(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169130
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】光等の組合せを使用してバクテリア又はウイルスの成長を抑制するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H05B 45/28 20200101AFI20231121BHJP
H05B 45/10 20200101ALI20231121BHJP
H05B 45/37 20200101ALI20231121BHJP
【FI】
H05B45/28
H05B45/10
H05B45/37
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023080814
(22)【出願日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】63/342,517
(32)【優先日】2022-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/308,045
(32)【優先日】2023-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519077171
【氏名又は名称】イグ スー クォン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イグ スー クォン
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273SA01
3K273SA37
3K273SA58
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA21
3K273UA22
(57)【要約】
【課題】バクテリア又はウイルスの成長を抑制するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】システムは、電源供給装置と、電源供給装置に結合され、複数の発光ダイオード(LED)を有する照明とを含む。複数のLEDは、第1の波長を有する第1のLEDと、第1の波長と異なる第2の波長を有する第2のLEDとを含む。第1のLEDの第1の個数は、第2のLEDの第2の個数よりも大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
電源供給装置と、
前記電源供給装置に結合され、複数の発光ダイオード(LED)を有する照明と、
を含み、
前記複数のLEDは、第1の波長を有する第1のLEDと、前記第1の波長と異なる第2の波長を有する第2のLEDとを含み、
前記第1のLEDの第1の個数は、前記第2のLEDの第2の個数よりも大きい、
システム。
【請求項2】
前記第1の波長は、400nm乃至450nmの第1の波長範囲を有する紫色波長であり、前記第2の波長は、800nm乃至1000nmの第2の波長範囲を有する赤外線波長である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の個数及び前記第2の個数の比率は、3:1である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記照明から対象物体までの距離を感知するように構成される距離センサーをさらに含み、
前記照明は、前記距離に基づいてターン-オン又はターン-オフされるスイッチを有し、
前記複数のLEDの第1のサブセットは、前記スイッチがターン-オンされた状態でターン-オンされ、前記複数のLEDの第2のサブセットは、前記スイッチがターン-オフされた状態でターン-オンされ、
前記スイッチがターン-オンされた状態でターン-オンされる前記第2のLEDに対する前記第1のLEDの第1の比率は、前記スイッチがターン-オフされた状態でターン-オンされる前記第2のLEDに対する前記第1のLEDの第2の比率と異なる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記照明の光強度は、前記距離センサーにより感知される前記距離に基づいて変更される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
対象物体又は前記対象物体の周辺の温度を感知するように構成される温度センサーをさらに含み、
前記照明は、前記温度に基づいてターン-オン又はターン-オフされるスイッチを有し、
前記複数のLEDの第1のサブセットは、前記スイッチがターン-オンされた状態でターン-オンされ、前記複数のLEDの第2のサブセットは、前記スイッチがターン-オフされた状態でターン-オンされ、
前記スイッチがターン-オンされた状態でターン-オンされる前記第2のLEDに対する前記第1のLEDの第1の比率は、前記スイッチがターン-オフされた状態でターン-オンされる前記第2のLEDに対する前記第1のLEDの第2の比率と異なる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2のLEDは、閾温度よりも高い温度に基づいてターン-オフされる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数のLEDの各々は、実質的に類似の正格電力を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数のLEDの各々は、チップオンボード(COB)ダイオードである、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記照明は、前記複数のLEDが形成された単一のチップオンボード(COB)ダイオードを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記照明は、動作条件又は適用例に基づいて、可変比率で前記第1の波長及び前記第2の波長の組合せ光を放出できる、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
対象物体の表面を消毒するための方法であって、
第1の波長及び第2の波長の組合せ光を放出するステップを含み、
前記第1の波長を放出する第1のLEDの第1の光強度は、前記第2の波長を放出する第2のLEDの第2の光強度よりも大きい、
方法。
【請求項13】
前記第1の波長は、400nm乃至450nmの第1の波長範囲を有する紫色波長であり、前記第2の波長は、800nm乃至1000nmの第2の波長範囲を有する赤外線波長である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記組合せ光は、前記第1のLED及び前記第2のLEDを含む複数のLEDにより放出され、前記第1のLEDの第1の個数は、前記第2のLEDの第2の個数よりも大きい、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の個数及び前記第2の個数の比率は、3:1である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記対象物体に向かって前記組合せ光を放出する光源からの距離を感知するステップと、
前記距離に基づいて、前記光源のスイッチをターン-オン又はターン-オフするステップと、
前記スイッチを使用して、前記距離に基づいて、前記第1のLEDの第1の個数及び前記第2のLEDの第2の個数をターン-オンするステップと、をさらに含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記距離に基づいて、前記光源の光強度を変化させるステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
対象物体又は前記対象物体の周辺の温度を感知するステップと、
前記温度に基づいて、前記対象物体に向かって前記組合せ光を放出する光源のスイッチをターン-オン又はターン-オフするステップと、
前記スイッチを使用して、前記温度に基づいて、前記複数のLEDの第1のサブセット及び前記複数のLEDの第2のサブセットをターン-オンするステップと、をさらに含み、
前記スイッチがターン-オンされた状態でターン-オンされる前記第2のLEDに対する前記第1のLEDの第1の比率は、前記スイッチがターン-オフされた状態でターン-オンされる前記第2のLEDに対する前記第1のLEDの第2の比率と異なる、
請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記第2のLEDは、閾温度より高い前記温度に基づいてターン-オフされる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のLED及び前記第2のLEDは、実質的に類似の正格電力を有する、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2022年5月16日に出願された米国仮特許出願第63/342,517号の利益及び優先権を主張し、その内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示内容は、一般に、バクテリア又はウイルスの成長を抑制するためのシステム及び方法に関し、特に、少なくとも2つの異なる波長スペクトラムを有する光等の組合せを使用して、バクテリア又はウイルスの成長を抑制するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
抗生剤の可用性により、細菌性伝染病に従う罹患率及び死亡率が著しく減少した。過去数十年間、多様な抗生剤の可用性により数百万又は数十億人の生命を救うことができたが、毎年バクテリア又はウイルスの感染と関連した死亡や、媒介体による発病は、相変らず多く発生している。例えば、副鼻腔炎、中耳炎、扁桃咽頭炎のような呼吸器疾患と関連した合併症は、特に子供によく発生する問題であった。抗生剤耐性バクテリアの持続的な増加により、米国でだけ数百万の人々がバクテリア基盤の伝染病に感染し、毎年35,000人以上が耐性バクテリア又はウイルスの感染の直接的な結果として生命を失っている。したがって、私たちの生活周辺の有害微生物を消毒又は防疫する方法の適用に対する要求が高い。最近、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、発光ダイオード(LED)に基づく照明を使用して、潜在的な感染を低減又は予防できる、低コストかつ効果的なソリューションを提供するための数多くの研究を開始している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施例によれば、システムは、電源供給装置と、電源供給装置に結合され、複数の発光ダイオード(LED)を有する照明とを含む。複数のLEDは、第1の波長を有する第1のLEDと、第1の波長と異なる第2の波長を有する第2のLEDとを含む。第1のLEDの第1の個数は、第2のLEDの第2の個数よりも大きい。
【0005】
他の実施例によれば、対象物体の表面を消毒するための方法は、第1の波長及び第2の波長の組合せ光を放出するステップを含む。第1の波長を放出する第1のLEDの第1の光強度は、第2の波長を放出する第2のLEDの第2の光強度よりも大きい。
【0006】
具現例及びイベント等の組合せに対する多様な新規の細部事項を含む前記特性及びその他の好適な特徴が、添付図面に基づいてより具体的に説明され、請求の範囲で強調されるはずである。本明細書に記述された特定のシステム及び方法は、制限するものではなく、例示として提示されることを理解するはずである。当業者であれば理解できるように、本明細書に記述される原理及び特徴は、本開示内容から逸脱しない範囲内で、多様で数多くの実施例に採用されることができる。
【0007】
本明細書の一部として含まれる添付図面は、好適な実施例を例示し、前述する一般的な説明及び後述する好適な実施例の詳細な説明と共に、ここで記述される原理を説明して教示する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施例に係る本システムの例を示す図である。
【
図2】他の実施例に係る本システムの例を示す図である。
【
図3】また他の実施例に係る本システムの例を示す図である。
【
図4】また他の実施例に係る本システムの例を示す図である。
【
図7】6時間の間に、0.5メートルの距離で、大腸菌に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。
【
図8】12時間の間に、1メートルの距離で、大腸菌に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。
【
図9】12時間の間に、2メートルの距離で、大腸菌に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。
【
図10】6時間の間に、0.5メートルの距離で、黄色ブドウ球菌に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。
【
図11】12時間の間に、1メートルの距離で、黄色ブドウ球菌に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。
【
図12】24時間の間に、2メートルの距離で、黄色ブドウ球菌に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。
【
図13】6時間の間に、0.5メートルの距離で、MDR-大腸菌に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。
【
図14】12時間の間に、1メートルの距離で、MDR-大腸菌に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。
【
図15】24時間の間に、2メートルの距離で、MDR-大腸菌に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。
【
図16】6時間の間に、0.5メートルの距離で、MDR-サルモネラエンテリカ(salmonella enterica)に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。
【
図17】12時間の間に、1メートルの距離で、MDR-サルモネラエンテリカに4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。
【
図18】24時間の間に、2メートルの距離で、MDR-サルモネラエンテリカに4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。
【
図19】6時間の間に、0.5メートルの距離で、MDR-黄色ブドウ球菌に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。
【
図20】12時間の間に、1メートルの距離で、MDR-黄色ブドウ球菌に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。
【
図21】24時間の間に、2メートルの距離で、MDR-黄色ブドウ球菌に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。
【
図22】6時間の間に、0.5メートルの距離で、コロナウイルス粒子に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。
【
図23】
図22に示す同じテスト結果に対する反応当たりRNAコピーの相対誤差を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面等は、必ず一定の比率で示されず、一般に、類似の構造又は機能の要素は、 図面の全般に渡り、例示の目的により類似の参照番号で表示される。図面等は、但し、本明細書に記述される多様な実施例を容易に説明するためのものである。図面等は、本明細書に開示された教示等の全ての態様を記述しておらず、請求の範囲を制限するものではない。
【0010】
本明細書に開示された各々の特徴及び教示は、少なくとも2つの異なる波長スペクトラムを有する光等の組合せを使用して、バクテリア又はウイルスの成長を抑制するための方法及びシステムを提供するために、個別的又は他の特徴及び教示と共に用いられる。これらの付加的な特徴及び教示の大部分を、個別的かつ組合せにより活用する代表例が、添付図面を参照してより詳細に説明される。本詳細な説明は、ただし、当業者に本教示内容の態様を実施するための追加の細部事項を教示するためのものであり、請求の範囲を制限するためのものではない。したがって、詳細な説明で開示された特徴等の組合せは、最も広い意味で教示を実行するのに必要としないこともあり、代りに本教示の特に代表例を説明するために教示される。
【0011】
以下の説明では、但し、説明の目的により、本開示内容の完全な理解を提供するために特定の命名法が提示される。しかしながら、これらの特定の細部事項が本開示内容の教示を実施するのに要求されないことが、当業者に明らかであろう。
【0012】
本明細書の詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する動作等のアルゴリズム及びシンボル表現の観点で提示される。これらのアルゴリズム説明及び表現は、データプロセシング分野の当業者により使用され、その作業要旨を他の当業者に効果的に伝達するために使用される。アルゴリズムは、ここで、一般に、望ましい結果につながるステップ等の自己矛盾のないシーケンス(self-consistent sequence)であることが分かる。そのステップ等は、物理的な量等の物理的な操作を必要とするものである。通常、必須的ではないが、これらの量は保存、転送、組合せ、比較及び異なるように操作できる電気又は磁気信号の形態を取る。主に、共通使用の理由により、これらの信号をビット、値、要素、シンボル、文字、用語、数等として称することが、時々便利であると判明された。
【0013】
しかしながら、これらの用語及び類似の用語の全部は、適切な物理的な量等と関連し、但し、これらの量に適用された便利なラベル等であることを理解しなければならない。次の議論から明らかであるように、明示的に別に言及されない限り、説明の全般に渡り、「プロセシングする」、「コンピューティングする」、「計算する」、「決定する」、「ディスプレイする」などのような用語を使用した議論は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的(電子)な量として表現されるデータを、コンピュータシステムのメモリやレジスタや他のそのような情報の保存、転送やディスプレイデバイス内の物理的な量として類似に表現される他のデータに操作及び変換するコンピュータシステム又は類似の電子コンピューティングデバイスの作用及びプロセスを称することが分かる。
【0014】
また、代表例及び従属項等の多様な特徴が、本教示の追加的な有用な実施例等を提供するために具体的かつ明示的に列挙しない方式で組合せることができる。また、エンティティー等のグループの全ての値の範囲又は表示は、元来の公開の目的だけでなく、請求された主題を制限する目的により、全ての可能な中間値又は中間エンティティーを開示するという点を明確に留意しなければならない。また、図面等に示される構成要素等の数値及び形状は、本教示の実施方法を理解するために設計された。ただし、実施例等に示された値数及び形状を制限しようとする意図ではない点を明確に留意しなければならない。
【0015】
本開示内容は、バクテリア又はウイルスの成長を抑制することで、バクテリア、ウイルス、真菌又は他の微生物から由来する感染性疾病を予防するためのシステム及び方法を記述している。本システム及び方法は、第1の波長スペクトラムの第1の光源(例えば、400nm乃至450nmの波長の紫色光)と、第2の波長スペクトラムの第2の光源(例えば、700nm乃至1000nmの波長の赤外光)とを組合せる。例えば、第1の光源は405nmの波長を有し、第2の光源は850nmの波長を有する。他の実施例において、本明細書で使用される組合せ光は、可視光スペクトラムの第1の光(紫色光)と、赤外光スペクトラムの第2の光とを含むことができる。ただし、第1及び第2の光源の波長及びこれらのスペクトラム帯域はこれに限定されず、本開示内容から分かるような類似の効果を持つ互いに異なる光スペクトラム帯域等の多様な波長が、本開示内容から逸脱しない範囲内で使用されることが分かる。
【0016】
本システム及び方法は、人々が日常的に一日又は一週間に多くの時間を過ごす空間及び多様な表面から、バクテリア、真菌又はウイルスの感染を洗浄、消毒及び/又は防疫するのに重点をおく。アメリカ合衆国環境保護庁(United States Environmental Protection Agency)では、表面を防疫、消毒及び洗浄する製品等に関する指針、及び、これら間の差異点を提供する。本システム及び方法は、安全な非接触、非化学的基盤処理に関するものであり、バクテリア、真菌又はウイルスの感染を洗浄、消毒及び/又は防疫するために、少なくとも2つの波長スペクトラムを有する光等の組合せを活用する。本ンシステム及び方法は、表面及び空間を洗浄、消毒及び/又は防疫する安全で費用効率的で多目的の方法を提供して、生活空間内に無菌状態を維持する。
【0017】
本明細書で使用されるように、「組合せ光」は、少なくとも2つ以上の波長スペクトラムを有する光、例えば、400nm乃至450nm(例えば、405nm)の波長スペクトラムの第1の光(紫色光)と、700nm乃至1000nm(例えば、850nm)の波長スペクトラムの第2の光(赤外光)とを含むが、これに限定されない光を称することもできる。第1及び第2の光の比率は、動作条件及びユーザ特定の適用例に基づいてユーザ調整が可能である。例えば、組合せ光は、3:1の比率を有することができ、これは動的に変更できる。より具体的に、赤外光に対する紫色光の比率は、紫色光及び赤外光の正格電力が実質的に類似の場合に1よりも大きいことができる。波長及び比率は、多剤耐性(MDR)菌株を含む病原性バクテリアの種類及び適用例に基づいて、適切に決定及び調整することができる。
【0018】
用語の「紫色光」は、脱水を誘発する弱い熱を生成できる赤外光(例えば、850nm)により誘発される熱効果を考慮せず、光効果が紫色光のみで独占的に派生されるように、常温、冷蔵室又は冷蔵庫で、400nm乃至450nm(例えば、405nm)の波長スペクトラムにある光を称する。
【0019】
400nm乃至415nm範囲の波長を有する紫色光(以下、Violet又はVとも称する)は、420nm乃至460nm範囲の波長を有する青色光よりも、バクテリアの成長抑制により効果的であり得る。一実施例において、本システム及び方法は、赤外光(以下、Infrared又はIRとも称する)に加えて、405nmの波長を有する紫色光を使用する。
【0020】
図1は、一実施例に係る本システムの例を示す図である。システム100は、電源供給装置110及び発光ダイオード(LED)照明のアレイ120を含む。LED照明のアレイ120は、紫色光LED(以下、V_LEDとも称する)、及び、赤外光LED(以下、IR_LEDとも称する)を全部含むことができる。一実施例において、各々の光源は、紫色光LED及び赤外光LEDを全部含むことができ、紫色光LED及び赤外光LEDは、ユーザの適用例に基づいて選択的にターン-オン又はターン-オフされ得る。このとき、システム100は、ユーザが紫色光及び赤外光を選択的にターン-オン又はターン-オフできるようにするスイッチを有することができる。
【0021】
電源供給装置110は、システム100の構成及び/又はユーザの適用例により、交流(AC)電圧(例えば、220VAC)又は直流電圧(例えば、22.4VDC)を供給できる。電源供給装置110は、外部AC電源150又はDCバッテリ(図示せず)に結合され、LED照明のアレイ120にDC電圧を供給できる。
【0022】
非制限的な例として、紫色光LEDは、405nmの波長、3ワットの正格電力、3.2Vの順方向電圧、及び400mA乃至500mAの順方向電流を有し、赤外光LEDは、850nmの波長、3ワットの正格電力、1.6Vの順方向電圧、及び400mA乃至500mAの順方向電流を有する。
図1に示す例において、LED照明のアレイ120は、3:1の比率(3V-1IRとも称する)の6つの紫色光及び2つの赤外光を含み、2つの赤外光が各々6つの紫色光のうちで3つの紫色光により分離されるように配列される。しかしながら、紫色光LED及び赤外光LEDの実際の配列、比率及び個数は、適用例によって便利に変更できることが分かる。例えば、高電力の適用例の場合、紫色光LED及び赤外光LEDの比率を維持しながら、これらの個数が増加し得る。
【0023】
図2は、他の実施例に係る本システムの例を示す図である。システム200は、電源供給装置110、発光ダイオード(LED)照明のアレイ220及び距離センサー230を含む。本例において、LED照明のアレイ220は、6つの紫色光及び4つの赤外光を含む。距離センサー230は、光源から対象物体(図示せず)までの距離を感知して、距離感知信号Psenseを生成できる。距離感知信号Psenseは、感知された距離が、一定の閾距離(例えば、1メートル)よりも大きい場合にハイ(high)であり、閾距離未満の場合にロー(low)であり得る。
【0024】
距離感知信号Psenseがロー(例えば、感知された距離が1メートル未満)の場合、スイッチP1、P2はターン-オンされ、スイッチN1、N2はターン-オフされることで、電流I1は流れるのに対し、電流I2はオフされる。これは、2つの紫色光LED、2つの赤外光LED、2つの追加の紫色光LED及び2つの赤外光LEDを直列に効果的に連結して、1:1の比率(例えば、1V-1IR、2V-2IR又は4V-4IR)を有するようなLED照明のアレイ220を構成する。距離感知信号Psenseがハイ(例えば、感知された距離が1メートル超過)の場合、スイッチP1、P2はターン-オフされ、スイッチN1、N2はターン-オンされることで、電流I2は流れるのに対し、電流I1はオフされる。これは、3つの紫色光LED、1つの赤外光LED、3つの追加の紫色光LED及び1つの赤外光LEDを直列に効果的に連結して、3:1の比率(例えば、3V-1IR)を有するようなLED照明のアレイ220を構成する。本例では、1:1の比率及び3:1の比率間の構成可能性を例示しているが、システム200は、距離センサー230を使用して、紫色光LED及び赤外光LEDの少なくとも2つの異なる比率間で動的に転換できることが分かる。
【0025】
一部のテスト結果によれば、赤外光の効果は、距離が遠いほど減少するので、システム200の洗浄、消毒及び防疫の効果を増加させるために、長距離の適用例の場合、紫色光に対する赤外光の相対比率を増加させることが有利であり得る。
【0026】
図3は、また他の実施例に係る本システムの例を示す図である。システム300は、電源供給装置110、発光ダイオード(LED)照明のアレイ320及び距離センサー330を含む。本例において、LED照明のアレイ320は、7つの紫色光及び7つの赤外光を含む。距離センサー330は、光源から対象物体までの距離を感知して、複数の距離感知信号Psense_0.5、Psense_1、Psense_2を生成できる。例えば、距離センサー330は、感知された距離が0.5メートル超過1メートル未満の場合、Psense_0.5をハイに生成し、Psense_1及びPsense_2をローに生成できる。同様に、距離センサー330は、感知された距離が1メートル超過2メートル未満の場合、Psense_1をハイに生成し、Psense_0.5、Psense_2をローに生成し、感知された距離が2メートル超過の場合、Psense_2をハイに生成し、Psense_0.5及びPsense_1をローに生成できる。
【0027】
感知された距離が0.5メートル超過1メートル未満の場合(Psense_0.5はハイ、Psense_1及び Psense_2はロー)、スイッチN1はターン-オンされ、スイッチN2、N3はターン-オフされることで、電流I1が流れるのに対し、電流I2、I3はオフされる。これは、1:1の比率(例えば、1V-1IR)を維持しながら、1つの紫色光LED及び1つの赤外光LEDを効果的にターン-オンする。感知された距離が1メートル超過2メートル未満の場合(Psense_1はハイ、Psense_0.5及びPsense_2はロー)、スイッチN2はターン-オンされ、スイッチN1、N3はターン-オフされることで、電流I2が流れるのに対し、電流I1、I3はオフされる。これは、1:1の比率(例えば、2V-2IR)を維持しながら、2つの紫色光LED及び2つの赤外光LEDを効果的にターン-オンする。感知された距離が2メートル超過の場合(Psense_2はハイ、Psense_0.5及びPsense_1はロー)、スイッチN3はターン-オンされ、スイッチN1、N2はターン-オフされることで、電流I3が流れるのに対し、電流I1、I2はオフされる。これは、1:1の比率(例えば、4V-4IR)を維持しながら、4つの紫色光LED及び4つの赤外光LEDを効果的にターン-オンする。
【0028】
一部のテスト結果によれば、システム300の洗浄、消毒及び防疫の効果は、距離が遠いほど減少するので、システム300の洗浄、消毒及び防疫の効果を増加させるために、長距離の適用例の場合、紫色光及び赤外光の個数を増加させることが有利であり得る。
【0029】
一実施例において、紫色光LED及び赤外光LEDの各マの正格電力は、実質的に互いに類似することのできるが、例えば、3ワットであり得る。このとき、発光するLEDの個数は距離によって変更できる。他の実施例において、距離と無関係に同じ数のLED光を放出できるが、LED光の正格電力は距離によって変更できる。例えば、1つの紫色光LED及び1つの赤外光LEDは1メートル及び2メートル間の距離でターン-オンでき、紫色光LED及び赤外光LEDの正格電力は12ワットであり得る。また、2メートル以上の距離で1つの紫色光LED及び1つの赤外光LEDがターン-オンでき、紫色光及び赤外光LEDの正格電力は24ワットであり得る。
【0030】
図4は、また他の実施例に係る本システムの例を示す図である。システム400は、電源供給装置110、発光ダイオード(LED)照明のアレイ420及び温度センサー430を含む。本例において、LED照明のアレイ420は、6つの紫色光LED及び6つの赤外光LEDを含む。温度センサー430は、対象物体を取り囲む空気の温度又は対象物体の表面温度を感知し、温度感知信号Tsenseを生成できる。温度感知信号Tsenseは、感知された温度が特定の閾温度(例えば、25℃)を超過する場合はハイであり、又は、感知された温度が閾温度の未満の場合はローであり得る。
【0031】
温度感知信号Tsenseがロー(例えば、感知された温度が25℃未満)の場合、スイッチP1、P2はターン-オンされ、スイッチN1、N2はターン-オフされることで、電流I1が流れるのに対し、電流I2はオフされる。これは、1つの紫色光LED、3つの赤外光LED、1つの追加の紫色光LED及び3つの赤外光LEDを直列に効果的に連結して、1:3の比率(例えば、1V-3IR)を有するようなLED照明のアレイ420を構成する。温度感知信号Tsenseがハイ(例えば、感知された温度が25℃超過)の場合、スイッチP1、P2はターン-オフされ、スイッチN1、N2はターン-オンされることで、電流I2が流れるのに対し、電流I1はオフされる。これは、3つの紫色光LED、1つの赤外光LED、3つの追加の紫色光LED及び1つの赤外光LEDを直列に効果的に連結して、3:1の比率(例えば、3V-1IR)を有するようなLED照明のアレイ420を構成する。本例では、3:1の比率及び1:3の比率間の構成可能性を例示しているが、システム400は、温度センサー430を使用して、紫色光LED及び赤外光LEDの少なくとも2つの異なる比率間で動的に転換できることが分かる。一実施例において、温度が閾温度を超過する場合、全ての赤外光LEDがターン-オフされることもできる。
【0032】
一部のテスト結果によれば、赤外光による温度上昇が、低温では許容されることもできる。したがって、低温では、紫色光LEDに対する赤外光LEDの相対比率を高く増加させ、高温では、紫色光LEDに対する赤外光LEDの相対比率を減少させることで、赤外光による温度上昇の副作用を減少させながら、システム400の洗浄、消毒及び防疫の効果を増加させることがより有利であり得る。
【0033】
図5は、一実施例に係る照明の例を示す図である。照明500は、複数の個別チップオンボード(chip-on-board、COB)ダイオードを含むことができる。各々のCOBダイオードは、紫色光LED又は赤外光LEDに対応できる。非制限的な例として、照明500は、特定の比率を有する総18個のCOBダイオードを含むことができる。各々のCOBダイオードは、3ワットの正格電力を有することができ、したがって、照明500は、54ワットの正格電力を有することができる。照明500は、本開示内容から逸脱しない範囲内で、
図1乃至
図4に示す発光ダイオード(LED)照明のアレイ120、220、320、420のうちのいずれかに対応できる。紫色光LED及び赤外光LEDの比率は、
図1乃至
図4を参照するように、ユーザの構成、動作条件及び/又は感知された信号に基づいて動的に変更できる。一実施例において、複数のCOBダイオードは、多様な形態及び構成に配列され、例えば、天井照明、壁照明、線形照明、ドーム照明、トラック照明、ランプなどが挙げられる。照明500は、少なくとも1つの外部リング及び1つの内部リングに沿って円形方式に配列されたCOBダイオードを有することができる。
【0034】
図6は、他の実施例に係る照明の例を示す図である。照明600は、特定の比率を有する複数の個別的な紫色光LED及び赤外光LED素子が形成された単一のCOBダイオードを含むことができる。例えば、複数の紫色光LED及び赤外光LED素子の特定の比率は、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、3:2、4:3、5:3などであり得る。特定の比率に応じて、紫色光LED及び赤外光LED素子は、1つ以上の行及び1つ以上の列を有するマトリックス形態に配列できる。各々の行又は列に配列された紫色光LED及び赤外光LED素子の個数及び順序は、本開示内容から逸脱しない範囲内で多様に変更できる。また、照明600のLED素子のグループの各々は、内部スイッチ(図示せず)を使用して、動的に選択的にターン-オン又はターン-オフされ得る。
図5に示す照明500と同様に、照明600の個別LED要素の個数及び配列は、
図1乃至
図4を参照するように、ユーザの構成、動作条件及び/又は感知された信号に基づいて変更できる。
【0035】
一実施例において、
図1乃至
図4に示す発光ダイオード(LED)照明のアレイ120、220、320、420は、互いに離隔している1つ以上の単一のCOB照明600を含むことができる。照明600は、表面空間を効率よく使用しながら、均一で高密度の光出力を提供できる。照明600は、広い面積にわたり光を均一で広範囲に拡散させることができる。照明500、600の構成は、靴箱、家電製品、ペットトレイ、冷蔵庫、又はその他の家電製品のように、小さな空間に適合するように小さな立方体形態に変形できる。照明600は、真空ヘッド、キャビネット空間、浄水フィルターシステム、キッチン機器、冷蔵庫、又はその他の空間制約的な家電製品に統合又は結合され得るマイクロLED形式を有することができる。
【0036】
図7乃至
図23は、紫色光及び赤外光の多様な組合せを使用することが、バクテリア及びウイルス菌株に対する相対的な効果を発揮するテスト結果を示す図である。比較分析のために、複数の紫色光及び赤外光の5つの異なる比率、すなわち、4つの紫色光(4V)、3つの紫色光と1つの赤外光(3V-1IR)、2つの紫色光と2つの赤外光(2V-2IR)、1つの紫色光と3つの赤外光(1V-3IR)、及び4つの赤外光(4IR)に対するテスト結果を示す。
【0037】
テストは、照明から多様な距離、例えば、0.5、1、2メートルの3種類の異なる距離で、一般及びMDRのバクテリアに対して遂行される。表1は、正格24ワットの組合せた照明から、多様な距離に基づいて計算された露出された光強度を示す。
【0038】
【0039】
405nmの波長を有する紫色光LEDと、850nmの波長を有する赤外光LEDとを組合せた光を、0.5メートルで6.9mW/cm2、1メートルで2.3mW/cm2、及び2メートルで0.6mW/cm2の電力に各々露出した。一般菌株及びMDR菌株の全部を、本システム及び方法による洗浄、消毒及び防疫の効果を立証するためにテストした。
【0040】
一部のテスト結果は、他の光の組合せに比べて、3:1の比率(すなわち、3V-1IR)及び4Vの405nm(V)と850nm(IR)の組合せを使用することで、効果的なバクテリアの成長抑制を示す。このようなテスト結果は、一般バクテリア菌株(大腸菌及び黄色ブドウ球菌)に加えて、大腸菌(ATCC:BAA-2774)、サルモネラエンテリカ(ATCC:19214)、及び黄色ブドウ球菌(ATCC:BAA-1717)のような多剤耐性(MDR)菌株のうちで、0.5メートル又は1メートルの距離で、6時間内に、3V-1IR又は4Vの光の組合せに露出されることで、99%超過のバクテリアが死滅することを立証している。これらは、菌株の例示に過ぎず、本システム及び方法は、本開示内容から逸脱しない範囲内で、他の菌株又はバクテリアを消毒又は死滅するのに適用できることに留意する。
【0041】
3V-1IRの組合せ光及び4Vの光は、多様な距離、例えば、50cm、1メートル及び2メートルで、グラム陰性(Gram-negative)及びグラム陽性(Gram-positive)のMDR菌株を効果的に死滅させることが分かる。一部のテスト結果は、効果及び距離間に反比例関係を示すが、3V-1IR及び4Vの組合せ光は、バクテリア菌株によって12時間乃至24時間内に、2メートルでも効果的にバクテリアを死滅する。例えば、組合せ光の3V-1IR又は4Vの光は、1メートルで、12時間内に、ほぼ全てのバクテリア(例えば、99.99%)を抑制することが分かる。紫色光LED及び赤外光LEDの3:1の比率は、多様な空間で感染病の洗浄、消毒、防疫に幅広く適用できる。
【0042】
4V及び3V-1IR間のバクテリアの成長抑制効果の差は微妙であるため、適用例によって3V-1IR又は4Vが消毒のために用いられる。3V-1IRは、IRによる脱水により、特に短距離(0.5メートル)でやや高い効能を持つことのできるが、その効果は、一部の例外を除いて1メートル又は2メートルで4Vとほぼ同一である。4V及び組合せた3V-1IRの光は、多様な距離(50cm、1メートル及び2メートル)で、多様なバクテリア菌株を死滅するのに実質的に同等に効果的であるが、3V-1IRは、短距離の適用例(例えば、1メートル未満)に使用でき、3V-1IR及び4Vは、長距離の適用例(例えば、1メートル超過)に使用できる。赤外線(3V-1IR)により発生する弱い熱は、悪臭除去のための追加の脱水効果を提供できる。冷蔵室、冷蔵庫、貨物などで照明を適用する場合や、温度に敏感な適用例では、赤外光により発生し得る熱のため、赤外光のない専用紫色光(例えば、4V)を適切に使用できる。3V-1IRの組合せ光は、ロビー、事務室、バスルーム、病院、ホテル、又は地域社会に伝染病が拡散しやすい流動人口の多い他の様々な場所を含む多様な空間を、消毒又は防疫するのに使用できる。
【0043】
図7乃至
図23に示す一般バクテリア菌株及びMDR菌株のテストの場合、バクテリアの密度を初期にOD600で測定し、対数期(log-phase)バクテリア溶液を一定の密度、すなわちOD=±1に到達するようにLBブロス(broth)に希薄し、計算(例えば、1/108希薄)の後にバクテリアをLB寒天プレートにプレーティングした。各プレートは、3重(例えば、3つの独立的な実験において、n=3/グループ)に同じ数のバクテリアを受けなければならない。バクテリアプレートを異なる光に露出させ、蓋を開放した状態で、バクテリアコロニーを6つの異なる時点(例えば、0、1.5、3、6、12又は24時間)の間にカウントする。対照群は、同時に用意し、同じ条件で暗室に置いた。各々の時点で、コロニーを37℃で夜通し培養するために、露出した後に3重プレートを除去した。翌日、分析のために、ブラインドテスト(blind test)によりバクテリアコロニーをカウントした。
【0044】
図7は、6時間の間に、0.5メートルの距離で、大腸菌に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。4V及び3V-1IRは、全部3時間内に、0.5メートルで生存可能な大腸菌生存の95%以上を抑制する。
図8は、12時間の間に、1メートルの距離で、大腸菌に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。4V及び3V-1IRは、全部6時間内に、1メートルで生存可能な大腸菌生存の99%以上を抑制する。
図9は、12時間の間に、2メートルの距離で、大腸菌に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。4V及び3V-1IRは、全部12時間内に、2メートルで生存可能な大腸菌生存の99%以上を抑制する。
【0045】
図10は、6時間の間に、0.5メートルの距離で、黄色ブドウ球菌に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。4V及び3V-1IRは、全部6時間内に、0.5メートルで生存可能な黄色ブドウ球菌生存の99%以上を抑制する。
図11は、12時間の間に、1メートルの距離で、黄色ブドウ球菌に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。4V及び3V-1IRは、全部12時間内に、1メートルで生存可能な黄色ブドウ球菌生存の99%以上を抑制する。
図12は、24時間の間に、2メートルの距離で、黄色ブドウ球菌に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。4V及び3V-1IRは、全部24時間内に、2メートルで生存可能な黄色ブドウ球菌生存の99%以上を抑制する。
【0046】
図13は、6時間の間に、0.5メートルの距離で、MDR-大腸菌に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。4V及び3V-1IRは、全部3時間内に、0.5メートルで生存可能なMDR-大腸菌生存の99%以上を抑制する。
図14は、12時間の間に、1メートルの距離で、MDR-大腸菌に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。4V及び3V-1IRは、全部12時間内に、1メートルで生存可能なMDR-大腸菌生存の99%以上を抑制する。
図15は、24時間の間に、2メートルの距離で、MDR-大腸菌に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。4V及び3V-1IRは、全部24時間内に、2メートルで生存可能なMDR-大腸菌生存の99%以上を抑制する。
【0047】
図16は、6時間の間に、0.5メートルの距離で、MDR-サルモネラエンテリカに4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。4V及び3V-1IRは、全部3時間内に、0.5メートルで生存可能なMDR-サルモネラエンテリカ生存の99%以上を抑制する。
図17は、12時間の間に、1メートルの距離で、MDR-サルモネラエンテリカに4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。4V及び3V-1IRは、全部6時間内に、1メートルで生存可能なMDR-サルモネラエンテリカ生存の99%以上を抑制する。
図18は、24時間の間に、2メートルの距離で、MDR-サルモネラエンテリカに4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。4V及び3V-1IRは、全部24時間内に、2メートルで生存可能なMDR-サルモネラエンテリカ生存の74%乃至93%を抑制する。
【0048】
図19は、6時間の間に、0.5メートルの距離で、MDR-黄色ブドウ球菌に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。4V及び3V-1IRは、全部6時間内に、0.5メートルで生存可能なMDR-黄色ブドウ球菌生存の99%以上を抑制する。
図20は、12時間の間に、1メートルの距離で、MDR-黄色ブドウ球菌に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。4V及び3V-1IRは、全部12時間内に、1メートルで生存可能なMDR-黄色ブドウ球菌生存の99%以上を抑制する。
図21は、24時間の間に、2メートルの距離で、MDR-黄色ブドウ球菌に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。4V及び3V-1IRは、全部24時間内に、2メートルで生存可能なMDR-黄色ブドウ球菌生存の70%乃至92%を抑制する。
【0049】
図22は、6時間の間に、0.5メートルの距離で、コロナウイルス粒子に4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR、4IRのLED光を露出させたテスト結果を示す図である。
図22は、反応当たりRNAコピーの減少を示す。
図23は、
図22に示す同じテスト結果に対する反応当たりRNAコピーの相対誤差を示す図である。
【0050】
COVID-19のテスト時、3乃至6時間の間に、0.5メートルで、人間の唾液サンプルを多様に組合せた光(例えば、4V、3V-1IR、2V-2IR、1V-3IR及び4IR)に露出させた。COVID-19分離キットを使用して、インタクト(intact)なウイルス粒子を分離した後、定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)テストにより、インタクトなウイルスコピーの個数を評価した。qRT-PCRテストにおいて、人間のCOVID-19唾液サンプルをリン酸緩衝食塩水(PBS)溶液に、1:1の比率で希薄して分析して、インタクトなCOVID-19ウイルス粒子の個数をカウントした。
【0051】
3V-1IRは、インタクトなCOVID-19ウイルスを死滅する際に、他の光等の組合せに比べてより効果的であることが分かる。3V-1IRの露出は、時間の経過に従い、COVID-19ウイルスに持続的な損傷を与え、ウイルスコピーの個数を大きく減少させた。COVID-19ウイルスの減少は、定量的リアルタイムテストにより測定できる。結果として、3乃至6時間の間に組合せた3V-1IRの光露出は、潜在的なウイルスの感染を十分に抑制し、ウイルスによる伝染病を効果的に予防できる。
【0052】
本システム及び方法は、多様な適用例のために、対象物体の表面を洗浄、消毒及び防疫するのに使用できる。本システム及び方法の適用例は、多様な室内環境、例えば、キッチンやキッチン家電において、壁照明、天井照明、内部照明又はこれと類似している適用例において、露出される光量によって変更できる。本ンシステム及び方法の適用例は、また、学校、病院及び公共建物を含む建物の廊下において、壁/天井照明又は類似している適用例を含むことができる。
【0053】
本システム及び方法は、また、冷蔵庫、タンクトップ車両、冷凍トラック、冷凍貨物車、貨物トラック、貨物船、冷蔵コンテナ、冷蔵室、紙くずかご、ごみ箱、食品ごみリサイクル機、食洗機、たんす、キャビネット、食器棚、食料品保存室、引出し、冷暖房システム、環気ダクト、真空掃除機、ロボット掃除装置、ペットトレイ、靴箱、靴消毒装置、衣類、噴水台、浄水器、飲料水濾過装置、衛生用品、ヘッドギア、ヘルメット、手首保護具及びその他の個人保護具、スポーツ用品、アイススケート、靴下などを含むが、これに制限されない家電製品又は一般に感染された表面又は空間を、洗浄、消毒及び/又は防疫するのに適用できる。
【0054】
一実施例によれば、システムは、電源供給装置と、電源供給装置に結合され、複数の発光ダイオード(LED)を有する照明とを含む。複数のLEDは、第1の波長を有する第1のLEDと、第1の波長と異なる第2の波長を有する第2のLEDとを含む。第1のLEDの第1の個数は、第2のLEDの第2の個数よりも大きい。
【0055】
第1の波長は、400nm乃至450nmの第1の波長範囲を有する紫色波長であり、第2の波長は、800nm乃至1000nmの第2の波長範囲を有する赤外線波長であり得る。
【0056】
第1の個数及び第2の個数の比率は、3:1であり得る。
【0057】
システムは、照明から対象物体までの距離を感知するように構成される距離センサーをさらに含むことができる。照明は、距離に基づいてターン-オン又はターン-オフされるスイッチを有することができる。複数のLEDの第1のサブセットは、スイッチがターン-オンされた状態でターン-オンされ、複数のLEDの第2のサブセットは、スイッチがターン-オフされた状態でターン-オンされ得る。スイッチがターン-オンされた状態でターン-オンされる第2のLEDに対する第1のLEDの第1の比率は、スイッチがターン-オフされた状態でターン-オンされる第2のLEDに対する第1のLEDの第2の比率と異なることができる。
【0058】
照明の光強度は、距離センサーにより感知された距離に基づいて変更できる。
【0059】
システムは、対象物体又は対象物体の周辺の温度を感知するように構成される温度センサーをさらに含むことができる。照明は、温度に基づいてターン-オン又はターン-オフされるスイッチを有することができる。複数のLEDの第1のサブセットは、スイッチがターン-オンされた状態でターン-オンされ、複数のLEDの第2のサブセットは、スイッチがターン-オフされた状態でターン-オンされ得る。スイッチがターン-オンされた状態でターン-オンされる第2のLEDに対する第1のLEDの第1の比率は、スイッチがターン-オフされた状態でターン-オンされる第2のLEDに対する第1のLEDの第2の比率と異なることができる。
【0060】
第2のLEDは、閾温度よりも高い温度に基づいてターン-オフされ得る。
【0061】
複数のLEDの各々は、実質的に類似の正格電力を有することができる。
【0062】
複数のLEDの各々は、チップオンボード(COB)ダイオードであり得る。
【0063】
照明は、複数のLEDが形成される単一のチップオンボード(COB)ダイオードを含むことができる。
【0064】
照明は、動作条件又は適用例に基づいて、可変比率で第1の波長及び第2の波長の組合せ光を放出できる。
【0065】
他の実施例によれば、対象物体の表面を消毒するための方法は、第1の波長及び第2の波長の組合せ光を放出するステップを含む。第1の波長を放出する第1のLEDの第1の光強度は、第2の波長を放出する第2のLEDの第2の光強度よりも大きい。
【0066】
第1の波長は、400nm乃至450nmの第1の波長範囲を有する紫色波長であり、第2の波長は、800nm乃至1000nmの第2の波長範囲を有する赤外線波長であり得る。
【0067】
組合せ光は、第1のLED及び第2のLEDを含む複数のLEDにより放出され、第1のLEDの第1の個数は、第2のLEDの第2の個数よりも大きいことができる。
【0068】
第1の個数及び第2の個数の比率は、3:1であり得る。
【0069】
方法は、対象物体に向かって組合せ光を放出する光源からの距離を感知するステップと、距離に基づいて、光源のスイッチをターン-オン又はターン-オフするステップと、スイッチを使用して、距離に基づいて、第1のLEDの第1の個数及び第2のLEDの第2の個数をターン-オンするステップと、をさらに含むことができる。
【0070】
方法は、距離に基づいて、光源の光強度を変化させるステップをさらに含むことができる。
【0071】
方法は、対象物体又は対象物体の周辺の温度を感知するステップと、温度に基づいて、対象物体に向かって組合せ光を放出する光源のスイッチをターン-オン又はターン-オフするステップと、スイッチを使用して、温度に基づいて、複数のLEDの第1のサブセット及び複数のLEDの第2のサブセットをターン-オンするステップと、をさらに含むことができる。スイッチがターン-オンされた状態でターン-オンされる第2のLEDに対する第1のLEDの第1の比率は、スイッチがターン-オフされた状態でターン-オンされる第2のLEDに対する第1のLEDの第2の比率と異なることができる。
【0072】
第2のLEDは、閾温度よりも高い温度に基づいてターン-オフされ得る。
【0073】
第1のLED及び第2のLEDは、実質的に類似の正格電力を有することができる。
【0074】
前述した例示的な実施例等は、少なくとも2つの異なる波長スペクトラムを有する光等の組合せを使用して、バクテリア又はウイルスの成長を抑制するためのシステム及び方法を具現化する多様な実施例を例示するために説明された。開示された例示的な実施例等から多様に修正及び変形できることは当業者に明らかであろう。本発明の範囲内にあるものと意図された主題は、添付の請求の範囲に記載されている。
【外国語明細書】