(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169150
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】三次元表示システム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20231121BHJP
A63B 69/00 20060101ALI20231121BHJP
A61B 5/11 20060101ALN20231121BHJP
【FI】
G16H20/00
A63B69/00 A
A61B5/11 120
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133459
(22)【出願日】2023-08-18
(62)【分割の表示】P 2021139193の分割
【原出願日】2017-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】517233438
【氏名又は名称】株式会社テクリコ
(71)【出願人】
【識別番号】500409219
【氏名又は名称】学校法人関西医科大学
(74)【代理人】
【識別番号】100136847
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼山 嘉成
(72)【発明者】
【氏名】杉山 崇
(72)【発明者】
【氏名】坂本 礼央
(72)【発明者】
【氏名】長谷 公隆
(72)【発明者】
【氏名】橋本 晋吾
(57)【要約】
【課題】
リハビリテーションに用いられる情報を三次元表示で行うシステムを提供する。
【解決手段】
三次元表示システムは、複合現実または仮想現実による表示が可能な三次元表示部300を備え、リハビリテーションに用いられる情報を三次元表示部300に表示させることでリハビリテーションを実行することが可能である。三次元表示部300は、リハビリテーションに用いられる情報を、複合現実または仮想現実によって、表示する映像部320と、被験者の動作を検出するための動作検出手段とを含む。三次元表示システムは、動作検出手段により被験者の動作を検出して、被験者の動作に応じて、映像部320での表示を変化させながら、リハビリテーションを実行する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合現実または仮想現実による表示が可能な三次元表示部を備え、リハビリテーションに用いられる情報を前記三次元表示部に表示させることでリハビリテーションを実行することが可能な三次元表示システムであって、
前記三次元表示部は、
リハビリテーションに用いられる情報を、複合現実または仮想現実によって、表示する映像部と、
被験者の動作を検出するための動作検出手段とを含み、
前記三次元表示システムは、前記動作検出手段により前記被験者の動作を検出して、前記被験者の動作に応じて、前記映像部での表示を変化させながら、リハビリテーションを実行することを特徴とする、三次元表示システム。
【請求項2】
前記映像部は、リハビリテーションに用いられる情報を、左右の所定の視野角度にわたって表示し、前記情報と共に手を表示する没入型であるか、又は、前記被験者の手を透過して認識できるようにして前記情報を表示する透過型のどちらかであることを特徴とする、請求項1に記載の三次元表示システム。
【請求項3】
前記情報は、前記被験者が選択する対象であり、前記映像部が前記対象を表示することを特徴とする、請求項1又は2に記載の三次元表示システム。
【請求項4】
前記動作検出手段によって、前記被験者が前記情報を選択するような動作を行った場合に、前記三次元表示システムは、前記映像部での表示を変化させることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の三次元表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リハビリテーションに用いられる三次元表示システムに関する。以下、本明細書及び図面において、三次元表示装置と表現した場合、三次元表示システムを意味する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1(特開2015-213539号公報)には、運転適性を確実に診断する運転適性診断装置について開示されている。
【0003】
特許文献1記載の運転適性診断装置においては、被験者が視認するモニタと、被験者が操作するスイッチと、所定のプログラムを記憶する記憶手段と、前記プログラムを実行する制御手段と、を備えており、前記制御手段が前記プログラムの実行により実現する手段として、視覚により判別可能な複数種類の移動物体と、該移動物体が通過する境界線とを、前記モニタに表示する表示手段と、前記複数種類の移動物体の中から被験者が前記スイッチにより選択すべき選択対象の移動物体を設定する設定手段と、前記モニタに同時に表示される複数の移動物体の動きを制御する動き制御手段と、前記境界線に差し掛かった移動物体の種類と、被験者がスイッチを押下した移動物体の種類とが、一致しているかどうかを判断する第一判断手段と、前記第一判断手段において、前記選択対象の移動物体と相違すると判断した場合は不正解と判定する第一判定手段と被験者がスイッチを押下した時、移動物体が境界線上にあるかを判断する第二判断手段と、前記第二判断手段において、移動物体が境界線上にあると判断した場合は正解と判定し、境界線にないと判断した場合は不正解と判定するとともに、前記不正解と判定した場合において、移動物体が境界線に達していない場合は第一不正解と判定し、移動物体が境界線を過ぎている場合は第二不正解と判定する第二判定手段と、前記第二判断手段において正解と判定された場合、前記スイッチ押下時の移動物体に対する境界線の位置が、移動物体の前方領域である場合は中間の反応として、移動物体の後方領域である場合は遅い反応として判定する第三判定手段と、前記第一判定手段、前記第二判定手段、前記第三判定手段の判定に基づく検査結果と、前記記憶手段に格納された既存の検査結果と交通事故との相関を示すデータとを照合して、被験者の交通事故の可能性を診断する診断手段とを有する、ものである。
【0004】
特許文献2(特開2000-126148号公報)には、個々の(単一試行における)脳波データから特徴的なパターンを抽出して脳波データの加算平均を得る作業などを自動化する脳波データ処理装置について開示されている。
【0005】
特許文献2記載の脳波データ処理装置においては、単一試行の際に得られた個々の脳波データから特徴的なパターンを検出する脳波データ処理装置において、デジタル脳波データを格納する脳波データ格納手段と、前記脳波データ格納手段から読み出されたデジタル脳波データに対してウエーブレット変換を施してウエーブレット係数を求めるウエーブレット変換手段と、前記ウエーブレット変換でのスケール・パラメータ及びシフト・パラメータの関数値として、前記ウエーブレット係数を出力するウエーブレット係数曲面出力手段と、ウエーブレット係数ウインドーを設定するウエーブレット係数ウインドー・パラメータ設定手段と、前記スケール・パラメータ、前記シフト・パラメータ及び前記ウエーブレット係数とによって規定されるウエーブレット係数曲面から、前記ウエーブレット係数ウインドーに基づいて、所定の領域を抽出するウエーブレット係数ウインドー手段と、個々のデジタル脳波データごとに、前記ウエーブレット係数ウインドー手段によって前記ウエーブレット係数曲面から前記所定の領域が抽出されたかどうかを判別する脳波データ判別手段と、を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-213539号公報
【特許文献2】特開2000-126148号公報
【非特許文献3】注意機能障害の認知神経心理学的研究“作業療法学分野での活用をめざして 京都女子大学 博士(教育学)学位請求論文 鈴木考治;“(1498810773783_0.pdf)
【非特許文献4】“反応時間課題を用いた注意障害に対する評価方法の開発と臨床応用の可能性について”札幌医科大学大学院保険医療学研究科博士課程前期 理学療法学・作業療法学専攻間隔統合障害分野 金谷 匡紘;(1498810773783_1.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1および2には、一般的な机上の検査について開示されている。また、非特許文献3および4には、パーソナルコンピュータを用いて検査を行うことについて開示されている。
【0008】
しかしながら、机上または平面のパーソナルコンピュータにより、たとえば、高次脳機能検査を行うことは、空間認識能力の評価としては、最適とは言い難い。また、たとえば、反復して高次脳機能検査を行う場合には、人間の学習能力も検査結果の阻害要因となり得て、好ましくない。
【0009】
また、従来、被験者の高次脳機能検査における視線の履歴を確認することができなかった。
【0010】
従来、机上や平面のパーソナルコンピュータによって、検査やリハビリテーションを行うものは提案されていたものの、三次元表示を用いて、検査やリハビリテーションを行うものは存在しなかった。
それゆえ、本発明の目的は、リハビリテーションに用いられる情報を三次元表示で行うシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような特徴を有する。
本発明は、複合現実または仮想現実による表示が可能な三次元表示部を備え、リハビリテーションに用いられる情報を前記三次元表示部に表示させることでリハビリテーションを実行することが可能な三次元表示システムである。
三次元表示部は、リハビリテーションに用いられる情報を、複合現実または仮想現実によって、表示する映像部と、被験者の動作を検出するための動作検出手段とを含む。
そして、三次元表示システムは、動作検出手段により被験者の動作を検出して、被験者の動作に応じて、映像部での表示を変化させながら、リハビリテーションを実行する。
好ましくは、映像部は、リハビリテーションに用いられる情報を、左右の所定の視野角度にわたって表示し、当該情報と共に手を表示する没入型であるか、又は、被験者の手を透過して認識できるようにして当該情報を表示する透過型のどちらかであるとよい。
好ましくは、当該情報は、被験者が選択する対象であり、映像部が当該対象を表示するとよい。
好ましくは、動作検出手段によって、被験者が当該情報を選択するような動作を行った場合に、三次元表示システムは、映像部での表示を変化させるとよい。
【0012】
また、本明細書には、例として高次脳機能障害の事例についての以下の発明が含まれる。
(1)
一局面に従う高次脳機能検査用の三次元表示装置は、被験者のカルテ履歴情報、高次脳機能検査の検査履歴情報および高次脳機能検査プログラム情報を記録する記録部と、三次元表示部と、三次元表示部の表示を制御する制御部と、を含み、制御部は、記録部に記録された少なくとも被験者のカルテ履歴情報および高次脳機能検査の検査履歴情報のいずれかまたは両方に基づいて、高次脳機能検査プログラム情報を選定し、三次元表示部に高次脳機能検査の表示を行うものである。
【0013】
この場合、制御部により被験者のカルテ履歴情報および高次脳機能検査の検査履歴情報のいずれかまたは両方に基づいて、高次脳機能検査プログラム情報が選定される。すなわち、被験者の病状に最適な高次脳機能検査プログラム情報を選定することができる。
また、高次脳機能検査の検査履歴情報に基づく場合には、他の被験者の高次脳機能検査の検査履歴情報を用いることができるので、制御部は、多くの他の被験者のうち、リハビリテーションにより病状が回復した高次脳機能検査プログラム情報を選定させることができる。したがって、被験者にとってより良い高次脳機能検査プログラム情報を三次元表示部に表示させることができる。
さらに、三次元表示部に表示させることで、二次元の紙媒体の場合と比較して、空間認識能力を高めることができる。
また、紙媒体の場合と比較して、反復検査において、被験者の学習効果が表れにくいため、本来の検査結果を得ることができないという問題が生じにくい。
また、三次元表示部に表示させることで、机上の状態と異なり、身体活動を伴う日常生活場面における能力を正確に試験結果に反映することができる。
また、複数の被験者を同時に検査することができるため、医師または検査技師の数が少ない施設においても、複数の被験者の検査を効率的に行うことができる。
【0014】
(2)
第2の発明にかかる高次脳機能検査用の三次元表示装置は、一局面に従う高次脳機能検査用の三次元表示装置において、制御部は、三次元表示部に表示を行った後、高次脳機能検査の結果を記録部に記録してもよい。
【0015】
この場合、制御部は、三次元表示部に表示を行った後、高次脳機能検査の結果を記録部に記録することができる。その結果、記録部の情報をフィードバック処理することができ、被験者の状態に応じて、リハビリテーションにより病状がより回復した高次脳機能検査プログラム情報を選定させることができる。
【0016】
(3)
第3の発明にかかる高次脳機能検査用の三次元表示装置は、一局面または第2の発明にかかる高次脳機能検査用の三次元表示装置において、高次脳機能検査の視線履歴情報をさらに含み、記録部は、視線履歴情報を記録し、制御部は、視線履歴情報に基づいて、高次脳機能検査プログラム情報を選定し、三次元表示部に高次脳機能検査の表示を行ってもよい。
【0017】
この場合、制御部は、視線履歴情報を記録部に記録させる。その結果、被験者の高次脳機能検査における視線の履歴を確認することができる。
具体的に、高次脳機能検査においては、視野角180度のうち、右半分または左半分、上半分または下半分等の特定の範囲のみ認識する場合がある。その場合において、視線の履歴を残すことで被験者の状態を認識することができる。
したがって、視線履歴情報を含めた高次脳機能検査プログラム情報を選定することができるので、被験者の病状が、さらに回復することを望むことができる。
【0018】
(4)
第4の発明にかかる高次脳機能検査用の三次元表示装置は、一局面から第3の発明のいずれかにかかる高次脳機能検査用の三次元表示装置において、選定された高次脳機能検査プログラム情報および被験者のカルテ履歴情報および高次脳機能検査の検査履歴情報を表示することができる報知部をさらに含んでもよい。
【0019】
この場合、報知部により選定された高次脳機能検査プログラム情報および被験者のカルテ履歴情報および高次脳機能検査の検査履歴情報が表示されるので、医者または医療従事者が、被験者の検査内容、検査結果、検査状況を確認することができる。
【0020】
(5)
第5の発明にかかる高次脳機能検査用の三次元表示装置は、一局面から第4の発明のいずれかにかかる高次脳機能検査用の三次元表示装置において、高次脳機能検査の高次脳機能検査プログラム情報は、TMT(Trail Making Test(トレイルメイキングテスト))のプログラム情報、および/または、BIT(Behavioural inattention test)のプログラム情報を含んでもよい。
【0021】
この場合、高次脳機能検査プログラム情報は、TMTのプログラム情報、および/または、BITのプログラム情報を含むので、多種のTMTのプログラム情報、および/または、多種のBITのプログラム情報を有するとともに、確実に高次脳機能検査の検査を実施することができる。
【0022】
(6)
第6の発明にかかる高次脳機能検査用の三次元表示装置は、一局面から第5の発明のいずれかにかかる高次脳機能検査用の三次元表示装置において、被験者が高次脳機能検査の検査を行った場合の動画情報を含んでもよい。
【0023】
この場合、医者または医療従事者が、動画情報を確認し、被験者の検査状況、回復状況等を容易に確認することができる。また、AI技術を用いて、動画情報が類似している過去に病状が回復した被験者の動画情報と比較することもできる。
【0024】
(7)
第7の発明にかかる高次脳機能検査用の三次元表示装置は、一局面から第6の発明のいずれかにかかる高次脳機能検査用の三次元表示装置において、高次脳機能検査の検査履歴情報は、被験者の試験結果および誤回答情報を含んでもよい。
【0025】
この場合、医師または医療従事者が、動画情報を確認し、被験者の検査状況、回復状況等を容易に確認することができる。特に被験者の試験結果を的確に計算するので、医療従事者の手間を省くことができる。また、誤回答情報も有するので、医師または医療従事者が的確に被験者の状況を確認することができる。
【0026】
(8)
第8の発明にかかる高次脳機能検査用の三次元表示装置は、一局面から第7の発明のいずれかにかかる高次脳機能検査用の三次元表示装置において、被験者のカルテ履歴情報は、MRI(Magnetic Resonance Imaging)検査結果、またはCT(Computed Tomography)検査結果とリンク付けされていてもよい。
【0027】
この場合、被験者のカルテ履歴情報は、MRI検査結果およびCT検査結果とリンク付けされているので、MRI検査結果およびCT検査結果に応じた高次脳機能検査を実施することができる。これにより、被験者の脳機能検査をより正確に行うことができる。
【0028】
(9)
第9の発明にかかる高次脳機能検査用の三次元表示装置は、一局面から第8の発明のいずれかにかかる高次脳機能検査用の三次元表示装置において、記録部は、クラウドサーバ、またはハードディスクドライブ記録媒体からなってもよい。
【0029】
この場合、記録部がクラウドサーバからなる場合には、高次脳機能検査を広範囲にわたって実施することができる。特に、国内に限らず、世界中の高次脳機能検査の結果を集めて記録することができる。
【0030】
また、ハードディスクドライブ記録媒体からなる場合には、院内におけるデータを容易に探すことができる。また、検査結果を複数の施設で共有することができるため、医師が少ない又は不在の施設において行った検査の結果を被験者の診断および治療に利用することができる。
【0031】
(10)
第10の発明にかかる高次脳機能検査用の三次元表示装置は、一局面から第9の発明のいずれかにかかる高次脳機能検査用の三次元表示装置において、三次元表示部は、ヘッドマウントディスプレイ表示装置からなってもよい。
【0032】
この場合、三次元表示部は、ヘッドマウントディスプレイ表示装置からなるので、被験者は、容易に三次元表示に没頭することができる。その結果、的確な高次脳機能検査を実施することができる。
【0033】
(11)
他の局面にかかる高次脳機能検査用の三次元表示方法は、被験者のカルテ履歴情報、高次脳機能検査の検査履歴情報および高次脳機能検査プログラム情報を記録する記録工程と、三次元表示工程と、三次元表示工程で表示を制御する制御工程と、を含み、制御工程は、記録された少なくとも被験者のカルテ履歴情報および高次脳機能検査の検査履歴情報のいずれかまたは両方に基づいて、高次脳機能検査プログラム情報を選定する選定工程と、選定工程により選定された高次脳機能検査を三次元表示工程で表示する表示工程を含むものである。
【0034】
この場合、制御工程により被験者のカルテ履歴情報および高次脳機能検査の検査履歴情報のいずれかまたは両方に基づいて、高次脳機能検査プログラム情報が選定される。すなわち、被験者の病状に最適な高次脳機能検査プログラム情報を選定することができる。
また、高次脳機能検査の検査履歴情報に基づく場合には、他の被験者の高次脳機能検査の検査履歴情報を用いることができるので、制御工程においては、多くの他の被験者のうち、リハビリテーションにより病状が回復した高次脳機能検査プログラム情報を選定させることができる。したがって、被験者にとってより良い高次脳機能検査プログラム情報を三次元表示部に表示させることができる。
さらに、三次元表示部に表示させることで、二次元の紙媒体の場合と比較して、空間認識能力を高めることができる。
また、紙媒体の場合には、反復検査において、被験者の学習効果が表れるため、本来の検査結果を得ることができないという問題が生じる。
また、三次元表示工程で表示させることで、机上の状態と異なり、身体活動を伴う日常生活場面における能力を正確に試験結果に反映することができる。
【0035】
(12)
第12の発明にかかる高次脳機能検査用の三次元表示方法は、他の局面にかかる高次脳機能検査用の三次元表示方法において、制御工程は、表示工程の後、高次脳機能検査の結果を記録工程で記録するフィードバック記録工程を含んでもよい。
【0036】
この場合、制御部は、三次元表示工程で表示を行った後、高次脳機能検査の結果を記録工程で記録することができる。その結果、記録工程における情報をフィードバック処理することができ、被験者の状態に応じて、リハビリテーションにより病状がより回復した高次脳機能検査プログラム情報を選定させることができる。
【0037】
(13)
さらに他の局面に従う高次脳機能検査用の三次元表示プログラムは、被験者のカルテ履歴情報、高次脳機能検査の検査履歴情報および高次脳機能検査プログラム情報を記録する記録処理と、三次元表示処理と、三次元表示処理の表示を制御する制御処理と、を含み、制御処理は、記録された少なくとも被験者のカルテ履歴情報および高次脳機能検査の検査履歴情報のいずれかまたは両方に基づいて、高次脳機能検査プログラム情報を選定する選定処理と、選定処理により選定された高次脳機能検査を三次元表示処理で表示する表示処理を含むものである。
【0038】
この場合、制御処理により被験者のカルテ履歴情報および高次脳機能検査の検査履歴情報のいずれかまたは両方に基づいて、高次脳機能検査プログラム情報が選定される。すなわち、被験者の病状に最適な高次脳機能検査プログラム情報を選定することができる。
また、高次脳機能検査の検査履歴情報に基づく場合には、他の被験者の高次脳機能検査の検査履歴情報を用いることができるので、制御処理は、多くの他の被験者のうち、リハビリテーションにより病状が回復した高次脳機能検査プログラム情報を選定させることができる。したがって、被験者にとってより良い高次脳機能検査プログラム情報を三次元表示処理で表示させることができる。
さらに、三次元表示処理に表示させることで、二次元の紙媒体の場合と比較して、空間認識能力を高めることができる。
また、紙媒体の場合には、反復検査において、被験者の学習効果が表れるため、本来の検査結果を得ることができないという問題が生じる。
また、三次元表示処理で表示させることで、机上の状態と異なり、身体活動を伴う日常生活場面における能力を正確に試験結果に反映することができる。
【0039】
(14)
第14の発明にかかる高次脳機能検査用の三次元表示プログラムは、さらに他の局面に従う高次脳機能検査用の三次元表示プログラムにおいて、制御処理は、表示処理の後、高次脳機能検査の結果を記録処理に記録するフィードバック記録処理を含んでもよい。
【0040】
この場合、制御処理は、三次元表示処理で表示を行った後、高次脳機能検査の結果を記録処理することができる。その結果、記録処理の情報をフィードバック処理することができ、被験者の状態に応じて、リハビリテーションにより病状がより回復した高次脳機能検査プログラム情報を選定処理により選定させることができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、リハビリテーションに用いられる情報を三次元表示で行うシステムが提供されることとなる。三次元表示部により、複合現実(Mixed Reality, MR)空間または仮想現実(Virtual Reality, VR)でのリハビリテーションの実施を行うことができる。
【0042】
本発明のこれら、及び他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本実施の形態にかかる高次脳機能検査の三次元表示装置の一例を示す模式図である。
【
図2】制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3】三次元表示制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】映像部に表示されたTMT検査の一例を示す模式図である。
【
図5】制御部の報知部の表示の一例を示す模式図である。
【
図6】制御部の報知部の表示の一例を示す模式図である。
【
図7】本実施の形態にかかる高次脳機能検査の三次元表示装置の他の例を示す模式図である。
【
図8】三次元表示制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付す。また、同符号の場合には、それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さないものとする。
【0045】
(一実施の形態)
まず、
図1は本実施の形態にかかる高次脳機能検査の三次元表示装置100の一例を示す模式図である。
【0046】
(高次脳機能検査の三次元表示装置の概略)
図1に示す高次脳機能検査の三次元表示装置100は、記録部200、三次元表示部300、報知部400および制御部500を含む。
【0047】
(記録部)
記録部200は、少なくとも複数の被験者履歴210、複数のCTスキャンデータまたは/およびMRIデータ220、複数のTMT履歴および/またはBIT履歴230、および複数の視線履歴240を記録する。また、記録部200は、クラウドサーバからなる。
【0048】
なお、記録部200は、クラウドサーバからなることとしているが、これに限定されず、ハードディスクドライブ記録媒体または、ハードディスクドライブ記録媒体およびクラウドサーバの両方で構成されていてもよい。
【0049】
また、複数の被験者履歴210には、被験者のカルテ情報および病状回復情報が含まれる。病状回復情報には、病状の回復度合い、病状の回復時間等が含まれる。
複数のCTスキャンデータまたは/およびMRIデータ220には、CTスキャン検査の結果およびMRI検査の結果が含まれる。
さらに、複数のTMT履歴および/またはBIT履歴230には、TMT検査の結果またはBIT検査の結果が含まれる。また、複数の視線履歴240には、TMT検査の被験者の視線の動き、BIT検査の被験者の視線の動きが含まれる。
【0050】
なお、本実施の形態においては、複数の被験者履歴210を軸として、複数のCTスキャンデータまたは/およびMRIデータ220、複数のTMT履歴および/またはBIT履歴230、および複数の視線履歴240が、被験者毎にリンク付けされる。
【0051】
(三次元表示部)
三次元表示部300は、ヘッドマウントディスプレイからなる。したがって、三次元表示部300は、主に、三次元表示制御部310、映像部320、トラッキングカメラ330、視線検出部340、三次元表示記録部350を含む。
三次元表示記録部350には、後述する高次脳機能検査プログラム(TMT検査またはBIT検査)の履歴情報を仮記録するとともに、高次脳機能検査プログラム(TMT検査またはBIT検査)を稼働可能にするソフトウェアプログラムが記録されている。
映像部320は、高次脳機能検査プログラムが実行された場合に、当該プログラムに応じた表示が行われる。また、トラッキングカメラ330は、映像部320を確認した被験者の動作を認識することができる。トラッキングカメラ330により検出された像が、映像部320に表示される(
図4参照)。
【0052】
なお、本実施の形態においては、ヘッドマウントディスプレイからなることとしているが、これに限定されず、ホロレンズ(HOLOLENS)アナグリフ式、偏光式、液晶シャッター式、空間分割表示方式、2視点設定方式、多視点設定方式、光線空間再現方式、インテグラル方式等の任意の方式からなってもよい。
また、トラッキングカメラ330を用いることとしているが、これに限定されず、他のアイトラッキング、ヘッドトラッキング等の任意の方式からなってもよい。
【0053】
(報知部)
報知部400は、液晶画面の表示装置からなる。すなわち、表示および音声を出力可能なものである。
【0054】
(制御部500)
図2は、制御部500の処理の一例を示すフローチャートである。
図2に示すように、制御部500は、被験者情報を取得する(ステップS101)。
ここで、制御部500は、記録部200に記録されている被験者情報である被験者履歴210を読み込む。
次に、制御部500は、記録部200に記録されている複数の高次脳機能検査のうちから、被験者に最適な高次脳機能検査プログラムを選定する(ステップS102)。
制御部500は、三次元表示部300に選定された高次脳機能検査プログラムを送信する(ステップS103)。
ここで、制御部500は、選定された高次脳機能検査プログラムにおいて、被験者が過去に全く同一のプログラムを実施していた場合、同じ検査であっても中身が異なるように制御する。具体的には、後述する
図4で示す検査を実施していた場合、数字の配置を変更させて検査を実施するよう制御する。
なお、上記の実施の形態においては、検査を主として説明しているが、当該検査には、被験者のトレーニングも含まれる。また、被験者のトレーニングの場合には、より数字の配置を大きく変更させてもよい。
【0055】
次いで、制御部500は、三次元表示部300から高次脳機能検査の結果が送信されているか否かを判定する(ステップS104)。
三次元表示部300から高次脳機能検査の結果が送信されていない場合(ステップS104のNo)、制御部500は、ステップS104の処理を繰り返す。
【0056】
一方、三次元表示部300から高次脳機能検査の結果が送信されている場合(ステップS104のYes)、制御部500は、高次脳機能検査の結果を受信する(ステップS105)。次に、制御部500は、受信した高次脳機能検査の結果を記録部200に記録する(ステップS106)。
最後に、制御部500は、病状の回復度合い(正答率)を記録部200に記録する。
【0057】
(三次元表示部300の三次元表示制御部310)
図3は、三次元表示制御部310の処理の一例を示すフローチャートである。
【0058】
三次元表示制御部310は、制御部500から送信された被験者に最適な高次脳機能検査プログラムを受信したか否かを判定する(ステップS201)。
高次脳機能検査プログラムが受信されていないと判定した場合(ステップS201のNo)、三次元表示制御部310は、ステップS201の処理を繰り返す。
【0059】
一方、高次脳機能検査プログラムが受信されたと判定した場合(ステップS201のYes)、三次元表示制御部310は、高次脳機能検査プログラムを読み込み、検査を実行
する(ステップS202)。
【0060】
まず、三次元表示制御部310は、映像部320に高次脳機能検査プログラムを表示させる(ステップS203)。
次いで、三次元表示制御部310は、トラッキングカメラ330により被験者の動作を検出する(ステップS204)。
この被験者の動作の検出が、動作検出手段である。
なお、本実施の形態においては、トラッキングカメラ330に限定されず、他の任意の入力装置、クリッカー等を用いてもよい。
三次元表示制御部310は、動作検出手段によって検出された動作に応じて、高次脳機能検査プログラムに従い、映像部320の表示を変化させる(ステップS205)。
【0061】
また、三次元表示制御部310は、視線検出部340により被験者の視線を検出する(ステップS206)。三次元表示制御部310は、検査結果および検出された視線の動作を三次元表示記録部350に記録させる(ステップS207)。
【0062】
次に、三次元表示制御部310は、三次元表示記録部350に記録された高次脳機能検査の結果を制御部500へ送信する(ステップS208)。
【0063】
図4は、映像部320に表示されたTMT検査の一例を示す模式図である。
【0064】
図4に示すように、映像部320には、例えば、左右の視野角180度にわたって、数字の「1」から「30」が配置して表示される。また、映像部320には、被験者の手が表示される。ここで、映像部320が没入型の場合、手H1を表示し、映像部320が透過型の場合、手H1を表示させず、被験者の手を透過して認識できるようにしてもよい。
なお、本実施の形態にかかる映像部320の視野角は左右180度としているが、左右10度以上90度以下であってもよく、上下10度以上90度以下であってもよく、上下3度以上30度以下であってもよい。
なお、本実施の形態にかかる高次脳機能検査の三次元表示装置100においては、映像部320には、都度異なる配置の数字の「1」から「30」が表示される。具体的には、三次元表示制御部210は、当該数字の自動配列を行う。
【0065】
また、被験者は、手で数字の小さい値から順に大きい値へ押して選択するような動作を行う。その結果、トラッキングカメラ330により被験者の手が検知され、三次元表示制御部310から映像部320に、押された値が小さい値から順に大きい値に合致していれば、当該押された値が消去されるよう指示することで、値が消去されて映像部320での表示が変化する。
【0066】
図5および
図6は、制御部500の報知部400の表示の一例を示す模式図である。
【0067】
図5に示すように、報知部400の表示は、三次元表示部300と通信を行うためのIPアドレス設定、被験者表示、アプリ設定、テンプレート設定、実行モード設定、カラー設定、ヒント表示までの時間設定、表示範囲設定、制限時間設定等のプルタブが表示される。
その結果、医者または医療従事者は、三次元表示部300の動作を設定することができ、さらに、検査内容を認識することができる。
また、
図6に示すように、映像部320の表示をそのまま表示させるとともに、視線履歴EYEを表示させてもよい。その結果、医者または医療従事者は、被験者の高次脳機能検査の場合の視線の動きを容易に認識することができる。
【0068】
なお、上記の実施の形態においては、リアルタイムにおいて映像部320の表示を報知部400に表示させることとしているが、これに限定されず、記録部200に記録し、所定の時間経過後に報知部400に表示させてもよく、倍速、3倍速で表示させてもよい。
【0069】
(他の実施の形態)
まず、
図7は本実施の形態にかかる高次脳機能検査の三次元表示装置100の他の例を示す模式図である。
【0070】
図7に示す高次脳機能検査の三次元表示装置100aは、記録部200、三次元表示部300を含む。
本実施の形態においては、一実施の形態にかかる高次脳機能検査の三次元表示装置100の制御部500および三次元表示部300の三次元表示制御部310の両者の処理動作を、三次元表示部300の三次元表示制御部310が単独で処理するものである。
【0071】
図8は、三次元表示制御部310の処理の一例を示すフローチャートである。
【0072】
図8に示すように、三次元表示制御部310は、クラウドサーバからなる記録部200と通信を行う(ステップS301)
ここで、三次元表示制御部310は、記録部200に記録されている被験者情報である被験者履歴210を読み込む。
次に、三次元表示制御部310は、記録部200に記録されている複数の高次脳機能検査のうちから、被験者に最適な高次脳機能検査プログラムを選定する(ステップS302)。三次元表示制御部310は、高次脳機能検査プログラムを読み込み、検査を実行する(ステップS303)。
【0073】
三次元表示制御部310は、映像部320に高次脳機能検査プログラムを表示させる(ステップS304)。
次いで、三次元表示制御部310は、トラッキングカメラ330により被験者の動作を検出する(ステップS305)。
この被験者の動作の検出が、動作検出手段である。
三次元表示制御部310は、動作検出手段によって検出された動作に応じて、高次脳機能検査プログラムに従い、映像部320の表示を変化させる(ステップS306)。
視線検出部340により被験者の視線を検出する(ステップS307)。三次元表示制御部310は、検査結果および検出された視線の動作を記録部300に記録させる(ステップS308)。
【0074】
なお、本実施の形態においては、別の端末で、病状の回復度合いを記録部200に記録させることとしているが、これに限定されず、三次元表示制御部310を用いて、医師が記録部200に記録させてもよい。
【0075】
以上のように、本実施の形態にかかる高次脳機能検査の三次元表示装置100,100aにおいては、高次脳機能障害者向けリハビリテーションとして効果が限定的であった平面上で実施される脳機能検査及び訓練を、立体または空間上で行うことで、適切かつ効果的なリハビリテーションを実現させることができる。
【0076】
また、三次元表示装置100により、複合現実(Mixed Reality, MR)空間または仮想現実(Virtual Reality, VR)でのリハビリテーションの実施を行うことができる。
また、本実施の形態にかかる三次元表示装置100により、従来アナログ的に実施してきた高次脳機能検査または訓練は、被験者自身をより効果的な検査に導き、なおかつデータを蓄積することで被験者毎の解決策の糸口を探ることができるというメリットを得ることができる。
【0077】
その結果、脳卒中や交通事故等を原因として高次脳機能障害を負った患者あるいは認知症患者、または高次脳機能検査を長期間に渡り複数回実施する被験者、の脳機能向上の訓練および空間認知機能の治療を実施することができる。
【0078】
また、記録部200に高次脳機能検査の結果を記録することにより、同様の症状の患者の中で、改善または回復症状が大きく見られた高次脳機能検査を実施することで、被験者の回復を期待することができる。
また、被験者の個々の高次脳機能検査の結果を記録することにより、被験者毎の定性分析を行うことが可能となり、従来一部の医師等にノウハウとして蓄積されていたリハビリテーションにおける急性期、回復期、維持期と呼ばれる各ステージに於いて適切なリハビリを自動的に選定することができる。
【0079】
また、三次元表示装置100を用いることで、二次元では限定的だった臨場感や没入感が発揮され、被験者の回復度合いに高い効果を期待することができる。
また、紙媒体等の高次脳機能検査において生じていた、紙と鉛筆とを用いて机の上で実施するため、「勉強」というニュアンスが強くなり、当該行為に慣れていない人々にとっては苦痛感が増し、集中力が途切れてしまうという問題も三次元表示装置100を用いることで、解消することができる。
【0080】
また、高次脳機能検査の結果を自動的に記録するので、自動採点を行うことができ、医療従事者または医師の作業を低減することができるとともに、高次脳機能検査の精度向上を見込むことができる。
【0081】
さらに、視線履歴240を記録部200に記録することで、被験者の向いた目線が履歴として残され、検査上または訓練上の課題を発見することができる。
また、高次脳機能検査プログラムにより、検査を変化させることができる。従来の紙媒体を利用した高次脳機能検査であれば同じ配列の検査を繰り返す場合が多く、複数回実施するうちに患者が配列を記憶してしまい、検査としての意味合いが薄れてしまう問題点があったが、三次元表示装置100を用いることで、当該問題点を解消することができる。
【0082】
以上のように、制御部500により被験者履歴210およびTMT履歴および/またはBIT履歴230に基づいて、高次脳機能検査プログラム情報が選定される。すなわち、被験者の病状に最適な高次脳機能検査プログラム情報を選定することができる。
また、TMT履歴および/またはBIT履歴230に基づく場合には、他の被験者のTMT履歴および/またはBIT履歴230を用いることができるので、制御部500は、多くの他の被験者のうち、リハビリテーションにより病状が回復した高次脳機能検査プログラム情報を選定させることができる。したがって、被験者にとってより良い高次脳機能検査プログラム情報を三次元表示部に表示させることができる。
さらに、三次元表示部300に表示させることで、二次元の紙媒体の場合と比較して、空間認識能力を高めることができる。
また、紙媒体の場合には、反復検査において、被験者の学習効果が表れるため、本来の検査結果を得ることができないという問題が生じる。
また、三次元表示部300に表示させることで、机上の状態と異なり、身体活動を伴う日常生活場面における能力を正確に試験結果に反映することができる。
【0083】
さらに、三次元表示制御部310は、三次元表示部300の映像部320に表示を行った後、高次脳機能検査の結果を記録部200に記録することができる。その結果、記録部200の情報をフィードバック処理することができ、被験者の状態に応じて、リハビリテーションにより病状がより回復した高次脳機能検査プログラム情報を選定させることがで
きる。
また、三次元表示制御部310は、自動的に高次脳機能検査の内容を改変するため、被験者が同じ試験を実施しないため、的確な検査結果を得ることができる。
【0084】
また、制御部500は、視線履歴240を記録部200に記録させる。その結果、被験者の高次脳機能検査における視線の履歴を確認することができる。
具体的に、高次脳機能検査においては、視野角180度のうち、右半分または左半分、上半分または下半分等の特定の範囲のみ認識する場合がある。その場合において、視線の履歴を残すことで被験者の状態を認識することができる。
さらに、制御部500は、視線履歴240を含めた高次脳機能検査プログラム情報を選定することができるので、被験者の病状が、さらに回復することを望むことができる。
【0085】
報知部400により選定された高次脳機能検査プログラム情報および被験者履歴210およびTMT履歴および/またはBIT履歴230が表示されるので、医者または医療従事者が、被験者の検査内容、検査結果、検査状況を確認することができる。
【0086】
高次脳機能検査プログラム情報は、TMTのプログラム情報、および/または、BITのプログラム情報を含むので、多種のTMTのプログラム情報、および/または、多種のBITのプログラム情報を有するとともに、確実に高次脳機能検査の検査を実施することができる。
【0087】
さらに、医者または医療従事者が、動画情報を確認し、被験者の検査状況、回復状況等を容易に確認することができる。また、AI技術を用いて、動画情報が類似している過去に病状が回復した被験者の動画情報と比較することもできる。
【0088】
さらに、医者または医療従事者が、動画情報を確認し、被験者の検査状況、回復状況等を容易に確認することができる。特に被験者の試験結果を的確に計算するので、医療従事者の手間を省くことができる。また、誤回答情報も有するので、医者または医療従事者が的確に被験者の状況を確認することができる。
【0089】
さらに、被験者履歴210は、CTスキャンデータまたは/およびMRIデータ220を含むので、CTスキャンデータまたは/およびMRIデータ220に応じた高次脳機能検査を実施することができる。
【0090】
さらに、記録部200がクラウドサーバからなる場合には、高次脳機能検査を広範囲にわたって実施することができる。特に、国内に限らず、世界中の高次脳機能検査の結果を集めて記録することができる。
また、ハードディスクドライブ記録媒体からなる場合には、院内におけるデータを容易に探すことができる。
【0091】
さらに、三次元表示装置100は、ヘッドマウントディスプレイ表示装置からなるので、被験者は、容易に三次元表示に没頭することができる。その結果、的確な高次脳機能検査を実施することができる。
【0092】
本発明においては、被験者履歴210が、「被験者のカルテ履歴情報」に相当し、TMT履歴および/またはBIT履歴230が、「高次脳機能検査の検査履歴情報」に相当し、高次脳機能検査プログラムが、「高次脳機能検査プログラム情報、TMTのプログラム情報、BITのプログラム情報」に相当し、記録部200が、「記録部、クラウドサーバ、ハードディスクドライブ記録媒体」に相当し、三次元表示部300が「三次元表示部、ヘッドマウントディスプレイ表示装置」に相当し、三次元表示制御部310が「三次元表示部の表示を制御する制御部」に相当し、高次脳機能検査用の三次元表示装置100,100aが、「高次脳機能検査用の三次元表示装置」に相当し、制御部500,三次元表示制御部310が「制御部」に相当し、視線履歴240が「視線履歴情報」に相当し、報知部400が「報知部」に相当し、CTスキャンデータまたは/およびMRIデータ220が「MRI検査結果、CT検査結果」に相当する。
【0093】
なお、本実施の形態において、検査と表記しているが、当該検査には、訓練または療法、治療、リハビリテーション等を含む意図である。
また、被験者と表記しているが、検査には、訓練、療法、治療、リハビリテーション等を含む意図であるので、被験者とは、患者、被介護者、使用者等を含む意図である。
医学上、本発明を如何なる症状の検査(訓練、療法、治療、リハビリテーションを含む。)に利用するかは、医者の判断に基づくものであり、高次脳機能障害以外の検査(訓練、療法、治療、リハビリテーションを含む。)に、本発明を利用してもよいと医者が判断した場合は、当然、その用途に利用することが妨げられるものではない。したがって、本発明は、高次脳機能障害以外の検査(訓練、療法、治療、リハビリテーションを含む。)に使用することも可能である。
【0094】
本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。本明細書に開示されている発明の構成要件は、それぞれ独立に単独した発明として成立するものとする。各構成要件をあらゆる組み合わせ方法で組み合わせた発明も、本発明に含まれることとする。
【符号の説明】
【0095】
100,100a 高次脳機能検査用の三次元表示装置
200 記録部
210 被験者履歴
220 CTスキャンデータまたは/およびMRIデータ
230 TMT履歴および/またはBIT履歴
240 視線履歴
300 三次元表示部
310 三次元表示制御部
340 視線検出部
400 報知部
500 制御部