(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169133
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】非開示範囲コントロールシステム、非開示範囲コントロール方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 40/151 20200101AFI20231121BHJP
G06F 40/279 20200101ALI20231121BHJP
【FI】
G06F40/151
G06F40/279
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081034
(22)【出願日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】P 2022080007
(32)【優先日】2022-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】518287076
【氏名又は名称】FRAIM株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】399109687
【氏名又は名称】第一法規株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】田中 英弥
(72)【発明者】
【氏名】堀口 圭
(72)【発明者】
【氏名】吉田 究
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 豪
(72)【発明者】
【氏名】塚本 拓也
【テーマコード(参考)】
5B109
【Fターム(参考)】
5B109TA11
(57)【要約】
【課題】非開示にする範囲を適切にコントロールすることが可能な、非開示範囲コントロールシステム、非開示範囲コントロール方法、及びプログラムを提供すること。
【解決手段】範囲を特定するための範囲特定条件を基に、当初ファイルである機密文章CD1の中で非開示にする非開示範囲r-1~r-3を特定する非開示範囲特定手段と、特定した非開示範囲に元々ある当初情報d-1~d-3を非開示状態情報nd-1~nd-2に変更する情報変更手段と、当初情報を記憶させる当初情報記憶手段と、非開示状態情報に変更した後の変更後ファイルである機密文章CD2~3を当初情報と異なる記憶部に記憶させる変更後ファイル記憶手段とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
範囲を特定するための範囲特定条件を基に、当初ファイルの中で非開示にする非開示範囲を特定する非開示範囲特定手段と、
前記特定した非開示範囲に元々ある当初情報を、非開示状態の情報となる非開示状態情報に変更する情報変更手段と、を備える、
非開示範囲コントロールシステム。
【請求項2】
前記当初情報を所定の第1記憶部に記憶させる当初情報記憶手段と、
前記非開示状態情報に変更した後の変更後ファイルを前記第1記憶部と異なる第2記憶部に記憶させる変更後ファイル記憶手段と、
前記当初情報と前記非開示範囲とを紐付けるための紐付け情報、前記第1記憶部、前記第2記憶部、及び、これらと異なる第3記憶部、のうち少なくとも一の記憶部に記憶させる紐付け情報記憶手段と、
前記当初ファイルを消去する当初ファイル消去手段と、を更に備える、
請求項1に記載の非開示範囲コントロールシステム。
【請求項3】
前記第1記憶部に記憶させた前記当初情報、前記第2記憶部に記憶させた前記変更後ファイル、及び、前記少なくとも一の記憶部に記憶させた前記紐付け情報を含んで復元ファイルを生成する復元ファイル生成手段を更に備える、
請求項2に記載の非開示範囲コントロールシステム。
【請求項4】
前記当初情報記憶手段は、前記当初情報に対しダミーの情報となるダミー情報も前記第1記憶部に記憶させる、
請求項2又は3に記載の非開示範囲コントロールシステム。
【請求項5】
前記範囲特定条件には、閲覧権限レベルに応じた条件となる権限レベル条件が含まれる、
請求項1に記載の非開示範囲コントロールシステム。
【請求項6】
前記範囲特定条件には、所定の項目に応じた条件となる項目条件、又は、前記所定の項目が含まれるセンテンスに応じた条件となるセンテンス条件が含まれる、
請求項1に記載の非開示範囲コントロールシステム。
【請求項7】
前記範囲特定条件は、前記非開示範囲を前記特定する前に、範囲長さの変更要否を受け付けて、変更の必要がある場合に、前記範囲長さを変更する、
請求項1に記載の非開示範囲コントロールシステム。
【請求項8】
前記非開示状態情報に変更した後の変更後ファイルに類似する類似文章を検索する類似検索手段を更に備える、
請求項1に記載の非開示範囲コントロールシステム。
【請求項9】
非開示範囲コントロールシステムが実行する非開示範囲コントロール方法であって、
範囲を特定するための範囲特定条件を基に、当初ファイルの中で非開示にする非開示範囲を特定する非開示範囲特定ステップと、
前記特定した非開示範囲に元々ある当初情報を、非開示状態の情報となる非開示状態情報に変更する情報変更ステップと、を含む、非開示範囲コントロール方法。
【請求項10】
非開示範囲コントロールシステムを制御するコンピュータに、
範囲を特定するための範囲特定条件を基に、当初ファイルの中で非開示にする非開示範囲を特定する非開示範囲特定ステップと、
前記特定した非開示範囲に元々ある当初情報を、非開示状態の情報となる非開示状態情報に変更する情報変更ステップと、を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非開示範囲コントロールシステム、非開示範囲コントロール方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
黒塗りの矩形枠によって文章の秘匿すべき部分を覆い隠すことに関しては、下記特許文献1に開示された技術が知られる。この開示技術によれば、先ず、用紙(紙媒体である書類)をスキャナーで画像化する処理が行われる。ここでの処理は、例えば、手書きで回答が記入された記入済み回答用紙と、回答が未記入の未記入回答用紙とが夫々、用紙画像として画像化される。次に、記入済み回答用紙の画像と、未記入回答用紙の画像との差分を抽出して、抽出した差分に基づき黒塗りの矩形枠で覆い隠す画像処理が行われる。そして最後に、覆い隠した後の回答用紙の画像をサーバに保存する処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術にあっては、黒塗りの矩形枠で覆い隠す範囲(即ち、非開示にする範囲)が記入済み回答用紙の画像と未記入回答用紙の画像との差分により特定されることから、差分の抽出を適切にコントロールすることができていないと、例えば、黒塗りの矩形枠で覆い隠されていない(非開示にされていない)箇所が生じてしまうと言う問題点を有する。
【0005】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、非開示にする範囲を適切にコントロールすることが可能な、非開示範囲コントロールシステム、非開示範囲コントロール方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の非開示範囲コントロールシステムは、
範囲を特定するための範囲特定条件を基に、当初ファイルの中で非開示にする非開示範囲を特定する非開示範囲特定手段と、
前記特定した非開示範囲に元々ある当初情報を、非開示状態の情報となる非開示状態情報に変更する情報変更手段と、を備える。
【0007】
本発明の一態様の非開示範囲コントロール方法は、上述の本発明の一態様の非開示範囲コントロールシステムに対応する方法である。
【0008】
また、本発明の一態様のプログラムは、上述の本発明の一態様の非開示範囲コントロールシステムに対応するプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、範囲特定条件を基に当初ファイルの中の非開示範囲を特定することができる。そして、特定した非開示範囲に元々ある当初情報を非開示状態情報に変更することができる。従って、本発明によれば、非開示にする範囲を適切にコントロールすることができる。これにより、例えば、非開示にする必要があるのにもかかわらず非開示にされていないと言うような箇所の発生を防止することができる。また、逆に、非開示にする必要がないのに非開示にされてしまうと言うような箇所の発生も防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る非開示範囲コントロールシステムにより提供される本サービスの概要の一例を示す図である。
【
図3】当初情報から非開示状態情報への変更の一例に関する説明図である。
【
図4】抽出された当初情報の一例に関する説明図である。
【
図5】非開示範囲コントロールシステムに関するシステム構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図5の非開示範囲コントロールシステムのうち、サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図5の非開示範囲コントロールシステムのうち、サーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図8】
図7のサーバの機能的構成のうち、非開示範囲処理部及び復元処理部の一例を示す機能ブロック図である。
【
図9】
図5の非開示範囲コントロールシステムのうち、サーバの処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図12の当初ファイルの中で非開示範囲を特定した例を示す図である。
【
図14】金額と日付に閲覧権限を持つ場合の表示例を示す図である。
【
図16】閲覧権限がない場合の表示例を示す図である。
【
図18】類似文章の検索に係る一例を示す図である。
【
図19】閲覧権限レベルに応じた検索結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<本サービスの概要>
図1は、本発明の一実施形態に係る非開示範囲コントロールシステム100により提供される本サービスの概要の一例を示す図である。
【0012】
図1において、本サービスは、サービス提供者(図示省略)が管理するサーバ1により提供される。
なお、本一実施形態では、例えば企業がサーバ1を管理し、企業専用のネットワークNには、複数の端末2(例えば、内部者端末)が接続される。そして、複数の端末2には、例えば、機密文章CD1~CD3が表示される。このような例を挙げて説明するが、この限りでないものとする。即ち、例えば、サーバ1がインターネット等の所定のネットワークNに接続され、複数の端末2が上述の企業に対してユーザーとなる複数の企業の所有であり、そして、複数の企業のうち一の企業の端末2に、例えば、一の企業向けの機密文章CD2又は機密文章CD3が表示されるような例であってもよいものとする。
この他、例えば、公社、団体、官公庁等がサーバ1を管理し、そのサーバ1がインターネット等の所定のネットワークNに接続され、そして、複数の端末2のうち一の端末2に、例えば、その一に向けた機密文章CD2又は機密文章CD3が表示されるような例であってもよいものとする。
或いは、例えば、上述の企業が管理するサーバ1、又は、上述の官公庁等が管理するサーバ1等に対し、インターネット等の所定のネットワークNを介して接続される個人等の端末2(外部者端末)に機密文章CD2又は機密文章CD3が表示されるような例であってもよいものとする。
本サービスは、機密文章CD1における非開示にする範囲を適切にコントロールし、そして、機密文章CD2や機密文章CD3等に変えた状態で共有をすることができるようにしたものである。
【0013】
機密文章CD1は、例えば、社内で一の従業員3(3-1)により作成された文章ファイルである。この機密文章CD1には、非開示にすべき機密事項が含まれる。機密文章CD1としては、例えば契約書が一例として挙げられる(この限りでないものとする。例えば個人情報や著作物が含まれた文章(文章ファイル)等であってもよいものとする。また、企画書や稟議書、税務系の文章等であってもよいものとする。多種多様な文章等が適用されるものとする)。
【0014】
ここで上述の文章ファイルとは、特許請求の範囲に記載された「当初ファイル」に相当するものとする。当初ファイルは、所謂データファイルである。また、当初ファイルは、上述の、一の従業員3(3-1)により作成されたオリジナルの文章ファイルである。当初ファイルは、機密文章CD1に該当する。
なお、文章ファイルに限らず、スマートフォンやデジカメ等で撮影された写真や動画が含まれたファイル、パソコンで作成された表計算ファイル等であってもよいものとする。また、スキャナーで画像処理された後のテキストファイルであってもよいものとする。この他、画像ファイルに関しては、後述する「<まとめ>」で一例について触れることにする。
【0015】
図1に示す機密文章CD1は、上述したように契約書を示すものである(契約書は一例であるものとする)。ここでは、説明を簡略化するために、一部分だけ示すものとする。
機密文章CD1は、一の従業員3-1(3)が操作する端末2-1(複数の端末2のうちの一の端末とする)を用いて作成される。なお、これに限らないが、例えば、別の個所で作成された後に、端末2-1に記憶させてもよいものとする。
【0016】
図1の端末2-1に表示された機密文章CD1には、例えば、「株式会社YYと株式会社ZZは」、「次の通り~」、「報告は令和3年9月30日までに~」等の記載がある(一例であるものとする)。「株式会社YY」は、ここでは一の従業員3-1(3)が属する企業のことである。
一方、「株式会社ZZ」は、「株式会社YY」が契約書を取り交わす相手企業になる。なお、特に限定するものではないが、一の従業員3-1(3)による機密文章CD1の作成までの手順を、
図1においては、ステップS1と呼ぶことにする。ステップS1が終了すると、ステップS2に移行する。
【0017】
図1に示すステップS2は、一の従業員3-1が機密文章CD1を他の従業員と共有しようとした場合、又は、他の従業員からの要求により機密文章CD1を共有しようとした場合を例に挙げた手順である。
ここで、他の従業員とは、
図1に示す従業員3-2~従業員3-nのうち少なくとも1名の者を指すものとする。なお、nは整数であり、n=1の場合は、上述の一の従業員3-1が該当するものとする。
特に図示しないが、外部者端末を操作する外部者との共有も可能であるものとする。
【0018】
本サービスでは、機密文章CD1(当初ファイル)をそのまま共有するものでなく、後述する閲覧権限レベルに応じて、機密文章CD2又は機密文章CD3に変更した状態で共有するものとする。
【0019】
機密文章CD1(当初ファイル)を共有化するため、サーバ1は、先ず機密文章CD1を端末2-1からアップロードする処理を実行する。次にアップロードした機密文章CD1に会社名や日付等が記載されている(入っている)場合に、サーバ1は、これら会社名や日付等を非開示の状態にする(秘匿する)処理を実行する。
非開示の状態にする処理としては、アップロードした機密文章CD1の中で非開示にする非開示範囲を特定し、そして、特定した非開示範囲に元々ある当初情報を、非開示状態の情報となる非開示状態情報に変更する処理が挙げられる。
【0020】
アップロードした機密文章CD1(当初ファイル)の中で非開示にする範囲としての非開示範囲は、
図1において、「株式会社YY」、「株式会社ZZ」、「令和3年9月30日」の記載範囲が該当する。
具体的には、「株式会社YY」に対する枠囲みが非開示範囲r-1に、「株式会社ZZ」に対する枠囲みが非開示範囲r-2に、「令和3年9月30日」に対する枠囲みが非開示範囲r-3に該当する。
なお、非開示範囲r-1~非開示範囲r-3は、枠囲みに限らないものとする。例えば網掛けや蛍光色のマーク(ハイライト表示)、下線等、様々な例が挙げられるものとする(非開示にする範囲が分かれば特に限定されないものとする)。
【0021】
以下、非開示範囲r-1~非開示範囲r-3について、
図2も参照しながら説明する。
図2は、
図1の非開示範囲r-3を例に挙げての説明図である(非開示範囲の一例に関する説明図である)。
【0022】
図1及び
図2において、非開示範囲r-1~非開示範囲r-3は、範囲を特定するための範囲特定条件を基に特定される。範囲特定条件としては、ここでは「会社名」、「日付」が該当する。また、後述するが、「人名」、「金額」も範囲特定条件に該当する。これら「会社名」、「日付」、「人名」、「金額」は、所定の項目である。これら所定の項目は、範囲特定条件を設定するための「項目条件」である。「項目条件」は、上述に限らず、機密文章CD1(当初ファイル)の分類や内容等に応じて適宜設定されるものとする。即ち、文書類型によって所定の項目が自動的に切り替わるように「項目条件」が適宜設定されてもよいものとする。具体的には、この文書では「住所」が所定の項目になるが、他の文書では「住所」が所定の項目にならないように「項目条件」が適宜自動設定されてもよいものとする(あるユーザーの契約書では「住所」が所定の項目になるが、別なユーザーの契約書では「住所」が所定の項目にならない、等)。ユーザーへの利便性向上になるのは勿論である。
なお、範囲特定条件としては、「項目条件」が含まれるセンテンスも採用することが可能であるものとする(「センテンス条件」と呼ぶことにする)。
【0023】
図2において、この図の上側に「報告は令和3年9月30日までに~」が記載される。
図2の記載状態から、範囲特定条件(「日付」)を基に、非開示にする範囲としての非開示範囲r-3が特定される。具体的には、下向きの矢印a-1で示すように、「報告は令和3年9月30日までに~」の記載のうち、「令和3年9月30日」が枠囲みされて非開示範囲r-3が自動的に特定される。
なお、
図2の左右方向の矢印a-2で示すように、枠囲みを
図2の左右方向(文字の並ぶ方向)に伸縮させる手動操作を許容してもよいものとする。この場合、矢印a-3で示すように、「9月30日」だけが枠囲みされて非開示範囲r-3が変更され特定される。又は、「報告は令和3年9月30日までに~」の全体が枠囲みされて、非開示範囲r-3が特定される。手動操作を許容し、この手動操作により得られた変更の情報を機械学習させて活用することでもよい。この機械学習は、非開示にする範囲の特定や、その精度改善に有効になるのは勿論である。
以上のように、範囲長さの変更を可能にすれば、非開示にする範囲のコントロールをよりし易くすることができる。
【0024】
図1の機密文章CD1(当初ファイル)では、非開示範囲r-1~非開示範囲r-3にある「株式会社YY」、「株式会社ZZ」、「令和3年9月30日」が上述の当初情報(当初情報d-1~当初情報d-3)に該当する。また、
図2では、非開示範囲r-3にある「令和3年9月30日」が
図1と同様に当初情報d-3に該当する。
この当初情報d-1~当初情報d-3は、非開示範囲r-1~非開示範囲r-3が特定されると、サーバ1により非開示状態の情報となる非開示状態情報(
図1及び
図3を参照しながら後述する)に変更される。
【0025】
図3は、
図1の当初情報d-1から非開示状態情報nd-1への変更に関する説明図である(当初情報から非開示状態情報への変更の一例に関する説明図である)。
【0026】
図1及び
図3において、サーバ1による当初情報d-1から非開示状態情報nd-1への変更は次のように行われる。
図3の上側に記載される「株式会社YY」を例に挙げると、下向きの矢印a-4で示すように、「株式会社YY」に対し枠囲みにて、非開示にする非開示範囲r-1が特定される。そして、「株式会社YY」は、元々あった当初情報d-1であることから、これを非開示にするため、サーバ1により非開示状態情報nd-1へと変更される。
【0027】
変更例としては、例えば、矢印a-5で示すように、非開示範囲r-1の枠囲みを残したままにして「株式会社**」と記載(表示)される非開示状態情報nd-1aへと変更される。又は、矢印a-6で示すように、非開示範囲r-1の枠囲みを縮めて「YY」の部分に残し、この部分が「**」と記載(表示)される非開示状態情報nd-1bへと変更される。
なお、本一実施形態においては、非開示範囲r-1の枠囲みの内側が所望の色でハイライト表示されるものとする(一例であるものとする)。
【0028】
この他の変更例としては、例えば、矢印a-7で示すように、非開示範囲r-1の枠囲みの内側全部を黒塗りにしてしまう非開示状態情報nd-1cへと変更される。又は、矢印a-8で示すように、「株式会社」だけを残して、他を黒塗りにしてしまう非開示状態情報nd-1dへと変更される。又は、矢印a-9で示すように、非開示範囲r-1の枠囲みを残したままにして「株式会社AA」となる非開示状態情報nd-1eへと変更される。又は、矢印a-10で示すように、非開示範囲r-1の枠囲みを縮めて「YY」の部分に残し、この部分が「AA」となる非開示状態情報nd-1fへと変更される。
なお、「AA」は、「YY」と異なる名称を意味するものである。例えば、従業員3であれば「AA」がダミー(仮名)であると分かるような会社名が好ましい。ダミーの情報を適用することで、例えば、黒塗りにしてしまう場合よりも、文章の流れを維持することができる。
黒塗りに関し、この非開示状態情報nd-1cでは、どのような属性の情報が入っているのかが分かり難い。そのためこれを非開示状態情報nd-1dや非開示状態情報nd-1fにすると、どのような属性の情報が入っているのかが分かりやすくなり、文章の流れを維持することができる(一旦、非開示状態情報nd-1cに変更した後、所定の操作により非開示状態情報nd-1dや非開示状態情報nd-1fに置き換えてもよい)。
【0029】
当初情報d-1から非開示状態情報nd-1への変更にあたり、当初情報d-1は機密文章CD1(当初ファイル)から抽出されて記憶装置4(第1記憶部)に記憶される。言い換えると、当初情報d-1は、機密文章CD1から完全に抜き取られて記憶装置4に記憶され、当初情報d-1があった個所には、非開示状態情報nd-1が挿入される。即ち、当初情報d-1の上に単に非開示状態情報nd-1を被せるのではなく、非開示状態情報nd-1に完全に置き換えてしまう。なお、非開示状態情報nd-1を被せることで完全に置き換えしたものと同様の状態になり当初情報d-1の存在がなくなるのであれば、「被せ」であってもよいものとする。
図3の上述の例では、「株式会社YY」又は「YY」を示す情報が機密文章CD1から抽出されて記憶装置4に記憶され、そして、抽出された箇所は、「株式会社**」や「**」、「株式会社AA」や「AA」、黒塗りを示す情報に変更される。
【0030】
図4は、抽出された当初情報d-1の一例に関する説明図である。抽出された当初情報d-1は、例えば
図4に示すような状態で記憶装置4に記憶される。即ち、会社名に例えばIDが付された状態で記憶される(IDに限らず、タグ等の一意に識別が可能であれば特に限定されないものとする)。
抽出された当初情報d-1は、例えばIDを介して非開示範囲r-1に紐付けされる(この紐付けに関する情報としての紐付け情報は、記憶装置4、又はサーバ1の後述する記憶部18、或いは、これら記憶装置4や記憶部18以外の記憶装置又は記憶部(図示しない、第3記憶部)等に記憶されるものとする)。
図4に示すように、会社名「株式会社AA」には、IDとして「1」が付される。また、会社名「株式会社BB」には、IDとして「2」が付される。
【0031】
「株式会社BB」は、ここではダミーの情報になる。また、会社名「株式会社YY」には、IDとして「3」が付される。「株式会社YY」は、
図1及び
図3で示した通り、正規の情報になる。即ち、抽出された当初情報になる。
この他、会社名「株式会社甲」には、IDとして「4」が付され、会社名「株式会社乙」には、IDとして「5」が付される。「株式会社甲」や「株式会社乙」は、ここではダミーの情報になる。
【0032】
上述のように記憶装置4には、「株式会社YY」以外の会社名も記憶されることから、機密文章CD1から抽出された当初情報d-1が何であるかを分り難くすることができる。これにより、例えば、悪意のある第三者が機密文章CD1(当初ファイル)を復元しようとしても、この復元を困難にすることができる。
【0033】
例えば、当初情報d-1から非開示状態情報nd-1へと変更することにより、
図1の例では、機密文章CD2(変更後ファイル)及び機密文章CD3(変更後ファイル)が生成されるようになる。
生成された機密文章CD2及び機密文章CD3は、セキュリティ面を考慮して、例えば、当初情報d-1が記憶された記憶装置4と異なる箇所に記憶される。具体的には、サーバ1の後述する記憶部18に記憶され、その結果、記憶装置4から遠ざけられる。
これにより、記憶部18だけでは、機密文章CD1(当初ファイル)を復元することができないことが分かる。また、記憶装置4だけでも、機密文章CD1(当初ファイル)を復元することができないことが分かる。
【0034】
機密文章CD2(変更後ファイル)及び機密文章CD3(変更後ファイル)が生成された後、サーバ1は、セキュリティ面を考慮して、サーバ1にアップロードされた機密文章CD1(当初ファイル)を消去する処理を実行する。
機密文章CD1を消去することにより、サーバ1からの機密文章CD1の流出等を防止することができる。
【0035】
上述のようにステップS2で機密文章CD2(変更後ファイル)及び機密文章CD3(変更後ファイル)が生成されると、
図1に示すステップS3に移行して、機密文章CD2及び機密文章CD3を該当する端末2へ送信する処理を実行する。
【0036】
例えば、従業員3-2が操作する端末2-2には、従業員3-2自身の閲覧権限レベルに応じた機密文章CD2(変更後ファイル)が送信される。ここで従業員3-2は、「会社名」及び「日付」に関する閲覧の権限を持っていないため、「会社名」に該当する箇所が「株式会社**」となり、また、「日付」に該当する箇所が「令和**年**月**日」(非開示状態情報nd-2)となる記載(表示)の機密文章CD2が送信される。送信された機密文章CD2は、端末2-2に表示されて共有状態になる。
【0037】
一方、例えば、従業員3-nが操作する端末2-nには、従業員3-n自身の閲覧権限レベルに応じた機密文章CD3(変更後ファイル)が送信される。従業員3-nは、「会社名」に関する閲覧の権限を持っていないものの、「日付」に関する閲覧の権限は持っているため、「会社名」に該当する箇所が「株式会社**」となり、「日付」に該当する箇所は「令和3年9月30日」(当初情報d-3)となる記載(表示)の機密文章CD3が送信される。送信された機密文章CD3は、端末2-nに表示されて共有状態になる。
【0038】
端末2-nの場合、機密文章CD3(変更後ファイル)は、上述のように「日付」の箇所が「令和3年9月30日」となる記載(表示)になるが、例えば、「令和**年**月**日」となる記載(表示)にして、この記載部分(表示部分)を従業員3-nが例えばマウスにてクリックすると、「令和**年**月**日」から「令和3年9月30日」に切り替わるようにしてもよいものとする。
【0039】
なお、例えば、代表取締役の場合は、機密文章CD1の中で非開示にする非開示範囲は基本的に存在しないと考えらえることから、結果的に、機密文章CD1のままでサーバ1から送信されるものとする(図示省略)。
【0040】
以上、
図1乃至
図4を参照しながら本サービスの概要を説明してきたように、本サービスにより、機密文章CD1(当初ファイル)における非開示にする範囲を適切にコントロールし、そして、機密文章CD2(変更後ファイル)や機密文章CD3(変更後ファイル)等で示す状態で社内共有をすることができる。
【0041】
また、本サービスでは、サーバ1にアップロードした機密文章CD1(当初ファイル)は、機密文章CD2(変更後ファイル)や機密文章CD3(変更後ファイル)の生成後に消去されることから、セキュリティ面を十分に高めることができる。
また、機密文章CD1(当初ファイル)から抽出された当初情報(当初情報d-1等)は、機密文章CD2(変更後ファイル)や機密文章CD3(変更後ファイル)と異なる記憶領域で別々となり且つ離れた状態で記憶されることから、これもセキュリティ面を十分に高めることができる。
【0042】
<非開示範囲コントロールシステム100のシステム構成について>
図5は、非開示範囲コントロールシステム100に関するシステム構成の一例を示すブロック図である。
【0043】
非開示範囲コントロールシステム100は、サーバ1と、このサーバ1が接続されるネットワークNと、ネットワークNを介してサーバ1に接続される複数の端末2と、同じくネットワークNを介してサーバ1に接続される記憶装置4とを備えて構成される。
サーバ1は、端末2の動作と協働して各種処理を実行する装置である。ネットワークNは、ここでは
図1と同様に、企業専用のものである(一例であるものとする)。また、複数の端末2も
図1と同様に、従業員3により夫々操作される装置である。複数の端末2は、端末2-1から端末2-nまで複数備えられる(nは1以上の整数であるものとする)。
【0044】
<サーバ1のハードウェア構成について>
図6は、
図5の非開示範囲コントロールシステム100のうち、サーバ1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0045】
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16(表示部)と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えて構成される。
【0046】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0047】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続される。このバス14には、入出力インターフェース15が接続される。
入出力インターフェース15には、出力部16(表示部)、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続される。
【0048】
出力部16(表示部)は、ディスプレイ(画面)により構成され、各種画像を表示する。入力部17は、各種ハードウェア等で構成され、各種情報を入力する。
記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、所定のネットワークNを介して他の装置(
図5の場合、端末2、記憶装置4)との間で行う通信を制御する。
【0049】
ドライブ20は、必要に応じて設けられる。ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。
ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0050】
以上のようなサーバ1と、後述する端末2とに関し、これらの各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、後述する各種処理が実現されるようになるものとする。
【0051】
<端末2について>
図5に戻り、端末2は、例えば、従業員3が用いる端末である。端末2は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)や、例えばスマートフォン、タブレット等の携帯端末であるものとする。パーソナルコンピュータ(PC)の場合は、所謂デスクトップパソコンやノートパソコンの何れであってもよいものとする。
端末2のハードウェア構成は、特に図示しないが、上述のサーバ1のハードウェア構成と基本的に同様であるものとする。即ち、CPUと、ROMと、RAMと、バスと、入出力インターフェースと、表示部と、入力部と、記憶部と、通信部と、ドライブと、リムーバブルメディアとを備えて構成される。
【0052】
<サーバ1の機能的構成について>
図7は、
図5の非開示範囲コントロールシステム100のうち、サーバ1の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0053】
図7において、サーバ1は、
図6を参照しながら上述したように、CPU11と、記憶部18と、通信部19と、その他機能(
図6での図示は省略)とを備えて構成される。
【0054】
CPU11は、これが動作する際、条件設定処理部111と、非開示範囲処理部112と、復元処理部113と、出力処理部114と、類似検索部115とが機能する。
また、記憶部18は、条件記憶部181と、一時記憶部182と、非開示範囲記憶部183と、非開示状態情報記憶部184と、変更後ファイル記憶部185(第2記憶部)とを備えて構成される。
なお、特に図示しないが、サーバ1は、変更後ファイル記憶部185(第2記憶部)と異なる第3記憶部を備えてもよいものとする。
【0055】
条件設定処理部111は、範囲特定条件を予め設定しておくための処理を実行する。例えば、
図1のような契約書の例では、「項目条件」として「会社名」、「日付」を予め設定しておく処理を実行する。また、後述するが、「人名」、「金額」も予め設定しておく処理を実行する。この他、「項目条件」を含むような「センテンス条件」も予め設定しておく処理を実行する。
例えば、「項目条件」として「会社名」、「日付」、「人名」、「金額」等が設定されることで、当初ファイルの中で非開示にする範囲(非開示範囲)を、例えば「会社名」で特定することができる。
条件設定処理部111では、「会社名」、「日付」、「人名」、「金額」等を設定しておくため、これら条件が記憶部18の条件記憶部181に記憶される。
【0056】
図8は、
図7のサーバ1の機能的構成のうち、非開示範囲処理部112及び復元処理部113の一例を示す機能ブロック図である。
【0057】
図7及び
図8において、非開示範囲処理部112は、当初ファイルにおける非開示にする範囲を適切にコントロールすることができるように機能が構成される。
具体的には、共有要求受信処理部112aと、非開示範囲特定処理部112b(非開示範囲特定手段)と、当初情報抽出記憶処理部112c(当初情報記憶手段)と、紐付け情報記憶処理部112d(紐付け情報記憶手段)と、情報変更処理部112e(情報変更手段)と、変更後ファイル記憶処理部112f(変更後ファイル記憶手段)と、当初ファイル消去処理部112g(当初ファイル消去手段)とを備えて非開示範囲処理部112の機能は構成される。
【0058】
共有要求受信処理部112aは、端末2からの当初ファイルの共有の要求があった場合、これを受信する処理を実行する。具体的には、当初ファイルを作成した例えば従業員3が、当初ファイルを例えば他の従業員3と共有しようとした場合に、その共有の要求(共有要求)を端末2から送信することになるので、共有要求受信処理部112aはこれを受信する処理を実行する。又は、他の従業員3からの要求により当初ファイルを共有しようとした場合に、その共有要求を他の従業員3が端末2から送信することになるので、共有要求受信処理部112aはこれを受信する処理を実行する。
【0059】
非開示範囲特定処理部112bは、上述の共有要求の受信に基づき、当初ファイルを作成した従業員3に対し、その作成した当初ファイルのアップロードを要求する処理を実行する。また、非開示範囲特定処理部112bは、要求によりアップロードされた当初ファイルを記憶部18の後述する一時記憶部182に一時的に記憶する処理も実行する。
一時記憶部182に当初ファイルが記憶された後に、非開示範囲特定処理部112bは、当初ファイルの中で非開示にする非開示範囲を特定する処理を実行する。この処理では、記憶部18の条件記憶部181に記憶された範囲特定条件に基づき、当初ファイルの中で非開示にする非開示範囲を特定することを行う。
非開示範囲の特定は、「項目条件」や「センテンス条件」が含まれているか否かの判断をして、含まれている場合には、その含まれた範囲を特定することを行う。具体的には、当初ファイルの中に、例えば、「会社名」、「日付」、「人名」、「金額」等が入っていれば(記載されていれば)、この項目がある範囲を、非開示にすべき非開示範囲として特定することを行う。
又は、例えば、「会社名」、「日付」、「人名」、「金額」等が入ったセンテンスがあれば、このセンテンスの範囲を、非開示にすべき非開示範囲として特定することを行う。
なお、非開示範囲の特定(項目条件が含まれているか否かの判断)は種々の方法で行われてもよい。例えば、非開示範囲特定処理部112bは、自然言語処理により、「会社名」や「日付」、「人名」、「金額」等が記載されている箇所を特定してもよいものとする。また、非開示範囲特定処理部112bは、機械学習により生成された分類器を用いて、「会社名」や「日付」、「人名」、「金額」等が記載されている箇所を特定してもよいものとする。
【0060】
当初情報抽出記憶処理部112cは、非開示範囲特定処理部112bで特定した非開示範囲に元々ある当初情報を抽出してこれを記憶装置4の後述する当初情報記憶部41に記憶する処理を実行する。
具体的には、特定した非開示範囲に、例えば、「会社名」があれば、この当初情報を抽出して当初情報記憶部41に記憶する処理を実行する。
【0061】
紐付け情報記憶処理部112dは、当初情報抽出記憶処理部112cで抽出した当初情報の、例えば、抽出した箇所を分るようにしておく処理を実行する。
具体的には、抽出した当初情報と、この当初情報の抽出先となる非開示範囲とを紐付けて、この紐付け情報を記憶装置4の後述する紐付け情報記憶部42、記憶部18の変更後ファイル記憶部185(後述する)、及び、上述の図示しない第3記憶部、のうち少なくとも一の記憶部に記憶する処理を実行する。なお、ここでは、紐付け情報記憶部42に紐付け情報が記憶されるものとする。
【0062】
情報変更処理部112eは、当初情報から非開示状態情報へと変更して変更後ファイルを生成する処理を実行する。言い換えれば、当初情報があった個所に非開示状態情報を挿入することにより、当初ファイルから変更後ファイルを生成する処理を情報変更処理部112eは実行する。
具体的には、例えば
図1の例を挙げて説明すれば、「株式会社YY」である当初情報d-1から「株式会社**」のような非開示の状態の情報(非開示状態情報nd-1)へと変更して変更後ファイル(機密文章CD2や機密文章CD3)を生成する処理を実行する。なお、「株式会社**」のような非開示状態情報nd-1は、後述する非開示状態情報記憶部184に予め記憶された情報であるものとする。
情報変更処理部112eの処理で当初情報d-1から非開示状態情報nd-1へと変更することにより、当初ファイル(機密文章CD1)において非開示にすべき機密事項(当初情報d-1)を、非開示の状態の情報(非開示状態情報nd-1)へと置き換えることができる。そして、この置き換えた内容で変更後ファイル(機密文章CD2や機密文章CD3)とし、この後に共有することができる。
情報変更処理部112eは、上述の他に、閲覧権限レベルに応じ当初情報から非開示状態情報へと変更して変更後ファイルを生成する処理を実行する、としてもよいものとする。
【0063】
変更後ファイル記憶処理部112fは、情報変更処理部112eにて生成された変更後ファイルを記憶部18の後述する変更後ファイル記憶部185に記憶させる処理を実行する。
変更後ファイル記憶処理部112fは、変更後ファイルを変更後ファイル記憶部185に記憶させることから、当初情報と異なる記憶先にすることになり、結果、セキュリティ面を高めることができる。
【0064】
当初ファイル消去処理部112gは、非開示範囲特定処理部112bにより一時記憶部182に一時的に記憶させた当初ファイルを消去する処理を実行する。一時記憶部182から当初ファイルを消去することにより、サーバ1からの当初ファイルの流出等を防止することができる。
【0065】
復元処理部113は、例えば、閲覧権限レベルが変更になった場合に、それまで非開示にされていた情報を一部又は全部見ることができるように機能が構成される。
具体的には、復元要求受信処理部113aと、復元ファイル生成処理部113b(復元ファイル生成手段)とを備えて復元処理部113の機能は構成される。
【0066】
復元要求受信処理部113aは、例えば、閲覧権限レベルが変更になった従業員3からの復元要求(非開示にされていた情報を一部又は全部見ることができるように復元するための要求)があった場合に、これを受信する処理を実行する。
【0067】
復元ファイル生成処理部113bは、上述の復元要求の受信に基づき、従業員3の変更された閲覧権限レベルに応じて復元ファイルを生成する処理を実行する。
復元ファイルの生成にあたっては、フローチャート等で特に示さないが、例えば、先ず復元要求をする権限を有するか否かを判断し、復元要求をする権限を有している場合に、復元要求を許可する処理を実行する。
次に、記憶装置4の後述する当初情報記憶部41に記憶させた当初情報、記憶装置4の後述する紐付け情報記憶部42に記憶させた紐付け情報、及び、記憶部18の後述する変更後ファイル記憶部185に記憶させた変更後ファイルを含んで復元ファイルを生成する処理を実行する。
復元ファイルは、変更後ファイルから非開示状態情報を抽出し、その抽出箇所に当初情報を挿入して元の状態にすることにより生成される。
最後に、生成された復元ファイルを、例えば、変更後ファイルと置き換えるように変更後ファイル記憶部185に記憶させる処理を実行する。
【0068】
出力処理部114は、非開示範囲処理部112により生成され且つ記憶部18の後述する変更後ファイル記憶部185に記憶させた変更後ファイル、又は、復元処理部113により生成され且つ変更後ファイル記憶部185に置き換えで記憶させた復元ファイルを、対応する端末2に送信する処理を実行する。また、出力処理部114は、後述する類似検索部115からの検索結果の情報を端末2に送信する処理を実行する。
【0069】
類似検索部115は、端末2からの要求があると、変更後ファイルに類似する類似文章を例えば図示しない検索先DBから検索し、その検索結果(例えば、検索元と検索先との間の類似度を求め、その類似度の高い順に類似文章を並べるような検索結果)を出力処理部114に送信する処理を実行する。類似検索部115は、閲覧権限レベルに基づく検索を実行する。類似検索部115は、全文検索は勿論のこと、一文やキーワード等の検索もできるものとする。なお、検索結果の一例については、
図18及び
図19を参照しながら後述する。
【0070】
図7において、記憶部18の条件記憶部181は、当初ファイルの中で非開示にする非開示範囲を特定する範囲特定条件を予め記憶しておく記憶領域として備えられる。条件記憶部181には、上述の「項目条件」や「センテンス条件」等が記憶される。
一時記憶部182は、要求によりアップロードされた当初ファイルを一時的に記憶する記憶領域として備えられる。
非開示範囲記憶部183は、非開示範囲特定処理部112bで特定した非開示範囲に関する記憶領域として備えられる。非開示範囲記憶部183には、例えば、特定した非開示範囲の位置情報や範囲長さ情報等が記憶される。
非開示状態情報記憶部184は、当初情報があった個所に挿入される非開示状態情報を予め記憶しておく記憶領域として備えられる。非開示状態情報記憶部184には、上述の「項目条件」や「センテンス条件」等に対応する非開示状態情報が記憶される。
変更後ファイル記憶部185は、変更後ファイルや復元ファイルを記憶する領域として備えられる。
【0071】
<記憶装置4及び第3記憶部について>
図7及び
図5において、記憶装置4は、サーバ1の記憶部18と別に記憶することが可能な装置として備えられる(サーバ1とは別の、別サーバとして備えられてもよいものとする。この場合、サーバ1と同様のハードウェア構成を有するものとする)。
記憶装置4は、当初情報を記憶する領域としての当初情報記憶部41と、紐付け情報を記憶する領域としての紐付け情報記憶部42とを備えて構成される(構成は一例であるものとする。例えば、記憶装置4に紐付け情報記憶部42が存在しない場合もあり得る)。
上述の図示しない第3記憶部は、紐付け情報記憶部42や、サーバ1の記憶部18とは別に紐付け情報を記憶することが可能な装置・記憶部として備えられる。第3記憶部は、紐付け情報を記憶することが可能な領域として備えられる。なお、紐付け情報の記憶先として不要であれば、第3記憶部は備えなくてもよいものとする。
【0072】
<サーバ1の処理動作の一例について>
次に、サーバ1の処理動作の一例を説明する。
図9は、
図5の非開示範囲コントロールシステム100のうち、サーバ1の処理動作(処理手順)の一例を示すフローチャートである。
なお、
図9のフローチャートは、
図1に示すステップS2を細分化したような手順になり、ここでは概略で説明するものとする。
【0073】
サーバ1は、ステップS11の「共有要求受付」において、端末2から送信された当初ファイルの共有要求を受信するように動作する。
次に、ステップS12の「当初ファイルアップロード」では、当初ファイルの共有要求に基づき、当初ファイルをアップロードするように動作する。
次に、ステップS13の「非開示範囲特定」では、範囲特定条件に基づき当初ファイルの中で非開示にする非開示範囲を特定するように動作する。
次に、ステップS14の「当初情報抽出」では、特定した非開示範囲に元々ある当初情報を抽出するように動作する。
次に、ステップS15の「非開示状態情報に変更」では、抽出した当初情報があった個所に非開示状態情報を挿入して変更後ファイルを生成するように動作する。
次に、ステップS16の「変更後ファイル出力」では、生成した変更後ファイルを対応する端末2に出力するように動作する。
最後に、ステップS17の「当初ファイル消去」では、一時的に記憶しておいた当初ファイルを消去するように動作する。
なお、サーバ1の上述の処理動作は一例であり、例えば、ステップS17とステップS16の処理動作を入れ替えてもよいものとする。
【0074】
<変更後ファイルの出力例について>
図10は、変更後ファイルの出力例(一例であるものとする)を示す図である。また、
図11は、
図10の一部を拡大した図である。
【0075】
変更後ファイルの共有により、端末2には、変更後ファイルの一例である機密文章CD4が表示される。機密文章CD4は、ここでは「契約書(市場調査業務委託契約書)」であるが、例えば、企画書や稟議書等であってもよいものとする。
図10及び
図11の例では、非開示にする非開示範囲を特定するための範囲特定条件ic1が「会社名」、範囲特定条件ic2が「人名」、範囲特定条件ic3が「金額」、範囲特定条件ic4が「日付」になることが示される。また、これら範囲特定条件ic1~ic4の左隣にチェックボックスcbを示す「□」が設けられる。このチェックボックスcbは、閲覧権限レベルを示すものであり、
図10及び
図11の例では、範囲特定条件ic3の「金額」及び範囲特定条件ic4の「日付」の左隣にあるチェックボックスcbにカタカナの「レ」のようなチェックの印があることから、「金額」と「日付」とに関して非開示状態にならずに当初情報のままで閲覧が可能になる。即ち、「金額」と「日付」は、非開示状態情報に置き換わらず、閲覧が可能になる。
【0076】
図10及び
図11の例では、範囲特定条件ic1の「会社名」が黄色でハイライト表示される。また、範囲特定条件ic2の「人名」がピンクでハイライト表示される。また、範囲特定条件ic3の「金額」がグリーンでハイライト表示される。また、範囲特定条件ic4の「日付」がブルーでハイライト表示される。なお、ここでの色の種類やハイライト表示は一例であるものとする。
【0077】
「契約書(市場調査業務委託契約書)」である機密文章CD4には、非開示範囲r-11~非開示範囲r-17が特定される。これらのうち非開示範囲r-11~非開示範囲r-12は、範囲特定条件ic1の「会社名」にて範囲が特定されており、枠囲みと黄色のハイライト表示とがなされる。また、非開示範囲r-13~非開示範囲r-14は、範囲特定条件ic3の「金額」にて範囲が特定されており、枠囲みとグリーンのハイライト表示とがなされる。また、非開示範囲r-15及び非開示範囲r-18は、範囲特定条件ic4の「日付」にて範囲が特定されており、枠囲みとブルーのハイライト表示とがなされる。また、非開示範囲r-16~非開示範囲r-17は、範囲特定条件ic2の「人名」にて範囲が特定されており、枠囲みとピンクのハイライト表示とがなされる。
【0078】
非開示範囲r-11~非開示範囲r-12に対しては、範囲特定条件ic1の左隣のチェックボックスcbに印がないことから、閲覧する権限がなく、「株式会社*****」となる非開示状態情報nd-11で表示されて、「会社名」が分からないようになっている。また、非開示範囲r-16~非開示範囲r-17に対しても、範囲特定条件ic2の左隣のチェックボックスcbに印がないことから、閲覧する権限がなく、「*****」となる非開示状態情報nd-12で表示されて、「人名」が分からないようになっている。
なお、2つの「会社名」(「株式会社YY」と「株式会社ZZ」)を夫々「株式会社*****」としているが、これらを識別する必要があれば、例えば、「株式会社*****1」、「株式会社*****2」にしてもよいものとする(「人名」の「*****」も同様)。
【0079】
一方、非開示範囲r-13~非開示範囲r-14に対しては、範囲特定条件ic3の左隣のチェックボックスcbに印があることから、閲覧する権限があり、「200,000円」、「300,000円」となる当初情報d-11~当初情報d-12で表示されて、「金額」が分かるようになっている。また、非開示範囲r-15に対しても、範囲特定条件ic4の左隣のチェックボックスcbに印があることから、閲覧する権限があり、「令和3年9月30日」となる当初情報d-13で表示されて、「日付」が分かるようになっている。また、非開示範囲r-18に対しても、範囲特定条件ic4の左隣のチェックボックスcbに印があることから、閲覧する権限があり、「令和3年3月14日」となる当初情報d-14で表示されて、「日付」が分かるようになっている。
【0080】
なお、範囲特定条件ic2の矢印(1)は、これが非開示状態情報nd-12までのびていることを意味するものとする。また、範囲特定条件ic4の矢印(2)は、これが非開示状態情報nd-13までのびていることを意味するものとする。
【0081】
<当初ファイルから変更後ファイルに変更された後の表示例について>
図12は、当初ファイルの一例を示す図である。また、
図13は、
図12の当初ファイルの中で非開示範囲を特定した例を示す図である。
図14は、金額と日付に閲覧権限を持つ場合の表示例を示す図である。また、
図15は、
図14の一部を拡大した図である。
図16は、閲覧権限がない場合の表示例を示す図である。また、
図17は、
図16の一部を拡大した図である。
【0082】
図12において、「市場調査業務委託契約書」を示す機密文章CD5(当初ファイル)には、「会社名」、「人名」、「金額」、「日付」等、非開示の状態にする(秘匿する)必要がある文字や数字が含まれる。このことから、機密文章CD5のままの状態で他の従業員に社内共有してしまうわけにはいかない。そこで本サービスにより、機密文章CD5における非開示にする範囲を適切にコントロールして、機密文章CD6(
図14及び
図15参照)や機密文章CD7(
図16及び
図17参照)等に変えた状態で共有をするようにした例を以下に説明する。
【0083】
機密文章CD5(当初ファイル)は、以下、特に符号を付さないが、
図13に示すように非開示範囲が複数特定される。
図14において、例えば、部分的に閲覧する権限を持っている場合(金額と日付とが見れる)は、次のように見ることができる。即ち、
図13の図示状態及び
図14の左側の図示状態から、本サービスにより、
図14の右側の図示状態及び
図15の図示状態のような、閲覧の権限がある金額と日付とが当初情報のまま見ることができる。
これに対し、閲覧の権限が何もない場合は、
図13の図示状態及び
図16の左側の図示状態から次のようになる。即ち、本サービスにより、
図16の右側の図示状態及び
図17の図示状態のような、特定された非開示範囲は全て見ることができないようになる。
【0084】
<類似文章の検索に係る表示例について>
図18は、類似文章の検索に係る一例を示す図である。また、
図19は、閲覧権限レベルに応じた検索結果の一例を示す図である。
図18の左側に示す機密文章CD8(変更後ファイル)を検索元として、この機密文章CD8に類似する類似文章を類似検索部115が検索し、そして、検索結果を出力すると、検索結果類似文章SH1が
図18の右側に示すように表示される。なお、
図18では検索結果類似文章SH1のみが検索結果として表示されるが、複数表示されることもあるものとする。
この他、閲覧権限レベルに応じた検索結果の一例を挙げると、例えば「株式会社サンプル」で検索した場合、Aさんに対しては
図19(a)に示す検索結果類似文章SH2が表示される。具体的には、Aさんは会社名が非開示となる権限のために検索結果が表示されないという内容の、
図19(a)に示す検索結果類似文章SH2が表示される。
一方、上述同様に例えば「株式会社サンプル」で検索した場合、Bさんに対しては
図19(b)に示す検索結果類似文章SH3が表示される。具体的には、Bさんは会社名が非開示とならない権限のために、
図19(b)に示す会社名が分かる状態の検索結果類似文章SH3が表示される。なお、Bさんは金額に関して閲覧権限がないため、金額が非開示の状態になっている。
【0085】
<効果について>
以上、
図5乃至
図19を参照しながら説明してきたように、本サービスにより、当初ファイルにおける非開示にする範囲を適切にコントロールし、そして、変更後ファイルで示す状態で社内共有をすることができる。
また、変更後ファイルは、
図18及び
図19に示すような活用をすることができる。即ち、変更後ファイルを用いて類似文章を検索することができる。
【0086】
<まとめ>
以上、本発明の非開示範囲コントロールシステム100の一実施形態について説明したが、本発明は上述した本実施形態に限定されないものとする。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果の列挙に過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されないものとする。
上述した本実施形態では、当初ファイルが文書ファイルである例を挙げて説明してきたが、当初ファイルが、例えば、画像ファイルであってもよいものとする。
当初ファイルが画像ファイルである一例を、処理の流れで簡単に説明すると、例えば、次の(1)~(5)のような順序の処理になる。
即ち、(1)画像ファイルをアップロードする。(2)画像ファイルにOCR(Optical Character Recognition:光学式文字認識)をかけて文字種類と文字位置のXY座標を取得する。(3)取得したXY座標を基に非開示範囲を特定する。(4)特定した非開示範囲の画像を切り取り(抽出し)、この切り取った画像を当初情報として保存(記憶)する。また、切り取った個所に非開示情報をはめ込んで、変更後ファイルを生成する。(5)画像ファイルの復元に関しては、例えば、閲覧権限に応じて、上述の切り取り箇所に当初情報をはめ込み直すことで、画像ファイルを復元する。
なお、上述の(4)を次のような(6)としてもよいものとする。即ち「(6)特定した非開示範囲の画像を抽出し、この抽出した画像を当初情報として保存(記憶)する。また、抽出した個所に、例えば黒塗りをして、変更後ファイルを生成する。」としてもよいものとする。
【0087】
図6に示すハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されないものとする。また、
図7~
図8に示す機能的構成も例示に過ぎず、特に限定されないものとする。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が非開示範囲コントロールシステム100(サーバ1)に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に
図7~
図8の例に限定されないものとする。
【0088】
また、機能ブロックの存在場所も、
図7~
図8に特に限定されず、任意でよいものとする。例えば、サーバ1の機能ブロックを端末2等に適宜移譲させてもよいものとする。また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよいものとする。
【0089】
また、例えば、一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされるものとする。また、コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれるコンピュータであってもよいものとする。
コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバ1の他、汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよいものとする。
【0090】
また、例えば、このようなプログラムを含む記録媒体は、利用者にプログラムを提供するために、装置本体とは別に配布される図示しないリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態で利用者に提供される記録媒体等で構成されるものであってもよいものとする。
【0091】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理は勿論、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものとする。また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0092】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザーにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される
図3のリムーバブルメディア21により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態で利用者に提供される記録媒体等で構成される。
リムーバブルメディア21は、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini-Disk)等により構成される。
装置本体に予め組み込まれた状態でユーザーに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている
図6のROM12や、
図7の記憶部18に含まれるハードディスク等で構成される。
【0093】
以上まとめると、本発明が適用される非開示範囲コントロールシステムは、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、(1)本発明が適用される非開示範囲コントロールシステム(例えば、
図1及び
図5の非開示範囲コントロールシステム100)は、
範囲を特定するための範囲特定条件(例えば、
図10の範囲特定条件ic1~ic4)を基に、当初ファイル(例えば、
図1の機密文章CD1)の中で非開示にする非開示範囲(例えば、
図1の非開示範囲r-1~r-3)を特定する非開示範囲特定手段(例えば、
図8の非開示範囲特定処理部112b)と、
前記特定した非開示範囲に元々ある当初情報(例えば、
図1の当初情報d-1~d-3)を、非開示状態の情報となる非開示状態情報(例えば、
図1の非開示状態情報nd-1~nd-2)に変更する情報変更手段(例えば、
図8の情報変更処理部112e)と、を備える。
【0094】
本発明によれば、範囲特定条件を基に当初ファイルの中の非開示範囲を特定することができる。そして、特定した非開示範囲に元々ある当初情報を非開示状態情報に変更することができる。従って、本発明によれば、非開示にする範囲を適切にコントロールすることができる。これにより、例えば、非開示にする必要があるのにもかかわらず非開示にされていないと言うような箇所の発生を防止することができる。また、逆に、非開示にする必要がないのに非開示にされてしまうと言うような箇所の発生も防止することができる。
【0095】
また、(2)本発明が適用される非開示範囲コントロールシステムは、
前記当初情報を所定の第1記憶部(例えば、
図7の当初情報記憶部41)に記憶させる当初情報記憶手段(例えば、
図8の当初情報抽出記憶処理部112c)と、
前記非開示状態情報に変更した後の変更後ファイル(例えば、
図1の機密文章CD2~3)を前記第1記憶部と異なる第2記憶部(例えば、
図7の変更後ファイル記憶部185)に記憶させる変更後ファイル記憶手段(例えば、
図8の変更後ファイル記憶処理部112f)と、
前記当初情報と前記非開示範囲とを紐付けるための紐付け情報、前記第1記憶部、前記第2記憶部、及び、これらと異なる第3記憶部(図示省略)、のうち少なくとも一の記憶部に記憶させる紐付け情報記憶手段(例えば、
図8の紐付け情報記憶処理部112d)と、
前記当初ファイルを消去する当初ファイル消去手段(例えば、
図8の当初ファイル消去処理部112g)と、を更に備える((2)の内容は(1)の内容に従属する)。
【0096】
本発明によれば、当初情報の記憶先と変更後ファイルの記憶先とを異ならせることから、当初ファイルの復元を困難にしてセキュリティ面を高めることができる。また、変更後ファイルの生成に伴い当初ファイルを消去することから、上述同様、セキュリティ面を高めることができる。
【0097】
また、(3)本発明が適用される非開示範囲コントロールシステムは、
前記第1記憶部に記憶させた前記当初情報、前記第2記憶部に記憶させた前記変更後ファイル、及び、前記少なくとも一の記憶部に記憶させた前記紐付け情報を含んで復元ファイルを生成する復元ファイル生成手段(例えば、
図8の復元ファイル生成処理部113b)を更に備える((3)の内容は(2)の内容に従属する)。
【0098】
本発明によれば、当初情報の記憶先と変更後ファイルの記憶先とを異ならせていることから、セキュリティ面の高さを維持しつつ紐付け情報を基に復元ファイルを生成することができる。
【0099】
また、(4)本発明が適用される非開示範囲コントロールシステムは、
前記当初情報記憶手段は、前記当初情報に対しダミーの情報となるダミー情報(例えば、
図3の非開示状態情報nd-1e)も前記第1記憶部に記憶させる((4)の内容は(2)又は(3)の内容に従属する)。
【0100】
本発明によれば、第1記憶部に記憶された情報の中でどれが当初情報であるかを分り難くすることができる。これにより、セキュリティ面を高めることができる。
【0101】
また、(5)本発明が適用される非開示範囲コントロールシステムは、
前記範囲特定条件には、閲覧権限レベルに応じた条件となる権限レベル条件(例えば、
図10のチェックボックスcb)が含まれる((5)の内容は(1)乃至(4)の何れか1つの内容に従属する)。
【0102】
本発明によれば、閲覧権限レベルに応じて非開示範囲をコントロールすることができる。
【0103】
また、(6)本発明が適用される非開示範囲コントロールシステムは、
前記範囲特定条件には、所定の項目に応じた条件となる項目条件(例えば、
図10の範囲特定条件ic1~ic4)、又は、前記所定の項目が含まれるセンテンスに応じた条件となるセンテンス条件が含まれる((6)の内容は(1)乃至(5)の何れか1つの内容に従属する)。
【0104】
本発明によれば、所定の項目又はこれが含まれるセンテンスに応じて非開示範囲をコントロールすることができる。
【0105】
また、(7)本発明が適用される非開示範囲コントロールシステムは、
前記範囲特定条件は、前記非開示範囲を前記特定する前に、範囲長さの変更(例えば、
図2の矢印a-2)要否を受け付けて、変更の必要がある場合に、前記範囲長さを変更する((7)の内容は(1)乃至(6)の何れか1つの内容に従属する)。
【0106】
本発明によれば、非開示範囲を特定する前に範囲長さを変更できることから、非開示範囲のコントロールをより良くすることができる。
【0107】
また、(8)本発明が適用される非開示範囲コントロールシステムは、
前記非開示状態情報に変更した後の変更後ファイルに類似する類似文章を検索する類似検索手段(例えば、
図7の類似検索部115)を更に備える。
本発明によれば、変更後ファイルを用いて、この変更後ファイルに類似する類似文章を検索することができる。
【0108】
本発明が適用される非開示範囲コントロール方法は、
非開示範囲コントロールシステムが実行する非開示範囲コントロール方法であって、
範囲を特定するための範囲特定条件を基に、当初ファイルの中で非開示にする非開示範囲を特定する非開示範囲特定ステップと、
前記特定した非開示範囲に元々ある当初情報を、非開示状態の情報となる非開示状態情報に変更する情報変更ステップと、を含む。
【0109】
本発明によれば、範囲特定条件を基に当初ファイルの中の非開示範囲を特定することができる。そして、特定した非開示範囲に元々ある当初情報を非開示状態情報に変更することができる。従って、本発明によれば、非開示にする範囲を適切にコントロールすることができる。これにより、例えば、非開示にする必要があるのにもかかわらず非開示にされていないと言うような箇所の発生を防止することができる。また、逆に、非開示にする必要がないのに非開示にされてしまうと言うような箇所の発生も防止することができる。
【0110】
本発明が適用されるプログラムは、
非開示範囲コントロールシステムを制御するコンピュータに、
範囲を特定するための範囲特定条件を基に、当初ファイルの中で非開示にする非開示範囲を特定する非開示範囲特定ステップと、
前記特定した非開示範囲に元々ある当初情報を、非開示状態の情報となる非開示状態情報に変更する情報変更ステップと、を含む制御処理を実行させる。
【0111】
本発明によれば、範囲特定条件を基に当初ファイルの中の非開示範囲を特定することができる。そして、特定した非開示範囲に元々ある当初情報を非開示状態情報に変更することができる。従って、本発明によれば、非開示にする範囲を適切にコントロールすることができる。これにより、例えば、非開示にする必要があるのにもかかわらず非開示にされていないと言うような箇所の発生を防止することができる。また、逆に、非開示にする必要がないのに非開示にされてしまうと言うような箇所の発生も防止することができる。
【符号の説明】
【0112】
1・・・サーバ、2・・・端末、4・・・記憶装置、100・・・非開示範囲コントロールシステム、112・・・非開示範囲処理部、112a・・・共有要求受信処理部、112b・・・非開示範囲特定処理部(非開示範囲特定手段)、112c・・・当初情報抽出記憶処理部(当初情報記憶手段)、112d・・・紐付け情報記憶処理部(紐付け情報記憶手段)、112e・・・情報変更処理部(情報変更手段)、112f・・・変更後ファイル記憶処理部(変更後ファイル記憶手段)、112g・・・当初ファイル消去処理部(当初ファイル消去手段)、N・・・ネットワーク