(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169212
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】流線形の断面形状を備えるハプティック構造を有する眼内レンズ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/16 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
A61F2/16
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023142083
(22)【出願日】2023-09-01
(62)【分割の表示】P 2020523783の分割
【原出願日】2018-10-30
(31)【優先権主張番号】62/579,989
(32)【優先日】2017-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】チエン リウ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ジェイ.バン ノイ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】PCOに対処し得る一方で、IOLの再位置決め及び体外への取り出しを可能にする改良型IOLを提供すること。
【解決手段】眼用装置100Aが、光学部品110と、光学部品に結合されたハプティック構造120Aとを含む。光学部品は光軸を含む。ハプティック構造は光学部品に結合されている。ハプティック構造は、患者の眼の水晶体嚢内に眼用装置を保持する。ハプティック構造の少なくとも一部分は、断面と、その断面の一部分の外周を形成する周面128Aとを有する。周面の少なくとも一部分は、水晶体嚢に接触し、且つ滑らかに曲がっている。
【選択図】
図1A-1D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼用装置であって、
光軸を含む光学部品と;
前記光学部品に結合され且つ患者の眼の水晶体嚢内に前記眼用装置を保持するためのハプティック構造であって、前記ハプティック構造の少なくとも一部分は、断面と、前記断面の一部分の外周を形成する周面とを有し、前記周面の少なくとも一部分は、前記水晶体嚢に接触し、且つ滑らかに曲がっている、ハプティック構造と
を含む、眼用装置。
【請求項2】
前記周面の全てが滑らかに曲がっている、請求項1に記載の眼用装置。
【請求項3】
前記ハプティック構造は、前記周面とは別の鋭い縁を含む、請求項1に記載の眼用装置。
【請求項4】
前記ハプティック構造は、後嚢混濁(PCO)を減少させるためのテクスチャー、PCOを減少させるための特徴、PCOを減少させるための第1のコーティング、及び前記水晶体嚢への前記ハプティック構造の接着性を低下させるための、前記周面の少なくとも一部分上の第2のコーティングのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の眼用装置。
【請求項5】
前記ハプティック構造は閉ループハプティック構造である、請求項1~4のいずれか1項に記載の眼用装置。
【請求項6】
前記ハプティック構造は開ループハプティック構造である、請求項1~4のいずれか1項に記載の眼用装置。
【請求項7】
前記断面の少なくとも一部分は凸状である、請求項1~6のいずれか1項に記載の眼用装置。
【請求項8】
前記断面の少なくとも一部分は凹状である、請求項1~7のいずれか1項に記載の眼用装置。
【請求項9】
前記断面の少なくとも一部分は実質的に平坦である、請求項1~8のいずれか1項に記載の眼用装置。
【請求項10】
眼用装置であって:
光軸を含む光学部品と;
前記光学部品に結合され且つ前記眼用装置を患者の眼の水晶体嚢内に保持するための閉ループハプティック構造であって、前記閉ループハプティック構造の少なくとも一部分は、断面と、前記断面の一部分の外周を形成する周面とを有する、閉ループハプティック構造と
を含み、
前記水晶体嚢に接触する前記周面の少なくとも第1の部分は、滑らかに曲がっており;
前記断面の少なくとも一部分は凹状であり;及び
前記閉ループハプティック構造は、後嚢混濁(PCO)を減少させるためのテクスチャー、PCOを減少させるための鋭い縁、PCOを減少させるための特徴、PCOを減少させるための第1のコーティング、及び前記水晶体嚢への前記ハプティック構造の接着性を低下させるための、前記周面の少なくとも第2の部分上の第2のコーティングのうちの少なくとも1つを含む、眼用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して眼用レンズ、より詳細は、流線形の断面形状を備えるハプティック(haptic)構造を有する眼内レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
眼内レンズ(IOL)は、患者の天然の水晶体を置き換えるために患者の眼に移植され得る。IOLは、一般に、(1)患者の視力を矯正する光学部品(例えば、一般に屈折又は回析による)、及び(2)光学部品を患者の眼内(例えば、水晶体嚢(capsular bag)内)の適所にとどめる支持構造を構成するハプティックを含む。概して、医師は、光学部品が患者に対して適切な矯正特性を有するIOLを選択する。白内障などの状態に対してしばしば行われる眼科手術の最中、外科医は、患者の眼の水晶体嚢を切開し(嚢切開)、且つその切開部を通してIOLを挿入することによって、選択したIOLを移植する。一般に、IOLは、角膜の切開部を経由して水晶体嚢に挿入するために折り畳まれ、ひとたび水晶体嚢内の適所になると広げられる。広げる最中、ハプティックは、それぞれの小さなセクションが水晶体嚢にもたれるように拡張し、IOLを適所に保持し得る。
【0003】
場合によっては、IOLは、取り除かれる、すなわち体外へ取り出される(explanted)必要がある。IOLを体外へ取り出すために、IOLは、細かく切られ、切開部を通して取り除かれる。IOLはまた、ハプティックが拡張された後、外科的処置の最中に再位置決めされ得る。IOLの体外への取り出し又は再位置決めのいずれかでは、ハプティックは、水晶体嚢から離される。しかしながら、ハプティックは水晶体嚢に接着し得るため、ハプティックの動きによって、水晶体嚢を損傷させたり又は引き裂いたりする可能性がある。患者へのそのような傷害は望ましくない。
【0004】
IOLが適所に留まる場合でも、欠点がある場合がある。IOLは、後部水晶体嚢(posterior capsular bag)に筋(striae)又は折り重なりを生じ得る。水晶体嚢の筋は、細胞の増殖及び/又は移動のための機構を提供することによって、後嚢混濁(PCO:posterior capsular opacification)を生じ得る。それゆえ、PCOに対処する機構が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、PCOに対処し得る一方で、IOLの再位置決め及び体外への取り出しを可能にする改良型IOLが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの実施形態では、眼用装置は、光学部品と、光学部品に結合されたハプティック構造とを含む。光学部品は光軸を含む。ハプティック構造は光学部品に結合されている。ハプティック構造は、患者の眼の水晶体嚢内に眼用装置を保持する。ハプティック構造の少なくとも一部分は、ある断面と、その断面の一部分の外周を形成する周面とを有する。周面の少なくとも一部分は、水晶体嚢に接触し、且つ滑らかに曲がっている。
【0007】
ある実施形態では、本明細書で説明するハプティック形状は、1つ以上の技術的利点を持ち得る。例えば、本明細書で説明するハプティック形状を有するIOLは、既存のIOLと比較して、より簡単に体外への取り出し及び/又は再位置決めがなされ得る。
【0008】
本開示及びその利点をより完全に理解するために、ここで、添付図面と併せて以下の説明を参照し、図面では、同様の符号は同様の特徴を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A-1J】断面が流線形の周囲を有するハプティック構造を有する眼用装置の例示的な実施形態の様々な図を示す。
【
図2A-2B】断面が流線形の周囲を有するハプティック構造を有する眼用装置の一部分の別の例示的な実施形態を示す。
【
図3A-3B】断面が流線形の周囲を有するハプティック構造を有する眼用装置の一部分の別の例示的な実施形態を示す。
【
図4A-4B】断面が流線形の周囲を有するハプティック構造を有する眼用装置の一部分の別の例示的な実施形態を示す。
【
図5】断面が流線形の周囲を有するハプティック構造を有する眼用装置の一部分の別の例示的な実施形態を示す。
【
図6】断面が流線形の周囲を有するハプティック構造を有する眼用装置の一部分の別の例示的な実施形態を示す。
【
図7】断面が流線形の周囲を有するハプティック構造を有する眼用装置の一部分の別の例示的な実施形態を示す。
【
図8】断面が流線形の周囲を有するハプティック構造を有する眼用装置の一部分の別の例示的な実施形態を示す。
【
図9】断面が流線形の周囲を有するハプティック構造を有する眼用装置の一部分の別の例示的な実施形態を示す。
【
図10】断面が流線形の周囲を有するハプティック構造を有する眼用装置の一部分の別の例示的な実施形態を示す。
【
図11A-11C】断面が流線形の周囲を有するハプティック構造で使用され得るテクスチャー/パターンの例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
当業者は、下記で説明する図面は説明のためにすぎないことを理解する。図面は、本出願人の開示の範囲をなんら限定するものではない。
【0011】
例示的な実施形態は、眼内レンズ(IOL)などの眼用装置に関する。以下の説明は、当業者が本発明を作製及び使用できるようにするために提供され、及び特許出願及びその条件の内容において提供される。例示的な実施形態に対する様々な修正例、並びに本明細書で説明する一般的原理及び特徴は、容易に分かる。「例示的な実施形態」、「一実施形態」及び「別の実施形態」などの語句は、同じ又は異なる実施形態並びに複数の実施形態を指し得る。実施形態は、一定の構成要素を有するシステム及び/又は装置に関して説明する。しかしながら、システム及び/又は装置は、図示のものよりも多い又は少ない構成要素を含んでいてもよく、並びに構成要素の配置構成及びタイプの変形は、本発明の範囲から逸脱せずになされ得る。それゆえ、本発明は、図示の実施形態に限定されるものではないが、本明細書で説明する原理及び特徴と一致する最も広い範囲であるものとする。
【0012】
概して、本開示は、光学部品と、光学部品に結合されたハプティック構造とを含む眼用装置に関する。光学部品は光軸を含む。ハプティック構造は光学部品に結合されている。ハプティック構造は、患者の眼の水晶体嚢内に眼用装置を保持する。ハプティック構造の少なくとも一部分は、ある断面と、その断面の一部分の外周を形成する周面とを有する。周面の少なくとも一部分は、水晶体嚢に接触し、且つ滑らかに曲がっている。
【0013】
図1A~1Gは、断面が流線形の周囲を有する閉ループハプティック構造120Aを有する眼用装置100Aの例示的な実施形態の様々な図を示す。下記で説明するように、他の実施形態では、開ループハプティック構造を使用してもよい。簡潔にするために、眼用装置100AはIOL100Aと称してもよい。明確にするために、
図1A~1Gは、縮尺通りではなく、全ての構成要素が示されているわけではない場合がある。IOL100Aは、ハプティック構造120A並びに光学部品110を含む。
図1A及び
図1Bは、IOL100Aの平面図及び側面図である。
図1Cは、ハプティック構造120Aの一部分の断面図である。
図1Dは、患者の眼で使用するときの、ハプティック構造120Aのその部分の断面図である。
図1Eは、操作されているときのIOL100Aの平面図である。
図1Fは、操作されているときのハプティック構造120Aの一部分の断面図である。
図1Gは、ハプティック構造120Aの操作に伴う力を示す。
【0014】
光学部品110は、患者の視力を矯正するために使用され得る眼用レンズ110である。例えば、光学部品は、屈折及び/又は回折レンズとし得る。光学部品110は、単焦点レンズ、多焦点レンズ、トーリックレンズ、調節型又は別の類似のレンズとし得る。それゆえ、光学部品110の前面及び/又は後面は、限定するものではないが、基本曲率及び1つ又は複数の回折格子を含む特徴を有し得る。光学部品110は、患者の視力を矯正するために光を屈折及び/又は回折し得る。光学部品110は、
図1Aの紙面の平面から出る光軸112を有する。光学部品110は、
図1Aの平面図では円形フットプリントを有するとして示されている。他の実施形態では、光学部品110は、異なる形状のフットプリントを有してもよい。いくつかの実施形態では、光学部品110はまた、明確にするために図示しない他の特徴を含み得る。光学部品110は、様々な可撓性光学材料のうちの1種以上で形成され得る。例えば、光学部品110は、限定するものではないが、シリコーン、ヒドロゲル、及びアクリルのうちの1種以上を含み得る(例えばAcrySof(登録商標))。
【0015】
ハプティック構造120Aは、患者の眼の水晶体嚢(
図1A~1C及び
図1Eには明確に図示せず)内の適所に眼用装置100Aをとどめるために使用される支持構造である。水晶体嚢130Aの一部分を
図1Dに示す。ハプティック構造120Aは、閉ループ122A-1及び122A-2(まとめて122)及び内側リング又はフレーム124Aを含む。フレーム124Aの内側部分は、光学部品110の形状に適合することが望ましい。他の実施形態では、フレーム124Aは省略されてもよい。いくつかの実施形態では、ハプティック構造120A及び光学部品110は、一緒に成形されてもよい。それゆえ、光学部品110及びハプティック120Aは、単一のモノリシック構造を形成し得る。他の実施形態では、ハプティック構造120Aは、他の方法で光学部品110に取り付けられ得る。例えば、ハプティック構造120Aは、既存の光学部品110にボンディングされ得るか又はその周囲に成形され得る。
【0016】
ループ122Aは、水晶体嚢130Aにもたれることによって、IOL100Aを患者の眼内の適所に保持する。ループ122Aのそれぞれは、大きな角度で対する。それゆえ、ループ122Aは、開ループを有するハプティックよりもかなり大きな角度にわたって水晶体嚢に接触する。その結果、安定性が高められ、及び筋の形成が減少され得る。2つの閉ループ122Aを示すが、別の数のループが使用されてもよい。閉ループ122Aの形状は異なってもよい。さらに、他の実施形態では、閉ループではなく開ループが使用されてもよい。例えば、
図1H及び
図1Jは、IOL100Aと類似のIOL100A’及び100A”を示す。
図1Hは、C字形状の開ループ122A-1’及び122A-2’(まとめてループ122A’)を有するIOL100A’を示す。
図1Jは、L字形状の開ループ122A-1”及び122A-2”を有するIOL100A”を示す。それゆえ、IOL100A’及び100A”は、ループ122A’及び122A”が開放していることを除いて、IOL100Aと同じとし得る。例えば、開ループ122A’及び122A”の断面は、閉ループ122Aの断面と同じとし得る。
【0017】
図1C及び
図1Dは、例えば
図1Aに示す線A-Aに沿って取った、閉ループ122Aの断面を示す。
図1Aでは断面の特定の箇所を示すが、他の実施形態では、断面は、閉ループ122A-1の別の部分において及び/又は他方の閉ループ122A-2の少なくとも一部に関して同じとし得る。
図1C~1Dに示す断面は、水晶体嚢にもたれる1つ又は複数のループ122Aの少なくとも一部に関する。いくつかの実施形態では、各ループ122Aの全体の断面が示されている。他の実施形態では、例えばフレーム124Aの近くなど、水晶体嚢130Aにもたれないループ122Aの部分は、異なる断面を有してもよい。
【0018】
1つ又は複数のループ122Aの断面は、内周面126A及び外周面128Aを有する。外周面128Aは、ループ122Aの外側にあり、及び
図1Dに示すように水晶体嚢130Aにもたれ得る。外周面128Aは水晶体嚢130Aに力を加える。それゆえ、外周面は、水晶体嚢130Aを拡張させ且つ水晶体嚢130A内でIOL100Aを安定化させるのを支援し得る。内周面126Aは、外周面128Aに対向し、及びループ122Aの内側を形成する。それゆえ、内周面126Aの少なくとも一部は、水晶体嚢に接触しない、又は水晶体嚢に加える力が著しく弱いことがあり得る。ループではなくアームがハプティック構造120Aに存在する場合、内周面は、水晶体嚢にもたれない断面の部分を形成する。
【0019】
異なる実施形態では、全体の形状が変化しないときでも、断面の特定の形状は異なり得る。例えば、異なる実施形態では、内周面126Aのコーナ129Aと外周面128Aとの間の長さ、及び後面と前面との間の厚さは、異なり得る。いくつかの実施形態では、厚さは、0.5mm程度とし得る。いくつかのそのような実施形態では、長さは約0.9mmとし得る。他のそのような実施形態では、長さは約0.7mmとし得る。それゆえ、ハプティック120Aの断面は、異なるアスペクト比に対して異なる外観を有し得る。
【0020】
外周面128Aの少なくとも一部は、滑らかに曲がっている。図示の実施形態では、周面128A全体が曲がっている。別の言い方をすれば、断面の外周面128Aの幾何学的形状は、流線形である。それゆえ、巨視的には、外周面128Aは、連続的ではっきりした傾斜を有する。
図1A~1Dに示す実施形態では、外周面には、追加的なテクスチャー又は特徴は存在しない。テクスチャーは、ナノメートルからミクロン以下のオーダーの代表長を有し得る。特徴は、数十ミクロン程度の代表長すなわち特性長を有し得る。他の実施形態では、そのようなテクスチャー又は特徴が存在してもよい。しかしながら、断面の直径又は高さの規模によっては、外周面128Aは滑らかに曲げられる。その湾曲した形状のために、外周面128Aは、水晶体嚢130Aとよりしっかりと接触し得る。これを
図1Dに示す。その結果、ハプティック120Aは、IOL100Aをより良好に安定化させることができるとし得る。さらに、鋭いコーナを湾曲にして、外周面128Aには鋭いコーナをなくすことは、体外へ取り出す又は再位置決めする場合に、ループ122Aが水晶体嚢130Aに接着して引き裂く可能性を少なくし得る。
【0021】
例えば、
図1E及び
図1Fは、操作力F
manを使用して、再位置決め又は体外への取り出し中のIOL100A及びハプティック120Aを示す。
図1Gは、IOL100Aの再位置決め又は体外への取り出しに伴う力の平面図を示す。操作力F
manは、ハプティックを水晶体嚢130Aから離すのに使用される。操作力に応答して、ループ122A-1は、
図1Eに示すように変形される。より具体的には、操作力が加えられるループ122A-1の部分は、力の方向に:光学部品110の方へ向かって動く。操作力に起因する反力F
reaction
1及びF
reaction
2は、ループ122A-1に沿っており、及び操作力と反対方向にある。それゆえ、
図1Gから分かるように、反力は、水晶体嚢からループ122A-1を分離する傾向がある。さらに、ループ122A-1はまた、トルクτを受ける。このトルクはまた、水晶体嚢130Aからループ122A-1を分離する傾向がある。それゆえ、ループ122Aの断面の構成は、ループ122Aが操作されているときの、水晶体嚢130Aに対するループ122Aの可動性を高める傾向がある。
【0022】
外周面128Aとは対照的に、内周面は、滑らかに曲がっていなくてもよい。図示の実施形態では、内周面126Aは、鋭いコーナ129Aを有する。巨視的には、内周面126Aの傾斜は、コーナ129Aにおいてはっきりしておらず、及びコーナ129Aの両側で連続的ではない。それゆえ、ハプティック構造120Aの断面は、涙の滴形状にされる。鋭いコーナ129Aが存在するため、光学部品110は、全ての側面が鋭い縁で囲まれ得る。これらの鋭い縁はまた、いずれかの側面から細胞が光学部品110へ移動する確率を下げ得る。PCOは、減少され得るか又はなくされ得る。
【0023】
フレーム124Aはまた、鋭い外側コーナを有し得る(フレーム124Aの外面に)。光学部品110は、鋭いコーナを有し得る(図示せず)。その結果、光学部品110は、全ての側面が鋭い縁によって囲まれ得る。これらの鋭い縁はまた、いずれかの側面から細胞が光学部品110へ移動する確率を下げ得る。PCOは、減少され得るか又はなくされ得る。
【0024】
IOL100Aは、患者の転帰を改善し得る。ループ122Aの断面の流線形の外周面128Aは、体外への取り出し及び/又は再位置決めの最中の、水晶体嚢130Aへのループ122Aの接着性を低下させ得る。それゆえ、ハプティック120Aの操作に起因する患者の眼への損傷は減少され得る。外周面128Aの滑らかな湾曲はまた、IOL100Aが適所にあるとき、IOL100Aの安定性を改善できるようにする。ハプティック構造120Aの縁129Aなどの鋭い縁は、さらに、PCOを減少させ得る。それゆえ、IOL100Aの性能が改善され得る。
【0025】
図2A及び
図2Bは、IOLなどの眼用装置用のハプティック構造120Bの別の例示的な実施形態を示す。明確にするために、
図2A及び
図2Bは、縮尺通りではなく、全ての構成要素が示されているわけではない場合がある。
図2Aは、ハプティック構造120Bの断面を示す。
図2Bは、使用しているときの、患者の眼の水晶体嚢130Bにもたれているハプティック構造120Bの断面を示す。IOL、及びその一部であるハプティック120Bは、ハプティック120A及びIOL100Aと類似している。従って、類似の構成要素は同様の符号を有する。それゆえ、IOLは、光学部品110及びハプティック構造120Aと類似の、光学部品(明白には図示せず)及びハプティック構造120B(断面のみを示す)を含む。いくつかの実施形態では、ハプティック構造120Bは、閉ループハプティック構造であり、ループ122Aと類似のループを有し、且つ任意選択的にフレーム124Aと類似のフレームを含む。フレームは省略されてもよく、別のサイズの1つ又は複数のループ及び/又は別の数のループが使用されてもよい。他の実施形態では、ハプティック構造120Bは、1つ以上の開ループを有し得る。
【0026】
ハプティック構造120Bは、ハプティック構造120Aと類似した方法で機能し、且つ類似の利点を共有する。それゆえ、ハプティック構造120Bは、面128A及び126Aとそれぞれ類似する外周面128B及び内周面126Bを含む。しかしながら、断面の形状は異なる。周面128B全体は、滑らかに曲がっている。それゆえ、巨視的には、外周面128Bは、連続的ではっきりした傾斜を有する。
図2A~2Bに示す実施形態では、外周面128Bに追加的なテクスチャー又は特徴は存在しない。別の実施形態では、テクスチャー、特徴、及び/又はコーティングがIOL100Bに存在してもよい。その湾曲した形状のために、外周面128Bは、
図2Bに示すように、水晶体嚢130Bとよりしっかりと接触し得る。その結果、ハプティック120Aは、IOL100Aをより良好に安定化させることができるとし得る。さらに、鋭いコーナを湾曲にして、外周面128Bには鋭いコーナをなくすことは、体外へ取り出す又は再位置決めする場合に、ループが水晶体嚢130Aに接着して引き裂く可能性を少なくし得る。
【0027】
涙の滴形状を有する代わりに、周面126Bの大部分は平坦である。それゆえ、内周面126Bは、1つの直線の側面及び2つの鋭いコーナ129B-1及び129B-2を含む。巨視的には、内周面126Bの傾斜は、コーナ129B-1及び129B-2においてはっきりしておらず、及びコーナ129B-1及び129B-2の両側で連続的ではない。鋭いコーナ129B-1及び129B-2が存在するため、光学部品(図示せず)は、後側で鋭い縁で囲まれ、PCOを減少させ得る又は防止し得る。光学部品はまた、眩輝低減のために、湾曲した縁プロファイルを有し得る。ハプティックの断面の縁プロファイルはブレンドされ、及び光学部品の縁プロファイルに滑らかに移行し得る。
【0028】
ハプティック構造120Bは、患者の転帰を改善し得る。断面の流線形の外周面128Bは、体外への取り出し及び/又は再位置決めの最中の、水晶体嚢130Bへのハプティック構造120Bの接着性を低下させ得る。それゆえ、ハプティック120Bの操作に起因する患者の眼への損傷は減少され得る。外周面128Bの滑らかな湾曲はまた、IOLが適所にあるときの、IOLの安定性を改善できるようにする。ハプティック構造120B用の縁129B-1などの鋭い縁は、さらにPCOを減少させ得る。それゆえ、IOLの性能が改善され得る。
【0029】
図3A及び
図3Bは、IOLなどの眼用装置用のハプティック構造120Cの別の例示的な実施形態を示す。明確にするために、
図3A及び
図3Bは、縮尺通りではなく、全ての構成要素が示されているわけではない場合がある。
図3Aは、ハプティック構造120Cの断面を示す。
図3Bは、使用しているときの、患者の眼の水晶体嚢130Cにもたれているハプティック構造120Cの断面を示す。IOL、及びその一部であるハプティック120Cは、ハプティック120A及び/又は120Bに類似している。従って、類似の構成要素は同様の符号を有する。それゆえ、IOLは、光学部品110及びハプティック構造120A及び/又は120Bと類似の光学部品(明白には図示せず)及びハプティック構造120Cを含む。いくつかの実施形態では、ハプティック構造120Bは、閉ループハプティック構造であり、ループ122Aと類似のループを有し、且つ任意選択的にフレーム124Aに類似のフレーム含む。フレームは省略されてもよく、別のサイズの1つ又は複数のループ及び/又は別の数のループが使用されてもよい。他の実施形態では、ハプティック構造120Cは、1つ以上の開ループを有し得る。
【0030】
ハプティック構造120Cは、ハプティック構造120A及び/又は120Bと類似した方法で機能し、且つ類似の利点を共有する。それゆえ、ハプティック構造120Cは、面128A/128B及び126A/126Bにそれぞれ類似する外周面128C及び内周面126Cを含む。しかしながら、断面の形状は異なる。外周面128B及び内周面126Cの全体が、滑らかに曲がっている。
【0031】
図3A~3Bに示す実施形態では、追加的なテクスチャー又は特徴129Cが外周面128Cの後部に存在し得る。構成要素129Cがテクスチャー又は特徴であるかどうかは、上述のその特性サイズに依存する。このテクスチャーは、階段状パターンとして示されている。しかしながら、他のパターンが可能である。例えば、繰り返しの波形面、繰り返しの線、又は他のテクスチャー若しくは特徴が存在し得る。別の実施形態では、特徴129Cは、単に、表面の粗さとし得る。いくつかの実施形態では、テクスチャー、特徴、及び/又はコーティングがIOLに存在して、PCOを減少させるのを支援し得る。その湾曲した形状のため、外周面128Cは、水晶体嚢130Cとよりしっかりと接触し得る。その結果、ハプティック120Cは、IOLをより良好に安定化させることができるとし得る。さらに、鋭いコーナを湾曲にして、外周面128ACには鋭いコーナをなくすことは、ループ122ACが、体外への取り出し又は再位置決めの場合に、水晶体嚢130Aに接着したり又はそれを引き裂いたりする可能性を少なくし得る。
【0032】
ハプティック構造120Cは、向上した性能を有し得る。断面の流線形の外周面128Cは、体外への取り出し及び/又は再位置決めの最中に、水晶体嚢130Cへのハプティック構造120Cの接着性を低下させ得る。それゆえ、ハプティック120Cの操作に起因する患者の眼への損傷は減少され得る。外周面128Cの滑らかな湾曲はまた、IOLが適所にあるとき、IOLの安定性を改善させることができる。ハプティック構造120BC用のテクスチャー/特徴129Cは、さらに、PCOを減少させ得る。それゆえ、IOLの性能は改善され得る。
【0033】
図4A及び
図4Bは、IOLなどの眼用装置用のハプティック構造120Dの別の例示的な実施形態を示す。明確にするために、
図4A及び
図4Bは、縮尺通りではなく、全ての構成要素が示されているわけではない場合がある。
図4Aは、ハプティック構造120Dの断面を示す。
図4Bは、使用しているときの、患者の眼の水晶体嚢130Dにもたれているハプティック構造120Dの断面を示す。IOL、及びその一部であるハプティック120Dは、ハプティック120A、120B及び/又は120Cに類似している。従って、類似の構成要素は同様の符号を有する。それゆえ、IOLは、光学部品110及びハプティック構造120A、120B及び/又は120Cに類似している光学部品(明白には図示せず)及びハプティック構造120Dを含む。いくつかの実施形態では、ハプティック構造120Cは、閉ループハプティック構造であり、ループ122A、122B及び/又は120Cに類似しているループを有し、且つ任意選択的にフレーム124Aに類似しているフレームを含む。フレームは省略されてもよく、別のサイズの1つ又は複数のループ及び/又は別の数のループが使用されてもよい。他の実施形態では、ハプティック構造120bは、1つ以上の開ループを有し得る。
【0034】
ハプティック構造120Dは、ハプティック構造120A、120B及び/又は120Cと類似した方法で機能し、且つ類似の利点を共有する。それゆえ、ハプティック構造120Dは、面128A/128B/128C及び126A/126B/126Cにそれぞれ類似している外周面128D及び内周面126Cを含む。ハプティック構造120Dの断面は、ハプティック構造120Cに最も似ている。
図3A及び
図3Bに示すように垂直方向の長軸を有する代わりに、
図4A~4Bでは長軸は水平方向にある。
【0035】
さらに、ハプティック構造120Dはコーティング127Dを有する。ハプティック構造120Dの面の一部にのみ存在するとして示すが、コーティング127Dは、周面128D及び126D全体を被覆してもよい。コーティング127Dは、水晶体嚢130Dへの外周面128Dの接着性を制限し得る。それゆえ、コーティング127Dは、操作又は体外への取り出しを容易にし得る。例えば、コーティング127Dは、限定するものではないが、ポリエチレングリコール(PEG)、プラスマ、及びパリレンのうちの1種以上を含み得る。
【0036】
ハプティック構造120Dは、IOLの性能を改善し得る。断面の流線形の外周面128Bは、体外への取り出し及び/又は再位置決めの最中の水晶体嚢130Dへのハプティック構造120Dの接着性を低下させ得る。コーティング127Dも再位置決め及び/又は体外への取り出しを容易にし得る。それゆえ、ハプティック120Dの操作に起因する患者の眼への損傷は減少され得る。外周面128Dの滑らかな湾曲はまた、IOLが適所にあるとき、IOLの安定性を高めることができるようにする。ハプティック構造120Dのテクスチャー/特徴127Dは、さらにPCOを減少させ得る。それゆえ、IOLの性能が改善され得る。
【0037】
図5は、IOLなどの眼用装置用のハプティック構造120Eの別の例示的な実施形態の断面を示す。明確にするために、
図5は、縮尺通りではなく、全ての構成要素が示されているわけではない場合がある。IOL、及びその一部であるハプティック120Eは、ハプティック120A、120B、120C及び/又は120Dに類似している。従って、類似の構成要素は同様の符号を有する。それゆえ、IOLは、光学部品110及びハプティック構造120A、120B、120C及び/又は120Dに類似している光学部品(明白には図示せず)及びハプティック構造120Eを含む。いくつかの実施形態では、ハプティック構造120Eは、閉ループハプティック構造であり、ループ122Aに類似しているループを有し、且つ任意選択的にフレーム124Aに類似しているフレームを含む。フレームは省略されてもよく、別のサイズの1つ又は複数のループ及び/又は別の数のループが使用されてもよい。他の実施形態では、ハプティック構造120Eは、1つ以上の開ループを有し得る。
【0038】
ハプティック構造120Eは、面128A、128B、128C、及び128D及び126A、126B、126C及び126Dにそれぞれ類似している外周面128E及び内周面126Eを含む。しかしながら、断面の形状は異なる。断面は、全体的に矩形であるが、丸みを帯びたコーナ及び丸みを帯びた側面を有する。全てのコーナが丸みを帯びて示されているが、いくつかの実施形態では、内周面126Eの一方又は両方のコーナは鋭くされて、PCOを軽減し得る。
【0039】
ハプティック構造120Eは、患者の転帰を改善し得る。断面の流線形の外周面128Eは、体外への取り出し及び/又は再位置決めの最中の、水晶体嚢へのハプティック構造120Eの接着性を低下させ得る。それゆえ、ハプティック120Eの操作に起因する患者の眼への損傷は減少され得る。外周面128Eの滑らかな湾曲はまた、IOLが適所にあるとき、IOLの安定性を高めることができるようにする。
【0040】
図6は、IOLなどの眼用装置用のハプティック構造120Fの別の例示的な実施形態の断面を示す。明確にするために、
図6は、縮尺通りではなく、全ての構成要素が示されているわけではない場合がある。IOL、及びその一部であるハプティック120Fは、ハプティック120A、120B、120C、120D及び/又は120Eに類似している。従って、類似の構成要素は同様の符号を有する。それゆえ、IOLは、光学部品110及びハプティック構造120A、120B、120C、120D及び/又は120Eに類似している光学部品(明白には図示せず)及びハプティック構造120Fを含む。いくつかの実施形態では、ハプティック構造120Fは、閉ループハプティック構造であり、ループ122Aに類似しているループを有し、且つ任意選択的にフレーム124Aに類似しているフレームを含む。フレームは省略されてもよく、別のサイズの1つ又は複数のループ及び/又は別の数のループが使用されてもよい。他の実施形態では、ハプティック構造120Fは、1つ以上の開ループを有し得る。
【0041】
ハプティック構造120Fは、外面128A、128B、128C、128D及び128E及び内面126A、126B、126C、126D及び126Eにそれぞれ類似している外周面128F及び内周面126Fを含む。しかしながら、断面の形状は異なる。断面は、全体的に矩形であり、平らな側面を備えるが、丸みを帯びたコーナを有する。全てのコーナが丸みを帯びて示されているが、いくつかの実施形態では、内周面126Fの一方又は両方のコーナは鋭くされて、PCOを軽減し得る。ハプティック構造120Fはコーティング129Fも有する。ハプティック構造120Fの面の一部にのみ存在するとして示されているが、コーティング129Fは、周面128F及び126F全体を含む、より大きな又は異なる領域を被覆してもよい。コーティング129FはPCOを減少させ得る。例えば、コーティング129Fは、限定するものではないが、PEG及びErufosineの1種以上を含み得る。
【0042】
断面の流線形の外周面128Fは、体外への取り出し及び/又は再位置決めの最中の、水晶体嚢へのハプティック構造120Fの接着性を低下させ得る。それゆえ、ハプティック120Fの操作に起因する患者の眼への損傷が減少され得る。外周面128Fの滑らかな湾曲はまた、IOLが適所にあるとき、IOLの安定性を高めることができるようにする。ハプティック構造120Fのコーティング129Fはまた、PCOを減少させ得る。それゆえ、IOLの性能が改善され得る。
【0043】
図7は、IOLなどの眼用装置用のハプティック構造120Gの別の例示的な実施形態の断面を示す。明確にするために、
図7は、縮尺通りではなく、全ての構成要素が示されているわけではない場合がある。IOL、及びその一部であるハプティック120Gは、ハプティック120A、120B、120C、120D、120E及び/又は120Fに類似している。従って、類似の構成要素は同様の符号を有する。それゆえ、IOLは、光学部品110及びハプティック構造120A、120B、120C、120D、120E及び/又は120Fに類似している光学部品(明白には図示せず)及びハプティック構造120Gを含む。いくつかの実施形態では、ハプティック構造120Gは、閉ループハプティック構造であり、ループ122Aに類似しているループを有し、且つ任意選択的にフレーム124Aに類似しているフレームを含む。フレームは省略されてもよく、別のサイズの1つ又は複数のループ及び/又は別の数のループが使用されてもよい。他の実施形態では、ハプティック構造120Gは、1つ以上の開ループを有し得る。
【0044】
ハプティック構造120Gは、外面128A、128B、128C、128D、128E及び128F及び内面126A、126B、126C、126D、126E及び126Fにそれぞれ類似している外周面128G及び内周面126Gを含む。しかしながら、断面の形状は異なる。断面は、滑らかに曲がっている周面128G及び126Gを有する、単なる有機的形状(organic shape)である。さらに、断面は、PCOを減少させるために、鋭いコーナ129Gを含む。
【0045】
断面の流線形の外周面128Gは、体外への取り出し及び/又は再位置決めの最中の、水晶体嚢へのハプティック構造120Gの接着性を低下させ得る。それゆえ、ハプティック120Gの操作に起因する患者の眼への損傷は減少され得る。外周面128Gの滑らかな湾曲はまた、IOLが適所にあるとき、IOLの安定性を高めることができるようにする。ハプティック構造120Gのコーティング129Gはまた、PCOを減少させ得る。それゆえ、IOLの性能が改善され得る。
【0046】
図8は、IOLなどの眼用装置用のハプティック構造120Hの別の例示的な実施形態の断面を示す。明確にするために、
図8は、縮尺通りではなく、全ての構成要素が示されているわけではない場合がある。IOL、及びその一部であるハプティック120Hは、ハプティック120A、120B、120C、120D、120E、120F及び/又は120Gに類似している。従って、類似の構成要素は同様の符号を有する。それゆえ、IOLは、光学部品110及びハプティック構造120A、120B、120C、120D、120E、120F及び/又は120Gに類似している光学部品(明白には図示せず)及びハプティック構造120Hを含む。いくつかの実施形態では、ハプティック構造120Hは、閉ループハプティック構造であり、ループ122Aに類似しているループを有し且つ任意選択的にフレーム124Aに類似しているフレームを含む。フレームは省略されてもよく、別のサイズの1つ又は複数のループ及び/又は別の数のループが使用されてもよい。他の実施形態では、ハプティック構造120Hは、1つ以上の開ループを有し得る。
【0047】
ハプティック構造120Hは、外面128A、128B、128C、128D、128E、128F及び128G及び内面126A、126B、126C、126D、126E、126F及び126Gにそれぞれ類似している外周面128H及び内周面126Hを含む。しかしながら、断面の形状は異なる。断面は、ハプティック構造120Aの涙の滴形状に類似している涙の滴形状である。しかしながら、コーナ129Aには丸みが付けられている。内周面126Hの側面は丸みを帯びて示されているが(すなわち凸状)、他の実施形態では、複数の側面が平坦でも又は凹状でもよい。
【0048】
ハプティック構造120Hはまた、テクスチャー又は特徴129H-1と、テクスチャー/特徴129H-1上のコーティング129H-2とを含む。テクスチャー/特徴129H-1は、テクスチャー/特徴129Cに類似し得る。コーティング129H-2は、コーティング127D又は129Fに類似し得る。それゆえ、コーティング129H-2はPCOを減少させ得る。コーティング129H-2は、ハプティック構造120Hの体外への取り出し又は操作を容易にするために使用され得る。
【0049】
断面の流線形の外周面128Hは、体外への取り出し及び/又は再位置決めの最中の、水晶体嚢へのハプティック構造120Hの接着性を低下させ得る。それゆえ、ハプティック120Hの操作に起因する患者の眼への損傷が減少され得る。外周面128Hの滑らかな湾曲はまた、IOLが適所にあるとき、IOLの安定性を高めることができるようにする。テクスチャー/特徴129H-1はPCOを軽減し得る。ハプティック構造120Hのコーティング129H-2はまた、PCOを減少させ得るか、又は体外への取り出し若しくは再位置決めを容易にし得る。それゆえ、IOLの性能が改善され得る。
【0050】
図9は、IOLなどの眼用装置のためのハプティック構造120Jの別の例示的な実施形態の断面を示す。明確にするために、
図9は、縮尺通りではなく、全ての構成要素が示されているわけではない場合がある。IOL、及びその一部であるハプティック120Jは、ハプティック120A、120B、120C、120D、120E、120F、120G及び/又は120Hに類似している。従って、類似の構成要素は同様の符号を有する。それゆえ、IOLは、光学部品110及びハプティック構造120A、120B、120C、120D、120E、120F、120G及び/又は120Hに類似している光学部品(明白には図示せず)及びハプティック構造120Jを含む。いくつかの実施形態では、ハプティック構造120Jは、閉ループハプティック構造であり、ループ122Aに類似しているループを有し、且つ任意選択的にフレーム124Aに類似しているフレームを含む。フレームは省略されてもよく、別のサイズの1つ又は複数のループ及び/又は別の数のループが使用されてもよい。他の実施形態では、ハプティック構造120Jは、1つ以上の開ループを有し得る。
【0051】
ハプティック構造120Jは、外面128A、128B、128C、128D、128E、128F、128G及び128H及び内面126A、126B、126C、126D、126E、126F、126G及び126Hにそれぞれ類似している外周面128J及び内周面126Jを含む。しかしながら、断面の形状は異なる。断面は、全体的に、ハプティック構造120A及び120Hの涙の滴形状に類似している涙の滴形状を有する。コーナ129Aは丸みが付けられている。さらに、内周面126Jの複数の側面は、直線又は凸状ではなく、凹状である。
【0052】
ハプティック構造120Jはまた、テクスチャー又は特徴129J-1及びコーティング129J-2を含む。テクスチャー/特徴129J-1は、テクスチャー/特徴129C及び129H-1に類似し得る。それゆえ、テクスチャー/特徴129J-1はPCOを軽減し得る。コーティング129J-2は、コーティング127D又は129Fに類似し得る。コーティング129J-2はまた、前側に配置され得る。コーティング129J-2は、PCOを減少させ得る、及び/又はハプティック構造120Jが操作されているときの水晶体嚢へのハプティック構造120Jの接着性を低下させ得る。
【0053】
断面の外周面128Jの滑らかな湾曲は、体外への取り出し及び/又は再位置決めの最中の、水晶体嚢へのハプティック構造120Jの接着性を低下させ得る。それゆえ、ハプティック120Jの操作に起因する患者の眼への損傷を減少させ得る。外周面128Jの滑らかな湾曲はまた、IOLが適所にあるとき、IOLの安定性を高めることができるようにする。テクスチャー/特徴129J-1はPCOを軽減し得る。ハプティック構造120Jのコーティング129J-2はまた、PCOを減少させ得るか、又は体外への取り出し若しくは再位置決めを容易にし得る。それゆえ、IOLの性能が改善され得る。
【0054】
図10は、IOLなどの眼用装置用のハプティック構造120kの別の例示的な実施形態の断面を示す。明確にするために、
図10は、縮尺通りではなく、全ての構成要素が示されているわけではない場合がある。IOL、及びその一部であるハプティック120kは、ハプティック120A、120B、120C、120D、120E、120F、120G、120H及び/又は120Jに類似している。従って、類似の構成要素は同様の符号を有する。それゆえ、IOLは、光学部品110及びハプティック構造120A、120B、120C、120D、120E、120F、120G、120H及び/又は120Jに類似している光学部品(明白には図示せず)及びハプティック構造120Kを含む。いくつかの実施形態では、ハプティック構造120Kは、閉ループハプティック構造であり、ループ122Aに類似しているループを有し、且つ任意選択的にフレーム124Aに類似しているフレームを含む。フレームは省略されてもよく、別のサイズの1つ又は複数のループ及び/又は別の数のループが使用されてもよい。他の実施形態では、ハプティック構造120Kは、1つ以上の開ループを有し得る。
【0055】
ハプティック構造120Kは、外面128A、128B、128C、128D、128E、128F、128G、128H及び128J及び内面126A、126B、126C、126D、126E、126F、126G、126H及び126Jにそれぞれ類似している外周面128K及び内周面126Kを含む。ハプティック120Kの断面は、ハプティック構造120Jの断面に適合する。ハプティック構造120Kはまた、テクスチャー/特徴129J-1及び129J-2にそれぞれ類似しているテクスチャー/特徴129K-1及びコーティング129K-2を含む。しかしながら、コーティング129K-2も、テクスチャー/特徴129K-1から離れて、後側に配置され得る。
【0056】
断面の外周面128Kの滑らかな湾曲は、体外への取り出し及び/又は再位置決めの最中の、水晶体嚢へのハプティック構造120Kの接着性を低下させ得る。それゆえ、ハプティック120Kの操作に起因する患者の眼への損傷が減少され得る。外周面128Kの滑らかな湾曲はまた、IOLが適所にあるとき、IOLの安定性を高めることができるようにする。テクスチャー/特徴129K-1はPCOを軽減し得る。ハプティック構造120Kのコーティング129K-2はまた、PCOを減少させ得るか、又は体外への取り出し若しくは再位置決めを容易にし得る。それゆえ、IOLの性能が改善され得る。
【0057】
ハプティック構造120A、120B、120C、120D、120E、120F、120G、120H、120J及び100Kの様々な特徴を本明細書で説明してきた。当業者は、これらの特徴の1つ以上を、本明細書で明白に開示しておらず且つ説明した方法及び装置とは矛盾する方法で、組み合わせ得ることを認識するであろう。さらに、上述の通り、各実施形態の寸法及び/又はアスペクト比は変わってもよい。それゆえ、異なる実施形態では、断面の外観は異なり得る。さらに、異なる実施形態の個々の特徴を組み合わせてもよい。例えば、異なる実施形態の断面に示す異なる象限を組み合わせて、新しい実施形態を形成してもよい。さらに、水平軸、垂直軸及び/又は斜交軸の周りで対称であるなど、断面が対称をなすことを求めない。
【0058】
図11A、
図11B及び
図11Cは、テクスチャー/特徴129C、129H-1、129J-1及び129K-1のうちの1つ以上に使用され得るテクスチャー及び/又は特徴の様々な実施形態を示す。
図11Aは、高さh-1を有するテクスチャー/特徴140Aを示す。
図11Bは、高さh-2を有するテクスチャー/特徴140Bを示す。
図11Cは、高さh-3を有するテクスチャー/特徴140Cを示す。テクスチャー/特徴140Aは、正方形のプロファイルを有し、且つ一連の線状として示されている。テクスチャー/特徴140Bは、特性高さh-2を有する鋸歯状である。テクスチャー/特徴140Cは、線状又は階段状と見られ得るが、湾曲した縁を有する。ナノメートルからミクロンのオーダーの高さh-1、h-2及びh-3では、アイテム140A、140B及び140Cは、テクスチャーであるとみなされる。数十ミクロン以上のオーダーの高さh-1、h-2及びh-3では、アイテム140A、140B及び140Cは特徴である。しかしながら、高さh-1、h-2及びh-3は、ハプティックの断面の曲率半径よりも著しく小さい。さらに、
図11A~11Cでは特定のパターン及び一定の高さを示すが、テクスチャー/特徴140A、140B及び140Cは、様々な高さ、幅及び/又はピッチを有し得る。さらに、スケールがより小さいと、テクスチャー/特徴140A、140B及び/又は140Cは、単に、ハプティックの表面の粗さと見られ得る。上述のスケールでは、テクスチャー/特徴140A、140B及び140Cは、PCOを減少させるのを支援し得る。
【0059】
様々な上記で開示した及び他の特徴及び機能、又はその代替形態は、多くの他の異なる装置又は適用例に望ましくは組み合わせられ得ることが認識される。様々な現在予期しない又は不測の代替例、修正例、変形例又は改良例が、後に当業者によって作られ得、その代替例、変形例及び改良例も、以下の特許請求の範囲に含まれるものとすることも認識される。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼用装置であって、
光軸を含む光学部品と、
前記光学部品に結合され且つ患者の眼の水晶体嚢内に前記眼用装置を保持するためのハプティック構造であって、前記ハプティック構造は開ループを含み、前記ハプティック構造の少なくとも一部分は、前記水晶体嚢に接触するための連続的に曲がっている外周面を有する断面を含む、ハプティック構造と、
を含む、眼用装置。
【請求項2】
前記開ループはC字形状又はL字形状である、請求項1に記載の眼用装置。
【請求項3】
前記ハプティック構造は、前記外周面とは別の鋭い縁又はコーナを含む、請求項1に記載の眼用装置。
【請求項4】
前記鋭い縁又はコーナは、前記断面の内周面に配置されている、請求項3に記載の眼用装置。
【請求項5】
前記ハプティック構造は、前記外周面とは別の丸みを帯びたコーナを含む、請求項1に記載の眼用装置。
【請求項6】
前記外周面は流線形である、請求項1に記載の眼用装置。
【請求項7】
前記ハプティック構造は、後嚢混濁(PCO)を減少させるためのテクスチャーを含む、請求項1に記載の眼用装置。
【請求項8】
前記ハプティック構造は、後嚢混濁(PCO)を減少させるための特徴を含む、請求項1に記載の眼用装置。
【請求項9】
前記ハプティック構造は、後嚢混濁(PCO)を減少させるためのコーティングを含む、請求項1に記載の眼用装置。
【請求項10】
前記ハプティック構造は、水晶体嚢へのハプティック構造の接着性を低下させるためのコーティングを含む、請求項1に記載の眼用装置。
【請求項11】
前記断面の少なくとも一部分は凸状である、請求項1に記載の眼用装置。
【請求項12】
前記断面の少なくとも一部分は凹状である、請求項1記載の眼用装置。
【請求項13】
前記断面の少なくとも一部分は実質的に平坦である、請求項1に記載の眼用装置。
【請求項14】
眼用装置であって、
光軸を含む光学部品と、
前記光学部品に結合され且つ患者の眼の水晶体嚢内に前記眼用装置を保持するためのハプティック構造であって、前記ハプティック構造は開ループを含み、前記ハプティック構造の少なくとも一部分は、前記水晶体嚢に接触するための連続的に曲がっている外周面を有する断面を含み、前記ハプティック構造は、さらに、後嚢混濁(PCO)を減少させるためのテクスチャー、PCOを減少させるための特徴、PCOを減少させるための第1のコーティング、又は水晶体嚢へのハプティック構造の接着性を低下させるための第2のコーティングの少なくとも一つを含む、ハプティック構造と、
を含む、眼用装置。
【請求項15】
前記ハプティック構造が前記テクスチャー又は前記特徴を含み、前記テクスチャー又は前記特徴は、波形面、正方形のプロファイルを形成する一連の繰り返しの線、又は鋸歯の少なくとも一つを含む、請求項14に記載の眼用装置。
【請求項16】
前記ハプティック構造が前記テクスチャー又は前記特徴を含み、前記テクスチャー又は前記特徴が粗面を含む、請求項14に記載の眼用装置。
【請求項17】
前記ハプティック構造が前記第1のコーティング又は前記第2のコーティングを含み、前記第1のコーティング又は前記第2のコーティングがポリエチレングリコール(PEG)、プラスマ、パリレン、又はエルフォシネ(Erufosine)の少なくとも一つを含む、請求項14に記載の眼用装置。
【請求項18】
前記ハプティック構造は、前記外周面とは別の鋭い縁又はコーナを含む、請求項14に記載の眼用装置。
【請求項19】
前記鋭い縁又はコーナは、前記断面の内周面に配置されている、請求項18に記載の眼用装置。
【請求項20】
眼用装置であって、
光軸を含む光学部品と、
前記光学部品に結合され且つ眼の水晶体嚢内に前記眼用装置を保持するためのハプティック構造であって、前記ハプティック構造の少なくとも一部分は、涙の滴形状を含み前記光軸に略平行な方向に及ぶ断面を有し、前記断面は前記水晶体嚢に接触するための光軸の方向に沿って延びる連続的に曲がっている外周面を含み、前記断面は、さらに、丸みを帯びたコーナの反対側の端部に凹状の側面を有する内周面を含む、ハプティック構造と、
を含む、眼用装置。
【外国語明細書】