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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169176
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3233 20160101AFI20231121BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20231121BHJP
   H05B 33/14 20060101ALI20231121BHJP
   H10K 59/123 20230101ALI20231121BHJP
   H10K 59/131 20230101ALI20231121BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 611H
G09G3/20 624B
G09G3/20 641P
G09G3/20 680G
H05B33/14 Z
H10K59/123
H10K59/131
H01L29/78 614
H01L29/78 612C
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023138020
(22)【出願日】2023-08-28
(62)【分割の表示】P 2022186968の分割
【原出願日】2018-12-04
(31)【優先権主張番号】P 2017233931
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018020851
(32)【優先日】2018-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018224142
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】豊高 耕平
(72)【発明者】
【氏名】高橋 圭
(72)【発明者】
【氏名】川島 進
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(57)【要約】      (修正有)
【課題】駆動トランジスタの特性のばらつきを抑え、且つ画像データの補正を行う半導体装置を提供する。
【解決手段】画像データ保持部と、補正データ保持部と、駆動回路部と、表示素子と、しきい値電圧補正回路部と、を有する半導体装置である。画像データ保持部は、第1画像データを保持する機能を有し、補正データ保持部は、補正データを保持する機能と、画像データ保持部が第1画像データを保持することによって、第1画像データ及び補正データに応じた第2画像データを生成する機能と、を有する。駆動回路部は、第2画像データに応じた電流を生成する機能と、当該電流を表示素子に流す機能と、を有し、しきい値電圧補正回路部は、駆動回路部の駆動トランジスタのしきい値電圧を補正する機能を有する。上記構成によって、半導体装置は、画像データの補正、駆動トランジスタのしきい値電圧の補正、及び第2画像データに基づく表示を行うことができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1乃至第5のトランジスタと、第1乃至第3の容量素子と、表示素子と、を有し、
前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、画像データが入力される第1の配線と電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第1の容量素子の第1の端子と電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのゲートは、第1の選択信号線と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第1の容量素子の第2の端子と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第2の容量素子の第1の端子と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第3のトランジスタの第1のゲートと電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2の容量素子の第1の端子と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのゲートは、第2の選択信号線と電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのソース又はドレインの一方は、電源供給線と電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2の容量素子の第2の端子と電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第3の容量素子の第1の端子と電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第4のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記表示素子と電気的に接続され、
前記第3のトランジスタの第2のゲートは、前記第3の容量素子の第2の端子と電気的に接続され、
前記第3のトランジスタの第2のゲートは、前記第5のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続され、
前記第4のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第1の電位が入力される第2の配線と電気的に接続され、
前記第4のトランジスタのゲートは、前記第1の選択信号線と電気的に接続され、
前記第5のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第2の電位が入力される第3の配線と電気的に接続され、
前記第5のトランジスタのゲートは、前記第2の選択信号線と電気的に接続される表示装置。
【請求項2】
第1乃至第5のトランジスタと、第1乃至第3の容量素子と、表示素子と、を有し、
前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、画像データが入力される第1の配線と常に導通し、
前記第1のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第1の容量素子の第1の端子と常に導通し、
前記第1のトランジスタのゲートは、第1の選択信号線と常に導通し、
前記第2のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第1の容量素子の第2の端子と常に導通し、
前記第2のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第2の容量素子の第1の端子と常に導通し、
前記第2のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第3のトランジスタの第1のゲートと常に導通し、
前記第2のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2の容量素子の第1の端子と常に導通し、
前記第2のトランジスタのゲートは、第2の選択信号線と常に導通し、
前記第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2の容量素子の第2の端子と常に導通し、
前記第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第3の容量素子の第1の端子と常に導通し、
前記第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第4のトランジスタのソース又はドレインの一方と常に導通し、
前記第3のトランジスタの第2のゲートは、前記第3の容量素子の第2の端子と常に導通し、
前記第3のトランジスタの第2のゲートは、前記第5のトランジスタのソース又はドレインの一方と常に導通し、
前記第4のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第1の電位が入力される第2の配線と常に導通し、
前記第4のトランジスタのゲートは、前記第1の選択信号線と常に導通し、
前記第5のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第2の電位が入力される第3の配線と常に導通し、
前記第5のトランジスタのゲートは、前記第2の選択信号線と常に導通し、
電源供給線が少なくとも前記第3のトランジスタのチャネル形成領域を介して前記表示素子と導通状態のとき、前記電源供給線から少なくとも前記第3のトランジスタのチャネル形成領域を介して前記表示素子に電流が供給される表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、半導体装置、表示装置、電子機器、及び動作方法に関する。
【0002】
なお本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の
技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様
は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マ
ター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様
の技術分野としては、半導体装置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、蓄電装置、撮像
装置、記憶装置、プロセッサ、電子機器、システム、それらの駆動方法、それらの製造方
法、又はそれらの検査方法を一例として挙げることができる。
【背景技術】
【0003】
近年、スマートフォンなどの携帯電話、タブレット型情報端末、ノート型PC(パーソ
ナルコンピュータ)、携帯ゲーム機等が有する表示装置において、様々な面で改良が進め
られている。例えば、解像度を大きくする、色再現性を高くする、駆動回路を小さくする
、消費電力を低減する、等の表示装置の開発が行われている。また、例えば、表示装置の
表示品位を高くするため、画素に含まれる駆動トランジスタの特性のばらつきを低減する
回路などの開発も進められている。特に、駆動トランジスタのしきい値電圧を補正する回
路を有する画素回路の発明が、特許文献1に開示されている。
【0004】
また、表示装置が有する画素回路に含まれるスイッチング素子として、酸化物半導体を
半導体薄膜としたトランジスタを適用する技術などが挙げられる。
【0005】
トランジスタに適用可能な半導体薄膜として、シリコン系半導体材料が広く知られてい
るが、その他の材料として酸化物半導体が注目されている。酸化物半導体としては、例え
ば、酸化インジウム、酸化亜鉛などの一元系金属の酸化物のみでなく、多元系金属の酸化
物も知られている。多元系金属の酸化物の中でも、特に、In-Ga-Zn酸化物(以下
、IGZOとも呼ぶ。)に関する研究が盛んに行われている。
【0006】
IGZOに関する研究により、酸化物半導体において、単結晶でも非晶質でもない、C
AAC(c-axis aligned crystalline)構造およびnc(n
anocrystalline)構造が見出された(非特許文献1乃至非特許文献3参照
。)。非特許文献1および非特許文献2では、CAAC構造を有する酸化物半導体を用い
てトランジスタを作製する技術も開示されている。さらに、CAAC構造およびnc構造
よりも結晶性の低い酸化物半導体でさえも、微小な結晶を有することが、非特許文献4お
よび非特許文献5に開示されている。
【0007】
さらに、IGZOを活性層として用いたトランジスタは極めて低いオフ電流を持ち(非
特許文献6参照。)、その特性を利用したLSIおよび表示装置が報告されている(非特
許文献7および非特許文献8参照。)。また、特許文献2には、IGZOを活性層に含む
トランジスタを、表示装置の画素回路に用いる発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2017‐10000号公報
【特許文献2】特開2010‐156963号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】S. Yamazaki et al., “SID Symposium Digest of Technical Papers”, 2012, volume 43, issue 1, p.183-186
【非特許文献2】S. Yamazaki et al., “Japanese Journal of Applied Physics”, 2014, volume 53, Number 4S, p.04ED18-1-04ED18-10
【非特許文献3】S. Ito et al., “The Proceedings of AM-FPD’13 Digest of Technical Papers”, 2013, p.151-154
【非特許文献4】S. Yamazaki et al., “ECS Journal of Solid State Science and Technology”, 2014, volume 3, issue 9, p.Q3012-Q3022
【非特許文献5】S. Yamazaki, “ECS Transactions”,2014, volume 64, issue 10, p.155-164
【非特許文献6】K. Kato et al., “Japanese Journal of Applied Physics”, 2012, volume 51, p.021201-1-021201-7
【非特許文献7】S. Matsuda et al., “2015 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers”, 2015, p.T216-T217
【非特許文献8】S. Amano et al., “SID Symposium Digest of Technical Papers”, 2010, volume 41, issue 1, p.626-629
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
表示装置が高品位な画像を表示する条件として、表示装置は、例えば、高解像度、多階
調、広色域などであることが求められる。例えば、有機EL(Electro Lumi
nescence)素子などの発光素子を含む表示装置において、表示品位の高い画像を
表示するには、駆動トランジスタの特性のばらつきを抑え、且つ画素に送信される画像デ
ータを適切に補正する必要がある。
【0011】
本発明の一態様は、駆動トランジスタの特性のばらつきを抑え、且つ画像データの補正
を行うことができる画素回路(本明細書等では半導体装置と記載する。)を提供すること
を課題の一とする。又は、本発明の一態様は、当該半導体装置を有する表示装置を提供す
ることを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、当該表示装置を有する電子機器を提
供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、当該半導体装置、当該表示装置
、当該電子機器の動作方法を提供することを課題の一とする。
【0012】
なお本発明の一態様の課題は、上記列挙した課題に限定されない。上記列挙した課題は
、他の課題の存在を妨げるものではない。なお他の課題は、以下の記載で述べる、本項目
で言及していない課題である。本項目で言及していない課題は、当業者であれば明細書又
は図面等の記載から導き出せるものであり、これらの記載から適宜抽出することができる
。なお、本発明の一態様は、上記列挙した課題、及び他の課題のうち、少なくとも一つの
課題を解決するものである。なお、本発明の一態様は、上記列挙した課題、及び他の課題
の全てを解決する必要はない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)
本発明の一態様は、画像データ保持部と、補正データ保持部と、駆動回路部と、表示素
子と、しきい値電圧補正回路部と、を有し、駆動回路部は、バックゲートを有する第1ト
ランジスタを有し、第1トランジスタの第1端子は、表示素子の入力端子に電気的に接続
され、画像データ保持部は、第1画像データを保持する機能を有し、補正データ保持部は
、補正データを保持する機能と、画像データ保持部が第1画像データを保持することによ
って、第1画像データ及び補正データに応じた第2画像データを生成する機能と、を有し
、駆動回路部は、第1トランジスタのゲートに、第2画像データに応じた第1電位が印加
されることによって、第1トランジスタの第1端子‐第2端子間において、第1電流を生
成する機能と、第1電流を表示素子に流す機能と、を有し、しきい値電圧補正回路部は、
駆動回路部に含まれる第1トランジスタのしきい値電圧を補正する機能を有する、半導体
装置である。
【0014】
(2)
又は、本発明の一態様は、上記(1)の構成において、第1乃至第3容量素子を有し、
画像データ保持部は、第2トランジスタを有し、補正データ保持部は、第3トランジスタ
を有し、しきい値電圧補正回路は、第4トランジスタを有し、第2トランジスタの第1端
子は、第1容量素子の第1端子と電気的に接続され、第3トランジスタの第1端子は、第
1トランジスタのゲートと、第1容量素子の第2端子と、第2容量素子の第1端子と、に
電気的に接続され、第1トランジスタの第1端子は、第2容量素子の第2端子と、第3容
量素子の第1端子と、に電気的に接続され、第1トランジスタのバックゲートは、第4ト
ランジスタの第1端子と、第3容量素子の第2端子と、に電気的に接続される、半導体装
置である。
【0015】
(3)
又は、本発明の一態様は、上記(2)の構成において、第1乃至第4トランジスタのそ
れぞれは、チャネル形成領域に、金属酸化物又はシリコンの一方を有する、半導体装置で
ある。
【0016】
(4)
又は、本発明の一態様は、上記(2)又は(3)の構成において、駆動回路部は、第5
トランジスタを有し、第3トランジスタの第1端子と、表示素子の入力端子と、は、第5
トランジスタの第1端子‐第2端子間を介して電気的に接続される、半導体装置である。
【0017】
(5)
又は、本発明の一態様は、上記(4)の構成において、第5トランジスタは、チャネル
形成領域に、金属酸化物又はシリコンの一方を有する、半導体装置である。
【0018】
(6)
又は、本発明の一態様は、上記(2)乃至(5)のいずれか一の構成において、第6ト
ランジスタを有し、第6トランジスタの第1端子は、第1トランジスタのゲートに電気的
に接続され、第6トランジスタの第2端子は、第1トランジスタの第1端子に電気的に接
続される、半導体装置である。
【0019】
(7)
又は、本発明の一態様は、上記(6)の構成において、第6トランジスタは、チャネル
形成領域に、金属酸化物又はシリコンの一方を有する、半導体装置である。
【0020】
(8)
又は、本発明の一態様は、上記(2)乃至(7)のいずれか一の構成において、第1機
能乃至第3機能を有し、第1機能は、第3トランジスタをオン状態にして、第1トランジ
スタのゲートと、第1容量素子の第2端子と、第2容量素子の第1端子と、に第1初期化
電位を印加する機能と、第4トランジスタをオン状態にして、第1トランジスタのバック
ゲートに第2初期化電位を印加する機能と、第1トランジスタの第1端子と、第2容量素
子の第2端子と、第3容量素子の第1端子と、に第3初期化電位を印加する機能と、第3
トランジスタをオフ状態にして、第2容量素子によって、第1初期化電位と第3初期化電
位との電位差を保持する機能と、第1トランジスタの第1端子から表示素子の入力端子へ
の電流を遮断し、第1トランジスタの第1端子‐第2端子間に電圧を印加して第1トラン
ジスタをオン状態にし、その後、第1トランジスタの第1端子の電位が第2電位になって
、第1トランジスタがオフ状態となったとき、第3容量素子によって第2初期化電位と第
2電位との電位差を保持する機能と、を有し、第2機能は、第3トランジスタをオン状態
にして、第1トランジスタのゲートと、第1容量素子の第2端子と、第2容量素子の第1
端子と、に補正データに応じた第3電位を書き込む機能と、第3トランジスタをオフ状態
にして、第1トランジスタのゲートと、第1容量素子の第2端子と、第2容量素子の第1
端子と、によって第3電位を保持する機能と、を有し、第3機能は、第2トランジスタを
オン状態にして、第1容量素子の第1端子に第1画像データに応じた第4電位を書き込む
機能と、第1容量素子の第1端子に第4電位が書き込まれたことによって、第1トランジ
スタのゲートと、第1容量素子の第2端子と、第2容量素子の第1端子と、に保持されて
いる第3電位が、第2画像データに応じた第1電位に変動する機能と、を有する、半導体
装置である。
【0021】
(9)
又は、本発明の一態様は、上記(1)乃至(8)のいずれか一の構成の半導体装置と、
周辺回路と、を有する、表示装置である。
【0022】
(10)
又は、本発明の一態様は、上記(9)の構成の表示装置と、筐体と、を有する、電子機
器である。
【0023】
(11)
又は、本発明の一態様は、画像データ保持部と、補正データ保持部と、駆動回路部と、
表示素子と、しきい値電圧補正回路部と、を有する半導体装置の動作方法であって、駆動
回路部は、バックゲートを有する第1トランジスタを有し、半導体装置の動作方法は、し
きい値電圧補正期間と、補正データ書き込み期間と、画像データ書き込み期間と、画像表
示期間と、を有し、しきい値電圧補正期間は、しきい値電圧補正回路部が第1トランジス
タのバックゲートに電位を与えることで第1トランジスタのしきい値電圧を補正する期間
を有し、補正データ書き込み期間は、補正データ保持部に補正データを書き込む期間を有
し、画像データ書き込み期間は、画像データ保持部に第1画像データを書き込んで、補正
データ保持部が第1画像データ及び補正データに応じた第2画像データを生成する期間を
有し、画像表示期間は、第1トランジスタのゲートに、第2画像データに応じた第1電位
が印加されることによって、駆動回路部が、第1トランジスタの第1端子‐第2端子間に
おいて、第1電流を生成して、第1電流を表示素子に流す期間を有する、半導体装置の動
作方法である。
【0024】
(12)
又は、本発明の一態様は、上記(11)の動作方法において、初期化期間を有し、半導
体装置は、第1容量素子乃至第3容量素子を有し、画像データ保持部は、第2トランジス
タを有し、補正データ保持部は、第3トランジスタを有し、しきい値電圧補正回路は、第
4トランジスタを有し、第2トランジスタの第1端子は、第1容量素子の第1端子と電気
的に接続され、第3トランジスタの第1端子は、第1トランジスタのゲートと、第1容量
素子の第2端子と、第2容量素子の第1端子と、に電気的に接続され、第1トランジスタ
の第1端子は、第2容量素子の第2端子と、第3容量素子の第1端子と、表示素子の入力
端子と、に電気的に接続され、第1トランジスタのバックゲートは、第4トランジスタの
第1端子と、第3容量素子の第2端子と、に電気的に接続され、初期化期間は、第3トラ
ンジスタがオン状態になって、第1トランジスタのゲートと、第1容量素子の第2端子と
、第2容量素子の第1端子と、に第1初期化電位が印加される期間と、第4トランジスタ
がオン状態になって、第1トランジスタのバックゲートと、第3容量素子の第2端子と、
に第2初期化電位が印加される期間と、第1トランジスタの第1端子と、第2容量素子の
第2端子と、第3容量素子の第1端子と、に第3初期化電位が印加される期間と、を有し
、しきい値電圧補正期間は、第1トランジスタの第1端子から表示素子への電流を遮断す
る期間と、第3トランジスタがオフ状態になって、第2容量素子が第1初期化電位と第3
初期化電位との電位差を保持する期間と、第1トランジスタの第2端子に高電位が印加さ
れることで、第1トランジスタの第1端子の電位が、第1トランジスタがオフ状態になる
第2電位に達するまで、第1トランジスタの第1端子‐第2端子間に第2電流が流れる期
間と、第4トランジスタがオフ状態になって、第3容量素子が第2電位と第2初期化電位
との電位差を保持する期間と、を有し、補正データ書き込み期間は、第3トランジスタが
オン状態になって、第1トランジスタのゲートと、第1容量素子の第2端子と、第2容量
素子の第1端子と、に補正データに応じた第3電位が印加される期間と、第3トランジス
タがオフ状態になって、第1トランジスタのゲートと、第1容量素子の第2端子と、第2
容量素子の第1端子と、によって第3電位が保持される期間と、を有し、画像データ書き
込み期間は、第2トランジスタがオン状態になって、第1容量素子の第1端子に第1画像
データに応じた第4電位が印加される期間と、第1容量素子の第1端子に第4電位が書き
込まれたことによって、第1トランジスタのゲートと、第1容量素子の第2端子と、第2
容量素子の第1端子と、に保持されている第3電位が、第2画像データに応じた第1電位
に変動する期間と、を有する、半導体装置の動作方法である。
【0025】
(13)
又は、本発明の一態様は、上記(12)の動作方法において、第1乃至第4トランジス
タのそれぞれは、チャネル形成領域に、金属酸化物又はシリコンの一方を有する、表示装
置の動作方法である。
【0026】
(14)
又は、本発明の一態様は、上記(12)又は(13)の動作方法において、駆動回路部
は、第5トランジスタを有し、第3トランジスタの第1端子と、表示素子の入力端子と、
は、第5トランジスタの第1端子‐第2端子間を介して電気的に接続され、初期化期間と
、補正データ書き込み期間と、画像データ書き込み期間と、は、第5トランジスタがオフ
状態になる期間を有し、画像表示期間は、第5トランジスタがオン状態になる期間を有す
る、半導体装置の動作方法である。
【0027】
(15)
又は、本発明の一態様は、上記(14)の動作方法において、第5トランジスタは、チ
ャネル形成領域に、金属酸化物又はシリコンの一方を有する、半導体装置の動作方法であ
る。
【0028】
(16)
又は、本発明の一態様は、上記(12)乃至(15)のいずれか一の動作方法において
、半導体装置は、第6トランジスタを有し、第6トランジスタの第1端子は、第1トラン
ジスタのゲートに電気的に接続され、第6トランジスタの第2端子は、第1トランジスタ
の第1端子に電気的に接続され、しきい値電圧補正期間は、第6トランジスタがオン状態
になる期間を有する、半導体装置の動作方法である。
【0029】
(17)
又は、本発明の一態様は、上記(16)の動作方法において、第6トランジスタは、チ
ャネル形成領域に、金属酸化物又はシリコンの一方を有する、半導体装置の動作方法であ
る。
【0030】
(18)
又は、本発明の一態様は、上記(11)乃至(17)のいずれか一に記載の半導体装置
の動作方法を含む表示装置の動作方法であって、表示装置は、複数の半導体装置がマトリ
クス状に配置された表示部を有し、複数の半導体装置の一部は、第1画素及び第2画素と
して機能し、第1画素と、第2画素と、は、表示部において互いに異なる行に位置し、第
1画素がしきい値電圧補正期間の動作を行っているとき、第2画素は補正データ書き込み
期間、及び画像データ書き込み期間のそれぞれの動作を行う、表示装置の動作方法である
【発明の効果】
【0031】
本発明の一態様によって、駆動トランジスタの特性のばらつきを抑え、且つ画像データ
の補正を行うことができる半導体装置を提供することができる。又は、本発明の一態様に
よって、当該半導体装置を有する表示装置を提供することができる。又は、本発明の一態
様によって、当該表示装置を有する電子機器を提供することができる。又は、本発明の一
態様によって、当該半導体装置、当該表示装置、当該電子機器の動作方法を提供すること
ができる。
【0032】
又は、本発明の一態様によって、回路面積の小さいソースドライバ回路を有する表示装
置を提供することができる。又は、本発明の一態様によって、消費電力の小さいソースド
ライバ回路を有する表示装置を提供することができる。
【0033】
なお本発明の一態様の効果は、上記列挙した効果に限定されない。上記列挙した効果は
、他の効果の存在を妨げるものではない。なお他の効果は、以下の記載で述べる、本項目
で言及していない効果である。本項目で言及していない効果は、当業者であれば明細書又
は図面等の記載から導き出せるものであり、これらの記載から適宜抽出することができる
。なお、本発明の一態様は、上記列挙した効果、及び他の効果のうち、少なくとも一つの
効果を有するものである。従って本発明の一態様は、場合によっては、上記列挙した効果
を有さない場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】表示装置の一例を示すブロック図。
図2】画素の構成例を説明するブロック図。
図3】画素の構成例を説明するブロック図。
図4】画素の構成例を示す回路図。
図5】画素の構成例を説明するブロック図。
図6】画素の構成例を示す回路図。
図7】画素の構成例を示す回路図。
図8】画素の動作例を示すタイミングチャート。
図9】画素の動作と配線への電圧印加とのタイミングの一例を説明する図。
図10】表示部とその周辺回路の構成例を示すブロック図。
図11】表示装置の一例を示す上面図。
図12】タッチパネルの一例を示す斜視図。
図13】表示装置の一例を示す断面図。
図14】トランジスタの構成例を示す断面図。
図15】トランジスタの構成例を示す断面図。
図16】電子機器の一例を示す斜視図。
図17】電子機器の一例を示す斜視図。
図18】しきい値電圧の補正による電流の変化率を示したグラフ。
図19】画像データ(電圧)とトランジスタに流れる電流量の関係を示したグラフ。
図20】トランジスタのドレイン電流とゲート-ソース間電圧の特性を示したグラフ。
図21】試作した表示装置の外観写真。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い意味での金属
の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む
)、酸化物半導体(Oxide Semiconductorまたは単にOSともいう)
などに分類される。例えば、トランジスタの活性層に金属酸化物を用いた場合、当該金属
酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、金属酸化物が増幅作用、整流作用
、及びスイッチング作用の少なくとも1つを有するトランジスタのチャネル形成領域を構
成し得る場合、当該金属酸化物を、金属酸化物半導体(metal oxide sem
iconductor)、略してOSと呼ぶことができる。また、OS FET、又はO
Sトランジスタと記載する場合においては、金属酸化物または酸化物半導体を有するトラ
ンジスタと換言することができる。
【0036】
また、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal ox
ide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(me
tal oxynitride)と呼称してもよい。
【0037】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置、又は当該半導体装置を有する表示装
置について説明する。
【0038】
<表示装置の構成>
初めに、表示装置の構成の例について説明する。図1は、無機EL素子、有機EL素子
などの発光素子を有する表示装置の一例を示したブロック図である。表示装置DDは、表
示部PAと、表示部PAの周辺回路として、ソースドライバ回路SDと、ゲートドライバ
回路GDと、を有する。
【0039】
表示部PAは、複数の画素PIXを有する。なお、図1では、表示部PA内が有する複
数の画素PIXのうち一つのみを図示しており、他の画素PIXについては省略している
。また、表示部PAが有する複数の画素PIXは、マトリクス状に配置されていることが
好ましい。
【0040】
図1では、画素PIXは、配線DLを介して、ソースドライバ回路SDと電気的に接続
されている。加えて、画素PIXは、配線GLを介して、ゲートドライバ回路GDと電気
的に接続されている。なお、表示部PAは、画素PIXを複数有しているため、配線DL
に電気的に接続される画素PIXは複数としてもよい。同様に、配線GLに電気的に接続
される画素PIXも複数としてもよい。また、配線DL及び配線GLのそれぞれは、表示
部PAに含まれる画素PIXの個数に応じて、複数設けてもよい。更に、画素PIXの回
路構成によっては、一つの画素PIXに対して、複数の配線DL、又は複数の配線GLを
電気的に接続する構成としてもよい。
【0041】
画素PIXは、1つ以上の副画素を有する構成とすることができる。例えば、画素PI
Xには、副画素を1つ有する構成(赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、白色(W)な
どのいずれか一つの色)、副画素を3つ有する構成(赤色(R)、緑色(G)、及び青色
(B)の3色など)、あるいは、副画素を4つ有する構成(赤色(R)、緑色(G)、青
色(B)、白色(W)の4色、または、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、黄色(Y
)の4色など)を適用できる。なお、副画素に適用される色要素は、上記に限定されず、
必要に応じて、シアン(C)及びマゼンタ(M)などを組み合わせてもよい。
【0042】
ソースドライバ回路SDは、表示部PAに含まれる画素PIXに入力するための画像デ
ータを生成する機能と、当該画像データを画素PIXに送信する機能と、を有する。
【0043】
ソースドライバ回路SDは、例えば、シフトレジスタSRと、ラッチ回路LATと、レ
ベルシフト回路LVSと、デジタルアナログ変換回路DACと、アンプ回路AMPと、デ
ータバス配線DBと、を有することができる。図1では、シフトレジスタSRの出力端子
がラッチ回路LATのクロック入力端子に電気的に接続され、ラッチ回路LATの入力端
子がデータバス配線DBに電気的に接続され、ラッチ回路LATの出力端子がレベルシフ
ト回路LVSの入力端子に電気的に接続され、レベルシフト回路LVSの出力端子がデジ
タルアナログ変換回路DACの入力端子に電気的に接続され、デジタルアナログ変換回路
DACの出力端子がアンプ回路AMPの入力端子に電気的に接続され、アンプ回路AMP
の出力端子が表示部PAに電気的に接続されている。
【0044】
なお、図1に図示しているラッチ回路LATと、レベルシフト回路LVSと、デジタル
アナログ変換回路DACと、アンプ回路AMPと、は1本の配線DLに対して設けられて
いる。つまり、配線DLの本数に応じて、ラッチ回路LATと、レベルシフト回路LVS
と、デジタルアナログ変換回路DACと、アンプ回路AMPと、のそれぞれを複数設ける
必要がある。なお、この場合、シフトレジスタSRは、複数のラッチ回路LATのクロッ
ク入力端子のそれぞれに対して、順次パルス信号を送信する構成とすればよい。
【0045】
データバス配線DBは、表示部PAに入力するための画像データを含むデジタル信号を
送信するための配線である。当該画像データは、階調度を有しており、階調度が大きいほ
ど、色又は明るさの変化をなめらかなグラデーションで表現でき、自然に近い画像を表示
部PAに表示することができる。但し、階調度が大きいほど、当該画像データのデータ量
は大きくなり、且つ分解能の高いデジタルアナログ変換回路を用いる必要がある。
【0046】
ラッチ回路LATの入力端子には、データバス配線DBから画像データを含むデジタル
信号が入力される。そして、ラッチ回路LATは、シフトレジスタSRから送信される信
号によって、当該画像データの保持、又は保持した当該画像データを出力端子から出力、
のどちらか一方の動作を行う。
【0047】
レベルシフト回路LVSは、入力信号をより大きい振幅電圧またはより小さい振幅電圧
の出力信号に変換する機能を有する。図1では、ラッチ回路LATから送られる画像デー
タを含むデジタル信号の振幅電圧を、デジタルアナログ変換回路DACが適切に動作する
振幅電圧に変換する役割を有する。
【0048】
デジタルアナログ変換回路DACは、入力された画像データを含むデジタル信号をアナ
ログ信号に変換する機能と、当該アナログ信号を出力端子から出力する機能と、を有する
。特に、表示部PAに多階調の画像データを表示する場合、デジタルアナログ変換回路D
ACは高分解能のデジタルアナログ変換回路とする必要がある。
【0049】
アンプ回路AMPは、入力端子に入力されたアナログ信号を増幅して、アナログ信号を
出力端子から出力する機能を有する。デジタルアナログ変換回路DACと表示部PAとの
間にアンプ回路AMPを設けることにより、画像データを安定的に表示部PAに送ること
ができる。アンプ回路AMPとしては、オペアンプなどを有するボルテージフォロワ回路
などを適用することができる。なお、アンプ回路として差動入力回路を有する回路を用い
る場合、当該差動入力回路のオフセット電圧は、限りなく0Vとすることが好ましい。
【0050】
ソースドライバ回路SDは、上述の動作を行うことによって、データバス配線DBから
送られる、画像データを含むデジタル信号をアナログ信号に変換して、表示部PAに送信
することができる。
【0051】
ゲートドライバ回路GDは、表示部PAに含まれる複数の画素PIXのうち、画像デー
タの入力先となる画素PIXを選択する機能を有する。
【0052】
表示部PAに画像データを入力する方法としては、例えば、ゲートドライバ回路GDは
、ある一本の配線GLに電気的に接続されている複数の画素PIXに選択信号を送信して
、複数の画素PIXに含まれる画像データの書き込みスイッチング素子をオン状態とし、
その後、ソースドライバ回路SDから、配線DLを介して、複数の画素PIXに画像デー
タを送信して、書き込みを行えばよい。
【0053】
なお、本発明の一態様は、図1に示した表示装置DDの構成に限定されない。本発明の
一態様は、例えば、設計仕様、目的などの状況に応じて、表示装置DDの構成要素を適宜
変更したものとすることができる。
【0054】
<画素の構成例1>
次に、画素PIXの構成例について説明する。画素PIXとしては、例えば、図2(A
)のブロック図に示す画素PIXを適用することができる。なお、図2(A)は、画素P
IXとの電気的な接続の関係も示すため、ゲートドライバ回路GDと、ソースドライバ回
路SDと、表示部PAと、配線DLと、配線GLと、も図示している。
【0055】
図2(A)に示す画素PIXは、画像データ保持部101と、駆動回路部102と、表
示素子103と、を有する。
【0056】
画像データ保持部101は、駆動回路部102と電気的に接続され、駆動回路部102
は、表示素子103と電気的に接続されている。
【0057】
画像データ保持部101は、ソースドライバ回路SDから、配線DLを介して、送られ
る画像データを保持する機能を有する。また、画像データ保持部101は、画像データを
保持するための、書き込みスイッチング素子、容量素子などを有することができる。
【0058】
表示素子103は、画素PIXから射出される光を制御する機能を有する。当該光の強
さ(輝度、階調の高さなどと言い換えることができる。)は、画像データ保持部101に
保持された画像データに応じて決まる。
【0059】
表示素子103としては、例えば、無機EL素子、有機EL素子などの発光素子、透過
型液晶素子、反射型液晶素子などを適用することができる。
【0060】
駆動回路部102は、画像データ保持部101に保持された画像データに応じて、表示
素子103を駆動する機能を有する。例えば、表示素子103として、有機EL素子など
電流によって発光輝度が決まる素子を適用している場合、駆動回路部102は、当該電流
を制御する駆動トランジスタを有することができる。なお、駆動トランジスタは表示素子
103に対して、駆動電流を流す機能を有する。
【0061】
配線VAは、画素PIXに電気的に接続されている。配線VAは、例えば、画像データ
保持部101に画像データを保持するための容量線、駆動回路部102を駆動するための
電圧供給線などとすることができる。そのため、配線VAは、一又は複数の配線とするこ
とができる。なお、配線VAの構成は、上述に限定せず、画素PIXの構成によって適宜
変更することができる。例えば、表示素子103が有機EL素子などの発光素子である場
合、配線VAとしては、当該発光素子を駆動するための電流供給線とすることができる。
また、例えば、表示素子103を液晶素子とする場合、発光素子と異なり、配線VAを電
流供給線とする必要はない。
【0062】
図1の表示装置DDの説明では、配線GLは、画素PIXに画像データを書き込む際に
、事前に選択信号を送信する機能を有する、と説明したが、図2(A)に示す画素PIX
を有する表示装置DDにおいて、配線GLは、図2(A)の画素PIXと配線VAとの間
の導通状態、非導通状態を切り替えるための信号を送信する機能を有してもよい。そのた
め、配線GLは、複数の信号を送信するため、複数の配線とすることができる。これによ
り、配線VAから供給される電圧及び/又は電流を一時的に停止することができる。
【0063】
<画素の構成例2>
また、画素PIXは、画像データに対して補正を行う機能を有してもよい。この場合の
画素PIXの構成を図2(B)のブロック図に示す。図2(B)に示す画素PIXは、図
2(A)の画素PIXに補正データ保持部104を設けた構成となっている。
【0064】
補正データ保持部104は、画像データ保持部101と、駆動回路部102と、に電気
的に接続されている。
【0065】
補正データ保持部104は、回路WSDから、配線WDLを介して、送られる補正デー
タを保持する機能と、当該補正データに基づいて画像データ保持部101に保持された画
像データに補正を行う機能と、を有する。
【0066】
この場合、駆動回路部102は、補正データ保持部104において補正された画像デー
タに応じて、表示素子103を駆動する機能を有する。
【0067】
また、補正データ保持部104は、補正データを保持するための、書き込みスイッチン
グ素子、容量素子などを有することができる。
【0068】
画像データの補正方法としては、例えば、容量素子を用いた方法が挙げられる。具体的
には、補正データ保持部104において、容量素子の一対の一方の端子に補正データに相
当する第1電位を保持して、その後に当該容量素子の一対の一方の端子を電気的に浮遊状
態にし、画像データ保持部101において、当該容量素子の一対の他方の端子に画像デー
タに相当する第2電位を保持する。これにより、当該容量素子の一対の一方の端子の第1
電位は、容量結合によって、第2電位に応じて昇降されて、第3電位になったとする。こ
の第3電位が、補正された画像データに相当する。その後に、第3電位を駆動回路部10
2に与えることによって、駆動回路部102は第3電位に応じて表示素子103の駆動を
行うことができる。
【0069】
回路WSDは、表示部PAに含まれる画素PIXで表示する画像を補正するための補正
データを生成する機能と、当該補正データを画素PIXに送信する機能と、を有する。な
お、図2(B)では、回路WSDと、ソースドライバ回路SDと、の両方を図示している
が、例えば、ソースドライバ回路SDが、上述した回路WSDの機能を含んだ構成として
もよい。具体的には、ソースドライバ回路SDの内部、又は出力先にデマルチプレクサな
どを設けて、1つの回路から配線DL、配線WDLのそれぞれに画像データと、補正デー
タと、を送信する構成としてもよい。
【0070】
図2(B)に示す画素PIXを表示装置DDに適用することによって、画像データ保持
部101に保持された画像データに対して、補正データ保持部104に保持された補正デ
ータに応じて、画像補正を施すことができる。ここでの画像補正とは、例えば、輝度の増
幅、多階調の画像への変換などが挙げられる。
【0071】
なお、図2(B)において、回路WSDから画素PIXに送信する補正データが、ソー
スドライバ回路SDによって生成ができる場合、回路WSDを省略して、配線WDLをソ
ースドライバ回路SDに電気的に接続された構成とすることができる。そのような構成を
図3に示す。図3に示す画素PIX及びその周辺の回路は、ソースドライバ回路SDが画
像データを生成して、当該画像データを、配線DLを介して画像データ保持部101に送
信し、且つソースドライバ回路SDが補正データを生成して、当該補正データを、配線W
DLを介して補正データ保持部104に送信する構成となっている。図3に示す回路構成
を表示装置DDに適用することによって、表示装置DDの回路面積を低減することができ
る。
【0072】
<<画素の回路構成例1>>
次に、図2(B)に示した画素PIXの具体的な回路構成について説明する。図4は、
図2(B)に示した画素PIXの回路構成例を図示している。
【0073】
図4に図示している画素PIXは、トランジスタTr1乃至トランジスタTr5と、容
量素子C1と、容量素子C2と、発光素子LDと、を有する。また、配線DL、配線WD
L、配線GL1乃至配線GL3、配線VL、配線AL、配線CATは、画素PIXと電気
的に接続されている。
【0074】
トランジスタTr1、トランジスタTr2、トランジスタTr4、及びトランジスタT
r5のそれぞれは、スイッチング素子として機能する。トランジスタTr3は、発光素子
LDに流れる電流を制御する駆動トランジスタとして機能する。また、トランジスタTr
1乃至トランジスタTr5は、後述する実施の形態3に記載のトランジスタの構成を適用
することができる。
【0075】
配線DLは、画素PIXに画像データを送信するための配線であり、図2(B)に示す
配線DLに相当する配線とすることができる。また、配線WDLは、当該画像データに対
する補正データを送信するための配線であり、図2(B)に示す配線WDLに相当する配
線とすることができる。加えて、配線GL1乃至配線GL3のそれぞれは、画素PIXに
対する選択信号線であり、図2(B)に示す配線GLに相当する配線とすることができる
【0076】
配線VLは、画素PIX内の特定のノードに所定の電位を与えるための配線である。加
えて、配線ALは、発光素子LDに流すための電流を供給するための配線である。配線V
L及び配線ALは、図2(B)に示す配線VAに相当する配線とすることができる。
【0077】
配線CATは、発光素子LDの出力端子に所定の電位を与えるための配線である。所定
の電位としては、例えば、基準電位、低レベル電位、それらよりも低い電位などとするこ
とができる。また、配線CATは、図2(B)に示す配線VAに相当する配線とすること
ができる。配線CATは、表示部PAに含まれる複数の画素PIXにおいて、共通電位を
与える配線として機能することが好ましい。
【0078】
トランジスタTr1の第1端子は、容量素子C1の第1端子に電気的に接続され、トラ
ンジスタTr1の第2端子は、配線DLに電気的に接続され、トランジスタTr1のゲー
トは、配線GL1に電気的に接続されている。トランジスタTr2の第1端子は、トラン
ジスタTr3のゲートと、容量素子C1の第2端子と、容量素子C2の第1端子と、に電
気的に接続され、トランジスタTr2の第2端子は、配線WDLに電気的に接続され、ト
ランジスタTr2のゲートは、配線GL2に電気的に接続されている。
【0079】
なお、本実施の形態では、トランジスタTr1の第1端子と、容量素子C1の第1端子
と、の電気的接続点をノードND1と呼称し、トランジスタTr2の第1端子と、トラン
ジスタTr3のゲートと、容量素子C1の第2端子と、容量素子C2の第1端子と、の電
気的接続点をノードND2と呼称する。
【0080】
トランジスタTr3の第1端子は、配線ALに電気的に接続され、トランジスタTr3
の第2端子は、トランジスタTr4の第1端子と、トランジスタTr5の第1端子と、容
量素子C2の第2端子と、に電気的に接続されている。トランジスタTr4の第2端子は
、配線VLに電気的に接続され、トランジスタTr4のゲートは、配線GL1に電気的に
接続されている。トランジスタTr5の第2端子は、発光素子LDの入力端子に電気的に
接続され、トランジスタTr5のゲートは、配線GL3に電気的に接続されている。発光
素子LDの出力端子は、配線CATに電気的に接続されている。
【0081】
トランジスタTr3の第2端子と、発光素子LDと、は、トランジスタTr5の第1端
子‐第2端子間を介して電気的に接続されているので、トランジスタTr5は、トランジ
スタTr3の第2端子と発光素子LDの入力端子との間を導通状態又は非導通状態のいず
れかに切り替えることができるスイッチング素子として機能する。
【0082】
容量素子C1は、ノードND1とノードND2との間の電位差を保持する機能を有し、
容量素子C2は、トランジスタTr3の第2端子とゲートとの間の電位差を保持する機能
を有する。
【0083】
図4の画素PIXにおいて、トランジスタTr1乃至トランジスタTr5の少なくとも
一は、OSトランジスタであることが好ましい。特に、OSトランジスタは、チャネル形
成領域にインジウム、元素M(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、又は
スズ)、亜鉛の少なくとも一を有する酸化物を含むことが好ましい。また、当該酸化物は
、実施の形態4で詳述する。このようなOSトランジスタをトランジスタTr1乃至トラ
ンジスタTr5の少なくとも一に適用することで、適用したトランジスタのオフ電流を非
常に低くすることができる。容量素子C1の第1端子(ノードND1)にデータを保持す
る場合、トランジスタTr1をOSトランジスタとすることで、オフ電流による、ノード
ND1に保持されたデータの破壊を防ぐことができる。同様に、トランジスタTr3のゲ
ートと、容量素子C1の第2端子と、容量素子C2の第1端子(ノードND2)と、にデ
ータを保持する場合、トランジスタTr2をOSトランジスタとすることで、オフ電流に
よる、ノードND2に保持されたデータの破壊を防ぐことができる。また、発光素子LD
の発光を一時的に止める場合、トランジスタTr5をOSトランジスタとすることで、オ
フ電流による発光素子LDの発光を防ぐことができる。また、トランジスタTr1乃至ト
ランジスタTr5の全てに、OSトランジスタを適用することによって、それぞれのトラ
ンジスタを同時に形成することができるため、表示部PAの作製工程を短縮することがで
きる場合がある。つまり、表示部PAの生産時間を短くすることができるため、一定時間
当たりの生産数を増加することができる。
【0084】
また、トランジスタTr1乃至トランジスタTr5の少なくとも一に、例えば、チャネ
ル形成領域にシリコンを有するトランジスタを適用することができる(以後、Siトラン
ジスタと記載する。)。シリコンとしては、例えば、水素化アモルファスシリコン、微結
晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコン等を用いることができる。また、トランジ
スタTr1乃至トランジスタTr5のうち、一部のトランジスタをSiトランジスタとし
、残りのトランジスタをOSトランジスタとしてもよい。
【0085】
図2(B)に示す画像データ保持部101は、例えば、図4に示すトランジスタTr1
を有することができる。また、駆動回路部102は、例えば、図4に示すトランジスタT
r3乃至トランジスタTr5を有することができる。また、表示素子103は、例えば、
図4に示す発光素子LDを有することができる。補正データ保持部104は、例えば、図
4に示すトランジスタTr2を有することができる。なお、画像データ保持部101、駆
動回路部102、補正データ保持部104のそれぞれは、図4に示す容量素子C1、容量
素子C2のそれぞれの電位を保持する機能を共有しているため、容量素子C1、容量素子
C2のそれぞれがどの回路に含まれているか、は一意的に定めることはできない。換言す
れば、容量素子C1、容量素子C2のそれぞれは、画像データ保持部101、駆動回路部
102、補正データ保持部104のうちいずれか一に有する、ということができる。
【0086】
ところで、図2において、表示装置DDの表示品位は、駆動回路部102に含まれる駆
動トランジスタの特性のばらつきの影響を受ける場合がある。特に、表示素子103とし
て発光素子LDを適用している場合、その影響は大きくなるため、表示装置DDの表示品
位を高めるためには、駆動トランジスタとして機能するトランジスタTr3のしきい値電
圧の補正が必要となる。しきい値電圧の補正を表示部PAの外部回路によって行う場合、
当該外部回路は、駆動トランジスタの第1端子と第2端子との間に流れる電流を取得して
、当該電流を用いて逐次的に画像データの演算を行う必要があるため、しきい値電圧の補
正に時間がかかり、消費電力が大きくなってしまう場合がある。
【0087】
<画素の構成例3>
本発明の一態様は、上記を鑑みなされたもので、画像データ保持部101、補正データ
保持部104を含む画素PIXに、駆動回路部102に含まれる駆動トランジスタのしき
い値電圧の補正を行うしきい値電圧補正回路部を設けた構成となっている。これにより、
表示部PAの外部回路によって、駆動トランジスタのしきい値電圧に応じた画像データの
演算を行う必要が無いため、表示装置DDにおいて当該外部回路を省略することができる
。また、しきい値電圧補正回路部を、駆動トランジスタのバックゲートに所定の電位を与
えて、しきい値電圧を補正する方式とすることで、駆動トランジスタのしきい値電圧補正
を行うための、画像データへの演算処理を省略することができる。
【0088】
本発明の一態様の半導体装置である、画素PIXの回路構成の例を図5(A)のブロッ
ク図に示す。
【0089】
図5(A)に図示している画素PIXは、画像データ保持部101と、駆動回路部10
2と、表示素子103と、補正データ保持部104と、しきい値電圧補正回路部105と
、を有する。図5(A)に示す画素PIXは、図2(B)の画素PIXにしきい値電圧補
正回路部105を設けた構成となっている。
【0090】
しきい値電圧補正回路部105は、駆動回路部102と電気的に接続されている。
【0091】
しきい値電圧補正回路部105は、駆動回路部102に含まれる駆動トランジスタのし
きい値電圧を補正する機能を有する。また、しきい値電圧補正回路部105は、しきい値
電圧を補正する内容を保持するための、スイッチング素子、容量素子などを有することが
できる。
【0092】
しきい値電圧補正回路部105は、配線GL、配線VAなどに電気的に接続されること
で、配線GLから送信される選択信号、配線VAから送信される電圧及び/又は電流によ
って、動作することができる。
【0093】
図5(A)に示す画素PIXを表示装置DDに適用することによって、画像データ保持
部101と補正データ保持部104とによる画像データの補正に加え、しきい値電圧補正
回路部105による駆動回路部102に含まれる駆動トランジスタのしきい値電圧の補正
を行うことができる。
【0094】
また、図5(A)に示す画素PIXを適用した表示装置DDは、例えば、有機EL素子
などの発光素子を表示素子とする表示装置に好適である。有機EL素子などの発光素子は
、発光素子に流れる電流の大きさによって輝度が決まるため、当該電流を流す駆動トラン
ジスタの特性のばらつきが生じている場合、表示装置の表示品位の低下に繋がる。表示装
置に図5(A)に示す画素PIXを適用することによって、駆動トランジスタのしきい値
電圧の補正を行うことができるため、当該駆動トランジスタに流れる電流がトランジスタ
特性のばらつきによって増減しなくなり、表示装置の表示品位の低下を防ぐことができる
。また、図5(A)に示す画素PIXに含まれる補正データ保持部104によって、画像
データに補正を施すことにより、表示装置の表示品位を高くすることができる。特に、大
型の表示装置の場合、駆動トランジスタの特性のばらつきが大きくなる傾向があるため、
当該表示装置に図5(A)に示す画素PIXを適用することによって、当該特性のばらつ
きの影響を低減することができる。また、しきい値電圧の補正を画素PIXの内部で行う
ため、しきい値電圧の補正を行う外部回路が不要になり、コストを低くすることができる
【0095】
また、図5(A)に示す画素PIX及びその周辺の回路の構成は、図3と同様に、回路
WSDを省略して、補正データをソースドライバ回路SDで生成して、当該補正データを
、配線WDLを介して補正データ保持部104に送信する構成としてもよい。そのような
構成を図5(B)に示す。図5(B)に示す回路構成を表示装置DDに適用することによ
って、回路WSDを省略することができるため、表示装置DDの回路面積を低減すること
ができる。
【0096】
<<画素の回路構成例2>>
次に、図5(A)(B)に示した画素PIXの具体的な回路構成について説明する。図
6(A)では、図5(A)(B)に示した画素PIXの回路構成例を図示している。
【0097】
図6(A)に示す画素PIXは、図4に示した画素PIXに対して、トランジスタTr
7と、容量素子C3と、が設けられた構成となっている。また、図6(A)に示す画素P
IXは、トランジスタTr3がバックゲートを有している点で、図4に示した画素PIX
と相違する。
【0098】
トランジスタTr3のバックゲートは、トランジスタTr7の第1端子と、容量素子C
3の第1端子と、に電気的に接続されている。トランジスタTr7の第2端子は、配線B
GLに電気的に接続され、トランジスタTr7のゲートは、配線GL4に電気的に接続さ
れている。容量素子C3の第2端子は、トランジスタTr3の第2端子と、トランジスタ
Tr4の第1端子と、トランジスタTr5の第1端子と、容量素子C2の第2端子と、に
電気的に接続されている。
【0099】
なお、本実施例では、トランジスタTr3の第2端子と、トランジスタTr4の第1端
子と、トランジスタTr5の第1端子と、容量素子C2の第2端子と、容量素子C3の第
2端子と、の電気的接続点をノードND3と呼称し、トランジスタTr3のバックゲート
と、トランジスタTr7の第1端子と、容量素子C3の第1端子と、の電気的接続点をノ
ードND4と呼称する。
【0100】
配線GL4は、配線GL1乃至配線GL3のそれぞれと同様に、画素PIXに対する選
択信号線であり、図5(A)(B)に示す配線GLに相当する配線である。
【0101】
配線BGLは、画素PIX内の特定のノードに所定の電位を与えるための配線である。
また、配線BGLは、図5(A)(B)に示す配線VAに相当する配線とすることができ
る。
【0102】
トランジスタTr7は、スイッチング素子として機能する。また、トランジスタTr7
は、実施の形態3に記載のトランジスタの構成を適用することができる。更に、トランジ
スタTr7は、トランジスタTr1、トランジスタTr2、トランジスタTr5と同様に
、OSトランジスタであることが好ましい。なお、トランジスタTr7のその他に関して
は、トランジスタTr1乃至トランジスタTr5の記載を参酌する。
【0103】
図5(A)(B)に示すしきい値電圧補正回路部105は、例えば、トランジスタTr
7を有することができる。なお、駆動回路部102、しきい値電圧補正回路部105は、
図6(A)に示す容量素子C3の電位を保持する機能を共有しているため、容量素子C3
がどの回路に含まれているか、は一意的に定めることはできない。換言すれば、容量素子
C3は、駆動回路部102、しきい値電圧補正回路部105のうちいずれか一に有する、
ということができる。
【0104】
なお、図6(A)に示すトランジスタTr1、トランジスタTr2、トランジスタTr
4、トランジスタTr5、トランジスタTr7は、バックゲートを有するトランジスタで
あってもよい。図6(B)に示す画素PIXは、図6(A)に示す画素PIXが有するト
ランジスタTr1、トランジスタTr2、トランジスタTr4、トランジスタTr5、ト
ランジスタTr7のそれぞれにバックゲートを設けた構成となっている。図6(B)では
、トランジスタTr1、トランジスタTr2、トランジスタTr4、トランジスタTr5
、トランジスタTr7のそれぞれは、ゲートとバックゲートとが電気的に接続されている
。ゲートとバックゲートとが電気的に接続されたトランジスタは、当該トランジスタのオ
ン電流を高くすることができるため、図6(B)に示す構成にすることによって、画素P
IXを速く動作することができる。なお、図6(B)に示す画素PIXは、トランジスタ
Tr1、トランジスタTr2、トランジスタTr4、トランジスタTr5、トランジスタ
Tr7の全てにゲートとバックゲートと接続した構成としているが、バックゲートには別
の配線によって電位を与える構成としてもよい。また、図6(B)に示す画素PIXは、
トランジスタTr1、トランジスタTr2、トランジスタTr4、トランジスタTr5、
トランジスタTr7の全てにバックゲートを設けているが、一部のトランジスタに対して
のみバックゲートを設けた構成としてもよい。
【0105】
<<画素の回路構成例3>>
図7(A)では、図6(A)に示したPIXとは異なる、図5(A)(B)に示した画
素PIXの回路構成例を図示している。
【0106】
図7(A)に示す画素PIXは、図6(A)に示した画素PIXに対して、トランジス
タTr6が設けられた構成となっている。
【0107】
トランジスタTr6の第1端子は、トランジスタTr2の第2端子と、トランジスタT
r3のゲートと、容量素子C1の第2端子と、容量素子C2の第1端子と、に電気的に接
続され、トランジスタTr6の第2端子は、トランジスタTr3の第2端子と、トランジ
スタTr4の第1端子と、トランジスタTr5の第1端子と、容量素子C2の第2端子と
、容量素子C3の第2端子と、に電気的に接続され、トランジスタTr6のゲートは、配
線GL4に電気的に接続されている。
【0108】
トランジスタTr6は、スイッチング素子として機能する。また、トランジスタTr6
は、実施の形態3に記載の構成を適用することができる。更に、トランジスタTr6は、
トランジスタTr1、トランジスタTr2、トランジスタTr5と同様に、OSトランジ
スタであることが好ましい。なお、トランジスタTr6のその他に関しては、トランジス
タTr1乃至トランジスタTr5の記載を参酌する。
【0109】
駆動トランジスタであるトランジスタTr3のしきい値電圧の補正を、図6(A)に示
す画素PIXよりも精度良く行いたい場合、図7(A)に示すとおり、画素PIXにトラ
ンジスタTr6を設けるのが好ましい。しきい値電圧の補正を行うとき、その動作原理上
、トランジスタTr3の第2端子(ノードND3)とノードND2とのそれぞれの電位を
極力等しくしたほうがよいため、図7(A)に示す画素PIXを適用することで、しきい
値電圧の補正時におけるノードND3とノードND2との電位差を、図6(A)に示す画
素PIXよりも0Vに近づけることができる。
【0110】
ところで、トランジスタTr6のスイッチング機能は、駆動回路部102と、補正デー
タ保持部104と、において共有されているため、トランジスタTr6がどの回路に含ま
れているか、は一意的に定めることはできない。換言すれば、トランジスタTr6は、駆
動回路部102、補正データ保持部104のうちいずれか一に有する、ということができ
る。
【0111】
<<画素の回路構成例4>>
図7(B)では、図6(A)(B)及び図7(A)のそれぞれに示したPIXとは異な
る、図5(A)(B)に示した画素PIXの回路構成例を図示している。
【0112】
図7(B)に示す画素PIXは、図6(A)に示した画素PIXに対して、トランジス
タTr5を除いた構成となっている。図7(B)に示す画素PIXは、図6(A)(B)
図7(A)に示す画素PIXよりもトランジスタ数が少ないため、画素回路の面積を小
さくして、開口率を高くすることができる。なお、図7(B)に示す画素PIXにおいて
、発光素子LDを発光させない場合、発光素子LDの入力端子に電流を流さなければよい
ので、そのタイミングに合わせて配線ALに印加されている電位を下げる、又は、トラン
ジスタTr3をオフ状態にする電位をトランジスタTr3のゲートに印加すればよい。特
に、配線ALに印加されている電位を下げる場合、配線ALの電位を配線CATの電位よ
りも低くすることが好ましい。
【0113】
<画素の動作例>
次に、上述した画素回路、特に図6(A)に示した画素PIXの動作例について説明す
る。
【0114】
図8は、図6(A)に図示した画素PIXの動作例を示したタイミングチャートである
図8に示すタイミングチャートは、時刻T1以前、時刻T1乃至時刻T7、及び時刻T
7以降における、配線DL、配線WDL、配線VL、配線BGL、配線GL1乃至配線G
L4、ノードND1乃至ノードND4の電位の変化を示している。なお、図8に記載して
いるhighは高レベル電位を指し、lowは低レベル電位を指す。また、図8に記載し
ているVGNDは、基準電位を指す。
【0115】
なお、時刻T1以前、時刻T1乃至時刻T7、及び時刻T7以降において、配線VLに
は常にVが印加されており、配線BGLには常にVが印加されているものとする。電
位Vは、配線ALが与える電圧よりも低い電位とし、電位Vは、Vよりも高い電位
とする。
【0116】
なお、本動作例において、トランジスタTr1と、トランジスタTr2と、トランジス
タTr4と、トランジスタTr5と、トランジスタTr7と、は、特に断りのない場合は
、オン状態では、線形領域で動作するものとする。すなわち、トランジスタTr1と、ト
ランジスタTr2と、トランジスタTr4と、トランジスタTr5と、トランジスタTr
7と、のゲート電圧、ソース電圧、及びドレイン電圧は、線形領域で動作する範囲での電
圧に適切にバイアスされているものとする。
【0117】
また、本動作例において、トランジスタTr3は、特に断りのない場合は、飽和領域で
動作するものとする。すなわち、トランジスタTr3のゲート電圧、ソース電圧、及びド
レイン電圧は、飽和領域で動作する範囲での電圧に適切にバイアスされているものとする
。なお、トランジスタTr3の動作が、理想的な飽和領域での動作からずれていても、出
力される電流の精度が所望の範囲内で得られる場合であれば、トランジスタTr3のゲー
ト電圧、ソース電圧、及びドレイン電圧は、適切にバイアスされているものとみなす。
【0118】
[時刻T1の直前]
時刻T1の直前において、配線GL1及び配線GL3には高レベル電位、配線GL2及
び配線GL4には低レベル電位が印加されている。配線GL1の電位が高レベル電位であ
るとき、トランジスタTr1及びトランジスタTr4のそれぞれのゲートに高レベル電位
が印加されるため、トランジスタTr1及びトランジスタTr4がオン状態となる。つま
り、配線DLとノードND1との間は、導通状態となり、配線VLとノードND3との間
は、導通状態となる。また、配線GL2の電位が低レベル電位であるとき、トランジスタ
Tr2のゲートに、低レベル電位が印加されるため、トランジスタTr2がオフ状態とな
る。つまり、配線WDLと、ノードND2と、の間は、非導通状態となる。加えて、配線
GL3の電位が高レベル電位であるとき、トランジスタTr5のゲートに、高レベル電位
が印加されるため、トランジスタTr5がオン状態となる。つまり、発光素子LDの入力
端子と、トランジスタTr5の第1端子と、の間は、導通状態となる。更に、配線GL4
の電位が低レベル電位であるとき、トランジスタTr7のゲートに、低レベル電位が印加
されるため、トランジスタTr7がオフ状態となる。つまり、配線BGLとノードND4
との間は、非導通状態となる。
【0119】
時刻T1の直前において、配線DLには、電位VGNDが印加され、配線WDLには、
電位Vが印加されている。トランジスタTr1がオン状態になっているため、ノードN
D1の電位はVGNDとなる。また、トランジスタTr4がオン状態になっているため、
ノードND3と電位Vを与える配線VLとが導通状態となるが、このときトランジスタ
Tr5もオン状態になっているため、ノードND3の電位はVよりも低い電位となる。
そして、配線WDLには、電位Vが印加されている。
【0120】
ところで、ノードND2の電位と、トランジスタTr3のソースの電位と、の差(ゲー
ト‐ソース電圧)が、トランジスタTr3のしきい値電圧よりも高い場合、トランジスタ
Tr3はオン状態となり、トランジスタTr3のゲート‐ソース電圧に応じて、トランジ
スタTr3のソース‐ドレイン間に流れる電流が決まる。このとき、トランジスタTr3
の第2端子がソースとなる場合、配線ALから、トランジスタTr3及びトランジスタT
r5を介して、発光素子LDの入力端子へ電流が流れる。これによって、発光素子LDが
発光する。なお、本動作例では、ノードND2の電位は、トランジスタTr3がオフ状態
となるような電位としており、図8に示すタイミングチャートでは、ノードND2の電位
をVGNDと記載している。
【0121】
[時刻T1から時刻T2まで(第1初期化期間)]
時刻T1から時刻T2までの間において、配線GL2及び配線GL4には高レベル電位
が印加される。これにより、トランジスタTr2、トランジスタTr7のそれぞれのゲー
トに高レベル電位が印加されるため、トランジスタTr2、トランジスタTr7のそれぞ
れはオン状態となる。これにより、ノードND2の電位はVとなり、ノードND4の電
位はVとなる。ところで、ノードND3は、トランジスタTr5がオン状態となってい
るため、時刻T1以前から引き続き、電位Vよりも低い電位となっている。
【0122】
[時刻T2から時刻T3まで(第2初期化期間)]
時刻T2から時刻T3までの間において、配線GL3には低レベル電位が印加される。
これにより、トランジスタTr5のゲートに低レベル電位が印加されるため、トランジス
タTr5がオフ状態となる。このため、ノードND3から、トランジスタTr5を介して
、発光素子LDの入力端子に電流は流れない。
【0123】
トランジスタTr5がオフ状態になっており、かつトランジスタTr4がオン状態とな
っているため、ノードND3の電位はVまで上昇する。厳密には、配線VLとノードN
D3との間には、トランジスタTr4を介しているため、ノードND3の電位はVより
も低いがVに近い値となる。このとき、ノードND2(トランジスタTr3のゲート)
の電位と、ノードND3(トランジスタTr3の第2端子)の電位と、は両者ともほぼV
であるため、容量素子C2の第1端子‐第2端子間の電位は、ほぼ0Vとなる。
【0124】
ところで、図7(A)に示す画素PIXを適用している場合、時刻T2から時刻T3ま
での間において、配線GL4には、高レベル電位が印加されるため、トランジスタTr6
がオン状態になる。これにより、トランジスタTr3のゲートと第2端子との間が導通状
態になるので、容量素子C2の第1端子‐第2端子間の電位は、ほぼ0Vとなる。
【0125】
[時刻T3から時刻T4まで(しきい値電圧補正期間)]
時刻T3から時刻T4までの間において、配線GL1及び配線GL2には低レベル電位
が印加される。これにより、トランジスタTr1と、トランジスタTr2と、トランジス
タTr4と、のそれぞれのゲートに低レベル電位が印加されるため、トランジスタTr1
と、トランジスタTr2と、トランジスタTr4と、がオフ状態となる。トランジスタT
r1がオフ状態となることによって、容量素子C1の第1端子(ノードND1)に電位V
GNDが保持され、トランジスタTr2がオフ状態となることによって、容量素子C1の
第2端子、容量素子C2の第1端子、トランジスタTr3のゲート(ノードND2)に電
位Vが保持される。
【0126】
ここで、ノードND3の電位Vと配線ALの電位とによって、トランジスタTr3の
第1端子‐第2端子間に高バイアスがかかっているものとする。このとき、トランジスタ
Tr3はオン状態となり、トランジスタTr3の第1端子から第2端子の方向に電流が流
れる。
【0127】
ところで、トランジスタTr4及びトランジスタTr5がオフ状態となっているため、
ノードND3の電位は、当該電流によって昇圧される。なお、容量素子C2の第1端子‐
第2端子間の電圧はほぼ0Vであり、かつトランジスタTr2がオフ状態なので(ノード
ND2が電気的に浮遊状態なので)、トランジスタTr3のゲート‐ソース電圧は、ノー
ドND3の電位の昇圧によって、ほぼ0Vのまま変化しない。
【0128】
ノードND3の電位は、トランジスタTr3がオフ状態になるまで昇圧する。トランジ
スタTr3のゲート‐ソース電圧はほぼ0Vであるため、トランジスタTr3のしきい値
電圧が0以上になったとき、若しくは0を超えたとき、トランジスタTr3はオフ状態と
なる。つまり、トランジスタTr3のバックゲート‐ソース間電圧が、トランジスタTr
3のしきい値電圧を0とする電圧になったとき、トランジスタTr3がオフ状態となる。
トランジスタTr3のしきい値電圧を0とするトランジスタTr3のバックゲート‐ソー
ス間電圧をVとしたとき、ノードND3の電位はV-Vとなる。
【0129】
なお、ノードND2が電気的に浮遊状態なので、ノードND3の電位がVからV
に昇圧されたことで、同時にノードND2の電位も昇圧される。ノードND2におい
て昇圧された電圧は、ノードND2とノードND3との間の容量結合係数によって決まる
【0130】
また、トランジスタTr1がオフ状態になっているので、ノードND1も電気的に浮遊
状態となっている。このため、ノードND2の電位が昇圧されることで、ノードND1の
電位も昇圧される。ノードND1において昇圧された電圧は、ノードND1とノードND
2との間の容量結合係数によって決まる。
【0131】
なお、図7(A)に示す画素PIXを適用している場合、時刻T3から時刻T4までの
間において、トランジスタTr3のゲートと第2端子との間が導通状態となっているので
図7(A)に示す画素PIXは、上述の図6(A)に示す画素PIXと同様に、動作す
る。また、図7(A)に示す画素PIXの時刻T4以降の動作は、以下に記載する図6
A)に示す画素PIXの動作の説明を参酌する。
【0132】
[時刻T4から時刻T5まで(補正データ書き込み期間)]
時刻T4から時刻T5までの間において、配線GL1及び配線GL2に高レベル電位が
印加され、配線GL4に低レベル電位が印加される。これにより、トランジスタTr1と
、トランジスタTr2と、トランジスタTr4と、のそれぞれのゲートに高レベル電位が
印加されるため、トランジスタTr1と、トランジスタTr2と、トランジスタTr4と
、がオン状態となり、トランジスタTr7のゲートに低レベル電位が印加されるため、ト
ランジスタTr7がオフ状態となる。このため、ノードND4は電気的に浮遊状態となり
、ノードND4の電位は、容量素子C3の第1端子によって保持される。
【0133】
なお、本動作例では、時刻T4において、配線GL1、配線GL2、及び配線GL4に
同時に信号を入力しているが、実際の回路では各配線から送られるそれぞれの信号には遅
延が生じることがあるため、それぞれの信号が画素PIXに同時に入力されない場合があ
る。信号の遅延を考慮する場合、時刻T4における配線GL1及び配線GL2への高レベ
ル電位の印加は、ノードND4を確実に電気的に浮遊状態にしてから、行うのが好ましい
。つまり、配線GL4への低レベル電位の印加は、時刻T4よりも前に行うのが好ましい
【0134】
また、時刻T4から時刻T5までの間において、補正データに相当する電位Vが配線
WDLに印加される。
【0135】
トランジスタTr1がオン状態となっているため、配線DLとノードND1との間は導
通状態になる。このため、配線DLからノードND1に電位VGNDが印加される。また
、トランジスタTr2がオン状態となっているため、配線WDLとノードND2との間は
導通状態になる。このため、配線WDLからノードND2に電位Vが印加される。
【0136】
トランジスタTr4がオン状態となっているため、配線VLとノードND3との間は導
通状態になる。このため、配線VLからノードND3に電位Vが印加される。ところで
、トランジスタTr7はオフ状態なので(ノードND4は電気的に浮遊状態なので)、ノ
ードND3の電位の変化によって、ノードND4の電位も変化する。ここで、ノードND
3とノードND4との容量結合係数を1とすると、ノードND4の電位は、VからV
+Vに変化する。このとき、トランジスタTr3のバックゲート‐ソース間電圧は、時
刻T3から時刻T4までの間の当該電圧から、Vのまま変化していないため、時刻T4
から時刻T5におけるトランジスタTr3のしきい値電圧は0となる。
【0137】
[時刻T5から時刻T6まで(画像データ書き込み期間)]
時刻T5から時刻T6までの間において、配線GL2に低レベル電位が印加される。こ
れにより、トランジスタTr2のゲートに低レベル電位が印加されるため、トランジスタ
Tr2がオフ状態となる。トランジスタTr2がオフ状態となることによって、容量素子
C1の第2端子、容量素子C2の第1端子、トランジスタTr3のゲート(ノードND2
)に電位Vが保持される。
【0138】
また、時刻T5から時刻T6までの間において、画像データに相当する電位VDATA
が配線DLに印加される。
【0139】
トランジスタTr1がオン状態となっているため、配線DLとノードND1との間は導
通状態になる。このため、配線DLからノードND1に電位VDATAが印加される。と
ころで、トランジスタTr2はオフ状態なので(ノードND2は電気的に浮遊状態なので
)、ノードND1の電位の変化によって、ノードND2の電位も変化する。特に、容量素
子C1の静電容量の値が、容量素子C2の静電容量の値よりも十分に大きいとき、ノード
ND1とノードND2との間の容量結合係数は限りなく1に近づくため、ノードND1の
電位の変化量は、ノードND2の電位の変化量とほぼ等しくなる。この場合、ノードND
2は、VDATA+Vとなる。
【0140】
[時刻T6から時刻T7まで(画像表示期間)]
時刻T6から時刻T7までの間において、配線GL1に低レベル電位が印加される。こ
れにより、トランジスタTr1のゲートに低レベル電位が印加されるため、トランジスタ
Tr1がオフ状態となる。トランジスタTr1がオフ状態となることによって、容量素子
C1の第1端子(ノードND1)に電位VDATAが保持される。
【0141】
配線GL1に低レベル電位が印加された後に、配線GL3に高レベル電位が印加される
。これにより、トランジスタTr5のゲートに高レベル電位が印加されるため、トランジ
スタTr5がオン状態となる。トランジスタTr5がオン状態となることにより、配線A
Lから流れる電流は、トランジスタTr3及びトランジスタTr5を介して、発光素子L
Dの入力端子に入力されるため、発光素子LDが発光する。
【0142】
このとき、発光素子LDの輝度は、発光素子LDに流れる電流によって決まる。キルヒ
ホッフの法則により、発光素子LDに流れる電流は、トランジスタTr3のソース‐ドレ
イン間に流れる電流と概ね等しいため、発光素子LDの輝度は、トランジスタTr3のゲ
ート‐ソース電圧で決まる。トランジスタTr3のゲート及びソースのそれぞれは、容量
素子C2の第1端子及び第2端子と電気的に接続されているため、発光素子LDの輝度は
、トランジスタTr3のゲートの電位VDATA+Vによって決まる。したがって、発
光素子LDは、補正データと画像データとに応じた輝度で、発光する。
【0143】
また、このとき、発光素子LDの入力端子と出力端子との間において、電圧がかかって
おり、かつ配線CATに所定の電位が与えられているため、トランジスタTr3の第2端
子と、トランジスタTr4の第1端子と、トランジスタTr5の第1端子と、容量素子C
2の第2端子と、容量素子C3の第2端子と、の電気的接続点の電位は高くなる。そして
、ノードND1、ノードND2、ノードND4のそれぞれは電気的に浮遊状態であるため
、当該電気的接続点の電位が高くなることによって、ノードND1、ノードND2、ノー
ドND4のそれぞれの電位も容量結合によって高くなる場合がある。図8のタイミングチ
ャートでは、時刻T7以降のノードND1、ノードND2のそれぞれの電位は、時刻T6
から時刻T7までの間におけるノードND1、ノードND2のそれぞれの電位よりも高く
示している。
【0144】
上記の通り、図6(A)に図示した画素PIXについて、図8のタイミングチャートの
時刻T1乃至時刻T7及びその近傍の時刻の動作を行うことにより、画像データへの補正
と、駆動トランジスタのしきい値電圧の補正と、を行うことができる。
【0145】
<表示装置の動作例>
ところで、図6(A)に示す画素PIXを含む表示装置DDが大型である場合、画素P
IXに電気的に接続されている配線の抵抗が大きくなり、駆動トランジスタのしきい値電
圧の補正などの処理に時間を要する場合がある。そのため、当該表示装置に正常に画像を
表示する場合、当該表示装置の動作周波数が低くなってしまうことがある。
【0146】
そこで、上記を鑑みなされた動作例について説明する。本動作例では、図6(A)に示
す画素PIXが、マトリクス状に複数配置された表示部PAが当該表示装置に適用された
ものとして説明する。
【0147】
図9は、表示部PAに含まれるi行目、i+1行目、i+2行目(iは、3以上の整数
とする。)のそれぞれに含まれる画素PIXの動作の順序と、配線DLからのデータの送
信のタイミングと、配線WDLからのデータの送信のタイミングと、を示したものである
【0148】
図9に記載の時刻T1乃至時刻T6は、図8のタイミングチャートに記載の時刻T1乃
至時刻T6に相当する。つまり、i行目に記載の期間PD1乃至期間PD5は、それぞれ
上述の画素回路の動作例の「第1初期化期間」「第2初期化期間」「しきい値電圧補正期
間」「補正データ書き込み期間」「画像データ書き込み期間」に相当する。図9では、一
例として、期間PD1乃至期間PD5のそれぞれの時間を、0.5μs、1.5μs、1
9μs、2.0μs、2.0μsとしている。
【0149】
特に、上述したとおり、画素PIXを含む表示装置が大型である場合、駆動トランジス
タのしきい値電圧の補正などの処理に時間を要する場合がある。そのため、期間PD3の
時間を他の期間(PD1、PD2、PD4、PD5)と比べて長く設定している。
【0150】
また、図9に図示している画素PIXの動作、特に期間PD4及び期間PD5のそれぞ
れの動作において、i行、i+1行、及びi+2行のそれぞれが有する各画素PIXには
、それぞれに適切な補正データ及び画像データが書き込まれるものとする。そのため、下
記の説明では、i行、i+1行、及びi+2行が有する複数の画素PIXのうち、互いに
同じ列の画素PIXについて説明する。
【0151】
図9に図示している通り、i行目の画素PIXの他に、i+1行目、i+2行目のそれ
ぞれの画素PIXについても、期間PD1乃至期間PD5の動作が行われる。但し、i行
目、i+1行目、i+2行目のそれぞれにおいて、互いに期間PD1、期間PD2、期間
PD4、期間PD5が重ならないようにしている。換言すれば、ある行の画素PIXが期
間PD1、期間PD2、期間PD4、期間PD5のいずれか一であるとき、その行以外の
画素PIXは、期間PD3となるようにしている。
【0152】
図9に図示している表示装置の動作例において、配線DLからのデータ送信の動作は、
期間PDGNDと、期間PDDATA[i-2]乃至期間PDDATA[i+2]と、を
有する。期間PDGNDは、配線DLに電位VGNDが印加されている期間である。期間
PDDATA[k](kは、i-2以上i+2以下の整数である。)は、配線DLに、k
行目に有する画素PIXのノードND1に書き込む画像データに応じた電位が印加されて
いる期間である。
【0153】
また、図9に図示している表示装置の動作例において、配線WDLからのデータ送信の
動作は、期間PDV1と、期間PD[i-2]乃至期間PD[i+2]と、を有する
。期間PDV1は、配線WDLに電位Vが印加されている期間である。期間PD[k
]は、配線WDLに、k行目に有する画素PIXのノードND2に書き込む補正データに
応じた電位(上述の画素回路の動作例で説明したVに相当する。)が印加されている期
間である。
【0154】
複数ある行のうち一の行が有する画素PIXの動作において、期間PD1(第1初期化
期間)では、ノードND1の電位VGNDにするため、配線DLには電位VGNDが印加
されている。つまり、当該行の画素PIXにおいて期間PD1の動作が行われているとき
、配線DLにおいて、期間PDGNDの動作が行われている。また、期間PD1では、ノ
ードND2の電位をVにするため、配線WDLには電位Vが印加されている。つまり
、当該行の画素PIXにおいて期間PD1の動作が行われているとき、配線WDLにおい
て、期間PDV1の動作が行われている。
【0155】
複数ある行のうち一の行が有する画素PIXの動作において、期間PD4(補正データ
書き込み期間)では、ノードND2に補正データを書き込むため、配線WDLには当該補
正データに応じた電位が印加される。つまり、I行目(Iは、1以上の整数である。)の
画素PIXにおいて、期間PD4の動作が行われているとき、配線WDLにおいて、期間
PD[I]の動作が行われている。
【0156】
複数ある行のうち一の行が有する画素PIXの動作において、期間PD5(画像データ
書き込み期間)では、ノードND1に画像データを書き込むため、配線DLには当該画像
データに応じた電位が印加される。つまり、I行目の画素PIXにおいて、期間PD5の
動作が行われているとき、配線DLにおいて、期間PDDATA[I]の動作が行われて
いる。
【0157】
図9に示すとおり、i+1行目の画素PIXにおいて駆動トランジスタのしきい値電圧
の補正を行うとき、当該行の画素PIXは期間PD3の動作を行う。このとき、i+1行
目の画素PIXにおいて、配線DLを介してのノードND1への電位の書き込み、配線W
DLを介してのノードND2への電位の書き込みを行う必要が無いため、配線DL及び配
線WDLの電位を変動することができる。そのため、i+1行目の画素PIXが期間PD
3の動作を行っているときに、i行目の画素PIXにおいて、期間PD4及び期間PD5
のそれぞれの動作で配線DLの電位、及び配線WDLの電位を変動することができる。つ
まり、i+1行目の画素PIXの駆動トランジスタのしきい値電圧の補正を行っている間
に、i行目の画素PIXに対して、画像データ及び補正データを書き込むことができる。
また、図9に示すとおり、i+2行目の画素PIXの駆動トランジスタのしきい値電圧の
補正を行っているときも同様に、配線DLの電位、及び配線WDLの電位を変動すること
ができるため、i+1行目の画素PIXに対して、画像データ及び補正データを書き込む
ことができる。
【0158】
なお、図9では、i行目乃至i+2行目の順に、それぞれの行の画素PIXに補正デー
タ及び画像データを書き込んでいるが、画素PIXへの補正データ及び画像データの書き
込む順序は、図9に限定しない。画素PIXへの補正データ及び画像データの書き込む順
序は、例えば、初めに奇数行の画素PIXに順次書き込み、その後、偶数行の画素PIX
に順次書き込む、という順序としてもよい。
【0159】
なお、本発明の一態様の動作方法は、上述の期間PD1乃至期間PD5に限定されない
。本明細書等において、図9に示すそれぞれの動作期間は、機能毎に分類し、互いに独立
した動作期間として示している。しかしながら実際の動作等においては、画素PIXの動
作を機能毎に切り分けることが難しく、一つの動作に複数の別の動作が係わる場合や、複
数の動作にわたって一つの動作が関わる場合があり得る。そのため、図9に示す動作期間
は、明細書で説明した動作期間毎に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることがで
きる。具体的には、状況に応じて、それぞれの動作期間の順序の入れ替え、動作の追加、
及び削除などを行うことができる。例えば、本明細書等では、図9に示す画素PIXの動
作において、期間PD1及び期間PD2のそれぞれを、第1初期化期間、第2初期化期間
として分けて説明しているが、第1初期化期間及び第2初期化期間のそれぞれは同時に行
うことができる。そのため、第1初期化期間及び第2初期化期間は、まとめて初期化期間
として記載することができる。
【0160】
上述のとおり、ある行の画素PIXの駆動トランジスタのしきい値電圧の補正を行って
いる間に、別の行の画素PIXに画像データ及び補正データを書き込む動作を行うことに
よって、表示装置の、駆動トランジスタのしきい値電圧の補正による動作周波数の低下を
抑制することができ、従来の動作方法よりも動作周波数を高くすることができる。
【0161】
<ソースドライバ回路SD、及び回路WSDの回路構成例>
ここで、画素PIX及びその周辺の回路が図5(A)に示す構成であり、且つ画素PI
Xが図8に示すタイミングチャートの動作を行う場合の、ソースドライバ回路SDと回路
WSDとの回路構成例について説明する。
【0162】
図10(A)には、図5(A)におけるソースドライバ回路SDと回路WSDとのそれ
ぞれの回路構成例を示している。なお、図10(A)には、画素PIXとの接続構成を示
すため、表示部PAも図示している。
【0163】
ソースドライバ回路SDは、トランジスタTr11と、トランジスタTr12と、回路
SDaと、を有する。また、回路WSDは、トランジスタTr13と、トランジスタTr
14と、回路WSDaと、を有する。
【0164】
図10において、トランジスタTr11乃至トランジスタTr14は、それぞれnチャ
ネル型トランジスタとしているが、トランジスタTr11乃至トランジスタTr14の全
て、又は一部はpチャネル型トランジスタとしてもよい。また、トランジスタTr11乃
至トランジスタTr14は、オフ電流が低いOSトランジスタであることが好ましい。
【0165】
また、図10は、トランジスタTr11乃至トランジスタTr14を、バックゲートを
有するトランジスタとして図示しているが、トランジスタTr11乃至トランジスタTr
14の全て、又は一部はバックゲートを有さないトランジスタとしてもよい。また、トラ
ンジスタTr11乃至トランジスタTr14のそれぞれは、オン電流を増やすために、ゲ
ートとバックゲートとが電気的に接続された構成としているが、トランジスタTr11乃
至トランジスタTr14のそれぞれのバックゲートの全て、又は一部は、任意の電位が与
えられる配線に電気的に接続された構成としてもよい。
【0166】
ソースドライバ回路SDにおいて、トランジスタTr11の第1端子は、回路SDaに
電気的に接続され、トランジスタTr11の第2端子は、トランジスタTr12の第1端
子と、配線DLと、に電気的に接続されている。トランジスタTr11のゲートは、配線
SELDに電気的に接続され、トランジスタTr12の第2端子は、配線GNDLに電気
的に接続され、トランジスタTr12のゲートは、配線SELGに電気的に接続されてい
る。
【0167】
回路SDaは、表示部PAに画像を表示するために、当該画像に応じた電位VDATA
を生成して、電位VDATAをトランジスタTr11の第1端子に出力する機能を有する
。回路SDaは、例えば、図1に示すソースドライバ回路SDの構成にすることができる
。つまり、回路SDaは、画像データを生成するために、シフトレジスタSRと、ラッチ
回路LATと、レベルシフト回路LVSと、デジタルアナログ変換回路DACと、アンプ
回路AMPと、データバス配線DBと、を有することができる。この場合、アンプ回路A
MPの出力端子は、トランジスタTr11の第1端子に電気的に接続される構成とすれば
よい。
【0168】
回路WSDにおいて、トランジスタTr13の第1端子は、回路WSDaに電気的に接
続され、トランジスタTr13の第2端子は、トランジスタTr14の第1端子と、配線
WDLと、に電気的に接続されている。トランジスタTr13のゲートは、配線SELW
に電気的に接続され、トランジスタTr14の第2端子は、配線VLに電気的に接続さ
れ、トランジスタTr14のゲートは、配線SELVに電気的に接続されている。
【0169】
回路WSDaは、補正データを用いて表示部PAに表示する画像を補正するために、当
該補正データに応じた電位Vを生成して、電位VをトランジスタTr13の第1端子
に出力する機能を有する。回路WSDaは、例えば、回路SDaと同様に、シフトレジス
タSRと、ラッチ回路LATと、レベルシフト回路LVSと、デジタルアナログ変換回路
DACと、アンプ回路AMPと、データバス配線DBと、を有する構成とすることができ
る。また、この場合、アンプ回路AMPの出力端子は、トランジスタTr13の第1端子
に電気的に接続される構成とすればよい。
【0170】
配線SELD、配線SELG、配線SELW、配線SELVのそれぞれは、トランジス
タTr11乃至トランジスタTr14のゲートに電位を与えるための配線であり、当該電
位によってトランジスタTr11乃至トランジスタTr14のそれぞれのオン状態とオフ
状態との切り替えを行うことができる。
【0171】
配線GNDLは、配線DLに対して基準電位VGNDを与える配線であり、配線V
は、配線WDLに対して電位Vを与える配線である。
【0172】
ここで、画素PIXの動作が図8のタイミングチャートに示す動作例である場合の、図
10(A)のソースドライバ回路SDと回路WSDの動作を具体的に説明する。
【0173】
時刻T4より前、及び時刻T5より後において、配線WDLの電位はVとなっている
。時刻T4より前、及び時刻T5より後での回路WSDでは、配線SELWには低レベル
電位が印加されてトランジスタTr13をオフ状態にして、配線SELVには高レベル電
位が印加されてトランジスタTr14をオン状態にする動作が行われる。これによって、
配線VLと配線WDLとの間が導通状態になるため、配線WDLの電位はVとなる。
【0174】
また、時刻T4から時刻T5までの間において、配線WDLの電位はVとなっている
。時刻T4から時刻T5までの間での回路WSDでは、配線SELWには高レベル電位が
印加されてトランジスタTr13をオン状態にして、配線SELVには低レベル電位が印
加されてトランジスタTr14をオフ状態にする動作が行われる。そして、回路WSDa
から、補正データに応じた電位Vが出力されるので、配線WDLの電位はVとなる。
【0175】
時刻T5より前、及び時刻T6より後において、配線DLの電位はVGNDとなってい
る。時刻T5より前、及び時刻T6より後でのソースドライバ回路SDでは、配線SEL
Dには低レベル電位が印加されてトランジスタTr11をオフ状態にして、配線SELG
には高レベル電位が印加されてトランジスタTr12をオン状態にする動作が行われる。
これによって、配線GNDLと配線DLとの間が導通状態になるため、配線DLの電位は
GNDとなる。
【0176】
また、時刻T5から時刻T6までの間において、配線DLの電位はVDATAとなって
いる。時刻T5から時刻T6までの間でのソースドライバ回路SDでは、配線SELDに
は高レベル電位が印加されてトランジスタTr11をオン状態にして、配線SELGには
低レベル電位が印加されてトランジスタTr12をオフ状態にする動作が行われる。更に
回路SDaから、画像データに応じた電位VDATAが出力されるので、配線DLの電位
はVDATAとなる。
【0177】
図5(A)に示す画素PIXが、図8に示すタイミングチャートの動作を行う場合、ソ
ースドライバ回路SD及び回路WSDを図10(A)に示す構成とすることによって、配
線DL及び配線WDLのそれぞれに適切な電位を適時に印加することができる。
【0178】
なお、画素PIX及びその周辺の回路が図5(B)に示す構成で、画素PIXが図8
示すタイミングチャートの動作を行う場合、ソースドライバ回路SDは、例えば、図10
(B)の回路構成とすればよい。
【0179】
図10(B)に示すソースドライバ回路SDは、トランジスタTr11乃至トランジス
タTr14と、回路SDaと、を有する。なお、トランジスタTr11乃至トランジスタ
Tr14及び回路SDaについては、図10(A)のトランジスタTr11乃至トランジ
スタTr14及び回路SDaの説明の記載を参酌する。
【0180】
回路SDaは、トランジスタTr11の第1端子と、トランジスタTr13の第1端子
と、に電気的に接続されている。トランジスタTr11の第2端子は、トランジスタTr
12の第1端子と、配線DLと、に電気的に接続され、トランジスタTr13の第2端子
は、トランジスタTr14の第1端子と、配線WDLと、に電気的に接続されている。ト
ランジスタTr12の第2端子は、配線GNDLに電気的に接続され、トランジスタTr
14の第2端子は、配線VLに電気的に接続されている。トランジスタTr11のゲー
トは、配線SELDに電気的に接続され、トランジスタTr12のゲートは、配線SEL
Gに電気的に接続され、トランジスタTr13のゲートは、配線SELWに電気的に接続
され、トランジスタTr14のゲートは、配線SELVに電気的に接続されている。
【0181】
配線SELD、配線SELG、配線SELW、配線SELV、配線VL、及び配線G
NDLのそれぞれについては、図10(A)の配線SELD、配線SELG、配線SEL
W、配線SELV、配線VL、及び配線GNDLの説明の記載を参酌する。
【0182】
トランジスタTr11、トランジスタTr13、回路SDaの接続構成によって、図5
(B)に示すソースドライバ回路SDは、配線DL又は配線WDLの一方を選択して、選
択した配線に対して電位を与える構成となっている。また、回路SDaは、配線DLに印
加するための、画像データに応じた電位VDATAと、配線WDLに印加するための、補
正データに応じた電位Vと、を生成する機能を有する。そのため、回路SDaで電位V
DATAを生成して出力する場合、トランジスタTr11をオン状態、トランジスタTr
13をオフ状態とすることで、配線DLに電位VDATAを印加することができ、回路S
Daで電位Vを生成して出力する場合、トランジスタTr11をオフ状態、トランジス
タTr13をオン状態とすることで、配線WDLに電位Vを印加することができる。
【0183】
また、配線DLに基準電位VGNDを印加する場合、トランジスタTr11をオフ状態
とし、トランジスタTr12をオン状態とすればよい。また、配線WDLに基準電位V
を印加する場合、トランジスタTr13をオフ状態とし、トランジスタTr14をオン状
態とすればよい。
【0184】
ここでは、画素PIXの動作が図8のタイミングチャートに示す動作例である場合の、
図10(B)のソースドライバ回路SDの動作を具体的に説明する。
【0185】
時刻T4より前、及び時刻T5より後において、配線WDLの電位はVとなっている
。時刻T4より前、及び時刻T5より後でのソースドライバ回路SDでは、配線SELW
には低レベル電位が印加されてトランジスタTr13をオフ状態にして、配線SELVに
は高レベル電位が印加されてトランジスタTr14をオン状態にする動作が行われる。こ
れによって、配線VLと配線WDLとの間が導通状態になるため、配線WDLの電位は
となる。
【0186】
また、時刻T4から時刻T5までの間において、配線WDLの電位はVとなっている
。時刻T4から時刻T5までの間でのソースドライバ回路SDでは、配線SELWには高
レベル電位が印加されてトランジスタTr13をオン状態にして、配線SELVには低レ
ベル電位が印加されてトランジスタTr14をオフ状態にする動作が行われる。そして、
回路SDaから、補正データに応じた電位Vが出力されることで、配線WDLの電位は
となる。
【0187】
時刻T5より前、及び時刻T6より後において、配線DLの電位はVGNDとなってい
る。時刻T5より前、及び時刻T6より後でのソースドライバ回路SDでは、配線SEL
Dには低レベル電位が印加されてトランジスタTr11をオフ状態に、配線SELGには
高レベル電位が印加されてトランジスタTr12をオン状態にする動作が行われる。これ
によって、配線GNDLと配線DLとの間が導通状態になるため、配線DLの電位はV
NDとなる。
【0188】
また、時刻T5から時刻T6までの間において、配線DLの電位はVDATAとなって
いる。時刻T5から時刻T6までの間でのソースドライバ回路SDでは、配線SELDに
は高レベル電位が印加されてトランジスタTr11をオン状態に、配線SELGには低レ
ベル電位が印加されてトランジスタTr12をオフ状態にする動作が行われる。更に回路
SDaから、画像データに応じた電位VDATAが出力されることで、配線WDLの電位
はVDATAとなる。
【0189】
図5(B)に示す画素PIXが、図8に示すタイミングチャートの動作を行う場合、ソ
ースドライバ回路SDを図10(B)に示す構成とすることによって、配線DL及び配線
WDLのそれぞれに適切な電位を適時に印加することができる。
【0190】
なお、本明細書等において、ブロック図では、構成要素を機能毎に分類し、互いに独立
したブロックを示している。しかしながら実際の回路等においては、構成要素を機能毎に
切り分けることが難しく、一つの回路に複数の機能が係わる場合や、複数の回路にわたっ
て一つの機能が関わる場合があり得る。そのため、ブロック図に示すブロックは、明細書
で説明した構成要素に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0191】
なお、本発明の一態様は、上述した、図2(A)(B)、図3図5(A)(B)に示
した画素PIXに限定されない。本発明の一態様は、図2(A)(B)、図3図5(A
)(B)に示した画素PIXの構成を、適宜変更したものとしてもよい。例えば、図5
A)(B)に示す画素PIXでは、画像データ保持部101と、駆動回路部102と、補
正データ保持部104と、が互いに電気的に接続されているが、画像データ保持部101
と駆動回路部102との間の電気的接続を省略してもよい。つまり、画像データ保持部1
01から駆動回路部102への画像データの送信は、補正データ保持部104を介して行
う構成としてもよい。また、例えば、駆動回路部102と補正データ保持部104との間
の電気的接続を省略してもよい。つまり、補正データ保持部104から画像データ保持部
101に補正データを送信して、画像データ保持部101で補正された画像データを生成
して、駆動回路部102に送信する構成としてもよい。
【0192】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態及び/又は実施例と適宜組み合
わせることができる。
【0193】
(実施の形態2)
本実施の形態では、表示素子としてEL素子を用いた表示装置の構成例について説明す
る。なお、本実施の形態においては、実施の形態1で説明した、駆動回路部としきい値電
圧補正回路部の説明は省略する。
【0194】
図11(A)において、第1の基板4001上に設けられた表示部215を囲むように
して、シール材4005が設けられ、表示部215がシール材4005および第2の基板
4006によって封止されている。
【0195】
表示部215には、実施の形態1に示した画素PIXを有する画素アレイが設けられる
【0196】
図11(A)では、走査線駆動回路221a、信号線駆動回路231a、信号線駆動回
路232a、および共通線駆動回路241aは、それぞれがプリント基板4041上に設
けられた集積回路4042を複数有する。集積回路4042は、単結晶半導体または多結
晶半導体で形成されている。信号線駆動回路231aおよび信号線駆動回路232aは、
実施の形態1に示したソースドライバ回路SDの機能を有する。走査線駆動回路221a
は、実施の形態1に示したゲートドライバ回路GDの機能を有する。共通線駆動回路24
1aは、実施の形態1に示した画素PIXが有する所定の回路素子に規定の電位を印加す
る、又は電流を供給する機能を有する。特に、共通線駆動回路241aと画素PIXは、
実施の形態1に示した配線VAを介して、電気的に接続することができる。
【0197】
走査線駆動回路221a、共通線駆動回路241a、信号線駆動回路231a、および
信号線駆動回路232aに与えられる各種信号および電位は、FPC(Flexible
printed circuit)4018を介して供給される。
【0198】
走査線駆動回路221aおよび共通線駆動回路241aが有する集積回路4042は、
表示部215に選択信号を供給する機能を有する。信号線駆動回路231aおよび信号線
駆動回路232aが有する集積回路4042は、表示部215に画像信号を供給する機能
を有する。集積回路4042は、第1の基板4001上のシール材4005によって囲ま
れている領域とは異なる領域に実装されている。
【0199】
なお、集積回路4042の接続方法は、特に限定されるものではなく、ワイヤボンディ
ング法、COG(Chip On Glass)法、TCP(Tape Carrier
Package)法、COF(Chip On Film)法などを用いることができ
る。
【0200】
図11(B)は、信号線駆動回路231aおよび信号線駆動回路232aに含まれる集
積回路4042をCOG法により実装する例を示している。また、駆動回路の一部または
全体を表示部215と同じ基板上に一体形成して、システムオンパネルを形成することが
できる。
【0201】
図11(B)では、走査線駆動回路221aおよび共通線駆動回路241aを、表示部
215と同じ基板上に形成する例を示している。駆動回路を表示部215内の画素回路と
同時に形成することで、部品点数を削減することができる。よって、生産性を高めること
ができる。
【0202】
また、図11(B)では、第1の基板4001上に設けられた表示部215と、走査線
駆動回路221aおよび共通線駆動回路241aと、を囲むようにして、シール材400
5が設けられている。また表示部215、走査線駆動回路221a、および共通線駆動回
路241aの上に第2の基板4006が設けられている。よって、表示部215、走査線
駆動回路221a、および共通線駆動回路241aは、第1の基板4001とシール材4
005と第2の基板4006とによって、表示素子と共に封止されている。
【0203】
また、図11(B)では、信号線駆動回路231aおよび信号線駆動回路232aを別
途形成し、第1の基板4001に実装している例を示しているが、この構成に限定されな
い。走査線駆動回路を別途形成して実装しても良いし、信号線駆動回路の一部または走査
線駆動回路の一部を別途形成して実装しても良い。
【0204】
また、表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントロー
ラを含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む場合がある。
【0205】
また第1の基板上に設けられた表示部および走査線駆動回路は、トランジスタを複数有
している。当該トランジスタとして、OSトランジスタ、又は、チャネル形成領域にシリ
コンを有するトランジスタを適用することができる。
【0206】
周辺駆動回路が有するトランジスタと、表示部の画素回路が有するトランジスタの構造
は同じであってもよく、異なっていてもよい。周辺駆動回路が有するトランジスタは、全
て同じ構造であってもよく、2種類以上の構造が組み合わせて用いられていてもよい。同
様に、画素回路が有するトランジスタは、全て同じ構造であってもよく、2種類以上の構
造が組み合わせて用いられていてもよい。
【0207】
また、第2の基板4006上には、後述する入力装置4200を設けることができる。
図11(A)(B)に示す表示装置に入力装置4200を設けた構成はタッチパネルとし
て機能させることができる。
【0208】
本発明の一態様のタッチパネルが有する検知素子(センサ素子ともいう)に限定は無い
。指やスタイラスなどの被検知体の近接または接触を検知することのできる様々なセンサ
を、検知素子として適用することができる。
【0209】
センサの方式としては、例えば、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線
方式、光学方式、感圧方式など様々な方式を用いることができる。
【0210】
本実施の形態では、静電容量方式の検知素子を有するタッチパネルを例に挙げて説明す
る。
【0211】
静電容量方式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等がある。また、投
影型静電容量方式としては、自己容量方式、相互容量方式等がある。相互容量方式を用い
ると、同時多点検知が可能となるため好ましい。
【0212】
本発明の一態様のタッチパネルは、別々に作製された表示装置と検知素子とを貼り合わ
せる構成、表示素子を支持する基板および対向基板の一方または双方に検知素子を構成す
る電極等を設ける構成等、様々な構成を適用することができる。
【0213】
図12(A)、(B)に、タッチパネルの一例を示す。図12(A)は、タッチパネル
4210の斜視図である。図12(B)は、入力装置4200の斜視概略図である。なお
、明瞭化のため、代表的な構成要素のみを示している。
【0214】
タッチパネル4210は、別々に作製された表示装置と検知素子とを貼り合わせた構成
である。
【0215】
タッチパネル4210は、入力装置4200と、表示装置とを有し、これらが重ねて設
けられている。
【0216】
入力装置4200は、基板4263、電極4227、電極4228、複数の配線423
7、複数の配線4238および複数の配線4239を有する。例えば、電極4227は配
線4237または配線4239と電気的に接続することができる。また、電極4228は
配線4239と電気的に接続することができる。FPC4272bは、複数の配線423
7および複数の配線4238の各々と電気的に接続する。FPC4272bにはIC42
73bを設けることができる。
【0217】
または、表示装置の第1の基板4001と第2の基板4006との間にタッチセンサを
設けてもよい。第1の基板4001と第2の基板4006との間にタッチセンサを設ける
場合は、静電容量方式のタッチセンサのほか、光電変換素子を用いた光学式のタッチセン
サを適用してもよい。
【0218】
図13は、図11(B)中でN1-N2の鎖線で示した部位の断面図である。図13
示す表示装置は電極4015を有しており、電極4015はFPC4018が有する端子
と異方性導電層4019を介して、電気的に接続されている。また、図13では、電極4
015は、絶縁層4112、絶縁層4111、および絶縁層4110に形成された開口に
おいて配線4014と電気的に接続されている。
【0219】
電極4015は、第1の電極層4030と同じ導電層から形成され、配線4014は、
トランジスタ4010、およびトランジスタ4011のソース電極およびドレイン電極と
同じ導電層で形成されている。
【0220】
また、第1の基板4001上に設けられた表示部215と走査線駆動回路221aは、
トランジスタを複数有しており、図13では、表示部215に含まれるトランジスタ40
10、および走査線駆動回路221aに含まれるトランジスタ4011を例示している。
なお、図13では、トランジスタ4010およびトランジスタ4011としてボトムゲー
ト型のトランジスタを例示しているが、トップゲート型のトランジスタであってもよい。
また、トランジスタ4010は、実施の形態1で説明したトランジスタTr5とすること
ができる。また、トランジスタ4011は、実施の形態1で説明したゲートドライバ回路
GDに含まれるトランジスタとすることができる。
【0221】
図13では、トランジスタ4010およびトランジスタ4011上に絶縁層4112が
設けられている。また、絶縁層4112上に隔壁4510が形成されている。
【0222】
また、トランジスタ4010およびトランジスタ4011は、絶縁層4102上に設け
られている。また、トランジスタ4010およびトランジスタ4011は、絶縁層411
1上に形成された電極4017を有する。電極4017はバックゲート電極として機能す
ることができる。
【0223】
また、図13に示す表示装置は、容量素子4020を有する。容量素子4020は、ト
ランジスタ4010のゲート電極と同じ工程で形成された電極4021と、ソース電極お
よびドレイン電極と同じ工程で形成された電極と、を有する。それぞれの電極は、絶縁層
4103を介して重なっている。また、容量素子4020は、実施の形態1で説明した容
量素子C2又は容量素子C3の一方とすることができる。
【0224】
一般に、表示装置の画素部に設けられる容量素子の容量は、画素部に配置されるトラン
ジスタのリーク電流等を考慮して、所定の期間の間に、電荷を保持できるように設定され
る。容量素子の容量は、トランジスタのオフ電流等を考慮して設定すればよい。
【0225】
表示部215に設けられたトランジスタ4010は表示素子と電気的に接続する。
【0226】
また、図13に示す表示装置は、絶縁層4111と絶縁層4102を有する。絶縁層4
111と絶縁層4102として、不純物元素を透過しにくい絶縁層を用いる。絶縁層41
11と絶縁層4102でトランジスタを挟むことで、外部から半導体層への不純物の浸入
を防ぐことができる。
【0227】
表示装置に含まれる表示素子として、エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子(
EL素子)を適用することができる。EL素子は、一対の電極の間に発光性の化合物を含
む層(「EL層」ともいう。)を有する。一対の電極間に、EL素子の閾値電圧よりも大
きい電位差を生じさせると、EL層に陽極側から正孔が注入され、陰極側から電子が注入
される。注入された電子と正孔はEL層において再結合し、EL層に含まれる発光物質が
発光する。
【0228】
また、EL素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別
され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0229】
有機EL素子は、電圧を印加することにより、一方の電極から電子、他方の電極から正
孔がそれぞれEL層に注入される。そして、それらキャリア(電子および正孔)が再結合
することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻
る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光
素子と呼ばれる。
【0230】
なお、EL層は、発光性の化合物以外に、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物
質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、またはバイポー
ラ性の物質(電子輸送性および正孔輸送性が高い物質)などを有していてもよい。
【0231】
EL層は、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法
などの方法で形成することができる。
【0232】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに
分類される。分散型無機EL素子は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を
有するものであり、発光メカニズムはドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー-
アクセプター再結合型発光である。薄膜型無機EL素子は、発光層を誘電体層で挟み込み
、さらにそれを電極で挟んだ構造であり、発光メカニズムは金属イオンの内殻電子遷移を
利用する局在型発光である。なお、ここでは、発光素子として有機EL素子を用いて説明
する。
【0233】
発光素子は発光を取り出すために少なくとも一対の電極の一方が透明であればよい。そ
して、基板上にトランジスタおよび発光素子を形成し、当該基板とは逆側の面から発光を
取り出す上面射出(トップエミッション)構造や、基板側の面から発光を取り出す下面射
出(ボトムエミッション)構造や、両面から発光を取り出す両面射出(デュアルエミッシ
ョン)構造の発光素子があり、どの射出構造の発光素子も適用することができる。
【0234】
図13は、表示素子として発光素子を用いた発光表示装置(「EL表示装置」ともいう
。)の一例である。表示素子である発光素子4513は、表示部215に設けられたトラ
ンジスタ4010と電気的に接続している。なお、発光素子4513の構成は、第1の電
極層4030、発光層4511、第2の電極層4031の積層構造であるが、この構成に
限定されない。発光素子4513から取り出す光の方向などに合わせて、発光素子451
3の構成は適宜変えることができる。また、発光素子4513は、実施の形態1で説明し
た発光素子LDとすることができる。
【0235】
隔壁4510は、有機絶縁材料、または無機絶縁材料を用いて形成する。特に感光性の
樹脂材料を用い、第1の電極層4030上に開口部を形成し、その開口部の側面が連続し
た曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。
【0236】
発光層4511は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成さ
れていてもどちらでも良い。
【0237】
発光素子4513の発光色は、発光層4511を構成する材料によって、白、赤、緑、
青、シアン、マゼンタ、または黄などとさせることができる。
【0238】
カラー表示を実現する方法としては、発光色が白色の発光素子4513と着色層を組み
合わせて行う方法と、画素毎に発光色の異なる発光素子4513を設ける方法がある。前
者の方法は後者の方法よりも生産性が高い。一方、後者の方法では画素毎に発光層451
1を作り分ける必要があるため、前者の方法よりも生産性が劣る。ただし、後者の方法で
は、前者の方法よりも色純度の高い発光色を得ることができる。後者の方法に加えて、発
光素子4513にマイクロキャビティ構造を付与することにより色純度をさらに高めるこ
とができる。
【0239】
なお、発光層4511は、量子ドットなどの無機化合物を有していてもよい。例えば、
量子ドットを発光層に用いることで、発光材料として機能させることもできる。
【0240】
発光素子4513に酸素、水素、水分、二酸化炭素等が侵入しないように、第2の電極
層4031および隔壁4510上に保護層を形成してもよい。保護層としては、窒化シリ
コン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム
、窒化酸化アルミニウム、DLC(Diamond Like Carbon)などを形
成することができる。また、第1の基板4001、第2の基板4006、およびシール材
4005によって封止された空間には充填材4514が設けられ密封されている。このよ
うに、外気に曝されないように気密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(貼り合わせ
フィルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)やカバー材でパッケージング(封入)することが
好ましい。
【0241】
充填材4514としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂ま
たは熱硬化樹脂を用いることができ、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル樹脂、
ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEV
A(エチレンビニルアセテート)などを用いることができる。また、充填材4514に乾
燥剤が含まれていてもよい。
【0242】
シール材4005には、ガラスフリットなどのガラス材料や、二液混合型の樹脂などの
常温で硬化する硬化樹脂、光硬化性の樹脂、熱硬化性の樹脂などの樹脂材料を用いること
ができる。また、シール材4005に乾燥剤が含まれていてもよい。
【0243】
また、必要であれば、発光素子の射出面に偏光板、または円偏光板(楕円偏光板を含む
)、位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けて
もよい。また、偏光板または円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸
により反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
【0244】
また、発光素子をマイクロキャビティ構造とすることで、色純度の高い光を取り出すこ
とができる。また、マイクロキャビティ構造とカラーフィルタを組み合わせることで、映
り込みが低減し、表示画像の視認性を高めることができる。
【0245】
表示素子に電圧を印加する第1の電極層および第2の電極層(画素電極層、共通電極層
、対向電極層などともいう)においては、取り出す光の方向、電極層が設けられる場所、
および電極層のパターン構造によって透光性、反射性を選択すればよい。
【0246】
第1の電極層4030、第2の電極層4031は、酸化タングステンを含むインジウム
酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸
化物、インジウム錫酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化
物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いる
ことができる。
【0247】
また、第1の電極層4030、第2の電極層4031はタングステン(W)、モリブデ
ン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(
Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チ
タン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)などの金
属、またはその合金、もしくはその金属窒化物から一種以上を用いて形成することができ
る。
【0248】
また、第1の電極層4030、第2の電極層4031として、導電性高分子(導電性ポ
リマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性高分子とし
ては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子を用いることができる。例えば、ポリアニリン
若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘
導体、または、アニリン、ピロールおよびチオフェンの2種以上からなる共重合体若しく
はその誘導体などがあげられる。
【0249】
また、トランジスタは静電気などにより破壊されやすいため、駆動回路保護用の保護回
路を設けることが好ましい。保護回路は、非線形素子を用いて構成することが好ましい。
【0250】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態及び/又は実施例と適宜組み合
わせることができる。
【0251】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置、又は表示装置に用いることができる
トランジスタの構成について説明する。
【0252】
本発明の一態様の半導体装置、又は表示装置は、ボトムゲート型のトランジスタや、ト
ップゲート型トランジスタなどの様々な形態のトランジスタを用いて作製することができ
る。よって、既存の製造ラインに合わせて、使用する半導体層の材料やトランジスタ構造
を容易に置き換えることができる。
【0253】
〔ボトムゲート型トランジスタ〕
図14(A1)は、ボトムゲート型のトランジスタの一種であるチャネル保護型のトラ
ンジスタ810の断面図である。図14(A1)において、トランジスタ810は基板7
71上に形成されている。また、トランジスタ810は、基板771上に絶縁層772を
介して電極746を有する。また、電極746上に絶縁層726を介して半導体層742
を有する。電極746はゲート電極として機能できる。絶縁層726はゲート絶縁層とし
て機能できる。
【0254】
また、半導体層742のチャネル形成領域上に絶縁層741を有する。また、半導体層
742の一部と接して、絶縁層726上に電極744aおよび電極744bを有する。電
極744aは、ソース電極またはドレイン電極の一方として機能できる。電極744bは
、ソース電極またはドレイン電極の他方として機能できる。電極744aの一部、および
電極744bの一部は、絶縁層741上に形成される。
【0255】
絶縁層741は、チャネル保護層として機能できる。チャネル形成領域上に絶縁層74
1を設けることで、電極744aおよび電極744bの形成時に生じる半導体層742の
露出を防ぐことができる。よって、電極744aおよび電極744bの形成時に、半導体
層742のチャネル形成領域がエッチングされることを防ぐことができる。本発明の一態
様によれば、電気特性の良好なトランジスタを実現することができる。
【0256】
また、トランジスタ810は、電極744a、電極744bおよび絶縁層741上に絶
縁層728を有し、絶縁層728の上に絶縁層729を有する。
【0257】
半導体層742に酸化物半導体を用いる場合、電極744aおよび電極744bの、少
なくとも半導体層742と接する部分に、半導体層742の一部から酸素を奪い、酸素欠
損を生じさせることが可能な材料を用いることが好ましい。半導体層742中の酸素欠損
が生じた領域はキャリア濃度が増加し、当該領域はn型化し、n型領域(n層)となる
。したがって、当該領域はソース領域またはドレイン領域として機能することができる。
半導体層742に酸化物半導体を用いる場合、半導体層742から酸素を奪い、酸素欠損
を生じさせることが可能な材料の一例として、タングステン、チタン等を挙げることがで
きる。
【0258】
半導体層742にソース領域およびドレイン領域が形成されることにより、電極744
aおよび電極744bと半導体層742の接触抵抗を低減することができる。よって、電
界効果移動度や、しきい値電圧などの、トランジスタの電気特性を良好なものとすること
ができる。
【0259】
半導体層742にシリコンなどの半導体を用いる場合は、半導体層742と電極744
aの間、および半導体層742と電極744bの間に、n型半導体またはp型半導体とし
て機能する層を設けることが好ましい。n型半導体またはp型半導体として機能する層は
、トランジスタのソース領域またはドレイン領域として機能することができる。
【0260】
絶縁層729は、外部からのトランジスタへの不純物の拡散を防ぐ、または低減する機
能を有する材料を用いて形成することが好ましい。なお、必要に応じて絶縁層729を省
略することもできる。
【0261】
図14(A2)に示すトランジスタ811は、絶縁層729上にバックゲート電極とし
て機能できる電極723を有する点が、トランジスタ810と異なる。電極723は、電
極746と同様の材料および方法で形成することができる。
【0262】
一般に、バックゲート電極は導電層で形成され、ゲート電極とバックゲート電極で半導
体層のチャネル形成領域を挟むように配置される。よって、バックゲート電極は、ゲート
電極と同様に機能させることができる。バックゲート電極の電位は、ゲート電極と同電位
としてもよいし、接地電位(GND電位)や、任意の電位としてもよい。また、バックゲ
ート電極の電位をゲート電極と連動させず独立して変化させることで、トランジスタのし
きい値電圧を変化させることができる。
【0263】
電極746および電極723は、どちらもゲート電極として機能することができる。よ
って、絶縁層726、絶縁層728、および絶縁層729は、それぞれがゲート絶縁層と
して機能することができる。なお、電極723は、絶縁層728と絶縁層729の間に設
けてもよい。
【0264】
なお、電極746または電極723の一方を、「ゲート電極」という場合、他方を「バ
ックゲート電極」という。例えば、トランジスタ811において、電極723を「ゲート
電極」と言う場合、電極746を「バックゲート電極」と言う。また、電極723を「ゲ
ート電極」として用いる場合は、トランジスタ811をトップゲート型のトランジスタの
一種と考えることができる。また、電極746および電極723のどちらか一方を、「第
1のゲート電極」といい、他方を「第2のゲート電極」という場合がある。
【0265】
半導体層742を挟んで電極746および電極723を設けることで、更には、電極7
46および電極723を同電位とすることで、半導体層742においてキャリアの流れる
領域が膜厚方向においてより大きくなるため、キャリアの移動量が増加する。この結果、
トランジスタ811のオン電流が大きくなると共に、電界効果移動度が高くなる。
【0266】
したがって、トランジスタ811は、占有面積に対して大きいオン電流を有するトラン
ジスタである。すなわち、求められるオン電流に対して、トランジスタ811の占有面積
を小さくすることができる。本発明の一態様によれば、トランジスタの占有面積を小さく
することができる。よって、本発明の一態様によれば、集積度の高い半導体装置を実現す
ることができる。
【0267】
また、ゲート電極とバックゲート電極は導電層で形成されるため、トランジスタの外部
で生じる電界が、チャネルが形成される半導体層に作用しないようにする機能(特に静電
気などに対する電界遮蔽機能)を有する。なお、バックゲート電極を半導体層よりも大き
く形成し、バックゲート電極で半導体層を覆うことで、電界遮蔽機能を高めることができ
る。
【0268】
また、バックゲート電極を、遮光性を有する導電膜で形成することで、バックゲート電
極側から半導体層に光が入射することを防ぐことができる。よって、半導体層の光劣化を
防ぎ、トランジスタのしきい値電圧がシフトするなどの電気特性の劣化を防ぐことができ
る。
【0269】
本発明の一態様によれば、信頼性の良好なトランジスタを実現することができる。また
、信頼性の良好な半導体装置を実現することができる。
【0270】
図14(B1)に、ボトムゲート型のトランジスタの1つであるチャネル保護型のトラ
ンジスタ820の断面図を示す。トランジスタ820は、トランジスタ810とほぼ同様
の構造を有しているが、絶縁層741が半導体層742の端部を覆っている点が異なる。
また、半導体層742と重なる絶縁層741の一部を選択的に除去して形成した開口部に
おいて、半導体層742と電極744aが電気的に接続している。また、半導体層742
と重なる絶縁層741の一部を選択的に除去して形成した他の開口部において、半導体層
742と電極744bが電気的に接続している。絶縁層741の、チャネル形成領域と重
なる領域は、チャネル保護層として機能できる。
【0271】
図14(B2)に示すトランジスタ821は、絶縁層729上にバックゲート電極とし
て機能できる電極723を有する点が、トランジスタ820と異なる。
【0272】
絶縁層741を設けることで、電極744aおよび電極744bの形成時に生じる半導
体層742の露出を防ぐことができる。よって、電極744aおよび電極744bの形成
時に半導体層742の薄膜化を防ぐことができる。
【0273】
また、トランジスタ820およびトランジスタ821は、トランジスタ810およびト
ランジスタ811よりも、電極744aと電極746の間の距離と、電極744bと電極
746の間の距離が長くなる。よって、電極744aと電極746の間に生じる寄生容量
を小さくすることができる。また、電極744bと電極746の間に生じる寄生容量を小
さくすることができる。本発明の一態様によれば、電気特性の良好なトランジスタを実現
できる。
【0274】
図14(C1)に示すトランジスタ825は、ボトムゲート型のトランジスタの1つで
あるチャネルエッチング型のトランジスタである。トランジスタ825は、絶縁層741
を用いずに電極744aおよび電極744bを形成する。このため、電極744aおよび
電極744bの形成時に露出する半導体層742の一部がエッチングされる場合がある。
一方、絶縁層741を設けないため、トランジスタの生産性を高めることができる。
【0275】
図14(C2)に示すトランジスタ826は、絶縁層729上にバックゲート電極とし
て機能できる電極723を有する点が、トランジスタ825と異なる。
【0276】
〔トップゲート型トランジスタ〕
図15(A1)に例示するトランジスタ842は、トップゲート型のトランジスタの1
つである。トランジスタ842は、絶縁層729を形成した後に電極744aおよび電極
744bを形成する点がトランジスタ810、811、820、821、825、826
と異なる。電極744aおよび電極744bは、絶縁層728および絶縁層729に形成
した開口部において半導体層742と電気的に接続する。
【0277】
また、電極746と重ならない絶縁層726の一部を除去し、電極746と残りの絶縁
層726をマスクとして用いて不純物755を半導体層742に導入することで、半導体
層742中に自己整合(セルフアライメント)的に不純物領域を形成することができる(
図15(A3)参照)。トランジスタ842は、絶縁層726が電極746の端部を越え
て延伸する領域を有する。半導体層742の絶縁層726を介して不純物755が導入さ
れた領域の不純物濃度は、絶縁層726を介さずに不純物755が導入された領域よりも
小さくなる。よって、半導体層742は、電極746と重ならない領域にLDD(Lig
htly Doped Drain)領域が形成される。
【0278】
図15(A2)に示すトランジスタ843は、電極723を有する点がトランジスタ8
42と異なる。トランジスタ843は、基板771の上に形成された電極723を有する
。電極723は、絶縁層772を介して半導体層742と重なる領域を有する。電極72
3は、バックゲート電極として機能することができる。
【0279】
また、図15(B1)に示すトランジスタ844および図15(B2)に示すトランジ
スタ845のように、電極746と重ならない領域の絶縁層726を全て除去してもよい
。また、図15(C1)に示すトランジスタ846および図15(C2)に示すトランジ
スタ847のように、絶縁層726を残してもよい。
【0280】
トランジスタ842乃至トランジスタ847も、電極746を形成した後に、電極74
6をマスクとして用いて不純物755を半導体層742に導入することで、半導体層74
2中に自己整合的に不純物領域を形成することができる。本発明の一態様によれば、電気
特性の良好なトランジスタを実現することができる。また、本発明の一態様によれば、集
積度の高い半導体装置を実現することができる。
【0281】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態及び/又は実施例と適宜組み合
わせることができる。
【0282】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記の実施の形態で説明したOSトランジスタに用いることができ
る金属酸化物であるCAC‐OS(Cloud‐Aligned Composite
Oxide Semiconductor)、及びCAAC‐OS(c‐axis Al
igned Crystalline Oxide Semiconductor)の構
成について説明する。なお、明細書等において、CACは機能、又は材料の構成の一例を
表し、CAACは結晶構造の一例を表す。
【0283】
<金属酸化物の構成>
CAC-OSまたはCAC-metal oxideとは、材料の一部では導電性の機
能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有す
る。なお、CAC-OSまたはCAC-metal oxideを、トランジスタの活性
層に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(またはホール)を流す機能であ
り、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁
性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/O
ffさせる機能)をCAC-OSまたはCAC-metal oxideに付与すること
ができる。CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、それぞれの機
能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
【0284】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、導電性領域、及び絶縁
性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁
性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レ
ベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中
に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察さ
れる場合がある。
【0285】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、導電性領域と、
絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3n
m以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
【0286】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、異なるバンドギャップ
を有する成分により構成される。例えば、CAC-OSまたはCAC-metal ox
ideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因する
ナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際
に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャッ
プを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有
する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記
CAC-OSまたはCAC-metal oxideをトランジスタのチャネル形成領域
に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流
、及び高い電界効果移動度を得ることができる。
【0287】
すなわち、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、マトリックス複合
材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal
matrix composite)と呼称することもできる。
【0288】
<金属酸化物の構造>
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分け
られる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS、多結晶酸化物半導体
、nc-OS(nanocrystalline oxide semiconduct
or)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like
oxide semiconductor)および非晶質酸化物半導体などがある。
【0289】
CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連
結し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する
領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列
の向きが変化している箇所を指す。
【0290】
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合
がある。また、歪みにおいて、五角形、および七角形などの格子配列を有する場合がある
。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウ
ンダリーともいう)を確認することはできない。即ち、格子配列の歪みによって、結晶粒
界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向にお
いて酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が
変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
【0291】
また、CAAC-OSは、インジウム、および酸素を有する層(以下、In層)と、元
素M、亜鉛、および酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶
構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置
換可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn
)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,
M)層と表すこともできる。
【0292】
CAAC-OSは結晶性の高い酸化物半導体である。一方、CAAC-OSは、明確な
結晶粒界を確認することはできないため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こり
にくいといえる。また、酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって
低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化
物半導体ともいえる。従って、CAAC-OSを有する酸化物半導体は、物理的性質が安
定する。そのため、CAAC-OSを有する酸化物半導体は熱に強く、信頼性が高い。ま
た、CAAC-OSは、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対して
も安定である。したがって、OSトランジスタにCAAC-OSを用いると、製造工程の
自由度を広げることが可能となる。
【0293】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上
3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるナ
ノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。し
たがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導
体と区別が付かない場合がある。
【0294】
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物
半導体である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。即ち、a-lik
e OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。
【0295】
酸化物半導体は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様
の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、n
c-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0296】
<酸化物半導体を有するトランジスタ>
続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
【0297】
なお、上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、高い電界効果移動度のトラン
ジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができ
る。
【0298】
また、トランジスタには、キャリア密度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。
酸化物半導体膜のキャリア密度を低くする場合においては、酸化物半導体膜中の不純物濃
度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、
欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性と言う。例えば、酸化物
半導体は、キャリア密度が8×1011/cm未満、好ましくは1×1011/cm
未満、さらに好ましくは1×1010/cm未満であり、1×10-9/cm以上と
すればよい。
【0299】
また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が
低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
【0300】
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が
長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高
い酸化物半導体にチャネル形成領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定とな
る場合がある。
【0301】
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度
を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、
近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、ア
ルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0302】
<不純物>
ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
【0303】
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化
物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体におけるシリコンや炭
素の濃度と、酸化物半導体との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法
(SIMS)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm以下、好ましく
は2×1017atoms/cm以下とする。
【0304】
また、酸化物半導体にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を
形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属またはアルカリ土類金属
が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。
このため、酸化物半導体中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減すること
が好ましい。具体的には、SIMSにより得られる酸化物半導体中のアルカリ金属または
アルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm以下、好ましくは2×10
16atoms/cm以下にする。
【0305】
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリ
ア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体
に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、該酸化物半導体にお
いて、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、酸化物半導体中の窒素
濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm未満、好ましくは5×10
18atoms/cm以下、より好ましくは1×1018atoms/cm以下、さ
らに好ましくは5×1017atoms/cm以下とする。
【0306】
また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるた
め、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電
子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キ
ャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用
いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中の水素
はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、SI
MSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm未満、好ましくは1×
1019atoms/cm未満、より好ましくは5×1018atoms/cm未満
、さらに好ましくは1×1018atoms/cm未満とする。
【0307】
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いるこ
とで、安定した電気特性を付与することができる。
【0308】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態及び/又は実施例と適宜組み合
わせることができる。
【0309】
(実施の形態5)
本実施の形態では、上述の実施の形態で説明した半導体装置、又は表示装置を電子機器
に適用した製品例について説明する。
【0310】
<ノート型パーソナルコンピュータ>
本発明の一態様の半導体装置、又は表示装置は、情報端末装置に備えられるディスプレ
イに適用することができる。図16(A)は、情報端末装置の一種であるノート型パーソ
ナルコンピュータであり、筐体5401、表示部5402、キーボード5403、ポイン
ティングデバイス5404等を有する。
【0311】
<スマートウォッチ>
本発明の一態様の半導体装置、又は表示装置は、ウェアラブル端末に適用することがで
きる。図16(B)はウェアラブル端末の一種であるスマートウォッチであり、筐体59
01、表示部5902、操作ボタン5903、操作子5904、バンド5905などを有
する。また、表示部5902に、位置入力装置としての機能が付加された表示装置を用い
るようにしてもよい。また、位置入力装置としての機能は、表示装置にタッチパネルを設
けることで付加することができる。あるいは、位置入力装置としての機能は、フォトセン
サとも呼ばれる光電変換素子を表示装置の画素部に設けることでも、付加することができ
る。また、操作ボタン5903にスマートウォッチを起動する電源スイッチ、スマートウ
ォッチのアプリケーションを操作するボタン、音量調整ボタン、または表示部5902を
点灯、あるいは消灯するスイッチなどのいずれかを備えることができる。また、図16
B)に示したスマートウォッチでは、操作ボタン5903の数を2個示しているが、スマ
ートウォッチの有する操作ボタンの数は、これに限定されない。また、操作子5904は
、スマートウォッチの時刻合わせを行うリューズとして機能する。また、操作子5904
は、時刻合わせ以外に、スマートウォッチのアプリケーションを操作する入力インターフ
ェースとして、用いるようにしてもよい。なお、図16(B)に示したスマートウォッチ
では、操作子5904を有する構成となっているが、これに限定せず、操作子5904を
有さない構成であってもよい。
【0312】
<ビデオカメラ>
本発明の一態様の半導体装置、又は表示装置は、ビデオカメラに適用することができる
図16(C)に示すビデオカメラは、第1筐体5801、第2筐体5802、表示部5
803、操作キー5804、レンズ5805、接続部5806等を有する。操作キー58
04及びレンズ5805は第1筐体5801に設けられており、表示部5803は第2筐
体5802に設けられている。そして、第1筐体5801と第2筐体5802とは、接続
部5806により接続されており、第1筐体5801と第2筐体5802の間の角度は、
接続部5806により変更が可能である。表示部5803における映像を、接続部580
6における第1筐体5801と第2筐体5802との間の角度に従って切り替える構成と
してもよい。
【0313】
<携帯電話>
本発明の一態様の半導体装置、又は表示装置は、携帯電話に適用することができる。図
16(D)は、情報端末の機能を有する携帯電話であり、筐体5501、表示部5502
、マイク5503、スピーカ5504、操作ボタン5505を有する。また、表示部55
02に、位置入力装置としての機能が付加された表示装置を用いるようにしてもよい。ま
た、位置入力装置としての機能は、表示装置にタッチパネルを設けることで付加すること
ができる。あるいは、位置入力装置としての機能は、フォトセンサとも呼ばれる光電変換
素子を表示装置の画素部に設けることでも、付加することができる。また、操作ボタン5
505に携帯電話を起動する電源スイッチ、携帯電話のアプリケーションを操作するボタ
ン、音量調整ボタン、または表示部5502を点灯、あるいは消灯するスイッチなどのい
ずれかを備えることができる。
【0314】
また、図16(D)に示した携帯電話では、操作ボタン5505の数を2個示している
が、携帯電話の有する操作ボタンの数は、これに限定されない。また、図示していないが
図16(D)に示した携帯電話は、フラッシュライト、または照明の用途として発光装
置を有する構成であってもよい。
【0315】
<テレビジョン装置>
本発明の一態様の半導体装置、又は表示装置は、テレビジョン装置に適用することがで
きる。図16(E)に示すテレビジョン装置は、筐体9000、表示部9001、スピー
カ9003、操作キー9005(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子
9006などを有する。テレビジョン装置は、大画面、例えば、50インチ以上、または
100インチ以上の表示部9001を組み込むことが可能である。
【0316】
<移動体>
本発明の一態様の半導体装置、又は表示装置は、移動体である自動車の運転席周辺に適
用することができる。
【0317】
例えば、図16(F)は、自動車の室内におけるフロントガラス周辺を表す図である。
図16(F)では、ダッシュボードに取り付けられた表示パネル5701、表示パネル5
702、表示パネル5703の他、ピラーに取り付けられた表示パネル5704を図示し
ている。
【0318】
表示パネル5701乃至表示パネル5703は、ナビゲーション情報、スピードメータ
ーやタコメーター、走行距離、燃料計、ギア状態、エアコンの設定などを表示することで
、様々な情報を提供することができる。また、表示パネルに表示される表示項目やレイア
ウトなどは、ユーザの好みに合わせて適宜変更することができ、デザイン性を高めること
が可能である。表示パネル5701乃至表示パネル5703は、照明装置として用いるこ
とも可能である。
【0319】
表示パネル5704には、車体に設けられた撮像手段からの映像を映し出すことによっ
て、ピラーで遮られた視界(死角)を補完することができる。すなわち、自動車の外側に
設けられた撮像手段からの画像を表示することによって、死角を補い、安全性を高めるこ
とができる。また、見えない部分を補完する映像を映すことによって、より自然に違和感
なく安全確認を行うことができる。表示パネル5704は、照明装置として用いることも
できる。
【0320】
<電子広告用の電子機器>
本発明の一態様の半導体装置、又は表示装置は、電子広告を用途とするディスプレイに
適用することができる。図17(A)は、壁に取り付けが可能な電子看板(デジタルサイ
ネージ)の例を示している。図17(A)は、電子看板6200が壁6201に取り付け
られている様子を示している。
【0321】
<折り畳み式のタブレット型情報端末>
本発明の一態様の半導体装置、又は表示装置は、タブレット型の情報端末に適用するこ
とができる。図17(B)には、折り畳むことができる構造を有するタブレット型の情報
端末を示している。図17(B)に示す情報端末は、筐体5321aと、筐体5321b
と、表示部5322と、操作ボタン5323と、を有している。特に、表示部5322は
可撓性を有する基材を有しており、当該基材によって折り畳むことができる構造を実現で
きる。
【0322】
また、筐体5321aと筐体5321bと、は、ヒンジ部5321cにより結合されて
おり、ヒンジ部5321cによって、2つ折りが可能となっている。また、表示部532
2は、筐体5321a、筐体5321b、及びヒンジ部5321cに設けられている。
【0323】
また、図示していないが、図16(A)乃至(C)、(E)、図17(A)、(B)に
示した電子機器は、マイク及びスピーカを有する構成であってもよい。この構成により、
例えば、上述した電子機器に音声入力機能を付することができる。
【0324】
また、図示していないが、図16(A)、(B)、(D)、図17(A)、(B)に示
した電子機器は、カメラを有する構成であってもよい。
【0325】
また、図示していないが、図16(A)乃至(F)、図17(A)、(B)に示した電
子機器は、筐体の内部にセンサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離
、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線
、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線などを測定する機能を含むもの)を有する
構成であってもよい。特に、図16(D)に示す携帯電話に、ジャイロ、加速度センサな
どの傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、該携帯電話の向き(鉛直方
向に対して該携帯電話がどの向きに向いているか)を判断して、表示部5502の画面表
示を、該携帯電話の向きに応じて自動的に切り替えるようにすることができる。
【0326】
また、図示していないが、図16(A)乃至(F)、図17(A)、(B)に示した電
子機器は、指紋、静脈、虹彩、又は声紋など生体情報を取得する装置を有する構成であっ
てもよい。この構成を適用することによって、生体認証機能を有する電子機器を実現する
ことができる。
【0327】
また、図16(A)乃至(E)、図17(A)に示した電子機器の表示部として、可撓
性を有する基材を用いてもよい。具体的には、該表示部は、可撓性を有する基材上にトラ
ンジスタ、容量素子、及び表示素子などを設けた構成としてもよい。この構成を適用する
ことによって、図16(A)乃至(E)、図17(A)に示した電子機器のように平らな
面を有する筐体だけでなく、図16(F)に示したダッシュボード、ピラーのように、曲
面を有するような筐体の電子機器を実現することができる。
【0328】
図16(A)乃至(F)、図17(A)、(B)の表示部に適用できる、可撓性を有す
る基材としては、可視光に対する透光性を有する材料を例に挙げると、ポリエチレンテレ
フタレート樹脂(PET)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、ポリエーテルサ
ルフォン樹脂(PES)、ポリアクリロニトリル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、
ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリシクロオ
レフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエ
ステル樹脂、ポリハロゲン化ビニル樹脂、アラミド樹脂、エポキシ樹脂などを用いること
ができる。また、これらの材料を混合または積層して用いてもよい。
【0329】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態及び/又は実施例と適宜組み合
わせることができる。
【実施例0330】
<計算とその結果1>
図6(A)に示す画素PIXの回路構成において、駆動トランジスタのしきい値電圧を
補正する動作が適切に行われているかどうかを確認するため、回路シミュレータを用いて
計算を行った。ここでは、画素PIXの駆動トランジスタに相当するトランジスタTr3
のしきい値電圧を0Vとし、当該しきい値電圧を意図的に0Vから変化させて、発光素子
LDに流れる電流の変化量を計算した結果について説明する。
【0331】
当該計算で使用したソフトウェアは、SILVACO社のGateway(versi
on 3.4.1.R)という回路シミュレータである。当該シミュレータを用いて、ト
ランジスタTr3のしきい値電圧Vthの変化に対する、発光素子LDの電流変化率を計
算した。なお、変化後のしきい値電圧Vthを、-1V、-0.5V、0V、0.5V、
1Vの5条件として、それぞれに対する電流変化率の計算を行った。
【0332】
当該計算の条件において、画像データに相当するVdataを5Vとし、補正データに
相当するVを5Vとした。また、画素PIXに電気的に接続されている配線において、
配線GL1乃至GL4に印加される高レベル電位を15V、低レベル電位を-5Vとし、
配線VLの電位を0.5Vとし、配線BGLの電位を-10Vとし、配線ALの電位を1
3Vとし、配線CATに印加されている基準電位VGNDを-4Vとした。
【0333】
また、トランジスタTr3のしきい値電圧Vthを0Vから変化させたときの発光素子
LDに流れる電流をIELとし、当該しきい値電圧の変化が0、すなわち駆動トランジス
タのしきい値電圧が0における発光素子LDに流れる電流をIEL0とし、IEL-I
L0=ΔIELとする。そして、当該計算で求める発光素子LDの電流変化率を、ΔI
/IEL×100%として、算出した。
【0334】
当該計算の結果を図18に示す。図18は、しきい値電圧Vthの変化量が‐1Vから
1Vまでの間のときにおける、発光素子LDの電流変化率を示している。当該計算結果か
ら、しきい値電圧Vthが‐1Vから1Vまでの間であれば、電流変化率は概ね-10%
から10%までの範囲に抑えられていることが分かる。
【0335】
一般的にトランジスタが飽和領域で動作する場合、当該トランジスタに流れる電流量は
、ゲート‐ソース電圧としきい値電圧の差の2乗に比例するため、しきい値電圧が少し変
化するだけで、トランジスタに流れる電流の変化は非常に大きくなる。一方、図6(A)
に示す画素PIXの回路構成での計算結果では、電流変化率が概ね-10%から10%ま
での範囲に抑えられていることから、トランジスタTr3のしきい値電圧が適度に補正さ
れていることが分かる。
【0336】
上述の通り、ある行の画素PIXの駆動トランジスタのしきい値電圧を補正していると
き(図8における時刻T3から時刻T4までの間、又は図9における期間PD3)に、別
の行が有する画素PIXに補正データ及び画像データを書き込むことによって、表示装置
の動作周波数を高くすることができる。
【0337】
なお、本実施例は、本明細書に記載の各実施の形態、又は他の実施例と適宜組み合わせ
ることができる。
【実施例0338】
<計算とその結果2>
次に、図6(B)に示す画素PIXの回路構成において、駆動トランジスタのしきい値
電圧を補正する動作が適切に行われているかどうかを確認するため、回路シミュレータを
用いて計算を行った。ここでは、画素PIXの駆動トランジスタに相当するトランジスタ
Tr3のしきい値電圧を補正したときにおける、発光素子LDに流れる電流量を計算した
結果について説明する。
【0339】
当該計算で使用したソフトウェアは、上述の計算と同様のSILVACO社のSmar
tspice(4.26.7.R)という回路シミュレータである。当該シミュレータを
用いて、図6(B)に示す画素PIXの回路構成において、トランジスタTr3のしきい
値電圧を様々に設定し、当該しきい値電圧を補正したときにおける発光素子LDに流れる
電流量について計算を行った。
【0340】
図19は、当該回路シミュレータを用いて計算した結果であって、横軸を配線DL、配
線WDLのそれぞれから補正データ保持部(ノードND1)、画像データ保持部(ノード
ND2)に入力した同一の電圧(V)(以後、データ電圧と呼称する。)とし、縦軸を発
光素子LDに流れる駆動電流(A)としたグラフを示している。
【0341】
また、図19には、駆動トランジスタに相当するトランジスタTr3のしきい値電圧が
-0.9V、-0.4V、0.1V、0.6V、1.1V、1.6V、2.1V、2.6
V、3.1Vの9条件の場合をそれぞれ示している。
【0342】
図19より、データ電圧が高い場合、例えば、データ電圧が7.0Vの場合において、
駆動トランジスタに流れる電流量は、上記9条件では、概ね1.85×10-6Aから2
.80×10-6Aまでの範囲となる。駆動トランジスタのしきい値電圧が1.1Vであ
る条件を基準として考えると、補正による電流量の変化は概ね-20%以上20%以下の
範囲に収まっていることが分かる。
【0343】
なお、本実施例は、本明細書に記載の各実施の形態、又は他の実施例と適宜組み合わせ
ることができる。
【実施例0344】
<試作品>
上記実施の形態で説明した表示装置を実際に試作した。本実施例では、当該表示装置に
備えられているトランジスタの特性と、当該表示装置の詳細と、当該表示装置に対する輝
度測定の結果と、について説明する。
【0345】
図20(A)(B)は、CAAC-OSであるIn-Ga-Zn酸化物がチャネル形成
領域に含まれているOSトランジスタのドレイン電流Iとゲート-ソース間電圧V
特性を示したグラフである。特に、図20(A)では、LSIのスケールである、チャネ
ル長を60nm、チャネル幅を60nmとするOSトランジスタの特性を示し、図20
B)は、当該表示装置に備えられている、チャネル長を6μm、チャネル幅を4μmとす
るOSトランジスタのドレイン電流Iとゲート-ソース間電圧V及び電界効果移動度
μFE[cm/Vs]の特性を示したグラフである。
【0346】
図20(A)に示す特性CHR1、CHR2のそれぞれは、ソース-ドレイン間電圧が
0.1V、1.2Vの場合の特性を示している。図20(A)に示すとおり、OSトラン
ジスタは、LSIのスケールとして良好な特性を示しており、オフ電流が測定下限よりも
小さくなっている。
【0347】
図20(B)に示す特性CHR3、CHR4のそれぞれは、ソース-ドレイン間電圧が
0.1V、10Vの場合の特性を示している。なお、特性CHR3、CHR4は矢印Aの
方向の縦軸に対応する。また、図20(B)には、特性CHR5は、OSトランジスタの
ゲート-ソース間電圧と電界効果移動度の特性を示している。なお、特性CHR5は矢印
Bの方向の縦軸に対応する。図20(B)に示すとおり、OSトランジスタは、LSIの
スケールと同様に、表示装置に向けたスケールとしても良好な特性を示しており、オフ電
流が測定下限よりも小さくなっている。
【0348】
また、図20(B)の特性を有するOSトランジスタは、オフ電流が小さいため、図4
に示すトランジスタTr1、Tr2、図6(A)(B)に示すトランジスタTr1、Tr
2、Tr7に適用することができる。また、図4に示すトランジスタTr1乃至Tr4、
図6(A)(B)のトランジスタTr1乃至Tr6の全てに適用してもよい。
【0349】
図21は、画素を図6(B)に示す画素PIXとして、実際に試作した表示装置の様子
を示している。なお、画素PIXには、上述のOSトランジスタを用いている。当該表示
装置は、可撓性を有する基板を用いて作製されているため、当該表示装置の表示部を2つ
に折り畳むことができる。
【0350】
当該表示装置の具体的な仕様を下表に記す。
【0351】
【表1】
【0352】
また、全白である画像データを画像データ保持部(ノードND2)に保持した場合(画
像データのみ)と、その場合に加えて、全白を示す補正データを補正データ保持部(ノー
ドND1)に保持した場合(画像データ+補正データ)と、のそれぞれにおける、当該表
示装置の輝度は、下表の通りとなった。
【0353】
【表2】
【0354】
上表より、画像データを画像データ保持部(ノードND2)に保持し、かつ補正データ
を補正データ保持部(ノードND3)に保持することによって、画像データを画像データ
保持部(ノードND2)に保持する場合よりも、表示装置の輝度が向上したことがわかる
【0355】
また、当該表示装置で全画面の4%を発光させたとき、その4%の領域のピーク輝度は
、概ね2000cd/mであった。
【0356】
上述の通り、画素を図6(B)に示す画素PIXとした表示装置を作製することで、画
像データをより高輝度に表示することができる。これは、画素PIXの補正データ保持部
(ノードND3)に補正データを保持する構成のため、表示装置の有するソースドライバ
の出力以上の電圧を、駆動トランジスタ(トランジスタTr3)のゲートに印加すること
ができるからである。そのため、当該表示装置のソースドライバは出力電圧を高くする必
要が無いため、ソースドライバの消費電力を低減することができる。
【0357】
なお、本実施例は、本明細書に記載の各実施の形態、又は他の実施例と適宜組み合わせ
ることができる。
【0358】
(本明細書等の記載に関する付記)
本明細書に記載の実施の形態、及び実施例における各構成の説明について、以下に付記
する。
【0359】
<実施の形態、実施例で述べた本発明の一態様に関する付記>
各実施の形態、及び実施例に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせ
て、本発明の一態様とすることができる。また、1つの実施の形態の中に、複数の構成例
が示される場合は、互いに構成例を適宜組み合わせることが可能である。
【0360】
なお、ある一つの実施の形態、又は実施例の中で述べる内容(一部の内容でもよい)は
、その実施の形態、又は実施例で述べる別の内容(一部の内容でもよい)と、一つ若しく
は複数の別の実施の形態で述べる内容(一部の内容でもよい)との少なくとも一つの内容
に対して、適用、組み合わせ、又は置き換えなどを行うことができる。
【0361】
なお、実施の形態、又は実施例の中で述べる内容とは、各々の実施の形態、又は実施例
において、様々な図を用いて述べる内容、又は明細書に記載される文章を用いて述べる内
容のことである。
【0362】
なお、ある一つの実施の形態、又は実施例において述べる図(一部でもよい)は、その
図の別の部分、その実施の形態、又は実施例において述べる別の図(一部でもよい)と、
一つ若しくは複数の別の実施の形態、又は実施例において述べる図(一部でもよい)との
少なくとも一つの図に対して、組み合わせることにより、さらに多くの図を構成させるこ
とができる。
【0363】
<序数詞に関する付記>
本明細書等において、「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同
を避けるために付したものである。従って、構成要素の数を限定するものではない。また
、構成要素の順序を限定するものではない。また例えば、本明細書等の実施の形態(又は
実施例)の一において「第1」に言及された構成要素が、他の実施の形態(又は実施例)
、あるいは特許請求の範囲において「第2」に言及された構成要素とすることもありうる
。また例えば、本明細書等の実施の形態(又は実施例)の一において「第1」に言及され
た構成要素を、他の実施の形態、あるいは特許請求の範囲において省略することもありう
る。
【0364】
<図面を説明する記載に関する付記>
実施の形態(又は実施例)について図面を参照しながら説明している。但し、実施の形
態(又は実施例)は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲か
ら逸脱することなく、その形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に
理解される。従って、本発明は、実施の形態(又は実施例)の記載内容に限定して解釈さ
れるものではない。なお、実施の形態の発明の構成(又は実施例の構成)において、同一
部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰
り返しの説明は省略する。
【0365】
また、本明細書等において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の
位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。構成同士の位置関係は
、各構成を描写する方向に応じて適宜変化する。そのため、配置を示す語句は、明細書等
で説明した記載に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。例えば、「
導電体の上面に位置する絶縁体」の表現では、示している図面の向きを180度回転する
ことによって、「導電体の下面に位置する絶縁体」と言い換えることができる。
【0366】
また、「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が直上又は直下で、かつ、直接接
していることを限定するものではない。例えば、「絶縁層A上の電極B」の表現であれば
、絶縁層Aの上に電極Bが直接接して形成されている必要はなく、絶縁層Aと電極Bとの
間に他の構成要素を含むものを除外しない。
【0367】
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、説明の便宜上任意の大きさに示
したものである。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は明確性を期
すために模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。例えば
、ノイズによる信号、電圧、若しくは電流のばらつき、又は、タイミングのずれによる信
号、電圧、若しくは電流のばらつきなどを含むことが可能である。
【0368】
また、図面において、斜視図などにおいて、図面の明確性を期すために、一部の構成要
素の記載を省略している場合がある。
【0369】
また、図面において、同一の要素又は同様な機能を有する要素、同一の材質の要素、あ
るいは同時に形成される要素等には同一の符号を付す場合があり、その繰り返しの説明は
省略する場合がある。
【0370】
<言い換え可能な記載に関する付記>
本明細書等において、トランジスタの接続関係を説明する際、「ソース又はドレインの
一方」(又は第1電極、又は第1端子)、「ソース又はドレインの他方」(又は第2電極
、又は第2端子)という表記を用いる。これは、トランジスタのソースとドレインは、ト
ランジスタの構造又は動作条件等によって変わるためである。なおトランジスタのソース
とドレインの呼称については、ソース(ドレイン)端子や、ソース(ドレイン)電極等、
状況に応じて適切に言い換えることができる。また、本明細書等では、ゲート以外の2つ
の端子を第1端子、第2端子と呼ぶ場合や、第3端子、第4端子と呼ぶ場合がある。なお
、本明細書等において、チャネル形成領域はチャネルが形成される領域を指し、ゲートに
電位を印加することでこの領域が形成されて、ソース‐ドレイン間に電流を流すことがで
きる。
【0371】
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路
動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明
細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとす
る。
【0372】
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に
限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり
、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「
配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
【0373】
また、本明細書等において、電圧と電位は、適宜言い換えることができる。電圧は、基
準となる電位からの電位差のことであり、例えば基準となる電位をグラウンド電位(接地
電位)とすると、電圧を電位に言い換えることができる。グラウンド電位は必ずしも0V
を意味するとは限らない。なお電位は相対的なものであり、基準となる電位によっては、
配線等に与える電位を変化させる場合がある。
【0374】
なお本明細書等において、「膜」、「層」などの語句は、場合によっては、又は、状況
に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導
電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。又は、例えば、「絶縁膜」という
用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。又は、場合によって
は、又は、状況に応じて、「膜」、「層」などの語句を使わずに、別の用語に入れ替える
ことが可能である。例えば、「導電層」又は「導電膜」という用語を、「導電体」という
用語に変更することが可能な場合がある。又は、例えば、「絶縁層」「絶縁膜」という用
語を、「絶縁体」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0375】
なお本明細書等において、「配線」、「信号線」、「電源線」などの用語は、場合によ
っては、又は、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「配線」と
いう用語を、「信号線」という用語に変更することが可能な場合がある。また、例えば、
「配線」という用語を、「電源線」などの用語に変更することが可能な場合がある。また
、その逆も同様で、「信号線」「電源線」などの用語を、「配線」という用語に変更する
ことが可能な場合がある。「電源線」などの用語は、「信号線」などの用語に変更するこ
とが可能な場合がある。また、その逆も同様で「信号線」などの用語は、「電源線」など
の用語に変更することが可能な場合がある。また、配線に印加されている「電位」という
用語を、場合によっては、又は、状況に応じて、「信号」などという用語に変更すること
が可能な場合がある。また、その逆も同様で、「信号」などの用語は、「電位」という用
語に変更することが可能な場合がある。
【0376】
<語句の定義に関する付記>
以下では、上記実施の形態、及び実施例で言及した語句の定義について説明する。
【0377】
<<半導体の不純物について>>
半導体の不純物とは、例えば、半導体層を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が
0.1原子%未満の元素は不純物である。不純物が含まれることにより、例えば、半導体
にDOS(Density of States)が形成されることや、キャリア移動度
が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導
体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族
元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、主成分以外の遷移金属などがあり、
特に、例えば、水素(水にも含まれる)、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リ
ン、炭素、窒素などがある。酸化物半導体の場合、例えば水素などの不純物の混入によっ
て酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコン層である場合、半導体の特性
を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第1
3族元素、第15族元素などがある。
【0378】
<<スイッチについて>>
本明細書等において、スイッチとは、導通状態(オン状態)、又は、非導通状態(オフ
状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有するものをいう。又は、スイ
ッチとは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有するものをいう。
【0379】
一例としては、電気的スイッチ又は機械的なスイッチなどを用いることができる。つま
り、スイッチは、電流を制御できるものであればよく、特定のものに限定されない。
【0380】
電気的なスイッチの一例としては、トランジスタ(例えば、バイポーラトランジスタ、
MOSトランジスタなど)、ダイオード(例えば、PNダイオード、PINダイオード、
ショットキーダイオード、MIM(Metal Insulator Metal)ダイ
オード、MIS(Metal Insulator Semiconductor)ダイ
オード、ダイオード接続のトランジスタなど)、又はこれらを組み合わせた論理回路など
がある。
【0381】
なお、スイッチとしてトランジスタを用いる場合、トランジスタの「導通状態」とは、
トランジスタのソース電極とドレイン電極が電気的に短絡されているとみなせる状態をい
う。また、トランジスタの「非導通状態」とは、トランジスタのソース電極とドレイン電
極が電気的に遮断されているとみなせる状態をいう。なおトランジスタを単なるスイッチ
として動作させる場合には、トランジスタの極性(導電型)は特に限定されない。
【0382】
機械的なスイッチの一例としては、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)のよう
に、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)技術を用いたスイッチが
ある。そのスイッチは、機械的に動かすことが可能な電極を有し、その電極が動くことに
よって、導通と非導通とを制御して動作する。
【0383】
<<接続について>>
本明細書等において、XとYとが接続されている、と記載する場合は、XとYとが電気
的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接
接続されている場合とを含むものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図又は
文章に示された接続関係に限定されず、図又は文章に示された接続関係以外のものも含む
ものとする。
【0384】
ここで使用するX、Yなどは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子
、導電膜、層、など)であるとする。
【0385】
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可
能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダ
イオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されること
が可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、ス
イッチは、導通状態(オン状態)、又は、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか
流さないかを制御する機能を有している。
【0386】
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可
能とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号
変換回路(DA変換回路、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(
電源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など
)、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅又は電流量などを大きく出来る
回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成
回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能であ
る。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号
がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。
【0387】
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載する場合は、XとYとが電
気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟んで接続
されている場合)と、XとYとが機能的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に
別の回路を挟んで機能的に接続されている場合)と、XとYとが直接接続されている場合
(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟まずに接続されている場合)とを含
むものとする。つまり、電気的に接続されている、と明示的に記載する場合は、単に、接
続されている、とのみ明示的に記載されている場合と同じであるとする。
【0388】
なお、例えば、トランジスタのソース(又は第1の端子など)が、Z1を介して(又は
介さず)、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)が、
Z2を介して(又は介さず)、Yと電気的に接続されている場合や、トランジスタのソー
ス(又は第1の端子など)が、Z1の一部と直接的に接続され、Z1の別の一部がXと直
接的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)が、Z2の一部と直接
的に接続され、Z2の別の一部がYと直接的に接続されている場合では、以下のように表
現することが出来る。
【0389】
例えば、「XとYとトランジスタのソース(又は第1の端子など)とドレイン(又は第
2の端子など)とは、互いに電気的に接続されており、X、トランジスタのソース(又は
第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yの順序で電気的
に接続されている。」と表現することができる。又は、「トランジスタのソース(又は第
1の端子など)は、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子な
ど)はYと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トラ
ンジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yは、この順序で電気的に接続されている
」と表現することができる。又は、「Xは、トランジスタのソース(又は第1の端子など
)とドレイン(又は第2の端子など)とを介して、Yと電気的に接続され、X、トランジ
スタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)
、Yは、この接続順序で設けられている」と表現することができる。これらの例と同様な
表現方法を用いて、回路構成における接続の順序について規定することにより、トランジ
スタのソース(又は第1の端子など)と、ドレイン(又は第2の端子など)とを、区別し
て、技術的範囲を決定することができる。なお、これらの表現方法は、一例であり、これ
らの表現方法に限定されない。ここで、X、Y、Z1、Z2は、対象物(例えば、装置、
素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
【0390】
なお、回路図上は独立している構成要素同士が電気的に接続しているように図示されて
いる場合であっても、1つの構成要素が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も
ある。例えば配線の一部が電極としても機能する場合は、一の導電膜が、配線の機能、及
び電極の機能の両方の構成要素の機能を併せ持っている。したがって、本明細書における
電気的に接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている
場合も、その範疇に含める。
【符号の説明】
【0391】
DD 表示装置、PA 表示部、GD ゲートドライバ回路、SD ソースドライバ回路
、WSD 回路、PIX 画素、SR シフトレジスタ、LAT ラッチ回路、LVS
レベルシフト回路、DAC デジタルアナログ変換回路、AMP アンプ回路、GL 配
線、VA 配線、DB データバス配線、Tr1 トランジスタ、Tr2 トランジスタ
、Tr3 トランジスタ、Tr4 トランジスタ、Tr5 トランジスタ、Tr6 トラ
ンジスタ、Tr7 トランジスタ、C1 容量素子、C2 容量素子、C3 容量素子、
LD 発光素子、GL1 配線、GL2 配線、GL3 配線、GL4 配線、DL 配
線、WDL 配線、VL 配線、AL 配線、BGL 配線、CAT 配線、ND1 ノ
ード、ND2 ノード、ND3 ノード、ND4 ノード、SDa 回路、WSDa 回
路、Tr11 トランジスタ、Tr12 トランジスタ、Tr13 トランジスタ、Tr
14 トランジスタ、SELD 配線、SELG 配線、SELV 配線、SELW 配
線、GNDL 配線、VL 配線、101 画像データ保持部、102 駆動回路部、
103 表示素子、104 補正データ保持部、105 しきい値電圧補正回路部、21
5 表示部、221a 走査線駆動回路、231a 信号線駆動回路、232a 信号線
駆動回路、241a 共通線駆動回路、723 電極、726 絶縁層、728 絶縁層
、729 絶縁層、741 絶縁層、742 半導体層、744a 電極、744b 電
極、746 電極、755 不純物、771 基板、772 絶縁層、810 トランジ
スタ、811 トランジスタ、820 トランジスタ、821 トランジスタ、825
トランジスタ、826 トランジスタ、842 トランジスタ、843 トランジスタ、
844 トランジスタ、845 トランジスタ、846 トランジスタ、847 トラン
ジスタ、4001 第1の基板、4005 シール材、4006 第2の基板、4010
トランジスタ、4011 トランジスタ、4014 配線、4015 電極、4017
電極、4018 FPC、4019 異方性導電層、4020 容量素子、4021
電極、4030 第1の電極層、4031 第2の電極層、4041 プリント基板、4
042 集積回路、4102 絶縁層、4103 絶縁層、4110 絶縁層、4111
絶縁層、4112 絶縁層、4200 入力装置、4210 タッチパネル、4227
電極、4228 電極、4237 配線、4238 配線、4239 配線、4263
基板、4272b FPC、4273b IC、4510 隔壁、4511 発光層、
4513 発光素子、4514 充填材、5321a 筐体、5321b 筐体、532
1c ヒンジ部、5322 表示部、5323 操作ボタン、5401 筐体、5402
表示部、5403 キーボード、5404 ポインティングデバイス、5501 筐体
、5502 表示部、5503 マイク、5504 スピーカ、5505 操作ボタン、
5701 表示パネル、5702 表示パネル、5703 表示パネル、5704 表示
パネル、5801 第1筐体、5802 第2筐体、5803 表示部、5804 操作
キー、5805 レンズ、5806 接続部、5901 筐体、5902 表示部、59
03 操作ボタン、5904 操作子、5905 バンド、6200 電子看板、620
1 壁、9000 筐体、9001 表示部、9003 スピーカ、9005 操作キー
、9006 接続端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21