿って追従するとき、導体バーアセンブリに対して移動し得るが、導体バーアセンブリとは接触せず、または、導体バーアセンブリに対して移動して、導体バーアセンブリとも接触し得る。実施形態では、集電体シューが新しい場合、アクチュエータアセンブリは、集電体シューアセンブリとともに移動するが、導体バーアセンブリとは接触せず、集電体シューが特定のレベル(例えば、指定の摩耗レベル、または指定の摩耗レベルよりも低い何らかの中間摩耗レベル)まで摩耗した場合、アクチュエータアセンブリは、集電体シューアセンブリが導体バーアセンブリと接触した状態で移動する。(アクチュエータアセンブリが導体バーアセンブリに接触する時間を最小限に抑えるか、そうでなければ低減することにより、アクチュエータアセンブリの摩耗を低減し、それにより、アクチュエータアセンブリの保守または交換が必要となるまでの期間を延長し得る。)他の実施形態では、アクチュエータアセンブリは、集電体シューの摩耗レベルにかかわらず、導体バーアセンブリに常に接触してもよい。
【0013】
一態様によれば、指定の摩耗レベルは、集電体シューが交換される必要がある集電体シューの状態を示すか、そうでなければ集電体シューの状態に関連する、または交換される必要がある摩耗閾値(例えば、通常使用の1~2週間)内にある集電体シューの選択または決定されたレベルまたは摩耗度である。シューが交換されるべき時期に対応する摩耗のレベルは、用途ごとに異なり得る。要因は、製造業者の仕様、シューが使用される場所の最終用途、環境条件、ローカル機器の保守規定、指定された安全基準、集電体シューおよび導体バーの材料仕様などを含む。実施形態では、指定の摩耗レベルは、集電体シューが完全に摩耗しないようにすることを反映してもよく、また、指定の摩耗レベルが検出されて信号(例えば、保守警告信号)が通信された後であっても、集電体シューが指定された期間(例えば、1週間)の追加の通常のデューティサイクルの使用であっても完全に摩耗しないように、(上述したように)摩耗バッファを設けることを反映してもよい。これは、(例えば、問題の機器の必要な継続使用に起因して、または保守要員もしくは機器の利用不可能性に起因して)集電体シューを直ちに交換することができないことがあり、保守要員が通信された信号を直ちに認知していないことがあることを認識する。
【0014】
実施形態では、通信ユニットは、光素子(すなわち、LEDまたは白熱電球などの可視光または他の光を放射する電子または電気装置)を備え、信号は、例えば、光が放射されない光素子の非活性化状態から、光が放射される光素子の活性化状態への、および/またはその逆の、光素子によって放射される光の変化として具現化され、放射光のパターンおよび放射光の欠如(例えば、点滅する光)を繰り返す可能性を含む。他の可能性は、光強度の変化、放射光の着色の変化などを含む。他の実施形態では、通信ユニットは、代替的にまたは追加的に、音響要素(すなわち、スピーカなどの音波を発する電子または電気装置)を備え、信号は、例えば、音波が放射されていない音響要素の非作動状態から、音波が放射されている音響要素の作動状態への、および/またはその逆の、音響要素によって放射される音波の変化として具現化され、変化する強度または変化する周波数の音波の可能性を含む。
【0015】
他の実施形態では、通信ユニットは、例えばアンテナおよびトランシーバを有する無線通信ユニットを備える。ここで、信号は、摩耗インジケータ回路から離れて、例えば、摩耗インジケータ回路(および関連機器)が配置されている場所とは異なる設備内の場所に配置された第2の通信ユニットによる受信のために構成されたRF信号または他の無線信号を含み得る。無線信号は、電子装置が集電体シューの指定の摩耗レベルに関するローカル警告、ローカル警報、他のローカル通知、または他のローカル制御信号を生成するために、第2の通信ユニットに取り付けられた(摩耗インジケータ回路から離れていることを意味する)遠隔/機外電子装置によって処理するように構成された情報を含む。例えば、遠隔電子装置は、制御信号を受信すると保守要員に警告を伝達するように構成されたコンピュータ、タブレット、携帯電話/スマートフォン、電子ディスプレイなどを備え得る。一態様によれば、遠隔電子装置は、信号の受信に応答して、保守要員が集電体シュー(または複数の集電体シュー)を交換するための保守作業をスケジュールすること、(例えば、交換集電体シューの既知の在庫レベルに対して)交換集電体シューを注文すること、経時的な集電体シュー使用のデータを追跡および分析すること、などを自動的に行うように構成され得る。
【0016】
ここで
図1および
図2を参照すると、摩耗インジケータシステム100の実施形態は、摩耗インジケータ回路104と、アクチュエータアセンブリ106と、ハウジング108とを有するスイッチアセンブリ102を備える。ハウジングは、集電体シュー112と導体バーアセンブリ116の導体バー114との間で電力を伝達するための導体バー114に沿って接触して摺動する集電体シュー112を有する集電体シューアセンブリ110に接続するように構成されている。摩耗インジケータ回路は、少なくとも部分的にハウジング内に収容され、通信ユニット118およびスイッチユニット120を有する。アクチュエータアセンブリは、ハウジングおよびスイッチユニットに動作可能に結合され、
図1に示すように、集電体シューアセンブリが移動するときに導体バーアセンブリに沿って追従するように、かつ
図2に示すように、集電体シューが指定の摩耗レベル124に到達したときにスイッチユニットを作動させる位置122まで押し下げるように導体バーアセンブリに接触するように構成されている。摩耗インジケータ回路は、スイッチユニットが作動されたときに、指定の摩耗レベルを示す信号126(例えば、フラッシュ光、RF信号など)を通信ユニットが通信するように構成されている。
【0017】
一態様によれば、スイッチアセンブリ102は、集電体シューアセンブリ110に取り付けられているため、集電体シューアセンブリが導体バー114に沿って摺動し、それに対して移動すると、集電体シューアセンブリとともに横方向に移動する(集電体シューアセンブリは、例えば、集電体シュー-導体バーの電力伝達によって電力供給されるクレーンまたは車両などの機器の移動または位置決め機構を駆動するように構成された1つまたは複数の電気モータの動作下で移動し得る)。また、アクチュエータアセンブリ106と導体バーアセンブリ116との間の軸方向距離は、集電体シュー112によって確立され、その結果、集電体シューが新しい場合、
図1に示すように、アクチュエータアセンブリは、アクチュエータアセンブリからさらに離れて配置され(いくつかの実施形態では、アクチュエータアセンブリと接触していない)、集電体シューが導体バーに沿って摺動する摩擦相互作用に起因して経時的に摩耗するにつれて、対応するアクチュエータアセンブリは、導体バーアセンブリに近付く(
図2の矢印128を参照)。集電体シューが指定の摩耗レベルまで摩耗した時点で、アクチュエータアセンブリは、スイッチユニットを作動させるように配置される。
【0018】
実施形態では、
図3、
図4、および
図5を参照すると、アクチュエータアセンブリ106は、ハウジング108の開口部130に摺動可能に受け入れられてもよい。最初に、
図3に示すように、集電体シュー112が新しいか、または指定の摩耗レベル124よりも低い第2の摩耗レベル132よりも低いレベルまで摩耗したとき、アクチュエータアセンブリは、(集電体シューアセンブリとともに)導体バーアセンブリに沿って追従するが、導体バーアセンブリと接触しない。
図4に示すように、集電体シューが第2の摩耗レベルまで摩耗したとき、アクチュエータアセンブリは、導体バーアセンブリに接触するが、スイッチユニットを作動させない。集電体シューが第2の摩耗レベルと指定の摩耗レベルとの間で摩耗し続けると、アクチュエータアセンブリは、バーアセンブリに接触し続け、やはりハウジング内に徐々に押し込まれる。
図5に示すように、集電体シューが指定の摩耗レベルに到達すると、アクチュエータアセンブリは、通信ユニットに電力を供給して信号を送信するためにスイッチユニットを作動させるようにハウジング内の位置に到達する。
【0019】
実施形態では、
図6を参照すると、アクチュエータアセンブリ106は、プランジャアーム134およびアクチュエータヘッド136を備え得る。プランジャアームは、ハウジング108の開口部130に配置された第1の端部138と、遠位の第2の端部140とを有する。アクチュエータヘッドは、ハウジングの外側でプランジャアームの第2の端部に取り付けられ、導体バーアセンブリと接触するように構成されている。(例えば、スイッチアセンブリが導体バーアセンブリに取り付けられ、集電体シューが指定の摩耗レベルまで摩耗したときに、アクチュエータヘッドが導体バーアセンブリに接触するように、アクチュエータヘッドが配置および配向され得る。また、アクチュエータヘッドは、他のプロファイルまたは形状を有するアクチュエータヘッドに対して、アクチュエータヘッドが導体バーアセンブリと接触し、導体バーアセンブリに沿って横方向に摺動するときに、アクチュエータヘッドと導体バーアセンブリとの間の摩擦相互作用を低減するプロファイルまたは形状を有し得る。)アクチュエータヘッドは、第1の端部144および遠位の第2の端部146を有する細長い本体142を備える。第1の端部144および第2の端部146は、アクチュエータヘッドが導体バーアセンブリに沿って接触して摺動するときに、アクチュエータヘッドの端部と導体バーアセンブリとの間に前後のギャップ150、152を呈するように構成されたそれぞれの傾斜端面(例えば、丸みを帯びているか、または角度が付けられている)148を画定する。一態様によれば、傾斜端面によって確立されたギャップは、アクチュエータアセンブリが、導体バーの隣接するセクション間のギャップを横切って移行すること、またはバンプもしくは他の凹凸を横切って移行することを容易にし得る(例えば、設備は、互いに電気的に絶縁された導体バーの異なるセクション/ブロックを有し得る)。
【0020】
アクチュエータヘッドの長軸154は、アクチュエータヘッドの長さを画定する。実施形態では、アクチュエータヘッドの長さは、10cm~20cmの長さである。一態様によれば、これは、アクチュエータヘッドが、より短い長さを有するアクチュエータヘッドに対して、導体バーの隣接するセクション間のギャップを横断すること、またはより滑らかにもしくは容易に横断することを可能にし得る。
【0021】
実施形態では、
図7、
図8、
図9、および
図10を参照すると、アクチュエータアセンブリ106は、第1の弾性部材156(例えば、圧縮ばね、ゴム状ポリマーブッシングまたは他のポリマーブッシングなど)およびレバーアーム158をさらに備え得る。レバーアームは、第1の端部160および第2の端部162を有し、レバーアームの第1の端部と第2の端部との間でハウジングの内側に回動可能に取り付けられている。プランジャアーム134の第1の端部138は、レバーアームの第1の端部に接触する。第1の弾性部材156は、ハウジングとレバーアームの第1の端部との間に配置され、レバーアームおよびプランジャアームを上方に付勢(押圧)する。スイッチユニット120は、磁石スイッチ164と、磁石ユニット166と、第2の弾性部材168(例えば、圧縮ばね、ゴム状ポリマーブッシングまたは他のポリマーブッシングなど)とを備える。磁石ユニットは、ハウジング内のスロット170内に摺動可能に配置され、第2の弾性部材は、磁石ユニットと係合してスロット内に配置される。磁石スイッチは、常開磁石スイッチを備えてもよく、常閉磁石スイッチを備えてもよい。磁石スイッチが常開磁石スイッチを備える場合、第2の弾性部材は、磁石ユニットを磁石スイッチに向かって付勢するように構成され得る。磁石スイッチが常閉磁石スイッチを備える場合、第2の弾性部材は、磁石ユニットを磁石スイッチから離れるように付勢するように構成され得る。
【0022】
レバーアームの第2の端部は、アクチュエータアセンブリが完全に上方に配置されるようにレバーアームが回動されるときの第1の動作位置において(例えば、
図7および
図9を参照)、磁石ユニットに係合し、それを第2の弾性部材に対して保持するように構成されている。レバーアームの第2の端部は、集電体シューが指定の摩耗レベルに到達したときにレバーアームの第1の端部がアクチュエータアセンブリによって下方に回動される第2の動作位置において(例えば、
図8および
図10を参照)、第2の弾性部材が磁石ユニットを磁石スイッチに向かって移動させるために(磁石スイッチが常開である場合)、または磁石ユニットを磁石スイッチから離れるように移動させるために(磁石スイッチが常閉である場合)、磁石ユニットから係合解除するようにさらに構成されている。常開磁石スイッチの構成が、
図7、
図8、
図9、
図10に示されている。
【0023】
図7、
図8、および
図11に示すように、実施形態では、回動レバーアーム158の第2の端部162は、レバーアームがその第1の動作位置にある(アクチュエータアセンブリが完全に上方に配置されるように回動される)ときに磁石ユニットと係合し、それを第2の弾性部材に対して保持するためのラッチ172(または他の保持部材)を備え得る。ラッチは、レバーアームの第2の端部から下方に延在し、磁石ユニットの肩部174または他の係合機構と係合するように成形された部材であってもよい。(「係合機構」とは、レバーアームの第2の端部に取り付けられたラッチまたは他の保持部材と係合するように成形された磁石ユニットの構造を意味する。)例えば、磁石ユニットは、磁石キャリア176(例えば、スロット170内を摺動するように構成された円筒部材)と、磁石キャリアに配置および/または取り付けられた磁石178とを備え得、磁石は、磁石キャリアよりも小さい直径を有し、磁石キャリアの端部から突出し、それによって磁石と磁石キャリアとの間に肩部174を形成する。あるいは、磁石ユニットは、磁石のみを備えてもよく(例えば、磁石に肩部が形成されている)、および/または係合機構は、磁石ユニットに形成され、かつ、ラッチ172の端部を受け入れるように構成された上部スロットまたは他の開口部を備えてもよい。他の実施形態では、レバーアームの第2の端部は、(係合機構として)磁石ユニットに形成された孔または他の開口部に受け入れられるように構成されたピンを備えることができる。
【0024】
常開磁石スイッチ164を有する摩耗インジケータシステムの実施形態の動作が、
図7、
図8、および
図12に示されている(2つの動作状態AおよびBを示す)。
図7および
図12(A)において、集電体シューが指定の摩耗レベルまで摩耗する前に、第1の弾性部材156は、アクチュエータアセンブリを上方に付勢し、ラッチ172を磁石ユニット166の肩部174に対して定位置に維持する。ここで、磁石ユニットは、磁石スイッチが開いたままになるように磁石スイッチから十分に離れて配置される。これにより、磁石ユニットは、第2の弾性部材168の動作に対して所定の位置に保持される、すなわち、第2の弾性部材は、磁石ユニットを押すが、レバーアームのラッチは、磁石ユニットが移動するのを妨げる。常開である磁石スイッチ164は開いている。
図8および
図12(B)を参照すると、集電体シューが指定の摩耗レベルまで摩耗すると、導体バーアセンブリ116と接触しているアクチュエータヘッド136が下方に押される。これは、プランジャアーム134を第1の弾性部材156の付勢に抗して下方に移動させる。これは、ひいては、レバーアームを回動させ、ラッチ172を磁石ユニットの肩部174から係合解除させる。これにより、磁石ユニットは、スロット内で自由に移動し、第2の弾性部材168によって磁石スイッチに向かって押される。磁石スイッチは、磁石ユニットが近接したときに閉じ、それによって電気回路を閉じて通信ユニット118を作動させるように構成されている。
【0025】
常閉磁石スイッチ164を有する摩耗インジケータシステムの実施形態の動作が
図13に示されている(2つの動作状態AおよびBを示す)。
図13(A)では、集電体シューが指定の摩耗レベルまで摩耗する前に、第1の弾性部材は、アクチュエータアセンブリを上方に付勢し、ラッチ172を磁石ユニット166の肩部174に対して定位置に維持する。ここで、磁石ユニットは、磁石スイッチが開いたままになるように磁石スイッチに十分に近接して配置される。これにより、磁石ユニットは、第2の弾性部材168の動作に対して所定の位置に保持される、すなわち、第2の弾性部材は、磁石ユニットを押すが、レバーアームのラッチは、磁石ユニットが移動するのを妨げる。常閉である磁石スイッチ164は開いている。
図13(B)を参照すると、集電体シューが指定の摩耗レベルまで摩耗すると、導体バーアセンブリ116と接触しているアクチュエータヘッド136が下方に押される。これは、プランジャアーム134を第1の弾性部材156の付勢に抗して下方に移動させる。これは、ひいては、レバーアームを回動させ、ラッチ172を磁石ユニットの肩部174から係合解除させる。これにより、磁石ユニットは、スロット内で自由に移動し、第2の弾性部材168によって磁石スイッチから押し出される。磁石スイッチは、磁石ユニットが離れたときに閉じるように構成され、それによって電気回路を閉じて通信ユニット118を作動させる。
【0026】
実施形態では、スイッチアセンブリは、ハウジング内のリセットレセプタクル182内に摺動可能に配置されたリセット部材180をさらに備え得る。リセット部材は、作動されると、レバーアームの第2の端部を磁石ユニットと再係合させるように構成されている。例えば、
図7および
図8を参照すると、リセット部材は、リセットシャフト184およびリセット作動ノブ186を備え得る。シャフトは、リセットレセプタクルにセットされる。シャフトの第1の端部は、磁石ユニットに接続され、シャフトの遠位の第2の端部は、ノブに接続される。第1の動作位置では、
図7に示すように、磁石ユニットがレバーアームによって係合されると、ノブはハウジングの凹部に引き込まれる。レバーアームが作動して磁石ユニットを解放すると、リセット部材は、磁石ユニットとともに移動し、ノブの少なくとも一部をハウジングの凹部から押し出す。リセット部材のこの第2の動作位置は、
図8に示されている。磁石ユニットをリセットするために、ノブは、凹部へと内側に押し戻される。これは、リセットシャフトに第2の弾性ユニットの作動に抗して磁石ユニットを元の位置に押し戻させる。アクチュエータアセンブリがもはや集電体バーアセンブリと接触していない場合、レバーアームは、レバーアームが再び作動されるまで磁石ユニットを定位置に保持するために磁石ユニットを自由に再係合することができる。典型的には、リセット部材は、集電体シューが指定の摩耗レベルに到達したことに応答して摩耗検出システムが作動され、その後交換された後に、保守要員によって作動される。
【0027】
図14は、摩耗インジケータ回路104の例示的な実施形態を示している。摩耗インジケータ回路は、スイッチユニット120、通信ユニット118、および電源188を備え得、これらは全て(例えば)電気的に直列に接続される。電源は、例えば、バッテリもしくは他のエネルギー貯蔵装置、または導体バーから受信した電力を変換するための回路、または低光/低電圧太陽電池を備え得る。通信ユニットは、上述したように、1つまたは複数の光素子を備えてもよく、その場合、通信ユニットはまた、電源から電力を受信すると光素子を駆動する(例えば、点滅、オフ-オンなど)ための電気回路を備えてもよい。回路は、スイッチユニットが常開であるが、集電体シューが指定の摩耗レベルまで摩耗したとき、スイッチユニットは、電源が通信ユニットに電力を供給するための電気回路を閉じる(例えば、電気回路に沿って閉じた導電経路を確立する)ために閉じるように構成されている。
【0028】
実施形態では、通信ユニットは、産業機器の既存の照明要素または集電体シュー/導体バー接続によって給電される他の機器を備える。例えば、天井クレーンの電球は、クレーンが動作しているときには通常電球が点灯しているが、通信ユニットの回路は、スイッチユニットが作動されたときに電球の点滅を開始させるように構成されている。
【0029】
図15は、摩耗インジケータシステムの実施形態の側面図であり、導体バーの隣接する部分114、190のギャップ192の横断を示している。具体的には、配電設備は、第2の隣接する導体バー114から電気的に絶縁され、および/または離間された(両者の間にギャップ192がある)一方の導体バー190を備え得る。アクチュエータヘッド136は、ギャップ192にまたがるのに十分な長さになるように寸法決めされ得る。さらに、アクチュエータヘッドの傾斜端面は、ギャップを横切る横断を容易にし得る。
【0030】
実施形態では、摩耗インジケータシステムは、電力集電体シューがその指定の摩耗レベルに到達し、交換する必要があるときを示し、オペレータおよび保守スタッフに事前通知(例えば、最大7日間)を与える。実施形態では、システムは、シューが特定の摩耗限界に到達したときに高輝度LEDの点滅を開始するように構成されている。
【0031】
実施形態では、機械的スイッチが、電力収集アセンブリの各シューの側面に設置される。集電体が摩耗すると(すなわち、その高さが減少すると)、機械的スイッチは、ゆっくりと垂直に下降する。シューが指定された高さまたは摩耗レベルに到達すると、スイッチは、機械的に作動し、バッテリをLED作動回路に接続する。次に、この回路は、シューが交換されるまで、またはバッテリがなくなるまで、LEDを連続的に点滅させる(新たなバッテリは3~7日間連続して動作すべきである)。LED作動回路は、以下の3つの可能な場所:機械的スイッチアセンブリの内部(電力収集シューの側面の地上30~80フィート)に設置され、バッテリ付きLEDを備えるため、システムが直接および短絡スイッチ回路-LED配線を有する場所、クレーンのサイドパネルボックスの内部に設置され、バッテリ付きLEDを備え(またはボックスの内部で利用可能な電力へのタップを備え)、直接であるが長いスイッチ回路-LED配線(例えば、地上30~80フィートのスイッチと作動回路との間の長いワイヤ)を備える場所、または、作動回路が2つの位置の間で分離され、無線で動作することができる場所のうちの、1つを有することができる。回路の送信機部分は、送信機バッテリとともに機械的スイッチアセンブリ内に設置され(例えば、電力収集シューの側面の地上30~80フィート)、回路の受信機端部は、クレーンまたは他の機器のサイドパネルボックス内に、またはLEDおよびバッテリとともにハンドヘルド装置内に設置される(ボックスまたはハンドヘルド装置において既に利用可能な電力を使用することができない場合)。
【0032】
実施形態では、設置方法は、集電体シュー取り付けブラケットの変更、例えば、インジケータ機械的スイッチアセンブリ用の取り付け孔の追加、および/またはクレーンまたは他の機器のサイドパネルボックス配線の変更および集電体アームに沿った走行ワイヤの追加を含み得る。
【0033】
単数形「a」、「an」および「the」は、文脈にてその他の場合を明示しない限り複数の指示対象を含む。「任意の(optional)」または「任意に(optionally)」は、続いて記載された事象または状況が生じてもよく、または生じなくてもよいことを意味し、その説明が、事象が起こる場合と、それが起こらない場合とを含み得ることを意味する。本明細書全体を通して本明細書で使用される近似を表す文言は、関連する可能性のある基本的な機能に変化をもたらすことなく、許容可能に変化し得る任意の定量的表現を修飾するために適用され得る。したがって、「約(about)」、「実質的に(substantially)」、および「およそ(approximately)」などの用語によって修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない場合がある。少なくともいくつかの例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応し得る。ここで、および本明細書全体を通して、範囲の限定は、組み合わせおよび/または置き換えが可能であり、文脈または文言が特に指示しない限り、そのような範囲は、識別され、その中に含まれる全ての部分範囲を含み得る。
【0034】
本明細書は、最良の形態を含む実施形態を開示し、当業者が任意の装置またはシステムを作製および使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含む実施形態を実施することを可能にするために例を使用する。
【外国語明細書】