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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169181
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】血管オクルーダー
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
A61B17/12
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】書面
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023138441
(22)【出願日】2023-08-09
(62)【分割の表示】P 2022000635の分割
【原出願日】2017-06-09
(31)【優先権主張番号】62/348,729
(32)【優先日】2016-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 洋之
(72)【発明者】
【氏名】マグワイア、シャノン
(72)【発明者】
【氏名】リャン,ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】ビューティン,ウェンディ グラチック
(72)【発明者】
【氏名】ルーン-ウール,ティン
(72)【発明者】
【氏名】ソリマン,ピーター
(57)【要約】      (修正有)
【課題】血管系内の血流を閉塞するために使用される血管オクルーダーが記載されている。
【解決手段】血管オクルーダーは、可撓性膜を有する拡張可能なメッシュ部102を備えることができる。可撓性膜は、拡張可能なメッシュ部の空洞内で拡張する。拡張時、可撓性膜はメッシュ部を介した血液の通過を遮断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者を治療するための血管プラグであって、
長尺の本体部と、
前記長尺の本体部の先端に固定され、非制限時に径方向に拡張した構成および径方向に圧縮した構成を有するメッシュ部と、
前記メッシュ部の内部空洞内に固定され、前記内部空洞内で拡張することにより、前記メッシュ部を介した血液の通過を遮断する膜と、を含むことを特徴とする血管プラグ。
【請求項2】
前記メッシュ部の前記内部空洞内に固定され、かつ前記膜に接続された支持フレームをさらに含む請求項1に記載の血管プラグ。
【請求項3】
前記メッシュ部が前記径方向に拡張した構成にある時に、前記支持フレームが前記膜を拡張するように構成されている請求項2に記載の血管プラグ。
【請求項4】
前記支持フレームが、前記メッシュ部の先端と前記メッシュ部の基端とに接続されている請求項3に記載の血管プラグ。
【請求項5】
前記支持フレームが、前記メッシュ部の前記基端と前記先端との間の軸に対して直角である方向に拡張するリング部をさらに含む請求項4に記載の血管プラグ。
【請求項6】
前記膜が、前記膜および前記支持フレームを覆うように配置されたラミネート層をさらに含む請求項2に記載の血管プラグ。
【請求項7】
前記膜が、PETの第1の層を含み、前記ラミネート層がePTFEの第2の層を含む請求項6に記載の血管プラグ。
【請求項8】
前記膜が、金属繊維、ポリマー繊維または接着剤によって前記支持フレームに接続されている請求項2に記載の血管プラグ。
【請求項9】
前記長尺の本体部が、前記メッシュ部に取り付けられた係留部と、前記係留部を切断して、患者内に前記メッシュ部を解放するように構成されたヒーターコイルとをさらに含む請求項1に記載の血管プラグ。
【請求項10】
前記長尺の本体部が、前記メッシュ部の前記内部空洞内へ先端側に前進可能であるマイクロコイルをさらに含む請求項1に記載の血管プラグ。
【請求項11】
前記膜が円形状を有する請求項1に記載の血管プラグ。
【請求項12】
前記膜が、複数の重なり合う形状を含む請求項1に記載の血管プラグ。
【請求項13】
前記径方向に拡張した構成は、球形状、楕円形状、または先端側を向いた凹形状をなす請求項1に記載の血管プラグ。
【請求項14】
前記膜が、前記長尺の本体部の軸に対して非直角で、前記メッシュ部の前記内部空洞内に拡張する請求項1に記載の血管プラグ。
【請求項15】
患者を治療するための血管プラグであって、
長尺のプッシャと、
前記長尺のプッシャの先端に固定され、径方向に圧縮した構成と径方向に拡張した構成との間で拡張するメッシュ部と、
前記メッシュ部の内部空洞内に固定され、前記メッシュ部内に遮断部を形成するように前記内部空洞内で拡張可能である膜と、を含むことを特徴とする血管プラグ。
【請求項16】
前記メッシュ部の前記内部空洞に配置され、前記メッシュ部が前記径方向に拡張した構成にある時に、前記膜を拡張するように前記膜に接続されている1つ以上のワイヤをさらに含む請求項15に記載の血管プラグ。
【請求項17】
前記膜が、前記1つ以上のワイヤの一部の周囲に延在する材料層をさらに含む請求項16に記載の血管プラグ。
【請求項18】
前記長尺のプッシャが、前記メッシュ部に接続され、前記長尺のプッシャの先端近傍のヒーターコイルによって選択的に切断可能である係留部をさらに含む請求項16に記載の血管プラグ。
【請求項19】
患者内に遮断部を生成する方法であって、
長尺の本体部を患者内で前進させるステップと、
前記長尺の本体部の先端でメッシュ部を展開するステップと、
前記メッシュ部を拡張し、径方向に拡張した構成とするステップと、
前記メッシュ部の空洞内に膜を拡張するステップと、
前記長尺の本体部から前記メッシュ部を分離するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、発明の名称が血管オクルーダー(Vessel Occluder)である2016年6月10日に出願された米国仮特許出願第62/348,729号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
血管閉塞(Vessel occlusion)は、多数の理由から望ましい場合がある。要因としては、動脈瘤、左心耳(left atrial appendage)、心房中隔欠損(atrial septal defect)、瘻孔(fistulas)、卵円孔開存(patent foramen ovale)、動脈管開存(patent ductus arteriosus)、塞栓(vessel shutdown)の治療、すなわち神経血管系および末梢血管系における様々な閉塞目的の治療が挙げられる。
【0003】
塞栓コイル(Embolic coils)はしばしば閉塞目的で使用される。コイルは標的治療部位を充填するが、治療領域を閉塞するのに相当な時間を必要とし得る。血管プラグ(vascular plugs)は、奇形(malformation)、血管、または標的治療領域に適合し、迅速な閉塞効果を提供することができる。血管プラグは、迅速に標的空間を充填し、標的空間に適合することができるので、急速な閉塞が望まれる場合に、血管プラグがしばしば使用される。血管プラグは、効果的であるために、典型的には容易に展開可能であり、迅速な閉塞を促進し、かつ展開後の移動(migration)に対する耐性を有するべきである。しかしながら、従来の血管プラグがこれらの要素の全てにおいて優れていることはめったにない。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、概して血管プラグに関する。
【0005】
一実施形態では、血管プラグは、ほぼ直線形状から三次元形状に拡張する編組メッシュ部(braided mesh portion)を含む。例えば、メッシュ部は、ほぼ球形状、凹形状、扁平楕円形状(flattened oval shape)、または複数の接続された電球状に拡張可能である。
【0006】
血管プラグは、拡張時にメッシュ部の内部において展開される可撓性膜(flexible membrane)を備え得る。例えば、可撓性膜は、血管プラグの直線軸に対して実質的に直角に配置された円形の平らな膜を含むことができる。別の例では、可撓性膜は、血管プラグの軸に対して非直角である位置へ拡張する。
【0007】
一実施形態では、可撓性膜は、PET、ePTFE、または金属薄膜(thin metallic film)から構成される。
【0008】
一実施形態では、血管プラグおよびそれに取り付けられたプッシャは、メッシュ部の内側または外側にマイクロコイルまたは他の塞栓材料を供給するように構成される。
【0009】
一実施形態では、血管プラグは、メッシュ部の内側に弾性部材を備え、患者内での血管プラグの拡張を補助する。
【0010】
また、本発明は、患者内に血管プラグを展開する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の実施形態が可能とする特徴および利点ならびにこれらの他の態様は、添付の図面を参照しながら、以下の本発明の実施形態の説明から明らかになり、解明されるであろう。
【0012】
図1図1は、本発明による血管プラグを示す図である。
【0013】
図2図2は、本発明による血管プラグを示す図である。
【0014】
図3図3は、本発明による血管プラグを示す図である。
【0015】
図4図4は、本発明による血管プラグを示す図である。
【0016】
図5図5は、プッシャおよび分離機構(detachment mechanism)を示す図である。
【0017】
図6図6は、プッシャおよび分離機構を示す図である。
【0018】
図7図7は、プッシャおよび分離機構を示す図である。
【0019】
図8図8は、分離機構用の電力供給制御システムを示す図である。
【0020】
図9図9は、血管プラグの他の実施形態を示す図である。
【0021】
図10図10は、可撓性膜の一実施形態を示す図である。
【0022】
図11図11は、可撓性膜の一実施形態を示す図である。
【0023】
図12図12は、その内側に弾性部材を有する可撓性プラグを示す図である。
【0024】
図13図13は、その内側に弾性部材を有する可撓性プラグを示す図である。
【0025】
図14図14は、血管プラグの他の実施形態を示す図である。
【0026】
図15図15は、血管プラグの他の実施形態を示す図である。
【0027】
図16図16は、血管プラグの他の実施形態を示す図である。
【0028】
図17図17は、血管プラグの他の実施形態を示す図である。
【0029】
図18図18は、血管プラグの他の実施形態を示す図である。
【0030】
図19図19は、マイクロコイルを有する血管プラグの実施形態を示す図である。
【0031】
図20図20は、マイクロコイルを有する血管プラグの実施形態を示す図である。
【0032】
図21図21は、血管プラグの他の実施形態を示す図である。
【実施形態の説明】
【0033】
添付図面を照し、本発明の具体的な実施形態を説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が、完全および完成したものとなり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。添付図面に図示される実施形態の詳細な説明において使用される専門用語は、本発明を限定するものとして意図されない。図面中、類似の番号は、類似の要素を示す。
【0034】
血管プラグは血管系における様々な閉塞目的のために使用される。これらのプラグ(閉塞栓)は一般に血管の形状または血管の異常部分に適合し、それによって標的領域を介するまたは標的領域への血流を閉塞および防止する。プラグは、動脈瘤、左心耳、心房中隔欠損、瘻孔、卵円孔開存、動脈管開存および塞栓を含む様々な状態を治療するために使用することができる。すなわち、プラグは、神経血管系(neuro-vasculature)および末梢血管系における様々な閉塞目的に使用することができる。
【0035】
プラグは、標的空間を充填するというよりは、標的空間の形状に適合してより速い閉塞を促進するので、通常、塞栓コイルのような他の閉塞デバイスよりも速い閉塞を提供する。血管プラグは、標的空間を充填するというよりは、標的空間に適合するように意図されているので、通常、他の閉塞デバイス(塞栓コイル等)よりも大きい。他の閉塞デバイスと比較して、より大きなこのプロファイルは、供給性の問題を生じさせることがある。したがって、プラグを標的治療部位に効果的に供給するために、血管プラグは、迅速な閉塞の必要性と供給の容易さの必要性とのバランスをとる必要がある。
【0036】
図1図8は、プッシャ112の先端に接続され、カテーテル113を介して患者内の所望の標的位置までプラグ100を前進させることを可能にする血管プラグ100の様々な態様を示す。血管プラグ100のメッシュ部102が拡張される時、可撓性膜104もまたメッシュ部102の内側で拡張され、標的位置に遮断部(blockage)または障壁(barrier)を形成する。
【0037】
メッシュ部102は、(例えば、カテーテル113の内側に配置された時の)長尺の圧縮された円筒形状から、長手方向に短くかつほぼ球形の拡張形状へ拡張する。メッシュ部102のワイヤは、ニチノールワイヤ、コバルト‐クロムワイヤ、ステンレス鋼ワイヤ、またはそれらの組合せから形成することができる。一例では、メッシュ部102は、約0.0008インチ~0.005インチの範囲の直径を有する48~144本のニチノールワイヤから構成される。任意の選択として、1つ以上の放射線不透過性ワイヤを使用してメッシュ部102を形成し、治療中の血管プラグ100の視覚化をさらに向上させることができる。
【0038】
メッシュ部102の先端は、先端キャップ部材108で終端となり、メッシュ部102の基端は、基端キャップ部材110で終端となる。これらのキャップ部材108および110は、メッシュ部のワイヤを結合することによって、ワイヤを個別の金属キャップに溶接することによって、金属キャップ部材をワイヤに圧着することによって、または接着剤を使用して個別のキャップをワイヤに取り付けることによって形成することができる。好ましくは、これらのキャップ部材108および110は、治療中に視覚的マーカーとして用いられるように、放射線不透過性材料から構成され得る。
【0039】
可撓性膜104は、膜として記載されているが、広げたり、まっすぐにしたり、伸すことができる任意の材料、または他の方法で、拡大領域、好ましくは平面領域へ拡張することができる任意の材料であり得る。可撓性膜104は、生体適合性であり、好ましくは患者における血栓形成反応(thrombogenic response)を増大させる種々の可撓性材料から構成され得る。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)または延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を使用することができる。別の具体例では、PETとePTFEの複合物を使用することができる。別の例では、可撓性膜104は、スパッタリングまたは真空蒸着によって形成されたもの等の金属薄膜から構成することができる。
【0040】
可撓性膜104は、メッシュ部102の空洞内に配置された支持フレーム106によって支持されている。支持フレーム106は、拡張したメッシュ部102の最大内径領域と同様のサイズの直径に拡張する円形のリング部106Cを備える。また、リング部106Cは、リング部106Cの平面がメッシュ部の基端と先端との間の軸(例えば、キャップ108とキャップ110との間の軸)に対してほぼ直角となるように配向している。この配向は、可撓性膜104が、メッシュ部102の空洞を横切ってほぼ完全に拡張し、血管プラグ100の基端と先端との間の患者からの流体の通過を遮断することを可能にする。
【0041】
可撓性膜104は、可撓性膜104の表面、リング部106Cのワイヤの周囲、およびそれ自体の裏面にラミネート層を形成することよって、リング部106Cに固定することができる。例えば、可撓性膜104は、PETで最初に形成され、ePTFEの層がPET層およびリング部106Cを覆うように配置または積層される。あるいは、可撓性膜104は、金属ワイヤまたはポリマー繊維を用いてリング部106Cに縫合されてもよい。別の代替的な実施形態では、接着剤が取付目的で使用されてもよい。さらに別の代替的な実施形態では、可撓性膜104は、メッシュ部102のワイヤに直接縫合または接合されてもよい。
【0042】
リング部106Cは、先端支持アーム106Aおよび基端支持アーム106Bによって支持されることが好ましい。先端支持アーム106Aは、その先端で先端キャップ部材108に接続され、軸方向に延在し、メッシュ部102の中心近傍で径方向外向きに湾曲し、最終的にリング部106Cに接続される。同様に、基端支持アーム106Bは、その基端で基端キャップ部材108に接続され、軸方向に延在し、メッシュ部102の中心近傍で径方向外向きに湾曲し、最終的にリング部106Cに接続される。先端支持アーム106Aは、基端支持アーム106Bの接続点と正反対の位置でリング部106Cに接続されてもよい。他の実施形態では、複数の支持アームが、同様に、リング部106Cへ接続されてもよい。例えば、2、3、4または5つの支持アームが、リング部106Cの基端側および先端側の両方に備えられていてもよい。
【0043】
図5図8に示されるように、血管プラグ100は、ヒーターコイル114を介して、プッシャ112から分離可能である。ヒーターコイル114は、プッシャ112の先端にあり、係留フィラメント(tether filament)116を切断する。具体的には、係留フィラメント116は、プッシャ112(例えば構造コイル(structural coil)122)に接続され、ヒーターコイル114の内部を通過し、基端キャップ110の通路を介して、メッシュ部102の中に入る。係留フィラメント116の先端は、結び目116Aに結び付けることができ、および/または接着剤によって血管プラグ100内に固定することができる。ヒーターが作動すると、係留フィラメント116が切断され、血管プラグ100がプッシャ112から解放される。
【0044】
ヒーターコイル114は、プッシャ112の基端へ延在するコアワイヤ124の先端に、プッシャ112の先端において固定されている。第1のワイヤ118が位置118Aにおいてヒーターコイル114の先端に半田付けされ、第2のワイヤ120が位置120Aにおいてヒーターコイル114の基端に半田付けされる。これにより、電力が選択的に供給され、熱を発生させる。
【0045】
図7に最もよく示されるように、ワイヤ118、120は、プッシャ112の基端へと、外側管状層126、128内で基端側に延在する。第1のワイヤ118は先端電気接点部130に固定され、第2のワイヤ120はコアワイヤ124に接続され、コアワイヤ124は最終的に中間電気接点部130Bに接続される。これらの接点部は、(例えば、絶縁スペーサ132を用いて)さらに電気的に絶縁され、意図しない短絡を防止する。したがって、先端電気接点部130Aおよび中間電気接点部130Bに電力を印加することによって、電気的に活性な回路を形成することができる。
【0046】
プッシャ112の基端を電力制御供給ユニット134の差込口(passage)134Aに挿入することによって、接点部130Aおよび130Bに電力を供給することができる。好ましくは、ユニットは、ボタン134Bまたは類似のユーザインターフェース制御部を備え、所望の時間に電力を有効にする。任意の選択として、プッシャ112は、ユニット134により使用可能な基端接点部130Cを備え、プッシャ112が差込口134Aに適切に設置されているかどうかを判断することができる。同様の分離システムおよび/または変形例は、US8182506号公報、US2006‐0200192号公報、US2010‐0268204号公報、US2011‐0301686号公報、US2015‐0289879号公報、US2015‐1073772号公報およびUS2015‐0173773号公報に見出すことができる。それらの全てが、参照により組み込まれ、この実施形態(ならびに本願における他の任意の実施形態)と共に使用することができる。
【0047】
操作について、プッシャ112を内部に有するカテーテル113を、カテーテル112の先端が標的閉塞部位に隣接するまで、患者の血管または内腔内で前進させる。例えば、カテーテル113の先端は、動脈瘤の中またはその入り口に配置され得る。患者内での前進の前または挿入の前のいずれかに、電気接点部130A、130Bおよび130Cを備えるプッシャ112の基端が、供給ユニット134の差込口134Aに挿入される。
【0048】
次に、血管プラグ100がカテーテル113の先端に露出して所望の閉塞部位(例えば、動脈瘤内または血管内)に配置されるように、プッシャ112を先端側に前進させる(または任意選択でカテーテル113を後退させる)。血管プラグ100が露出すると、メッシュ部102および可撓性膜104が拡張し、その先への体液(例えば血液)の流れを実質的に遮断する。
【0049】
最後に、ユーザは、ボタン134Bを作動させ、プッシャ112およびヒーターコイル114を介して電力を供給する。ヒーターコイル114が加熱すると、その加熱により、血管プラグ100に接続されている係留フィラメント116が切断される。これにより、血管プラグ100がプッシャ112から解放される。最後に、プッシャ112がカテーテル113内に引き戻され、両デバイスが患者から引き出される。
【0050】
代替的に、血管プラグ112を一時的に使用することができる。具体的には、血管プラグ100を展開し、その後、カテーテル113内に引き戻すことができる。
【0051】
図9は、プラグ150およびプッシャ112の軸に対して非直角で可撓性膜104の平面を位置付けるリング部106Cを備える点を除き、前述のプラグ100とほぼ同様の血管プラグ150の他の実施形態を示す。一例では、リング部106Cの平面は、プッシャ112の軸に対して約45度の角度にある。
【0052】
可撓性膜104は血管プラグ100内でほぼ円形状をなすが、他の形状も可能である。例えば、図10は、径方向に複数のアーム部152を有するほぼ「プラス」形状の可撓性膜152を示す。他の例では、複数のほぼ円形の支持リング部156を含む可撓性膜アセンブリ154が図11に示されている。複数の支持リング部156は、それぞれ、個別の可撓性膜158を支持している。リング部と膜は互いに部分的に重なり合ってもよく、異なる数(例えば、2、3、4、5、または6つ)のリング部と膜を使用してもよい。あるいは、各支持リング部156は、正方形、三角形、楔形または楕円形等、円形以外の形状を有してもよい。
【0053】
本明細書に記載の血管プラグの実施形態のいずれも、メッシュ部102内に弾性部材162をさらに備え、径方向の拡張を補助することができる。例えば、図12は、先端キャップ部材108および基端キャップ部材110に接続された弾性部材162を有する血管プラグ160(可撓性膜104を有しても有さなくてもよい)を示す。血管プラグ160は、その圧縮構成(すなわちカテーテル113内)にあり、弾性部材162が引き伸ばされている。図13では、血管プラグ160がカテーテル113から解放され、弾性部材162がキャップ部材108、110を互いに近づけるように引っ張り、それによってメッシュ部を拡張させている。弾性部材162は、バネまたは伸縮性の弾性ポリマー等の弾性力を提供することができる任意の材料とすることができる。
【0054】
本明細書に記載のメッシュ部102のいずれも、図14の血管プラグ170に示されるように、PET繊維、ハイドロゲル繊維またはPET被覆ハイドロゲル繊維等の、メッシュに織り込まれた他の材料のストランド172をさらに備えることができる。1つの具体例では、メッシュ部102は、144本の編組ニチノールワイヤ(8本のワイヤは0.0025インチの直径であり、138本のワイヤは0.001インチの直径である)から構成され、編組ニチノールワイヤを介してオーバーアンダーパターンで縫い付けられる0.004インチのステンレス鋼ワイヤに接着された20本のPET糸が用いられる。
【0055】
本明細書に記載の実施形態のメッシュ部102は、血管プラグ100のほぼ球形の形状以外の拡張形状を有することができることを理解されたい。例えば、図15および図16は、「カップ」形状または先端側を向いた凹形状に拡張する血管プラグ180の側面断面図および上面斜視図をそれぞれ示す。支持リング部106Cおよび可撓性膜104は、メッシュ部102の内部にあるように示されているが、先端側を向いた凹領域を形成する陥没部(depression)において、メッシュ部102の外側に配置することもできる。
【0056】
図17に示される他の例では、血管プラグ190のメッシュ部102は、比較的平らなまたは扁平の楕円形状に拡張することができる。図18に示されるさらに別の例では、血管プラグ200は、複数(例えば、2、3、4、5、6つ)の軸方向に整列した電球形状202に拡張し、これは、好ましくは単一の連続的なメッシュ部102からなるように熱成形される。可撓性膜104は、任意の電球部202内、全ての電球部202内、または任意の組合せの電球部202内に固定することができる。
【0057】
本明細書に開示される実施形態のいずれも、塞栓マイクロコイル212(あるいは、液体塞栓材料またはPET繊維等の他の塞栓材料)を様々な場所に展開するようにさらに適合させることができる。例えば、図19は、前述のプラグ100とほぼ同様の血管プラグ210の実施形態を示す。しかし、プッシャ112および基端キャップ110は、それを介してマイクロコイル212をメッシュ部102の基端内部へ押込み可能な通路を内部に備えることができる(プッシャ112はカテーテルとてもよい)。追加のマイクロコイル212は、遮断部をさらに強化し得る。
【0058】
図20に示される別の例では、血管プラグ220は、基端キャップ部材110と先端キャップ部材108との間に通路222を備え、マイクロコイル212がプラグ220の先端側に押し込まれることを可能にする。この例では、メッシュ部102は、先端側に向いている凹形状をなし、そこにマイクロコイル212が配置されている。
【0059】
図21に示される別の例では、血管プラグ230は可撓性膜104を欠いており、マイクロコイル212がメッシュ部102の内部空間全体に押し込まれることを可能にする。
【0060】
マイクロコイル212は、三次元の二次的形状が付与され、非制限時に曲線形状、コイル形状、および類似の形状をなすことができる。これらの二次的形状は、治療部位の周囲にフレームを形成するのに一般的に有用であり、その後、より小さなコイルを使用して治療部位を充填することができる。他の実施形態では、非複雑形状の塞栓コイルを利用してもよい。一例では、マイクロコイル212は、最大値が約0.023インチである直径の一次巻回体(これは供給カテーテル内での制限時のコイルの長尺形状である)を有する。これにより、内径が約0.027インチまでのカテーテル(またはマイクロコイルの通路を有するプッシャ112)内での使用を可能にする。二次(供給)巻回体のサイズ範囲は、約2mmから約20mmの間であってよい。任意選択で、マイクロコイル212は、ハイドロゲルを用いて、具体的には所定のpH(例えば、血液のpH)の流体との接触で拡張するpH反応性ハイドロゲル(pH-reactive hydrogel)を用いて、コーティングまたは含浸され得る。
【0061】
図22は、基端キャップ部材108と先端キャップ部材110との間に延在する複数の湾曲構造ワイヤ244を有する血管プラグ240の他の実施形態を示す。可撓性膜242は、構造ワイヤ244を被覆するようにまたはその下に接続されており、スパッタリングまたは真空蒸着によって形成されたもの等の金属薄膜から構成することができる。あるいは、可撓性膜242は、PET等のポリマーまたはメッシュから構成することができる。任意選択で、血管プラグ244は、可撓性膜の内部にマイクロコイル212を供給するように構成される。
【0062】
本発明を特定の実施形態および用途に関して説明してきたが、当業者であれば、この教示に照らして、特許請求の範囲の精神から逸脱することなく、またはその範囲を超えることなく追加の実施形態および修正を生み出すことができる。したがって、本明細書および図面は、本発明の理解を容易にするために例として提供されるものであり、その範囲を限定するように解釈されるべきではないことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【手続補正書】
【提出日】2023-09-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管プラグシステムであって、
外側プラグ層であって、カテーテル内での制限時に径方向に圧縮された構成と、非制限時に径方向に拡張した構成とを有し、該外側プラグ層は空洞を形成する、外側プラグ層と、及び
該外側プラグ層の該空洞内の弾性部材と、
を備え、
該外側プラグ層が径方向に圧縮された構成のとき該弾性部材は伸ばされており、該外側プラグ層を径方向に拡張した構成へと引張る、血管プラグシステム。
【請求項2】
該弾性部材が該血管プラグの先端位置及び基端位置に接続されている、請求項1の血管プラグシステム。
【請求項3】
該弾性部材が遠位キャップ部材及び基端キャップ部材に接続されている、請求項1の血管プラグシステム。
【請求項4】
該弾性部材が、バネ又は伸縮性の弾性ポリマーである、請求項1の血管プラグシステム。
【請求項5】
該外側プラグ層がメッシュを含む、請求項1の血管プラグシステム。
【請求項6】
該外側プラグ層が金属薄膜又はポリマーを含む、請求項1の血管プラグシステム。
【請求項7】
支持フレームに支持された可撓性膜が該外側プラグ層の該空洞内に存在する、請求項1の血管プラグシステム。
【請求項8】
該外側プラグ層が径方向に拡張した構成のとき、前記可撓性膜の平面が該血液プラグの軸に対して非直角又は直角に位置される、請求項7の血管プラグシステム。
【請求項9】
該支持フレームが該外側プラグ層の該空洞の内径と同様のサイズの直径のリングを備える請求項7の血管プラグシステム。
【請求項10】
該支持フレームが該外側層の該空洞の基端部分に亘る基端の支持アームをさらに含む請求項7の血管プラグシステム。
【請求項11】
該支持フレームが該外側層の該空洞の先端部分に亘る先端の支持アームをさらに含む請求項7の血管プラグシステム。
【請求項12】
該外側プラグ層に接続された細長いプッシャであって、該プッシャは、通路であって、その中を通って塞栓材料が該外側プラグ層の該空洞内へと押し込まれる、通路を含む、プッシャをさらに含む請求項1の血管プラグシステム。
【請求項13】
該外側プラグ層が、複数の該外側プラグ層の基端と先端の間に延びる湾曲した構造ワイヤを含む請求項1の血管プラグシステム。
【請求項14】
該外側プラグ層が該湾曲した構造ワイヤの上又は下に取り付けられた可撓性の膜をさらに含む請求項13の血液プラグシステム
【手続補正書】
【提出日】2023-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
図21は、血管プラグの他の実施形態を示す図である。
図22は、マイクロコイルを有する血管プラグの他の実施形態を示す図である。
【外国語明細書】