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特開2023-169202正規化バイオマーカースコアからがん治療を特定するためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169202
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】正規化バイオマーカースコアからがん治療を特定するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/20 20180101AFI20231121BHJP
【FI】
G16H50/20
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023140795
(22)【出願日】2023-08-31
(62)【分割の表示】P 2021207221の分割
【原出願日】2018-06-12
(31)【優先権主張番号】62/518,787
(32)【優先日】2017-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/598,440
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519434813
【氏名又は名称】ボストンジーン コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】BostonGene Corporation
【住所又は居所原語表記】95 Sawyer Rd. Suite 500 Waltham, Massachusetts 02453 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・バガエフ
(72)【発明者】
【氏名】フェリクス・フレンケル
(72)【発明者】
【氏名】ラフシャン・アタウラカノフ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】対象(例えば、患者)のバイオマーカー等の対象(例えば、患者)特異的情報に基づく治療有効性の予測をする正規化バイオマーカースコアからがん治療を特定するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】方法は、配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの対象サブセットの各バイオマーカーの正規化スコアを決定して、対象の一組の正規化バイオマーカーを得る工程と、対象の一組の正規化バイオマーカースコアに基づいて、対象を、1つ又は複数のコホートのメンバーとして特定する工程と、を含む。1つ又は複数のコホートの各々は、少なくとも1つの候補療法の肯定的な転帰又は否定的な転帰と関連する。方法はさらに、対象がメンバーである1つ又は複数のコホートの表示を出力する工程を実施する工程を含む。
【選択図】図2E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーを使用して、
対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する配列決定データを得る工程;
少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、前記複数のバイオマーカーの各々は、少なくとも1つの候補療法と関連する、工程;
前記配列決定データ及び前記バイオマーカー情報を使用して、前記複数のバイオマーカーの少なくとも1つの対象サブセットの各バイオマーカーの正規化スコアを決定して、前記対象の一組の正規化バイオマーカーを得る工程;
前記対象の前記一組の正規化バイオマーカースコアに基づいて、前記対象を、1つ又は複数のコホートのメンバーとして特定する工程であって、前記1つ又は複数のコホートの各々は、前記少なくとも1つの候補療法の肯定的な転帰又は否定的な転帰と関連する、工程;並びに
前記対象がメンバーである1つ又は複数のコホートの表示を出力する工程
を実施する工程を含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの候補療法は、臨床治験に関連し、任意選択で前記臨床治験は進行中であるか、又は前記臨床治験は募集中である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記肯定的な転帰は、がんの1つ若しくは複数の側面又は1つ若しくは複数のがん症状の改善であり、
任意選択で、前記がんの1つ若しくは複数の側面又はがんの1つ若しくは複数の症状の改善は、前記対象の体内における腫瘍サイズの減少、腫瘍数の減少、がん性細胞の数又はパーセンテージの減少、及びがん増殖の遅延からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記否定的な転帰は、がん療法関連有害効果、がんの1つ若しくは複数の側面の悪化、又は1つ若しくは複数のがん症状の悪化である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記がん療法関連有害効果は、皮膚毒性、血小板減少、肝毒性、神経毒性、腎毒性、心毒性、出血性膀胱炎、免疫関連毒性、及び死亡からなる群から選択される、並びに/あるいは、
前記がんの1つ若しくは複数の側面又はがんの1つ若しくは複数の症状の悪化は、前記対象の体内における腫瘍サイズの増加、腫瘍数の増加、がん性細胞の数又はパーセンテージの増加、がん増殖の遅延がないこと、及び死亡からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記配列決定データは、DNA配列決定データ、RNA配列決定データ、又はプロテオーム配列決定データの1つ又は複数である、並びに/あるいは、
前記配列決定データは、以下の技法:全ゲノム配列決定(WGS)、全エクソーム配列決定(WES)、全トランスクリプトーム配列決定、mRNA配列決定、DNA/RNAハイブリダイゼーション、マイクロアレイ、DNA/RNAチップ、PCR、及び一塩基多型(SNP)遺伝子型決定の1つ又は複数を使用して得られる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記生物学的試料は、がん性細胞を有することが判明しているか又は有することが疑われる腫瘍又は組織に由来する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの生物学的試料の各々は、体液、細胞試料、液体生検、又は組織生検である、並びに/あるいは、
前記生物学的試料は、血液である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、前記少なくとも1つのプロセッサーを用いて、
グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を生成する工程であって、前記グラフィカルユーザインターフェース(GUI)は、
前記少なくとも1つ候補療法と関連する第1の部分であって、前記第1の部分は、第1の複数のGUI要素を含み、前記第1の複数のGUI要素の各々は、前記複数のバイオマーカーの対応するバイオマーカーと関連し、前記対応するバイオマーカーの差異スコアに基づいて決定される少なくとも1つの視覚的特徴を有する、第1の部分を含む、工程、及び
前記生成されたGUIを表示する工程であって、前記少なくとも1つの視覚的特徴は、GUI要素の色及び/又は前記GUI要素のサイズを含む、工程
を更に実施させる工程を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、前記少なくとも1つのプロセッサーを用いて、
前記GUIを介した前記少なくとも1つの候補療法の使用者選択の受領に応答して、前記第1の複数のGUI要素の少なくとも1つが関連する少なくとも1つのバイオマーカーに関する情報を、前記GUIを介して提示する工程
を更に実施させる工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のバイオマーカーの少なくとも1つの対象サブセットの各バイオマーカーの正規化スコアの決定が、対象サブセットのバイオマーカーの各々の値の対応する分布に基づいて、前記対象サブセットのバイオマーカーの各々の正規化スコアを決定する工程;又は、バイオマーカーの参照サブセットの各バイオマーカーの値の対応する分布に基づいて正規化スコアを決定する工程を含む方法であって、
任意選択で、前記バイオマーカーの参照サブセットが、1つ又は複数の参照対象由来のバイオマーカー情報を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
バイオマーカーが、Table 2(表2)から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
バイオマーカーの正規化スコアの決定は、
バイオマーカーの値の分布に基づいてバイオマーカーのZ-スコアを決定する工程、及び、
正規化バイオマーカーの値がZ-スコアに応じて-1から1までの範囲である、事前に定義された数学的関数を使用して、「高」又は「低」の正規化パラメーター値として、バイオマーカーの正規化スコアを決定する工程、
任意選択で、前記事前に定義された数学的関数が、
a):ユニットステップ関数(unit step function)
【数1】
及び、
b):平坦化ユニットステップ関数(Flattened unit step function)
【数2】
から選択され、
式中、a>1=ユニットステップ関数の傾きを規定するパラメーターであり、C+カットオフ=「高」バイオマーカー値を表す正規化閾値であり、C-カットオフ=「低」バイオマーカー値を表す正規化閾値である、
方法。
【請求項14】
プロセッサー実行可能な命令を格納する少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体であって、前記プロセッサー実行可能な命令は、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーにより実行されると、前記少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーに、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法を実施させる、プロセッサー実行可能な命令を格納する少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体。
【請求項15】
少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーと、
バイオマーカー情報を格納する少なくとも1つのデータベースと、
プロセッサー実行可能な命令を格納する少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体とを含むシステムであって、前記プロセッサー実行可能な命令は、前記少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーにより実行されると、前記少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーに、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法を実施させる、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2017年6月13日に出願された「Systems and Methods for Identifying Cancer Treatments from Sequence Data」という名称の米国仮特許出願第62/518,787号及び2017年12月13日に出願された「Systems and Methods Identifying Cancer Treatments from Sequence Data」という名称の米国仮特許出願第62/598,440号の出願日の米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張するものであり、これらの各々の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載の技術の態様は、対象(例えば、患者)のバイオマーカー等の対象(例えば、患者)特異的情報に基づく治療有効性の予測に関する。
【0003】
本明細書に記載の技術の一部の態様は、療法スコア(1つ又は複数の潜在的治療の)を決定すること、及び治療前及び治療後に療法スコアを決定することに関する。本明細書に記載の技術の一部の態様は、療法スコアを視覚化するためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を生成することに関する。
【0004】
本明細書に記載の技術の一部の態様は、効果スコア(治療の)を決定することに関する。本明細書に記載の技術の一部の態様は、効果スコアを視覚化するためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を生成することに関する。
【0005】
本明細書に記載の技術の一部の態様は、対象の正規化バイオマーカースコアを決定することに関する。本明細書に記載の技術の一部の態様は、正規化バイオマーカースコアを使用して、対象を、1つ又は複数のコホートのメンバーとして特定することに関する。本明細書に記載の技術の一部の態様は、そのような情報を出力することに関する(例えば、1人又は複数人の使用者に対して)。本明細書に記載の技術の一部の態様は、臨床治験への対象の包含又は除外可能性に関する。
【背景技術】
【0006】
がんを有する対象(例えば、患者)のために1つ又は複数の効果的療法を正しく選択すること、又は治療の効力を決定することは、その対象の生存及び全体的健康にとって重要であり得る。効果的療法の特定、及びそれらの効力の理解、又はそうでなければがんを有する患者の個別化医療の支援を進歩させることが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】PCT公開第WO00/53211号
【特許文献2】米国特許第5,981,568号
【特許文献3】PCT公開第WO90/07936号
【特許文献4】PCT公開第WO94/03622号
【特許文献5】PCT公開第WO93/25698号
【特許文献6】PCT公開第WO93/25234号
【特許文献7】PCT公開第WO93/11230号
【特許文献8】PCT公開第WO93/10218号
【特許文献9】PCT公開第WO91/02805号
【特許文献10】米国特許第5,219,740号
【特許文献11】米国特許第4,777,127号
【特許文献12】英国特許第2,200,651号
【特許文献13】欧州特許第0345242号
【特許文献14】PCT公開第WO94/12649号
【特許文献15】PCT公開第WO93/03769号
【特許文献16】PCT公開第WO93/19191号
【特許文献17】PCT公開第WO94/28938号
【特許文献18】PCT公開第WO95/11984号
【特許文献19】PCT公開第WO95/00655号
【特許文献20】米国特許第5,814,482号
【特許文献21】PCT公開第WO95/07994号
【特許文献22】PCT公開第WO96/17072号
【特許文献23】PCT公開第WO95/30763号
【特許文献24】PCT公開第WO97/423386号
【特許文献25】PCT公開第WO90/11092号
【特許文献26】米国特許第5,580,859号
【特許文献27】米国特許第5,422,120号
【特許文献28】PCT公開第WO95/13796号
【特許文献29】PCT公開第WO94/23697号
【特許文献30】PCT公開第WO91/14445号
【特許文献31】欧州特許第0524968号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】de Wildtら、Eur J Immunol. 1996年;26巻(3号):629~39頁
【非特許文献2】Findeisら、Trends Biotechnol.(1993)、11:202
【非特許文献3】Chiouら、「Gene Therapeutics: Methods And Applications Of Direct Gene Transfer」(J. A. Wolff編)(1994)
【非特許文献4】Wuら、J. Biol. Chem.(1988)、263:621
【非特許文献5】Wuら、J. Biol. Chem.(1994)、269:542
【非特許文献6】Zenkeら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA(1990)、87:3655
【非特許文献7】Wuら、J. Biol. Chem.(1991)、266:338
【非特許文献8】Jolly、Cancer Gene Therapy(1994)、1:51
【非特許文献9】Kimura、Human Gene Therapy(1994)、5:845
【非特許文献10】Connelly、Human Gene Therapy(1995)、1:185
【非特許文献11】Kaplitt、Nature Genetics(1994)、6:148
【非特許文献12】Curiel、Hum. Gene Ther.(1992)、3:147
【非特許文献13】Wu、J. Biol. Chem. (1989) 264:16985
【非特許文献14】Philip、Mol. Cell. Biol.(1994)、14:2411
【非特許文献15】Woffendin、Proc. Natl. Acad. Sci.(1994)、91:1581
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本明細書には、とりわけ、正規化バイオマーカースコアに基づいて複数の療法の療法スコアを決定するためのシステム及び方法が提供される。そのような情報は、一部の実施形態では、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)で使用者に出力される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
正規化バイオマーカースコアに基づいて複数の療法の療法スコアを決定するためのシステム及び方法は、一部の実施形態では、対象の配列データにアクセスする工程、複数の療法と関連するバイオマーカーの値の分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程、配列データ及びバイオマーカー情報を使用して対象の正規化バイオマーカースコアを決定する工程、及び正規化バイオマーカースコアに基づいて複数の療法の療法スコアを決定する工程を含む。
【0011】
本明細書には、とりわけ、第1及び第2の正規化バイオマーカースコアを使用して候補療法の効果スコアを決定するためのシステム及び方法が提供される。そのような情報は、一部の実施形態では、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)で使用者に出力される。
【0012】
第1及び第2の正規化バイオマーカースコアを使用して候補療法の効果スコアを決定するためのシステム及び方法は、一部の実施形態では、候補療法を投与する前に対象の第1の配列決定データを得る工程、候補療法を投与した後に対象の第2の配列決定データを得る工程、候補療法と関連するバイオマーカーの値の分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程、第1の配列決定データ、第2の配列決定データ、及びバイオマーカー情報を使用して対象の第1及び第2のバイオマーカースコアを決定する工程、並びに第1及び第2の正規化バイオマーカースコアを使用して候補療法の効果スコアを決定する工程を含む。
【0013】
本明細書には、とりわけ、少なくとも3つのバイオマーカーの正規化バイオマーカースコアに基づいて、少なくとも2つの選択された療法の療法スコアを決定するためのシステム及び方法が提供される。そのような情報は、一部の実施形態では、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)で使用者に出力される。
【0014】
少なくとも3つのバイオマーカーの正規化バイオマーカースコアに基づいて、少なくとも2つの選択された療法の療法スコアを決定するためのシステム及び方法は、一部の実施形態では、対象の配列決定データを得る工程、少なくとも2つ選択された療法と関連する少なくとも3つのバイオマーカーのバイオマーカー情報にアクセスする工程、配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、対象の第1及び第2の一組の正規化バイオマーカースコアを決定する工程、及び少なくとも3つのバイオマーカーの正規化バイオマーカースコアに基づいて、少なくとも2つ選択された療法の療法スコアを決定する工程を含む。
【0015】
本明細書には、とりわけ、第1及び第2の療法の第1及び第2の療法スコアを得るためのシステム及び方法が提供される。そのような情報は、一部の実施形態では、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)で使用者に出力される。
【0016】
第1及び第2の療法の第1及び第2の療法スコアを得るためのシステム及び方法は、一部の実施形態では、対象の配列データを得る工程、複数の療法と関連するバイオマーカーの値の分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程、配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、対象の第1及び第2の一組の正規化バイオマーカースコアを決定する工程、及び第1及び第2の療法の第1及び第2の療法スコアを得る工程を含む。
【0017】
本明細書には、とりわけ、正規化バイオマーカースコアを使用して、対象をコホートのメンバーとして特定するためのシステム及び方法が提供される。そのような情報は、一部の実施形態では、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)で使用者に出力される。
【0018】
正規化バイオマーカースコアを使用して、対象をコホートのメンバーとして特定するためのシステム及び方法は、一部の実施形態では、対象の配列決定データを得る工程、複数の療法と関連するバイオマーカーの値の分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程、配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、対象の正規化バイオマーカースコアを決定する工程、及び正規化バイオマーカースコアを使用して、対象をコホートのメンバーとして特定する工程を含む。
【0019】
一態様では、本明細書には、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーと、バイオマーカー情報を格納する少なくとも1つのデータベースと、プロセッサー実行可能な命令を格納する少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体とを含むシステムであって、プロセッサー実行可能な命令は、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーにより実行されると、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーに、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、複数のバイオマーカーの各々は、複数の療法の少なくとも1つの療法と関連する、工程;配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、複数のバイオマーカーの少なくとも対象サブセットの各バイオマーカーの正規化スコアを決定して、対象の一組の正規化バイオマーカースコアを得る工程であって、複数のバイオマーカーの対象サブセットは、複数のバイオマーカーの参照サブセットのサブセットである、工程;及び対象の一組の正規化バイオマーカースコアを使用して、複数の療法の療法スコアを決定する工程であって、療法スコアの各々は、複数の療法の対応する療法の投与に対する対象の予測応答を示す、工程を実施させる、システムが提供される。
【0020】
一態様では、本明細書には、プロセッサー実行可能な命令を格納する少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体であって、プロセッサー実行可能な命令は、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーにより実行されると、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーに、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、複数のバイオマーカーの各々は、複数の療法の少なくとも1つの療法と関連する、工程;配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、複数のバイオマーカーの少なくとも対象サブセットの各バイオマーカーの正規化スコアを決定して、対象の一組の正規化バイオマーカースコアを得る工程であって、複数のバイオマーカーの対象サブセットは、複数のバイオマーカーの参照サブセットのサブセットである、工程;及び対象の一組の正規化バイオマーカースコアを使用して、複数の療法の療法スコアを決定する工程であって、療法スコアの各々は、複数の療法の対応する療法の投与に対する対象の予測応答を示す、工程を実施させる少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体が提供される。
【0021】
一態様では、本明細書には、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーを使用して、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、複数のバイオマーカーの各々は、複数の療法の少なくとも1つの療法と関連する、工程;配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、複数のバイオマーカーの少なくとも対象サブセットの各バイオマーカーの正規化スコアを決定して、対象の一組の正規化バイオマーカースコアを得る工程であって、複数のバイオマーカーの対象サブセットは、複数のバイオマーカーの参照サブセットのサブセットである、工程;及び対象の一組の正規化バイオマーカースコアを使用して、複数の療法の療法スコアを決定する工程であって、療法スコアの各々は、複数の療法の対応する療法の投与に対する対象の予測応答を示す、工程を実施させる工程を含む方法が提供される。
【0022】
一態様では、本明細書には、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーと、バイオマーカー情報を格納する少なくとも1つのデータベースと、プロセッサー実行可能な命令を格納する少なくとも1つの非一時的なコンピュータ読取り可能な記憶媒体とを含むシステムであって、プロセッサー実行可能な命令は、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーにより実行されると、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーに、候補療法を投与する前に、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する第1の配列決定データを得る工程;候補療法を投与した後に、対象の少なくとも1つの他の生物学的試料に関する第2の配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程;第1及び第2の配列決定データ並びにバイオマーカー情報を使用して、対象の第1の一組の正規化バイオマーカースコア及び対象の第2の一組の正規化バイオマーカースコアを決定する工程;及び対象の第1及び第2の一組の正規化バイオマーカースコアを使用して、候補療法の効果スコアを決定する工程であって、効果スコアは、候補療法の投与に対する対象の応答を示す、工程を実施させる、システムが提供される。
【0023】
一態様では、本明細書には、プロセッサー実行可能な命令を格納する少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体であって、プロセッサー実行可能な命令は、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーにより実行されると、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーに、候補療法を投与する前に、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する第1の配列決定データを得る工程;候補療法を投与した後に、対象の少なくとも1つの他の生物学的試料に関する第2の配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程;第1及び第2の配列決定データ並びにバイオマーカー情報を使用して、対象の第1の一組の正規化バイオマーカースコア及び対象の第2の一組の正規化バイオマーカースコアを決定する工程;及び対象の第1の一組の及び第2の一組の正規化バイオマーカースコアを使用して、候補療法の効果スコアを決定する工程であって、効果スコアは、候補療法の投与に対する対象の応答を示す、工程を実施させる少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体が提供される。
【0024】
一態様では、本明細書には、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーを使用して、候補療法を投与する前に、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する第1の配列決定データを得る工程;候補療法を投与した後に、対象の少なくとも1つの他の生物学的試料に関する第2の配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程;第1及び第2の配列決定データ並びにバイオマーカー情報を使用して、対象の第1の一組の正規化バイオマーカースコア及び対象の第2の一組の正規化バイオマーカースコアを決定する工程;及び対象の第1の一組の及び第2の一組の正規化バイオマーカースコアを使用して、候補療法の効果スコアを決定する工程であって、効果スコアは、候補療法の投与に対する対象の応答を示す、工程を実施する工程を含む方法が提供される。
【0025】
一態様では、本明細書には、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーと、バイオマーカー情報を格納する少なくとも1つのデータベースと、プロセッサー実行可能な命令を格納する少なくとも1つの非一時的なコンピュータ読取り可能な記憶媒体とを含むシステムであって、プロセッサー実行可能な命令は、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーにより実行されると、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーに、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、複数のバイオマーカーの各々は、複数の療法の少なくとも1つの療法と関連する、工程;配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、複数の療法の第1の療法と関連する第1の一組のバイオマーカーの第1の一組の正規化スコア、及び複数の療法の第2の療法と関連する第2の一組のバイオマーカーの第2の一組の正規化スコアを決定する工程であって、第1の一組のバイオマーカーは、第2の一組のバイオマーカーとは異なる、工程;第1の一組の正規化スコアを入力として統計モデルに提供して、第1の療法の第1の療法スコアを得る工程;第2の一組の正規化スコアを入力として統計モデルに提供して、第2の療法の第2の療法スコアを得る工程;グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を生成する工程であって、GUIは、複数の療法の第1の療法と関連する第1の部分であって、第1の部分は、第1の複数のGUI要素を含み、第1の複数のGUI要素の各々は、複数のバイオマーカーの対応するバイオマーカーと関連し、第1の一組の正規化スコアの対応するバイオマーカーの正規化スコアに基づいて決定される少なくとも1つの視覚的特徴を有する、第1の部分、及び複数の療法の第2の療法と関連する第2の部分であって、第2の部分は、第1の複数のGUI要素とは異なる第2の複数のGUI要素を含み、第2の複数のGUI要素の各々は、複数のバイオマーカーの対応するバイオマーカーと関連し、第2の一組の正規化スコアの対応するバイオマーカーの正規化スコアに基づいて決定される少なくとも1つの視覚的特徴を有す
る、第2の部分を含む、工程;並びに生成されたGUIを表示する工程を実施させる、システムが提供される。
【0026】
一態様では、本明細書には、プロセッサー実行可能な命令を格納する少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体であって、プロセッサー実行可能な命令は、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーにより実行されると、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーに、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、複数のバイオマーカーの各々は、複数の療法の少なくとも1つの療法と関連する、工程;配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、複数の療法の第1の療法と関連する第1の一組のバイオマーカーの第1の一組の正規化スコア、及び複数の療法の第2の療法と関連する第2の一組のバイオマーカーの第2の一組の正規化スコアを決定する工程であって、第1の一組のバイオマーカーは、第2の一組のバイオマーカーとは異なる、工程;第1の一組の正規化スコアを入力として統計モデルに提供して、第1の療法の第1の療法スコアを得る工程;第2の一組の正規化スコアを入力として統計モデルに提供して、第2の療法の第2の療法スコアを得る工程;グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を生成する工程であって、GUIは、複数の療法の第1の療法と関連する第1の部分であって、第1の部分は、第1の複数のGUI要素を含み、第1の複数のGUI要素の各々は、複数のバイオマーカーの対応するバイオマーカーと関連し、第1の一組の正規化スコアの対応するバイオマーカーの正規化スコアに基づいて決定される少なくとも1つの視覚的特徴を有する、第1の部分、及び複数の療法の第2の療法と関連する第2の部分であって、第2の部分は、第1の複数のGUI要素とは異なる第2の複数のGUI要素を含み、第2の複数のGUI要素の各々は、複数のバイオマーカーの対応するバイオマーカーと関連し、第2の一組の正規化スコアの対応するバイオマーカーの正規化スコアに基づいて決定される少なくとも1つの視覚的特徴を有する、第2の部分を含む、工程;並びに生成されたGUIを表示する工程を実施させる少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体が
提供される。
【0027】
一態様では、本明細書には、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーを使用して、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、複数のバイオマーカーの各々は、複数の療法の少なくとも1つの療法と関連する、工程;配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、複数の療法の第1の療法と関連する第1の一組のバイオマーカーの第1の一組の正規化スコア、及び複数の療法の第2の療法と関連する第2の一組のバイオマーカーの第2の一組の正規化スコアを決定する工程であって、第1の一組のバイオマーカーは、第2の一組のバイオマーカーとは異なる、工程;第1の一組の正規化スコアを入力として統計モデルに提供して、第1の療法の第1の療法スコアを得る工程;第2の一組の正規化スコアを入力として統計モデルに提供して、第2の療法の第2の療法スコアを得る工程;グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を生成する工程であって、GUIは、複数の療法の第1の療法と関連する第1の部分であって、第1の部分は、第1の複数のGUI要素を含み、第1の複数のGUI要素の各々は、複数のバイオマーカーの対応するバイオマーカーと関連し、第1の一組の正規化スコアの対応するバイオマーカーの正規化スコアに基づいて決定される少なくとも1つの視覚的特徴を有する、第1の部分、及び複数の療法の第2の療法と関連する第2の部分であって、第2の部分は、第1の複数のGUI要素とは異なる第2の複数のGUI要素を含み、第2の複数のGUI要素の各々は、複数のバイオマーカーの対応するバイオマーカーと関連し、第2の一組の正規化スコアの対応するバイオマーカーの正規化スコアに基づいて決定される少なくとも1つの視覚的特徴を有する、第2の部分を含む、工程;並びに生成されたGUIを表示する工程を実施する工程を含む方法が提供される。
【0028】
一態様では、本明細書には、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーと、バイオマーカー情報を格納する少なくとも1つのデータベースと、プロセッサー実行可能な命令を格納する少なくとも1つの非一時的なコンピュータ読取り可能な記憶媒体とを含むシステムであって、プロセッサー実行可能な命令は、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーにより実行されると、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーに、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、複数のバイオマーカーの各々は、複数の療法の少なくとも1つの療法と関連する、工程;配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、複数の療法の第1の療法と関連する第1の一組のバイオマーカーの第1の一組の正規化バイオマーカースコア、及び複数の療法の第2の療法と関連する第2の一組のバイオマーカーの第2の一組の正規化バイオマーカースコアを決定する工程であって、第1の一組のバイオマーカーは、第2の一組のバイオマーカーとは異なる、工程;第1の一組の正規化バイオマーカースコアを入力として統計モデルに提供して、第1の療法の第1の療法スコアを得る工程;第2の一組の正規化バイオマーカースコアを入力として統計モデルに提供して、第2の療法の第2の療法スコアを得る工程を実施させ、複数の療法は、抗PD1療法、抗CTLA4療法、IL-2療法、IFNアルファ療法、抗がんワクチン療法、抗血管新生療法、及び抗CD20療法からなる群から選択される少なくとも2つの療法を含み、複数の療法の各々と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)の対応する療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む、システムが提供される。
【0029】
一態様では、本明細書には、プロセッサー実行可能な命令を格納する少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体であって、プロセッサー実行可能な命令は、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーにより実行されると、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーに、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、複数のバイオマーカーの各々は、複数の療法の少なくとも1つの療法と関連する、工程;配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、複数の療法の第1の療法と関連する第1の一組のバイオマーカーの第1の一組の正規化バイオマーカースコア、及び複数の療法の第2の療法と関連する第2の一組のバイオマーカーの第2の一組の正規化バイオマーカースコアを決定する工程であって、第1の一組のバイオマーカーは、第2の一組のバイオマーカーとは異なる、工程;第1の一組の正規化バイオマーカースコアを入力として統計モデルに提供して、第1の療法の第1の療法スコアを得る工程;第2の一組の正規化バイオマーカースコアを入力として統計モデルに提供して、第2の療法の第2の療法スコアを得る工程を実施させ、複数の療法は、抗PD1療法、抗CTLA4療法、IL-2療法、IFNアルファ療法、抗がんワクチン療法、抗血管新生療法、及び抗CD20療法からなる群から選択される少なくとも2つの療法を含み、複数の療法の各々と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)の対応する療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体が提供される。
【0030】
一態様では、本明細書には、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーを使用して、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、複数のバイオマーカーの各々は、複数の療法の少なくとも1つの療法と関連する、工程;配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、複数の療法の第1の療法と関連する第1の一組のバイオマーカーの第1の一組の正規化バイオマーカースコア、及び複数の療法の第2の療法と関連する第2の一組のバイオマーカーの第2の一組の正規化バイオマーカースコアを決定する工程であって、第1の一組のバイオマーカーは、第2の一組のバイオマーカーとは異なる、工程;第1の一組の正規化バイオマーカースコアを入力として統計モデルに提供して、第1の療法の第1の療法スコアを得る工程;第2の一組の正規化バイオマーカースコアを入力として統計モデルに提供して、第2の療法の第2の療法スコアを得る工程を実施する工程を含み、複数の療法は、抗PD1療法、抗CTLA4療法、IL-2療法、IFNアルファ療法、抗がんワクチン療法、抗血管新生療法、及び抗CD20療法からなる群から選択される少なくとも2つの療法を含み、複数の療法の各々と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)の対応する療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む方法が提供される。
【0031】
一態様では、本明細書には、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーと、バイオマーカー情報を格納する少なくとも1つのデータベースと、プロセッサー実行可能な命令を格納する少なくとも1つの非一時的なコンピュータ読取り可能な記憶媒体とを含むシステムであって、プロセッサー実行可能な命令は、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーにより実行されると、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーに、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、複数のバイオマーカーの各々は、少なくとも1つの候補療法と関連する、工程;配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、複数のバイオマーカーの少なくとも対象サブセットの各バイオマーカーの正規化スコアを決定して、対象の一組の正規化バイオマーカースコアを得る工程;対象の一組の正規化バイオマーカースコアに基づいて、対象を1つ又は複数のコホートのメンバーとして特定する工程であって、1つ又は複数のコホートの各々は、少なくとも1つの候補療法の肯定的な転帰又は否定的な転帰と関連する、工程;並びに対象がメンバーである1つ又は複数のコホートの表示を出力する工程を実施させる、システムが提供される。
【0032】
一態様では、本明細書には、プロセッサー実行可能な命令を格納する少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体であって、プロセッサー実行可能な命令は、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーにより実行されると、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーに、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、複数のバイオマーカーの各々は、少なくとも1つの候補療法と関連する、工程;配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、複数のバイオマーカーの少なくとも対象サブセットの各バイオマーカーの正規化スコアを決定して、対象の一組の正規化バイオマーカースコアを得る工程;対象の一組の正規化バイオマーカースコアに基づいて、対象を1つ又は複数のコホートのメンバーとして特定する工程であって、1つ又は複数のコホートの各々は、少なくとも1つの候補療法の肯定的な転帰又は否定的な転帰と関連する、工程;並びに対象がメンバーである1つ又は複数のコホートの表示を出力する工程を実施させる少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体が提供される。
【0033】
一態様では、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーを使用して、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、複数のバイオマーカーの各々は、少なくとも1つの候補療法と関連する、工程;配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、複数のバイオマーカーの少なくとも対象サブセットの各バイオマーカーの正規化スコアを決定して、対象の一組の正規化バイオマーカースコアを得る工程;対象の一組の正規化バイオマーカースコアに基づいて、対象を1つ又は複数のコホートのメンバーとして特定する工程であって、1つ又は複数のコホートの各々は、少なくとも1つの候補療法の肯定的な転帰又は否定的な転帰と関連する、工程;並びに対象がメンバーである1つ又は複数のコホートの表示を出力する工程を実施する工程を含む方法。
【0034】
種々の態様及び実施形態を、以下の図を参照して説明するものとする。図は、必ずしも縮尺通りに示されているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1A】本明細書に記載の技術の一部の実施形態による、患者データを得、そのデータを医師に提供するための例示的な方法のダイヤグラムである。
図1B】本明細書に記載の技術の一部の実施形態による、使用者に提示することができる患者データのブロックダイヤグラムである。
図1C】本明細書に記載の技術の一部の実施形態による、使用者に提示することができる患者データのグラフィカル表示である。
図2A】本明細書に記載の技術の一部の実施形態による、正規化バイオマーカースコアに基づき複数の療法の療法スコアを決定するための例示的な方法のフローチャートである。
図2B】本明細書に記載の技術の一部の実施形態による、第1の正規化バイオマーカースコア及び第2の正規化バイオマーカースコアを使用して、候補療法の効果スコアを決定するための例示的な方法のフローチャートである。
図2C】本明細書に記載の技術の一部の実施形態による、少なくとも3つのバイオマーカーの正規化バイオマーカースコアに基づき、その少なくとも2つの選択された療法の療法スコアを決定するための例示的な方法のフローチャートである。
図2D】本明細書に記載の技術の一部の実施形態による、第1及び第2の療法の第1及び第2の療法スコアを得るための例示的な方法のフローチャートである。
図2E】本明細書に記載の一部の実施形態による、正規化バイオマーカースコアを使用して、対象をコホートのメンバーとして特定するための例示的な方法のフローチャートである。
図3】本明細書に記載の技術の一部の実施形態により決定された、大規模患者コホートのバイオマーカー値分布のグラフィカル表示である。
図4】本明細書に記載の技術の一部の実施形態による、正及び負のバイオマーカーの合計として算出された、患者療法スコアのグラフィカル表示である。
図5】本明細書に記載の技術の一部の実施形態による、抗PD1療法(ペムブロリズマブ)に応答性(患者1)又は非応答性(患者2)であると決定された患者の複数の療法について算出された患者療法スコアのグラフィカル表示である。
図6A】本明細書に記載の技術の一部の実施形態による、異なる免疫療法について算出された正規化バイオマーカー値を提示するスクリーンショットである。
図6B】本明細書に記載の技術の一部の実施形態による、正規化バイオマーカー値を使用して算出された異なる免疫療法の患者療法スコアを提示するスクリーンショットである。
図6C】本明細書に記載の技術の一部の実施形態による、患者療法スコアを算出するための使用されたバイオマーカーに関する情報を提示するスクリーンショットである。
図7A】本明細書に記載の技術の一部の実施形態による、抗PD1療法(ペムブロリズマブ)により治療された患者について算出された療法スコアのグラフィカル表示である。進行性疾患(PD)を有する患者は、赤色で示されており、安定疾患(SD)を有する患者は水色で示されており、完全奏功(CR)を示す患者は青色で示されている。
図7B】本明細書に記載の技術の一部の実施形態による、抗CTLA4療法(イピリムマブ(Ipililumab))により治療された患者について算出された療法スコアのグラフィカル表示である。進行性疾患(PD)を有する患者は、暗色実線で示されており、安定疾患(SD)を有する患者は、薄灰色点線で示されており、部分応答(CR)を示す患者は暗灰色点線で示されている。
図7C】本明細書に記載の技術の一部の実施形態による、抗PD1療法(ペムブロリズマブ)により治療された患者について算出された療法スコアのグラフィカル表示である。進行性疾患(PD)を有する患者は、暗色実線で示されており、安定疾患(SD)を有する患者は、薄灰色点線で示されており、部分応答(CR)を示す患者は暗灰色点線で示されている。
図8A】本明細書に記載の技術の一部の実施形態による、バイオマーカー重要性の機械学習に基づく最適化において追加の加重最適化を行わずに算出された療法スコアグラフィカル表示である。進行性疾患(PD)を有する患者は、暗色実線で示されており、安定疾患(SD)を有する患者は、薄灰色点線で示されており、部分応答(CR)を示す患者は暗灰色点線で示されている。
図8B】本明細書に記載の技術の一部の実施形態による、機械適応加重(machine-adapted weight)で算出された療法スコアのグラフィカル表示である。進行性疾患(PD)を有する患者は、暗色実線で示されており、安定疾患(SD)を有する患者は、薄灰色点線で示されており、部分応答(CR)を示す患者は暗灰色点線で示されている。
図8C】本明細書に記載の技術の一部の実施形態による、フォレスト回帰アルゴリズムで算出された特徴重要性の点でのバイオマーカー重要性のグラフィカル表示である。
図8D】本明細書に記載の技術の一部の実施形態による、療法応答の予測を向上させるためにロジスティク回帰モデルで再算出されたバイオマーカー加重のグラフィカル表示である。
図9】ソフトウェアプログラムの使用者へと示され得る、異なるタイプの画面を例示するグラフである。
図10】患者の配列決定データ、患者、及び患者のがんに関する情報を含む、選択された患者の報告書を提示するスクリーンショットである。
図11】抗PD1免疫療法に関する情報を提示するスクリーンショットであって、画面の免疫療法バイオマーカー部分(左パネルにおいて示される)内の、抗PD1免疫療法(強調表示により示される)を選択することに応答して提供されるスクリーンショットである。
図12】使用者による、突然変異負荷バイオマーカーの選択を提示するスクリーンショットである。
図13】突然変異負荷バイオマーカー(中パネルにおいて示される)に関する情報(右パネルにおいて示される)を提示するスクリーンショットであって、突然変異負荷バイオマーカーを選択する使用者に応答して提供されるスクリーンショットである。
図14】病期IVの転移性黒色腫を有する患者における、抗PD1療法の有効性に関する臨床試験データ(右パネルにおいて示される)を提示するスクリーンショットであって、抗PD1免疫療法(左パネルにおいて示される)を選択する使用者に応答して提供されるスクリーンショットである。
図15】本明細書で記載される技術についての、一部の実施形態の実施に使用され得る、例示的なコンピュータシステムについてのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
現在、ある従来の療法選択法では、その有無が治療応答又は患者生存と相関する個々の患者又は腫瘍の単一パラメーター(又はバイオマーカー)に基づく療法選択が可能である。本発明者らは、このタイプの単一パラメーター方法論には幾つか問題があることを理解している。そのような従来の療法選択法の第1の問題は、潜在的な候補療法を評価する際のそれらの予測能力が弱いことである。特定の個々のバイオマーカーは、対象(例えば、患者)の1つのコホート(又は群)について候補療法の有効性を予測することができるものの、第2の又は更なるコホート(又は群)については候補療法の有効性を予測することができない場合がある。第2のバイオマーカーは、対象(患者)の第2の又は更なるコホート(群)について候補療法の有効性を予測することができるが、第1のコホート(又は群)については候補療法の有効性を予測することができない場合がある。したがって、異なる個々のバイオマーカーは、異なる行動指針を示唆する場合がある。その結果、候補治療の有効性を決定するために単一のバイオマーカーを使用することは、多くの患者にとって問題である。候補治療に対する応答性と最も高い相関性を有する単一バイオマーカーを選択したとしても、各患者の症例及び個人的な状態の全容を考慮に入れなければ、予測能力は依然として弱いだろう。
【0037】
従来の単一パラメーター方法論の別の問題は、バイオマーカーの値の不均質性である。様々な診療所及び臨床治験の測定にはばらつきがあるため、潜在的バイオマーカーは、異なる病院又は臨床設定の対象(例えば、患者)間では比較不能になる。1つの研究で確定されたバイオマーカー値は、異なる施設又は異なる装置で実施された同じ測定の結果と著しく異なる場合がある。バイオマーカーの相対的な意味は不変であり得るが、例えば、「高い」バイオマーカー値は、療法有効性の予測が不良であり、「低い」値は良好であるが、「高い」又は「低い」という定義の実験的なカットオフ値又は閾値は、研究によって著しく変わることが多い。
【0038】
本発明者らは、従来の単一バイオマーカー手法の上述の問題に取り組む(例えば、軽減又は回避する)、対象の治療有効性を予測するための技法を開発した。特に、本発明者らは、複数のバイオマーカー(例えば、特定の療法又は特定のタイプの療法に対して肯定的な療法応答又は非肯定的な療法応答と関連するバイオマーカー)を使用して、療法有効性を予測するための技法を開発した。本発明者らは、様々なバイオマーカーが、非常に異なる範囲の値を有し得ることを理解している。そのようなバイオマーカーを単一で共通の量的フレームワークで使用して療法有効性を予測するために、本発明者らは、バイオマーカーの値を、参照集団におけるばらつきに対して正規化し、それによりそれらを共通の尺度に適用するための技法を開発した。また、本発明者らは、一患者のバイオマーカースコアを他の患者のバイオマーカースコアと比較することにより、正規化バイオマーカースコアを算出することができることを認識した。更に、そのような正規化バイオマーカースコアを使用して、療法に対する患者の応答をより正確に予測することができる。本発明者らは、具体的には、本明細書に記載のような正規化バイオマーカーを同時分析するための技法を開発した。
【0039】
加えて、個別化ゲノム配列決定及びがんゲノム配列決定技術における近年の進歩により、個々の患者から得られる1つ又は複数の生物学的試料から、がん細胞(例えば、腫瘍細胞)及びがん微小環境に関する患者特異的な情報を得ることが可能になっている。この情報を使用して、各患者の多数のパラメーター(又はバイオマーカー)を決定し、潜在的には、この情報を使用して、対象(例えば、患者)のために有効な療法を特定する及び/又は1つ又は複数の有効な療法を選択することができる。また、この情報を使用して、対象(例えば、患者)が治療に対して経時的にどのように応答しているかを決定し、必要に応じて、対象(例えば、患者)のために1つ又は複数の新しい療法を選択することができる。また、この情報を使用して、対象(例えば、患者)が臨床治験の参加に含まれるべきか又は除外されるべきかを決定することができる。
【0040】
本明細書に記載のように正規化を使用して様々なタイプ及び分類のバイオマーカーをグローバルに比較することは、当技術分野において公知ではなかった。そのような正規化バイオマーカーを、それから算出された療法スコア又は効果スコアと一貫した量的な様式で統合することは、任意の単一のマーカーの使用により又はより複雑性の低い要素の組合せにより実現され得るものよりも、療法に対する患者の応答のより正確な予測(より大きな予測能力)を提供する。本明細書に記載のそのような幅広く多様なバイオマーカーに基づく方法、システム、及びグラフィカルユーザインターフェース(GUI)は、新たに利用可能になったものであり、こうした技法の要素を実施するための既述の技法又は方法は存在しなかった。更に、種々のタイプのバイオマーカーを単一の分析ツールに組み合わせるための技法は、こうしたバイオマーカーの由来が様々であり(つまり、異なる研究、病院、及び治療センター)、尺度が非常に異なっていたため、開発されていなかった。
【0041】
本発明者らは、本明細書に記載の要素の幾つかが、当分野における他者により提案される、十分に理解されているもの、日常作業、又は従来活性を超えるものを追加することを認識している。こうした有意義な非日常的工程は、本明細書に記載の方法、システム、及びGUIで実現される向上をもたらす。それらには、限定ではないが、以下:様々なバイオマーカータイプを共通の尺度に対して正規化すること;本明細書で提供されるバイオマーカータイプを組み合わせること;様々なバイオマーカータイプから療法スコアを決定すること;療法に対する患者の応答のより正確な予測を可能にし、患者の転帰の改善をもたらす分析における技術的向上;及び療法の選択を支援するための向上されたグラフィカルユーザインターフェースを生成することが挙げられる。
【0042】
したがって、本明細書に記載の技術の態様は、患者のバイオマーカー値等の患者特異的情報に基づいて、療法に対する患者の応答を予測するためのシステム及び方法に関する。一部の実施形態では、療法に対する患者応答の予測は、配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、正規化バイオマーカースコア(「正規化スコア」とも記載される)を決定することを含む。一部の実施形態では、療法に対する患者応答の予測は、正規化バイオマーカースコアに基づいて、複数の療法の療法スコアを決定することを含む。療法の療法スコアは、対象の治療における療法の予測有効性の量的測定値を提供することができる数値である。一部の実施形態では、療法に対する患者応答の決定は、正規化バイオマーカースコアに基づいて、効果スコアを決定することを含む。療法の効果スコアは、対象の治療における療法の現在の有効性(効果)の量的測定値を提供することができる数値である。
【0043】
そのような方法及びシステムは、例えば、治療の選択、臨床治験への参加に関する患者の適合性の評価、又は対象(例えば、患者)の治療経過の決定を含む臨床目的に有用であり得る。
【0044】
本明細書に記載の方法及びシステムは、例えば、療法により標的化される生物学的経路及び/若しくは生物学的プロセスを研究すること、並びにそのような研究に基づき新しいがん療法を開発すること等の研究目的を含む(非限定的な例として)非臨床応用にも有用であり得る。
【0045】
更に、そのような状態を有する患者の治療を容易にするために、この情報を包括的及び使用可能な形式で提示するシステムが必要とされるだろう。したがって、本明細書には、治療に対する患者の応答又はその欠如の予測をもたらす患者特異的情報を分析するためのシステム及び方法が提供される。
【0046】
そのような分析は、十分に通知された包括的な、療法に対する患者応答に関する予測を行うためのグローバルな観点の患者情報を考慮に入れる。本明細書に記載の分析は、一部の実施形態では、患者特的情報のグローバル分析である。本記載の方法のある特定の態様は、対象の少なくとも1つの生物学的試料の分析から生成される生物学的データを考慮に入れる。本記載の方法の他の態様は、患者が療法に応答するか否かに役割を果たし得る患者の全体的健康及び/又はライフスタイル(例えば、個人的習慣、環境要因)に関する患者特異的情報を考慮に入れる。
【0047】
一般的には、本明細書に記載の技法は、発現データ(例えば、RNA発現データ)を評価すること、及び1つ又は複数の療法(例えば、標的療法、放射線療法、及び/又は免疫療法)が対象の治療に有効となるか否かを決定すること等、医療データを分析するための従来のコンピュータ実装技法に対する向上を提供する。そのような向上としては、これらに限定されないが、従来の単一バイオマーカー治療と比べて、対象の候補治療の効力に関する予測能力の向上が挙げられる。加えて、本明細書で提供される技術の一部の実施形態は、腫瘍学的データを、コンパクトで高度に情報価値のある新しい様式で提示するグラフィカルユーザインターフェースに関する。こうしたグラフィカルユーザインターフェースは、それらを用いて作業する使用者(例えば、医師又は他の医療専門家)の認識負荷を低減するだけでなく、単一の対話型インターフェースに全ての必要情報を提供することにより、臨床医の誤謬を低減し、コンピュータの機能性を向上させる役目を果たすことができる。これにより、使用者(例えば、臨床医)が異なる情報源(例えば、複数の異なるウェブページを見ること、複数の異なるアプリケーションプログラムを使用すること等)を調べる必要性を排除することができる。そうした必要性は、さもなければ、そのような使用者(例えば、臨床医)により使用されるコンピュータの処理、メモリ、及び通信資源に追加の負担を課すことになるだろう。
【0048】
バイオマーカー
本記載の方法は、部分的には、付随する疾患情報と共に、対象(例えば、患者)の人体計測パラメーター、臨床パラメーター、腫瘍パラメーター、及び/又はがん性細胞微小環境パラメーター、並びに腫瘍及び/又はがん性細胞パラメーターに基づく。そのような分析には、患者の腫瘍生検の又は患者の他の組織に由来するトランスクリプトーム配列決定、エクソーム配列決定、及び/又はゲノム配列決定に由来するもの等の配列データが好適であるが、任意のタイプの配列データを使用することができる。これらに限定されないが、腫瘍及び/又はがん性細胞プロテオミクス分析;免疫組織化学染色;フローサイトメトリー;血液、尿、及び他の生体液の標準的臨床測定;1つ又は複数の腫瘍及び臓器の生検;X線、超音波、音波、又は磁気共鳴画像シンチレーション研究(magnetic resonance imaging scintillation studies)等を含む任意の方法により得られる画像等、他の患者パラメーター、がん性細胞パラメーター、又は腫瘍パラメーター、又は微小環境パラメーターに関する追加データも考慮することができる。こうした用語では、これらに限定されないが、病期、性別、年齢、腫瘍突然変異、がん性細胞突然変異、血液分析、生検のIHC等を含む、一患者を別の患者と区別する特徴は全て、患者パラメーターと呼ばれ、アルゴリズムに含まれていてもよい。対象(例えば、患者)、腫瘍のタイプ、又はがん性細胞のタイプのパラメーターは、学術雑誌に発表された群臨床治験で特定されている場合もあり、又は臨床的に認可されている分析、治療選択肢の指針(FDA、NIH、NCCN、CPIC等)、若しくは他所で積極的に使用されている場合もある。こうしたパラメーターは、バイオマーカーであり、それらの有無及び/又はレベルは、治療応答又は患者生存と統計的に有意に関連する場合がある(例えば、相関性は、ゼロから遠ざかる少なくとも閾値量であってもよい)。
【0049】
本明細書に記載のある技法は、見出されたバイオマーカーに関する任意の確かで入手可能な情報を使用して、患者の個々のバイオマーカーを同時に分析するように設計されており、任意の数の事前に確定されたバイオマーカーの組合せを使用することができる。この方法は、概して、患者並びに/又は患者のがん性組織及び/若しくは細胞に関する幾つかのパラメーターを考慮し、患者を、高PDL1発現又は低PDL1発現等の1つのバイオマーカー群には分類しない。本明細書に記載のある技法は、数十又は数百個のバイオマーカーの同時分析に基づくことができる。
【0050】
一部の実施形態では、本明細書に記載の技法は、TCGA、ICGC、Human Protein Atlas等の、多数の患者から得られた(例えば、大量の)データに基づいて、事前に確定されたバイオマーカーの「閾値」を生成し、バイオマーカーの各々の正規化スコアの生成を可能にするための様式を提供する。患者の正規化バイオマーカースコアの組合せを使用して、もう1つの確定された療法を分析して(療法スコアを生成して)、それらの個人的パラメーターに基づいて、各患者のための1つ又は複数の療法の選択を可能にする情報を提供することができる。
【0051】
バイオマーカーのタイプ
本開示の態様は、複数のバイオマーカーから、がん治療の有効性を予測するためのシステム及び方法に関する。本明細書で使用される場合、用語「バイオマーカー」は、対象における療法の効果又はその欠如を予測するために使用することができる生体分子(例えば、遺伝子又はタンパク質)、がん(例えば、腫瘍タイプ)又は対象(例えば、対象の年齢)の任意の情報(又は任意のパラメーター)を指す。したがって、「バイオマーカー情報」又は「バイオマーカー値」は、本明細書で使用される場合、バイオマーカーに関する任意の情報を指す。非限定的な例として、バイオマーカーが年齢である場合、バイオマーカー値(例えば、バイオマーカーに関する情報)は、32歳の患者の場合、32であってもよい。
【0052】
本明細書に記載のようなバイオマーカーは、少なくとも1つの療法及び/又は少なくとも1つのがんと関連していてもよい。本明細書で使用される場合、用語「~と関連する」は、バイオマーカーが、関連する療法及び/又は関連するがんに関係する及び/又は関与する(例えば、論文若しくは学術誌記事に記載されているもの等の1つ又は複数の研究で)と見出されていることを示す。バイオマーカーは、一部の実施形態では、療法及び/若しくはがんと直接的に関連していてもよく、又は療法及び/若しくはがんと間接的に関連していてもよい(例えば、バイオマーカーは、療法及び/又はがんに関する生物学的プロセスに直接的又は間接的に効果を及ぼすか又は調節することが見出されている)ことが理解されるべきである。非限定的な一組の例として、本明細書に記載の方法及びシステムと共に使用されるバイオマーカーは、表(例えば、Table 2(表2))に列挙されているものを含む、本明細書に列挙されているバイオマーカーの任意の群又はサブセットを含んでいてもよい。そのようなバイオマーカーの群又はサブセットは、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも600個、少なくとも700個、少なくとも800個、少なくとも900個、又は少なくとも1000個のバイオマーカーを含んでいてもよい。そのようなバイオマーカーの群又はサブセット、最大で3つ、最大で4つ、最大で5つ、最大で6つ、最大で7つ、最大で8つ、最大で9つ、最大で10個、最大で20個、最大で30個、最大で40個、最大で50個、最大で60個、最大で70個、最大で80個、最大で90個、最大で100個、最大で200個、最大で300個、最大で400個、最大で500個、最大で600個、最大で700個、最大で800個、最大で900個、又は最大で1000個のバイオマーカーを含んでいてもよい。
【0053】
本明細書に記載のようなバイオマーカーは、一部の実施形態では、複数の療法と関連していてもよい。一部の実施形態では、バイオマーカーは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、少なくとも100個の異なる療法と関連していてもよい。一部の実施形態では、バイオマーカーは、最大で2つ、最大で3つ、最大で4つ、最大で5つ、最大で6つ、最大で7つ、最大で8つ、最大で9つ、最大で10個、最大で20個、最大で30個、最大で40個、最大で50個、最大で60個、最大で70個、最大で80個、最大で90個、又は最大で100個の異なる療法と関連していてもよい。
【0054】
本明細書に記載のようなバイオマーカーは、一部の実施形態では、複数のがんと関連していてもよい。一部の実施形態では、バイオマーカーは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、又は少なくとも100個の異なるがんと関連していてもよい。一部の実施形態では、バイオマーカーは、最大で2つ、最大で3つ、最大で4つ、最大で5つ、最大で6つ、最大で7つ、最大で8つ、最大で9つ、最大で10個、最大で20個、最大で30個、最大で40個、最大で50個、最大で60個、最大で70個、最大で80個、最大で90個、又は最大で100個の異なるがんと関連していてもよい。
【0055】
本明細書で提供されるようなバイオマーカーは、任意の生体分子と関連していてもよい。生体分子の実施例としては、これらに限定されないが、増殖因子、ホルモン、ステロイド、サッカライド、脂質、ヘテロ環式化合物、元素化合物(例えば、鉄)、代謝物質、ビタミン、神経伝達物質、及び脂肪酸が挙げられる。そのようなバイオマーカーは、それらが関連する生体分子で呼ばれる場合がある。例えば、サッカライドと関連するバイオマーカーはサッカライドバイオマーカーと呼ばれる場合があり、脂質と関連するバイオマーカーは脂質バイオマーカーと呼ばれる場合があり、ヘテロ環式化合物と関連するバイオマーカーは、ヘテロ環式バイオマーカーと呼ばれる場合があり、元素化合物と関連するバイオマーカーは、元素化合物バイオマーカーと呼ばれる場合がある。
【0056】
「遺伝子バイオマーカー」は、本明細書で使用される場合、遺伝子又はその任意の産物(例えば、RNA、タンパク質)と関連するバイオマーカーである。遺伝子バイオマーカーの例としては、これらに限定されないが、遺伝子発現レベル(例えば、発現レベルの増加又は発現レベルの減少)、遺伝子突然変異、遺伝子挿入、遺伝子欠失、遺伝子融合、一塩基多型(SNP)、及び遺伝子コピー数多型(CNV)が挙げられる。
【0057】
本明細書に記載のような遺伝子バイオマーカーは、いかなる遺伝子に関連していてもよい。一部の実施形態では、遺伝子は、関連機能及び/又は他の特性によりグループ化される。遺伝子群の例としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:線維芽細胞群、血管新生群、腫瘍特性群、抗腫瘍免疫微小環境群、腫瘍促進性免疫微小環境群、がん関連線維芽細胞群、増殖速度群、PI3K/AKT/mTORシグナル伝達群、RAS/RAF/MEKシグナル伝達群、受容体チロシンキナーゼ発現群、腫瘍抑制因子群、転移シグネチャー群、抗転移因子群、突然変異ステータス群、抗原提示群、細胞傷害性T及びNK細胞群、B細胞群、抗腫瘍微小環境群、チェックポイント阻害群、Treg群、MDSC群、顆粒球群、腫瘍促進性免疫群、受容体チロシンキナーゼ発現群、増殖因子群、腫瘍抑制因子群、転移シグネチャー群、抗転移因子群、突然変異ステータス群、MHCI群、MHCII群、同時活性化分子群、エフェクター細胞群、NK細胞群、T細胞輸送群、T細胞群、M1シグネチャー群、Th1シグネチャー群、抗腫瘍サイトカイン群、チェックポイント阻害群、M2シグネチャー群、Th2シグネチャー群、腫瘍促進サイトカイン群、及び補体阻害群。
【0058】
一部の実施形態では、遺伝子バイオマーカーは、以下の群の1つ又は複数からの幾つかの(例えば、少なくとも3つの)遺伝子に関連していてもよい:線維芽細胞群:LGALS1、COL1A1、COL1A2、COL4A1、COL5A1、TGFB1、TGFB2、TGFB3、ACTA2、FGF2、FAP、LRP1、CD248、COL6A1、COL6A2、及びCOL6A3;血管新生群:VEGFA、VEGFB、VEGFC、PDGFC、CXCL8、CXCR2、FLT1、PIGF、CXCL5、KDR、ANGPT1、ANGPT2、TEK、VWF、CDH5、NOS3、KDR、VCAM1、MMRN1、LDHA、HIF1A、EPAS1、CA9、SPP1、LOX、SLC2A1、及びLAMP3;腫瘍特性群:MKI67、ESCO2、CETN3、CDK2、CCND1、CCNE1、AURKA、AURKB、CDK4、CDK6、PRC1、E2F1、MYBL2、BUB1、PLK1、CCNB1、MCM2、MCM6、PIK3CA、PIK3CB、PIK3CG、PIK3CD、AKT1、MTOR、PTEN、PRKCA、AKT2、AKT3、BRAF、FNTA、FNTB、MAP2K1、MAP2K2、MKNK1、MKNK2、ALK、AXL、KIT、EGFR、ERBB2、FLT3、MET、NTRK1、FGFR1、FGFR2、FGFR3、ERBB4、ERBB3、BCR-ABL、PDGFRA、PDGFRB、NGF、CSF3、CSF2、FGF7、IGF1、IGF2、IL7、FGF2、TP53、SIK1、PTEN、DCN、MTAP、AIM2、RB1、ESRP1、CTSL、HOXA1、SMARCA4、SNAI2、TWIST1、NEDD9、PAPPA、HPSE、KISS1、ADGRG1、BRMS1、TCF21、CDH1、PCDH10、NCAM1、MITF、APC、ARID1A、ATM、ATRX、BAP1、BRAF、BRCA2、CDH1、CDKN2A、CTCF、CTNNB1、DNMT3A、EGFR、FBXW7、FLT3、GATA3、HRAS、IDH1、KRAS、MAP3K1、MTOR、NAV3、NCOR1、NF1、NOTCH1、NPM1、NRAS、PBRM1、PIK3CA、PIK3R1、PTEN、RB1、RUNX1、SETD2、STAG2、TAF1、TP53、及びVHL;抗腫瘍免疫微小環境群:HLA-A、HLA-B、HLA-C、B2M、TAP1、TAP2、HLA-DRA、HLA-DRB1、HLA-DOB、HLA-DPB2、HLA-DMA、HLA-DOA、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DMB、HLA-DQB1、HLA-DQA1、HLA-DRB5、HLA-DQA2、HLA-DQB2、HLA-DRB6、CD80、CD86、CD40、CD83、TNFRSF4、ICOSLG、CD28、IFNG、GZMA、GZMB、PRF1、LCK、GZMK、ZAP70、GNLY、FASLG、TBX21、EOMES、CD8A、CD8B、NKG7、CD160、CD244、NCR1、KLRC2、KLRK1、CD226、GZMH、GNLY、IFNG、KIR2DL4、KIR2DS1、KIR2DS2、KIR2DS3、KIR2DS4、KIR2DS5、CXCL9、CXCL10、CXCR3、CX3CL1、CCR7、CXCL11、CCL21、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、EOMES、TBX21、ITK、CD3D、CD3E、CD3G、TRAC、TRBC1、TRBC2、LCK、UBASH3A、TRAT1、CD19、MS4A1、TNFRSF13C、CD27、CD24、CR2、TNFRSF17、TNFRSF13B、CD22、CD79A、CD79B、BLK、NOS2、IL12A、IL12B、IL23A、TNF、IL1B、SOCS3、IFNG、IL2、CD40LG、IL15、CD27、TBX21、LTA、IL21、HMGB1、TNF、IFNB1、IFNA2、CCL3、TNFSF10、及びFASLG;腫瘍促進性免疫微小環境群:PDCD1、CD274、CTLA4、LAG3、PDCD1LG2、BTLA、HAVCR2、VSIR、CXCL12、TGFB1、TGFB2、TGFB3、FOXP3、CTLA4、IL10、TNFRSF1B、CCL17、CXCR4、CCR4、CCL22、CCL1、CCL2、CCL5、CXCL13、CCL28、IDO1、ARG1、IL4R、IL10、TGFB1、TGFB2、TGFB3、NOS2、CYBB、CXCR4、CD33、CXCL1、CXCL5、CCL2、CCL4、CCL8、CCR2、CCL3、CCL5、CSF1、CXCL8、CXCL8、CXCL2、CXCL1、CCL11、CCL24、KITLG、CCL5、CXCL5、CCR3、CCL26、PRG2、EPX、RNASE2、RNASE3、IL5RA、GATA1、SIGLEC8、PRG3、CMA1、TPSAB1、MS4A2、CPA3、IL4、IL5、IL13、SIGLEC8、MPO、ELANE、PRTN3、CTSG、IL10、VEGFA、TGFB1、IDO1、PTGES、MRC1、CSF1、LRP1、ARG1、PTGS1、MSR1、CD163、CSF1R、IL4、IL5、IL13、IL10、IL25、GATA3、IL10、TGFB1、TGFB2、TGFB3、IL22、MIF、CFD、CFI、CD55、CD46、及びCR1;がん関連線維芽細胞群:LGALS1、COL1A1、COL1A2、COL4A1、COL5A1、TGFB1、TGFB2、TGFB3、ACTA2、FGF2、FAP、LRP1、CD248、COL6A1、COL6A2、及びCOL6A3;血管新生群:VEGFA、VEGFB、VEGFC、PDGFC、CXCL8、CXCR2、FLT1、PIGF、CXCL5、KDR、ANGPT1、ANGPT2、TEK、VWF、CDH5、NOS3、KDR、VCAM1、MMRN1、LDHA、HIF1A、EPAS1、CA9、SPP1、LOX、SLC2A1、及びLAMP3;増殖速度群:MKI67、ESCO2、CETN3、CDK2、CCND1、CCNE1、AURKA、AURKB、CDK4、CDK6、PRC1、E2F1、MYBL2、BUB1、PLK1、CCNB1、MCM2、及びMCM6;PI3K/AKT/mTORシグナル伝達群:PIK3CA、PIK3CB、PIK3CG、PIK3CD、AKT1、MTOR、PTEN、PRKCA、AKT2、及びAKT3;RAS/RAF/MEKシグナル伝達群:BRAF、FNTA、FNTB、MAP2K1、MAP2K2、MKNK1、及びMKNK2;受容体チロシンキナーゼ発現群:ALK、AXL、KIT、EGFR、ERBB2、FLT3、MET、NTRK1、FGFR1、FGFR2、FGFR3、ERBB4、ERBB3、BCR-ABL、PDGFRA、及びPDGFRB;腫瘍抑制因子群:TP53、SIK1、PTEN、DCN、MTAP、AIM2、及びRB1;転移シグネチャー群:ESRP1、CTSL、HOXA1、SMARCA4、SNAI2、TWIST1、NEDD9、PAPPA、及びHPSE;抗転移因子群:KISS1、ADGRG1、BRMS1、TCF21、CDH1、PCDH10、NCAM1、及びMITF;突然変異ステータス群:APC、ARID1A、ATM、ATRX、BAP1、BRAF、BRCA2、CDH1、CDKN2A、CTCF、CTNNB1、DNMT3A、EGFR、FBXW7、FLT3、GATA3、HRAS、IDH1、KRAS、MAP3K1、MTOR、NAV3、NCOR1、NF1、NOTCH1、NPM1、NRAS、PBRM1、PIK3CA、PIK3R1、PTEN、RB1、RUNX1、SETD2、STAG2、TAF1、TP53、及びVHL;抗原提示群:HLA-A、HLA-B、HLA-C、B2M、TAP1、TAP2、HLA-DRA、HLA-DRB1、HLA-DOB、HLA-DPB2、HLA-DMA、HLA-DOA、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DMB、HLA-DQB1、HLA-DQA1、HLA-DRB5、HLA-DQA2、HLA-DQB2、HLA-DRB6、CD80、CD86、CD40、CD83、TNFRSF4、ICOSLG、及びCD28;細胞傷害性T及びNK細胞群:IFNG、GZMA、GZMB、PRF1、LCK、GZMK、ZAP70、GNLY、FASLG、TBX21、EOMES、CD8A、CD8B、NKG7、CD160、CD244、NCR1、KLRC2、KLRK1、CD226、GZMH、GNLY、IFNG、KIR2DL4、KIR2DS1、KIR2DS2、KIR2DS3、KIR2DS4、KIR2DS5、CXCL9、CXCL10、CXCR3、CX3CL1、CCR7、CXCL11、CCL21、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、EOMES、TBX21、ITK、CD3D、CD3E、CD3G、TRAC、TRBC1、TRBC2、LCK、UBASH3A、及びTRAT1;B細胞群:CD19、MS4A1、TNFRSF13C、CD27、CD24、CR2、TNFRSF17、TNFRSF13B、CD22、CD79A、CD79B、及びBLK;抗腫瘍微小環境群:NOS2、IL12A、IL12B、IL23A、TNF、IL1B、SOCS3、IFNG、IL2、CD40LG、IL15、CD27、TBX21、LTA、IL21、HMGB1、TNF、IFNB1、IFNA2、CCL3、TNFSF10、及びFASLG;チェックポイント阻害群:PDCD1、CD274、CTLA4、LAG3、PDCD1LG2、BTLA、HAVCR2、及びVSIR;Treg群:CXCL12、TGFB1、TGFB2、TGFB3、FOXP3、CTLA4、IL10、TNFRSF1B、CCL17、CXCR4、CCR4、CCL22、CCL1、CCL2、CCL5、CXCL13、及びCCL28;MDSC群:IDO1、ARG1、IL4R、IL10、TGFB1、TGFB2、TGFB3、NOS2、CYBB、CXCR4、CD33、CXCL1、CXCL5、CCL2、CCL4、CCL8、CCR2、CCL3、CCL5、CSF1、及びCXCL8;顆粒球群:CXCL8、CXCL2、CXCL1、CCL11、CCL24、KITLG、CCL5、CXCL5、CCR3、CCL26、PRG2、EPX、RNASE2、RNASE3、IL5RA、GATA1、SIGLEC8、PRG3、CMA1、TPSAB1、MS4A2、CPA3、IL4、IL5、IL13、SIGLEC8、MPO、ELANE、PRTN3、及びCTSG;腫瘍促進性免疫群:IL10、VEGFA、TGFB1、IDO1、PTGES、MRC1、CSF1、LRP1、ARG1、PTGS1、MSR1、CD163、CSF1R、IL4、IL5、IL13、IL10、IL25、GATA3、IL10、TGFB1、TGFB2、TGFB3、IL22、MIF、CFD、CFI、CD55、CD46、及びCR1;受容体チロシンキナーゼ発現群:ALK、AXL、KIT、EGFR、ERBB2、FLT3、MET、NTRK1、FGFR1、FGFR2、FGFR3、ERBB4、ERBB3、BCR-ABL、PDGFRA、及びPDGFRB;増殖因子群:NGF、CSF3、CSF2、FGF7、IGF1、IGF2、IL7、及びFGF2;腫瘍抑制因子群:TP53、SIK1、PTEN、DCN、MTAP、AIM2、及びRB1;転移シグネチャー群:ESRP1、CTSL、HOXA1、SMARCA4、SNAI2、TWIST1、NEDD9、PAPPA、及びHPSE;抗転移因子群:KISS1、ADGRG1、BRMS1、TCF21、CDH1、PCDH10、NCAM1、及びMITF;突然変異ステータス群:APC、ARID1A、ATM、ATRX、BAP1、BRAF、BRCA2、CDH1、CDKN2A、CTCF、CTNNB1、DNMT3A、EGFR、FBXW7、FLT3、GATA3、HRAS、IDH1、KRAS、MAP3K1、MTOR、NAV3、NCOR1、NF1、NOTCH1、NPM1、NRAS、PBRM1、PIK3CA、PIK3R1、PTEN、RB1、RUNX1、SETD2、STAG2、TAF1、TP53、及びVHL;MHCI群:HLA-A、HLA-B、HLA-C、B2M、TAP1、及びTAP2;MHCII群:HLA-DRA、HLA-DRB1、HLA-DOB、HLA-DPB2、HLA-DMA、HLA-DOA、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DMB、HLA-DQB1、HLA-DQA1、HLA-DRB5、HLA-DQA2、HLA-DQB2、及びHLA-DRB6;同時活性化分子群:CD80、CD86、CD40、CD83、TNFRSF4、ICOSLG、及びCD28;エフェクター細胞群:IFNG、GZMA、GZMB、PRF1、LCK、GZMK、ZAP70、GNLY、FASLG、TBX21、EOMES、CD8A、及びCD8B;NK細胞群:NKG7、CD160、CD244、NCR1、KLRC2、KLRK1、CD226、GZMH、GNLY、IFNG、KIR2DL4、KIR2DS1、KIR2DS2、KIR2DS3、KIR2DS4、及びKIR2DS5;T細胞輸送群:CXCL9、CXCL10、CXCR3、CX3CL1、CCR7、CXCL11、CCL21、CCL2、CCL3、CCL4、及びCCL5;T細胞群:EOMES、TBX21、ITK、CD3D、CD3E、CD3G、TRAC、TRBC1、TRBC2、LCK、UBASH3A、及びTRAT1;M1シグネチャー群:NOS2、IL12A、IL12B、IL23A、TNF、IL1B、及びSOCS3;Th1シグネチャー群:IFNG、IL2、CD40LG、IL15、CD27、TBX21、LTA、及びIL21;抗腫瘍サイトカイン群:HMGB1、TNF、IFNB1、IFNA2、CCL3、TNFSF10、及びFASLG;M2シグネチャー群:IL10、VEGFA、TGFB1、IDO1、PTGES、MRC1、CSF1、LRP1、ARG1、PTGS1、MSR1、CD163、及びCSF1R;Th2シグネチャー群:IL4、IL5、IL13、IL10、IL25、及びGATA3;腫瘍促進サイトカイン群:IL10、TGFB1、TGFB2、TGFB3、IL22、及びMIF;並びに補体阻害群:CFD、CFI、CD55、CD46、及びCR1。
【0059】
「タンパク質バイオマーカー」は、本明細書で使用される場合、タンパク質と関連するバイオマーカーである。タンパク質バイオマーカーの例としては、これらに限定されないが、タンパク質発現レベル(例えば、発現レベルの増加又は発現レベルの減少)、タンパク質活性レベル(例えば、活性レベルの増加又は活性レベルの減少)、タンパク質突然変異、及びタンパク質短縮が挙げられる。
【0060】
本明細書に記載のようなタンパク質バイオマーカーは、いかなるタンパク質に関連していてもよい。タンパク質バイオマーカーに関するタンパク質の例としては、これらに限定されないが、以下:インターフェロン、細胞毒性タンパク質、酵素、細胞接着タンパク質、細胞外マトリックスタンパク質、転写因子タンパク質、細胞内シグナル伝達タンパク質、サイトカイン、ケモカイン、ケモカイン受容体、及びインターロイキンが挙げられる。そのようなバイオマーカーは、それらが関する生体分子で呼ばれる場合があり、例えば、インターフェロンバイオマーカー、細胞傷害性タンパク質バイオマーカー、酵素バイオマーカー、細胞接着タンパク質バイオマーカー、細胞外マトリックスタンパク質バイオマーカー、転写因子タンパク質バイオマーカー、細胞内シグナル伝達タンパク質バイオマーカー、サイトカインバイオマーカー、ケモカインバイオマーカー、ケモカイン受容体バイオマーカー、及びインターロイキンバイオマーカーと呼ばれる場合がある。そのようなタンパク質バイオマーカーは、例えば、本明細書で列挙又は引用されている遺伝子のいずれの産物をも含み得る。
【0061】
「細胞バイオマーカー」は、本明細書で使用される場合、細胞と関連するバイオマーカーである。細胞バイオマーカーの例としては、これらに限定されないが、1つ又は複数の細胞のタイプの数、1つ又は複数のタイプの細胞のパーセンテージ、1つ又は複数の細胞の位置、及び1つ又は複数の細胞の構造又は形態が挙げられる。
【0062】
本明細書に記載のような細胞バイオマーカーは、いずれの細胞に関連していてもよい。細胞の例としては、これらに限定されないが、悪性がん細胞、白血球、リンパ球、間質細胞、血管内皮細胞、血管周皮細胞、及び骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)が挙げられる。
【0063】
「発現バイオマーカー」は、本明細書で使用される場合、遺伝子又はその産物(例えば、RNA、タンパク質)の発現と関連するバイオマーカーである。発現バイオマーカーの例としては、これらに限定されないが、遺伝子又はその産物の発現レベルの増加、遺伝子又はその産物の発現レベルの減少、短縮遺伝子又はその産物の発現、及び突然変異遺伝子又はその産物の発現が挙げられる。
【0064】
対象から得られた試料中のバイオマーカーの発現レベルを参照(又は対照)と比較することにより、対象が、参照(又は対照)と比較して発現レベルの変更(例えば、増加又は減少)を示すか否かを決定することができる。例えば、対象に由来する試料中のバイオマーカーのレベルが、参照値から逸脱(例えば、増加又は減少)する場合(例えば、参照値から1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、300%、400%、500%、又はそれよりも大きく)、そのバイオマーカーは、発現バイオマーカーであると特定することができる。
【0065】
「画像バイオマーカー」は、本明細書で使用される場合、画像データと関連するバイオマーカーである。画像バイオマーカーの例としては、これらに限定されないが、画像データから得られる発現レベル、画像データから得られる1つ又は複数の細胞のタイプの数、並びに画像データ得られるがんの位置及び/又は進行が挙げられる。
【0066】
本明細書に記載のような画像バイオマーカーは、いかなる画像データと関連していてもよい。画像データの例としては、これらに限定されないが、組織学的画像データ、免疫組織学的画像データ、磁気共鳴画像(MRI)データ、超音波データ、及びX線データが挙げられる。
【0067】
「疾患状態バイオマーカー」は、本明細書で使用される場合、疾患(例えば、がん)の状態と関連するバイオマーカーである。疾患状態バイオマーカーの例としては、これらに限定されないが、転移ステータス(例えば、転移の有無)、寛解ステータス(例えば、以前の寛解の数、現在の寛解)、疾患進行(例えば、低、中程度、高度疾患進行)、及びがんステージ(例えば、ステージ1、ステージ2、ステージ3、又はステージ4)が挙げられる。
【0068】
バイオマーカーは、本明細書で使用される場合、その患者の療法に対する応答を予測するために使用することができるあらゆる患者特異的情報を包含する。例えば、患者の個人的習慣(例えば、喫煙)をバイオマーカーとして使用して、患者が療法に対して応答者であるか又は不応答者であるかを予測することができる。
【0069】
「個人的習慣バイオマーカー」は、本明細書で使用される場合、対象の個人的習慣と関連するバイオマーカーである。個人的習慣バイオマーカーの例としては、これらに限定されないが、喫煙(例えば、喫煙者又は非喫煙者としてのステータス)、運動の頻度、飲酒(例えば、低、中程度、高度の飲酒)、及び薬物使用(例えば、低、中程度、高度な薬物使用)が挙げられる。
【0070】
別の例では、患者が経験する文化的又は環境要因が、患者が療法に対して応答するか否かに役割を果たす場合がある。そのような要因を、本明細書に記載のシステム及び方法で使用して、療法に対する患者の応答を予測する。
【0071】
「人類学的バイオマーカー(anthropological biomarker)」は、本明細書で使用される場合、対象の文化及び/又は環境と関連するバイオマーカーである。人類学的バイオマーカーの例としては、これらに限定されないが、ストレス(例えば、低、中、高ストレスレベル)、経済ステータス(例えば、低、中、高経済ステータス)、メンタルヘルス(例えば、うつ又は不安)、及び関係性ステータス(例えば、既婚、独身、離婚、又は寡婦/寡夫(widowed))が挙げられる。
【0072】
バイオマーカー値から正規化バイオマーカースコアへ
本開示の態様は、バイオマーカースコアを共通の尺度に正規化し、それにより異なる細胞集団にわたって及び/又は異なる対象中でバイオマーカースコアの比較を可能にするシステム及び方法を提供する。
【0073】
正規化バイオマーカースコアは、本明細書に記載のように、任意の数のバイオマーカーについて決定することができる。本明細書で使用される場合、用語「正規化バイオマーカースコア」は、本明細書に記載の技法により共通の尺度に調整された(例えば、正規化された)バイオマーカー値を指す。
【0074】
一部の実施形態では、バイオマーカーの参照サブセット中の各バイオマーカーの値の対応する分布に基づいてバイオマーカー値を正規化して、正規化バイオマーカースコアを生成する。一部の実施形態では、バイオマーカーの参照サブセットは、任意の数の参照対象からのバイオマーカー情報を含む。一実施形態では、「参照サブセット」は、1つ又は複数の参照対象に由来するバイオマーカーのサブセットであり、それらの値を、対象のバイオマーカーの正規化に使用することができる。
【0075】
非限定的な例として、一群の対象について最大で4,000個のバイオマーカーのデータが利用可能であり得る。この4,000個のバイオマーカーの群中、1,000個のバイオマーカーが、特定の療法と関連している場合がある(したがって、1,000個のバイオマーカーの参照サブセットが生成される)。本明細書に記載の方法及びシステムを使用して分析されている特定の対象について、こうしたバイオマーカーのうち723個の値が利用可能である(したがって、723個のバイオマーカーの対象サブセットが生成される)場合、723個のバイオマーカーの各々の正規化バイオマーカースコアを、各特定のバイオマーカーの値の分布を使用して算出することができる。別の非限定的な例として、この4,000個のバイオマーカーの群中、10個のバイオマーカーが、特定の療法と関連している場合がある(したがって、10個のバイオマーカーの参照サブセットが生成される)。本明細書に記載の方法及びシステムを使用して分析されている特定の対象について、こうしたバイオマーカーのうち7個の値が利用可能である(したがって、7個のバイオマーカーの対象サブセットが生成される)場合、7個のバイオマーカーの各々の正規化バイオマーカースコアを、各特定のバイオマーカーの値の分布を使用して算出することができる。
【0076】
一部の実施形態では、バイオマーカーの参照サブセットは、任意の数の対象からのバイオマーカー情報を含む。一部の実施形態では、バイオマーカーの参照サブセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも55個、少なくとも60個、少なくとも65個、少なくとも70個、少なくとも75個、少なくとも80個、少なくとも85個、少なくとも90個、少なくとも95個、少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、又は少なくとも1000個の対象からのバイオマーカー情報を含む。一部の実施形態では、バイオマーカーの参照サブセットは、最大で2つ、最大で3つ、最大で4つ、最大で5つ、最大で6つ、最大で7つ、最大で8つ、最大で9つ、最大で10個、最大で11個、最大で12個、最大で13個、最大で14個、最大で15個、最大で16個、最大で17個、最大で18個、最大で19個、最大で20個、最大で25個、最大で30個、最大で35個、最大で40個、最大で45個、最大で50個、最大で55個、最大で60個、最大で65個、最大で70個、最大で75個、又は最大で80個、最大で85個、最大で90個、最大で95個、最大で100個、最大で200個、又は最大で300個、最大で400個、最大で500個、又は最大で1000個の対象からのバイオマーカー情報を含む。
【0077】
バイオマーカーの参照サブセットは、任意の数のバイオマーカーを含んでいてもよい。一部の実施形態では、バイオマーカーの参照サブセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも55個、少なくとも60個、少なくとも65個、少なくとも70個、少なくとも75個、少なくとも80個、少なくとも85個、少なくとも90個、少なくとも95個、少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、又は少なくとも1000個のバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、バイオマーカーの参照サブセットは、最大で2つ、最大で3つ、最大で4つ、最大で5つ、最大で6つ、最大で7つ、最大で8つ、最大で9つ、最大で10個、最大で11個、最大で12個、最大で13個、最大で14個、最大で15個、最大で16個、最大で17個、最大で18個、最大で19個、最大で20個、最大で25個、最大で30個、最大で35個、最大で40個、最大で45個、最大で50個、最大で55個、最大で60個、最大で65個、最大で70個、最大で75個、又は最大で80個、最大で85個、最大で90個、最大で95個、最大で100個、最大で200個、又は最大で300個、最大で400個、最大で500個、又は最大で1000個のバイオマーカーを含む。
【0078】
一部の実施形態では、バイオマーカーの対象サブセット中の各バイオマーカーの値の対応する分布に基づいてバイオマーカー値を正規化して、正規化バイオマーカースコアを生成する。本明細書で使用される場合、バイオマーカーの「対象サブセット」は、単一の対象からのバイオマーカー情報を含む。バイオマーカーの対象サブセットは、任意の数のバイオマーカーを含んでいてもよい。一部の実施形態では、バイオマーカーの対象サブセットは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも55個、少なくとも60個、少なくとも65個、少なくとも70個、少なくとも75個、少なくとも80個、少なくとも85個、少なくとも90個、少なくとも95個、少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、又は少なくとも1000個のバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、バイオマーカーの対象サブセットは、最大で2つ、最大で3つ、最大で4つ、最大で5つ、最大で6つ、最大で7つ、最大で8つ、最大で9つ、最大で10個、最大で11個、最大で12個、最大で13個、最大で14個、最大で15個、最大で16個、最大で17個、最大で18個、最大で19個、最大で20個、最大で25個、最大で30個、最大で35個、最大で40個、最大で45個、最大で50個、最大で55個、最大で60個、最大で65個、最大で70個、最大で75個、又は最大で80個、最大で85個、最大で90個、最大で95個、最大で100個、最大で200個、又は最大で300個、最大で400個、最大で500個、又は最大で1000個のバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、バイオマーカーの対象サブセットは、バイオマーカーの参照サブセットと同一である(つまり、本明細書に記載の所与の計算、システム、又は方法の場合)。
【0079】
本明細書に記載のシステム及び方法は、配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用した、任意の数の正規化バイオマーカースコアの決定を提供する。一部の実施形態では、本明細書に記載のシステム及び方法は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも55個、少なくとも60個、少なくとも65個、少なくとも70個、少なくとも75個、少なくとも80個、少なくとも85個、少なくとも90個、少なくとも95個、少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、又は少なくとも1000個の正規化バイオマーカースコアの決定を提供する。一部の実施形態では、本明細書に記載のシステム及び方法は、最大で2つ、最大で3つ、最大で4つ、最大で5つ、最大で6つ、最大で7つ、最大で8つ、最大で9つ、最大で10個、最大で11個、最大で12個、最大で13個、最大で14個、最大で15個、最大で16個、最大で17個、最大で18個、最大で19個、最大で20個、最大で25個、最大で30個、最大で35個、最大で40個、最大で45個、最大で50個、最大で55個、最大で60個、最大で65個、最大で70個、最大で75個、又は最大で80個、最大で85個、最大で90個、最大で95個、最大で100個、最大で200個、又は最大で300個、最大で400個、最大で500個、又は最大で1000個の正規化バイオマーカースコアの決定を提供する。
【0080】
本明細書に記載のシステム及び方法は、一部の実施形態では、特定の療法と関連するバイオマーカーの正規化バイオマーカースコアの決定を提供する。一部の実施形態では、本明細書に記載のシステム及び方法は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも55個、少なくとも60個、少なくとも65個、少なくとも70個、少なくとも75個、少なくとも80個、少なくとも85個、少なくとも90個、少なくとも95個、少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、又は少なくとも1000個の、特定の療法と関連するバイオマーカーの決定を提供する。一部の実施形態では、本明細書に記載のシステム及び方法は、最大で1つ、最大で2つ、最大で3つ、最大で4つ、最大で5つ、最大で6つ、最大で7つ、最大で8つ、最大で9つ、最大で10個、最大で11個、最大で12個、最大で13個、最大で14個、最大で15個、最大で16個、最大で17個、最大で18個、最大で19個、最大で20個、最大で25個、最大で30個、最大で35個、最大で40個、最大で45個、最大で50個、最大で55個、最大で60個、最大で65個、最大で70個、最大で75個、又は最大で80個、最大で85個、最大で90個、最大で95個、最大で100個、最大で200個、又は最大で300個、最大で400個、最大で500個、又は最大で1000個の、特定の療法と関連するバイオマーカーの決定を提供する。
【0081】
本明細書に記載のようなバイオマーカーを正規化するためのシステム及び方法は、任意のがん(例えば、任意の腫瘍)のバイオマーカーに適用することができる。例示的がんとしては、これらに限定されないが、以下:副腎皮質癌、膀胱尿路上皮癌、胸部浸潤癌、頚部扁平上皮癌、子宮頚内膜腺癌、結腸腺癌、食道癌、腎明細胞癌、腎乳首細胞癌、肝細胞癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、卵巣漿液性嚢胞腺癌、膵臓腺癌、前立腺腺癌、直腸腺癌、皮膚黒色腫、胃腺癌、甲状腺癌、子宮体子宮内膜癌、任意のタイプのリンパ腫、白血病、及び胆管癌が挙げられる。
【0082】
バイオマーカー情報の取得
本明細書に記載のようなバイオマーカー情報は、様々な供給源から得ることができる。一部の実施形態では、バイオマーカー情報は、患者に由来する生物学的試料を分析することにより得ることができる。生物学的試料は、患者の1つ又は複数の治療の有効性を予測するための本明細書に記載の方法を実施する前に分析されていてもよい。一部のそのような実施形態では、生物学的試料から得られるデータは、患者の1つ又は複数の治療の有効性を予測するための本明細書に記載の技法の実施中に保存(例えば、データベースに)及びアクセスすることができる。一部の実施形態では、バイオマーカー情報は、少なくとも1人の患者のバイオマーカー情報を含むデータベースから得られる。
【0083】
生物学的試料
対象(つまり、患者又は個体)に由来する任意の生物学的試料を、本明細書に記載のように分析して、バイオマーカー情報を得ることができる。一部の実施形態では、生物学的試料は、がん性細胞又は前がん性細胞を有することが知られているか又は有することが疑われる対象に由来する任意の試料であってもよい。
【0084】
生物学的試料は、これらに限定されないが、以下のものを含む、対象の身体の任意の供給源に由来してもよい:任意の流体[血液(例えば、全血、血清、又は血漿)、唾液、涙、滑液、脳脊髄液、胸水、囲心腔液、腹水、及び/又は尿等]、毛、皮膚(表皮、真皮、及び/又は下皮の部分を含む)、中咽頭、咽頭喉頭部、食道、胃、気管支、唾液腺、舌、口腔、鼻腔、膣腔、肛門腔、骨、骨髄、脳、胸腺、脾臓、小腸、盲腸、結腸、直腸、肛門、肝臓、胆管、膵臓、腎臓、尿管、膀胱、尿道、子宮、膣、外陰、卵巣、頚部、陰嚢、陰茎、前立腺、睾丸、精嚢、及び/又は任意のタイプの組織(例えば、筋組織、上皮組織、結合組織、又は神経組織)。
【0085】
生物学的試料は、例えば、体液、1つ又は複数の細胞、組織片、又は器官の一部若しくは全ての試料を含む、任意のタイプの試料であってもよい。ある特定の実施形態では、1つの試料を、分析のために対象から採取することになる。一部の実施形態では、1つよりも多くの(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、又はそれよりも多くの)試料を、分析のために対象から採取してもよい。一部の実施形態では、対象に由来する1つの試料が分析されることになる。ある特定の実施形態では、1つよりも多くの(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、又はそれよりも多くの)試料を分析してもよい。対象に由来する1つよりも多くの試料を分析する場合、試料を同時に調達してもよく(例えば、1つよりも多くの試料を同じ手順で採取してもよく)、又は試料を異なる時点で採取してもよい(例えば、最初の手順の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10日後;1、2、3、4、5、6、7、8、9、10週後;1、2、3、4、5、6、7、8、9、10カ月後、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10年後、又は10、20、30、40、50、60、70、80、90、100年後の手順を含む異なる手順中に)。2番目又はその後の試料は、同じ領域(例えば、同じ腫瘍又は組織区域)又は異なる領域(例えば、異なる腫瘍を含む)から採取又は得てもよい。2番目又はその後の試料は、1つ又は複数の治療後に対象から採取又は得てもよく、同じ領域又は異なる領域から採取してもよい。非限定的な例として、2番目又はその後の試料は、各試料中のがんが異なる特徴を有するか否か(例えば、患者の2つの物理的に別個の腫瘍から採取された試料の場合)、又はがんが1つ又は複数の治療に応答したか否か(例えば、治療前後の同じ腫瘍又は異なる腫瘍に由来する2つ以上の試料の場合)の決定に有用であり得る。
【0086】
本明細書に記載の生物学的試料はいずれも、任意の公知の技法を使用して対象から得ることができる。一部の実施形態では、生物学的試料は、外科手技(例えば、腹腔鏡下手術、顕微鏡下手術、又は内視鏡検査)、骨髄生検、パンチ生検、内視鏡生検、又は針生検(例えば、細針吸引、コア針生検、真空生検、又は画像誘導下生検)から得ることができる。一部の実施形態では、少なくとも1つの生物学的試料の各々は、体液試料、細胞試料、又は組織生検である。
【0087】
一部の実施形態では、1つ又は1つよりも多くも細胞(つまり、細胞試料)は、スクレイプ(scrape)法又はブラシ(brush)法を使用して対象から得ることができる。細胞試料は、例えば、以下の区域:頚部、食道、胃、気管支、又は口腔の1つ又は複数からを含む、対象の身体の任意の区域から又は対象の身体から得ることができる。一部の実施形態では、対象に由来する1つ又は1つよりも多くの組織片(例えば、組織生検)を使用してもよい。ある特定の実施形態では、組織生検は、がん性細胞を有することが知られているか又は有することが疑われる1つ又は複数の腫瘍又は組織に由来する1つ又は1つよりも多くの(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、又は10個よりも多くの)試料を含んでいてもよい。
【0088】
試料分析
本明細書に記載のシステム及び方法は、少なくとも部分には、患者及び/又は患者のがんのあるバイオマーカーの特定及び特徴付けに基づく。そのような情報は、対象(例えば、患者)の生物学的試料から本明細書に記載のように得ることができる。
【0089】
任意のタイプの分析を、対象に由来する生物学的試料に対して実施することができる。一部の実施形態では、対象に由来する生物学的試料に対して、血液分析が実施される。一部の実施形態では、対象に由来する生物学的試料に対して、血球算出分析が実施される。一部の実施形態では、対象に由来する生物学的試料に対して、組織学的分析が実施される。一部の実施形態では、対象に由来する生物学的試料に対して、免疫組織学的分析が実施される。
【0090】
任意のタイプの配列決定データを、対象の生物学的試料から得ることができる。一部の実施形態では、配列決定データは、DNA配列決定データである。一部の実施形態では、配列決定データは、RNA配列決定データである。一部の実施形態では、配列決定データは、タンパク質配列決定データである。
【0091】
そのような配列決定データは、任意の公知技法により得ることができる。一部の実施形態では、配列決定データは、全ゲノム配列決定(WGS)から得られる。一部の実施形態では、配列決定データは、全エクソーム配列決定(WES)から得られる。一部の実施形態では、配列決定データは、全トランスクリプトーム配列決定から得られる。一部の実施形態では、配列決定データは、mRNA配列決定から得られる。一部の実施形態では、配列決定データは、DNA/RNAハイブリダイゼーションから得られる。一部の実施形態では、配列決定データは、マイクロアレイから得られる。一部の実施形態では、配列決定データは、DNA/RNAチップから得られる。一部の実施形態では、配列決定データは、PCRから得られる。一部の実施形態では、配列決定データは一塩基多型(SNP)遺伝子型決定から得られる。
【0092】
複数の遺伝子の発現データ(例えば、発現レベルを示す)を、生物学的試料から得ることができる。検査することができる遺伝子の数に制限はない。例えば、発現レベルを検査することができる遺伝子の数に制限はない。
【0093】
非限定的な例として、4つ若しくはそれよりも多くの、5つ若しくはそれよりも多くの、6つ若しくはそれよりも多くの、7つ若しくはそれよりも多くの、8つ若しくはそれよりも多くの、9つ若しくはそれよりも多くの、10個若しくはそれよりも多くの、11個若しくはそれよりも多くの、12個若しくはそれよりも多くの、13個若しくはそれよりも多くの、14個若しくはそれよりも多くの、15個若しくはそれよりも多くの、16個若しくはそれよりも多くの、17個若しくはそれよりも多くの、18個若しくはそれよりも多くの、19個若しくはそれよりも多くの、20個若しくはそれよりも多くの、21個若しくはそれよりも多くの、22個若しくはそれよりも多くの、23個若しくはそれよりも多くの、24個若しくはそれよりも多くの、25個若しくはそれよりも多くの、26個若しくはそれよりも多くの、27個若しくはそれよりも多くの、28個若しくはそれよりも多くの、29個若しくはそれよりも多くの、30個若しくはそれよりも多くの、40個若しくはそれよりも多くの、50個若しくはそれよりも多くの、60個若しくはそれよりも多くの、70個若しくはそれよりも多くの、80個若しくはそれよりも多くの、90個若しくはそれよりも多くの、100個若しくはそれよりも多くの、125個若しくはそれよりも多くの、150個若しくはそれよりも多くの、175個若しくはそれよりも多くの、200個若しくはそれよりも多くの、225個若しくはそれよりも多くの、250個若しくはそれよりも多くの、275個若しくはそれよりも多くの、又は300個若しくはそれよりも多くの遺伝子を、本明細書に記載の任意の評価に使用することができる。別の一組の非限定的な例として、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、少なくとも29個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、少なくとも100個、少なくとも125個、少なくとも150個、少なくとも175個、少なくとも200個、少なくとも225個、少なくとも250個、少なくとも275個、又は少なくとも300個の遺伝子を、本明細書に記載の任意の評価に使用することができる。更なる一組の非限定的な例として、最大で4つ、最大で5つ、最大で6つ、最大で7つ、最大で8つ、最大で9つ、最大で10個、最大で11個、最大で12個、最大で13個、最大で14個、最大で15個、最大で16個、最大で17個、最大で18個、最大で19個、最大で20個、最大で21個、最大で22個、最大で23個、最大で24個、最大で25個、最大で26個、最大で27個、最大で28個、最大で29個、最大で30個、最大で40個、最大で50個、最大で60個、最大で70個、最大で80個、最大で90個、最大で100個、最大で125個、最大で150個、最大で175個、最大で200個、最大で225個、最大で250個、最大で275個、最大で300個の遺伝子を、本明細書に記載の任意の評価に使用することができる。
【0094】
複数の遺伝子の発現データ(例えば、発現レベルを示す)を獲得するためには、対象に由来する試料に対して、任意の方法を使用することができる。一組の非限定的な例として、発現データは、RNA発現データ、DNA発現データ、又はタンパク質発現データであってもよい。
【0095】
DNA発現データは、一部の実施形態では、対象に由来する試料中のDNAのレベルを指す。がんを有する対象に由来する試料中のDNAのレベルは、がん、例えばがん患者の試料中の遺伝子複製を有しない対象に由来する試料中のDNAのレベルと比較して上昇している場合がある。がんを有する対象に由来する試料中のDNAのレベルは、がん、例えばがん患者の試料中の遺伝子枯渇を有しない対象に由来する試料中のDNAのレベルと比較して低減されている場合がある。
【0096】
DNA発現データは、一部の実施形態では、試料中の発現されたDNA(又は遺伝子)のデータ、例えば、患者の試料中の発現された遺伝子の配列決定データを指す。そのようなデータは、一部の実施形態では、患者が、特定のがんに関連する1つ又は複数の突然変異を有するか否かを決定するのに有用であり得る。
【0097】
RNA発現データは、これらに限定されないが、以下のものを含む、当技術分野で公知の任意の方法を使用して獲得することができる:全トランスクリプトーム配列決定、全RNA配列決定、mRNA配列決定、標的化RNA配列決定、低分子RNA配列決定、リボソームプロファイリング、RNAエクソームキャプチャーシーケンシング、及び/又はディープRNAシーケンシング。DNA発現データは、DNA配列決定の任意の公知の方法を含む、当技術分野で公知の任意の方法を使用して獲得することができる。例えば、DNA配列決定を使用して、対象のDNAの1つ又は複数の突然変異を特定することができる。DNAを配列決定するための当技術分野で使用される任意の技法を、本明細書に記載の方法及びシステムと共に使用することができる。一組の非限定的な例として、DNAは、単一分子リアルタイムシーケンシング、イオントレントシーケンシング、ピロシーケンシング、合成による配列決定法、ライゲーションによる配列決定法(SOLiD配列決定)、ナノポアシーケンシング、又はサンガー配列決定法(チェーンターミネーションシーケンシング)により配列決定することができる。タンパク質発現データは、これらに限定されないが、以下のものを含む、当技術分野で公知の任意の方法を使用して獲得することができる:N末端アミノ酸分析法、C末端アミノ酸分析法、エドマン分解法(タンパク質配列決定装置等の機械の使用によることを含む)、又は質量分析法。
【0098】
一部の実施形態では、発現データは、全エクソーム配列決定(WES)データを含む。一部の実施形態では、発現データは、全ゲノム配列決定(WGS)データを含む。一部の実施形態では、発現データは、次世代配列決定(NGS)データを含む。一部の実施形態では、発現データは、マイクロアレイデータを含む。
【0099】
データセット
バイオマーカーと関連する情報を含む任意のデータセットを使用して、本明細書に記載のようにバイオマーカー情報を得ることができる。一部の実施形態では、バイオマーカー情報は、1つ又は複数のデータベース及び/又は任意の他の好適な電子データレポジトリから得ることができる。データベースの例としては、これらに限定されないが、CGP(Cancer Genome Project)、CPTAC(Clinical Proteomic Tumor Analysis Consortium)、ICGC(International Cancer Genome Consortium)、及びTCGA(The Cancer Genome Atlas)が挙げられる。一部の実施形態では、バイオマーカー情報は、臨床治験に関連するデータから得ることができる。一部の実施形態では、バイオマーカー情報は、1つ又は複数の類似薬物(例えば、PD-1阻害剤等の類似クラスの薬物)に基づく臨床治験との関連で予測することができる。一部の実施形態では、バイオマーカー情報は、病院データベースから得ることができる。一部の実施形態では、バイオマーカー情報は、商業的配列決定供給業者から得ることができる。一部の実施形態では、バイオマーカー情報は、対象(例えば、患者)及び/又は対象(例えば、患者)の親族、保護者、若しくは代理人から得ることができる。
【0100】
アッセイ
本明細書に記載の生物学的試料はいずれも、従来のアッセイ又は本明細書に記載のものを使用して発現データを得るために使用することができる。発現データは、一部の実施形態では、遺伝子発現レベルを含む。遺伝子発現レベルは、mRNA及び/又はタンパク質等の、遺伝子発現の産物を検出することにより検出することができる。
【0101】
一部の実施形態では、遺伝子発現レベルは、試料中のタンパク質のレベルを検出することにより、及び/又は試料中のタンパク質の活性レベルを検出することにより決定される。本明細書で使用される場合、用語「決定する」又は「検出する」は、そのような物質の質的又は量的濃度レベルの導出、又はその他の形で対象に由来する試料中のそのような物質の値及び/又はカテゴリー化を評価することを含む、試料内の物質の存在、非存在、分量、及び/又は量(有効量であってよい)を評価することを含み得る。
【0102】
タンパク質のレベルは、イムノアッセイを使用して測定することができる。イムノアッセイの例としては、任意の公知のアッセイが挙げられ(限定ではないが)、以下のものをいずれも挙げることができる:イムノブロッティングアッセイ(例えば、ウエスタンブロット)、免疫組織化学的分析、フローサイトメトリーアッセイ、免疫蛍光アッセイ(IF)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)(例えば、サンドイッチELISA)、ラジオイムノアッセイ、電気化学発光に基づく検出アッセイ、磁気イムノアッセイ、側方流動アッセイ、及び関連技法。本明細書で提供されるタンパク質レベルの検出に好適な追加のイムノアッセイは、当業者であれば明白であろう。
【0103】
そのようなイムノアッセイは、標的タンパク質に特異的な作用剤(例えば、抗体)の使用を含んでいてもよい。標的タンパク質に「特異的に結合する」抗体等の作用剤は、当技術分野で十分に理解されている用語であり、そのような特異的結合を決定するための方法も、当技術分野で周知である。抗体は、別のタンパク質に対するよりも、より頻繁に、より迅速に、より長期間にわたって、及び/又はより大きな親和性で、特定の標的タンパク質と反応又は付随する場合、「特異的結合」を示すと言われる。また、例えば、第1の標的ペプチドに特異的に結合する抗体は、第2の標的ペプチドに特異的に又は優先的に結合してもよく又は結合しなくともよいことが、この定義を読むことにより理解される。そのため、「特異的結合」又は「優先的結合」は、必ずしも排他的な結合を必要としない(含んでいてもよいが)。一般的には、必ずというわけではないが、結合への言及は、優先的結合を意味する。一部の例では、標的ペプチド又はそのエピトープに「特異的に結合する」抗体は、他のペプチド又は同じ抗原の他のエピトープには結合しない場合がある。一部の実施形態では、試料を、異なるタンパク質に結合する1つよりも多くの結合性作用剤と同時に又は順次に接触させてもよい(例えば、多重分析)。
【0104】
本明細書で使用される場合、用語「抗体」は、少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメイン又は免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むタンパク質を指す。例えば、抗体は重(H)鎖可変領域(本明細書ではVHと略される)及び軽(L)鎖可変領域(本明細書ではVLと略される)を含んでいてもよい。別の例では、抗体は、2つの重(H)鎖可変領域及び2つの軽(L)鎖可変領域を含む。用語「抗体」は、抗体の抗原結合性断片(例えば、単鎖抗体、Fab及びsFab断片、F(ab’)2、Fd断片、Fv断片、scFv、及びドメイン抗体(dAb)断片(de Wildtら、Eur J Immunol. 1996年; 26巻(3号):629~39頁)並びに完全抗体を包含する。抗体は、IgA、IgG、IgE、IgD、IgM(並びにそれらのサブタイプ)の構造特徴を有していてもよい。抗体は、これらに限定されないが、霊長類(ヒト及び非ヒト霊長類)及び霊長類化(ヒト化等)抗体を含む任意の供給源に由来してもよい。
【0105】
一部の実施形態では、本明細書に記載のような抗体は、検出可能な標識とコンジュゲートすることができ、目的のペプチドに対する検出試薬の結合は、検出可能な標識から放出されるシグナルの強度に基づいて決定することができる。或いは、検出試薬に特異的な二次抗体を使用することができる。1つ又は複数の抗体を、検出可能な標識にカップリングしてもよい。当技術分野で公知の任意の好適な標識を、本明細書に記載のアッセイ法で使用することができる。一部の実施形態では、検出可能な標識は、フルオロフォアを含む。本明細書で使用される場合、用語「フルオロフォア」(「蛍光性標識」又は「蛍光色素」とも呼ばれる)は、規定の励起波長の光エネルギーを吸収し、異なる波長の光エネルギーを放射する部分を指す。一部の実施形態では、検出部分は、酵素であるか又は酵素を含む。一部の実施形態では、酵素は、無色基質から有色産物を産生するもの(例えば、β-ガラクトシダーゼ)である。
【0106】
当業者であれば、本開示はイムノアッセイに限定されないことを理解するだろう。質量分析法等の、抗体に基づかない検出アッセイも、本明細書で提供されるようなタンパク質及び/又はタンパク質のレベルの検出及び/又は定量化に有用である。発色性基質に依存するアッセイも、本明細書で提供されるようなタンパク質及び/又はタンパク質のレベルの検出及び/又は定量化に有用であり得る。
【0107】
或いは、試料中の遺伝子をコードする核酸のレベルは、従来法により測定することができる。一部の実施形態では、遺伝子をコードする核酸の発現レベルの測定は、mRNAを測定することを含む。一部の実施形態では、遺伝子をコードするmRNAの発現レベルは、リアルタイム逆転写(RT)Q-PCR又は核酸マイクロアレイを使用して測定することができる。核酸配列を検出する方法としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写PCR(RT-PCR)、in situ PCR、定量PCR(Q-PCR)、リアルタイム定量PCR(RT Q-PCR)、in situハイブリダイゼーション、サザンブロット、ノーザンブロット、配列分析、マイクロアレイ分析、レポーター遺伝子の検出、又は他のDNA/RNAハイブリダイゼーションプラットフォーム。
【0108】
一部の実施形態では、試料中の遺伝子をコードする核酸のレベルは、ハイブリダイゼーションアッセイにより測定することができる。一部の実施形態では、ハイブリダイゼーションアッセイは、少なくとも1つの結合性パートナーを含む。一部の実施形態では、ハイブリダイゼーションアッセイは、少なくとも1つのオリゴヌクレオチド結合性パートナーを含む。一部の実施形態では、ハイブリダイゼーションアッセイは、少なくとも1つの標識オリゴヌクレオチド結合性パートナーを含む。一部の実施形態では、ハイブリダイゼーションアッセイは、少なくとも1対のオリゴヌクレオチド結合性パートナーを含む。一部の実施形態では、ハイブリダイゼーションアッセイは、少なくとも1対の標識オリゴヌクレオチド結合性パートナーを含む。
【0109】
所望の核酸又はタンパク質に特異的に結合する任意の結合性作用剤を、本明細書に記載の方法及びキットで使用して、試料中の発現レベルを測定することができる。一部の実施形態では、結合性作用剤は、所望のタンパク質に特異的に結合する抗体又はアプタマーである。他の実施形態では、結合性作用剤は、核酸又はその部分に相補的な1つ又は複数のオリゴヌクレオチドであってもよい。一部の実施形態では、試料を、異なるタンパク質又は異なる核酸に結合する1つよりも多くの結合性作用剤と、同時に又は順次に接触させてもよい(例えば、多重分析)。
【0110】
タンパク質又は核酸の発現レベルを測定するために、試料を、好適な条件下で結合性作用剤と接触させてもよい。一般的に、用語「接触」は、結合性作用剤と、存在する場合は試料中の標的タンパク質又は標的核酸との複合体の形成に十分な好適な期間にわたって、結合性作用剤を、試料又はそれから収集した細胞に曝露することを指す。一部の実施形態では、接触は、試料が支持膜の表面を横切って移動する毛細管作用により実施される。
【0111】
一部の実施形態では、アッセイは、単一のアッセイ形式を含む、低スループットプラットフォームで実施してもよい。一部の実施形態では、アッセイは、ハイスループットプラットフォームで実施してもよい。そのようなハイスループットアッセイは、固体支持体(例えば、1つ又は複数のチップ)に固定された結合性作用剤を使用することを含んでもよい。結合性作用剤を固定するための方法は、結合性作用剤の性質及び固体支持体の材料等の因子に依存することになり、特定の緩衝液を必要とする場合がある。そのような方法は、当業者であれば明らかであろう。
【0112】
遺伝子
本明細書で挙げられている種々の遺伝子は、一般的に、ヒト遺伝子命名法を使用して命名される。種々の遺伝子は、一部の実施形態では、発表された学術雑誌論文等の公的に入手可能な資源に記載されている。遺伝子名は、例えば、www.ncbi.nlm.nih.govにて利用可能なNCBI GenBank(登録商標)データベース;www.genenames.orgにて利用可能なHUGO(Human Genome Organization) Gene Nomination Committee (HGNC)データベース;www.david.ncifcrf.govにて利用可能なDAVID Bioinformatics Resourceを使用することにより追加情報(配列情報を含む)と関連付けることができる。遺伝子は、その遺伝子のバリアントを全て包含することができることが認識されるべきである。ヒト対象以外の生物又は対象の場合、対応する特異的な特定の遺伝子(specific-specific gene)を使用してもよい。別名、等価物、及び密接に関連する遺伝子(他の生物に由来する遺伝子を含む)は、上記に記載のNCBI GenBank(登録商標)データベースを含む、類似のデータベースを使用して特定することができる。
【0113】
一部の実施形態では、遺伝子AXLは、GenBank(登録商標)受入番号NM_199054.2又はNM_017572.3.として特定することができ、遺伝子CCL2は、GenBank(登録商標)受入番号NM_002982.3として特定することができ、遺伝子CCL7は、GenBank(登録商標)受入番号NM_006273.3として特定することができ、遺伝子CCL8は、GenBank(登録商標)受入番号NM_005623.2として特定することができ、遺伝子CDH1は、GenBank(登録商標)受入番号NM_004360.4、NM_001317184.1、NM_001317185.1、又はNM_001317186.1として特定することができ、遺伝子VEGFCは、GenBank(登録商標)受入番号NM_005429.4として特定することができ、遺伝子EGFRは、GenBank(登録商標)受入番号NM_001346941.1、NM_005228.4、NM_001346898.1、NM_001346900.1、NM_001346899.1、NM_001346897.1、NM_201284.1、NM_201283.1、又はNM_201282.1として特定することができ、遺伝子ROR2は、GenBank(登録商標)受入番号NM_004560.3又はNM_001318204.1として特定することができ、遺伝子PTENは、GenBank(登録商標)受入番号NM_001304717.2、NM_000314.6、又はNM_001304718.1として特定することができ、遺伝子TAGLNは、GenBank(登録商標)受入番号NM_001001522.2又はNM_003186.4として特定することができる。
【0114】
療法応答の予測
本明細書に記載のような患者及び/又は患者の生物学的試料に由来する正規化バイオマーカースコアを、例えば、特定の治療(例えば、免疫療法)に好適な対象を特定すること、及び/又は特定の治療に対する患者の応答又はその欠如の可能性を予測することを含む、種々の臨床目的に使用することができる。したがって、本明細書には、患者のバイオマーカー値に基づいて、療法有効性、例えば免疫療法、を予測するための予後法が記載されている。加えて、本明細書に記載のシステム及び方法を使用して、患者のバイオマーカー値に基づいて、患者(対象)が特定の療法に対して1つ又は複数の有害反応を示す可能性があるか又は示す可能性がないか(例えば、対象が、チェックポイント遮断療法に対して免疫媒介性有害反応を示す可能性が高いか、及び/又はチェックポイント遮断療法に対して免疫媒介性有害反応を示さない可能性が高いかどうか)を予測することができる。
【0115】
本明細書に記載のような治療有効性を予測する方法を実施するために、特定の療法に対する患者の療法スコアを決定してもよい。本明細書で使用される場合、用語「療法スコア」は、療法に対するその対象の予測応答を示す患者の複数の正規化バイオマーカースコアを使用して算出される。一組の非限定的な例として、そのような「療法スコア」は、以下の様式の1つ又は複数で複数の正規化バイオマーカースコアを使用して算出することができる:1)合計として、2)加重和として(例えば、回帰モデルにおいて)、3)正規化バイオマーカースコアを入力として取る任意の線形又は一般線形モデルを使用し、入力された正規化バイオマーカースコアに基づいて、療法に対する患者の予測応答を示す出力を生成すること、4)正規化バイオマーカースコアを入力として取る任意の統計モデル(例えば、ニューラルネットワークモデル、ベイズ回帰モデル、適応非線形回帰モデル(adaptive non-linear regression model)、サポートベクター回帰モデル、ガウス混合モデル、ランダムフォレスト回帰、及び/又は他の好適なタイプの混合モデル)を使用し、入力されたバイオマーカースコアに基づいて、療法に対する患者の予測応答を示す出力を生成すること。
【0116】
本明細書に記載のような療法スコアは、任意の好適な数の正規化バイオマーカースコア使用して算出された療法スコアを含む。一部の実施形態では、療法スコアは、少なくとも2つの正規化バイオマーカースコアを使用して算出することができる。一部の実施形態では、療法スコアは、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、又は少なくとも100個の正規化バイオマーカースコアを使用して算出することができる。
【0117】
一部の実施形態では、療法スコアは、計算の一部として1つ又は複数の対応する加重により加重されていてもよい1つ又は複数の正規化バイオマーカー値を使用して算出される。バイオマーカー加重は、任意のバイオマーカーに割り当てることができる。例えば、療法応答を予測するために、豊富に存在するバイオマーカーにはより高い加重を割り当ててもよい。そのような加重は、例えば機械学習技法を使用して決定することができる。非制限的な一組の例としては、そのような加重は、回帰モデル(例えば、線形回帰モデル、一般線形モデル、サポートベクター回帰モデル、ロジスティク回帰モデル、ランダムフォレスト回帰モデル、ニューラルネットワークモデル等)をトレーニングするにことにより決定することができる。
【0118】
療法の療法スコアは、正の値であってもよく又は負の値であってもよい。正の療法スコアは、一部の実施形態では、療法に対する肯定的な応答を示す。負の療法スコアは、一部の実施形態では、療法に対する否定的な応答又は不応答を示す。ゼロに近い療法スコアは、一部の実施形態では、療法に対して測定可能な応答がほとんどないこと又は応答がないことを示す。
【0119】
療法スコアは、一部の実施形態では、例えば、単一のバイオマーカーの使用と比較して、療法に対する患者の応答をより正確に予測する。例えば、療法スコアの数値が正の方向に増加すると共に、療法に対する患者の応答をより正確に予測することができる。別の例では、療法スコアの数値が負の方向に増加すると共に、療法に対する患者の応答欠如をより正確に予測することができる。
【0120】
用語「対象」又は「患者」は同義的に使用され、本明細書に記載のような分析を必要とする対象を指すことができる。一部の実施形態では、対象は、ヒトであってもよく、又は非ヒト哺乳動物(例えば、非ヒト霊長類)であってもよい。一部の実施形態では、対象は、がんを有する疑いがあるか又はがんのリスクがある。一部の実施形態では、対象は、がんを有する(例えば、有することが判明している)。がんの例としては、限定ではないが、以下:副腎皮質癌、膀胱尿路上皮癌、胸部浸潤癌、頚部扁平上皮癌、子宮頚内膜腺癌、結腸腺癌、食道癌、腎明細胞癌、腎乳首細胞癌、肝細胞癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、卵巣漿液性嚢胞腺癌、膵臓腺癌、前立腺腺癌、直腸腺癌、皮膚黒色腫、胃腺癌、甲状腺癌、子宮体子宮内膜癌、1つ又は複数のタイプの白血病、及び胆管癌が挙げられる。
【0121】
一部の実施形態では、対象は、がんの1つ又は複数の症状を有するヒト患者である。例えば、対象は、疲労、疼痛、脱力又は麻痺、膀胱又は腸(bowl)の制御喪失、咳、血染性唾液、貧血、乳房腫瘤、又は分泌、又はそれらの組合せを有している場合がある。一部の実施形態では、対象は、がんの症状を有するか、又はがんの症状の履歴を有する。一部の実施形態では、対象は、がんの1つよりも多くの症状を有するか、又はがんの1つよりも多くの症状の履歴を有する。一部の実施形態では、対象は、がんの症状を有してないか、がんの症状の履歴を有していないか、又はがんの履歴を有していない。
【0122】
そのような対象は、がんと関連する1つ又は複数の症状を示していてもよい。その代わりに又はそれに加えて、そのような対象は、1つ又は複数のがんリスク因子、例えば、がんと関連する環境因子(例えば、地理的位置又は突然変異原への曝露)、がんの家族歴、及び/又はがん発症の遺伝的素因を有していてもよい。
【0123】
或いは、本明細書に記載の分析を必要とする対象は、がんを有するか又はがんを有する疑いのある患者であってもよい。そのような対象は、現在再発を有していてもよく、又は過去にこの疾患を患ったことがあってもよく(例えば、現在無再発である)、又はがんを有していてもよい。一部の例では、対象は、例えば、化学療法又は放射線療法を含む治療を含む、この疾患の治療を受けているヒト患者である(つまり、対象は治療を受けていてもよい)。他の例では、そのようなヒト患者は、そのような治療を受けていなくともよい。
【0124】
効果スコア
一部の実施形態では、本明細書に記載のシステム及び方法を使用して、療法の効力を経時的に評価することができる。一部の実施形態では、本開示の態様は、候補療法の投与前又は投与後の試料から得られる正規化バイオマーカースコアを使用して、その療法の有効性を決定するための方法及びシステムを提供する。また、一部の実施形態では、そのような方法を使用して、患者又は対象に使用される候補療法を選択することができる。ある特定の実施形態では、そのような方法を使用して、候補療法の効果を評価することができ、効果は、本明細書に記載の一部の実施形態に従って効果スコアを決定することにより定量化することができる。
【0125】
例えば、一部の実施形態は、対象の第1の一組の及び第2の一組の正規化バイオマーカースコアを使用した、候補療法の効果スコアの決定を提供し、第1の一組の及び第2の一組の正規化バイオマーカースコアは、候補療法の投与前の対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する第1の配列決定データ及び候補療法の投与後の対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する第2の配列決定データを使用して決定される。そのような効果スコアは、候補療法の投与に対する対象の応答(例えば、肯定的又は否定的応答)を示すであろう。
【0126】
療法応答を予測又は記述するためのコンピュータ実装法
本開示の態様は、一組の正規化バイオマーカースコアを使用して、特定の療法に対する患者の応答又はその欠如を示す対象のバイオマーカースコアを決定するためのコンピュータ実装法を提供する。
【0127】
一部の実施形態では、ソフトウェアプログラムは、患者のバイオマーカースコア(例えば、バイオマーカースコア及び/又は療法スコア及び/又は効果スコア)及び療法の予測有効性に関する情報を提示する視覚的表示を使用者に提供することができる。このようなソフトウェアプログラムは、任意の適切なコンピューティング環境を含むがこれらに限定されない、クラウドコンピューティング環境、使用者(例えば、使用者のラップトップ、デスクトップ、スマートフォン等)と同一の場所に設置されたデバイス、使用者から遠隔の、1つ又は複数のデバイス(例えば、1つ又は複数のサーバー)等においてを実行し得る。
【0128】
例えば、一部の実施形態では、本明細書で記載される技法は、図1Aに示される、例示的な環境100において実施することができる。図1Aに示す通り、例示的な環境100内で、患者102の、1つ又は複数の生物学的試料を、実験室104へと提供することができる。実験室104は、生物学的試料を処理して、配列決定データ(例えば、トランスクリプトーム、エクソーム、及び/又はゲノム配列決定データ)を得、それを、ネットワーク108を介して患者102に関する情報を格納する少なくとも1つのデータベース106に提供することができる。
【0129】
ネットワーク108は、ワイドエリアネットワーク(例えば、インターネット)の場合もあり、ローカルエリアネットワーク(例えば、企業によるイントラネット)の場合もあり、かつ/又は他の任意の適切なタイプのネットワークの場合もある。図1Aに示されるデバイスのうちのいずれかは、1つ又は複数の有線連結、1つ又は複数の無線連結、及び/又はこれらの任意の適する組合せを使用して、ネットワーク108へと接続され得る。
【0130】
図1Aの例示的な実施形態では、少なくとも1つのデータベース106は、患者の配列決定データ、患者の発現データ、患者の医療履歴データ、患者の検査結果データ、及び/又は患者102に関する他の好適な情報を格納することができる。患者についての、保存された検査結果データの例は、生検検査結果、イメージング検査結果(例えば、MRI結果)、及び血液検査結果を含む。本明細書で記載される技術の態様は、この点で限定されないので、少なくとも1つのデータベース106内に保存される情報は、任意の適切なフォーマットで、かつ/又は任意の適切なデータ構造を使用して保存することができる。少なくとも1つのデータベース106は、任意の適切な形(例えば、1つ又は複数のデータベース、1つ又は複数のファイル)で、データを保存し得る。少なくとも1つのデータベース106は、単一のデータベース又は複数のデータベースであり得る。
【0131】
図1Aに示す通り、例示的な環境100は、患者102以外の患者についての情報を保存し得る、1つ又は複数の外部データベース116を含む。例えば、外部データベース116は、1例以上の患者についての(任意の適切なタイプの)発現データ、1例以上の患者についての診療履歴データ、1例以上の患者についての検査結果(例えば、イメージング結果、生検結果、血液検査結果)データ、1例以上の患者についての、人口学的情報及び/若しくは経歴情報、並びに/又は1例以上の患者についての、他の任意の適切なタイプの情報を保存し得る。一部の実施形態では、外部データベース116は、TCGA(がんゲノムアトラス)等、1つ又は複数の一般にアクセス可能なデータベース、臨床試験情報についての、1つ又は複数のデータベース、及び/又は市販の配列決定供給元により維持される、1つ又は複数のデータベースにおいて入手可能な情報を保存し得る。本明細書で記載される技術の態様は、この点で限定されないので、外部データベース116は、任意の適切なハードウェアを使用して、任意の適切な形で、このような情報を保存し得る。
【0132】
一部の実施形態では、本明細書で記載される技術の態様は、この点で限定されないので、少なくとも1つのデータベース106と、外部データベース116とは、同じデータベースの場合もあり、同じデータベースシステムの部分の場合もあり、物理的に同一の場所に設置されている場合もある。
【0133】
一部の実施形態では、患者保護データベース106及び/又は外部データベース116に格納されている情報を使用して、療法に対する患者の応答を示す療法スコア及び/又は効果スコアの決定に関する本明細書に記載の技法のいずれかを実施することができる。例えば、データベース106及び/又は116内に保存された情報は、図2A図2B図2C図2D及び図2Eと関連して、本明細書で記載される技法のうちの任意の1又は複数を実施するように、サーバー110上で実行されるソフトウェアにより、ネットワーク108を介してアクセスすることができる。
【0134】
例えば、一部の実施形態では、サーバー110は、データベース106及び/又は116に格納されている情報にアクセスし、その情報を使用して、正規化バイオマーカースコアに基づき複数の療法の療法スコアを決定するための、図2Aを参照して記載されている方法200を実施することができる。
【0135】
別の例として、サーバー110は、データベース106及び/又は116に格納されている情報にアクセスし、その情報を使用して、患者の候補療法の効力を決定するための、図2Bを参照して記載されている方法220を実施することができる。
【0136】
別の例として、サーバー110は、データベース106及び/又は116に格納されている情報にアクセスし、その情報を使用して、療法の各々の少なくとも3つのバイオマーカーの正規化バイオマーカースコアに基づき少なくとも2つの選択された療法の療法スコアを決定するための、図2Cを参照して記載されている方法240を実施することができる。
【0137】
別の例として、サーバー110は、データベース106及び/又は116に格納されている情報にアクセスし、その情報を使用して、第1及び第2の療法の第1及び第2の療法スコアを決定するための、図2Dを参照して記載されている方法260を実施することができる。
【0138】
更に別の例として、サーバー110は、データベース106及び/又は116に格納されている情報にアクセスし、その情報を使用して、正規化バイオマーカースコアを使用して対象をコホートのメンバーとして特定するための、図2Eを参照して記載されている方法280を実施することができる。
【0139】
一部の実施形態では、サーバー110は、1つ又は複数のコンピューティングデバイスを含み得る。サーバー110が、複数のコンピューティングデバイスを含む場合、デバイスは、物理的に、同一の場所に(例えば、単一の室内に)設置することもでき、物理的に複数の場所にわたり分配することもできる。一部の実施形態では、サーバー110は、クラウドコンピューティングインフラストラクチャーの一部であり得る。一部の実施形態では、1つ又は複数のサーバー110を、医師114が関係する実体(例えば、病院、研究機関)により運営されている施設内の、同一の場所に設置することができる。このような実施形態では、サーバー110が、患者102についての個人的な診療データにアクセスすることを可能とすることが容易であり得る。
【0140】
図1Aに示す通り、一部の実施形態では、サーバー110により実施された分析の結果を、コンピューティングデバイス112(ラップトップ又はスマートフォン等の携帯型コンピューティングデバイスの場合もあり、デスクトップコンピュータ等の固定型コンピューティングデバイスの場合もある)を通して、医師114へと提供することができる。結果は、紙の報告書、電子メール、グラフィカルユーザインターフェース、及び/又は他の任意の適切な形で提供することができる。図1Aの実施形態では、結果は、医師へと提供されるが、他の実施形態では、分析の結果は、患者102又は患者102の介護者、看護師若しくは臨床試験の関係者等の医療従事者へと提供され得ることを理解されたい。
【0141】
一部の実施形態では、結果は、コンピューティングデバイス112を介して、医師114へと提示される、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)の一部であり得る。一部の実施形態では、GUIを、コンピューティングデバイス112上で実行されるウェブブラウザーにより表示されるウェブページの一部として、使用者へと提示することができる。一部の実施形態では、GUIを、コンピューティングデバイス112上で実行されるアプリケーションプログラム(ウェブブラウザーと異なる)を使用して、使用者へと提示する。例えば、一部の実施形態では、コンピューティングデバイス112は、モバイルデバイス(例えば、スマートフォン)であることが可能であり、GUIを、モバイルデバイス上で実行されるアプリケーションプログラム(例えば、「app」)を介して、使用者へと提示することができる。
【0142】
コンピューティングデバイス112上に提示されたGUIは、患者及び患者のがんの両方に関する、広範にわたる腫瘍学データを、凝縮され、かつ、高度に有用である、新たな形で提供する。かつて、腫瘍学データは、複数のデータ源から、複数回にわたり得たことから、このような情報を得る方法を、時間及び費用の両方の面で高価なものとしていた。本明細書で例示される技法及びグラフィカルユーザインターフェースを使用して、使用者は、同じ量の情報に、同時に、かつ、このような情報を提供するのに必要とされる、使用者に対する要求及びコンピューティングリソースに対する要求を軽減してアクセスすることができる。使用者に対する要求の軽減は、多様な情報源の検索に関連する、臨床医の誤りを低減するのに役立つ。コンピューティングリソースに対する要求の軽減は、広範にわたる腫瘍学データを提供するのに必要とされる、プロセッサーの消費電力、ネットワークのバンド帯域、及びメモリを低減するのに役立ち、これは、コンピューティング技術の改善である。
【0143】
図1Bは、患者102についての情報を含有する、例示的なGUI 150についてのブロック図を示す。GUI 150は、患者102についての、異なるタイプの情報をもたらす、個別の部分を含み得る。例示的なGUI 150は、以下の部分:患者情報部分152、分子機能(MF)ポートレイト部分160、臨床試験情報部分162、免疫療法部分154、有効性予測因子部分156、及び標的療法選択部分158を含む。
【0144】
患者情報部分152は、患者及び患者のがんについての一般的な情報を提供し得る。患者についての一般的な情報は、患者の氏名及び生年月日、患者の健康保険提供元、並びに住所及び電話番号等、患者についての連絡先の情報等の情報を含み得る。患者のがんについての一般的な情報は、患者の診断、患者の再発歴及び/又は寛解歴、並びに患者のがんの病期に関する情報を含み得る。患者情報部分152はまた、患者のための潜在的な処置選択肢及び/又は既に投与された処置に関する情報も提供し得る。
【0145】
分子機能(MF)ポートレイト部分160は、その分子の及び細胞組成、並びに腫瘍内及び/又は周囲に存在する生物学的過程に関する、腫瘍についての、グラフによる描示を指す、腫瘍分子機能ポートレイト(MFプロファイル)を含み得る。
【0146】
臨床試験情報部分162は、患者へと投与される可能性があり、かつ/又は投与される治療のための、臨床試験に関する情報を含み得る。臨床試験情報部分162は、進行中の臨床試験又は完了した臨床試験についての情報を提供し得る。臨床試験情報部分162に提供され得る情報は、投与量及び投与レジメン、臨床試験に参加する患者の数及び診断、並びに患者の転帰等、臨床試験において使用される治療に関する情報を含み得る。
【0147】
免疫療法部分154は、免疫療法に関するので、患者特異的情報を含み得る。免疫療法部分154は、異なる免疫療法、例えば、免疫チェックポイント遮断療法、抗がんワクチン療法、及びT細胞療法についてのこのような情報を提供し得る。免疫療法に関する患者特異的情報は、免疫療法に関連する、患者のバイオマーカー等、患者についての情報、及び/又は患者の腫瘍内の免疫細胞の組成等、患者のがんについての情報を含み得る。
【0148】
有効性予測因子部分156は、免疫療法部分154で提示された患者特異的情報に基づき、免疫療法に対する患者の予測される応答を示す情報を含み得る。有効性予測因子部分156は、一部の実施形態では、本明細書に記載のように患者のバイオマーカーを使用して決定される、免疫療法の予測有効性を提供することができる。それに加えて又はその代わりに、有効性予測因子部分156は、遺伝子発現データ等の患者特異的情報を使用して決定される、免疫チェックポイント遮断療法の予測有効性を提供することができる。
【0149】
標的療法選択部分158は、標的療法に関するので、患者特異的情報を含み得る。標的療法選択部分158は、異なる標的療法、例えば、キナーゼ阻害剤療法、化学療法、及び抗がん性抗体療法についてのこのような情報を提供し得る。標的療法に関する患者特異的情報は、標的療法に関連する、患者のバイオマーカー等、患者についての情報、及び/又は突然変異が、患者の腫瘍内に存在するのかどうか等、患者のがんについての情報を含み得る。
【0150】
図1Bのグラフィカルユーザインターフェース150の例示的な例を、図1Cのグラフィカルユーザインターフェース170として示す。図1Cに示す通り、患者情報部分172は、異なるパネル内、例えば、全般的ステータスパネル内、疾患特徴パネル内、及び一般的推奨パネル内に、異なる情報を提供し得る。一部の実施形態では、全般的ステータスパネルは、患者の氏名及び患者の年齢等、患者についての一般的な情報を提供し得る。一部の実施形態では、疾患特徴パネルは、がんのタイプ及びがんの病期等、患者のがんについての情報を提供し得る。一部の実施形態では、一般的推奨パネルは、患者について、かつての処置及び可能な処置選択肢を提供し得る。
【0151】
臨床試験情報部分182aは、抗PD1療法についての臨床試験に関する情報を提供する。臨床試験情報部分182a(上部分において示される)は、抗PD1療法、及びワクチン療法又はIFNα療法等の他の療法について、患者の全奏効率(ORR)を提示するグラフを示す。使用者は、臨床試験情報部分182aの部分を選択して、患者の無進行生存(PFS)及び/又は患者の全生存(OS)に関する情報にアクセスすることができる。臨床試験情報部分182a(下部分において示される)は、使用者へと提示され得る、異なる臨床試験に関する情報であって、臨床試験についての簡単な記載を含む情報を提供する。
【0152】
臨床試験情報部分182bは、異なる標的療法についての臨床試験に関する情報を提供する。臨床試験情報部分182b(上部分において示される)は、スニチニブ(SU)、イマチニブ(IM)、ベムラフェニブ(VER)、及びダブラフェニブ(DAB)を含む、異なる標的療法について、患者の全奏効率(ORR)を提示するグラフを示す。使用者は、臨床試験情報部分182bの部分を選択して、患者の無進行生存(PFS)及び/又は患者の全生存(OS)に関する情報にアクセスすることができる。臨床試験情報部分182b(下部分において示される)は、使用者へと提示され得る、異なる臨床試験に関する情報であって、臨床試験についての簡単な記載を含む情報を提供する。
【0153】
免疫療法部分174は、免疫療法に関連する患者特異的情報、及びこの免疫療法に対する、患者の予測される応答を示す情報を提供する。免疫療法部分174は、抗PD1療法、治療的がんワクチン、IFNα療法、IL2療法、抗CTLA4療法、及び抗血管新生療法についてのこのような情報を提供する。免疫療法部分174に示される患者特異的情報は、多様な免疫療法に関する、患者のバイオマーカー情報、及びそれらのバイオマーカーから計算される、患者の治療スコアを含む。
【0154】
有効性予測因子部分176aは、免疫療法部分174で提示された患者特異的情報に基づき、抗PD1療法に対する、患者の予測される応答を示す情報を提供する。有効性予測因子部分176bは、免疫療法部分174で提示された患者特異的情報に基づき、抗CTLA4療法に対する、患者の予測される応答を示す情報を提供する。
【0155】
標的療法選択部分178は、標的療法に関連する患者特異的情報、及び標的療法に対する、患者の予測される応答を示す情報を提供する。標的療法選択部分178は、スニチニブ(SU)、イマチニブ(IM)、ベムラフェニブ(VER)、ダブラフェニブ(DAB)、トラメチニブ、及びパゾパニブについてのこのような情報を提供する。標的療法部分178に示される患者特異的情報は、多様な標的療法に関する、患者のバイオマーカー情報、及びそれらのバイオマーカーから計算される、患者の治療スコアを含む。
【0156】
本明細書で記載される技術についての実施形態のうちのいずれかとの関連で使用され得る、コンピュータシステム1500の例示的な実装を、図15に示す。コンピュータシステム1500は、1つ又は複数のコンピュータハードウェアプロセッサー1510、及び非一時的なコンピュータ読取り可能な記憶媒体(例えば、メモリ1520及び1つ又は複数の非揮発性記憶デバイス1530)を含む、1つ又は複数の製品を含み得る。プロセッサー1510は、メモリ1520及び非揮発性記憶デバイス1530への、データの書込み、並びにこれらからのデータの読取りを、任意の適切な形で制御し得る。本明細書で記載される機能性のうちのいずれかを実施するために、プロセッサー1510は、プロセッサー1510による実行のための、プロセッサー実行可能な命令を保存する、非一時的なコンピュータ読取り可能な記憶媒体として用いられ得る、1つ又は複数の非一時的なコンピュータ読取り可能な記憶媒体(例えば、メモリ1520)内に保存された、1つ又は複数のプロセッサー実行可能な命令を実行し得る。
【0157】
図2Aは、本明細書に記載の技術の一部の実施形態による、正規化バイオマーカースコアに基づき複数の療法の療法スコアを決定するための例示的なコンピュータ実装方法200のフローチャートである。本明細書で提供される療法スコアは、特定の療法と関連するバイオマーカーの患者の正規化バイオマーカースコアに基づき、特定の療法に対する患者の応答を示すことができる。方法200は、任意の適切なコンピューティングデバイスにより実施することができる。例えば、方法200は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、クラウドコンピューティング環境内の、1つ又は複数のサーバー、又は他の任意の適切な形で実施することができる。
【0158】
方法200は、対象の配列決定データを得る工程202から始まる。任意のタイプの配列決定データ、例えば、患者の腫瘍生検のトランスクリプトーム、エクソーム、及び/又はゲノム配列決定からの配列決定データを得ることができる。一部の実施形態では、配列決定データの取得は、対象から得られる生物学的試料から及び/又はそのような情報を格納するデータベースから配列決定データを得ることを含む。配列決定データの取得に関する更なる態様は、「試料分析」及び「バイオマーカー情報の取得」の節に提供されている。
【0159】
次に、方法200は、工程204へと進み、複数の療法と関連するバイオマーカーの値の分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする。一部の実施形態では、複数の療法の各特定の1つについて、特定の療法と関連する1つ又は複数のバイオマーカーの各1つの、対応する値の分布(参照集団における)を示す情報にアクセスしてもよい。そのようなバイオマーカー情報は、一部の実施形態では、1つ又は複数のデータベースから得ることができる。
【0160】
次に、方法200は、工程206へと進み、工程202で得られた配列決定データ及び工程204で得られたバイオマーカー情報を使用して、対象の正規化バイオマーカースコアを決定する。対象の正規化バイオマーカースコアは、一部の実施形態では、任意の数の参照対象に由来する任意の数のバイオマーカーを含むバイオマーカーの参照サブセットを使用して決定される。このように、対象のバイオマーカースコアは、バイオマーカーの参照サブセット中のバイオマーカー値の分布に基づいて、共通の尺度に調整される(例えば、正規化される)。正規化バイオマーカースコアの決定に関する更なる態様は、「バイオマーカー値から正規化バイオマーカースコアへ」の節に提供されている。
【0161】
次に、方法200は工程208へと進み、複数の療法の各特定の1つの療法スコアを、各特定の1つの療法と関連するバイオマーカーの正規化バイオマーカースコアに基づいて決定する。療法スコアは、複数の正規化バイオマーカースコアを加重和としての合計として使用し、線形又は一般線形モデルを使用して、統計モデルを使用して、又はそれらの組合せで算出することができる。療法スコアは、任意の好適な数の正規化バイオマーカースコア、例えば、2、10、50、又は100個の正規化バイオマーカースコアを使用して算出することができる。療法スコアの決定に関する更なる態様は、「療法応答の予測」の節に提供されている。
【0162】
任意の数の療法の療法スコアは、一部の実施形態では、報告書で、電子メールにより使用者に送付することで、及び/又は任意の他の好適な様式で情報を表示することを含む、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)で情報を使用者に表示することにより、使用者に対して出力することができる。例えば、療法スコア及び他の患者関連情報は、図9~14に示されているようなGUIで使用者に提供することができる。
【0163】
本明細書に記載のシステム及び方法を使用して、療法の効力を経時的に評価することができる。そのようなシステム及び方法は、候補療法の投与前及び投与後に得られた患者のバイオマーカー情報に基づいて患者に対する候補療法の効果を示す候補療法の効果スコアを決定することを含む。
【0164】
図2Bは、本明細書に記載の技術の一部の実施形態による、第1及び第2の正規化バイオマーカースコアを使用して候補療法の効果スコアを決定するための例示的なコンピュータ実装方法220のフローチャートである。本明細書で提供される効果スコアは、治療前、治療中、及び/又は治療後に得られた患者の正規化バイオマーカースコアに基づいて、候補療法に対する患者の経時的な応答を示す。一部の実施形態では、第1の正規化バイオマーカースコアは治療前に得てもよく、第2の正規化バイオマーカースコアは治療中及び/又は治療後に得てもよい。
【0165】
方法220は、候補療法の投与前に対象の第1の配列決定データを得る工程222から始まる。治療前の対象の配列決定データは、治療前の任意の期間にその対象から得られる任意の配列決定データを含む。任意のタイプの配列決定データ、例えば、患者の腫瘍生検のトランスクリプトーム、エクソーム、及び/又はゲノム配列決定からの配列決定データを得ることができる。対象の配列決定データは、治療の数分前、数日前、数カ月前、又は数年前に得てもよい。配列決定データの取得に関する更なる態様は、「試料分析」の節に提供されている。
【0166】
次に、方法220は、工程224に進み、候補療法の投与後に対象の第2の配列決定データを得る。治療後の対象の配列決定データは、治療後の任意の期間にその対象から得られる任意の配列決定データを含む。対象の配列決定データは、治療の数分後、数日後、数カ月後、又は数年後に得てもよい。第2の配列決定データは、治療前に得られた第1の配列決定データとは異なるタイプの配列決定データであってもよい。配列決定データの取得に関する更なる態様は、「試料分析」の節に提供されている。
【0167】
次に、方法220は、工程226へと進み、候補療法と関連する複数のバイオマーカーの各々の値の分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする。バイオマーカー情報へのアクセスは、1つ又は複数のデータベースからを含む、様々な情報源から候補療法と関連するバイオマーカー情報を得ることを含む。候補療法と関連するバイオマーカー情報は、療法の投与前及び/又は療法の投与後に対象から得ることができる。
【0168】
次に、方法220は、工程228へと進み、第1及び第2の配列決定データ並びにバイオマーカー情報を使用して、対象の第1及び第2の正規化バイオマーカースコアを決定する。対象の第1及び第2の正規化バイオマーカースコアは、一部の実施形態では、複数の参照対象中の同じバイオマーカーのバイオマーカー値のセットを含むバイオマーカーの参照サブセットを使用して決定される。このように、対象の第1及び第2のバイオマーカースコアは、バイオマーカーの参照サブセット中のバイオマーカー値の分布に基づいて、共通の尺度に調整される(例えば、正規化される)。正規化バイオマーカースコアの決定に関する更なる態様は、「バイオマーカー値から正規化バイオマーカースコアへ」の節に提供されている。
【0169】
次に、方法220は、工程230へと進み、第1及び第2の正規化バイオマーカースコアに基づいて、候補療法の効果スコアを決定する。そのような効果スコアは、一部の実施形態では、候補療法の有効性を示すことができる。一部の実施形態では、効果スコアを使用して、追加の療法を選択し、進行中の療法の投与を中止し、及び/又は進行中の療法が患者に投与されている様式を調整することができる。効果スコアの決定に関する更なる態様は、「効果スコア」の節に提供されている。
【0170】
任意の数の及び/又は任意のタイプの候補療法の効果スコアは、一部の実施形態では、報告書で、電子メールにより使用者に送付することで、及び/又は任意の他の好適な様式で情報を表示すること含む、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)で情報を使用者に表示することにより、使用者に対して出力することができる。例えば、効果スコア及び他の患者関連情報は、図9~14に示されているようなGUIで使用者に提供することができる。
【0171】
本明細書に記載のシステム及び方法は、単一のバイオマーカー分析により提供されるものよりも、療法に対する患者の応答のより正確な予測を提供する複数のバイオマーカー分析を提供する。
【0172】
図2Cは、本明細書に記載の技術の一部の実施形態による、少なくとも3つのバイオマーカーの対応する正規化バイオマーカースコアに基づき、少なくとも2つの選択された療法の療法スコアを決定するための例示的なコンピュータ実装方法240のフローチャートである。任意の好適なタイプの選択された療法の療法スコアを決定することができる。例えば、免疫チェックポイント遮断療法(例えば、抗PD1療法)及びキナーゼ阻害剤療法(例えば、スニチニブ)の療法スコアを決定することができる。別の例では、2つの異なる免疫チェックポイント遮断療法(例えば、抗PD1療法及び抗CTLA4療法)の療法スコアを決定することができる。また、療法スコアは、任意のタイプの3つのバイオマーカーを使用して決定することができる。例えば、療法スコアは、少なくとも3つの異なる遺伝子バイオマーカーから決定してもよく、又は療法スコアは、遺伝子バイオマーカー、細胞バイオマーカー、及び発現バイオマーカーから決定してもよい。
【0173】
方法240は、対象の配列決定データを得る工程242から始まる。任意のタイプの配列決定データ、例えば、患者の腫瘍生検のトランスクリプトーム、エクソーム、及び/又はゲノム配列決定からの配列決定データを得ることができる。一部の実施形態では、配列決定データの取得は、対象から得られる生物学的試料から及び/又はそのような情報を格納するデータベースから配列決定データを得ることを含む。配列決定データの取得に関する更なる態様は、「試料分析」の節に提供されている。
【0174】
次に、方法240は、工程244へと進み、少なくとも2つの療法と関連する少なくとも3つのバイオマーカーの値の分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする。各療法について、各特定の療法と関連する少なくとも3つのバイオマーカーの各々の値の分布を示す情報にアクセスすることができる。したがって、一部の実施形態では、少なくとも6つの値の分布にアクセスすることができる(例えば、第1の選択された療法と関連する3つのバイオマーカーの少なくとも3つバイオマーカー値分布、及び第2の選択された療法と関連する3つのバイオマーカーの少なくとも3つのバイオマーカー値分布)。バイオマーカー情報へのアクセスは、1つ又は複数のデータベースを含む様々な情報源からバイオマーカー情報を得ることを含んでいてもよい。
【0175】
次に、方法240は、工程246へと進み、工程242で得られた配列決定データ及び工程244で得られたバイオマーカー情報を使用して、対象の第1及び第2の一組の正規化バイオマーカースコアを決定する。対象の第1及び第2の一組の正規化バイオマーカースコアは、一部の実施形態では、複数の参照対象中の同じバイオマーカーのバイオマーカー値のセットを含むバイオマーカーの参照サブセットを使用して決定される。このように、対象の第1及び第2の一組のバイオマーカースコアは、バイオマーカーの参照サブセット中のバイオマーカー値の分布に基づいて共通の尺度に調整される(例えば、正規化される)。第1の一組のバイオマーカーは1つの療法と関連し、第2の一組のバイオマーカーは別の療法と関連するため、第1及び第2の一組の正規化バイオマーカーは、例えば、バイオマーカーの数及び/又はバイオマーカーのタイプが互いに異なっていてもよい。例えば、第1の一組の正規化バイオマーカースコアは、第1の療法と関連していてもよく、第2の一組の正規化バイオマーカースコアは、第2の療法と関連していてもよい。正規化バイオマーカースコアの決定に関する更なる態様は、「バイオマーカー値から正規化バイオマーカースコアへ」の節に提供されている。次に、方法240は工程248へと進み、各療法の少なくとも3つの正規化バイオマーカースコアに基づいて、少なくとも2つの療法の療法スコアを決定する。療法スコアは、少なくとも3つの正規化バイオマーカースコアを加重和としての合計として使用し、線形又は一般線形モデルを使用して、統計モデルを使用して、又はそれらの組合せで算出することができる。療法スコアは、任意の好適な数の正規化バイオマーカースコア、例えば、2、10、50、又は100個の正規化バイオマーカースコアを使用して算出することができる。療法スコアの決定に関する更なる態様は、「療法応答の予測」の節に提供されている。
【0176】
療法スコアの決定に使用される少なくとも2つの療法の療法スコア及び/又はバイオマーカー情報は、一部の実施形態では、報告書で、電子メールにより使用者に送付することで、及び/又は任意の他の好適な様式で情報を表示すること含む、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)で情報を使用者に表示することにより、使用者に対して出力することができる。例えば、療法スコア及び他の患者関連情報は、図9~14に示されているようなGUIで使用者に提供することができる。
【0177】
本明細書に記載のシステム及び方法は、特定の療法の1つよりも多くの療法スコアの決定を提供する。例えば、第1の療法について第1及び第2の療法スコアを決定することができ、第2の療法について第1及び第2の療法スコアを決定することができる。
【0178】
図2Dは、本明細書に記載の技術の一部の実施形態による、正規化バイオマーカースコアに基づいて、それぞれ第1及び第2の療法の第1及び第2の療法スコアを決定するための例示的なコンピュータ実装方法260のフローチャートである。第1及び第2の療法スコアは、異なるバイオマーカー又はバイオマーカーの異なる組合せを使用して決定することができる。例えば、第1の療法スコアは、患者の遺伝子バイオマーカーに基づいて決定され、第2の療法スコアは、患者の発現バイオマーカーに基づく。別の例では、第1の療法スコアは、患者の遺伝子バイオマーカーに基づいて決定され、第2の療法スコアは、患者の遺伝子バイオマーカー及び発現バイオマーカーに基づく。異なる療法及び/又は異なるタイプの療法について第1及び第2の療法スコアを決定することができる。例えば、免疫チェックポイント遮断療法(例えば、抗PD1療法)及びキナーゼ阻害剤療法(例えば、スニチニブ)について第1及び第2の療法スコアを決定することができる。別の例では、2つの異なる免疫チェックポイント遮断療法(例えば、抗PD1療法及び抗CTLA4療法)について第1及び第2の療法スコアを決定することができる。
【0179】
方法260は、対象の配列決定データを得る工程262から始まる。任意のタイプの配列決定データ、例えば、患者の腫瘍生検のトランスクリプトーム、エクソーム、及び/又はゲノム配列決定からの配列決定データを得ることができる。一部の実施形態では、配列決定データの取得は、対象から得られた生物学的試料から及び/又はそのような情報を格納するデータベースから配列決定データを得ることを含む。配列決定データの取得に関する更なる態様は、「試料分析」の節に提供されている。
【0180】
次に、方法260は、工程264へと進み、ここでバイオマーカー情報は、少なくとも2つの療法と関連するバイオマーカーの値の分布を示す。一部の実施形態では、第1の療法と関連する1つ又は複数のバイオマーカーの各々について、値の分布を示す情報を得、第1の療法とは異なる第2の療法と関連する1つ又は複数のバイオマーカーの各々について、値の分布を示す情報を得る。バイオマーカー情報へのアクセスは、例えば、1つ又は複数のデータベースを含む様々な情報源からバイオマーカー情報を得ることを含んでいてもよい。
【0181】
次に、方法260は、工程266へと進み、工程262で得られた配列決定データ及び工程264で得られたバイオマーカー情報を使用して、対象の第1及び第2の一組の正規化バイオマーカースコアを決定する。対象の第1の一組の及び第2の一組の正規化バイオマーカースコアは、一部の実施形態では、複数の参照対象中の同じバイオマーカーのバイオマーカー値のセットを含むバイオマーカーの参照サブセットを使用して決定される。このように、対象の第1の一組の及び第2の一組のバイオマーカースコアは、バイオマーカーの参照サブセット中のバイオマーカー値の分布に基づいて、共通の尺度に調整される(例えば、正規化される)。第1の一組のバイオマーカーは1つの療法と関連し、第2の一組のバイオマーカーは別の療法と関連するため、第1及び第2の一組の正規化バイオマーカーは、例えば、バイオマーカーの数及び/又はバイオマーカーのタイプが互いに異なっていてもよい。正規化バイオマーカースコアの決定に関する更なる態様は、「バイオマーカー値から正規化バイオマーカースコアへ」の節に提供されている。
【0182】
次に、方法260は工程268へと進み、各療法の正規化バイオマーカースコアに基づいて、第1及び第2の療法の第1及び第2の療法スコアを決定する。療法スコアは、正規化バイオマーカースコアを加重和としての合計として使用し、線形又は一般線形モデルを使用して、統計モデルを使用して、又はそれらの組合せで算出することができる。療法スコアは、任意の好適な数の正規化バイオマーカースコア、例えば、2、10、50、又は100個の正規化バイオマーカースコアを使用して算出することができる。療法スコアの決定に関する更なる態様は、「療法応答の予測」の節に提供されている。
【0183】
療法スコアの決定に使用される第1及び第2の療法の第1及び第2の療法スコア及び/又はバイオマーカー情報は、一部の実施形態では、報告書で、電子メールにより使用者に送付することで、及び/又は任意の他の好適な様式で情報を表示すること含む、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)で情報を使用者に表示することにより、使用者に対して出力することができる。例えば、療法スコア及び他の患者関連情報は、図9~14に示されているようなGUIで使用者に提供することができる。
【0184】
本明細書に記載のシステム及び方法を使用して、本明細書に記載のように患者のバイオマーカーを使用して決定されたその療法に対する患者の予測応答に基づいて、特定の療法の臨床治験のために患者を選択することができる。本明細書に記載のシステム及び方法を使用して、患者を、臨床治験参加のコホートのメンバーあると特定することができる。
【0185】
図2Eは、本明細書に記載の技術の一部の実施形態により、正規化バイオマーカースコアを使用して、対象をコホートのメンバーとして特定するための例示的なコンピュータ実装方法280のフローチャートである。任意のタイプの療法、例えば、化学療法、免疫療法、抗体療法、及び/又はそれらの任意の組合せの臨床治験のコホートのメンバーであるとして、対象を特定することができる。治療を施されることになるコホートのメンバー又はプラセボを施されることになるコホートのメンバーであるとして、患者を特定することができる。一部の実施形態では、患者を、コホートのメンバーではないと特定することができ、したがって臨床治験参加から除外することができる。患者は、一部の実施形態では、そうした患者が、本明細書に記載のように患者のバイオマーカー及び/又は患者の遺伝子発現データを使用して決定された療法に対して有害反応を示すと予測されている場合、臨床治験から除外することができる。
【0186】
方法280は、対象の配列決定データを得る工程282から始まる。任意のタイプの配列決定データ、例えば、患者の腫瘍生検のトランスクリプトーム、エクソーム、及び/又はゲノム配列決定からの配列決定データを得ることができる。一部の実施形態では、配列決定データの取得は、対象から得られる生物学的試料から及び/又はそのような情報を格納するデータベースから配列決定データを得ることを含む。配列決定データの取得に関する更なる態様は、「試料分析」の節に提供されている。
【0187】
次に、方法280は、工程284へと進み、療法と関連する1つ又は複数のバイオマーカーの各々の値の分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする。バイオマーカー情報へのアクセスは、様々な情報源、例えば1つ又は複数のデータベースからバイオマーカー情報を得ることを含んでいてもよい。
【0188】
次に、方法280は、工程286へと進み、配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、対象の正規化バイオマーカースコアを決定する。対象の正規化バイオマーカースコアは、一部の実施形態では、複数の参照対象中の同じバイオマーカーのバイオマーカー値のセットを含むバイオマーカーの参照サブセットを使用して決定される。このように、対象のバイオマーカースコアは、バイオマーカーの参照サブセット中のバイオマーカー値の分布に基づいて、共通の尺度に調整される(例えば、正規化される)。正規化バイオマーカースコアの決定に関する更なる態様は、「バイオマーカー値から正規化バイオマーカースコアへ」の節に提供されている。
【0189】
次に、方法280は、工程288へと進み、バイオマーカースコアを使用して、対象が臨床治験参加のコホートのメンバーであると特定する。特定された対象は、一部の実施形態では、臨床治験で投与されている療法に対して肯定的に応答する可能性が高い対象であり得る。そのような情報は、一部の実施形態では、報告書の情報、電子メールで使用者に送付する情報、及び/又は任意の他の好適な様式の情報を含む、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)で情報を使用者に表示することにより、使用者に対して出力することができる。
【0190】
このように、患者を、患者のバイオマーカースコアに基づいて臨床治験参加について特定及び選択することができる。また、患者、例えば、療法に対して肯定的に応答する可能性が低いと予測される患者、及び/又は療法に対して有害反応を示すと予測される患者を、臨床治験から除外するために特定することができる。
【0191】
予測療法応答又は効果スコアの提示
一部の実施形態では、ソフトウェアプログラムは、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を使用して、患者のバイオマーカー値(例えば、バイオマーカースコア及び/又は療法スコア及び/又は効果スコア)及び1つ又は複数の療法の予測される有効性又は決定された有効性に関する情報を提示する視覚的表示を使用者に提供することができる。
【0192】
起動されると、対話型GUIは、ソフトウェアプログラムの使用者に、患者のバイオマーカー値及び/又はバイオマーカーに関する追加情報の視覚的表示を提供することができる。図6A~6Cは、そのような情報をソフトウェアプログラムの使用者に提示するスクリーンショットである。
【0193】
図6Aは、患者を治療するために使用することができる異なる免疫療法と関連する患者のバイオマーカー情報を提示するスクリーンショットである。陰影は、-1から1までの勾配で正規化バイオマーカー値を反映する。陰影強度は、バイオマーカー値が増加すると共に増加する。正のバイオマーカー値には、負のバイオマーカー値と区別するために、線付きの陰影が割り当てられている。バイオマーカーの数的「加重」は、ブロックの幅で反映されており、より大きなブロック幅は、より高い数的加重を示す。
【0194】
図6Aに示されているように、抗PD1療法では、正のスコアを有するより多数のバイオマーカーが算出され、抗PD1療法は患者に肯定的な治療効果をもたらすことが予測されることを示した。対照的に、抗VEGF療法では、負スコアを有するより多数のバイオマーカーが算出され、抗VEGF療法は患者に否定的な治療効果をもたらすことが予測されることを示した。患者によっては、特定の療法について、正のバイオマーカー及び負のバイオマーカーの数が同様である場合がある。そのような場合では、患者に対するその療法の治療効果は予測できない(つまり、正確には予測できない)。また、特定の療法についてバイオマーカー値が中間である場合、患者に対するその療法の治療効果は予測できない(つまり、正確には予測できない)ことを示す場合がある。
【0195】
図6Bは、図6Aに示されている正規化バイオマーカー値を使用して算出された療法スコアを例示する視覚的表示である。負の療法スコアは、y軸の左側に示されており、正の療法スコアは、y軸の右側に示されている。また、正の療法スコアは、線付きの陰影により負の療法スコアと区別される。
【0196】
使用者は、GUIと対話して、バイオマーカーに関する追加情報を得ることができる。図6Cは、各バイオマーカーに関する情報、及びそのバイオマーカーに関する患者特異的情報を提示するスクリーンショットである。提示された情報は、左から右に、各バイオマーカーを表すブロック、バイオマーカーの説明、バイオマーカー値の分布を示すグラフ、及び「高」、「低」、又は「中間」としてのバイオマーカー値の一般的説明を含む。グラフの矢印は、患者のバイオマーカー値を示す。一部の実施形態では、正規化バイオマーカースコアは、正規化バイオマーカースコアが、値の分布の上位閾値パーセント(例えば、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%)である場合、高スコアとして表記することができる。一部の実施形態では、正規化バイオマーカースコアは、正規化バイオマーカースコアが、値の分布の下位閾値パーセント(例えば、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%)である場合、低スコアとして表記することができる。ある特定の実施形態では、正規化バイオマーカースコアは、値の分布の上位閾値又は下位閾値にない場合、中間であるとみなすことができる。
【0197】
図9は、ソフトウェアプログラムの使用者へと示され得る、異なるタイプの画面を例示するグラフである。図9に例示される、異なる画面の各々を使用して、異なるタイプの情報を、使用者へと提示することができる。ソフトウェアプログラムの制御画面のスクリーンショットを、図9の中央部に示す。制御画面は、処置の選択、腫瘍の特性、及び処置の有効性についての臨床エビデンスに関する情報を提示する部分を含み、図10図15との関連でも更に記載される。
【0198】
使用者は、制御画面とインタラクトして、例えば、免疫療法の選択、標的療法の選択、組合せ療法のデザイン、腫瘍特性及び腫瘍微小環境、標的療法の有効性の臨床エビデンス、並びに免疫療法の有効性の臨床エビデンスについての更なる情報を得ることができる。使用者は、制御画面の部分(例えば、免疫療法部分)を選択して、1つ又は複数の、更なる選択部分に関する情報を提示する画面を検討することができる。図9に示す通り、矢印は、選択され得る制御画面の部分から、選択された部分に関する更なる情報を提示する画面を指示する。
【0199】
例えば、使用者は、制御画面の免疫療法選択部分を選択して、多様な免疫療法、免疫療法に関連するバイオマーカー(例えば、遺伝子バイオマーカー、細胞バイオマーカー、及び発現バイオマーカー)、患者の腫瘍の免疫細胞特性、及び臨床試験(例えば、公表された臨床試験及び進行中の臨床試験に由来する情報並びに/又はこれらに関する情報)に関する情報を提示する、1つ又は複数の画面を検討することができる。
【0200】
別の例では、使用者は、制御画面の標的療法選択部分を選択して、多様な標的療法、標的療法に関連するバイオマーカー(例えば、遺伝子バイオマーカー、細胞バイオマーカー、及び発現バイオマーカー)、標的療法に関連する患者の腫瘍特性、及び臨床試験(例えば、公表された臨床試験及び進行中の臨床試験に由来する情報並びに/又はこれらに関する情報)に関する情報を提示する、1つ又は複数の画面を検討することができる。
【0201】
別の例では、使用者は、制御画面の分子機能ポートレイト(MFプロファイル)部分を選択して、患者の腫瘍微小環境に関する情報を提示する、1つ又は複数の画面を検討することができる。このような情報は、腫瘍特性(例えば、増殖速度)、血管新生、転移、細胞組成、がん関連線維芽細胞、腫瘍促進性免疫環境、及び抗腫瘍免疫環についての情報を含み得る。
【0202】
更に別の例では、使用者は、制御画面の、処置有効性の臨床エビデンス部分を選択して、1つ又は複数の療法(例えば、免疫療法又は標的療法)に関する情報を提示する画面を検討することができる。このような情報は、療法についての記載、療法の有効性、潜在的な有害作用、関連の刊行物、処置レジメン、及び患者生存データを含み得る。
【0203】
更なる例では、使用者は、コントロール画面の部分を選択して、1つ又は複数の候補療法の効果スコアと関連する1つ又は複数の画面を見ることができ、効果スコアは、1つ又は複数の候補療法の投与に対する対象の応答を示す。
【0204】
ソフトウェアプログラムの使用者は、GUIとインタラクトして、ソフトウェアプログラムにログインすることができる。使用者は、保存された報告書を選択して、選択された報告書に関する情報を提示する画面を検討することができる。使用者は、新たな報告書の創出部分を選択して、新たな報告書を創出するための画面を検討することができる。
【0205】
図10は、患者の配列決定データ、患者、及び患者のがんに関する情報を含む、選択された患者の報告書を提示するスクリーンショットである。治療バイオマーカー部分(左パネルにおいて示される)は、選択された患者における、利用可能な治療(例えば、免疫療法及び標的療法)及びそれらの予測される有効性に関する情報を提示する。患者における治療の有効性についての更なる予測については、マシン予測因子部分及び更なる部分(左パネルにおいて示される)に提示する。MFプロファイル部分は、腫瘍遺伝学、腫瘍促進微小環境因子、及び抗腫瘍免疫応答因子を含む、腫瘍の分子特徴(中パネルにおいて示される)に関する情報を提示する。臨床試験部分は、臨床試験(右パネルにおいて示される)に関する情報を提供する。単剤療法又は組合せ療法部分(中パネルにおいて示される)は、患者についての個別化処置を、インタラクティブでデザインするように、使用者により選択され得る。
【0206】
使用者は、画面の多様な部分を選択して、更なる情報を検討することができる。例えば、使用者は、画面の免疫療法バイオマーカー部分の中の抗PD1(左パネルにおいて示される)を選択して、抗PD1処置に関する情報であって、抗PD1に関連するバイオマーカー、及び抗PD1処置に関連する腫瘍細胞過程を含む情報を検討することができる。
【0207】
図11は、抗PD1免疫療法に関する情報を提示するスクリーンショットであって、画面の免疫療法バイオマーカー部分(左パネルにおいて示される)内の、抗PD1免疫療法(強調表示により示される)を選択することに応答して提供されるスクリーンショットである。抗PD1免疫療法に関連するバイオマーカーに関する情報は、バイオマーカー部分(右パネルにおいて示される)に提供される。バイオマーカー部分は、遺伝子バイオマーカー、細胞バイオマーカー、及び発現バイオマーカーのほか、これらのバイオマーカーに関する患者特異的情報を提示する。
【0208】
使用者は、バイオマーカー部分で提示されたバイオマーカーのうちのいずれか1つを選択して、このバイオマーカーに関する更なる情報であって、選択されたバイオマーカーについての一般的情報、選択されたバイオマーカーに関する患者特異的情報、選択されたバイオマーカーに関連する腫瘍分子過程に関する情報、及び選択されたバイオマーカーに関連する、処置に関する情報を含む情報を検討することができる。
【0209】
使用者による選択に応答して、選択されたバイオマーカーは、視覚的に強調することができる。非限定的な例の組として述べると、「視覚的に強調された」要素は、フォントの差違を通して(例えば、斜字体にすること、太字にすること、及び/又は下線を付すことにより)、一部を視覚的オブジェクト(例えば、ボックス)で囲うことにより、要素を「ポップアウト表示する」ことにより(例えば、この要素に対する拡大率を増大させることにより)、要素の色を変化させることにより、要素に影を付すことにより、要素へと動きを組み込むことにより(例えば、要素を動かすことにより)、要素の一部若しくは全体における前出の任意の組合せにより、又は他の任意の適する形で強調することができる。図12は、突然変異負荷バイオマーカー(強調表示により示される)が、使用者により選択されたことを提示するスクリーンショットである。使用者は、突然変異負荷バイオマーカーの別の部分を選択して、重要な刊行物等、突然変異負荷バイオマーカーに関する情報を提示する画面を検討することができる。
【0210】
図13は、突然変異負荷バイオマーカー(中パネルにおいて示される)に関する情報(右パネルにおいて示される)を提示するスクリーンショットであって、突然変異負荷バイオマーカーを選択する使用者に応答して提供されるスクリーンショットである。情報は、バイオマーカーについての記載、バイオマーカーがどのようにして計算されたのか、他の患者と比較した、患者の特定のバイオマーカー値(ヒストグラムにおいて示される)、及び選択されたバイオマーカーに関する刊行物に由来する情報を含み得る。
【0211】
システムは、治療に対する応答の予測に関するので、使用者が、バイオマーカー情報を、インタラクティブで検討することを可能とする。治療(例えば、免疫療法又は標的療法)についての処置有効性の臨床エビデンスは、使用者のインタラクティブで検討され得る。
【0212】
図14は、使用者による抗PD1免疫療法(左パネルに示されている)の選択に応じて提供される、ステージIVの転移性黒色腫を有する患者の抗PD1療法有効性に関する臨床治験データ(右パネルに示されている)を提示するスクリーンショットである。
【0213】
療法の治療剤及び方法
本明細書に記載のある特定の方法又はシステムでは、対象(例えば、ヒト)に対して、療法の投与に関する推奨はなされない。本明細書で記載される、ある特定の方法では、有効量の、本明細書で記載される抗がん治療を、適切な経路(例えば、静脈内投与)を介して、処置を必要とする対象(例えば、ヒト)へと投与するか、又はこれへの投与のために推奨することができる。
【0214】
本明細書で記載される方法により処置される対象は、がんを有するか、がんを有することが疑われるか、又はがんに対する危険性があるヒト患者であり得る。がんの例は、黒色腫、肺がん、脳がん、乳がん、結腸直腸がん、膵臓がん、肝臓がん、前立腺がん、皮膚がん、腎臓がん、膀胱がん、又は前立腺がんを含むがこれらに限定されない。本明細書で記載される方法により処置される対象は、哺乳動物(例えば、ヒトであり得る)であり得る。哺乳動物は、農場動物(例えば、家畜)、競技動物、実験動物、愛玩動物、霊長動物、ウマ、イヌ、ネコ、マウス、及びラットを含み得るがこれらに限定されない。
【0215】
がんを有する対象は、規定の医学的検査、例えば、実験室検査、生検、PETスキャン、CTスキャン、又は超音波により特定することができる。がんを有することが疑われる対象は、障害の1つ又は複数の症状、例えば、説明不能の体重減少、発熱、疲労感、咳、疼痛、皮膚の変化、異常な出血若しくは分泌物、及び/又は体内の部分における肥厚若しくは塊を示し得るであろう。がんに対する危険性がある対象は、この障害に対する危険性因子のうちの1又は複数を有する対象であり得る。例えば、がんに関連する危険性因子は、(a)ウイルス感染(例えば、ヘルペスウイルス感染)、(b)年齢、(c)家族歴、(d)大量のアルコール摂取、(e)肥満、及び(f)喫煙を含むがこれらに限定されない。
【0216】
任意の抗がん療法又は抗がん治療剤を、本明細書に記載の方法及びシステムと共に使用することができる。一部の実施形態では、抗がん治療剤は、抗体、免疫療法剤、分子標的療法剤、放射線治療、手術療法、及び/又は化学療法剤である。
【0217】
抗体による抗がん剤の例は、アレムツズマブ(Campath)、トラスツズマブ(Herceptin)、イブリツモマブチウキセタン(Zevalin)、ブレンツキシマブベドチン(Adcetris)、Ado-トラスツズマブエムタンシン(Kadcyla)、ブリナツモマブ(Blincyto)、ベバシズマブ(Avastin)、セツキシマブ(Erbitux)、イピリムマブ(Yervoy)、ニボルマブ(Opdivo)、ペムブロリズマブ(Keytruda)、アテゾリズマブ(Tecentriq)、アベルマブ(Bavencio)、ヅルバルマブ(Imfinzi)、及びパニツムマブ(Vectibix)を含むがこれらに限定されない。
【0218】
免疫療法の例は、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤、CTLA-4阻害剤、養子細胞移入、治療的がんワクチン、腫瘍溶解性ウイルス療法、T細胞療法、及び免疫チェックポイント阻害剤を含むがこれらに限定されない。
【0219】
分子標的療法剤の例としては、これらに限定されないが、以下:ユプロセルチブ、アレクチニブ、クリゾチニブ、アリセルチブ、バラセルチブ、ギルテリチニブ、ナビトクラックス、ボスチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ポナチニブ、イマチニブ、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、エンコラフェニブ、アカラブルチニブ、イブルチニブ、ベラパミル、タクロリムス、アベマシクリブ、リボシクリブ、パルボシクリブ、セレコキシブ、アプリコキシブ、セリネキソール、プレリキサフォル、ピノメトスタット、ロシレチニブ、ピロチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、バルリチニブ、イコチニブ、ラパチニブ、ネラチニブ、タゼメトスタット、ティピファニブ、ドビチニブ、ルシタニブ、エルダフィチニブ、クレノラニブ、アトルバスタチン、オナレスピブ、エナシデニブ、シタグリプチン、ルキソリチニブ、トファシチニブ、イダサヌトリン、セルメチニブ、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、フォレチニブ、カプマチニブ、チバンチニブ、ボリチニブ、ビスツセルチブ、エベロリムス、シロリムス、トルキニブ(Torkinib)、テムシロリムス、リダホロリムス、メトホルミン、アピトリシブ、ダクトリシブ、ブロンチクツズマブ、オマベロキソロン(Omaveloxolone)、ダコミチニブ、サピチニブ、ポジオチニブ、カボザンチニブ、レゴラフェニブ、レスタウルチニブ、ミドスタウリン、ニンテダニブ、ペキシダルチニブ、キザルチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、バンデタニブ、エントレクチニブ、パゾパニブ、マシチニブ、アンロチニブ、ブリガチニブ、オラパリブ、アパチニブ、ニラパリブ、ルカパリブ、ベリパリブ、ロフルミラスト、イデラリシブ、コパンリシブ、ブパルリシブ、タセリシブ、ピクチリシブ、ウンブラリシブ(Umbralisib)、ズベリシブ(Duvelisib)、アルペリシブ、ボラセルチブ、ビスモデギブ、ソニデギブ、サラカチニブ、エントスプレチニブ、フォスタマチニブ、セルデュラチニブ(Cerdulatinib)、ラロトレクチニブ、オーラノフィン、アキシチニブ、セジラニブ、レンバチニブ、及びアルボシジブが挙げられる。
【0220】
放射線療法の例は、イオン化放射線、ガンマ-放射線、中性子ビーム放射線療法、電子ビーム放射線療法、プロトン療法、小線源療法、全身放射性同位元素、及び放射線増感剤を含むがこれらに限定されない。
【0221】
外科療法の例は、治癒的手術(例えば、腫瘍除去手術)、防止的手術、腹腔鏡手術、及びレーザー手術を含むがこれらに限定されない。
【0222】
化学療法剤の例は、カルボプラチン又はシスプラチン、ドセタキセル、ゲムシタビン、Nab-パクリタキセル、パクリタキセル、ペメトレキセド、及びビノレルビンを含むがこれらに限定されない。
【0223】
化学療法の更なる例は、カルボプラチン、オキサリプラチン、シスプラチン、ネダプラチン、サトラプチン、ロバプラチン、トリプラチン、四硝酸、ピコプラチン、プロリンダック、アロプラチン及び他の誘導体等の白金化剤;カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン/SN38、ルビテカン、ベロテカン及び他の誘導体等のトポイソメラーゼI阻害剤;エトポシド(VP-16)、ダウノルビシン、ドキソルビシン剤(例えば、ドキソルビシン、ドキソルビシン塩酸塩、ドキソルビシン類似体、又はリポソーム内のドキソルビシン及びその塩若しくは類似体)、ミトキサントロン、アクラルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アムルビシン、アムサクリン、ピラルビシン、バルルビシン、ゾルビシン、テニポシド、及び他の誘導体等のトポイソメラーゼII阻害剤;葉酸ファミリー(メトトレキサート、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、アミノプテリン、及びこれらの類縁体又は誘導体);プリンアンタゴニスト(チオグアニン、フルダラビン、クラドリビン、6-メルカプトプリン、ペントスタチン、クロファラビン、及びこれらの類縁体又は誘導体)及びピリミジンアンタゴニスト(シタラビン、フロクスウリジン、アザシチジン、テガフール、カルモフール、カパシタビン、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、5-フルオロウラシル(5FU)、及びこれらの類縁体又は誘導体)等の代謝拮抗剤;窒素マスタード(例えば、シクロホスファミド、メルファラン、クロランブシル、メクロレタミン、イホスファミド、メクロレタミン、トロホスファミド、プレドニムスチン、ベンダムスチン、ウラムスチン、エストラムスチン、及びこれらの類縁体又は誘導体);ニトロソウレア(例えば、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ホテムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、ストレプトゾシン、及びこれらの類縁体又は誘導体);トリアゼン(例えば、ダカルバジン、アルトレタミン、テモゾロミド、及びこれらの類縁体又は誘導体);スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン、マンノスルファン、トレオスルファン、及びこれらの類縁体又は誘導体);プロカルバジン;ミトブロニトール及びアジリジン(例えば、カルボコン、トリアジコン、チオテパ、トリエチレンマラミン、及びこれらの類縁体又は誘導体)等のアルキル化剤;ヒドロキシウレア、アントラサイクリン(例えば、ドキソル
ビシン薬剤、ダウノルビシン、エピルビシン、及びこれらの類縁体又は誘導体);アントラセンジオン(例えば、ミトキサントロン及びこれらの類縁体又は誘導体);ストレプトマイセス属(Streptomyces)ファミリーの抗生剤(例えば、ブレオマイシン、マイトマイシンC、アクチノマイシン、及びプリカマイシン)等の抗生剤;並びに紫外光を含むがこれらに限定されない。
【0224】
本明細書において使用される「有効量」とは、単独で、又は1つ又は複数の他の活性薬剤と組み合わせて、対象に治療効果を付与するのに要求される、各活性薬剤の量を指す。当業者により認識されている通り、有効量は、処置される特定の状態、状態の重症度、個々の患者のパラメーターであって、医療従事者の知見及び専門知識の範囲内にある、年齢、健康状態、体格、性別及び体重、処置の持続期間、併用療法(存在する場合)の性格、具体的な投与経路等の因子を含むパラメーターに応じて変動する。これらの因子は、当業者に周知であり、規定の実験だけにより対処され得る。個々の成分又はそれらの組合せの最大用量、すなわち、穏当な医学的判断に従う安全最高用量を使用することが一般に好ましい。しかし、当業者により、患者又は臨床医が、医学的理由、心理的理由、又は事実上他の任意の理由のために、低用量又は忍容可能用量を主張することが理解される。
【0225】
治療用化合物の半減期等、経験的な検討事項は一般に、投与量の決定に寄与する。例えば、抗体の半減期を延長し、抗体が宿主の免疫系に攻撃されることを防止するように、ヒト化抗体又は完全ヒト抗体等、ヒト免疫系に適合性の抗体を使用することができる。投与頻度は、治療の経過にわたり決定及び調整することができ、一般に(そうであるが、必ずしもそうではない)、がんの処置、及び/又は抑制、及び/又は改善、及び/又は遅延に基づく。代替的に、抗がん治療剤の持続放出製剤も、適切であり得る。当技術分野では、持続放出を達成するための、多様な製剤及びデバイスが公知である。
【0226】
一部の実施形態では、本明細書で記載される抗がん治療剤の投与量は、抗がん治療剤の1回以上の投与を施された個体において、経験的に決定することができる。個体には抗がん治療剤の投与量を漸増させて施すことができる。投与される抗がん治療剤の有効性を評価するために、がんの1つ又は複数の側面(例えば、腫瘍の形成又は腫瘍の増殖)について分析することができる。
【0227】
一般に、本明細書で記載される抗がん性抗体のうちのいずれかを投与するための、初期候補投与量は、約2mg/kgであり得る。本開示の目的で、典型的な毎日の投与量は、上記で言及した因子に応じて、約0.1μg/kg~3μg/kg~30μg/kg~300μg/kg~3mg/kg~30mg/kg~100mg/kg、又はこれを超える投与量のうちのいずれかの範囲であり得るであろう。数日間又はこれを超える繰返し投与では、状態に応じて、症状の所望の抑制又は改善が生じるまで、又はがん若しくはその1つ又は複数の症状を緩和するのに十分な治療レベルが達成されるまで、処置を持続する。例示的な投与レジメンは、約2mg/kgの初期用量、その後毎週の維持用量約1mg/kgの抗体、又はその後隔週の維持用量約1mg/kgを投与することを含む。しかし、他の投与レジメンも、医療従事者(例えば、医師)が達成したいと望む薬物動態的減衰のパターンに応じて、有用であり得る。例えば、毎週1~4回の投与が想定される。一部の実施形態では、約3μg/mg~約2mg/kg(約3μg/mg、約10μg/mg、約30μg/mg、約100μg/mg、約300μg/mg、約1mg/kg、及び約2mg/kg等)の範囲の投与を使用することができる。一部の実施形態では、投与頻度は、毎週、2週間ごと、4週間ごと、5週間ごと、6週間ごと、7週間ごと、8週間ごと、9週間ごと、若しくは10週間ごと1回;又は毎月、2カ月ごと、若しくは3カ月ごと、又はこれより長い間隔ごと1回である。この治療の進捗状況は、従来の技法及びアッセイにより、かつ/又は本明細書で記載される疾患又はがんの進行をモニタリングすることにより、容易にモニタリングされる。投与レジメン(使用される治療剤を含む)は、時間と共に変動し得る。
【0228】
抗がん治療剤が、抗体ではない場合は、患者の体重1kg当たり約0.1~300mgの割合で、1~3回の投与に分けて、又は本明細書で開示される通りに投与することができる。一部の実施形態では、通常の体重の成人患者に、約0.3~5.00mg/kgの範囲の用量を投与することができる。特定の投与レジメン、例えば、用量、タイミング、及び/又は反復回数は、特定の対象及びこの個人の診療履歴のほか、個別の薬剤の特性(薬剤の半減期、及び当技術分野で周知の他の検討事項)に依存するであろう。
【0229】
本開示の目的で、抗がん治療剤の適切な投与量は、援用される特異的抗がん治療剤(又はその組成物)、がんのタイプ及び重症度、抗がん治療剤が防止目的で投与されるのか、治療目的で投与されるのか、既往の治療、患者の臨床歴及び抗がん治療剤への応答、並びに主治医の判断に依存するであろう。典型的に、臨床医は、所望の結果を達成する投与量に到達するまで、抗体等の抗がん治療剤を投与するであろう。
【0230】
抗がん治療剤の投与は、例えば、レシピエントの生理学的状態、投与の目的が、治療的であるのか、予防的であるのか、及び当業者に公知の他の因子に応じて、連続的な場合もあり、間欠的な場合もある。抗がん治療剤(例えば、抗がん性抗体)の投与は、あらかじめ選択された期間にわたり、本質的に連続的な場合もあり、例えば、がんの発症前、発症時、又は発症後における、間隔を置いた一連の投与の場合もある。
【0231】
本明細書において使用される「~を処置すること」という用語は、1つ又は複数の活性薬剤を含む組成物の、がん、がんの症状、又はがんに対する素因を有する対象への、がん、1つ又は複数のがんの症状、又はがんに対する素因を治癒させるか、治すか、緩和するか、和らげるか、変更するか、修復するか、改善する(ameliorate)か、改善する(improve)か、又はこれらに影響を及ぼすことを目的とする適用又は投与を指す。一部の実施形態では、本明細書の方法及びシステムは、治療自体ではなく治療の推奨を含んでいてもよい。一部の実施形態では、治療の推奨はなされないだろう。ある特定の実施形態では、1つ又は複数の潜在的な治療を、それらの予測される有効性及び/又は対象若しくは患者転帰により「順位付け」又は比較することができる。ある特定の実施形態では、1つ又は複数の潜在的な治療は、それらの予測される有効性及び/又は対象若しくは患者転帰により「順位付け」又は比較されないだろう。一部の実施形態では、患者の療法に関する情報(例えば、療法スコア)が出力されるだろう。特定の実施形態では、そのような情報を、使用者(例えば、医師又は臨床医)に対して出力することができる。
【0232】
がんの緩和は、疾患の発症又は進行を遅延させること、又は疾患重症度(例えば、少なくとも1つのパラメーター)を低減することを含む。疾患を緩和することは、必ずしも、治癒結果を要求しない。本明細書で使用される、疾患(例えば、がん)の発症「を遅延させること」とは、疾患の進行を延期し、妨害し、遅らせ、妨げ、安定化させ、かつ/又は先送りすることを意味する。この遅延は、処置される疾患及び/又は個体の履歴に応じて、時間の長さが変動する場合がある。疾患の発症若しくは進行を「遅延」若しくは緩和するか又は疾患の1つ若しくは複数の合併症の発症を遅延させる方法は、その方法を使用しない場合と比較して、所与の時間枠にて疾患の1つ又は複数の症状が発症する確率を低減する、及び/又は所与の時間枠にて症状の程度を低減する方法である。このような比較は、統計学的に有意な結果をもたらすのに十分な多数の対象を使用する臨床研究に基づくことが典型的である。
【0233】
疾患の「発症」又は「進行」とは、疾患の初期の発現及び/又はその後の進行を意味する。疾患の発症は、当技術分野で公知の、臨床法を使用して、検出及び評価することができる。代替的に、又は当技術分野で公知の臨床法に加えて、疾患の発症は、本明細書で記載されるバイオマーカーに基づき、検出及び評価することもできる。しかし、発症とはまた、検出不能であり得る進行も指す。本開示の目的で、発症又は進行とは、症状の生物学的経過を指す。「発症」は、発生、再発、及び発病を含む。本明細書で使用される、がんの「発病」又は「発生」は、初期の発病及び/又は再発を含む。
【0234】
一部の実施形態では、本明細書で記載される抗がん治療剤(例えば、抗体)を、がん(例えば、腫瘍)の増殖を、少なくとも10%(例えば、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はこれを超えて)低減するのに十分な量で、処置を必要とする対象へと投与する。一部の実施形態では、本明細書で記載される抗がん治療剤(例えば、抗体)を、がん細胞の数又は腫瘍のサイズを、少なくとも10%(例えば、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はこれを超えて)低減するのに十分な量で、処置を必要とする対象へと投与する。他の実施形態では、抗がん治療剤は、がんタイプの変更(例えば、より重度からより軽度のタイプへと、又はより悪い予後からより良好な予後へと)に有効な量で投与される。代替的に、抗がん治療剤を、腫瘍の形成、サイズ、又は転移の低減に有効な量で投与する。
【0235】
医療技術分野の当業者に公知である、従来の方法を使用して、処置される疾患のタイプ又は疾患の部位に応じて、抗がん治療剤を対象へと投与することができる。抗がん治療剤はまた、他の従来の経路を介して、例えば、経口投与、非経口投与することもでき、吸入スプレーにより投与することもでき、局所投与、直腸内投与、鼻腔内投与、口腔内投与、膣内投与することもでき、植込み式リザーバーを介して投与することもできる。本明細書で使用される「非経口」という用語は、皮下注射法又は皮下注入法、皮内注射法又は皮内注入法、静脈内注射法又は静脈内注入法、筋内注射法又は筋内注入法、関節内注射法又は関節内注入法、動脈内注射法又は動脈内注入法、滑膜内注射法又は滑膜内注入法、胸骨下注射法又は胸骨下注入法、髄腔内注射法又は髄腔内注入法、病変内注射法又は病変内注入法、及び頭蓋内注射法又は頭蓋内注入法を含む。加えて、抗がん治療剤は、対象へと、1カ月、3カ月、若しくは6カ月にわたるデポ剤注射用の材料及び方法、又は生体分解性の材料及び方法等を使用する、注射用デポ剤の投与経路を介して投与することもできる。
【0236】
注射用組成物は、植物油、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、乳酸エチル、炭酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、エタノール、及びポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)等、多様な担体を含有し得る。静脈内注射のためには、水溶性の抗がん治療剤を、点滴法により投与することができ、これにより、抗体と生理学的に許容される賦形剤とを含有する医薬製剤を注入する。生理学的に許容される賦形剤は、例えば、5%のテキストロース、0.9%の生理食塩液、リンゲル液、又は他の適切な賦形剤を含み得る。筋内調製物、例えば、抗がん治療剤の適切な可溶性塩形態による滅菌製剤は、注射用水、0.9%の生理食塩液、又は5%のグルコース溶液等の医薬賦形剤中に溶解させ、投与することができる。
【0237】
一実施形態では、部位特異的局所送達法又は標的局所送達法を介して、抗がん治療剤を投与する。部位特異的局所送達法又は標的局所送達法の例は、薬剤の多様な植込み式デポ剤供給源、又は注入用カテーテル、留置用カテーテル、若しくは注射針付きカテーテル等の局所送達カテーテル、合成グラフト、外膜ラップ、シャント及びステント又は他の植込み式デバイス、部位特異的担体、直接的注射、或いは直接的適用を含む。例えば、この目的で、参照によりそれらの各々の内容が本明細書に組み込まれる、PCT公開第WO00/53211号及び米国特許第5,981,568号を参照されたい。
【0238】
アンチセンスポリヌクレオチド、発現ベクター、又はサブゲノムポリヌクレオチドを含有する治療用組成物の標的送達もまた使用することができる。受容体媒介型DNA送達法については、例えば、Findeisら、Trends Biotechnol.(1993)、11:202;Chiouら、「Gene Therapeutics: Methods And Applications Of Direct Gene Transfer」(J. A. Wolff編)(1994);Wuら、J. Biol. Chem.(1988)、263:621;Wuら、J. Biol. Chem.(1994)、269:542;Zenkeら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA(1990)、87:3655;Wuら、J. Biol. Chem.(1991)、266:338において記載されている。前出の各々の内容は、この目的で、参照により本明細書に組み込まれる。
【0239】
ポリヌクレオチドを含有する治療用組成物は、遺伝子治療プロトコールにおける局所投与のために、約100ng~約200mgのDNAの範囲で投与することができる。一部の実施形態では、約500ng~約50mg、約1μg~約2mg、約5μg~約500μg、及び約20μg~約100μg、又はこれを超えるDNAの濃度範囲もまた、遺伝子治療プロトコールにおいて使用することができる。
【0240】
治療用ポリヌクレオチド及び治療用ポリペプチドは、遺伝子送達媒体を使用して送達することができる。遺伝子送達媒体は、ウイルス由来の場合もあり、非ウイルス由来の場合もある(例えば、Jolly、Cancer Gene Therapy(1994)、1:51;Kimura、Human Gene Therapy(1994)、5:845;Connelly、Human Gene Therapy(1995)、1:185;及びKaplitt、Nature Genetics(1994)、6:148)。前出の各々の内容は、この目的で、参照により本明細書に組み込まれる。このようなコード配列の発現は、内因性の哺乳動物プロモーター及び/若しくは哺乳動物エンハンサー、又は異種プロモーター及び/若しくは異種エンハンサーを使用して誘導することができる。コード配列の発現は、構成的な場合もあり、調節的な場合もある。
【0241】
当技術分野では、所望のポリヌクレオチドを送達し、所望の細胞内で発現させるためのウイルスベースのベクターが周知である。例示的なウイルスベースの媒体は、組換えレトロウイルス(例えば、PCT公開第WO90/07936号;同第WO94/03622号;同第WO93/25698号;同第WO93/25234号;同第WO93/11230号;同第WO93/10218号;同第WO91/02805号;米国特許第5,219,740号及び同第4,777,127号;英国特許第2,200,651号;及び欧州特許第0345242号を参照されたい)、アルファウイルスベースのベクター(例えば、シンドビスウイルスベクター、セムリキ森林ウイルス(ATCC VR-67;ATCC VR-1247)、ロスリバーrウイルス(ATCC VR-373;ATCC VR-1246)、及びベネズエラウマ脳炎ウイルス(ATCC VR-923;ATCC VR-1250;ATCC VR1249;ATCC VR-532))、及びアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(例えば、PCT公開第WO94/12649号、同第WO93/03769号;同第WO93/19191号;同第WO94/28938号;同第WO95/11984号;及び同第WO95/00655号を参照されたい)を含むがこれらに限定されない。Curiel、Hum. Gene Ther.(1992)、3:147において記載されている通り、死滅させたアデノウイルスへと連結されたDNAの投与もまた、援用することができる。前出の各々の内容は、この目的で、参照により本明細書に組み込まれる。
【0242】
死滅させたアデノウイルス単独へと連結されるか、又は連結されない、ポリカチオン性縮合DNA(例えば、Curiel、Hum. Gene Ther.(1992)、3:147を参照されたい);リガンド連結DNA(例えば、Wu、J. Biol. Chem. (1989) 264:16985を参照されたい);真核細胞による送達媒体細胞(例えば、米国特許第5,814,482号;PCT公開第WO95/07994号;同第WO96/17072号;同第WO95/30763号;及び同第WO97/423386号を参照されたい);及び核酸電荷の中和、又は細胞膜との融合を含むがこれらに限定されない、非ウイルス性送達媒体及び非ウイルス性送達法もまた、援用することができる。ネイキッドDNAもまた、援用することができる。例示的なネイキッドDNA導入法については、PCT公開第WO90/11092号及び米国特許第5,580,859号において記載されている。遺伝子送達媒体として作用し得るリポソームについては、米国特許第5,422,120号;PCT公開第WO95/13796号;同第WO94/23697号;同第WO91/14445号;及び欧州特許第0524968号において記載されている。更なる手法については、Philip、Mol. Cell. Biol.(1994)、14:2411、及びWoffendin、Proc. Natl. Acad. Sci.(1994)、91:1581において記載されている。前出の各々の内容は、この目的で、参照により本明細書に組み込まれる。
【0243】
また、発現ベクターを使用して、タンパク質ベースの抗がん治療剤(例えば、抗がん抗体)のうちのいずれかの発現を方向付け得ることも明らかである。例えば、当技術分野では、がんを引き起こす生物学的活性の遮断(部分的な遮断~完全な遮断)が可能なペプチド阻害剤が公知である。
【0244】
一部の実施形態では、抗体及び低分子阻害性化合物等、1つを超える抗がん治療剤を、処置を必要とする対象へと投与することができる。薬剤は、互いと同じタイプの場合もあり、異なるタイプの場合もある。少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、又は少なくとも5つの、異なる薬剤を同時投与することができる。一般に、投与のための抗がん剤は、互いに有害な影響を及ぼさない、相補的な活性を有する。抗がん治療剤はまた、薬剤の有効性を増強及び/又は補完するのに役立つ、他の薬剤と共に使用することもできる。
【0245】
患者の治療有効性は、治療前に本明細書に記載のように予測することができる。その代わりに又はそれに加えて、治療有効性は、治療の経過にわたって(例えば、治療前、治療中、及び治療後)、本明細書に記載のように予測及び/又は決定することができる。例えば、下記の実施例4及び実施例5を参照されたい。
【0246】
組合せ療法
単剤療法と比較して、処置法の組合せは、多くの研究において、高度な有効性を示したが、組み合わされる治療法の選出し、及び組合せ療法レジメンのデザインについては、依然として手探りのままである。今や、可能な組合せの数は、著しく大きいので、特定の患者についての客観的な情報に基づき、薬物及び治療法の組合せを選択する一助となるツールが、強く必要とされている。特異的組合せ療法をデザインするか、又は選択するための、本明細書で記載されるバイオマーカーの使用は、調製物の最適な組合せを選び出すための、科学的な基礎を確立する。
【0247】
上記で言及した通り、本明細書ではまた、抗がん治療剤、又は1つ又は複数の抗がん治療剤と、1つ又は複数の更なる治療(例えば、手術及び/又は放射線療法)との任意の組合せを使用して、がんを処置するか、又はがんを処置することを推奨する方法も提示される。本明細書で使用される組合せ療法という用語は、1つを超える処置(例えば、抗体及び低分子又は抗体及び放射線療法)の、逐次的な投与であって、各治療剤を、異なる時点において投与する逐次的な投与のほか、これらの治療剤、又は薬剤若しくは療法のうちの少なくとも2つの、実質的に同時的な投与を包摂する。
【0248】
各薬剤又は治療の、逐次的投与又は実質的に同時的な投与は、経口経路、静脈内経路、筋内、皮下経路、及び粘膜組織を通した直接的吸収を含むがこれらに限定されない、任意の適切な経路の影響を受ける場合がある。薬剤又は治療は、同じ経路により投与することもでき、異なる経路により投与することもできる。例えば、第1の薬剤(例えば、低分子)を、経口投与し、第2の薬剤(例えば、抗体)を、静脈内投与することができる。
【0249】
本明細書で使用される「逐次的」という用語は、そうでないことが指定されない限りにおいて、規則的な序列又は順序を特徴とすること、例えば、投与レジメンが、抗体及び低分子の投与を含む場合、逐次的投与レジメンは、低分子の投与の前、これと同時、実質的に同時、又はこの後における抗体の投与を含むが、いずれの薬剤も、規則的な序列又は順序で投与されることを意味する。「別個の」という用語は、そうでないことが指定されない限りにおいて、一方を、他方から隔てておくことを意味する。「同時に」という用語は、そうでないことが指定されない限りにおいて、同時に起こるか、又は同時になされること、すなわち、本開示の薬剤を、同時に投与することを意味する。「実質的に同時に」という用語薬剤を、投与された互いから数分間以内に(例えば、互いから10分間以内に)投与することを意味し、併合投与並びに連続投与を包摂することを意図するが、投与が連続的である場合、それを隔てる時間は、短時間(例えば、医療従事者が、2つの薬剤を、別個に投与するのに要する時間)であるに過ぎない。本明細書で使用される、共時的投与と、実質的に同時的投与とは、互換的に使用される。逐次的投与とは、本明細書で記載される薬剤又は治療の、時間的に隔てられた投与を指す。
【0250】
組合せ療法はまた、抗がん治療剤(例えば、抗体)の、他の生物学的有効成分(例えば、ビタミン)及び非薬物療法(例えば、手術又は放射線療法)と更に組み合わせた投与も包摂し得る。
【0251】
がんを処置するために、抗がん治療剤の任意の組合せを、任意の序列で使用し得ることを理解されたい。本明細書で記載される組合せは、バイオマーカーを変更すること、腫瘍の形成若しくは腫瘍の増殖を低減すること、及び/又は少なくとも1つの症状に関連するがんを緩和することの有効性、或いは組合せの別の薬剤の副作用を和らげる有効性を含むがこれらに限定されない、多数の因子に基づき選択され得る。例えば、本明細書で提示される組合せ療法は、各個別の組合せのメンバーに関連する副作用、例えば、投与される抗がん薬剤に関連する副作用のうちのいずれかを軽減し得る。
【実施例0252】
本明細書で記載されるシステム及び方法を、より完全に理解するために、以下の例を明示する。本出願で記載される例は、本明細書で提示される方法及びシステムを例示するために提供されるものであり、いかなる形であれ、それらの範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【0253】
(実施例1)
正規化バイオマーカー値の算出
バイオマーカーセットの取得
任意の数のバイオマーカーを使用し、本明細書で提供される技法を使用して、療法有効性を予測することができる。本明細書で使用されるバイオマーカーを、Table 1(表1)に示されている発表済みの臨床研究から得た。
【0254】
【表1】
【0255】
本例では、臨床的測定値(例えば、全生存率(OS)、無進行生存率(PFS)、客観的奏効率(ORR)等)により、特定の療法で治療された患者コホートを分割するバイオマーカーを使用した。例えば、抗PD1療法で治療された患者では、多数の突然変異を有する患者のPFSは14.5カ月であり、少数の突然変異を有する患者のPFSは3.6カ月であった。したがって、突然変異の数を、療法有効性を予測するためのパラメーターとして使用した。
【0256】
バイオマーカーは、バイオマーカーのパラメーター値が、療法応答の増加又は減少に対応するか否かに基づいて、正のバイオマーカー又は負のバイオマーカーのいずれかであると確定した。バイオマーカーは、肯定的な療法転帰と相関するそれらのバイオマーカーパラメーター値が高かった場合、正のバイオマーカーであると確定した。バイオマーカーは、否定的な療法転帰と相関するそれらのバイオマーカーパラメーター値が高かった場合、負のバイオマーカーであると確定した。
【0257】
各療法の一組のバイオマーカーは、Table 2(表2)に詳細に示されている。
【0258】
【表2A】
【0259】
【表2B】
【0260】
【表2C】
【0261】
【表2D】
【0262】
【表2E】
【0263】
正規化バイオマーカー値の算出
様々なパラメーター(例えば、T細胞数、MHCタンパク質発現、BRAF突然変異等)又はバイオマーカー「閾値」の値が明確に解釈できなかったパラメーターを分析するため、バイオマーカー値を正規化するための方法を開発した。正規化バイオマーカー値は、本明細書では「高」、「中」、及び「低」と記載し、数学的に高い値は1に対応し、数学的に低い値は-1に対応する。
【0264】
ある突然変異(例えば、BRAFV600E)等のデジタル特性を有するバイオマーカーを、二進法を使用して正規化し、バイオマーカーの存在は1に対応させ、バイオマーカーの非存在は0に対応させた。組織染色実験で決定されたもの等の、タンパク質発現と関連するバイオマーカーには、それらの対応する遺伝子発現を割り当てた(例えば、標的タンパク質には、標的mRNA発現レベルを割り当てた)。腫瘍微小環境(microenviroment)の細胞組成と関連するバイオマーカーを、RNAseqデータに基づくバイオインフォマティクス細胞デコンボリューションパッケージで再計算した(例えば、MCPcounter、CIBERSORT)。
【0265】
患者が腫瘍生検に基づいて診断された大規模患者コホートについて、正規化バイオマーカースコアを算出した。ヒトがん生検の公に利用可能なデータベースからデータを得、データを、大規模患者コホートについて算出されたバイオマーカー値の分布に従って、下記の式の1つを使用して特定の患者について正規化した。
【0266】
「高」及び「低」の正規化パラメーター値を、事前に定義された数学的関数を使用してパラメーター値のZ-スコアに基づき算出した。正規化パラメーター値は、Z-スコアに応じて-1から1まで範囲である。平均及び標準偏差は、患者が属していた大規模患者コホートのパラメーター値の以前に計算されていた分布から得た。
【0267】
関数は、パラメーターのゼロ値が分布の中央に入るように設定し、最も高い値を、分布の最上端のパラメーターに割り当てた。
ユニットステップ関数(unit step function)a):
【0268】
【数1】
【0269】
式中、C+カットオフ=「高」パラメーター値を表す正規化閾値であり、C-カットオフ=「低」パラメーター値を表す正規化閾値である。
又は
平坦化ユニットステップ関数(Flattened unit step function)b):
【0270】
【数2】
【0271】
式中、a>1=ユニットステップ関数の傾きを規定するパラメーターである。a>∞の場合、関数b)は関数a)へと変換される。
【0272】
閾値の値C+カットオフ(C-カットオフ)は、1(-1)と等しく、患者の15%が高バイオマーカー値を有し、患者の15%が低バイオマーカー値を有していた。計算に含まれるバイオマーカーに応じて、異なるカットオフを使用することができる。
【0273】
正規化の後、各バイオマーカーを同じ範囲スケールに変換した。したがって、1と等しい値は「高」パラメーター値を表し、-1と等しい値は「低」パラメーター値を表す。0と等しいか又は0に近いパラメーター値は、分布による中央値パラメーター値を反映する。大規模患者コホートのバイオマーカー値分布のグラフィカル表示は、図3に示されている。
【0274】
バイオマーカー有意性の確定
バイオマーカーには、バイオマーカーが大規模患者コホートから得られたか又は小規模患者コホートから得られたかに基づき、それらの予測有意性を示す加重を割り当てた。大規模患者コホートを使用した研究から得られたバイオマーカーは、より高い予測有意性を有する可能性があり、したがって、そうしたバイオマーカーの初期数値加重には、3を割り当てた。小規模患者コホートを使用した研究から得られたバイオマーカーは、より低い予測有意性を有する可能性があり、したがって、そうしたバイオマーカーの初期数値加重には、1を割り当てた。
【0275】
バイオマーカーには、療法に関するバイオマーカーの役割に基づいて、それらの予測有意性を示す加重を割り当てた。例えば、抗PD1療法による治療のバイオマーカーを分析する場合、PDL発現は、性別等の有意性のより低いバイオマーカーよりも高い数値加重を割り当てた有意なバイオマーカーであった。
【0276】
「加重」の点でのバイオマーカーの有意性は、専門家による評価又はバイオマーカーが特定された臨床研究により確定した。有意性又は加重は、バイオマーカー値で分けられた2つの患者コホートを分割する臨床測定値(例えば、患者転帰)に基づいていた。バイオマーカーの臨床転帰の違いが大きい場合(p値<0.01)、それには高い加重を割り当てた。バイオマーカーの臨床差異が最小限であった場合(0.01<p値<0.05)、バイオマーカー加重には低い加重を割り当てた。
【0277】
上述の代わりに又は上述に加えて、バイオマーカー有意性を、機械学習アルゴリズムを使用して一組のバイオマーカー内のバイオマーカーについて算出した。この手法は、データセットの広範な「トレーニング」を含んでいた。文献から得られた一組のバイオマーカーを数学的に試験して、バイオマーカーに手動で割り当てた加重を向上させた。このアルゴリズムは、有意なバイオマーカー及び非有意なバイオマーカーのリストをもたらした。非有意なバイオマーカーを、予測精度を喪失させずに初期セットから除外した。
【0278】
(実施例2)
バイオマーカーから算出された療法スコア
療法スコアを、それらの「加重」を掛けた正規化バイオマーカー値の合計を使用して、5人の患者について算出した。患者1及び患者2は、より多くの正のバイオマーカーを有し、したがってより高い療法スコアを有した(図4)。患者4は、同様の数の正及び負のバイオマーカーを有し、患者5は、中間値のバイオマーカーを有した。したがって、こうした患者の療法スコアはゼロであった(図4)。患者3は、より多数の負のバイオマーカーを有し、したがって負の療法スコアを有した(図4)。
【0279】
(実施例3)
療法スコアは治療応答を予測した
様々な療法の療法スコアを、抗PD1療法ペムブロリズマブに対するそれらの応答に関して、不応答性患者(患者1)及び応答性患者(患者2)について算出した。算出された療法スコアに基づくと、患者1は、抗CTLA4療法、IL-2療法、ワクチン療法、及びベバシズマブを含む他の治療に対して不応答性である可能性が高かった(図5)。しかしながら、患者1の療法スコアは、IFN-α療法に対して応答性である可能性が高いことを予測した(図5)。患者2の療法スコアは、各治療に対して応答性である可能性が高いことを予測した。こうした結果は、療法スコアが、療法に対する応答性及び不応答性を両方とも予測したことを実証する。
【0280】
療法スコアを、抗PD1療法データセット及び抗CTLA4データセットについて本明細書に記載のように算出した。正及び負のバイオマーカーの合計として算出されたより高い療法スコアを有する抗PD1療法で治療された患者は、療法に対して応答性である可能性がより高く、負の療法スコアを有する患者は、療法に対して応答性である可能性は低かった(図7A)。抗CTLA4療法で治療された患者でも同様の結果が得られた(図7B)。
【0281】
予測精度は、予測カットオフの使用により向上した。例えば、抗PD1療法データセットの分析は、予測率が、不応答カットオフがゼロ未満であった場合は73%、不応答カットオフが-1未満であった場合は88%であったことを示した(図7C)。同様に、予測率は、応答カットオフがゼロよりも大きかった場合は80%、応答カットオフが1よりも高かった場合は91%であった(図7C)。種々の療法のあるカットオフに基づく療法応答率予測は、表3に示されている。
【0282】
【表3】
【0283】
(実施例4)
バイオマーカー加重最適化は療法スコア予測精度を向上させた
Hugoらから得られた抗PD1療法データセットを使用して、バイオマーカー加重最適化を用いて算出された療法スコアの予測精度を、バイオマーカー加重最適化を用いずに算出されたものと比較した。バイオマーカー加重最適化を用いずに算出された療法スコアは、本研究では患者の73%で療法スコアを正確に算出した(図8A)。バイオマーカー加重最適化を用いた療法スコアの計算は、予測率を85%に向上させた。バイオマーカー加重最適化は、豊富に存在するバイオマーカーには、療法応答を予測するためにより高い重要性を割り当てたランダムフォレスト回帰を使用して特徴重要性を計算することを含んでいた(図8C)。バイオマーカー加重をロジスティク回帰モデルで再計算して、療法応答の最良の予測を得た(図8D)。
【0284】
(実施例5)
様々な療法について算出された療法スコア
様々な組合せのバイオマーカーを、様々な療法の療法スコアを算出するために使用した。抗PD1療法(Tables 4 to 5(表4~表5))、aCTLA4療法(Tables 6 to 7(表6~表7))、IFNα療法(Tables 9 to 10(表9~表10))、抗血管新生療法(Table 11(表11))で治療された各患者の正規化バイオマーカー値を算出した。
【0285】
【表4A】
【0286】
【表4B】
【0287】
【表5】
【0288】
【表6】
【0289】
【表7】
【0290】
【表8A】
【0291】
【表8B】
【0292】
【表9A】
【0293】
【表9B】
【0294】
【表10A】
【0295】
【表10B】
【0296】
【表11A】
【0297】
【表11B】
【0298】
参考文献
Hugoら、Genomic and Transcriptomic Features of Response to Anti-PD-1 Therapy in Metastatic Melanoma、Cell、165巻、35~44頁(2016年)
Van Allenら、Genomic Correlates of Response to CTLA-4 Blockade in Metastatic Melanoma、Science、350巻(6257号):302~22頁(2015年)
【0299】
例示的な実施形態
一態様では、本明細書には、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーと、バイオマーカー情報を格納する少なくとも1つのデータベースと、プロセッサー実行可能な命令を格納する少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体とを含むシステムであって、プロセッサー実行可能な命令は、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーにより実行されると、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーに、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、複数のバイオマーカーの各々は、複数の療法の少なくとも1つの療法と関連する、工程;配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、複数のバイオマーカーの少なくとも対象サブセットの各バイオマーカーの正規化スコアを決定して、対象の一組の正規化バイオマーカースコアを得る工程であって、複数のバイオマーカーの対象サブセットは、複数のバイオマーカーの参照サブセットのサブセットである、工程;及び対象の一組の正規化バイオマーカースコアを使用して、複数の療法の療法スコアを決定する工程であって、療法スコアの各々は、複数の療法の対応する療法の投与に対する対象の予測応答を示す、工程を実施させる、システムが提供される。
【0300】
一態様では、本明細書には、プロセッサー実行可能な命令を格納する少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体であって、プロセッサー実行可能な命令は、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーにより実行されると、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーに、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、複数のバイオマーカーの各々は、複数の療法の少なくとも1つの療法と関連する、工程;配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、複数のバイオマーカーの少なくとも対象サブセットの各バイオマーカーの正規化スコアを決定して、対象の一組の正規化バイオマーカースコアを得る工程であって、複数のバイオマーカーの対象サブセットは、複数のバイオマーカーの参照サブセットのサブセットである、工程;及び対象の一組の正規化バイオマーカースコアを使用して、複数の療法の療法スコアを決定する工程であって、療法スコアの各々は、複数の療法の対応する療法の投与に対する対象の予測応答を示す、工程を実施させる少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体が提供される。
【0301】
一態様では、本明細書には、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーを使用して、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、複数のバイオマーカーの各々は、複数の療法の少なくとも1つの療法と関連する、工程;配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、複数のバイオマーカーの少なくとも対象サブセットの各バイオマーカーの正規化スコアを決定して、対象の一組の正規化バイオマーカースコアを得る工程であって、複数のバイオマーカーの対象サブセットは、複数のバイオマーカーの参照サブセットのサブセットである、工程;及び対象の一組の正規化バイオマーカースコアを使用して、複数の療法の療法スコアを決定する工程であって、療法スコアの各々は、複数の療法の対応する療法の投与に対する対象の予測応答を示す、工程を実施する、工程を含む方法が提供される。
【0302】
一部の実施形態では、複数のバイオマーカーは、第1のバイオマーカーを含み、複数のバイオマーカーの少なくとも対象サブセットの各バイオマーカーの正規化スコアの決定は、第1のバイオマーカーの値の分布を使用して、第1のバイオマーカーの第1の正規化スコアを決定する工程を含む。一部の実施形態では、第1の正規化スコアの決定は、配列決定データを使用して第1のバイオマーカーの第1の未正規化スコアを決定する工程;第1のバイオマーカーの値の第1の分布に基づき、第1のZ-スコアを決定する工程;及び第1の未正規化スコア及び第1のZ-スコアに基づいて、第1のバイオマーカーの第1の正規化スコアを決定する工程を含む
【0303】
一部の実施形態では、複数の療法の療法スコアの決定は、複数の療法の第1の療法の第1の療法スコアを、対象の一組の正規化バイオマーカースコアの2つ又はそれよりも多くのスコアの合計として決定する工程を含む。
【0304】
一部の実施形態では、複数の療法の療法スコアの決定は、複数の療法の第1の療法の第1の療法スコアを、少なくとも部分的には、対象の一組の正規化バイオマーカースコアの2つ又はそれよりも多くのスコアの加重を決定すること、及び第1の療法スコアを、2つ又はそれよりも多くのスコアの加重和として決定し、和の被加数は、決定された加重により加重されていることにより決定する工程を含む。
【0305】
一部の実施形態では、加重の決定は、統計モデルを使用して加重を決定する工程を含む。一部の実施形態では、加重の決定は、一般線形モデルを使用して加重を決定する工程を含む。一部の実施形態では、加重の決定は、ロジスティック回帰モデルを使用して加重を決定する工程を含む。
【0306】
一部の実施形態では、複数の療法は、第1の療法及び第1の療法とは異なる第2の療法を含み、複数の療法の療法スコアの決定は、対象の一組の正規化バイオマーカースコアの第1のサブセットを使用して、第1の療法の第1の療法スコアを決定する工程;及び対象の一組の正規化バイオマーカースコアの第2のサブセットを使用して、第2の療法の第2の療法スコアを決定する工程であって、第2のサブセットは、第1のサブセットとは異なる、工程を含む。
【0307】
一部の実施形態は、決定された療法スコアを使用者に提供する工程を含む。一部の実施形態は、決定された療法スコアに基づいて複数の療法を順位付けする工程を含む。一部の実施形態は、決定された療法スコアに基づいて、対象のために、複数の療法の少なくとも1つを推奨する工程を含む。
【0308】
一部の実施形態では、複数の療法の少なくとも1つの推奨は、決定された療法スコアに基づいて複数の療法を順位付けする工程;及び対象のために、少なくとも閾値数の上位療法を推奨する工程を含む。
【0309】
一部の実施形態では、複数の療法は、抗PD1療法、抗CTLA4療法、IL-2療法、IFNアルファ療法、抗がんワクチン療法、抗血管新生療法、及び抗CD20療法からなる群から選択される少なくとも2つの療法を含む。
【0310】
一部の実施形態では、抗PD1療法と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)の抗PD1療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、対象の正規化バイオマーカースコアの決定は、Table 2(表2)の抗PD1療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の正規化スコアを決定する工程を含む。
【0311】
一部の実施形態では、抗CTLA4療法と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)の抗CTLA4療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、対象の正規化バイオマーカースコアの決定は、Table 2(表2)の抗CTLA4療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の正規化スコアを決定する工程を含む。
【0312】
一部の実施形態では、IL-2療法と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)のIL-2療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、対象の正規化バイオマーカースコアの決定は、Table 2(表2)のIL-2療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の正規化スコアを決定する工程を含む。
【0313】
一部の実施形態では、IFNアルファ療法と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)のIFNアルファ療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、対象の正規化バイオマーカースコアの決定は、Table 2(表2)のIFNアルファ療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の正規化スコアを決定する工程を含む。
【0314】
一部の実施形態では、抗がんワクチン療法と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)の抗がんワクチン療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、対象の正規化バイオマーカースコアの決定は、Table 2(表2)の抗がんワクチン療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の正規化スコアを決定する工程を含む。
【0315】
一部の実施形態では、抗血管新生療法と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)の抗血管新生療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、対象の正規化バイオマーカースコアの決定は、Table 2(表2)の抗血管新生療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の正規化スコアを決定する工程を含む。
【0316】
一部の実施形態では、抗CD20療法と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)の抗CD20療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、対象の正規化バイオマーカースコアの決定は、Table 2(表2)の抗CD20療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の正規化スコアを決定する工程を含む。一部の実施形態では、抗CD20療法はリツキシマブである。
【0317】
一部の実施形態は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を生成する工程であって、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)は、複数の療法の第1の療法と関連する第1の部分であって、第1の部分は、第1の複数のGUI要素を含み、第1の複数のGUI要素の各々は、複数のバイオマーカーの対応するバイオマーカーと関連し、第1の一組の正規化スコアの対応するバイオマーカーの正規化スコアに基づいて決定される少なくとも1つの視覚的特徴を有する、第1の部分、及び複数の療法の第2の療法と関連する第2の部分であって、第2の部分は、第1の複数のGUI要素とは異なる第2の複数のGUI要素を含み、第2の複数のGUI要素の各々は、複数のバイオマーカーの対応するバイオマーカーと関連し、第2の一組の正規化スコアの対応するバイオマーカーの正規化スコアに基づいて決定される少なくとも1つの視覚的特徴を有する、第2の部分を含む、工程;並びに生成されたGUIを表示する工程を更に含む。
【0318】
一部の実施形態では、少なくとも1つの視覚的な特徴は、GUI要素の色及び/又はGUI要素のサイズを含む。
【0319】
一部の実施形態では、GUIを介した第1の療法の使用者選択の受領に応答して、第1の複数のGUI要素の少なくとも1つが関連する少なくとも1つのバイオマーカーに関する情報を、GUIを介して提示する。
【0320】
一部の実施形態では、第1の療法は、第1の療法スコアと関連し、第2の療法は、第2の療法スコアと関連し、第1の部分及び第2の部分は、第1の療法スコア及び第2の療法スコアの相対的な大きさに基づき、互いに対してGUIに配置される。
【0321】
一部の実施形態では、複数のバイオマーカーの各々は、遺伝子バイオマーカー、細胞バイオマーカー、サッカライドバイオマーカー、脂質バイオマーカー、ヘテロ環バイオマーカー、元素化合物バイオマーカー、画像バイオマーカー、人類学的バイオマーカー、個人的習慣バイオマーカー、疾患状態バイオマーカー、及び発現バイオマーカーからなる群から選択される。一部の実施形態では、1つ又は複数の遺伝バイオマーカーは、本明細書及び/又は図面に記載されている遺伝子又はマーカーを含む。
【0322】
一部の実施形態では、1つ又は複数の遺伝バイオマーカーは、インターフェロン、細胞傷害性タンパク質、酵素、細胞接着タンパク質、細胞外マトリックスタンパク質及びポリサッカライド、細胞成長因子、細胞分化因子、転写因子、並びに細胞内シグナル伝達タンパク質からなる群から選択される。一部の実施形態では、1つ又は複数の遺伝子バイオマーカーは、サイトカイン、ケモカイン、ケモカイン受容体、及びインターロイキンからなる群から選択される。一部の実施形態では、1つ又は複数の細胞バイオマーカーの値は、生物学的試料内の1つ若しくは複数のタイプの細胞の数又は1つ若しくは複数のタイプの細胞のパーセンテージの分析により決定される。一部の実施形態では、1つ又は複数のタイプの細胞は、悪性がん性細胞、白血球、リンパ球、間質細胞、血管内皮細胞、血管周皮細胞、及び骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)からなる群から選択される。一部の実施形態では、1つ又は複数の発現バイオマーカーの値は、発現バイオマーカーの核酸又はタンパク質の発現レベル又は酵素活性の分析により決定される。
【0323】
一部の実施形態では、配列決定データは、DNA配列決定データ、RNA配列決定データ、又はプロテオーム配列決定データの1つ又は複数である。一部の実施形態では、配列決定データは、以下の技法:全ゲノム配列決定(WGS)、全エクソーム配列決定(WES)、全トランスクリプトーム配列決定、mRNA配列決定、DNA/RNAハイブリダイゼーション、マイクロアレイ、DNA/RNAチップ、PCR、及び一塩基多型(SNP)遺伝子型決定の1つ又は複数を使用して得られる。
【0324】
一部の実施形態では、少なくとも1つの生物学的試料の各々は、体液、細胞試料、液体生検、又は組織生検である。一部の実施形態では、組織生検は、がん性細胞を有することが判明しているか又は有する疑いのある1つ又は複数の腫瘍又は組織に由来する1つ又は複数の試料を含む。
【0325】
一部の実施形態では、バイオマーカー情報は、以下のタイプの分析:血液分析、血球計算分析、組織学的分析、免疫組織学的分析、及び患者履歴分析の1つ又は複数の結果も含む。
【0326】
一部の実施形態では、療法の各々は、手術、放射線治療、化学療法、免疫療法、ウイルス療法、標的療法、ホルモン療法、移植、光線療法、凍結療法、及び温熱療法からなる群から選択される。一部の実施形態では、療法の各々は、免疫療法及び標的療法から選択される。
【0327】
一部の実施形態では、療法スコアは、複数の療法の1つの療法の投与に対する対象の応答を示す。一部の実施形態では、療法スコアは、複数の療法中の複数の療法の投与に対する対象の予測応答を示す。
【0328】
一態様では、本明細書には、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーと、バイオマーカー情報を格納する少なくとも1つのデータベースと、プロセッサー実行可能な命令を格納する少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体とを含むシステムであって、プロセッサー実行可能な命令は、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーにより実行されると、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーに、候補療法を投与する前に、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する第1の配列決定データを得る工程;候補療法を投与した後に、対象の少なくとも1つの他の生物学的試料に関する第2の配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程;第1及び第2の配列決定データ並びにバイオマーカー情報を使用して、対象の第1の一組の正規化バイオマーカースコア及び対象の第2の一組の正規化バイオマーカースコアを決定する工程;及び対象の第1の一組の及び第2の一組の正規化バイオマーカースコアを使用して、候補療法の効果スコアを決定する工程であって、効果スコアは、候補療法の投与に対する対象の応答を示す、工程を実施させる、システムが提供される。
【0329】
一態様では、本明細書には、プロセッサー実行可能な命令を格納する少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体であって、プロセッサー実行可能な命令は、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーにより実行されると、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーに、候補療法を投与する前に、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する第1の配列決定データを得る工程;候補療法を投与した後に、対象の少なくとも1つの他の生物学的試料に関する第2の配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程;第1及び第2の配列決定データ並びにバイオマーカー情報を使用して、対象の第1の一組の正規化バイオマーカースコア及び対象の第2の一組の正規化バイオマーカースコアを決定する工程;及び対象の第1の一組の及び第2の一組の正規化バイオマーカースコアを使用して、候補療法の効果スコアを決定する工程であって、効果スコアは、候補療法の投与に対する対象の応答を示す、工程を実施させる少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体が提供される。
【0330】
一態様では、本明細書には、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーを使用して、候補療法を投与する前に、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する第1の配列決定データを得る工程;候補療法を投与した後に、対象の少なくとも1つの他の生物学的試料に関する第2の配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程;第1及び第2の配列決定データ並びにバイオマーカー情報を使用して、対象の第1の一組の正規化バイオマーカースコア及び対象の第2の一組の正規化バイオマーカースコアを決定する工程;及び対象の第1の一組の及び第2の一組の正規化バイオマーカースコアを使用して、候補療法の効果スコアを決定する工程であって、効果スコアは、候補療法の投与に対する対象の応答を示す、工程を実施する工程を含む方法が提供される。
【0331】
一部の実施形態では、候補療法の効果スコアの決定は、第1の一組の及び第2の一組の正規化バイオマーカースコアを使用して、複数のバイオマーカーの少なくとも対象サブセットの各バイオマーカーの差異スコアを決定して、対象の一組のバイオマーカー差異スコアを得る工程;及び一組のバイオマーカー差異スコアを使用して、候補療法の効果スコアを決定する工程を更に含む。
【0332】
一部の実施形態では、候補療法の効果スコアの決定は、第1の一組の及び第2の一組の正規化バイオマーカースコアを使用して、複数のバイオマーカーの対象サブセットの第1及び第2の対象サブセットスコアを決定して、対象サブセット差異スコアを決定する工程であって、対象サブセット差異スコアは、第1及び第2の対象サブセットスコアを使用して決定される、工程;対象サブセット差異スコアを使用して、候補療法の効果スコアを決定する工程を更に含む。
【0333】
一部の実施形態では、候補療法は、抗PD1療法、抗CTLA4療法、IL-2療法、IFNアルファ療法、抗がんワクチン療法、抗血管新生療法、及び抗CD20療法からなる群から選択される。
【0334】
一部の実施形態では、抗PD1療法と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)の抗PD1療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む。
【0335】
一部の実施形態では、対象のバイオマーカー差異スコアの決定は、Table 2(表2)の抗PD1療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の差異スコアを決定する工程を含む。
【0336】
一部の実施形態では、対象の対象サブセット差異スコアの決定は、Table 2(表2)の抗PD1療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの第1及び第2の対象サブセットスコアを決定する工程を含む。
【0337】
一部の実施形態では、抗CTLA4療法と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)の抗CTLA4療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、対象のバイオマーカー差異スコアの決定は、Table 2(表2)の抗CTLA4療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の差異スコアを決定する工程を含む。一部の実施形態では、対象の対象サブセット差異スコアの決定は、Table 2(表2)の抗CTLA4療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの第1及び第2の対象サブセットスコアを決定する工程を含む。
【0338】
一部の実施形態では、IL-2療法と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)のIL-2療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、対象のバイオマーカー差異スコアの決定は、Table 2(表2)のIL-2療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の差異スコアを決定する工程を含む。一部の実施形態では、対象の対象サブセット差異スコアの決定は、Table 2(表2)のIL-2療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの第1及び第2の対象サブセットスコアを決定する工程を含む。
【0339】
一部の実施形態では、IFNアルファ療法と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)のIFNアルファ療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、対象のバイオマーカー差異スコアの決定は、Table 2(表2)のIFNアルファ療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の差異スコアを決定する工程を含む。一部の実施形態では、対象の対象サブセット差異スコアの決定は、Table 2(表2)のIFNアルファ療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの第1及び第2の対象サブセットスコアを決定する工程を含む。
【0340】
一部の実施形態では、抗がんワクチン療法と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)の抗がんワクチン療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、対象のバイオマーカー差異スコアの決定は、Table 2(表2)の抗がんワクチン療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の差異スコアを決定する工程を含む。一部の実施形態では、対象の対象サブセット差異スコアの決定は、Table 2(表2)の抗がんワクチン療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの第1及び第2の対象サブセットスコアを決定する工程を含む。
【0341】
一部の実施形態では、抗血管新生療法と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)の抗血管新生療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、対象のバイオマーカー差異スコアの決定は、Table 2(表2)の抗血管新生療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の差異スコアを決定する工程を含む。一部の実施形態では、対象の対象サブセット差異スコアの決定は、Table 2(表2)の抗血管新生療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの第1及び第2の対象サブセットスコアを決定する工程を含む。
【0342】
一部の実施形態では、抗CD20療法と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)の抗CD20療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、対象のバイオマーカー差異スコアの決定は、Table 2(表2)の抗CD20療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの差異スコアを決定する工程を含む。一部の実施形態では、対象の対象サブセット差異スコアの決定は、Table 2(表2)の抗CD20療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの第1及び第2の対象サブセットスコアを決定する工程を含む。一部の実施形態では、抗CD20療法はリツキシマブである。
【0343】
一部の実施形態は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を生成する工程であって、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)は、候補療法と関連する第1の部分であって、第1の部分は、第1の複数のGUI要素を含み、第1の複数のGUI要素の各々は、複数のバイオマーカーの対応するバイオマーカーと関連し、対応するバイオマーカーの差異スコアに基づいて決定される少なくとも1つの視覚的特徴を有する、第1の部分を含む、工程;及び生成されたGUIを表示する工程を含む。
【0344】
一部の実施形態は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を生成する工程であって、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)は、候補療法と関連する第1の部分であって、第1の部分は、第1の複数のGUI要素を含み、第1の複数のGUI要素の各々は、複数のバイオマーカーの対応するバイオマーカーと関連し、対象サブセット差異スコアに基づいて決定される少なくとも1つの視覚的特徴を有する、第1の部分を含む、工程;及び生成されたGUIを表示する工程を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの視覚的な特徴は、GUI要素の色及び/又はGUI要素のサイズを含む。一部の実施形態は、GUIを介した候補療法の使用者選択の受領に応答して、第1の複数のGUI要素の少なくとも1つが関連する少なくとも1つのバイオマーカーに関する情報を、GUIを介して提示する工程を含む。
【0345】
一部の実施形態では、少なくとも対象サブセットの各バイオマーカーの差異スコアの決定は、第1の配列決定データを使用して、第1のバイオマーカーの第1の正規化スコアを決定する工程;第2の配列決定データを使用して、第1のバイオマーカーの第2の正規化スコアを決定する工程;及び第1及び第2の正規化スコア間の差異に基づいて第1の差異スコアを決定する工程を含む。
【0346】
一部の実施形態では、少なくとも対象サブセットの各バイオマーカーの差異スコアの決定は、第1の配列決定データを使用して、少なくとも3つのバイオマーカーの第1の対象サブセットスコアを決定する工程;第2の配列決定データを使用して、少なくとも3つのバイオマーカーの第2の対象サブセットスコアを決定する工程;並びに第1及び第2の並びに対象サブセットスコア間の差異に基づいて第1の対象サブセット差異スコアを決定する工程を含む。
【0347】
一部の実施形態では、バイオマーカー情報は、第1のバイオマーカーの値の、第1の群の人々にわたる第1の分布を含み、第1の正規化スコアの決定は、第1の配列決定データを使用して、第1のバイオマーカーの第1の未正規化スコアを決定する工程;第1のバイオマーカーの値の第1の分布に基づいて第1のZ-スコアを決定する工程;並びに第1の未正規化スコア及び第1のZ-スコアに基づいて、第1のバイオマーカーの第1の正規化スコアを決定する工程を含む。
【0348】
一態様では、本明細書には、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーと、バイオマーカー情報を格納する少なくとも1つのデータベースと、プロセッサー実行可能な命令を格納する少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体とを含むシステムであって、プロセッサー実行可能な命令は、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーにより実行されると、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーに、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、複数のバイオマーカーの各々は、複数の療法の少なくとも1つの療法と関連する、工程;配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、複数の療法の第1の療法と関連する第1の一組のバイオマーカーの第1の一組の正規化スコア、及び複数の療法の第2の療法と関連する第2の一組のバイオマーカーの第2の一組の正規化スコアを決定する工程であって、第1の一組のバイオマーカーは、第2の一組のバイオマーカーとは異なる、工程;第1の一組の正規化スコアを入力として統計モデルに提供して、第1の療法の第1の療法スコアを得る工程;第2の一組の正規化スコアを入力として統計モデルに提供して、第2の療法の第2の療法スコアを得る工程;グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を生成する工程であって、GUIは、複数の療法の第1の療法と関連する第1の部分であって、第1の部分は、第1の複数のGUI要素を含み、第1の複数のGUI要素の各々は、複数のバイオマーカーの対応するバイオマーカーと関連し、第1の一組の正規化スコアの対応するバイオマーカーの正規化スコアに基づいて決定される少なくとも1つの視覚的特徴を有する、第1の部分、及び複数の療法の第2の療法と関連する第2の部分であって、第2の部分は、第1の複数のGUI要素とは異なる第2の複数のGUI要素を含み、第2の複数のGUI要素の各々は、複数のバイオマーカーの対応するバイオマーカーと関連し、第2の一組の正規化スコアの対応するバイオマーカーの正規化スコアに基づいて決定される少なくとも1つの視覚的特徴を有する
、第2の部分を含む、工程;並びに生成されたGUIを表示する工程を実施させる、システムが提供される。
【0349】
一態様では、本明細書には、プロセッサー実行可能な命令を格納する少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体であって、プロセッサー実行可能な命令は、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーにより実行されると、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーに、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、複数のバイオマーカーの各々は、複数の療法の少なくとも1つの療法と関連する、工程;配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、複数の療法の第1の療法と関連する第1の一組のバイオマーカーの第1の一組の正規化スコア、及び複数の療法の第2の療法と関連する第2の一組のバイオマーカーの第2の一組の正規化スコアを決定する工程であって、第1の一組のバイオマーカーは、第2の一組のバイオマーカーとは異なる、工程;第1の一組の正規化スコアを入力として統計モデルに提供して、第1の療法の第1の療法スコアを得る工程;第2の一組の正規化スコアを入力として統計モデルに提供して、第2の療法の第2の療法スコアを得る工程;グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を生成する工程であって、GUIは、複数の療法の第1の療法と関連する第1の部分であって、第1の部分は、第1の複数のGUI要素を含み、第1の複数のGUI要素の各々は、複数のバイオマーカーの対応するバイオマーカーと関連し、第1の一組の正規化スコアの対応するバイオマーカーの正規化スコアに基づいて決定される少なくとも1つの視覚的特徴を有する、第1の部分、及び複数の療法の第2の療法と関連する第2の部分であって、第2の部分は、第1の複数のGUI要素とは異なる第2の複数のGUI要素を含み、第2の複数のGUI要素の各々は、複数のバイオマーカーの対応するバイオマーカーと関連し、第2の一組の正規化スコアの対応するバイオマーカーの正規化スコアに基づいて決定される少なくとも1つの視覚的特徴を有する、第2の部分を含む、工程;並びに生成されたGUIを表示する工程を実施させる少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体が
提供される。
【0350】
一態様では、本明細書には、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーを使用して、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、複数のバイオマーカーの各々は、複数の療法の少なくとも1つの療法と関連する、工程;配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、複数の療法の第1の療法と関連する第1の一組のバイオマーカーの第1の一組の正規化スコア、及び複数の療法の第2の療法と関連する第2の一組のバイオマーカーの第2の一組の正規化スコアを決定する工程であって、第1の一組のバイオマーカーは、第2の一組のバイオマーカーとは異なる、工程;第1の一組の正規化スコアを入力として統計モデルに提供して、第1の療法の第1の療法スコアを得る工程;第2の一組の正規化スコアを入力として統計モデルに提供して、第2の療法の第2の療法スコアを得る工程;グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を生成する工程であって、GUIは、複数の療法の第1の療法と関連する第1の部分であって、第1の部分は、第1の複数のGUI要素を含み、第1の複数のGUI要素の各々は、複数のバイオマーカーの対応するバイオマーカーと関連し、第1の一組の正規化スコアの対応するバイオマーカーの正規化スコアに基づいて決定される少なくとも1つの視覚的特徴を有する、第1の部分、及び複数の療法の第2の療法と関連する第2の部分であって、第2の部分は、第1の複数のGUI要素とは異なる第2の複数のGUI要素を含み、第2の複数のGUI要素の各々は、複数のバイオマーカーの対応するバイオマーカーと関連し、第2の一組の正規化スコアの対応するバイオマーカーの正規化スコアに基づいて決定される少なくとも1つの視覚的特徴を有する、第2の部分を含む、工程;並びに生成されたGUIを表示する工程を実施する工程を含む方法が提供される。
【0351】
一部の実施形態では、複数のバイオマーカーは、第1のバイオマーカーを含み、複数のバイオマーカーの少なくとも対象サブセットの各バイオマーカーの正規化スコアの決定は、第1のバイオマーカーの値の分布を使用して、第1のバイオマーカーの第1の正規化スコアを決定する工程を含む。一部の実施形態では、第1の正規化スコアの決定は、配列決定データを使用して、第1のバイオマーカーの未正規化スコアを決定する工程;第1のバイオマーカーの値の第1の分布に基づいてZ-スコアを決定する工程;並びに未正規化スコア及びZ-スコアに基づいて、第1のバイオマーカーの正規化スコアを決定する工程を含む。
【0352】
一部の実施形態では、複数の療法の療法スコアの決定は、複数の療法の第1の療法の第1の療法スコアを、対象の一組の正規化バイオマーカースコアの2つ又はそれよりも多くのスコアの合計として決定する工程を含む。
【0353】
一部の実施形態では、複数の療法の療法スコアの決定は、複数の療法の第1の療法の第1の療法スコアを、少なくとも部分的には、対象の一組の正規化バイオマーカースコアの2つ又はそれよりも多くのスコアの加重を決定すること;及び第1の療法スコアを、2つ又はそれよりも多くのスコアの合計として決定し、合計の被加数は、決定された加重により加重されていることにより決定する工程を含む。一部の実施形態では、加重の決定は、機械学習技法を使用して加重を決定する工程を含む。一部の実施形態では、加重の決定は、一般線形モデルを使用して加重を決定する工程を含む。一部の実施形態では、加重の決定は、ロジスティック回帰モデルを使用して加重を決定する工程を含む。
【0354】
一部の実施形態では、複数の療法は、第1の療法及び第1の療法とは異なる第2の療法を含み、複数の療法の療法スコアの決定は、対象の一組の正規化バイオマーカースコアの第1のサブセットを使用して、第1の療法の第1の療法スコアを決定する工程;及び対象の一組の正規化バイオマーカースコアの第2のサブセットを使用して、第2の療法の第2の療法スコアを決定する工程であって、第2のサブセットは、第1のサブセットとは異なる、工程を含む。
【0355】
一部の実施形態は、決定された療法スコアに基づいて、対象のために複数の療法の少なくとも1つを推奨する工程を含む。一部の実施形態は、決定された療法スコアに基づいて、複数の療法を順位付けする工程を含む。一部の実施形態では、複数の療法の少なくとも1つの推奨は、決定された療法スコアに基づいて、複数の療法を順位付けする工程;及び対象のために少なくとも閾値数の上位療法を推薦する工程を含む。
【0356】
一部の実施形態では、複数の療法は、抗PD1療法、抗CTLA4療法、IL-2療法、IFNアルファ療法、抗がんワクチン療法、抗血管新生療法、及び抗CD20療法からなる群から選択される少なくとも2つの療法を含む。
【0357】
一部の実施形態では、抗PD1療法と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)の抗PD1療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、対象の正規化バイオマーカースコアの決定は、Table 2(表2)の抗PD1療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の正規化スコアを決定する工程を含む。
【0358】
一部の実施形態では、抗CTLA4療法と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)の抗CTLA4療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、対象の正規化バイオマーカースコアの決定は、Table 2(表2)の抗CTLA4療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の正規化スコアを決定する工程を含む。
【0359】
一部の実施形態では、IL-2療法と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)のIL-2療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、対象の正規化バイオマーカースコアの決定は、Table 2(表2)のIL-2療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の正規化スコアを決定する工程を含む。
【0360】
一部の実施形態では、IFNアルファ療法と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)のIFNアルファ療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、対象の正規化バイオマーカースコアの決定は、Table 2(表2)のIFNアルファ療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の正規化スコアを決定する工程を含む。
【0361】
一部の実施形態では、抗がんワクチン療法と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)の抗がんワクチン療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、対象の正規化バイオマーカースコアの決定は、Table 2(表2)の抗がんワクチン療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の正規化スコアを決定する工程を含む。
【0362】
一部の実施形態では、抗血管新生療法と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)の抗血管新生療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、対象の正規化バイオマーカースコアの決定は、Table 2(表2)の抗血管新生療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の正規化スコアを決定する工程を含む。
【0363】
一部の実施形態では、抗CD20療法と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)の抗CD20療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む。一部の実施形態では、対象の正規化バイオマーカースコアの決定は、Table 2(表2)の抗CD20療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の正規化スコアを決定する工程を含む。一部の実施形態では、抗CD20療法はリツキシマブである。
【0364】
一部の実施形態では、少なくとも1つの視覚的な特徴は、GUI要素の色及び/又はGUI要素のサイズを含む。
【0365】
一部の実施形態では、GUIを介した第1の療法の使用者選択の受領に応答して、第1の複数のGUI要素の少なくとも1つが関連する少なくとも1つのバイオマーカーに関する情報を、GUIを介して提示する。
【0366】
一部の実施形態では、第1の療法は、第1の療法スコアと関連し、第2の療法は、第2の療法スコアと関連し、第1の部分及び第2の部分は、第1の療法スコア及び第2の療法スコアの相対的な大きさに基づき、互いに対してGUIに配置される。
【0367】
一部の実施形態では、複数のバイオマーカーの各々は、遺伝子バイオマーカー、細胞バイオマーカー、サッカライドバイオマーカー、脂質バイオマーカー、ヘテロ環バイオマーカー、元素化合物バイオマーカー、画像バイオマーカー、人類学的バイオマーカー、個人的習慣バイオマーカー、疾患状態バイオマーカー、及び発現バイオマーカーからなる群から選択される。
【0368】
一部の実施形態では、1つ又は複数の遺伝子バイオマーカーの値は、遺伝子バイオマーカーの核酸又はタンパク質の1つ又は複数の突然変異、挿入、欠失、再編成、融合、コピー数多型(CNV)、又は単一ヌクレオチドバリアント(SNV)の特定により決定される。
【0369】
一部の実施形態では、1つ又は複数の遺伝子バイオマーカーは、本明細書及び/又は図面に記載されている遺伝子又はマーカーを含む。
【0370】
一部の実施形態では、1つ又は複数の遺伝バイオマーカーは、インターフェロン、細胞傷害性タンパク質、酵素、細胞接着タンパク質、細胞外マトリックスタンパク質及びポリサッカライド、細胞成長因子、細胞分化因子、転写因子、並びに細胞内シグナル伝達タンパク質からなる群から選択される。
【0371】
一部の実施形態では、1つ又は複数の遺伝子バイオマーカーは、サイトカイン、ケモカイン、ケモカイン受容体、及びインターロイキンからなる群から選択される。
【0372】
一部の実施形態では、1つ又は複数の細胞バイオマーカーの値は、生物学的試料内の1つ若しくは複数のタイプの細胞の数又は1つ若しくは複数のタイプの細胞のパーセンテージの分析により決定される。
【0373】
一部の実施形態では、1つ又は複数のタイプの細胞は、悪性がん性細胞、白血球、リンパ球、間質細胞、血管内皮細胞、血管周皮細胞、及び骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)からなる群から選択される。
【0374】
一部の実施形態では、1つ又は複数の発現バイオマーカーの値は、発現バイオマーカーの核酸又はタンパク質の発現レベル又は酵素活性の分析により決定される。
【0375】
一部の実施形態では、配列決定データは、DNA配列決定データ、RNA配列決定データ、又はプロテオーム配列決定データの1つ又は複数である。一部の実施形態では、配列決定データは、以下の技法:全ゲノム配列決定(WGS)、全エクソーム配列決定(WES)、全トランスクリプトーム配列決定、mRNA配列決定、DNA/RNAハイブリダイゼーション、マイクロアレイ、DNA/RNAチップ、PCR、及び一塩基多型(SNP)遺伝子型決定の1つ又は複数を使用して得られる。
【0376】
一部の実施形態では、少なくとも1つの生物学的試料の各々は、体液、細胞試料、液体生検、又は組織生検である。一部の実施形態では、組織生検は、がん性細胞を有することが判明しているか又は有する疑いのある1つ又は複数の腫瘍又は組織に由来する1つ又は複数の試料を含む。
【0377】
一部の実施形態では、バイオマーカー情報は、以下のタイプの分析:血液分析、血球計算分析、組織学的分析、免疫組織学的分析、及び患者履歴分析の1つ又は複数の結果も含む。
【0378】
一部の実施形態では、療法の各々は、手術、放射線治療、化学療法、免疫療法、ウイルス療法、標的療法、ホルモン療法、移植、光線療法、凍結療法、及び温熱療法からなる群から選択される。
【0379】
一部の実施形態では、療法の各々は、免疫療法及び標的療法から選択される。
【0380】
一部の実施形態では、療法スコアは、複数の療法の1つの療法の投与に対する対象の応答を示す。一部の実施形態では、療法スコアは、複数の療法中の複数の療法の投与に対する対象の応答を示す。
【0381】
一態様では、本明細書には、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーと、バイオマーカー情報を格納する少なくとも1つのデータベースと、プロセッサー実行可能な命令を格納する少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体とを含むシステムであって、プロセッサー実行可能な命令は、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーにより実行されると、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーに、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、複数のバイオマーカーの各々は、複数の療法の少なくとも1つの療法と関連する、工程;配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、複数の療法の第1の療法と関連する第1の一組のバイオマーカーの第1の一組の正規化バイオマーカースコア、及び複数の療法の第2の療法と関連する第2の一組のバイオマーカーの第2の一組の正規化バイオマーカースコアを決定する工程であって、第1の一組のバイオマーカーは、第2の一組のバイオマーカーとは異なる、工程;第1の一組の正規化バイオマーカースコアを入力として統計モデルに提供して、第1の療法の第1の療法スコアを得る工程;第2の一組の正規化バイオマーカースコアを入力として統計モデルに提供して、第2の療法の第2の療法スコアを得る工程を実施させ、複数の療法は、抗PD1療法、抗CTLA4療法、IL-2療法、IFNアルファ療法、抗がんワクチン療法、抗血管新生療法、及び抗CD20療法からなる群から選択される少なくとも2つの療法を含み、複数の療法の各々と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)の対応する療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む、システムが提供される。
【0382】
一態様では、本明細書には、プロセッサー実行可能な命令を格納する少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体であって、プロセッサー実行可能な命令は、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーにより実行されると、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーに、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、複数のバイオマーカーの各々は、複数の療法の少なくとも1つの療法と関連する、工程;配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、複数の療法の第1の療法と関連する第1の一組のバイオマーカーの第1の一組の正規化バイオマーカースコア、及び複数の療法の第2の療法と関連する第2の一組のバイオマーカーの第2の一組の正規化バイオマーカースコアを決定する工程であって、第1の一組のバイオマーカーは、第2の一組のバイオマーカーとは異なる、工程;第1の一組の正規化バイオマーカースコアを入力として統計モデルに提供して、第1の療法の第1の療法スコアを得る工程;第2の一組の正規化バイオマーカースコアを入力として統計モデルに提供して、第2の療法の第2の療法スコアを得る工程を実施させ、複数の療法は、抗PD1療法、抗CTLA4療法、IL-2療法、IFNアルファ療法、抗がんワクチン療法、抗血管新生療法、及び抗CD20療法からなる群から選択される少なくとも2つの療法を含み、複数の療法の各々と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)の対応する療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体が提供される。
【0383】
一態様では、本明細書には、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーを使用して、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、複数のバイオマーカーの各々は、複数の療法の少なくとも1つの療法と関連する、工程;配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、複数の療法の第1の療法と関連する第1の一組のバイオマーカーの第1の一組の正規化バイオマーカースコア、及び複数の療法の第2の療法と関連する第2の一組のバイオマーカーの第2の一組の正規化バイオマーカースコアを決定する工程であって、第1の一組のバイオマーカーは、第2の一組のバイオマーカーとは異なる、工程;第1の一組の正規化バイオマーカースコアを入力として統計モデルに提供して、第1の療法の第1の療法スコアを得る工程;第2の一組の正規化バイオマーカースコアを入力として統計モデルに提供して、第2の療法の第2の療法スコアを得る工程を実施する工程を含み、複数の療法は、抗PD1療法、抗CTLA4療法、IL-2療法、IFNアルファ療法、抗がんワクチン療法、抗血管新生療法、及び抗CD20療法からなる群から選択される少なくとも2つの療法を含み、複数の療法の各々と関連する複数のバイオマーカーは、Table 2(表2)の対応する療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む方法が提供される。
【0384】
一部の実施形態では、複数のバイオマーカーは、第1のバイオマーカーを含み、複数のバイオマーカーの少なくとも対象サブセットの各バイオマーカーの正規化スコアの決定は、第1のバイオマーカーの値の分布を使用して、第1のバイオマーカーの第1の正規化スコアを決定する工程を含む。一部の実施形態では、第1の正規化スコアの決定は、配列決定データを使用して第1のバイオマーカーの未正規化スコアを決定する工程;第1のバイオマーカーの値の第1の分布に基づき、Z-スコアを決定する工程;及び未正規化スコア及びZ-スコアに基づいて、第1のバイオマーカーの正規化スコアを決定する工程を含む。
【0385】
一部の実施形態では、複数の療法の療法スコアの決定は、複数の療法の第1の療法の第1の療法スコアを、対象の一組の正規化バイオマーカースコアの2つ又はそれよりも多くのスコアの合計として決定する工程を含む。
【0386】
一部の実施形態では、複数の療法の療法スコアの決定は、複数の療法の第1の療法の第1の療法スコアを、少なくとも部分的には、対象の一組の正規化バイオマーカースコアの2つ又はそれよりも多くのスコアの加重を決定すること、及び第1の療法スコアを、2つ又はそれよりも多くのスコアの合計として決定し、合計の被加数は、決定された加重により加重されていることにより決定する工程を含む。
【0387】
一部の実施形態では、加重の決定は、機械学習技法を使用して加重を決定する工程を含む。一部の実施形態では、加重の決定は、一般線形モデルを使用して加重を決定する工程を含む。一部の実施形態では、加重の決定は、ロジスティック回帰モデルを使用して加重を決定する工程を含む。
【0388】
一部の実施形態では、複数の療法は、第1の療法及び第1の療法とは異なる第2の療法を含み、複数の療法の療法スコアの決定は、対象の一組の正規化バイオマーカースコアの第1のサブセットを使用して、第1の療法の第1の療法スコアを決定する工程;及び対象の一組の正規化バイオマーカースコアの第2のサブセットを使用して、第2の療法の第2の療法スコアを決定する工程であって、第2のサブセットは、第1のサブセットとは異なる、工程を含む。
【0389】
一部の実施形態は、決定された療法スコアに基づいて、対象のために複数の療法の少なくとも1つを推奨する工程を含む。一部の実施形態では、複数の療法の少なくとも1つの推奨は、決定された療法スコアに基づいて、複数の療法を順位付けする工程;及び対象のために少なくとも閾値数の上位療法を推奨する工程を含む。
【0390】
一部の実施形態では、対象の正規化バイオマーカースコアの決定は、Table 2(表2)の抗PD1療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の正規化スコアを決定する工程を含む。
【0391】
一部の実施形態では、対象の正規化バイオマーカースコアの決定は、Table 2(表2)の抗CTLA4療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の正規化スコアを決定する工程を含む。
【0392】
一部の実施形態では、対象の正規化バイオマーカースコアの決定は、Table 2(表2)のIL-2療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の正規化スコアを決定する工程を含む。
【0393】
一部の実施形態では、対象の正規化バイオマーカースコアの決定は、Table 2(表2)のIFNアルファ療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の正規化スコアを決定する工程を含む。
【0394】
一部の実施形態では、対象の正規化バイオマーカースコアの決定は、Table 2(表2)の抗がんワクチン療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の正規化スコアを決定する工程を含む。
【0395】
一部の実施形態では、対象の正規化バイオマーカースコアの決定は、Table 2(表2)の抗血管新生療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の正規化スコアを決定する工程を含む。
【0396】
一部の実施形態では、対象の正規化バイオマーカースコアの決定は、Table 2(表2)の抗CD20療法と関連するバイオマーカーの群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーの各々の正規化スコアを決定する工程を含む。一部の実施形態では、抗CD20療法はリツキシマブである。
【0397】
一部の実施形態は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を生成する工程であって、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)は、複数の療法の第1の療法と関連する第1の部分であって、第1の部分は、第1の複数のGUI要素を含み、第1の複数のGUI要素の各々は、複数のバイオマーカーの対応するバイオマーカーと関連し、第1の一組の正規化スコアの対応するバイオマーカーの正規化スコアに基づいて決定される少なくとも1つの視覚的特徴を有する、第1の部分、及び複数の療法の第2の療法と関連する第2の部分であって、第2の部分は、第1の複数のGUI要素とは異なる第2の複数のGUI要素を含み、第2の複数のGUI要素の各々は、複数のバイオマーカーの対応するバイオマーカーと関連し、第2の一組の正規化スコアの対応するバイオマーカーの正規化スコアに基づいて決定される少なくとも1つの視覚的特徴を有する、第2の部分を含む、工程;並びに生成されたGUIを表示する工程を含む。
【0398】
一部の実施形態では、少なくとも1つの視覚的な特徴は、GUI要素の色及び/又はGUI要素のサイズを含む。一部の実施形態は、GUIを介した第1の療法の使用者選択の受領に応答して、第1の複数のGUI要素の少なくとも1つが関連する少なくとも1つのバイオマーカーに関する情報を、GUIを介して提示する工程を含む。
【0399】
一部の実施形態では、第1の療法は、第1の療法スコアと関連し、第2の療法は、第2の療法スコアと関連し、第1の部分及び第2の部分は、第1の療法スコア及び第2の療法スコアの相対的な大きさに基づき、互いに対してGUIに配置される。
【0400】
一部の実施形態では、複数のバイオマーカーの各々は、遺伝子バイオマーカー、細胞バイオマーカー、サッカライドバイオマーカー、脂質バイオマーカー、ヘテロ環バイオマーカー、元素化合物バイオマーカー、画像バイオマーカー、人類学的バイオマーカー、個人的習慣バイオマーカー、疾患状態バイオマーカー、及び発現バイオマーカーからなる群から選択される。
【0401】
一部の実施形態では、1つ又は複数の遺伝子バイオマーカーの値は、遺伝子バイオマーカーの核酸又はタンパク質の1つ又は複数の突然変異、挿入、欠失、再編成、融合、コピー数多型(CNV)、又は単一ヌクレオチドバリアント(SNV)の特定により決定される。一部の実施形態では、1つ又は複数の遺伝子バイオマーカーは、本明細書及び/又は図面に記載されている遺伝子又はマーカーを含む。一部の実施形態では、1つ又は複数の遺伝バイオマーカーは、インターフェロン、細胞傷害性タンパク質、酵素、細胞接着タンパク質、細胞外マトリックスタンパク質及びポリサッカライド、細胞成長因子、細胞分化因子、転写因子、並びに細胞内シグナル伝達タンパク質からなる群から選択される。一部の実施形態では、1つ又は複数の遺伝子バイオマーカーは、サイトカイン、ケモカイン、ケモカイン受容体、及びインターロイキンからなる群から選択される。
【0402】
一部の実施形態では、1つ又は複数の細胞バイオマーカーの値は、生物学的試料内の1つ若しくは複数のタイプの細胞の数又は1つ若しくは複数のタイプの細胞のパーセンテージの分析により決定される。一部の実施形態では、1つ又は複数のタイプの細胞は、悪性がん性細胞、白血球、リンパ球、間質細胞、血管内皮細胞、血管周皮細胞、及び骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)からなる群から選択される。
【0403】
一部の実施形態では、1つ又は複数の発現バイオマーカーの値は、発現バイオマーカーの核酸又はタンパク質の発現レベル又は酵素活性の分析により決定される。
【0404】
一部の実施形態では、配列決定データは、DNA配列決定データ、RNA配列決定データ、又はプロテオーム配列決定データの1つ又は複数である。一部の実施形態では、配列決定データは、以下の技法:全ゲノム配列決定(WGS)、全エクソーム配列決定(WES)、全トランスクリプトーム配列決定、mRNA配列決定、DNA/RNAハイブリダイゼーション、マイクロアレイ、DNA/RNAチップ、PCR、及び一塩基多型(SNP)遺伝子型決定の1つ又は複数を使用して得られる。
【0405】
一部の実施形態では、少なくとも1つの生物学的試料の各々は、体液、細胞試料、液体生検、又は組織生検である。一部の実施形態では、組織生検は、がん性細胞を有することが判明しているか又は有する疑いのある1つ又は複数の腫瘍又は組織に由来する1つ又は複数の試料を含む。
【0406】
一部の実施形態では、バイオマーカー情報は、以下のタイプの分析:血液分析、血球計算分析、組織学的分析、免疫組織学的分析、及び患者履歴分析の1つ又は複数の結果も含む。
【0407】
一部の実施形態では、療法の各々は、手術、放射線治療、化学療法、免疫療法、ウイルス療法、標的療法、ホルモン療法、移植、光線療法、凍結療法、及び温熱療法からなる群から選択される。一部の実施形態では、療法の各々は、免疫療法及び標的療法から選択される。
【0408】
一部の実施形態では、療法スコアは、複数の療法の1つの療法の投与に対する対象の応答を示す。一部の実施形態では、療法スコアは、複数の療法中の複数の療法の投与に対する対象の応答を示す。
【0409】
一態様では、本明細書には、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーと、バイオマーカー情報を格納する少なくとも1つのデータベースと、プロセッサー実行可能な命令を格納する少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体とを含むシステムであって、プロセッサー実行可能な命令は、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーにより実行されると、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーに、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、複数のバイオマーカーの各々は、少なくとも1つの候補療法と関連する、工程;配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、複数のバイオマーカーの少なくとも対象サブセットの各バイオマーカーの正規化スコアを決定して、対象の一組の正規化バイオマーカーを得る工程;対象の一組の正規化バイオマーカースコアに基づいて、対象を、1つ又は複数のコホートのメンバーとして特定する工程であって、1つ又は複数のコホートの各々は、少なくとも1つの候補療法の肯定的な転帰又は否定的な転帰に関連する、工程;並びに対象がメンバーである1つ又は複数のコホートの表示を出力する工程を実施させる、システムが提供される。
【0410】
一態様では、本明細書には、プロセッサー実行可能な命令を格納する少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体であって、プロセッサー実行可能な命令は、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーにより実行されると、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーに、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、複数のバイオマーカーの各々は、少なくとも1つの候補療法と関連する、工程;配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、複数のバイオマーカーの少なくとも対象サブセットの各バイオマーカーの正規化スコアを決定して、対象の一組の正規化バイオマーカーを得る工程;対象の一組の正規化バイオマーカースコアに基づいて、対象を、1つ又は複数のコホートのメンバーとして特定する工程であって、1つ又は複数のコホートの各々は、少なくとも1つの候補療法の肯定的な転帰又は否定的な転帰に関連する、工程;並びに対象がメンバーである1つ又は複数のコホートの表示を出力する工程を実施させる少なくとも1つの非一過性コンピュータ読取り可能な記憶媒体が提供される。
【0411】
一態様では、少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサーを使用して、対象の少なくとも1つの生物学的試料に関する配列決定データを得る工程;少なくとも1つのデータベースにて、複数のバイオマーカーの少なくとも1つの参照サブセットの各バイオマーカーの値の、対応するヒトの群にわたる分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、複数のバイオマーカーの各々は、少なくとも1つの候補療法と関連する、工程;配列決定データ及びバイオマーカー情報を使用して、複数のバイオマーカーの少なくとも対象サブセットの各バイオマーカーの正規化スコアを決定して、対象の一組の正規化バイオマーカーを得る工程;対象の一組の正規化バイオマーカースコアに基づいて、対象を、1つ又は複数のコホートのメンバーとして特定する工程であって、1つ又は複数のコホートの各々は、少なくとも1つの候補療法の肯定的な転帰又は否定的な転帰に関連する、工程;並びに対象がメンバーである1つ又は複数のコホートの表示を出力する工程を実施する工程を含む方法。
【0412】
少なくとも1つの候補療法は、臨床治験と関連し、任意選択で臨床治験は進行中であるか、又は臨床治験は募集中である。
【0413】
一部の実施形態では、肯定的な転帰は、がんの1つ若しくは複数の側面又は1つ若しくは複数のがん症状の改善である。
【0414】
一部の実施形態では、がんの1つ若しくは複数の側面又は1つ若しくは複数のがん症状の改善は、対象の体内における腫瘍サイズの減少、腫瘍数の減少、がん性細胞の数若しくはパーセンテージの減少、及びがん増殖の遅延からなる群から選択される。
【0415】
一部の実施形態では、否定的な転帰は、がん治療関連有害効果、がんの1つ若しくは複数の側面の悪化、又は1つ若しくは複数のがん症状の悪化である。
【0416】
一部の実施形態では、がん治療関連有害効果は、皮膚毒性、血小板減少、肝毒性、神経毒性、腎毒性、心毒性、出血性膀胱炎、免疫関連毒性、及び死亡からなる群から選択される。
【0417】
一部の実施形態では、がんの1つ若しくは複数の側面又は1つ若しくは複数のがん症状の悪化は、対象の体内における腫瘍サイズの増加、腫瘍数の増加、がん性細胞の数若しくはパーセンテージの増加、がん増殖の遅延がないこと、及び死亡からなる群から選択される。
【0418】
一部の実施形態では、配列決定データは、DNA配列決定データ、RNA配列決定データ、又はプロテオーム配列決定データの1つ又は複数である。一部の実施形態では、配列決定データは、以下の技法:全ゲノム配列決定(WGS)、全エクソーム配列決定(WES)、全トランスクリプトーム配列決定、mRNA配列決定、DNA/RNAハイブリダイゼーション、マイクロアレイ、DNA/RNAチップ、PCR、及び一塩基多型(SNP)遺伝子型決定の1つ又は複数を使用して得られる。
【0419】
一部の実施形態では、生物学的試料は、がん性細胞を有することが判明しているか又は有する疑いのある腫瘍又は組織に由来する。一部の実施形態では、少なくとも1つの生物学的試料の各々は、体液、細胞試料、液体生検、又は組織生検である。一部の実施形態では、生物学的試料は血液である。
【0420】
一部の実施形態は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を生成する工程であって、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)は、少なくとも1つ候補療法と関連する第1の部分であって、第1の部分は、第1の複数のGUI要素を含み、第1の複数のGUI要素の各々は、複数のバイオマーカーの対応するバイオマーカーと関連し、対応するバイオマーカーの差異スコアに基づいて決定される少なくとも1つの視覚的特徴を有する、第1の部分を含む、工程;及び生成されたGUIを表示する工程を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの視覚的な特徴は、GUI要素の色及び/又はGUI要素のサイズを含む。一部の実施形態は、GUIを介した少なくとも1つの候補療法の使用者選択の受領に応答して、第1の複数のGUI要素の少なくとも1つが関連する少なくとも1つのバイオマーカーに関する情報を、GUIを介して提示する工程を含む。
【0421】
同等物及び範囲
本明細書では、「プログラム」又は「ソフトウェア」という用語は、上記で論じた実施形態の多様な態様を実施する、コンピュータ又は他のプロセッサー(物理的なコンピュータ若しくは他のプロセッサー又はバーチャルのコンピュータ若しくは他のプロセッサー)をプログラムするのに援用され得る、任意のタイプのコンピュータコード又はプロセッサー実行可能な命令の組を指すように、一般的な意味で使用される。加えて、一態様に従い、実行されると、本明細書で記載される技術の方法を実施する、1つ又は複数のコンピュータプログラムは、単一のコンピュータ又はプロセッサーに常駐される必要がなく、異なるコンピュータ又はプロセッサーの間で、モジュール的に分配して、本明細書で記載される技術の多様な態様を実施することができる。
【0422】
プロセッサー実行可能な命令は、1つ又は複数のコンピュータ又は他のデバイスにより実行されるプログラムモジュール等、多くの形態であり得る。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実施するか、又は特定の抽象データタイプを実施する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含む。典型的に、プログラムモジュールの機能性は、組み合わせることもでき、分配することもできる。
【0423】
また、データ構造も、任意の適切な形態の、1つ又は複数の非一時的なコンピュータ読取り可能な記憶媒体に保存することができる。例示の簡便さのために述べると、データ構造は、データ構造内の記憶場所を通して関連するフィールドを有することが示され得る。このような関係はまた、非揮発性のコンピュータ読取り可能な媒体内に記憶場所を伴う、フィールドのための記憶装置であって、フィールド間の関係をコンベイする記憶装置を割り当てることによっても達成することができる。しかし、ポインター、タグ、又はデータ要素間の関係を確立する他の機構の使用を介することを含む、任意の適切な機構を使用して、データ構造のフィールド内の情報間の関係を確立することができる。
【0424】
本発明の多様な概念は、1つ又は複数の方法として実施し得るが、これらについての例を提示してきた。各方法の一部として実施される工程は、任意の適切な形で順序づけることができる。したがって、例示された順序とは異なる順序で工程を実施する実施形態を構築し得るが、これは、一部の工程を、例示的な実施形態では、逐次的工程として示されていてもなお、同時に実施することを含み得る。
【0425】
本明細書及び特許請求の範囲において、1つ又は複数の要素のリストに言及して使用される「少なくとも1つの」という語句は、要素のリスト内の要素のうちの任意の1又は複数から選択されるが、要素のリスト内で具体的に列挙される各要素及びあらゆる要素のうちの少なくとも1つを必ずしも含むわけではないが、要素のリスト内の要素の任意の組合せを必ずしも除外するわけでもない、少なくとも1つの要素を意味するものと理解されたい。この定義はまた、「少なくとも1つの」という語句が言及する要素のリスト内で具体的に特定される要素以外の要素が、具体的に特定されたこれらの要素に関連する場合であれ、関連しない場合であれ、任意選択で存在し得ることも許容する。したがって、非限定的な例として述べると、一実施形態では、「A及びBのうちの少なくとも1つ」(又は、同義で、「A又はBのうちの少なくとも1つ」、又は、同義で、「A及び/又はBのうちの少なくとも1つ」)とは、Bの存在を伴わず(かつ、任意選択で、B以外の要素を含み)、任意選択で、1つを超えるAを含む、少なくとも1つのAを指す場合もあり;別の実施形態では、Aの存在を伴わず(かつ、任意選択で、A以外の要素を含み)、任意選択で、1つを超えるBを含む、少なくとも1つのBを指す場合もあり;更に別の実施形態では、任意選択で、1つを超えるAを含む(かつ、任意選択で、他の要素を含む)、少なくとも1つのA、及び任意選択で、1つを超えるBを含む(かつ、任意選択で、他の要素を含む)、少なくとも1つのBを指す場合もある等である。
【0426】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「及び/又は」という語句は、このように接続された要素の「一方又は両方」、すなわち、ある場合には、連言的に存在し、他の場合には、選言的に存在する要素を意味するものと理解されたい。「及び/又は」を伴って列挙される複数の要素は、同じ様式で、すなわち、このように接続された要素のうちの「1つ又は複数」と解釈されるものとする。「及び/又は」節により具体的に特定される要素以外の他の要素も、具体的に特定されるこれらの要素に関連する場合であれ、関連しない場合であれ、任意選択で存在し得る。したがって、非限定的な例として述べると、「A及び/又はB」に対する言及は、「~を含むこと」等のオープンエンドの表現と共に使用される場合、一実施形態では、Aだけ(任意選択で、B以外の要素を含む)を指す場合もあり;別の実施形態では、Bだけ(任意選択で、A以外の要素を含む)を指す場合もあり;更に別の実施形態では、A及びBの両方(任意選択で、他の要素を含む)を指す場合もある等である。
【0427】
特許請求の範囲では、「ある(a)」、「ある(an)」、及び「その」等の冠詞は、反対のことが指し示されるか、又はそうでないことが文脈から明らかでない限りにおいて、「1つ又は複数」を意味する場合がある。反対のことが指し示されるか、又はそうでないことが文脈から明らかでない限りにおいて、群の1つ又は複数のメンバーの間の「又は」を含む、特許請求の範囲又は記載は、群のメンバーのうちの1つ、1つを超えるメンバー、又は全てが、所与の生成物又は方法において存在するか、これにおいて援用されるか、又は他の形でこれに関与性であれば満たされると考えられる。本開示は、群のうちの正確に1つのメンバーが、所与の生成物又は方法において存在するか、これにおいて援用されるか、又は他の形でこれに関与性である実施形態を含む。本開示はまた、群のメンバーのうちの1つを超えるメンバー又は全てが、所与の生成物又は方法において存在するか、これにおいて援用されるか、又は他の形でこれに関与性である実施形態も含む。
【0428】
更に、記載される方法及びシステムは、1つ又は複数の限定、要素、条項、記載用語等を、列挙された請求項のうちの1つ又は複数から、別の請求項へと導入する場合の、全ての変動、組合せ、及び順列を包摂する。例えば、別の請求項に従属する、任意の請求項は、同じ基礎請求項に従属する、他の任意の請求項において見出される、1つ又は複数の限定を含むように改変することができる。要素を、例えば、マーカッシュ群のフォーマットによるリストとして提示する場合、要素の各亜群もまた開示され、任意の要素を群から除外することもできる。一般に、本明細書で記載されるシステム及び方法(又はこれらの態様)が、特定の要素及び/又は特徴を含むと称する場合、本発明のシステム及び方法又は態様についての、ある特定の実施形態は、このような要素及び/又は特徴等からなるか、又はこれらから本質的になることを理解されたい。簡便さを目的とすると、本明細書では、これらの実施形態が、言葉通りに、具体的に明示されているわけではない。
【0429】
また、「~を含むこと(including)」、「~を含むこと(comprising)」、「~を有すること」、「~を含有すること」、「~を伴うこと」という用語は、オープンであることを意図し、更なる要素又は工程の包含を許容するが要求はしないことも注目される。範囲を与える場合、端点を含む。更に、そうでないことが指し示されるか、又はそうでないことが文脈及び当業者の理解から明らかでない限りにおいて、範囲として表される値は、記載されるシステム及び方法についての異なる実施形態で言明される範囲内の、文脈によりそうでないことが明確に指示されない限りにおいて、下限の単位の10分の1までの、任意の具体的な値又は部分範囲を仮定し得る。
【0430】
特許請求の範囲における、「第1の」、「第2の」、「第3の」等、序数用語の使用であって、特許請求の範囲の要素を改変する使用は、それ自体、1つの特許請求の範囲の要素の、別の要素に対する、いかなる優先性、先行性、若しくは順序を含意するものでも、方法の工程を実施する時間的な順序を含意するものでもない。このような用語は、ある特定の名称を有する、1つの特許請求の範囲の要素を、同じ名称を有する(序数用語の使用を除き)別の要素から識別する標識としてだけ使用される。
【0431】
加えて、本明細書で使用される、「患者」及び「対象」という用語は、互換的に使用することができる。このような用語は、ヒト対象又はヒト患者を含み得るがこれらに限定されない。このような用語はまた、非ヒト霊長動物又は他の動物も含み得る。
【0432】
本出願は、参照によりそれらの全てが本明細書に組み込まれる、交付された多様な特許、特許出願公開、雑誌論文、及び他の刊行物に言及する。組み込まれた参考文献のうちのいずれかと、本明細書とで齟齬が生じた場合は、本明細書に従うものとする。加えて、先行技術の範囲内に収まる、本開示の、任意の特定の実施形態は、請求項のうちの任意の1つ又は複数から、明示的に除外することができる。このような実施形態は、当業者に公知であるとみなされるため、本明細書で、除外が、明示的に示されない場合であってもなお、除外することができる。本明細書で記載されるシステム及び方法についての、任意の特定の実施形態は、先行技術の存在に関連するのであれ、関連しないのであれ、任意の理由で、任意の請求項から除外することができる。
【0433】
当業者は、規定の実験だけを使用して、本明細書で記載される、具体的な実施形態の多くの同等物を認識又は確認することが可能であろう。本明細書で記載される、本実施形態の範囲は、上記の記載に限定されることを意図するものではなく、付属の特許請求の範囲で明示される通りである。当業者は、以下の特許請求の範囲で規定される、本開示の精神又は範囲から逸脱しない限りにおいて、この記載に対して、多様な変動及び改変を施し得ることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0434】
100 環境
102 患者
104 実験室
106 データベース
108 ネットワーク
110 サーバー
112 コンピューティングデバイス
114 医師
116 外部データベース
150 グラフィカルユーザインターフェース/GUI
152 患者情報部分
154 免疫療法部分
156 有効性予測因子部分
158 標的療法選択部分
160 分子機能(MF)ポートレイト部分
162 臨床試験情報部分
170 グラフィカルユーザインターフェース
172 患者情報部分
174 免疫療法部分
176a 有効性予測因子部分
176b 有効性予測因子部分
178 標的療法選択部分
182a 臨床試験情報部分
182b 臨床試験情報部分
1500 コンピュータシステム
1510 コンピュータハードウェアプロセッサー
1520 メモリ
1530 非揮発性記憶デバイス
200 方法
220 方法
240 方法
260 方法
280 方法
202 工程
204 工程
206 工程
208 工程
222 工程
224 工程
226 工程
228 工程
230 工程
242 工程
244 工程
246 工程
248 工程
262 工程
264 工程
266 工程
268 工程
282 工程
284 工程
286 工程
288 工程
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2023-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサを使用して、
癌に罹患している、癌に罹患している疑いがある、または癌に罹患している危険性がある対象の第1の生物学的試料を配列決定することによって得られる第1の配列決定データを取得する工程であって、前記対象の第1の生物学的試料は、前記対象に療法を投与する前に取得される、工程と、
前記対象の第2の生物学的試料を配列決定することによって得られる第2の配列決定データを取得する工程であって、前記対象の第2の生物学的試料は、前記対象への療法の投与後に取得される、工程と、
少なくとも1つのデータベースにおいて、それぞれのグループにわたる複数のバイオマーカーにおける各バイオマーカーの値の分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、前記複数のバイオマーカーは、前記療法に関連し、前記療法に関連する第1のバイオマーカーを含み、前記バイオマーカー情報は、前記第1のバイオマーカーの値の第1の分布を含む、工程と、
前記第1のシークエンシングデータ、前記第2のシークエンシングデータ、および前記バイオマーカー情報を用いて、前記療法の投与に対する前記対象の応答を示す、前記療法のインパクトスコアを決定する、工程と、
前記第1のバイオマーカーを含む療法に関連する複数のバイオマーカーの少なくとも1つのサブセットについて、正規化バイオマーカースコアの第1のセットを決定する工程であって、前記第1のバイオマーカーの値の前記第1の分布に基づいて、第1の正規化バイオマーカースコアを決定する工程と、
治療に関連する複数のバイオマーカーの前記サブセットの少なくとも1つの正規化バイオマーカースコアの第2のセットを決定することであって、前記第1のバイオマーカーの値の前記第1の分布に基づいて、第1のバイオマーカーについての第2の正規化バイオマーカースコアを決定することを含む、決定する工程と、
前記正規化バイオマーカースコアの第1のセットを用いて、前記療法の第1の療法スコアを決定する工程と、
前記正規化バイオマーカースコアの第2のセットを用いて、前記療法の第2の療法スコアを決定する工程と、
前記第1の療法スコアと前記第2の療法スコアとの差に基づいて、前記インパクトスコアを決定する工程と、を含み、
前記療法が、抗PD1療法、抗CTLA4療法、IL-2療法、IFNα療法、抗がんワクチン療法、抗血管新生療法、抗CD20療法、免疫療法、およびT細胞療法からなる群より選択される、方法。
【請求項2】
前記複数のバイオマーカーの少なくとも1つのサブセットが、Table 2(表2)の療法に関連するバイオマーカー群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のバイオマーカーの少なくとも1つのサブセットが、Table 2(表2)の療法に関連するバイオマーカー群から選択される少なくとも5つのバイオマーカーを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のバイオマーカーの少なくとも1つのサブセットが、Table 2(表2)の療法に関連するバイオマーカー群から選択される少なくとも10個のバイオマーカーを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の正規化バイオマーカースコアを決定する工程が、
前記第1の配列決定データを使用して、前記第1のバイオマーカーについて第1の正規化されていないスコアを決定する工程と、
前記第1のバイオマーカーの値の前記第1の分布に基づいて第1のZスコアを決定する工程と、
前記第1の正規化されていないスコアおよび前記第1のZスコアに基づいて、前記第1のバイオマーカーについて前記第1の正規化バイオマーカースコアを決定する工程と、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の生物学的試料を配列決定して、前記第1の配列決定データを得る工程、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記療法がチェックポイント阻害剤療法である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサと、
前記少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサに実行させるプロセッサ実行可能命令を記憶する少なくとも1つの非一過性コンピュータ読み取り可能記憶媒体とを備え、
前記プロセッサ実行可能命令は、前記少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサに、
癌に罹患している、癌に罹患している疑いがある、または癌に罹患している危険性がある対象の第1の生物学的試料を配列決定することによって得られる第1の配列決定データを取得する工程であって、前記対象の第1の生物学的試料は、前記対象に療法を投与する前に取得される、工程と、
前記対象の第2の生物学的試料を配列決定することによって得られる第2の配列決定データを取得する工程であって、前記対象の第2の生物学的試料は、前記対象への療法の投与後に取得される、工程と、
少なくとも1つのデータベースにおいて、それぞれのグループにわたる複数のバイオマーカーにおける各バイオマーカーの値の分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、前記複数のバイオマーカーは、前記療法に関連し、前記療法に関連する第1のバイオマーカーを含み、前記バイオマーカー情報は、前記第1のバイオマーカーの値の第1の分布を含む、工程と、
前記第1のシークエンシングデータ、前記第2のシークエンシングデータ、および前記バイオマーカー情報を用いて、前記療法の投与に対する前記対象の応答を示す、前記療法のインパクトスコアを決定する、工程と、
前記第1のバイオマーカーを含む療法に関連する複数のバイオマーカーの少なくとも1つのサブセットについて、正規化バイオマーカースコアの第1のセットを決定する工程であって、前記第1のバイオマーカーの値の前記第1の分布に基づいて、第1の正規化バイオマーカースコアを決定する工程と、
治療に関連する複数のバイオマーカーの前記サブセットの少なくとも1つの正規化バイオマーカースコアの第2のセットを決定することであって、前記第1のバイオマーカーの値の前記第1の分布に基づいて、第1のバイオマーカーについての第2の正規化バイオマーカースコアを決定することを含む、決定する工程と、
前記正規化バイオマーカースコアの第1のセットを用いて、前記療法の第1の療法スコアを決定する工程と、
前記正規化バイオマーカースコアの第2のセットを用いて、前記療法の第2の療法スコアを決定する工程と、
前記第1の療法スコアと前記第2の療法スコアとの差に基づいて、前記インパクトスコアを決定する工程と、を実行させ、
前記療法が、抗PD1療法、抗CTLA4療法、IL-2療法、IFNα療法、抗がんワクチン療法、抗血管新生療法、抗CD20療法、免疫療法、およびT細胞療法からなる群より選択される、システム。
【請求項9】
前記複数のバイオマーカーの少なくとも1つのサブセットが、Table 2(表2)の療法に関連するバイオマーカー群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数のバイオマーカーの少なくとも1つのサブセットが、Table 2(表2)の療法に関連するバイオマーカー群から選択される少なくとも10個のバイオマーカーを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の正規化バイオマーカースコアを決定する工程が、
前記第1の配列決定データを使用して、前記第1のバイオマーカーについて第1の正規化されていないスコアを決定する工程と、
前記第1のバイオマーカーの値の前記第1の分布に基づいて第1のZスコアを決定する工程と、
前記第1の正規化されていないスコアおよび前記第1のZスコアに基づいて、前記第1のバイオマーカーについて前記第1の正規化バイオマーカースコアを決定する工程と、を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサにより実行された場合に、前記少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサに実行させるプロセッサ実行可能命令を記憶した少なくとも1つの非一過性のコンピュータ読み取り可能記憶媒体であって、
前記プロセッサ実行可能命令は、前記少なくとも1つのコンピュータハードウェアプロセッサに、
癌に罹患している、癌に罹患している疑いがある、または癌に罹患している危険性がある対象の第1の生物学的試料を配列決定することによって得られる第1の配列決定データを取得する工程であって、前記対象の第1の生物学的試料は、前記対象に療法を投与する前に取得される、工程と、
前記対象の第2の生物学的試料を配列決定することによって得られる第2の配列決定データを取得する工程であって、前記対象の第2の生物学的試料は、前記対象への療法の投与後に取得される、工程と、
少なくとも1つのデータベースにおいて、それぞれのグループにわたる複数のバイオマーカーにおける各バイオマーカーの値の分布を示すバイオマーカー情報にアクセスする工程であって、前記複数のバイオマーカーは、前記療法に関連し、前記療法に関連する第1のバイオマーカーを含み、前記バイオマーカー情報は、前記第1のバイオマーカーの値の第1の分布を含む、工程と、
前記第1のシークエンシングデータ、前記第2のシークエンシングデータ、および前記バイオマーカー情報を用いて、前記療法の投与に対する前記対象の応答を示す、前記療法のインパクトスコアを決定する、工程と、
前記第1のバイオマーカーを含む療法に関連する複数のバイオマーカーの少なくとも1つのサブセットについて、正規化バイオマーカースコアの第1のセットを決定する工程であって、前記第1のバイオマーカーの値の前記第1の分布に基づいて、第1の正規化バイオマーカースコアを決定する工程と、
治療に関連する複数のバイオマーカーの前記サブセットの少なくとも1つの正規化バイオマーカースコアの第2のセットを決定することであって、前記第1のバイオマーカーの値の前記第1の分布に基づいて、第1のバイオマーカーについての第2の正規化バイオマーカースコアを決定することを含む、決定する工程と、
前記正規化バイオマーカースコアの第1のセットを用いて、前記療法の第1の療法スコアを決定する工程と、
前記正規化バイオマーカースコアの第2のセットを用いて、前記療法の第2の療法スコアを決定する工程と、
前記第1の療法スコアと前記第2の療法スコアとの差に基づいて、前記インパクトスコアを決定する工程と、を実行させ、
前記療法が、抗PD1療法、抗CTLA4療法、IL-2療法、IFNα療法、抗がんワクチン療法、抗血管新生療法、抗CD20療法、免疫療法、およびT細胞療法からなる群より選択される、コンピュータ読み取り可能記憶媒体。
【請求項13】
前記複数のバイオマーカーの少なくとも1つのサブセットが、Table 2(表2)の療法に関連するバイオマーカー群から選択される少なくとも3つのバイオマーカーを含む、請求項12に記載の少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能記憶媒体。
【請求項14】
前記複数のバイオマーカーの少なくとも1つのサブセットが、Table 2(表2)の療法に関連するバイオマーカー群から選択される少なくとも10個のバイオマーカーを含む、請求項12に記載の少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能記憶媒体。
【請求項15】
前記第1の正規化バイオマーカースコアを決定する工程が、
前記第1の配列決定データを使用して、前記第1のバイオマーカーについて第1の正規化されていないスコアを決定する工程と、
前記第1のバイオマーカーの値の前記第1の分布に基づいて第1のZスコアを決定する工程と、
前記第1の正規化されていないスコアおよび前記第1のZスコアに基づいて、前記第1のバイオマーカーについて前記第1の正規化バイオマーカースコアを決定する工程と、を含む、請求項12に記載の少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能記憶媒体。
【外国語明細書】