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特開2023-16920先天性狭窄のための成長ステント及び弁
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016920
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】先天性狭窄のための成長ステント及び弁
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/844 20130101AFI20230126BHJP
   A61F 2/91 20130101ALI20230126BHJP
【FI】
A61F2/844
A61F2/91
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194126
(22)【出願日】2022-12-05
(62)【分割の表示】P 2021547794の分割
【原出願日】2019-06-17
(31)【優先権主張番号】62/811,875
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/441,201
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521358844
【氏名又は名称】レナータ メディカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】RENATA MEDICAL,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ダスティン アーマー
(72)【発明者】
【氏名】イーソン アボット
(57)【要約】
【課題】患者の成長に伴って、成長ステントを再膨張可能なものとする。
【解決手段】フレーム支柱は、成長ステント100の内部チャネルに沿ってステントフレームの近位端部領域から前記ステントフレームの遠位端部領域まで連続的に延在するとともに、その間に所定個数の連結部を有する。連結部と内部チャネルに沿って隣接する他の連結部の間で、フレーム支柱が半径方向に拡張可能に内部チャネルに沿って分離してフレームセルを画定する。円周方向に隣接するフレーム支柱は、フレームセル同士が交差して、支柱接合部を形成し、初期状態では、各フレーム支柱は直線状に閉じカテーテルを介して成長ステントを患者の血管に挿入後、初期状態から安定した第1の膨張状態へ膨張し、その後、膨張カテーテルの導入により、第1の膨張状態から安定した、より断面の大きい第2の膨張状態へ再膨張し、各膨張状態で成長ステントが塑性変形して血管の内腔を支持する。
【選択図】図8C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幼児患者の体内の内腔に埋入するための、カテーテルに挿入可能かつ再膨張可能な環状形状の成長ステントであって、前記成長ステントは:
複数のフレーム支柱を有する細長ステントフレームであって、各前記フレーム支柱は、前記成長ステントの内部チャネルに沿って前記ステントフレームの近位端部領域から前記ステントフレームの遠位端部領域まで連続的に延在するとともに、前記近位端部領域と前記遠位端部領域との間に所定個数の連結部を有し、該連結部と前記内部チャネルに沿って隣接する他の連結部の間で、前記フレーム支柱が半径方向に拡張可能に前記内部チャネルに沿って分離してフレームセルを画定し、円周方向に隣接するフレーム支柱は、前記フレームセル同士が交差して、支柱接合部を形成し、
初期状態では、前記各フレーム支柱は直線状に閉じており、それによって、前記細長ステントフレームは、送達カテーテルを介して、前記幼児患者の選択された内腔への前記送達カテーテルを介した挿入を容易にし、前記初期状態から前記ステント支柱が半径方向に膨張して、第1の断面を有する内部チャネルを画定する第1の安定した膨張状態となって、前記選択された内腔を埋入状態で支持するように構成された細長ステントフレーム
を備え、
前記ステントフレームは、その後の膨張カテーテルの導入により、前記患者の成長に伴って、前記第1の膨張状態から第2の安定した膨張状態へと、さらに半径方向に再膨張するよう構成され、前記第2の膨張状態の前記ステントフレームは、前記選択された内腔を支持し続け、また前記第1の断面より大きな第2の断面を有する前記内部チャネルを画定し、
前記各膨張段階における、前記選択された内腔を支持する前記成長ステントの強度は、前記ステント支柱の塑性変形によるものであることを特徴とする、成長ステント。
【請求項2】
前記初期状態は、直径が8フレンチ(2.7mm)未満である、請求項1に記載の成長ステント。
【請求項3】
前記第1の断面は、10mm未満である、請求項1または2記載の成長ステント。
【請求項4】
前記端部領域の少なくとも1つは、前記ステントフレームと前記選択された内腔との間の係合を促進するために半径方向外向きに広がっている、請求項1~3いずれか1項に記載の成長ステント。
【請求項5】
前記ステントフレームは、前記患者の成長に伴う前記選択された内腔の内方成長による漏れを防止する、流体不透過性カバーを備える、請求項1~4いずれか1項に記載の成長ステント。
【請求項6】
前記細長ステントフレームは、ステンレス鋼、コバルトクロム、ポリマー、又はその組合せから作製される、請求項1~5いずれか1項に記載の成長ステント。
【請求項7】
1つ以上の小片を更に備え、前記小片は、前記ステントフレームから前記内部チャネル内へと延伸し、前記第1の膨張状態及び前記第2の膨張状態に弁機能を提供する、請求項1から6いずれか1項に記載の成長ステント。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年2月28日出願の米国特許出願第62/811,875号の利益及びそれに対する優先権を主張する、2019年6月14日出願の米国特許出願第16/441,201号の利益及びそれに対する優先権を主張するものであり、これらの特許出願の開示は、参照により、その全体があらゆる目的のために本出願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本開示の実施形態は医療用ステントに関し、より詳細には、限定的ではないが、若年患者の体内に埋入され、その後患者の成長に伴って成人の血管サイズへと膨張し、膨張の全範囲にわたって血管開口の適切な強度を維持する、成長ステントに関する。
【背景技術】
【0003】
ステントは、血流を可能とする、及び/又は血管狭窄を防止することによって、血管障害を治療するために、長年にわたって使用されてきた。狭窄した血管は血流を妨げ、血管系内に圧力の不均衡を生成する場合がある。このような状態は最終的に、重篤な心血管障害及び/又は死亡につながり得る。長年にわたり、このような障害の決定的な治療は、開心術による血管のセグメントの外科的修復又は交換であったが、このような手術は危険であり、合併症を起こしやすい。新生児及び若年患者の開心術は、発達に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0004】
ステントは、血管を開いたまま保持するためにも利用されているが、発達初期状態におけるステントの埋入は、患者の成長によって妨げられている。というのは、ステントは成人のサイズに成長できないためである。典型的には、ステントは特定の限定された動作範囲を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上に鑑みて、若年患者の体内に埋入され、その後患者の成長に伴って膨張する、改良されたステントであって、現在利用可能なステントの上述の障害及び欠陥を克服する、改良されたステントに対して、需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、若年患者の体内に埋入するための成長ステント、並びにその作製方法及び使用方法に関する。上記成長ステントはその後、患者の成長に伴って、成人の血管サイズへと膨張でき、その一方で、膨張の全範囲にわたって血管の開口の適切な強度を維持する。本明細書で開示される第1の態様によると、患者の体内に埋入するための成長ステントが記載され、上記成長ステントは:
上記患者の選択された内腔への挿入を容易にするための初期状態から、選択された上記内腔を埋入状態で支持するための第1の膨張状態へと膨張できる、細長ステントフレームであって、上記第1の膨張状態の上記ステントフレームは、内部チャネルを画定する、細長ステントフレーム
を備えることができ、
上記ステントフレームは、その後、上記患者の成長に伴って、上記第1の膨張状態から第2の膨張状態へと膨張するよう構成される。
【0007】
本開示の第1の態様の成長ステントのいくつかの実施形態では、上記第2の膨張状態の上記ステントフレームは、上記選択された内腔を支持し続けることができる。上記第1の膨張状態の上記ステントフレームは、第1の断面を有する上記内部チャネルを画定できる。更に、及び/又はあるいは、上記第2の膨張状態の上記ステントフレームは、上記第1の断面より大きな第2の断面を有する上記内部チャネルを画定できる。
【0008】
本開示の第1の態様の成長ステントのいくつかの実施形態では、上記初期状態の上記ステントフレームは、新生児患者の体内への挿入を容易にするための、小さな埋入サイズを有することができる。任意に、上記埋入サイズは、8フレンチサイズ未満とすることができ、及び/又は上記第1の断面は、10ミリメートル未満とすることができる。
【0009】
本開示の第1の態様の成長ステントのいくつかの実施形態では、上記ステントフレームは、小児患者の体内で上記第2の膨張状態へと膨張できる。上記第2の断面は例えば、10ミリメートル~15ミリメートル(端点を含む)とすることができる。
【0010】
本開示の第1の態様の成長ステントのいくつかの実施形態では、上記ステントフレームは、上記患者の更なる成長に伴って、上記第2の膨張状態から第3の膨張状態へと更に膨張するよう、構成できる。上記第3の膨張状態の上記ステントフレームは例えば、上記選択された内腔を支持し続けることができる。上記ステントフレームは任意に、成人患者の体内で上記第3の膨張状態へと膨張できる。上記第3の膨張状態の上記ステントフレームは、上記第2の断面より大きな第3の断面を有する上記内部チャネルを画定できる。いくつかの実施形態では、上記第3の断面は、18ミリメートル~24ミリメートル(端点を含む)とすることができる。
【0011】
本開示の第1の態様の成長ステントのいくつかの実施形態では、上記ステントフレームは、それぞれ弓状部材を備える第1のフレーム部材及び第2のフレーム部材を含むことができ、各上記弓状部材は中央凹部を画定する。上記弓状部材は、協働型弓状部材で構成できる。上記弓状部材は例えば、上記ステントフレームが上記初期状態から上記第1の膨張状態へと膨張する際に中央チャネルを形成するように、集束できる。上記中央チャネルは、上記第1のフレーム部材の上記弓状部材の上記中央凹部と、上記第2のフレーム部材の上記弓状部材の上記中央凹部との、交点を含むことができる。有利には、上記弓状部材は、上記ステントフレームに柔軟性を提供できる。
【0012】
本開示の第1の態様の成長ステントのいくつかの実施形態では、上記ステントフレームは管状形状を備える。更に、及び/又はあるいは、本開示の第1の態様の成長ステントは更に、1つ以上の小片を備えることができ、上記小片は、上記ステントフレームから上記内部チャネル内へと延伸し、選択された実施形態において、上記第1の膨張状態及び上記第2の膨張状態に弁機能を提供する。
【0013】
本開示の第1の態様の成長ステントのいくつかの実施形態では、上記ステントフレームは、所定の個数のフレームセル及び複数のフレーム支柱、並びに選択された上記フレーム支柱の間の支柱接合部を含むことができ、上記支柱接合部は接合部幅を有し、上記接合部幅は、上記初期状態において上記ステントフレームの挿入を容易にするために十分な小ささであり、かつ上記選択された内腔を支持するための強度を維持しながら、上記第1の膨張状態及び上記第2の膨張状態への上記ステントフレームの膨張をサポートするために十分な大きさである。
【0014】
本開示の第1の態様の成長ステントのいくつかの実施形態では、上記内部チャネルは、上記ステントフレームの対向する端部領域の間に延在でき、上記端部領域のうちの少なくとも1つは、上記ステントフレームと上記選択された内腔との間の係合を促進するために、半径方向外向きに広がっている。
【0015】
本開示の第1の態様の成長ステントのいくつかの実施形態では、上記内部チャネルは、上記ステントフレームの対向する端部領域の間に延在でき、上記端部領域のうちの少なくとも1つは、上記選択された内腔における動脈瘤のリスクを低減するために、半径方向内向きに広がっているか、又は丸められている。
【0016】
いくつかの実施形態では、本開示の第1の態様の成長ステントは更に、上記ステントフレームの少なくとも一部分の上に配置されて、上記患者の成長に伴う上記選択された内腔の内方成長によるによる漏れを防止する、流体不透過性カバーを備えることができる。
【0017】
本開示の第1の態様の成長ステントのいくつかの実施形態では、上記ステントフレームは、第1のカテーテル送達システムによって、上記選択された内腔へと送達される。上記ステントフレームは任意に、上記第1のカテーテル送達システムによって上記第2の膨張状態へと後に膨張させることができ、及び/又は第2のカテーテル送達システムによって上記第2の膨張状態へと後に膨張させることができる。
【0018】
本明細書で開示される第2の態様によると、カテーテルシステムが記載され、上記カテーテルシステムは、第1の態様の成長ステントの各実施形態を実装するための手段を備える。
【0019】
本明細書で開示される第3の態様によると、カテーテルシステムが記載され、上記カテーテルシステムは、第1の態様の成長ステントの各実施形態を膨張させるための手段を備える。上記膨張手段は例えば、上記成長ステントを上記初期状態から上記第1の膨張状態へと膨張させるための第1の手段、及び/又は上記成長ステントを上記第1の膨張状態から上記第2の膨張状態へと膨張させるための第2の手段を含むことができる。
【0020】
本明細書で開示される第4の態様によると、新生児患者の体内への埋入のための成長ステントが記載され、上記成長ステントは:
上記新生児患者の選択された内腔への挿入を容易にするための初期状態から、選択された上記内腔を埋入状態で支持するための第1の膨張状態へと膨張できる、細長ステントフレームであって、上記第1の膨張状態の上記ステントフレームは、第1の断面を有する内部チャネルを画定する、細長ステントフレーム
を備えることができ、
上記ステントフレームは、その後、上記患者のティーンエージャーの患者への成長に伴って、上記第1の膨張状態から第2の膨張状態へと膨張するよう構成され、上記第2の膨張状態の上記ステントフレームは、上記選択された内腔を支持し続け、また上記第1の断面より大きな第2の断面を有する上記内部チャネルを画定し、及び/又は
上記ステントフレームは、上記ティーンエージャーの患者の、成人患者への更なる成長に伴って、上記第2の膨張状態から第3の膨張状態へと更に膨張するよう構成され、上記第3の膨張状態の上記ステントフレームは、上記選択された内腔を支持し続け、また上記第2の断面より大きな第3の断面を有する上記内部チャネルを画定する。
【0021】
本開示の第4の態様の成長ステントのいくつかの実施形態では、上記初期状態の上記ステントフレームは、8フレンチサイズ未満の埋入サイズを有することができ、上記第1の断面は8ミリメートル未満とすることができ、上記第2の断面は15ミリメートルとすることができ、及び/又は上記第3の断面は20ミリメートル超とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】第1の膨張状態の成長ステントのある例示的実施形態を示す、例示的な詳細図
図1B図1Aの成長ステントの代替実施形態を示す、例示的な詳細図であって、成長ステントは第2の膨張状態で図示されている
図2A図1A~Bの成長ステントのある実施形態を示す、例示的な詳細図であって、成長ステントは埋入のための初期状態で図示されている
図2B図1A~Bの成長ステントの別の代替実施形態を示す、例示的な詳細図であって、成長ステントは、第1の所定の断面を有する内部チャネルを画定するための膨張状態で図示されている
図2C図1A~Bの成長ステントの更に別の代替実施形態を示す、例示的な詳細図であって、成長ステントは、第2の所定の断面を有する内部チャネルを画定するための膨張状態で図示されている
図2D図1A~Bの成長ステントの更に別の代替実施形態を示す、例示的な詳細図であって、成長ステントは、第3の所定の断面を有する内部チャネルを画定するための膨張状態で図示されている
図3A図1A~Bの成長ステントの別の代替実施形態を示す、例示的な詳細図であって、内部チャネルは開放チャネルを含む
図3B図3Aの成長ステントの代替実施形態を示す、例示的な詳細図であって、成長ステントは、内部チャネル内へと延伸する1つ以上の小片を含む
図4A図1A~Bの成長ステントの更なる代替実施形態を示す、例示的な詳細図であって、成長ステントは複数の弓状部材を含む
図4B図4Aの成長ステントの更なる代替実施形態を示す、例示的な詳細図であって、弓状部材のペアは協働する
図5A図4A~Bの成長ステントのある実施形態を示す、例示的な詳細図であって、成長ステントは、埋入のための初期状態で図示されている
図5B図4A~Bの成長ステントの別の代替実施形態を示す、例示的な詳細図であって、成長ステントは、第1の所定の断面を有する内部チャネルを画定するための膨張状態で図示されている
図5C図4A~Bの成長ステントの更に別の代替実施形態を示す、例示的な詳細図であって、成長ステントは、第2の所定の断面を有する内部チャネルを画定するための膨張状態で図示されている
図5D図4A~Bの成長ステントの更に別の代替実施形態を示す、例示的な詳細図であって、成長ステントは、第3の所定の断面を有する内部チャネルを画定するための膨張状態で図示されている
図6A図4A~Bの成長ステントの2次元平面図を示す、例示的な詳細図
図6B図6Aの成長ステントの側面図を示す、例示的な詳細図
図7A図1A~Bの成長ステントを埋入するためのカテーテル送達システムのある実施形態を示す、例示的な詳細図
図7B図7Aのカテーテル送達システムの代替実施形態を示す、例示的な詳細図であって、カテーテル送達システムは閉鎖構成で図示されている
図8A図7A~Bのカテーテル送達システムのある実施形態を示す、例示的な詳細図であって、カテーテル送達システムの送達カテーテルは、埋入部位に隣接して配置されている
図8B図8Aのカテーテル送達システムのある実施形態を示す、例示的な詳細図であって、カテーテル送達システムは開放構成で図示されている
図8C図8Bのカテーテル送達システムのある実施形態を示す、例示的な詳細図であって、カテーテル送達システムは、成長ステントを初期状態から膨張状態へと膨張させている
図8D図8Cのカテーテル送達システムのある実施形態を示す、例示的な詳細図であって、カテーテル送達システムは、膨張した成長ステントを残して埋入部位から引き抜かれている
図9】バルーンカテーテル送達システムによって図1A~Bの成長ステントを埋入するための方法のある実施形態を示す、例示的なフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面全体を通して、例示を目的として、図面は正確な縮尺では描かれていないこと、同様の構造又は機能の要素は全体として同様の参照番号で示すことができることに留意されたい。図面は、好ましい実施形態の説明を容易にすることのみを意図したものであることにも留意されたい。図面は、記載される実施形態の全ての態様を示すものではなく、また本開示の範囲を限定するものではない。
【0024】
現在利用可能なステントは、特定の限定された動作範囲を有し、また発達初期状態において埋入された場合に成人のサイズに成長できないため、所定の膨張範囲にわたって適切な強度を維持できる、膨張可能な成長ステントが望ましいことが分かっており、またこれは、新生児及び他の若年患者の体内への埋入、並びにその後の患者の成長に伴う膨張といった、システムの幅広い適用範囲のための基礎を提供できる。このような結果は、図1A~Bに示されているような成長ステント100によって、本明細書で開示される選択された実施形態に従って達成できる。
【0025】
図1Aに移ると、成長ステント100は、内部チャネル120を形成するための細長ステントフレーム(又は本体)110を含むものとして示されている。成長ステント100は、患者の血管(又は内腔)300(図8A~Dに図示)内に埋入することによって、内腔300を開放されたまま保持できるか、又はその他の様式で補強できる。ステント本体110は、図2Aに示されているような初期(又は未膨張若しくは圧着)状態で提供できる。初期状態では、ステント本体110は、内腔300への成長ステント100の挿入を容易にするための、いずれの所定の初期サイズ、形状、直径、断面、及び/又は他の寸法を有することができる。ステント本体110の初期サイズ、形状、直径、断面、及び/又は他の寸法Dは、用途に依存し得る。
【0026】
内腔300内の、選択された埋入部位310(又は他の関心対象領域)(図8A~Dに図示)に位置決めされると、ステント本体110は、初期状態から、図1Aに示されているような第1の膨張状態へと膨張できる。この第1の膨張状態では、ステント本体110は、第1の所定の膨張後サイズ、形状、直径、断面、及び/又は他の寸法Dを有することができる。ステント本体110は、第1の膨張状態に膨張すると、内部チャネル120を画定できる。内部チャネル120は、内腔300を通る血液、胆汁、又は他の管腔液といった体液の阻害されない(即ち正常な)流れを、成長ステント100によって促進するための、第1の所定の直径、断面及び/又は他の寸法Dを有することができる。
【0027】
選択された実施形態では、膨張したステント本体110は、内部チャネル120を画定する本体壁112を備えることができる。本体壁112は例えば、内部チャネル120を画定するための内面114を含むことができる。内部チャネル120は好ましくは、図1Aに示されているように、ステント本体110の近位端部領域130からステント本体110の遠位端部領域140まで延在する。成長ステント100はこれにより、体液が内部チャネル120を介して近位端部領域130から遠位端部領域140へと、好ましくは阻害されない状態で流れることができるようにすることができる。換言すれば、成長ステント100は全体として管状形状で提供できる。
【0028】
有利には、ステント本体110は、第1の膨張状態から図1Bに示されているような第2の膨張状態へと、更に膨張できる。ステント本体110は、1つ以上の事前に選択された基準に基づいて、第2の膨張状態へと膨張できる。事前に選択された基準の例としては、限定するものではないが:事前に選択された、成長ステント100の埋入後の期間;内腔300の状態;及び/又は患者の成長(若しくはそれ以外の、サイズ若しくは他の条件の変化)が挙げられる。第2の膨張状態では、ステント本体110は、第2の所定の膨張後サイズ、形状、直径、断面、及び/又は他の寸法を有することができ、これはステント本体110の上記第1の所定の膨張後サイズ、形状、直径、断面、及び/又は他の寸法よりも大きい。
【0029】
ステント本体110は、第2の膨張状態に膨張すると、この更に膨張した成長ステント100によって、内腔300を通る体液の阻害されない流れを維持するための、第2の所定の直径、断面及び/又は他の寸法Dを有する内部チャネル120を画定できる。換言すれば、ステント本体110は、管状形状を備えることができ、並びに/又は第2の膨張状態に膨張したときに、近位端部領域130及び遠位端部領域140に、比較的幅広い固定端部(図示せず)を有することができる。成長ステント100は、例示のみを目的として、図1A~Bを参照して2つの膨張状態を有するものとして図示及び説明されているが、いずれの所定の数の膨張状態をサポートできる。ステント本体110は、ある1つの選択された膨張状態に膨張すると、各膨張状態に関して、成長ステント100によって内腔300を通る体液の阻害されない流れを維持するための、所定の直径、断面及び/又は他の寸法を有する内部チャネル120を画定できる。例えば、膨張状態並びに関連する所定の直径、断面及び/又は他の寸法の所定の数は、用途に依存し得る。
【0030】
成長ステント100は有利には、患者の全寿命にわたって狭窄病変を治療するために必要な幅広い解剖学的直径をカバーするように、膨張させることができる。換言すれば、成長ステント100がサポートする所定の数の膨張状態により、成長ステント100を、幅広い解剖学的直径を提供するように構成できる。成長ステント100は例えば、送達カテーテル210上で、新生児患者のための十分に小さなサイズ、例えば8フレンチサイズの圧着された成長ステント100よりも大幅に小さなサイズに圧着でき、後で直径18mm超のティーンエージャー及び/又は成人用のサイズへと膨張できる。
【0031】
図2A~Dは、(図8A~Dに示されている)患者の血管(又は内腔)300の直径の成長に伴う、患者の寿命全体にわたる様々なサイクルにおける、成長ステントフレームの選択された実施形態を示す。この具体的な例では、成長ステントフレーム110は様々な直径において強度を維持できる。図2Aに移ると、成長ステント100は、埋入のための初期状態で示されている。初期状態のステント本体110は、内腔300への成長ステント100の挿入を容易にするための、例えば2mmである所定の初期サイズ、形状、直径、断面、又は他の寸法を有することができる。
【0032】
成長ステント100が膨張状態であるとき、ステント本体110は、いずれの好適な所定の直径、断面、又は他の寸法Dを有する内部チャネル120を画定できる。ステント本体110は例えば、限定するものではないが、図2Bに示されているように8mmである第1の所定の直径、断面、若しくは他の寸法D、図2Cに示されているように15mmである第2の所定の直径、断面、若しくは他の寸法D、及び/又は図2Dに示されているように20mm以上である第3の所定の直径、断面、若しくは他の寸法Dを有する、内部チャネル120を画定できる。これにより、(図8A~Dに示されている)狭窄した血管300を開いた状態に保持して、血液又は他の体液の正常な流れを可能とするための、成長ステント100を提供できる。
【0033】
一例として、成長ステント100は、10mm未満の直径への膨張によって、(図8A~Dに示されている)幼児患者の血管(又は内腔)300に埋入でき、また、患者の寿命にわたって18mmを大幅に超えて膨張するために適切な強度を有することができる。例示的な成長ステント100は、8フレンチサイズより大幅に小さな、いくつかの実施形態では5フレンチサイズ未満である直径を有する、(図7A~Bに集合的に示されている)カテーテル送達システム200の送達カテーテル210によって、幼児患者の血管300を通して導入できる。
【0034】
環状形状を備える場合、ステント本体110によって形成されるチャネル120は、図3Aに示されている様式の開放チャネルを備えることができる。成長ステント100は任意に、弁機能をサポートできる。選択された実施形態では、例えば成長ステント100は、図3Bに示されているような1つ以上の小片150を含むことができる。小片150は、本体壁112の内面114に取り付けることができ、ステント本体110によって形成されたチャネル120内へと延伸できる。これにより、小片150は、成長ステント100による弁機能を提供できる。
【0035】
成長ステント100の代替実施形態が図4A~Bに示されている。図4Aに移ると、成長ステント100は、内部チャネル120を形成するための細長ステントフレーム(又は本体)110を含むものとして示されている。図1A~Bを参照して更に詳述したように、成長ステント100は、患者の血管(又は内腔)300(図8A~Dに図示)内に埋入することによって、内腔300を開放されたまま保持できるか、又はその他の様式で補強できる。ステント本体110は、図5Aに示されているような初期(又は未膨張若しくは圧着)状態で提供できる。初期状態では、ステント本体110は、内腔300への成長ステント100の挿入を容易にするための、いずれの所定の初期サイズ、形状、直径、断面、及び/又は他の寸法を有することができる。ステント本体110の初期サイズ、形状、直径、断面、及び/又は他の寸法Dは、用途に依存し得る。
【0036】
内腔300内の、選択された埋入部位310(又は他の関心対象領域)(図8A~Dに図示)に位置決めされると、ステント本体110は、初期状態から、図5Bに示されているような第1の膨張状態へと膨張できる。この第1の膨張状態では、ステント本体110は、第1の所定の膨張後サイズ、形状、直径、断面、及び/又は他の寸法Dを有することができる。ステント本体110は、第1の膨張状態に膨張すると、内部チャネル120を画定できる。内部チャネル120は、内腔300を通る血液、胆汁、又は他の管腔液といった体液の阻害されない(即ち正常な)流れを、成長ステント100によって促進するための、第1の所定の直径、断面及び/又は他の寸法Dを有することができる。
【0037】
選択された実施形態では、膨張したステント本体110は、内部チャネル120を画定する本体壁112を備えることができ、上記内部チャネル120は好ましくは、図4Aに示されているように、ステント本体110の近位端部領域130からステント本体110の遠位端部領域140まで延在する。成長ステント100はこれにより、体液が内部チャネル120を介して近位端部領域130から遠位端部領域140へと、好ましくは阻害されない状態で流れることができるようにすることができる。換言すれば、成長ステント100は全体として管状形状で提供でき、及び/又は図3A~Bを参照して本明細書に記載されるように、弁機能をサポートできる。
【0038】
図4Aに示されているように、ステント本体(又はフレーム)110の1つ以上の選択された接合部170は、弓状部材174、176等の弓状部材をそれぞれ含むフレーム部材から形成できる。弓状部材174、176はそれぞれ、中央凹部172を画定できる。成長ステント100は本明細書に記載されている様式で膨張でき、従って、内部チャネル120の直径、断面及び/又は他の寸法Dは、図4Aに示されている小さな寸法Dから、図4Bに示されている大きな寸法Dへと、本明細書に記載されている様式で増大できる。成長ステント100の膨張は、いずれの2つの所定の状態の間での膨張を含むことができる。例えば成長ステント100の膨張は、限定するものではないが:図5Aに示されている初期状態から、図5Bに示されている第1の膨張状態への膨張;図5Bに示されている第1の膨張状態から、図5Cに示されている第2の膨張状態への膨張;及び/若しくは図5Cに示されている第2の膨張状態から、図5Dに示されている第3の膨張状態への膨張;又は成長ステント100の他のいずれの膨張を含むことができる。
【0039】
成長ステント100が膨張すると、弓状部材174、176は集束できる。これにより弓状部材174、176は協働でき、従って、弓状部材174の中央凹部172が弓状部材176の中央凹部172と協働できる。換言すれば、弓状部材174、176は協働型弓状部材で構成できる。これにより、協働型弓状部材174、176は中央チャネル12を画定できる。中央チャネル178は、協働型弓状部材174、176の間に形成でき、また弓状部材174の中央凹部172と弓状部材176の中央凹部172との交点を含むことができる。
【0040】
有利には、弓状部材174、176は、例えば弓状部材174、176が成長ステント100の残りの部分の支柱幅160よりも薄い場合に、成長ステントフレーム110に軸方向の柔軟性を提供できる。いくつかの実施形態では、弓状部材174、176は、成長ステントフレーム110によって提供される通常のコラムの強度とは反対方向の変形を可能にする、「C字型(c‐like)」形状を利用できる。弓状部材174、176は、フレーム110の構造内にてこの支点を提供でき、これにより、必要な構成に応じて標的位置への導入時又は場合によっては展開後に、フレーム100を曲げることができるようになる。この曲げは、変形の方向に応じて、上記「C字型」形状が内側に折りたたまれること、及び/又はより直線状に近づくように広げられることによって、発生させることができる。
【0041】
図1A~B及び図2A~Dを参照して更に詳述したように、図4A~Bの成長ステント100は有利には、患者の全寿命にわたって狭窄病変を治療するために必要な幅広い解剖学的直径をカバーするように、膨張させることができる。換言すれば、成長ステント100がサポートする所定の数の膨張状態により、成長ステント100を、幅広い解剖学的直径を提供するように構成できる。成長ステント100は例えば、送達カテーテル210上で、新生児患者のための十分に小さなサイズ、例えば8フレンチサイズの圧着された成長ステント100よりも大幅に小さなサイズに圧着でき、後で直径18mm超のティーンエージャー及び/又は成人用のサイズへと膨張できる。
【0042】
図5A~Dは、(図8A~Dに示されている)患者の血管(又は内腔)300の直径の成長に伴う、患者の寿命全体にわたる様々なサイクルにおける、成長ステントフレームの選択された実施形態を示す。この具体的な例では、成長ステントフレーム110は様々な直径において強度を維持できる。図5Aに移ると、成長ステント100は、埋入のための初期状態で示されている。初期状態のステント本体110は、内腔300への成長ステント100の挿入を容易にするための、例えば2mmである所定の初期サイズ、形状、直径、断面、又は他の寸法を有することができる。
【0043】
成長ステント100が膨張状態であるとき、ステント本体110は、いずれの好適な所定の直径、断面、又は他の寸法Dを有する内部チャネル120を画定できる。ステント本体110は例えば、限定するものではないが、図5Bに示されているように8mmである第1の所定の直径、断面、若しくは他の寸法D、図5Cに示されているように15mmである第2の所定の直径、断面、若しくは他の寸法D、及び/又は図5Dに示されているように20mm以上である第3の所定の直径、断面、若しくは他の寸法Dを有する、内部チャネル120を画定できる。これにより、(図8A~Dに示されている)狭窄した血管300を開いた状態に保持して、血液又は他の体液の正常な流れを可能とするための、成長ステント100を提供できる。
【0044】
一例として、成長ステント100は、10mm未満の直径への膨張によって、(図8A~Dに示されている)幼児患者の血管(又は内腔)300に埋入でき、また、患者の寿命にわたって18mmを大幅に超えて膨張するために適切な強度を有することができる。例示的な成長ステント100は、8フレンチサイズより大幅に小さな、いくつかの実施形態では5フレンチサイズ未満である直径を有する、(図7A~Bに集合的に示されている)カテーテル送達システム200の送達カテーテル210によって、幼児患者の血管300を通して導入できる。
【0045】
図6A~Bに移ると、フレーム支柱幅160、フレーム厚さ162、セル164の個数、及び/又はセルの角度166を含む、成長ステントのジオメトリは、幅広い展開及び膨張にわたって強度を維持する能力に寄与し得る。フレーム支柱幅160及びフレーム厚さ162は、成長ステントフレーム110の半径方向の力を決定するために採用でき、セル164の個数がこれらの特徴の影響を拡大する。一実施形態では、成長ステントフレーム110を最適化することによって、成長ステント100の短縮の影響を低減できる。「短縮(foreshortening)」とは、成長ステント100が圧着状態から選択された膨張状態へと膨張する際に発生し得る、長さの短縮である。セルの角度166、及び成長ステントのセル164の長さを最適化することによって、成長ステントの短縮の量を低減して、バルーン膨張等の膨張による成長ステント100の展開をより予測可能なものとすることができる。
【0046】
支柱接合部の幅は、成長ステント100の、幼児の血管300を通した導入のために十分な小ささに圧着できる能力に寄与し得る。圧着される成長ステント100内のセル164の個数を少なくすることができるように、支柱接合部幅168を小さく維持することによって、送達の促進を補助できる。接合部幅168は好ましくは、後で有意な応力及び歪みをフレームに発生させずに大きく膨張できるよう、十分な大きさであり、これにより、この目的のために成長ステント接合部幅168を最適化するための範囲は小さくなる。成長ステントフレーム材料はこれらの特性を可能とするものであってよく、壁が薄いという成長ステント100の性質(この性質は、新生児患者の体内への送達のために十分に小さなサイズへの成長ステント100の圧着を可能にする)にもかかわらず、幅広い動作にわたって強度を実現できる。
【0047】
成長ステントフレーム110は、金属構造体に利用される最初のチューブから、より厚い壁厚162を可能とするように、最適化できる。支柱幅160に対して接合部幅168を最小に制限することにより、フレーム110の壁厚162を増大させることができ、これにより、半径方向の力が印加されたときに成長ステント100がばねのように反応するのを防止できる。従って、フレーム110の圧壊耐性を増大させることができ、血管300からの反動の影響を低減し、膨張に必要な全ての直径にわたる成長ステント100の半径方向の力を増大させ、血管300を開いたまま保持するための剛性構造を提供する。
【0048】
この患者集団に必要な強度、及びフレームを極めて小さな直径に圧着したいという要求により、成長ステント100の幅広い使用範囲にわたる再膨張を可能とする最適なバージョンを形成する、支柱幅160、壁厚162、接合部サイズ、及びセル164の個数を計算するための、特定の式が存在する。成長ステント100の最適化のための1つの例示的な式は、式1に示されている。式1によると、成長ステント100の最小圧着直径は:
【0049】
【数1】
【0050】
として表すことができ、ここでSWは支柱幅160を表し、Jは接合部幅168を表し、Nはセル164の個数を表し、STは、最初のチューブの壁厚162からの支柱厚さを表す。式1により、支柱厚さ162を増大させて所望の小さな直径へと圧着できる能力を維持することによって、所望の使用範囲にわたって適切な強度を維持するために必要な反動強度に基づいて、特定のパラメータを設定できる。成長ステント100の支柱幅160よりもごくわずかに大きくなるように接合部を最小化することによって、最小の圧着直径を、式1に従って、支柱幅160及び接合部幅168とセル164の個数との積の関数として計算できる。
【0051】
成長ステント100のいくつかの実施形態では、本体(又はフレーム)壁112の厚さ162を最小化することによって、血管300の血栓化及び/又は狭窄を防止できる。フレーム壁112の厚さ162を増大させると、フレーム壁112が血管300の閉塞を提供し得るため、膨張後の血管300の直径が削減され得る。更に、及び/又はあるいは、フレーム壁112の厚さ162を増大させると、血栓付着のための材料がより多く提供され得る。ステントフレーム110内により多くの材料があることにより、内皮化がより多く発生する可能性があり、これによりセル164が異物に付着する。
【0052】
成長ステント100の最適化された実施形態では、強度及び厚さ162の因子を、成長する患者に関して最良の結果が得られるように計算できる。血管強度に関する調査を利用して、上記因子のうちの1つ以上を利用して、成長ステントフレームを、様々な範囲の動作にわたって十分な強度を実現できるように最適化できる。成長ステント100は、本出願独自の特定のパラメータ範囲を有することができ、これによって従来のステントフレームから区別される。例えば、得られたステントの半径方向の力及び圧壊力を出力として添付すると、式1を力に関して最適化でき、ある特定の範囲にわたる成長に関して最適化されたステントフレーム110を得ることができる。
【0053】
式1は、成長ステントフレーム支柱の測定長が一定であり、確定されているものと仮定している。というのは、支柱の長さの変化が、出力される強度に影響を及ぼし得るためである。成長ステント100のある最適化された実施形態では、支柱の長さは、ステントフレーム110が、変形及び/又は破断といったフレームの問題につながり得る高いレベルの応力及び歪みを受けないことを保証するように、決定できる。支柱自体の長さを増大させると、膨張の直径を増大させることができるが、得られる半径方向の力は低下し得る。従って、成長ステント100の最適化された実施形態は、ステントフレーム110に対する応力及び歪みを、成長ステント100の目的とする直径範囲にわたって許容可能なものとすることができる、最小の支柱長さを含むことができる。
【0054】
成長ステント100に関する最小の支柱長さが決定されると、式1を利用してフレーム110を最適化できる。2つ以上の因子、又は場合によっては全ての因子が同時に変化し得るが、複数の特定のパラメータ変化は、出力されるフレーム110の半径方向強度に関して1つのパターンを示すことができ、これにより、同一のステント構造の様々な実施形態を成長ステント100の目的に役立たせることができる。成長ステント100のいくつかの実施形態では、これらのパラメータを最適化することによって、特定の成人サイズの直径範囲だけに最適化された市販のステントとは違って、大きな成人の血管サイズでも十分な強度を提供しながら、新生児患者の血管300を傷つけないために十分な小ささの最小圧着を実現できる。
【0055】
成長ステント100は好ましくは、成長ステント100を特定の直径に膨張させるためのバルーン等のステント膨張システム260(図7Aに図示)と、バルーンによる支持なしに上記特定の直径を維持するために十分な半径方向強度を有する成長ステントフレーム110とを用いること等によって、血管300を指定された直径で開いた状態に維持するための、十分な半径方向強度を有する。しかしながら、成長ステント100の半径方向強度及び他の特性は、成長ステントフレーム110の疲労の可能性に影響を及ぼし得る。疲労は、フレーム110に対して応力及び歪みを生成する連続的及び反復的な運動によって生じ得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、成長ステント100の寿命にわたって許容できない疲労が発生しないことを保証できるように、ステントフレーム110の特性のうちの1つ以上を最適化できる。これは様々な方法で実施できる。許容できない疲労を回避するための例示的な方法としては:成長ステント100の半径方向強度を向上させて、血管300の周期的圧縮及び膨張を制限すること;並びに/又は支柱自体の長さを増大させて、疲労を受けにくい、比較的弛緩したセル構造を形成することが挙げられる。ステントフレーム110のために選択される金属又は他の材料の延性のレベルもまた、歪みのレベルに影響を及ぼし得る。成長ステントフレーム110に対する過剰な疲労及び歪みは、成長ステント100を形成する金属又は他の材料の変形、及び/又は破断の可能性につながり得る。
【0057】
成長ステント100のいくつかの実施形態では、レーザ切断機(図示せず)を用いて、1つのチューブからフレーム110を切断できる。レーザ切断機は、チューブの壁厚162を繊細に切断して、セル構造を形成できる。切断後、切断されたセル支柱の間から、不要な材料を剥ぎ取る、及び/又は除去することができる。多くの場合、レーザ切断機は成長ステントフレーム110及び/又は金属フレーム上に粗い縁部を残す可能性があり、好ましくは、バリが残らないことを保証するために、これを内直径上でサンディングする。
【0058】
更に、及び/又はあるいは、成長ステントフレーム110のいくつかの実施形態は、電解研磨によって、フレーム110上の金属の外層を除去し、縁部を平滑化して、フレーム110を埋入のために仕上げることができる。多くの例では、電解研磨は、フレーム110上の金属の外層からの材料の除去を均一に分布させるために、液体浴を通る電流を使用し、これが多くの場合、成長ステント100に、研磨によって輝いた外観を残す。NITINOL又は他の変形材料を利用するフレーム等のいくつかの実施形態は、熱及び焼入れを用いて所望の形状に形状設定できる。
【0059】
ステントフレーム110のベースとして利用されるチューブの直径は、フレーム110の強度に影響を及ぼし得る。チューブの直径が大きいほど、チューブの壁厚162を維持したときに、台形から離れた形状となる。壁厚162が正確なままである限り、ステントフレーム110を、チューブのいずれの直径で切断されるように調整できるが、より小さなチューブから得られる台形支柱では、支柱がより少量の材料で作製されるため、所望の範囲にわたる半径方向の強度が低くなる可能性がある。成長ステント100の最適化されたバージョンでは、フレーム110を特定のチューブ厚さ162及び/又は直径から切断することによって、全使用範囲にわたる適切な強度を保証できる。
【0060】
選択された実施形態では、成長ステント100は、むき出しの金属フレーム110を含んでよく、及び/又はフレーム110のあるセグメント上に血液不透過性カバーを有してよい。この血液不透過性カバーは、血管の内方成長を可能にし、また血管300を、成長ステント100を通る血液の漏れから密封する。上記カバーは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及び/又は一部のポリテトラフルオロエチレン類等のフルオロポリマーといった、布材料製であってよい。上記カバーは、成長ステントフレーム110の複数の直径の範囲にわたって密封機能を果たし、患者の寿命にわたってフレーム110と共に膨張できる。一実施形態では、血液不透過性カバーは、成長ステント100のひし形のセルそれぞれに取り付けることができ、各セルにぴったりとはまることができる。この実施形態における布は、縫合糸又は他の適切な仮止め方法を用いて、フレーム110に縫い付ける、又は仮止めすることができる。
【0061】
ある例示的実施形態では、血液不透過性カバーは、(図1A~Bに示されている)成長ステントフレーム110の近位端部領域130及び遠位端部領域140に、並びに/又は適切な膨張を可能とする、成長ステントフレーム110に沿った1つ以上の他の所定の位置に、取り付けることができる。上記カバーは、いずれの好適な方法で、例えば本明細書に記載の方法での縫い付け及び/若しくは仮止めによって、並びに/又はフレーム110への固定を確実にする選択的溶接によって、取り付けてよい。更に、及び/又はあるいは、フレーム110のセル164の間に可撓性のウェブを形成するポリマーに、成長ステントフレーム110を浸漬して、血液不透過性カバーを提供してよい。この実施形態では、フレーム110を液体ポリマーに浸漬してゆっくりと取り出すことができ、取り出した後にポリマーを乾燥させて可撓性のカバーを形成できる。ポリマーは、所望の材料特性のために、空気中及び/又はオーブン内で硬化させることができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、成長ステント100の端部領域130、140のうちの一方又は両方は、成長ステント100の長手方向軸に対して外向きに広がっていてよい。広がった端部領域130、140は有利には、動脈又は他の内腔の壁の所定の位置に成長ステント100を固定するのを補助できる。この広がりはいずれの好適な様式で実装できる。例えば上記広がりは、選択された端部領域130、140の先端を、材料特性及び/又は形状設定を用いて外向きに湾曲させることによって、実装できる。別の実施形態は、外向きの湾曲形状を有するバルーン又は他の膨張可能な部材(図示せず)による膨張を使用できる。更に、及び/又はあるいは、同様の技法を用いて一方又は両方の端部領域130、140を内向きに広げることによって、動脈瘤を防止できる。
【0063】
動脈瘤は、成長ステント100の一方又は両方の端部領域130、140を丸めることによっても同様に防止できる。丸められた端部領域130、140は、いくつかの実施形態では、様々なサイズの円形のアイレット及び/又は端部を取り付けることにより、成長ステントフレーム110の鋭利さを低減することによって、成長ステント100に形成できる。例えば端部領域130、140は、円形、フック状、又は他のいずれの非侵襲的な形状であってよい。成長ステント100の別の実施形態は、解剖学的構造に係合して成長ステント100を所定の位置に維持するための特徴部分を、成長ステント100に対して使用できる。この実施形態では、成長ステント100は、成長ステントフレーム110内に切り込まれた比較的鋭利な縁部を含むことができ、及び/又は成長ステントフレーム110によるものか、血管300内での固定を提供するための縫合糸の結び目の追加によるものかにかかわらず、固定のためにある種のとげ状部分を利用できる。
【0064】
ステントフレーム110の別の実施形態では、端部領域130、140のうちの一方又は両方は、ステントフレーム110の残りの部分に関しては除去される材料を有してよい。この材料は例えば:ステントフレーム110の支柱幅160から;成長ステント100の支柱厚さ162から;又はこれら両方から、除去できる。材料の除去により、成長ステント100の薄くなった端部領域130、140を、厚いステント本体110よりも柔軟にすることができ、これにより、血管への侵入を少なくし、患者の身体への侵襲性を低減できる。このフレーム110の実施形態では、上記柔軟性を利用して、動脈瘤及び血管の刺激を防止できる。成長ステントフレーム110の実施形態がバルーンで拡張可能である場合、例えば、薄くなった端部領域130、140は、バルーンに対して生成する抵抗を少なくすることができ、またこれを、バルーンを利用した展開中の成長ステント100の移動を防止するためのツールとして利用できる。
【0065】
成長ステント100の端部領域130、140は、半径方向の力を用いて、周囲の血管300、又は狭窄病変内の他の解剖学的構造に係合できる。端部領域130、140の広がりは、有利には、成長ステント100を周囲の解剖学的構造に固定するために適用できる。上記広がりは、成長ステント100を所定の位置に固定できる停止部材として機能する。成長ステント100に軸方向の力が印加されると、上記広がりは周囲の解剖学的構造に押し込まれ、成長ステント100の移動に抵抗できる。
【0066】
上記広がりと、成長ステントの膨張とは:成長ステント100の膨張特性、例えば材料の選択によって、自然に;及び/又は加圧されたバルーン若しくは他のステント膨張システム260を用いて、血管300より大きな直径へとフレーム110を膨張させ、血管300の壁を引っ張って、半径方向の強度を用いて血管300内に成長ステント100を係留することによって、手動で、実施できる。患者の成長に伴い、材料特性及び自己膨張によって、並びに/又は後のバルーンによる拡張によって、成長ステント100の直径を増大させることができ、成長ステント100が過膨張及びその結果としてのフレーム110の半径方向の力によって固定を維持することを保証できる。
【0067】
成長ステント100は、バルーン膨張式ステントのための、又は代替実施形態では自己膨張性成長ステントのための、従来の多様な材料のうちの1つ以上で作製されていてよい。非限定的な例として、成長ステント100は、例えばステンレス鋼、コバルトクロム、NITINOL、又はElgiloyを含む金属又は金属合金、あるいはポリマーといった、いずれの適切な材料で作製されていてよい。自己膨張型の実施形態では、成長ステント100は、例えばNITINOL等の形状記憶材料で作製されていてよい。
【0068】
成長ステント100は有利には、成人サイズ等の選択された膨張状態へと膨張して、必要な膨張の全範囲にわたって血管の開口のために十分な強度を維持する能力によって、狭窄した血管300内への送達のために構成できる。選択された実施形態では、経血管技法を使用することにより、成長ステント100を、新生児及び他の若年患者の体内に、図7A~Bに示されているようなカテーテル送達システム200を用いて導入及び埋入できる。図7Aに移ると、例示的なカテーテル送達システム200は、可撓性の送達カテーテル210を備えることができ、また有利には、開心術よりも侵襲性が低い様式で成長ステント100を導入及び埋入できる。送達カテーテル210は、心臓(又は(図8A~Dに示されている)他の埋入部位300)、及び周囲の脈管構造に、鼠径部の血管300又は別の接続血管300を通して導入可能とすることができる。
【0069】
送達カテーテル210の端部220は、内側シャフト240及び外側シャフト250を含むものとして図示されている。シャフト240、250のうちの1つ以上は、ペバックス又は他のナイロン等の可撓性プラスチックで作製でき、開放された空間を含むことができる。送達カテーテル210は好ましくは、可撓性カテーテルで構成される。可撓性により、人間の血管を通した適切な押し込みが可能となり、これにより成長ステント100を適切な位置へと送達できる。送達カテーテル210に使用されるプラスチックは、患者を傷つけないよう、生体適合性とすることができる。
【0070】
選択された実施形態では、成長ステント100は、送達カテーテル210の端部220上に初期(又は圧着)状態で設置できる。換言すれば、初期状態の成長ステント100は、(図1A~Bに示されている)内部チャネル120によって内部シャフト240を受承できる。これにより、成長ステント100を、送達カテーテル210の内側シャフト240と外側シャフト250との間に配置できる。送達カテーテル210の端部220は同様に、成長ステント100を初期状態から所定の膨張状態へと膨張させるための、バルーン等の任意のステント膨張システム260を含むことができる。選択された実施形態では、ステント膨張システム260を少なくとも部分的に内部チャネル120内に配置することにより、後の成長ステント100の膨張を促進できる。
【0071】
成長ステント100を送達カテーテル210の端部220に適切に位置決めした後、カテーテル送達システム200を、図7Bに示されているような閉鎖構成で提供できる。換言すれば、カテーテル送達システム200を、図7Aの開放構成から図7Bの閉鎖構成へと遷移させることができる。図7Bに移ると、送達カテーテル210の外側シャフト250は、送達カテーテル210の任意のノーズコーン230に向かって、遠位に移動されたものとして示されている。換言すれば、送達カテーテル210が閉鎖構成であるとき、成長ステント100は内側シャフト240と外側シャフト250との間に配置できる。これにより、外側シャフト250は、患者の血管(又は内腔)300を通した導入及び前進のために、成長ステント100のための保護シェルを提供できる。
【0072】
埋入中、カテーテル送達システム200の送達カテーテル210を、血管系を通して導入でき、ここで成長ステント100及びステント膨張システム260は外側シャフト250に被覆されている。これにより、送達カテーテル210は、図8Aに示されているように、端部220が埋入部位310、例えば狭窄病変又は他の疾患の領域に到達するまで、患者の血管(又は内腔)300を通って前進できる。埋入部位310に隣接して配置した後、カテーテル送達システム200を、図8Bに示されているような開放構成で提供できる。換言すれば、カテーテル送達システム200は、図7Bの閉鎖構成から図8Bの開放構成へと遷移できる。
【0073】
この開放構成では、送達カテーテル210の外側シャフト250は、ノーズコーン230の近位に、又はノーズコーン230から離して配置できる。送達カテーテル210はこれによって、成長ステント100を埋入部位310に対して露出させることができる。成長ステント100を埋入部位310に隣接させた状態で、ステント膨張システム260を起動して、成長ステント100を、図8Bに示されているような初期(又は未膨張若しくは圧着)状態から図8Cの第1の膨張状態へと膨張させることができる。選択された実施形態では、ステント膨張システム260はバルーンを含むことができ、これをふくらませることによって、成長ステント100を膨張させることができる。
【0074】
更に、及び/又はあるいは、成長ステント100は任意に、ステント膨張システム260を用いずに、成長ステント100の近位部分を送達カテーテル210に係留したまま、成長ステント100の遠位部分を膨張させることによって、膨張させることができる。成長ステント100の遠位部分が膨張した後、成長ステント100の近位部分を送達カテーテル210から係合解除して、内腔300内に向かって膨張させることができる。例えば成長ステント100の近位部分は、一度に全体を膨張させても、段階的に膨張させてもよい。
【0075】
第1の膨張状態では、成長ステント100は、図1Aを参照して上で更に詳述したように、第1の所定の膨張後サイズ、形状、直径、断面、及び/又は他の寸法を有することができる。ステント膨張システム260を停止させて、初期サイズに引っ込めることができる。ステント膨張システム260がバルーンを含む場合、バルーンをしぼませることができる。続いて、第1の膨張状態の成長ステント100が、図8Dに示されているように埋入部位310に良好に展開された後、送達カテーテル210を内腔300から引き抜くことができる。
【0076】
これにより、成長ステント100をその機能的サイズで、埋入部位310に埋入できる。必要に応じて、成長ステント100を後日、ティーンエージャーサイズ及び/又は成人サイズといった更に大きなサイズへと更に膨張させることができる。埋入と同様の様式で、例えば別の送達カテーテル210を、患者の血管系を通して導入して、端部220が埋入部位310の成長ステント100に到達するまで、血管系300を通して前進させることができる。送達カテーテル210のステント膨張システム260を、成長ステント100の(図1Aに示されている)内部チャネル120内に配置して起動することにより、成長ステント100を、図8Cの第1の膨張状態から図1Bの第2の膨張状態へと膨張させることができる。
【0077】
第2の膨張状態では、成長ステント100は、図1Bを参照して上で更に詳述したように、第1の膨張状態における成長ステント100の第1の所定の膨張後サイズ、形状、直径、断面、及び/又は他の寸法よりも大きな、第2の所定の膨張後サイズ、形状、直径、断面、及び/又は他の寸法を有することができる。ステント膨張システム260を引っ込めることができ、また、図8Dを参照して上述したように、第2の膨張状態の成長ステント100が埋入部位310に良好に展開された後、送達カテーテル210を内腔300から引き抜くことができる。
【0078】
成長ステント100は有利には、新生児患者の体内に埋入でき、また患者の寿命を通して必要に応じて膨張できる。ある特定の直径で送達及び埋入した後、成長ステント100を後日、より大きなサイズへと膨張させることができる。これは、最初に成長ステント100の一実施形態を受け入れた血管が、例えば乳児から成年及び成人への患者の成長全体を通して、成長し続ける場合に当てはまる。成長ステント100は、適用可能な全ての成長の範囲にわたって適切な強度を有することができるため、患者の成長サイクルの中の後の時点において、別個のバルーン又は他のステント膨張システム260を、埋入部位310の成長ステント100まで導入できる。この成長ステント100の更なる膨張は、個々の患者の成長に関して、必要に応じて行うことができる。
【0079】
選択された実施形態では、送達カテーテル210は、成長ステント100を膨張させるためのバルーン260を有するバルーンカテーテルを含むことができる。上記バルーンカテーテルは、送達カテーテル210について、図8A~Dを参照して、成長ステント100を導入及び展開するものとして説明した様式に類似した様式で、成長ステント100を導入及び展開できる。図9に移ると、例えば、バルーンカテーテルシステムによる(図8A~Dに示されている)成長ステント100の埋入のための例示的な方法400が示されている。方法400は、410において、成長ステント100を、(図8A~Dに集合的に示されている)患者の血管(又は内腔)300の埋入部位310に送達するステップを含む。バルーンカテーテルを、埋入部位310に到達するまで、患者の血管(又は内腔)300を通して前進させることができる。
【0080】
埋入部位310に隣接して配置した後、420においてバルーンカテーテルを、開放構成で、即ちシースのない状態で提供でき、成長ステント100を埋入部位310に対して露出させる。換言すれば、カテーテル送達システム200は、図7Bの閉鎖構成から図8Bの開放構成へと遷移できる。430では、バルーン260に流体を充填することによってサイズを膨張させることができる。成長ステント100の(図1A~Bに示されている)内部チャネル120内に配置された状態で、膨張するバルーン260は、成長ステント100を、図8Bに示されている初期(又は未膨張若しくは圧着)状態から図8Cの第1の膨張状態へと膨張させることができる。
【0081】
よって440において、第1の膨張状態の成長ステント100は、埋入部位310の血管300の壁に係合でき、及び/又は上記壁に埋め込むことができる。次にバルーン260を再圧縮して患者の体内から除去でき、成長ステント100は血管300と係合したまま残される。換言すれば、成長ステント100は初期状態で導入でき、バルーン260によって膨張させられた後、バルーン260の支持なしに、血管300を開いた状態に保持できる。このようにして、第1の膨張状態の成長ステント100を、埋入部位310において良好に展開できる。
【0082】
更に、及び/又はあるいは、バルーンカテーテルは、(図7A~Bに示されている)任意のノーズコーン230を含むことができる。ノーズコーン230は、血管300を通した遷移及び導入可能性を支援でき、またバルーン260自体の収容用端部領域として機能できる。ノーズコーン230は、シャフト240、250と同様のプラスチックを用いて設計でき、多くの場合、血管300を通した遷移及び導入を支援するために、三角形の形状を有する。バルーン260は有利には、送達カテーテル210の内側にフィットするように圧縮でき、所望の患者の血管系に挿入するために十分に小さなプロファイルを保証できる、薄いプラスチック壁を用いて設計できる。バルーン260は、内側プラスチックシャフト240に取り付けて、遠位端において密封できる。プラスチックシャフト240の内部空間は、生理食塩水等の、挿入された流体を、シャフトの近位端からバルーン260へと導くことができる。バルーン260に液体が充填されると、バルーン260は設計された直径まで膨張できる。
【0083】
成長ステント100がバルーン260上へと圧着されるとき、バルーン260は小さな直径に圧縮されていてよく、また成長ステント100を所定の位置に保持するための内蔵式の肩部を有しない。外側シャフト250を引っ込めてバルーン260上で成長ステント100を露出させるとき、バルーン260は、バルーン260上での成長ステント100の位置決めを維持するために十分な抵抗を有していない場合がある。特定の実施形態では、外側シャフト250を引っ込めて成長ステント100を露出させると、外側シャフト250が成長ステント100上にラッチ係合して、成長ステント100がバルーン260から引き離される場合がある。
【0084】
バルーンカテーテルのいくつかの実施形態では、この問題は、バルーンシャフトと外側シャフト250との間に配置された別個のカテーテル(図示せず)の使用によって緩和できる。この中間カテーテルは、外側シャフトを引っ込める間の成長ステント100のバックストップとして利用できる。この実施形態では、露出中、中間カテーテルがバルーンカテーテルに対して固定され、成長ステント100が所定の位置に維持されるため、外側シャフト250を、成長ステント100及び中間カテーテルの上を通して引っ込めることができる。成長ステント100及び中間カテーテルが露出した後、中間カテーテルを、バルーン260の上を通して引っ込めることにより、膨張を可能とすることができる。これにより、成長ステント100が、患者の体内の標的位置310におけるバルーンの膨張のために、適切な位置で圧着されたままとなることが保証される。
【0085】
バルーンカテーテルの別の代替実施形態では、成長ステント100のためのバックストップの代わりに、中間カテーテルは成長ステント100と重なって、成長ステント100を所定の位置に保持するための靴下状アタッチメントを形成できる。この薄い靴下状カテーテルは、外側シャフト250を引っ込める間、ステントの位置決めを維持でき、適切にバルーン260をふくらませることができるようにすることができる。いくつかの実施形態では、この靴下状カテーテルは、成長ステント100と重なっている場合、バルーン260の膨張前に引っ込めることができる。他の代替実施形態では、靴下状カテーテルはバルーン260としか重なっていなくてよく、バルーン260によって膨張させて、バルーンカテーテルによって取り外すことができる。
【0086】
バルーン260上へと圧着された成長ステント100を内包するカテーテル送達システム200の実施形態では、成長ステント100は、充填された液体からの半径方向の圧力により、バルーン260を用いて膨張させることができる。液体がバルーン260から除去されると、背圧によってバルーン260を元の圧縮された状態に戻すことができ、膨張した成長ステント100は、バルーン260及びバルーンカテーテルから分離して残される。一実施形態では、バルーンカテーテルは、シャフト240、250を接続するため、内腔を密封して血液の漏れを防止するため、及び/又は操作者に人間工学的なグリップを提供するために、シャフト240、250の近位端にハンドルを有してよい。上記ハンドルは、硬質プラスチック、軟質シリコーン、及び/又は他の固体材料製とすることができる。この実施形態はまた、血管系内のガイドワイヤー(図示せず)を介した導入のための、最も内側の空間を含んでよい。上記ガイドワイヤーは、バルーンカテーテルが標的位置310に到達することを保証するための導入レールを提供でき、送達システム上の空間内に挿入できる。
【0087】
選択された実施形態では、終点に応じて大腿静脈又は動脈を介して、送達カテーテル210を標的位置310へと前進させる。患者の体内の他の血管300を利用して、送達カテーテル210を標的位置310まで適切に導入してもよい。送達カテーテル210の材料の遷移により、困難な解剖学的構造にもかかわらず、標的位置310への適切な導入を可能とすることができる。
【0088】
更に、及び/又はあるいは、カテーテル送達システム200は任意に、送達カテーテル210が患者の体内に導入される前に、空気を送達カテーテル210から流出させることにより、血管300内で塞栓形成及び他の問題を引き起こす可能性がある空気の分子の血流への添加を防止できる。送達カテーテル210から空気を流出させるステップは例えば、加圧流体を用いて、送達カテーテル210から空気を流出させるステップを含んでよい。カテーテル送達システム200は、送達カテーテル210と、少なくとも部分的に送達カテーテル210内に配置された1つ以上の内部空間(図示せず)とを含むことができる。上記内部空間は、ガイドワイヤー(図示せず)のための少なくとも1つの開口と、バルーンに接続される少なくとも1つの開口とを画定できる。流体は、ガイドワイヤー用の開口において内部空間内へと導入でき、導入される流体の少なくとも一部が、遠位開口を通って上記内部空間から出ることにより、送達カテーテル210から空気を除去する。
【0089】
送達される成長ステント100のサイズ設定により、新生児及び他の比較的若年の患者にとって成長ステント100をより安全なものとすることができる。一実施形態では、成長ステント100は、圧着状態のときに2.5mm未満の外径で送達でき、完全膨張状態のときに20ミリメートルを超える外径へと後で膨張できる。
【0090】
以上は主に、限定を目的とするのではなく単なる例示を目的として、バルーン膨張式の成長ステント100の実施形態を説明している。しかしながら、本明細書で図示及び説明されているカテーテル送達システム200は、自己膨張性成長ステント、人工心臓弁、及び/又は他の医療デバイスの送達のために容易に修正できることが理解されるだろう。換言すれば、埋入位置への自己膨張性成長ステントの送達は、本開示の送達デバイスの修正バージョンを用いて経皮的に実施できる。一般的に言えば、送達デバイスの例示的な修正バージョンとしては、上述のような送達シース及び/又は追加のシースを備えた、経カテーテルアセンブリ(図示せず)が挙げられる。上記デバイスは一般に、送達カテーテル、バルーンカテーテル、及び/又はガイドワイヤーを更に含む。
【0091】
現在市販の成長ステントは、患者、特に先天性又は解剖学的疾患を有する小児患者の病変の寿命に必要な全範囲をカバーできない。この場合、成長ステントは、新生児の体内に安全に送達するために十分に小さい状態で始めることができるものの、成人サイズまで成長できない。反対に、成人の病変に十分な大きさまで膨張する成長ステントは、カテーテル上で、新生児の体内に安全に埋入するために十分に小さく圧着することができない。というのは、新生児の血管は成人の血管よりも大幅に小さいためである。
【0092】
様々な先天性疾患の状態は、ファロー四徴症、大動脈縮窄症、様々な閉鎖症、様々な狭窄症といった、狭窄病変として定義できる。
【0093】
成長ステント100の性質及び利点の更なる理解は、本明細書の残りの部分及び図面を参照することによって明らかになるだろう。バリエーション、及び上述の任意の特徴を、単独で又は様々な組み合わせで、成長ステント100の実施形態に適宜加えてよい。サイズ、形状、直径、断面、又は他の寸法に関する具体的な数値は、本明細書では説明のためだけに記載されており、限定を目的とするものではない。
【0094】
上述の実施形態は、様々な修正及び代替形態の影響を受けやすく、その具体例は、図面に例として図示されているか、本明細書で詳細に説明されている。しかしながら、上述の実施形態は、本開示の特定の形態又は方法に限定されるものではなく、反対に本開示は全ての修正、均等物、及び代替物を包含するものであることを理解されたい。
【0095】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0096】
実施形態1
新生児患者の体内の内腔に埋入するための、カテーテルに挿入可能かつ再膨張可能な成長ステントであって、前記成長ステントは:
前記新生児患者の適用可能な全ての成長の範囲にわたって前記内腔を支持する強度を有し、
複数のフレーム支柱を有する細長ステントフレームであって、各フレーム支柱は、前記ステントフレームの近位端部領域から前記ステントフレームの遠位端部領域まで連続的に延在し、隣接するフレーム支柱は、中間フレームセルを画定し、交差して、それぞれの支柱接合部を形成し、それによって、前記細長ステントフレームは、送達カテーテルを介して、前記新生児患者の選択された内腔への前記送達カテーテルを介した挿入を容易にするための初期状態から、前記選択された内腔を埋入状態で支持するように構成された第1の安定した膨張状態へと半径方向に膨張し、前記第1の膨張状態の前記ステントフレームは、第1の断面を有する内部チャネルを画定する、細長ステントフレーム
を備え、
前記ステントフレームは、その後の膨張カテーテルの導入により、前記患者の成長に伴って、前記第1の膨張状態から第2の安定した膨張状態へと、さらに半径方向に再膨張するよう構成され、前記第2の膨張状態の前記ステントフレームは、前記選択された内腔を支持し続け、また前記第1の断面より大きな第2の断面を有する前記内部チャネルを画定する、成長ステント。
【0097】
実施形態2
前記初期状態は、8フレンチサイズ未満である、前記第1の断面は、10ミリメートル未満である、またはその両方である、実施形態1に記載の成長ステント。
【0098】
実施形態3
前記ステントフレームは、前記新生児患者が成長して小児になった後、前記第2の膨張状態へと再膨張するよう構成される、実施形態1又は2に記載の成長ステント。
【0099】
実施形態4
前記第2の断面は8ミリメートル~15ミリメートル(端点を含む)である、実施形態3に記載の成長ステント。
【0100】
実施形態5
前記フレーム支柱のうちの少なくとも2つは、異なる支柱幅を有する、実施形態1~4のいずれか1項に記載の成長ステント。
【0101】
実施形態6
前記内部チャネルは、前記ステントフレームの前記近位端部領域と前記遠位端部領域との間に延在し、前記端部領域のうちの少なくとも1つは、前記ステントフレームと前記選択された内腔との間の係合を促進するために、半径方向外向きに広がっているか、もしくは前記選択された内腔における動脈瘤のリスクを低減するために、半径方向内向きに広がっているか、又は丸められている、実施形態1~5のいずれか1項に記載の成長ステント。
【0102】
実施形態7
前記ステントフレームは、前記患者の成長に伴う前記選択された内腔の内方成長による漏れを防止する、流体不透過性カバーを備える、実施形態1~6のいずれか1項に記載の成長ステント。
【0103】
実施形態8
前記細長ステントフレームは、ステンレス鋼、コバルトクロム、ポリマー又はその組み合わせから作製される、実施形態1~7のいずれか1項に記載の成長ステント。
【0104】
実施形態9
前記中間フレームセルは、前記隣接するフレーム支柱により囲まれている、実施形態1~8のいずれか1項に記載の成長ステント。
【0105】
実施形態10
前記隣接するフレーム支柱のうちの二組が交差して、前記中間フレームセルのうちの1つを画定し、複数の前記支柱接合部を形成する、実施形態9に記載の成長ステント。
【0106】
実施形態11
前記ステントフレームは、前記患者の更なる成長に伴って、前記第2の膨張状態から第3の安定した膨張状態へと、さらに半径方向に膨張するように構成され、前記第3の安定した膨張状態の前記ステントフレームは、前記選択された内腔を支持し続け、また前記第2の断面より大きな第3の断面を有する前記内部チャネルを画定する、実施形態1~10のいずれか1項に記載の成長ステント。
【0107】
実施形態12
前記ステントフレームは、前記患者が成長して成人になった後、前記第3の膨張状態へと膨張するよう構成される、実施形態11に記載の成長ステント。
【0108】
実施形態13
前記第3の断面は、18ミリメートル~24ミリメートル(端点を含む)である、実施形態11又は12に記載の成長ステント。
【0109】
実施形態14
新生児患者の体内の内腔に埋入するための、カテーテルに挿入可能かつ再膨張可能な成長弁であって、前記成長弁は:
複数のフレーム支柱を有する細長弁フレームであって、各フレーム支柱は、前記弁フレームの近位端部領域から前記弁フレームの遠位端部領域まで連続的に延在し、隣接するフレーム支柱は、中間フレームセルを画定し、交差して、それぞれの支柱接合部を形成し、それによって、前記細長弁フレームは、送達カテーテルを介して、前記新生児患者の選択された内腔への前記送達カテーテルを介した挿入を容易にするための初期状態から、前記選択された内腔を埋入状態で支持するように構成された第1の安定した膨張状態へと半径方向に膨張し、前記第1の膨張状態の前記弁フレームは、第1の断面を有する内部チャネルを画定する、細長弁フレーム、及び
前記弁フレームから前記内部チャネル中に延在する複数の小片
を備え、
前記弁フレームは、その後の膨張カテーテルの導入により、前記患者の成長に伴って、前記第1の膨張状態から第2の安定した膨張状態へと、さらに半径方向に再膨張するよう構成され、前記第2の膨張状態の前記弁フレームは、前記選択された内腔を支持し続け、また前記第1の断面より大きな第2の断面を有する前記内部チャネルを画定し、
前記小片は、前記第1の膨張状態および第2の膨張状態に弁機能を提供する、成長弁。
【0110】
実施形態15
前記初期状態は、8フレンチサイズ未満である、前記第1の断面は、10ミリメートル未満である、またはその両方である、実施形態14に記載の成長弁。
【0111】
実施形態16
前記弁フレームは、前記新生児患者が成長して小児になった後、前記第2の膨張状態へと再膨張するよう構成される、実施形態14又は15に記載の成長弁。
【0112】
実施形態17
前記第2の断面は8ミリメートル~15ミリメートル(端点を含む)である、実施形態16に記載の成長弁。
【0113】
実施形態18
前記フレーム支柱は均一な支柱幅を有する、実施形態14~17のいずれか1項に記載の成長弁。
【0114】
実施形態19
前記内部チャネルは、前記弁フレームの前記近位端部領域と前記遠位端部領域との間に延在し、前記端部領域のうちの少なくとも1つは、前記弁フレームと前記選択された内腔との間の係合を促進するために、半径方向外向きに広がっているか、もしくは前記選択された内腔における動脈瘤のリスクを低減するために、半径方向内向きに広がっているか、又は丸められている、実施形態14~18のいずれか1項に記載の成長弁。
【0115】
実施形態20
前記弁フレームは、前記患者の成長に伴う前記選択された内腔の内方成長による漏れを防止する、流体不透過性カバーを備える、実施形態14~19のいずれか1項に記載の成長弁。
【0116】
実施形態21
前記細長弁フレームは、ステンレス鋼、コバルトクロム、ポリマー又はその組み合わせから作製される、実施形態14~20のいずれか1項に記載の成長弁。
【0117】
実施形態22
前記中間フレームセルは、前記隣接するフレーム支柱により囲まれている、実施形態14~21のいずれか1項に記載の成長ステント。
【0118】
実施形態23
前記隣接するフレーム支柱のうちの二組が交差して、前記中間フレームセルのうちの1つを画定し、複数の前記支柱接合部を形成する、実施形態22に記載の成長ステント。
【0119】
実施形態24
前記弁フレームは、前記患者の更なる成長に伴って、前記第2の膨張状態から第3の安定した膨張状態へと、さらに半径方向に膨張するように構成され、前記第3の安定した膨張状態の前記弁フレームは、前記選択された内腔を支持し続け、また前記第2の断面より大きな第3の断面を有する前記内部チャネルを画定する、実施形態14~23のいずれか1項に記載の成長弁。
【0120】
実施形態25
前記弁フレームは、前記患者が成長して成人になった後、前記第3の膨張状態へと膨張するよう構成される、実施形態24に記載の成長弁。
【0121】
実施形態26
前記第3の断面は、18ミリメートル~24ミリメートル(端点を含む)である、実施形態24又は25に記載の成長弁。
【0122】
実施形態27
新生児患者の体内の内腔に埋入するための、カテーテルに挿入可能かつ再膨張可能な成長ステントであって、前記成長ステントは:
前記新生児患者の適用可能な全ての成長の範囲にわたって前記内腔を支持する強度を有し、
複数のフレーム支柱を有する細長ステントフレームであって、各フレーム支柱は、前記ステントフレームの近位端部領域から前記ステントフレームの遠位端部領域まで連続的に延在し、均一な支柱幅を有し、隣接するフレーム支柱は、中間フレームセルを画定し、交差して、それぞれの支柱接合部を形成し、それによって、前記細長ステントフレームは、送達カテーテルを介して、前記新生児患者の選択された血管への前記送達カテーテルを介した挿入を容易にするための初期状態から、前記選択された血管を埋入状態で支持するように構成された第1の安定した膨張状態へと半径方向に膨張し、前記第1の膨張状態の前記ステントフレームは、第1の断面を有する内部チャネルを画定する、細長ステントフレーム
を備え、
前記ステントフレームは、その後の膨張カテーテルの導入により、前記患者の成長に伴って、前記第1の膨張状態から第2の安定した膨張状態へと、さらに半径方向に再膨張するよう構成され、前記第2の膨張状態の前記ステントフレームは、前記選択された血管を支持し続け、また前記第1の断面より大きな第2の断面を有する前記内部チャネルを画定する、成長ステント。
【0123】
実施形態28
前記初期状態の前記ステントフレームは、前記新生児患者の体内への挿入を容易にするための、小さな埋入サイズを有する、実施形態27に記載の成長ステント。
【0124】
実施形態29
前記埋入サイズは、8フレンチサイズ未満である、実施形態28に記載の成長ステント。
【0125】
実施形態30
前記第1の断面は、10ミリメートル未満である、実施形態28又は29に記載の成長ステント。
【0126】
実施形態31
前記ステントフレームは、前記新生児患者が成長して小児になった後、前記第2の膨張状態へと再膨張するよう構成される、実施形態27~30のいずれか1項に記載の成長ステント。
【0127】
実施形態32
前記第2の断面は10ミリメートル~15ミリメートル(端点を含む)である、実施形態31に記載の成長ステント。
【0128】
実施形態33
前記ステントフレームは、前記患者の更なる成長に伴って、前記第2の膨張状態から第3の安定した膨張状態へと更に半径方向に膨張するよう、構成され、前記第3の膨張状態の前記ステントフレームは、前記選択された血管を支持し続け、前記第2の断面より大きな第3の断面を有する前記内部チャネルを画定する、実施形態27~32のいずれか1項に記載の成長ステント。
【0129】
実施形態34
前記ステントフレームは、前記患者が成長して成人になった後、前記第3の膨張状態へと膨張するよう構成される、実施形態33に記載の成長ステント。
【0130】
実施形態35
前記第3の断面は、18ミリメートル~24ミリメートル(端点を含む)である、実施形態33又は34に記載の成長ステント。
【0131】
実施形態36
前記ステントフレームは管状形状を備える、実施形態27~35のいずれか1項に記載の成長ステント。
【0132】
実施形態37
支柱接合部が選択された前記フレーム支柱の間にあり、前記支柱接合部は接合部幅を有し、前記接合部幅は、前記初期状態において前記ステントフレームの挿入を容易にするために十分な小ささであり、かつ前記選択された血管を支持するための強度を維持しながら、前記第1の膨張状態及び前記第2の膨張状態への前記ステントフレームの膨張をサポートするために十分な大きさである、実施形態27~36のいずれか1項に記載の成長ステント。
【0133】
実施形態38
前記内部チャネルは、前記ステントフレームの対向する端部領域の間に延在し、前記端部領域のうちの少なくとも1つは、前記ステントフレームと前記選択された血管との間の係合を促進するために、半径方向外向きに広がっている、実施形態27~37のいずれか1項に記載の成長ステント。
【0134】
実施形態39
前記内部チャネルは、前記ステントフレームの対向する端部領域の間に延在し、前記端部領域のうちの少なくとも1つは、前記選択された血管における動脈瘤のリスクを低減するために、半径方向内向きに広がっているか、又は丸められている、実施形態27~38のいずれか1項に記載の成長ステント。
【0135】
実施形態40
前記ステントフレームは、前記患者の成長に伴う前記選択された血管の内方成長による漏れを防止する、流体不透過性カバーを備える、実施形態27~39のいずれか1項に記載の成長ステント。
【0136】
実施形態41
前記細長ステントフレームは、ステンレス鋼、コバルトクロム、ポリマー又はその組み合わせから作製される、実施形態27~40のいずれか1項に記載の成長ステント。
【0137】
実施形態42
前記中間フレームセルは、前記隣接するフレーム支柱により囲まれている、実施形態27~41のいずれか1項に記載の成長ステント。
【0138】
実施形態43
前記隣接するフレーム支柱のうちの選択された二組が交差して、前記中間フレームセルのうちの1つを画定し、複数の前記支柱接合部を形成する、実施形態27~42のいずれか1項に記載の成長ステント。
【0139】
実施形態44
前記隣接するフレーム支柱のうちの二組が交差して、前記中間フレームセルのうちの1つを画定し、複数の前記支柱接合部を形成する、実施形態27~43のいずれか1項に記載の成長ステント。
【0140】
実施形態45
新生児患者の体内の内腔への埋入のための、カテーテルに挿入可能かつ再膨張可能な成長ステントであって、
前記成長ステントは:
前記新生児患者の適用可能な全ての成長の範囲にわたって前記内腔を支持する強度を有し、
複数のフレーム支柱を有する細長ステントフレームであって、各フレーム支柱は、前記ステントフレームの近位端部領域から前記ステントフレームの遠位端部領域まで連続的に延在し、均一な支柱幅を有し、隣接するフレーム支柱は、中間フレームセルを画定し、交差して、それぞれの支柱接合部を形成し、それによって、前記細長ステントフレームは、送達カテーテルを介して、前記新生児患者の選択された血管への前記送達カテーテルを介した挿入を容易にするための初期状態から、前記選択された血管を埋入状態で支持するように構成された第1の安定した膨張状態へと半径方向に膨張し、前記第1の膨張状態の前記ステントフレームは、第1の断面を有する内部チャネルを画定する、細長ステントフレーム
を備え、
前記ステントフレームは、その後の膨張カテーテルの導入により、前記患者のティーンエージャーの患者への成長に伴って、前記第1の膨張状態から第2の安定した膨張状態へと、さらに半径方向に再膨張するよう構成され、前記第2の膨張状態の前記ステントフレームは、前記選択された血管を支持し続けるように構成され、また前記第1の断面より大きな第2の断面を有する前記内部チャネルを画定し、及び
前記ステントフレームは、その後の第2の膨張カテーテルの導入により、前記ティーンエージャーの患者の、成人患者への更なる成長に伴って、前記第2の膨張状態から第3の安定した膨張状態へと、さらに半径方向に再膨張するようさらに構成され、前記第3の膨張状態の前記ステントフレームは、前記選択された血管を支持し続けるように構成され、また前記第2の断面より大きな第3の断面を有する前記内部チャネルを画定する、成長ステント。
【0141】
実施形態46
前記初期状態の前記ステントフレームは、8フレンチサイズ未満の埋入サイズを有する、実施形態45に記載の成長ステント。
【0142】
実施形態47
前記細長ステントフレームは、ステンレス鋼、コバルトクロム、ポリマー又はその組み合わせから作製される、実施形態45又は46に記載の成長ステント。
【0143】
実施形態48
前記中間フレームセルは、前記隣接するフレーム支柱により囲まれている、実施形態45~47のいずれか1項に記載の成長ステント。
【0144】
実施形態49
前記隣接するフレーム支柱のうちの選択された二組が交差して、前記中間フレームセルのうちの1つを画定し、複数の前記支柱接合部を形成する、実施形態45~48のいずれか1項に記載の成長ステント。
【0145】
実施形態50
前記隣接するフレーム支柱のうちの二組が交差して、前記中間フレームセルのうちの1つを画定し、複数の前記支柱接合部を形成する、実施形態45~49のいずれか1項に記載の成長ステント。
【0146】
実施形態51
前記第1の断面は8ミリメートル未満である、実施形態45~50のいずれか1項に記載の成長ステント。
【0147】
実施形態52
前記第2の断面は15ミリメートルである、実施形態45~51のいずれか1項に記載の成長ステント。
【0148】
実施形態53
前記第3の断面は18ミリメートル~24ミリメートル(端点を含む)である、実施形態45~52のいずれか1項に記載の成長ステント。
【符号の説明】
【0149】
100 成長ステント
110 細長ステントフレーム、ステント本体、成長ステントフレーム
112 本体壁
114 本体壁112の内面
120 内部チャネル
130 近位端部領域
140 遠位端部領域
150 小片
160 フレーム支柱幅
162 フレーム厚さ、支柱厚さ、チューブ厚さ
164 セル
166 セルの角度
168 支柱接合部幅、成長ステント接合部幅
170 接合部
172 中央凹部
174、176 弓状部材
178 中央チャネル
200 送達システム、カテーテル送達システム
210 送達カテーテル
220 端部
230 ノーズコーン
240 内側シャフト
250 外側シャフト
260 ステント膨張システム、バルーン
300 血管、内腔
310 埋入部位、標的位置
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9