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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169192
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】モータユニット
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/116 20060101AFI20231121BHJP
   H02K 9/19 20060101ALI20231121BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20231121BHJP
   F16H 57/023 20120101ALI20231121BHJP
   B60K 17/04 20060101ALI20231121BHJP
   B60K 17/06 20060101ALI20231121BHJP
   B60K 17/12 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
H02K7/116
H02K9/19 A
H02K9/19 Z
H02K11/33
F16H57/023
B60K17/04 N
B60K17/06 G
B60K17/12
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023139481
(22)【出願日】2023-08-30
(62)【分割の表示】P 2020549350の分割
【原出願日】2019-09-26
(31)【優先権主張番号】P 2018185594
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】福永 慶介
(72)【発明者】
【氏名】宮田 陽平
(72)【発明者】
【氏名】村田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】水谷 真澄
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 恒之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 理世
(57)【要約】      (修正有)
【課題】インバータが一体化され小型化を図ることができるモータユニットを提供する。
【解決手段】モータユニット10は、モータ軸を中心に回転可能なロータと、ステータとを有するモータ1と、モータの動力を伝達し出力シャフトから出力する伝達機構と、モータを収容するモータ収容部および伝達機構を収容するギヤ収容部63を有するハウジング6と、モータに電力を供給するインバータユニット8と、ハウジングに設けられた油路を循環するオイルと、油路の経路中に設けられオイルを冷却するオイルクーラ97と、を備える。モータ軸の軸方向から見て、インバータユニットの少なくとも一部は、オイルクーラに重なる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され前記車両を駆動させるモータユニットであって、
モータ軸を中心に回転可能なロータと、ステータとを有するモータと、
前記モータの動力を伝達し出力シャフトから出力する伝達機構と、
前記モータを収容するモータ収容部および前記伝達機構を収容するギヤ収容部を有するハウジングと、
前記モータに電力を供給するインバータユニットと、
前記ハウジングに設けられた油路を循環するオイルと、
前記油路の経路中に設けられ前記オイルを冷却するオイルクーラと、
を備え、
前記モータ軸の軸方向から見て、前記インバータユニットの少なくとも一部は、前記オイルクーラに重なる、モータユニット。
【請求項2】
前記オイルクーラは、前記ギヤ収容部に固定される、
請求項1に記載のモータユニット。
【請求項3】
前記オイルクーラは、モータ軸よりも上側に位置する、
請求項1又は2に記載のモータユニット。
【請求項4】
前記インバータユニットと前記オイルクーラとは、冷媒路を構成する配管で互いに接続されている、
請求項1~3の何れか一項に記載のモータユニット。
【請求項5】
前記インバータユニットは、固定部において前記ハウジングに固定され、
前記固定部は、
前記ハウジングおよび前記インバータユニットのうち一方に設けられ水平方向に沿って張り出す庇部と、
前記ハウジングおよび前記インバータユニットのうち他方に設けられ前記庇部と上下方向に対向する対向面と、
固定ボルトと、を有し、
前記庇部には、上下方向に貫通する貫通孔が設けられ、
前記対向面には、ネジ穴が設けられ、
前記固定ボルトは、前記庇部の前記貫通孔を介して前記対向面の前記ネジ穴にねじ止めされる、
請求項1~4の何れか一項に記載のモータユニット。
【請求項6】
前記固定部は、第1の固定部と第2の固定部とを有し、
前記第1の固定部において、前記庇部は前記インバータユニットに設けられ、前記対向面は前記ハウジングに設けられ、
前記第2の固定部において、前記庇部は前記ハウジングに設けられ、前記対向面は前記インバータユニットに設けられる、
請求項5に記載のモータユニット。
【請求項7】
前記固定部は、第1の固定部と第2の固定部とを有し、
前記モータ軸方向から見て、前記第1の固定部は、前記モータ軸を挟んで前記第2の固定部と反対側に位置する、
請求項6に記載のモータユニット。
【請求項8】
前記インバータユニットは、前記ハウジングに対向する下面を有し、
前記ハウジングは、前記下面と隙間を介して上下方向に対向する、
請求項1~7の何れか一項に記載のモータユニット。
【請求項9】
前記モータ収容部は、内部にモータ室を有し、
前記ハウジングは、流路を有し、
前記オイルは、前記オイルクーラを通過した後、前記流路を介して、前記モータ室の上側で前記モータに供給される、
請求項1~8の何れか一項に記載のモータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車に搭載される駆動装置の開発が盛んに行われている。特許文献1には、インバータを収容するPDU(パワードライブユニット)に接続されるモータユニットが記載されている。近年では、インバータを一体化したモータユニットの開発が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-268633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インバータをモータユニットと一体化すると、モータユニットの寸法が大型化しやすいという問題がある。
【0005】
本発明の一つの態様は、インバータが一体化され小型化を図ることができるモータユニットの提供を目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータユニットの一つの態様は、モータ軸を中心に回転可能なロータと、ステータとを有するモータと、前記モータの動力を伝達し出力シャフトから出力する伝達機構と、前記モータを収容するモータ収容部および前記伝達機構を収容するギヤ収容部を有するハウジングと、前記モータに電力を供給するインバータユニットと、前記ハウジングに設けられた油路を循環するオイルと、前記油路の経路中に設けられ前記オイルを冷却するオイルクーラと、を備え、前記モータ軸の軸方向から見て、前記インバータユニットの少なくとも一部は、前記オイルクーラに重なる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、インバータが一体化され小型化を図ることができるモータユニットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態のモータユニットの概念図である。
図2図2は、一実施形態のモータユニットの斜視図である。
図3図3は、一実施形態のモータユニットの側面図である。
図4図4は、一実施形態のモータユニットの分解斜視図である。
図5図5は、一実施形態のモータユニットの分解斜視図である。
図6図6は、モータユニットの断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータユニットについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数などを異ならせる場合がある。
【0010】
以下の説明では、モータユニット10が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合の位置関係を基に、重力方向を規定して説明する。また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向(すなわち上下方向)を示し、+Z方向が上側(重力方向の反対側)であり、-Z方向が下側(重力方向)である。したがって、本明細書において、単に上側という場合、重力方向に対して上側であることを意味する。また、X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であってモータユニット10が搭載される車両の前後方向を示し、+X方向が車両前方であり、-X方向が車両後方である。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の幅方向(左右方向)を示し、+Y方向が車両左方であり、-Y方向が車両右方である。
【0011】
図1は、一実施形態のモータユニット10の概念図である。図2は、モータユニット10の斜視図である。
なお、後述するモータ軸J1、カウンタ軸J3、出力軸J4、回転軸J6、第1中心軸J7cおよび第2中心軸J7eは、実際には存在しない仮想軸である。
【0012】
モータユニット10は、車両に搭載され車輪Hを回転させることで車両を駆動させる。モータユニット10は、例えば、電気自動車(EV)に搭載される。なお、モータユニット10は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、等、モータを動力源とする車両に搭載されていればよい。
【0013】
図1に示すように、モータユニット10は、モータ1と、伝達機構(トランスアクスル)5と、モータ1および伝達機構5を収容するハウジング6と、オイルポンプ96と、オイルクーラ97と、パークロック機構7と、オイルOと、インバータユニット8と、を備える。
【0014】
(ハウジング)
ハウジング6は、例えばアルミダイカスト製である。ハウジング6は、車幅方向に沿って並ぶ複数部材を連結させることで構成される。ハウジング6の内部は、モータ1および伝達機構5を収容する収容空間6Sが設けられる。ハウジング6は、収容空間6Sにおいてモータ1および伝達機構5を保持する。収容空間6Sは、モータ1を収容するモータ室6Aと、伝達機構5を収容するギヤ室6Bと、に区画される。
【0015】
ハウジング6は、内部にモータ室6Aが設けられモータ1を収容するモータ収容部62と、内部にギヤ室6Bが設けられ伝達機構5を収容するギヤ収容部63と、モータ室6Aとギヤ室6Bとを区画する隔壁部61と、を有する。隔壁部61は、軸方向においてモータ収容部62とギヤ収容部63との間に位置する。
【0016】
収容空間6S内の下部領域には、オイルOが溜るオイル溜りPが設けられる。モータ室6Aとギヤ室6Bとを区画する隔壁部61には、隔壁開口61aが設けられる。隔壁開口61aは、モータ室6Aとギヤ室6Bとを連通させる。収容空間6S内のオイルOは、隔壁開口61aを介して、モータ室6Aとギヤ室6Bとの間を移動する。
【0017】
収容空間6Sには、オイルOを循環させる油路90が設けられる。オイルOは、油路90において、オイル溜りPからモータユニット10の各部に供給される。油路90については、後段において詳細に説明する。
【0018】
(オイル)
オイルOは、ハウジングの内部に溜る。また、オイルOは、ハウジング6に設けられた油路90を循環する。オイルOは、伝達機構5の潤滑用として使用されるとともに、モータ1の冷却用として使用される。オイルOは、収容空間6Sの下部領域(すなわちオイル溜りP)に溜る。オイルOは、潤滑油および冷却油の機能を奏するため、粘度の低いオートマチックトランスミッション用潤滑油(ATF:Automatic Transmission Fluid)と同等のものを用いることが好ましい。
【0019】
オイル溜りPに溜るオイルOには、モータ1の一部が浸かる。より具体的には、オイル溜りPのオイルOには、モータ1のステータ32の一部が浸かる。これによって、オイルOは、ステータ32を冷却する。
【0020】
また、オイル溜りPのオイルOには、伝達機構5の一部が浸かる。より具体的には、オイル溜りPのオイルOには、伝達機構5のリングギヤ51の一部が浸かる。オイル溜りPに溜るオイルOは、リングギヤ51の動作によってかき上げられて、ギヤ室6B内に拡散される。ギヤ室6Bに拡散されたオイルOは、ギヤ室6B内の伝達機構5の各ギヤに供給されてギヤの歯面にオイルOを行き渡らせる。伝達機構5に供給され潤滑に使用されたオイルOは、滴下してオイル溜りPに回収される。
【0021】
(油路)
油路90は、ハウジング6に設けられる。油路90は、収容空間6Sのモータ室6Aとギヤ室6Bとに跨って構成される。油路90は、オイル溜りPからオイルOをモータ1に供給し、再びオイル溜りPに導くオイルOの経路である。
【0022】
なお、本明細書において、「油路」とは、収容空間6Sを循環するオイルOの経路を意味する。したがって、「油路」とは、定常的に一方向に向かう定常的なオイルの流動を形成する「流路」のみならず、オイルを一時的に滞留させる経路(例えばオイル溜りP)およびオイルが滴り落ちる経路をも含む概念である。
【0023】
油路90には、オイルポンプ96およびオイルクーラ97が設けられる。油路90において、オイルOは、オイル溜りP、オイルポンプ96、オイルクーラ97、モータ1の順で循環し、オイル溜りPに戻る。
【0024】
オイルポンプ96は、油路90の経路中に設けられオイルOを圧送する。オイルポンプ96は、電気により駆動する電動ポンプである。オイルポンプ96は、ハウジング6のギヤ収容部63に固定される。
【0025】
図2に示すように、オイルポンプ96は、ハウジング6に設けられオイルポンプ収容穴69に収容される。オイルポンプ収容穴69は、軸方向に沿って延びる。オイルポンプ収容穴69は、車幅方向左方側(+Y方向)に開口する。オイルポンプ収容穴69の内周面には、オイルOをオイルポンプ96に吸い込む吸入口(図示略)と、オイルOを下流側に圧送する吐出口(図示略)とが開口する。
【0026】
ポンプモータ96mと、ポンプモータ96mによって駆動されるポンプ機構部(図示略)と、を有する。ポンプモータ96mは、オイルポンプ収容穴69の開口の外側において露出する。また、ポンプ機構部は、オイルポンプ収容穴69の内部に収容される。
【0027】
ポンプモータ96mの回転軸J6は、モータ軸J1と平行である。すなわち、ポンプモータ96mは、モータ軸J1と平行な回転軸J6を中心として回転する。ポンプモータ96mを有するオイルポンプ96は、回転軸J6方向に長尺となり易い。本実施形態によれば、ポンプモータ96mの回転軸J6をモータ軸J1と平行とすることで、モータ軸J1の径方向においてモータユニット10の寸法を小型化することができる。
【0028】
ポンプ機構部は、例えば、外歯車と内歯車がかみ合って回転するトロコイダルポンプである。この場合、ポンプ機構部の内歯車は、ポンプモータ96mによって回転させられる。ポンプ機構部の内歯車と外歯車との間の隙間は、吸入口および吐出口に繋がる。
【0029】
図1に示すように、オイルポンプ96は、ハウジングに設けられた流路を介してオイル溜りPからオイルOを吸い上げる。オイルポンプ96は、吸い上げたオイルOをオイルクーラ97に供給する。
【0030】
オイルクーラ97は、油路90の経路中に設けられ油路90を通過するオイルOを冷却する。オイルクーラ97は、ハウジング6のギヤ収容部63に固定される。オイルクーラ97には、ラジエータ(図示略)で冷却された冷媒を通過させる冷媒用配管97jが接続される。オイルクーラ97の内部を通過するオイルOは、冷媒用配管97jを通過する冷媒との間で熱交換されて冷却される。なお、冷媒用配管97jの経路中には、インバータユニット8が設けられる。すなわち、インバータユニット8とオイルクーラ97とは、冷媒路を構成する配管(冷媒用配管97j)で互いに接続されている。冷媒用配管97jを通過する冷媒は、オイルクーラ97を通過するオイルOのみならず、インバータユニット8をも冷却する。
【0031】
オイルクーラ97を通過したオイルOは、ハウジング6に設けられた流路を介してモータ室6Aの上側でモータ1に供給される。モータ1に供給されたオイルOは、上側から下側に向かってモータ1の外周面およびステータ32のコイル表面を伝って流れてモータ1の熱を奪う。これにより、モータ1全体を冷却することができる。モータ1を冷却したオイルOは、下側に滴下され、モータ室6A内の下部領域に溜る。モータ室6A内の下部領域に溜ったオイルOは、隔壁部61に設けられた隔壁開口61aを介してギヤ室6Bに移動する。
【0032】
(モータ)
モータ1は、電動機としての機能と発電機としての機能とを兼ね備えた電動発電機である。モータ1は、おもに電動機として機能して車両を駆動し、回生時には発電機として機能する。
【0033】
図1に示すように、モータ1は、ロータ31と、ロータ31を囲むステータ32と、を有する。ロータ31は、モータ軸J1を中心に回転可能である。ステータ32は、環状である。ステータ32は、ロータ31をモータ軸J1の径方向外側から囲む。
【0034】
ロータ31は、後述するモータドライブシャフト11に固定される。ロータ31は、モータ軸J1周りを回転する。ロータ31は、ロータコアと、ロータコアに保持されるロータマグネットと、を有する。
【0035】
ステータ32は、ステータコアと、コイルと、を有する。ステータコアは、モータ軸J1の径方向内側に突出する複数のティースを有する。コイルは、ステータコアのティースに巻き付けられる。
【0036】
モータ1は、インバータ8aに接続される。インバータ8aは、図示略のバッテリから供給される直流電流を交流電流に変換しモータ1に供給する。モータ1の各回転速度は、インバータ8aを制御することで制御される。
【0037】
(伝達機構)
伝達機構5は、モータ1の動力を伝達し出力シャフト55から出力する。伝達機構5は、駆動源と被駆動装置との間の動力伝達を担う複数の機構を内蔵する。
【0038】
伝達機構5は、モータドライブシャフト11と、モータドライブギヤ21と、カウンタシャフト13と、カウンタギヤ(大歯車部)23と、ドライブギヤ(小歯車部)24と、リングギヤ51と、出力シャフト(車軸)55と、差動装置(デファレンシャルギヤ)50と、を有する。
【0039】
伝達機構5の各ギヤおよび各シャフトは、それぞれモータ軸J1、カウンタ軸J3および出力軸J4の何れかを中心として回転可能である。本実施形態において、モータ軸J1、カウンタ軸J3および出力軸J4は、互いに平行に延びる。また、モータ軸J1、カウンタ軸J3および出力軸J4は、車両の幅方向と平行である。以下の説明において、軸方向とは、モータ軸J1の軸方向を意味する。すなわち、軸方向とは、モータ軸J1に平行な方向であって車幅方向を意味する。
【0040】
モータドライブシャフト11は、モータ軸J1に沿って延びる。モータドライブシャフト11は、ロータ31に固定される。モータドライブシャフト11は、モータ1に回転させられる。モータドライブシャフト11には、モータドライブギヤ21が固定される。
【0041】
モータドライブシャフト11は、モータ軸J1を中心として軸方向に延びる。モータドライブシャフト11は、モータ軸J1の軸方向両側に開口する中空のシャフトである。モータドライブシャフト11の軸方向に沿って視た外形は、モータ軸J1を中心とする円柱形状である。モータドライブシャフト11は、ベアリングによってモータ軸J1回りに回転可能に支持される。モータドライブシャフト11の内部には、出力シャフト55が通される。
【0042】
モータドライブギヤ21は、モータドライブシャフト11に固定される。モータドライブギヤ21は、モータドライブシャフト11とともに、モータ軸J1周りを回転する。
【0043】
カウンタシャフト13は、カウンタ軸J3に沿って延びる。カウンタシャフト13は、カウンタ軸J3周りを回転する。カウンタシャフト13は、例えば、伝達機構5を収容するケース(図示略)に軸受(図示略)を介して回転可能に保持される。カウンタシャフト13には、カウンタギヤ23、ドライブギヤ24およびパークロックギヤ7aが固定される。
【0044】
カウンタギヤ23は、カウンタシャフト13に固定される。カウンタギヤ23は、カウンタシャフト13とともに、カウンタ軸J3周りを回転する。カウンタギヤ23は、モータドライブギヤ21と噛み合う。
【0045】
ドライブギヤ24は、カウンタシャフト13に固定される。ドライブギヤ24は、カウンタシャフト13およびカウンタギヤ23とともに、カウンタ軸J3周りを回転する。ドライブギヤ24は、軸方向において、カウンタギヤ23に対しモータ1の反対側に配置される。
【0046】
パークロックギヤ7aは、パークロック機構7の一部である。パークロックギヤ7aは、カウンタシャフト13に固定される。パークロックギヤ7aは、カウンタシャフト13、カウンタギヤ23およびドライブギヤ24とともに、カウンタ軸J3周りを回転する。パークロックギヤ7aは、軸方向において、カウンタギヤ23とドライブギヤ24との間に配置される。
【0047】
リングギヤ51は、差動装置50に固定される。リングギヤ51は、出力軸J4周りを回転する。リングギヤ51は、ドライブギヤ24と噛み合う。リングギヤ51は、ドライブギヤ24を介して伝達されるモータ1の動力を差動装置50に伝達する。
【0048】
差動装置50は、モータ1から出力されるトルクを車両の車輪Hに伝達するための装置である。差動装置50は、車両の旋回時に、左右の車輪Hの速度差を吸収しつつ、左右両輪の出力シャフト55に同トルクを伝える機能を有する。
【0049】
差動装置50は、リングギヤ51に固定されるギヤハウジング(不図示)と、一対のピニオンギヤ(不図示)と、ピニオンシャフト(不図示)と、一対のサイドギヤ(不図示)と、を有する。ギヤハウジングは、リングギヤ51とともに出力軸J4を中心として回転する。ギヤハウジングは、一対のピニオンギヤ、ピニオンシャフトおよび一対のサイドギヤを収容する。一対のピニオンギヤは、互いに向かい合う傘歯車である。一対のピニオンギヤは、ピニオンシャフトに支持される。一対のサイドギヤは、一対のピニオンギヤに直角に噛み合う傘歯車である。一対のサイドギヤは、それぞれ出力シャフト55に固定される。
【0050】
出力シャフト55は、出力軸J4周りを回転する。モータユニット10には、一対の出力シャフト55が設けられる。一対の出力シャフト55は、それぞれ一方の端部において差動装置50のサイドギヤに接続される。すなわち、出力シャフト55は、差動装置50を介してリングギヤ51に接続される。出力シャフト55には、各ギヤを介して、モータ1の動力が伝達される。また、一対の出力シャフト55は、それぞれ他方の端部において、ハウジング6の外部に突出する。出力シャフト55の他方の端部には、車輪Hが取り付けられる。出力シャフト55は、動力を外部(車輪Hを介して路面)に出力する。
【0051】
本実施形態において、出力軸J4は、モータ軸J1と一致する。また、一対の出力シャフト55のうち一方は、中空シャフトであるモータドライブシャフト11の内部を通される。そのため、本実施形態のモータユニット10は、モータ軸J1と出力軸J4とが同軸に配置されない構造のモータユニットと比較して、モータ軸J1の径方向に小型化することができる。
【0052】
図3は、一実施形態のモータユニット10の側面図である。
伝達機構5は、モータ1から出力シャフト55に至る動力伝達経路を構成する。伝達機構5の動力伝達経路において、モータ1の動力は、まず、モータドライブギヤ21からカウンタギヤ23に伝達される。カウンタギヤ23は、ドライブギヤ24と同軸上に配置され、ドライブギヤ24とともに回転する。モータ1の動力は、ドライブギヤ24からリングギヤ51に伝達され、差動装置50を介して出力シャフト55に伝達される。
【0053】
(各軸の位置関係)
図3に示すように、カウンタ軸J3は、モータ軸J1より上側に位置する。なお、モータ軸J1は、出力軸J4と一致するため、カウンタ軸J3は、出力軸J4より上側に位置する。本実施形態によれば、軸方向から見て、モータ1およびリングギヤ51の中心に対してカウンタギヤ23およびドライブギヤ24の中心が上下方向においてずれて配置される。ドライブギヤ24とリングギヤ51とは、互いに噛み合うためこれらの絶対的な距離は一意的に決まる。このため、モータ軸J1とカウンタ軸J3とを上下方向にずらして配置することで、カウンタ軸J3とモータ軸J1との車両前後方向の寸法成分を短くすることができる。結果的に、モータユニット10の車両前後方向の寸法を小型化することができ、車両内のクラッシャブルゾーンを広く確保することが可能となる。
【0054】
また、本実施形態において、カウンタギヤ23およびドライブギヤ24は、モータ軸J1より上側に位置する。すなわち、カウンタギヤ23およびドライブギヤ24の下端は、何れも、モータ軸J1より上側に位置する。このため、ドライブギヤ24を、上下方向から見て、リングギヤ51に大きく重ねて配置することができ、モータユニット10の車両前後方向の寸法をより小型化することができる。
【0055】
図3に示すように、軸方向から見て、モータ軸J1とカウンタ軸J3とを仮想的に結ぶ線分を第1の線分L1とする。第1の線分L1と鉛直方向に延びる鉛直線VLとは、角度αをなす。角度αは、45°以内とすることが好ましい。すなわち、第1の線分L1は、鉛直方向(重力方向)に対して45°以内の方向に延びることが好ましい。これにより、モータユニット10の車両前後方向の寸法をより小型化することができる。また、角度αは、20°以内とすることがより好ましい。すなわち、第1の線分L1は、鉛直方向に対して20°以内の方向に延びることがより好ましい。これにより、モータユニット10の車両前後方向の寸法をさらに小型化することができる。
【0056】
カウンタ軸J3は、モータ軸J1より車両の後方側(-X方向)に位置する。上述したように、オイル溜りPのオイルOには、リングギヤ51の一部が浸かり、オイルOは、リングギヤ51によってかき上げられる。車両が前進するとき、リングギヤ51は、図3に示す回転方向T1方向に回転する。回転方向T1は、リングギヤ51が、車両後方側において上側に回転する方向である。したがって、リングギヤ51によってかき上げられるオイルOは、車両後方側においてより効率的に飛散する。本実施形態によれば、カウンタ軸J3がモータ軸J1より車両の後方側に位置することで、リングギヤ51によってかき上げられるオイルOをカウンタギヤ23およびドライブギヤ24に効率的に供給できる。これにより、カウンタギヤ23およびドライブギヤ24の歯面の潤滑性を高め、伝達機構5による動力伝達効率を高めることができる。
【0057】
図3に示すように、オイルポンプ96は、モータ軸J1より上側に位置する。すなわち、オイルポンプ96の下端は、モータ軸J1より上側に位置する。本実施形態によれば、オイルポンプとモータ軸J1とが車両前後方向に並んで配置される場合と比較して、モータユニット10の車両前後方向の寸法をより小型化することができる。結果的に、モータユニット10の車両前後方向の寸法を小型化することができ、車両内のクラッシャブルゾーンを広く確保することが可能となる。
【0058】
オイルポンプ96は、モータ軸J1に対して車両前方の斜め上側に配置される。すなわち、オイルポンプ96は、モータ軸J1より上側かつ、モータ軸J1より車両の前方側(+X方向)に位置する。上述したように、モータ軸J1の上側において、カウンタギヤ23およびドライブギヤ24は、モータ軸J1より車両後方側(-X方向)に位置する。このため、本実施形態において、オイルポンプ96と、カウンタギヤ23およびドライブギヤ24と、をモータ軸J1の上側において、車両の前後方向にずらして配置できる。これにより、モータユニット10の小型化を図ることができる。
【0059】
上述したように、オイルポンプ96は、モータ軸J1と平行な回転軸J6を中心として回転するポンプモータ96mを有する。図3に示すように、軸方向から見て、モータ軸J1と回転軸J6とを仮想的に結ぶ線分を第2の線分L2とする。第2の線分L2と鉛直方向に延びる鉛直線VLとは、角度βをなす。角度βは、45°以内とすることが好ましい。すなわち、第2の線分L2は、鉛直方向に対して45°以内の方向に延びることが好ましい。これにより、モータユニット10の車両前後方向の寸法をより小型化することができる。また、角度βは、35°以内とすることがより好ましい。すなわち、第2の線分L2は、鉛直方向に対して35°以内の方向に延びることがより好ましい。これにより、モータユニット10の車両前後方向の寸法をさらに小型化することができる。
【0060】
オイルクーラ97は、モータ軸J1より上側に位置する。すなわち、オイルクーラ97の下端は、モータ軸J1より上側に位置する。本実施形態によれば、オイルクーラとモータ軸J1とが車両前後方向に並んで配置される場合と比較して、モータユニット10の車両前後方向の寸法をより小型化することができる。
【0061】
オイルクーラ97は、モータ軸J1の上側において、オイルポンプ96に隣接して配置される。オイルクーラ97とオイルポンプ96とは、ハウジング6に設けられた流路を介して互いに繋がっている。オイルクーラ97とオイルポンプ96とを互いに隣接して配置することで、オイルクーラ97とオイルポンプ96とを繋ぐ流路を短くすることができる。これにより、油路90を構成する流路を短くすることができ、油路90内のオイルOの循環効率を高めることができる。
【0062】
オイルクーラ97は、モータ軸J1より車両の前方側(+X方向)に位置する。すなわち、オイルクーラ97は、モータ軸J1に対して車両前方の斜め上側に配置される。本実施形態によれば、車両の前進時にオイルクーラ97を空冷することができ、オイルクーラ97によるオイルOの冷却効率を高めることができる。
【0063】
(パークロック機構)
パークロック機構7は、ドライバーのシフト操作に基づいて駆動される。パークロック機構7は、伝達機構5における動力の伝達を制限するロック状態と制限を解除するアンロック状態との間で切り替えられる。
【0064】
図3に示すように、パークロック機構7は、パークロックギヤ7aと、パークロックアーム7bと、アーム支持シャフト7eと、パークロックアクチュエータ7cと、パークロック動力伝達機構7dと、を有する。
【0065】
パークロックギヤ7aは、カウンタシャフト13に固定される。パークロックギヤ7aは、カウンタシャフト13とともにカウンタ軸J3周りに回転する。パークロックギヤ7aの外周面には、カウンタ軸J3の径方向外側に突出しカウンタ軸J3の周方向に沿って並ぶ複数の歯部が設けられる。
【0066】
パークロックアーム7bは、軸方向と直交する平面に沿って延びる板状である。パークロックアーム7bは、軸方向に延びる第2中心軸J7eを中心とするアーム支持シャフト7eに回転可能に支持される。パークロックアーム7bは、アーム支持シャフト7eから上側に延びる。
【0067】
パークロックアーム7bは、パークロックギヤ7aの外周面に沿って延びる。パークロックアーム7bは、パークロックギヤ7aの歯部にカウンタ軸J3の径方向において対向する。パークロックアーム7bは、パークロックギヤ7aの歯部と対向する噛合部7baを有する。噛合部7baは、カウンタ軸J3の径方向内側に向かって突出する。噛合部7baは、パークロックギヤ7aの歯部に噛み合う。すなわち、パークロックアーム7bは、噛合部7baにおいて、パークロックギヤに噛み合う。
【0068】
パークロックアーム7bは、パークロックアクチュエータ7cにより駆動され第2中心軸J7eを中心として所定の範囲で回転する。
ドライバーの操作により、パークロック機構7がロック状態とされると、図3において、パークロックアーム7bが第2中心軸J7e周りを反時計回りに回転して、噛合部7baがパークロックギヤ7aの歯部に噛み合う。これにより、カウンタシャフト13の回転が抑制され、伝達機構5における動力の伝達が制限される。
一方で、ドライバーの操作により、パークロック機構7がアンロック状態とされると、パークロックアーム7bが第2中心軸J7e周りを時計回りに回転して、噛合部7baがパークロックギヤ7aの歯部から解放される。これにより、カウンタシャフト13が自由に回転可能となり、伝達機構5が動力を伝達できる状態となる。
【0069】
本実施形態によれば、パークロックアーム7bは、上下方向に沿って延びる。軸方向から見て、カウンタシャフト13とパークロックアーム7bとは、車両前後方向において並んで配置される。このため、モータユニット10の上下方向の寸法を抑制できる。また、軸方向から見て、パークロックアーム7bの一部は、カウンタギヤ23に重なる。このため、パークロックアーム7bとカウンタシャフト13とを車両前後方向において並んで配置させても、モータユニット10の車両前後方向の寸法が大きくなることを抑制できる。
【0070】
パークロック動力伝達機構7dは、パークロックアクチュエータ7cとパークロックアーム7bとの間に位置する。パークロック動力伝達機構7dは、第1中心軸J7c周りに回転するマニュアルシャフト7caの動力をパークロックアーム7bに伝えて、パークロックアーム7bを第2中心軸J7e周りに回転させる。
【0071】
パークロックアクチュエータ7cは、上下方向に延びる第1中心軸J7cを中心とするマニュアルシャフト7caを有する。パークロックアクチュエータ7cは、第1中心軸J7cを中心としてマニュアルシャフト7caを回転させる。パークロックアクチュエータ7cは、パークロック動力伝達機構7dを介してパークロックアーム7bを駆動させる。
【0072】
パークロックアクチュエータ7cは、ハウジング6の上側に固定される。より具体的には、パークロックアクチュエータ7cは、カウンタ軸J3の直上に位置する。すなわち、パークロックアクチュエータ7cは、上下方向から見てパークロックアクチュエータ7cは、カウンタ軸J3に重なる。これにより、モータユニット10の水平方向の寸法を小型化することができる。
【0073】
図2に示すように、パークロックアクチュエータ7cは、ハウジング6のギヤ収容部63の外側面に固定される。パークロックアクチュエータ7cは、ハウジング6の隔壁部61に対しギヤ収容部63側に位置する。すなわち、本実施形態によれば、上下方向から見て、パークロックアクチュエータ7cは、隔壁部61に重なることがない。ハウジング6全体の強度を保つために、隔壁部61は、モータ1および伝達機構5に対し、モータ軸J1の径方向外側に張り出した形状を有する。本実施形態によれば、パークロックアクチュエータ7cと隔壁部61とが上下方向から見て重ならないため、モータユニット10の軸方向への投影面積が肥大化することを抑制し、モータユニット10の小型化を図ることができる。
【0074】
図1に示すように、パークロックギヤ7aは、カウンタ軸J3の軸方向において、カウンタギヤ23とドライブギヤ24との間に位置する。本実施形態によれば、パークロックギヤをカウンタギヤ23およびドライブギヤ24に対し隔壁部61の反対側に配置する場合と比較して、パークロックギヤ7aを隔壁部61に近づけて配置できる。これにより、パークロックギヤ7aの外周に沿って配置されるパークロックアーム7bが、カウンタ軸J3の径方向外側に張り出して配置されることが抑制され、モータユニット10の小型化を図ることができる。
【0075】
(インバータユニット)
図2に示すように、インバータユニット8は、インバータ8aとインバータ8aを収容するインバータケース8bとを有する。また、図示を省略するが、インバータユニット8は、さらに、回路基板およびコンデンサを有する。
【0076】
インバータユニット8は、上下方向から見て略矩形状である。インバータユニット8は、ハウジング6の外側面に固定される。より具体的には、インバータユニット8は、インバータケース8bにおいて、ハウジング6のモータ収容部62の外側面に固定される。インバータユニット8は、モータ1の上側において、モータ1のバスバー(図示略)に接続される。インバータユニット8は、バスバーを介してモータ1に交流電流を供給する。これにより、インバータユニット8は、モータ1に電力を供給する。
【0077】
インバータユニット8は、モータ1の直上に位置する。すなわち、インバータユニット8は、モータ1の上側に位置し、上下方向から見てモータ1に重なる。これにより、インバータユニット8をモータ1に対して車両前後方向に配置する場合と比較して、モータユニット10の車両前後方向の寸法を小型化できる。結果的に、車両内のクラッシャブルゾーンを広く確保することが可能となる。
【0078】
一般的に、モータ収容部62の軸方向への投影面積は、ギヤ収容部63の軸方向への投影面積より小さい。本実施形態によれば、インバータユニット8がモータ収容部62の径方向外側に配置されため、軸方向から見て、インバータユニット8をギヤ収容部63に重ねて配置しやすい。これにより、モータユニット10全体の軸方向への投影面積を小さくすることができ、モータユニット10の小型化を図ることができる。
【0079】
図3に示すように、軸方向から見て、インバータユニット8の少なくとも一部は、カウンタギヤ23に重なる。インバータユニット8をカウンタギヤ23に重ねて配置することで、モータユニット10の軸方向への投影面積を小さくして、モータユニット10の小型化を図ることができる。
【0080】
インバータユニット8の少なくとも一部は、軸方向から見て、オイルポンプ96に重なる。同様に、インバータユニット8の少なくとも一部は、軸方向から見て、オイルクーラ97に重なる。インバータユニット8をオイルポンプ96およびオイルクーラ97に重ねて配置することで、モータユニット10の軸方向への投影面積を小さくして、モータユニット10の小型化を図ることができる。
【0081】
図4および図5は、モータユニット10の分解斜視図であり、ハウジング6からインバータユニット8を離間させた図である。図4および図5は、モータユニット10の斜視方向が互いに異なる。
【0082】
図4および図5に示すように、インバータユニット8は、複数の固定部40、45においてモータユニット10のハウジング6に固定される。複数の固定部40、45は、第1の固定部40(図4参照)と第2の固定部45(図5参照)とに分類される。第1の固定部40はモータ軸J1に対し車両前方側に位置し、第2の固定部45はモータ軸J1に対し車両後方側に位置する。
【0083】
図4に示すように、第1の固定部40は、インバータユニット8に設けられた庇部42と、ハウジング6に設けられた対向面43と、固定ボルト41と、を有する。
【0084】
第1の固定部40の庇部42は、インバータユニット8のインバータケース8bの外側面において水平方向に張り出す。庇部42には、上下方向に貫通する貫通孔42aが設けられる。
【0085】
第1の固定部40の対向面43は、庇部42と上下方向に対向する。本実施形態において、対向面43は、インバータユニット8の下側に位置するハウジング6に設けられる。したがって、本実施形態において、第1の固定部40の対向面43は、上側を向く。対向面43には、上下方向に沿って延び庇部42側(すなわち上側)に開口するネジ穴43aが設けられる。
【0086】
第1の固定部40の固定ボルト41は、庇部42の貫通孔42aを介して対向面43のネジ穴43aにねじ止めされる。これにより、庇部42の下面と対向面43とが接触し、インバータユニット8とハウジング6とが互いに固定される。
【0087】
図5に示すように、第2の固定部45は、ハウジング6に設けられた庇部47と、インバータユニット8に設けられた対向面48と、固定ボルト46と、を有する。
【0088】
第2の固定部45の庇部47は、ハウジング6のモータ収容部62の外側面において水平方向に張り出す。庇部47には、上下方向に貫通する貫通孔47aが設けられる。
【0089】
第2の固定部45の対向面48は、庇部47と上下方向に対向する。本実施形態において、対向面48は、ハウジング6の上側に位置するインバータユニット8に設けられる。したがって、本実施形態において、第2の固定部45の対向面48は、下側を向く。対向面48には、上下方向に沿って延び庇部47側(すなわち下側)に開口するネジ穴48aが設けられる。
【0090】
第2の固定部45の固定ボルト46は、庇部47の貫通孔47aを介して対向面48のネジ穴48aにねじ止めされる。これにより、庇部47の上面と対向面48とが接触し、インバータユニット8とハウジング6とが互いに固定される。
【0091】
第1の固定部40と、第2の固定部45とは、上下方向から見て、モータ軸J1に対して互いに反対側に配置される。また、第1の固定部40および第2の固定部45の庇部42、47は、上下方向から見て、それぞれモータ軸J1から離れる方向に張り出す。
【0092】
本実施形態によれば、モータ軸J1に対して互いに反対側に位置する第1の固定部40の庇部42と第2の固定部45の庇部47とが、それぞれインバータユニット8とハウジング6とに別々に設けられる。このため、インバータユニット8およびハウジング6の何れか一方に、全ての庇部を設ける場合と比較して、モータユニット10の車両前後方向の寸法を小型化することができる。
【0093】
図6は、モータユニット10の断面模式図である。なお、図6において、各部の詳細構造(例えば、ステータ32のコイル、ロータ31のロータマグネットなど)は省略されている。
【0094】
インバータユニット8は、ハウジング6に対向する下面8sを有する。下面8sは、水平方向に沿う平坦面である。インバータユニット8の下面8sは、上下方向から見て、複数の固定部(第1の固定部40および第2の固定部45)に囲まれる。すなわち、複数の固定部40、45は、下面8sの周囲に配置される。
【0095】
図4および図5に示すように、ハウジング6のモータ収容部62の外側面には、モータ軸J1の径方向に沿って突出する第1のリブ62aと第2のリブ62bとが設けられる。第1のリブ62aは、モータ軸J1の軸方向に沿って延びる。第1のリブ62aは、モータ1の直上に位置する。第2のリブ62bは、モータ軸J1の周方向に沿って延びる。
【0096】
図6に示すように、第1のリブ62aおよび第2のリブ62bには、インバータユニット8の下面8sに沿って切り欠かれた切欠面62sが設けられる。すなわち、ハウジング6の外側面には、切欠面62sが設けられる。切欠面62sは、水平方向に沿う平坦面である。切欠面62sは、インバータユニット8の下面8sと隙間を介して上下方向に対向する。
【0097】
第1の固定部40および第2の固定部45におけるハウジング6とインバータユニット8との接触面には、固定ボルト41、46によって面圧が付与される。したがって第1の固定部40および第2の固定部45において、ハウジング6とインバータユニット8とは、一体的に結合されている。一方で、面圧が付与されない領域において、ハウジング6とインバータユニット8とが接触する場合、モータ1および伝達機構5の動作に伴うハウジング6の振動がインバータユニット8に伝わり、インバータユニット8が励振する虞がある。インバータユニット8が励振するとインバータユニット8の各部(インバータ8a、回路基板、コンデンサなど)に損傷が生じる虞がある。本実施形態によれば、上下方向から見て固定部40、45に囲まれた領域において、ハウジング6とインバータユニット8とは、上下方向に離間する。これにより、ハウジング6の振動がインバータユニット8に伝わりインバータユニット8が励振することを抑制できる。
【0098】
以上に、本発明の実施形態および変形例を説明したが、実施形態および変形例における各構成およびそれらの組み合わせなどは一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0099】
1…モータ、5…伝達機構、6…ハウジング、7…パークロック機構、7a…パークロックギヤ、7b…パークロックアーム、7c…パークロックアクチュエータ、8…インバータユニット、8a…インバータ、8s…下面、10…モータユニット、11…モータドライブシャフト、13…カウンタシャフト、21…モータドライブギヤ、23…カウンタギヤ、24…ドライブギヤ、40…第1の固定部(固定部)、45…第2の固定部(固定部)、41,46…固定ボルト、42,47…庇部、42a,47a…貫通孔、43,48…対向面、43a,48a…ネジ穴、51…リングギヤ、55…出力シャフト、61…隔壁部、62…モータ収容部、62s…切欠面、63…ギヤ収容部、90…油路、96…オイルポンプ、96m…ポンプモータ、97…オイルクーラ、J1…モータ軸、J3…カウンタ軸、J4…出力軸、J6…回転軸、L1…第1の線分、L2…第2の線分、O…オイル、P…オイル溜り
図1
図2
図3
図4
図5
図6