IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エンゼルプレイングカード株式会社の特許一覧

特開2023-169251ケージシステム及びチップ管理システム
<>
  • 特開-ケージシステム及びチップ管理システム 図1
  • 特開-ケージシステム及びチップ管理システム 図2
  • 特開-ケージシステム及びチップ管理システム 図3
  • 特開-ケージシステム及びチップ管理システム 図4
  • 特開-ケージシステム及びチップ管理システム 図5
  • 特開-ケージシステム及びチップ管理システム 図6
  • 特開-ケージシステム及びチップ管理システム 図7
  • 特開-ケージシステム及びチップ管理システム 図8
  • 特開-ケージシステム及びチップ管理システム 図9
  • 特開-ケージシステム及びチップ管理システム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023169251
(43)【公開日】2023-11-29
(54)【発明の名称】ケージシステム及びチップ管理システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 1/06 20060101AFI20231121BHJP
   G06K 19/04 20060101ALI20231121BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
A63F1/06 Z
G06K19/04 070
G06K7/10 264
G06K7/10 240
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023147259
(22)【出願日】2023-09-12
(62)【分割の表示】P 2022530584の分割
【原出願日】2021-06-08
(31)【優先権主張番号】P 2020102729
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000103301
【氏名又は名称】エンゼルグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(72)【発明者】
【氏名】重田 泰
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、ケージにおけるゲーミングチップの移動及びケージとカジノ内の各ロケーションとの間の移動を監視するためのケージシステム及びそれを含み、カジノ内のゲーミングチップの管理を行うためのゲーミングチップ管理システムを提供する。
【解決手段】ケージ10は、キャッシャ室14を含む複数のロケーションに分かれている。ゲーミングチップは、チップIDを記憶したRFIDタグを有する。カジノホール1のケージ10内でのゲーミングチップの移動を管理するケージシステムは、ケージ10内で複数のロケーションの間を移動するゲーミングチップのRFIDタグからチップIDを読み取るチップリーダと、ケージ10からカジノホール1に出ていくゲーミングチップのRFIDタグからチップIDを読み取るチップリーダと、チップリーダで読み取られたチップIDを当該ゲーミングチップの移動履歴として記録するチップ管理データベースとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケージ及びカジノホールでのゲーミングチップの移動を管理するチップ管理システムであって、
前記ゲーミングチップは、チップIDを記憶したRFIDタグを有し、
前記チップ管理システムは、
前記カジノホール内の複数のゲームテーブルのそれぞれに備えられたチップトレイに収容された前記ゲーミングチップの前記RFIDタグから前記チップIDを読み取る第1読取手段と、
前記ケージにある前記ゲーミングチップの前記RFIDタグから前記チップIDを読み取る第2読取手段と、
前記カジノホール内及び前記ケージ内の前記ゲーミングチップの少なくともロケーション又は所持者の情報を管理するデータベースと、
少なくとも前記第1読取手段の読取結果及び前記第2読取手段の読取結果に基づいて前記データベースを更新する管理手段と、
を備え、
前記管理手段は、前記データベースを参照して、プレイヤが所持している前記ゲーミングチップを把握する、チップ管理システム。
【請求項2】
前記管理手段は、前記前記ケージにおける前記ゲーミングチップの総額の増減、及び前記チップトレイにおける前記ゲーミングチップの総額の増減に基づいて、プレイヤが所持している前記ゲーミングチップの総額を把握する、請求項1に記載のチップ管理システム。
【請求項3】
前記管理手段は、前記プレイヤが所持しているゲーミングチップの総額をカジノその負債残高として算出する、請求項1に記載のチップ管理システム。
【請求項4】
前記管理手段は、前記前記ケージにおける前記ゲーミングチップの前記チップIDの増減、及び前記チップトレイにおける前記ゲーミングチップの前記チップIDの増減に基づいて、プレイヤが所持している前記ゲーミングチップのチップIDを把握する、請求項3に記載のチップ管理システム。
【請求項5】
前記管理手段は、前記データベースを参照して、前記ゲーミングチップのロケーション又は所持者の情報の履歴である移動履歴に基づいて、不正又は不正の疑いがある前記ゲーミングチップを特定する、請求項1に記載のチップ管理システム。
【請求項6】
前記管理手段は、あらかじめ定められた移動履歴の可能性に合致しない移動履歴を有する前記ゲーミングチップを、前記不正又は不正の疑いがある前記ゲーミングチップとして、前記データベースに記録する、請求項5に記載のチップ管理システム。
【請求項7】
前記管理手段は、前記移動履歴として、前記チップIDとともに、移動先及び/又は移動元を前記データベースに記録する、請求項5に記載のチップ管理システム。
【請求項8】
前記管理手段は、前記第1読取手段により読み取られたチップIDが前記データベースに有効なゲーミングチップのチップIDとして記録されていない場合にアラートを出力する、請求項1に記載のチップ管理システム。
【請求項9】
前後する異なるタイミングで前記第1読取手段により読み取られた前記チップトレイの前記ゲーミングチップの前記チップIDを比較することで、前記チップトレイに持ち込まれた前記ゲーミングチップのチップIDを認識するテーブルコンピュータをさらに備えた、請求項1に記載のチップ管理システム。
【請求項10】
前後する異なるタイミングで前記第1読取手段により読み取られた前記チップトレイの前記ゲーミングチップの前記チップIDを比較することで、前記チップトレイから持ち出された前記ゲーミングチップのチップIDを認識するテーブルコンピュータをさらに備えた、請求項1に記載のチップ管理システム。
【請求項11】
前記管理手段は、前記カジノホールに出ていく前記ゲーミングチップの前記移動履歴に前記移動先が記録される場合において、当該移動先において前記ゲーミングチップが受け取られない場合にアラートを発出し、又は記録をする請求項7を引用する請求項10に記載のチップ管理システム。
【請求項12】
前記管理手段は、所定時間以内に前記移動先において前記ゲーミングチップが受け取られない場合に前記アラートを発出し、又は前記記録をする、請求項10に記載のチップ管理システム。
【請求項13】
前記ゲームテーブルに設置され、前記ゲームテーブルのテーブル面に置かれた前記ゲーミングチップの前記RFIDタグから前記チップIDを読み取る第3読取手段をさらに備えた、請求項1に記載のチップ管理システム。
【請求項14】
前記管理手段は、前記移動履歴として、日時の情報を記録する、請求項5に記載のチップ管理システム。
【請求項15】
前記管理手段は、前記日時の情報に基づいて、前記ゲーミングチップの疑わしい移動を検出する、請求項14に記載のチップ管理システム。
【請求項16】
前記管理手段は、前記移動履歴として、移動に関与したスタッフの情報を記録する、請求項5に記載のチップ管理システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願では、2020年6月12日に日本国に出願された特許出願番号2020-102729の利益を主張し、当該出願の内容は引用することによりここに組み込まれているものとする。
【技術分野】
【0002】
本発明は、カジノにおけるケージ内のゲーミングチップを管理するケージシステム及びケージシステムを含むチップ管理システムに関する。
【背景技術】
【0003】
カジノにおけるゲーミングチップを管理するシステムとして、ゲーミングチップに少なくともゲーミングチップIDを記憶したRFIDタグを埋め込み、ゲーミングチップIDとユーザIDとを関連付けることにより、どのユーザがどのゲーミングチップを所持しているかを監視するゲーミングチップトレーシングシステムが知られている。
【0004】
また、データベースに有効なゲーミングチップIDを記憶しておき、カジノ内(例えば、テーブル)でゲーミングチップのRFIDタグからゲーミングチップIDを読み取ってデータベースと照合をすることで、ゲーミングチップの有効性又は真贋を判定するゲーミングチップセキュリティシステムも知られている(例えば、特開2019-5565号公報参照)。
【発明の概要】
【0005】
ゲーミングチップは、カジノ内のケージを通してカジノに持ち込まれ、廃棄するゲーミングチップもケージから外部に出される。従来のゲーミングチップトレーシングシステムは、必ずしもケージ内部のゲーミングチップの移動やケージとカジノ内の各ロケーションとの間の移動を含めたカジノ内のすべてのゲーミングチップの移動を監視できるものではない。
【0006】
そこで、本発明は、ケージにおけるゲーミングチップの移動及びケージとカジノ内の各ロケーションとの間の移動を監視するためのケージシステム及びそれを含み、カジノ内のゲーミングチップの管理を行うためのゲーミングチップ管理システムを提供する。
【0007】
本発明の一態様のケージシステムは、カジノホールのケージ内でのゲーミングチップの移動を管理するケージシステムであって、前記ケージはキャッシャを含む複数のロケーションに分かれており、前記ゲーミングチップは、チップIDを記憶したRFIDタグを有し、前記ケージシステムは、前記複数のロケーションの間を移動する前記ゲーミングチップの前記RFIDタグから前記チップIDを読み取る第1読取手段と、前記ケージから前記カジノホールに出ていく前記ゲーミングチップの前記RFIDタグから前記チップIDを読み取る第2読取手段と、前記第1読取手段及び前記第2読取手段で読み取られた前記チップIDを当該ゲーミングチップの移動履歴として記録する記録手段とを備えた構成を有している。この構成により、ケージ内のゲーミングチップの移動を管理することができる。
【0008】
上記のケージシステムにおいて、前記記録手段は、前記移動履歴に、前記チップIDとともに、移動先及び/又は移動元を記録してよい。この構成により、移動が正確に行われているかを把握することができる。
【0009】
上記のケージシステムは、前記移動履歴に基づいて移動が適切であるか否かを判断する管理手段をさらに備えていてよい。この構成により、不適切な移動を検出できる。
【0010】
上記のケージシステムにおいて、前記管理手段は、あらかじめ定められた移動履歴の可能性に合致しない移動履歴を有する前記ゲーミングチップについて、前記記録手段において、不正又は不正の疑いがある旨の記録をしてよい。
【0011】
上記のケージシステムは、前記カジノホールから前記ケージに入ってくる前記ゲーミングチップの前記RFIDタグから前記チップIDを読み取る第3読取手段をさらに備えていてよい。この構成により、ケージ内のゲーミングチップを完全に管理できる。
【0012】
上記のケージシステムにおいて、前記管理手段は、前記カジノホールに出ていく前記ゲーミングチップの前記移動履歴に前記移動先が記録される場合において、当該移動先において前記ゲーミングチップが受け取られない場合にアラートを発出し、又は記録をしてよい。この構成により、ケージからカジノホールの所定のロケーションへの移動が正常に完了しなかったことを検知できる。
【0013】
上記のケージシステムにおいて、前記管理手段は、所定時間以内に前記移動先において前記ゲーミングチップが受け取られない場合に前記アラートを発出し、又は前記記録をしてよい。この構成により、所定の時間以内に移動が完了しない場合に異常があると判定できる。
【0014】
本発明の一態様のチップ管理システムは、上記のいずれかのケージシステムと、ゲームテーブルに設置され、前記ゲーミングチップの前記RFIDタグから前記チップIDを読み取る第4読取手段とを備えた構成を有している。この構成により、ケージを含むカジノホール内のゲーミングチップを管理できる。
【0015】
上記のチップ管理システムにおいて、前記管理手段は、カジノホールにおいてプレイヤに所持されている前記ゲーミングチップの総額を算出してよい。この構成により、リアルタイムのカジノの債務総額を把握できる。
【0016】
上記のチップ管理システムにおいて、前記管理手段は、前記移動履歴に日時の情報を記録してよい。この構成により、移動履歴をより詳細に記録することができる。
【0017】
上記のチップ管理システムにおいて、前記管理手段は、前記日時の情報に基づいて、前記ゲーミングチップの疑わしい移動を検出してよい。この構成により、種々の疑わしい移動を検出できる。
【0018】
上記のチップ管理システムにおいて、前記管理手段は、前記移動履歴に移動に関与したスタッフの情報を記録してよい。この構成により、不適切な移動があった場合にそれに関与したスタッフを特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の実施の形態に係るカジノの全体構成を示す模式図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係るゲーミングチップの斜視図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係るゲーミングチップ管理システムの構成を示すブロック図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係るゲームテーブルの構成を示す模式図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係るゲーミングチップの移動の態様を示す図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係るゲーミングチップの移動管理の第1の方法によって更新されるチップ管理データベースのデータの例を示す図である。
図7図7は、本発明の実施の形態に係るゲーミングチップの移動管理の第2の方法によって更新されるチップ管理データベースのデータの例を示す図である。
図8図8は、本発明の実施の形態に係るゲーミングチップの移動管理の第4の方法によって更新されるチップ管理データベースのデータの例を示す図である。
図9図9は、本発明の実施の形態に係るゲーミングチップの移動管理の第5の方法によって更新されるチップ管理データベースのデータの例を示す図である。
図10図10は、本発明の実施の形態に係るゲーミングチップの移動管理の第4の方法で更新されるチップ管理データベースのデータの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係るケージシステム及びゲーミングチップ管理システムについて図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、下記実施の形態によりこの発明が限定されるものではなく、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものまたは実質的に同一のものが含まれる。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係るカジノの全体構成を示す模式図である。カジノホール1には、ケージ10と、複数のゲームテーブル42~45が備えられている。ゲームテーブル42~45が備えられるフロアは、VIP用フロアと大衆用フロアとに分かれていてもよい。ケージ10は、セキュリティスタッフしか中に入れない部屋である。ケージ10は、ボールト11、メインバンク室12、F/Cバンク室13、及びキャッシャ室14に分かれている。
【0022】
ボールト11にはケージ10の外部に通じるゲート21が設けられ、ボールト11とメインバンク室12との間にはゲート22が設けられ、メインバンク室12とF/Cバンク室13との間にはゲート23が設けられ、メインバンク室12とキャッシャ室14との間にはゲート24が設けられ、かつF/Cバンク室13には、ゲームテーブル42~45が置かれたカジノホール1に通じるゲート24が設けられる。キャッシャ室14には、カジノホール1に通じるゲート(ウィンドウ)26~28が設けられている。各ゲート21~25は、人及びゲーミングチップの往来が可能であってよく、あるいは、ゲーミングチップのみが通過でき、人の出入り用のドアがゲートとは別に設けられていてもよい。ウィンドウ26~28は、ゲーミングチップとキャッシュとの交換が可能な程度に開いている。
【0023】
ボールト11にはボールトスタッフ31が配置されており、メインバンク12にはメインバンクスタッフ32が配置されており、F/Cバンク室13には、F/Cバンクスタッフ33が配置されており、キャッシャ室14には、ウィンドウ26~28に対応してキャッシャスタッフ34~36が配置されている。
【0024】
カジノホール1には、ゲームテーブル42~45が設置されており、各ゲームテーブル42~45にはそれぞれ1人のディーラ52~55が配置されている。なお、図1の例ではゲームテーブルが4つのみ示されているが、実際にはカジノホール1にはより多くのゲームテーブルが配置される。また、隣り合う複数のゲームテーブル42について、ピットマネージャ56が配置されている。
【0025】
図1の例では、カジノホール1内にはプレイヤ61~69がいる。カジノホール1内のプレイヤは、図1に示すプレイヤ61のように、ウィンドウ26~28のいずれかを介して、ゲーミングチップを購入し、あるいは、ゲーミングチップを換金できる。ケージ10でゲーミングチップを購入したプレイヤはゲームテーブル42~45でゲーミングチップをベットしてゲームを楽しむことができる。プレイヤはゲームに負けるとディーラにゲーミングチップを回収され、ゲームに勝つとゲームのルール及びベット額に応じた償還をディーラから受ける。このようにして、プレイヤが所持するゲーミングチップは、ゲームによって増減する。プレイヤはゲーミングチップがなくなると、再びケージ10にてゲーミングチップを購入(バイイン)することができる。また、プレイヤはプレイを終了するときには、ケージでゲーミングチップを換金(バイアウト)することもできる。
【0026】
ゲームテーブル42~45では、ゲームに負けたプレイヤからゲーミングチップを回収し、ゲームに勝ったプレイヤにゲーミングチップを支払う。これにより、ゲームテーブルにてディーラ(カジノ)が所持しているゲーミングチップは増減する。ゲームテーブルにてゲーミングチップが不足すると、ゲーミングチップ運搬スタッフ51が、F/Cバンク室13のゲート24からゲーミングチップを受け取ってゲームテーブルに運搬し、ゲームテーブルに補充する。このようにしてテーブルゲームにゲーミングチップを補充することを「フィル」(fill)ともいう。また、ゲームテーブルにてゲーミングチップが過剰になると、ゲーミングチップ運搬スタッフ51は、ゲームテーブルからケージ10までゲーミングチップを運搬し、ゲーミングチップは、ゲート24を通じてF/Cバンク室13に保管される。このように、ゲームテーブルからケージ10にゲーミングチップを戻すことをクレジット(credit)ともいう。
【0027】
なお、ゲームホール1においてゲーミングチップの移動履歴を管理する際に、移動元、移動先、それらの間となり得る場所を以下ではロケーションという。図1の例の場合は、例えば、ケージ10内の各部屋、各ゲームテーブルはそれぞれロケーションと呼ばれる。
【0028】
図2は、本発明の実施の形態に係るゲーミングチップの斜視図である。図2には、100ドルゲーミングチップが示されている。ゲーミングチップ70は、円板形状を有し、両面に額面金額(図1の場合は「$100」)が示されている。厚さ方向に白色層、着色層、白色層の順に複数の層が積層され、側面に着色層を白色層で挟んだストライプ模様を有する。着色層の色は額面金額によって異なっており、よって、着色層の色を判別することでそのチップの額面金額を判定可能である。
【0029】
ゲーミングチップ70の内部には、RFIDタグ71が内蔵されている。RFIDタグ71には、当該チップのチップID及び額面金額の情報が記憶されている。なお、RFIDタグ71は、書込み可能なものであってよく、その場合に、RFIDタグ71に、当該ゲーミングチップの現在のロケーションないし所持者の情報を記録してよく、さらに過去のロケーションないし所持者の履歴を記録してもよい。ゲーミングチップ70は、複数の板材を圧着させることで構成されてよく、あるいは樹脂成形によって構成されてもよい。
【0030】
図3は、本発明の実施の形態に係るチップ管理システムの構成を示すブロック図である。チップ管理システム1000は、ケージシステム501と複数のテーブルシステム502とを備えている。テーブルシステム502は、ゲームテーブルごとに設けられる。ケージシステム501は、ケージ10内及びカジノホール1内のチップを統合的に管理するためのチップ管理コンピュータ100及びチップ管理データベース101を備えている。
【0031】
また、ケージシステム501は、ボールト11に設置されるボールトコンピュータ111と、それに接続されるボールトカードリーダ112及びボールトチップリーダ113とを備えている。また、ケージシステム501は、メインバンク室12に設置されるメインバンクコンピュータ121と、それに接続されるメインバンクカードリーダ122及びメインバンクチップリーダ123とを備えている。また、ケージシステム501は、F/Cバンク室13に設置されるF/Cバンクコンピュータ131と、それに接続されるF/Cバンクカードリーダ132及びF/Cバンクチップリーダ133とを備えている。また、ケージシステム501は、キャッシャ室14においてウィンドウ26~28の各々に対応して設置されるキャッシャコンピュータ141と、それに接続されるキャッシャカードリーダ142及びキャッシャチップリーダ143とを備えている。
【0032】
テーブルシステム502は、テーブルコンピュータ151と、それに接続されるテーブルカードリーダ152、テーブルチップリーダ153、チップトレイチップリーダ154、及び複数のベットエリアチップリーダ155とを備えている。なお、図3では、1つのテーブルシステム502のみが示されているが、テーブルシステム502は、複数のゲームテーブルに対応して複数設けられている。
【0033】
ボールトコンピュータ111、メインバンクコンピュータ121、F/Cバンクコンピュータ131、キャッシャコンピュータ141、テーブルコンピュータ151、及びチップ管理データベース101は、それぞれチップ管理コンピュータ100に接続されている。なお、チップ管理コンピュータ100と他のコンピュータ及びチップ管理データベース101とは、ローカルネットワークを介して有線又は無線で接続されてよい。あるいは、チップ管理コンピュータ101及びチップ管理データ101が広域ネットワーク(例えば、インターネット)上に設置され、他のコンピュータと広域ネットワークを介して接続されてもよい。すなわち、チップ管理コンピュータ100及びチップ管理データベース101は、カジノではなく、クラウドに設置されてもよい。
【0034】
各コンピュータ100、111、121、131、141、151には、対応するスタッフによる操作入力を受け付けるための図示しない入力デバイスが接続されている。入力デバイスは、例えば、キーボード、マウス、ボタン、タッチパッド、タッチパネル、音声入力装置である。なお、これらの入力デバイスと通信装置のみを対応するロケーションに残して、各コンピュータの機能はチップ管理コンピュータ100に集約されてよい。この場合には、各ロケーションの入力デバイス、カードリーダ、チップリーダと管理コンピュータ100との間で直接的に各種信号(例えば、入力デバイスに入力された入力信号、チップリーダにて読み取った信号等)が伝達されてよい。
【0035】
各ロケーションのカードリーダ112、122、132,142、152は、スタッフ又はプレイヤが所持しているIDカードからスタッフID又はプレイヤIDを読み取る。具体的には、ボールトカードリーダ112、メインバンクカードリーダ122、及びF/Cバンクカードリーダ132は、対応するスタッフのIDカードからスタッフIDを読み取り、キャッシャカードリーダ142は、キャッシャスタッフのIDカードからスタッフIDを読み取るとともに、キャッシャでゲーミングチップを購入し、又はゲーミングチップを換金するプレイヤのプレイヤIDを読み取る。また、テーブルカードリーダ152は、対応するディーラのスタッフIDを読み取り、プレイするプレイヤのプレイヤIDを読み取る。
【0036】
各ロケーションのチップリーダ113、123、133、143、153、155は、ゲーミングチップ70のRFIDタグ71から情報を読み出し、かつ、RFIDタグ71に情報を書き込む。特に、各チップリーダ113、123、133、143、153は、他のロケーションから当該ロケーションにゲーミングチップ70が移動してきたとき、及び当該ロケーションから他のロケーションにゲーミングチップが移動するとき(即ち、当該ロケーションからゲーミングチップ70が離れるとき)にRFIDタグ71を読み取る。
【0037】
図4は、本発明の実施の形態に係るゲームテーブルの構成を示す模式図である。図4では、ゲームテーブル42を例示している。ゲームテーブル42には、複数のプレイポジションが設けられている。ゲームテーブル42は、テーブル面上に、複数のプレイポジションに対応した複数のベットエリアと、ディーラのチップを収容するチップトレイと、ゲーミングチップ70のRFIDタグ71に対する情報の読み書きを行うためのディーラエリアと、ディーラ及びプレイヤのIDカードを読み取るためのIDカードエリアとを備えている。
【0038】
チップトレイには、そこに収容されているゲーミングチップ70のRFIDタグ71を読み取るためのトレイアンテナ514が設けられている。複数のベットエリアの各々には、そこに置かれたゲーミングチップ70のRFIDタグ71を読み取るためのベットエリアアンテナ515a~515eがテーブル面の内部に備えられている。ディーラエリアには、そこに置かれたゲーミングチップ70のRFIDタグ71を読み取るためのディーラアンテナ513がテーブル面の内部に設けられている。IDカードエリアにはIDカードアンテナ512がテーブル面の内部に設けられている。
【0039】
各アンテナ512~515は、テーブルコンピュータ151に接続されており、読み出した信号をテーブルコンピュータ151に伝送する。テーブルコンピュータ151は、各アンテナからの信号をデコードすることでRFIDタグ71やIDカードに記憶された各種の情報を取得する。
【0040】
各ロケーションに配置されたスタッフは、自らのカードIDを対応するカードリーダで読み取らせてから仕事に就く。各ロケーションのコンピュータは、読み取ったスタッフIDとその日時をチップ管理コンピュータ100に伝送する。チップ管理コンピュータ100は、各ロケーションのカードリーダで読み取ったスタッフIDをロケーション及び日時の情報とともにチップ管理データベース101に記憶する。
【0041】
チップ管理データベース101には、プレイヤテーブル、チップテーブル、ゲームテーブルテーブル、スタッフテーブル、移動履歴テーブルが記憶されている。プレイヤテーブルは、当該プレイヤの登録情報が記憶されている。プレイヤテーブルには、各プレイヤについて、プレイヤID、各種のプレイヤの属性のほか、VIP、疑惑、ブラックリスト等のプレイヤステータスが記録されている。チップテーブルには、チップID、額面金額、種類、製造情報のほか、有効、行方不明、盗難、無効等のチップステータスが記録されている。ゲームテーブルテーブルには、テーブルID、ゲーム種等が記録されている。スタッフテーブルには、スタッフID、各種のスタッフの属性等が記録されている。移動履歴テーブルは、ゲーミングチップ70のロケーションないし所持者の履歴が記録される。
【0042】
(ゲーミングチップの移動管理)
図5は、本発明の実施の形態に係るゲーミングチップの移動の態様を示す図である。図5に示すように、ボールトを除く各ロケーションには、ゲーミングチップが入ってくる場合には複数の移動元からの移動の可能性があり、出ていく場合にも複数の移動先への移動の可能性がある。本実施の形態のチップ管理システムは、これらの移動を認識する。そのために、以下のいくつかの手法を採用することができる。
【0043】
(第1の方法)
第1の方法では、各ロケーションのコンピュータにおいて、ゲーミングチップ70が入ってくるときに、その移動元を当該ロケーションのコンピュータにおいて指定して、入ってきたゲーミングチップ70のチップIDとともに当該指定をチップ管理コンピュータ100に報告し、各ロケーションからゲーミングチップ70が出ていく際には、当該ロケーション即ち移動元の情報と当該ゲーミングチップ70のチップIDをチップ管理コンピュータ100に報告する。
【0044】
例えば、メインバンク室12からF/Cバンク室13にゲーミングチップ70が移動する際には、メインバンクコンピュータ121は、メインバンクチップリーダ123でゲーミングチップ70のチップIDを読み取って、読み取ったチップIDとともにメインバンク室12から出ていく旨をチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、この報告に応じてチップ管理データベース101を更新する。
【0045】
そして、メインバンク室12からゲーミングチップ70を受け取ったF/Cバンク室13では、F/Cバンクスタッフ33が、F/Cバンクコンピュータ131の入力デバイスを操作して、当該ゲーミングチップ70がメインバンク室12(移動元)から来たゲーミングチップ70であるという指定を入力するとともに、当該ゲーミングチップ70のチップIDをF/Cバンクチップリーダ133で読み取る。F/Cバンクコンピュータ131は、読み取ったチップIDとともに、移動先が移動元がメインバンク室12であるという指定をチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、この報告に応じてチップ管理データベース101を更新する。
【0046】
図6は、本発明の実施の形態に係るゲーミングチップの移動管理の第1の方法によって更新されるチップ管理データベースのデータの例を示す図である。図6の例では、チップIDが「24825」であるゲーミングチップ70の移動履歴を示している。チップ管理データベース101は、ゲーミングチップ70の移動履歴の情報として、当該ゲーミングチップのチップID601、出入情報602、移動元情報603、移動先情報604、及び日時605の情報を記憶している。
【0047】
第1の方法によれば、図6に示すように、ロケーションから出ていくゲーミングチップ70については、その移動元の情報が得られ(履歴H61)、ロケーションに入ってくるゲーミングチップ70については、その移動元と移動先の情報が得られるので(履歴H62)、履歴H61及び履歴H62に基づいてゲーミングチップ70が確かにメインバンク室12から出てF/Cバンク室13で受け取られたことを確認できる。
【0048】
(第2の方法)
第2の方法では、各ロケーションのコンピュータにおいて、ゲーミングチップ70が出ていくときに、その移動先を当該ロケーションのコンピュータにおいて指定して、出ていくゲーミングチップ70のチップIDとともに当該指定をチップ管理コンピュータ100に報告し、各ロケーションにゲーミングチップ70が入ってくる際には、当該ロケーション即ち移動先の情報と当該ゲーミングチップ70のチップIDをチップ管理コンピュータ100に報告する。
【0049】
例えば、テーブル-4からF/Cバンク室13にゲーミングチップ70が移動する(クレジット)際には、ディーラは、ゲームテーブルのテーブルチップリーダ153で当該ゲーミングチップ70のチップIDを読み取り、テーブルコンピュータ151の入力デバイスを操作してF/Cバンク室13を移動先と指定する(クレジットを指定する)。テーブルコンピュータ151は、このチップID、移動先としてのF/Cバンク室13とともに、移動元であるテーブル-4のテーブルIDをチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、この報告に応じてチップ管理データベース101を更新する。
【0050】
移動先であるF/Cバンク室13では、ゲーミングチップ70を受け取ると、F/Cバンクスタッフ33は、F/Cバンクチップリーダ133でこのゲーミングチップ70のチップIDを読み取る。F/Cバンクコンピュータ131は、読み取ったチップIDとF/Cバンク室13に入ってくる旨をチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、この報告に応じてチップ管理データベース101を更新する。
【0051】
図7は、本発明の実施の形態に係るゲーミングチップの移動管理の第2の方法によって更新されるチップ管理データベースのデータの例を示す図である。図7の例においても、チップIDが「24825」であるゲーミングチップ70の移動履歴を示している。チップ管理データベース101は、ゲーミングチップ70の移動履歴の情報として、当該ゲーミングチップのチップID601、出入情報602、移動元情報603、移動先情報604、及び日時605の情報を記憶している。
【0052】
第2の方法によれば、図7に示すように、ロケーションから出ていくゲーミングチップ70については、その移動元と移動先の情報が得られ(履歴H71)、ロケーションに入ってくるゲーミングチップ70については、その移動先の情報が得られるので(履歴H72)、履歴H71及び履歴H72に基づいてゲーミングチップ70が確かにテーブル-4から出てF/Cバンク室13で受け取られたことを確認できる。
【0053】
(第3の方法)
第3の方法は、第1の方法と第2の方法との組み合わせである。すなわち、各ロケーションのコンピュータにおいて、ゲーミングチップ70が入ってきた場合には、その移動元を指定し、ゲーミングチップ70が出ていく場合には、その移動先を指定する。
【0054】
(第4の方法)
第4の方法では、各ロケーションのスタッフは、各ロケーションのコンピュータの入力デバイスを用いて、ゲーミングチップ70が出ていくのか入ってくるのかを指定して、チップリーダで読み取ったゲーミングチップ70のチップIDとともに当該指定をチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、この報告に基づいて、チップ管理データベース101の入出情報及びロケーション情報を更新する。
【0055】
図8は、本発明の実施の形態に係るゲーミングチップの移動管理の第4の方法によって更新されるチップ管理データベースのデータの例を示す図である。チップ管理データベース101は、ゲーミングチップ70の移動履歴の情報として、当該ゲーミングチップのチップID601、出入情報602、ロケーション情報603、及び日時604の情報を記憶している。
【0056】
第4の方法によれば、図8に示すように、入出情報602とロケーション情報603とが記録されるので、履歴H81及び履歴H82に基づいてゲーミングチップ70が確かにボールト11から出てメインバンク室12にて受け取られたことを確認できる。
【0057】
(第5の方法)
第5の方法では、ロケーション情報のみを記録する。すなわち、各ロケーションのスタッフは、ゲーミングチップ70がそのロケーションにあるときに、当該ロケーションのチップリーダでゲーミングチップ70のチップIDを読み取り、チップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、この報告に応じてチップ管理データベース101を更新する。各ロケーションのスタッフは、当該ロケーションにゲーミングチップ70が移動してきたタイミングでチップIDを読み取るようにしてもよいし、当該ロケーションからゲーミングチップ70が移動していくタイミングでチップIDを読み取るようにしてもよいし、任意のタイミングでチップIDを読み取るようにしてもよい。
【0058】
図9は、本発明の実施の形態に係るゲーミングチップの移動管理の第5の方法によって更新されるチップ管理データベースのデータの例を示す図である。チップ管理データベース101は、ゲーミングチップ70の移動履歴の情報として、当該ゲーミングチップのチップID601、ロケーション情報603、及び日時604の情報を記憶している。
【0059】
第5の方法によっても、図9に示すように、ロケーション情報603が記録されるので、履歴91及び履歴92に基づいてゲーミングチップ70が確かにボールト11から出てメインバンク室12にて受け取られたことを確認できる。
【0060】
移動元と移動先との組み合わせにごとに上記の第1ないし第5の方法のいずれを用いるかを決めてもよい。例えば、ケージ11内でのゲーミングチップ70の移動については、第4又は第5の方法を用い、F/Cバンク室13からゲームテーブルへの移動については、移動元において移動先を指定する第2の方法を用い、ゲームテーブルからF/Cバンク室13への移動については、移動先において移動元を指定する第1の方法を用いるようにしてよい。
【0061】
(キャッシャにおける購入と換金)
また、キャッシャ室14からプレイヤにゲーミングチップ70が移動(プレイヤがキャッシャでゲーミングチップ70を購入)する際には、キャッシャコンピュータ141は、キャッシャチップリーダ143でゲーミングチップ70のチップIDを読み取り、キャッシャカードリーダ142でプレイヤのIDカードからプレイヤIDを読み取り、読み取ったチップIDとともに移動先であるプレイヤの指定をチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、この報告に応じてチップ管理データベース101を更新する。
【0062】
そして、プレイヤからキャッシャ室14にゲーミングチップ70が移動(プレイヤがキャッシャでゲーミングチップ70を換金)する際には、キャッシャコンピュータ141は、キャッシャチップリーダ143でゲーミングチップ70のチップIDを読み取り、キャッシャカードリーダ142でプレイヤのIDカードからプレイヤIDを読み取り、読み取ったチップIDとともに移動元であるプレイヤの指定をチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、この報告に応じてチップ管理データベース101を更新する。
【0063】
図10は、本発明の実施の形態に係るゲーミングチップの移動管理の第4の方法で更新されるチップ管理データベースのデータの例を示す図である。図10の例では、プレイヤ-5がキャッシャ-2でゲーミングチップ70を購入し(履歴H101、H102)、その後、そのゲーミングチップ70をプレイヤ-5がキャッシャ-3で換金している(履歴H103、H104)。なお、第1ないし第3の方法による場合は、出入情報602をN/Aとして、移動元(キャッシャ)と移動先(プレイヤ)の情報のみを記録してよい。
【0064】
また、例えば、キャッシャでは、キャッシャスタッフは、プレイヤからゲーミングチップ70を受け取る場合には、受け取る旨の指定をした上で、キャッシャチップリーダ143を用いて当該ゲーミングチップ70のチップIDを読み取り、プレイヤにゲーミングチップ70を渡す場合には、渡す旨の指定をした上で、キャッシャチップリーダ143を用いて当該ゲーミングチップ70のチップIDを読み取るようにしてもよい。
【0065】
これにより、1つのチップリーダを用いて、当該チップリーダでチップIDを読み取ったゲーミングチップ70が当該ロケーションに入ってくるのか当該ロケーションか出ていくのかを明確にすることができる。また、チップの両替の場合にも、プレイヤから受け取るゲーミングチップ70とプレイヤに渡すゲーミングチップ70とを明確に区別してチップリーダを用いてそのチップIDを特定することができる。
【0066】
(回収と償還)
ゲーミングチップ70を購入したプレイヤは、ゲームテーブルでゲームをプレイできる。この際に、ゲームテーブルでは、まず、IDカードアンテナ512を備えたテーブルカードリーダ152でプレイヤのIDカードを読み取る。テーブルカードリーダ152でプレイヤのIDカードを読み取る際には、当該プレイヤのプレイポジションを指定する。これにより、どのベットエリアにどのプレイヤにいるかを認識できる。なお、ベットエリアアンテナ515a~515eは、各プレイヤポジションを区別せずに複数のベットエリアをまとめて1つのベットエリアとして、当該1つのベットエリアに置かれたゲーミングチップ70を読み取る1つ又は複数のアンテナであってもよい。また、ベットエリアのアンテナはなくてもよい。
【0067】
プレイヤは、テーブルにおいてゲームに負けた場合には、ベットしたゲーミングチップ70を回収される。この場合に、チップトレイアンテナ514は、回収前にチップトレイに収容されているゲーミングチップ70のチップIDを読み取り、回収後にもチップトレイに収容されているゲーミングチップ70のチップIDを読み取る。テーブルコンピュータ151は、回収前後のチップトレイのチップIDを比較することで、新たにチップトレイに持ち込まれた(即ち、プレイヤから回収された)ゲーミングチップ70のチップIDを認識する。
【0068】
テーブルコンピュータ151は、プレイヤから回収されゲーミングチップ70について、ゲームテーブルのチップトレイへの移動であることの指定とともに、チップトレイアンテナ14で読み取ったチップIDをチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、この報告に応じてチップ管理データベース101を更新する。
【0069】
なお、ベットエリアアンテナ515a~515eを用いて、ベットされたゲーミングチップ70のチップIDを認識し、かつ、ゲーム結果を認識することで、テーブルコンピュータ151が、ベットされた各ゲーミングチップ70について、回収されるべきであるか否かを判断できる場合において、回収されるべきであると判断したときは、当該判断に応じて、チップ管理データベース101において、当該ゲーミングチップ70について、プレイヤから出てゲームテーブルに移動する旨の移動履歴を更新してもよい。このような更新と、その後のチップトレイにて受け入れられた旨の更新とによって、回収すべきゲーミングチップ70が確かにチップトレイに回収されたかを確認することができる。すなわち、回収されるべきであるとして出入情報602を「OUT」、ロケーション情報603をいずれかのプレイヤとする移動履歴が記録されているにもかからず、それに続けてチップトレイでの受け入れの移動履歴が記録されていない場合には、回収すべきゲーミングチップ70が正しく回収されていないことが明らかとなる。
【0070】
また、本実施の形態では、回収前後のチップトレイから読み出されるチップIDを比較することで、回収によって新たにチップトレイに持ち込まれたチップIDを把握するようにしたが、これに代えて、チップトレイにおいて回収したチップトレイを一時的に収容する回収チップエリアを特別に設け、当該回収チップエリアに、他のチップトレイ部分とは独立したアンテナを設けることで、回収したゲーミングチップ70のチップIDを把握するようにしてもよい。
【0071】
あるいは、回収するゲーミングチップ70について、ベットエリアからチップトレイへの移動の途中でディーラアンテナでRFID71を読み取らせることで回収されるゲーミングチップ70のチップIDを特定するようにしてもよい。
【0072】
プレイヤがゲームに勝つと、ゲーミングチップ70の償還を受ける。ディーラは、チップトレイからプレイヤに払い出すゲーミングチップ70について、まず、ゲームテーブルのディーラエリアに置く。このとき、ディーラアンテナ513が、ディーラエリアのゲーミングチップ70のRFIDタグ71からチップIDを読み取る。テーブルコンピュータ151は、各ベットエリアにはどのプレイヤがプレイをしているかを把握しているため、償還されるゲーミングチップ70とその償還を受けるプレイヤとを紐づける(償還されるゲーミングチップ70のロケーション情報を当該プレイヤとする)ことができる。
【0073】
なお、償還されるゲーミングチップ70のチップIDを特定してプレイヤと紐づける方法は上記に限られず、例えば、テーブルコンピュータ151は、償還の前後でチップトレイに収容されたゲーミングチップ70のチップIDを読み取ることで、償還されるゲーミングチップ70のチップIDを特定し、償還を受けるプレイヤと紐づけしてもよい。
【0074】
また、償還されるゲーミングチップ70がベットエリアに置かれた際に当該ベットエリアのベットエリアアンテナ515によってゲーミングチップ70のチップIDを読み取ってもよい。この場合には、償還されたゲーミングチップ70のチップID(ディーラないしカジノに紐づけられている)とともにベットされていたゲーミングチップ70のチップID(プレイヤに紐づけされている)も読み取られることになるが、チップ管理コンピュータ100は、償還されたゲーミングチップ70のチップIDを、ベットされていたゲーミングチップ70のチップIDに紐づけられていたプレイヤに紐づける。
【0075】
また、償還されるゲーミングチップ70のRFIDタグ71を読み取るためのアンテナ及び読取エリアをプレイヤポジションごとに設けてもよい。このようなアンテナ及び読取エリアは、各プレイヤポジションのベットエリアとディーラとの間に設置されてよい。この場合にも、各プレイヤポジションにどのプレイヤがいるかが把握されているため、償還されるゲーミングチップ70とプレイヤIDとを紐づけることができる。この場合に、ディーラは、まず償還されるゲーミングチップ70を該当するプレイヤポジションの読取エリアにおいて、そこのアンテナで読み取らせた後に、償還されるゲーミングチップ70をベットエリアのベットチップの横まで移動させてもよいし、ディーラが読取エリアに置いた償還されるゲーミングチップ70を該当するプレイヤがとるようにしてもよい。
【0076】
テーブルコンピュータ151は、この償還されるゲーミングチップ70のチップIDと償還を受けるプレイヤのプレイヤIDとの組み合わせをチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、この報告に応じて、チップ管理データベース101において、ゲームテーブルにあったゲーミングチップ70がプレイヤに移動した旨の移動履歴の更新を行う。
【0077】
償還の際にも、チップトレイから取り出したゲーミングチップ70について、いったんディーラアンテナでRFIDタグ71を読み取らせることで、償還するゲーミングチップ70のチップIDを特定するようにしてよい。
【0078】
なお、上記の図6図10の例において、各ゲーミングチップ70の各移動履歴において、ロケーションの情報のみならず、そのロケーションにおいて当該移動に関与したスタッフのスタッフIDを記録するようにしてもよい。また、各移動履歴において、ゲーミングチップ70のステータス情報として「有効」、「無効」、「行方不明」、「疑い」、「換金不可」、「プレイ不可」等のステータスを記録してもよい。また、有効であるか無効であるかをフラグで示しようにしてもよい。さらに、上記の図6図10の例において、各移動履歴のレコードが、各ゲーミングチップ70のチップIDとともにその額面金額の情報も有していてもよい。
【0079】
以上のように、各ロケーションにおいてチップIDを読み取ることで、チップ管理データベース101において各ゲーミングチップ70の移動履歴を記録することができる。これにより、チップ管理コンピュータ100は、以下に説明する種々の機能を実現することができる。
【0080】
(時間制限及び移動先違いの検出)
この機能において、チップ管理コンピュータ100は、F/Cバンク室13とゲームテーブルとの間のゲーミングチップ70の移動において、その移動を監視して問題がある場合にアラートを発出する。すなわち、チップ管理コンピュータ100は、あるゲーミングチップ70について移動先をいずれかのゲームテーブルとしてF/Cバンク室13から出たことの報告をF/Cバンクコンピュータ131から受けた場合に、計時を開始する。そして、チップ管理コンピュータ100は、所定の時間(例えば、5分)以内に移動先のゲームテーブルのテーブルコンピュータ151から、当該ゲーミングチップ70を受け取った旨の報告を受けない場合には、アラートを発出してよい。このアラートは、該当するゲームテーブルのディーラ、該当するゲームテーブルを管理するピットマネージャ等に送信されてよい。このとき、チップ管理コンピュータ100は、チップ管理データベース101において、当該ゲーミングチップ70のステータスを「行方不明」、「換金不可」、「プレイ不可」等に更新してよい。
【0081】
また、チップ管理コンピュータ100は、あるゲーミングチップ70について移動先としていずれかのゲームテーブルを指定してF/Cバンク室13から出たことの報告をF/Cバンクコンピュータ131から受けた場合に、移動先として指定されたゲームテーブル以外のゲームテーブルのテーブルコンピュータ151から、当該ゲーミングチップ70を受け取った旨の報告を受けた場合にもアラートを発出してよい。また、この場合に、チップ管理コンピュータ100は、チップ管理データベース101において、当該ゲーミングチップ70のステータスを「行先違い」、「換金不可」、「プレイ不可」等に更新してよい。
【0082】
(不適切移動の検出)
この機能において、チップ管理コンピュータ100は、チップ管理データベース101を参照して、不適切なゲーミングチップ70の移動がある場合に、アラートを発出する。ゲーミングチップ70の移動は、図5に示すパターンに限られ、これら以外の移動パターンは不適切な移動である。よって、チップ管理コンピュータ100は、チップ管理データベース101を更新するたびに、その更新に係る移動が適切であるか否かを判断する。
【0083】
例えば、ケージ10が図1に示す構成を有している場合は、ボールト11から直接キャッシャ室14にゲーミングチップ70が移動することはなく、また、例えば、キャッシャ室14からプレイヤに移動していないゲーミングチップ70がゲームテーブルで回収されることもなく、これらの移動履歴が発見された場合は、チップ管理コンピュータ100は、不適切移動と判断する。また、あるプレイヤが所持しているはずのゲーミングチップ70が他のプレイヤによってキャッシャにおいて換金される場合には、マネーロンダリングの可能性が疑われる。このように、チップ管理コンピュータ100は、不適切な移動を検知してアラートを発出する。
【0084】
(リアルタイムのプレイヤチップ総額)
この機能において、チップ管理コンピュータ100は、チップ管理データベース101を参照することで、移動履歴の最新の情報において、いずれかのプレイヤが所持しているゲーミングチップ70のみを抽出して、それらの総額を計算することで、その時点ですべてのプレイヤが総額いくらのゲーミングチップ70を所持しているか、即ち、その時点のカジノの債務残高を計算する機能を有する。
【0085】
また、プレイヤチップの総額は、チップ管理データベース101にて管理されているすべてのゲーミングチップの総額から、ケージ10にあるすべてのゲーミングチップ70の総額とゲームテーブルにあるすべてのゲーミングチップ70の総額とを引いた額として算出してもよい。
【0086】
(フィル/クレジットの中央管理)
この機能において、チップ管理コンピュータ100は、チップ管理データベース101を参照することで、ゲームテーブルごとに、そのゲームテーブルにあるゲーミングチップ70を抽出して、額面金額ごとの枚数を検出する。そして、枚数が十分に足りない額面金額のゲーミングチップ70がある場合には、その額面金額のゲーミングチップ70を補充(フィル)するように、F/Cバンク室13のF/Cバンクコンピュータ131及び当該ゲームテーブルのテーブルコンピュータ151に通知を発出してよい。この通知では、補充すべきゲーミングチップ70の額面ごとの枚数、又は補充すべきゲーミングチップ70の額面ごとの総額が指定される。
【0087】
また、チップ管理コンピュータ100は、チップ管理データベース101を参照することで、ゲームテーブルごとに、そのゲームテーブルにあるゲーミングチップ70を抽出して、そのゲームテーブルにあるゲーミングチップ70の総枚数を検出する。そして、総枚数が、ゲームテーブルに収容できる上限値に近い所定の枚数以上である場合には、当該テーブルからゲーミングチップ70を回収(クレジット)するように、F/Cバンク室13のF/Cバンクコンピュータ131及び当該ゲームテーブルのテーブルコンピュータ151に通知を発出してよい。この通知では、補充すべきゲーミングチップ70の額面ごとの枚数、又は補充すべきゲーミングチップ70の額面ごとの総額が指定される。
【0088】
また、ケージ10内でのゲーミングチップ70の移動についても、同様にして通知を発出してよい。例えば、キャッシャ室14のあるウィンドウでゲーミングチップ70の枚数が少なくなった場合には、キャッシャコンピュータ141及びメインバンクコンピュータ121に対して、キャッシャ室14へのゲーミングチップ70の補充を促す通知を発出してよい。
【0089】
なお、上記では、移動先及び移動元のいずれにも移動を促す通知が発出されたが、これに代えて移動先及び移動元のいずれか一方にのみ通知を発出するようにしてもよい。移動を促す通知を受信したロケーションでは、スタッフが移動の提案を受け入れるか否かを入力デバイスを介して当該ロケーションのコンピュータに指示し、当該ロケーションのコンピュータは、移動先及び移動元の一方のロケーションが提案を受け入れた場合には、移動の命令を他方のロケーションに通知してもよい。
【0090】
(複数のゲーミングチップの移動管理)
上記では、各ゲーミングチップ70についてチップ管理データベース101における移動履歴を更新することで移動管理を行う方法を説明したが、複数のゲーミングチップ70がロケーション間を移動する場合に、それらの複数のゲーミングチップ70が過不足なく移動したかを管理してもよい。
【0091】
以下では、F/Cバンク室13からゲームテーブルに複数のゲーミングチップ70を移動させる場合(フィル)場合の例を説明する。F/Cバンク室13から所定のゲームテーブルにゲーミングチップ70が移動する場合には、F/Cバンクスタッフ33が、F/Cバンク室13のF/Cバンクチップリーダ133を用いて、移動するゲーミングチップ70のチップIDを読み取る。F/Cバンクコンピュータ131は、読み取ったチップIDをチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、フィルに係る複数のゲーミングチップ70のチップID(移動元チップID)を記憶するとともに、報告に基づいてチップ管理データベース101を参照して、それらのチップIDの額面金額を取得して、フィルに係るゲーミングチップ70の総額(移動元総額)を把握する。これにより、チップ管理コンピュータ100は、F/Cバンクコンピュータ131からの情報に基づいて、移動元チップID、フィルに係るゲーミングチップ70の総枚数(移動元総枚数)、及び移動元総額を把握することになる。
【0092】
ゲーミングチップ70がゲームテーブルに運ばれると、ディーラはゲームテーブルのテーブルチップリーダによって運ばれてきたゲーミングチップ70のチップIDを読み取り、テーブルコンピュータ151は、読み取った複数のチップIDをチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、それらの複数のチップID(移動先チップID)を記憶するとともに、報告に基づいてチップ管理データベース101を参照して、それらのチップIDの額面金額を取得して、フィルに係るゲーミングチップ70の総額(移動先総額)を把握する。これにより、チップ管理コンピュータ100は、テーブルコンピュータ151からの情報に基づいて、移動先チップID、フィルに係るゲーミングチップ70の総枚数(移動先総枚数)、及び移動先総額を把握することになる。
【0093】
チップ管理コンピュータ100は、移動元チップIDと移動先チップIDとを比較して、それらが完全に一致するか否かを判断する。また、チップ管理コンピュータ100は、移動元総額と移動先総額とを比較して、それらが一致するか否かを判断する。さらに、チップ管理コンピュータ100は、移動元総枚数と移動先総枚数とを比較して、それらが一致するか否かを判断する。チップ管理コンピュータ100は、上記の比較のいずれかにおいて不一致がある場合には、移動が正確に行われなかったと判断してアラートを発出する。
【0094】
ゲームテーブルからF/Cバンク室13に複数のゲーミングチップ70を移動させる場合(クレジット)場合は次のとおりである。ゲームテーブルからF/Cバンク室13にゲーミングチップ70が移動する場合には、ディーラが、ゲームテーブルのテーブルチップリーダ153を用いて、移動するゲーミングチップ70のチップIDを読み取る。テーブルコンピュータ151は、読み取ったチップIDをチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、クレジットに係る複数のゲーミングチップ70のチップID(移動元チップID)を記憶するとともに、報告に基づいてチップ管理データベース101を参照して、それらのチップIDの額面金額を取得して、クレジットに係るゲーミングチップ70の総額(移動元総額)を把握する。これにより、チップ管理コンピュータ100は、テーブルコンピュータ151からの情報に基づいて、移動元チップID、クレジットに係るゲーミングチップ70の総枚数(移動元総枚数)、及び移動元総額を把握することになる。
【0095】
ゲーミングチップ70がF/Cバンク室13に運ばれると、F/Cバンクスタッフ33はF/Cバンクチップリーダ133によって、運ばれてきたゲーミングチップ70のチップIDを読み取り、F/Cバンクコンピュータ131は、読み取った複数のチップIDをチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、それらの複数のチップID(移動先チップID)を記憶するとともに、報告に基づいてチップ管理データベース101を参照して、それらのチップIDの額面金額を取得して、クレジットに係るゲーミングチップ70の総額(移動先総額)を把握する。これにより、チップ管理コンピュータ100は、F/Cバンクコンピュータ131からの情報に基づいて、移動先チップID、クレジットに係るゲーミングチップ70の総枚数(移動先総枚数)、及び移動先総額を把握することになる。
【0096】
チップ管理コンピュータ100は、移動元チップIDと移動先チップIDとを比較して、それらが完全に一致するか否かを判断する。また、チップ管理コンピュータ100は、移動元総額と移動先総額とを比較して、それらが一致するか否かを判断する。さらに、チップ管理コンピュータ100は、移動元総枚数と移動先総枚数とを比較して、それらが一致するか否かを判断する。チップ管理コンピュータ100は、上記の比較のいずれかにおいて不一致がある場合には、移動が正確に行われなかったと判断してアラートを発出する。
【0097】
なお、上記では、チップID、総額、及び総枚数のいずれも比較することとしたが、それらのいずれか1つのみを比較することで、移動が正確に行われたか否かを判断してもよい。また、総額及び総枚数については、ゲーミングチップ70の額面金額ごとに算出され、比較されてよい。例えば、移動元総額及び移動先総額は、「10ドルチップ600ドル、100ドルチップ400ドル」のように算出されてよい。
【0098】
また、チップ管理コンピュータ100から移動先又は移動元に対して移動を促す通知がされている場合は、当該通知と移動元総額との比較、当該通知と移動先総額との比較、当該通知と移動元総枚数との比較、当該通知と移動先総枚数との比較の少なくともいずれかを行うことで、移動が正確に行われていたかを判断してもよい。
【0099】
(ゲームテーブルでの増額によるフィルの管理)
F/Cバンク室13からゲームテーブルにゲーミングチップ70が運ばれて、当該ゲームテーブルにゲーミングチップ70が補充される場合(フィル)には、F/Cバンクチップリーダ133にて、ゲームテーブルに向けて運ばれるゲーミングチップ70のチップIDが読み取られ、それらのチップIDがF/Cバンクコンピュータ131からチップ管理コンピュータ100に報告される。チップ管理コンピュータ100は、チップ管理データベース101を参照することで、報告されたゲーミングチップ70の総額(フィル総額)を算出する。
【0100】
チップ管理コンピュータ100は、チップ管理データベース101を参照することにより、当該フィルの前に当該ゲームテーブルにあるゲーミングチップ70を抽出して、その総額(既存総額)を算出する。そして、チップ管理コンピュータ100は、算出した既存総額に、フィル総額を足すことで、フィル後の当該ゲームテーブルにおけるゲーミングチップ70の理論上の総額(理論フィル後総額)を算出する。
【0101】
ゲームテーブルでは、F/Cバンク室13からゲーミングチップ70が運ばれてくると、当該ゲームテーブルのテーブルチップリーダ153で、運ばれてきたゲーミングチップ70のチップIDを読み取り、テーブルコンピュータ151によりチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、報告されたチップIDにについてチップ管理データベース101を参照して額面金額を取得して、チップトレイにおけるゲーミングチップ70の現実の総額(現実フィル後総額)を算出する。
【0102】
なお、ゲームテーブルにキャビネットが設けられており、あるいは、チップトレイが2重であったりして、即ち、ゲームテーブルにチップトレイ以外のチップを保管する場所がある場合には、テーブルコンピュータ151は、チップトレイにそのような保管場所も加えたゲームテーブル全体のゲーミングチップ70(但し、ベットエリアに置かれたプレイヤのゲーミングチップは含まない)の総額を現実フィル後総額として算出する。
【0103】
チップ管理コンピュータ100は、理論フィル後総額と現実フィル後総額とを比較して、両者が一致しない場合にはアラートを発出する。この構成により、フィルによってゲームテーブルにおいて正しくゲーミングチップ70が増額しているかを確認することができる。
【0104】
また、F/Cバンク室13では、F/Cバンク室13を出る全てのゲーミングチップ70のチップIDが把握され、ゲームテーブルにおいても、F/Cバンク室13から移動してきた全てのゲーミングチップ70のチップIDが検出されるので、理論フィル後総額と現実フィル後総額とが一致しない場合に、不一致の原因となったゲーミングチップ70のチップIDを把握することができる。チップ管理コンピュータ100は、不一致の原因となったゲーミングチップ70のステータスを「無効」、「換金不可」、「プレイ不可」等のステータスに変更する。
【0105】
なお、上記では、理論フィル後総額と現実フィル後総額とを比較したが、ゲーミングチップ70の金額(総額)に加えて、またはそれに代えて、枚数(総枚数)を用いて、ゲームテーブルにおけるフィル後の理論上のゲーミングチップ70の総枚数(理論フィル後総枚数)と、当該ゲームテーブルにおけるフィル後の現実のゲーミングチップ70の総枚数(現実フィル後総枚数)とを比較することで、過不足なくフィルが完了したかを判断してもよい。
【0106】
(ゲームテーブルでの減額によるクレジットの管理)
ゲームテーブルで過剰になったゲーミングチップ70がゲームテーブルからF/Cバンク室13にゲーミングチップ70が運ばれる場合(クレジット)には、テーブルチップリーダ153にて、F/Cバンク室13に向けて運ばれるゲーミングチップ70のチップIDが読み取られ、それらのチップIDがテーブルコンピュータ151からチップ管理コンピュータ100に報告される。チップ管理コンピュータ100は、チップ管理データベース101を参照することで、報告されたゲーミングチップ70の総額(クレジット総額)を算出する。
【0107】
チップ管理コンピュータ100は、チップ管理データベース101を参照することにより、当該クレジットの前に当該ゲームテーブルにあるゲーミングチップ70を抽出して、その総額(既存総額)を算出する。そして、チップ管理コンピュータ100は、算出した既存総額から、クレジット総額を引くことで、クレジット後の当該ゲームテーブルにおけるゲーミングチップ70の理論上の総額(理論クレジット後総額)を算出する。
【0108】
ゲームテーブルでは、F/Cバンク室13に向けてゲーミングチップ70が運ばれていくと、当該ゲームテーブルのチップトレイチップリーダ154で、ゲームテーブルに保管されているゲーミングチップ70のチップIDを読み取り、テーブルコンピュータ151によりチップ管理コンピュータ100に報告する。チップ管理コンピュータ100は、報告されたチップIDについてチップ管理データベース101を参照して額面金額を取得して、チップトレイにおけるゲーミングチップ70の現実の総額(現実クレジット後総額)を算出する。
【0109】
なお、ゲームテーブルにキャビネットが設けられており、あるいは、チップトレイが2重であったりして、即ち、ゲームテーブルにチップトレイ以外のチップを保管する場所がある場合には、テーブルコンピュータ151は、チップトレイにそのような保管場所も加えたゲームテーブル全体のゲーミングチップ70(但し、ベットエリアに置かれたプレイヤのゲーミングチップは含まない)の総額を現実クレジット後総額として算出する。
【0110】
チップ管理コンピュータ100は、理論クレジット後総額と現実クレジット後総額とを比較して、両者が一致しない場合にはアラートを発出する。この構成により、クレジットによってゲームテーブルにおいて正しくゲーミングチップ70が減額しているかを確認することができる。
【0111】
また、ゲームテーブルでは、ゲームテーブルからF/Cバンク室13に運ばれる全てのゲーミングチップ70のチップIDが把握され、F/Cバンク室13においても、ゲームテーブルから移動してきた全てのゲーミングチップ70のチップIDが検出されるので、理論クレジット後総額と現実クレジット後総額とが一致しない場合に、不一致の原因となったゲーミングチップ70のチップIDを把握することができる。チップ管理コンピュータ100は、不一致の原因となったゲーミングチップ70のステータスを「無効」、「換金不可」、「プレイ不可」等のステータスに変更する。
【0112】
なお、上記では、理論クレジット後総額と現実クレジット後総額とを比較したが、ゲーミングチップ70の金額(総額)に加えて、またはそれに代えて、枚数(総枚数)を用いて、ゲームテーブルにおけるクレジット後の理論上のゲーミングチップ70の総枚数(理論クレジット後総枚数)と、当該ゲームテーブルにおけるクレジット後の現実のゲーミングチップ70の総枚数(現実クレジット後総枚数)とを比較することで、過不足なくクレジットが完了したかを判断してもよい。
【0113】
また、上記では、F/Cバンク室13に運ばれるゲーミングチップ70をテーブルチップリーダ153にて読み取ることで、クレジット総額を把握して、既存総額(クレジット実行前にゲームテーブルにあるゲーミングチップ70の総額)からクレジット総額を引くことで理論クレジット後総額を算出したが、これに代えて次のようにしてもよい。すなわち、チップ管理コンピュータ100がゲームテーブルに対してクレジットを促す通知を発出し、ゲームテーブルがこの通知に応じてクレジットを行う場合には、この通知において指定された、クレジットに係るゲーミングチップ70の総額又は総枚数(いずれも額面金額ごとに指定されていてもよい)をクレジット総額として、このクレジット総額を既存総額から減算することで、理論クレジット後総額を算出してもよい。チップ管理コンピュータ100は、理論クレジット総額を算出すると、上記と同様に、この理論クレジット後総額と、現実クレジット後総額(ゲームテーブルにおけるクレジット後の実際のゲーミングチップ70の総額)とを比較することで、指定された額又は枚数のゲーミングチップ70がクレジットのためにゲームテーブルから出て行ったか否かを確認する。
【0114】
(スタッフの勤務シフトに応じた検証)
ケージ10には人の任意の侵入を防ぐべく、ドアに施錠がかけられ、スタッフはセキュリティ条件を満たすことで入退室が可能となる。また、ケージ10内の各部屋の間でも同様の入退室セキュリティが実施されている。ケージ10内で働くスタッフは、ゲージ10内ないし持ち場の部屋に入る際及び出る際に、認証を要求される。チップ管理コンピュータ100は、スタッフが退出するための認証を行う際に、当該スタッフが入室してからそれまでに不適切なゲーミングチップ70の移動がなかったかを検証する。チップ管理コンピュータ100は、施錠システムと連携し、不適切なゲーミングチップ70の移動があった場合には、退出を許可しない。
【0115】
また、ゲームテーブルでも同様にして、ディーラがゲームテーブルを離れる際には、勤務の終了を指定した上でディーラは自らのIDカードをテーブルカードリーダ152に読み取らせる。この際に、チップ管理コンピュータ100は、当該ディーラが当該ゲームテーブルに着いてからそれまでに不適切なゲーミングチップ70の移動がなかったかを検証し、不適切な移動がある場合にはアラートを発出する。また、ディーラの交代の際には、チップ管理コンピュータ100は、ディーラがテーブルを離れた後、次のディーラがテーブルに就くまでの間に、ゲームテーブルにあるべきゲーミングチップ70が確かにあるか、即ち、テーブルを離れるディーラがゲームテーブルからゲーミングチップ70を持ち出していないかを検証して、問題がある場合にはアラートを発出する。
【0116】
なお、ゲームテーブルにおいて、ゲーミングチップ70は、チップトレイ以外の場所にも保管されてよい。例えば、チップトレイが2重になっており、補充用のゲーミングチップ70が下段チップトレイに保管されていてよく、ゲームテーブルが備えるキャビネットに補充用のゲーミングチップ70が保管されていてもよい。これらの場合には、ゲームテーブルはそのように保管されたゲーミングチップ70のRFIDタグ71を読み取るためのアンテナも備えており、テーブルコンピュータ151は、ゲームテーブルにあるすべてのゲーミングチップ70のRFIDタグ71を常に読み取ることができることが望ましい。
【0117】
(プレイヤの不適切な購入/換金の監視)
この機能において、チップ管理コンピュータ100は、各プレイヤについて、ゲーミングチップの購入及び換金の履歴を検証して、疑わしい動きがある場合にアラートを発出する。例えば、所定の時間内に、所定額以上のゲーミングチップ70の購入と所定額以上のゲーミングチップ70の換金がある場合には、そのような行動を疑わしい行動としてアラートを発出する。また、ゲーミングチップ70が購入されてから当該ゲーミングチップ70がゲームテーブルで使用されることなく換金されようとしており、その額が所定額以上である場合にも、そのような行動を疑わしい行動としてアラートが発出される。あるいは、所定の時間以内に所定額以上のゲーミングチップ70を購入したプレイヤについて、そのような行動を疑わしい行動としてアラートが発出される。
【0118】
(ケージにおける有効化/無効化)
ゲーミングチップ70は、ケージ10内において有効化されてもよい。これにより、ゲーミングチップ70が製造されてからケージ10に運び込まれるまでの間に盗難に遭った場合にも、そのようなゲーミングチップ70は有効化されていないので使用することができず、セキュリティが担保される。このために、チップ管理データベース101は、有効なゲーミングチップ70のチップIDを記憶したテーブルを有し、チップ管理コンピュータ100は、キャッシャやゲームテーブルのチップリーダでゲーミングチップ70のチップIDが読み取られるごとに、テーブルを参照して当該チップIDが有効であるか否かを検証する。
【0119】
また、ゲーミングチップ70を廃棄する場合にも、ケージ10内で無効化の処理を行ってからゲーミングチップ70をケージ10の外部に持ち出す。これにより、廃棄のためにケージ10の外部に持ち出されたゲーミングチップ70が盗まれたとしても、そのようなゲーミングチップ70はキャッシャやテーブルでは使用できないので、セキュリティが確保される。
【0120】
(未登録プレイヤ)
未登録のプレイヤであってもゲーミングチップ70を購入し、ゲーミングチップ70を用いてゲームテーブルでゲームをプレイすることができる。未登録のプレイヤについては、共通の匿名プレイヤIDが用いられる。これにより、ゲーミングチップ70がケージ10から出てからケージ10に戻るまで、各ロケーションを転々とする間に、未登録プレイヤに移動したとしても、ゲーミングチップ70のトレースを途切れることなく行うことができる。
【0121】
(その他)
キャッシャのウィンドウに、ゲーミングチップ70の総額及び有効性の確認結果を表示する表示装置を設けてもよい。キャッシャスタッフは、プレイヤに渡すゲーミングチップ70又はプレイヤから受け取るゲーミングチップ70をキャッシャチップリーダ143に置く。キャッシャチップリーダ143は、ゲーミングチップ70(通常は複数)のRFIDタグ71に記憶された額面金額及びステータスを読み出す。キャッシャコンピュータ141は、キャッシャチップリーダ143で読み取られた額面金額を合計した合計値を表示装置に表示する。なお、合計金額に加えて、各額面金額ゲーミングチップ70が何枚あるかを表示してもよい。
【0122】
また、キャッシャコンピュータ141は、読み取ったRFIDタグ71のなかに、ステータスが有効でないゲーミングチップ70がある場合には表示装置にエラー表示をし、すべてのゲーミングチップ70のステータスが有効である場合は表示装置に合格表示をし、又は何も表示しない。また、ステータスのみならず、それまで不適切な移動履歴がなかったかを表示してもよい。これにより、プレイヤに渡す、又はプレイヤから受け取るゲーミングチップが有効なものであること、及びその総額をキャッシャスタッフとプレイヤとの間で合意した上でゲーミングチップ70の受渡しを行うことができる。
【0123】
上記の実施の形態において、各ロケーションのチップリーダでゲーミングチップ70のRFIDタグ71を読み取る際には、チップ管理コンピュータ100は、読み取ったチップIDが有効なチップのチップIDであるかを検証することで、チップIDの有効性を確認し、問題があるときはアラートを発出するようにしてもよい。このために、チップ管理データベース101に、有効なチップIDのテーブルを記録しておき、チップ管理コンピュータ100は、このテーブルを参照して各ロケーションで読み取られたチップIDが有効であるかを検証する。なお、チップIDは暗号化されていてもよい。
【0124】
上記の実施の形態において、チップ管理コンピュータ100は、アラートを発出することに加えて、又はその代わりに、該当するプレイヤ、ゲーミングチップ70、又は移動履歴のレコードに異常を示すフラグを立ててその時間を記録するようにしてもよい。
【0125】
また、ケージ10の部屋の構成は上記で説明したものに限らず、部屋数及び部屋の配置は任意であってよい。また、ゲームテーブルは、バカラ、ブラックジャックその他のカードゲームを行うテーブルであってよく、ゲームテーブルに加えて、ルーレット等の他のゲームを行うロケーションが含まれていてもよい。
【0126】
上記の各コンピュータは、プロセッサとメモリとを備え、プロセッサがメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することで上記の動作を行う。プログラムは、非一時的な記憶媒体によってコンピュータに提供されてよく、あるいは、ダウンロードの形式でコンピュータに提供されてもよい。また、コンピュータ間の通信は有線であっても無線であってもよい。また、上記の実施の形態では、各カードリーダがIDカードを読み取ることで、各ロケーションでスタッフやプレイヤを特定したが、IDカードに代えて、指紋、顔画像、虹彩、声紋等の生体認証によってスタッフやプレイヤを特定してもよい。
【0127】
なお、上記の実施の形態では、ロケーションの例として、ケージ10内の各部屋及びゲームテーブルを例に挙げて、ロケーション間のゲーミングチップ70の移動を管理することを説明したが、ロケーションの例はこれに限らず、例えば、ゲームテーブルにおいてディーラがそこに回収チップを収容し、そこから償還チップを払い出すチップトレイ、テーブルにおいてゲーミングチップを保管するキャビネット、チップトレイが2段で構成されている場合の上段及び下段のそれぞれのチップトレイは、それぞれ上記の実施の形態のロケーションとなり得るものであり、それぞれのロケーションの間のゲーミングチップ70の移動について、上記と同様の管理を行うことができる。
【0128】
例えば、あるゲームテーブルのキャビネットから取り出されたゲーミングチップ70のチップID、総額、及び/又は総枚数を把握し、そのチップID、総額、及び/又は総枚数が同じゲームテーブルのチップトレイに所定時間内に移動しなかった場合に、アラートを発出するようにしてよい。また、例えば、ある2重チップトレイにおいて、下段チップトレイから取り出されたゲーミングチップ70が上段チップトレイに移動したこと、あるいは上段チップトレイから取り出されたゲーミングチップ70が下段チップトレイに移動したことを確認するようにしてもよい。
【0129】
また、フィルを行うときに、F/Cバンク室13からゲームテーブルに運んできたゲーミングチップ70を、ディーラアンテナ513、ベットエリアアンテナ515、もしくはトレイアンテナ514を用いて読み取る。チップトレイには、フィル操作の開始と終了が認識できるようにボタンが備えられており、フィル前のチップトレイのゲーミングチップ70とフィル後のチップトレイのゲーミングチップ70とを比較して、フィルによって増加したゲーミングチップ70をフィルされたゲーミングチップ70として認識する。
【0130】
クレジットを行うときには、F/Cバンク室13に運んでいくゲーミングチップ70を、ディーラアンテナ513、ベットエリアアンテナ515、もしくはチップトレイアンテナ514で読み取る。チップトレイには、クレジット操作の開始と終了が認識できるようにボタンが備えられていて、クレジット前のチップトレイのゲーミングチップ70とクレジット語のゲーミングチップ70とを比較して、クレジットによって減少したゲーミングチップ70をクレジットされるゲーミングチップ70として認識する。
【0131】
チップ管理コンピュータ100は、各ロケーション(ケージ、チップトレイ等)のチップの在庫(チップID)を出力可能であってよい。チップ管理コンピュータ100は、過去の時点を指定して、その時点の在庫を出力可能であってもよい。
【0132】
また、疑わしいゲーミングチップ(フラグがたっているゲーミングチップ)がキャッシャで換金されようとしたときにアラートを出すようにしてもよい。
【0133】
また、チップ管理データベース101は、各プレイヤの換金履歴を記憶可能であってもよい。また、チップ管理コンピュータ100は、プレイヤが所持しているはずのチップIDを出力可能であってよい。
【0134】
RFIDタグ71には、チップセット、カジノ情報、場所情報、換金可能性などの情報が書き込まれていてよい。あるいは、それらの情報がチップIDに関連付けられてチップ管理データベース101に記憶されていてもよい。チップ管理コンピュータ100あるいは各ロケーションのコンピュータは、あるロケーションでRFIDタグ71が読み取られたときに、それらの情報に基づいてその場所にあるべきゲーミングチップ70であるかどうか検査を行ってよい。
【0135】
また、エリア毎に使用可能なゲーミングチップ70の組(チップセット)、及びゲーミングチップの種類が設定されてよい。例えば、テーブルコンピュータ151又はチップ管理コンピュータ100は、あるゲームテーブルでRFIDタグ71が読み取られたときに、当該ゲームテーブルで使われるべきチップセットかどうかを検査する。
【0136】
使用の開始から一定年数経過したゲーミングチップ70についてチップIDと関連付けてフラグをたててもよい。使用の開始から一定年数経過したゲーミングチップ70については、場所を特定して、回収することができる。使用の開始から一定年数経過したゲーミングチップ70をプレイヤが所持している場合には、キャッシャもしくはゲームテーブルでチップIDが検知されたときに信号を出力する。
【0137】
盗難された可能性のあるゲーミングチップ70を所持しているプレイヤがテーブルに着いたときに、テーブルコンピュータ151又はチップ管理コンピュータは、スタッフ(監視員)に警告を発出してよい。キャッシャコンピュータ141又はチップ管理コンピュータ100は、マネーロンダリング防止のために、購入されてから、プレイされずに、換金されるチップを検知する。
【0138】
キャッシャでは、閾値以上の金額の換金もしくはチップ購入が行われる場合には、プレイヤの写真とチップIDを関連付ける。また、匿名プレイヤ(メンバーカードを持たないプレイヤ)にもユニークIDを付与してチップをトレースする。また、匿名プレイヤについては、チップ購入時に顔を撮影し、顔画像にプレイヤIDを紐づけてチップ管理データベース101に登録しておき、その後の各ロケーション(テーブル、キャッシャ等)では、顔認識によってプレイヤIDを特定するようにしてもよい。チップ管理コンピュータ100は、ブラックリストにのったプレイヤと関連付けられているチップのステータスを全て無効にしてよい。
【0139】
チップ管理コンピュータ100は、メンバーカードを持たないプレイヤがゲームテーブルでゲーミングチップ70を賭けたときに、その場で発行したユニークID、及び/又はゲーミングチップ70に紐づけられたプレイヤIDと紐づけてプレイをチップ管理データベース101に記録する。このとき、顔画像または顔認識によるIDをプレイと紐づけてもよい。また、メンバーカードを後から認識した場合には、遡ってプレイ記録をメンバーカードIDに紐付けて記録してもよい。
【符号の説明】
【0140】
1 カジノホール
10 ケージ
11 ボールト
12 メインバンク室
13 F/Cバンク室
14 キャッシャ室
21~28 ゲート
31~36 スタッフ
42~45 ゲームテーブル
52~55 ディーラ
61~69 プレイヤ
70 ゲーミングチップ
71 RFIDタグ
1000 チップ管理システム
501 ケージシステム
502 テーブルシステム
100 チップ管理コンピュータ
101 チップ管理データベース
111 ボールトコンピュータ
112 ボールトカードリーダ
113 ボールトチップリーダ
121 メインバンクコンピュータ
122 メインバンクカードリーダ
123 メインバンクチップリーダ
131 F/Cバンクコンピュータ
132 F/Cバンクカードリーダ
133 F/Cバンクチップリーダ
141 キャッシャコンピュータ
142 キャッシャカードリーダ
143 キャッシャチップリーダ
151 テーブルコンピュータ
152 テーブルカードリーダ
153 テーブルチップリーダ
154 チップトレイリーダ
155 ベットエリアチップリーダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10