(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169211
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20231121BHJP
H10K 50/856 20230101ALI20231121BHJP
H10K 50/86 20230101ALI20231121BHJP
G09F 13/04 20060101ALI20231121BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
G09F9/30 349C
G09F9/30 365
H10K50/856
H10K50/86
G09F13/04 J
G09F9/33
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023142044
(22)【出願日】2023-09-01
(62)【分割の表示】P 2022031528の分割
【原出願日】2013-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000221926
【氏名又は名称】東北パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】藤田 幸二
(57)【要約】
【課題】所定のパターンを表示する発光装置において、視認性を向上させる。
【解決手段】遮光層200は、基板100に垂直な方向から見た場合において、複数の発光領域101の間に位置している。遮光層200は、光反射層202及び光吸収層204を有している。光吸収層204は、厚さ方向において光反射層202よりも基板100側に位置しており、光反射層202よりも光の反射率が低い。さらに、基板100に垂直な方向から見た場合において、光反射層202の端部は、光吸収層204の端部よりも、遮光層200の内側に位置している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の第1面側に設けられた複数の発光領域と、
前記基板の第2面側に設けられ、前記基板に垂直な方向から見た場合において前記複数の発光領域の間に位置する遮光層と、
を備え、
前記遮光層は、
第1層と、
厚さ方向において前記第1層よりも前記基板側に位置する第2層と、
を有し、
前記第2層は、前記第1層よりも反射率が低く、
前記基板に垂直な方向から見た場合において、前記第1層の端部は、前記第2層の端部よりも、前記遮光層の内側に位置している発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定のパターンを表示する発光装置に求められる特性の一つに、視認性、例えばパターンのエッジがはっきりしていたり、表示されているパターンのみ認識できるようにすることがある。特許文献1には、視認性を向上させるために、発光装置の光射出面に遮光層を設けることが記載されている。詳細には、特許文献1は、液晶パネルに関する技術である。そして、液晶パネルの光射出面側の面には、遮光層が設けられている。この遮光層には、画素を形成するための開口が複数設けられている。
【0003】
また、特許文献2には、有機EL素子を用いた光学装置において、遮光マスクを設けることが記載されている。詳細には、この光学装置は、透明基板上に有機EL素子を形成し、さらに透明基板のうち有機EL素子が形成されている面を、封止部材で封止したものである。遮光マスクは、封止部材のうち有機EL素子と重なる領域に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-122101号公報
【特許文献2】特開2008-129042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、複数の発光領域を有する発光装置において、各発光領域からの発光の視認性を向上させることを検討した。このような発光装置の視認性を向上させる方法の一つに、発光装置の光射出面のうち複数の発光領域の間に位置する領域に、遮光層を設ける方法がある。しかし、遮光層として用いられる材料は、一般的に、可視光の反射率が高い場合が多い。このため、ある発光領域からの光の一部が遮光層に向かって斜めに進行した場合、その光は、遮光層で反射する。また、発光領域を有機EL素子で形成した場合、有機EL素子の電極の一方が反射率の高い金属電極、例えばアルミニウムで形成される。この反射光の少なくとも一部は、発光中の発光領域の隣の発光領域(例えば上記した反射率の高い金属電極)で反射して、外部に射出する。この隣の発光領域が本来発光していない発光領域である場合、このような反射が生じると、本来発光していない発光領域も発光しているように見える。この場合、各発光領域からの発光の視認性が低下してしまう。
【0006】
本発明が解決しようとする課題としては、所定のパターンを表示する発光装置において、視認性を向上させることが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、基板と、
前記基板の第1面側に設けられた複数の発光領域と、
前記基板の第2面側に設けられ、前記基板に垂直な方向から見た場合において前記複数の発光領域の間に位置する遮光層と、
を備え、
前記遮光層は、
第1層と、
厚さ方向において前記第1層よりも前記基板側に位置する第2層と、
を有し、
前記第2層は、前記第1層よりも反射率が低く、
前記基板に垂直な方向から見た場合において、前記第1層の端部は、前記第2層の端部よりも、前記遮光層の内側に位置している発光装置である。
【0008】
第2の発明は、基板と、
前記基板の第1面側に設けられた複数の発光領域と、
前記基板の第2面側に設けられ、前記基板に垂直な方向から見た場合において前記複数の発光領域の間に位置する遮光層と、
を備え、
前記遮光層は、
第1層と、
前記第1層よりも前記基板側に位置する第2層と、
前記第2層の端部の少なくとも一部を覆う第3層と、
を有し、
前記第2層及び前記第3層は、前記第1層よりも反射率が低い発光装置である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0010】
【
図1】第1の実施形態に係る発光装置の平面図である。
【
図4】遮光層の形成方法を説明するための断面図である。
【
図5】遮光層の形成方法を説明するための断面図である。
【
図6】比較例に係る発光装置の構成を示す断面図である。
【
図7】第1の実施形態に係る発光装置における光吸収層の機能を説明するための断面図である。
【
図8】第2の実施形態に係る発光装置の断面図である。
【
図9】第2の実施形態に係る遮光層の形成方法を説明するための断面図である。
【
図11】実施例に係る発光装置の構成を示す断面図である。
【
図12】実施例における発光装置の製造方法を説明するための図である。
【
図13】実施例における発光装置の製造方法を説明するための図である。
【
図14】実施例における発光装置の製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る発光装置10の平面図である。
図2は、
図1のA-A断面図である。発光装置10は、例えば光学装置において文字や記号等を表示するために用いられ、基板100、複数の発光領域101、及び遮光層200を備えている。複数の発光領域101は、基板100の第1面(例えば
図2の下側の面)側に設けられている。遮光層200は、基板100の第2面側(例えば
図2の上側の面)に設けられている。そして
図2に示すように、遮光層200は、基板100に垂直な方向から見た場合において、複数の発光領域101の間に位置している。遮光層200は、光反射層202(第1層)及び光吸収層204(第2層)を有している。光吸収層204は、厚さ方向において光反射層202よりも基板100側に位置しており、光反射層202よりも光の反射率が低い。光吸収層204の好ましい例として、光を吸収する層であり、透明な層は含まない。さらに、基板100に垂直な方向から見た場合において、光反射層202の端部は、光吸収層204の端部よりも、遮光層200の内側に位置している。以下、詳細に説明する。
【0013】
基板100は、発光領域101が発光する光に対して透光性を有している材料によって形成されている。基板100は、ガラス基板であってもよいし、樹脂基板であってもよい。また、基板100がある程度薄い場合、基板100は可撓性を有している。基板100の厚さは、例えば300μm以上600μm以下である。
【0014】
発光領域101には、例えばそれぞれが互いに独立した発光素子が形成されている。この発光素子は、例えば有機EL素子であるが、LEDなどの他の自発光素子であってもよい。発光領域101は、例えば
図1に示すように、互いに異なる平面形状(例えば文字、数字、及び/又は記号)を有している。
【0015】
遮光層200は、複数の層を積層したものである。これら複数の層には、光反射層202及び光吸収層204が含まれる。
図2に示す例において、遮光層200は、基板100の第2面側に、光吸収層204及び光反射層202をこの順に積層させた構成を有している。光反射層202は、可視光(例えば発光領域101が発光する光)を遮光する機能を有している。光反射層202は、例えばCrなどの金属によって形成されており、その厚さは、例えば50nm以上200nm以下である。光吸収層204は、発光領域101が発光する光の反射率が光反射層202よりも低い材料によって形成されている。光反射層202が金属によって形成されている場合、光吸収層204は、この金属の酸化物(例えば酸化クロム)によって形成されている。なお、光吸収層204は、光反射層202よりも薄く形成されている。光吸収層204の厚さは、例えば30nm以上70nm以下である。光吸収層204の厚さは、例えば光反射層202の厚さ以下である。ただし光吸収層204の厚さは、光反射層202の厚さ以上であってもよい。
【0016】
上記したように、遮光層200は、基板100に垂直な方向から見た場合において複数の発光領域101の間に位置している。詳細には、遮光層200は複数の開口210を有している。複数の開口210は、基板100に垂直な方向から見た場合において、互いに異なる発光領域101と重なっており、かつ重なっている発光領域101と同様の形状を有している。このため、遮光層200を設けることにより、発光領域101の発光によって示されるパターンのエッジはシャープになる。これによって発光装置10が示すパターンの視認性は向上する。
【0017】
さらに、基板100に垂直な方向から見たときに、光反射層202の端部は、光吸収層204の端部よりも、遮光層200の内側に位置している。言い換えると、開口210の外形線は、光吸収層204の端部によって規定されている。そして、光反射層202の幅は、光吸収層204の幅よりも小さい。このため、発光領域101から見た場合において、光反射層202の端面の少なくとも一部は、光吸収層204によって覆われる。なお、光反射層202の端部から光吸収層204の端部まで距離は、例えば200nm以上500nm以下である。また、遮光層200の厚さをtとした場合、光反射層202の端部から光吸収層204の端部まで距離は、例えば3t以下である。
【0018】
なお、基板100に垂直な方向から見た場合において、開口210のそれぞれは、発光領域101よりも少し小さくても良い。この場合、開口210の縁は、発光領域101の内側に位置する。このようにすると、発光領域101と遮光層200の間に位置ずれが生じていても、遮光層200の縁は発光領域101に重なっているため、発光装置10の視認性は低下しない。なお、遮光層200と発光領域101の重なっている部分の幅は、例えば5μm以上40μm以下である。
【0019】
逆に、
図3に示すように、開口210のそれぞれは、発光領域101よりも少し大きくしても良い。この場合、遮光層200の端部から発光領域101の端部までの距離は、例えば0.5μm以上50μm以下である。この場合、発光装置10を少し斜めから見ても、発光装置10からの光を認識できるようになる。
【0020】
図4及び
図5は、遮光層200の形成方法を説明するための断面図である。なお、本図において、発光領域101は図示されていない。ただし、遮光層200を形成する前に、発光領域101のすべてが形成されていなくてもよいし、発光領域101の少なくとも一部の層が形成されていても良い。
【0021】
まず、
図4(a)に示すように、基板100の上に光吸収層204を形成する。光吸収層204は、例えばスパッタリング法、蒸着法、又はCVD法などの気相成膜法を用いて形成される。次いで光吸収層204の上にマスクパターン(例えばレジストパターン:図示せず)を形成し、このマスクパターンを介して光吸収層204をエッチングする。ここで行われるエッチングは、例えばウェットエッチングであるが、ドライエッチングであっても良い。これにより、光吸収層204のうち不要な部分は除去される。その後、
図4(b)に示すように、マスクパターンを除去する。
【0022】
次いで、
図5に示すように、光吸収層204の上及び基板100の上に光反射層202を形成する。光吸収層204及び光反射層202は、例えばスパッタリング法、蒸着法、又はCVD法などの気相成膜法を用いて形成される。
【0023】
その後、光反射層202の上にマスクパターン(例えばレジストパターン:図示せず)を形成し、このマスクパターンをマスクとして光反射層202をエッチングする。ここで行われるエッチングは、例えばウェットエッチングであるが、ドライエッチングであっても良い。これにより、光反射層202のうち不要な部分は除去される。
【0024】
図6は、比較例に係る発光装置10の構成を示す図であり、実施形態における
図2に対応している。この発光装置10は、遮光層200が光吸収層204を有していない点を除いて、実施形態に係る発光装置10と同様の構成である。ある発光領域101a(
図6における左側の発光領域101)が発光していて、その隣の発光領域101b(
図6における右側の発光領域101)が発光していない場合を考える。一般的に、発光素子が発光した光は、ある程度の角度を持って広がる。このため、発光領域101aから発光した光の一部は、光反射層202で反射し、さらに発光領域101bで反射されてから、発光装置10の外部に放射される。この場合、発光領域101bは発光していないにもかかわらず、発光領域101bが少し光っているように見えてしまう。この場合、発光装置10の視認性は低下してしまう。
【0025】
これに対して本実施形態では、遮光層200のうち基板100に対向している面には、光吸収層204が形成されている。光吸収層204は、光反射層202よりも光の反射率が低い。従って、
図7に示すように、発光領域101aから発光した光の一部が遮光層200に入射しても、遮光層200から発光領域101bに向けて反射する光は少なくなるか、又は、ほぼ無くなる。従って、発光装置10の視認性は向上する。
【0026】
また、
図6に示した比較例において、さらに、発光領域101で発光した光の一部は、光反射層202の端面で反射する。この場合、発光領域101の縁はにじんでいるように見えてしまい、その結果、発光装置10の視認性は低下してしまう。
【0027】
これに対して本実施形態では、基板100に垂直な方向から見たときに、光反射層202の端部は、光反射層202の端部よりも、発光領域101から離れているこのため、発光領域101から見た場合において、光反射層202の端面の少なくとも一部は、光吸収層204によって覆われる。従って、発光領域101で発光した光が光反射層202の端面で反射されることを抑制できる。この効果は、光反射層202の端部と光吸収層204の端部の距離が大きくなるにつれて、大きくなる。
【0028】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態に係る発光装置10の構成を示す断面図であり、第1の実施形態における
図2に対応している。本実施形態に係る発光装置10は、遮光層200が光吸収層206(第3層)を備えている点を除いて、第1の実施形態に係る発光装置10と同様の構成である。
【0029】
光吸収層206は、光反射層202(第1層)を挟んで基板100の逆側に位置している。言い換えると、遮光層200は、光吸収層204、光反射層202、及び光吸収層206をこの順に積層した構成を有している。光吸収層206は、光反射層202よりも反射率が低い。そして、基板100に垂直な方向から見た場合において、光反射層202の端部は、光吸収層206の端部よりも、遮光層200の内側に位置している。光吸収層206は、光吸収層204と同様の材料によって形成されている。例えば光反射層202が金属によって形成されている場合、光吸収層204は、この金属の酸化物(例えば酸化クロム)によって形成されている。なお、光吸収層206は、光反射層202よりも薄く形成されている。光吸収層206の厚さは、例えば光反射層202の厚さ以下である。ただし光吸収層206の厚さは、光反射層202の厚さ以上であってもよい。
【0030】
図9は、本実施形態に係る遮光層200の製造方法を説明するための断面図である。まず、
図9(a)に示すように、基板100の上に、光吸収層204、光反射層202、及び光吸収層206をこの順に形成する。光吸収層204、光反射層202、及び光吸収層206は、例えばスパッタリング法、蒸着法、又はCVD法などの気相成膜法を用いて形成される。なお、光吸収層204,206が光反射層202を形成する金属の酸化物で形成されている場合、光反射層202と光吸収層204,206は同一の処理室で形成されるのが好ましい。この場合、まず、処理室の中に酸化剤(例えば酸素ガス)を導入しながら成膜を行い、その後、成膜を継続しながら酸化剤の導入を止めて成膜を行い、さらにその後、酸化剤の導入を再開することにより、光吸収層204、光反射層202、及び光吸収層206をこの順に連続して形成することができる。
【0031】
次いで、
図9(b)に示すように、光吸収層206の上にマスクパターン(例えばレジストパターン:図示せず)を形成し、このマスクパターンを介して、光吸収層206、光反射層202、及び光吸収層204をエッチングする。ここで行われるエッチングは、例えばウェットエッチングであるが、ドライエッチングであっても良い。これにより、光吸収層204のうち不要な部分は除去される。このときのエッチング条件は、光反射層202のエッチング速度が、光吸収層204,光吸収層206のエッチング速度よりも速くなるように設定される。これにより、光反射層202の端部は、光吸収層204,光吸収層206の端部よりも遮光層200の内側に位置する。その後、マスクパターンを除去する。この方法によれば、
図8のように基板に垂直な方向から見た場合において、光反射層202(第1層)の端部は、光吸収層204(第2層)および光吸収層206(第3層)の端部よりも、遮光層200の内側に位置するようになる。
【0032】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様に、従って、発光領域101で発光した光が光反射層202の端面で反射されることを抑制できるため、発光装置10の視認性は向上する。
【0033】
また、光反射層202の上面には光吸収層206が形成されているため、発光装置10の外部から発光装置10に入射した光が、光反射層202によって反射されることを抑制できる。このため、発光装置10の視認性はさらに向上する。
【0034】
なお、
図10に示すように、光吸収層206の端部が自重によって変形し、光吸収層204の上に位置することがある。この場合、光吸収層206によって光反射層202の端部の少なくとも一部は覆われる。この場合、発光領域101で発光した光が光反射層202の端面で反射されることを、さらに抑制できる。特に本図に示すように、光吸収層206の一部が光吸収層204の上に位置する場合、光反射層202の端部の全部が光吸収層206によって覆われるため、発光領域101で発光した光が光反射層202の端面で反射されることを、さらに抑制できる。
【0035】
なお、光吸収層206の端面によって発光領域101からの光が反射されることを抑制することを意識した場合、光吸収層206は、光反射層202の側面にのみ形成されていてもよい。
【実施例0036】
図11は、実施例に係る発光装置10の構成を示す断面図である。本実施例に係る発光装置10は、以下の点を除いて、第2の実施形態に示した発光装置10と同様の構成である。
【0037】
まず、発光領域101は、有機EL素子によって形成されている。詳細には、発光領域101は、第1電極110、有機層120、及び第2電極130を有している。なお、各層の間には、他の層が形成されていても良い。
【0038】
第1電極110は、透光性の導電性材料、例えばITO(Indium Thin Oxide)やIZO(インジウム亜鉛酸化物)などの無機材料、またはポリチオフェン誘導体などの導電性高分子によって形成されている。そして、第2電極130は、光を反射する材料、例えばAl電極などの金属によって形成されている。
【0039】
有機層120は、例えば、正孔輸送層、発光層、及び電子輸送層を積層したものである。正孔輸送層は第1電極110に接しており、電子輸送層は第2電極130に接している。このようにして、有機層120は第1電極110と第2電極130の間で挟持されている。そして有機層120の材料、例えば発光層の材料を選択することにより、発光領域101が発光する光の色を所望の色にすることができる。
【0040】
なお、第1電極110と正孔輸送層との間には正孔注入層が形成されても良いし、第2電極130と電子輸送層との間には電子注入層が形成されてもよい。また、上記した各層の全てが必要ということではない。例えば電子輸送層内でホールと電子の再結合が生じている場合、電子輸送層が発光層の機能を兼ねているため、発光層は不要となる。また、これら第1電極110、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、及び第2電極130のうち、少なくとも1つは、インクジェット法などの塗布法を用いて形成されていても良い。また、有機層120と第2電極130との間には、LiFなどの無機材料で構成される電子注入層を設けても構わない。
【0041】
そして、基板100に垂直な方向から見た場合において、第2電極130は、隣り合う発光領域101の間にも形成されている。すなわち第1電極110及び有機層120は、発光領域101別にパターニングされているが、第2電極130は、複数の第1電極110の間で共通する電極となっている。
【0042】
なお、隣り合う発光領域101の間には、絶縁層102が形成されている。詳細には、隣り合う絶縁層102の間には、第1電極110及び有機層120が形成されている。有機層120の一部は絶縁層102の上に食み出していてもよい。そして第2電極130は、有機層120の上及び絶縁層102の上に連続的に形成されている。絶縁層102は、ポリイミド系樹脂などの感光性の樹脂であり、露光及び現像されることによって、所望のパターンに形成されている。絶縁層102としては、例えば、ポジ型の感光性樹脂が用いられる。なお、絶縁層102はポリイミド系樹脂以外の樹脂、例えばエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂であっても良い。
【0043】
そして、有機層120及び第2電極130は、絶縁層102が形成された後に、この順に形成されている。
【0044】
そして、基板100のうち遮光層200が形成されている面の上には、偏光層300が形成されている。偏光層300は、遮光層200を覆っている。偏光層300は、発光領域に入射した外光が、第2電極130によって反射することを防いだり、遮光層200の上面で反射することを防ぐために設けられている。すなわち発光装置10が非点灯のときの発光装置10の外観品質を向上させることができる。偏光層300を遮光層200上に形成するときに、遮光層200の膜厚を200nm以下とすることが良い。遮光層200の膜厚が大きくなると、偏光層300を基板100に貼り付ける際に、気泡等を巻き込んでしまい、外観品質が低下してしまうためである。
【0045】
また、遮光層200の光反射層202のうち光吸収層204とは逆側の面には、被覆膜220が形成されている。被覆膜220は、たとえばレジストなどの樹脂、又は酸化シリコンなどの無機材料によって形成されている。本図に示す例では、被覆膜220は、光吸収層206の上に形成されている。後述する発光装置10の製造工程において、基板100の第2面に遮光層200が形成された後、第2面側を下に向けて基板100を搬送することがある。この場合において、被覆膜220は、遮光層200に傷がつかないようにするために設けられている。
【0046】
図12~
図14は、本実施例における発光装置10の製造方法を説明するための図である。まず、
図12(a)に示すように、基板100のうち発光領域101が形成される面に、第1電極110を形成する。この段階では、第1電極110はパターニングされていない。なお、第1電極110は、例えば蒸着法、スパッタリング法、又はCVD法を用いて形成される。
【0047】
次いで、
図12(b)に示すように、基板100のうち第1電極110が形成されている面とは逆側の面に、光吸収層204、光反射層202、及び光吸収層206をこの順に形成する。次いで、光吸収層206上に被覆膜220を形成する。被覆膜220は、例えば塗布法を用いて形成される。
【0048】
次いで、
図13(a)に示すように、遮光層200及び被覆膜220をパターニングし、開口210を形成する。このとき、光反射層202の端部は、第2の実施形態で説明したように、光吸収層204,光吸収層206の端部よりも、光反射層202の内側に位置する。
【0049】
次いで、
図13(b)に示すように、第1電極110をパターニングする。この処理は、例えば第1電極110の上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして第1電極110をエッチングすることにより、行われる。また、このとき搬送面が遮光層200となるために、遮光層200は傷つきやすくなる。これに対して本実施例では、遮光層200のうち基板100とは逆側の面には被覆膜220が設けられている。このため、遮光層200に傷がつくことを抑制できる。
【0050】
次いで、
図14(a)に示すように、絶縁層102を形成し、絶縁層102をパターニングする。絶縁層102が感光性材料によって形成されている場合、絶縁層102は、露光及び現像によってパターニングされる。
【0051】
次いで、
図14(b)に示すように、有機層120を形成する。有機層120を構成する各層は、蒸着法を用いて形成されていても良いし、スプレー塗布、ディスペンサー塗布、インクジェット、又は印刷などの塗布法を用いて形成されていてもよい。また、有機層120を構成する複数の層の少なくとも一つは、他の層とは異なる方法によって形成されていても良い。
【0052】
次いで、有機層120の上に第2電極130を形成する。第2電極130は、例えば蒸着法、スパッタリング法、又はCVD法を用いて形成される。その後、偏光層300を形成する。
【0053】
本実施例によっても、実施形態と同様に、発光装置10の視認性が低下することを抑制できる。
【0054】
また本実施例では、基板100に垂直な方向から見た場合において、発光領域101の間に位置する領域にも第2電極130が形成されている。このため、光反射層202が有機層120からの光を反射した場合、この反射光は第2電極130によって反射される確率は高くなる。この場合、発光装置10の視認性は特に低下しやすくなる。これに対して本実施例では、光反射層202のうち基板100に面する面には光吸収層204が形成されている。従って、第2電極130が隣り合う発光領域101の間に形成されていても、発光装置10の視認性が低下することを抑制できる。
【0055】
なお本実施例において、遮光層200の構成を第1の実施形態と同様の構成にしてもよい。
【0056】
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。